図1は、画像形成装置1の外観の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、主にプリントユニット10iの構成の例を示す図である。図4は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、コピー、PCプリント、クラウド印刷、ファックス、スキャナ、およびボックスなどの機能を集約した装置である。一般に、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることがある。
PCプリント機能は、外部の端末装置から受信した画像データに基づいて画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンティング」または「ネットワークプリント」などと呼ばれることもある。
クラウド印刷機能は、インターネット上のサーバを経由して外部の端末装置から画像データを受信し画像を用紙に印刷する機能である。
ボックス機能は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像データなどを保存し管理するための機能である。グループごとにボックスを設けておき、グループのメンバで共用することもできる。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
画像形成装置1は、図1ないし図3に示すように、制御ユニット11、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、NIC(Network Interface Card)10g、スキャンユニット10h、プリントユニット10i、フィニッシャ10j、および音声ユニット10kなどによって構成される。
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、および制御ユニット11が実行した処理の結果を示す画面などを表示する。さらに、画像形成装置1の操作のガイダンスの動画像を表示する。また、タッチパネルディスプレイ10eは、タッチされた位置を示す信号を制御ユニット11へ送る。
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
NIC10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで他の装置との通信を行う。
スキャンユニット10hは、プラテンガラスの上にセットされたシートに記されている画像を読み取って画像データを生成する。
プリントユニット10iは、画像形成部21、給紙部22、給紙キャビネット23、定着ユニット24、印刷物搬送路25、正面扉26、横扉27、第1の搬送路センサ201、第2の搬送路センサ202、正面扉センサ203、横扉センサ204、およびレバーセンサ205によって構成される。このような構成により、スキャンユニット10hによって読み取られた画像のほか、NIC10gによって他の装置から受信した画像を用紙に印刷する。
画像形成部21は、タンデム方式および電子写真方式のカラーの印刷エンジンであって、感光体ドラム31a、31b、31c、31d、露光走査ユニット32a、32b、32c、32d、および転写ベルト33などによって構成される。
感光体ドラム31a、31b、31c、および31dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒に対応する感光体ドラムである。同様に、露光走査ユニット32a、32b、32c、および32dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒に対応する露光走査ユニットである。
露光走査ユニット32a、32b、32c、および32dは、それぞれ、制御ユニット11からの信号に基づいて印刷対象の画像に応じて露光することによって、感光体ドラム31a、31b、31c、および31dに静電潜像を作像する。そして、各色のトナーが付着する。
転写ベルト33には、感光体ドラム31a、31b、31c、31dのそれぞれに形成された各色のトナー像が重ねられる。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト33に形成される。
給紙部22は、画像形成装置1に標準に装備されている、画像形成部21へ用紙を供給するためのユニットである。給紙部22は、1つまたは複数の給紙カセット22aおよびピックアップローラー22bなどによって構成される。給紙カセット22aには、用紙が収納される。ピックアップローラー22bは、給紙カセット22aから用紙を1枚ずつピックアップして画像形成部21へ搬出する。
給紙キャビネット23は、給紙部22と同様に画像形成部21へ用紙を供給するユニットであるが、画像形成装置1にオプションとして装備される。給紙キャビネット23の給紙カセット23aからピックアップローラー23bによって送り出された用紙は給紙部22を経由して画像形成部21へ供給される。
定着ユニット24は、2つの加熱ローラ24aおよび24b、レバー24cなどによって構成される。そして、2つの加熱ローラ24aおよび24bによって、転写ベルト33に形成されたトナー像を、給紙部22または給紙キャビネット23から搬出されてきた用紙に転写する。レバー24cを下げることで2つの加熱ローラ24aおよび24bが離れ、レバー24cを上げることで2つの加熱ローラが圧接される。
印刷物搬送路25は、定着ユニット24によってトナー像が転写された印刷物を、フィニッシャ10jに搬送する。
正面扉26は、画像形成装置1の正面に設置された扉である。印刷などのジョブは、正面扉26が閉められた状態で実行される。エラーの解除または消耗品の補給などのメンテナンスは、正面扉26が適宜開けられた状態で実行される。
横扉27は、画像形成装置1に向かって右側に設置された扉である。印刷などのジョブは、横扉27が閉められた状態で実行される。メンテナンスは、横扉27が適宜開けられた状態で実行される。
第1の搬送路センサ201は、定着ユニット24付近に配置され、この位置における用紙の有無を検出する。また、定着ユニット24で発生した紙詰まり(ジャム)を検出する。
第2の搬送路センサ202は、印刷物搬送路25付近に配置され、この位置における印刷物の有無を検出する。
正面扉センサ203は、正面扉26付近に設置され、正面扉26の開閉の状態を検出する。横扉センサ204は、横扉27付近に設置され、横扉27の開閉の状態を検出する。
レバーセンサ205は、レバー24cの状態、つまりレバー24cが上がっているか下がっているかを検出する。
フィニッシャ10jは、プリントユニット10iによって得られた印刷物に対して、必要に応じて後処理を施す。後処理は、ステープルで綴じる処理、パンチ穴を開ける処理、または折り曲げる処理などである。
なお、両面印刷の場合、フィニッシャ10j付近にて、片面に画像が印刷された用紙をスイッチバックして、再度、画像形成部11へ給紙する。
音声ユニット10kは、サウンドボードおよびスピーカなどによって構成され、ガイダンスの音声を出力する。
制御ユニット11は、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、および補助記憶装置10dなどによって構成され、主に画像形成装置1の全体的な制御を行う。
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述のコピーなどの各機能を実現するためのプログラムが記憶されている。さらに、ガイダンス再生プログラム10P(図4参照)が記憶されている。
ガイダンス再生プログラム10Pは、エラーの解除または消耗品の補給などのメンテナンスの仕方をユーザへ説明する、動画像および音声のガイダンスを再生するためのプログラムである。ガイダンスプログラム10Pの詳細については、後に説明する。
これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクドライブまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
ガイダンス再生プログラム10Pによると、図4に示す関連情報記憶部101、再生データ記憶部102、エラー検出部103、完了検出部104、対応状態記憶部105、およびガイダンス再生部106が画像形成装置1に実現される。以下、関連情報記憶部101ないしガイダンス再生部106の動作について説明する。
〔ガイダンスデータ〕
図5は、状態変化情報6Aの例を示す図である。図6は、ステップデータ6B11によって再生される動画像の例を示す図である。図7は、ステップデータ6B12によって再生される動画像の例を示す図である。図8は、ステップデータ6B13によって再生される動画像の例を示す図である。図9は、ステップデータ6B14によって再生される動画像の例を示す図である。図10は、ステップデータ6B15によって再生される動画像の例を示す図である。
関連情報記憶部101は、図5に示すように、状態変化情報6Aをメンテナンスごとに予め記憶している。
ところで、一般に、メンテナンスは、ユーザが複数のステップ(工程、フェーズ)を決められた通りの手順つまり正しい手順で行うことによって、完了する。
本実施形態では、1つのステップが正しく行われたことを、画像形成装置1のいずれか1つのセンサによる検出の結果に基づいて確認される。
また、ガイダンスは、メンテナンスの複数のステップそれぞれを説明するチャプターによって構成される。例えば、メンテナンスが5つのステップからなる場合は、そのメンテナンスのガンダンスは、5つのチャプターによって構成される。
状態変化情報6Aは、メンテナンスが正しい手順で行われる際の、画像形成装置1のいずれかのセンサが検出する画像形成装置1の状態の変化の内容(変化前および変化後それぞれの状態)を、ステップの順に示す情報である。
以下、メンテナンスごとの状態変化情報6Aを「状態変化情報6A1」、「状態変化情報6A2」、…と区別して記載することがある。また、状態変化情報6A1に示される、各ステップの変化の内容の情報を「ステップ変化情報6A11」、「ステップ変化情報6A12」、…などと記載する。状態変化情報6A2、状態変化情報6A3、…も同様に、複数のステップ変化情報によって構成される。
例えば、状態変化情報6A1は、「定着ユニットの紙詰まりの解消」というメンテナンスの状態変化情報6Aである。
状態変化情報6A1によると、最初に検出されるべき変化は、ステップ変化情報6A11の通り、「横扉27が閉じた状態から開いた状態へ変化する」である。これは、横扉センサ204によって検出される。
2番目に検出されるべき変化は、ステップ変化情報6A12の通り、「レバー24cが上がった状態から下がった状態へ変化する」である。これは、レバーセンサ205によって検出される。
3番目に検出されるべき変化は、ステップ変化情報6A13の通り、「定着ユニット24に紙がある状態から無い状態へ変化する」である。これは、第1の搬送路センサ201によって検出される。
4番目に検出されるべき変化は、ステップ変化情報6A14の通り、「レバー24cが下がった状態から上がった状態へ変化する」である。これは、レバーセンサ205によって検出される。
最後に検出されるべき変化は、ステップ変化情報6A15の通り、「横扉27が開いた状態から閉じた状態へ変化する」である。これは、横扉センサ204によって検出される。
なお、画像形成装置1の状態の変化は、ユーザの作業、つまり画像形成装置1に対するユーザの操作によって生じる。そのため、状態変化情報6Aは、メンテナンスの実行に必要なユーザの作業を示す情報でもあると言える。
さらに、状態変化情報6Aには、対応エラー6AHが示される。例えば、状態変化情報6A1には、対応エラー6AHとして対応エラー6AH1が示される。「対応エラー」とは、その状態変化情報6Aに係るメンテナンスを行う必要のあるエラーである。つまり、例えば、対応エラー6AH1は、「定着ユニットの紙詰まり」のエラーが発生した場合に「定着ユニットの紙詰まりの解消」のメンテナンスを行う必要があることを、示している。
図4に戻って、再生データ記憶部102は、状態変化情報6Aに対応するガイダンスデータ6Bおよび間引ガイダンスデータ6Cを、メンテナンスごとに予め記憶している。
ガイダンスデータ6Bは、状態変化情報6Aに示される状態の変化の一連の流れを説明する動画像および音声のデータ、つまり、メンテナンスの際にユーザが行うべき作業を説明するための動画像および音声のデータである。
ガイダンスデータ6Bは、ステップ変化情報ごとの、動画像および音声を再生するステップデータによって構成される。
例えば、「定着ユニットの紙詰まりの解消」の状態変化情報6Aつまり状態変化情報6A1のガイダンスデータ6B1は、5つのステップデータ6B11〜6B15によって構成される。
具体的には、ガイダンスデータ6B1には、ステップ変化情報6A11に対応するステップデータとして、横扉27が閉じた状態から開いた状態へ変化する様子および横扉27の開け方を説明するチャプターのステップデータ6B11が含まれる。
ステップ変化情報6A12に対応するステップデータとして、レバー24cが上がった状態から下がった状態へ変化する様子およびレバー24cの下げ方を説明するチャプターのステップデータ6B12が含まれる。
ステップ変化情報6A13に対応するステップデータとして、定着ユニット24に用紙がある状態から用紙が無い状態へ変化する様子および用紙の取り除き方を説明するチャプターのステップデータ6B13が含まれる。
ステップ変化情報6A14に対応するステップデータとして、レバー24cが下がった状態から上がった状態へ変化する様子およびレバー24cの上げ方を説明するチャプターのステップデータ6B14が含まれる。
ステップ変化情報6A15に対応するステップデータとして、横扉27が開いた状態から閉じた状態へ変化する様子および横扉27の閉じ方を説明するチャプターのステップガイダンス6B15が含まれる。
ステップデータ6B11によると、図6に示すように動画像が再生される。つまり、横扉27が閉じた状態(画像7A1)から、横扉27が少し開いた状態(画像7A2)、横扉27が3分の2ほど開いた状態(画像7A3)、そして、横扉27が完全に開いた状態(画像7A4)に遷移する動画像が再生される。画像7A1〜7A4は、動画像の1つのコマ(フレーム)である。後述する画像7B1〜7B3、7C1〜7C4、7D1〜7D3、7E1〜7E4も、同様である。
さらに、ステップデータ6B11によると、動画像に応じた音声が再生される。後述するステップデータも、同様である。
ステップデータ6B12によると、図7に示すように動画像が再生される。つまり、横扉27が完全に開きかつレバー24cが上がった状態(画像7B1)から、レバー24cが中間辺りまで下がった状態(画像7B2)、そして、加熱ローラ24aおよび24bが離れかつレバー24cが完全に下がった状態(画像7B3)に遷移する動画像が再生される。
ステップデータ6B13によると、図8に示すように動画像が再生される。つまり、加熱ローラ24aおよび24bが離れかつその間に用紙が挟まっている状態(画像7C1)から、加熱ローラ24aおよび24bの間にある用紙が少し引き出された状態(画像7C2)、加熱ローラ24aおよび24bの間にある用紙がかなり引き出された状態(画像7C3)、そして、加熱ローラ24aおよび24bの間に用紙が挟まれていない状態(画像7C4)に遷移する動画像が再生される。
ステップデータ6B14によると、図9に示すように動画像が再生される。つまり、加熱ローラ24aおよび24bが離れかつレバー24cが完全に下がった状態(画像7D1)から、レバー24cが中間辺りまで上がった状態(画像7D2)、そして、レバー24cが完全に上がった状態(画像7D3)に遷移する動画像が再生される。
ステップデータ6B15によると、図10に示すように動画像が再生される。つまり、横扉27が完全に開いた状態(画像7E1)から、横扉27が少し閉じた状態(画像7E2)、横扉27が3分の2ほど閉じた状態(画像7E3)、そして、横扉27が完全に閉じた状態(画像7E4)に遷移する動画像が再生される。
間引ガイダンスデータ6Cも、ガイダンスデータ6Bと同様に、状態変化情報6Aに示される状態の変化の一連の流れを説明する動画像および音声のデータである。しかし、間引ガイダンスデータ6Cは、ガイダンスデータ6Bによる説明(ガイダンス)の一部を、ユーザが理解できる限度で省略して再生するためのデータである。間引ガイダンスデータ6Cは、ステップ変化情報ごとの間引ステップデータによって構成される。
例えば、「定着ユニットの紙詰まりの解消」の状態変化情報6Aつまり状態変化情報6A1の間引ガイダンスデータ6C1は、5つの間引ステップデータ6C11〜6C15によって構成される。
間引ステップデータ6C11〜6C15は、それぞれ、ステップデータ6B11〜6B15によるガイダンス(動画像および音声)の一部分を間引いて再生するためのデータである。他の間引ステップデータも、同様である。つまり、間引ステップデータは、それに対応するステップ変化情報の説明を間引いて再生するためデータである。
間引ステップデータの形態の例として、次の4つの形態が挙げられる。第1の形態は、ステップデータによる説明(チャプター)の最後の部分の動画像だけを再生するためのものである。第2の形態は、ステップデータによる説明の最初の部分の動画像だけを再生するためのものである。第3の形態は、ステップデータによる説明の最初の部分の動画像および最後の部分の動画像だけを再生するためのものである。第4の形態は、ガイダンスデータ6Bのうち画像形成装置1の状態が変化する部分の動画像だけを再生するためのものである。
なお、「最後の部分」は、ステップデータによる説明を所定の個数(例えば、5つ)の区間に区切った場合の最後の区間である。また、「最初の部分」は、同様に区切った場合の最初の区間である。
または、ステップデータによる説明の最後から所定の時間(例えば、10秒)前までの区間を、最後の部分としてもよい。最後の部分には、少なくとも、状態が変化した後の動画像が含まれていればよい。同様に、ステップデータによる説明の最初から所定の時間後までの部分を、最初の部分としてもよい。最初の部分には、少なくとも、状態が変化する前の動画像が含まれていればよい。
第1の形態に好ましい間引ステップデータとして、例えば、間引ステップデータ6C11がある。間引ステップデータ6C11が第1の形態として好ましい理由は、次の通りである。
上述の通り、間引ステップデータ6C11に対応するステップデータ6B11によって再生の処理が行われると、図6に示すように、横扉27が閉じた状態から完全に開いた状態に遷移する画像形成装置1の動画像(画像7A1〜画像7A4)が再生される。
もしも、間引ステップデータ6C11が第1の形態であり、間引ステップデータ6C11によって再生の処理が行われると、画像7A1〜画像7A4の動画像のうちの、横扉27が開いた状態の動画像(画像7A4およびその直前の所定のコマ数の画像)だけが再生される。このような動画像だけ見ても、ユーザは、どのような作業を行えばよいのか理解しにくい。しかし、間引ステップデータ6C11による再生の処理に続けてステップデータ6B12による再生の処理が行われると、画像7A4に続いて、図7に示すように、横扉27が開いた状態のままレバー24cが上がった状態から下がった状態に遷移する動画像(画像7B1〜画像7B3)が再生される。ユーザは、画像7A4に続いて画像7B1〜画像7B3を見ることによって、横扉27を開ける作業が必要であること、および、作業のつながりを理解することができる。
ステップデータ6B12の代わりに間引ステップデータ6C12が用いられる場合も、横扉27が開いた状態での作業をユーザに見せることができる。よって、この場合も、横扉27を開ける作業が必要であること、および、作業のつながりを理解することができる。
そのほか、間引ステップデータ6C12および間引ステップデータ6C14も同様の理由で、第1の形態の間引ステップデータとして好ましい。
また、間引ステップデータ6C15も、第1の形態の間引ステップデータとして好ましい。なぜなら、1つ前のステップの動画像の再生によって、画像7D1〜7D3の少なくとも1つをユーザに見せることができる。つまり、横扉27が開いた状態をユーザに確認させることができる。これに続いて、横扉27が閉じた状態の動画像(画像7E4およびその直前の所定のコマ数の画像)だけを再生しても、横扉27を閉じる作業が必要であること、および、作業のつながりをユーザに理解させることができるからである。
なお、間引ステップデータ6C13は、第1の形態にはあまり好ましくない。その理由は、次の通りである。
間引ステップデータ6C13による再生の処理に続いてステップガイダンス6B14による再生の処理が行われると、図8の、画像7C1〜7C4の動画像のうちの、定着ユニット24から用紙が既に取り除かれた画像(画像7C4およびその直前の所定のコマ数の画像)だけが現れる。つまり、作業の対象をユーザが確認することができない。前のステップの動画像によって用紙を確認することができるかもしれないが、前のステップにおける間引の形態によっては、確認できないことがある。よって、画像7C4およびその直前の所定のコマ数の画像を見た後に、レバー24cが下がった状態から上がった状態に遷移する動画像(画像7D1〜7D3)を見ても、ユーザは、行うべき作業の内容を理解するのが難しい。
このように、最後の部分の動画像を直後または直前のステップデータによる動画像とともに見ても作業の内容を理解することができないような場合は、第2の形態、第3の形態、または第4の形態が望ましい。
第2の形態に好ましい間引ステップデータとして、例えば、間引ステップデータ6C11がある。間引ステップデータ6C11が第2の形態として好ましい理由は、次の通りである。
上述の通り、ステップデータ6B11によって再生の処理が行われると、画像7A1〜画像7A4(図6参照)が再生される。
一方、ステップデータ6B11に対応する間引ステップデータ6C11によって再生の処理が行われると、画像7A1〜画像7A4の動画像のうちの、横扉27が閉じた状態の動画像(画像7A1およびその直後の所定のコマ数の画像)だけが再生される。このような動画像だけ見ても、ユーザは、どのような作業を行えばよいのか理解することができない。しかし、間引ステップデータ6C11による再生の処理に続けてステップデータ6B12による再生の処理が行われると、画像7A1に続いて、画像7B1〜画像7B3が再生される(図7参照)。つまり、画像7A2〜7A4がスキップされる。ユーザは、画像7A2〜7A4がスキップされても、画像7A1に続いて画像7B1〜画像7B3を見ることによって、横扉27を開ける作業が必要であること、および、作業のつながりを理解することができる。
そのほか、間引ステップデータ6C12、6C13、および間引ステップデータ6C14も同様の理由で、第2の形態の間引ステップデータとして好ましい。
第3の形態に好ましい間引ステップデータとして、例えば、間引ステップデータ6C13がある。間引ステップデータ6C13が第3の形態として好ましい理由は、次の通りである。
上述の通り、間引ステップデータ6C13に対応するステップデータ6B13は、用紙を取り除く作業の動画像を再生するためのデータである。よって、作業の対象である用紙が動画像に映っていなければ、ユーザに作業を理解させることが困難である。
第3の形態によると、用紙が映っているコマおよび映っていないコマの両方をユーザに見せることができるので、間引ステップデータ6C13にとって第3の形態が好適である。
同様の理由により、第4の形態も、間引ステップデータ6C13にとって好適である。また、間引ステップデータ6C11、6C12、6C14、および6C15にとっても、第3の形態も第4の形態も好適である。
なお、ステップデータのどの部分を省略することによって間引ステップデータを生成するかについては、ステップデータごとに事前に決定される。ガイダンスデータ6Bおよび間引ガイダンスデータ6Cの形式としては、MPEG(Moving Picture Experts Group)、AVI(Audio Video Interleave)、またはSWF(Shockwave Flash File)などがある。
間引ステップデータに好適な形態が複数ある場合は、ステップの作業の内容などに応じていずれか1つの形態を用いればよい。例えば、横扉27の動きはレバー24cの動きよりも大きく、ユーザによって分かりやすい。
そこで、間引ステップデータ6C11は、第1の形態または第2の形態でよい。間引ステップデータ6C15は、第1の形態でよい。一方、間引ステップデータ6C12および間引ステップデータ6C14は、第1の形態または第2の形態よりも第3の形態または第4の形態が好ましい。
また、間引ステップデータ6C13は、第2の形態、第3の形態、または第4の形態のいずれかが望ましいが、上述の理由により、第3の形態または第4の形態が望ましい。特に、第3の形態が望ましい。
音声も、それぞれの形態に応じて間引けばよい。例えば、間引ステップデータ6C15の動画像の形態が第2の形態である場合は、チャプターの最初の部分だけの音声を再生するデータを間引ステップデータ6C15として用意すればよい。
または、ステップごとに別途、間引き後の動画像に応じた音声を録音し、間引ステップデータを用意してもよい。
〔ガイダンスの再生の処理〕
図11は、完了フラグ6Dの例を示す図である。図12は、再生画面80の構成の例を示す図である。図13は、動画像を再生する前の再生画面80の形態の例を示す図である。
図4に戻って、エラー検出部103は、設置された各センサによって検出された状態に基づいて、画像形成装置1のどの部分でどのようなエラーが発生したのかを検出する。
例えば、印刷のジョブを実行している際に、第1の搬送路センサ201によって一定の時間以上、用紙が検出されたままになった場合に、エラー検出部103は、定着ユニット24において紙詰まりのエラーが発生したことを検出する。定着ユニット24における紙詰まりのエラーは、他の方法によって検出される場合もある。
なお、どの部分でどのようなエラーが発生したのかを、オペレーティングシステムまたはファームウェアなどによって検出させてもよい。そして、エラー検出部103は、オペレーティングシステムまたはファームウェアが検出した結果を取得するだけであってもよい。
対応状態記憶部105は、図11(A)のように、状態変化情報6A(6A1、6A2、…)それぞれのステップ変化情報ごとに、ステップ変化情報に係る変化が起こったか否かを示す完了フラグ6Dを記憶する。
例えば、状態変化情報6A1のステップ変化情報6A11、6A12、…、6A15それぞれの完了フラグ6Dとして、完了フラグ6D11、6D12、…、6D15を記憶する。
完了フラグ6Dが「1」であれば、変化が起こったことを意味する。「0」であれば、変化が起こっていないことを意味する。なお、いずれの完了フラグ6Dも、初期値は「0」である。
完了検出部104は、各センサによる検出の結果に応じて、どのステップが完了したのかを検出し、検出したステップの完了フラグ6Dを状態変化情報6Aに基づいて更新する。
例えば、横扉センサ204が、横扉27が閉じた状態から開いた状態へ変化することを検出したとする。この変化は、状態変化情報6A1のステップ変化情報6A11に示されている。そこで、完了検出部104は、ステップ変化情報6A11に対応する完了フラグつまり完了フラグ6D11を図11(B)のように「1」に更新する。または、レバー24cが上がった状態から下がった状態へ変化することをレバーセンサ205が検出したら、ステップ変化情報6A12に基づいて、図11(B)のように完了フラグ6D12を「1」に更新する。
ガイダンス再生部106は、ユーザの指示に基づいてガイダンスを再生する処理を次のように実行する。
ガイダンス再生部106は、図12のような再生画面80をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。再生画面80には、ガイダンスウィンドウ81、プログレスバー82、カーソル83、および再生ボタン84などによって構成される。
ガイダンスウィンドウ81には、ガイダンスの動画像などが表示される。プログレスバー82は、ガイダンスの再生の進捗を示す。「シークバー」と呼ばれることもある。カーソル83は、プログレスバー82の上に配置され、現在の再生の位置に応じて移動する。なお、プログレスバー82は、カーソル83の左右で異なる形態で表示される。例えば、左側は赤色で表示され、右側は白色で表示される。
再生ボタン84は、ガイダンスの再生を開始するようにユーザが指令するためのボタンである。ユーザは、カーソル83を移動させることによって、再生の位置を変更することができる。
エラーがエラー検出部103によって検出された場合は、ガイダンス再生部106は、図13(A)のように、ガイダンスウィンドウ81に、検出されたエラーを解消するためのメンテナンスをガイダンスを見ながら行うように促すメッセージを表示させる。なお、エラーを解消するためのメンテナンスは、状態変化情報6Aに示される「対応エラー」によって特定することができる。
再生ボタン84がタッチされると、ガイダンス再生部106は、エラー検出部103によって検出されたエラーに対応するメンテナンスのガイダンスを、再生データ記憶部102からそのガイダンスのガイダンスデータ6Bまたは間引ガイダンスデータ6Cを読み出し、再生する。すると、ガイダンスの動画像がガイダンスウィンドウ81に表示される。
この際に、ガイダンス再生部106は、対応状態記憶部105を参照し、そのガイダンスのステップ変化情報のうち、状態の変化が検出されたステップ変化情報については、間引ステップデータに基づいて動画像および音声を再生する。一方、状態の変化が検出されていないステップ変化情報については、ステップデータに基づいて動画像および音声を再生する。
例えば、図11(B)のように完了フラグ6D11〜6D15のうちの完了フラグ6D11および6D12のみが「1」であるときに、「定着ユニットの紙詰まりの解消」というメンテナンスのガイダンスを再生する場合は、ガイダンス再生部106は、1番目のステップの動画像および音声を間引ステップデータ6C11に基づいて再生し、2番目のステップの動画像および音声を間引ステップデータ6C12に基づいて再生する。しかし、3番目以降のステップの動画像および音声は、ステップデータ6B13〜6B15に基づいて再生する。
または、エラーが検出されていないときにユーザが所定の操作を行うと、ガイダンス再生部106は、図13(B)のように、関連情報記憶部101に状態変化情報6Aが記憶されているメンテナンスの一覧を表示させる。
ユーザが一覧の中からいずれかのメンテナンスを選択すると、ガイダンス再生部106は、選択されたメンテナンスのガイダンスを、再生データ記憶部102からそのガイダンスのガイダンスデータ6Bまたは間引ガイダンスデータ6Cを読み出して再生する。すると、メンテナンスの動画像がガイダンスウィンドウ81に表示され、音声が音声ユニット10kによって出力される。再生の方法は、エラーに対応するメンテナンスのガイダンスを再生する方法と同様である。
なお、動画像および音声を再生しているステップが完了したことを完了検出部104が検出すると、そのステップの動画像および音声の再生を終了する。例えば、「定着ユニットの紙詰まりの解消」というメンテナンスの2番目のステップの動画像および音声をステップデータ6B12に基づいて再生している最中に、レバー24cが上がった状態から下がった状態へ変化したことが検出されたら、この動画像および音声の再生を終了する。
また、1つのステップデータに基づいてステップの動画像および音声を一通り再生した後でも、ステップが完了したことを完了検出部104が検出するまで、このステップの動画像および音声を繰り返し再生してもよいし、最後の1コマだけ表示したままポーズ(一時停止)にしてもよい。
〔全体的な処理の流れ〕
図14は、画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。図15は、ガイダンス表示処理の流れの例を説明するフローチャートである。
次に、画像形成装置1における全体的な処理の流れを、図14および図15のフローチャートを参照しながら説明する。
画像形成装置1は、ガイダンス再生プログラム10Pに基づいて、図14に示す手順で処理を実行する。
画像形成装置1は、ユーザから所定の操作を受け付けた場合に(図14の#11でYes)、ガイダンスを再生する処理を実行する(#15)。
または、画像形成装置1は、ユーザからジョブを受け付けると(#12)、そのジョブを実行する(#13)。ジョブを実行している最中にエラーを検出した場合は(#14でYes)、ガイダンスを再生する処理を行う(#15)。
画像形成装置1は、ステップ#15の、ガイダンスを再生する処理を、図15に示す手順で実行する。
画像形成装置1は、ステップ変化情報の順番を示す変数である「N」を「1」に設定し(図15の#601)、再生画面80を表示する(#602)。
再生画面80のガイダンスウィンドウ81には、ユーザから所定の操作を受け付けた場合は、図13(B)のように、メンテナンスの一覧が示される。ユーザが一覧の中からいずれかのメンテナンスを選択すると、選択されたメンテナンスのガイダンスが再生の対象となる。エラーが検出された場合は、図13(A)のように、エラーを解消するためのメンテナンスをガイダンスを見ながら行うように促すメッセージが示される。ユーザが再生ボタン84をタッチすると、エラーを解消するためのメンテナンスのガイダンスが再生の対象となる。
画像形成装置1は、N番目の状態の変化を検出すると(#603でYes)、つまりN番目のステップ変化情報に係る変化を検出すると、N番目の完了フラグ6D(図11(A)参照)を「1」に更新し(#604)、「N」に「1」を加算する(#605)、つまり、次に検出する対象となるステップ変化情報を設定する。
ユーザが一覧の中からいずれかのメンテナンスを選択し、または、再生ボタン84をタッチすると(#606でYes)、画像形成装置1は、対象のガイダンスを再生する処理(ガイダンス再生処理)を次のように実行する。
なお、状態の変化を画像形成装置1が1つも検出することなくユーザが選択またはタッチを行うことがある。よって、ステップ#604〜#605を行うことなくガイダンス再生処理を開始することがある。また、所定の操作を受け付ける前に(図14のステップ#11参照)、ステップ#603〜#605の処理を開始してもよい。
画像形成装置1は、対象のガイダンスの完了フラグ6Dを読み出す(#607)。「1」を示す完了フラグ6Dがある場合(#608でYes)、つまり画像形成装置1の状態の変化が1つ以上検出されている場合は、メンテナンスのステップの順に、検出された変化を説明する動画像を、間引ガイダンスデータ6Cに基づいて再生する(#609)。つまり、1番目から(N−1)番目までのステップの動画像を1番目から(N−1)番目までの間引ガイダンスデータ6Cに基づいて再生する。
画像形成装置1は、N番目以降の動画像つまり「0」を示す完了フラグ6Dのステップの動画像を次のように再生する。
画像形成装置1は、N番目のステップの動画像をN番目のガイダンスデータ6Bに基づいて再生する(#610)。N番目の状態の変化を検出した場合は(#611でYes)、N番目の完了フラグ6Dを「1」に更新し(#612)、「N」に「1」を加算する(#613)。
なお、再生中に変化を検出した場合は、ステップ#610の処理を中断し、ステップ#612へ進んでもよい。また、N番目の状態の変化を検出してから、ステップ#612へ進んでもよい。
動画像を再生していないステップがまだ残っている場合は(#614でYes)、ステップ#610へ戻り、N番目のステップの動画像を再生する。
図14に戻って、画像形成装置1の電源が切断されるまで(#16でNo)、画像形成装置1は、適宜、上述の処理を実行する。
本実施形態によると、ユーザに対して従来よりも好適にガイダンスを提供することができる。
本実施形態では、ガイダンスの間引き方を、定着ユニット24で発生した紙詰まりを解消するガイダンスを例に説明したが、画像形成装置1の他のメンテナンスに関するガイダンスについても同様に、間引くことができる。例えば、トナーなどの消耗品を交換するときの作業のガイダンス、または用紙を補給するときの作業についても同様に、間引くことができる。
本実施形態では、画像形成装置1は、定着ユニット24を通過する用紙に関係する状態の変化を検出したが、メンテナンスに応じて、それ以外の状態の変化を検出する。例えば、画像形成装置1の内部に設置された扉の開閉の状態の変化、画像形成装置1に使用されている各種の部品の着脱の状態の変化、および、トナーおよび用紙などの消耗品の残留の状態の変化を検出してもよい。
本実施形態では、1つのステップの間引ガイダンスデータとして4つの形態のデータを例に説明した。しかし、他の形態のデータを用いてもよい。例えば、Kの倍数番目のコマのみを再生するデータであってもよい。なお、「K」は、予め決められた自然数である。この場合は、音声は、K倍の速さで再生すればよい。
本実施形態では、ガイダンスを画像形成装置1が再生したが、画像形成装置1と通信することができるスマートフォンまたはタブレットコンピュータなどの端末装置が再生してもよい。
この場合は、端末装置は、関連情報記憶部101または再生データ記憶部102に記憶されている情報またはデータを画像形成装置1からダウンロードすればよい。センサによる検出の結果も、画像形成装置1から受信すればよい。そして、端末装置に、エラー検出部103、完了検出部104、対応状態記憶部105、およびガイダンス再生部106を設ければよい。
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。