JP5688058B2 - 低水圧通水施設の異常箇所の検出方法 - Google Patents

低水圧通水施設の異常箇所の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、地下に埋設された管路やサイホンのような通水施設の異常箇所の検出方法に関し、より詳細には低水圧状態にある通水施設内に発生した漏水等の異常箇所を簡便かつ正確に検出する方法に関する。
土木及び農業土木分野の既存施設の有効活用と長寿命化のために、古い構造物を壊して造り直すのではなく、古い構造物の調査を行って適切な維持管理を行うアセットマネジメントが、社会的に重要視されている。アセットマネジメントは、施設の機能診断に基づく機能保全対策を通じて、既存施設の有効活用や長寿命化のための技術体系及び管理手法の総称である。近年、高度成長期に急速に整備された多くの構造物が、耐用年数の経過に伴う更新時期を迎えることから、その保全技術の確立を目的としたアセットマネジメントが今後一層重要となる。
地下に埋設された通水施設の現在の調査手法は、水中自走式ロボットや気中自走式ロボットに搭載したレコーダを用いた主に画像や映像による調査、人間が中に入っての劣化調査が主流である。
水中ロボットによる調査には、管径φが800mm以上の場合に最大500m程度、そしてφ700mm以下では、最大50m程度に限定されるという問題がある。レコーダで映像や画像を取得する場合、ロボットのスクリューで管路内に堆積している土砂、ゴミ等が舞ってしまうために鮮明な画像や映像が取得できず、管路内の漏水の有無を判別することが非常に困難である。レコーダが漏水音を検知する場合、サイホンでは低圧であるために漏水音は発生せず、漏水音による漏水検出に限界がある。
気中ロボットによる調査は、予め、管路内の排水を行う必要がある。急勾配の管路では、実施が困難である。
人間が中に入って目視を行う劣化調査は、予め、管内の排水を行う必要がある。φ700mm以下の小口径管では、人間が中に入ることができない。また、調査のための仮設が大規模に必要である。
地下に埋設された通水施設は、外部から調査を行えず、内部からの調査についても実施の制約が多い現状において、この種の構造物の老朽化の程度や欠陥の有無を簡便に調査・診断できる手法の開発が望まれている。そこで、本発明の目的は、内部調査を行う際に制約を受け難く、有効な調査を簡便に行うことの可能な方法を提供することにある。
異常箇所の典型例である漏水箇所の音量は、高圧下では大きくても、低圧下では漏水音は発生しない。このため、音響を使用した従来技術では判別はできない。そこで、本発明の目的は、管内の水圧変動に着目し、管路内の水圧が微弱な条件下においても漏水現象を簡便に検出できる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、管路やサイホンといった通水施設内に設置したガイドを利用して、漏水位置等の異常個所を特定する方法によれば、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、地下に埋設された通水施設内の異常箇所を検出する方法(以下、本発明の検出方法という)であって、以下のステップ:(2)該通水施設内の流水方向に懸架されたガイドに接続された異常検出手段を流水方向又はその逆方向にガイドに沿って移動させながら、該異常検出手段に該異常箇所を計測させる
を含む、前記検出方法を提供する。
本発明の検出方法が対象とする通水施設は、管路やサイホンである。
前記ガイドは、例えばロープからなる。
前記異常検出手段の移動は、前記通水施設の上流端及び下流端に設置されたロープ巻取り手段が該ロープを巻取り又は送出すことで行うことが好ましい。
本発明の検出方法は、ステップ(2)の前段に、以下のステップ:(1)前記通水施設の上流側から、先導ケーブルのついたフロートを流れに沿って該通水施設内へ送り込み、通水施設の下流側から前記フロートを回収する。次いで、該フロートに接続した前記先導ケーブルの上流側端部にガイドを接続した後、該先導ケーブルを下流側から引き上げて回収する、あるいは該フロートに接続した前記先導ケーブルの下流側端部にガイドを接続した後、該先導ケーブルを上流側から引き上げて回収することにより先導ケーブルをガイドと交換することで前記通水施設内にガイドを設置する
を含む。
ステップ(2)の前記異常個所検出手段は、光ファイバ圧力センサであることが好ましい。
本発明の検出方法は、ステップ(2)の後段に、以下のステップ:(3)測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータのピーク周波数とスペクトル形状から異常個所の検出と通水施設内の流動形態を同定する、及び/又は、(4)測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータ及び計測データの統計量を用いてプロビット解析及びクラスター解析することにより異常個所を検出するを含むことが好ましい。
管路やサイホンといった通水施設内に流水方向に設置されたガイドを利用して、通水施設の漏水位置等の異常個所を特定する本発明の検出方法によれば、地下に埋設され外部から容易に調査できない通水施設を、簡便に調査可能である。しかも、通水施設の管路長や管径に制約を受けない。
通水施設(例えば管路)が流水又は満水状態にある場合、従来の検出方法は、自走式ロボットに搭載した水中カメラに限定されていた。水中カメラは操作及び検出精度の点で満足できない。本発明の検出方法は、通水施設内が満水状態や流水状態であっても、異常個所を簡便に検出することができる。
通水施設内には本発明で使用するガイドが設置されていないのが普通である。フロートを使用してガイドを設置するステップを含む本発明の検出方法によれば、ガイドの設置がきわめて容易である。
本発明で対象とするサイホンは、低水圧である。漏水に伴う明確な振動現象が施設内外で発生しないため、振動による音波の発生は抑制される。本発明の検出方法は、異常個所検出手段として光ファイバ圧力センサを使用すれば、低水圧下でも、漏水に伴い局所的に発生する圧力変動を精度高く測定することによって、漏水箇所の同定が可能となる。
上記圧力変動をFFT解析やプロビット解析・クラスター解析するステップ(3)及び/又ステップ(4)を含む本発明の検出方法によれば、通水施設内の異常個所で検出される圧力変動をそのまま判断するよりも、検出精度のより一層の向上が可能になる。
本発明に従って通水施設の異常個所の検出方法を適用する一実施態様を、サイホンの例で示す概略説明図である。この実施態様では、異常個所検出手段として、光ファイバ圧力センサを使用している。 図2Aは、サイホンを含む地形の平面図であり、図2Bは、その地形の概略断面図である。 図3Aは、本発明の検出方法に使用するフロートの断面図である。 図3Bは、フロートが流水状態に置かれたときのその機能を説明する概略図である。 本発明の検出方法のガイドを設置するステップ(1)において、シール高が比較的浅いサイホン呑口に図3のフロートを誘導する状態図を示す。○内はサイホン呑口で長尺の治具からフロートを離脱させる状態の拡大図である。 本発明の検出方法のガイドを設置するステップ(1)において、シール高が比較的深いサイホン呑口に図3のフロートを誘導する状態図を示す。○内は、サイホン呑口で錘からフロートを離脱させる状態の拡大図である。 本発明の検出方法のガイドを設置するステップにおいて、水流に乗ったフロートをサイホン内へ送り出す状態を示す図である。サイホン呑口側では、フロートに接続された先導ケーブルを順次送り出す。 本発明の検出方法のガイドを設置するステップ(1)において、サイホン吐口側を出て水面に浮上したフロートの回収を行う状態を示す図である。フロートとそれに接続された先導ケーブルを回収することにより、先導ケーブルがサイホンの呑口から吐口まで貫通される。次いで、呑口側の先導ケーブルの先端にガイドを接続し、吐口側から先導ケーブルを手繰りよせることにより、ガイドがサイホンの呑口側から吐口側まで貫通し、これによりガイドの設置が完了する。 図8Aは、本発明の検出方法の異常箇所を検出するステップ(2)において、検出手段とその周辺機器の設置状態を示す概略平面図である。 図8Bは、その概略断面図である。吐口側で作業者がガイド巻取り手段でガイドを巻き取りながら、異常検出手段を移動させる。ガイドに沿って走行する異常検出手段(図では光ファイバ圧力センサ)が異常個所を測定する。一方、呑口側では、作業者が、巻き取り機を逆転させてガイドを送り出しながら、異常検出手段の位置・移動距離を管理する。 本発明の検出方法の計測データを解析するステップ(3)において、圧力データをFFT解析してスペクトルデータを取得するフロー1を示す図である。 図9のフロー1で得られたFFTデータのピーク周波数から、漏水傾向を判定するフロー2を示す図である。 図9のフロー1で得られたFFTデータを用いるが、図10のフロー2に変えて、FFTデータをプロビット解析とクラスター解析を行うフロー3を示す図である。 図11のフロー3のプロビット解析の詳細を示す図である。 図11のフロー3のクラスター解析の詳細を示す図である。 本発明に従う実施例1(モデル試験)において、漏水箇所Xの圧力変動を測定するモデル試験装置と測定機器の配置図である。 図14のモデル実験で得た計測データを、図9中のデータ算出のフロー1に基づいて処理したFFTデータである。「漏水無し」と「漏水有り」とでFFTデータを比較すると、ピーク周波数が低周波数帯に発生していることがわかる。 図14のモデル実験で得た計測データを、図10中の漏水箇所X同定のフローに基づいてクラスター解析処理した系統図である。図16Aは、止水時の樹形図(平均値及び標準偏差)である。この樹形図は、漏水無し及び漏水ありを比較した解析結果であり、漏水の有無によりデータが分類される傾向にあるのがわかる。 図14のモデル実験で得た計測データを、図10中の漏水箇所X同定のフローに基づいてクラスター解析処理した系統図である。図16Bは、固液二相流(標準砂投入秒数1秒)の樹形図(平均値及び標準偏差)である。流動形態が固液二相流状態においても止水時と同様に分類される傾向にあることが確認される。 本発明の検出方法の全体フロー図である。図17のように、異常箇所検出手段が測定する物理量が圧力の場合、ステップ(3)及び/ステップ(4)を行う。図17は、ステップ(3)の後にステップ(4)を行っているが、ステップ(4)の後にステップ(3)を行ってもよく、あるいは同時でもよい。
本発明の検出方法の一実施態様を添付の図面を用いて、詳細に説明する。本発明の検出方法が対象とする通水施設は、地下に埋設されたものであれば、形状、長さなど、特に制限されない。その例には、土木及び農業土木分野、特に下水道分野で使用されるサイホン、パイプライン、上下水道等が含まれる。
図1に示すサイホン70は、開水路の一部の区間に設けられる管路流通構造物の一種である。図2Aのような地形では、開水路が河川81を横断する際に、一度、地下に潜って河川を避けてから、再度、地上に戻る。図2Bの土中に潜っている部分の水路がサイホン部である。その形状から逆サイホンともいわれる。サイホンの両側は、自由水面を有し、水頭差によって流れが生じる。
本発明により検出する通水施設内の異常個所は、通水施設の機能を損なう欠陥であればよく、例えば、管路の通水施設内の内面、床、壁、天井に入ったひび割れ、破損や陥没により漏水している部位、ごみ等の堆積により一部閉塞している部位が挙げられる。本発明の検出方法は、特に漏水箇所の検出に有効である。
本発明の検出方法のフローを、図17に示す。本発明の検出方法は、異常検出箇所を測定するステップ(2)を必須とし、適宜、通水施設内にガイドを設置するステップ(1)、異常箇所を解析評価するステップ(3)及び(4)を含む。通水施設70には、ガイド10が設置されていないのが通常である。そこで、ステップ(2)の前段に、ガイドを設置するステップ(1)から説明する。
ステップ(1)は、通水施設70の上流側から、先導ケーブル54のついたフロート50を流れに沿って通水施設70内へ送り込み、通水施設70の下流側からフロート50を回収し、次いで、フロート50に接続した先導ケーブル54の上流側にガイド10を接続した後、先導ケーブル54を上流側から回収することにより先導ケーブル54をガイド10と交換することでガイド10を通水施設70内に設置することからなる。
フロート50は、サイホン呑口71より、サイホン内を水流に乗って先導ケーブル54を連行しながらサイホン吐口72まで流れ、吐口到達後には回収されるために浮き上がる機能をもった中空体である。フロート50は、プラスチック(ポリプロピレン等)や軽金属(アルミニウム等)でできている。
フロート50の形状は、図3Aのように、先端に突起部51を有するロケット型が好ましい。先端が突起していると、ゴミ等の障害物へ引っ掛かる可能性が低減される。中間の胴体部52は、バラストの機能で浮力の調節が行えるようになっている。フロートの後部53は、面積を突起部51よりも大きくすることで、後方からの水流を受けてフロート50が前進する推進力を生み、また、先端が自然と流水方向へ向く構造となる。
フロート50の大きさは、通水施設内を進入可能であれば特に制限がない。通常、1〜5Lの容積があればよい。
ガイド10をフロート50に直に接続すると、ガイド10が管路内を潜行する途中でゴミを巻き込み、絡み合うこともある。フロート50に接続した先導ケーブル54を通水施設70内に通してから、その先導ケーブル54をガイド10と交換する方が好ましい。
フロート50を接続する先導ケーブル54は、軽くかつ強度があり、しかも撚れないことが好ましい。このような材質には、ナイロン、フロロカーボン、ポリエチレン、金属等が挙げられる。
以下に、先導ケーブル54を接続したフロート50をサイホン70の上流側から投入し、サイホン内を通過させ、サイホンの下流側でフロート50を回収する具体的手順を説明する。
フロート50を図1のサイホン呑口71まで誘導する。サイホンの呑口71の手前及びトランシジョン(水槽部分)には、通常、空気連行を防止するためのシール高73が設定されている。その場合、地上(作業可能な地点)よりもシール高分を沈めて、フロート50を切り離す。
フロート50は、流水82に乗って流れてサイホン吐口72に到達した後に、回収されるために水に浮く比重としている。フロートを深く沈めて呑口へ到達させることが困難なことがある。現場の状況に応じて、以下の手段を使い分ける。
図4Aのように、サイホン呑口71の直上部が開放又は開放可能であり、シール高73が比較的浅い場合、長尺の治具60を用意する。治具60は、先端がサイホン呑口に届く長さを有し、フロート50を着脱自在に把持できる構造となっている。この治具60の先端にフロート50を取付ける。治具60の先端をサイホン呑口71の近くに誘導した後、図4Bに示すように、治具60からフロート50を切り離す。切り離されたフロート50は、水流82に乗って、サイホン70の管路内へ吸い込まれる。
図5Aのように、シール高73が比較的深い場合、サイホン呑口71が水面下深くなり、長尺の治具を用いてもフロート50を沈めることが難しい。その場合、フロート50に錘61を付け、錘の自重でフロートともに水中へ沈め、サイホン70の底部に達したら、図5Bのように、錘61を切り離す。切り離されたフロート50は、浮力で浮上する途中、サイホン呑口71内へ吸い込まれる。
フロート50を水流82に乗せることができれば、図6のように、フロート50とつながった先導ケーブル54を適度に送り出し、フロート50をサイホン吐口72へ到達させる。先導ケーブル54を送り出す際、フロート50が水流82によって運ばれていることを、フロート50が引かれる力具合で確認できる。管路内のゴミ等の障害物に引っ掛からないよう注意する。
フロート50は、サイホン吐口72を出たところで水面に浮上するので、図7に示すように、サイホン吐口側の地上から玉網でフロート50を回収する。
サイホン70内を渡した先導ケーブル54の上流側端にガイド10の先端を接続した後、サイホン吐口72側から先導ケーブルを巻取る一方で、サイホン呑口71側からはガイド10を送り出す。なお、先導ケーブル54の下流側端にガイド10の先端を接続し、サイホン呑口71側から先導ケーブルを巻取る一方で、サイホン吐口72側からはガイド10を送り出してもよい。こうして、先導ケーブル54とガイド10とを交換する。サイホン呑口側から吐口側へガイド10を通した後、ガイド10を適宜の手段で固定することで、ガイド10の架設を完了する。
ガイド10に異常検出手段20を取り付ければ、ガイド10を操作することにより、異常検出手段20に管路内を自由に行き来させることができる。
異常個所の検出手段(20、以下、異常検出手段という)は、前記異常個所の特徴に応じて適宜選択される。異常個所が漏水の場合、圧力、画像(映像を含む)、音波といった物理量、好ましくは圧力を測定する。異常検出手段の詳細は後述する。
ガイド10は、それに接続された異常検出手段20を通水施設70の上流から下流に向かって案内する機能を有する部材である。ガイド10は、異常検出手段20を接続するためのフック部11を備える。
ガイド10は、例えば、異常検出手段を担持するのに十分な太さと強度を有するロープでできている。ガイド10がロープであると、その設置が容易となり、また、異常検出手段20の接続されたロープを通水施設70の上流端及び下流端に設置されたロープ巻取り手段12がロープを巻き取ることで、異常検出手段20の流水方向の移動を容易に実施することができる。
次に、図17の異常箇所を計測させるステップ(2)の詳細を、図1、図8A、及び図8Bを用いて説明する。図1は、サイホン70に本発明の検出方法を適用する概略説明図である。図8Aは、ガイド10に設置した異常検出手段20と周辺機器40の配置を示し、図8Bは、その概略断面図である。
ステップ(2)は、通水施設70内に設置されたガイド10に接続された異常検出手段20を流水方向またはその逆方向に移動させながら、検出手段20に異常箇所Xを計測させることを含む。
異常検出手段20が異常箇所Xの検知のために計測する物理量には、圧力、画像・映像、音波がある。これらの物理量の特長を表1にまとめる。
※本表は低水圧条件下における効果を表す
○ 使用可能であり、効果有り
× 使用不可
物理量としての圧力は、漏水の噴出が激しいと圧力変動も大きくなり、その変動の検出は容易である。漏水の噴出が少なくて圧力変動が微弱でも、検出手段の選定(例えば光ファイバ圧力センサ)によっては、高精度に検出可能である。一方、枯水状態では、圧力変動がないため、後述の画像での検出が必要となる。
漏水の噴出量が大きい場合は噴出時の音量も大きいため、物理量としての音は、異常個所を高い確率で特定できる。一方、漏水の噴出量が少ないと、漏水音がほぼ無いため、音での漏水の特定は困難である。一方、枯水状態では、音漏れがないため、後述の画像での検出が必要となる。
物理量としての画像・映像の検出には、水中カメラと気中カメラが採用される。水中カメラは、流水・満水状態で使用可能であるが、認識は困難である。濁水状態では、認識不能に近い。一方、気中カメラは、流水・満水状態では使用できないが、枯水状態では使用可能である。それでも、画像・映像から漏水箇所を検出することは困難である。
以上をまとめると、圧力は、枯水状態での検出に向いていないが、通水施設が、通常、流水・満水状態にあることや、圧力検出手段の精度が高く他の物理量測定手段(カメラ等)よりも精緻なことから、圧力が総合的に有利である。
異常箇所を圧力で検出する手段には、光ファイバ圧力センサ、間隙水圧計がある。光ファイバ圧力センサ及び間隙水圧計の特長を表2にまとめる。
光ファイバ圧力センサは、光ファイバ端面にダイヤフラムの薄膜が形成されており、圧力によるダイヤフラムのたわみを光の干渉現象を用いて計測する。光ファイバ圧力センサは、微弱な圧力変化(例えば正常圧力の1%以下の変動)の検出が可能であり、そして光ファイバの導線には光ケーブルを使用するが、その信号減衰はほとんどない。また、電気や磁気による影響を受けない。光ファイバ圧力センサの光ケーブルの扱いは容易である。
間隙水圧計は、センサ部にフィルタが設置されており、受圧部には圧力のみがかかるようになっている。水圧によって変形した受圧部の変位量を差動トランスで測定する。間隙水圧計の導線にはメタル配線を使用するため、信号の減衰が大きく、その結果、途中に信号(検出波)の増幅装置とその電源が必要となる。間隙水圧計を数百メートル長のサイホンへ適用すると、ケーブルが重くてたるみ安く、その操作困難が予想される。また、増幅装置はそのサイズにより水流に与える影響が大きくなるため、圧力計測を阻害する。
光ファイバ圧力センサと間隙水圧計とで、送信方法が異なる。間隙水圧計は検出値の増幅が必要となるが、光ファイバセンサは、長距離を安定的に信号送信可能である。
光ファイバ圧力センサは、高価で折り曲げたりしない等の制約があるものの、長い管路内の漏水を検出する場合でも、信号(検出波)が減衰しない等の点で総合的に優れている。
異常検出手段20は、図1に示すように、一部に開口部を有する保護ケース21で保護されている。異常検出手段20には、センサ信号(計測データ)をサイホン呑口71側のデータ受信機40へ送るためのセンサケーブル23が接続されている。保護ケース21の下端のセンサ突出穴から光ファイバ圧力センサ部22が突出するようになっている。
図1及び8において、サイホンの呑口側及び吐口側から同時に、ガイド10(図8ではロープ)を操作する。サイホン呑口側の作業者83が巻取りリール12からガイド10を送り出し、一方、サイホン吐口側の作業者83が巻取りリール12でガイド10を巻取る。巻取りと送り出しの意志疎通は、トランシーバーのような通信機を用いて行えばよい。また、計測地点の管理は、上流側や下流側に設置した距離計30を用いて行うとよい。これにより、異常個所の存在と位置との関係を記録することができる。異常個所の再調査が必要になった場合でも、距離計をたよりに、検出手段を異常個所へ迅速に移動させることができる。
ステップ(2)でサイホン内の圧力変化を検知した場合、異常(漏水)個所Xの存在が推認される。図17のステップ(3)及び/又ステップ(4)で、異常(漏水)箇所Xをさらに詳細に判断することで検出精度を高める。計測した圧力データを解析して異常(漏水)位置を同定するステップ(3)及び/又(4)を、図9〜13を用いて説明する。
本発明の検出方法の計測データを解析するステップ(3)では、まず、図9のフロー1に示すように、測定した圧力データをFFT解析して、スペクトルデータを取得する。
FFTの理論は当業分野でも公知であるため、説明を省略する。FFT解析条件は、通水施設の種類や規模、流水状態、流動状態等に応じて適宜決められる。図9に示すように、生データをハイパスフィルタで処理してからFFT解析を行うと、FFTデータの分解能が向上する。
図9の統計処理は、漏水特性の定量データを得るために行われる。基本統計量には、平均、標準誤差、中央値、最頻値、標準偏差、分散、尖度、歪度、範囲、最小、最大、合計、標本数が含まれる。
FFT解析を行うと圧力の時系列データが周波数領域に変換される。得られたFFTデータを用いて、図10に示すフロー2に従って漏水箇所Xを同定する。後述する実施例1のモデル試験で、漏水のない通常の流水状態と漏水のある流水状態とでは、FFTデータのピーク周波数(相対振幅値が高くなる周波数)及びスペクトル形状に異動が生じることが判明した。したがって、サイホン呑口から吐口まで、区間毎に圧力変動を測定し、ピーク周波数が安定している領域のFFTデータ(参照)を取得しながら、ピーク周波数及びスペクトル形状が参照と異なる区間を捜索する。ピーク周波数及びスペクトル形状から管内の流動状態を同定する。
ステップ(4)では、フロー1で測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータを用いてプロビット解析及びクラスター解析することにより異常個所を検出する。すなわち、図9のフロー1で得られたFFTデータを用いてフロー3を行う。フロー3の詳細を図11に示す。
図12は、図11のフロー3のプロビット解析の詳細図である。プロビットとは、統計処理に用いられる関数の一種であり、正規分布累積関数の逆関数である。プロビット解析の理論は当業分野でも公知であるため、説明を省略する。
図12において、まず、統計処理により得られた定量データ・FFT解析より求められる定量データから、説明変数を選定する。プロビット解析条件表は、上述のデータ合わせ、経験則に基づいて作成したものである。次いで、各パラメータを説明変数として、プロビット解析を行う。解析の結果、有意性があると判断されるp値の得られたパラメータを有意パラメータとして選出する。
図13は、図11のフロー3のクラスター解析の詳細図である。クラスター解析とは、似ているものを集めて分類して、その中から意味のあるものを発見しようとするデータマイニングの一手法である。クラスター解析の理論は当業分野でも公知であるため、説明を省略する。
現場にて取得したFFTデータについて、プロビット解析で選定した有意パラメータを用いたクラスター解析を実施する。解析結果(樹形図)を「異常無し」と判断される場所(例えば呑口入口付近等の漏水漏れが無いと明らかに判断される個所)と対比することにより、計測結果の関係性(漏水箇所Xの有無)を判定する。
本発明の検出方法は、ステップ(3)とステップ(4)を両方行うことが、異常個所の特定の精度を上げる点で好ましい。その際、ステップ(3)と(4)の順序を問わず、また同時でもよい。
以下に、実施例を示すことにより、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
流水状態にある通水施設の漏水箇所Xの圧力変動を測定するモデル試験装置(図14)を作製した。モデル試験装置90はサイホンと漏水状態を模倣するために、中央部が下方に突出した透明アクリル製管路(断面は矩形)からなっている。モデル試験装置90は、流況、漏水箇所とセンサとの距離、漏水量のパラメータを変更できるようになっている。そのパラメータを表3に示す。
1)センサ位置:漏水箇所Xからの距離
2)固液二相流:流水中に土砂が混入している状態
3)気液二相流:流水中に気泡が混入している状態
4)疑似漏水量:漏水に起因する現象を捉えるため、人為的に発生させた漏水量
様々な計測条件の下でモデル試験装置から得られた圧力データをFFT解析して、圧力変動で異常個所(漏水箇所X)が同定できるかどうか検討した。流況が通常の流水状態で計測されたスペクトル図を、図15に示す。図15の左側が漏水の無い状態、そして右側が漏水のある状態である。両者を比較すると、漏水とともにスペクトルの変化が確認できる。すなわち、漏水の発生している場合、ピーク周波数が低周波数帯へ移行する。また、流況が固液二相流状態や気液二相流でも、漏水の発生している場合は、ピーク周波数が低周波数帯へ移行することが確認された。以上の結果より、測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータのピーク周波数とスペクトル形状から異常個所の検出と通水施設内の流動形態を同定することが可能であることが判明した。
次に、モデル実験で得たFFTデータをプロビット解析・クラスター解析処理した系統図を図16に示す。図中のケース名の測定条件を表4に示す。
図16Aは、止水時の樹形図(評価パラメータ:平均値及び標準誤差)、図16Bは固液二相流(標準砂投入秒数1秒)の樹形図(評価パラメータ:平均値及び標準誤差)である。止水時におけるクラスター解析では、平均値及び標準誤差おいて、漏水を有するケースが分類される傾向がある。流水時におけるクラスター解析では、漏水直近よりもその周辺において同様の傾向が確認された。評価パラメータである平均値や標準誤差は、試験機の水頭条件の影響を強く受けていることが示唆された。固液二相流では、呑口側での漏水の有無によるクラスターの分かれ方が観測される傾向にあった。以上の結果より、測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータを用いてプロビット解析及びクラスター解析することにより異常個所を検出することが可能であることが判明した。
10:ガイド(ロープ)
11:フック部
12:ロープ巻取り手段(巻取りリール)
20:異常検出手段(光ファイバ圧力センサ)
21:保護ケース
22:光ファイバ圧力センサ部
23:センサケーブル
30:距離計
40:周辺機器(データ受信機)
50:フロート
51:突起部
52:胴体部
53:後部
54:先導ケーブル
60:治具
61:錘
70:通水施設(サイホン)
71:サイホン呑口
72:サイホン吐口
73:シール高
80:圃場
81:河川
82:水流
83:作業者
90:モデル試験装置
X:異常(漏水)箇所

Claims (6)

  1. 地下に埋設された低水圧通水施設内の異常箇所を検出する方法であって、以下のステップ:
    (1)前記通水施設の上流側から、先導ケーブルのついたフロートを流れに沿って該通水施設内へ送り込み、通水施設の下流側から前記フロートを回収し、次いで、該フロートに接続した前記先導ケーブルの上流側端部にガイドを接続した後、該先導ケーブルを下流側から引き上げて回収する、あるいは該フロートに接続した前記先導ケーブルの下流側端部にガイドを接続した後、該先導ケーブルを上流側から引き上げて回収することにより先導ケーブルをガイドと交換することで前記通水施設内にガイドを設置する、及び
    (2)該通水施設内の流水方向に懸架されたガイドに接続された異常検出手段を流水方向又はその逆方向にガイドに沿って移動させながら、該異常検出手段に該異常箇所を計測させる
    を含む、前記検出方法。
  2. 前記通水施設が、サイホン又はパイプラインである、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記ガイドがロープからなる、請求項1又は2に記載の検出方法。
  4. 前記異常検出手段の移動を、前記通水施設の上流端及び下流端に設置されたロープ巻取り手段が該ロープを巻取り又は送出すことで行うことを特徴とする、請求項3に記載の検出方法。
  5. ステップ(2)の前記異常検出手段が、光ファイバ圧力センサである、請求項1〜のいずれかに記載の検出方法。
  6. ステップ(2)の後段に、以下のステップ:
    (3)測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータのピーク周波数とスペクトル形状から異常個所の検出と通水施設内の流動形態を同定する、
    及び/又は、
    (4)測定した圧力データをFFT解析し、得られたFFTデータを用いてプロビット解析及びクラスター解析することにより異常個所を検出する
    を含む、請求項5に記載の検出方法。
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