JP6737144B2 - プリクリーナ - Google Patents
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Description
上記課題を解決するプリクリーナは、内燃機関の吸気系におけるエアクリーナの濾過部よりも上流側の部分に設けられる。このプリクリーナは、内燃機関の吸気が通過することによって同吸気の旋回流を発生させる複数の羽根と、内燃機関の吸気系における上記複数の羽根よりも下流側の部分に位置して吸気の旋回流により同吸気から遠心分離した塵埃を上記吸気系の外に排出する排塵部と、上記複数の羽根と排塵部との間に設けられて内燃機関の吸気通路を形成するための側壁を有している管部と、を備える。この管部の側壁は、通気性材料によって形成されている。
以下、内燃機関の吸気系に設けられるプリクリーナの第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
プリクリーナ3で吸気から塵埃を効果的に取り除くためには、吸気通路5の中心線Lcに対する複数の羽根6の傾斜角度を直角に近くすることによって、複数の羽根6を通過した吸気の旋回流が強くなるようにすることが好ましい。ただし、複数の羽根6の上記傾斜角度が直角に近くなるほど吸気が羽根6を通過するときの同吸気の流通音が大きくなるため、上記プリクリーナ3では、上記流通音が管部9の側壁8によって次のように小さく抑えられる。すなわち、管部9の側壁8を形成している繊維成形体の繊維が上記流通音の側壁8に対する入射に伴って微小に変動することにより、上記流通音の持つ音圧エネルギが上記繊維の運動に変換されて消費されるようにし、そうしたエネルギの消費によって上記流通音が低減される。従って、中心線Lcに対する羽根6の傾斜角度を直角に近づけて複数の羽根6を通過する吸気の旋回流を強くし、その旋回流によって吸気から効果的に塵埃を取り除こうとする際、吸気が複数の羽根6を通過するときの同吸気の流通音が大きくなることを管部9の側壁8によって抑制することができる。
(1)プリクリーナ3において、旋回流を利用して吸気から塵埃を効果的に取り除こうとする際、吸気が複数の羽根6を通過することによって生じる同吸気の流通音が大きくなることを抑制できる。
次に、プリクリーナの第2実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。
図4及び図5はそれぞれ、この実施形態のプリクリーナ3における管部9の径方向断面、及び、同管部9における側壁8を形成するための各部材を示している。これらの図から分かるように、管部9の側壁8は、表皮材21、通気フィルム22、吸音材23、非通気フィルム24、吸音材25、通気フィルム26、及び表皮材27によって形成されている。側壁8を形成するための上記各部材は、図5の上から下(図4に示す管部9の内側から外側)に向って、表皮材21、通気フィルム22、吸音材23、非通気フィルム24、吸音材25、通気フィルム26、表皮材27の順番で、側壁8の厚さ方向に重ねられている。
<非通気フィルム24>
非通気フィルム24の目付け量及び厚さは、管部9の内外での音を遮断しつつ同管部9の重量増加を抑制できる範囲の値とされている。詳しくは、非通気フィルム24の目付け量を5〜300g/m2 (平方メートル)とする一方、非通気フィルム24の厚さを0.01〜3mmとすることが考えられる。なお、非通気フィルム24の目付け量に関しては、この実施形態では例えば20g/m2 とされている。
吸音材23,25は、通気性材料によって、より詳しくは基材繊維同士をそれよりも融点の低いバインダ繊維によって結合した繊維成形体によって形成されている。この繊維成形体においては、PETからなる基材繊維が用いられるとともに、その基材繊維のPETよりも融点の低い変性PETからなるバインダ繊維が用いられている。上記基材繊維の繊維径、並びに、上記吸音材23,25の目付け量及び厚さは、吸音材23,25による必要な吸音性能を確保しつつ同吸音材23,25の重量増加を抑制できる範囲の値とされている。すなわち、上記基材繊維の繊維径は11〜25μmとされている。また、吸音材23,25の目付け量は、例えば50 〜1000g/m2 とすることが考えられ、この実施形態では600g/m2 とされている。更に、吸音材23,25の厚さとしては、5〜50mmとすることが考えられ、より好ましくは11〜25mmとすることが考えられる。
内側表皮層及び外側表皮層における通気フィルム22,26の通気度は、吸音材23,25の通気度よりも低い値であり、且つ、吸音材23,25によって低減される周波数帯の音よりも低周波数帯の音を効果的に低減できる範囲の値とされている。詳しくは、通気フィルム22,26の通気度(JISL1096,A法(フラジール形法))は、3〜50cc/cm2 (平方センチメートル)・sとすることができ、より好ましくは5〜10cc/cm2 ・sとすることができる。
内側表皮層及び外側表皮層の表皮材21,27は、例えばPET繊維からなる不織布シートにより形成されている。
車両のエンジンルーム内に位置するプリクリーナ3の管部9は一対の側壁8同士を互いに接合することによって形成されており、それら側壁8同士の間を吸気通路5が通過している。側壁8における内側吸音層(吸音材23)と内側表皮層(表皮材21及び通気フィルム22)とは、吸気通路5内においてプリクリーナ3の複数の羽根6を通過する吸気の流通音を低減するためのものである。一方、側壁8における外側吸音層(吸音材25)と外側表皮層(通気フィルム26及び表皮材27)とは、エンジンルーム内における吸気通路5外の騒音を低減するためのものである。そして、上記吸音材23と上記吸音材25とは、非通気フィルム24(非通気層)によって隔てられている。
(6)プリクリーナ3において、吸気通路5を形成するための管部9の側壁8により、複数の羽根6を通過する吸気の流通音だけでなくエンジンルーム内の騒音も低減されるため、エンジンルーム内のスペースを大きく占有することなく、同エンジンルーム内の騒音を低減することができる。
(8)側壁8に内側表皮層を設けたため、吸音材23によって吸気通路5内の上記流通音における高周波数帯の成分を低減するだけでなく、内側表皮層(表皮材21及び通気フィルム22)によって上記流通音において影響の大きい低周波数帯の成分を低減することもできる。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・図6に示すように、プリクリーナ3の管部9における側壁8は、厚さ方向に重ねられた外側繊維層28及び内側繊維層29を備え、それら外側繊維層28と内側繊維層29との間に吸着材15が設けられているものであってもよい。これら外側繊維層28、内側繊維層29、及び吸着材15を備える上記側壁8は、通気性材料である不織布シートを厚さ方向に重ねるとともに吸着材15を各不織布シート間に配置し、その状態で各不織布シートを厚さ方向に熱プレスすることによって形成される。この構成によれば、内燃機関1の停止中に同機関1の吸気通路5に燃料成分が流れ込んだとき、その燃料成分をプリクリーナ3における管部9の側壁8の外側繊維層28と内側繊維層29との間に保持された上記吸着材15に吸着させることができる。
・第2実施形態において、内側表皮層(表皮材21及び通気フィルム22)及び外側表皮層(通気フィルム26及び表皮材27)を省略してもよい。
・管部9を形成するに当たり、上側の側壁8における管部9の径方向の両縁と下側の側壁8における管部9の径方向の両縁とを熱プレスにより互いに接合するようにしたが、上記熱プレスに代えて超音波溶着により上記両縁を互いに接合するようにしてもよい。
・第1実施形態において、吸着材15、凹部16、及び保持シート17を省略してもよい。
Claims (8)
- 内燃機関の吸気系におけるエアクリーナの濾過部よりも上流側の部分に設けられるプリクリーナであって、
内燃機関の吸気が通過することによって同吸気の旋回流を発生させる複数の羽根と、
内燃機関の吸気系における前記複数の羽根よりも下流側の部分に位置して前記吸気の旋回流により同吸気から遠心分離した塵埃を前記吸気系の外に排出する排塵部と、
前記複数の羽根と前記排塵部との間に設けられて内燃機関の吸気通路を形成するための側壁を有している管部と、
を備え、
前記管部の側壁は、通気性材料によって形成されていることを特徴とするプリクリーナ。 - 前記通気性材料は繊維成形体である請求項1に記載のプリクリーナ。
- 前記管部の側壁には、燃料成分を吸着する吸着材が保持されている請求項1又は2に記載のプリクリーナ。
- 前記管部の側壁は、基材繊維同士をそれよりも融点の低いバインダ繊維によって結合した繊維成形体によって形成されており、
前記側壁の内面には、前記側壁と同様に、基材繊維同士をそれよりも融点の低いバインダ繊維によって結合した繊維成形体によって形成されている保持シートが設けられており、
前記保持シートは、前記吸着材を保持する保持部と、その保持部の周りに位置して前記側壁の内面に対し前記バインダ繊維を通じて接合されている接合部と、を備える請求項3に記載のプリクリーナ。 - 前記側壁は、前記管部の径方向に並んだ状態で前記バインダ繊維を通じて互いに接合されている複数の側壁であり、
前記複数の側壁のうちの少なくとも一つの側壁の内面には凹部が形成されており、
前記保持シートは、前記保持部によって保持された前記吸着材が前記凹部内に位置するよう、その凹部が形成された前記側壁の内面に設けられている請求項4に記載のプリクリーナ。 - 前記管部の側壁は、通気性材料により形成されている吸音層、及び、前記吸音層の内面に設けられて同吸音層よりも通気度の低い通気性材料により形成されている内側表皮層を有している請求項1に記載のプリクリーナ。
- 前記管部の側壁は、非通気性材料により形成されている非通気層と、その非通気層の内面に設けられて通気性材料により形成されている内側吸音層と、前記非通気層の外面に設けられて通気性材料により形成されている外側吸音層と、を備える請求項1に記載のプリクリーナ。
- 前記内側吸音層の内面には同内側吸音層よりも通気度の低い通気性材料により形成されている内側表皮層が設けられており、前記外側吸音層の外面には同外側吸音層よりも通気度の低い通気性材料により形成されている外側表皮層が設けられている請求項7に記載のプリクリーナ。
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