JP6736507B2 - 環境試験装置 - Google Patents
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Description
ここで乾湿式湿度検知センサは、所謂乾球温度と湿球温度を検知するものである。なお「乾球温度」、「湿球温度」は技術用語であり、検温部の形状を限定するものではない。
湿球温度を測定する部分は、水を含ませた布等(以下、ウィックという)で温度検知センサの検温部を覆い、その状態の温度を検知するものである。
特許文献1には乾湿式湿度検知センサを使用した環境試験装置が開示されている。
特許文献1に開示された湿球温度検知手段は、温度検知センサの棒状の検温部が水平姿勢に配置され、その下に検知用水貯留部の水槽部分が配置されている。
またシート状のウィックの、折り曲げられた状態における折り返し部分(股の部分)を検温部に引っ掛けて係合し、ウィックの自由端側が検温部から垂れ下がった状態とされている。そしてウィックの垂れ下がり部分を検知用水貯留部の中の水に浸し、毛細管現象によって水を吸い上げ、温度検知センサの検温部を湿らせる。
特許文献1に開示された湿球温度検知手段では、ウィックは単に二つ折りにして棒状の検温部に引っ掛けられて係合されているだけであるから、ウィックを取り替え易い。
特許文献1に開示された湿度センサの検温部とウィックの姿勢は、あたかも国旗等の旗を旗手が水平に保持した様な形に例えることができる。
即ち試験室は、被試験物を出し入れするための扉部材があり、この扉部材に対向する奥壁がある。また扉側と奥壁を繋ぐ側壁がある。特許文献1に開示された環境試験装置では、ウィック及び検知用水貯留部が、試験室の側壁側に片持ち支持されており、ウィック及び検知用水貯留部は試験室の側面側から中央にのびる姿勢となっている。
その一方で、遠心ファンは、プロペラファン等の軸流ファンに比べて送風量が少なく、これを採用する環境試験装置は試験室内の風速が低いものとなる傾向がある。
そのためウィックの自由端側(下端側)は、旗がたなびく如くに揺れ動く。しかしながら、特許文献1では、送風機としてシロッコファンが採用されているので、試験室内の風速は弱く、旗(ウィック)の姿勢変更量は小さい場合が多い。そのため従来技術の構成によると、ウィックが送風機の風を受けてたなびくごとくに姿勢変更しても、ウィックの下端が検知用水貯留部から離脱してしまうことは少ない。
そのためウィックは送風によってはためく方向に姿勢変更するが、ウィックを棒状の検温部に沿って移動させる力は小さい。従って従来技術の環境試験装置では、ウィックが送風によって移動し、検温部から離脱して落下してしまう懸念は少ない。
そこで本出願人は、この問題を解決すための方策として、槽内の空気循環量を多くすることを考え、送風機としてプロペラファン等の軸流送風機を採用した。
また試作した環境試験装置は、試験室内に送風がまんべんなく行き渡る様に、奥壁に対して突出した吹き出し口形成部を設け、送風を正面側方向だけでなく、斜め方向にも吹き出すこととした。
このレイアウトによると、吹き出し口形成部と試験室の側壁との間に空間ができたので、湿球温度検知手段を吹き出し口形成部と試験室の側壁との間の空間に配置した。
即ち試作した環境試験装置を駆動したところ、湿球温度検知手段のウィックが、送風を受けて吹き飛んでしまった。
またウィックが吹き飛ばないまでも、ウィックが旗のごとくにはためいて大きく姿勢変更し、下端部が検知用水貯留部から離脱してしまうこともあった。
ここで環境試験装置は、試験の内容によっては湿度検知を行わない場合がある。例えば単に高温環境に被試験物をさらす実験を行う場合には、検知用水貯留部には水はなく、ウィックは乾燥状態である。
さらにウィックは、取り替え易いように、検温部に引っかけられているだけであるから、検温部や検知用水貯留部から離脱しやすい。
あるいは強風によってウィックが大きくはためき、下端部が検知用水貯留部から離脱してしまうことがあった。
また試験室内の湿度は、外部からも目視によっては判らないから、長時間に渡って湿度環境が狂った状態で実験を続けてしまう懸念がある。
より具体的な態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、前記横揺れ防止ガード部は、前記検知用水貯留部に対して所定の中空の高さに保持されており、垂れ下がった状態の前記ウィックの側面側であって高さ方向には前記ウィックの垂れ下がり部分の中間高さに位置するように設けられたものであり、前記縦抜け防止ガード部は、前記検知用水貯留部に対して所定の中空の高さに保持されており、前記検温部の自由端側であって高さ方向には前記ウィックの垂れ下がり部分の中間高さに位置するように設けられたものであることを特徴とする環境試験装置である。
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記検知用水貯留部が挿着される外郭部と、前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、前記横揺れ防止ガード部は、垂れ下がった状態の前記ウィックの側面側であって、高さ方向には前記検温部の高さ未満であって前記外郭部の高さよりも上に位置するように設けられたものであり、前記縦抜け防止ガード部は、前記検温部の自由端側であって、高さ方向には前記検温部の高さ以下であって前記外郭部の高さよりも上の位置にあることを特徴とする環境試験装置である。
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記温度検知センサは棒状であって片持ち保持された検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、送風機を有し、前記湿球温度検知手段は、前記送風機による通風雰囲気中に置かれるものであり、前記ウィックに掛かる送風のベクトルは、前記検温部の軸方向成分と前記検温部を横切る方向の成分を含み、前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、前記横揺れ防止ガード部及び前記縦抜け防止ガード部は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成され、且ついずれも前記ウィックよりも通風方向下流側に位置するように設けられたものであることを特徴とする環境試験装置である。
同様の課題を解決するためのさらにもう一つの態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱を阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記ウィック離脱防止手段は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成されたものであることを特徴とする環境試験装置である。
同様の課題を解決するためのさらにもう一つの態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱を阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記ウィック離脱防止手段は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成され、且つ前記温度検知センサの自由端側であって前記ウィックを布厚さ方向に跨ぐ様位置に配置されていることを特徴とする環境試験装置である。
同様の課題を解決するためのさらにもう一つの態様は、被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、前記ウィック離脱防止手段は、折れ曲がった棒状であり、両端が前記試験室の内壁で支持されていることを特徴とする環境試験装置である。
またウィックに検温部差し込み部を設け、当該検温部差し込み部に温度検知センサの検温部が差し込まれ、検温部にウィックが装着されている状態も、「係合」の一態様である。
本態様では、横揺れ防止ガード部は、垂れ下がった状態のウィックの側面側にある。即ち横揺れ防止ガード部はウィックが揺れる方向にある。
また横揺れ防止ガード部は、高さ方向には前記検温部の高さ未満であって検知用水貯留部の水面の高さ以上の位置にある。そのため横揺れ防止ガード部は、ウィックが当たる高さにある。
従ってウィックが旗のごとくにたなびくと、横揺れ防止ガード部に当たり、ウィックの移動や姿勢変更が抑制される。
また縦抜け防止ガード部は、前記検温部の自由端側にある。即ち縦抜け防止ガード部は、ウィックが軸方向に移動する方向の位置にある。
また縦抜け防止ガード部は、高さ方向には前記検温部の高さ以下であって検知用水貯留部の水面の高さ以上の位置にある。そのため縦抜け防止ガード部は、ウィックが当たる高さにある。
従ってウィックが検温部に沿って移動すると縦抜け防止ガード部に当たり、ウィックの移動が抑制される。
本態様では、横揺れ防止ガード部及び縦抜け防止ガード部はいずれもウィックよりも通風方向下流側に設けられている。そのため送風が原因となるウィックの横揺れ方向の姿勢変更や軸方向への移動が阻止される。
また前記湿球温度検知手段は、通風雰囲気中に置かれ、前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水に浸されるものであり、前記ウィックは前記通風によって移動及び/又は姿勢変更することが予想されるものであり、前記ウィック離脱防止手段は予想される前記ウィックの移動側及び/又は姿勢変更側にあって前記ウィックが移動及び/又は姿勢変更した際に前記ウィックと接触し、前記ウィックの移動及び/又は姿勢変更を阻止するものであることが望ましい。
本態様では、ウィック離脱防止手段が予想されるウィックの移動側や姿勢変更側に設けられているから、送風が原因となるウィックの横揺れ方向の姿勢変更や軸方向への移動が阻止される。
上記した各態様において、前記試験室を開閉する扉部材を有し、前記試験室には前記扉部材と対向する奥壁があり、前記温度検知センサは棒状であって、前記奥壁側から前記試験室側に向かう姿勢で配されていることが望ましい。
本態様によると、試験室の空間を有効に利用することができる。
最初に本実施形態の環境試験装置1の基本構造について説明する。環境試験装置1の基本構造は、前述した試作品の特徴を備えている。
本実施形態の環境試験装置1は、図1に示すように、上部側の試験室領域100と、下部側の機械領域101に分かれている。
試験室領域100には、図2に示すように断熱壁2によって覆われた断熱槽3が設置されている。そして当該断熱槽3の一部に試験室5が形成されている。試験室5は、被試験物を設置する空間である。断熱層3は試験室本体21と扉部材20によって構成されている。試験室5は試験室本体21と扉部材20によって6面が囲まれた断熱層3の一部に形成されている。
環境試験装置1は、さらに空調機器(空調手段)10と送風機11を備えている。空調機器10は、加湿装置6、冷却装置7及び加熱ヒータ8によって構成されている。
環境試験装置1には、試験室5と環状に連通する空調通風路15があり、当該空調通風路15に前記した空調機器10と送風機11が内蔵されている。
そのため送風機11を起動すると、試験室5内の空気が空気導入部18から空調通風路15内に導入される。そして空調通風路15が通風状態となり、空調機器10に空気が接触して熱交換や湿度調整がなされ、空気吹き出し部16から試験室5内に調整後の空気が吹き出される。
湿球温度検知手段13は、湿球温度を検知するものである。温度センサ12が検知する乾球温度と、湿球温度検知手段13が検知する湿球温度が、図示しない制御装置に入力され、両者の差から湿度が算出される。
湿球温度検知手段13の構造及び取付け位置については後述する。
環境試験装置1を使用する際には、送風機11を運転して空調通風路15内を通風状態とし、温度センサ12の検出値が、設定環境の温度に近づく様に空調機器10を制御する。
また温度センサ12が検知する乾球温度と、湿球温度検知手段13が検知する湿球温度から湿度を演算し、演算された湿度が設定環境の湿度に近づく様に空調機器10を制御する。
湿球温度検知手段13の構造及び取付け位置については後述する。
本実施形態では、送風機11は軸流送風機であり、プロペラファンである。
公知の様に、軸流送風機は、シロッコファン等の遠心送風機に比べて送風量が多い。
また本実施形態では、送風機11の前面側に風向部材71が設けられている。風向部材71の断面形状は台形であり、正面側送風面72と側面側送風面73a,73bを有している。本実施形態では、風向部材71が実質的に空調通風路15の空気吹き出し部16となっている。
これに対して側面側送風面73a,73bは、送風機11と扉部材20を結ぶ仮想直線に対して傾斜姿勢となっている。側面側送風面73a,73bについても複数の開口が設けられている。側面側送風面73a,73bから噴射される送風は、斜め方向から側壁31,32に当たる。
しかしながら本実施形態の環境試験装置1では、送風機11の前面側に風向部材71が設けられており、風向部材71の側面側送風面73a,73bから噴射される空気は、側壁31,32側に向かう方向のベクトル成分をもっている。そのため側面側送風面73a,73bから噴射される空気は、側壁31,32側と衝突して反射し、中央側に戻る。そのため送風機11の回転中心の前方側にも送風が行き渡る。
棚受け部材61は、断面形状が凹型であって柱状の部材である。棚受け部材61には、棚55の端部を係合させる係合孔62(図4参照)が縦方向に複数並べて設けられている。
棚受け部材61は、左側壁31に2本、右側壁32に2本設けられている。
湿球温度検知手段13は、前記した様に湿球温度を検出するものであり、湿度検知手段の一部を構成する。
湿球温度検知手段13は、図5、図6に示すように、湿球用温度検知センサ28と、湿球用温度検知センサ28の検知部を覆うウィック25と、検知用水貯留部23を有している。検知用水貯留部23は、ウィックパンと称される部材であり、水を溜め置く容器である。
湿球用温度検知センサ28は、前記した熱電対やサーミスタ等の温度センサであり、ある程度の長さを有する棒状の検温部26を有している。
湿球温度検知手段13は、ウィック25の一部を検知用水貯留部23内の水に浸し、ウィック25の他の一部を湿球用温度検知センサ28に接触させて湿球温度を検知するものである。
湿球温度検知手段13は、検知用水貯留部23が、貯留空間37の開放側を上に向けた状態で、外郭部27に挿着されている。
湿球用温度検知センサ28は、検知用水貯留部23の真上の位置にあり、検温部26は水平姿勢となっている。
ウィック25は、ガーゼ等が半分に折り曲げられ、折り曲げられた状態における折り返し部分(股の部分)が検温部26に引っ掛けられ、ウィック25の自由端側33が検温部26から垂れ下がった垂れ下がり部分35となっている。
即ちウィック25の折り返し部分(股の部分)等が検温部26と係合し、ウィック25の自由端側33が検温部26から垂れ下がった垂れ下がり部分35となっている。
そしてウィック25の垂れ下がり部分35の下部が検知用水貯留部23の中の水に浸され、毛細管現象によって水を吸い上げ、湿球用温度検知センサ28の検温部26を湿らせる。
この様に、湿球用温度検知センサ28は水平姿勢であって、その検温部26がウィック25に覆われるように配されている。
図22(a)に示すウィック40は、シート状の布を二つ折りに折り重ね、折り曲げられた曲部の近傍を糸47で縫合する等によって表裏の布45a,45bの一部を結合したものである。図22(a)に示すウィック40は、折り曲げられた曲部で表裏の布45a,45bが環状に繋がり、長孔状の検温部差し込み部46が形成されている。
図22(a)に示すウィック40は、当該検温部差し込み部46に湿球用温度検知センサ28の検温部26が差し込まれ、ウィック40の検温部差し込み部46が検温部26と係合している。
図22(c)に示すウィック42は、一枚の布の端部に検温部差し込み部46を設けたものである。
端部側から説明すると、側面係合片51、立ち上げ片52、張出片53、縦抜け防止ガード部56、横揺れ防止ガード部57、戻り片58及び奥側係合片60が連続的に形成されたものである。本実施形態では、縦抜け防止ガード部56、横揺れ防止ガード部57がウィックの離脱を防ぐ機能部となる。
ウィック離脱防止手段50の各部の内、張出片53、縦抜け防止ガード部56、横揺れ防止ガード部57、戻り片58及び奥側係合片60は、同一の共通平面内にある。
これに対して立ち上げ片52は、上記した共通平面に対して直行する方向に延びている。側面係合片51は立ち上げ片52の先端が折れ曲がった部位である。
立ち上げ片52は、機能部(縦抜け防止ガード部56、横揺れ防止ガード部57)を所定の高さに保持するものであり、側面係合片51に対して垂直方向の角度をもってのびている。
立ち上げ片52は、図8及び図10(a)の様な装着時の姿勢を基準として、垂直方向に立ち上がる部分である。
張出片53は、立ち上げ片52から垂直に折れ曲がり、水平方向には側面係合片51と同じ方向にのびている。
張出片53は、図8及び図10(a)の様な装着時の姿勢を基準として、水平方向にのびる部分である。
縦抜け防止ガード部56は、図8及び図10(a)の様な装着時の姿勢を基準として、水平方向姿勢であるが、張出片53に対しても横揺れ防止ガード部57に対しても所定の角度で傾斜している。
縦抜け防止ガード部56の有効長さLaは、少なくとも折り曲げられたウィック25を横に跨ぐことができる長さである。即ち縦抜け防止ガード部56は傾斜しているが、これの試験室5の幅方向の成分を有効長さLaとすると、Laは少なくとも折り曲げられたウィック25を布厚さ方向に跨ぐことができる長さである。
横抜け防止ガード部57は、ウィック25の大面積部分の幅(奥方向にのびる幅)に相当する長さを有している。
さらに両者の角度は、100度から160度である。最も推奨される角度は、130度から150度である。本実施形態では、両者の角度Aは、135度である。
温度センサ12、湿球温度検知手段13及びウィック離脱防止手段50は、図3、図4の様に吹き出し口形成部の側面側送風面73bと右側壁32の間の空間80に配されている。
即ち本実施形態では、奥壁に空気吹き出し部16があり、その一部が扉部材20側に突出しているから、側面側送風面73a,73bと試験室5の側壁31,32の間に空間80がある。
そして水平方向には図3の様に、側面側送風面73b側に温度センサ12があり、それの右側壁32側に湿球温度検知手段13側があり、さらにその右側壁32側にウィック離脱防止手段50がある。
従って、温度センサ12及び湿球温度検知手段13の湿球用温度検知センサ28は、いずれも奥壁30側から片持ち状に張り出され、自由端は、扉部材20の方向に向いている。
具体的に説明すると、ウィック離脱防止手段50の立ち上げ片52が試験室5の右側壁32に設けられた棚受け部材61に保持され、ウィック離脱防止手段50の一端たる側面係合片51が、棚受け部材61に形成された取り付け孔(図示せず)に挿入されている。
またウィック離脱防止手段50の他端たる奥側係合片60が試験室5の奥壁30の取り付け孔(図示せず)に挿入されている。
その結果、ウィック離脱防止手段50は、両端が試験室5に支持され、図10の様に、張出片53、縦抜け防止ガード部56、横揺れ防止ガード部57、戻り片58及び奥側係合片60によって構成される共通平面が、ウィック25の近傍で水平姿勢となる。
ウィック離脱防止手段50の横揺れ防止ガード部57は、ウィック25よりも試験室5の右側壁32側にある。横揺れ防止ガード部57は、ウィック25の挿入方向の幅に相当する長さを有しており、横揺れ防止ガード部57はウィック25の表面を幅方向(挿入方向)に覆う。
ウィック離脱防止手段50は、大部分が水平姿勢であって、横揺れ防止ガード部57の平面視した際の位置は、湿球用温度検知センサ28と平行にあり、ウィック25の垂れ下がり部分35の大面積側(表面側)に対して平行である。
横揺れ防止ガード部57の高さは、ウィック25の垂れ下がり部分35の中間高さの位置である。
横揺れ防止ガード部57は、垂れ下がった状態のウィック25の側面側であって高さ方向には前記検温部26の高さ未満であり、検知用水貯留部23の水面の高さ以上の位置にある。
縦抜け防止ガード部56はウィック25を布厚さ方向に跨ぐ様に配置されている。
前記した様に、温度センサ12、湿球温度検知手段13及びウィック離脱防止手段50は、図3、図4の様に吹き出し口形成部の側面側送風面73bと右側壁32の間の空間80に配されている。そして側面側送風面73bから流れ出る送風は、斜め方向から右側壁32に当たる。
風のベクトルをVとし、湿球用温度検知センサ28と直交する方向をX方向とし、湿球用温度検知センサ28に沿う方向をY方向とするならば、送風は、湿球用温度検知センサ28と直交する方向のベクトルVXと、湿球用温度検知センサ28に沿う方向のベクトルVYを持つ。
そのため図11の様に、湿球用温度検知センサ28と直交する方向の風向成分によって、ウィック25の垂れ下がり部分35は、風下側に揺れる。
そのためウィック25の垂れ下がり部分35が揺れた際、ウィック25の大面積部分が、図11の様に横揺れ防止ガード部57と接触し、垂れ下がり部分35がそれ以上に振れることを防ぐ。
そのためウィック25が、湿球用温度検知センサ28と直交する方向の風向成分を有する風を受けても、垂れ下がり部分35の揺動量は少なく、ウィック25の下端部(自由端33)が検知用水貯留部23から離脱することが防止される。
そのためウィック25の垂れ下がり部分35が図12の様に軸方向に移動した際、ウィック25の端部が、図12の様に縦抜け防止ガード部56と接触し、ウィック25がそれ以上に軸方向に移動することを防ぐ。
以上説明した実施形態では、横揺れ防止ガード部57と縦抜け防止ガード部56のなす角度Aを鈍角とした。横揺れ防止ガード部57と縦抜け防止ガード部56のなす角度Aを鈍角とすることにより、ウィック25の装着が容易となり、且つウィック25が飛ばされにくいものとなる。
しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、図14に示すウィック離脱防止手段82の様に、横揺れ防止ガード部57が縦抜け防止ガード部56に対して直交するものであってもよい。また、角度Aが鋭角であってもよい。
ただし、ウィック離脱防止手段は、風が通過するものであることが望ましい。図16に示すウィック離脱防止手段85は、通風口88を有する板によって横揺れ防止ガード部57が形成され、上下2本の棒によって縦抜け防止ガード部56が構成されている。
また図17に示すウィック離脱防止手段86は、網によって横揺れ防止ガード部57と縦抜け防止ガード部56が構成されている。
以上説明した実施形態では、ウィック離脱防止手段50等は、横揺れ防止ガード部57と縦抜け防止ガード部56の双方を有しているが、いずれか一方だけを有していてもよい。即ち横揺れ防止ガード部57を有しなくてもよく、縦抜け防止ガード部56を有しなくてもよい。
一方、縦抜け防止ガード部56は、ウィック25の横揺れを防止する機能が弱く、主にウィック25の軸方向の移動を阻止する働きをする。
この様にウィック離脱防止手段50では、各部材の機能が明確であって、一方が横揺れ防止用の部材であり、他方が縦抜け防止用の部材であることは明確である。
しかしながら、本発明は、この様に各部の機能が明確な物に限定されるものではなく、横揺れ防止と縦抜け防止の機能の双方を備えた部位を有するものであってもよい。
5 試験室
10 空調機器(空調手段)
11 送風機
13 湿球温度検知手段
16 空気吹き出し部
20 扉部材
21 試験室本体
23 検知用水貯留部
25 ウィック
26 検温部
28 湿球用温度検知センサ
50 ウィック離脱防止手段
56 縦抜け防止ガード部
57 横揺れ防止ガード部
71 風向部材
73a,73b 側面側送風面
82,83,85,86,87,91,92 ウィック離脱防止手段
Claims (10)
- 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、
前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、
前記横揺れ防止ガード部は、前記検知用水貯留部に対して所定の中空の高さに保持されており、垂れ下がった状態の前記ウィックの側面側であって高さ方向には前記ウィックの垂れ下がり部分の中間高さに位置するように設けられたものであり、
前記縦抜け防止ガード部は、前記検知用水貯留部に対して所定の中空の高さに保持されており、前記検温部の自由端側であって高さ方向には前記ウィックの垂れ下がり部分の中間高さに位置するように設けられたものであることを特徴とする環境試験装置。 - 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記検知用水貯留部が挿着される外郭部と、
前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、
前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、
前記横揺れ防止ガード部は、垂れ下がった状態の前記ウィックの側面側であって、高さ方向には前記検温部の高さ未満であって前記外郭部の高さよりも上に位置するように設けられたものであり、
前記縦抜け防止ガード部は、前記検温部の自由端側であって、高さ方向には前記検温部の高さ以下であって前記外郭部の高さよりも上の位置にあることを特徴とする環境試験装置。 - 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記温度検知センサは棒状であって片持ち保持された検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水中に浸されるものであり、
送風機を有し、前記湿球温度検知手段は、前記送風機による通風雰囲気中に置かれるものであり、前記ウィックに掛かる送風のベクトルは、前記検温部の軸方向成分と前記検温部を横切る方向の成分を含み、
前記ウィック離脱防止手段は、横揺れ防止ガード部と、縦抜け防止ガード部のうち少なくとも一方を有し、
前記横揺れ防止ガード部及び前記縦抜け防止ガード部は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成され、且ついずれも前記ウィックよりも通風方向下流側に位置するよう設けられたものであることを特徴とする環境試験装置。 - 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱を阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記ウィック離脱防止手段は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成されたものであることを特徴とする環境試験装置。 - 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱を阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記ウィック離脱防止手段は、棒状の部材、線材又は風が通過する部材で形成され、且つ前記温度検知センサの自由端側であって前記ウィックを布厚さ方向に跨ぐ位置に配置されていることを特徴とする環境試験装置。 - 前記ウィック離脱防止手段は、前記ウィックの近傍に配されて常時又は前記ウィックが移動及び/又は姿勢変更した際に前記ウィックと接触し、前記ウィックの移動及び/又は姿勢変更を阻止するガード部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の環境試験装置。
- 前記湿球温度検知手段は、通風雰囲気中に置かれるものであり、
前記温度検知センサは検温部を有し、前記ウィックの一部分が前記検温部と係合し、前記ウィックの他の部位が前記検温部から垂れ下がって前記検知用水貯留部内の水に浸されるものであり、
前記ウィックは前記通風によって移動及び/又は姿勢変更することが予想されるものであり、前記ウィック離脱防止手段は予想される前記ウィックの移動側及び/又は姿勢変更側にあって前記ウィックが移動及び/又は姿勢変更した際に前記ウィックと接触し、前記ウィックの移動及び/又は姿勢変更を阻止するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の環境試験装置。 - 被試験物を配置する試験室と、少なくとも湿度を調節することが可能な空調手段と、湿度検知手段を有し、
前記湿度検知手段は、ウィックを用いる湿度検知手段であり、温度検知センサと、水を溜置く検知用水貯留部を有し、前記ウィックの一部を前記検知用水貯留部内の水に浸し、前記ウィックの他の一部を前記温度検知センサに接触させて湿球温度を検知する湿球温度検知手段を有するものである環境試験装置において、
前記ウィックの前記温度検知センサからの離脱あるいは前記ウィックの前記検知用水貯留部からの離脱の少なくともいずれかを阻止するウィック離脱防止手段を有し、
前記ウィック離脱防止手段は、折れ曲がった棒状であり、両端が前記試験室の内壁で支持されていることを特徴とする環境試験装置。 - 前記試験室を開閉する扉部材を有し、前記試験室には前記扉部材と対向する奥壁があり、前記温度検知センサは棒状であって、前記奥壁側から前記試験室側に向かう姿勢で配されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の環境試験装置。
- 前記試験室を開閉する扉部材を有し、前記試験室には前記扉部材と対向する奥壁があり、前記奥壁側に前記試験室内に空気を吹き出す空気吹き出し部があり、前記空気吹き出し部には前記奥壁側から前記試験室側に向かって突出する吹き出し口形成部があり、前記湿球温度検知手段の一部又は全部は前記吹き出し口形成部の側面側に位置することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の環境試験装置。
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