実施の形態1.
実施の形態1の変位計10の設定値調整システムについて図1から図16を用いて説明する。
本発明の実施の形態1の変位計10の設定値調整システムは、FA(Factory Automation)分野の設備を構成するものである。変位計10の設定値調整システムは、図1に示すように、レーザ変位センサ等の変位計10と、制御装置としてのPLC(Programmable Logic Controller)20と、設定値調整装置としてのPC(Personal Computer)30を含む。変位計10は、三角測量の原理を応用して測定対象物1までの距離又は測定対象物1の変位量を示す測定値を測定する光学式変位計である。
変位計10は、駆動回路2、光源としてのレーザダイオード3、投光レンズ4、受光レンズ5、受光部としての1次元のイメージセンサ6、読出回路7を含む。
駆動回路2は、レーザダイオード3を駆動する回路である。レーザダイオード3は、投光レンズ4を通して測定対象物1にレーザ光を照射する。1次元のイメージセンサ6は、列状に複数の画素に対応する受光素子を有する。そして、測定対象物1からの反射光が受光レンズ5を通して受光素子に入射することで電荷が蓄積される。1次元のイメージセンサ6は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサが挙げられる。読出回路7は、イメージセンサ6の各画素に対応する受光素子の受光量及び受光した受光素子の位置に応じた受光信号を読み出す回路である。
イメージセンサ6では、測定対象物1の相対変位及び受光量に応じて、イメージセンサ6の受光面を構成する各受光素子に電荷が蓄積される。そして、読出回路7は、各受光素子の電荷を走査方向Xにおいて、イメージセンサ6の一端の受光素子から他端の受光素子までそれぞれの受光量を示す受光信号として読み出す。
図2に示すように、変位計10に対して測定対象物1が実線で示した位置から破線で示した位置へ変位すると、測定対象物1の反射面の位置も同様に変位する。それに伴い、測定対象物1の反射面の位置が変化するため、イメージセンサ6において測定対象物1からの反射光が入射したイメージセンサ6中の受光素子に対応する画素の位置が変化し、画素毎に受光量に応じた電荷が蓄積され、受光信号として読み出される。
より具体的に説明するため、変位計10の測定可能範囲と変位出力との関係について図3を参照しながら説明する。変位計10は、一般的に、測定中心距離が定められている。測定中心距離とは、変位計10を構成している光学系の構成要素であるレーザダイオード3と投光レンズ4の配置により定められ、変位計10の測定基準として用いられる絶対基準距離である。具体的には、測定中心距離は、変位計10の投光レンズ4から出射したレーザ光のスポット径が最小となる距離、つまり投光レンズ4の焦点距離である。測定中心距離を中央値とした変位計10の測定可能範囲についても、変位計10を構成している光学系の構成要素であるレーザダイオード3、投光レンズ4、受光レンズ5及びイメージセンサ6の配置により予め定められている。測定中心距離と測定可能範囲が、光学系の構成要素で定まる理由は、レーザダイオード3、投光レンズ4、受光レンズ5及びイメージセンサ6の配置位置が、変位計10の内部に固定されており、測定中心距離と測定可能範囲を調整することが一般的にはできないからである。投光レンズ4の投光軸と受光レンズ5の受光軸の交点に測定中心距離が位置する状態では、投光軸と受光軸との間の角度も一定である。
測定中心距離に測定対象物1の反射面が位置する場合、走査方向Xにおけるイメージセンサ6の受光面の一端から他端の間の中央付近に位置する受光素子に反射光が入射する。その場合、読出回路7は、変位出力として0Vの電圧を出力する。これは、測定対象物1の反射面の位置が測定中心距離と一致する、つまり、測定中心距離からの変位量が0mmであることを示す。また、測定対象物1の反射面が、変位計10に対して測定中心距離よりも遠くなった場合は、走査方向Xにおけるイメージセンサ6の受光面の一端側に位置する受光素子に反射光が入射する。例えば、測定対象物1の反射面が、測定可能範囲の下限値の位置に位置する場合、読出回路7は、変位出力として−5Vの電圧を出力する。これは、測定対象物1の反射面の測定中心距離からの変位量が−15mmであることを示す。また、測定対象物1の反射面が、変位計10に対して測定中心距離よりも近くなった場合は、走査方向Xにおけるイメージセンサ6の受光面の他端側に位置する受光素子に反射光が入射する。例えば、測定対象物1の反射面が、測定可能範囲の上限値の位置に位置する場合、読出回路7は、変位出力として+5Vの電圧を出力する。これは、測定対象物1の反射面の測定中心距離からの変位量が+15mmであることを示す。測定可能範囲内では、変位出力である電圧値が増加すると、それに対応して変位量は直線的に増加する。なお、上述の電圧値及び変位量は、一例であり、これに限定されない。
PLC20は、図1に示すように、第1通信I/F(Interface)部21、第1制御部22、第1記憶部23を含む。第1通信I/F部21は、PLC20に接続された外部機器からの信号を受信し、PLC20からの信号をPLC20に接続された外部機器に送信する。第1通信I/F部21は、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog−to−Digital)変換回路を含むとともに、第1通信I/F部21から外部機器に送信すべき信号がアナログ信号である場合、デジタル信号からアナログ信号に変換して外部機器へ送信するために、D/A(Digital−to−Analog)変換回路を含む。また、第1通信I/F部21は、PLC20と外部機器とがデジタル信号で信号の送受信を行う場合には、A/D変換回路及びD/A変換回路を介さずに信号の送受信をするように構成されている。なお、第1制御部22と第1記憶部23の詳細は後述する。なお、PLC20に接続可能な物性検出部40及び温度センサ50については、実施の形態2以降で使用されるため、実施の形態1では説明を省略する。
変位計10の設定値調整装置としてのPC30は、表示装置31、入力装置32、第2通信I/F部33、第2制御部34及び第2記憶部35を含む。表示装置31は、例えば、変位計10の測定値を表示する表示画面等を表示する。表示装置31は、液晶表示装置であるが、これに限定されない。入力装置32は、例えば、ユーザによる操作によって入力を受け付けるマウス及びキーボード等であるが、これに限定されない。第2通信I/F部33は、PLC20の第1通信I/F部21に接続されることで、PLC20とPC30との間で信号を送受信する。なお、第2制御部34と第2記憶部35の詳細は後述する。
次に、実施の形態1の変位計10の設定値調整システムを構成するPLC20とPC30の詳細を示す機能ブロックについて、図4を参照しながら説明する。
PLC20の第1記憶部23は、制御プログラム231と、測定対象物1を測定する際に使用する設定値である使用設定値としての各種使用設定値Yyが格納される格納領域として使用設定値格納領域232と、を含む。制御プログラム231は、PC30に導入されたエンジニアリングツールを用いてユーザによって作成されたものであり、PLC20に接続された被制御機器である変位計10を制御するためのプログラムである。実施の形態1において、第1記憶部23は、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)の不揮発性記憶装置、並びに、作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であるが、第1記憶部23はフラッシュメモリ、SSD又はHDD、並びに、RAMに限定されない。なお、第1記憶部23の不揮発性記憶装置は、PLC20に接続可能な外部記憶装置であってもよい。
第1制御部22は、第1記憶部23に記憶された制御プログラム231を読み出して、読み出された制御プログラム231に従って、変位計10、PC30等の外部機器から第1通信I/F部21を介して受信した信号を処理して、変位計10からの受光信号に基づく測定値及び受光量を第1通信I/F部21を介してPC30に出力する。また、第1制御部22は、PC30から受信した使用設定値Yyを第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納する。また、第1制御部22は、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納された使用設定値Yyを読み出して、使用設定値格納領域232に格納された使用設定値Yyに従って制御プログラム231を実行し、変位計10を制御する。なお、第1制御部22の機能は、プロセッサにより実現される。
PC30の第2記憶部35は、変位計10で測定対象物1を測定する際の測定条件を規定するとともに、属性毎に分けられた複数の設定値である全設定値351と、ユーザによって決められる目標測定値352と、を記憶し、入力装置32がユーザによって操作されることにより入力されたユーザ条件が格納されるユーザ条件格納領域354と、測定対象物1を測定する際に使用する設定値である使用設定値Yyを格納する格納領域である使用設定値格納領域355と、測定値を正しく測定できる可能性の高い最適化された設定値Xxである最適化設定値X_optを格納する格納領域である最適化設定値格納領域356と、を有する。実施の形態1において、第2記憶部35は、フラッシュメモリ、SSD又はHDD、並びに、作業領域として使用されるRAMであるが、第2記憶部35はフラッシュメモリ、SSD又はHDD、並びに、RAMに限定されない。なお、目標受光量353は、実施の形態2以降で使用されるため、実施の形態1では説明を省略する。
第2制御部34は、取得部341、設定部342、判定部343、変更部344、更新部345、表示制御部346及び閾値設定部347を含む。第2制御部34の取得部341、設定部342、判定部343、変更部344、更新部345、表示制御部346及び閾値補正部347の機能はプロセッサにより実現される。なお、閾値補正部347は、実施の形態2以降で使用されるため、実施の形態1では説明を省略する。
取得部341は、PLC20から変位計10の測定値(及び受光量)を第2通信I/F部33を介して取得し、また、入力装置32からのユーザ操作による入力を取得する。設定部342は、第2記憶部35の全設定値351の中から属性毎に各一つずつ設定値Xxを読み出して使用設定値格納領域355に記憶させることで、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyを設定する。判定部343は、設定部342によって設定された使用設定値Yyを用いて測定対象物1を測定した際に取得部341によって取得された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か判定する。
変更部344は、測定対象物1の基準ワークを測定する際に使用する使用設定値Yyを前回の使用設定値Yyから変更する。具体的には、変更部344は、前回の使用設定値Yyに対応した設定値Xxとは異なる設定値Xx+1を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出して、新たに読み出した設定値Xx+1を使用設定値格納領域355に新たな使用設定値Yyとして記憶する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された新たな使用設定値YyをPLC20に送信し、PLC20の第1制御部22は第1記憶部23の使用設定値格納領域232に新たな使用設定値Yyを記憶させる。
更新部345は、変更部344によって変更される前の前回の使用設定値Yy(第1使用設定値)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の新しい使用設定値Yy(第2使用設定値)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に用いられる使用設定値Yyとして保持する。具体的には、更新部345は、使用設定値格納領域355に格納されている前回の使用設定値Yyと新しい使用設定値Yyのうち、目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを最適化設定値格納領域356に保持する。また、更新部345は、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納されている前回の使用設定値Yyと新しい使用設定値Yyのうち、使用設定値Yyとして最適化設定値格納領域356に保持されている使用設定値Yyを保持させる。
表示制御部346は、取得部341が取得した測定値、又は、ユーザ操作による入力装置32からの入力等に基づいて、例えば、変位計10の測定値を表示する表示画面等を表示装置31に表示させる。
次に、PC30の第2記憶部35に記憶されている全設定値351について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、設定値Xxは、投光量、測定モード、フィルタ、移動平均回数、サンプリング周期、カットオフ周波数、屈折率、測定レシピ等のように属性毎に分かれており、それぞれの属性毎に複数の設定値Xxが含まれる。以下では、各属性の設定値を纏めてXxということがある。また、設定値Xxを属性毎に区別するために、大文字X部分を属性毎に異ならせ、投光量の設定値はIx、測定モードの設定値はJx、フィルタ種類の設定値はKx、移動平均回数の設定値はLx、サンプリング周期の設定値はMx、カットオフ周波数の設定値はNx、屈折率の設定値はOx、測定レシピの設定値はPxと区別して説明することがある。また、各属性に含まれている設定値は、初期値が1とされる、つまり、小文字x部分が1から始まる連番となっている。例えば、フィルタ種類の設定値Kxは、初期値である移動平均回数の設定値がK1、ローパスフィルタの設定値がK2及びハイパスフィルタの設定値がK3のように以下では説明されることがあり、フィルタ種類以外の属性の各設定値Ix、Jx、Lx、Mx、Nx、Ox、Pxについても同様である。なお、測定レシピについては、実施の形態2以降で使用されるため、実施の形態1では説明を省略する。なお、使用設定値Yyは、設定値351の中から属性毎に各一つずつ選ばれた設定値Xxであり、事前調整の際にPC20の使用設定値格納領域355及び適化設定値格納領域356に格納され、最終的にはPLC20の使用設定値格納領域232に格納されることで、変位計10が測定対象物1を測定する際に使用する設定値Xxである。但し、測定レシピの設定値Pxの場合は、PLC20の使用設定値格納領域232に格納されないが、この点については実施の形態2以降にて詳述する。
投光量の設定値Ixは、レーザダイオード3からのレーザ光の投光量に関する設定値であり、0.01から100%までの複数の設定値I1,I2,I3・・・が含まれる。0.01%は投光量の下限設定値であり、100%が投光量の上限設定値である。
測定モードの設定値Jxは、イメージセンサ6からの受光信号に基づいて各画素に対応する受光素子の受光量を波形として表示した際の受光量波形から波形のピーク位置を精度よく取得するための測定アルゴリズムに関する設定値であり、測定対象物1の表面物性に応じて、測定対象物1の種類毎に適切な測定モードの設定値J1,J2,J3・・・が予め準備されている。複数の測定モードの設定値Jxの例としては、標準的な表面物性を持つ測定対象物1に適した測定アルゴリズムが設定されている拡散反射モード、測定対象物1が鏡面体又は透明体である場合に適した測定アルゴリズムが設定されている正反射モード、測定対象物1が金属である場合に適した測定アルゴリズムが設定されている金属モード、測定対象物1が半透明体である場合に適した測定アルゴリズムが設定されている半透明体モード、測定対象物1が透明体の中でも特にガラスである場合に適した測定アルゴリズムが設定されているガラスモード、測定対象物1がガラスの中に金属線が埋め込まれているパターン付ガラスである場合に適した測定アルゴリズムであるパターン付ガラスモード等が挙げられる。これら、測定アルゴリズムとしてはどの様なものを用いてもよいが、例えば、特開2006−38571号公報に記載されているように測定対象物1に合わせて重心計算ラインを変更する等の公知のアルゴリズムを使用することができる。
フィルタ種類の設定値Kxは、測定値をフィルタリング処理するためのフィルタ種類に関する設定値K1,K2,K3・・・である。複数のフィルタ種類の設定値Kxには、例えば、移動平均法により測定値をフィルタリング処理する移動平均フィルタの設定値K1、受光量波形についてカットオフ周波数よりも高い周波数を逓減させるローパスフィルタの設定値K2、受光量波形についてカットオフ周波数よりも低い周波数を逓減させるハイパスフィルタの設定値K3等が含まれる。なお、フィルタ種類の設定値Kxには、カットオフ周波数に関連するフィルタ種類としてローパスフィルタ及びハイパスフィルタの両方が含まれているが、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの少なくとも1つを含むようにしてもよい。
移動平均回数の設定値Lxは、フィルタ種類の設定値Lxとして移動平均フィルタの設定値K1が設定された場合に、追加で設定されるものであり、移動平均回数が1回から65536回までの間の複数の設定値L1,L2,L3・・・を含む。
サンプリング周期の設定値Mxは、イメージセンサ6の各画素に対応する受光素子から受光量を示す受光信号を読取回路7が読み出す周期の設定値であり、例えば、10μsから2msまでの間の複数の設定値M1,M2,M3・・・を含む。なお、サンプリング周期が長くなるほど画素に対応する受光素子に反射光が入射する時間が長くなるため、サンプリング周期は露光時間とも言える。
カットオフ周波数の設定値Nxは、フィルタ種類の設定値Kxとしてローパスフィルタ又はハイパスフィルタが設定された場合に、追加で設定されるものであり、カットオフ周波数が1Hzから2000Hzまでの複数の設定値N1,N2,N3・・・を含む。
屈折率の設定値Oxは、測定対象値が透明体の厚みである場合に、追加で設定されるものであり、屈折率が0.5000から2.0000までの複数の設定値O1,O2,O3・・・を含む。
続いて、測定対象物1を測定して実際に検査を始める前に必要となる基準ワークを用いた使用設定値の事前調整について、図6から図19を参照しながら説明する。基準ワークは、検査対象物となる測定対象物1の良品を用いる。
まず、図6の調整手順に示すように、ステップS1にて、入力装置32がユーザによって操作されることにより測定対象物1の測定対象値が選択される。具体的には、PC30の表示装置31に表示された図7に示す測定対象値選択画面70において、ユーザによって入力装置32が操作されることにより測定対象値選択枠701にて測定対象値が選択され、その後、設定ボタン702が操作されることで、取得部341は、ユーザ操作により選択された測定対象値を取得する。そして、取得部341は、選択された測定対象値を第2記憶部35のユーザ条件格納領域354に格納する。そして、ステップS2に進む。なお、図7の例では、測定対象値として測定対象物1の表面の変位量が選択されたことを示している。
次に、ステップS2では、図8に示すように、表示制御装置346は、基準ワークの設置を促す基準ワーク設置通知画面71を表示装置31に表示する。基準ワーク設置通知画面71の表示内容に従って、基準ワークが鏡面体又は透明体でなければ、測定対象物1の表面での光の反射の仕方が拡散反射光となる設置方法である拡散反射設置がユーザによって行われる。拡散反射設置とは、変位計10の投光軸と測定対象物1の表面の成す角度を90°とし、測定中心距離の位置に基準ワークの表面が位置するように、基準ワークと変位計10とを設置することである。また、基準ワークが鏡面体又は透明体である場合、測定対象物1の表面での光の反射の仕方が正反射光となる設置方法である正反射設置がユーザによって行われる。正反射設置とは、測定中心距離に測定対象物1を設置した際に入射光の入射角と反射光の反射角が等しくなる位置に、基準ワークと変位計10とを設置することである。基準ワークと変位計10とが上述のように設置され、入力装置32がユーザによって操作されることで次のステップに進むためのボタン710に対するユーザ操作を取得部341が受け付けると、ステップS3に進む。
次に、ステップS3では、図9に示すように、表示制御装置346は、判定閾値設定画面72を表示装置31に表示する。判定閾値設定画面72において、入力装置32がユーザによって操作されることにより、上限閾値の入力枠720と下限閾値の入力枠721に、上限閾値と下限閾値とが入力される。判定閾値は、測定対象物1の表面の変位量が測定中心距離からどの程度相対的にずれた場合に、不良品と判定するかに用いるものである。図9の例では、上限閾値として+1.000000mm、下限閾値として−1.000000mmが入力されている。測定対象物1の検査の段階では、測定値が、上限閾値と下限閾値の範囲内であれば、測定対象物1は良品であり、上限閾値と下限閾値の範囲外であれば、測定対象物1は不良品と判断される。次のステップに進むためにボタン722に対するユーザ操作を取得部341が受け付けると、判定閾値の範囲は目標測定値352として第2記憶部35に記憶される。そして、ステップS4に進む。
次に、ステップS4では、図10に示すように、表示制御装置346は、測定値取得間隔設定画面73を表示装置31に表示する。測定値取得間隔設定画面73において、入力装置32がユーザによって操作されることにより、ユーザが希望する測定値の取得間隔である測定値取得間隔が、測定値取得間隔の入力枠730に入力されて指定される。測定値取得間隔は、PC30の取得部341がPLC20から測定値を取得する間隔である。図10の例では、測定値取得間隔は40μsに設定されている。そして、測定条件を規定する各設定値Xxを従来通りにユーザ自身で設定する場合、設定値Xxの手動調整のためのボタン731に対するユーザ操作を取得部341が受け付け、各設定値Xxを自動調整する場合には設定値Xxの自動調整のためのボタン732に対するユーザ操作を取得部341が受け付ける。ボタン731又はボタン732に対するユーザ操作を取得部341が受け付けると、ユーザ操作により入力された測定値取得間隔が、第2記憶部35のユーザ条件格納領域354に格納される。そして、ステップS5に進む。なお、測定値取得間隔の入力枠730は、取得部341が測定値を取得する間隔である測定値取得間隔を指定するユーザ操作を受付ける受付部として機能する。
設定値Xxの手動調整のボタン731が選択された場合には、ステップS5で、表示制御装置346は、図11から図13に示す表示画面を表示装置31に表示する。表示装置31に表示された表示画面を確認しながら、ユーザは全設定値351の中から様々な使用設定値Yyを従来通り手動で調整する。図11に示す測定値表示画面74では、変位計10の測定値が表示される測定値表示枠740及び741に測定値が表示される。図11の例では、測定値表示枠740に変位計10からの測定値として+0.945790mmが表示されており、判定閾値の範囲(上限閾値である+1.000000mmから下限閾値である−1.000000mmの範囲)に収まっている。なお、図11では、測定値表示枠740にのみ測定値が表示されているが、PLC20に2つの変位計10を接続した場合には、一方の変位計10の測定値が一方の表示枠740に表示され、他方の変位計10の測定値が他方の表示枠741に表示される。図12は、測定値取得間隔毎の測定値がプロットされた分布図750により測定値の時間変化を示す測定値の時間変化表示画面75である。測定値の時間変化表示画面75では、判定閾値の上限閾値751と下限閾値752も表示されており、測定値753が判定閾値の範囲内にあるかユーザが把握できるよう表示される。図12の例では、複数の測定値が上限閾値751を超えており、複数の測定値が下限閾値752を超えてしまっている。図13は、変位計10から取得した受光量波形を表示する受光量波形表示画面76である。受光量波形表示画面76において、受光量波形を表示する表示領域760の縦軸は受光量を示し、横軸はイメージセンサ6中の受光素子に対応する画素の位置を示している。なお、受光量波形表示画面76は、受光量を値として表示する表示領域761と、受光量を取得した時の投光量を表示する表示領域762も含む。図13の例では、画素の位置の取り得る値は、例えば、0から500の画素に対応した値であり、0から500の中央値である250の画素の位置が、変位量0mmの位置を示す。例えば、測定対象物1の表面が250の画素の位置から500の画素の位置に近づいた場合には、変位量はマイナス側(変位計10に近づく方向)に変化し、測定対象物1の表面が250の画素の位置から0の画素の位置に近づいた場合には、変位量はプラス側(変位計10から遠ざかる方向)に変化したことを示す。なお、図13に示す受光量波形の山Pの頂点は画素の位置が300と400の間に位置しているので、変位量がマイナス側に変化したことを示している。基準ワークの測定基準となる表面を測定中心距離に合わせたのであれば、正しく使用設定値Yyが設定されている場合は、変位量0mmの位置を示す、250の画素の位置に受光波形の山Pの頂点が位置するが、図13では使用設定値Yyが正しく調整されていないため、変位量がマイナス側にずれてしまっている。
従来通り、基準ワークを測定しながらユーザが手動で使用設定値Yyを調整する場合では、図11から図13に示す画面例を確認しながら測定値が目標測定値の範囲内となるように全設定値351の中から各使用設定値Yyを調整し、測定値が目標測定値の範囲内になり、手動調整完了ボタン(不図示)に対するユーザ操作を取得部341が受け付ける。そして、更新部345は、測定値が目標測定値の範囲内になった時の各使用設定値Yyを、実際に測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして、PC30の第2記憶部35の最適化設定値格納領域356に記憶させる。また、更新部345は、PC30の第2記憶部35の最適化設定値格納領域356に記憶された使用設定値YyをPLC20に送信し、PLC20の第1制御部22は受信した使用設定値Yyを第1記憶部23の使用設定値格納領域232に記憶させる。
図10に戻り、設定値Xxの自動調整のボタン732が選択された場合には、ステップS5の処理として、図14に示す使用設定値自動調整処理が開始される。なお、実施の形態1では、ステップS50の使用設定値調整処理に測定モード調整処理を適用した形態を説明する。
まず、ステップS10にて、設定部342は、属性毎に図5の中央の列に記載されている初期値X1を使用設定値Yyとして設定する。具体的には、設定部342が、第2記憶部35の全設定値351の中から属性毎に図5に示した初期値として予め決められている設定値X1を第2記憶部35の使用設定値格納領域355に使用設定値Yyとして記憶させることで、測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyを設定する。つまり、設定部342は、レーザダイオード3の投光量の設定値Ixの初期値I1である50%を測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、測定モードの設定値Jxの初期値J1である拡散反射モードを測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、フィルタ種類の設定値Kxの初期値K1である移動平均フィルタを測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、移動平均回数の設定値Lxの初期値L1である128回を測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、図6のステップS4にて設定された測定値取得間隔をユーザ条件格納領域354から読み出し、サンプリング周期の設定値Mxの初期値M1が測定値取得間隔以下である場合、初期値M1である40μsを測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、サンプリング周期の設定値Mxの初期値M1が測定値取得間隔より大きい場合、測定値取得間隔以下且つ測定値取得間隔に最も近いサンプリング周期の設定値Mxを測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。例えば、図10に示した測定値取得間隔が20μsに設定された場合は、サンプリング周期の設定値Mxとして20μsを設定する。また、設定部342は、カットオフ周波数の設定値Nxの初期値N1である100Hzを測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。また、設定部342は、屈折率の設定値Oxの初期値O1である1.5000を測定対象物1の測定する際に使用する使用設定値Yyに設定する。そして、設定部342は、使用設定値格納領域355に記憶された各属性の使用設定値YyをPLC20に送信し、PLC20の第1制御部22は、受信した各属性の使用設定値Yyを第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納する。そして、ステップS20に進む。なお、測定レシピの設定値Pxの初期値P1については実施の形態1では使用しないため説明を省略する。
そして、ステップS20では、PLC20の第1制御部22が使用設定値格納領域232の使用設定値Yyに従って制御プログラム231を実行することで取得された変位計10からの測定値(及び受光量)を、PC30の取得部341が取得する。
そして、ステップS30では、PC30の判定部343は、変位計10からの測定値が図6のステップS4にてユーザ条件格納領域354に格納された目標測定値352の範囲内、つまり、上限閾値と下限閾値の範囲である判定閾値の範囲内であるか判定する。初回の測定値は、各初期値X1(つまり、I1、J1、K1、L1、M1(又は、測定値取得間隔以下且つ測定値取得間隔に最も近いサンプリング周期の設定値Mx)、N1、O1)を各使用設定値Yyとして設定して測定した測定値である。測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合(ステップS30:YES)は、測定値を取得した際に使用した各初期値X1(但し、Mxのみ上述のようにM1でない場合有り)を用いれば基準ワークの測定値が適正な範囲内であることから、使用設定値自動調整処理を終了する。つまり、目標測定値352の範囲内となった基準ワークからの測定値を取得した際に使用した使用設定値Yyが、PLC20の第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納されて使用設定値Yyとして設定される。そのため、変位計10で測定対象物1を実際に検査する際には、目標測定値352の範囲内となった基準ワークからの測定値を取得した時に使用された使用設定値Yyが使用されることとなる。測定値が目標測定値352の範囲外であると判定された場合(ステップS30:NO)は、ステップS40に進む。
そして、ステップS40では、PC30の判定部343は、最適化完了フラグFXが設定されているか確認する。最適化完了フラグFXは、後述のステップS50で実行される使用設定値調整処理が完了した際に設定されるフラグFである。最適化完了フラグFXは、例えば、最適化完了フラグFXの大文字X部分には測定モードの設定値Jxの大文字部分を当てはめて、測定モード調整処理の完了時には後述するように最適化完了フラグFJが設定される。なお、その他の属性の設定値Xxの調整処理が適用される場合、最適化完了フラグFXの大文字X部分には同様に対応する属性の設定値Xxの大文字X部分が当てはめられる。ステップS40で、最適化完了フラグFJが設定されていないと判定された場合(ステップS40:NO)、後述する測定モード調整処理が完了していないため、ステップS50に進む。
そして、ステップS50では、測定モードの設定値Jxの初期値J1を使用設定値Yyとして設定しても測定値が正しくないため、使用設定値調整処理として測定モード調整処理が実行される。測定モード調整処理の詳細について図15を参照しながら説明する。
ステップS50では、測定モード調整処理が実行される。まず、図15のステップS101では、判定部343が、測定モード調整処理における今回の測定値が初回の測定値か否か判定する。測定モード調整処理における初回の測定値とは、測定モード調整処理に先立ってステップS20にて測定値が取得され、ステップS50の測定モード調整処理に初めて進んだ時の測定値のことである。今回の測定値が、測定モード調整処理における初回の測定値であるか判定する方法としては、使用設定値自動調整処理開始からステップS50の測定モード調整処理に進んだ回数をカウントし、そのカウント値が1である場合に判定部343が初回の測定値であると判定するが、これに限らない。今回の測定値が初回の測定値であると判定された場合(ステップS101:YES)は、測定モードの設定値Jxの初期値J1である拡散反射モードを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyに設定した後、初めて取得した測定値しかなく、比較対象となる他の測定値が無い。そのため、ステップS102に進む。
ステップS102では、変更部344が、測定値を取得済みの測定モードの設定値Jxとは異なる設定値Jx+1を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出す。初回であれば、測定値を取得済みの測定モードの設定値Jxは初期値J1である拡散反射モードしかないので、初期値J1と異なる測定モードの設定値Jx+1として設定値J2を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出す。そして、変更部344は、読み出された測定モードの設定値Jx+1を使用設定値格納領域355に記憶することで、次回使用する使用設定値Yyを測定モードの設定値Jx+1に変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである測定モードの設定値Jx+1をPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである測定モードの設定値Jx+1を記憶させ設定する。なお、ステップS101にて今回の測定値が初回の測定値であると判定されて、ステップS103及びステップS104を経ずにステップS102が行われる場合、ステップS102において、変更部344が初期値J1を最適化設定値格納領域356に仮に記憶させることも行う。そして、図14のステップS20に戻り、PLC20の第1制御部22が使用設定値格納領域232に格納された新たな使用設定値Yy(次回使用する使用設定値)である測定モードの設定値Jx+1に従って制御プログラム231を実行する。そして、図14のステップS20にて、取得部341が、新たな使用設定値Yy(前述の次回使用する使用設定値)を用いた測定値を取得する。そして、ステップS30及びステップS40を前述と同様に再度行い、最適化完了フラグFJが設定されていない場合、ステップS50に再度進む。なお、ステップS30にて、測定モードの設定値Jxを設定値J2に変更した直後の測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合は、その段階では、最適化設定値格納領域356に初期値J1が仮に記憶されており設定値Jxの最適化がなされていないため、例外としてステップS40に進む。
そして、ステップS50では、再度、図15のステップS101に進む。この場合、今回の測定値が初回の測定値でないと判定され(ステップS101:NO)、ステップS103に進む。
ステップS103では、更新部345が、最適化設定値格納領域356に保持されている測定モードの使用設定値Yy(第1使用設定値、実施の形態1ではJx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の新たな測定モードの使用設定値Yy(第2使用設定値、実施の形態1ではJx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の測定モードの使用設定値Yyを、最適化設定値格納領域356に保持する。なお、測定モードの使用設定値Yy(第1使用設定値、実施の形態1ではJx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、新たな測定モードの使用設定値Yy(第2使用設定値、実施の形態1ではJx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とが同じである場合は、どちらか一方の測定モードの仕様設定値Yyを、最適化設定値格納領域356に保持する。そして、ステップS104に進む。
ステップS104では、判定部343は、全ての測定モードの設定値Jxを使用設定値Yyに用いて基準ワークを測定して得られた全ての測定値を取得済みか否か判定する。例えば、判定部343が、測定モード調整処理の開始から取得部341が取得した測定値の数が第2記憶部35の全設定値351中の測定モードの設定値Jxの数と一致するか否かを確認することで全ての測定値を取得済みか否か判定する。全ての測定値を取得済みでないと判定された場合(ステップS104:NO)は、再度、ステップS102に進む。そして、ステップS102にて、変更部344が、測定値を取得済みの測定モードの設定値Jxとは異なる設定値Jx+1を全設定値351から読み出して、使用設定値格納領域355に使用設定値Yyとして記憶させる。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された測定モードの設定値Jx+1をPLC20に送信し、使用設定値格納領域232に測定モードの設定値Jx+1を使用設定値Yyとして記憶させる。なお、ステップS103及びステップS104を経てステップS102が行われる場合、ステップS103において目標測定値352に近い測定値を取得した時の測定モードの使用設定値Yyを最適化設定値格納領域356に保持させているため、この使用設定値Yyを保持させるために、初期値J1を最適化設定値格納領域356に記憶させることは行わない。
そして、図14のステップS20からステップS50の処理を繰り返す。つまり、測定値が目標測定値352の範囲外、且つ、最適化完了フラグFJが設定されていない間は、図14のステップS20からステップS50が繰り返し実行される。なお、測定モードの設定値JxのうちJ3が使用設定値Yyとして使用設定値格納領域232に設定された後、ステップS20からステップS50の繰り返し処理の間に、ステップS30にて、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合(ステップS30:YES)は、最適化設定値格納領域356に格納された測定モードの設定値Jxを用いれば基準ワークの測定値が適正な範囲内となることから、使用設定値自動調整処理を終了する。つまり、この段階では、目標測定値352の範囲内となった基準ワークからの測定値を取得した際に使用した使用設定値Yyと同じ測定モードの設定値Jxが、PC30の最適化設定値格納領域356に保持されているとともに、PLC20の使用設定値格納領域232にも同じ使用設定値Yyが格納されていることとなる。そのため、変位計10で測定対象物1を実際に検査する際には、最適化設定値格納領域356に格納された測定モードの設定値Jxが使用されることとなる。なお、目標測定値352の範囲内と判定された時に、最適化設定値格納領域356に保持されている設定値Xxを、以下では最適化設定値X_optともいい、測定モードの最適化設定値はJ_optという。
ステップS104にて、全ての測定モードの設定値Jxを使用設定値Yyに用いて全ての測定値を取得済みと判定された場合(ステップS104:YES)は、ステップS105に進む。
ステップS105では、更新部345は、全ての測定モードの設定値Jxを使用設定値Yyに用いて全ての測定値を取得済みであり使用設定値調整処理としての測定モード調整処理が完了したとして、最適化完了フラグFXとして最適化完了フラグFJを設定する。また、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、第1記憶部23に格納されている測定モードの使用設定値Yyとして、測定モード調整処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている測定モードの設定値Jxである測定モードの最適化設定値J_optを保持させる。
ステップS105にて最適化完了フラグFJが設定された時には、最適化設定値格納領域356に格納された測定モードの最適化設定値J_optは、測定モードの全設定値J1,J2,J3・・・の中で最も目標測定値352に近い測定値を取得した設定値Jxが保持され、この最適化設定値J_optがPLC20の使用設定値格納領域232に設定された状態となる。
この状態において、図14のステップS20からステップS40が行われる。測定モードの最適化設定値J_optを用いてステップS20で取得した測定値がステップS30にて目標測定値352の範囲外であると判定された場合(ステップS30:NO)、ステップS40では最適化完了フラグFJが設定されていることが確認されて、ステップS60に進む。
ステップS60では、判定部343は、表示装置31にエラー表示画面を表示させ、使用設定値自動調整処理では、測定値を正しく測定できるように測定モードの設定値Jxを調整できなかった旨をユーザに通知する。
上述のように使用設定値自動調整処理が実行され、ステップS30にて測定値が目標測定値352の範囲内となった後に、図16に示すように、変位計10で測定対象物1を実際に検査する検査処理が行われる。このときには、PLC20の使用設定値格納領域232には、使用設定値自動調整処理にて測定値が目標測定値352の範囲内となった時の測定モードの設定値Jxが使用設定値Yyとして格納され、検査に使用される。
まず、ステップS1001では、ステップS20と同様に、PLC20の第1制御部22が使用設定値格納領域232の使用設定値Yyに従って制御プログラム231を実行することで取得された変位計10からの測定値を、PC30の取得部341が取得する。
そして、ステップS1002では、ステップS30と同様に、判定部343は、変位計10からの測定値が目標測定値352の範囲内、つまり、上限閾値と下限閾値の範囲である目標測定値352の範囲内であるか判定する。測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合(ステップS1002:YES)は、ステップS1003に進む。
ステップS1003では、判定部343は、測定対象物1が良品であるとの検査結果を第2記憶部35に格納する。そして、ステップS1005に進む。
ステップS1002にて、測定値が目標測定値352の範囲外であると判定された場合(ステップS1002:NO)は、ステップS1004に進む。
ステップS1004では、判定部343は、測定対象物1が不良品であるとの検査結果を第2記憶部35に格納する。また、表示制御部346は、不良品が発生したことを表示装置31に表示しユーザに通知する。そして、ステップS1005に進む。
ステップS1005では、判定部343は、入力装置32からのユーザ操作による検査終了指示を取得部341が受け付けたか判定する。検査終了指示を受け付けた場合(ステップS1005:YES)は、測定対象物1の検査を終了する。検査終了指示を受け付けていない場合(ステップS1005:NO)は、ステップS1001に戻り、測定対象物1の検査が引き続き行われる。
このように、実施の形態1における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定しながら測定モードの設定値Jxの中から使用設定値Yyを調整する際に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(測定モードの設定値Jx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(測定モードの設定値Jx+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定して測定モードの使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態1における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して測定モードの設定値Jxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値J1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値J1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを測定モードの初期値J1とは異なる設定値(例えば、測定モードの設定値Jx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定して測定モードの使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態1における変位計10の設定値調整装置では、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、測定モードの設定値Jx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、測定モードの設定値Jx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して測定モードの使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な測定モードの設定値Jxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態2.
続いて、実施の形態2の変位計10の設定値調整システムについて図14及び図17を用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態2の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図17に示す第1フィルタ調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態2では、第1フィルタ調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
ステップS50では、第1フィルタ調整処理が実行される。実施の形態1のステップS101からステップS105では測定モードの設定値Jxが調整されたが、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態2のステップS201からステップS205では、実施の形態1と同様の手順で、測定モードの設定値Jxに代わり、フィルタ種類の設定値Kxが調整される。その際に、ステップS205にて設定される最適化完了フラグFXは、第1フィルタ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFKである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、フィルタ種類の最適化設定値K_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、フィルタ種類の設定値Kxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFKが設定されているかが確認される。
実施の形態2における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定してフィルタ種類の設定値Kxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際には、実施の形態1と同様に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(フィルタ種類の設定値Kx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(フィルタ種類の設定値Kx+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定してフィルタ種類の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態2における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定してフィルタ種類の設定値Kxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値K1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値K1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyをフィルタ種類の初期値K1とは異なる設定値(例えば、フィルタ種類の設定値Kx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定してフィルタ種類の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態2における変位計10の設定値調整装置では、実施の形態1と同様に、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、フィルタ種類の設定値Kx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、フィルタ種類の設定値Kx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定してフィルタ種類の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Kxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態3.
続いて、実施の形態3の変位計10の設定値調整システムについて図14及び図18を用いて説明する。なお、実施の形態1又は実施の形態2と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態3の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図18に示す第2フィルタ調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態3では、第2フィルタ調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
ステップS50では、第2フィルタ調整処理が実行される。まず、ステップS301では、判定部343は、測定対象物1を測定する際に使用するフィルタ種類の使用設定値Yyとして移動平均フィルタの設定値K1が第2記憶部35の使用設定値格納領域355に保持されているか判定する。移動平均フィルタの設定値K1が保持されていない場合(ステップS301:NO)は、フィルタ種類の使用設定値Yyとして移動平均フィルタとは異なるフィルタ種類の設定値Kxが保持されているため、最適化完了フラグFLを設定させて第2フィルタ調整処理を終了するためにステップS308に進む。移動平均フィルタの設定値K1が使用設定値Yyとして保持されている場合(ステップS301:YES)は、ステップS302に進む。
ステップS302では、判定部343は、図6のステップS4にて設定された測定値取得間隔をユーザ条件格納領域354から読み出す。そして、ステップS303に進む。
ステップS303では、判定部343は、以下の式1により許容移動平均回数を算出する。そして、ステップS304に進む。なお、許容移動平均回数とは、ユーザが希望する測定値取得間隔を超えることなく測定値取得間隔以下となる移動平均回数である。なお、以下の式1を用いて許容移動平均回数を算出する際に用いられるサンプリング周期の設定値Mxは、第2記憶部35の使用設定値格納領域355に格納されているサンプリング周期の使用設定値Yyを用いる。第2フィルタ調整処理が初めて実行される場合であれば、図5に示したサンプリング周期の設定値Mxの初期値M1である40μs(又は、測定値取得間隔以下且つ測定値取得間隔に最も近いサンプリング周期の設定値Mx)が、サンプリング周期の使用設定値Yyとして第2記憶部35の使用設定値格納領域355に格納されている。
許容移動平均回数<測定値取得間隔÷サンプリング周期・・・(式1)
そして、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態3のステップS304からステップS308では、実施の形態1と同様の手順で、実施の形態1の測定モードの設定値Jxに代わり、移動平均フィルタの設定値Lxが調整される。その際に、ステップS308にて設定される最適化完了フラグFXは、第2フィルタ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFLである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、移動平均回数の最適化設定値L_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、移動平均回数の設定値Lxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFLが設定されているかが確認される。
なお、ステップS305では、変更部344が、測定値を取得済みの移動平均回数の設定値Lxとは異なる設定値Lx+1を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出し、使用設定値格納領域355に記憶することで、次回使用する使用設定値Yyを移動平均回数の設定値Lx+1に変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである測定モードの設定値Lx+1をPLC20に送信し、使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである移動平均回数の設定値Lx+1を記憶させ設定する。このとき、変更部344が変更する移動平均回数の設定値Lx+1は、ステップS303で算出された許容移動平均回数以下のもののみが選択される。
実施の形態3における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して移動平均回数の設定値Lxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際には、実施の形態1又は実施の形態2と同様に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(移動平均回数の設定値Lx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(移動平均回数の設定値Lx+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定して移動平均回数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態3における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して移動平均回数の設定値Lxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値L1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値L1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを移動平均回数の初期値L1とは異なる設定値(例えば、移動平均回数の設定値Lx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定して移動平均回数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態3における変位計10の設定値調整装置では、実施の形態1又は実施の形態2と同様に、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、移動平均回数の設定値Lx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、移動平均回数の設定値Lx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して移動平均回数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Lxに更新できるという効果を奏する。
また、実施の形態3における変位計10の設定値調整装置では、変更部344は、測定値取得間隔をサンプリング周期の使用設定値Yy(変位計10が測定対象物1を測定する際に使用するサンプリング周期の設定値Mx)で割ることで得られる許容移動平均回数以下の移動平均回数の設定値Lxに使用設定値Yyを変更する。そのため、変更部344が移動平均回数の使用設定値Yyを変更する際に、ユーザ操作により指定された測定値取得間隔を超えるような移動平均回数の設定値Lxに変更されることがない。よって、ユーザが想定するタクトタイムには影響を与えずに、移動平均回数の使用設定値Yyを適切な移動平均回数の設定値Lxに自動調整できるという効果を奏する。
実施の形態4.
続いて、実施の形態4の変位計10の設定値調整システムについて図14及び図19を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態3と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態4の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図19に示す第3フィルタ調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態4では、第3フィルタ調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
ステップS50では、第3フィルタ調整処理が実行される。まず、ステップS401では、判定部343は、測定対象物1を測定する際に使用するフィルタ種類の使用設定値Yyとしてローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3のいずれか1つが第2記憶部35の使用設定値格納領域355に保持されているか判定する。ローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3が保持されていない場合(ステップS401:NO)は、フィルタ種類の使用設定値Yyとしてローパスフィルタ又はハイパスフィルタとは異なるフィルタ種類の設定値Kxが保持されているため、最適化完了フラグFNを設定させて第3フィルタ調整処理を終了するためにステップS406に進む。フィルタ種類の使用設定値Yyとしてローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3が保持されている場合(ステップS401:YES)は、ステップS402に進む。
そして、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態4のステップS402からステップS406では、実施の形態1と同様の手順で、実施の形態1の測定モードの設定値Jxに代わり、カットオフ周波数の設定値Nxが調整される。その際に、ステップS406にて設定される最適化完了フラグFXは、第3フィルタ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFNである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、移動平均回数の最適化設定値N_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、カットオフ周波数の設定値Nxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFNが設定されているかが確認される。
実施の形態4における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定してカットオフ周波数の設定値Nxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際には、実施の形態1から実施の形態3と同様に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(カットオフ周波数の設定値Nx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(カットオフ周波数の設定値Nx+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定してカットオフ周波数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態4における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定してカットオフ周波数の設定値Nxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値N1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値N1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを移動平均回数の初期値N1とは異なる設定値(例えば、カットオフ周波数の設定値Nx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定してカットオフ周波数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態4における変位計10の設定値調整装置では、実施の形態1から実施の形態3と同様に、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、カットオフ周波数の設定値Nx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、カットオフ周波数の設定値Nx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定してカットオフ周波数の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Lxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態5.
続いて、実施の形態5の変位計10の設定値調整システムについて図14及び図20を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態4と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態5の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図20に示す屈折率調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態4では、屈折率調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
ステップS50では、屈折率調整処理が実行される。まず、ステップS501では、判定部343は、図6のステップS1にて設定された測定対象値を第2記憶部35のユーザ条件格納領域354から読み出し、測定対象値が測定対象物1である透明体の厚みが選択されたか否か判定する。測定対象値が透明体の厚みではないと判定された場合(ステップS501:NO)は、測定対象物1の測定時に測定対象物1である透明体の屈折率を考慮する必要が無いため、最適化完了フラグFOを設定させて屈折率調整処理を終了するためにステップS506に進む。測定対象値が透明体の厚みであると判定された場合(ステップS501:YES)は、ステップS502に進む。
そして、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態5のステップS502からステップS506では、実施の形態1と同様の手順で、実施の形態1の測定モードの設定値Jxに代わり、屈折率の設定値Oxが調整される。その際に、ステップS506にて設定される最適化完了フラグFXは、屈折率調整処理の完了を示す最適化完了フラグFOである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、屈折率の最適化設定値O_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、屈折率の設定値Oxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFOが設定されているかが確認される。
実施の形態5における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して屈折率の設定値Oxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際には、実施の形態1から実施の形態4と同様に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(屈折率の設定値Ox)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(屈折率の設定値Ox+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定して屈折率の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態5における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して屈折率の設定値Oxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値O1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値O1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを屈折率の初期値O1とは異なる設定値(例えば、屈折率の設定値Ox+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定して屈折率の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態5における変位計10の設定値調整装置では、実施の形態1から実施の形態4と同様に、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、屈折率の設定値Ox)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、屈折率の設定値Ox+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して屈折率の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Oxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態6.
続いて、実施の形態6の変位計10の設定値調整システムについて図21から図23を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態5と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態6の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示した使用設定値自動調整処理に代わり、図22に示す使用設定値自動調整処理が行われる。具体的は、ステップS10に代わりステップS10Aが実行される点、及び、ステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図23に示す測定レシピ調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態6では、測定レシピ調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
まず、実施の形態1にて説明を省略した測定レシピについて、図21の測定レシピテーブル60を参照して説明する。
測定レシピの設定値Pxは、測定対象物1の物性又は測定対象値に応じて、複数の属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・が属性毎に一つずつ対応付けられ設定された設定値である。複数の測定レシピの設定値Pxの例としては、標準的な表面物性を持つ測定対象物1に適した測定レシピが設定されている測定レシピA、測定対象物1が非鏡面を有する金属である場合に適した測定レシピが設定されている測定レシピB、測定対象物1が鏡面体又は透明体である場合に適した測定レシピが設定されている測定レシピC、測定対象物1の透明体間の隙間を測定する場合に適した測定レシピである測定レシピD、測定対象物1の透明体の厚みを測定する場合に適した測定レシピである測定レシピE、測定対象物1が鏡面を有する金属である場合に適した測定レシピが設定されている測定レシピF、測定対象物1がパターン付ガラスである場合に適した測定レシピが設定されている測定レシピG等の複数の設定値P1,P2,P3・・・が挙げられる。なお、本実施形態においては、測定レシピの設定値Pxの初期値P1は、測定レシピAの設定値とする。
測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・の一例として、測定レシピAを例にして説明する。測定レシピAの設定値P1には、図21に示すように、投光量の設定値Ixの初期値I1である50%と、測定モードの設定値Jxの初期値J1である拡散反射モードと、フィルタ種類の設定値Kxの初期値K1である移動平均フィルタと、移動平均回数の設定値Lxの初期値L1である128回と、サンプリング周期の設定値Mxの初期値M1である40μsと、が予め製造メーカ等により設定されている。測定レシピAの設定値P1では、カットオフ周波数の設定値Nx及び屈折率の設定値Oxは使用されないため設定されていない。その他の測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・についても同様に、例えば、図21に示すように予め設定されている。
まず、図22に示す使用設定値自動調整処理では、ステップS10Aにて、設定部342は、測定レシピの設定値Pxの初期値P1である測定レシピAの設定値P1に対応付けられている各属性の設定値Xx(I1,J1,K1,L1,M1,なし,なし・・・)を使用設定値Yyとして設定する。実施の形態1で説明したステップS10では、使用設定値格納領域355には、測定レシピの設定値Pxを除くI1,J1,K1,L1,M1,N1,O1・・・を格納していた。それに代え、実施の形態6の使用設定値自動調整処理におけるステップS10Aでは、各属性の初期値として測定レシピの設定値Pxである測定レシピAの設定値P1も加え、測定レシピAの設定値P1に対応付けられている各属性の設定値Xxと、測定レシピAの設定値P1と、を使用設定値Yyとして使用設定値格納領域355に格納する。そして、設定部342は、使用設定値格納領域355に記憶された各属性の使用設定値Yyのうち、測定レシピAの設定値P1自体を除き、測定レシピAの設定値P1に対応付けられている各属性の設定値XxをPLC20に送信し、PLC20の第1制御部22は、受信した各属性の使用設定値Yyを第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納する。そして、図22の使用設定値自動調整処理では、実施の形態1と同様に、ステップS20からステップS60が行われる。
続いて、実施の形態6におけるステップS50の使用設定値調整処理について説明する。ステップS50では、図23に示す測定レシピ調整処理が実行される。まず、ステップS601では、判定部343は、図6のステップS1にて設定された測定対象値を第2記憶部35のユーザ条件格納領域354から読み出し、測定対象値が測定対象物1である透明体の隙間又は透明体の厚みが選択されたか否か判定する。測定対象値が透明体の隙間又は透明体の厚みが選択されたと判定された場合(ステップS601:YES)は、ステップS602に進む。
そして、ステップS602では、変更部344が、ユーザ条件格納領域354から読み出された測定対象値に対応する測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出す。具体的には、測定対象値が透明体の隙間である場合、透明体の隙間に対応した測定レシピの設定値Pxである測定レシピD(図21参照)中の各属性の設定値Ix(20%),Jx(正反射モード),Kx(移動平均フィルタ),Lx(128回),Mx(40μs),Nx(なし),Ox(なし)・・・を読み出す。また、測定対象値が透明体の厚みである場合、透明体の厚みに対応した測定レシピの設定値Pxである測定レシピE(図21参照)中の各属性の設定値Ix(20%),Jx(正反射モード),Kx(移動平均フィルタ),Lx(128回),Mx(40μs),Nx(なし),Ox(1.5000)・・・を読み出す。そして、変更部344は、読み出された各属性の設定値Xxを使用設定値格納領域355に記憶することで、次回使用する使用設定値Yyを読み出された各属性の設定値Xxに変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値XxをPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xxを記憶させ設定する。そして、ステップS607に進む。
ステップS601にて、測定対象値が透明体の隙間又は透明体の厚みが選択されていないと判定された場合(ステップS601:NO)は、ステップS603に進む。
そして、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態6のステップS603からステップS607では、実施の形態1と同様の手順で、実施の形態1の測定モードの設定値Jxのみの調整ではなく、測定レシピの設定値Pxに基づいて測定レシピの設定値Pxに対応付けられる各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)が調整される。
具体的には、ステップS604では、変更部344が、測定値を取得済みの測定レシピの設定値Pxとは異なる設定値Px+1に変更するとともに、測定レシピの設定値Px+1に対応付けられている各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を第2記憶部35の全設定値351の中から読み出す。そして、変更部344は、測定レシピの設定値Px+1及び測定レシピの設定値Px+1に対応付けられる各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を使用設定値格納領域355に記憶することで、次回使用する使用設定値Yyを各属性の設定値Xxに変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Px+1を除き、測定レシピの設定値Px+1に対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)をPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Px+1に対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を記憶させ設定する。
また、ステップS607にて設定される最適化完了フラグFXは、測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFPである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、測定レシピの最適化設定値P_optと、測定レシピの最適化設定値P_optに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)である。そして、図22に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、測定レシピの設定値Pxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFPが設定されているかが確認される。
実施の形態6では、測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xxとして、投光量の設定値Ix、測定モードの設定値Jx、フィルタ種類の設定値Kx、移動平均回数の設定値Lx、サンプリング周期の設定値Mx、カットオフ周波数の設定値Nx及び屈折率の設定値Ox等の全てを対応付けていたがこれに限られない。例えば、投光量の設定値Ix、測定モードの設定値Jx、フィルタ種類の設定値Kx、移動平均回数の設定値Lx、サンプリング周期の設定値Mx、カットオフ周波数の設定値Nx及び屈折率の設定値Ox等の複数の属性の設定値Xxのうちの少なくとも2つ以上の属性の設定値Xxを測定レシピの設定値Pxに対応付けてもよい。
実施の形態6における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して測定レシピの設定値Pxから使用設定値Yyの事前調整を行う際には、実施の形態1から実施の形態5と同様に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定し、測定値が目標測定値352の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(測定レシピの設定値Px+1に対応付けられた各属性の設定値Xx)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定して測定レシピの使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態6における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xxに基づいて使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値P1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値P1に対応付けられた各属性の設定値Xxを使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを初期値P1とは異なる設定値(例えば、測定レシピの設定値Px+1に対応付けられた各属性の設定値Xx)に変更する。そのため、基準ワークを測定して測定レシピの設定値Pxに基づいて使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態6における変位計10の設定値調整装置では、実施の形態1から実施の形態5と同様に、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、測定レシピの設定値Px+1に対応付けられた各属性の設定値Xx)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して測定レシピの使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Pxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態7.
続いて、実施の形態7の変位計10の設定値調整システムについて図13、図14、図24及び図25を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態6と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態7の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図24に示す投光量調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態7では、投光量調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
また、実施の形態7では、実施の形態1では説明を省略した目標受光量353も使用される。PC30の第2記憶部35は、全設定値351及び目標測定値352に加え、変位計10の測定条件の1つとして規定される目標受光量353をも記憶する。目標受光量353は、例えば、製造メーカにより予め規定された目標値である。変位計10からの受光量が目標受光量353の範囲でない場合、測定値を正しく取得できない。具体的には、変位計10からの受光量が目標受光量353より小さい場合、例えば、図13に示した受光量波形を表示する表示領域760の受光量波形の山Pが小さい。そのため、受光量波形の山Pは幅広となり、イメージセンサ6中の受光素子に対応する画素の位置を示す横軸における山Pの頂点の位置の検出精度が悪化する。つまり、測定値の精度が悪化する。また、変位計10からの受光量が目標受光量353より大きい場合、例えば、図13に示した受光量波形を表示する表示領域760の受光量波形の山Pが大きすぎて、受光量波形の山Pの頂点が検出可能範囲(図13に示す例では、縦軸に示す0〜1000の範囲)を超えると、受光量波形の山Pの頂点部分が切れた台形状の受光量波形となり、横軸における山Pの頂点の位置が特定できなくなる。つまり、測定値の精度が悪化する。そのため、実施の形態7では、受光量が目標受光量353となるように投光量の設定値Ixを調整する。目標受光量353は、400から800の範囲のように下限目標受光量と上限目標受光量との間の範囲としてもよいし、600のように特定の一つの値でもよい。
図14のステップS50では、投光量調整処理が実行される。まず、図24に示すように、ステップS701では、判定部343は、変位計10からの受光量が目標受光量353の範囲内であるか判定する。受光量が目標受光量353の範囲内であると判定された場合(ステップS701:YES)は、測定値を取得した際に使用した投光量の初期値I1を用いれば基準ワークを測定した際の変位計10からの受光量が適正な範囲内であることから、ステップS706に進む。受光量が目標受光量353の範囲外であると判定された場合(ステップS701:NO)は、ステップS702に進む。
そして、実施の形態1のステップS101からステップS105に対応する実施の形態7のステップS702からステップS706では、実施の形態1と同様の手順で、実施の形態1の測定モードの設定値Jxに代わり、投光量の設定値Ixが調整される。
なお、ステップS704では、取得した測定値と目標測定値352を用いた実施の形態1のステップS603と異なり、取得した受光量と目標受光量353を用いる。具体的には、更新部345が、最適化設定値格納領域356に保持されている投光量の使用設定値Yy(第1使用設定値、実施の形態7ではIx)を用いて取得された受光量(第1受光量)と、変更部344によって変更された後の新たな投光量の使用設定値Yy(第2使用設定値、実施の形態7ではIx+1)を用いて取得された受光量(第2受光量)とのうち目標受光量353に近い受光量を取得した時の投光量の使用設定値Yyを、最適化設定値格納領域356に保持する。
また、ステップS706にて設定される最適化完了フラグFXは、投光量調整処理の完了を示す最適化完了フラグFIである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、投光量の最適化設定値I_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、投光量の設定値Ixの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFIが設定されているかが確認される。
また、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS60では、表示制御部346は、表示装置31にエラー表示画面を表示させ、使用設定値自動調整処理では、測定値を正しく測定できるように投光量の設定値Ixを調整できなかった旨をユーザに通知する。より好適には、実施の形態7では、判定部343が、投光量の設定値Ixのうち最小設定値である0.01%を使用設定値に設定しても受光量が上限目標受光量を超えていると判定した場合には、表示制御部346は、図25に示すように、変位計10に減光フィルタ11を装着するようユーザに促すための減光フィルタ装着通知画面77を表示装置31に表示させることができる。これは、変位計10の使用設定値Yyを投光量の設定値Ixのうちの最小設定値に設定したとしても受光量が過大となっており、投光量の設定値Ixの調整では調整しきれないからである。
このように、実施の形態7における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定しながら投光量の設定値Ixの中から使用設定値Yyを調整する際に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(投光量の設定値Ix)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定する。そして、測定値が目標測定値352の範囲外、且つ、受光量が目標受光量353の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(投光量の設定値Ix+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定して投光量の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態7における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して投光量の設定値Ixの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値I1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値I1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを投光量の初期値I1とは異なる設定値(例えば、投光量の設定値Ix+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定して投光量の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態7における変位計10の設定値調整装置では、更新部345は、変更部344によって変更される前の投光量の使用設定値Yy(第1使用設定値、投光量の設定値Ix)を用いて取得された受光量(第1受光量)と、変更部344によって変更された後の投光量の使用設定値Yy(第2使用設定値、投光量の設定値Ix+1)を用いて取得された受光量(第2受光量)とのうち目標受光量353に近い受光量を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して投光量の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Ixに更新できるという効果を奏する。
実施の形態8.
続いて、実施の形態8の変位計10の設定値調整システムについて図14及び図26を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態7と同じ構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態8の変位計10の設定値調整システムにおいては、図14に示したステップS50の使用設定値調整処理が、実施の形態1の図15に示した測定モード調整処理に代えて、図26に示すサンプリング周期調整処理である点が実施の形態1に対して異なる。実施の形態8では、サンプリング周期調整処理が実行されることを除いて他の処理は実施の形態1と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
そして、実施の形態8のサンプリング周期調整処理におけるステップS701からステップS806は、後述の点を除き、実施の形態7の投光量調整処理におけるステップS701からステップS706と同じである。
具体的には、実施の形態7の投光量の設定値Ixに代わり、サンプリング周期の設定値Mxが調整される。
また、ステップS806にて設定される最適化完了フラグFXは、サンプリング周期調整処理の完了を示す最適化完了フラグFMである。また、最適化設定値格納領域356に保持される最適化設定値X_optは、サンプリング周期の最適化設定値M_optである。そして、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS40では、サンプリング周期の設定値Mxの調整処理の完了を示す最適化完了フラグFMが設定されているかが確認される。
また、図14に示した使用設定値自動調整処理のステップS60では、表示制御部346は、表示装置31にエラー表示画面を表示させ、使用設定値自動調整処理では、測定値を正しく測定できるようにサンプリング周期の設定値Mxを調整できなかった旨をユーザに通知する。より好適には、実施の形態8では、判定部343が、サンプリング周期の設定値Mxのうち最小設定値である10μsを使用設定値に設定しても受光量が上限目標受光量を超えていること判定した場合には、表示制御部346は、実施の形態7と同様に、図25に示した減光フィルタ装着通知画面77を表示装置31に表示させることができる。これは、変位計10のサンプリング周期の設定値Mxを最小設定値に設定したとしても受光量が過大となっており、サンプリング周期の設定値Mxの調整では調整しきれないからである。
このように、実施の形態8における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定しながらサンプリング周期の設定値Mxの中から使用設定値Yyを調整する際に、測定値が目標測定値352の範囲内であれば、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の使用設定値Yy(サンプリング周期の設定値Mx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定する。そして、測定値が目標測定値352の範囲外、且つ、受光量が目標受光量353の範囲外であれば、変更部344は、測定値を取得した時とは異なる使用設定値Yyに変更し、取得部341は、変更した使用設定値Yyを用いて測定値を再取得し、判定部343は、変更された使用設定値Yy(サンプリング周期の設定値Mx+1)を用いて測定された測定値が、目標測定値352の範囲内か否か再度判定する。そのため、基準ワークを測定してサンプリング周期の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態8における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定してサンプリング周期の設定値Mxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、初期値M1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値M1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyをサンプリング周期の初期値M1とは異なる設定値(例えば、サンプリング周期の設定値Mx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定してサンプリング周期の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態8における変位計10の設定値調整装置では、更新部345は、変更部344によって変更される前のサンプリング周期の使用設定値Yy(第1使用設定値、サンプリング周期の設定値Mx)を用いて取得された受光量(第1受光量)と、変更部344によって変更された後のサンプリング周期の使用設定値Yy(第2使用設定値、サンプリング周期の設定値Mx+1)を用いて取得された受光量(第2受光量)とのうち目標受光量353に近い受光量を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定してサンプリング周期の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを適切な設定値Mxに更新できるという効果を奏する。
実施の形態9.
続いて、実施の形態9の変位計10の設定値調整システムについて図27及び図28を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態8と同じ構造については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態9の変位計10の設定値調整システムにおいては、実施の形態6の図22に示した使用設定値自動調整処理に代わり、図27に示す使用設定値自動調整処理が行われる。具体的には、実施の形態6の図22に示した使用設定値自動調整処理にステップS70及びステップS80が追加される。また、ステップS50の使用設定値調整処理に代わり、ステップS50Bの使用設定値調整処理が、実施の形態1の測定モード調整処理から実施の形態8のサンプリング周期調整処理までを組み合わせたものである点が実施の形態1から実施の形態8に対して異なる。実施の形態9では、上述の点を除いて他の処理は実施の形態1から実施の形態8と同じであるため、同じ処理については詳細説明を省略する。なお、実施の形態6の測定レシピ調整処理のステップS603、実施の形態7の投光量調整処理のステップS702、及び、実施の形態8のサンプリング周期調整処理のステップS802、実施の形態1の測定モード調整処理のステップS101、実施の形態2の第1フィルタ調整処理のステップS201、実施の形態3の第2フィルタ調整処理のステップS304、実施の形態4の第3フィルタ調整処理のステップS402、実施の形態5の屈折率調整処理のステップS502、においては、複数属性のうちの調整対象となっている特定属性の調整処理における今回の測定値が特定属性における初回の測定値か否か判定されていたが、実施の形態9においても同様に、各属性の調整処理毎に今回の測定値が各属性の調整処理における初回の測定値か否か判定される。より詳細には、測定レシピ調整処理に先立ってステップS20にて測定値が取得され、測定レシピ調整処理に初めて進んだ時の測定値が測定レシピ調整処理における初回の測定値である。また、投光量調整処理に先立ってステップS20にて測定値が取得され、投光量調整処理に初めて進んだ時の測定値が投光量調整処理における初回の測定値である。他の属性の調整処理においても同様である。
実施の形態9の使用設定値自動調整処理では、実施の形態6と同様に図27のステップS10AからステップS40がまず行われる。そして、ステップS40にて、判定部343は最適化完了フラグFXが設定されているか確認する。最適化完了フラグFXが設定されていない場合(ステップS40:NO)は、ステップS50Bに進む。
ステップS50Bでは、図28に示すように、ステップS600にて測定レシピ調整処理、ステップS700にて投光量調整処理、ステップS800にてサンプリング周期調整処理、ステップS100にて測定モード調整処理、ステップS200にて第1フィルタ調整処理、ステップS300にて第2フィルタ調整処理、ステップS400にて第3フィルタ調整処理及びステップS500にて屈折率調整処理の順で各属性の調整処理が実行される。つまり、調整対象となる設定値Xxの属性が複数ある。そして、その順番は、先ず、測定レシピ調整処理が実行される。次に、測定値だけでなく受光量にも影響する属性である第1属性に関する調整処理(つまり、投光量調整処理及びサンプリング周期調整処理)が実行される。その後に、測定値には影響するが受光量には影響を与えない属性である第2属性に関する調整処理(つまり、測定モード調整処理、第1フィルタ調整処理、第2フィルタ調整処理、第3フィルタ調整処理及び屈折率調整処理)が実行される。
まず、ステップS50Bにおいて、ステップS600にて測定レシピ調整処理(図23に示したステップS601からステップS607)が実行される。具体的には、ステップS606にて更新部345が全ての測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xxを使用設定値Yyに用いて全ての測定値を取得済みであることを確認し、ステップS607にて測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFPを設定するまでは、ステップS20からステップS50Bの使用設定値調整処理としての測定レシピ調整処理を繰り返す。
ステップS20からステップS50Bの使用設定値調整処理としての測定レシピ調整処理を繰り返す間に、ステップS30にて、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合(ステップS30:YES)は、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の測定レシピの設定値Pxに対応付けられるとともに使用設定値格納領域232に格納された各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を用いれば基準ワークの測定値が適正な範囲内となることから使用設定値自動調整処理を終了する。そして、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)が、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして設定される。
なお、ステップS40において、最適化完了フラグFXが設定されているか確認するが、最適化完了フラグFXが設定されていないと確認された場合(ステップS40:NO)は、ステップS50Bに進んで使用設定値調整処理を実行するようにしている。これは、実施の形態1から実施の形態8と同様であり、使用設定値調整処理の調整対象となっている特定属性(測定レシピ調整処理であれば、調整対象の特定属性は測定レシピ)に含まれている全設定値Xx(測定レシピ調整処理であれば、測定レシピの設定値P1、P2、P3・・・の全て)を使用設定値Yyに設定して受光量及び/又は測定値を取得していないことから、調整対象となっている特定属性(測定レシピ調整処理であれば、調整対象となっている特定属性は測定レシピ)に含まれている全設定値Xx(測定レシピ調整処理であれば、測定レシピの設定値Pxに対応する各属性の設定値Xx)を使用設定値Yyに設定して受光量及び/又は測定値を取得する必要がある。そのため、ステップS40からステップS50Bに進む場合では、ステップS50Bでは、現在調整対象となっている特定属性における設定値Xx(測定レシピが調整されている間は、ステップS600の測定レシピ調整処理により測定レシピの設定値Px)が調整され、その他の属性における設定値Xx(測定レシピが調整されている間は、以降に続くステップS700の投光量の設定値Ix等)の調整処理は行わない。
ステップS607にて最適化完了フラグFPが設定され、使用設定値自動調整処理のステップS40にて、判定部343は、使用設定値自動調整処理において最適化完了フラグFPが初めて設定されたことを確認する(ステップS40:YES)と、ステップS70に進む。
ステップS70では、判定部343は、全属性の最適化完了フラグFX(つまり、投光量調整処理の完了を示す最適化完了フラグFIから測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFP等の全て)が設定されているか確認する。ステップS70にて、全属性の最適化完了フラグFXが設定されていないと判定された場合(ステップS70:NO)は、ステップS80に進む。
ステップS80では、変更部344は、次の属性の設定値Xxを調整対象にするため、調整対象となる設定値Xxの属性を変更する。具体的には、ステップS40で測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFPが確認された場合は、変更部344は、調整対象となる設定値Xxの属性を測定レシピとは異なる属性である投光量に変更する。そして、ステップS50Bに進む。なお、属性の変更の順番は、図28に示した使用設定値調整処理における各属性の調整処理の順番と同じである。つまり、測定レシピ調整処理、投光量調整処理、サンプリング周期調整処理、測定モード調整処理、第1フィルタ調整処理、第2フィルタ調整処理、第3フィルタ調整処理及び屈折率調整処理の順に属性の変更が行われる。
ステップS50Bでは、ステップS80にて変更された調整対象となる属性における設定値Xxの調整処理を行う。具体的には、測定レシピ調整処理が完了したのであれば、次の調整対象となっている特定属性を測定レシピとは異なる属性である投光量の調整処理をすべく、ステップS700にて投光量調整処理(図24に示したステップS701からステップS706)が実行される。そして、ステップS706にて投光量調整処理の完了を示す最適化完了フラグFIが設定されるまでは、ステップS20からステップS50Bの使用設定値自動調整処理を繰り返す。
そして、測定レシピ調整処理に加え、投光量調整処理から屈折率調整処理までそれぞれの使用設定値調整処理が完了するまで、図27に示した使用設定値自動調整処理のステップS20、ステップS30、ステップS40及びステップS50Bの順に進み、特定属性の設定値Xxの調整が実行される。また、ステップS20、ステップS30、ステップS40、ステップS70、ステップS80及びステップS50Bの順に進み、調整対象となる設定値Xxの属性の変更が行われる。つまり、全属性の全設定値Xxを使用設定値Yyに設定して受光量及び/又は測定値を取得し終わり、ステップS70にて全属性の最適化完了フラグFX(つまり、投光量調整処理の完了を示す最適化完了フラグFIから測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFP等の全て)が確認されるまでは、使用設定値自動調整処理のステップS20、ステップS30、ステップS40及びステップS50B、並びに、ステップS20、ステップS30、ステップS40、ステップS70、ステップS80及びステップS50Bが繰り返される。
そして、使用設定値自動調整処理のステップS20、ステップS30、ステップS40及びステップS50B、並びに、ステップS20、ステップS30、ステップS40、ステップS70、ステップS80及びステップS50Bの繰り返し処理の間に、投光量調整処理のステップS706、サンプリング周期調整処理のステップS806、測定モード調整処理のステップS105、第1フィルタ調整処理のステップS205、第2フィルタ調整処理のステップS308、第3フィルタ調整処理のステップS406、屈折率調整処理のステップS506等において、各属性の設定値Xxの最適化設定値X_optが最適化設定値格納領域356に格納される。
ステップS20からステップS50Bの使用設定値調整処理に含まれる投光量調整処理以降の使用設定値調整処理を繰り返す間に、ステップS30にて、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合(ステップS30:YES)は、最適化設定値格納領域356に格納された各属性の設定値Xxを用いれば基準ワークの測定値が適正な範囲内となることから、使用設定値自動調整処理を終了する。つまり、この段階では、目標測定値352の範囲内となった基準ワークからの測定値を取得した際に使用した各属性の使用設定値Yyと同じ各属性の設定値Xxが、PC30の最適化設定値格納領域356に保持されているとともに、PLC20の使用設定値格納領域232にも同じ使用設定値Yyが格納されることで設定されていることとなる。そのため、変位計10で測定対象物1を実際に検査する際には、最適化設定値格納領域356に格納された各属性の設定値Xx(つまり、Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)が使用されることとなる。
ステップS70にて、判定部343は、全属性の最適化完了フラグFXが設定されていると判定された場合(ステップS70:YES)は、ステップS60に進む。ステップS60では、判定部343は、表示装置31にエラー表示画面を表示させ、設定値自動調整処理では、測定値を正しく測定できるように設定値Xxを調整できなかった旨をユーザに通知する。
実施の形態9においては、測定値だけでなく受光量にも影響する属性である第1属性に関する調整処理として投光量調整処理及びサンプリング周期調整処理の全てが実行されるようにしたが、これに限られない。例えば、第1属性に関する調整処理として、投光量調整処理及びサンプリング周期調整処理の少なくとも1つが実行されるようにしてもよい。
実施の形態9においては、測定値だけでなく受光量にも影響する属性である第1属性に関する調整処理として投光量調整処理及びサンプリング周期調整処理の全てが実行されるようにした。この場合、本実施の形態のように、投光量調整処理を実行した後にサンプリング周期調整処理が実行されるようにすることができる。これは、サンプリング周期調整処理は、イメージセンサ6の露光時間が長くなることによりタクトタイムに影響する可能性があるからである。投光量調整処理を実行した後にサンプリング周期調整処理が実行されるようにすることでタクトタイムへの影響を軽減できる。
実施の形態9においては、測定値には影響するが受光量には影響を与えない属性である第2属性に関する調整処理として、測定モード調整処理、第1フィルタ調整処理、第2フィルタ調整処理、第3フィルタ調整処理及び屈折率調整処理の全てが実行されるようにしたが、これに限られない。例えば、第2属性に関する調整処理として、測定モード調整処理、第1フィルタ調整処理、第2フィルタ調整処理、第3フィルタ調整処理及び屈折率調整処理の少なくとも1つが実行されるようにしてもよい。
実施の形態9においては、測定値だけでなく受光量にも影響する属性である第1属性に関する調整処理を実行した後に、測定値には影響するが受光量には影響を与えない属性である第2属性に関する調整処理を実行するようにした。これは、受光量が目標受光量353の範囲外であると、受光量が小さ過ぎる、又は受光量が大きすぎて受光量波形の山Pの頂点部分が切れた台形上の受光量波形になり、測定値も正しく測定できない可能性が高くなるからである。第2属性の調整処理に先立って第1属性の調整処理を実行することで、第1属性の調整処理に続く第2属性の調整処理において、測定値が目標測定値の範囲内となる可能性を高くなる。
実施の形態9においては、移動平均回数の設定値Lxを調整するための第2フィルタ調整処理の前に、フィルタ種類の設定値Kxを調整するための第1フィルタ調整処理を実行させるようにしている。つまり、移動平均回数の設定値Lxの変更の前に、フィルタ種類の設定値Kxが変更される。つまり、移動平均フィルタの設定値K1が他のフィルタ種類(例えば、ローパスフィルタ又はハイパスフィルタ)の設定値Kxよりも適切な設定値Kxであるとしてフィルタ種類の使用設定値として確定された後に、変更部344は、調整対象の属性を移動平均回数の属性に変更し、移動平均回数の設定値Lxを変更するようにした。これは、フィルタ種類の設定値Kxとして移動平均フィルタの設定値Kxが確定されてから、移動平均回数の設定値Lxの調整をした方が、フィルタ種類の設定値Kx及び移動平均回数の設定値Lxを適切に調整できるからである。例えば、フィルタ種類の設定値Kxの初期値としてローパスフィルタの設定値K2が使用設定値Yyとして仮に設定された場合、移動平均回数の設定値Lxを調整した後、フィルタ種類の設定値Kxを調整して移動平均フィルタの設定値K1が適切な設定値Kxとなった場合を想定する。この場合、先に調整された移動平均回数の設定値Lxは適切な使用設定値Yyとはならない可能性も有り得る。そのため、フィルタ種類の設定値Kxとして移動平均フィルタの設定値K1が確定されてから、移動平均回数の設定値Lxの調整しているのである。
また、実施の形態9においては、カットオフ周波数の設定値Nxを調整するための第3フィルタ調整処理の前に、フィルタ種類の設定値Kxを調整するための第1フィルタ調整処理を実行させるようにしている。つまり、カットオフ周波数の設定値Nxの変更の前に、フィルタ種類の設定値Kxが変更される。つまり、ローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3が他のフィルタ種類(例えば、移動平均フィルタ)の設定値Kxよりも適切な設定値Kxであるとしてフィルタ種類の使用設定値Yyとして確定された後に、変更部344は、調整対象の属性をフィルタ種類からカットオフ周波数に変更し、カットオフ周波数の設定値Nxを変更するようにした。これは、フィルタ種類の設定値Kxとしてローパスフィルタ又はハイパスフィルタの設定値K2,K3が確定されてから、カットオフ周波数の設定値Nxの調整をした方が、フィルタ種類の設定値Kx及びカットオフ周波数の設定値Nxを適切に調整できるからである。本実施の形態のように、フィルタ種類の設定値Kxの初期値として、測定レシピの設定値の初期値P1(測定レシピAの設定値)に対応付けられたフィルタ種類の設定値Kxは移動平均フィルタの設定値K1となっている。このように移動平均フィルタの設定値Kxが使用設定値として設定された場合、カットオフ周波数の設定値Nxを調整した後、フィルタ種類の設定値Kxを調整してローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3が適切な設定値Kxとなった場合を想定する。この場合、先に調整されたカットオフ周波数の設定値Nxは適切な使用設定値Yyとはならない可能性も有り得る。そのため、フィルタ種類の設定値Kxとしてローパスフィルタの設定値K2又はハイパスフィルタの設定値K3が確定されてから、カットオフ周波数の設定値Nxの調整しているのである。
なお、実施の形態9では、第1フィルタ調整処理、第2フィルタ調整処理、第3フィルタ調整処理の順に調整処理を実行しているが、第3フィルタ調整処理を第2フィルタ調整処理の前に行ってもよい。測定モード調整処理及び屈折率調整処理については、投光量調整処理、サンプリング周期調整処理及び測定レシピ調整処理の後であれば、第1フィルタ調整処理から第3フィルタ調整処理の前に実行されてもよいし、第1フィルタ調整処理から第3フィルタ調整処理の後で実行されてもよいし、第1フィルタ調整処理から第3フィルタ調整処理の途中で実行されてもよい。
実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、基準ワークを測定して複数属性の設定値Xxの中から各属性毎の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を更に軽減しつつ、複数属性の使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して各属性の設定値Xxの中から使用設定値Yyを事前調整する際に、各属性の初期値X1に基づく測定値が、目標測定値352の範囲内である場合は、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして初期値X1を使用し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は、変更部344は、使用設定値Yyを初期値X1とは異なる設定値(例えば、設定値Xx+1)に変更する。そのため、基準ワークを測定して使用設定値Yyの事前調整を行う際に、作業者の判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の設定値調整装置では、更新部345は、変更部344によって変更される前の使用設定値Yy(第1使用設定値、各属性の設定値Xx)を用いて測定された測定値(第1測定値)と、変更部344によって変更された後の使用設定値Yy(第2使用設定値、各属性の設定値Xx+1)を用いて測定された測定値(第2測定値)とのうち目標測定値352に近い測定値を取得した時の使用設定値Yyを、測定対象物1を測定する際に使用する使用設定値Yyとして更新する。そのため、基準ワークを測定して複数属性の使用設定値Yyの事前調整を行う際に、ユーザの判断や操作の負担を更に軽減しつつ、複数属性の使用設定値Yyを複数属性の適切な設定値Xxに更新できるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、設定値Xxの調整対象の属性は、複数あり、複数の属性は、投光量、サンプリング周期、測定モード、フィルタ種類、移動平均回数、カットオフ周波数及び屈折率のうちの2つ以上を含み、並びに、複数の属性の設定値Xxが設定された測定レシピを更に含み、測定レシピの設定値Pxを先ず調整し、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyとして、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の測定レシピに対応付けられた複数属性の使用設定値Yyを使用する。そして、変更部344によって変更された測定レシピに対応付けられた複数属性の使用設定値Yyを用いて測定された測定値が目標測定値352の範囲外であると判定された場合、調整対象の属性を複数の属性のうち測定レシピとは異なる属性に変更し、測定レシピとは異なる属性の使用設定値Yyを変更する。このように、先ず測定レシピの設定値Pxの調整を行うことから、複数属性の使用設定値Yyを調整する際の調整時間を短くできる可能性を高めることができるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、設定値Xxの調整対象の属性は複数あり、複数の属性は、投光量とサンプリング周期のうちの少なくとも1つである第1属性と、測定モード、フィルタ種類、移動平均回数、カットオフ周波数及び屈折率の少なくとも1つである第2属性を含む。そして、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の第1属性の使用設定値Yyを、測定対象物1を検査する際に使用する第1属性の使用設定値Yyに設定する。そして、測定値が目標測定値352の範囲外であると判定され、且つ、受光量が目標受光量353の範囲外であると判定された場合、変更部344は、調整対象の属性を第1属性から第2属性に変更し、第2属性の使用設定値Yyを変更する。このように、第2属性の設定値Xx(例えばJx,Kx,Lx,Nx,Ox)の調整処理に先立って、第1属性の設定値Xx(例えばIx,Mx)の調整処理が実行されるので、第1属性の調整処理に続く第2属性の調整処理において、測定値が目標測定値の範囲内となる可能性が高くなるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、設定値Xxの調整対象の属性は、投光量と、サンプリング周期と、を含む。そして、サンプリング周期の使用設定値Yy(サンプリング周期の設定値Mx)の変更の前に、投光量の使用設定値Yy(投光量の設定値Ix)が変更される。そして、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の投光量の使用設定値Yy(投光量の設定値Ix)を、測定対象物1を検査する際に使用する投光量の使用設定値Yyに設定する。そして、測定値が目標測定値352の範囲外であると判定され、且つ、受光量が目標受光量353の範囲外であると判定された場合、変更部344は、調整対象の属性を投光量からサンプリング周期に変更し、サンプリング周期の使用設定値Yy(サンプリング周期の設定値Mx)を変更する。このように、サンプリング周期の設定値Mxの調整処理に先立って、投光量の設定値Ixの調整処理が実行されるので、タクトタイムへの影響を軽減できるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、設定値Xxの調整対象の属性は複数あり、複数の属性は、移動平均フィルタを少なくとも含むフィルタ種類及び移動平均回数を含む。そして、変更部344は、移動平均回数の使用設定値Yy(移動平均回数の設定値Lx)の変更の前に、フィルタ種類の使用設定値Yy(フィルタ種類の設定値Kx)を変更し、フィルタ種類の使用設定値Yyが移動平均フィルタに確定した後に、変更部344は、調整対象の属性をフィルタ種類から移動平均回数に変更し、移動平均回数の使用設定値Yyを変更する。このような順番で調整することで、フィルタ種類の設定値Kx及び移動平均回数の設定値Lxを適切に調整できるという効果を奏する。
また、実施の形態9における変位計10の使用設定値調整処理では、設定値Xxの調整対象の属性は複数あり、複数の属性は、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの少なくとも1つを含むフィルタ種類と及びカットオフ周波数を含む。そして、変更部344は、カットオフ周波数の使用設定値Yy(カットオフ周波数の設定値Nx)の変更の前に、フィルタ種類の使用設定値Yy(フィルタ種類の設定値Kx)を変更し、フィルタ種類の使用設定値Yyがローパスフィルタ又はハイパスフィルタに確定した後に、変更部344は、調整対象の属性をフィルタ種類からカットオフ周波数の属性に変更し、カットオフ周波数の使用設定値Yyを変更する。このような順番で調整することで、フィルタ種類の設定値Kx及びカットオフ周波数の設定値Nxを適切に調整できるという効果を奏する。
実施の形態10.
続いて、実施の形態10の変位計10の設定値調整システムについて図1、図22、図29から図33を用いて説明する。なお、実施の形態1から実施の形態9と同じ構造については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施の形態10の変位計10の設定値調整システムにおいては、実施の形態6の図23に示した測定レシピ調整処理に代わり、図32に示す測定レシピ調整処理が実行される。具体的は、実施の形態6の測定レシピ調整処理におけるステップS603、ステップS604、ステップS605及びステップS606に代わり、実施の形態10における測定レシピ調整処理では、ステップS610及びステップS611が実行される点が実施の形態6に対して異なる。実施の形態10では、測定レシピ調整処理のステップS610及びステップS611が実行されることを除いて他の処理は実施の形態6と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
まず、実施の形態1にて説明を省略した物性検出部40について説明する。
物性検出部40は、測定対象物1の物性を特定する検出部であり、図1に示すように、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44を含む。第1検出部41から第4検出部44は、PLC20の第1通信I/F部21にそれぞれ接続される。PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41から第4検出部44の検出値を取得する。
第1検出部41は、図29に示すように、測定対象物1の物性が透明であるか検出する検出部である。第1検出部41は、例えば、測定対象物1及び測定対象物1の反対側に背景部材8の位置する方向の撮像画像を取得する撮像部であり、CCD(Charge Coupled Device)カメラが挙げられる。背景部材8の第1検出部41に面した表面には、印又は模様が印刷されている。そのため、測定対象物1が非透明体である場合、図29(a)に示すように、第1検出部41は、測定対象物1の表面の撮像画像を取得することとなり、撮像画像には、背景部材8の表面に印刷された印又は模様が写らない。また、測定対象物1が透明体である場合、図29(b)に示すように、第1検出部41は、測定対象物1の反対側に位置する背景部材8の表面が含まれた撮像画像を取得することとなり、第1検出部41の撮像画像には、背景部材8の表面に印刷された印又は模様が写る。第1検出部41は、測定対象物1の位置する方向の撮像画像を取得し、取得した撮像画像をPLC20に送信する。そして、PLC20の第1制御部22は、背景部材8の印又は模様が含まれた基準画像と実際の撮像画像とを公知のパターンマッチング法等により比較して、実際の撮像画像が基準画像と一致する場合には、測定対象物1の反対側に位置する背景部材8が撮像画像に写っていることから、測定対象物1は透明体と判定する。また、PLC20の第1制御部22は、背景部材8の印又は模様が含まれた基準画像と実際の撮像画像とを比較して、実際の撮像画像が基準画像と一致しない場合には、測定対象物1の表面が撮像画像に写っているものとして測定対象物1は非透明体と判定する。PLC20の第1制御部22のそれら判定結果はPC30に送信され、PC30の取得部341が取得する。なお、第1検出部41は、撮像部には限られず、投光器と受光器とを測定対象物1を挟むように対向配置するようにした透過型光電センサを用い、投光器からの光を受光器で受けるようにして測定対象物1の物性が透明であるかを検出するものであってもよく、測定対象物1の物性が透明であることを検出できるものであればどのようなものでもよい。また、PLC20の第1制御部22が判定をすることに限られず、PC30の第2制御部34にて判定するようにしてもよい。
第2検出部42は、図30に示すように、測定対象物1の物性として測定対象物1の表面が鏡面又は非鏡面であるか検出する検出部である。第2検出部42は、例えば、投光器と受光器が一体となった拡散反射型光電センサである。第2検出部42としての光電センサの投光器から照射された光が測定対象物1の表面で反射され、受光器が反射光を受ける。第2検出部42の受光器は、測定対象物1からの受光量検出値を取得し、取得した受光量検出値をPLC20に送信する。そして、PLC20の第1制御部22は、受光量検出値が設定閾値よりも大きい場合には、図30(a)に示すように、測定対象物1の表面で鏡面反射が生じており、測定対象物1の表面は鏡面であると判定する。また、PLC20の第1制御部22は、受光量検出値が設定閾値よりも小さい場合には、図30(b)に示すように、測定対象物1の表面で拡散反射が生じており、測定対象物1の表面は非鏡面であると判定する。PLC20の第1制御部22のそれら判定結果はPC30に送信され、PC30の取得部341が取得する。なお、第2検出部42は、拡散反射型光電センサには限られず、測定対象物1の表面が鏡面か非鏡面であるかを検出できるものであればどのようなものでもよい。また、PLC20の第1制御部22が判定をすることに限られず、PC30の第2制御部34にて判定するようにしてもよい。
第3検出部43は、測定対象物1の物性として金属等の電気伝導体であるか検出する検出部である。第3検出部43は、例えば、誘導形近接センサである。誘導形近接センサは、検出コイルより高周波磁界を発生し、この磁界に測定対象物1が近づくと、測定対象物1が電気伝導体であれば、電磁誘導により検出対象に誘導電流(渦電流)が流れる。誘導形近接センサは、この電流により検出コイルのインピーダンスが変化、あるいは発振が停止することに基づいて測定対象物1が電気伝導体であるかを検知する。そして、誘導形近接センサは、導体を検出した場合に出力信号がオンとなり、PLC20へオン信号を出力する。また、誘導形近接センサは、電気伝導体を検出しない場合には出力信号がオフとなる。なお、第3検出部43は、誘導形近接センサには限られず、測定対象物1の物性が電気伝導体であることを検出できるものであればどのようなものでもよい。
第4検出部44は、図31に示すように、測定対象物1の物性として物体が硬いものであるかを検出する検出部である。第4検出部44は、例えば、測定対象物1の表面に向けて突出した触針431が弾性的に測定対象物1の表面に接触する接触式変位センサである。接触式変位センサは、金属等のように硬い測定対象物1であれば、図31(a)に示すように、触針441が縮んで出力信号がオンとなり、PLC20へオン信号を出力する。また、ゴム等のように測定対象物1の表面が変形する場合には、図31(b)に示すように、触針441の位置が伸びて出力信号がオフとなる。なお、第4検出部44は、接触式変位センサには限られず、測定対象物1の物性として物体の硬いものであるかを検出できるものであればどのようなものでもよい。
続いて、実施の形態10の使用設定値自動調整処理について説明する。実施の形態10では、実施の形態6と同様に、図22で示した使用設定値自動調整処理が実行される。そして、使用設定値自動調整処理において、ステップS50に進んだ場合、実施の形態6の図23に示した測定レシピ調整処理に代わり、図32に示す測定レシピ調整処理が実行される。
実施の形態10の測定レシピ調整処理は、図32に示すように、前述のように、実施の形態6の測定レシピ調整処理におけるステップS603、ステップS604、ステップS605及びステップS606に代わり、実施の形態10における測定レシピ調整処理では、ステップS610及びステップS611が実行される。
実施の形態10の測定レシピ調整処理においては、実施の形態6と同様にステップS601、ステップS602及びステップS607が実行される。
判定部343が、ステップS601にて、測定対象値が透明体の隙間又は透明体の厚みが選択されていないと判定した場合(ステップS601:NO)は、ステップS603に進む。
ステップS610では、PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44等の物性検出部40の検出結果を取得する。
ステップS611では、PC30の変更部344は、物性検出部40の検出結果及び後述する測定レシピ調整テーブルに基づいて、測定レシピの設定値Pxを変更する。
図33に示す測定レシピ調整テーブルは、PC30の第2記憶部35に予め記憶されたテーブルであり、測定レシピの設定値Pxを変更する際に使用される。測定レシピ調整テーブルの「○」及び「×」の定義を説明する。測定レシピ調整テーブルにおいて、第1検出部41の検出結果として測定対象物1が透明体である場合は第1検出部41の列に「○」を付し、測定対象物1が非透明体である場合は第1検出部41の列に「×」を付している。また、第2検出部42の検出結果として測定対象物1の表面が鏡面である場合は第2検出部42の列に「○」を付し、測定対象物1の表面が非鏡面である場合は第2検出部42の列に「×」を付している。また、第3検出部43の検出結果として測定対象物1が電気伝導体である場合は第3検出部43の列に「○」を付し、測定対象物1が絶縁体である場合は第3検出部43の列に「×」を付している。また、第4検出部44の検出結果として測定対象物1が金属等のように硬い材質である場合は第4検出部44の列に「○」を付し、測定対象物1がゴム等のように柔らかい材質である場合は第4検出部44の列に「×」を付している。
そして、測定レシピ調整テーブル中の各測定レシピは、物性検出部40としての第1検出部41から第4検出部44の検出結果に基づいて選択される。例えば、第1検出部41の検出結果が「×(非透明体)」、第2検出部42の検出結果が「×(非鏡面)」、第3検出部43の検出結果が「×(絶縁体)」及び第4検出部44の検出結果が「○(硬い)」である場合、測定対象物1の物性は、例えば、一般的な樹脂等のため、測定レシピAの設定値Pxが選択される。また、第1検出部41の検出結果が「×(非透明体)」、第2検出部42の検出結果が「×(非鏡面)」、第3検出部43の検出結果が「○(電気伝導体)」及び第4検出部44の検出結果が「○(硬い)」である場合、測定対象物1の物性は、非鏡面の金属のため、測定レシピBの設定値Pxが選択される。測定レシピ調整テーブルに示すその他の各測定レシピの設定値Pxも同様に、図33に示した第1検出部41から第4検出部44の検出結果の「○」「×」の組み合わせによって選択される。
つまり、変更部344は、図22に示したステップS10Aで設定された測定レシピの初期値P1から、第1検出部41から第4検出部44及び測定レシピ調整テーブルに基づいて選択された測定レシピの設定値Pxに変更するとともに、選択された測定レシピの設定値Pxに対応付けられている各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox,Px・・・)を使用設定値格納領域355に記憶することで、使用設定値Yyを各属性の設定値Xxに変更する。このとき、選択された測定レシピの設定値Px及び選択された測定レシピの設定値Pxに対応付けられている各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を最適化設定値格納領域356にも記憶する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された使用設定値Yyである各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Pxを除く)をPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に受信した各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Pxを除く)を記憶させ設定する。そして、ステップS607に進む。
ステップS607では、実施の形態6と同様に、更新部345は、測定レシピ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFPを設定する。また、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に、測定レシピ調整処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている測定レシピの最適化設定値P_optに対応付けられた各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Pxを除く)を保持させる。
なお、実施の形態10の測定レシピ調整処理は、実施の形態6と同様に、測定レシピの設定値Pxのみを調整するものであったが、実施の形態10の測定レシピ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における測定レシピ調整処理に適用することもできる。
なお、実施の形態10の測定レシピ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における測定レシピ調整処理に適用しない場合、実施の形態10の測定レシピ調整処理のステップS611では、選択された測定レシピの設定値Pxに対応付けられている各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox,Px・・・)を最適化設定値格納領域356のみに記憶させればよい。また、選択された測定レシピの設定値Pxに対応付けられている各属性の設定値Xx(Pxを除く)は、ステップS607でPLC20の使用設定値格納領域232に保持させるので、ステップS611においてはPLC20の使用設定値格納領域232設定する処理を省略しても構わない。
実施の形態10における変位計10の設定値調整装置では、取得部341は、基準ワークの物性を検出する物性検出部40からの検出値を取得し、変更部344は、物性検出部40の検出値に基づいて測定レシピの使用設定値を変更する。そして、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の測定レシピに対応付けられた各属性の使用設定値Yyを、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定する。そのため、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。また、使用設定値Yyを基準ワークの物性に合った適切な設定値Pxに変更できるという効果を奏する。また、物性検出部40の検出値に基づいて測定レシピの使用設定値Yyを変更するため、何度も測定レシピ調整処理を繰り返す必要が無く、測定レシピの使用設定値Yyを早く確定できるという効果を奏する。
実施の形態11.
続いて、実施の形態11の変位計10の設定値調整システムについて図1、図14、図34及び図35を用いて説明する。なお、実施の形態1から10と同じ構造については、同一の処理については説明を省略する。
実施の形態11の変位計10の設定値調整システムにおいては、実施の形態3の図18に示した第2フィルタ調整処理に代わり、図34に示す第2フィルタ調整処理が実行される。具体的には、実施の形態3の第2フィルタ調整処理におけるステップS304、ステップS305、ステップS306及びステップS307に代わり、実施の形態11における第2フィルタ調整処理では、ステップS309及びステップS310が実行される点が実施の形態3に対して異なる。実施の形態11では、第2フィルタ調整処理のステップS309及びステップS310が実行されることを除いて他の処理は実施の形態3と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
実施の形態11の使用設定値自動調整処理は、実施の形態3と同様に、図14に示した使用設定値自動調整処理が実行される。そして、使用設定値自動調整処理において、ステップS50に進んだ場合、図18に示した第2フィルタ調整処理に代わり、図34に示す第2フィルタ調整処理が実行される。
実施の形態11の第2フィルタ調整処理においては、実施の形態3と同様に、ステップS301、ステップS302及びステップS303が実行される。そして、ステップS309に進む。
ステップS309では、実施の形態10のステップS610と同様に、PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44等の物性検出部40の検出結果を取得する。
ステップS310では、PC30の変更部344は、物性検出部40の検出結果及び後述する移動平均回数調整テーブルに基づいて、移動平均回数の設定値Lxを変更する。
図35に示す移動平均回数調整テーブルは、PC30の第2記憶部35に予め記憶されたテーブルであり、移動平均回数の設定値Lxを変更する際に使用される。移動平均回数調整テーブルの「○」及び「×」の定義は、実施の形態10で説明したものと同じである。
そして、移動平均回数調整テーブル中の移動平均回数の設定値Lxは、物性検出部40としての第1検出部41から第4検出部44の検出結果に基づいて、測定対象物1としての基準ワークの表面物性に合わせて選択される。具体的には、移動平均回数調整テーブル中の移動平均回数の設定値Lxは、基準ワークの表面が滑らかな鏡面であれば、移動平均回数の設定値Lxが小さくなるように設定され、基準ワークの表面が凹凸のある粗面であれば、移動平均回数の設定値Lxが大きくなるように設定されている。例えば、第1検出部41の検出結果が「×(非透明体)」、第2検出部42の検出結果が「○(鏡面)」、第3検出部43の検出結果が「○(電気伝導体)」及び第4検出部44の検出結果が「○(硬い)」である場合、測定対象物1の表面物性は、例えば、表面が鏡面である金属のため、移動平均回数の設定値Lxとして32回が選択される。また、第1検出部41の検出結果が「×(非透明体)」、第2検出部42の検出結果が「×(非鏡面)」、第3検出部43の検出結果が「○(電気伝導体)又は×(絶縁体)」及び第4検出部44の検出結果が「○(硬い)」である場合、測定対象物1の表面物性は、標準的な材質又は表面が非鏡面の金属のため、移動平均回数の設定値Lxとして128回が選択される。また、第1検出部41の検出結果が「○(透明体)」、第2検出部42の検出結果が「×(非鏡面)」、第3検出部43の検出結果が「○(電気伝導体)」及び第4検出部44の検出結果が「○(硬い)」である場合、測定対象物1の表面物性は、パターン付ガラスのため、移動平均回数の設定値Lxとして512回が選択される。
つまり、変更部344は、図14に示したステップS10で設定された移動平均回数の初期値L1から、第1検出部41から第4検出部44及び移動平均回数調整テーブルに基づいて選択された移動平均回数の設定値Lxを使用設定値格納領域355に記憶することで、使用設定値Yyを選択された移動平均回数の設定値Lxに変更する。このとき、選択された移動平均回数の設定値Lxを最適化設定値格納領域356にも記憶する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された使用設定値Yyである選択された移動平均回数の設定値LxをPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に受信した選択された移動平均回数の設定値Lxを記憶させ設定する。そして、ステップS308に進む。
ステップS308では、実施の形態3と同様に、更新部345は、第2フィルタ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFLを設定する。また、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に、第2フィルタ調整処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている移動平均フィルタの最適化設定値L_optを保持させる。
なお、実施の形態11の第2フィルタ調整処理は、実施の形態3と同様に、移動平均回数の設定値Lxのみを調整するものであったが、実施の形態11の第2フィルタ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における第2フィルタ調整処理に適用することもできる。
なお、実施の形態11の第2フィルタ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における第2フィルタ調整処理に適用しない場合、実施の形態11の第2フィルタ調整処理のステップS310では、選択された移動平均回数の設定値Lxを最適化設定値格納領域356のみに記憶させればよい。また、選択された移動平均回数の設定値Lxは、ステップS310でPLC20の使用設定値格納領域232に保持させるので、ステップS308においてはPLC20の使用設定値格納領域232設定する処理を省略しても構わない。
実施の形態11における変位計10の設定値調整装置では、取得部341は、基準ワークの物性を検出する物性検出部40からの検出値を取得する。また、設定値Xxは、移動平均フィルタの設定値Lxを含む。そして、変更部344は、物性検出部40の検出値に基づいて移動平均回数の使用設定値Yy(移動平均フィルタの設定値Lx)を変更する。そして、測定値が目標測定値352の範囲内であると判定された場合、目標測定値352の範囲内であると判定された測定値を取得した時の移動平均回数の使用設定値Yy(移動平均フィルタの設定値Lx)を、測定対象物1を検査する際に使用する使用設定値Yyに設定する。そのため、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを調整できるという効果を奏する。また、使用設定値Yyを基準ワークの物性に合った適切な移動平均回数の設定値Lxに変更できるという効果を奏する。また、物性検出部40の検出値に基づいて移動平均回数の使用設定値Yyを変更するため、何度も第2フィルタ調整処理を繰り返す必要が無く、移動平均回数の使用設定値Yyを早く確定できるという効果を奏する。
実施の形態12.
続いて、実施の形態12の変位計10の設定値調整システムについて図1、図36及び図37を用いて説明する。なお、実施の形態1から11と同じ構造及び同一の処理については説明を省略する。
実施の形態12の変位計10の設定値調整システムにおいては、実施の形態11の図34に示した第2フィルタ調整処理に代わり、図36に示す第2フィルタ調整処理が実行される。具体的には、実施の形態11の第2フィルタ調整処理におけるステップS309及びステップS310に代わり、実施の形態12における第2フィルタ調整処理では、ステップS311及びステップS312が実行される点が実施の形態11に対して異なる。実施の形態11では、第2フィルタ調整処理のステップS311及びステップS312が実行されることを除いて他の処理は実施の形態11と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
まず、実施の形態1で説明を省略した温度センサ50について説明する。
図1に示す温度センサ50は、変位計10の温度を検出する温度検出部である。検出温度は、変位計10の内部又は周囲温度等の温度である。なお、工場内は、一般的に、室温を一定に保っていることが多いので、周囲温度として室温を用いることもできる。温度センサ50は、第1検出部41から第4検出部44等の物性検出部40に加え、PLC20の第1I/F部21に接続される。PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41から第4検出部44等の物性検出部40及び温度センサ50の検出温度を取得する。
続いて、実施の形態12の第2フィルタ調整処理について、図36を参照しながら説明する。
実施の形態12の第2フィルタ調整処理においては、実施の形態11と同様に、ステップS301、ステップS302及びステップS303が実行される。そして、ステップS311に進む。
ステップS311では、実施の形態11のステップS309と同様に、PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44等の物性検出部40の検出結果を取得する。実施の形態12では、取得部341は、更に温度センサ50の検出温度も検出結果として取得する。
ステップS312では、PC30の変更部344は、物性検出部40及び温度センサ50の検出結果及び後述する移動平均回数調整テーブルに基づいて、移動平均回数の設定値Lxを変更する。
実施の形態12では、実施の形態11の図35に示した移動平均回数調整テーブルに代わり、図37に示す移動平均回数調整テーブルが移動平均回数の設定値Lxを変更する際に使用される。移動平均回数調整テーブルの「○」及び「×」の定義は、実施の形態10で説明したものと同じである。
実施の形態12における図37に示す移動平均回数調整テーブルでは、実施の形態11の図35に示した移動平均回数調整テーブルを元にしているものの、更に温度センサ50の検出温度に基づいて、移動平均回数の設定値Lxを異ならせている。具体的には、温度センサ50の検出温度が第1温度であれば、実施の形態11の図35に示した移動平均回数調整テーブル中の移動平均回数の設定値Lxと同じであるが、温度センサ50の検出温度が第2温度であれば、移動平均回数の設定値Lxを大きくし、移動平均回数が増加するようにしている。なお、第2温度は第1温度よりも高い温度である。このように温度センサ50の検出温度が高くなるほど移動平均回数が増加するように移動平均回数の設定値Lxを変更している理由は、変位計10を構成する構成要素の熱膨張により、測定値が安定しなくなり、温度が高くなるほど測定値の目標測定値352に対するばらつきが大きくなるためである。
つまり、ステップS312では、変更部344は、図14に示したステップS10で設定された移動平均回数の初期値L1から、第1検出部41から第4検出部44、温度センサ50及び図37に示した移動平均回数調整テーブルに基づいて選択された移動平均回数の設定値Lxを使用設定値格納領域355及び最適化設定値格納領域356に記憶し、選択された移動平均回数の設定値Lxに変更する。また、変更部344は、選択された移動平均回数の設定値Lxを、第1制御部22は使用設定値格納領域232に設定する。そして、ステップS308に進む。
ステップS308では、実施の形態11と同様に、更新部345は、第2フィルタ調整処理の完了を示す最適化完了フラグFLを設定し、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に、第2フィルタ調整処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている移動平均フィルタの最適化設定値L_optを保持させる。
なお、実施の形態12の第2フィルタ調整処理は、実施の形態11と同様に、実施の形態12の第2フィルタ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における第2フィルタ調整処理に適用することもできる。
なお、実施の形態12の第2フィルタ調整処理を実施の形態9の測定モード調整処理からサンプリング周期調整処理を組み合わせた使用設定値自動調整処理における第2フィルタ調整処理に適用しない場合は、実施の形態12の第2フィルタ調整処理のステップS311では、選択された移動平均回数の設定値Lxを最適化設定値格納領域356のみに記憶させればよい。また、選択された移動平均回数の設定値Lxは、ステップS311でPLC20の使用設定値格納領域232に保持させるので、ステップS312においてはPLC20の使用設定値格納領域232設定する処理を省略しても構わない。
実施の形態12における変位計10の設定値調整装置では、取得部341は、変位計10の温度を検出する温度検出部の検出温度を取得し、変更部344は、温度検出部の前記検出温度が高いほど前記移動平均回数が増加するよう移動平均回数の使用設定値Yyを変更する。そのため、変位計10の温度に合った適切な移動平均回数の設定値Lxに使用設定値Yyを変更できるという効果を奏する。
実施の形態13.
続いて、実施の形態13の変位計10の設定値調整システムについて図38から図39を用いて説明する。なお、実施の形態1から12と同じ構造及び同一の処理については説明を省略する。
実施の形態13の変位計10の設定値調整システムにおいては、実施の形態12の温度センサ50に代わり、図38に示すように振動センサ51が用いられる。また、実施の形態12の図36に示した第2フィルタ調整処理に代わり、図39に示す第2フィルタ調整処理が実行される。具体的には、実施の形態12の第2フィルタ調整処理におけるステップS311及びステップS312に代わり、実施の形態13における第2フィルタ調整処理では、ステップS313及びステップS314が実行される点が実施の形態12に対して異なる。実施の形態12では、第2フィルタ調整処理のステップS313及びステップS314が実行されることを除いて他の処理は実施の形態12と同じであるため、同じ処理については説明を省略する。
まず、実施の形態13で用いる振動センサ51について説明する。
図38に示す振動センサ51は、変位計10の振動を検出する振動検出部である。振動センサ51の検出値は、変位計10の振動に相当する加速度である。PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41から第4検出部44等の物性検出部40及び振動センサ51の検出値を取得する。
続いて、実施の形態13の第2フィルタ調整処理について、図39を参照しながら説明する。
実施の形態13の第2フィルタ調整処理においては、実施の形態11と同様に、ステップS301、ステップS302及びステップS303が実行される。そして、ステップS313に進む。
ステップS313では、実施の形態12のステップS311と同様に、PC30の取得部341は、PLC20を介して、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44等の物性検出部40の検出結果を取得する。実施の形態13では、取得部341は、振動センサ51の検出値も検出結果として取得する。
ステップS314では、PC30の変更部344は、物性検出部40及び振動センサ51の検出値及び後述する移動平均回数調整テーブルに基づいて、移動平均回数の設定値Lxを変更する。
実施の形態13では、実施の形態12の図37に示した移動平均回数調整テーブルに代わり、図40に示す移動平均回数調整テーブルが移動平均回数の設定値Lxを変更する際に使用される。
実施の形態13における図40に示す移動平均回数調整テーブルでは、実施の形態12の図37に示した移動平均回数調整テーブルを元にしているものの、振動センサ51の検出値に基づいて、移動平均回数の設定値Lxを異ならせている。具体的には、振動センサ51が振動を検出しない場合は、実施の形態11の図35に示した移動平均回数調整テーブル中の移動平均回数の設定値Lxと同じであるが、振動センサ51が振動を検出した場合は、移動平均回数の設定値Lxを大きくし、移動平均回数が増加するようにしている。なお、振動センサ51による振動の検出方法は、振動センサ51によって検出される加速度が予め設定された振動閾値を超える場合は振動有りと判定するようにする。このように振動センサ51の検出値が大きくなるほど移動平均回数が増加するように移動平均回数の設定値Lxを変更している理由は、変位計10の振動により、測定値が安定しなくなり、振動が大きくなるほど測定値の目標測定値352に対するばらつきが大きくなるためである。
実施の形態13における変位計10の設定値調整装置では、取得部341は、変位計10の振動を検出する振動検出部の検出値を取得し、変更部344は、振動検出部の前記検出値が大きいほど前記移動平均回数が増加するよう移動平均回数の使用設定値Yyを変更する。そのため、変位計10の振動に応じた適切な移動平均回数の設定値Lxに使用設定値Yyを変更できるという効果を奏する。
実施の形態14.
続いて、実施の形態14の変位計10の設定値調整システムについて図5、図6、図10、図21、図41から図43を用いて説明する。なお、実施の形態1から12と同じ構成については、説明を省略する。
実施の形態14の変位計10の設定値調整システムでは、実施の形態1から12のPC30に代わり、PC30Aが使用される。PC30Aは、機械学習装置36を更に含んでいる点を除いて、実施の形態1から実施の形態12のPC30の構成と同じである。そして、機械学習装置36が、変位量を示す測定値、受光量及び使用設定値Yyに基づいて、目標測定値352の範囲内となる使用設定値Yy及び目標受光量353の範囲内となる使用設定値Yyを学習する。なお、測定値、受光量、使用設定値Yy、目標測定値352及び目標受光量353は、実施の形態1から12で用いたものと同じである。
実施の形態14の変位計10の設定値調整システムについて、以下では、PC30と機械学習装置36とが一体化されたPC30Aを例に挙げて説明する。なお、機械学習装置36は、PC30Aと一体化されていてもよいし、PC30Aの外部に設けられた別個のコンピュータであってもよい。或いは、機械学習装置36はクラウドサーバに存在していてもよい。なお、機械学習装置36の機能はプロセッサにより実現される。
図41は、実施の形態14に係る変位計10の設定値調整システムの全体構成を示す図である。図41の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1の変位計10の設定値調整システムと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。PC30Aは、PC30に加えて、使用設定値Yyを学習する機械学習装置36を備えている。
機械学習装置36は、状態観測部361と学習部363とを備えている。機械学習装置36は、第2制御部34及び第2記憶部35に接続されている。
状態観測部361は、使用設定値Yyを用いて基準ワークを測定した際に取得部341によって取得された測定値及び受光量と、測定値及び受光量を取得した際の使用設定値Yyと、を状態変数362として観測する。状態観測部361が観測する測定値及び受光量は、測定値及び受光量を取得した際の使用設定値Yyに対応付けされている。そして、状態観測部361は、観測結果である状態変数362を学習部363に送る。
学習部363は、状態変数362に従って、使用設定値Yyを学習する。換言すると、学習部363は、測定値が目標測定値352の範囲内となる使用設定値Yy及び受光量が目標受光量353の範囲内となる使用設定値Yyを学習する。具体的には、測定値、受光量及び測定値及び受光量を取得した際の使用設定値Yyを含んだ状態変数362に基づいて作成される訓練データセットに従って、測定値が目標測定値352の範囲内となる使用設定値Yy及び受光量が目標受光量353の範囲内となる使用設定値Yyを学習する。実施の形態14において、学習部363は、強化学習の概念に従って、測定値及び受光量と、測定値及び受光量を取得した際の使用設定値Yyとの関係性を学習する。
実施の形態14の機械学習装置36は、公知のQ学習の手法に従って強化学習を実行する。機械学習装置36は、或る状態変数sのときに行動aを選択した場合の行動価値Q(期待値)を求める行動価値関数Q(st,at)に基づいて、最良の行動を学習する。
学習の初期段階では、或る状態変数sと行動aの組合せに対して割当てられる行動価値Qは未知である。機械学習装置36は、種々の状態変数sに対して行動aをランダムに選択して実行し、行動aの結果として与えられる報酬を積算することによって、行動価値関数Q(st,at)を更新する。行動価値関数Q(st,at)を更新する一般式は、式2で表される。
(数1)
Q(st,at)←Q(st,at)
+α(rt+1+γmaxQ(st+1,at+1)―Q(st,at))
・・・(式2)
ここで、stは、時刻tにおける状態変数である。atは、時刻tにおいて実行される行動である。st+1は時刻t+1における状態変数であり、換言すれば、行動atを行った結果として変化した後の状態変数である。rt+1は行動atの結果として変化する環境に応じて与えられる報酬である。「max」の項は、状態変数st+1における行動価値Qの最大値(すなわち、最良の行動aに対する行動価値)を表している。γは割引率であり、0<γ≦1を満足するように設定される(例えば、γ=0.9〜0.99)。αは学習係数であり、0<α≦1を満足するように設定される(例えば、α=0.05〜0.2)。なお、Q学習を変位計10の設定値調整システムに適用した実施の形態14では、使用設定値Yyが行動atとなる。
式2で表される更新式は、時刻t+1における最良の行動aの行動価値が、時刻tにおいて実行された行動aの行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻tにおける行動aの行動価値Qを、時刻t+1における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(st,at)を更新する。それにより、或る環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝播していくようになる。
図42に戻り、学習部363は、報酬計算部364と、関数更新部365とを備えている。
報酬計算部364は、状態変数362に基づいて報酬を計算する。すなわち、報酬計算部364は、取得部341の取得した測定値及び受光量に基づいて、報酬を計算する。報酬計算部364は、受光量が目標受光量353に近いほど大きな報酬を与える。また、報酬計算部364は、測定値が目標測定値352に近いほど大きな報酬を与える。報酬計算部364は、受光量への報酬と、測定値への報酬とで報酬の大きさに重み付けを行ってもよい。実施の形態1でも説明した通り、受光量が大きすぎる場合及び受光量が小さすぎる場合は受光量波形の山Pの頂点の位置の特定精度が大きく悪化するため、受光量への報酬に対しては、測定値への報酬よりも大きな差を付けた報酬を与えてもよい。この場合、例えば、報酬計算部364は、受光量へは「+1」〜「−1」の報酬を与え、測定値へは「+0.2」〜「−0.2」の報酬を与えることができる。なお、報酬計算部364は、計算した報酬を関数更新部365に送る。
関数更新部365は、測定値及び受光量を基準ワークから取得する際の使用設定値Yyを決定するための関数を記憶しており、報酬計算部364によって計算された報酬に従って、関数を更新する。測定値及び受光量を基準ワークから取得する際の使用設定値Yyを決定するための関数の例は、前述の行動価値関数Q(st,at)である。なお、関数の更新は、訓練データセットに従って、例えば行動価値テーブルを更新することによって行うことができる。行動価値テーブルは、行動atと、状態変数stと、その行動価値Qとを関連付けてテーブルの形式で記憶したデータセットである。実施の形態14の関数更新部365は、状態観測部361が測定値及び受光量を新たに観測するたびに行動価値関数Q(st,at)を更新する。また、関数更新部365は、更新した行動価値関数Q(st,at)を第2記憶部35に送信し記憶させる。
第2記憶部35は、これまでの学習データ、および学習に用いるデータを記憶しておく。学習データの例は、学習された使用設定値Yyであり、学習に用いるデータの例は、学習部363が学習の際に用いる行動価値関数Q(st,at)である。第2記憶部35の最適化設定値格納領域356が記憶しておく使用設定値Yyは、過去に測定値及び受光量を基準ワークから取得した際の使用設定値Yyの中で最も報酬の高かった使用設定値Yyである。第2記憶部35は、各属性の使用設定値Yyごとに、過去に測定値及び受光量を取得した時の使用設定値Yyの中で最も報酬の高かった使用設定値Yyと、この使用設定値Yyに対応する測定値及び受光量との組み合わせを記憶しておく。
まず、実施の形態1と同様に、図6の調整手順に示したように、ステップS1からステップS5が実行される。その際に、図10に示した設定値Xxの自動調整のボタン732が選択された場合には、ステップS5の処理として、図43に示す使用設定値学習処理が開始される。
次に、図43に示されるフローチャートを参照して、行動価値Q(st,at)を更新する強化学習方法の処理手順について説明する。図43は、実施の形態14に係るPC30Aで実行される使用設定値学習処理を示すフローチャートである。以下では、まず、使用設定値Yyを学習する対象となる属性が、測定レシピである場合について説明する。
まず、ステップS900では、設定部342は、全設定値351の中から属性毎に各1つずつ設定値Xxを読み出して使用設定値格納領域355及び使用設定値格納領域232に格納し、使用設定値Yyとして設定する。具体的には、設定部342は、測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を読み出して使用設定値格納領域355及び使用設定値格納領域232に格納し、使用設定値Yyとして設定する。ステップS900においては、使用設定値学習処理の前であるため、図5及び図21に示した複数の測定レシピの設定値Pxの中から1つランダムに選択し、選択された測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を使用設定値Yyに設定してもよい。また、実施の形態6の図22で示したステップS10Aのように、測定レシピの設定値Pxの初期値P1である測定レシピAの設定値に対応付けられている各属性の設定値Xx(I1,J1,K1,L1,M1,なし,なし・・・)を使用設定値Yyとして設定してもよい。また、実施の形態1のステップS10と同様に、設定部342は、属性毎に図5の中央の列に記載されている初期値X1を使用設定値Yyに設定してもよい。
そして、ステップS901では、状態観測部361は、PLC20及びPC30の取得部341を介して、使用設定値格納領域232に格納されている使用設定値Yyを使用して取得した測定値及び受光量と、使用設定値格納領域355に格納されている使用設定値Yyと、を観測する。また、状態観測部361は、状態変数362を報酬計算部364に送る。すなわち、状態観測部361は、使用設定値Yyを用いて基準ワークを測定した際の測定値及び受光量と、測定値及び受光量を取得した際の使用設定値Yyと、が対応付けされた情報を報酬計算部364に送る。
ステップS902では、報酬計算部364は、状態観測部361から今回取得した受光量が、これまで過去に取得した、目標受光量353に最も近い受光量よりも目標受光量353により近い値であるか否かを判定する。そして、今回取得した受光量が、これまでに取得した目標受光量353に最も近い受光量よりも目標受光量353により近い値である場合(ステップS902:YES)、ステップS903に進む。今回取得した受光量が、これまでに取得した目標受光量353に最も近い受光量よりも目標受光量353から遠い値である場合(ステップS902:NO)、ステップS904に進む。なお、目標受光量353は、実施の形態7で説明したものと同様に、400から800の範囲のように下限目標受光量と上限目標受光量との間の範囲としてもよいし、600のように特定の一つの値でもよい。
ステップS903では、報酬計算部364は、報酬を増大させる。また、ステップS904では、報酬計算部364は、報酬を減少させる。なお、今回取得した受光量が、これまでに取得した目標受光量353に最も近い受光量と同じである場合には、報酬計算部364は、報酬を増大も減少もさせずに維持させてもよい。そして、ステップS903又はステップS904が実行された後、ステップS905に進む。
そして、ステップS905では、報酬計算部364は、状態観測部361から今回取得した測定値が、これまで過去に取得した目標測定値352に最も近い測定値よりも目標測定値352に近い値であるか否かを判定する。そして、今回取得した測定値が、これまでに取得した目標測定値352に最も近い測定値よりも目標測定値352に近い値である場合(ステップS905:YES)、ステップS906に進む。今回取得した測定値が、これまでに取得した目標測定値352に最も近い測定値よりも目標測定値352から遠い値である場合(ステップS905:NO)、ステップS907に進む。なお、目標測定値352は、実施の形態1で説明したものと同様に、ユーザ操作により指定された上限閾値と下限閾値との間の範囲としてもよいし、基準ワークの表面を測定中心距離に合わせているのであれば変位量0等の特定の一つの値でもよい。
ステップS906では、報酬計算部364は、報酬を増大させる。また、ステップS907では、報酬計算部364は、報酬を減少させる。なお、今回取得した測定値が、これまでに取得した目標測定値352に最も近い測定値と同じである場合には、報酬計算部364は、報酬を増大も減少もさせずに維持させてもよい。そして、ステップS906又はステップS907が実行された後、ステップS908に進む。
ステップS908では、関数更新部365は、増大または減少させた報酬に基づいて、行動価値関数Q(st,at)を更新する。そして、関数更新部365は、更新した行動価値関数Q(st,at)を第2記憶部35に送信し記憶させる。また、関数更新部365は、第2制御部34の更新部345に命令し、更新部345は、測定値及び受光量を基準ワークから取得した際の過去の使用設定値Yy(今回の使用設定値Yyも含む)の中で最も報酬の高い使用設定値Yyを最適化設定値格納領域356に記憶させる。より具体的には、更新部345は、過去の使用設定値Yy(今回の使用設定値Yyも含む、測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)の組み合わせ)の中で最も報酬の高い使用設定値Yy(最も報酬の高い測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xxの組み合わせ)と、この使用設定値Yyに対応する測定値及び受光量との組み合わせを記憶させる。そして、ステップS909に進む。
ステップS909では、判定部343は、全ての設定値Xxを使用設定値Yyに用いて基準ワークを測定して得られた全ての受光量及び測定値を取得済みか否か判定する。具体的には、使用設定値Yyを学習する対象となる属性が、測定レシピであれば、全ての測定レシピの設定値Pxを使用設定値Yyに用いて基準ワークを測定して得られた全ての受光量及び測定値を取得済みか否か判定する。例えば、判定部343が、使用設定値学習処理の開始から取得部341が取得した受光量及び測定値の少なくとも一方の数が第2記憶部35の全設定値351中の測定レシピの設定値Pxの数と一致するか否かを確認することで全ての測定値を取得済みか否か判定する。ステップS909にて、全ての受光量及び測定値を取得済みでないと判定された場合(ステップS909:NO)は、ステップS910に進む。また、ステップS909にて、全ての受光量及び測定値を取得済みであると判定された場合(ステップS909:YES)は、ステップS911に進む。
ステップS910では、変更部344が、受光量及び測定値を取得済みの測定レシピの設定値Pxとは異なる新たな設定値Pxを全設定値351から読み出す。そして、変更部344は、新たな測定レシピの設定値Px及び新たな測定レシピの設定値Pxに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を使用設定値格納領域355に格納し、使用設定値Yyを変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Pxを除き、測定レシピの設定値Pxに対応付けられたIx,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)をPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xx(測定レシピの設定値Pxに対応付けられたIx,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を記憶させ設定する。その後、ステップS901に戻り、新たな測定レシピの設定値Pxに対応付けられた設定値Xxを使用設定値Yyとして使用し、ステップS901からステップS910の処理を測定レシピの設定値Pxが変更されるごとに繰り返し実行される。
ステップS909にて全ての受光量及び測定値を取得済みであると判定された場合(ステップS909:YES)は、ステップS911にて、更新部345は、全ての測定レシピの設定値Pxを使用設定値Yyに用いて全ての受光量及び測定値を取得済みであり使用設定値学習処理が完了しているので、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、使用設定値学習処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている測定レシピの最適化設定値P_optに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を、第1記憶部23に各属性の使用設定値Yyとして保持させる。そして、使用設定値学習処理を終了する。
なお、実施の形態14にて、測定レシピの設定値Pxを学習する例を説明したが、測定レシピの設定値Pxとは異なる他の属性の設定値Xxの少なくとも1つを学習するようにしてもよい。以下に、他の複数の属性の設定値Xxを学習するものを実施の形態14に適用した場合の変形例について図43を参照しながら説明する。
まず、ステップS900では、設定部342は、全設定値351の中から属性毎に各1つずつ設定値Xxを読み出して使用設定値格納領域355及び使用設定値格納領域232に格納し、使用設定値Yyとして設定する。具体的には、設定部342は、各属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・を読み出して使用設定値格納領域355及び使用設定値格納領域232に格納し、各属性の使用設定値Yyとして設定する。ステップS900においては、使用設定値学習処理の前であるため、図5に示した各属性毎に複数の設定値Xxの中から1つランダムに選択し、選択された各属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・を使用設定値Yyに設定する。また、実施の形態1のステップS10と同様に、設定部342は、属性毎に図5の中央の列に記載されている初期値X1を使用設定値Yyに設定してもよい。
そして、ステップS901からステップS909が測定レシピの設定値Pxの学習の場合と同様に実行される。
ステップS909では、判定部343は、全ての属性の設定値Xxの組合せを使用設定値Yyに用いて基準ワークを測定して得られた全ての受光量及び測定値を取得済みか否か判定する。例えば、判定部343が、使用設定値学習処理の開始から取得部341が取得した受光量及び測定値の少なくとも一方の数が全設定値351中の各属性の設定値Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・の組み合わせの総数と一致するか否かを確認することで全ての受光量及び測定値を取得済みか否か判定する。ステップS909にて、全ての受光量及び測定値を取得済みでないと判定された場合(ステップS909:NO)は、ステップS910に進む。また、ステップS909にて、全ての受光量及び測定値を取得済みであると判定された場合(ステップS909:YES)は、ステップS911に進む。
ステップS910では、変更部344が、受光量及び測定値を取得済みの各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)の組み合わせとは異なる各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)の新たな組み合わせとなるように、各属性の設定値Xxを全設定値351から読み出す。そして、変更部344は、各属性の新たな設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を使用設定値格納領域355に格納し、使用設定値Yyを変更する。また、変更部344は、使用設定値格納領域355に格納された次回使用する使用設定値Yyである各属性の新たな設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)をPLC20に送信し、第1制御部22は使用設定値格納領域232に次回使用する使用設定値Yyである各属性の設定値Xxを記憶させ設定する。その後、ステップS901に戻り、各属性の新たな設定値Xxを使用設定値Yyとして使用し、ステップS901からステップS910の処理を各属性の設定値Xxの組み合わせが変更されるごとに繰り返し実行される。なお、ステップS910では、移動平均回数の設定値Lxを変更する場合には、実施の形態3と同様に、変更部344は、測定値取得間隔をサンプリング周期の使用設定値で割ることで得られる許容移動平均回数以下の移動平均回数の設定値Lxに使用設定値Yyを変更する。
ステップS909にて全ての受光量及び測定値を取得済みであると判定された場合(ステップS909:YES)は、ステップS911にて、更新部345は、全ての属性の設定値Xxの組み合わせを使用設定値Yyに用いて全ての受光量及び測定値を取得済みであり使用設定値学習処理が完了しているので、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、第1記憶部23に格納されている各属性の使用設定値Yyとして、使用設定値学習処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている各属性の最適化設定値X_opt(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を保持させる。それらに加え、更新部345は、最適化設定値格納領域356に格納されている各属性の最適化設定値X_opt(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・の組み合わせ)を、新たな測定レシピの設定値Pxとして、第2記憶部35の全設定値351に追加記憶させる。そして、使用設定値学習処理を終了する。
なお、ステップS911の処理が終了すると使用設定値学習処理を終了することとしているが、ステップS911の後、各属性の最適化設定値X_optを使用して基準ワークの測定値を再取得し、その測定値が目標測定値352の範囲内か否か判定するようにしてもよい。そして、測定値が目標測定値352の範囲内である場合は使用設定値学習処理を終了し、測定値が目標測定値352の範囲外である場合は表示装置31にエラー表示画面を表示させるようにしてもよい。
また、実施の形態14及び実施の形態14の変形例では、測定レシピの設定値Pxに関する使用設定値学習処理と、その他の各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)に関する使用設定値学習処理とを別個に説明したが、これらを組み合わせてもよい。
また、実施の形態14及び実施の形態14の変形例では、機械学習装置36が、強化学習を利用して機械学習する場合について説明したが、機械学習装置36は、他の公知の方法、例えばニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシン等によって機械学習を実行してもよい。
また、実施の形態14及び実施の形態14の変形例では、状態観測部361が、測定値及び受光量を観測するものについて説明したが、測定値のみを観測するようにしてもよい。その場合、図43に示した使用設定値学習処理のステップS902からステップS904は省略すればよい。
また、実施の形態14及び実施の形態14の変形例を組み合わせたものであれば、測定レシピの設定値Pxの調整については、実施の形態10のように、物体検出部40の検出結果に基づいて、測定レシピの設定値Pxの調整を行い、測定レシピの設定値Px以外の各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)について、上述の使用設定値学習処理を行うようにしてもよい。
また、実施の形態14の変形例、並びに、実施の形態14及び実施の形態14の変形例を組み合わせたものであれば、測定レシピの設定値Px及び移動平均回数の設定値Lxの調整については、実施の形態11のように、物体検出部40及び温度センサ50の検出結果に基づいて、測定レシピの設定値Px及び移動平均回数の設定値Lxの調整を行い、測定レシピの設定値Px及び移動平均回数の設定値Lx以外の各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Mx,Nx,Ox・・・)について、上述の使用設定値学習処理を行うようにしてもよい。
また、実施の形態14の変形例、並びに、実施の形態14及び実施の形態14の変形例を組み合わせたものであれば、各属性の設定値Xxのうちの一部を実施の形態1から実施の形態9により調整し、各属性の設定値Xxのうちの残りの一部を実施の形態14の変形例、並びに、実施の形態14及び実施の形態14の変形例を組み合わせたものを行うようにしてもよい。
また、実施の形態14の変形例、並びに、実施の形態14及び実施の形態14の変形例を組み合わせたもののように、学習部363が、状態変数362に基づいて作成される訓練データセットに従って、投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyの両方を学習するものに限られず、学習部363が、状態変数362に基づいて作成される訓練データセットに従って、投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyの少なくとも1つを学習するようにしてもよい。
実施の形態14における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して設定値Xxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際に、状態観測部361が測定値と、基準ワークを測定する際に使用された使用設定値Yyとを含む状態変数を観測し、状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って、学習部363は使用設定値Yyを学習する。そのため、実施の形態1から実施の形態12と同様に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、使用設定値Yyを学習し調整できるという効果を奏する。また、使用設定値Yyを適切な設定値Xxに更新できるという効果を奏する。
また、実施の形態14における変位計10の設定値調整装置では、変位計10の測定値に基づいて学習した各属性の最適化設定値X_optを、新たな測定レシピの設定値Pxとして全設定値351に追加記憶させるため、例えば、新たな変位計10をPLC20に接続する場合又は測定対象物1を変更した場合等に、追加された新たな測定レシピの設定値Pxを再利用して各属性の使用設定値Yyを設定することができるという効果を奏する。
また、実施の形態14における変位計10の設定値調整装置では、基準ワークを測定して設定値Xxの中から使用設定値Yyの事前調整を行う際には、状態観測部361が取得した受光量と、基準ワークを測定する際に使用された使用設定値Yyとを含む状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って、学習部363は投光量の使用設定値Yy(投光量の設定値Ix)及びサンプリング周期の使用設定値Yy(サンプリングの設定値Mx)を学習する。そのため、実施の形態1から実施の形態12と同様に、ユーザの判断や操作の負担を軽減しつつ、投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyを学習し調整できるという効果を奏する。また、使用設定値Yyを適切な設定値Ix、Mxに更新できるという効果を奏する。
また、実施の形態14における変位計10の設定値調整装置では、変更部344は、測定値取得間隔をサンプリング周期の使用設定値Yy(サンプリングの設定値Mx)で割ることで得られる許容移動平均回数以下の移動平均回数の設定値Lxに使用設定値Yyを変更する。そのため、実施の形態3と同様に、ユーザが想定するタクトタイムには影響を与えずに、移動平均回数の使用設定値Yyを適切な設定値Lxに自動調整できるという効果を奏する。
実施の形態15.
続いて、実施の形態15の変位計10の設定値調整システムについて図44及び図45を用いて説明する。なお、実施の形態1から13と同じ構成については、説明を省略する。
実施の形態15は、実施の形態14、その変形例又はその組み合わせ例にて、測定レシピの設定値Px及び/又は各属性の設定値Xxの最適化が完了した後に目標測定値352である判定閾値を変更する点が実施の形態14等に対して異なる。
また、実施の形態15では、実施の形態1にて説明を省略した閾値補正部347を用いる。
閾値補正部347は、図6の調整手順のステップS3にてユーザ操作によって設定された目標測定値352、つまり上限閾値と下限閾値とからなる判定閾値の範囲が狭くなるように上限閾値及び下限閾値を補正し再設定する。
ところで、前述の実施の形態14では、図43に示した使用設定値学習処理が完了した際には、最適化設定値格納領域356には、測定レシピの設定値Pxの最適化設定値P_opt及び測定レシピの設定値Pxの最適化設定値P_optに対応付けられたに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)が格納されることになる。また、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納されている各属性の使用設定値Yyとして、使用設定値学習処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている測定レシピの最適化設定値P_optに対応付けられた各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)を保持させることとなる。
また、実施の形態14の変形例又は実施の形態14と実施の形態14を組み合わせた例では、図43に示した使用設定値学習処理が完了した際には、最適化設定値格納領域356には、各属性の最適化設定値X_opt(I_opt,J_opt,K_opt,L_opt,M_opt,N_opt,O_opt・・・)が格納されることになる。また、第1記憶部23の使用設定値格納領域232に格納されている各属性の使用設定値Yyとして、使用設定値学習処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている各属性の最適化設定値X_optを保持させることとなる。
使用設定値学習処理完了時においては、図6の調整手順のステップS3にてユーザ操作によって設定された上限閾値と下限閾値とからなる判定閾値と、測定値との関係は、設定値Xxが最適化されたことにより、図12に示した測定値の時間変化表示画面75の状態から図44の測定値の時間変化表示画面75に示すようになる。つまり、図12に示したような測定値753が上限閾値751を超えており、複数の測定値が下限閾値752を超えてしまっている状態から、図44に示すように測定値753が上限閾値751及び下限閾値752の範囲内βに収まるようになる。また、測定値は、測定中心距離の位置からの変位量が0となる上限閾値751及び下限閾値752の範囲の中央値に近づくこととなり、例えば、測定値のうちの最大値である最大測定値と最小値である最小測定値の範囲は、図44に示す範囲αとなる。そのため、使用設定値学習処理前にユーザ操作によって設定された上限閾値と下限閾値の範囲を狭くして、測定対象物1の検査を行う際の良品/不良品の判定の精度を高めるために、図45に示す判定閾値補正処理を追加する。
判定閾値補正処理は、例えば、使用設定値学習処理完了した後に図44に示した時間変化表示画面75の判定閾値補正ボタン754に対するユーザ操作を取得部341が受け付けると、開始される。
次に、図45に示されるフローチャートを参照して判定閾値補正処理を説明する。
まず、ステップS920にて、取得部341は、第2記憶部35の目標測定値352を読み出して、判定閾値である上限閾値及び下限閾値を取得する。
そして、ステップS921では、閾値補正部347は、最適化設定値X_optを使用して取得された基準ワークの複数の測定値を取得する。そして、閾値補正部347は、複数の測定値の中から最大測定値と最小測定値とを抽出する。
そして、ステップS922では、閾値補正部347は、上限閾値と最大測定値との差分である第1差分を算出する。
そして、ステップS923では、閾値補正部347は、下限閾値と最小測定値との差分である第2差分を算出する。
そして、ステップS924では、閾値補正部347は、第1差分と第2差分のうち小さい方を調整値として選択する。
そして、ステップS925では、閾値補正部347は、図6のステップS3にてユーザ操作によって設定された上限閾値から調整値を減算し、また、下限閾値に調整値に加算することで、上限閾値及び下限閾値を補正する。そして、補正された上限閾値及び下限閾値からなる判定閾値を目標測定値352として第2記憶部35に格納する。そして、判定閾値補正処理を終了する。
つまり、実施の形態15では、最適化設定値Xxを使用して基準ワークの測定値を複数回取得し、その最大測定値及び最小測定値が含まれる判定閾値の範囲内となるように、且つ、使用設定値学習処理が行われる前の判定閾値の範囲(つまり、ユーザによって設定された上限閾値及び下限閾値の範囲)よりも狭くなるように、判定閾値の範囲が上限閾値と下限閾値が補正される。
実施の形態15における変位計10の設定値調整装置では、閾値補正部347は、使用設定値Yyを学習する前に設定された目標測定値352の範囲よりも補正後の目標測定値352の範囲を狭くし、且つ、使用設定値Yyを使用して取得された基準ワークの測定値が補正後の目標測定値352の範囲内に含まれるよう上限閾値及び下限閾値を補正する。そのため、測定対象物1の検査を行う際に使用する目標測定値352を精度よく補正できる。これにより、良品/不良品の判定の精度を高めることができるという効果を奏する。
実施の形態16.
続いて、実施の形態16の変位計の設定値調整システムについて、図16、図42、図43、図46及び図47を用いて説明する。なお、実施の形態1から14と同じ構成については、説明を省略する。
実施の形態16は、実施の形態14、その変形例又はその組み合わせ例(以下では実施の形態14等と省略する)にて、使用設定値学習処理が行われた後の最適化設定値X_optに基づいて測定対象物1の検査を行う際にも、使用設定値学習処理が行われる点が実施の形態14等とは異なる。以下では、実施の形態14等にて、第1変位計10Aを用いて使用設定値学習処理が行われた後、第1変位計10Aの測定値である検査用測定値を用いて測定対象物1の検査をし、それと並行してPLC20の第1通信I/F部21に新たに接続された第2変位計10Bの受光量である学習用受光量及び第2変位計10Bの測定値である学習用測定値を用いて、より最適な使用設定値Yyを学習する例について説明する。
図46に示すように、実施の形態16の変位計の設定値調整システムは、複数の第1変位計10Aと第2変位計10Bとを含む。第1変位計10Aと第2変位計10Bは、例えば、光学式変位計である。図46に示した例では、測定対象物1がY方向にベルトコンベア等で移送される場合に、第2変位計10Bは上流側に配置され、第1変位計10Aは下流側に配置している。但し、これに限るものではなく、第1変位計10Aが上流側に配置され、第2変位計10Bが下流側に配置されてもよい。また、第1変位計10Aと第2変位計10Bとは、測定対象物1に対して同じ測定条件となるよう設置されている。具体的には、第2変位計10Bから測定対象物1までの距離は、第1変位計10Aから測定対象物1までの距離と等しくなるように第1変位計10A及び第2変位計10Bを設置するとともに、第2変位計10Bの設置方法(拡散反射設置又は正反射設置)は、第1変位計10Aの設置方法と同じ設置方法とする。
そして、実施の形態16のPLC20の第1記憶部23は、図47に示すように、第1変位計10Aの使用設定値Yyを格納する第1使用設定値格納領域232Aと、第2変位計10Bの使用設定値Yyを格納する第2使用設定値格納領域232Bと、を含む。
第1使用設定値格納領域232Aには、基準ワークを用いて使用設定値学習処理が完了した時に設定された使用設定値Yy、つまり、実施の形態14等にて、基準ワークを用いて使用設定値学習処理が完了した時に最適化設定値格納領域356に格納された最適化設定値X_optと同じものが格納されている。第1使用設定値格納領域232Aに格納された各属性の使用設定値Yyは、測定対象物1の検査に用いられる使用設定値Yyである。
第2使用設定値格納領域232Bには、使用設定値Yyが格納されるものの、より最適な使用設定値Yyを学習するべく、測定対象物1を検査するのと並行して実施の形態14の同様に使用設定値Yyが順次変更され格納される。第2使用設定値格納領域232Bには、最初は、第1使用設定値格納領域232Aと同様に、基準ワークを用いて使用設定値学習処理が完了した時に最適化設定値格納領域356に格納された最適化設定値X_optと同じものが格納されている。
実施の形態16のPC30Aについては、図42に示した実施の形態14等のPC30Aを用いる。
第1変位計10Aは、測定対象物1の検査を行うための変位計である。第1変位計10Aのレーザダイオード3は、検査対象としての測定対象物1に投光する第1光源である。また、第1変位計10Aのイメージセンサ6は、検査対象としての測定対象物1からの第1反射光を受光し第1受光信号を出力する第1受光部である。PLC20は、第1使用設定値格納領域232Aに格納された使用設定値Yy(つまり基準ワークを用いて使用設定値学習処理が完了した時に最適化設定値格納領域356に格納された最適化設定値X_optと同じ)に従って制御プログラム231を実行する。そして、PC30の取得部341は、図16に示した検査処理のステップS1001にて、PLC20を介して、第1変位計10Aから受信した第1受光信号に基づいた検査対象としての測定対象物1の変位量を示す検査用測定値を取得する。そして、PC30の判定部343は、図16に示した検査処理のステップS1002からステップS1005を引き続き実行し、測定対象物1が良品か不良品であるかを判定する。
第2変位計10Bは、測定対象物1の検査中に、より最適な使用設定値Yyを学習するために学習用受光量及び検査対象の変位量を示す学習用測定値を取得するための変位計である。第2変位計10Bのレーザダイオード3は、検査対象としての測定対象物1に投光する第2光源である。また、第2変位計10Bのイメージセンサ6は、検査対象としての測定対象物からの第2反射光を受光し第2受光信号を出力する第2受光部である。PLC20は、第2使用設定値格納領域232Bに格納された使用設定値Yyに従って制御プログラム231を実行し、第2変位計10Bから学習用受光量及び学習用測定値を取得する。そして、PC30は、図43に示した使用設定値学習処理を実行し、より最適な使用設定値Yyを学習する。なお、第2変位計10Bは、第1変位計10Aが検査用測定値を取得した時と同じ測定対象物1からの反射光を第2反射光として受光して第2受光信号を出力するように制御プログラム231で制御してもよい。また、同様の複数の測定対象物1がベルトコンベア等で移動するような場合であれば、第1変位計10Aが検査のために測定した測定対象物1とは異なる測定対象物1からの受光量及び測定値を学習用受光量及び学習用測定値として取得してもよい。
続いて、第1変位計10Aによる検査処理と第2変位計10Bによる使用設定値学習処理について、図16及び図43を参照しながら説明する。
なお、前述のように、基準ワークを用いた使用設定値学習処理が完了した状態であり、基準ワークを用いた使用設定値学習処理が完了した時の最適化設定値格納領域356に格納された最適化設定値X_optが、第1使用設定値格納領域232Aに既に格納されているものとする。
先に、第1変位計10Aの測定値による検査処理について図16を参照しながら説明する。
まず、ステップS1001では、PLC20の第1制御部22が第1使用設定値格納領域232Aの使用設定値Yyに従って制御プログラム231を実行することで取得された第1変位計10Aからの検査用測定値を、PC30の取得部341が取得する。
そして、PC30の判定部343は、ステップS1002にて、実施の形態1と同様に、第1変位計10Aからの検査用測定値が目標測定値352の範囲内であるか判定する。そして、ステップS1003からステップS1005を引き続き実行し、検査対象としての測定対象物1が良品か不良品であるかを判定する。
続いて、第2変位計10Bの学習用受光量及び学習用測定値による使用設定値学習処理について図43を参照しながら説明する。第2変位計10Bの学習用受光量及び学習用測定値による使用設定値学習処理は、第1変位計10Aの検査用測定値による検査処理と並行して行われる。
まず、ステップS900では、設定部342は、最適化設定値格納領域356に格納されている各属性の最適化設定値X_optを読み出して使用設定値格納領域355及び第2使用設定値格納領域232Bに格納し、第2変位計10Bの使用する使用設定値Yyとして設定する。
そして、ステップS901では、状態観測部361は、PLC20及びPC30の取得部341を介して、第2使用設定値格納領域232Bに格納されている使用設定値Yyを使用して取得した第2変位計10Bの学習用受光量及び学習用測定値と、使用設定値格納領域355に格納されている使用設定値Yyと、を状態変数362として観測する。ここで、状態観測部361が観測する状態変数362である使用設定値格納領域355に格納されている使用設定値Yyは、第2変位計10Bが検査対象である測定対象物1を測定し学習用受光量及び学習用測定値を取得した際に使用された第2使用設定値格納領域232Bに格納されている使用設定値Yyと同じである。そして、実施の形態14等と同様に、状態観測部361は、状態変数362を報酬計算部364に送る。なお、第2変位計10Bの取得する学習用受光量及び学習用測定値は、第1変位計10Aが検査する検査対象と同じ測定対象物1からの受光量及び測定値である。そして、ステップS902に進む。
ステップS902では、実施の形態14等と同様に、報酬計算部364は、状態観測部361から今回取得した学習用受光量が、これまで過去に取得した、目標受光量353に最も近い学習用受光量よりも目標受光量353により近い値であるか否かを判定する。そして、ステップS903及びステップS904では、実施の形態14等と同様に、報酬計算部364は、報酬を増大させ、又は、報酬を減少させ、その後にステップS905に進む。
ステップS905では、実施の形態14等と同様に、報酬計算部364は、状態観測部361から今回取得した学習用測定値が、これまで過去に取得した、目標測定値352に最も近い学習用測定値よりも目標測定値352により近い値であるか否かを判定する。そして、ステップS906及びステップS907では、実施の形態14等と同様に、報酬計算部364は、報酬を増大させ、又は、報酬を減少させ、その後にステップS908に進む。
ステップS908では、実施の形態14等と同様に、関数更新部365は、増大又は減少させた報酬に基づいて行動価値関数Q(st,at)を更新し、更新した行動価値関数Q(st,at)を第2記憶部35に送信し記憶させる。また、関数更新部365は、第2制御部34の更新部345に命令し、更新部345は、学習用測定値及び学習用受光量を検査対象である測定対象物1から取得した際の過去の使用設定値Yy(今回の使用設定値Yyも含む)の中で最も報酬の高い使用設定値Yyを最適化設定値格納領域356に記憶させる。そして、ステップS909に進む。
ステップS909では、実施の形態14等と同様に、判定部343は、全ての使用設定値Yyを用いて検査対象である測定対象物1を測定して得られた全ての学習用受光量及び学習用測定値を取得済みか否か判定する。ステップS909にて全ての学習用受光量及び学習用測定値を取得済みでないと判定された場合(ステップS909:NO)は、ステップS910に進む。
ステップS910では、変更部344が、実施の形態14等と同様に、前回とは異なる各属性の設定値Xx(Ix,Jx,Kx,Lx,Mx,Nx,Ox・・・)の組合せを使用設定値格納領域355及び第2使用設定値格納領域232Bに格納し、第2変位計10Bの使用する使用設定値Yyを変更する。その後、ステップS901に戻り、新たな使用設定値Yyを使用して、ステップS901からステップS910の処理が繰り返し実行される。
ステップS909にて全ての学習用受光量及び学習用測定値を取得済みであると判定された場合(ステップS909:YES)は、ステップS911にて更新部345は、PLC20の第1制御部22に命令を送信し、使用設定値学習処理完了時の最適化設定値格納領域356に保持されている各属性の設定値X_opt(I_opt,J_opt,K_opt,L_opt,M_opt,N_opt,O_opt・・・。なお、測定レシピの最適化設定値P_optに対応付けられた各属性の設定値Xxでもよい。)を第1使用設定値格納領域232Aに格納し、第1変位計10Aが使用する各属性の使用設定値Yyとして保持させる。また、更新部345は、最適化設定値格納領域356に格納されている各属性の最適化設定値X_optを、新たな測定レシピの設定値Pxとして、第2記憶部35の全設定値351に追加記憶させる。
そして、使用設定値学習処理を終了する。但し、これに限らず、第1変位計10Aの検査用測定値による検査処理が継続している間は、使用設定値学習処理を最初から繰り返してもよい。また、使用設定値学習処理の終了時に、実施の形態15の判定閾値補正処理を更に実行するようにしてもよい。
また、実施の形態16では、状態観測部361が、第2変位計10Bの学習用測定値及び学習用受光量の両方を観測するものについて説明したが、学習用測定値のみを観測するようにしてもよい。その場合、図43に示した使用設定値学習処理のステップS902からステップS904は省略すればよい。
実施の形態16における変位計の設定値調整装置では、判定部343が検査対象である測定対象物1を第1変位計10Aが測定して取得された検査用測定値が目標測定値の範囲内であるか判定することにより検査を行っている間に、第2変位計10Bから取得した学習用測定値と第2変位計10Bによって検査対象を測定した際に使用された使用設定値Yyとを含む状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って、学習部363は使用設定値Yyを学習する。第1変位計10Aの検査用測定値に基づいて検査対象を検査している間にも第2変位計10Bの学習用測定値に基づき使用設定値Yyを学習するため、第1変位計10Aによる検査対象の検査には影響を与えることなく、検査中に環境変化などがあった場合であっても、より適切な使用設定値Yyを探索することができるという効果を奏する。
また、実施の形態16における変位計の設定値調整装置では、第2変位計10Bの学習用測定値に基づいて学習した使用設定値Yyを、第1変位計10Aが使用する使用設定値Yyとして保持させて更新するため、より適切な使用設定値Yyに調整した上で検査対象の検査を継続できるという効果を奏する。
また、実施の形態16における変位計の設定値調整装置では、第2変位計10Bの学習用測定値に基づいて学習した各属性の最適化設定値X_optを、新たな測定レシピの設定値Pxとして全設定値351に追加記憶させるため、例えば、新たな変位計10をPLC20に接続する場合又は測定対象物1を変更した場合等に、追加された新たな測定レシピの設定値Pxを再利用して各属性の使用設定値Yyを設定することができるという効果を奏する。
また、実施の形態16における変位計の設定値調整装置では、判定部343が検査対象である測定対象物1を第1変位計10Aが測定して取得された検査用測定値が目標測定値の範囲内であるか判定することにより検査を行っている間に、第2変位計10Bから取得した学習用受光量を更に含む状態変数に基づいて作成される訓練データセットに従って、学習部363は投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyを学習する。第1変位計10Aの検査用測定値に基づいて検査対象を検査している間にも第2変位計10Bの学習用受光量に基づき投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyを学習するため、第1変位計10Aによる検査対象の検査には影響を与えることなく、検査中に環境変化などがあった場合であっても、より適切な投光量の使用設定値Yy及びサンプリング周期の使用設定値Yyを探索することができるという効果を奏する。
その他の変形例.
実施の形態1から実施の形態16では、三角測量の原理を応用した光学式変位計10の使用設定値調整処理又は使用設定値学習処理について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、測定対象物1への照射光と反射光が同じ軸となるよう配置された同軸共焦点方式の光学式変位計等の他方式の光学式変位計の使用設定値を事前調整する場合も、本発明の範囲に含まれる。
実施の形態1から実施の形態16では、光学式変位計10の使用設定値調整処理又は使用設定値学習処理について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、i)検出コイルに交流電流を流して磁束を発生させ、金属の測定対象物1に起因して検出コイルのインダクタンスの変化量から検出コイルと測定対象物1間の変位量を計測する誘導形近接センサ、ii)送波器により測定対象物1に向け超音波を発信し、その反射波を受波器で受信し、超音波の発信から受信までに要した時間と音速との関係を演算することで変位量を計測する超音波変位センサ、iii)送信器により測定対象物1に向けミリ波等の電磁波を発信し、その反射波を受信器で受信し、電磁波の強度の減衰量等から変位量を計測する電磁波を用いた変位センサ、触針が測定対象物1に接触することで変位量を計測する接触式変位センサ等の他方式の変位計の使用設定値を事前調整する場合も、本発明の範囲に含まれる。
実施の形態16では、2つの変位計がPLC20に接続される場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、3つ以上の変位計がPLC20に接続されてもよい。この場合、3つ以上の変位計のうちの1つの第1変位計を検査用測定値を測定する変位計とし、残りの2つ以上の変位計を学習用受光量及び学習用測定値を測定する変位計としてもよい。学習用受光量及び学習用測定値を測定する残りの2つ以上の変位計は、例えば、一つの変位計が測定モードの使用設定値を探索し、他の変位計が投光量の使用設定値を探索するといったように、それぞれ別の使用設定値Yyを探索するようにしてもよい。
本発明は広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。