JP6741481B2 - 音響振動部材および音響装置 - Google Patents

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Description

本発明は、音響振動部材および音響装置に関する。
楽器や、音響機器等の音響装置には、振動することにより音を発生する音響振動部材が使用されている。
例えば、特許文献1(特開平8−110775号公報)には、チタン合金製の打楽器が記載されている。
特開平8−110775号公報
振動することにより音を発生する音響振動部材は、従来、金属やガラスが材料として使用されている。樹脂材料により構成された音響振動部材は、金属材料やガラス材料により構成された音響振動部材に比べて軽量、自由な形状に成形可能、割れにくい、着色が容易であるという利点を有する。しかし、樹脂材料により構成された音響振動部材は、金属やガラス材料により構成された音響振動部材のように純音が観察されず、音響特性が十分に満足できるものではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂材料により構成され、かつ、音響特性に優れた音響振動部材を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、音響振動部材の損失正接(tanδ)という尺度が、音響特性に優れた樹脂製の音響振動部材を実現するための設計指針として有効であるという知見を得た。
そして、本発明者らは上記知見を元にさらに鋭意検討した結果、樹脂製の音響振動部材の損失正接(tanδ)を特定値以下とすることにより、純音が観察され、きれいな音色を奏でる樹脂製の音響振動部材が得られることを見出して、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下に示す音響振動部材および音響装置が提供される。
[1]
樹脂材料により構成され、かつ、振動することにより音を発生する音響振動部材であって、
動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030以下である音響振動部材。
[2]
上記[1]に記載の音響振動部材において、
動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける貯蔵弾性率(G')が0.1GPa以上である音響振動部材。
[3]
上記[1]または[2]に記載の音響振動部材において、
動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失弾性率(G'')が50MPa以下である音響振動部材。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の音響振動部材において、
動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数0.1Hz以上1000Hz以下における損失正接(tanδ)が、周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲において、0.030以下である音響振動部材。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の音響振動部材において、
ASTM D792に準拠して測定される比重が2.0g/cm以下である音響振動部材。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の音響振動部材において、
上記樹脂材料が環状オレフィン系重合体を含む音響振動部材。
[7]
上記[6]に記載の音響振動部材において、
上記環状オレフィン系重合体がエチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体および環状オレフィンの開環重合体から選択される少なくとも一種を含む音響振動部材。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の音響振動部材を備える音響装置。
本発明によれば、樹脂材料により構成され、かつ、音響特性に優れた音響振動部材を提供することができる。
実施例1〜3における音響振動部材の25℃におけるマスターカーブを示す図である。 比較例1〜3における音響振動部材の25℃におけるマスターカーブを示す図である。 実施例1および比較例1〜2における音響振動部材のマイクロホン計測による音響特性を示す図である。 実施例4における音響振動部材のマイクロホン計測による音響特性を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
<音響振動部材>
本実施形態に係る音響振動部材は、樹脂材料により構成され、かつ、振動することにより音を発生する音響振動部材である。そして、本実施形態に係る音響振動部材は、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030以下であり、好ましくは0.020以下であり、さらに好ましくは0.015以下であることを特徴としている。
また、上記tanδの下限値は特に限定されないが、例えば、0.001以上である。
ここで、損失正接(tanδ)が低いほど、相対的により高い貯蔵弾性率を有するとともに、相対的により低い損失弾性率を有することを意味する。
一般的に、樹脂製の音響振動部材は、高い貯蔵弾性率を有するものが金属製の音響振動部材の特性に近づくため、音響特性に優れると考えられていた。
しかし、本発明者らの検討によれば、貯蔵弾性率が高い樹脂を用いただけでは良好な音響特性が得られないことを知見した。
そして、本発明者らは上記知見を元にさらに鋭意検討した。その結果、相対的により高い貯蔵弾性率を有するとともに、相対的により低い損失弾性率を有する音響振動部材、すなわちtanδが上記上限値以下である音響振動部材は、純音が観察され、きれいな音色を奏でることを見出した。
すなわち、tanδを上記上限値以下とすることにより、音響振動部材の音響特性を良好なものとすることができる。
このようなtanδを達成するためには、後述するように、樹脂材料について適切なものを選択することが重要となる。
また、本実施形態の音響振動部材において、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける貯蔵弾性率(G')が、好ましくは0.1GPa以上であり、より好ましくは0.5GPa以上、さらに好ましくは0.6GPa以上である。
本実施形態の音響振動部材は、貯蔵弾性率(G')が上記下限値以上であると、音響振動部材の剛性が高まり、より良好な音色を奏でることができる。
貯蔵弾性率(G')の上限値は特に限定されないが、例えば、100GPa以下である。
また、本実施形態の音響振動部材において、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失弾性率(G'')が、好ましくは50MPa以下であり、より好ましくは30MPa以下であり、さらに好ましくは20MPa以下である。
本実施形態の音響振動部材は、損失弾性率(G'')が上記上限値以下であると、より良好な音色を奏でることができる。
損失弾性率(G'')の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1MPa以上である。
また、本実施形態の音響振動部材は、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数0.1Hz以上1000Hz以下における損失正接(tanδ)が、周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲において、好ましくは0.030以下であり、より好ましくは0.020以下であり、さらに好ましくは0.015以下である。これにより、本実施形態の音響振動部材は、幅広い周波数で、より良好な音色を奏でることができる。
また、本実施形態の音響振動部材は、ASTM D792に準拠して測定される比重が2.0g/cm以下であることが好ましく、1.5g/cm以下であることがより好ましく、1.3g/cm以下であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の音響振動部材をより軽量にすることができる。
比重の下限値は特に限定されないが、例えば、0.8g/cm以上である。
(樹脂材料)
本実施形態に係る音響振動部材は樹脂材料により構成されている。
樹脂材料を構成する樹脂としては、上記した特定の損失正接を有する音響振動部材を実現できるものであれば特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系重合体、ポリスチレン、水素添加ポリスチレン等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より良好な音響特性を有する観点から、環状オレフィン系重合体が好ましい。
環状オレフィン系重合体としては、例えば、エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体および環状オレフィンの開環重合体から選択される少なくとも一種が挙げられる。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体としては、例えば、国際公開第2008/047468号パンフレットの段落0030〜0123に記載の重合体を用いることができる。
例えば、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体(以下、単に「脂環族構造を有する重合体」ともいう)であり、重合体の繰り返し単位の少なくとも一部に脂環族構造を有するものであればよく、具体的には下記式(1)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体を含むことが好ましい。
ここで、上記式(1)中、x、yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x、yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
は、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR(Rは、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
また、上記式(1)において、Rは、好ましくは、炭素原子数2〜12の炭化水素基から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、さらに好ましくはn=0の場合、下記式(2)で表される2価の基であり、最も好ましくは、下記式(2)において、pが0または1である2価の基である。Rの構造は1種のみ用いても、2種以上を併用しても構わない。
ここで、上記式(2)中、pは、0〜2の整数である。
また、エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体としては、下記式(3)で表現される環状オレフィン系共重合体である。例えば、エチレンまたは炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)とからなる。
ここで、上記式(3)中、Rは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
は、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
およびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x、yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x、yはモル基準である。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、エチレンおよび環状オレフィンからなる共重合体が好ましく、環状オレフィンがビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン、シクロペンタジエン−ベンザイン付加物およびシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物からなる群から選ばれる一種または二種以上であるものが好ましく、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンから選択される少なくとも一種であるものがより好ましい。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体としては、上記式(1)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体または上記式(3)で表現される環状オレフィン系共重合体が水素添加処理された重合体であってもよい。
また、環状オレフィン系重合体としては、環状オレフィンの開環重合体を用いることができる。
環状オレフィンの開環重合体としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体およびノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)およびその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)およびその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)およびその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(慣用名:テトラシクロドデセン)およびその誘導体、等が挙げられる。
これらの誘導体の環に置換される置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。なお、置換基は、1個または2個以上を有することができる。このような環に置換基を有する誘導体としては、例えば、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、またはノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒;等を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体等を挙げることができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物や、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体の水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
本実施形態において環状オレフィン系重合体は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂材料には、目的に応じて、各種添加剤を添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
上記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐放射線剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、摩擦磨耗性向上剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、耐衝撃剤、表面ぬれ改善剤、充填材、塩酸吸収剤および金属不活性化剤からなる群から選択される一種または二種以上の添加剤が挙げられる。
(音響振動部材の製造方法)
本実施形態に係る音響振動部材の製造方法としては特に限定はされないが、例えば、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形等)により、本実施形態に係る樹脂材料を所望の形状に成形することにより得る方法が挙げられる。
(用途および使用形態)
本実施形態に係る音響振動部材は、他部材との接触や振動エネルギーを与えることで音を生じさせるもので、楽器、音響機器等の音響装置に用いることができる。音響振動部材の形状としては、例えば、板状、シート状、棒状、中空管状、釣鐘状、お椀型、木魚状等が挙げられる。
楽器としては、例えば、風鈴、鈴、鐘、カスタネット、トライアングル、シンバルのように打楽器として用いることができ、また、複数の音響振動部材を用いて、例えば共振周波数の異なる板材を並べて木琴のように奏でることもできる。
本実施形態に係る音響振動部材は、原料の樹脂材料に顔料を配合して着色して用いることもできる。また射出成形等により、意匠性を有する形状に成形して用いることもできる。
<音響装置>
本実施形態に係る音響振動部材は、樹脂材料により構成され、かつ、音響特性に優れていることから、音響装置に好適に用いることができる。
音響装置としては、例えば、楽器、音響機器等が挙げられ、特に風鈴、鈴、鐘、カスタネット、トライアングル、シンバル、樹脂製の木琴等の打楽器として好適である。
このような音響装置は、例えば、公知の情報に基づいて作製することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
射出成形機により、樹脂1:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル5014CL、三井化学社製)を用いて表1に示すサイズの試験片(音響振動部材)をそれぞれ作製した。
次いで、無響室内で2本の糸状の梁に試験片を乗せ、木製のばちで試験片を叩き、その時の打撃音をブリュエル・ケアー社製Type4961マイクロホンで計測した。
得られた音響振動部材の音響特性は、以下の基準で評価した。
〇:特定周波数で純音が観察された
×:純音が観察されなかった
得られた結果を表1に示す。なお、純音が観察された場合は、観察された周波数も表1に示す。また、実施例1における音響振動部材のマイクロホン計測による音響特性の結果を図3(a)に示す。
また、得られた音響振動部材は以下の物性評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。また、実施例1における音響振動部材の25℃におけるマスターカーブを図1(a)に示す。
[動的固体粘弾性測定]
射出成形機により、樹脂1:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル5014CL、三井化学社製)を用いて以下のサイズを有する試験片を作製した。
粘弾性測定装置ARES(TA Instrumens JAPAN Inc.社製)を用いて、下記測定条件で音響振動部材の温度を変えながら、得られた試験片の固体粘弾性の周波数依存性を測定した。当該測定で得られた、貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G'')との比(G''/G':損失正接)をtanδとした。粘弾性測定装置の解析ソフトにより、時間−温度換算則に基づき、25℃におけるマスターカーブを作成した。
(測定条件)
試験片有効サイズ:20mm×10mm×1mm厚
温度:−45、−35、−25、−15、−5、5、15、25℃
周波数:0.01〜10Hz
歪み:0.5%
得られたマスターカーブから、25℃、周波数100Hzにおける貯蔵弾性率(G')、損失弾性率(G'')および損失正接(tanδ)を算出した。
また、得られたマスターカーブから、周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲における損失正接(tanδ)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲において、損失正接(tanδ)が0.001以上0.020以下の範囲内にあるもの
〇:周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲において、損失正接(tanδ)が0.020を超えて0.030以下の範囲内にあるもの
×:周波数0.1Hz以上1000Hz以下の範囲において、損失正接(tanδ)が0.030を超える部分があるもの
[比重]
ASTM D792に準拠して、音響振動部材の比重を測定した。
[実施例2〜3および比較例1〜3]
使用する樹脂を表1に示す樹脂にそれぞれ変更し、試験片のサイズを表1に示すサイズにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に試験片(音響振動部材)をそれぞれ作製し、音響特性の評価および各物性評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。また、実施例2および3における音響振動部材の25℃におけるマスターカーブを図1(b)および(c)にそれぞれ示す。また、比較例1、2および3における音響振動部材の25℃におけるマスターカーブを図2(a)、(b)および(c)にそれぞれ示す。また、比較例1および2における音響振動部材のマイクロホン計測による音響特性の結果を図3(b)に示す。
[実施例4]
樹脂2:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル6509T、三井化学社製)を用いて、高さ:約21cm、肉厚:5〜10mm、外径:最大部で約16cmの釣鐘形状に回転成形にて成形し、釣鐘形状の音響振動部材を作製した。得られた音響振動部材の音響特性の評価を実施例1と同様にしておこなった。
実施例4における音響振動部材のマイクロホン計測による音響特性の結果を図4に示す。
ここで、実施例および比較例で用いた樹脂は以下のとおりである。
樹脂1:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル5014CL、三井化学社製)
樹脂2:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル6509T、三井化学社製)
樹脂3:エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとからなる共重合体(製品名:アペル6015T、三井化学社製)
樹脂4:ポリメチルペンテン(製品名:TPX RT−18、三井化学社製)
樹脂5:ポリメチルペンテン(製品名:TPX MX、三井化学社製)
樹脂6:ホモポリプロピレン(製品名:プライムポリプロ E−2000GP、プライムポリマー社製)
動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030以下である実施例1〜3の音響振動部材は、マイクロホンにより、卓越した純音が観測された。また、官能評価により、このような音響振動部材の打撃音はよく響き、金属ライクで澄んだ音であることが確認できた。
また、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030以下である実施例4における釣鐘形状の音響振動部材も打撃音はよく響き、金属ライクで澄んだ音であることが確認できた。
これに対し、動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030を超える比較例の音響振動部材は、マイクロホンにより、純音が観測されなかった。また、官能評価により、このような音響振動部材の打撃音は響かず、プラスチック特有の鈍い音であることが確認できた。
以上から、本実施形態によれば、樹脂材料により構成され、かつ、音響特性に優れた音響振動部材を提供できることが理解できる。

Claims (7)

  1. 樹脂材料により構成され、かつ、振動することにより音を発生する音響振動部材であって、
    動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失正接(tanδ)が0.030以下であり、
    前記樹脂材料が環状オレフィン系重合体を含む音響振動部材。
  2. 請求項1に記載の音響振動部材において、
    動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける貯蔵弾性率(G')が0.1GPa以上である音響振動部材。
  3. 請求項1または2に記載の音響振動部材において、
    動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数100Hzにおける損失弾性率(G'')が50MPa以下である音響振動部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の音響振動部材において、
    動的固体粘弾性により求められる25℃、周波数0.1Hz以上1000Hz以下における損失正接(tanδ)が、周波数0.1Hz以上1000Hz以下の全範囲において、0.030以下である音響振動部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の音響振動部材において、
    ASTM D792に準拠して測定される比重が2.0g/cm以下である音響振動部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音響振動部材において、
    前記環状オレフィン系重合体がエチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体および環状オレフィンの開環重合体から選択される少なくとも一種を含む音響振動部材。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の音響振動部材を備える音響装置。
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