以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[本実施形態の構造]
図1〜図8を参照して、本実施形態によるロータ100の構造について説明する。
また、本願明細書では、「回転電機」とは、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、および、必要に応じてモータおよびジェネレータの双方の機能を有するモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として記載している。たとえば、回転電機101は、ハイブリッド車または電気自動車で使用される走行用モータとして構成されている。
また、本願明細書では、「ロータ回転軸線方向」または「軸方向」は、ロータ100の回転軸線方向(軸C1(図2参照)に沿った方向;図1中のZ軸に平行な方向)を意味する。また、「周方向」は、ロータ100の周方向(図2中の矢印A1方向または矢印A2方向)を意味する。「径方向」は、ロータ100の径方向(図1中の矢印R1方向または矢印R2方向)を意味する。また、「径方向内側」は、ロータ100の内径側(矢印R1方向側)を意味し、「径方向外側」は、ロータ100の外径側(矢印R2方向側)を意味する。
(ロータの全体構造)
ロータ100は、図1に示すように、たとえば、複数の永久磁石1がロータ100の内部に埋め込まれた埋込永久磁石型モータ(IPMモータ:Interior Permanent Magnet Motor)の一部(回転電機101の一部)を構成している。
また、ロータ100は、ステータ102の径方向内側において、ステータ102と径方向に対向するように配置されている。すなわち、回転電機101は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。そして、回転電機101では、ステータ102にはコイル(図示せず)が設けられており、コイルが発生させる磁界(磁束)とステータ102に対向するロータ100が発生させる磁界(磁束)との相互作用により、ロータ100が回転運動するように構成されている。そして、ロータ100は、図1に示すように、永久磁石1と、ハブ部材2と、ロータコア3と、接着剤4と、エンドプレート5とを含む。ロータ100は、シャフトに接続されるハブ部材2に固定され、ハブ部材2およびシャフトを介して、回転電機101の外部に回転運動を伝達させる(または伝達される)ように構成されている。なお、ステータ102は、回転電機101の図示しないケースに固定されている。
永久磁石1は、たとえば、ネオジム磁石により形成されている。ネオジム磁石は、磁化方向(矢印R1方向および矢印R2方向)に正の熱膨張係数を有する一方、磁化方向に垂直な方向(永久磁石1の幅方向およびZ軸に沿った方向)に負の熱膨張係数を有する。なお、「永久磁石1の幅方向」とは、Z軸に垂直な方向で、かつ、磁化方向に垂直な方向である。
また、永久磁石1は、図3に示すように、径方向内側から見て、軸方向の長さL1、および、長さL1より小さい幅W1を有する略矩形形状を有するように形成されている。そして、永久磁石1は、図4に示すように、軸方向の一方側から見て(矢印Z1方向側から見て)、径方向外側の2つの角部が面取りされた略矩形形状を有する。そして、永久磁石1は、軸方向の一方側から見て、径方向内側の面11が平坦面として、径方向外側の面12が弧状を有する面として構成されている。なお、面11は、特許請求の範囲の「塗布面」の一例である。
また、永久磁石1の面取りされた2つの角部には、それぞれ、後述する磁石用孔部32に当接する当接面としての面13が設けられている。永久磁石1の2つの面13は、それぞれ、磁石用孔部32の壁面32aに当接する(面接触する)ように配置されている。すなわち、永久磁石1は、矢印Z1方向側から見て、一対のテーパー形状を有する壁面32aにより位置決めされた状態で、固定されている。
ハブ部材2は、図1に示すように、ハブ部材2の矢印R2方向側に配置されたロータコア3の係合部3a(図2参照)に係合されて、ロータコア3に固定されている。また、ハブ部材2は、図示しないシャフトに固定されている。そして、ハブ部材2とロータコア3とシャフトとは、軸C1を中心軸として、一体的に回転されるように構成されている。
ロータコア3は、図2に示すように、円環形状を有する複数(たとえば、4つ)のコアブロック30を含む。複数のコアブロック30は、軸C1を一致させた状態で、軸方向に積層されている。そして、コアブロック30は、それぞれ、円環形状を有する複数の電磁鋼板31(図1参照;たとえば、珪素鋼板)が、軸方向に積層されて形成されている。
そして、図2に示すように、コアブロック30には、軸方向に沿った貫通孔として構成された複数(たとえば、16個)の孔部132が設けられている。また、複数のコアブロック30は、矢印Z1方向側から見て、互いに孔部132の位置がオーバーラップする(または完全に一致する)ように、軸方向に積層されている。これにより、ロータコア3では、複数のコアブロック30の孔部132が連続して接続されることにより、永久磁石1が軸方向に沿って挿入される磁石用孔部32が形成されている。また、複数の磁石用孔部32は、図2に示すように、矢印Z1方向側から見て、周状に、等角度間隔で配置されている。
そして、複数の磁石用孔部32には、それぞれ、永久磁石1が配置されている。図1に示すように、磁石用孔部32と永久磁石1とは、接着剤4により接着されており、互いに固定されている。また、図2に示すように、磁石用孔部32の軸方向の長さL2は、永久磁石1の軸方向の長さL1より少し短い大きさに構成されている。
また、図4に示すように、磁石用孔部32には、接着剤4が配置されるとともに、ロータコア3の径方向内側に窪む、軸方向に沿って延びる2つの溝部32bが設けられている。詳細には、2つの溝部32bは、磁石用孔部32の周方向の両端部の近傍に設けられており、2つの溝部32bの間に、突出部32cが設けられている。そして、2つの溝部32bは、それぞれ、底部32dを有し、突出部32cの頂面32eから底部32dまでの溝深さd1は、後述する厚みt1(図7参照)よりも大きく、厚みt2以下に構成されている。
ロータコア3の突出部32cは、磁石用孔部32の周方向の中央部において、磁石用孔部32の径方向内側から径方向外側に向かって突出するように構成されている。ここで、一般的に、磁石用孔部32の周方向の両端部では、周方向の中央部に比べて、磁気飽和が生じやすい。そこで、突出部32cは、磁石用孔部32の周方向の中央部に対応する位置に設けられている。これにより、突出部32cを設けない場合および磁石用孔部32の周方向の両端部に対応する位置に突出部32cを設ける場合に比べて、磁気抵抗を低減することが可能になる。この結果、比較的磁気飽和しにくい位置で磁気抵抗を低減することが可能となる。
接着剤4は、図4に示すように、永久磁石1の径方向内側の面11の一部に接触して配置されている。たとえば、接着剤4は、永久磁石1の径方向内側の面11の一部のみに配置されている。ここで、接着剤4を、永久磁石1の径方向外側の面12に配置する場合には、永久磁石1と、ロータコア3の径方向外側に配置されるステータ102との間に、接着剤4が配置される状態となり、接着剤4の厚みt2分、永久磁石1とステータ102との距離が大きくなる。この点に対して、本実施形態では、永久磁石1とステータ102との間に、接着剤4が配置されないので、その分、永久磁石1とステータ102との距離を小さくすることができる。
また、接着剤4は、図3に示すように、永久磁石1の面11において、短手方向の一方側(矢印X1方向側)および他方側(矢印X2方向側)の2つの部分に配置されている。そして、接着剤4は、永久磁石1の面11の長手方向(矢印Z1方向側の部分から矢印Z2方向側の部分に渡って、軸方向)に延びるように形成されている。
また、接着剤4は、永久磁石1とロータコア3とが接着剤4により接着された状態(図5(b))において、発泡された状態の発泡剤41と、硬化された状態の主剤42および硬化剤43とを含む。なお、発泡剤41は、特許請求の範囲の「膨張剤」の一例である。
発泡剤41は、膨張温度T1以上の温度に加熱されることにより発泡(膨張)する膨張剤として構成されている。また、主剤42および硬化剤43は、膨張温度T1より高温である硬化温度T2以上の温度に加熱されることにより、硬化する性質を有する。
詳細には、発泡剤41は、カプセル体(図6参照)として構成されており、膨張温度T1以上の温度に加熱されることにより、カプセル体が膨張して体積が大きくなるように構成されている。たとえば、発泡剤41として、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジト類等の無機系発泡剤や、トリクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン系化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド系化合物、5−モノホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物、N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ化合物などの有機系発泡剤、低沸点の炭化水素系化合物、たとえば、ブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、石油エーテル等の化合物をマイクロカプセルに内包化したマイクロカプセル化発泡剤等により適宜選択して用いることができる。また、膨張温度T1は、たとえば、カプセル体が発泡成形する発泡成形温度として設定することが可能である。
そして、図5に示すように、発泡剤41が発泡して膨張することにより、接着剤4の厚みは、厚みt1から、厚みt2に変化する。その結果、接着剤4は、永久磁石1の面11から溝部32bの底部32dに渡って配置された状態になる。また、発泡剤41は、加熱後も接着剤4内(磁石用孔部32内)において、膨張されたカプセル体として残存する。
そして、好ましくは、接着剤4は、発泡剤41が発泡して膨張することにより、膨張前の接着剤4の厚みt1の3倍以上8倍以下の厚みt2に変化するように、接着剤4における発泡剤41の含有割合が設定されている。そして、図7に示すように、接着剤4の発泡剤41が発泡する前の状態では、接着剤4と溝部32bの底部32dとは、互いに離れた位置に配置されているとともに、永久磁石1の面13と磁石用孔部32の壁面32aとは、互いに離れた位置に配置される。そして、接着剤4の発泡剤41が発泡された後の状態(図4参照)では、接着剤4が膨張して、接着剤4が溝部32bの底部32dに接触して、永久磁石1が径方向外側に押圧され、永久磁石1の面13と磁石用孔部32の壁面32aとが、接触する位置に配置される。
主剤42として、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、および、これらを水添したエポキシ樹脂等より適宜選択して用いることができる。
また、硬化剤43として、たとえば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p−キシレンノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等より適宜選択して用いることができる。
そして、主剤42および硬化剤43は、硬化温度T2以上の温度に加熱されることにより硬化する性質を有する。すなわち、接着剤4は、熱硬化性の接着剤として構成されている。そして、永久磁石1とロータコア3とは、接着剤4の主剤42と硬化剤43とが硬化されることにより、接着され固定される。また、硬化温度T2は、後述する乾燥温度T3よりも高く、かつ、膨張温度T1よりも高い。また、硬化温度T2は、主剤42および硬化剤43の組み合わせにより設定され、製品上限温度T5よりも低い。また、製品上限温度T5は、たとえば、ロータ100としての性能に影響が生じない程度の温度として設定することが可能である。
また、図8に示すように、接着剤4は、永久磁石1とロータコア3とが接着剤4により接着される前で、かつ、乾燥される前の状態において、揮発性を有する揮発剤としての希釈溶剤44と、発泡される前の状態の膨張剤としての発泡剤41と、硬化されていない状態の主剤42および硬化剤43とを含む。
そして、接着剤4は、永久磁石1とロータコア3とが接着剤4により接着される前で、かつ、乾燥された後の状態(図8(b)参照)において、発泡剤41と、硬化されていない状態の主剤42および硬化剤43とを含む。すなわち、接着剤4が乾燥された後では、接着剤4における希釈溶剤44の量が減少しているか、または、接着剤4における希釈溶剤44が略含有されていない状態になる。
希釈溶剤44として、たとえば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルペンタン、イソペンタン等の炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルターシャリーブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤等より適宜選択して用いることができる。
また、希釈溶剤44は、発泡剤41および硬化剤43よりも粘性が低い。これにより、希釈溶剤44は、接着剤4に含有されることにより、接着剤4の粘性を低下させ、流動性を高める機能を有する。
また、希釈溶剤44は、乾燥温度T3以上の温度(たとえば、図20の温度T10)にされることにより、揮発する。ここで、乾燥温度T3として、たとえば、希釈溶剤44の沸点温度、または、沸点温度近傍の温度を設定することが可能である。
乾燥温度T3は、膨張温度T1よりも低い。また、膨張温度T1は、硬化温度T2よりも低い。これにより、接着剤4の温度を、膨張温度T1未満で、かつ、乾燥温度T3以上の温度にすることにより、発泡剤41を膨張させない状態で、希釈溶剤44を揮発させることが可能になる。
そして、図8に示すように、接着剤4は、乾燥される前の状態において、永久磁石1の幅方向に垂直な方向(矢印R1方向および矢印R2方向)に厚みt3を有する。そして、接着剤4は、希釈溶剤44が揮発されることにより、体積が減少して薄膜化される。すなわち、接着剤4は、乾燥された後の状態において、厚みt3よりも小さい厚みt1を有する。好ましくは、厚みt1は、厚みt3の10分の9以下(より好ましくは、5分の4以下)の大きさである。
[本実施形態による接着剤の塗布装置の構造]
次に、図9〜図15を参照して、本実施形態による接着剤4の塗布装置201の構造について説明する。
図9および図10に示すように、塗布装置201は、プランジャポンプ211を備えている。プランジャポンプ211は、膨張温度T1以上の温度に加熱されることにより膨張する発泡剤41を含む接着剤4を内部に収容する。また、プランジャポンプ211は、3軸直交ロボット212に取り付けられている。3軸直交ロボット212は、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させるように構成されている。具体的には、3軸直交ロボット212は、プランジャポンプ211を水平方向(X−Y方向)と垂直方向(Z方向)とに移動可能に構成されている。なお、プランジャポンプ211は、特許請求の範囲の「塗布部材」の一例である。また、3軸直交ロボット212は、特許請求の範囲の「移動機構」の一例である。
ここで、本実施形態では、図11および図12に示すように、プランジャポンプ211は、接着剤4を吐出する吐出口213aと、吐出口213aに対して相対的に移動する方向において吐出された接着剤4の高さを整える調整部213bとを有するノズル213を含む。具体的には、吐出口213aは、X方向に沿って延びるように設けられている。なお、X方向は、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させる方向(Y方向)に直交する方向である。また、吐出口213aは、Z方向から見て、略長円形状を有する。なお、吐出口213aの形状として、上記形状に限らず、略三角形状、略長方形状、略正方形形状、その他の多角形状、略円形状、略楕円形状より適宜選択して用いることができる。
また、図11に示すように、吐出口213aは、ノズル213の先端部の上方(Z1方向)に窪んだ凹形状部分213cに設けられている。そして、凹形状部分213cよりも下方(Z2方向)側には、一対の壁部分213bが設けられている。壁部分213bは、吐出口213aから吐出された接着剤4がX方向に移動するのを規制する機能を有する。また、吐出口213aから永久磁石1の面11に吐出された接着剤4は、凹形状部分213cの下方側(Z2方向側)の略平坦な面により高さ(厚み)が調整されるように構成されている。なお、凹形状部分213cの下方側(Z2方向側)の略平坦な面は、特許請求の範囲の「調整部」の一例である。
また、本実施形態では、図11に示すように、プランジャポンプ211は、接着剤4を押し出す棒状のプランジャ211aと、棒状のプランジャ211aが収容される円筒状の収容部材211bとを含む。棒状のプランジャ211aは、図示しない移動機構により、Z方向に沿って移動可能に構成されている。なお、プランジャ211aは、特許請求の範囲の「押出し部材」の一例である。
円筒状の収容部材211bの側面部には、移動壁部211cが設けられているとともに、収容部材211bの先端側の部分には、移動壁部211dが設けられている。移動壁部211cは、接着剤4が収容される接着剤タンク部214と収容部材211bの内部空間との間に設けられている。移動壁部211dは、ノズル213と収容部材211bの内部空間との間に設けられている。そして、移動壁部211cが移動して、収容部材211bの内部空間と接着剤タンク部214とが接続された状態で、かつ、移動壁部211dが収容部材211bの先端側の部分を塞いでいる状態で、プランジャ211aがZ1方向側に予め定められた距離分、移動されることにより、円筒状の収容部材211b内に予め定められた一定の量の接着剤4が吸引される。その後、移動壁部211cが移動して、移動壁部211dが収容部材211bの側面部を塞いでいる状態で、かつ、移動壁部211dが移動して、収容部材211bの内部空間とノズル213とが接続された状態で、プランジャ211aがZ2方向側に予め定められた距離分、移動されることにより、予め定められた一定の量の接着剤4が永久磁石1の面11に塗布される。
また、本実施形態では、図13〜図15に示すように、塗布装置201には、位置決め部材215が備えられている。位置決め部材215は、永久磁石1の接着剤4が塗布される面11が当接されることにより、永久磁石1の面11を、一定の高さ位置に位置決めするように構成されている。具体的には、位置決め部材215は、直方体形状(平板形状)を有する。また、位置決め部材215は、Y方向(プランジャポンプ211が移動する方向)に沿って、永久磁石1のZ1方向側に配置されている。なお、位置決め部材215の高さ位置は、常に、一定の高さ位置に維持されている。
そして、本実施形態では、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めした状態で、3軸直交ロボット212によりプランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら、ノズル213の吐出口213aから接着剤4を吐出することによって、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する。接着剤4の塗布の詳細については、後述する。
また、塗布装置201は、複数の永久磁石1が載置されるパレット216を備えている。図9では、1つのパレット216に、6個の永久磁石1が載置されている。また、塗布装置201は、パレット216の下方に配置されるシリンダ217およびプッシャ218を備えている。プッシャ218には、パレット216に載置される複数の永久磁石1と同じ数分の棒状部材218aが設けられている。棒状部材218aは、Z方向に沿って延びるように設けられている。そして、複数の永久磁石1の各々が、棒状部材218aによりZ1方向側に押圧されることにより、複数の永久磁石1の各々の面11が一定の高さ位置に位置決めされた状態(図14参照)で、同一の(1つの)プランジャポンプ211により、複数の永久磁石1の各々の面11に接着剤4が塗布される。
また、図9に示すように、パレット216は、複数設けられている。また、複数のパレット216は、コンベア219によって、順次、プランジャポンプ211の下方に移動される。そして、複数のパレット216に各々載置された永久磁石1に、順次、接着剤4が塗布される。
[本実施形態によるロータの製造方法]
次に、図4、図5、図7〜図21を参照して、本実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。図19には、本実施形態によるロータ100の製造方法のフローチャートを示している。また、図20には、横軸を時間とし、縦軸を接着剤4の温度(左側の縦軸)および接着剤4の厚み(右側の縦軸)とするロータ100の製造工程中(ステップS1〜S10)の接着剤4の状態を説明するための図を示している。
まず、ステップS1において、永久磁石1と、接着剤4とを準備する工程が行われる。詳細には、ネオジム磁石を含む複数の永久磁石1が準備される。ここで、本実施形態では、膨張温度T1以上の温度に加熱されることにより膨張する膨張剤としての発泡剤41と、揮発性を有する希釈溶剤44と、膨張温度T1より高い温度である硬化温度T2以上の温度に加熱されることにより硬化する主剤42および硬化剤43とを含む、接着剤4(図7参照)が準備される。
ステップS2において、図9に示すように、複数の永久磁石1をパレット216に載置する。その後、ステップS3に進む。
ステップS3において、接着剤4を永久磁石1に塗布して配置する工程が行われる。そして、厚みt3を有する接着剤4が形成される。なお、接着剤4の塗布の詳細については、後述する。
ステップS4において、接着剤4を乾燥させて薄膜化する工程が行われる。本実施形態では、図8に示すように、接着剤4を乾燥させることにより、接着剤4の厚みが、乾燥させる前の接着剤4の厚みt3よりも小さい厚みt1にされて、接着剤4が薄膜化される。
詳細には、本実施形態では、接着剤4に含まれる希釈溶剤44が揮発させることにより、接着剤4の厚みが厚みt3から厚みt1に薄膜化される。また、図20に示すように、接着剤4を乾燥温度T3以上でかつ膨張温度T1未満の温度T10に加熱することにより、接着剤4が乾燥して、接着剤4の厚みが厚みt3から厚みt1にされて、接着剤4が薄膜化される。
また、図8に示すように、本実施形態では、乾燥装置203のエアブローにより、室温T4よりも高い温度(乾燥温度T3以上でかつ膨張温度T1未満の温度T10)を有する熱風E(空気)が、接着剤4に吹き付けられることによって、接着剤4に含まれる希釈溶剤44が揮発される。また、熱風Eにより、揮発された希釈溶剤44が換気される。その後、ステップS5に進む。
ステップS5において、図20に示すように、永久磁石1および接着剤4を冷却する工程が行われる。これにより、永久磁石1が磁化方向(ロータ100の径方向)に沿って収縮される。たとえば、永久磁石1および接着剤4は、室温T4の近傍の温度まで冷却される。その後、ステップS6に進む。
そして、ステップS6において、接着剤4の厚みを測定する工程が行われる。すなわち、接着剤4の厚みが、厚みt1となっていることが確認(検査)される。その後、ステップS7に進む。
ステップS7において、ロータコア3を準備する工程が行われる。ここで、本実施形態では、図7に示すように、永久磁石1に塗布された接着剤4が配置されるとともに、ロータコア3の径方向内側に窪む、軸方向に沿って延びる溝部32bを磁石用孔部32に形成する工程が行われる。具体的には、本実施形態では、乾燥された状態の接着剤4の厚みt1の大きさよりも大きい溝深さd1を有する溝部32bが磁石用孔部32に形成されたロータコア3が準備される。
詳細には、図示しない順送プレス加工装置により、複数の電磁鋼板31が打ち抜かれる。この時、溝部32bを有する孔部132(図2参照)が形成された円環状の複数の電磁鋼板31が形成される。そして、図17に示すように、複数の電磁鋼板31が、軸方向に沿って積層され、複数(たとえば、4つ)のコアブロック30が形成される。そして、コアブロック30が軸方向に積層される。そして、複数のコアブロック30のうちの一部が、他のコアブロック30に対して、周方向に回転されるかまたは反転(転積)される。これにより、ロータコア3が形成され、複数のコアブロック30の孔部132が互いに軸方向に連続して接続されて、磁石用孔部32が形成される。その後、ステップS8に進む。
ここで、本実施形態では、ステップS8において、薄膜化された接着剤4が配置された永久磁石1をロータコア3の磁石用孔部32に挿入する工程が行われる。具体的には、ロータコア3と、接着剤4が配置された面11を径方向内側に向けた状態の永久磁石1とが軸方向に相対移動されることにより、磁石用孔部32の各々に、永久磁石1が挿入される。なお、図17では、1つの永久磁石1のみを図示しているが、磁石用孔部32の各々に、永久磁石1が挿入される。
そして、図7に示すように、磁石用孔部32の溝部32bの底部32dと、厚みt1を有する接着剤4とは、離れた位置に配置された状態となる。
そして、ステップS9において、図18に示すように、接着剤4の主剤42および硬化剤43を硬化することにより、永久磁石1とロータコア3とを接着する工程が行われる。具体的には、永久磁石1が配置されたロータコア3(および永久磁石1)が、加圧装置204により、矢印Z1方向側および矢印Z2方向側の両方から押圧(符号PL)された状態で、接着剤4が膨張温度T1よりも高く、かつ、硬化温度T2以上の温度T11(図20参照)に加熱される。たとえば、エアブローにより、接着剤4が温度T11に熱風加熱される。
これにより、図5に示すように、接着剤4の発泡剤41が発泡することにより膨張し、接着剤4の厚みが厚みt1から厚みt2に変化する。また、接着剤4の厚みt2は、永久磁石1の面11から、溝部32bの底部32dまでの距離に略等しくなる。すなわち、接着剤4が、永久磁石1の面11から溝部32bの底部32dに渡って膨張された状態になる。また、接着剤4が膨張して、永久磁石1の面13が径方向外側に押圧されて、磁石用孔部32の壁面32aと永久磁石1の面13とが当接する。
そして、接着剤4の主剤42および硬化剤43が硬化することにより、硬化された接着剤4によって、永久磁石1と磁石用孔部32とが固定される。その後、ステップS10に進む。
ステップS10において、図20に示すように、ロータコア3を冷却する工程が行われる。たとえば、ロータコア3および接着剤4の温度が室温T4になるまで冷却される。その後、ステップS11に進む。
ステップS11において、複数のコアブロック30同士を、レーザー溶接等により接合する工程が行われる。
これにより、ロータ100が製造される。その後、ロータ100は、図1に示すように、ステータ102との組み立て等が行われ、回転電機101が製造される。
(接着剤の塗布)
次に、接着剤の塗布の詳細について説明する。
まず、図21に示すように、ステップS21において、膨張温度T1以上の温度に加熱されることにより膨張する発泡剤41を含む接着剤4がプランジャポンプ211(図11参照)内に収容される工程が行われる。具体的には、プランジャポンプ211の棒状のプランジャ211aを移動(Z1方向に移動)させて、円筒状の収容部材211b内に予め定められた一定の量の接着剤4が吸引される。
次に、本実施形態では、ステップS22において、ロータコア3の磁石用孔部32に挿入される永久磁石1の接着剤4が塗布される面11と、位置決め部材215とを当接させて、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めする工程が行われる。具体的には、図15に示すように、面11に垂直な方向(Z方向)から見て、位置決め部材215の両側に面11が露出するように、永久磁石1の面11と位置決め部材215とを当接させて、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めする。位置決め部材215は、永久磁石1のX方向の略中央に、Y方向に沿って配置されおり、Z方向から見て、位置決め部材215の両側(X1方向、X2方向)に、面11が略同じ面積分、露出する。
詳細には、図13および図14に示すように、複数の永久磁石1がパレット216に載置された状態で、シリンダ217によりプッシャ218がZ1方向に移動されることにより、複数の永久磁石1の下面が棒状部材218aにより押圧される。これにより、本実施形態では、複数の永久磁石1の各々の面11が、同時に、位置決め部材215の下面に当接される。すなわち、永久磁石1の厚みt4にばらつきがある場合でも、複数の永久磁石1の各々の面11の高さ位置が、同一に高さ位置にされる。これにより、複数の永久磁石1の各々の面11と、プランジャポンプ211との間の距離L3が一定にされる。
また、本実施形態では、永久磁石1の面11は、平坦面形状を有し、位置決め部材215は、平坦面形状を有する。そして、永久磁石1の平坦面形状の面11と、平坦面形状の位置決め部材215とが面接触されて、永久磁石1の面11が一定の高さ位置に位置決めされる。具体的には、永久磁石1がZ1方向側に押圧されることにより、永久磁石1の面11(上面)と、位置決め部材215の下面とが面接触することにより、永久磁石1の面11が、位置決め部材215の下面の高さ位置と同じ高さ位置に位置決めされる。なお、位置決め部材215の高さ位置は、常に、一定の高さ位置に維持されている。
次に、ステップS23において、本実施形態では、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めした状態で、かつ、プランジャポンプ211と面11との間の距離を一定に維持した状態で、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら、永久磁石1の面11に接着剤4が塗布される工程が行われる。具体的には、位置決め部材215により位置決めされた静止した状態の永久磁石1の面11に対して、プランジャポンプ211を面11に対して垂直な方向であるY方向に沿って一定の速度で移動させることにより、永久磁石1の面11に接着剤4が塗布される。
また、本実施形態では、接着剤4を吐出する吐出口213aと吐出口213aに対して相対的に移動する方向において吐出された接着剤4の高さを整える調整部213bとを有するノズル213を含むプランジャポンプ211を、永久磁石1に対して相対的に移動させながら、ノズル213の吐出口213aから接着剤4を吐出することにより、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する。具体的には、吸引することにより、円筒状の収容部材211bに収容された予め定められた一定の量の接着剤4が、プランジャ211aにより押し出されることにより、永久磁石1の面11に接着剤4が塗布される。ここで、ノズル213の吐出口213aからは、単位時間当たり一定の量の接着剤4が吐出される。接着剤4の吐出量は、プランジャポンプ211のプランジャ211aの移動量によって調整される。たとえば、プランジャポンプ211のプランジャ211aを一定の移動速度で移動させることにより、単位時間当たり一定の量の接着剤4が吐出される。
また、本実施形態では、図15に示すように、同一の(1つの)プランジャポンプ211により、面11に垂直な方向から見て位置決め部材215の両側(X1方向側、X2方向側)に露出した面11に接着剤4が塗布される。すなわち、1つのプランジャポンプ211により、位置決め部材215のX1方向側またはX2方向側の一方に露出した面11に接着剤4が塗布された後、このプランジャポンプ211により、位置決め部材215のX1方向側またはX2方向側の他方に露出した面11に接着剤4が塗布される。同様に、複数の永久磁石1の面11には、同一の(1つの)プランジャポンプ211により、接着剤4が塗布される。すなわち、1つの永久磁石1の面11に対する接着剤4の塗布が終了した後、別の永久磁石1の面11に対して接着剤4の塗布が行われる。
また、1つのパレット216に載置された複数の永久磁石1の面11に対する接着剤4の塗布が終了した後、コンベア219(図9参照)によって、別のパレット216がプランジャポンプ211の下方に移動される。そして、この移動されたパレット216に載置された複数の永久磁石1の面11に対して接着剤4が塗布される。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、位置決め部材215により、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めした状態で、かつ、プランジャポンプ211と面11との間の距離を一定に維持した状態で、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程を備える。これにより、永久磁石1の厚みt4にばらつきがある場合でも、永久磁石1の面11が一定の高さ位置に位置決めされる。その結果、永久磁石1の厚みt4にばらつきがある場合でも、永久磁石1の面11とプランジャポンプ211との間の距離L3を一定にすることができる。これにより、永久磁石1の面11とプランジャポンプ211との間の距離L3を一定に維持した状態で、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布することができるので、面11に塗布された接着剤4の厚みt3(乾燥前の厚みt3)を均一にすることができる。すなわち、永久磁石1の厚みt4にばらつきがある場合でも、面11に塗布される接着剤4の厚みt3を均一にすることができる。
また、接着剤4の厚みt3が均一にされるので、永久磁石1をロータコア3の磁石用孔部32に挿入する際に、接着剤4の表面と磁石挿入穴32の内面とのクリアランスを大きくする事無く、接着剤4とロータコア3とが衝突して接着剤4が剥がれてしまうことを防止することができる。また、接着剤4の厚みt3が不均一な場合、接着剤4の表面と磁石挿入穴32の内面とのクリアランスが小さすぎる場合があり、この場合、接着剤4とロータコア3とが衝突し、接着剤4が剥がれる虞がある。また、衝突を避けるため、クリアランスを大きくする(磁石挿入穴32を大きくする)と、その分、ロータコア3の鉄材が少なくなるため、回転電機の性能が低下してしまう。本実施形態では、接着剤4の厚みt3が均一にされるので、このような課題は生じない。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程は、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら、ノズル213の吐出口213aから接着剤4を吐出することにより、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程である。これにより、ノズル213の吐出口が円形状などの場合と比べて、接着剤4を均一に吐出することができるので、接着剤4の厚みt3をより均一にすることができる。また、吐出口213aの幅方向(X方向、図12参照)に直交する方向(Y方向)にノズル213を移動させながら接着剤4を吐出することにより、吐出口213aの幅と同一の幅を有する接着剤4(すなわち、吐出口213aが延びる方向の幅が均一な接着剤4)を塗布することができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程は、プランジャポンプ211内に収容された接着剤4をプランジャ211aにより押し出すことにより、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程である。ここで、空気(気体)の圧力で接着剤4を押し出す場合には、接着剤4の吐出量のばらつきが比較的大きくなる。そこで、プランジャ211a(固体)により機械的に接着剤4を押し出すことによって、接着剤4の吐出量のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程は、棒状のプランジャ211aを移動させて、円筒状の収容部材211b内に予め定められた一定の量の接着剤4を吸引した後、プランジャポンプ211内に収容された接着剤4をプランジャ211aにより押し出すことにより、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程である。これにより、予め定められた一定の量の接着剤4を永久磁石1に対して吐出することができるので、接着剤4の厚みt3を効果的に均一にすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11を位置決めする工程は、面11に垂直な方向から見て、位置決め部材215の両側に面11が露出するように、永久磁石1の面11と位置決め部材215とを当接させて、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めする工程である。これにより、永久磁石1の面11と位置決め部材215とを当接させた状態を維持したままで、位置決め部材215の両側に露出する永久磁石1の複数の箇所に接着剤4を塗布することができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11に接着剤4を塗布する工程は、同一のプランジャポンプ211により、面11に垂直な方向から見て位置決め部材215の両側に露出した面11に接着剤4を塗布する工程である。これにより、複数のプランジャポンプ211により、面11に個別に接着剤4を塗布する場合と異なり、複数のプランジャポンプ211毎の吐出量のばらつきに起因して、接着剤4の厚みt3にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11を位置決めする工程は、複数の永久磁石1を、同時に、位置決め部材215に当接させて、複数の永久磁石1の各々の面11を一定の高さ位置に位置決めする工程である。これにより、複数の永久磁石1を、別々の工程により位置決め部材215に当接させて接着剤4の塗布を行う場合と比べて、接着剤4の塗布に要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、上記のように、永久磁石1の面11を位置決めする工程は、永久磁石1の平坦面形状の面11と、平坦面形状の位置決め部材215とを面接触させて、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めする工程である。これにより、永久磁石1の面11を安定した状態で位置決めすることができるので、面11に塗布される接着剤4の厚みt3をさらに均一にすることができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ロータ100をステータ102の径方向内側に配置するいわゆるインナーロータとして構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ロータ100をアウターロータとして構成してもよい。
また、上記実施形態では、膨張剤として発泡剤41を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、発泡剤41以外の膨張する材料を膨張剤として用いてもよい。
また、上記実施形態では、接着剤4を熱風Eにより乾燥させる例(図16参照)を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、換気装置をさらに設ければ、接着剤4をヒータによる加熱により乾燥させてもよい。
また、上記実施形態では、接着剤4を永久磁石1の面11に配置する例(図4参照)を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接着剤4を永久磁石1の面12に配置してもよいし、面11および面12の両方に設けてもよい。
また、上記実施形態では、プランジャポンプ211を永久磁石1に対して相対的に移動させながら接着剤4を塗布する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、永久磁石1をプランジャポンプ211に対して相対的に移動させながら接着剤4を塗布してもよい。
また、上記実施形態では、プランジャポンプ211が吐出口213aを有するノズル213を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接着剤4の吐出量を一定にすることが可能であれば、吐出口213a以外の形状を有する吐出口を含むノズル213を用いてもよい。
また、上記実施形態では、プランジャ211aにより、接着剤4を押し出す例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スクリュなどの機械的な部材を回転させながら接着剤4を押し出してもよいし、エアなどの気体によって接着剤4を押し出してもよい。
また、上記実施形態では、面11に垂直な方向から見て、位置決め部材215の両側に面11が露出するように、永久磁石1の面11と位置決め部材215とが当接する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、面11の端部を位置決め部材215に当接させて、面11の略全域が露出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、同一のプランジャポンプ211により、位置決め部材215の両側に露出した面11に接着剤4が塗布される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数のプランジャポンプ211の吐出量を等しくすることが可能であれば、複数のプランジャポンプ211により、位置決め部材215の両側に露出した面11に接着剤4を塗布してもよい。
また、上記実施形態では、複数の永久磁石1を、同時に、位置決め部材215に当接させて、複数の永久磁石1の面11に順次接着剤4を塗布する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図22および図23に示す変形例による塗布装置220のように、1つの永久磁石1を位置決め部材215に当接させた後、この永久磁石1の面11に接着剤4を塗布してもよい。
具体的には、塗布装置220は、プランジャポンプ221と、位置決め部材222と、ガイド部(磁石保持装置)223と、パレット224と、シリンダ225と、プッシャ226とを備えている。なお、プランジャポンプ221の構成は、上記実施形態のプランジャポンプ211の構成と同様である。塗布装置220では、長方形形状の永久磁石1の側面がガイド部223によって取り囲まれている。そして、シリンダ225の駆動力によってプッシャ226が上方(Z1方向)に移動することにより、永久磁石1がガイド部223に沿って上方に移動する。そして、永久磁石1の面11が位置決め部材222に当接して、永久磁石1の面11が一定の高さ位置に位置決めされる。なお、永久磁石1の面11が一定の高さ位置に位置決めされた状態で、永久磁石1の側面は、ガイド部223に取り囲まれたまま(当接したまま)の状態である。これにより、プランジャポンプ221によって接着剤4が塗布される際に、永久磁石1がX方向またはY方向に移動するのがガイド部223により規制される。なお、プランジャポンプ221は、特許請求の範囲の「塗布部材」の一例である。
また、上記実施形態では、永久磁石1の平坦面形状の面11と、平坦面形状の位置決め部材215とを面接触させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、永久磁石1と位置決め部材215とを点接触させて、永久磁石1の面11を一定の高さ位置に位置決めしてもよい。