以下に、本発明の実施の形態にかかる無線送信装置、無線受信装置および無線通信システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無線通信システム30の構成例を示す図である。無線通信システム30は、第一の送信機10と、第二の送信機11と、受信機20と、を備える。無線通信システム30では、第一の送信機10が受信機20にデータの送信を行うとともに、第二の送信機11が受信機20にデータの送信を行っている。図1に示す無線通信システム30では、受信機20と第一の送信機10との間の距離は、受信機20と第二の送信機11との間の距離より短いものとする。第一の送信機10および第二の送信機11の構成は、互いに同様である。以降の説明において、第一の送信機10および第二の送信機11を区別する必要が無い場合、第一の送信機10および第二の送信機11の各々を単に送信機と称することがある。
無線送信装置である第一の送信機10および第二の送信機11の構成および動作について説明する。以下、第一の送信機10を例にして説明する。図2は、実施の形態1にかかる第一の送信機10が備える送信部100の構成例を示す図である。送信部100は、符号化部101と、送信信号生成部102と、送信フィルタ103と、高周波送信処理部104と、送信アンテナ105と、を備える。送信信号生成部102は、位相回転系列生成部110と、アップサンプル部111と、周波数シフト部112と、CP(Cyclic Prefix)付加部113と、既知信号生成部114と、フレーム生成部115と、を備える。
まず、図2に示す送信部100の動作概要を説明する。図3は、実施の形態1にかかる第一の送信機10が備える送信部100の動作を示すフローチャートである。符号化部101は、データビットに対して規定された方式で誤り訂正符号化を行うことで符号化ビットを生成する(ステップS11)。誤り訂正符号化方式としては、畳み込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号など、一般的に知られた方式を適用できる。また、符号化部101は、符号化ビットに対してビットの順番を並べ替えるインタリーブ処理などを行ってもよい。符号化部101は、生成した符号化ビットを送信信号生成部102へ出力する。送信信号生成部102は、符号化部101から受け渡された送信ビットである符号化ビットを用いて、後述する処理を行って送信信号を生成する(ステップS12)。送信信号生成部102は、生成した送信信号を送信フィルタ103へ出力する。送信フィルタ103は、送信信号生成部102から受け渡された送信信号に対して帯域制限を行う(ステップS13)。送信フィルタ103は、例えば、一般的に知られたルートナイキストフィルタなどである。送信フィルタ103は、帯域制限後の送信信号を高周波送信処理部104へ出力する。高周波送信処理部104は、送信フィルタ103から受け渡された帯域制限後の送信信号に対して、ディジタル信号からアナログ信号への変換処理、キャリア周波数へのアップコンバートなど、一般的な高周波送信処理を行って(ステップS14)、送信アンテナ105から送信信号を送信する(ステップS15)。
送信信号生成部102の動作について詳細に説明する。図4は、実施の形態1にかかる送信信号生成部102が送信信号を生成する動作を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、図3に示すステップS12の処理を詳細にしたものである。
符号化部101から送信信号生成部102に受け渡された符号化ビットは、位相回転系列生成部110に入力される。位相回転系列生成部110は、送信ビットである符号化ビットに基づいて、周波数帯域幅を持つ位相回転系列を生成する(ステップS21)。具体的には、位相回転系列生成部110は、符号化ビットと1対1に対応付けられた位相回転系列を選択して出力する処理を行う。本実施の形態で使用される位相回転系列は、周波数応答が帯域幅を持ち、入力される送信ビット、ここでは符号化ビットに対応して、位相回転系列の種別を示すパラメータを変化させることで生成される特徴を持つものとする。本実施の形態では、送信信号生成部102の位相回転系列生成部110は、帯域幅を持たない周波数変調信号(以下、第一の位相回転系列とする)と、周波数成分が時間とともに変化する位相回転系列(以下、第二の位相回転系列とする)とを用いて、次式のように位相回転系列を生成する。例えば、サンプル番号をm、位相回転系列をx(m)、位相回転系列の系列長をM、符号化ビットと対応したパラメータをk(ただし0≦k<M)とする。また、第一の位相回転系列をs(m)、第二の位相回転系列をc(m)とする。送信信号生成部102は、次の式(1)を用いて位相回転系列を生成する。
x(m)=s(m)×c(m)
=exp(j2πkm/M)×exp(jπ×r×m×m/M)
=exp(j2π(k+0.5r×m)m/M) …(1)
式(1)において、jは虚数単位を示す。また、rは第二の位相回転系列c(m)の種別を示すパラメータである。例えば、位相回転系列の系列長をM=4とした場合、位相回転系列生成部110は、符号化部101から符号化ビットを2ビット単位で受け取り、2ビットの符号化ビットが“00”の場合はパラメータk=0を選択し、“01”の場合はk=1を選択し、“10”の場合はk=2を選択し、“11”の場合はk=3を選択する。位相回転系列生成部110は、選択したkと、あらかじめ定められたパラメータrの値を用いて式(1)の計算を行い、位相回転系列を生成する。なお、式(1)で生成される位相回転系列の波形は、M、k、rの各パラメータが定まれば一意に定まる。そのため、あらかじめメモリに保持された位相回転系列の波形を、パラメータに応じて選択する構成としてもよい。位相回転系列生成部110は、生成した位相回転系列をアップサンプル部111へ出力する。
アップサンプル部111は、位相回転系列生成部110から受け渡された位相回転系列に対して、サンプルレートを変更し、さらにサンプルレート変更後の位相回転系列を複製する(ステップS22)。具体的には、アップサンプル部111は、位相回転系列のサンプルレートを規定された係数(以下、規定された係数をLとする)倍にするとともに、位相回転系列のサンプル数をL倍に複製するアップサンプル処理を行い、アップサンプル後の位相回転系列を生成する。Lは2以上の整数とする。図5は、実施の形態1にかかるアップサンプル部111における処理のイメージを示す図である。図5は、位相回転系列の系列長M=4、規定された係数L=2の場合を示している。図5において、位相回転系列300は位相回転系列生成部110から受け渡されたM=4サンプル分の位相回転系列を示し、位相回転系列301はアップサンプル部111によるアップサンプル後の位相回転系列を示す。図5では位相回転系列300,301の横幅はサンプル間隔をイメージしており、アップサンプル部111がサンプルレートをL=2倍した結果、位相回転系列300のサンプル間隔がアップサンプル後の位相回転系列301では1/L=1/2になる様子を示している。また、アップサンプル部111が位相回転系列300のサンプル数をL=2倍するため、アップサンプル後の位相回転系列301のサンプル数は、M×L=8サンプルになる。アップサンプル後の位相回転系列301におけるサンプル値の並びは、サンプル番号をn、アップサンプル後の位相回転系列をy(n)で表すと、y(0)=x(0),y(1)=x(1),y(2)=x(2),y(3)=x(3),y(4)=x(0),y(5)=x(1),y(6)=x(2),y(7)=x(3)となる。アップサンプル部111は、アップサンプル後の位相回転系列301を周波数シフト部112へ出力する。
周波数シフト部112は、アップサンプル部111から受け渡されたアップサンプル後の位相回転系列301に対して、信号の周波数成分を規定されたシフト量に基づいて周波数軸上でシフトする周波数シフトを行い(ステップS23)、周波数シフト後の位相回転系列を生成する。周波数シフト後の位相回転系列をyf(n)とすると、周波数シフト部112の処理は、以下の式(2)で示されるように、周波数軸上のシフト量に対応する位相回転θを与えることで実現できる。
yf(n)=y(n)×exp(j2πθn/N) …(2)
式(2)において、Nはアップサンプル後の位相回転系列のサンプル数を示し、N=M×Lである。周波数シフト部112は、周波数シフト後の位相回転系列をCP付加部113へ出力する。
CP付加部113は、周波数シフト部112から受け渡された周波数シフト後の位相回転系列にCPを付加する(ステップS24)。具体的には、CP付加部113は、周波数シフト後の位相回転系列の最後尾から規定されたサンプル数だけ複製し、周波数シフト後の位相回転系列の先頭に付加し、CP付き位相回転系列を生成する。CP付加部113は、生成したCP付き位相回転系列をフレーム生成部115へ出力する。
既知信号生成部114は、受信機20において復調処理を行うために使用される既知信号を生成する(ステップS25)。本実施の形態では、既知信号として、上述した位相回転系列生成部110においてk=0のパラメータが与えられた場合に生成されるCP付き位相回転系列と同じCP付き位相回転系列を用いる。位相回転系列の系列長M、アップサンプルの係数L、周波数シフトに用いる位相回転θなどのパラメータは、上述した位相回転系列生成部110からCP付加部113で用いたものと同一とする。なお、既知信号生成部114は、既知信号を生成するための処理として、上述した既知信号の信号波形と同じものをメモリに保持しておき、読み出し可能な構成としてもよいし、位相回転系列生成部110からCP付加部113の回路を共用して生成するように構成してもよい。また、既知信号生成部114として、位相回転系列生成部110からCP付加部113と同一の回路を専用に備える構成としてもよい。既知信号生成部114は、生成した既知信号をフレーム生成部115へ出力する。
フレーム生成部115は、CP付加部113から受け渡されたCP付き位相回転系列と、既知信号生成部114から受け渡された既知信号とを、規定されたフレーム構成に従って配置する処理を行い、送信信号を生成する(ステップS26)。図6は、実施の形態1にかかるフレーム生成部115が生成する送信信号のフレーム構成の例を示す図である。図6において、既知信号400〜403は既知信号生成部114から受け渡された既知信号のシンボルを示し、データ信号404〜415はCP付加部113から受け渡された、符号化ビットに基づいて生成されたCP付き位相回転系列のシンボルを示す。図6に示すフレーム構成では、送信信号において、先頭には既知信号が4個配置され、その後に符号化ビットに基づいて生成されたCP付き位相回転系列が12個並ぶ構成となっている。フレーム生成部115は、生成した送信信号を送信フィルタ103に出力する。以降の送信部100の動作は前述の通りである。
ここで、第一の送信機10および第二の送信機11の各送信信号生成部102に対する各種のパラメータの設定方法について説明する。本実施の形態では、第一の送信機10と第二の送信機11との間で、位相回転系列生成部110において用いる第二の位相回転系列に関して、異なる種別を示すパラメータrを用いる。例えば、第一の送信機10にはr=1と設定し、第二の送信機11にはr=2と設定する。また、アップサンプル部111における係数Lは同一の値とする。さらに、周波数シフト部112における位相回転θの値は異なる値に設定する。例えば、前述の式(2)において、第一の送信機10にはθ=0、すなわち周波数シフトは行わないように構成し、第二の送信機11にはθ=1と設定する。このとき、前述の例で用いたM=4,L=2,N=8のパラメータで送信信号を生成した場合における、送信信号の送信スペクトルのイメージを図7に示す。図7は、実施の形態1にかかる第一の送信機10および第二の送信機11で生成される送信信号の周波数スペクトルのイメージを示す図である。図7に示す周波数軸500上において、送信スペクトル501〜504は第一の送信機10で生成された送信信号の周波数スペクトルを示し、送信スペクトル505〜508は第二の送信機11で生成された送信信号の周波数スペクトルを示す。本実施の形態では、第一の送信機10および第二の送信機11の各送信信号生成部102が上述のように送信信号を生成することによって、第一の送信機10および第二の送信機11で生成される送信信号の送信スペクトルは、周波数軸上で一様に分散した形で生成されることになる。また、第一の送信機10と第二の送信機11との間で異なる位相回転θを設定することで、互いの送信信号の送信スペクトルが周波数軸上で互い違いになって、重ならないように配置可能となる。なお、第一の送信機10および第二の送信機11の各送信信号生成部102に対する各種のパラメータの設定については、無線通信システム30の管理者が設定する方法が考えられるが、これに限定されない。
つぎに、無線受信装置である受信機20の構成および動作について説明する。図8は、実施の形態1にかかる受信機20が備える受信部200の構成例を示す図である。受信部200は、受信アンテナ201と、高周波受信処理部202と、受信フィルタ203と、復調処理部204と、復号部205と、を備える。復調処理部204は、受信同期処理部210と、CP除去部211と、等化処理部212と、系列乗算部213と、NポイントDFT(Discrete Fourier Transform)部214と、干渉測定部215と、判定部216と、を備える。
まず、図8に示す受信部200の動作概要を説明する。図9は、実施の形態1にかかる受信機20が備える受信部200の動作を示すフローチャートである。受信アンテナ201は、高周波受信信号を受信する(ステップS31)。受信アンテナ201は、受信した高周波受信信号を高周波受信処理部202へ出力する。高周波受信処理部202は、受け渡された高周波受信信号に対してダウンコンバート、フィルタリング、アナログ信号からディジタル信号への変換処理など、一般的な高周波受信処理を行う(ステップS32)。高周波受信処理部202は、高周波受信処理後の受信信号を受信フィルタ203へ出力する。受信フィルタ203は、例えば、送信部100が備える送信フィルタ103で用いられたものと同等のルートナイキストフィルタなどを用いて、帯域制限を行う(ステップS33)。受信フィルタ203は、帯域制限処理後の受信信号を複素ベースバンド受信信号として復調処理部204へ出力する。復調処理部204は、複素ベースバンド受信信号に対して後述する処理を行って、符号化ビットの推定値を生成する(ステップS34)。復調処理部204は、生成した符号化ビットの推定値を復号部205へ出力する。復号部205は、受け渡された符号化ビットの推定値に対して、送信部100が備える符号化部101で適用されている誤り訂正符号を復号する処理を行い(ステップS35)、復号ビットを得る。
復調処理部204の動作について詳細に説明する。図10は、実施の形態1にかかる復調処理部204が符号化ビットの推定値を生成する動作を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、図9に示すステップS34の処理を詳細にしたものである。
受信フィルタ203から復調処理部204に受け渡された複素ベースバンド受信信号は、受信同期処理部210およびCP除去部211にそれぞれ入力される。受信同期処理部210は、複素ベースバンド受信信号からフレームにおける既知信号のタイミングを検出する(ステップS41)。受信同期処理部210は、例えば、送信機の既知信号生成部114で生成される既知信号と同じ波形の既知信号をあらかじめ保持しておく。受信同期処理部210は、保持している既知信号を用いて複素ベースバンド受信信号に対して相互相関処理を行い、相互相関値のピークを検出するという手法によって、既知信号のタイミングを検出することができる。受信同期処理部210が既知信号のタイミングを検出することによって、複素ベースバンド受信信号とフレーム構成との対応がつくようになり、復調処理部204においてフレーム構成に同期した復調処理が可能となる。
CP除去部211は、受信同期処理部210で検出されたタイミングに基づいて、複素ベースバンド受信信号から、送信機のCP付加部113で付加されたCPを除去し、受信信号を抽出する(ステップS42)。CP除去部211は、抽出した受信信号を等化処理部212へ出力する。
等化処理部212は、CP除去部211から受け渡された受信信号と、後述する処理で求められる干渉測定部215から受け渡される干渉測定値とを用いて、無線伝送路で受けた波形歪みを補正する等化処理を行う。等化処理部212は、等化後の受信信号を系列乗算部213へ出力する。ここで、等化処理部212は、まず、図6に示すフレーム構成において既知信号400〜403に相当する箇所から抽出した、CP除去部211においてCPが除去された受信信号(以下、受信既知信号とする)に対して等化処理を行う。さらに、等化処理部212は、後述するように、図6に示すフレーム構成においてデータ信号404〜415すなわちCP付き位相回転系列に相当する箇所から抽出した、CP除去部211においてCPが除去された受信信号(以降、受信データ信号とする)に対して等化処理を行う。
等化処理部212の等化処理について詳細に説明する。図11は、実施の形態1にかかる等化処理部212の構成例を示す図である。等化処理部212は、分配部250と、伝送路推定部251と、等化係数算出部252と、歪み補正部253と、を備える。分配部250にはCP除去部211からの受信信号が入力されており、等化係数算出部252には干渉測定部215から干渉測定値が入力されている。分配部250は、受信既知信号を処理する場合、受信既知信号を伝送路推定部251および歪み補正部253へ出力する。なお、分配部250は、後述するように、受信データ信号を処理する場合、受信データ信号を歪み補正部253へ出力する。
等化処理部212において、受信既知信号を処理する場合の動作について詳細に説明する。伝送路推定部251は、受信既知信号を用いて、周波数領域の伝送路応答を推定する。伝送路推定部251は、受信既知信号に対してNポイントの離散フーリエ変換を行い、周波数領域の受信既知信号を得る。また、伝送路推定部251は、第一の送信機10で使用されている既知信号の周波数応答と、第二の送信機11で使用されている既知信号の周波数応答とを保持しておく。伝送路推定部251は、保持している既知信号の周波数応答を用いて周波数領域の受信既知信号から既知信号成分を除去する処理を行い、第一の送信機10に対する伝送路推定値、および第二の送信機11に対する伝送路推定値を得る。具体的には、図7で示した送信スペクトルの対応関係から、送信スペクトル501〜504に対応する周波数における伝送路推定値が第一の送信機10に対する周波数領域の伝送路推定値となり、送信スペクトル505〜508に対応する周波数における伝送路推定値が第二の送信機11に対する周波数領域の伝送路推定値となる。伝送路推定部251は、例えば、ある周波数における周波数領域の受信既知信号をz、保持している既知信号の周波数応答をy、周波数領域の伝送路推定値をhとすると、h=z×y*/|y|2の計算式によって、周波数領域の受信既知信号から既知信号成分を除去することができる。ここで、y*はyの複素共役を表す。さらに、伝送路推定部251は、算出した周波数領域の伝送路推定値を、周波数毎に既知信号400〜403の間で時間平均することで、推定精度を高めることができる。伝送路推定部251は、平均化した周波数領域の伝送路推定値を等化係数算出部252へ出力する。
等化係数算出部252は、伝送路推定部251から受け渡された第一の送信機10に対する周波数領域の伝送路推定値と、第二の送信機11に対する周波数領域の伝送路推定値とを用いて、仮の等化係数である仮等化係数を算出する(ステップS43)。ここで、ある周波数における仮等化係数をwとすると、等化係数算出部252は、周波数領域の伝送路推定値hを用いてw=h*/|h|2のようなよく知られたゼロフォーシング規範による等化係数を用いて、仮等化係数を算出することができる。ここで、h*は周波数領域の伝送路推定値hの複素共役を示す。なお、等化係数算出部252は、仮等化係数を算出する際は干渉測定値を使用しない。等化係数算出部252は、仮等化係数を歪み補正部253へ出力する。
歪み補正部253は、分配部250から受け渡された既知信号400〜403に対応した受信既知信号に対してNポイント離散フーリエ変換を行い、周波数領域の受信既知信号を得る。歪み補正部253は、伝送路推定部251および等化係数算出部252の処理が完了し、等化係数算出部252から仮等化係数が受け渡されるまで、周波数領域の受信既知信号を保持しておく。歪み補正部253は、等化係数算出部252から仮等化係数が受け渡されると、既知信号400〜403に対応した周波数領域の受信既知信号に対して、仮等化係数を乗算することで等化処理を行う(ステップS44)。歪み補正部253は、等化処理結果に対してNポイントの逆離散フーリエ変換を行い、等化後の受信既知信号として系列乗算部213へ出力する。
復調処理部204の構成および図10に示すフローチャートの説明に戻る。系列乗算部213は、第一の送信機10および第二の送信機11の送信部100の位相回転系列生成部110で使用された第二の位相回転系列の複素共役を保持しておく。系列乗算部213は、既知信号400〜403に対応した等化後の受信既知信号に対して、保持していた第二の位相回転系列の複素共役を乗算する(ステップS45)。ここで、等化処理部212から受け渡される等化後の受信既知信号は、既知信号400〜403のそれぞれに対してサンプル数N=M×Lである。これは、第二の位相回転系列のサンプル数のL倍の長さであることから、系列乗算部213は、等化後の受信既知信号に対して第二の位相回転系列の複素共役をL回繰り返し乗算する。本実施の形態では、第二の位相回転系列として、第一の送信機10と、第二の送信機11との間で異なるパラメータrを用いている。そのため、系列乗算部213は、前述の処理として、第一の送信機10で用いられている第二の位相回転系列の複素共役を用いる場合、および第二の送信機11で用いられている第二の位相回転系列の複素共役を用いる場合の2回分を独立に実施し、2系統の処理結果を得る。系列乗算部213は、得られた2系統分の処理結果をNポイントDFT部214へ出力する。
NポイントDFT部214は、系列乗算部213から受け渡された2系統分の処理結果のそれぞれに対して、すなわち受信既知信号に対して、既知信号400〜403に対して独立にNポイントの離散フーリエ変換を行う(ステップS46)。離散フーリエ変換部であるNポイントDFT部214は、離散フーリエ変換を行って得られた2系統分の周波数領域信号を干渉測定部215へ出力する。なお、ここでは、処理対象は既知信号であるため、後述する処理でデータ信号の判定を行う判定部216以降の処理は実施しない。
干渉測定部215は、干渉測定値を算出する(ステップS47)。具体的には、干渉測定部215は、NポイントDFT部214から受け渡された2系統分の周波数領域信号に基づいて、第一の送信機10の信号に対して影響を与える雑音信号および干渉信号のレベルを測定する。同様に、干渉測定部215は、第二の送信機11の信号に対して影響を与える雑音信号および干渉信号のレベルを測定する。干渉測定部215は、これらの測定結果を干渉測定値として、等化処理部212へ出力する。
干渉測定部215に受け渡される2系統分の周波数領域信号のイメージを図12および図13に示す。図12は、実施の形態1にかかる系列乗算部213において、第一の送信機10に対応した第二の位相回転系列に基づいて処理された結果に対応する周波数領域信号のイメージを示す図である。図12は、周波数軸800上において、周波数領域信号801〜808はNポイントDFT部214から干渉測定部215に受け渡される周波数領域信号を示す。ここで、周波数領域信号801〜804は第一の送信機10が送信に使用している周波数に対応し、周波数領域信号805〜808は第二の送信機11が送信に使用している周波数に対応している。同様に、図13は、実施の形態1にかかる系列乗算部213において、第二の送信機11に対応した第二の位相回転系列に基づいて処理された結果に対応する周波数領域信号のイメージを示す図である。図13は、周波数軸900上において、周波数領域信号901〜908はNポイントDFT部214から干渉測定部215に受け渡される周波数領域信号を示す。ここで、周波数領域信号901〜904は第一の送信機10が送信に使用している周波数に対応し、周波数領域信号905〜908は第二の送信機11が送信に使用している周波数に対応している。
前述したように、送信機の既知信号生成部114は、位相回転系列生成部110に対してk=0のパラメータを与えたのと同等の信号を生成している。また、第一の送信機10の送信部100の周波数シフト部112はθ=0を、第二の送信機11の送信部100の周波数シフト部112はθ=1を用いて設定している。干渉測定部215に入力される周波数領域信号は、受信既知信号に対して、等化処理部212において無線伝送路で受けた歪みが仮等化係数によって補正され、さらに、系列乗算部213において第二の位相回転系列の成分が除去された信号となっている。すなわち、既知信号生成部114で選択したk=0に対応する周波数変調信号成分のみが残留することとなる。図12は第一の送信機10に対応した第二の位相回転系列に基づいて処理された結果であるため、周波数領域信号801が第一の送信機10に対応した周波数変調信号成分となる。同様に、図13は第二の送信機11に対応した第二の位相回転系列に基づいて処理された結果であるため、周波数領域信号905が第二の送信機11に対応した周波数変調信号成分となる。
一方で、実際の環境を考えると、受信信号には高周波受信処理部202で印加された雑音、第一の送信機10と第二の送信機11との間に存在する周波数誤差などに起因する干渉が存在する。一般に、雑音成分は、周波数に対して一様な平均電力で重畳されることとなる。周波数誤差に起因する第一の送信機10と第二の送信機11との間の干渉は、お互いの周波数成分が周波数軸上でシフトする形で影響が表れる。すなわち、図12に示す例であれば、第一の送信機10で使用される周波数領域信号801〜804に対応する周波数に対して、第二の送信機11で使用される周波数領域信号805〜808に対応する周波数の信号成分が、周波数誤差量に対応して漏れこむこととなる。干渉測定部215は、周波数領域信号に対して送信信号成分が含まれる周波数以外の周波数の信号に基づいて干渉測定値を算出する。具体的には、干渉測定部215は、図12に示す周波数領域信号802〜804に対応する周波数で観測された信号の平均電力値を、既知信号400〜403のそれぞれに対応する入力信号に対して算出し、さらに既知信号400〜403の間で時間平均を行った値を第一の送信機10の信号に対して影響を与える雑音信号および干渉信号のレベルとして算出する。同様に、干渉測定部215は、図13に示す周波数領域信号906〜908に対応する周波数で観測された信号の平均電力値を、既知信号400〜403のそれぞれに対応する入力信号に対して算出し、さらに既知信号400〜403の間で時間平均を行った値を第二の送信機11の信号に対して影響を与える雑音信号および干渉信号のレベルとして算出する。
干渉測定部215から等化処理部212に対して受け渡される2系統の干渉測定値は、等化係数算出部252に入力される。等化係数算出部252は、これらの干渉測定値と、先の処理で伝送路推定部251から入力されている既知信号400〜403の間で平均化された、第一の送信機10に対する周波数領域の伝送路推定値と、第二の送信機11に対する周波数領域の伝送路推定値とを用いて、データ信号の波形歪みを補正するために用いる等化係数を算出する(ステップS48)。ここで、等化係数をwd、干渉測定値をa、周波数領域の伝送路推定値をhとすると、等化係数算出部252は、例えば、一般的に知られた最小平均2乗誤差規範に基づいた処理でwd=h*/(|h|2+a)の計算式から、等化係数を算出することができる。等化係数算出部252は、等化係数を歪み補正部253へ出力する。
以上の処理によって求められた第一の送信機10に対する等化係数、および第二の送信機11に対する等化係数を用いて、受信部200は、データ信号の判定処理を行う。以下では、第一の送信機10に対するデータ信号の判定処理を例にして説明する。
等化処理部212では、CP除去部211から受信データ信号が受け渡されると、分配部250が、受信データ信号を歪み補正部253へ受け渡す。歪み補正部253は、受信データ信号に対してNポイント離散フーリエ変換を行い、周波数領域の受信データ信号を得る。歪み補正部253は、周波数領域の受信データ信号に対して、等化係数算出部252から受け渡された等化係数を乗算することで等化処理を行う(ステップS49)。歪み補正部253は、等化処理結果に対してNポイントの逆離散フーリエ変換を行い、等化後の受信データ信号として系列乗算部213へ出力する。
系列乗算部213は、歪み補正部253から受け渡された等化後の受信データ信号に対して、第一の送信機10で用いられている、r=1に対応した第二の位相回転系列の複素共役を乗算する(ステップS50)。系列乗算部213は、前述の受信既知信号に対して処理を行った場合と同様に、等化後の受信データ信号に対しても、第二の位相回転系列の複素共役をL回繰り返し乗算する。系列乗算部213は、処理結果をNポイントDFT部214へ出力する。
NポイントDFT部214は、系列乗算部213から受け渡された処理結果に対して、すなわち受信データ信号に対して、Nポイントの離散フーリエ変換を行う(ステップS51)。NポイントDFT部214は、離散フーリエ変換を行って得られた周波数領域信号を判定部216へ出力する。
判定部216は、周波数領域信号に基づいて信号判定を行う。具体的には、判定部216は、周波数領域信号に対して、図7に示した第一の送信機10が使用する周波数(M通り)の中から、一番信号電力が大きい周波数を選択する。判定部216で選択された周波数は、送信部100の位相回転系列生成部110において使用される符号化ビットと対応づけられたパラメータkに対応する。判定部216は、符号化ビットとパラメータkの対応関係に基づいて、符号化ビットを推定する(ステップS52)。判定部216は、符号化ビットの推定値を復号部205へ出力する。なお、判定部216における一番信号電力が大きい周波数を選択する処理は、例えば、一番振幅値が大きい周波数を選択するという処理に変えてもよい。また、第一の送信機10および第二の送信機11においてデータ信号として送信されている周波数変調信号を推定する方法として有用な処理であれば、任意の手法を用いてよく、判定部216における周波数を選択する処理はこれらに限定されない。
復号部205は、送信部100の符号化部101で適用されている誤り訂正符号に対応した復号処理を行い、最終的な復号ビットを得る。
つづいて、送信機が備える送信部100のハードウェア構成について説明する。送信部100において、送信フィルタ103および高周波送信処理部104は送信装置により実現される。送信アンテナ105はアンテナ装置により実現される。符号化部101および送信信号生成部102は処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
図14は、実施の形態1にかかる送信部100が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図である。処理回路がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、送信部100の処理回路の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、符号化部101および送信信号生成部102の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。また、これらのプログラムは、送信部100の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
ここで、プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ92には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
図15は、実施の形態1にかかる送信部100が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図である。処理回路が専用のハードウェアで構成される場合、図15に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。送信部100の各機能を機能別に処理回路93で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路93で実現してもよい。
なお、送信部100の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
つぎに、受信機20が備える受信部200のハードウェア構成について説明する。受信部200において、受信アンテナ201はアンテナ装置により実現される。高周波受信処理部202および受信フィルタ203は受信装置により実現される。復調処理部204および復号部205は処理回路により実現される。処理回路は、送信部100が備える処理回路と同様、図14または図15に示される構成となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第一の送信機10および第二の送信機11が備える送信信号生成部102において、位相回転系列生成部110は、周波数応答が帯域幅をもつ位相回転系列を用いて既知信号およびデータ信号を生成し、アップサンプル部111は、さらに位相回転系列に対してサンプルレートを所定の係数L倍して複製する。また、周波数シフト部112は、送信機ごとに異なるパラメータを用いて送信スペクトルが周波数軸上で重ならないように配置する。位相回転系列は振幅変動が無いため、電力効率が高い信号となる。送信信号生成部102は、信号のコピーおよび位相シフトなど、位相回転系列が持つ高い電力効率特性を変化させない信号処理のみで送信信号を生成することができる。これにより、第一の送信機10および第二の送信機11では、干渉による通信品質劣化を低減しつつ、増幅器に設定するバックオフを小さくすることが可能となり、結果として無線通信の長距離化に寄与することができる。
また、送信信号生成部102は、第一の送信機10の送信信号と第二の送信機11の送信信号とを周波数軸上で互い違いに配置することができる。これにより、従来であれば遠近問題によって通信距離の長い送信機の信号が復調できなくなるような条件においても、受信機20は、周波数軸上で異なる送信機からの信号を区別できるため、良好な通信性能を実現できる。
さらに、本実施の形態では、第一の送信機10および第二の送信機11が、周波数変調信号および周波数成分が時間とともに変化する位相回転系列を用いて送信信号を生成することで、受信機20の復調処理部204は、周波数軸上の信号処理を用いて干渉測定を実施し等化係数の算出を行うことができる。これにより、受信機20は、異なる送信機からの送信信号が互いに干渉を及ぼす状況においても、良好な通信品質を安定的に達成することが可能である。
一般的に、単なる周波数変調信号、すなわち単一の周波数成分のみを持つ位相回転系列では、アップサンプルを適用しても信号の周波数は変化せず、本実施の形態のような互い違いの周波数配置を持つ信号は得られない。互い違いの周波数配置となるような異なる単一の周波数変調信号を複数系統合成することで、互い違いの周波数配置を持った信号を生成することも可能であるが、いわゆるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)で使用される信号のような波形となるため、電力効率が高い信号にはならない。本実施の形態では、第一の送信機10および第二の送信機11が、周波数応答が帯域幅をもつ位相回転系列を用いて周波数変調信号を生成することで、高い電力効率を維持しつつ、互い違いの周波数配置を持つ信号を生成することができる。ここで、仮に、一般的な2値系列などで生成された信号に対してアップサンプルおよび周波数シフトを適用した場合でも、互い違いの周波数配置となる信号を生成することは可能である。すなわち、互い違いの周波数配置を利用した周波数上のユーザ多重が可能である。しかしながら、本実施の形態のような周波数変調に基づいて生成された互い違いの周波数配置を持つ信号の場合と異なり、受信機20は、図12などを用いて説明したように、自周波数に対して漏れこんでくる他ユーザの干渉信号成分を簡易に推定できない。受信機20において干渉信号成分を簡易に推定できる効果は、第一の送信機10および第二の送信機11が周波数変調に基づいて互い違いの周波数配置を持つ信号を生成したことによるものである。
なお、本実施の形態では、送信信号生成部102に入力される信号を符号化部101で生成し、復調処理部204が出力する信号を復号部205で復号する構成としたが、一例であり、これに限定されない。符号化部101および復号部205は必須の構成要素ではなく、送信信号生成部102および復調処理部204については、誤り訂正符号を適用しない構成についても適用可能である。
また、本実施の形態では、分配部250の出力に対して、伝送路推定部251および歪み補正部253が独立にNポイント離散フーリエ変換を行わせるように構成したが、これに限定されない。例えば、分配部250に1つのNポイント離散フーリエ変換を行わせるように構成し、周波数領域の信号を伝送路推定部251と歪み補正部253に受け渡すようにしてもよい。これにより、復調処理部204の回路構成の簡略化が実現できる。
また、本実施の形態では、送信信号生成部102において、第二の位相回転系列c(m)としてexp(jπ×r×m×m/M)という数式で表現される信号を用いたが、これに限定されず、帯域幅を持ち、振幅変動が小さい系列であれば任意の信号を用いてよい。
また、本実施の形態では、第一の送信機10と第二の送信機11との間で使用する位相回転θを固定的に割り当てるように構成したが、例えば、あらかじめ定められた順番で入れ替え可能なように構成してもよい。これにより、各々の送信機に対して割り当てられる周波数を入れ替えながら送信することとなるため、周波数ダイバーシチ、干渉回避といった通信品質改善効果が得られる。また、各送信機に対する位相回転θの別な割り当て方として、各送信機に対するSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)が高くなるように位相回転θを割り当てるように制御する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、複数の送信機が同時に1つの受信機20に対して通信を行う無線通信システム30を例にして説明したが、適用される無線通信システムはこれに限定されない。例えば、同時に通信を行う送信機および受信機が1組だけであるような無線通信システムに適用してもよい。
また、本実施の形態では、干渉測定部215で測定した干渉測定値を等化処理部212における等化係数の算出に反映する構成としたが、干渉測定値の活用方法はこれに限定されない。例えば、判定部216において、符号化ビットの推定値を算出する際に、推定値の信頼度を示す軟判定値を算出するように構成し、干渉測定値を軟判定値の算出に反映するように構成してもよい。
実施の形態2.
実施の形態2では、受信機20において、干渉測定部が、干渉測定値を算出する際、既知信号に加えてデータ信号を用いる。実施の形態1と異なる部分について説明する。
実施の形態2において、無線通信システム30の構成は、図1に示す実施の形態1の無線通信システム30と同様である。実施の形態2では、受信機20が備える受信部の構成が、図8に示す実施の形態1の受信部200の構成と異なる。図16は、実施の形態2にかかる受信機20が備える受信部200aの構成例を示す図である。受信部200aは、図8に示す実施の形態1の受信部200に対して、復調処理部204を復調処理部204aに置き換えたものである。復調処理部204aは、図8に示す実施の形態1の復調処理部204に対して、干渉測定部215および判定部216を、干渉測定部215aおよび判定部216aに置き換えたものである。
実施の形態2における受信機20は、実施の形態1と同様の処理で既知信号に対する処理を実施する。判定部216aは、受信データ信号に対して実施の形態1と同様の処理を用いて、データ信号として送信されている周波数変調信号を推定し、対応する符号化ビットを復号部205へ出力する。同時に、判定部216aは、推定された周波数変調信号に対応する周波数の情報を干渉測定部215aへ出力する。
干渉測定部215aは、受信データ信号に対する周波数領域信号がNポイントDFT部214から受け渡され、さらに、判定部216aから推定された周波数変調信号に対応する周波数の情報が受け渡される。干渉測定部215aは、受け渡されたこれらの情報に基づいて、受信データ信号を用いた干渉測定値を算出する処理を行う。具体的には、干渉測定部215aは、処理対象としている送信機が送信に使用しているM通りの周波数の中から、判定部216aから受け渡された周波数を除外したM−1通りの周波数の信号の平均電力値を算出する。干渉測定部215aは、算出したM−1通りの周波数の信号の平均電力値を用いて、さらに、既知信号における処理などで推定済みの干渉測定値との間で平均化を行う。干渉測定部215aは、平均化した干渉測定値を等化処理部212へ出力する。実施の形態1では、干渉測定部215は、送信信号成分が既知信号の場合において、干渉測定値を算出していた。実施の形態2では、干渉測定部215aは、送信信号成分が既知信号の場合に加えて、送信信号成分がデータ信号の場合においても干渉測定値を算出することができる。
等化処理部212は、干渉測定部215aから受け渡される、平均化された干渉測定値を用いて等化係数を算出し直し、以後のデータ信号に対する等化処理に適用する。
図17は、実施の形態2にかかる復調処理部204aが符号化ビットの推定値を生成する動作を示すフローチャートである。ステップS52までの処理は、図10に示す実施の形態1のときと同様である。復調処理部204aにおいて、干渉測定部215aは、NポイントDFT部214から受け渡された受信データ信号に対する周波数領域信号、および判定部216aから受け渡された推定された周波数変調信号に対応する周波数の情報を用いて、受信データ信号を用いた干渉測定値を算出する(ステップS53)。等化処理部212は、平均化された干渉測定値を用いて等化係数を算出する(ステップS54)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、受信機20において、干渉測定部215aは、干渉測定値の算出処理を、既知信号に加えてデータ信号に対しても実施できるようにした。これにより、受信機20では、干渉測定値の算出精度が高くなり、実施の形態1と比較して、良好な通信性能を得ることが可能となる。
なお、本実施の形態において、干渉測定部215aは、既知信号における処理などで過去に算出済みの干渉測定値と、新たにデータ信号に対して算出した干渉測定値とを平均化していたが、これに限定されない。干渉測定部215aは、例えば、新たにデータ信号に対して算出した干渉測定値と過去の干渉測定値との平均化は行わず、新たにデータ信号に対して算出した最新の干渉測定値で置き換えるように構成してもよい。受信機20が受けている干渉の状況が時々刻々と変化するような環境である場合、このような構成にすることで、受信機20は、環境に追従しながら安定した通信を実現することが可能となる。また、受信機20は、平均化に用いる時定数などを調整することで、推定精度と環境変化への追従速度を制御する構成も可能である。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1,2と比較して、受信機20の回路規模を小さくする。実施の形態1,2と異なる部分について説明する。
実施の形態3において、無線通信システム30の構成は、図1に示す実施の形態1の無線通信システム30と同様である。実施の形態3では、受信機20が備える受信部の構成が、図8に示す実施の形態1の受信部200の構成と異なる。図18は、実施の形態3にかかる受信機20が備える受信部200bの構成例を示す図である。受信部200bは、図8に示す実施の形態1の受信部200に対して、復調処理部204を復調処理部204bに置き換えたものである。復調処理部204bは、図8に示す実施の形態1の復調処理部204に対して、系列乗算部213、NポイントDFT部214、干渉測定部215、および判定部216を削除し、系列乗算部213b、干渉測定部215b、判定部216b、周波数逆シフト部217、合成部218、およびMポイントDFT部219、を追加したものである。実施の形態3では、MポイントDFT部219を用いることによって、回路規模を小さく抑えて処理ができるように構成している。
復調処理部204bにおいて、受信同期処理部210から等化処理部212までの処理は、実施の形態1,2と同様である。等化処理部212は、等化後の受信信号を周波数逆シフト部217へ出力する。
周波数逆シフト部217は、送信機から受信した信号から、送信機で周波数成分がシフトされたシフト量を除去する処理を行う。すなわち、周波数逆シフト部217は、周波数軸上において、送信信号生成部102の周波数シフト部112で適用されている周波数シフトとは逆向きの周波数シフトを行う。具体的には、周波数逆シフト部217は、周波数シフト部112で用いられた位相回転θに対して逆回転に相当する位相回転−θを与える処理を行う。なお、位相回転θは第一の送信機10と第二の送信機11との間で異なる値が適用されている。そのため、周波数逆シフト部217は、処理を行いたい送信機に応じて位相回転θの値を選択する。周波数逆シフト部217は、例えば、第一の送信機10に対する処理を行う場合は位相回転θ=0とし、第二の送信機11に対する処理を行う場合は位相回転θ=1とし、位相回転θの符号を反転させた値を用いて位相回転を与える処理を行う。第一の送信機10に対する処理および第二の送信機11に対する処理の双方を行う必要がある場合、周波数逆シフト部217は、位相回転θ=0の場合の処理および位相回転θ=1の場合の処理をそれぞれ独立に実施し、2系統の処理結果を出力する。周波数逆シフト部217は、処理結果を合成部218へ出力する。
合成部218は、周波数逆シフト部217から受け渡された処理結果に対して、サンプル間の合成を行なう。実施の形態1で説明したように、送信信号生成部102のアップサンプル部111では、サンプル数Mの位相回転系列に対してサンプル数をL倍にする複製処理が行われている。合成部218は、アップサンプル部111で複製されたサンプルに関して、同一のサンプル値を加算する。すなわち、合成部218は、送信機で複製された位相回転系列を合成する処理を行う。実施の形態1のアップサンプル部111の説明で用いた例で説明すると、y(0)=x(0),y(1)=x(1),y(2)=x(2),y(3)=x(3),y(4)=x(0),y(5)=x(1),y(6)=x(2),y(7)=x(3)という対応関係にある。すなわち、サンプル番号0の信号とサンプル番号4の信号は同一のサンプル値であり、サンプル番号1の信号とサンプル番号5の信号は同一のサンプル値であり、サンプル番号2の信号とサンプル番号6の信号は同一のサンプル値であり、サンプル番号3の信号とサンプル番号7の信号は同一のサンプル値である、という対応関係になる。合成部218は、この対応関係から、入力された信号のサンプル番号0とサンプル番号4とを加算し、サンプル番号1とサンプル番号5とを加算し、サンプル番号2とサンプル番号6とを加算し、サンプル番号3とサンプル番号7とを加算することで、サンプル数8の信号系列からサンプル数4の新たな信号系列を生成する。すなわち、合成部218は、サンプル数Nの入力信号に対してサンプル数Mの出力信号を生成する。合成部218は、合成した処理結果を系列乗算部213bへ出力する。
系列乗算部213bは、実施の形態1,2の系列乗算部213と同様の処理を行うが、実施の形態3では、合成部218から受け渡された入力信号である処理結果すなわち合成後の信号に対して、処理対象の送信機に対応した第二の位相回転系列の複素共役を乗算する処理を行う。ここで、実施の形態1,2の系列乗算部213と異なり、合成部218から受け渡された入力信号である処理結果のサンプル数はMで第二の位相回転系列のサンプル数と同一である。そのため、系列乗算部213bでは、L回繰り返して乗算をする必要は無い。系列乗算部213bは、処理結果をMポイントDFT部219へ出力する。
離散フーリエ変換部であるMポイントDFT部219は、系列乗算部213bから受け渡された処理結果に対して、Mポイントの離散フーリエ変換を行い、周波数領域信号を生成する。MポイントDFT部219は、既知信号400〜403を処理するタイミングでは、離散フーリエ変換を行って得られた周波数領域信号を干渉測定部215bへ出力する。MポイントDFT部219は、データ信号404〜415を処理するタイミングでは、離散フーリエ変換を行って得られた周波数領域信号を判定部216bおよび干渉測定部215bへ出力する。
判定部216bは、MポイントDFT部219から受け渡された周波数領域信号に基づいて、データ信号として送信されている周波数変調信号を推定し、対応する符号化ビットの推定値を復号部205へ出力するとともに、推定した周波数の情報を干渉測定部215bへ出力する。
干渉測定部215bは、図16に示す実施の形態2の干渉測定部215aと同様の処理を行うが、入力される周波数領域信号のサンプル数がMである点が異なる。そのため、図12および図13を用いて説明したような、第一の送信機10が送信で使用した周波数と、第二の送信機11が送信で使用した周波数とが同時に入力されるため、干渉測定部215bの内部において観測する周波数を選択する処理を行う必要は無い。図19は、実施の形態3にかかる干渉測定部215bに入力される周波数領域信号のイメージを示す図である。図19は、周波数軸1200上において、周波数領域信号1201〜1204はM個の周波数信号をそれぞれ示す。例えば、周波数逆シフト部217および系列乗算部213bにおいて、第一の送信機10に対応したパラメータで処理が行われている場合、図19に示す周波数領域信号1201〜1204は全て第一の送信機10が送信に使用した周波数の信号に対応し、第二の送信機11が送信に使用した周波数に関係する信号は存在しないことになる。ここで、周波数領域信号1201が周波数変調で用いられた周波数とすると、干渉測定部215bは、周波数領域信号1202〜1204の信号電力の平均値を求め、第一の送信機10の信号に対して影響を与える干渉測定値として出力する。また、第二の送信機11に対応したパラメータで処理が行われた信号が入力されている場合も、干渉測定部215bは、同様の処理で得た信号を、第二の送信機11の信号に対して影響を与える干渉測定値として出力する。
図20は、実施の形態3にかかる復調処理部204bが符号化ビットの推定値を生成する動作を示すフローチャートである。実施の形態3では、ステップS44の等化処理部212の処理の後、周波数逆シフト部217は、送信信号生成部102の周波数シフト部112で適用されている周波数シフトと、周波数軸上で逆向きの周波数シフトを行う(ステップS61)。合成部218は、周波数逆シフト部217から受け渡された処理結果に対して、サンプル間の合成を行なう(ステップS62)。同様に、実施の形態3では、ステップS49の等化処理部212の処理の後、周波数逆シフト部217は、送信信号生成部102の周波数シフト部112で適用されている周波数シフトと、周波数軸上で逆向きの周波数シフトを行う(ステップS63)。合成部218は、周波数逆シフト部217から受け渡された処理結果に対して、サンプル間の合成を行なう(ステップS64)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、受信機20において、復調処理部204bは、等化処理部212の後段に周波数逆シフト部217、合成部218、および系列乗算部213bを備える構成とし、サンプル数Mの信号に対してMポイントDFTを行うこととした。また、判定部216bおよび干渉測定部215bが、MポイントDFTの処理結果に基づいて動作することとした。これにより、受信機20は、実施の形態1,2と比較して、離散フーリエ変換の回路規模を小さく構成することができ、装置の複雑度を低減することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、送信機が、複数の周波数変調信号を多重して送信する。実施の形態1〜3と異なる部分について説明する。
実施の形態4において、無線通信システム30の構成は、図1に示す実施の形態1の無線通信システム30と同様である。実施の形態4では、第一の送信機10および第二の送信機11が備える送信部の構成が、図2に示す実施の形態1の受信部200の構成と異なる。また、実施の形態4では、受信機20が備える受信部の構成が、図8に示す実施の形態1の受信部200の構成と異なる。
まず、本実施の形態の第一の送信機10および第二の送信機11が備える送信部の構成および動作について説明する。図21は、実施の形態4にかかる第一の送信機10および第二の送信機11が備える送信部100cの構成例を示す図である。送信部100cは、図2に示す実施の形態1の送信部100に対して、送信信号生成部102を送信信号生成部102cに置き換えたものである。送信信号生成部102cは、図2に示す実施の形態1の送信信号生成部102に対して、位相回転系列生成部110を位相回転系列生成部110cに置き換えたものである。本実施の形態では、送信信号生成部102cは、複数の周波数変調信号を多重して送信する。
位相回転系列生成部110cは、符号化部101から符号化ビットが受け渡されると、第一の位相回転系列と第二の位相回転系列とを用いて位相回転系列を生成する。具体的には、位相回転系列生成部110cは、第一の位相回転系列として、P本の周波数から符号化ビットに応じて1つの周波数を選択する周波数変調信号を用い、第二の位相回転系列として、実施の形態1と同様に周波数成分が時間とともに変化する位相回転系列を用いて、位相回転系列を生成する。ここで、第一の位相回転系列のサンプル数は、周波数変調信号として選択可能な周波数の個数Pと同一であり、第二の位相回転系列のサンプル数Mに対して、2×P=Mという関係となるように構成されているものとする。本実施の形態では、一例として、P=4,M=8を仮定して以下の説明を行う。
P=4と設定することによって、第一の位相回転系列で使用する周波数変調信号で2ビット分の情報を表現することができる。また、M=8としているため、第一の位相回転系列2つ分のサンプル数と第二の位相回転系列1つ分のサンプル数が等しくなる。すなわち、本実施の形態では、第一の位相回転系列の系列長は、第二の位相回転系列の系列長よりも短いことになる。位相回転系列生成部110cは、符号化部101から4ビットの符号化ビットを受け取り、2つの第一の位相回転系列を生成する。位相回転系列生成部110cは、2つの第一の位相回転系列を連結してP×2=8サンプル分の信号系列を組み立てた後、8サンプル分の信号系列に第二の位相回転系列を乗じることで、1系統の位相回転系列を生成する。位相回転系列生成部110cは、生成した位相回転系列をアップサンプル部111へ出力する。
アップサンプル部111は、実施の形態1と同様にアップサンプルの係数Lに従って位相回転系列のサンプルレートをL倍にするとともに、位相回転系列をL倍に複製する。本実施の形態ではL=2と設定する。すなわち、アップサンプル後の位相回転系列のサンプル数はN=M×L=16サンプルとなる。
送信信号生成部102cは、以降の周波数シフト部112からフレーム生成部115までの処理では、実施の形態1と同様の処理を行うことで送信信号を生成する。送信信号生成部102cは、生成した送信信号を送信フィルタ103へ出力する。なお、既知信号生成部114は、前述の位相回転系列生成部110cで説明した、第一の位相回転系列を2つ用いて位相回転系列を生成する処理ではなく、実施の形態1の位相回転系列生成部110で説明したように、第一の位相回転系列と第二の位相回転系列とが同じサンプル数で構成される方法を用いる。既知信号生成部114は、例えば、符号化ビットと第一の位相回転系列を対応付けるパラメータとしてk=0を用いて、第二の位相回転系列のサンプル数M=8と等しい長さで、第一の位相回転系列を生成する。
なお、本実施の形態の送信信号生成部102cの動作は、上述のように図4に示す実施の形態1のフローチャートのステップS21において内容が少し異なるが、動作の流れは図4に示す実施の形態1のフローチャートと同様である。
つぎに、本実施の形態の受信機20が備える受信部の構成および動作について説明する。図22は、実施の形態4にかかる受信機20が備える受信部200cの構成例を示す図である。受信部200cは、図18に示す実施の形態3の受信部200bに対して、復調処理部204bを復調処理部204cに置き換えたものである。復調処理部204cは、復調処理部204bに対して、干渉測定部215bおよび判定部216bを削除し、干渉測定部215c、判定部216c、切替部220、およびPポイントDFT部221を追加したものである。実施の形態4では、切替部220を用いることによって、干渉測定部215cは、MポイントDFT部219またはPポイントDFT部221の出力に基づいて干渉測定値を算出する。
復調処理部204cにおいて、受信同期処理部210、CP除去部211、等化処理部212、周波数逆シフト部217、合成部218、および系列乗算部213bまでの処理は、実施の形態3と同様である。系列乗算部213bは、処理結果を切替部220へ出力する。
切替部220は、系列乗算部213bから受け渡された入力信号である処理結果が、既知信号400〜403に対して処理された処理結果の場合、処理結果をMポイントDFT部219へ出力し、データ信号404〜415に対して処理された処理結果の場合、PポイントDFT部221へ出力するように、信号経路を切り替える。
MポイントDFT部219は、既知信号400〜403に対する処理を行う場合、切替部220から受け渡された処理結果に対してMポイントの離散フーリエ変換を行う。MポイントDFT部219は、生成した周波数領域信号を干渉測定部215cへ出力する。干渉測定部215cは、実施の形態3の干渉測定部215bと同一の処理を行い、干渉測定値を等化処理部212へ出力する。
一方、離散フーリエ変換部であるPポイントDFT部221は、データ信号404〜415に対する処理を行う場合、切替部220から受け渡されたサンプル数Mの信号に対してPポイントの離散フーリエ変換を行う。PポイントDFT部221は、生成した周波数領域信号を干渉測定部215cおよび判定部216cへ出力する。ここで、離散フーリエ変換のポイント数Pは、切替部220から受け渡される信号のサンプル数Mより小さい値であり、例えば、本実施の形態では、M=8,P=4と設定したためM=P×2の関係にある。PポイントDFT部221は、切替部220から受け渡される信号に対してPポイント離散フーリエ変換をM/P回実施し、M/P系統の周波数領域信号を生成する。本実施の形態では、PポイントDFT部221は、切替部220から受け渡される信号の前半のP=4サンプルと、後半のP=4サンプルとの合計M/P=8/4=2回、独立に離散フーリエ変換を実施し、2系統分の周波数領域信号を生成する。
PポイントDFT部221で生成された2系統分の周波数領域信号は、図21の位相回転系列生成部110cにおいて位相回転系列を生成するために用いられた、2つのサンプル数Pの第一の位相回転系列に対応した周波数領域信号となる。
判定部216cは、2系統分の周波数領域信号に対して、それぞれ、最も信号電力が高い周波数を1つずつ選択し、選択された周波数の情報を干渉測定部215cへ出力する。また、判定部216cは、対応する合計4ビットの符号化ビットを復号部205へ出力する。干渉測定部215cは、判定部216cから受け渡された2通りの周波数の情報と、PポイントDFT部221から受け渡された2系統分の周波数領域信号とを用いて、判定部216cから受け渡された周波数の情報で示される周波数以外の平均信号電力を算出する。干渉測定部215cは、算出した平均信号電力を干渉測定値として等化処理部212へ出力する。
なお、本実施の形態の復調処理部204cの動作は、上述のように図20に示す実施の形態3のフローチャートのステップS51において内容が少し異なるが、動作の流れは図20に示す実施の形態3のフローチャートと同様である。具体的には、ステップS51において、実施の形態3ではMポイントDFT部219がMポイントの離散フーリエ変換を行うが、実施の形態4ではPポイントDFT部221がPポイントの離散フーリエ変換を行うことになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第一の送信機10および第二の送信機11では、送信信号生成部102cは、複数の第一の位相回転系列を多重して送信する。また、受信機20では、復調処理部204cは、第一の位相回転系列のサンプル数Pと同じポイント数の離散フーリエ変換部を備え、多重された第一の位相回転系列と同じ回数だけ処理することとした。これにより、実施の形態1〜3の効果に加えて、第一の送信機10および第二の送信機11から受信機20へ同時に送信できる情報量が増え、通信の高速化が実現可能となる。
なお、本実施の形態では、第一の位相回転系列の長さを第二の位相回転系列の長さの半分に設定し、第一の位相回転系列を2つ多重出来るように構成したが、一例であり、多重数はこれに限定されない。第一の位相回転系列を多重した結果のサンプル数が第二の位相回転系列のサンプル数と同じになれば任意の組み合わせが可能である。
また、本実施の形態では、位相回転系列生成部110cで多重する第一の位相回転系列は全てデータ信号を仮定して説明したが、これに限定されず、例えば、多重する信号の一部を既知信号として、データ信号と既知信号とを多重送信する構成としてもよい。この場合、位相回転系列生成部110cは、データ信号および既知信号を用いて第一の位相回転系列を生成する。この場合、PポイントDFT部221の処理結果である複数系統の周波数領域信号のうち、第一の位相回転系列として既知信号を割り当てた箇所に対応するものは、受信機20側で判定処理は必要としない。そのため、干渉測定部215cは、干渉測定値を算出する際、判定部216cから受け渡された周波数の情報は参照せず、既知信号として送信機で使用されている周波数以外の周波数における信号電力を平均化した値を干渉測定値とすることができる。これにより、無線通信システム30では、既知信号の挿入頻度が上がるため、周囲の干渉量の変化をより正確に把握できるようになり、安定して良好な通信品質を得ることが可能となる。また、データ信号と多重された既知信号については、受信機20において、公知の技術を組み合わせて伝送路推定、その他の同期処理を行うために用いてもよい。このように構成することで、干渉測定と同様に、通信品質の安定化を実現することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態1〜4で説明した送信機および受信機の機能を備える中継器を含む無線通信システムについて説明する。
図23は、実施の形態5にかかる無線通信システム70の構成例を示す図である。無線通信システム70は、端末40〜43と、中継器50〜52と、アクセスポイント60と、を備える。無線通信システム70では、信号を直接送受信できない端末とアクセスポイントとの間の通信を、中継器による中継を介して実現する。本実施の形態において、端末40〜43、中継器50〜52、およびアクセスポイント60のいずれかを指すときに、装置と称することがある。
図24は、実施の形態5にかかる端末40の構成例を示す図である。端末40〜43は同様の構成のため、ここでは、端末40を例にして説明する。無線送信装置である端末40は、図2に示す送信部100を備える。端末40は、送信部100を用いてデータを送信する。具体的には、端末40は中継器50に対してデータ送信を行う。なお、端末41は中継器51に対してデータ送信を行う。端末42,43は中継器52に対してデータ送信を行う。端末40は、送信部100に代えて送信部100cを備えてもよい。端末40は、さらに、図8に示す受信部200,200a,200b,200cのいずれかを備えていてもよい。
図25は、実施の形態5にかかる中継器50の構成例を示す図である。中継器50〜52は同様の構成のため、ここでは、中継器50を例にして説明する。中継器50は、図2に示す送信部100、および図8に示す受信部200を備える。中継器50は、受信部200を用いて端末または他の中継器からデータを受信し、送信部100を用いてデータを送信すなわち転送する。具体的には、中継器50はアクセスポイント60に対して中継送信を行う。なお、中継器51は中継器50に対して中継送信を行う。中継器52は中継器51に対して中継送信を行う。中継器50は、送信部100に代えて送信部100cを備えてもよい。また、中継器50は、受信部200に代えて受信部200a,200b,200cのいずれかを備えてもよい。
図26は、実施の形態5にかかるアクセスポイント60の構成例を示す図である。無線受信装置であるアクセスポイント60は、図8に示す受信部200を備える。アクセスポイント60は、受信部200を用いて中継器または端末から送信されたデータを受信する。アクセスポイント60は、受信部200に代えて受信部200a,200b,200cのいずれかを備えてもよい。アクセスポイント60は、さらに、図2に示す送信部100,100cのいずれかを備えていてもよい。
無線通信システム70の各装置がデータを送受信するタイミングについて説明する。本実施の形態では、各装置の送信タイミングおよび受信タイミングが時間的に分割されている時分割複信(TDD:Time Division Duplex)を用いるものとする。図27は、実施の形態5にかかる無線通信システム70においてあるタイミングでの各装置のデータの送受信の流れを示す図である。図27に示すタイミングでは、端末40および中継器51がデータを送信しており、そのデータを中継器50が受信している。また、端末42,43がデータを送信しており、そのデータを中継器52が受信している。図28は、実施の形態5にかかる無線通信システム70において図27とは別のタイミングでの各装置のデータの送受信の流れを示す図である。図28に示すタイミングでは、中継器50がデータを送信しており、そのデータをアクセスポイント60が受信している。また、端末41および中継器52がデータを送信しており、そのデータを中継器51が受信している。無線通信システム70では、図27および図28に示されるデータの送受信の処理が、時間的に交互に実施される。本実施の形態では、各装置間の無線伝送には同一の周波数チャネルが使用されるものとする。また、中継器51と中継器52との間、および中継器50と中継器51との間は、無線通信が届く距離関係にあるものとする。この場合、図27の例では、中継器51がデータを送信している場合、そのデータが、点線の矢印で示すように干渉信号として中継器52にも到達する。同様に、図28の例では、中継器50がデータを送信している場合、そのデータが、点線の矢印で示すように干渉信号として中継器51にも到達する。
図23の無線通信システム70における、各端末と各中継器で無線伝送に用いられるパラメータの設定方法について説明する。本実施の形態では、データすなわち所望の送信信号と前述した干渉信号とが周波数軸上で重ならないように、同時に送信を行う装置間で、送信信号生成部における周波数シフト部の位相回転θを設定する。具体的な設定を反映した場合の送信スペクトルのイメージを図29および図30に示す。
図29は、実施の形態5にかかる無線通信システム70において、図27に示すデータ送受信のタイミングにおける各装置で使用される送信スペクトルの例を示す図である。図29では、全部で16個の周波数帯が使用可能であり、各装置がM=4の位相回転系列およびL=4のアップサンプル処理を適用した場合を示している。図29では、同時に信号を送信する装置において送信スペクトルが周波数軸上で重ならないように構成されている。すなわち、ある装置に設定されている周波数のシフト量の大きさは、他の装置に設定されている周波数のシフト量の大きさと異なっている。具体的には、周波数軸1800上において、送信スペクトル1801〜1804は端末42が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1805〜1808は端末43が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1809〜1812は中継器51が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1813〜1816は端末40が送信に使用する周波数スペクトルである。
図30は、実施の形態5にかかる無線通信システム70において、図28に示すデータ送受信のタイミングにおける各装置で使用される送信スペクトルの例を示す図である。図30では、全部で16個の周波数帯が使用可能であり、各装置がM=4の位相回転系列およびL=4のアップサンプル処理を適用した場合を示している。ただし、図30では、16個の周波数帯のうち12個の周波数帯を使用した場合を示している。図30では、同時に信号を送信する装置において送信スペクトルが周波数軸上で重ならないように構成されている。すなわち、ある装置に設定されている周波数のシフト量は、他の装置に設定されている周波数のシフト量と大きさが異なっている。具体的には、周波数軸1800上において、送信スペクトル1817〜1820は端末41が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1821〜1824は中継器52が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1825〜1828は中継器50が送信に使用する周波数スペクトルである。
このように、無線通信システム70の装置について、各端末および各中継器の送信タイミングと、互いに干渉となる条件とを考慮し、周波数軸上で互いの送信スペクトルが重ならないように送信部100および受信部200を構成する。無線通信システム70では、各装置について、各装置の送信タイミングおよび受信タイミングに基づいて、周波数シフト量および位相回転系列の種別が設定されることになる。これにより、中継器50〜52を介して通信を行う無線通信システム70において、干渉の影響を抑えた良好な通信品質を実現できる。無線通信システム70は、特に端末間の距離が大きく異なるという条件の場合に、遠近問題を回避した安定した通信を実現できる。
つぎに、本実施の形態における別なパラメータの設定方法について説明する。図31は、実施の形態5において、図23の無線通信システム70に端末44を追加した無線通信システム71の構成例を示す図である。端末44は、端末40〜43と同様の構成であり、中継器50に対してデータ送信を行う。無線通信システム71において、端末44以外の装置のデータの送受信のタイミングは図29および図30の場合と同様である。図31に示す無線通信システム71では、同時に信号を送信している端末および中継器は合計5台存在する。そのため、図29に示した信号送信方法では、使用可能な周波数が不足することになる。この場合の端末44に対するパラメータ設定例を図32に示す。図32は、実施の形態5にかかる無線通信システム71において、図31に示すデータ送受信のタイミングにおける端末44で使用される送信スペクトルの例を示す図である。具体的には、周波数軸1800上において、送信スペクトル2017〜2020は端末44が送信に使用する周波数スペクトルである。なお、端末44がデータを送信する図32のタイミングでは、同時に、端末42,43、中継器51、および端末40が図29に示す送信スペクトル1801〜1816を用いてデータを送信している。図31に示す無線通信システム71では、端末44は中継器50と通信を行っており、端末44が中継器52に対して与える干渉量は、中継器51が中継器52に対して与える干渉より影響が小さい。そのため、無線通信システム71では、端末44の送信信号は、中継器51および端末40の送信信号とは周波数軸上で重ならないように配置し、端末42,43の送信信号とは重なることを許容する。このように構成することで、無線通信システム71では、合計5台の装置から同時に送信される信号が互いに干渉を及ぼす量を低減可能である。
また、本実施の形態における別なパラメータの設定方法として、周波数軸上で各送信信号が互いに重ならないように配置するのに加えて、送信信号生成部における位相回転系列生成部で用いる第二の位相回転系列を、装置間で互いに相関性が低い別な系列を用意して割り当てるように構成してもよい。これには、例えば、実施の形態1で説明した第二の位相回転系列の種別を示すパラメータrを複数通り用意しておき、干渉を与える可能性のある装置間において相互相関が規定された閾値よりも低くなる組み合わせを割り当てることで実現できる。この構成を図29および図32に示す送信スペクトルが使用される無線通信システム71に適用する場合、例えば、端末44が用いる第二の位相回転系列のパラメータrと、端末42および端末43が用いるパラメータrを、相互相関が低くなるように異なる値を割り当てる。これにより、端末44の信号が中継器52に届いてしまうような状況においても、端末42および端末43の通信に与える干渉量を低減可能となる。また、周波数軸上で信号が互いに重ならないように設定した装置間においても、相互相関の低い異なる第二の位相回転系列を割り当てるように構成してもよい。このように構成することで、装置間の周波数オフセットなどの影響で信号が干渉を与え合う場合においても、第二の位相回転系列間で相互相関が低いため、通信品質の劣化を抑圧できる。無線通信システム71では、各装置について、各装置の送信タイミングおよび中継器における干渉量に基づいて、周波数シフト量および位相回転系列の種別が設定されることになる。
さらに、同時に信号送信を行う装置間で、位相回転系列のサンプル数Mとアップサンプルの係数Lを異なるように割り当ててもよい。例えば、図31に示す無線通信システム71における別なパラメータ設定例を図33および図34に示す。
図33は、実施の形態5にかかる無線通信システム71において、図31に示すデータ送受信のタイミングにおける各装置で使用される送信スペクトルの例を示す図である。図33では、同時に信号を送信する装置において送信スペクトルが重ならないように構成されている。具体的には、周波数軸1800上において、送信スペクトル1801〜1804は端末42が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル2101〜2104は中継器51が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル2105〜2108は端末43が送信に使用する周波数スペクトルであり、送信スペクトル1813〜1816は端末40が送信に使用する周波数スペクトルである。図33に示す各装置の送信スペクトルの配置は、図29に示す各装置の送信スペクトルの配置と比較して、中継器51および端末43が使用する送信スペクトルの配置が入れ替わっている。
図34は、実施の形態5にかかる無線通信システム71において、図31に示すデータ送受信のタイミングにおける端末44で使用される送信スペクトルの他の例を示す図である。具体的には、周波数軸1800上において、送信スペクトル2109〜2116は端末44が送信に使用する周波数スペクトルである。なお、端末44がデータを送信する図34のタイミングでは、同時に、端末42、中継器51、端末43、および端末40が図33に示す送信スペクトルを用いてデータを送信している。図34の例では、端末44は、送信信号生成部におけるパラメータとしてM=8、L=2を用いる。また、周波数シフト部における位相回転θは、図32の場合と同一とする。このように構成することで、端末44が送信する信号の送信スペクトルが、端末42および端末43と重なるようになる。また、端末44が送信する信号の送信スペクトル密度が図32の場合より低減するため、中継器52が信号を受信する際に受ける干渉の影響がより低減できる。また、別な構成として、位相回転系列のサンプル数Mおよびアップサンプルの係数Lは通信環境に応じて動的に制御できるように構成してもよい。例えば、図33および図34に示すように各装置に送信スペクトルの周波数帯を割り当てて通信を行っているところで、端末42の通信が終了し、図33に示す送信スペクトル1801〜1804に対応する周波数帯が未使用になったとする。この場合は、端末44のパラメータを図32で用いたのと同様な値に変更することで、全ての送信信号が周波数軸上で重ならないように構成することができる。
なお、上述したように、本実施の形態では、装置間で周波数配置および第二の位相回転系列のパラメータ割り当て方法を具体的に説明したが、これらのパラメータの割り当て方法は、装置の設置条件、無線信号の受信レベルなどに基づいて、干渉の影響がより一層低減できるように適宜調整することが望ましい。例えば、各装置が移動せず固定的に設置されている場合、あらかじめ装置間の距離および伝搬状況によって大まかな干渉量を把握できる。こういった事前情報に基づいて、遠近問題がより顕著に表れる組み合わせについては、優先的に周波数軸上で送信スペクトルが重ならないように割り当て、周波数軸上で割り当てきれない場合は送信スペクトルが重なることは許容し、異なる位相回転系列を割り当てるように構成することができる。また、各装置が無線通信システムの運用中に移動することが想定される場合、各中継器およびアクセスポイントが信号を受信する際に測定した干渉測定値を装置間で共有し、干渉測定値に基づいて送信周波数や位相回転系列の割り当て方を変更することができる。なお、干渉測定値は装置間で共有するのではなく、集中制御装置を別途用意して、集中制御装置が全装置に対する周波数および位相回転系列に関するパラメータを一括管理する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、無線通信システムとして中継伝送を行う場合を例にして説明したが、適用可能な無線通信システムはこれらに限定されない。例えば、図35に示すような隣接した異なる無線通信システムに対して本発明の送信機および受信機を適用し、送信スペクトルの位置および第二の位相回転系列の種別を変えることによって干渉低減を図るように構成してもよい。図35は、実施の形態5において無線通信システムが隣接する場合の例を示す図である。無線通信システム72は、アクセスポイント61と、端末45,46と、を備える。無線通信システム72において、端末45,46はアクセスポイント61へデータを送信し、アクセスポイント61は端末45,46からのデータを受信する。また、無線通信システム73は、アクセスポイント62と、端末47,48と、を備える。無線通信システム73において、端末47,48はアクセスポイント62へデータを送信し、アクセスポイント62は端末47,48からのデータを受信する。例えば、端末45〜48が同時に同一の周波数チャネルを用いて信号を送信し、アクセスポイント61が端末45,46の信号を受信し、アクセスポイント62が端末47,48の信号を受信するものとする。このとき、本実施の形態で説明したものと同等の考え方で、各端末が送信する信号の送信スペクトルが周波数軸上で重ならないように割り当てることで干渉を抑圧した良好な通信が実現できる。また、必ずしも周波数軸上の割り当て方のみで干渉を抑圧できない場合でも、互いに相互相関が低くなる、異なる第二の位相回転系列を割り当てることで干渉を軽減できる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。