JP6738136B2 - 歯科用組成物 - Google Patents

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歯牙の表面および/または微細孔に水溶性重合体および/または水性分散性重合体よりなる凝集体を形成するための歯科用組成物であり、pHを調節することで凝集体の形成効率が調節でき、特に知覚過敏症を抑制するために好適なジェル様の歯科用組成物に関する。
知覚過敏症は歯牙エナメル質の欠損等により象牙質が露出した際に、象牙質表面に開口した微細孔である象牙細管を通じて、温冷感や薬物等の刺激が歯髄を刺激することで生じる歯科疾患である。
知覚過敏症の治療には、硝酸カリウム等のカリウムイオンにより知覚神経を抑制する方法や露出した象牙細管を乳酸アルミニウムやグルタールアルデヒド等のタンパク質収斂材で封鎖する方法、同様に露出した象牙細管をレジン等で被覆して封鎖する方法等がある。
特許文献1には、水性エマルジョンにより象牙細管を封鎖することで知覚過敏症を抑制する方法が記載されているが、当該水性エマルジョンはpHが低く、口腔内の歯牙に対して適用される場合、酸による歯牙周辺の口腔内粘膜組織に対し、異害作用を及ぼす可能性があった。
一方で、知覚過敏症は歯科医院での短期的な治療で完治しにくい場合もあり、患者自身のケアが必要な場合もある。このような場合、専門家による適用ではないので、治療用組成物が歯面から液ダレして、誤って、口腔内粘膜組織に当該組成物が付着する危険性が極めて高く、問題であった。
前記の通りの危険性などを低減する方法としては、当該組成物に増粘剤を添加して、液垂れ性を抑制することが考えられる。しかしながら、当該組成物と増粘剤との組み合わせについて具体的に取り組まれた例は知られておらず、実用化された製品も見受けられない。また、当該組成物と増粘剤の両者がどのように相互作用をするのかは全く不明であった。
実際、本発明者らが、増粘剤としてキサンタンガムを用いて当該組成物との混合物を調製して検討したところ、象牙細管封鎖性は顕著に低く、実用的であると判断できる成果を得ることはできなかった。当時は、酸性基を有する当該組成物と極性基である水酸基を有するキサンタンガムとの間の水素結合等による干渉作用が原因ではないか、などと推測した。その詳細は不明であった。
特開平6−57080号公報
本発明者らは上記課題の解決について鋭意検討した結果、歯牙表面に水溶性および/または水性分散性重合体よりなる凝集体を形成するための組成物を、有機高分子増粘材によりジェル様とすることで歯牙に適用された際の口腔内粘膜組織への悪影響を低減し、加えて、pHを調節することでジェル様組成物の刺激性を低減することが可能となることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、歯牙表面に水溶性および/または水性分散性重合体よりなる凝集体を形成するための歯科用組成物であり、特に、歯牙に対して適用された際に口腔内粘膜等の周辺組織への悪影響を低減することのできるジェル様を示す歯科用組成物を提供するものである。
すなわち、本発明は(A)水溶性および/または水性分散性重合体、
(B)有機高分子からなる水溶性増粘剤、および、
(W)水
を含む歯科用組成物であって、(A)成分は、歯牙の表面および/または微細孔に耐水性凝集体を形成することができるものであり、(B)成分は水洗により歯質から除去可能であり、そして組成物のpHが1〜9である、粘性を有する歯科用組成物である。
本発明の歯科用組成物によれば、知覚過敏症の治療に際して口腔内粘膜等の歯牙周辺組織への異害作用を低減でき、更に、pHの調節により刺激性を低減することで歯科医師等の専門家による知覚過敏治療のみならず、患者自身による自主的な知覚過敏症ケアも可能となる。
実施例1の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 実施例2の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 実施例3の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 実施例4の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 比較例1の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 比較例2の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 比較例3の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。 比較例4の組成物の象牙細管の封鎖性を示すSEM写真である。
以下、本発明の歯科用組成物であるペーストおよび/またはジェル様の歯科用組成物について詳述する。以下、特別の表記がない限り%は重量%を示す。以下の本発明の説明において、「XX〜YY」(XX、YYは数値など)との記載は「XX以上、および/または、YY以下」の意である。
本発明の(A)成分は水溶性および/または水性分散性重合体である。なお、分散性重合体において、分散質も液体である場合は、一般には、エマルジョン性重合体と呼ばれ、本発明における水性分散性重合体としては、そのような態様がより好ましいものである。
本発明における水溶性および/または水性分散性重合体とは、水溶性重合体、水性分散性重合体、または両者の混合物を指す。さらには、室温の変化や電解質などの有無により性質が変化して、そのうちの少なくとも1つの性質に水溶性または水性分散性の性質があるような重合体(例えば、水溶性と水性分散性の性質の間を互変しえる重合体)も含まれる。
歯牙表面および/または微細孔に好ましくは付着または接着された水溶性および/または水性分散性重合体より形成された凝集体を構成している重合体は、水乃至は水系溶媒にて溶解するかあるいはコロイド状で分散化しうる重合体であるかおよび/または、水溶状態および/またはコロイドの水性分散状態にある重合体より形成された架橋重合体である。例えば、重合体として本発明の組成物中に含まれている際には、溶解状態、または、分散状態にあったものが、凝集体形成後も水溶したり、水性分散化できる性質を残していてもよいし、被膜形成後において架橋剤などにより、水不溶化されたり、分散化不能にされてもよい。なお、通常の気温の範囲内での温度変化や口腔に通常存在する物質乃至は本発明の組成物の適用時に併用され得る歯科材料などにより、本発明の組成物中の重合体が、塗布前に、水溶性および/または水性分散性以外の性質、例えば、水不溶性や非分散性に変化すると、元の均一系乃至は分散系に回復することは困難となり、操作性に不便を来す恐れがあるので、少なくとも塗布前にそのような変化が生じにくいような重合体が好ましい。一方、塗布後は通常の気温の範囲内での温度変化や口腔に通常存在する物質、例えば、水、唾液、飲食物、その他嗜好品等にて、再度、水溶したり、水性分散化しないことが好ましい。このように(A)成分は、歯牙の表面および/または微細孔に耐水性凝集体を形成することができるものであり、耐水性の具体的指標としては歯牙適用後に流水にて水洗し、その後のSEM観察において、凝集体が観察されることを満たすものであることが好ましい。
水溶性重合体の水乃至は水系溶媒に対する溶解度は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。
本発明の(A)成分は水溶性および/または水性分散性重合体であり、(A)成分を水系溶媒中に溶解または半溶解若しくは乳化の状態で分散させたものが好適に用いられる。(A)成分の平均分子量の、下限値は、好ましくは1,000、より好ましくは10,000、さらに好ましくは50,000である。また、平均分子量の上限値は、水溶性重合体の場合では、好ましくは2,000,000、より好ましくは1,500,000、さらに好ましくは1,000,000である。前記数値範囲の下限値を下回ると形成した凝集体がすぐに唾液などに溶解し、一方、上限値を上回ると水溶性重合体の場合では、水系溶媒に対する溶解度が著しく乏しく、硬質ゲル状となり、好ましくない場合がある。一方、水性分散性重合体の場合では、水性分散性を有するならば、平均分子量について特に上限はないが、通常の製造方法例えば分散重合などにおいては、10,000,000程度が製造技術上の限界である。なお、前記の平均分子量はいずれもゲル浸透クロマトグラフィーによる測定値(ポリスチレン換算)である。
更に具体的な(A)成分としては、ラジカル重合性単量体(p1)から合成される単独重合体または共重合体をあげることができる。(p1)としてもっとも汎用的に使用できるラジカル重合性単量体としては、例えばブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート(以下、アクリレートとメタクリレートの総称として「(メタ)アクリレート」と記載する)、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルおよびビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリルアマイド(以下、アクリルアマイドとメタアクリルアマイドの総称として「(メタ)アクリルアマイド」と記載する);N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシプロピル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシイソプロプル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシブチル−アセトアマイド、N−(メタ)アクリロキシプロピル−アセトアマイドなどのN−(メタ)アクリロキシアルキル−アセトアマイドなどを挙げることができる。これらのラジカル重合性単量体は単独であるいは2種以上併用して重合に用いることもできる。これらのうちアルキル(メタ)アクリレート系ラジカル重合性単量体が好ましくもちいられる。
(A)成分により形成される凝集体は歯質表面および/または微細孔に付着または接着していることが好ましい。このため(A)成分を構成するラジカル重合性単量体には歯質と相互作用させるため、分子中に少なくとも1つの酸性基を有するラジカル重合性単量体(p2)を用いることが好ましい。かかる酸性基としては、好ましくはカルボキシル基、少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基およびスルホン酸基よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。このような官能基を導入する方法として、カルボン酸エステルまたはリン酸エステルに由来する重合単位を含有するポリマ−を加水分解する方法を挙げることができる。さらに、(A)成分を製造する方法としては、上記のラジカル重合性単量体と上記官能基あるいは水中で上記官能基に容易に変換し得る官能基を有するラジカル重合性単量体とを共重合させる方法があり、この方法が好ましい。歯質と相互作用する官能基を有するラジカル重合性単量体として、以下の化合物を例示することができる。
(p2)成分のカルボキシル基あるいはカルボキシル基に水中で容易に変換し得る官能基を有するラジカル重合性単量体としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸、これらの無水物を挙げることができる。具体的にはα不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸など)、ビニル芳香環類が付加したカルボン酸(4−ビニル安息香酸など)、(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸(11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)など)、さらに芳香環を有するカルボン酸(1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸など)、4−(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸およびその無水物(4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物など)、さらにアルキル鎖に水酸基などの親水基を有するカルボン酸およびその無水物(4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物など)、カルボキシベンゾイルオキシを有する化合物(2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−トなど)、N−および/またはO−モノまたはジ(メタ)アクリロイルアミノ酸(N,O−ジ(メタ)アクリロイルチロシン、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニンなど)、N−(メタ)アクリロイルアミノ安息香酸(N−(メタ)アクリロイル−4−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノ安息香酸など)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物(2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4または5−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物など)、ポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物(2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなど)、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。
(p2)成分の少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基および水中で容易に該基に変換し得る官能基として、例えばリン酸エステル基で水酸基を1個または2個を有する基を好ましく例示することができる。このような基を有する重合性単量体としては、例えば1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するリン酸エステル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェ−ト、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェ−ト、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェ−ト、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェ−ト、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェ−ト、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェ−ト、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェ−ト、ビス[2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェ−トなど)、(メタ)アクリロイルオキシ基とリン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在し、かつ芳香族基も有するリン酸エステル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェ−トなど)などを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。これらのうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェ−ト、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェ−トが好ましく用いられる。
(p2)成分のスルホン酸基あるいはスルホン酸基に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体として、例えば4−スチレンスルホン酸またはその塩、ヘテロ原子を含む置換基(ハロゲンやアルコキシなど)を有する炭化水素にスルホン酸基を有する(メタ)アクリレート(2−スルホエチル(メタ)アクリレ−ト、2−または1−スルホ−1−または2−プロピル(メタ)アクリレ−ト、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレ−ト、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレ−ト、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレ−トなど)、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアマイドなどを挙げることができる。これらのうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアマイドプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸またはその塩が好ましく用いられる。
(A)成分を構成する(p2)成分の含量は、構成する単量体の全量に対して好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは0.5〜25モル%、さらに好ましくは1〜20モル%の範囲である。0.1モル%未満では歯質との相互作用効果が確認できず、30モル%を超えると水溶液中での酸性度が増し、生体への為害性が懸念されるためである。
(A)成分は上記の(A)成分を蒸留水や精製水、イオン交換水などの水系溶媒に溶解させることで調製される。(A)成分と水の合計を100重量%とした際、(A)成分の濃度は0.001〜30重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。
(A)成分は、本発明の組成物100重量部中に50〜99.99重量部、より好ましくは、80〜98重量部の範囲で用いられ、この範囲の上限を上回る場合はジェル様の物性にすることが困難となり、下回る場合は凝集体形成効率が低下するため何れも好ましくない。
本発明の(B)成分は有機高分子からなる水溶性増粘剤である。(B)成分は水洗により容易に歯質から除去可能なものであれば特に限定されるものではない。(B)成分としては、極性基を多数有する高分子が好ましい。極性基の存在は、水溶性が確保されるだけでなく、増粘性にも大きく寄与するからである。かかる極性基としては、特に限定されるものではないが、概ね非イオン性であることが好ましい。酸素、窒素、リン等の炭素より電子陰性度の高い元素を含んだ原子団が好ましく、好ましくは水酸基であり、より好ましくは、アルコール性水酸基、更に好ましくは多糖の水酸基であり、また、エーテルの場合は、酸素原子が主鎖中に存するエチレンオキシドなどのアルキレンオキシド、主鎖から伸びた分枝に存するメトキシ基等のアルコキシ基が挙げられ、また、1級、2級、又は3級のアミド、或いは、N−ピロリドン等の環状アミド等も挙げられる。これらの非イオン性基は、(B)成分1g当り、好ましくは0.00001〜10モル%、より好ましくは0.0001〜1モル%、更に好ましくは0.001〜0.1モル%で含有される。
カチオン性乃至はアニオン性等の、イオン性の基が多く含有されると好ましくない。また、有機酸の金属塩や、アミン等のハロゲン塩など、中和されていても、容易に電離しえるものも多く含有されると好ましくない。
しかしながら、少量ならば、イオン性の原子団を有することはむしろ好ましく、特にカルボキシル基や、更にそのナトリウムやカリウム等のアルカリ金属との塩等が好ましい。これらの基は、(B)成分1g当り、好ましくは0.00001〜10モル%、より好ましくは0.0001〜1モル%、更に好ましくは0.001〜0.1モル%にて含有されていてもよい。例えば、キサンタンガム等がこの範囲内に含まれるものである。
極性基を多数有する高分子として、具体的には、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガムなどのガム類、ポリビニルアルコール、架橋型ポリアクリル酸塩(例えばナトリウム塩等)、非架橋型ポリアクリル酸塩(例えばナトリウム塩等)などのカルボキシビニルポリマー、カラギーナン、アルギン酸塩(例えばナトリウム塩等)、ポリビニルピロリドンなどの、通常、化粧品等に用いられる公知の有機高分子が挙げられる。特にカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンが好ましく用いられる。
(B)成分は、本発明の組成物100重量部中に0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.3〜3重量部の範囲で用いられ、下限値を下回る場合はジェル様組成物を歯牙に塗布した際の保持性が低下し、上限値を上回る場合は歯牙への塗布時の操作性が低減するためいずれも好ましくない。
さて、前述の通り、極性基を多数有する高分子の極性基としては、好ましくは水酸基であり、より好ましくは、アルコール性水酸基、更に好ましくは多糖の水酸基であるが、これらにおいては、特にキサンタンガムに置いて、顕著に見られる特異な現象がある。則ち、本発明の(A)成分、特にスルホン酸基等の有機酸基を有する成分と混合して調製した際に、混合直後は、本発明の(A)成分の酸性にて、混合物は好ましい範囲内の酸性条件を呈するにも関わらず、一週間以上静置しておくと、驚くべきことに、pHが上昇しており、本発明の効果が好適に発現される酸性範囲から逸脱しているという奇妙な現象が生起することが観察される。これは、成分(B)に含まれるpH調整作用を有する成分等(例えば、高分子に結合したカルボン酸基のアルカリ金属塩)の緩衝作用や、成分(B)の水酸基等の極性基とスルホン酸基との何らかの相互作用等が考えられるが、詳細は不明である。したがって、成分(A)、(B)のpHと重量比率からのpH推算や両者の調合直後のpH測定値より、適正酸性範囲であると判断されても、それは必ずしも正しいものではなく、何らかの補正手段を必要とするものである。例えば、当該混合調製してから10日以上経過した時点でのpHを真正値と判断するが妥当であり、適正範囲外である場合は、再度pHを調整して10日後に測定すれば良い。
一方、(B)成分を少ない含有率にて制限することにより、このようなpHの変動を抑制することも可能である。そのためには、(B)成分は本発明の組成物100重量部中に好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下にて含ませることが好ましい。
前記の通り、何れかの方式にて、安定して適正なpH範囲に保つことが保証される。
なお、本発明の(B)成分の有機高分子からなる水溶性増粘剤の平均分子量の、下限値は、好ましくは1万、より好ましくは10万、さらに好ましくは50万である。また、平均分子量の上限値は、好ましくは5000万、より好ましくは1000万、さらに好ましくは500万である。前記数値範囲の下限値を下回ると組成物の粘度が低下し、操作性が低下する、一方、上限値を上回ると組成物の粘度上昇により適用後の水洗性が低下するため、好ましくない場合がある。なお、前記の平均分子量はいずれもサイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱法による測定値である。
本発明の粘性を有する歯科用組成物は、専ら(B)成分の有機高分子からなる水溶性増粘剤により、その粘性特性を達成されるものと考えられる。(B)成分を有する本発明の歯科用組成物の粘性(E型粘度計にて35℃、回転数50rpmの条件で測定)は、好ましくは10〜2000P・s、より好ましくは50〜1000P・s、更に好ましくは100〜500P・sである。前記数値範囲の下限値を下回ると組成物の粘度の低下により操作性が低下し、一方、上限値を上回ると組成物の粘度上昇により適用後の水洗性が低下するため、いずれも好ましくない。
以下の垂れ性評価で好ましくは50mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは3mm以下である。前記数値範囲を上回ると適用時の組成物の垂れにより操作性が低下するため、好ましくない。
(垂れ性評価)
ガラス板上に各組成物を0.1ml滴下し、ガラス板を垂直に直立して30秒間静置する。直立静置後の組成物の垂れ性を垂れた長さで比較する。
又、以下の糸引き性評価で、好ましくは△以上、より好ましくは、○以上である。前記評価を下回ると適用時の組成物の垂れにより操作性が低下するため、好ましくない。
(糸引き性評価)
各組成物を5mlのシリンジに充填した。シリンジ先端に23Gのニードルを装着し、ガラス板上に組成物を1ml滴下した後、ニードル先端を組成物から離した際の糸引きの有無を目視にて確認する。尚ニードル先端の引き離し速度は1秒/5cmとする。評価基準は糸引きが無い場合を○、糸引きが有るが最終的に5cm引き離した際に糸引きが途切れた場合を△、最終的に5cm引き離した際にも糸引き継続した場合を×とする。
本発明の(W)成分は水である。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水または生理食塩水などが挙げられる。ここでは蒸留水およびイオン交換水が好ましく用いられる。
上記(B)成分は、本発明の組成物100重量部中に好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%の範囲内において含有される。前記数値範囲の下限値を下回ると組成物の粘度低下により操作性が低下し、一方、上限値を上回ると組成物の粘度上昇により適用後の水洗性が低下するため、いずれも好ましくない。
前述の通り、成分(A)、(B)のpHと重量比率からのpH推算や両者の調合直後のpH測定値より、適性酸性範囲であると判断されても、それは必ずしも正しいものではなく、何らかの補正手段を必要とするものである。その補正手段の最も有効な具体例は、本組成物の凝集体形成を妨げない酸成分である(C)成分であり、これは典型的にはpH調整剤である。(C)成分としては、例えば蟻酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸、トリメリット酸、安息香酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、マレイン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、塩酸、グリセロリン酸、オレイン酸、リノール酸、アミノ酸などの酸性有機化合物および/またはそのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類塩や、アンモニア、ジメチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの塩基性有機化合物および/またはそのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩が挙げられる。特に塩酸、リン酸、アミノ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが好ましく用いられる。
(A)成分は、(A)成分中の酸性基により酸性を示し、pHが低い場合、歯牙に対する凝集体形成効率が向上する一方で、酸により口腔内粘膜等へ異害作用を生じる可能性が向上する。また、pHが高い場合、歯牙に対する凝集体形成効率が低下する一方で、異害作用を生じる可能性は低減する。(C)成分は、(A)成分の歯牙への付着とそれによる凝集体形成効率の向上や、(A)成分による口腔内粘膜等への異害作用を低減する目的で組成物に添加される。
例えば、歯科医院などにて、治療を熟知した専門家による知覚過敏症治療に用いる場合は、(C)成分によりpHを低くし、歯牙への凝集体形成効率を向上した組成物を、患者自身の自主的な知覚過敏症ケアに用いる場合には(C)成分によりpHを高くし、口腔内粘膜等への異害作用を低減した組成を適用することが望ましい。
知覚過敏症治療に用いられる場合、pHとしては1〜4の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3、知覚過敏症ケアに用いられる場合は4〜9の範囲であることが望ましく、より好ましくは5〜8である。
(C)成分は、本発明の組成物成分の合計100重量部中に、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは、3〜20重量部の範囲で用いられ、この範囲上限を上回る場合はジェル様の物性にすることが困難となり、下回る場合は凝集体形成効率が低下するため何れも好ましくない。
なお、歯牙表面および/または微細孔に水溶性および/または水性分散性重合体よりなる凝集体を形成するためには、口腔において許容される物理化学的条件下においてカルシウム成分と形成される塩の水溶性がC1臨界上限0.01g/100ml以下となる(C1)成分が含まれることが好ましい。なお、C1臨界上限は、好ましくは.0005g/100ml以下、より好ましくは0.001g/100ml以下である。前記数値範囲の上限値を上回ると凝集体の形成量が低下し、知覚過敏抑制効果が低下するため、好ましくない。
(C1)成分は、本発明の組成物100重量部中に、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、含まれるものである。前記数値範囲の上限値を上回ると凝集体の形成量が低下し、知覚過敏抑制効果が低下するため、好ましくない。或いは、(C1)成分と成分(A)の重量比(C1/A)は、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.1〜0.7、であるのが好ましい。前記数値範囲の下限値を下回ると凝集体の形成量の低下により知覚過敏抑制効果が低下し、上限値を上回るとC1成分の溶解性が低下することで組成物の保存安定性が低下するため、いずれも好ましくない。(C1)成分と成分(C)の重量比(C1/C)は、好ましくは0.01〜0.95、より好ましくは0.05〜0.8、である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、上限値を上回ると凝集体の形成量の低下により知覚過敏抑制効果が低下するため、いずれも好ましくない。
なお、口腔において許容される物理化学的条件下においてカルシウム成分と形成される塩の水溶性がC2臨界下限0.01g/100mlを越える(C2)成分が含まれることが好ましい。なお、C2臨界下限は、好ましくは0.05g/100mlを越え、より好ましくは0.1g/100mlを越え、更に好ましくは1g/100mlを越えるものである。前記数値範囲の下限値を下回ると凝集体の形成量の低下により知覚過敏抑制効果が低下するため、好ましくない。
(C2)成分は、本発明の組成物100重量部中に、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部含まれるものである。前記数値範囲の下限値を下回ると歯質のカルシウム成分の脱灰が不足することで凝集体の形成量が低下するため知覚過敏抑制効果が低下し、上限値を上回るとC2成分の溶解性が低下することで組成物の保存安定性が低下するため、いずれも好ましくない。或いは、(C2)成分と成分(A)の重量比(C2/A)は、好ましくは0.01〜1.5、より好ましくは0.1〜1である。前記数値範囲の下限値を下回ると歯質のカルシウム成分の脱灰が不足することで凝集体の形成量が低下するため知覚過敏抑制効果が低下することとなり、上限値を上回るとC2成分の溶解性が低下することで組成物の保存安定性が低下することとなり、いずれも好ましくない。(C2)成分と成分(C)の重量比(C2/C)は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.1〜0.5である。前記数値範囲の下限値を下回ると歯質のカルシウム成分の脱灰が不足することで凝集体の形成量が低下するため知覚過敏抑制効果が低下し、上限値を上回るとC2成分の溶解性が低下することで組成物の保存安定性が低下することとなり、いずれも好ましくない。(C1)成分と成分(C2)の重量比(C1/C2)は、好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.5〜1.5である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、上限値を上回ると凝集体の形成量の低下により知覚過敏抑制効果が低下するため、いずれも好ましくない。
(C1)成分としては、例えばシュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム等が例示でき、シュウ酸が最も好ましい。
(C2)成分としては、例えばリン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、塩酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が例示でき、リン酸もしくはその塩や塩酸が最も好ましい。なお、リン酸については、酸解離が3段階有り、各解離定数と生成される塩の水溶解度が顕著に相違する。3段階目の解離は殆ど無視可能であり、2段階目も無視しても問題ないが、敢えて考慮するならば、平衡状態における各塩の比率に応じて別個のものとして配分して考えればよい。リン酸以外の他の多価酸も同様である。則ち、s段階の塩がnモル生じて、その溶解度がdならば、溶解度dの酸がnモル有すると解することとする。
なお、本発明の(C)成分である凝集体形成を妨げない酸成分の平均分子量の上限値は、好ましくは2000、より好ましくは600、さらに好ましくは300である。前記数値範囲の上限値を上回ると細管封鎖性や組成物の安定性が低下する原因となり、好ましくない場合がある。
本組成物において、(D)成分は薬効成分および/または安定剤である。(D)成分の薬効成分としては、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、コエンザイムQ10、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、イプシロンアミノカプロン酸、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、サンギナリン抽出物、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸アンモニウム、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛等のクエン酸遷移金属塩、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、プロテアーゼ等の酵素、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の植物の抽出物などの、通常、化粧品などに用いられる公知の薬効成分が挙げられる。
また、(D)成分としての保存安定剤としては、例えば1,3−プロピレンジオール乃至はこれにアルキル基等の置換基を有する置換体である1,3−ブタンジオール等のジオール系等のアルコール類、ブチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベンなどのパラベン類、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、ソルビン酸カリウムなどが、保存安定剤として、ビタミンC、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアリールなどの、通常、化粧品などに用いられる公知の防腐剤・保存安定剤が挙げられる。
特にフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、クロロヘキシジン類、グリチルレチン、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸アンモニウム、イプシロンアミノカプロン酸、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、塩化ストロンチウム、ポリエチレングリコール、ブチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウムが好ましく用いられる。
(A)〜(C)成分に加え、更に(D)成分が添加される場合、(D)成分は、本発明の組成物100重量部中、好ましくは0.0001〜8重量部、より好ましくは0.001〜5重量部の範囲で用いられる。上限値を上回る場合は、操作性の低下、生体に体する異害作用の増加等が生じる可能性があるため好ましくない。
本組成物において、(E)成分は香りおよび/または味覚を呈する香味料である。(E)成分の香味料として、例えばサッカリンナトリウム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、アスパルテーム、キシリトールなどが、香料として、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワーなどの天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化など)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテートなどの単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバーなどの調合香料など、通常、化粧品等に用いられる公知の香味料が挙げられる。(E)成分としては、特にサッカリンナトリウム、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、キシリトール、ミント系フレーバーが好ましく用いられる。酸性条件下で良好な味覚を呈するためには、特にスクラロース、アセスルファムカリウム、ステビアエキス等が好ましい。
(A)〜(C)成分に加え、更に(E)成分が添加される場合、(E)成分は、本発明の組成物100重量部中に0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で用いられ、上限値を上回る場合は味や香りが過剰に付与されることから使用感が低下するため好ましくない。
本組成物において、(F)成分は着色料である。(F)成分としては、例えば赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色4号、青色201号、青色204号、緑色3号、雲母チタン、酸化チタンなどの、通常、歯磨剤に用いられる公知の着色料が挙げられる。これらのうち、(F)成分としては特に青色1号、青色2号、黄色4号、黄色5号、酸化チタンが好ましく用いられる。
(A)〜(C)成分に加え、更に(F)成分が添加される場合、(F)成分は、本発明の組成物100重量部中、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部の範囲で用いられる。上限値を上回る場合はペーストの色調が損なわれるため好ましくない。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されると解釈されるべきではない。
(ポリマーの合成:エマルジョン)
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入口、滴下ロートを取り付けた反応装置に蒸留水180g、メチルメタクリレート9g(90mmol)およびスチレンスルホン酸ナトリウム2.1g(10mmol)を仕込み15分間窒素バブリングし、激しく撹拌しながら内温を65℃に昇温した。これに、過硫酸カリウム99mg、亜硝酸水素ナトリウム50mgおよび蒸留水10gからなる水溶液を滴下ロートから45分間かけて滴下し、温度および撹拌を保持しながらさらに3時間熟成を行った後に冷却、6N塩酸2gを反応マスに加え30分間撹拌を行った。反応マスを限外濾過膜(ミリポア製,排除分子量10,000)をセットした限外濾過カセット(アドバンテック社製ウルトラホルダー)に移液し、合計400gの蒸留水を加えながら限外濃縮を行った。限外濃縮後のポリマーを固形分含量5%となるよう蒸留水で調製し、水性ポリマーエマルジョンを得た。
(組成物の調製)
上記の水性ポリマーエマルジョン(A)に、有機高分子からなる増粘剤(B)及びpH調整剤(C)を以下の割合で添加混合し組成物を調製した。
(実施例1)
水性ポリマーエマルジョン(A)/カルボキシメチルセルロース(B)/シュウ酸(C)/6規定塩酸水溶液(C)=93.2/1.5/0.3/5wt%
(実施例2)
水性ポリマーエマルジョン(A)/カルボキシメチルセルロース(B)/シュウ酸(C)/6規定塩酸水溶液(C)91.2/1.5/0.3/7wt%
(実施例3)
水性ポリマーエマルジョン(A)/カルボキシメチルセルロース(B)/シュウ酸(C)/6規定塩酸水溶液(C)89.2/1.5/0.3/9wt%
(実施例4)
水性ポリマーエマルジョン(A)/キサンタンガム(B)/シュウ酸(C)/6規定塩酸水溶液(C)89.2/1.5/0.3/9wt%
(比較例1)
水性ポリマーエマルジョン(A)/カルボキシメチルセルロース(B)/シュウ酸(C)=98.9/1/0.1wt%
(比較例2)
水性ポリマーエマルジョン(A)/シュウ酸(C)=99.9/0.1wt%
(比較例3)
水性ポリマーエマルジョン(A)/ポリビニルピロリドン(B)/シュウ酸(C)=89.7/10/0.3wt%
(比較例4)
水性ポリマーエマルジョン(A)/ポリビニルアルコール(B)/シュウ酸(C)=89.7/10/0.3wt%
(各成分諸元)
カルボキシメチルセルロース:CMCダイセル1150(ダイセル社製)粘度200〜300mPa・s(1%水溶液をE型粘度計にて25℃、60回転/分測定)
キサンタンガム:KELTROL T(三晶社製)分子量約200万
ポリビニルピロリドン:ポリビニルピロリドンK90(和光純薬工業社製)平均分子量36万
ポリビニルアルコール:ポバールPVA-124(クラレ社製)重合度2400〜2500
塩酸:塩酸(和光純薬工業社製)
シュウ酸:無水シュウ酸(和光純薬工業社製)
(象牙細管封鎖性の評価)
牛歯を#600耐水研磨紙にて研磨し、象牙質を露出させた。同牛歯を根管壁スミヤー層除去材「スメヤークリーン」に浸漬し30秒間超音波洗浄した後、精製水ですすぎ、更に精製水に浸漬して30秒間超音波洗浄することで、歯面のスミヤー層を除去し、象牙細管を開口させた。象牙細管が開口した牛歯象牙質に対して上記の実施例および比較例の各組成物を塗布し15秒間静置した。その後、スリーウェイシリンジにて水洗乾燥し、白金蒸着後、SEM観察により象牙細管の封鎖性を確認した。
(粘度の測定)
E型粘度計VISCONIC EHD(TOKIMEC INC社製)を用いて粘度測定を行った。試料投入部の温度を35℃とし、1mlの各組成物を投入した後、回転数50rpmで粘度の測定を行った。
(垂れ性評価)
ガラス板上に各組成物を0.1ml滴下し、ガラス板を垂直に直立して30秒間静置した。直立静置後の組成物の垂れ性を垂れた長さで比較した。
(糸引き性評価)
各組成物を5mlのシリンジに充填した。シリンジ先端に23Gのニードルを装着し、ガラス板上に組成物を1ml滴下した後、ニードル先端を組成物から離した際の糸引きの有無を目視にて確認した。尚ニードル先端の引き離し速度は1秒/5cmとした。評価基準は糸引きが無い場合を○、糸引きが有るが最終的に5cm引き離した際に糸引きが途切れた場合を△、最終的に5cm引き離した際にも糸引き継続した場合を×とした。
象牙細管封鎖性の確認の結果、pH調整剤が少量添加された比較例1、2、3、4に対して、pH調整剤を増量した実施例1、2、3、4は皮膜の形成効率が向上することを確認した。
実施例および比較例の各組成物について測定した粘度、垂れ性評価結果および糸引き性評価結果を、それぞれ、表1、表2および表3に示した。、非多糖系増粘剤を使用した比較例3および比較例4においては垂れ性と糸引き性が生じることを確認した。
象牙細管封鎖性の確認の結果、pH調整剤によりpHを調整することで、歯牙に対する凝集体の形成効率を調節でき、また、pHを低減することで、生体に対する異害作用も低減できることが確認された。



Claims (3)

  1. (A)水溶性および/または水性分散性重合体、
    (B)有機高分子からなる水溶性増粘剤、
    (C)凝集体形成を妨げない酸成分、および、
    (W)水
    を含む歯科用組成物であって、(A)成分は、歯牙の表面および/または微細孔に耐水性凝集体を形成することができるものであり、(B)成分は水洗により歯質から除去可能であり、そして組成物のpHがであり、
    (C)成分が、口腔において許容される物理化学的条件下においてカルシウム成分と形成する塩の水溶性が
    C1臨界上限0.01g/100ml以下となる(C1)成分と、
    C2臨界下限1g/100mlを越える(C2)成分と、を有し、
    前記(A)成分が、メチルメタクリレートおよびスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体であり、
    前記(B)成分が、カルボキシメチルセルロースまたはキサンタンガムであり、
    前記(C1)成分が、シュウ酸であり、
    前記(C2)成分が、塩酸、リン酸およびリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である、粘性を有する歯科用組成物。
  2. 上記(A)成分が平均分子量1,000以上の分散性重合体である請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. (D)薬効成分および/または安定剤、(E)香味料、および/または、(F)着色料をさらに含有しそしてジェル様である請求項1または2に記載の歯科用組成物。
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