JP6740587B2 - センシングシステム - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波を利用して検出対象物の物理量を検出するセンシングシステムに関する。
遅延線タイプの弾性表面波素子を用い、その弾性表面波素子に入力される励振信号とその励振信号に対して弾性表面波素子から出力される検出信号との位相差に基づいて検出対象物の物理量を検出するように構成されたセンシングシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、上記の位相差のことを、以下、検出信号の位相角とも言う。
特許文献1に記載のセンシングシステムでは、弾性表面波素子と、弾性表面波素子に対して信号の送受を行う信号処理回路との間の、信号送受用の伝送路に、一組のアンテナを有する無線伝送区間が備えられている。つまり、弾性表面波素子と信号処理回路との間の信号送受は、その無線伝送区間による無線伝送を介して行われる。
特開2014−215917号公報
センシングシステムの構成によっては、一組のアンテナのうち少なくとも一方が他方に対して相対的に回転するように構成される場合がある。このように構成されたセンシングシステムにおいては、アンテナの特性上、各アンテナの相対的位置関係(以下「アンテナ位置関係」とも言う)が変化すると、無線伝送区間における信号の通過特性が変化してしまう。
具体的に、検出信号の位相角には、アンテナ位置関係に起因する成分(以下「アンテナ成分」とも言う)も含まれ、アンテナ位置関係が変化すると、位相角に含まれるアンテナ成分も変化して、結果として位相角が変化する。そのため、アンテナ成分を含む位相角に基づいて検出される物理量には、アンテナ位置関係に起因する誤差が含まれる。この誤差は、物理量の検出精度を低下させる要因となる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、アンテナ位置関係の変化に起因して発生する位相角の変化の影響が抑制された物理量を検出できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、センサ部(11,12,66,67)と、信号処理部(20,42,52)と、伝送路(30)と、状態情報出力部(13,41,51)とを備えたセンシングシステムである。
センサ部は、弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、励振信号の位相と上記変換された電気信号である検出信号の位相の差が検出対象物の物理量に応じて変化するように設けられている。
信号処理部は、励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対してセンサ部から出力された検出信号を入力可能に構成され、出力した励振信号とその励振信号に対して入力された検出信号との位相差に基づいて物理量を検出するように構成されている。
伝送路は、センサ部と信号処理部との間において励振信号及び検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、励振信号及び検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成されている。
状態情報出力部は、当該センシングシステム及び検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成されている。
そして、信号処理部は、励振信号と検出信号の位相差、及び状態情報出力部から出力される上記少なくとも1つの状態情報を用いた特定の演算を行うことにより物理量を検出する。特定の演算は、相対的位置関係の変化の影響が除去された物理量を算出するための演算である。
このように構成された本発明のセンシングシステムでは、信号処理部は、センサ部に対して入出力される励振信号と検出信号の位相差(即ち検出信号の位相角)だけでなく、さらに状態情報出力部から出力される状態情報を用いて、特定の演算を実行することにより、物理量を算出する。
状態情報は、一組のアンテナの相対的位置関係に応じて変化する情報であり、一組のアンテナの相対的位置関係を示す情報である。そして、特定の演算は、この状態情報及び検出信号の位相角を用いて、アンテナ位置関係の変化の影響が除去された物理量を算出するように構成されている。
そのため、本発明のセンシングシステムによれば、アンテナ位置関係の変化に起因して発生する検出信号の位相角の変化の影響が抑制された、精度の高い物理量を検出することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
第1実施形態のセンシングシステムの全体構成を示す斜視図である。 第1実施形態のセンシングシステムの電気的構成を示す説明図である。 第1実施形態の弾性表面波センサにおいて入出力される信号を示す説明図である。 第2実施形態のセンシングシステムの全体構成を示す斜視図である。 第2実施形態のセンシングシステムの電気的構成を示す説明図である。 第3実施形態のセンシングシステムの電気的構成を示す説明図である。 検出対象物に対する弾性表面波センサの取り付け方法の他の例を示す説明図である。 弾性表面波センサの他の例を示す説明図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
(1)センシングシステムの概要
図1に示すように、本実施形態のセンシングシステム10は、動力を伝達するシャフト200に加えられるトルクを検出するように構成されている。即ち、本実施形態のセンシングシステム10において、検出対象物はシャフト200であり、検出すべき物理量はシャフト200に加えられるトルクである。シャフト200は、例えば車両において、回転力を伝達するために設けられている。
図1に示すように、シャフト200の回転軸をx軸と規定し、x軸を通り且つx軸に垂直な軸をy軸と規定し、x軸とy軸の交点を通り且つx軸及びy軸の双方に垂直な軸をz軸と規定する。
シャフト200は、x軸周りの力のモーメントが加えられることにより、x軸を回転軸として回転する。センシングシステム10は、シャフト200に加えられる、シャフト200の回転方向のトルクを検出するように構成されている。よって、本実施形態においてトルクとは、特にことわりのない限り、シャフト200に加えられる回転方向のトルクを意味する。
シャフト200には、図1に示すように、第1切り欠き211及び第2切り欠き212の、2つの凹状の切り欠きが形成されている。第1切り欠き211の底面211a及び第2切り欠き212の底面212aはいずれもx軸と平行となるように形成されている。
シャフト200には、シャフト200に加えられるトルクを検出するためのSAWセンサ3が取り付けられている。SAWセンサ3は、検出用弾性表面波素子4、及び参照用弾性表面波素子5の、2つの弾性表面波素子を有する。なお、弾性表面波のことを、以下、「SAW」(Surface Acoustic Wave の略)とも言う。
SAWセンサ3は、シャフト200に形成されている各切り欠き211,212に取り付けられている。具体的に、第1切り欠き211の底面211aには検出用SAW素子4が取り付けられており、第2切り欠き212の底面212aには参照用SAW素子5が取り付けられている。各SAW素子4,5はいずれも遅延線タイプ且つ反射型のSAW素子である。各SAW素子4,5の具体的構成については後述する。
シャフト200に対し、その回転方向にトルクが加わると、そのトルクによってシャフト200に歪みが生じる。シャフト200が歪むと、各切り欠き211,212の各底面211a,212aも歪む。
検出用SAW素子4は、第1切り欠き211の底面211aに対し、例えば接着剤によって接合されている。この接着剤は、第1切り欠き211の底面211aと検出用SAW素子4との間に介在する接着剤の層の厚さは非常に薄く、検出用SAW4は第1切り欠き211の底面211aに直接接合されているとみなせる。そのため、シャフト200にトルクが加えられることによってシャフト200が歪み、これにより第1切り欠き211の底面211aが歪むと、その歪みが検出用SAW素子4にも伝わって、検出用SAW素子4にも歪みが生じる。
検出用SAW素子4は、シャフト200のトルクに応じた検出信号を出力させるために用いられるSAW素子である。そのため、検出用SAW素子4は、トルクに応じて発生するシャフト200の歪みが検出用SAW素子4に伝わるように設ける必要がある。換言すれば、検出用SAW素子4は、トルクに応じた検出信号が検出用SAW素子4から出力されるように設けることが可能な種々の方法で設ければよい。
一方、参照用SAW素子5は、第2切り欠き212の底面212aに対し、軟質接着部材9によって取り付けられている。つまり、第2切り欠き212の底面212aと参照用SAW素子5との間には軟質接着部材9が介在している。
軟質接着部材9は、例えばエポキシ樹脂或いはその他の軟質性の部材を用いて形成された、接着用の部材である。第2切り欠き212の底面212aと参照用SAW素子5との間に軟質接着部材9が介在していることにより、第2切り欠き212の底面212aが歪んでも、その歪みは参照用SAW素子5までは伝わらない。そのため、シャフト200にトルクが加えられることによってシャフト200が歪み、これにより第2切り欠き212の底面212aが歪んでも、参照用SAW素子5は歪まない。
参照用SAW素子5は、シャフト200のトルクの影響を受けない検出信号、即ちトルクの変化によっては変化しない検出信号を出力させるために用いられるSAW素子である。そのため、参照用SAW素子5は、トルクの変化によって検出信号が変化しないようにすることが可能な種々の方法で設ければよい。
また、センシングシステム10は、信号を無線伝送するための一組のアンテナを備えている。具体的に、センサ側アンテナ6と、回路側アンテナ7とを備えている。各アンテナ6,7は、本実施形態ではいずれもループアンテナである。各アンテナ6,7のループ面の面積は同じである。各アンテナ6,7は、各々のループ面が対向するよう、且つ各々のループ面が平行になるように配置されている。
センサ側アンテナ6は、支持部材201によって、シャフト200に対して一体的に支持されている。支持部材201は絶縁体である。そのため、シャフト200が回転すると、その回転に追従してセンサ側アンテナ6が一体的に回動する。なお、本実施形態では、センサ側アンテナ6は、シャフト200に対し、ループ面の中心がx軸と略一致するように支持されている。そのため、シャフト200がx軸を回転軸として回転すると、センサ側アンテナ6も、x軸を回転軸として回転する。
センサ側アンテナ6の給電点6aは、センサ側配線6b(図1では不図示。図2参照。)によって、検出用SAW素子4及び参照用SAW素子5の双方に接続されている。よって、回路側アンテナ7から無線送信された励振信号(詳細は後述)がセンサ側アンテナ6によって受信されると、その励振信号は、センサ側配線6bを介して各SAW素子4,5に伝送される。また、各SAW素子4,5から検出信号(詳細は後述)が出力されると、その検出信号がセンサ側配線6bを介してセンサ側アンテナ6へ伝送され、センサ側アンテナ6から無線送信される。
回路側アンテナ7は、シャフト200とは物理的に接続されておらず、よって、シャフト200が回転しても回路側アンテナ7は動かない。回路側アンテナ7は、シャフト200以外の特定の部位(例えば車両のシャシー、或いはセンシングシステム10を構成する他の不図示の構成物など)に固定されている。
回路側アンテナ7の給電点7aは、回路側配線7bによって信号処理回路20に接続されている。よって、信号処理回路20から回路側配線7bへ励振信号が出力されると、その励振信号が回路側配線7bを介して回路側アンテナ7へ伝送され、回路側アンテナ7から無線送信される。また、センサ側アンテナ6から無線送信された検出信号が回路側アンテナ7によって受信されると、その検出信号は回路側配線7bを介して信号処理回路20へ伝送される。
このように、本実施形態のセンシングシステム10は、SAWセンサ3と信号処理回路20との間の信号の伝送路に、一組のアンテナ6,7によって信号が無線送信される無線伝送区間が含まれている。
また、信号処理回路20に接続されている回路側アンテナ7は固定されているのに対し、SAWセンサ3に接続されているセンサ側アンテナ6は、シャフト200に固定され、シャフト200が回転するとそれに追従してセンサ側アンテナ6も回転する。そのため、シャフト200が回転すると、アンテナ位置関係、即ち各アンテナ6,7の相対的位置関係が、変化する。
より具体的に、本実施形態では、既述の通り、シャフト200の回転軸はx軸であり、センサ側アンテナ6はそのループ面の中心をx軸が通るように配置されている。そのため、シャフト200が回転した場合、センサ側アンテナ6の給電点6aの位置が回転方向に変化する。
(2)センシングシステムの電気的構成
次に、センシングシステム10の電気的構成について、図2を用いて説明する。図2に示すように、センシングシステム10は、SAWセンサ3と、信号処理回路20とを備え、これら両者が、伝送路30によって相互に信号を送受信可能に接続されている。
なお、伝送路30は、回路側配線7b、一組のアンテナ6,7による無線伝送区間、及びセンサ側配線6bを含む。
SAWセンサ3が有する2つのSAW素子のうち、検出用SAW素子4は、第1センサ部11及び第2センサ部12の2つのセンサ部を有する。即ち、検出用SAW素子4においては、2つのセンサ部11,12が一体化されている。
具体的に、検出用SAW素子4は、圧電体基板4aと、櫛形電極(以下「IDT」と略す)14と、第1反射器15と、第2反射器16とを有する。なお、IDTはInterdigital Transducer の略称である。
第1センサ部11は、圧電体基板4a、IDT14、及び第1反射器15を少なくとも含む遅延型構造を有している。また、第2センサ部12は、圧電体基板4a、IDT14、及び第2反射器16を少なくとも含む遅延型構造を有している。
圧電体基板4aは、圧電性材料を含む素材によって形成され、外部から電気信号が印加されるとSAWが励振されて伝搬するように構成されている。圧電性材料は例えばニオブ酸リチウムであってもよい。
IDT14は、導体(例えばアルミニウム)である。IDT14は、一例として、櫛の歯数が5本の2つの電極が対となって構成され、計10本の歯が49.5μmのピッチで配置されている。対となった2つ電極のうち、1つの電極は接地されており、もう1つの電極にはセンサ側配線6bが接続されている。
IDT14に、伝送路30を介して励振信号が入力されると、IDT14によって圧電体基板4aにSAWが励振される。そして、その励振されたSAWが、所定の伝搬方向へ伝搬する。SAWの伝搬方向は、IDT14を構成する櫛の配列方向と同じ方向である。具体的に、IDT14によって励振されたSAWは、図2に示すように、IDT14が設けられている位置から、Da方向、及びこのDa方向と180度反対のDb方向の双方に伝搬する。
第1センサ部11を構成する第1反射器15は、圧電体基板4aにおける、IDT14が形成されている面と同じ面において、IDT14からDa方向へ所定距離離れた位置に形成されている。第1反射器15は、IDT14と同一の材料(例えばアルミニウム)で形成されている。第1反射器15は、一例として、SAWの伝搬方向と垂直な方向に延びた40本の電極が、SAWの伝搬方向に49.5μmのピッチで並設されて構成されている。
IDT14により励振されてDa方向へ伝搬するSAWは、第1反射器15によって反射され、再びIDT14へ戻る。SAWがIDT14へ戻ると、そのSAWがIDT14によって電気信号に変換され、その変換された電気信号が検出信号としてIDT14からセンサ側配線6bへ出力される。
なお、IDT14によって励振されたSAWが第1反射器15に伝搬していって第1反射器15で反射されて再びIDT14に戻ってくるまでの、SAWの伝搬経路を、第1伝搬経路Aという。つまり、第1伝搬経路Aは、第1センサ部11におけるSAWの伝搬経路である。第1伝搬経路Aの長さは、例えば、7920μmである。また、第1センサ部11から出力される検出信号を、以下、第1検出信号とも言う。
第1検出信号は、励振信号の入力タイミングから遅延して出力されるため、励振信号の位相に対して第1検出信号の位相には遅れが生じる。第1センサ部11に入力される励振信号の位相とその励振信号に対して第1センサ部11から出力される検出信号の位相の差(以下「第1遅相量」とも言う)は、第1伝搬経路Aの長さに依存する。また、第1遅相量は、シャフト200のトルク変化によって、即ちそのトルク変化によって生じる第1センサ部11の歪みの変化によって、変化する。
第2センサ部12を構成する第2反射器16は、圧電体基板4aにおける、IDT14が形成されている面と同じ面において、IDT14からDb方向へ所定距離離れた位置に形成されている。第2反射器16の材質及び構成は、第1反射器15と同じであり、一例として、SAWの伝搬方向と垂直な方向に延びた40本の電極が、SAWの伝搬方向に49.5μmのピッチで並設されて構成されている。
IDT14により励振されてDb方向へ伝搬するSAWは、第2反射器16によって反射され、再びIDT14へ戻る。SAWがIDT14へ戻ると、そのSAWがIDT14によって電気信号に変換され、その変換された電気信号が検出信号としてIDT14からセンサ側配線6bへ出力される。
なお、IDT14によって励振されたSAWが第2反射器16に伝搬していって第2反射器16で反射されて再びIDT14に戻ってくるまでの、SAWの伝搬経路を、第2伝搬経路Bという。つまり、第2伝搬経路Bは、第2センサ部12におけるSAWの伝搬経路である。第2伝搬経路Bの長さは、第1伝搬経路Aの長さとは異なり、例えば11880μmである。また、第2センサ部12から出力される検出信号を、以下、第2検出信号とも言う。
第2検出信号も、第1検出信号と同様、励振信号の位相に対して位相遅れが生じる。第2センサ部12に入力される励振信号の位相とその励振信号に対して第2センサ部12から出力される検出信号の位相の差(以下「第2遅相量」とも言う)は、第2伝搬経路Bの長さに依存する。また、第2遅相量は、シャフト200のトルク変化によって、即ちそのトルク変化によって生じる第2センサ部12の歪みの変化によって、変化する。
参照用SAW素子5は、第3センサ部13を有する。つまり、参照用SAW素子5はそれ自体が1つの第3センサ部13として機能する。具体的に、参照用SAW素子5は、圧電体基板5a、IDT17、及び反射器18を少なくとも含む遅延型構造を有している。
参照用SAW素子5の圧電体基板5aは、検出用SAW素子4の圧電体基板4aと同様、圧電性材料を含む素材によって形成され、外部から電気信号が印加されるとSAWが励振されて伝搬するように構成されている。
また、参照用SAW素子5のIDT17は、検出用SAW素子4のIDT14と同じ材質、構成であり、参照用SAW素子5の反射器18は、検出用SAW素子4の第1反射器15と同じ材質、構成である。
参照用SAW素子5において、IDT17を構成する一対の電極のうち一方の電極は接地されており、他方の電極にはセンサ側配線6bが接続されている。そのため、IDT17に伝送路30を介して励振信号が入力されると、IDT17によって圧電体基板5aにSAWが励振され、Da方向へ伝搬する。
参照用SAW素子5において、反射器18は、IDT17からみてDa方向に設けられている。そのため、IDT17により励振されてDa方向へ伝搬するSAWは、反射器18によって反射され、再びIDT17へ戻る。SAWがIDT17へ戻ると、そのSAWがIDT17によって電気信号に変換され、その変換された電気信号が検出信号としてIDT17から伝送路30へ出力される。
なお、参照用SAW素子5において、IDT17によって励振されたSAWが反射器18に伝搬していって反射器18で反射されて再びIDT17に戻ってくるまでの、SAWの伝搬経路を、第3伝搬経路Cという。つまり、第3伝搬経路Cは、第3センサ部13におけるSAWの伝搬経路である。第3伝搬経路Cの長さは、第1伝搬経路Aの長さ及び第2伝搬経路Bの長さの何れとも異なり、例えば19800μmである。また、第3センサ部13から出力される検出信号を、以下、第3検出信号とも言う。
第3検出信号も、第1検出信号と同様、励振信号の位相に対して位相遅れが生じる。第3センサ部13に入力される励振信号の位相とその励振信号に対して第3センサ部13から出力される検出信号の位相の差(以下「第3遅相量」とも言う)は、第3伝搬経路Cの長さに依存する。ただし、既述の通り、第3センサ部13は、シャフト200の歪みが第3センサ部13に伝わらないように設けられている。そのため、第3遅相量は、第1遅相量及び第2遅相量とは異なり、シャフト200のトルクが変化しても変化しない。
なお、第3伝搬経路Cの長さを、第1伝搬経路Aの長さ及び第2伝搬経路Bの長さよりも長くすることは、必須ではない。各伝搬経路A,B,Cの長さは、後述するように同じ励振信号に対して各センサ部13から出力される検出信号の出力期間が重複しないように、適宜決めてもよい。
信号処理回路20は、信号源21と、出力増幅器22と、スイッチ23と、移相器24と、入力増幅器25と、第1ミキサ26と、第2ミキサ27と、演算部28と、周囲温度センサ29と、を備える。
信号源21は、各SAW素子4,5にSAWを励振させるための電気信号である励振信号を生成し、出力するように構成されている。励振信号の具体的な内容は適宜決めてもよい。本実施形態では、励振信号として、40MHzの正弦波信号を用いる。信号源21から出力された励振信号は、出力増幅器22、移相器24、及び第1ミキサ26に入力される。
出力増幅器22は、信号源21から出力された励振信号を増幅してスイッチ23へ出力する。
スイッチ23は、出力増幅器22及び入力増幅器25に接続されると共に、回路側配線7bが接続されている。スイッチ23は、信号処理回路20内における、回路側配線7bの接続先(即ち伝送路30の接続先)を、出力増幅器22及び入力増幅器25の何れか一方に選択的に切り替え可能に構成されている。
スイッチ23によって出力増幅器22が回路側配線7bに接続された状態では、信号源21から出力されて出力増幅器22で増幅された励振信号がスイッチ23を介して回路側配線7bへ出力される。一方、スイッチ23によって入力増幅器25が回路側配線7bに接続された状態では、回路側アンテナ7で受信されて回路側配線7bを伝送されてきた検出信号が、スイッチ23を介して入力増幅器25へ出力される。
なお、信号源21からの励振信号の出力、及びスイッチ23の動作は、本実施形態では、一例として演算部28によって制御されるものとする。
移相器24は、信号源21から入力される励振信号の位相を90deg進相させる。移相器24によって90deg進相された励振信号は、第2ミキサ27へ出力される。なお、移相器24における励振信号の位相の変化量が90deg進相であることはあくまでも一例である。
入力増幅器25は、スイッチ23を介して入力された信号(本実施形態ではSAWセンサ3から出力されて伝送路30を経て入力される検出信号)を増幅する。入力増幅器25で増幅された検出信号は、各ミキサ26,27へ出力される。
第1ミキサ26には、信号源21からの励振信号と入力増幅器25からの検出信号とが入力される。第1ミキサ26は、これら入力される励振信号と検出信号をミキシング(具体的には乗算)する。第1ミキサ26でミキシングされた信号は、演算部28へ出力される。
第2ミキサ27には、移相器24で90deg進相された励振信号と、入力増幅器25からの検出信号とが入力される。第2ミキサ27は、これら入力される2つの信号をミキシング(具体的には乗算)する。第2ミキサ27でミキシングされた信号は、演算部28へ出力される。
演算部28は、各ミキサ26,27から入力された各信号に基づいて、励振信号と検出信号との位相差、即ち検出信号の位相角を算出する。本実施形態では、より詳しくは、演算部28の起動時(即ち物理量の演算の開始時)の初期状態での位相角に対する、実際に入力された検出信号に基づく位相角の変化量(以下「位相変化量」という)を算出する。そして、その算出した位相変化量に基づいて、検出対象物の物理量、即ちシャフト200のトルクを検出する。
ただし、本実施形態では、同じ励振信号に対し、異なる3つの検出信号が順次入力される。具体的に、第1センサ部11からの第1検出信号と、第2センサ部12からの第2検出信号と、第3センサ部13からの第3検出信号が、時系列的に個別に順次入力される。
演算部28は、3つの検出信号毎に個別に、位相変化量を算出する。具体的に、第1検出信号に対しては、励振信号と第1検出信号との位相差を算出し、その位相差に基づいて位相変化量を算出する。以下、第1検出信号をもとに算出される位相変化量を、第1位相変化量θとも言う。また、演算部28は、第2検出信号に対しても、励振信号と第2検出信号との位相差を算出し、その位相差に基づいて位相変化量を算出する。以下、第2検出信号をもとに算出される位相変化量を、第2位相変化量θとも言う。また、演算部28は、第3検出信号に対しても、励振信号と第3検出信号との位相差を算出し、その位相差に基づいて位相変化量を算出する。以下、第3検出信号をもとに算出される位相変化量を、第3位相変化量θとも言う。
そして、演算部28は、算出した3つの位相変化量θ、θ、θを用いて、後述する特定の演算を行うことで、シャフト200のトルクを算出する。
周囲温度センサ29は、センシングシステム10全体の周囲温度(いわゆる雰囲気温度)を検出するための温度センサである。周囲温度センサ29は、例えばサーミスタ、熱電対などの、温度に応じた信号を出力可能な素子を有し、温度に応じた信号を演算部28へ出力する。演算部28は、周囲温度センサ29から入力される信号に基づいて雰囲気温度を取得することができる。
(3)演算部28の処理
次に、検出対象の物理量を検出するために演算部28が行う各種処理について説明する。演算部28は、物理量を検出する際、まず、スイッチ23において出力増幅器22と回路側配線7bとを接続させる。
そして、信号源21から励振信号を出力させる。この励振信号は、出力増幅器22で増幅された後、スイッチ23及び伝送路30を経て、SAWセンサ3に入力される。具体的に、励振信号は、検出用SAW素子4のIDT14及び参照用SAW素子5のIDT17に入力される。換言すれば、3つのセンサ部11,12,13にそれぞれ同時に入力される。
これにより、検出用SAW素子4においてはIDT14によりSAWが励振され、参照用SAW素子5においてはIDT17によりSAWが励振される。
そして、検出用SAW素子4における、第1センサ部11においては、IDT14により励振されたSAWが第1伝搬経路Aを伝搬して再びIDT14へ戻り、その戻ってきたSAWによってIDT14に第1検出信号が発生する。つまり、戻ってきたSAWが第1検出信号に変換される。なお、SAWが第1伝搬経路Aを伝搬する過程で第1反射器15で反射されることは既述の通りである。
また、検出用SAW素子4における、第2センサ部12においては、IDT14により励振されたSAWが第2伝搬経路Bを伝搬して再びIDT14へ戻り、その戻ってきたSAWによってIDT14に第2検出信号が発生する。なお、SAWが第2伝搬経路Bを伝搬する過程で第2反射器16で反射されることは既述の通りである。
また、参照用SAW素子5、即ち第3センサ部13においては、IDT17により励振されたSAWが第3伝搬経路Cを伝搬して再びIDT17へ戻り、その戻ってきたSAWによってIDT17に第3検出信号が発生する。つまり、戻ってきたSAWが第3検出信号に変換される。なお、SAWが第3伝搬経路Cを伝搬する過程で反射器18で反射されることは既述の通りである。
信号処理回路20から出力された励振信号に対し、上記のように、各センサ部11,12,13からそれぞれ検出信号が出力されるが、その出力タイミングは、センサ部毎に異なる。同じ励振信号に対する、各センサ部11,12,13からの検出信号の出力タイミングは、主に、SAWの伝搬経路の長さに依存する。本実施形態では、3つの伝搬経路のうち、第1伝搬経路Aが最も短く、第3伝搬経路Cが最も長い。そのため、同じ励振信号に対し、まず第1センサ部11から第1検出信号が出力され、次に第2センサ部12から第2検出信号が出力され、最後に第3センサ部13から第3検出信号が出力される。
そこで、演算部28は、信号源21から励振信号の出力を開始させた後、第1センサ部11から第1検出信号が出力されるよりも前の所定のタイミングで、スイッチ23を入力増幅器25側に切り替える。
信号処理回路20における、励振信号の出力タイミングに対する各検出信号の入力タイミングについて、図3を用いて具体的に説明する。図3に示すように、時刻t1で信号源21から励振信号を出力させたとする。なおこのとき、スイッチ23は、出力増幅器22側に接続された状態にある。
時刻t1で励振信号を出力すると、その励振信号が伝送路30を経てSAWセンサ3に入力される。そして、その励振信号に対し、まず時刻t11に第1センサ部11から第1検出信号が入力される。そこで、演算部28は、時刻t11よりも前の時刻t10で、スイッチ23を入力増幅器25側に切り替えて励振信号のSAWセンサ3への出力を停止させる。
つまり、励振信号は、時刻t1から時刻t10までの規定時間、SAWセンサ3へ出力される。そして、規定時間が経過した時刻t10よりも後の時刻t11でまず第1センサ部11から第1検出信号が入力される。第1検出信号は、時刻t11から時刻t12まで入力される。第1センサ部11からの第1検出信号の入力が終了した後、時刻t13で、第2センサ部12から第2検出信号が入力される。第2検出信号は、時刻t13から時刻t14まで入力される。第2センサ部12からの第2検出信号の入力が終了した後、時刻t15で、第3センサ部13から第3検出信号が入力される。第3検出信号は、時刻t15から時刻t16まで入力される。
そして、時刻t16で第3検出信号の入力が終了した後、時刻t2で、再びスイッチ23を出力増幅器22側に切り替えて、時刻t20までの規定時間、SAWセンサ3へ励振信号を出力させる。このようにして、励振信号は、所定のバースト周期でSAWセンサ3へ出力される。そして、各周期において、規定時間出力される励振信号に対し、3つのセンサ部11,12,13から信号処理回路20へ各検出信号が順次出力される。
一周期における、励振信号の出力期間、及び各検出信号の入力期間は、これら各期間が重複しないようにされている。つまり、励振信号がSAWセンサ3へ出力される規定時間、及び、各センサ部11,12,13の各伝搬経路A,B,Cの長さは、励振信号の出力期間、及び各検出信号の入力期間がいずれも重複しないように設計されている。
演算部28は、バースト周期ごとに、励振信号に対して各センサ部11,12,13から順次入力される各検出信号に基づいて、各位相変化量θ、θ、θを算出する。算出した各位相変化量θ、θ、θは、不図示のメモリに一時的に記憶される。演算部28は、バースト周期ごとに、算出した各位相変化量θ、θ、θを用いて、特定の演算を行うことで、シャフト200のトルクを算出する。
ここで、トルクを算出するために3つのセンサ部11,12,13を用いている理由について説明する。仮に、第1センサ部11からの第1検出信号の遅相量がシャフト200のトルクにのみ依存し、且つ、伝送路30における各アンテナ6,7の相対的位置関係が変化しても第1位相変化量θは変化しないならば、必要なセンサ部は第1センサ部11のみでよい。
しかし、実際には、第1センサ部11から出力される第1検出信号の遅相量は、第1センサ部11の温度によっても変化する。そのため、演算部28によって算出される第1位相変化量θには、トルクの変化によって生じる成分(以下「トルク変化成分」とも言う)だけでなく、第1センサ部11の温度の変化によって生じる成分(以下「温度変化成分」とも言う)も含まれている。
さらに、伝送路30には、一組のアンテナ6,7による無線伝送区間が含まれており、 アンテナ位置関係が変化すると、各アンテナ6,7間の電波の伝搬特性も変化する。そのため、演算部28によって算出される第1位相変化量θには、トルク変化成分及び温度変化成分に加えて、さらに、アンテナ位置関係の変化によって生じるアンテナ位置成分も含まれている。
そのため、第1センサ部11から出力される第1検出信号のみに基づいてトルクを算出すると、算出されるトルクには、温度変化成分に起因する誤差、及びアンテナ位置成分に起因する誤差が含まれてしまう。これらの誤差は、トルクの算出精度を低下させる要因となる。
そこで、本実施形態では、第1センサ部11に加え、さらに、検出信号がトルクに依存して変化する第2センサ部12、及び検出信号がトルクに依存しない第3センサ部13を設け、これら3つのセンサ部11,12,13からの各検出信号に基づいてトルクを算出するようにしている。また、これら3つのセンサ部11,12,13は、各々の温度が同じか若しくは同じと見なせる程度の温度差に収まるように近接して配置されている。
そして、これら3つのセンサ部11,12,13からの3つの検出信号に基づく特定の演算を行うことで、温度変化成分及びアンテナ位置成分の影響が抑制されたトルクを算出するように構成されている。
なお、アンテナ位置成分は考慮せず温度変化成分の影響を抑制すればよい場合は、第3センサ部13部は不要であり、第1センサ部11に加えて第2センサ部12を備えればよい。これに対し、本実施形態では、アンテナ位置成分の影響も抑制するために、さらに、トルクの影響を受けない第3検出信号を出力可能な第3センサ部13を設けている。
3つの位相変化量θ、θ、θを用いてトルクを算出するための特定の演算について、具体的に説明する。なお、以下に述べる特定の演算は、トルクに限らず他の各種の物理量を算出する際にも同様に用いることができる。
まず、参考例として、伝送路30に無線伝送区間が存在しない構成、即ちSAWセンサ3と信号処理回路20とが有線で直接接続されている例について説明する。この参考例の場合、第3センサ部13は不要であり、第1センサ部11からの第1検出信号及び第2センサ部12からの第2検出信号に基づいて物理量を算出できる。
この場合、算出すべき物理量Subjectの、初期状態からの変化量をSbjとすると、第1検出信号に基づいて算出される第1位相変化量θ、及び第2検出信号に基づいて算出される第2位相変化量θは、それぞれ次式(1)、(2)のように表される。
Figure 0006740587
なお、Tempは、検出用SAW素子4の現在の温度である。また、Teは、素子温度Tempの、初期状態からの変化量である。物理量Subject、物理量変化量Sbj、素子温度Temp、及び素子温度変化量Teは、未知情報である。また、θSbjAは、第1センサ部11の物理量感度関数(素子温度Tempの関数)である。θSbjBは、第2センサ部12の物理量感度関数(素子温度Tempの関数)である。これら2つの物理量感度関数の比率である物理量感度比(θSbjB/θSbjA)は、予め知ることが可能な既知情報である。また、θTeAは第1センサ部11の温度感度であり、θTeBは第2センサ部12の温度感度である。これら各温度感度θTeA、θTeBは、いずれも既知情報である。
上記式(1)、(2)において、右辺第1項は、検出対象物における検出対象の物理量の変化によって生じる成分である物理量変化成分であり、右辺第2項は、各センサ部11,12の温度の変化によって生じる成分である温度変化成分である。
上記式(1)、(2)から、物理量変化量Sbjの項を消去することで、下記式(3)のように、素子温度変化量Teが得られる。よって、初期状態での検出用SAW素子4の素子温度をTempとすると、現在の素子温度Tempは、次式(4)で表される。
Figure 0006740587
なお、検出用SAW素子4の初期温度Tempは、例えば周囲温度センサ29によって検出された温度に基づいて取得できる。本実施形態では、演算部28は、起動後の初期状態において、周囲温度センサ29からの検出信号に基づいて雰囲気温度を取得する。そして、その雰囲気温度を、検出用SAW素子4の初期温度Tempとしてメモリに記憶し、以後の演算で必要に応じてメモリから読み出して用いる。
本実施形態では、初期状態とは、一例として、車両の電源スイッチ(不図示)がオンされて演算部28を含む車両の各部が起動した状態を想定している。つまり、運転者が車両に乗り込んで走行させようとすべく、まず電源スイッチをオンした状態を、初期状態として想定している。そのため、本実施形態では、初期状態においては雰囲気温度と検出用SAW素子4の実際の温度はほぼ等しいであろうという予測に基づいて、周囲温度センサ29によって検出される雰囲気温度を初期温度Tempとしている。一方、電源スイッチがオンされて各部が起動すると、車両の動作状態によっては、雰囲気温度と検出用SAW素子4の温度とに差が生じる可能性がある。そのため、現在の素子温度Tempについては、雰囲気温度ではなく、上記演算によって算出するようにしている。
一方、上記式(1)、(2)から、素子温度変化量Teの項を消去することで、下記式(5)のように、物理量変化量Sbjが得られる。式(5)中の素子温度Tempは、上記式(4)で得られる値を用いることができる。
よって、初期状態での物理量を初期物理量Subjectとすると、現在の物理量Subjectは、次式(6)で表される。
Figure 0006740587
なお、初期物理量Subjectは、例えば、演算部28の起動後の初期状態において想定される検出対象物の状態に基づき、その初期状態において想定される物理量を、初期物理量Subjectとして適宜決めておいてもよい。本実施形態では、初期物理量Subjectが例えば0に設定され、メモリに記憶されている。
このように、伝送路30に無線伝送区間が存在しない場合は、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて第1位相変化量θ及び第2位相変化量θを算出し、それら第1位相変化量θ及び第2位相変化量θに基づく上記式(3)〜(6)の演算を行うことで、素子温度Tempの影響が抑制された物理量Subjectを算出することができる。
次に、伝送路30に無線伝送区間が含まれている本実施形態における、物理量Subjectを算出するための特定の演算について説明する。本実施形態では、各位相変化量θ、θ、θに含まれるアンテナ位置成分は各センサ部11,12,13それぞれ独立して発生する。ただし、各アンテナ位置成分は、互いに線形関係となっているものとする。
つまり、第1位相変化量θに含まれるアンテナ位置成分をθAnA(φ)、第2位相変化量θに含まれるアンテナ位置成分をθAnB(φ)、第3位相変化量θに含まれるアンテナ位置成分をθAnC(φ)とすると、これら3者間には、θAnA(φ)=a・θAnC(φ)、θAnB(φ)=b・θAnC(φ)、θAnB(φ)=C・θAnA(φ)、という関係があるものとする。
なお、φは、初期状態を基準とする、センサ側アンテナ6の回転角である。回転角φは、0degから360deg(=0deg)までの範囲内の値をとる。また、a,b,Cは所定の定数である。各センサ部11,12,13と各アンテナ6,7とを適宜調整することで、上記のように各位相変化量θ、θ、θの3者間に線形関係を持たせることができる。各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)、θAnC(φ)は、センサ側アンテナ6の回転角φに依存(換言すればアンテナ位置関係に依存)する。
この場合、第1位相変化量θ、第2位相変化量θ、及び第3位相変化量θは、それぞれ次式(7)、(8)、(9)のように表される。なお、式(9)中のθTeCは、第3センサ部13の温度感度であり、既知情報である。
Figure 0006740587
上記式(7)、(8)における右辺第3項、及び上記式(9)における右辺第2項は、アンテナ位置関係の変化によって生じる成分であるアンテナ変化成分である。
第3センサ部13は、物理量Subjectの影響を受けないように設けられている。そのため、式(9)に示すように、第3センサ部13からの第3検出信号に基づく第3位相変化量θには、物理量の変化によって生じる物理量変化成分は含まれない。
上記式(7)、(8)、(9)より、各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)、θAnC(φ)を消去すると、次式(10)、(11)が得られる。
Figure 0006740587
上記式(10)、(11)から、物理量変化量Sbjの項を消去することで、式(12)のように素子温度変化量Teが得られる。よって、現在の素子温度Tempは、式(13)で表される。
Figure 0006740587
一方、上記式(10)、(11)から、素子温度変化量Teの項を消去することで、式(14)のように物理量変化量Sbjが得られる。よって、算出すべき現在の物理量Subjectは、式(15)で表される。
Figure 0006740587
信号処理回路20の演算部28は、各位相変化量θ、θ、θに基づき、上記式(12)〜(15)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出する。
(4)第1実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態のセンシングシステム10では、SAWセンサ3は、物理量の変化に応じて検出信号が変化するように設けられた第1センサ部11及び第2センサ部12と、物理量が変化しても検出信号が変化しないように設けられた第3センサ部13とを備えている。また、伝送路30には、一組のアンテナ6,7を含む無線伝送区間が存在している。
信号処理回路20の演算部28は、各センサ部11,12,13へ励振信号を出力し、その励振信号に対して各センサ部11,12,13から順次受信される各検出信号ごとに個別に、位相変化量θ、θ、θを算出する。
そして、それら各位相変化量θ、θ、θに基づき、上記式(12)〜(15)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出することができる。そして、物理量Subjectを算出するための特定の演算は、上記式(12)〜(15)に示したように、アンテナ位置関係の変化の影響が除去され、且つ温度の変化の影響が除去された物理量を算出するための演算である。この特定の演算は、実質的には、第1検出信号に基づく第1位相変化量θから温度変化成分及びアンテナ位置成分を除去し、その除去後の第1位相変化量に基づいて物理量Subjectを算出することと等価である。
よって、本実施形態のセンシングシステム10によれば、アンテナ位置関係の変化に起因して発生する検出信号の位相角の変化の影響が抑制された、精度の高い物理量を検出することができる。
なお、本実施形態において、第3センサ部13から出力される第3検出信号は、状態情報の一例に相当する。また、信号処理回路20は信号処理部の一例に相当する。また、参照用SAW素子5は状態情報出力部及び情報検出部の一例に相当する。
[第2実施形態]
第1実施形態では、算出される物理量に対するアンテナ位置関係の影響を抑制するために、検出用SAW素子4(即ち第1センサ部11及び第2センサ部12)とは別に参照用SAW素子5(即ち第3センサ部13)を設けた。
これに対し、本第2実施形態では、図4に示すように、参照用SAW素子5に代えて、検出用SAW素子4の温度を検出するための素子温度センサ41を設ける。なお、第2実施形態は、参照用SAW素子5に代えて素子温度センサ41を設けていること、及び物理量を算出するための特定の演算の方法が第1実施形態とは異なることを除き、基本的な構成は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態と共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図4に示すように、本実施形態のセンシングシステム40は、SAWを励振させて検出信号を出力させるためのSAWセンサ45として、検出用SAW素子4を備えている。また、この検出用SAW素子4の近傍に、この検出用SAW素子4の温度である素子温度Tempを検出するための素子温度センサ41が設けられている。
素子温度センサ41は、本実施形態では例えば赤外線放射温度計である。素子温度センサ41は、検出対象物としてのシャフト200には直接は固定されておらず、シャフト200が回転しても素子温度センサ41は動かない。
素子温度センサ41を設ける目的は、素子温度Temp(換言すれば各センサ部11,12の温度)を検出することである。そのため、温度検出部として図4に示すような素子温度センサ41を用いること、及びそれを検出対象物に固定しないこと、などはあくまでも一例であり、素子温度センサ41以外の他の方法を用いて素子温度Tempを検出するようにしてもよい。
例えば、シャフト200における検出用SAW素子4のごく近傍に温度センサを固定し、その温度センサで検出された検出信号を無線にて信号処理回路42へ送信させるようにしてもよい。また、第1実施形態の信号処理回路20と同様に周囲温度センサ29を設け、この周囲温度センサ29により検出される温度を素子温度Tempとして扱っても差し支えない場合は、周囲温度センサ29によって素子温度Tempを検出するようにしてもよい。
図5に示すように、素子温度センサ41から出力される、素子温度Tempを示す温度検出信号は、信号処理回路42内の演算部43に入力される。演算部43は、素子温度センサ41から入力される温度検出信号に基づいて素子温度Tempを取得し、その素子温度Tempに基づいて素子温度変化量Teを算出する。
演算部43は、第1実施形態の演算部28と同様、信号源21で生成される励振信号を周期的にSAWセンサ45へ出力させる。そして、励振信号を出力させる1周期ごとに、その励振信号に対して各センサ部11,12から伝送路30を介して信号処理回路42へ入力される第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、第1検出信号の位相角及び第2検出信号の位相角を算出し、ひいては第1位相変化量θ及び第2位相変化量θを算出する。そして、算出した各位相変化量θ,θ、及び素子温度センサ41からの温度検出信号に基づいて取得した素子温度Temp及び素子温度変化量Teを用いて、特定の演算を実行することにより、物理量としてのトルクを算出する。
本実施形態の特定の演算について具体的に説明する。本実施形態では、素子温度Temp及び素子温度変化量Teは既知となる。また、本実施形態においても、第1位相変化量θに含まれるアンテナ位置成分θAnA(φ)と第2位相変化量θに含まれるアンテナ位置成分θAnB(φ)との間には、θAnB(φ)=C・θAnA(φ)、という線形関係があるものとする。
ここで、既述の式(7)、(8)を、それぞれ、次式(16)、(17)のように変形する。
Figure 0006740587
上記式(16)、(17)から、各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)を消去すると、次式(18)のように、物理量変化量Sbjが得られる。よって、算出すべき現在の物理量Subjectは、式(19)で表される。
Figure 0006740587
信号処理回路42の演算部43は、各位相変化量θ、θ、素子温度Temp、及び素子温度変化量Teを用いて、上記式(18),(19)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出する。
以上説明したように、第2実施形態のセンシングシステム40では、SAWセンサ45は、物理量の変化に応じて検出信号が変化するように設けられた第1センサ部11及び第2センサ部12を備えている。更に、SAWセンサ45とは別に、素子温度Tempを検出するための素子温度センサ41を備えている。
信号処理回路42の演算部43は、2つのセンサ部11,12へ励振信号を出力し、その励振信号に対して各センサ部11,12から順次受信される各検出信号ごとに個別に、位相変化量θ、θを算出する。
そして、それら各位相変化量θ、θ、及び、素子温度センサ41からの温度検出信号に基づいて取得した素子温度Temp及び素子温度変化量Teを用いて、上記式(18),(19)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出する。
本実施形態における、物理量Subjectを算出するための特定の演算も、第1実施形態の特定の演算と同様、アンテナ位置関係の変化の影響が除去され、且つ温度の変化の影響が除去された物理量を算出するための演算である。
よって、本実施形態のセンシングシステム40によれば、アンテナ位置関係の変化に起因して発生する検出信号の位相角の変化の影響が抑制された、精度の高い物理量を検出することができる。
なお、本実施形態においては、第2センサ部12から伝送路30を経て信号処理回路42へ入力される第2検出信号、及び素子温度センサ41から出力される温度検出信号は、いずれも状態情報の一例に相当する。また、素子温度センサ41は温度検出部の一例に相当する。
[第3実施形態]
第2実施形態では、算出される物理量に対するアンテナ位置関係の影響を抑制するために、検出用SAW素子4(即ち第1センサ部11及び第2センサ部12)とは別に、素子温度センサ41を設けた。
これに対し、本第3実施形態では、図6に示すように、素子温度センサ41に代えて、センサ側アンテナ6の回転角φを検出するための回転角センサ51を設ける。回転角φは、アンテナ位置関係の変化量の一例である。
なお、第2実施形態は、素子温度センサ41に代えて回転角センサ51を設けていること、及び物理量を算出するための特定の演算の方法が第2実施形態とは異なることを除き、基本的な構成は第2実施形態と同じである。そのため、第2実施形態と共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図6に示すように、本実施形態のセンシングシステム50では、回転角センサ51から出力される、センサ側アンテナ6の回転角φを示す回転検出信号が、信号処理回路52に入力される。回転角センサ51は、センサ側アンテナ6の回転角φを検出可能な種々の構成のセンサを用いてもよい。
図6に示すように、回転角センサ51から出力される、回転角φを示す回転検出信号は、信号処理回路52内において、演算部53に入力される。演算部53は、回転角センサ51から入力される回転検出信号に基づいて回転角φを取得し、その回転角φに基づいて、各位相変化量θ,θに含まれるアンテナ位置成分を導出する。
本実施形態では、各位相変化量θ、θごとに個別に、回転角φに対するアンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)が予め対応付けられている。具体的に、例えば回転角φを変数とするアンテナ位置成分の関数式を各位相変化量θ、θごとに個別に用意しておき、演算部53がそれら関数式を用いて回転角φに対する各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)を導出するようにしてもよい。また例えば、回転角φと各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)との対応関係を予め調べておいて例えばテーブル化しておき、演算部53がそのテーブルを参照して、回転角φに対する各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)を導出するようにしてもよい。上記の関数式やテーブルは、例えば不図示のメモリに記憶されていてもよい。
演算部43は、第2実施形態の演算部43と同様、信号源21で生成される励振信号を周期的にSAWセンサ45へ出力させる。そして、励振信号を出力させる1周期ごとに、その励振信号に対して各センサ部11,12から伝送路30を介して信号処理回路42へ入力される第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、第1検出信号の位相角及び第2検出信号の位相角を算出し、ひいては第1位相変化量θ及び第2位相変化量θを算出する。そして、算出した各位相変化量θ,θ、及び回転角センサ51からの回転検出信号に基づいて取得した回転角φを用いて、特定の演算を実行することにより、物理量としてのトルクを算出する。
本実施形態の特定の演算について具体的に説明する。本実施形態では、回転角φは既知となる。また、回転角φがわかれば、既述の通り、各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)を導出できるため、これら各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)も既知となる。なお、本実施形態では、各アンテナ位置成分θAnA(φ)、θAnB(φ)が互いに線形関係にあってもよいし、線形関係になくてもよい。
ここで、既述の式(7)、(8)を、それぞれ、次式(20)、(21)のように変形する。
Figure 0006740587
上記式(20)、(21)から、物理量変化量Sbjの項を消去することで、式(22)のように素子温度変化量Teが得られる。よって、現在の素子温度Tempは、式(23)で表される。
Figure 0006740587
一方、上記式(20)、(21)から、素子温度変化量Teの項を消去することで、式(24)のように物理量変化量Sbjが得られる。よって、算出すべき現在の物理量Subjectは、式(25)で表される。
Figure 0006740587
信号処理回路52の演算部53は、各位相変化量θ、θ、及び回転角φを用いて、上記式(22)〜(25)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出する。
以上説明したように、第3実施形態のセンシングシステム50では、SAWセンサ45に加えて、回転角φを検出するための回転角センサ51を備えている。信号処理回路52の演算部53は、2つのセンサ部11,12へ励振信号を出力し、その励振信号に対して各センサ部11,12から順次受信される各検出信号ごとに個別に、位相変化量θ、θを算出する。
そして、それら各位相変化量θ、θ、及び、回転角センサ51からの回転検出信号に基づいて取得した回転角φを用いて、上記式(22)〜(25)を少なくとも含む特定の演算を行うことで、物理量Subjectを算出する。
本実施形態における、物理量Subjectを算出するための特定の演算も、第1実施形態の特定の演算と同様、アンテナ位置関係の変化の影響が除去され、且つ温度の変化の影響が除去された物理量を算出するための演算である。よって、本実施形態のセンシングシステム50によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態において、回転角センサ51から出力される回転検出信号は、状態情報の一例に相当する。また、回転角センサ51は位置変化検出部の一例に相当する。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記各実施形態では、位相変化量に含まれる誤差成分として、アンテナ位置成分だけでなく温度変化成分まで考慮して、これら2つの成分を除去するための特定の演算を行うことで、これら2つの成分の影響が抑制された物理量を算出した。
一方、仮に、位相変化量に含まれる各成分のうち温度変化成分は無視してもよい場合は、特定の演算として、温度変化成分を考慮しない簡素な演算を行うことで、物理量を算出することができる。
例えば第1実施形態において、温度変化成分を考慮する必要がない場合は、参照用SAW素子5を省くか、又は検出用SAW素子4に形成されている2つのセンサ部11,12のうち何れか一方を省くことができる。
例えば参照用SAW素子5を省いて検出用SAW素子4のみ用いる場合、既述の式(7)、(8)は、温度を考慮しなくても良い分、下記式(26)、(27)のように簡略化できる。
Figure 0006740587
よって、物理量Subjectは、特定の演算として下記式(28)の演算を行うことによって算出することができる。
Figure 0006740587
また、例えば第1センサ部11と第3センサ部13のみ用いて第2センサ部12は用いない場合、既述の式(7)、(9)をそれぞれ簡略化でき、それら簡略化した式からアンテナ位置成分を消去することで、物理量Subjectを算出する式が得られる。
また、第3実施形態において、温度変化成分を考慮する必要がない場合は、例えば第1センサ部11からの第1検出信号に基づく第1位相変化量θ及び回転角センサ51からの回転検出信号に基づく回転角φを用いて物理量を算出することができる。
具体的に、第1検出信号に基づく第1位相変化量θは、上記式(26)で表せる。ここで、アンテナ変化成分θAnA(φ)は、回転角センサ51からの回転検出信号に基づいて得られる。そのため、物理量Subjectは、特定の演算として下記式(29)の演算を行うことによって算出することができる。
Figure 0006740587
このように、第1実施形態及び第3実施形態に示した構成において、温度変化成分を考慮しなくてもよい場合は、システム全体の構成をより簡素化でき、且つ、物理量を算出するための特定の演算もより簡素化できる。
(2)第1実施形態において、参照用SAW素子5を取り付ける方法は、軟質接着部材9によってシャフト200に取り付ける方法に限定されない。参照用SAW素子5は、トルクの変化によっては第3検出信号が変化しないようにすることが可能な他の方法によって取り付けてもよい。
例えば、センサ側アンテナ6に対して、直接、又は支持部材によって間接的に、参照用SAW素子5を設けるようにしてもよい。
また例えば、図7に示すように、1つの素子上に2つのセンサ部が形成されたSAW素子141を用い、物理量の検出対象物170に対するこのSAW素子141の取り付け方法を工夫することで、2つのセンサ部のうち一方を第1センサ部として機能させ、他方を第3センサ部として機能させるようにしてもよい。
具体的に、図7に示すSAW素子141は、第1実施形態の検出用SAW素子4と同じように、1つのIDT145と、第1反射器146と、第3反射器150とを有する。IDT145と第1反射器146との位置関係は、第1実施形態における検出用SAW素子4のIDT14と第1反射器15との位置関係と全く同じである。また、IDT145と第3反射器150との位置関係は、第1実施形態における参照用SAW素子5のIDT17と反射器18との位置関係と全く同じである。
そして、図7に示すように、SAW素子141全体のうち、IDT145から第1反射器146側の領域を、検出対象物170に接合させる。一方、IDT145から第3反射器150側の領域は、検出対象物170に接合させずに検出対象物170から浮いた状態にする。
このような構成により、IDT145と第1反射器146とによって第1センサ部が実現され、この第1センサ部から出力される第1検出信号は、検出対象物170の歪みの影響を受けて変化する。さらに、IDT145と第3反射器150とによって第3センサ部が実現され、この第3センサ部から出力される第3検出信号は、検出対象物170の歪みの影響を受けない。なお、図7に示すSAW素子141から第1反射器146を省いて、SAW素子141を単に第3センサ部としてのみ機能させるようにしてもよい。
(3)第1実施形態において、第3センサ部13については、必ずしも、物理量の影響を全く受けないようにすることまでは要求されない。第3センサ部13は、同じ物理量の変化に対する歪みの量を他の2つのセンサ部11,12よりも少なくでき、且つ物理量の変化に起因して第3検出信号が変化するとしてもその変化量を無視し得る程度のレベルに抑えることができるものであってもよい。
具体的に、例えば図8(a)に示すように、1つのSAW素子上に3つのセンサ部が形成されたSAWセンサ60を、検出対象物に直接接合して用いてもよい。図8(a)に示すSAWセンサ60は、第1センサ部66、第2センサ部67、及び第3センサ部68が同一SAW素子に形成されている。具体的に、同じ1つの圧電体基板61上に、第1センサ部66を構成する第1IDT70aと第1反射器71、第2センサ部67を構成する第2IDT70bと第2反射器72、及び第3センサ部68を構成する第3IDT70cと第3反射器73が形成されている。
各IDT70a,70b,70cは、いずれも第1実施形態のIDT14と同じ構成である。また、各反射器71,72,73は、いずれも第1実施形態の第1反射器15と同じ構成である。また、第1センサ部66の第1伝搬経路Aは第1実施形態の第1センサ部11の第1伝搬経路Aと同じ長さであり、第2センサ部67の第2伝搬経路Bは第1実施形態の第2センサ部12の第2伝搬経路Bと同じ長さである。
一方、第3センサ部68の第3伝搬経路Cは、他の2つの伝搬経路A,Bよりも非常に短い。第3伝搬経路Cの長さは、物理量の変化に対する第3センサ部68から出力される第3検出信号の変化量が、同じ物理量の変化に対する他の2つのセンサ部66,67から出力される各検出信号の変化量に対して相対的に無視し得る程度に小さいレベルとなるように適宜決めることができる。例えば、第3伝搬経路Cの長さを、他の2つの伝搬経路A,Bのうち短い方の1/10以下としてもよい。
また例えば、図8(b)に示すようなSAWセンサ80を検出対象物に直接接合して用いてもよい。図8(b)に示すSAWセンサ80は、同じ1つの圧電体基板81上に、第2反射器87、第1反射器86、IDT85、及び第3反射器88が、この順に一列に並ぶように形成されている。
そして、IDT85と第1反射器86によって第1センサ部が構成され、この第1センサ部におけるSAWの伝搬経路である第1伝搬経路Aは、第1実施形態の第1伝搬経路Aと同じ長さである。また、IDT85と第2反射器87によって第2センサ部が構成され、この第2センサ部におけるSAWの伝搬経路である第2伝搬経路Bは、第1実施形態の第2伝搬経路Bと同じ長さである。また、IDT85と第3反射器88によって第3センサ部が構成され、この第3センサ部におけるSAWの伝搬経路である第3伝搬経路Cは、図8(a)に示した第3センサ部68の第3伝搬経路Cと同じ長さである。
また、第1実施形態において、参照用SAW素子5における第3伝搬経路Cを、図8(a)に例示した第3センサ部68の第3伝搬経路Cと同じ長さにして、その参照用SAW素子5をシャフト200に対して検出用SAW素子4と全く同じように取り付けてもよい。
(4)上記各実施形態では、第1センサ部11及び第2センサ部12が同じ1つの検出用SAW素子4において一体化された構成となっていたが、このような構成はあくまでも一例である。例えば、第1センサ部11と第2センサ部12をそれぞれ異なるSAW素子を用いて個別に設けてもよい。
一方、同じ1つのSAW素子に第1センサ部11及び第2センサ部12を一体的に形成する場合、上記各実施形態の検出用SAW素子4とは異なる構成を採用してもよい。例えば、図8(b)に示したSAWセンサ80から第3反射器88を省いた構成のSAWセンサを検出用SAW素子4として用いてもよい。また例えば、図8(a)に示したSAWセンサ60から第3センサ部68を省いた構成のSAWセンサを検出用SAW素子4として用いてもよい。
(5)本発明は、一組のアンテナの相対的位置関係が、上記実施形態に示した変化とは異なる態様で変化するように構成されたセンシングシステムに対しても適用することができる。即ち、上記実施形態では、回路側アンテナ7は固定され、センサ側アンテナ6がx軸を回転軸として回転する構成であったが、例えば、センサ側アンテナ6が、ループ面を通る軸であって且つx軸とは異なる軸を回転軸として回転する構成であってもよい。
また、回転とは異なる態様で双方の相対的位置関係が変化する構成であってもよい。例えば、双方のアンテナのx軸方向の距離が変化するような構成であってもよい。また例えば、双方のアンテナのy軸方向又はz軸方向の距離が変化するような構成であってもよい。
また、各アンテナ6,7は、双方のループ面が完全に対向するように配置されていなくてもよい。また、各アンテナ6,7は、ループ面の面積が異なっていてもよい。また、一組のアンテナがループアンテナであることは必須ではない。ループアンテナ以外の他のアンテナであってもよい。また、一組のアンテナが同じ種類のアンテナであることも必須ではない。
(6)検出対象物として、上記実施形態に示したシャフト200は一例に過ぎない。シャフト200以外の他の検出対象物を対象としてその物理量を検出するようにしてもよい。また、検出可能な物理量についても、トルクはあくまでも一例であり、トルク以外の他の物理量を検出するようにしてもよい。
(7)信号処理回路において、演算部により行われる特定の演算は、マイクロコンピュータがプログラムを実行することにより実現されるソフトウェア処理であってもよいし、例えばASICやFPGAその他の各種ロジック回路などのハードウェア回路によって実現されてもよい。
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
3,45,60,80…SAWセンサ、4…検出用SAW素子、4a,5a,61…圧電体基板、5…参照用SAW素子、6…センサ側アンテナ、7…回路側アンテナ、9…軟質接着部材、10、40,50…センシングシステム、11,66…第1センサ部、12,67…第2センサ部、13,68…第3センサ部、15…第1反射器、16…第2反射器、18…反射器、20,42,52…信号処理回路、21…信号源、22…出力増幅器、23…スイッチ、28,43,53…演算部、29…周囲温度センサ、30…伝送路、41…素子温度センサ、51…回転角センサ、141…SAW素子、170…検出対象物、200…シャフト、201…支持部材、211…第1切り欠き、212…第2切り欠き。

Claims (8)

  1. 検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、
    弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、前記励振信号の位相と前記変換された電気信号である検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第1センサ部(11)と、
    前記励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対して前記第1センサ部から出力された前記検出信号を入力可能に構成され、出力した前記励振信号とその励振信号に対して入力された前記検出信号との位相差に基づいて前記物理量を検出するように構成された信号処理部(20)と、
    前記第1センサ部と前記信号処理部との間において前記励振信号及び前記検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、前記励振信号及び前記検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、前記一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成された伝送路(30)と、
    当該センシングシステム及び前記検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、前記相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成された状態情報出力部(13)と、
    を備え、
    前記信号処理部は、前記位相差、及び前記状態情報出力部から出力される前記少なくとも1つの状態情報を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための、特定の演算を行うことにより、前記物理量を検出するように構成されており、
    前記状態情報出力部は、前記遅延型構造を有する情報検出部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さとは異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記状態情報として前記伝送路へ出力されるように構成された情報検出部(13)を有し、
    前記情報検出部は、当該情報検出部に入力される前記励振信号の位相とその励振信号に対して出力される前記検出信号の位相の差が前記物理量の変化によって変化しないように設けられており、
    さらに、前記遅延型構造を有する第2センサ部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さ及び前記情報検出部の前記伝搬経路の長さの何れとも異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記伝送路へ出力されるように構成され、前記励振信号の位相と前記検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第2センサ部(12)を備え、
    前記信号処理部は、前記特定の演算として、前記励振信号に対する、前記第1センサ部から入力される前記検出信号との位相差、前記第2センサ部から入力される前記検出信号との位相差、及び前記情報検出部から入力される前記検出信号との位相差を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去され、且つ前記第1センサ部及び前記第2センサ部の温度の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための演算を行うように構成されている、
    センシングシステム(10)。
  2. 検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、
    弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、前記励振信号の位相と前記変換された電気信号である検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第1センサ部(66)と、
    前記励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対して前記第1センサ部から出力された前記検出信号を入力可能に構成され、出力した前記励振信号とその励振信号に対して入力された前記検出信号との位相差に基づいて前記物理量を検出するように構成された信号処理部(20)と、
    前記第1センサ部と前記信号処理部との間において前記励振信号及び前記検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、前記励振信号及び前記検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、前記一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成された伝送路(30)と、
    当該センシングシステム及び前記検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、前記相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成された状態情報出力部(68)と、
    を備え、
    前記信号処理部は、前記位相差、及び前記状態情報出力部から出力される前記少なくとも1つの状態情報を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための、特定の演算を行うことにより、前記物理量を検出するように構成されており、
    前記状態情報出力部は、前記遅延型構造を有する情報検出部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さとは異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記状態情報として前記伝送路へ出力されるように構成された情報検出部(68)を有し、
    さらに、前記遅延型構造を有する第2センサ部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さ及び前記情報検出部の前記伝搬経路の長さの何れとも異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記伝送路へ出力されるように構成され、前記励振信号の位相と前記検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第2センサ部(67)を備え、
    前記情報検出部(68)は、当該情報検出部に入力される前記励振信号の位相とその励振信号に対して出力される前記検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられており、
    前記情報検出部の前記伝搬経路の長さは、前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さ及び前記第2センサ部の前記伝搬経路の長さのいずれよりも短く、
    前記信号処理部は、前記特定の演算として、前記励振信号に対する、前記第1センサ部から入力される前記検出信号との位相差、前記第2センサ部から入力される前記検出信号との位相差、及び前記情報検出部から入力される前記検出信号との位相差を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去され、且つ前記第1センサ部及び前記第2センサ部の温度の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための演算を行うように構成されている、
    センシングシステム。
  3. 検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、
    弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、前記励振信号の位相と前記変換された電気信号である検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられたセンサ部(11)と、
    前記励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対して前記センサ部から出力された前記検出信号を入力可能に構成され、出力した前記励振信号とその励振信号に対して入力された前記検出信号との位相差に基づいて前記物理量を検出するように構成された信号処理部(52)と、
    前記センサ部と前記信号処理部との間において前記励振信号及び前記検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、前記励振信号及び前記検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、前記一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成された伝送路(30)と、
    当該センシングシステム及び前記検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、前記相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成された状態情報出力部(51)と、
    を備え、
    前記状態情報出力部は、前記状態情報としての、前記相対的位置関係の変化量を示す信号を出力するように構成された位置変化検出部(51)を有し、
    前記信号処理部は、前記位相差、及び前記位置変化検出部から出力された信号が示す前記相対的位置関係の変化量を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための、特定の演算を行うことにより、前記物理量を検出するように構成されている、
    センシングシステム(50)。
  4. 請求項3に記載のセンシングシステムであって、
    前記センサ部を第1センサ部(11)として、
    さらに、前記遅延型構造を有する第2センサ部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さ及び前記情報検出部の前記伝搬経路の長さの何れとも異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記伝送路へ出力されるように構成され、前記励振信号の位相と前記検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第2センサ部(12)を備え、
    前記信号処理部は、前記特定の演算として、前記励振信号に対する、前記第1センサ部から入力される前記検出信号との位相差及び前記第2センサ部から入力される前記検出信号との位相差と、前記位置変化検出部により検出された前記相対的位置関係の変化量とを用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去され、且つ前記第1センサ部及び前記第2センサ部の温度の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための演算を行うように構成されている、
    センシングシステム。
  5. 検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、
    弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、前記励振信号の位相と前記変換された電気信号である検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第1センサ部(11)と、
    前記励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対して前記第1センサ部から出力された前記検出信号を入力可能に構成され、出力した前記励振信号とその励振信号に対して入力された前記検出信号との位相差に基づいて前記物理量を検出するように構成された信号処理部(42)と、
    前記第1センサ部と前記信号処理部との間において前記励振信号及び前記検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、前記励振信号及び前記検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、前記一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成された伝送路(30)と、
    当該センシングシステム及び前記検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、前記相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成された状態情報出力部と、
    を備え、
    前記状態情報出力部は、
    前記遅延型構造を有する第2センサ部であって、前記伝搬経路の長さが前記第1センサ部の前記伝搬経路の長さ及び前記情報検出部の前記伝搬経路の長さの何れとも異なり、前記信号処理部からの前記励振信号が前記伝送路を経て入力され、その入力された前記励振信号に対する前記検出信号が前記状態情報として前記伝送路へ出力されるように構成され、前記励振信号の位相と前記検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられた第2センサ部(12)と、
    前記状態情報としての、前記第1センサ部及び前記第2センサ部の温度を示す信号を出力するように構成された温度検出部(41)と、
    を有し、
    前記信号処理部は、前記励振信号に対する、前記第1センサ部から入力される前記検出信号との位相差及び前記第2センサ部から入力される前記検出信号との位相差と、前記温度検出部から出力された信号が示す前記温度とを用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去され、且つ前記第1センサ部及び前記第2センサ部の温度の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための、特定の演算を行うことにより、前記物理量を検出するように構成されている、
    センシングシステム(40)。
  6. 請求項3に記載のセンシングシステムであって、
    前記一組のアンテナは、ループ面が互いに対向するように設けられた一組のループアンテナであり、
    前記一組のアンテナのうち、前記信号処理部に接続されている一方のアンテナは、前記検出対象物以外の特定の部位であって前記検出対象物が動くことによっては動かない前記特定の部位に固定して設けられており、前記センサ部に接続されている他方のアンテナは、ループ面に垂直な所定の回転軸を中心として回転可能に構成されている、
    センシングシステム。
  7. 請求項1、請求項2、請求項4及び請求項5のうちの何れか1項に記載のセンシングシステムであって、
    前記一組のアンテナは、ループ面が互いに対向するように設けられた一組のループアンテナであり、
    前記一組のアンテナのうち、前記信号処理部に接続されている一方のアンテナは、前記検出対象物以外の特定の部位であって前記検出対象物が動くことによっては動かない前記特定の部位に固定して設けられており、前記第1センサ部に接続されている他方のアンテナは、ループ面に垂直な所定の回転軸を中心として回転可能に構成されている、
    センシングシステム。
  8. 検出対象物(200)の物理量を検出するセンシングシステムであって、
    弾性表面波励振用の電気信号である励振信号が入力されると弾性表面波が励振されて所定の伝搬経路を伝搬した後に再び電気信号に変換されるように構成された遅延型構造を有し、前記励振信号の位相と前記変換された電気信号である検出信号の位相の差が前記物理量に応じて変化するように設けられたセンサ部(11,12,66,67)と、
    前記励振信号を出力可能であって、その出力した励振信号に対して前記センサ部から出力された前記検出信号を入力可能に構成され、出力した前記励振信号とその励振信号に対して入力された前記検出信号との位相差に基づいて前記物理量を検出するように構成された信号処理部(20,42,52)と、
    前記センサ部と前記信号処理部との間において前記励振信号及び前記検出信号の伝送用に設けられた伝送路であって、前記励振信号及び前記検出信号を無線で伝送するための一組のアンテナ(6,7)を有する無線伝送区間を含み、前記一組のアンテナの相対的位置関係が変化可能に構成された伝送路(30)と、
    当該センシングシステム及び前記検出対象物の少なくとも一方の状態に関連した少なくとも1つの情報であって、前記相対的位置関係に応じて変化する情報を含む、少なくとも1つの状態情報を出力するように構成された状態情報出力部(13,41,51)と、
    を備え、
    前記信号処理部は、前記位相差、及び前記状態情報出力部から出力される前記少なくとも1つの状態情報を用いた演算であって、前記相対的位置関係の変化の影響が除去された前記物理量を算出するための、特定の演算を行うことにより、前記物理量を検出するように構成されており、
    前記一組のアンテナは、ループ面が互いに対向するように設けられた一組のループアンテナであり、
    前記一組のアンテナのうち、前記信号処理部に接続されている一方のアンテナは、前記検出対象物以外の特定の部位であって前記検出対象物が動くことによっては動かない前記特定の部位に固定して設けられており、前記センサ部に接続されている他方のアンテナは、ループ面に垂直な所定の回転軸を中心として回転可能に構成されている、
    センシングシステム(10,40,50)。
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