JP6737651B2 - かき揚げ用混合物の成型方法 - Google Patents

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本発明は、かき揚げ用混合物の成型方法に関する。より詳しくは、均一な厚みのかき揚げを製造するためのかき揚げ用混合物の成型方法に関するものである。
即席麺類や米飯等に添えて用いられるかき揚げは、数種類の野菜類あるいは小エビ等を主材とする種材を、小麦粉、澱粉等(以下、「小麦粉等」という。)からなる衣液でつないで、食用油で揚げたものである。かき揚げの製造方法としては、野菜やシーフードなどの大量の具材と衣液とを混合したバッターを円盤状のリテーナに供給し、油槽に浸漬する方法が一般的に行われている。
ここで、バッターは粘性があるため、リテーナにバッターを供給しても均一の厚みに広がることはなく、場所によって厚みが異なってしまう。そして、この状態で揚げると、熱の通りにムラができるとともに、見た目の悪いかき揚げができてしまう。そのため、バッターを押圧し、均一の厚みに均すことが通常行われている。
バッターを均す方法としては、板などを用いて押圧することが多い。しかし、バッターは板などに付着しやすく、均一の厚みに均すことができないばかりか、かき揚げごとに重量のばらつきが出てしまうといった問題がある。
これに対して、天ぷら用食材の付着しにくいテフロン(登録商標)の板に凹溝を設け、天ぷら用食材との接触面積を減らすとともに、エアを噴出して天ぷら用食材の付着を防止する押えパッドが開示されている(特許文献1参照)
特許3051961号
しかしながら、バッターの粘度が高かったり衣液が少なかったりすると、いくら押圧してもリテーナ内にかき揚げ具材が均一に広がらないといった問題がある。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、バッターの粘度が高かったり衣液が少なかったりした場合であっても、リテーナに供給されたかき揚げ用混合物をリテーナ内に押し広げ、略均一の厚さに均すことのできるかき揚げ用混合物の成型方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、かき揚げ用混合物の成型方法であって、かき揚げ用混合物をリテーナに供給する供給工程と、供給されたかき揚げ用混合物をリテーナ内に押し広げる拡張工程と、押し広げられたかき揚げ用混合物の厚みを均すための均し工程と、を含むかき揚げ用混合物の成型方法である。
ここで、本発明でいう「かき揚げ用混合物」とは、具材と衣液を混ぜたもののみならず、具材に小麦粉等の紛体をまぶし、具材の水分を利用して具材同士をつなげたものも含む概念である。
このような構成によると、供給されたかき揚げ用混合物をリテーナ内にある程度均一に押し広げた後で厚みを均すため、リテーナ内でかき揚げ用混合物が偏ったり、厚みが不均一になったりすることを防ぐことができる。
また、拡張工程において、先端に羽根のついた支柱または表面に凹凸が設けられた板部材をリテーナ内に挿入し、回動させることでかき揚げ用混合物を押し広げることが好ましい。
かかる構成によれば、先端に羽根の付いた支柱または表面に凹凸が設けられた板部材をリテーナ内で回動させることで、リテーナ内にかき揚げ用混合物を簡単に押し広げることができる。
さらに、前記均し工程において、表面に凹凸が設けられた板部材をリテーナ内に挿入し、回動させることでかき揚げ用混合物を押し広げることが好ましい。
かかる構成によれば、かき揚げ用混合物を均一の厚みに均すことができる。また、板部材の表面の凹凸を設けることで、板部材にかき揚げ用混合物が付着するのを防止することができる。
本発明によれば、リテーナに供給されたかき揚げ用混合物、特に具材に小麦粉等の紛体をまぶした流動性のないかき揚げ用混合物、を均一に押し広げ、略均一の厚さに均すことができる。
かき揚げ製造装置の概略説明図である。 本発明に係る拡張装置の一例を示す説明図である。 本発明に係る均し装置を示す説明図である。 本発明に係る均し装置に用いる成形板であって、(a)が正面図、(b)が(a)における断面矢視図である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、かき揚げ製造装置の概略説明図である。図2は、かき揚げ用混合物をリテーナ内に押し広げて拡張させる装置の一例を示す説明図である。図3は、押し広げられたかき揚げ用混合物の高さを均す装置を説明するための説明図である。図4は、均し装置に用いられる成形板の説明図であって、(a)が正面図、(b)が(a)における断面矢視図である。
まず、かき揚げ製造装置について説明する。
図1に示すかき揚げ製造装置1は、具材と衣液、または、具材と小麦粉等の紛体が混ぜ合わされたかき揚げ用混合物を所定量ずつリテーナに投入した後、リテーナを油槽内に搬送することでかき揚げを製造する装置である。
図1に示すように、かき揚げ製造装置1は、主に、かき揚げ用混合物供給装置10と、成形装置20と、かき揚げ用混合物を揚げるための油槽30と、リテーナを搬送するための搬送装置40と、を備えて構成されている。
かき揚げ用混合物供給装置10は、搬送装置40上に並んだリテーナにかき揚げ用混合物を供給するための装置であり、混合されたかき揚げ用混合物を貯留するホッパーと、ホッパー内のかき揚げ用混合物をリテーナに供給する充填ノズル部と、を有している。
成形装置20はリテーナに投入されたかき揚げ用混合物を成形するための装置である。成形装置20は、リテーナ内に投入されたかき揚げ用混合物をリテーナ内に押し広げて拡張させる拡張装置21と、押し広げられたかき揚げ具材の高さを均すための均し装置22と、で構成されている。拡張装置21と均し装置22はリテーナの搬送方向に沿って、この順で配置されている。
本実施形態にかかる拡張装置21の一例としては、図2に示すように、かき揚げ用混合物を押し広げるための羽根211と、羽根211が片面に設けられた円形板212と、羽根211が設けられた面とは反対の面の中心に接続された支柱213と、支柱213を回動させるための図示しない駆動手段と、を備える装置が挙げられる。
かき揚げ用混合物を押し広げるための羽根211は矩形状の板で構成されており、かき揚げ用混合物と接触する辺が斜辺となっている。この斜辺は、円形板212の中心から外周に向かって円形板212の面からの距離が離れるようになっている。なお、矩形状の羽根211は一つでもよいが、円形板212の面に対して円形版の中心を基点に等間隔で複数設けられていることが好ましい。羽根211の材料としては特に限定されないが、かき揚げ用具材を押し広げる際に変形しない程度の剛性を有することが好ましい。また、耐摩耗性、耐腐食性を備える材料であることが好ましい。具体的には、ステンレスが挙げられる。
円形板212は、羽根211でかき揚げ用混合物を押し広げる際に、かき揚げ用混合物がリテーナ内から飛び出さないための蓋材としての役割を果たす。そのため、円形板212の直径は、かき揚げ用混合物が投入されたリテーナの直径とほぼ同じかやや大きい径となっている。円形板212の素材は特に制限されず、耐腐食性を備えていればよい。
円形板212に接続された支柱213は、支柱213のもう一端に接続された駆動手段から伝えられる動力を円形板212に伝えるためのものである。支柱213から伝えられた動力によって、円形板212と一緒に羽根211が回動し、かき揚げ用混合物を押し広げる。なお、このときリテーナとの接触によって円形板212が摩耗しないように、リテーナと円形板212は接触しないことが好ましい。
均し装置22は、拡張装置21によって押し広げられたかき揚げ用混合物を一定の厚みに成形する装置である。
図3に示すように、均し装置22としては、かき揚げ用混合物を押圧する成形板221と、該成形板221をかき揚げ用混合物に押し当てた後、回動させるための図示しない駆動手段と、成形板221と駆動手段とをつなぐ支柱222と、を備える構成が挙げられる。
図4(a)に示すように、成形板221は平面視円形板状部材であって、かき揚げ用混合物供給装置10から供給されるかき揚げ用混合物の厚みを均一に整えるための部材である。
成形板221は押圧した時に変形しない程度の剛性を備えている素材で構成されている。成形板221の素材としては、例えば、鉄、ステンレス、銅などの金属や、プラスチック、テフロン(登録商標)などの合成樹脂が上げられる。
図4(a)に示すように、成形板221の片面には縦横で直行する複数の凹部223(以下、「溝223」と言う。)と、溝223によって囲まれた複数の凸部224が形成されている。
溝223は、かき揚げ用混合物を押圧した際に、かき揚げ用混合物と成形板221との間の空気を外部に排出する役割を果たす。
各溝223は直行するように等間隔に設けられており、かき揚げ用混合物との接触面に向かって溝幅が漸増している。また、溝223は成形板221の周縁部にまで到達している。そして、複数の溝223を設けることによって、後述する複数の凸部224が形成されている。なお、溝223の溝幅は、かき揚げ用混合物との接触面に向かって漸増する形状に限られず、等間隔であっても良い。
本実施例において、凸部224は角錐台形状である。より詳しくは、凸部224は溝223を設けることによって形成されたものであり、規則正しく配置されている。また、角錐台における上面及び底面の中心が一致している。
ここで、凸部224の高さhは5〜10mmの範囲であることが好ましい。5mm未満だと、押圧した際に溝223のすべてがかき揚げ用混合物で埋まってしまい、かき揚げ用混合物と成形板221との間の空気を排出することができない。一方、高さhが10mmを超えてしまうと、凸部224の先端がリテーナまで突き抜けてしまうか、高さを出すために成形板221を大きくせざるをえず、成形しづらくなるという問題がある。
また、凸部224の一辺wは3mm以上であることが好ましい。
さらに、隣り合う角錐台の面同士がなす角度αが75°〜120°の範囲であることが好ましい。75°未満だと具材が面と面の間に挟まりこみやすいという問題がある。また、120°より大きいと成形板221上の凸部224の数が足りないか、凸部224の高さが十分確保できず、かき揚げ用混合物が付着する恐れがある。
なお、凸部224の形状は、角錐台形状に限られず、円錐、円錐台、円柱、多角錐、多角錐台、多角柱などであってもよく、これらの組み合わせでも良い。また、各凸部224において、上面と底面の中心がずれていても良い。
駆動手段は、成形板221を上下に復動させるともに、成形板221がかき揚げ用具材に接触した後に回動するために設けられる。回動する方向としては、左右交互に所定角度ずつ回動しても良いし、一定方向に回動しても良い。本実施例においては、駆動手段と成形板221は、成形板221の凹凸部が設けられている面とは反対側の面でシリンダや支柱222等を介して接続している。
油槽30は、成形されたかき揚げ用混合物を油揚げするための装置である。油槽30は、移送手段40の進行方向上であって、かき揚げ用混合物供給装置10、成形装置20の後に設けられている。
油槽30中には、植物性油脂、動物性油脂またはこれらの組み合わせで満たされている。また油槽30中の油脂は、ヒーターなどによって適温に保たれている。
油槽30の幅と長さは特に制限されないが、複数列のリテーナが一度に入る幅を有し、揚げ時間が十分に確保できる長さであることが好ましい。
本実施形態では油槽は常圧油ちょう処理を例に説明したが、減圧油ちょう処理であっても良い。
移送手段40は、リテーナを連続的に移動させ、供給されたかき揚げ用混合物を各工程に搬送するための装置である。移送手段40は、例えば、コンベアとリテーナとで構成されている。コンベア上には、コンベアの幅方向に成形装置20の成形板数に対応する複数個のリテーナが設けられ、かつ、コンベアの周方向に対して等間隔に複数設けられている。
コンベアはリテーナを搬送するための装置である。コンベアは無端回動であり、連続駆動しながら各工程を周回するようになっている。
図1に示すように、移送手段40の一区間が油槽30中に進入することで、リテーナは油槽30中に浸漬するようになっている。移送手段40としては、単一のコンベアでも良いし、複数のコンベアを組み合わせてもよい。たとえば、油槽30中に別のコンベアを設け、リテーナの受渡を行うようにしても良い。
リテーナはかき揚げ用混合物の受け皿であるとともに、かき揚げなどの型として機能する。リテーナはコンベア上に設けられており、コンベアの駆動に従い、各工程を周回する。
リテーナの素材・形状等は特に制限されないが、耐熱性、耐久性などの観点から鉄製、スチール製、ステンレス製などが好ましい。
次に、かき揚げ製造装置1の動作およびかき揚げの製造方法について説明する。
まず、ホッパー内のかき揚げ用混合物が、充填ノズル部から移送手段40のリテーナに供給される。このとき、複数のリテーナに対して一つの充填ノズル部でかき揚げ用混合物を供給しても良いが、一列当たりのリテーナの数に対応した数だけ充填ノズル部が設けられていることが好ましい。これにより、一度に大量生産が可能となる。また、充填ノズル部の開閉時間はシステムによって制御されている。これにより、各リテーナに対して略同じ量のかき揚げ用混合物を供給することができる。さらに、充填ノズル部の開閉は、リテーナの動きに合わせて行われる。なお、供給されるかき揚げ用混合物は空気が混入していないことが好ましい。空気が混入していると、かき揚げ用混合物の供給量にばらつきが生じるためである。
リテーナに供給されたかき揚げ用混合物は、次に成形工程に移送される。成形工程では、まず拡張装置21の円形板212が下降し、円形板212に固定された羽根211がリテーナ内に挿入される。このとき、円形板212の直径がリテーナの直径よりも大きいため、必要以上に羽根211がリテーナ内に挿入されるのを防ぐことができる。続いて、リテーナ内に挿入された羽根211は、駆動手段によって円形板212とともに回動する。回動した羽根211によって、リテーナ内に投入されたかき揚げ用混合物はリテーナ内で押し広げられる。このとき、羽根211の高さが円形板212の周縁部に向かって高い(円形板212からの距離から離れている)構造となっているため、羽根211とともにかき揚げ用混合物が一緒に動いてしまうのを防ぐことができる。ある程度かき揚げ用混合物が押し広げられたら、円形板212は上昇し、リテーナは次の工程に搬送される。
拡張装置21で押し広げられたかき揚げ用混合物に対して、揚げ玉が供給される。揚げ玉が供給されたかき揚げ用混合物は、続いて均し装置22へと搬送される。均し装置22は駆動手段によって成形板221が一定方向に回転しながらかき揚げ用混合物と当接するまで下降する。拡張装置21で押し広げられたかき揚げ用混合物は、中心が盛り上がった構造をしている。中心が盛り上がっていることで、成形板221で押圧したときに、リテーナ周縁部に向かってかき揚げ用混合物が押され、隙間を埋めつつ均等の厚みにすることができる。また、かき揚げ用混合物における具材同士の隙間をなくすことができる。
成形板221には周縁部まで到達する溝223が設けられているため、押圧しても成形板221とかき揚げ用混合物の間の空気が溝223を通じて外に排出される。これにより、成形板221とかき揚げ用混合物との間が真空にならず、成形板221へのかき揚げ用混合物の付着を防止することができる。また、成形板221への付着を防ぐことができるので、重量のばらつきや厚みのばらつきを抑えることができる。
次に、成形装置20で成形されたかき揚げ用混合物は油ちょう工程に移送される。ここで、移送手段40の一区間は油槽30中に進入するように配置されている。これにより、リテーナが油槽30中に導かれ、かき揚げ用混合物は油ちょう処理される。かき揚げは、リテーナを反転するなどしてリテーナから取り出され、別の移送手段によって油槽30から引き揚げられる。一方、空になったリテーナは周回して、再度かき揚げ製造工程に使用される。
以上、本発明に係るかき揚げ用混合物の成型方法について説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではない。例えば、拡張装置21を均し装置22に置き換えて、均し装置22が連続するように配置しても良い。上記均し装置22によっても拡張工程が可能であり、本発明の目的を達成することができる。
1 かき揚げ製造装置
10 かき揚げ用混合物供給装置
20 成型装置
21 拡張装置
211 羽根
212 円形板
213 支柱
22 均し装置
221 成形板
222 支柱
30 油槽
40 搬送手段

Claims (1)

  1. かき揚げ用混合物の成型方法であって、
    かき揚げ用混合物をリテーナに供給する供給工程と、
    供給されたかき揚げ用混合物をリテーナ内に押し広げる拡張工程と、
    押し広げられたかき揚げ用混合物の隙間を埋めるための均し工程と、
    を含み、
    前記拡張工程は、先端に羽根のついた支柱をリテーナ内に挿入し、回動させて行い、
    前記均し工程は、複数の溝を設けることで複数の凸部が形成され、前記複数の溝は板部材の周縁部まで到達している板部材をリテーナ内に挿入し、回動させて行う、かき揚げ用混合物の成型方法。
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