JP6741422B2 - 円筒形電池の製造方法 - Google Patents
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Description
前記円筒形電池は、
上下方向に棒状に延長する胴部の上端に円板状の頭部が形成されてなる集電子を備え、当該集電子の前記胴部の上端側が前記ボス部の中央に形成されている挿通孔に圧入され、前記頭部の上面が前記電極端子板の下面に取り付けられ、
前記ボス部の上面には、前記挿通孔に対して同軸となるように拡径して上方に開口する凹部が形成され、
前記凹部は、前記ボス部の上面と前記集電子の前記頭部の下面とによって閉鎖されておらず、
シール剤が当該凹部の内方を満たしており、
前記製造方法は、
前記集電子の頭部より下方に前記シール剤を塗布するシール剤塗布ステップと、
前記電極端子板に溶接された状態の前記集電子を前記ボス部に対して上方から圧入するステップと、
を含み、
前記シール剤塗布ステップでは、長手方向に移動するベルトの表面に前記シール剤を塗布しておき、当該ベルトの前記表面に前記集電子の胴部を押しつけ、
前記圧入ステップでは、前記集電子に塗布されたシール剤を前記ボス部の前記挿通孔の上方縁端にてかき落とさせるとともに、当該かき落としたシール剤で前記凹部の内方を満たさせる、
ことを特徴とする円筒形電池の製造方法としている。
本発明の実施例に係る円筒形電池としてアルカリ電池を挙げる。本実施例に係るアルカリ電池の基本構成は先に図1に示した一般的なアルカリ電池1と同様であるが、ガスケットの構造に特徴を有して、ボス孔の内面と負極集電子の胴部外周面との界面における電解液のクリープ現象に起因する漏液を防止することができるようになっている。
このように本実施例に係るアルカリ電池1aでは、ガスケット8aのボス部83aの上面87にボス孔82と同軸となる凹部88が形成され、ボス孔82に対して同軸に挿通されている負極集電子6も凹部88と同軸となるように上下方向に延長するように配置されている。そのため凹部88にシール剤20を充填すると、ボス孔82から電池外部に至る経路がシール剤20によって確実に遮断される。したがってボス孔82の内面86と負極集電子6の外周面64との界面から電解液が這い上がってきても確実に漏液を防止することができる。またシール剤20が偏在しないため、シール剤20の使用量も必要最小限でよい。すなわちシール剤20に掛かる部材コストを抑制することができる。
つぎに図4に示したアルカリ電池1aの製造手順としては、シール剤20が塗布されていない負極集電子6の胴部61をボス孔82に圧入しつつ凹部88にシール剤20を充填していく手順も考えられるが、ここでは、より簡素な手順で確実にシール剤20を所定の領域に介在させる手順について説明する。図5は当該製造手順の一例を示す図であり、図5(A)〜図5(F)に製造手順の流れを示した。なお図5でも上下方向を図4に示したアルカリ電池1aにおける円筒軸100によって規定している。まず図4(A)に示したように、負極端子6の頭部61の上面63を負極端子板7の下面71にスポット溶接した上で負極集電子6の胴部62にシール剤20を塗布する。ここに示した例では図5(B)に示したように矢印方向に移動するベルト40の表面にシール剤20を塗布しておき、このベルト40に負極集電子6の胴部62を押しつける。なお図5(B)では負極集電子とベルトとの位置関係が把握し易いように負極集電子の頭部に溶接されている負極端子板を省略している。それによって図5(C)に示したように、負極集電子6における胴部62の外周面64において、ベルト40に押しつけられた側の面にシール剤20が塗布される。つぎに図5(D)に示したように負極集電子6をガスケット8aのボス孔82に上方から挿入していく。このとき負極集電子6の胴部62がボス孔82に圧入されるため、胴部62に塗布されているシール剤20がボス孔82の上方縁端に当接してそぎ落とされる。シール剤20は胴部62の全周にわたって塗布されていないので、シール剤20は軸100に対して非対称となるようにかき落とされる。しかしながらボス部83aの上面87には凹部88が形成されているため、図5(E)に示したように、シール剤20が凹部88内で流動して凹部88の内方に充填されていき、負極集電子6の周囲に均一に配置される。負極集電子6をさらに圧入していくと、図5(F)に示したように凹部88の内方にシール剤20が満たされ、最終的な封口体(図4参照)に組み立てられる。そしてこのようにして組み立てられた封口体は発電要素が収納された電池缶の開口に嵌着されて、アルカリ電池が完成する。
本発明の実施例にかかる円筒形電池の耐漏液性能を確認するために、図4に示した手順で作製したLR6型アルカリ電池と、図2に示した従来の構造のガスケットを用いて同様の手順で作成したLR6型アルカリ電池を、それぞれサンプルAとサンプルBとして作製した。また各サンプルについて50個の個体を作成した。そして全個体に対して60℃90%の高温高湿度環境下で100日間保存する耐漏液試験を行い、試験後の各個体における漏液状態を目視により確認した。なおサンプルAとBはガスケットの構造以外は全く同じ構成や構造を有し、製造手順も全く同じである。
ボス部の上端面に形成する凹部の幅や深さは、円筒形電池やボス部自体のサイズに応じて適宜に変更すればよい。例えばボス部には負極集電子を立設させたた状態で保持する機能も担っている。そして凹部の深さが深すぎるとその機能が阻害される可能性があるものの、当該凹部の深さは設計事項であり、ボス部の長さやボス孔の内径と負極集電子の外径との差などに応じて上記機能を阻害しない高さに設定しておけばよい。幅については、上述した電解液の這い上がりに起因する漏液の経路にシール剤を介在させることができれば適宜に設定してよい。例えば負極集電子の頭部の下面がボス部の上端面以下の位置となるように円筒形電池が設計されているのであれば、凹部の内径を頭部の外径より大きくしておけばよい。もちろん凹部の内径が頭部の外径よりも小さくてもボス部の上端面と頭部の下面とを離間させれば上記漏液経路を閉鎖するようにシール剤を介在させることができる。いずれにしてもシール剤を負極集電子に塗布する際には、その塗布量を上記凹部を満たすのに十分な量とすればよい。また凹部の平面形状を円形とせず、正多角形などとすることもできる。いずれにしてもボス孔に対して同心状で、シール剤を最終的に負極集電子の胴部の周縁を覆う形状に介在させることができればよい。
4 セパレーター、5 負極ゲル、6 負極集電子、7 負極端子板、
8,8a 封口ガスケット、9 正極端子、20 シール剤、61 負極集電子の頭部、
62 負極集電子の胴部、63 負極集電子の頭部上面、
64 負極集電子の胴部外周面、71 負極端子板の下面、72 負極端子板の排気孔、82 ボス孔、83,83a ボス部、84 ガスケットの隔壁部、
86 ボス孔の内面、87 ボス部の上面、88 凹部
Claims (1)
- 下方を底部とした有底円筒状の電池缶内に電解液が充填されているとともに、前記電池缶の開口に電極端子板が樹脂製円盤状で中央に上下方向を軸とした中空円筒状のボス部が形成されてなる封口ガスケットを介して嵌着されてなる円筒形電池の製造方法であって、
前記円筒形電池は、
上下方向に棒状に延長する胴部の上端に円板状の頭部が形成されてなる集電子を備え、当該集電子の前記胴部の上端側が前記ボス部の中央に形成されている挿通孔に圧入され、前記頭部の上面が前記電極端子板の下面に取り付けられ、
前記ボス部の上面には、前記挿通孔に対して同軸となるように拡径して上方に開口する凹部が形成され、
前記凹部は、前記ボス部の上面と前記集電子の前記頭部の下面とによって閉鎖されておらず、
シール剤が当該凹部の内方を満たしており、
前記製造方法は、
前記集電子の頭部より下方に前記シール剤を塗布するシール剤塗布ステップと、
前記電極端子板に溶接された状態の前記集電子を前記ボス部に対して上方から圧入する圧入ステップと、
を含み、
前記シール剤塗布ステップでは、長手方向に移動するベルトの表面に前記シール剤を塗布しておき、当該ベルトの前記表面に前記集電子の胴部を押しつけ、
前記圧入ステップでは、前記集電子に塗布されたシール剤を前記ボス部の前記挿通孔の上方縁端にてかき落とさせるとともに、当該かき落としたシール剤で前記凹部の内方を満たさせる、
ことを特徴とする円筒形電池の製造方法。
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