[A]防水扉を構成するパネルシャッターの基本構成
本実施形態に係る防水扉の基本構造は、パネルシャッターから構成される。図1〜図4に示すように、パネルシャッターは、複数枚のパネル1から構成されたシャッターカーテンと、建物開口部の幅方向両端に立設され、垂直姿勢のパネル1の幅方向両端部を案内する左右のガイド体2と、を備えている。図4において、パネル1、すなわちシャッターカーテンの左側が室外側、右側が室内側である。図5において、パネル1の上側が室外側、下側が室内側である。
パネル1は、所定厚みを備え、開口幅方向に延びる横長方形状の要素であり、開口部全閉状態では、一方の面部が室外側に面し(室外側面部100)、他方の面部が室内側に面する(室内側面部101)。図5、図11(パネル1の幅方向の一方の端部を示し、他方の端部も同様の構成を有する)に示すように、各パネル1の幅方向両端部位には、ガイドローラ11を設けた支軸10が突設されており、各パネル1は支軸10を介してチェーン3(図11参照)に連結されて吊持されることでシャッターカーテンを形成する。図4等においてチェーンは省略されているが、パネルシャッターにおいて、各パネルをチェーンによって吊持する構成は当業者に良く知られていることに留意されたい。
ガイド部2の上端は、開口部上方の収納空間内まで延びており、パネル1の幅方向両端部のガイドローラ11を案内する上側延出部2´(図4参照)を備えている。上側延出部2´は、ガイドローラ11に室外側及び室内側の両側から接触可能に構成されている。開口部上方の収納空間には、上側延出部2´の略上端に位置してチェーン3を巻き掛けするためのスプロケット4が設けあり、開閉機Mによってスプロケット4を回転させて、チェーン3を吊上げ、あるいは、繰り出すことで、パネル1を上昇、あるいは、下降させて建物開口部を開閉するようになっている。
開口部上方のパネル1の収納空間は開口部上方から室内側に向かって延びており、当該収納空間には、前方から後方(シャッター芯Cから室内側)に向かって緩やかに下向き傾斜状に延出する収納レール5が設けある。チェーン3の吊上げによって、収納空間内まで移動したパネル1は、スプロケット4を介して収納レール5に継送され、パネル1はガイドローラ11が収納レール5に案内されながら収納空間の後方へ順次送られて、互いに平行状に垂下した状態に保持され収納される。
このように構成されたパネルシャッターにおいて、開口部全閉状態において、開閉機Mによりスプロケット4をチェーン吊上げ方向に回転駆動すると、全閉状態の垂直姿勢にある各パネル1は、チェーン3の上昇にしたがって、幅方向両端部が垂直状のガイド体2に案内されながら、上昇していき、上位のパネル1から、ガイド体2の上側延出部2´から横方向に延びる収納レール5に順次受け渡され、収納空間で平行状に収納されていき、開口部が開放される。
開口部全開状態において、開閉機Mによりスプロケッ4をチェーン繰り出し方向に回転駆動すると、平行状に収納されていたパネル1は幅方向両端部のガイドローラ11が収納レール5に案内されながら順次収納空間の後方から前方のスプロケット4側へ引き出され、スプロケット4を通過する時に、高さ方向に互いに上下に垂直姿勢となってガイド体2に案内されながら降下していき、開口部が閉鎖される。
シャッターカーテン降下時には、上下に隣接する2枚の任意のパネル1において、下側のパネルの上端と上側のパネルの下端とは離間した状態にある(図6(C)、図7、図8等参照)。シャッターカーテン降下時に、最下位のパネル1の下端が着床した後に、シャッターカーテンがさらに所定距離下降を継続することで、上下に隣接する2枚の任意のパネル1において、下側のパネルの上端と上側のパネルの下端とが接触して全閉状態となる(図6(B)、図9等参照)。さらに、後に詳述するように、全閉状態にあるシャッターカーテンを垂直方向に圧迫することで垂直圧迫状態となる(図6(A)、図10等参照)。
開口部の下方部位には、床面から所定高さに位置して障害物検知手段として例示する光電センサ6が設けてある。図示の態様では、室外側、室内側にそれぞれ位置して、床面から150mmの高さ位置、500mmの高さ位置に合わせて4つの光電センサ6が設けてある。本実施形態では、シャッターカーテン下降中に、障害物検知があった場合には、降下中のシャッターカーテンは1秒間停止後、1.5秒間反転上昇する。なお、障害物検知手段の具体的構成や、障害物検知後の動作手順はこれらに限定されない。
図面を参照しつつパネルシャッターの基本構成について説明したが、パネルシャッターの基本構成は当業者において公知であり、さらなる詳細な説明は省略する。また、パネルシャッターについては、幾つも変形例、改良例が当業者に知られており、本発明に係る防水扉に適用され得るパネルシャッターの構成は、図示の態様に限定されるものではないことに留意されたい。
[B]防水扉の止水構造
[B−1]パネルの止水構造
図7〜図11を参照しつつ、上下に隣接するパネル同士の止水構造について説明する。図7、図8に示すように、パネル1は、アルミ押出形材から一体成形されており、室外側面部100、室内側面部101、上端面102、下端面103を備えている。パネル1の下端面103は、側面視において、上向き湾曲状の凹面1030と、凹面1030の室外側、室内側にそれぞれ位置する室外側水平面1031、室内側水平面1032と、からなる。パネル1の上端面102は、側面視において、上向き湾曲状の凸面1020と、凸面1020の室外側、室内側にそれぞれ位置する室外側嵌合溝1021、室内側嵌合溝1022と、からなる。
最上位のパネル1を除く各パネル1の上端面102には、幅方向全体に亘って水密ゴム12(図6〜図10参照)が設けてある。図7、図8に示すように、水密ゴム12は、側面視において、上向き湾曲部120と、上向き湾曲部120の室外側、室内側にそれぞれ位置する室外側水平部121、室内側水平部122と、室外側水平部121、室内側水平部の122下面にそれぞれ一体形成された嵌合突条123、124と、からなる。水密ゴム12は、嵌合突条123、124をパネル1の上端面102の室外側嵌合溝1021、室内側嵌合溝1022にそれぞれ嵌合させることで、パネル1の上端面102に固定される。
シャッターカーテンが垂直圧迫状態にある時には、パネル1の水密ゴム12の室外側水平部121、室内側水平部122には、パネル1の下端部103の室外側水平面1031、室内側水平面1032がそれぞれ圧接されるため(図10参照)、パネル1の水密ゴム12の室外側水平部121、室内側水平部122の上側部位(図7〜図10に斜線で示す部位であり、図示の態様では上側に僅かに膨らんでいる部位)のゴムの硬度を小さくして圧接時の密着度を高めている。また、水密ゴム12の上向き湾曲部120には、全長に亘って複数の突起1200が形成されている。突起1200は、全閉状態(非垂直圧迫状態)では、上側のパネル1の下端面103の上向き湾曲状の凹面1030と僅かに離れている(図9参照)。垂直圧迫状態では、上側のパネル1の下端面103の上向き湾曲状の凹面1030と、下側のパネル1の上端面102に固定した水密ゴム12の上向き湾曲部120とが、突起1200を介して線状に接触するので(図10参照)、面同士が接触する場合に比べて止水効果が向上する。図示の態様では、平行状の2本を突起1200が示してあるが、突起1200の本数は限定されない。
開口部全閉時において、上下隣接する2枚のパネル1の上側パネル1の下端と下側パネル1の上端とを水密ゴム12を介して圧接させることで、上下隣接するパネル間の止水構造が得られるようになっている。最下位のパネル1の下端には、幅方向全体に亘って水密ゴム13(図1〜図4、図6参照)が設けてあり、開口部全閉時において、水密ゴム13が床面に圧接されることでシャッターカーテン下端の止水構造が得られるようになっている。すなわち、全閉状態のシャッターカーテンを上端から床面に向かって垂直に圧迫することで上下に隣接するパネル1間及び最下位のパネル1と床面間の止水状態が得られる。
なお、上下隣接する2枚のパネル1間の止水構造を形成する水密ゴムは、パネル1の上端に設けられるものに限定されるものではなく、パネル1の下端あるいは/および上端に幅方向全体に亘って水密ゴムが設けられ、開口部全閉時において、上下隣接する2枚のパネル1の上側パネル1の下端と下側パネル1の上端とを水密ゴムを介して圧接させることで、上下隣接するパネル間の止水構造が得られるようになっていればよい。
次に、主として、図5、図7〜図11を参照しつつ、パネル1の指挟み防止構造及びそれに伴う止水構造について説明する。上述のように、パネルシャッターのシャッターカーテンの降下中において、上下隣接する2枚のパネル1の下側のパネル1の上端面102(水密ゴム12)と上側のパネル1の下端面103とは離間した状態にある(図6(C)、図7、図8参照)。よって、パネル1に指挟み防止構造を設けて、降下中のシャッターカーテンの室外側及び室内側において隙間が形成されないようにしている。以下具体的に説明する。
図7、図8に示すように、下パネル1の室外側面部100の上端側には、室外側面部100から当該パネル1の上端面102を越えて上方に垂直に伸びる立ち上がり片(室外側垂直片1000)が形成されており、上パネル1の室外側面部100の下端側には、当該室外側面部100を凹ませて室外側段差部1001が形成されており、パネル1の室外側垂直片1000がパネル1の室外側段差部1001の垂直面1002にオーバーラップするようになっている。室外側垂直片1000の厚さと室外側段差部1001の段差寸法(深さ)は略同じである。図7〜図10から明らかなように、降下中、全閉状態、垂直圧迫状態のいずれの場合にも、室外側垂直片1000と室外側段差部1001の垂直面1002がオーバーラップしており、上下隣接するパネル1間の室外側に隙間が生じることがない。室外側垂直片1000及び室外側段差部1001は、パネル1の全幅に亘って形成されている。
上パネル1の室内側面部101の下端側には、室内側面部101から当該パネル1の下端面103を越えて下方に延びる垂下片(室内側垂直片1010)が形成されており、下パネル1の室内側面部101の上端側には、当該室内側面部101を凹ませて室内側段差部1011が形成されており、上パネル1の室内側垂直片1010が下パネル1の室内側段差部1011の垂直面1012にオーバーラップするようになっている。室内側垂直片1010の厚さと室内側段差部1011の段差寸法(深さ)は略同じである。図7〜図10から明らかなように、降下中、全閉状態、垂直方向圧縮状態のいずれの場合にも、室内側垂直片1010と室内側段差部1011の垂直面1012がオーバーラップしており、上下隣接するパネル1間の室内側に隙間が生じることがない。
室内側段差部1011は、パネル1の全幅に亘って形成されているのに対して、室内側垂直片1010の幅方向両端は切り欠かれている(図11上図参照)。パネル1の幅方向両端部はガイド部2内に受け入れられており、室内側垂直片1010の切り欠き部は、ガイド部2内に位置して形成されている。室内側段差部1011の幅方向両端(ガイド部内に位置する部位)には、室内側垂直片1010の切り欠きに対応して水密ゴム17がそれぞれ設けてある(図8〜図11参照)。
水密ゴム17は、切り欠き部にほぼ対応する形状(図示の態様では横長の方形)・面積、室内側段差部1011の段差寸法より僅かに大きい厚さ(図8〜図10に示すように、パネルの室内側面部101よりも僅かに突出する厚さ)を備えており、室内側段差部1011の幅方向両端部位をそれぞれ覆うように取り付けられている。水密ゴム17の上端部位は、水密ゴム12の室内側水平部122に接触ないし一体化されており、これらの間の(水密ゴム12と水密ゴム17が別体で形成されている場合であっても)水密性を確保している。図10に示すように、垂直圧迫状態では、上側のパネル1の下端面103の室内側水平面1032が、水密ゴム12の室内側水平部122及び水密ゴム17の上端に圧接している。
図示の態様では、開口部上方のパネル1の収納空間は開口部上方から室内側に向かって形成されており、収納空間内まで移動したパネル1はガイドローラ11が収納レール5に案内されながら、上側のパネル1の室内側垂直片1010が、下側のパネル1の室内側段差部1011から離れるようにして、収納空間の後方へ順次送られるようになっている。なお、上下隣接する2枚のパネルにおいて、室外側垂直片、室外側段差部が形成されるパネル、室内側垂直片、室内側段差部が形成されるパネルは、図示の態様に限定されるものではなく、例えば、収納空間が開口部上方から室外側に向かって形成されている場合には、室内側段差部1011は上側のパネル1に形成され、室内側垂直片1010は下側のパネル1形成された立ち上がり片であり、水密ゴム17は上側のパネルの室内側段差部の幅方向両端に設けられる。あるいは、室外側垂直片、室内側垂直片を同じ側のパネル(例えば上側パネル)に、室外側段差部、室内側段差部を同じ側のパネル(例えば下側パネル)に形成してもよい。これらの場合に、必要に応じて、水密ゴム17が設けられる態様が適宜変更され得ることが当業者に理解される。
図5に示すように、ガイド部2は、離間対向する室外側辺20及び室内側辺21と、底辺22と、から断面視コ字状に形成された長尺部材であり、室外側辺20と室内側辺21の先端側は互いに対向するように折り曲げ片200、210が形成されており、折り曲げ片200、210の先端間の開口溝にパネル1の幅方向端部を受け入れるようになっている。より具体的には、室外側辺20の先端側の内面には断面視長方形状を備え、高さ方向に延びる長尺部材である水平方向押圧部材23(水平方向押圧部材23の上端は収納空間までは達していない)が設けてあり、室内側辺21の先端側の内面には高さ方向に延びる長尺部材である水密ゴム部材24が設けてあり、底辺22には高さ方向に延びる長尺部材であって、ガイドローラ11の室外側周面に接触して案内するガイド部材25が設けてある。水平方向押圧部材23は、平面視において、折り曲げ片200に沿って室内外方向に延びており、先端面(圧迫時に、パネル1の室外側面部100に当接する部位)は、常時(圧迫時及び非圧迫時)、折り曲げ片200の先端を越えて突出している。なお、非圧迫時には、水平方向押圧部材23の先端面が折り曲げ片200の内側に位置し(先端を越えない)、圧迫時に、水平方向押圧部材23の先端面が折り曲げ片200の先端を越えて突出するようにしてもよい。室外側辺20と室内側辺21の先端側の折り曲げ片200、210の外側には、それぞれ高さ方向に延びる長尺状の弾性ゴムからなるフィン26が形成されている。また、ガイド部2は、開口部上方の収納空間に延びる上側延出部2´を備えている。
図5に示すように、各パネル1の幅方向端部は、室外側の水平方向押圧部材23と、室内側の水密ゴム部材24と、の間の開口に受け入れられており、幅方向端部から突出する支軸10の先端のガイドローラ11の室外側周面は、ガイド体2の底部側に設けたガイド部材25に接触ないし近接している。チェーン3を上下動させることで、各パネル1は、室外側面部、室内側面部がそれぞれフィン26と接触しながら、幅方向両端の支軸10のガイドローラ11の室外側周面がガイド部材25に、幅方向両端が水密ゴム部材24に、それぞれ案内されて、垂直方向に上下動する。ガイドローラ11の室外側周面がガイド部材25に接触することによって、通常開閉時及び通常の全閉状態において、金属製の水平方向押圧部材23とパネル1の幅方向端部との接触が規制されている。
水平方向押圧部材23と水密ゴム部材24とは、これらの間にパネル1の幅方向端部を介在して対向しており、また、ガイドローラ11の室内側周面はフリー(部材によって案内されない)であり、パネル1が室内側へ移動することに応じてガイドローラ11も室内側へ移動可能となっており、水平方向押圧部材23によってパネル1の端部を室内側へ押圧することで、パネル1の室内側面部の幅方向端部(水密ゴム17を含む)が水密ゴム部材24に圧接され、シャッターカーテン幅方向両端部の高さ方向に亘る止水構造が得られる。この時、パネル1の室内側面部101よりも僅かに突出する厚さを備えた水密ゴム17が水密ゴム部材24に圧接して厚さ方向に圧縮して、室内側面部101と水密ゴム17が面一となる。図20の下方の図において、左図(止水状態)では、水平方向押圧部材23がパネル1の室外側面部100に押圧接触しており、パネル1の室内側面部101が水密ゴム部材24に圧接されており、右図(非止水状態)では、水平方向押圧部材23とパネル1の室外側面部100、パネル1の室内側面部101と水密ゴム部材24は、それぞれ近接しているものの押圧状態にはない。このように、ガイド体2の内部に、ガイドローラ11に室外側からのみ接触可能なガイド部材25を設けたことで、第2圧迫機構8の圧迫動作によるパネル1の室内側面部101(水密ゴム17を含む)と水密ゴム部材24との圧接を許容する一方、ガイドローラ11がガイド部材25に接触することで、パネル1の昇降時に水平方向押圧部材23とパネル1の室外側面部100が接触することが規制されている。
シャッターカーテンの垂直圧迫状態において、水密ゴム12が上下隣接するパネル1間を水密状態に閉塞し、水密ゴム13が最下端のパネル1の下端と床面との間の水密状態に閉塞する。垂直圧迫状態にあるシャッターカーテンがさらに水平方向に圧迫されて、水平圧迫状態となると、パネル1の室内側面部101及び水密ゴム17が水密ゴム部材24に圧接されて、開口幅方向両端部を水密状態に閉塞する。このようにシャッターカーテンが圧迫状態(垂直圧迫状態兼水平圧迫状態)となると、上下のパネル間が水密状に閉塞されると共に、シャッター装置の三方(左右のガイド体2内に位置するシャッターカーテンの幅方向両端部及びシャッターカーテン下端)の水密ゴム13、24によって室内側空間への浸水を防ぐ止水ラインが形成される。
[B−2]圧迫機構
全閉状態のパネルシャッターに対して止水構造を付与することで防水扉を構成することができる。本実施形態では、全閉状態のパネルシャッターを止水状態とする手段は、全閉状態にある各パネル1を垂直方向に下方に圧迫する第1圧迫機構7と、第1圧迫機構7によって垂直方向に圧迫された全パネル1を一体で室内側へ向かって水平方向に圧迫する第2圧迫機構8とからなる。
図1〜図3に示すように、開口部上方の収納空間には開口幅方向に亘って複数の第1圧迫機構7が設けてある。図12〜図15に示すように、第1圧迫機構7は、開口部上方の収納空間に配置したアクチュエータとして例示するパワーシリンダ70と、パワーシリンダ70のピストンロッド71の先端に設けられ、全閉状態の最上位のパネル1の上端に当接して押圧する押圧部(リンク機構からなる)72と、を備えている。開口部全閉状態において、ピストンロッド71を下降させ、押圧部72を最上位のパネル1の上端に当接させて下方に向かって押圧することで、全閉状態にある各パネルを下方に向かって垂直に圧迫する。
第1圧迫機構7は、開口部上方の収納空間におけるパネル1の昇降を妨げないように、パネル1の昇降経路に対して室外側に偏倚して設けてある。したがって、全閉状態の最上位のパネル1の上端を押圧するために、パワーシリンダ70のロッド71は斜め下方に向かって突出するが、リンク機構からなる押圧部72によって、最上位のパネル1の上端に対して垂直方向に押圧力が作用するようになっている。
図13〜図15に示すように、押圧部72は、第1圧迫機構7のフレームに固定された水平状のベース720と、ベース720の基端側に一端が連結された第1リンク721と、ベース720の先端側に一端が連結された第2リンク722と、第1リンク721と第2リンク722の他端同士を連結する第3リンク723と、を備えている。ピストンロッド71の先端は第3リンク723に連結されており、第3リンク723の下面が全閉状態の最上位のパネル1の上端に当接して押圧するようになっている。図15に示すように、ピストンロッド71は傾斜姿勢で往復動するが、往復動時において、第3リンク723の下面は常に水平を保つようになっている。なお、図示のリンク機構は1つの実施形態であって、他の構成の押圧部を用いてもよい。図13、図14を対比すると明らかなように、第1圧迫機構7のパワーシリンダ70が非作動時(非圧迫姿勢)にある時には、パワーシリンダ70はシャッター芯Cから離れて位置しており、シャッターカーテンの通常の昇降動作を妨げないようになっており、第1圧迫機構7のパワーシリンダ70が作動時時(圧迫姿勢)にある時には、パワーシリンダ70はシャッター芯C上に位置しており、全閉状態にあるシャッターカーテンの上端を良好に押圧できるようになっている。
図12〜図14に示すように、第1圧迫機構7は、第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74を備えている。図12に示すように、正面視において、第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74は、ピストンロッド71を挟んで反対側に設けてある。第1圧迫機構7が非作動時にある時は、第1圧迫機構7の可動部の部分が第1リミットスイッチ73に接触しており、第2リミットスイッチ74は非接触状態にある。第1圧迫機構7が作動して、ロッド71が所定の圧迫位置まで突出すると、第1リミットスイッチ73が非接触状態となり、可動部の部分が第2リミットスイッチ74に接触する。本実施形態では、第1リミットスイッチ73がOFF→ONとなった時が第1圧迫機構7の圧迫解除時であり、第2リミットスイッチ74がOFF→ONとなった時が第1圧迫機構7の圧迫完了時である。本実施形態では、第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74に接触する第1圧迫機構7の可動部は、ロッド71に連動して動く押圧部72(図示の態様では、リンク機構の第2リンク722)であるが、ロッド71が直接リミットスイッチに接触するものでもよい。
第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74は、垂直圧迫状態検知手段を構成する。具体的には、第1リミットスイッチ73がON(第2リミットスイッチ74がOFF)の場合は非垂直圧迫状態であり、第1リミットスイッチ73がOFF、第2リミットスイッチ74がOFFの場合は垂直圧迫動作中あるいは垂直圧迫解除動作中であり、第2リミットスイッチ74がON(第1リミットスイッチ73がOFF)の場合は垂直圧迫状態であることが検知される。
図1、図2に示すように、本実施形態では、開口幅方向に間隔を設けて3つの第1圧迫機構7が設けてある。より詳しくは、開口幅方向の中央に1つの第1圧迫機構7が設けてあり、左右のガイド体2側に寄った位置にそれぞれ第1圧迫機構7が設けてあり、中央の第1圧迫機構7と左側の第1圧迫機構7との間隔と、中央の第1圧迫機構7と右側の第1圧迫機構7との間隔は同一である。第1圧迫機構7の数は限定されず、パネル1の幅寸法(開口幅寸法)等に応じて適宜数が選択される。
図1〜図3に示すように、開口部上方の収納空間には開口幅方向の左右端部に位置してそれぞれ第2圧迫機構8が設けてある。第1圧迫機構7と同様に、第2圧迫機構8は、開口部上方の収納空間におけるパネル1の昇降を妨げないように、パネル1の昇降経路に対して室外側に偏倚して設けてある。図16〜図18に示すように、第2圧迫機構8は、開口部上方向の収納空間に配置したアクチュエータとして例示するパワーシリンダ80と、パワーシリンダ80のピストンロッド81の上下動に連動する水平方向押圧部材23と、を備えている。水平方向押圧部材23は、全体として断面視長方形状に形成されており、ガイド体2の室外側辺20の先端側の内面に位置して設けられている。
図19〜図21に示すように、水平方向押圧部材23は、ガイド体2に沿って垂直に延びる断面視コ字状で長尺状の第1部材(室外側部材)230と、ガイド体2に沿って垂直に延びる断面視コ字状で長尺状の第2部材(室内側部材)231と、を備えている。第1部材230はガイド体2の室外側辺20に図示しない螺子で連結されており、第1部材230が固定要素、第2部材231が可動要素となっている。第2部材231は、垂直状の押圧面2310を備えており、圧迫時には、押圧面2310がパネル1の室外側面部100に当接して室内側へ向かって押圧する。図17、図18に示すように、押圧面2310の上端部位はテ―パ状の傾斜面2311となっている。傾斜面2311を設けたことで、シャッターカーテンの通常の昇降時に、仮に開口部上方部位に位置するパネル1が室外側方向に揺れても、パネル1と第2部材231(非圧迫状態)が接触することが無いようになっている。また、傾斜面2311を設けたことで、シャッターカーテンの下降時に、下降するパネル1の下端が第2部材231の上端に引っ掛らずスムーズに下降する。第2部材231は、以下に述べるリンク機構、作動機構を介して第1部材230に対して水平方向に離間・接近するようになっている。
リンク機構は、第1リンク232と、第2リンク233と、を備え、第1リンク232と第2リンク233の角度を変えることによって、第1部材230に対して第2部材231が水平方向に離間・接近するようになっている。第1部材230には、高さ方向に所定間隔で第1リンク232の第1端部が第1軸2320を介して回転自在に連結されており、第2部材231には、高さ方向に所定間隔で第2リンク233の第1端部が第2軸2330を介して回転自在に連結されており、第1リンク232の第2端部と第2リンク233の第2端部は、第3軸2340を介して回転自在に連結されている。
図21に示すように第1リンク232、第2リンク233は共にブロック状のリンクブロックである。第1リンク232の第1端部には、ブロックを貫設するように第1軸2320が設けてあり、第2リンク233の第1端部には、ブロックを貫設するように第2軸2330が設けてある。第1リンク232の第2端部は離間対向する一対の片からなり、当該一対の片の間に、第2リンク233の第2端部を回転可能な状態で挟持している。第2リンク233の第2端部は離間対向する一対の片からなり、当該一対の片の間に作動ロッド234を挟持しており、作動ロッド234に対しする第2リンク233の第2端部の回転は許容されている。
作動ロッド234は、ガイド体2に沿って垂直に延びる長尺状の部材であり、1つの態様では、複数の長尺状部材を上下方向に接続することで形成されている。作動ロッド234には、高さ方向に所定間隔で第3軸2340が連結されており、上端側がパワーシリンダ80のピストンロッド81の先端に連結されている。すなわち、作動ロッド234と作動ロッド234を上下動させるパワーシリンダ80から作動機構が構成されている。パワーシリンダ80はピストンロッド81を下方に向けて配置されており、ピストンロッド81は、連結機構を介して作動ロッド234の上端に連結されている。図16〜図18に示すように、連結機構は、リンク82と、リンク82の長さ方向中途部位を軸82´を介して回動自在に支持するベース820と、からなり、シリンダロッド81の下端はリンク82の第1端部に回転自在に連結され、作動ロッド234の上端はロッドヘッド2341、吊持ロッド2342を介して、リンク82の第2端部に回転自在に連結されており、ピストンロッド81の下方への突出動作に連動して、作動ロッド234が引き上げられるように構成されている。第1端部と軸82´との距離は、第2端部と軸82´との距離よりも大きく、てこの原理で、より大きい力で作動ロッド234を引き上げるようになっている。
第1部材230には、リンク機構に対応するように、高さ方向に所定間隔で一対のガイド235が設けてあり、ガイド235に形成されたガイド溝236によって、第2軸2330、第3軸2340が案内されるようになっている。より具体的には、図20右図に示すように、ガイド溝236は、室内側に向かう水平溝2360と、水平溝2360の室外側に位置して形成された傾斜溝2361と、からなり、傾斜溝2361は、室内側に向かって上向き傾斜状となっている。第2軸2330は水平溝2360に案内され、第3軸2340は傾斜溝2361に沿って移動する。第2軸2330にはガイドローラ2331が設けてあり、第2軸2330はガイドローラ2331が水平溝2360に案内されて水平方向に往復動するようになっている。すなわち、作動ロッド234の上動に連動して第2部材231が水平方向に移動して押圧面2310によってパネル1の室外側面部100を押圧し、室内側面部101を水密ゴム部材24に圧接するように構成されている。
本実施形態では、図17の姿勢から、ピストンロッド81を下方に突出させて図18の姿勢とすることで、作動ロッド234が垂直状に引き上げられ、作動ロッド234の上動に連動して、第2部材231が第1部材230から離れるようにパネル1に向かって押し出されてパネル1の幅方向端部の室外側面部100に当接し、パネル1の室内側面部101が水密ゴム部材24を圧迫することで、第1圧迫機構7によって垂直方向に圧迫された全パネル1を一体で室内側に向かって圧迫する。
本実施形態では、第2圧迫機構8の圧迫動作時には、パワーシリンダ80が作動ロッド234を引き上げることで、作動ロッド234が引張力を受けながら水平方向押圧部材23(第2部材231)によりパネル1を水平方向に圧迫するように構成されている。このように、シャッターカーテンの水平方向圧迫時には、作動機構の1つの要素である作動ロッド234に引張力が作用するので、作動ロッドを垂直方向に押圧して当該作動ロッドに圧縮力を作用させる場合に比べて、作動ロッド234の座屈を考慮する必要がなく、作動ロッド234をより強度が小さい(断面寸法がより小さく、より省スペースで済む)、より軽量な部材から構成することが可能となる。
図16〜図18に示すように、第2圧迫機構8は、第1リミットスイッチ83及び第2リミットスイッチ84を備えている。第2圧迫機構8が非作動時にある時は、第2圧迫機構8の可動部の部分(リンク82に突設させた突起821)が第1リミットスイッチ83に接触しており、第2リミットスイッチ84は非接触状態にある。第2圧迫機構が作動して、ロッド81が所定の圧迫位置まで突出すると、第1リミットスイッチ83が非接触状態となり、可動部の部分(リンク82に突設させた突起821)が第2リミットスイッチ84に接触する。本実施形態では、第1リミットスイッチ83がOFF→ONとなった時が第2圧迫機構8の圧迫解除時であり、第2リミットスイッチ84がOFF→ONとなった時が第2圧迫機構8の圧迫完了時である。第1リミットスイッチ83、第2リミットスイッチ84に接触する第2圧迫機構8の可動部の部分としてリンク82に突設させた突起821を示したが、可動部の部分は、ロッド81、リンク82自体、リンク82と作動ロッド234との連結機構等であってもよい。
第1リミットスイッチ83、第2リミットスイッチ84は、水平圧迫状態検知手段を構成する。具体的には、第1リミットスイッチ83がON(第2リミットスイッチ84がOFF)の場合は非水平圧迫状態であり、第1リミットスイッチ83がOFF、第2リミットスイッチ84がOFFの場合は水平圧迫動作中あるいは水平圧迫解除動作中であり、第2リミットスイッチ84がON(第1リミットスイッチ83がOFF)の場合は水平圧迫状態であることが検知される。
[C]補強中柱
[C−1]補強中柱の概要
図1〜図4に示すように、本実施形態では、防水扉は可動の中柱9を備えている。中柱9は、止水状態にあるシャッターカーテンを室内側から支持する補強中柱であって、全閉状態にあるパネル1の室内側に位置して、パネル1の室内側面部101に近接対向して設置される。本実施形態では、防水扉は、3本の中柱9を備える態様(図1)、2本の中柱9を備える態様(図2)、1本の中柱9を備える態様(図3)について開示する。なお、中柱9の本数は限定されず、パネル1の幅寸法(開口幅寸法)や水圧(水位の高さ)等に応じて適宜数が選択される。1本の中柱9を設ける場合には、パネル1の幅方向を2等分した位置に中柱9が設置され、2本の中柱9を設ける場合には、パネル1の幅方向を3分割した位置に2本の中柱9がそれぞれ設置され、3本の中柱9を設ける場合には、パネル1の幅方向を4分割した位置に2本の中柱9がそれぞれ設置される。本明細書において、中柱を総称して「9」で示すが、複数本の中柱が設けられる場合に各中柱の識別が必要な場合には、2本の場合には9A、9B、3本の場合には9A、9B、9Cで示す。また、収納位置にある中柱を9´、9A´、9B´、9C´で示す。
中柱9は、開口部上方に位置して開口幅方向に延びるハンガーレール90に沿って収納位置と設置位置との間で移動可能となっている。ハンガーレール90は、水平状かつ開口幅方向に延びる長尺部材であり、開口部の全幅に亘って延びており、長さ方向の端部は、少なくとも、中柱9の収納位置(開口部の幅方向端部でガイド体2の室内側の位置)に対応する位置まで延びている(図45参照)。中柱9の上端にはハンガーローラ91を備えた吊持軸910が設けてあり、中柱9はハンガーローラ91がハンガーレール90に沿って移動することで、収納姿勢(ガイド体2の室内側に位置する)と設置姿勢(全閉状態にあるパネル1の室内側面部101に対向する)との間で移動可能となっている。
1つの態様では、中柱9の設置は、全閉姿勢にあるシャッターカーテンを止水状態(垂直方向圧迫及び水平方向圧迫)とした後に、中柱9を収納位置から設置位置に移動させて、シャッターカーテンの室内側面部に近接対向させて設置する。なお、本実施形態では、設置位置にある中柱9と全閉姿勢(非水平圧迫状態及び水平圧迫状態)にあるシャッターカーテンの室内側面部との間には隙間が形成されており、設置姿勢の中柱9は、シャッターカーテンの降下、全閉姿勢にあるシャッターカーテンの垂直方向圧迫動作及び水平方向圧迫動作の妨げとはならないので、中柱9の設置のタイミングは特に限定されない。
[C−2]補強中柱の構成
図22に示すように、中柱9には、上側係止ロッド92が、中柱9の上端面97から上方に突出可能に設けてある。上側係止ロッド92は、中柱9の収納時及び移動時には、退避姿勢(例えば、上側係止ロッド92の上端が中柱9の上端面97から上方に突出しない姿勢、具体的には、上側係止ロッド92の上端が中柱9の上端面97とほぼ同じレベルか、あるいは、上端面97よりも低いレベルにある)にある。設置時において、退避姿勢にある上側係止ロッド92を上方に突出させて突出姿勢(係止姿勢)とすることで、上側係止ロッド92を開口部上方の受部材193の係止受孔920に係止させるようになっている(図25参照)。
中柱9には、下側係止ロッド93、94が、中柱9の下端面98から下方に突出可能に設けてある。下側係止ロッド93、94は、中柱9の収納時及び移動時には、退避姿勢(例えば、下側係止ロッド93、94の下端が中柱9の下端面98から下方に突出しない姿勢、具体的には、下側係止ロッド93、94の下端が中柱9の下端面98と同じレベルか、あるいは、下端面98よりも高いレベルにある)にあり、設置時において、退避姿勢にある下側係止ロッド93、94を下方に突出させて突出姿勢(係止姿勢)とすることで、下側係止ロッド93、94を、床面に埋設した受部材ユニット99の係止受孔930、940にそれぞれ係止させるようになっている。
中柱9の設置姿勢において、2本の下側係止ロッド93、94は、室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に並んでおり、下側係止ロッド93が全閉姿勢のパネル1の室内側面部101に近い側に位置し、下側係止ロッド94が全閉姿勢のパネル1の室内側面部101から遠い側に位置する。中柱9の設置姿勢において、上側係止ロッド92と下側係止ロッド93は、同一鉛直軸上に位置している。中柱9の設置姿勢において、係止姿勢にある上側係止ロッド92は、ハンガーローラ91の吊持軸910に対して、パネル1の室内側面部101に近い側に位置している。中柱9の設置姿勢において、吊持軸910と下側係止ロッド94は、同一鉛直軸上に位置している。
中柱9には操作レバー95が設けてあり、操作レバー95は、リンク機構96を介して、1本の上側係止ロッド92、2本の下側係止ロッド93、94に連結されている。操作レバー95は、収納時、移動時では第1の位置(上側に回動した位置)にあり、設置位置まで移動した中柱9において、操作レバー95を第2の位置(下側に回動した位置)へと回動操作すると、リンク機構96を介して、上側係止ロッド92が中柱9の上端面97から上方に突出して係止受孔920に係止し、下側係止ロッド93、94が中柱9の下端面98から下方に突出して、それぞれ、係止受孔930、940に係止する。1つのレバーの回動操作で、上方かつ下方にロッドを突出させるようなリンク機構は当業者に良く知られているので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、下側係止ロッド93の下端が、下側係止ロッド94の下端よりも僅かに下方に位置するようになっており、その位置関係で中柱9の下端面98から下方に突出する。具体的には、下側係止ロッド93、94の上端は同じレベルにあり、下側係止ロッド93の長さが、下側係止ロッド94の長さよりも僅かに長く形成されている(図22、25参照)。操作レバー95の回動操作で、上側係止ロッド92、下側係止ロッド93、94を係止受孔920、930、940に係止させる際に、下側係止ロッド93を、係止受孔930に軽く係止させた状態で、中柱9の下端部位の位置を微調整しながら下側係止ロッド94を係止受孔940に位置合わせして係止させることができ、スムーズに係止状態を得ることができる。
中柱9は、断面視長方形状を有し、開口高に略相当する高さを備えた長尺部材であり、図22に示すように、上端面97、下端面98、及び、4つの側面(第1面900、第2面901、第3面902、第4面903)、を備えている。平面視において、対向する第1面900、第2面901が短辺であり、対向する第3面902、第4面903が長辺である。本明細書において、第1面900と第2面901を結ぶ線を長軸、第3面902と第4面903を結ぶ線を短軸という。中柱9は、長軸に沿った第1幅、短軸に沿った第2幅(<第1幅)を有している。
中柱9の吊持位置、すなわち、吊持軸910は、中柱9の長軸方向に、第1幅の中間地点よりも、第2面901に寄った位置にある。中柱9は、吊持軸910を中心に回転可能となっている。設置姿勢を示す図25と収納姿勢を示す図26を対比すれば明らかなように、設置姿勢では、中柱9の第1面900がパネル1の室内側面部101に近接しており、収納姿勢では、中柱9は吊持軸910を中心に180度回転した姿勢にあり、中柱9の第2面901が室外側に向かって対向するようになっている。
中柱9の収納時、移動時においては、中柱9の第2面901をパネル1の室内側面部101に近い側、中柱9の第1面900をパネル1の室内側面部101から遠い側とすることで、中柱9の第2面901とパネル1の室内側面部101との間に十分な間隔が形成され、中柱9とパネル1の接触が防止され、中柱9のスムーズな移動を可能とする。
中柱9の設置姿勢では、設置位置まで移動した中柱9を、吊持軸910を中心に、軸回りに回転させて、中柱9の第1面900をパネル1の室内側面部101に近い側、中柱9の第2面901をパネル1の室内側面部101から遠い側とすることで、中柱9の第1面900をパネル1の室内側面部101に近接対向させる。こうすることで、垂直方向及び水平方向に圧迫されて止水状態にあるシャッターカーテンに室外側から水圧が作用した場合には、シャッターカーテンの室内側面部(パネル1の室内側面部101)が中柱9の第1面900に当接し、中柱9は、止水状態にあるパネル1と協働して、止水状態にあるパネル1に作用するであろう水圧に良好に対抗する。
本実施形態では、全閉状態にあるパネル1の非水平圧迫状態において、中柱9の第1面900とパネル1の室内側面部101とは隙間G1で離間している。さらに、全閉状態かつ垂直圧迫状態にあるパネル1の水平圧迫状態においても、中柱9の第1面900とパネル1の室内側面部101とは隙間G2(<G1)で離間している。隙間G1については図25に示すが、隙間G2は図示しない。本実施形態では、水平圧迫によるパネル1の室内側への移動距離は数ミリのオーダである。
パネル1が水平圧迫状態(全閉状態兼垂直圧迫状態)にある場合であっても、パネル1の室内側面部101と設置姿勢にある中柱9の第1面900との間に隙間G2を形成することで、パネル1に水圧が作用しない状態で、パネル1の室内側面部101と中柱9の第1面900が接触して、パネル1に疵が付くようなことを防止する。パネル1の水平圧迫状態(全閉状態兼垂直圧迫状態)において、パネル1の室内側面部101と中柱9の第1面900との間に隙間を形成することで、水平圧迫完了後であっても、水平圧迫を解除することなく、設置姿勢にある中柱9を収納姿勢へ移動させることができる。水平圧迫状態であっても、パネル1の室外側面部100に水圧が作用しない時には、パネル1によって中柱9が押されて不必要な力が中柱9に作用することがなく、水平圧迫状態(全閉状態兼垂直圧迫状態)にあるパネル1の室外側面部100に水圧が作用した時には、室内側へ変形したパネル1の室内側面部101が中柱9に当接することで、止水状態にあるパネル1と中柱9とで水圧に対抗するようになっている。
同様に、パネル1が非水平圧迫状態にある場合に、パネル1の室内側面部101と設置姿勢にある中柱9の第1面900との間に隙間G1が形成されているので、パネル1の室内側面部101と中柱9の第1面900との接触が防止され、また、中柱9を設置した状態で、シャッターカーテンの開閉操作も可能である。
床面には、中柱9の設置位置に対応して、受部材ユニット99が埋設されている。受部材ユニット99は、室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に間隔を存して形成された係止受孔930、940を備えた受箱990を有している。平面視において、係止受孔930が全閉姿勢にあるパネル1の室内側面部101に近い側、係止受孔940が全閉姿勢にあるパネル1の室内側面部101から遠い側に位置している。受部材ユニット99は、受箱990の上面を塞ぎ、係止受孔930、940を隠蔽する蓋体991を備えており、蓋体991が閉鎖姿勢にある時には、蓋体991の上面と床面は同一面上にある。
蓋体991の先端側(開口幅方向の一側)には、第1係止片992、基端側(開口幅方向の他側)には、第2係止片993が形成されており、蓋体991の閉鎖姿勢において、第1係止片992が、受箱990の第1被係止部995、第2係止片993が、受箱990の第2被係止部996に、それぞれ係止している。第1係止片992は、蓋体991に形成されたカギ孔997からのキー操作によって回動可能であり、第1係止片992を回動させて第1被係止部995との係止状態を解除し、蓋体991の先端側を斜め上方に持ち上げることで、第2係止片993と第2被係止部996との係止状態も解除され、蓋体991を取り外すことができる。
受箱990には、蓋体991の基端側に位置して、溝部994が形成されている。溝部994は、係止受孔930、940に対して、中柱9の収納位置側とは反対側に形成されており、室内外方向(開口幅方向と直交する方向)に延びている。取り外した蓋体991を、垂直姿勢において、蓋体991の上面が係止受孔930、940に近い側、第1係止片992が形成されている蓋体991の下面が係止受孔930、940から遠い側に位置させて、溝部994に差し込み、この垂直姿勢が保持される。設置位置にある中柱9において、中柱9の垂直面である第3面902の下端部位を、垂直姿勢の蓋体991の垂直面である上面に当接させることで、係止受孔930、940の直上に下側係止ロッド93、94が位置するようになっている。
このように、全閉状態(垂直圧迫状態兼水平圧迫状態)のシャッターカーテンの室内側に位置して中柱9を配置することで、止水状態において、シャッターカーテンに作用し得る水圧に対抗するようにしている。室外側からの水圧によってシャッターカーテンが室内側に膨出状に変形した時には、シャッターカーテンの室内側面部(パネル1の室内側面部101)が中柱9の第1面900に当接支持されて、止水状態にあるパネル1と中柱9によって、止水状態にあるシャッターカーテンの過度の変形が防止され、もって、止水状態が維持される。中柱9は、断面視長方形状の長尺部材であり、本実施形態では、設置姿勢にある中柱9の長軸方向が室内外方向となっており、室外側から室内側へ作用する水圧に十分に対抗できるようになっている。
[C−3]補強中柱の移動手段(ハンガーローラとハンガーレール)
図23に示すように、中柱9の上端面97から上方に突出する吊持軸910にはベース910´が設けてあり、4つのハンガーローラ91がベース910´に対して回動自在に支持されている。より具体的には、室内外方向(開口幅方向と直交する方向)に対向する一対のハンガーローラ91が吊持軸910を挟んで開口幅方向に2組配置することで4つのハンガーローラ91を構成しており、ベース910´と4つのハンガーローラ91からローラアセンブリを構成している。中柱9は、吊持軸910を中心に回転可能となっており、設置姿勢(図25)と収納姿勢(図26)で180度異なる向きとなっている。
図27、図28に示すように、ハンガーレール90は、長さ方向に間隔を存して配置した複数の支持ブラケット18に抱持されており、支持ブラケット18はレールベース19に固定されており、レールベース19はハンガーレール90の上方に位置して開口幅方向に延びる支持部材192に固定されている。ハンガーレール90、支持ブラケット18、レールベース19、支持部材192からレールアセンブリを構成している。
ハンガーレール90は、開口幅方向に延びる長尺部材であり、図27に示すように、水平状の上辺9000と、上辺9000の幅方向(室内外方向、ないし、長さ方向に直交する方向)端部からそれぞれ下方に延びる垂直状の第1辺9001、第2辺9002と、第1辺9001の下端に形成された第1レール辺9003と、第2辺9002の下端に形成された第2レール辺9004と、を備えている。第1レール辺9003と第2レール辺9004との間には開口幅方向(ハンガーレール90の長さ方向)に延びる隙間が形成されており、中柱9の吊持軸910は、隙間を通って移動するようになっている。第1レール辺9003上を室内外方向に対向する一対のハンガーローラ91の一方(図27における右側)のハンガーローラ91が、第2レール辺9004上を他方(図27における左側)のハンガーローラ91が走行するようになっている。なお、図27では省略されているが、ハンガーレール90の第1レール辺9003、第2レール辺9004の下面は、天井面CL(図4参照)と略同じ高さ(本実施形態では、天井面CLよりも少し下方に位置している)に位置している。
図示の態様では、支持ブラケット18は、短片である。支持ブラケット18は、水平状の上辺180と、上辺180の幅方向(室内外方向)端部からそれぞれ下方に延びる垂直状の第1辺181、第2辺182と、第1辺181の下端に形成された水平状の第1支承辺183と、第2辺182の下端に形成された水平状の第2支承辺184と、を備えている。支持ブラケット18の内部空間の断面寸法は、ハンガーレール90の外形の断面寸法よりも大きく、ハンガーレール90を抱持ように支持する。抱持状態において、支持ブラケット18の第1辺181の内面はハンガーレール90の第1辺9001の外面に近接ないし接触しており、支持ブラケット18の第2辺182の内面はハンガーレール90の第2辺9002の外面に近接ないし接触しており、支持ブラケット18の第1支承辺183はハンガーレール90の第1レール辺9003に下方から当接して支持し、支持ブラケット18の第2支承辺184はハンガーレール90の第2レール辺9004に下方から当接して支持している。
レールベース19は、水平部190と垂直部191とから断面視L形状を有しており、支持ブラケット18と略同じ幅寸法の短片である。レールベース19は、水平部190が支持部材192に固定(溶接や螺子止め等)されており、垂直部191には、支持ブラケット18の第1辺181が固定(溶接や螺子止め等)されている。支持部材192の長さ方向の所定部位(中柱9の設置位置に対応する部位)には、係止受孔920が形成された受部材193が固定(溶接や螺子止め等)されている。
ハンガーレール90は、開口幅の全幅に亘って延びるが、中柱9の取り付けやメンテナンス時の取り外しを良好に行うべく、長さ方向の一部が中間ハンガーレール90´として脱着可能となっている(図28では、中間ハンガーレール90´は省略されている)。図29に示すように、中間ハンガーレール90´を設けることで、ハンガーレール90は、第1部分90Aと、第2部分90Bと、第1部分と第2部分との間の中間ハンガーレール90´と、に分割される。中間ハンガーレール90´は、少なくとも、当該中間ハンガーレール90´を取り外した時のスペースが中柱9を取り外しできる程度の寸法となるような長さ寸法を備えていればよく、比較的短尺で良い。
中間ハンガーレール90´は、ハンガーレール90の第1部分90A及び第2部分90B(中柱9が走行する主ハンガーレールである)と同一の断面形状・寸法を備えており、水平状の上辺9000と、上辺9000の幅方向(室内外方向、ないし、長さ方向に直交する方向)端部からそれぞれ下方に延びる垂直状の第1辺9001、第2辺9002と、第1辺9001の下端に形成された第1レール辺9003と、第2辺9002の下端に形成された第2レール辺9004と、からなる。
中間ハンガーレール90´は、長さ方向端縁を、それぞれ、第1部分90Aの長さ方向端縁、第2部分90Bの長さ方向端縁に近接(若干の隙間がある)あるいは当接させた状態で、ジョイント194と螺子195によって、第1部分90A、第2部分90Bに連結される。螺子195は、中柱9の吊持軸910が通るハンガーレール下方の隙間(第1レール辺9003と第2レール辺9004の間の隙間)からドライバーを差し入れることで締緩可能であり、当該隙間を利用して螺子195を締めたり、緩めたりすることができる。ジョイント194は、上辺1940と、垂下辺1941、1942とから断面視略コ字形状を有しており、上辺1940は、ハンガーレール90(第1部分90A、第2部分90B、中間ハンガーレール90´)の上辺9000よりも若干大きい幅寸法となっている。ジョイント194の長さ方向の一方の半部は、第1部分90Aの端部、第2部分90Bの端部にそれぞれ螺子で固定されている。ジョイント194の長さ方向の他方の半部は、第1部分90Aの端部、第2部分90Bの端部から持ち出し状に延出している。1つの態様では、ジョイント194の上辺1940の長さ方向半部を第1部分90Aの上辺9000の長さ方向端部、第2部分90Bの上辺9000の長さ方向端部に当接させて螺子で固定されるが、固定手段は限定されず溶接でもよい。
中間ハンガーレール90´の長さ方向端縁を、それぞれ、第1部分90Aの長さ方向端縁、第2部分90Bの長さ方向端縁に当接させた時には、中間ハンガーレール90´の上辺9000の長さ方向両端部は、それぞれ、ジョイント194の上辺1940の他方の長さ方向半部に下方から当接した状態となり、この当接状態において、下方から螺子195によって中間ハンガーレール90´の上辺9000とジョイント194の上辺1940を連結する。この時、中間ハンガーレール90´の第1レール辺9003と第2レール辺9004との間には隙間が存在するので、この隙間から螺子195を差し込むことができる。したがって、防水扉が開口部に設置された状態において、中間ハンガーレール90´を取り外すことができ、中間ハンガーレール90´を取り外すことによって、中柱9を取り外して、メンテナンス、交換等を行うことができる。また、螺子195は中間ハンガーレール90´内に隠蔽されるため外部に露出することがなく美観上も良好である。支持ブラケット18は、中間ハンガーレール90´には設けておらず、中間ハンガーレール90´の脱着の妨げとなることがない。また、後述するように中間ハンガーレール90´は、中柱9の移動範囲外に設けられるので、中間ハンガーレール90´と第1部分90A、第2部分90Bとの連結に必ずしも大きな強度は要求されない。
図29では、中間ハンガーレール90´とハンガーレール90の第1部分90A、第2部分90Bとを連結するジョイント194をハンガーレール90の外側(上辺9000の上面)に設けているが、ジョイント194をハンガーレール90の内側(上辺9000の下面)に設けてもよい。図29Aに示す態様では、ジョイント194の一方の半部194Aが中間ハンガーレール90´の上辺9000の長さ方向端部の下面に固定(螺子止めないし溶接等)されている。ジョイント194の他方の半部194Bが中間ハンガーレール90´の長さ方向端縁から突出しており、ジョイント194の他方の半部194Bをハンガーレール90の第1部分90A、第2部分90Bの上辺9000の下面に当接ないし近接させて、螺子195によって固定する。ジョイント194(少なくとも他方の半部)の幅寸法d1は、ハンガーレール90の下方の第1レール辺9003と第2レール辺9004との間の隙間の幅寸法d2よりも小さく、螺子195を緩めてジョイント194の他方の半部194Bとハンガーレール90の第1部分90A、第2部分90Bとの連結状態を解除することによって、中間ハンガーレール90´をハンガーレール90の第1部分90A、第2部分90Bから取り外すことが可能となっている。また、ジョイント194をハンガーレール90の内側(上辺9000の下面)に設けることによって、ジョイント194をストッパーとして機能させることができる。具体的には、ジョイント194の他方の半部194Bを、中柱9のローラアセンブリが当接するような寸法・形状に形成することによって(例えば、プレート状のジョイント194の板厚を厚くしたり、あるいは、ジョイント194の他方の半部194Bを正面視L形状に形成して当該他方の半部194Bの下面に当接部を一体形成したりする)、中間ハンガーレール90´を取り外すことによって中柱9を取り外す時に、中間ハンガーレール90´を取り外す前に、うっかり中柱9を中間ハンガーレール90´まで移動させようとしても、中柱9のローラアセンブリがジョイント194の他方の半部194Bに当接するので、中柱9の移動を規制することができる。このように、ジョイント194をストッパーとして機能させることで、中柱9が中間ハンガーレール90´内を走行することによって中間ハンガーレール90´(特に連結部)が破損したり破損によって脱落したりすることを防止することができる。
[C−4]補強中柱の設置位置の位置決め
ハンガーレール90には、中柱9が所定の設置位置まで移動した時に当接して中柱9を位置決めする位置決め停止手段、いわゆるストッパーが設けてある。位置決め停止手段は、中柱9側に設けられた中柱側当接部915と、ハンガーレール90側のレール側当接部916からなる。図23に1本の中柱9を示す。中柱9のハンガーレールアセンブリには中柱側当接部915が設けてあり、ハンガーレール90の所定位置にはレール側当接部916が設けてある。1本の中柱9が開口幅端部の一側から開口幅方向の所定位置まで移動した時に、中柱側当接部915がレール側当接部916に当接して中柱9が設置位置に位置決めされて停止する。図36では、1本の中柱9が開口幅方向の中央部位において、レール側当接部916に当接している。また、図37では、2本の中柱9A、9Bがそれぞれ開口部端部の右側、左側から開口幅を3分割した時の2ヶ所のそれぞれに位置において、レール側当接部916に当接している。
しかしながら、複数本(例えば2本)の中柱9が開口部端部の同じ側に収納されており、それぞれの設置位置まで同方向に移動する場合、先の第1の中柱9の中柱側当接部915が後の第2の中柱9の所定の設置位置のレール側当接部916に当接してそれ以上移動できないため、複数本の中柱9を異なる位置に設置することができない。以下に、複数本の中柱9が同じ側に収納され、同方向に移動してそれぞれの設置位置となる場合の位置決めについて説明する。
図30に示す態様では、防水扉は3本の中柱9A、9B、9Cを備えており、3本の中柱9A、9B、9Cは、開口幅を4分割した時の3ヶ所のそれぞれに位置する設置位置と、開口幅方向の端部(図示の態様では左側)の収納位置と、の間で移動するようになっている。設置位置において、3本の中柱9A、9B、9Cのうち中柱9Aは右側に位置し、中柱9Bは中央に位置し、中柱9Cは左側に位置する。中柱9Aは、中柱9B、中柱9Cの設置位置を越えて移動し、中柱9Bは、中柱9Cの設置位置を越えて移動する。各中柱9A、9B、9Cが対応する設置位置まで移動した時に、位置決め停止手段によって設置位置で停止するようになっている。
位置決め停止手段は、中柱側に設けた中柱側当接部911と、ハンガーレール90側に設けたレール側当接部912と、からなる。レール側当接部912の固定手段としては螺子止めが例示され、レール側当接部912の取り外しが可能となっている。レール側当接部912を螺子でハンガーレール90の上辺9000の下面に固定する場合には、ハンガーレール90の第1レール辺9003と第2レール辺9004との間には隙間が存在するので、この隙間から螺子を緩めたり締めたりすることができる。図31に示すように、複数の当接部を識別するために中柱側当接部911A、911B、911C、レール側当接部912A、912B、912Cとしている。
ハンガーレール90の上辺9000の下面において、中柱9Aの設置位置で中柱9Aの中柱側当接部911Aが当接するようにレール側当接部912Aが、中柱9Bの設置位置で中柱9Bの中柱側当接部911Bが当接するようにレール側当接部912Bが、中柱9Cの設置位置で中柱9Cの中柱側当接部911Cが当接するようにレール側当接部912Cが、それぞれ固定されている。レール側当接部912の高さ寸法(上辺9000からの垂下寸法)は、大きい順に、レール側当接部912A、レール側当接部912B、レール側当接部912Cとなっている。
中柱側当接部911は、ハンガーローラアセンブリの上側に立ち上がり状に設けてあり、中柱側当接部911の高さ寸法(立ち上がり寸法)は、大きい順に、中柱側当接部911C、中柱側当接部911B、中柱側当接部911Aとなっている。すなわち、高背の中柱側当接部911C、中背の中柱側当接部911B、低背の中柱側当接部911Aとなっている。
各中柱側当接部911A、911B、911Cの立ち上がり寸法、各レール側当接部912A、912B、912Cの垂下寸法は、中柱側当接部911Aとレール側当接部912Aが当接し、中柱側当接部911Bとレール側当接部912Bが当接し、中柱側当接部911Cとレール側当接部912Cが当接する寸法となっており、かつ、中柱側当接部911Aがレール側当接部912C、912Bと当接することがなく、中柱側当接部911Bがレール側当接部912Cと当接することがない寸法となっている。このように、図30、図31に示す態様では、ハンガーローラアセンブリとハンガーレール90の上辺9000の下面との間の空間を利用している。
収納位置にある中柱9A´が設置位置へと移動する時には、中柱9Aの中柱側当接部911Aは、レール側当接部912C、912Bに当接することがなく、中柱9Aは中柱9B、中柱9Cの設置位置を越えて移動し、中柱側当接部911Aがレール側当接部912Aに当接することで位置決めされて停止する。収納位置にある中柱9B´が設置位置へと移動する時には、中柱9Bの中柱側当接部911Bは、レール側当接部912Cに当接することがなく、中柱9Bは中柱9Cの設置位置を越えて移動し、中柱側当接部911Bがレール側当接部912Bに当接することで位置決めされて停止する。収納位置にある中柱9C´が設置位置へと移動する時には、中柱側当接部911Cがレール側当接部912Cに当接することで位置決めされて停止する。
図32に示す態様では、位置決め停止手段は、中柱側に設けた中柱側当接部913と、ハンガーレール90側に設けたレール側当接部914と、からなる。図34に示すように、中柱側当接部913は、中柱9の上端面97に設けた方形状のブロックからなる。方形状のブロックは中心において吊持軸910を挿通させるように上端面97に固定されている。図35に示すように、レール側当接部914は、支持ブラケット18の下面、すなわち、第1支承辺183、第2支承辺184に固定されている。固定手段としては溶接、螺子止め等が例示されるが、強度を考慮すると溶接が望ましく、取り外しを考慮すると螺子止めが望ましい。図33に示すように、複数の当接部を識別するために中柱側当接部913A、913B、913C、レール側当接部914A、914B、914Cとしている。
ハンガーレール90の所定部位を外側から抱持するように取り付けられている支持ブラケット18の第1支承辺183、第2支承辺184には、中柱9Aの設置位置で中柱9Aの中柱側当接部913Aが当接するようにレール側当接部914Aが、中柱9Bの設置位置で中柱9Bの中柱側当接部913Bが当接するようにレール側当接部914Bが、中柱9Cの設置位置で中柱9Cの中柱側当接部913Cが当接するようにレール側当接部914Cが、それぞれ固定されている。レール側当接部914の高さ寸法(ブラケット18からの垂下寸法)は、大きい順に、レール側当接部914A、レール側当接部914B、レール側当接部914Cとなっている。
中柱側当接部913は、中柱9の上端面97に立ち上がり状に設けてあり、中柱側当接部913の高さ寸法(立ち上がり寸法)は、大きい順に、中柱側当接部913C、中柱側当接部913B、中柱側当接部913Aとなっている。すなわち、高背の中柱側当接部913C、中背の中柱側当接部913B、低背の中柱側当接部913Aとなっている。
各中柱側当接部913A、913B、913Cの立ち上がり寸法、各レール側当接部914A、914B、914Cの垂下寸法は、中柱側当接部913Aとレール側当接部914Aが当接し、中柱側当接部913Bとレール側当接部914Bが当接し、中柱側当接部913Cとレール側当接部914Cが当接する寸法となっており、かつ、中柱側当接部913Aがレール側当接部914C、914Bと当接することがなく、中柱側当接部913Bがレール側当接部914Cと当接することがない寸法となっている。このように、図32、図33に示す態様では、ハンガーレール90の下面(具体的には、支持ブラケット18の下面)と中柱9の上端面97との間の空間を利用している。
収納位置にある中柱9A´が設置位置へと移動する時には、中柱9の中柱側当接部913Aはレール側当接部914C、914Bに当接することがなく、中柱9Aは中柱9B、中柱9Cの設置位置を越えて移動し、中柱側当接部913Aがレール側当接部914Aに当接することで位置決めされて停止する。収納位置にある中柱9B´が設置位置へと移動する時には、中柱9Bの中柱側当接部913Bは、レール側当接部914Cに当接することがなく、中柱9Bは中柱9Cの設置位置を越えて移動し、中柱側当接部913Bがレール側当接部914Bに当接することで位置決めされて停止する。収納位置にある中柱9C´が設置位置へと移動する時には、中柱側当接部913Cがレール側当接部914Cに当接することで位置決めされて停止する。
上述のように、各中柱9は、所定位置まで移動した時に、中柱側当接部911、913がレール側当接部912、914に当接することで位置決め停止される。すなわち、中柱9の所定の設置位置において互いに当接する中柱側当接部911とレール側当接部912の組、中柱側当接部913とレール側当接部914の組、によって位置決め停止手段が構成されている。上述の態様では、各中柱9A、9B、9Cを所定位置で位置決め停止させるために、同種の3組の位置決め停止手段(中柱側当接部911とレール側当接部912の組、中柱側当接部913とレール側当接部914の組)を用いているが、中柱毎に異種の組からなる位置決め停止手段を用いてもよい。例えば、図40〜図42に示す態様では、中柱9Aの位置決め停止手段は、中柱側当接部911とレール側当接部912からなり、中柱9B、9Cの位置決め停止手段は、中柱側当接部915とレール側当接部916からなる。
レール側当接部916は、ハンガーレール90に対して脱着可能である。レール側当接部916は、上片と対向状の垂下片から断面視コ字形状の本体9160と、装着プレート9161と、螺子9162と、ナット9163、からなり、本体9160の垂下片の下端をハンガーレール90の第1レール辺9003、第2レール辺9004の上面に当接させ、装着プレートをハンガーレール90の第1レール辺9003、第2レール辺9004の下面に下方から当接させ、本体9160と装着プレート9161でハンガーレール90の第1レール辺9003、第2レール辺9004を上下から挟んだ状態で、本体9160の上片と装着プレート9161間に連結されている螺子9162上のナット9163を下方から締めることで、ハンガーレール90に固定される。ナット9163を緩めることで、レール側当接部916をハンガーレール90の長さ方向に移動させることができる(図42参照)。
[C−5]中間ハンガーレールの位置
上述のように、中柱9のメンテナンスや交換等のためにハンガーレール90の一部に脱着可能な中間ハンガーレールを設ける。本実施形態では、中間ハンガーレール90´を設ける位置は、ハンガーレール90上の中柱9の移動範囲(中柱9の収納位置及び設置位置によって決定される)に基づいて決定される。本実施形態では、中間ハンガーレール90´上は中柱9が移動することが無いようになっている。中間ハンガーレール90´に中柱9の荷重が作用しないことで、中間ハンガーレール90´の連結部を強固なもの(中柱9の重量を支えることができる程度)とする必要がなく、このことは連結部の構成をシンプルにすることができ、中間ハンガーレール90´の脱着作業を容易とする。設置時に中柱9を位置決め停止させる位置決め停止手段のレール側当接部912、916をハンガーレール90に対して脱着可能とすることで、中柱9の交換時やメンテナンス時には、レール側当接部912、916をハンガーレール90の長さ方向に移動させることによって、中柱9を所定の設置位置を越えて中間ハンガーレール90´が設けられる位置まで移動させることができる。
図36に示す態様では、防水扉は1本の中柱9を備えており、1本の中柱9は、開口幅の中央部位の設置位置と、開口幅方向の端部(図示の態様では右側)の収納位置と、の間で移動するようになっている。すなわち、中柱9の移動範囲は、開口部の幅方向の右半部であり、開口部の幅方向の左半部の上方に位置して中間ハンガーレール90´が設けてある。
図37に示す態様では、防水扉は2本の中柱9A、9Bを備えており、2本の中柱9A、9Bは、開口幅を3分割した時の2ヶ所のそれぞれに位置する設置位置と、設置位置に対して近い側の開口幅方向の端部の収納位置と、の間で移動するようになっている。すなわち、中柱9A、9Bの移動範囲は、開口部の幅方向を3分割してなる左側部位、中央部位、右側部位において、それぞれ左側部位及び右側部位であり、開口部の中央部位の上方に位置して中間ハンガーレール90´が設けてある。
図38に示す態様では、防水扉は2本の中柱9A、9Bを備えており、2本の中柱9A、9Bは、開口幅を3分割した時の2ヶ所のそれぞれに位置する設置位置と、開口幅方向の端部(図示の態様では右側)の収納位置と、の間で移動するようになっている。すなわち、中柱9A、9Bの移動範囲は、開口部の幅方向を3分割してなる左側部位、中央部位、右側部位において、それぞれ右側部位、中央部位及び右側部位であり、開口部の左側部位の上方に位置して中間ハンガーレール90´が設けてある。
図39に示す態様では、防水扉は3本の中柱9A、9B、9Cを備えており、3本の中柱9A、9B、9Cは、開口幅を4分割した時の3ヶ所のそれぞれに位置する設置位置と、開口幅方向の端部(図示の態様では右側)の収納位置と、の間で移動するようになっている。すなわち、中柱9A、9B、9Cの移動範囲は、開口部の幅方向を4分割してなる最左側部位、中間左側部位、中間右側部位、最右側部位において、それぞれ、最右側部位、中間右側部位及び最右側部位、中間左側部位、中間右側部位、最右側部位であり、開口部の最左側部位の上方に位置して中間ハンガーレール90´が設けてある。
図40に示す態様では、防水扉は3本の中柱9A、9B、9Cを備えており、3本の中柱9A、9B、9Cは、開口幅を4分割した時の3ヶ所のそれぞれに位置して設置される。中央に位置する中柱9Bと、一側(図示の態様では右側)の中柱9Aの収納位置は、開口幅方向の一側(図示の態様では右側)となっている。他側(図示の態様では左側)の中柱9Cの収納位置は、開口幅方向の他側(図示の態様では左側)となっている。開口部の幅方向を4分割してなる最左側部位、中間左側部位、中間右側部位、最右側部位において、中柱9Aの移動範囲は、最右側部位であり、中柱9Bの移動範囲は、中間右側部位、最右側部位であり、中柱9Cの移動範囲は、最左側部位であり、すなわち、3本の中柱9A、9B、9Cの移動範囲は、最左側部位、中間右側部位、最右側部位であり、開口部の中間左側部位の上方に位置して中間ハンガーレール90´が設けてある。
[C−6]補強中柱の収納位置の位置決め
中柱9は、開口部の幅方向端部でガイド体2の室内側に位置して収納される。床面FLには、中柱9の収納位置に対応して、受部材ユニット27が埋設されており、上方には受部材28が設けてある(図26参照)。受部材ユニット27は、室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に間隔を存して形成された係止受孔271、272を備えており、中柱9を収納位置まで移動させて、ハンドル95の回動操作によって、中柱9の下端面98から下側係止ロッド94、93が下方に突出して係止受孔271、272に係止する。同時に、中柱9の上端面97から上側係止ロッド92が上方に突出して受部材28の係止受孔280に係止する。
図38、図40に示す態様のように、2本の中柱9A、9Bが同じ側に収納される場合の位置決めについて説明する。図43〜図45に示すように、建物開口部の側方の同じ側には、ガイド体2の室内側に位置して、中柱9Aの第1の収納位置と、中柱9Bの第2の収納位置とが開口部の幅方向に連続状に配置されている。中柱9Aは建物開口部から遠い側の第1の収納位置に収納され、中柱9Bは建物開口部に近い側の第2の収納位置に収納される。床面FLには、中柱9Aが第1の収納位置まで移動した時に中柱9Aの下方部位が当接する第1位置決め当接部(第1当接部274)と、中柱9Bが第2の収納位置まで移動した時に中柱9Bの下方部位が当接する第2位置決め当接部(第3当接部276)が設けてあり、第2の位置決め当接部(第3当接部276)は、床面FL内に格納された第1の姿勢と床面FLから上方に突出した第2の姿勢をとるように構成されている。設置位置にある中柱9Aが第1の収納位置まで移動する時には、第2の位置決め当接部(第3当接部276)は第1の姿勢にあり、中柱9Aが第1の収納位置まで移動した後に、第2の位置決め当接部(第3当接部276)を第1の姿勢から第2の姿勢とし、設置位置にある中柱9Bが第2の収納位置まで移動した時に、中柱9Bの下方部位が第2の姿勢にある第2の位置決め当接部(第3当接部276)に当接して位置決めされて停止する。第1の収納位置にある中柱9Aと第2の収納位置にある中柱9Bは離間しており非接触状態にある。
中柱9A、9Bには、下側係止ロッド93、94が下端面98から下方に突出可能に設けてあり、床面FLには、第1の収納位置にある中柱9Aの下側係止ロッド93、94が係止する係止受孔271A、272A、第2の収納位置にある中柱9Bの下側係止ロッド93、94が係止する第2の係止受孔271B、272Bが、それぞれ設けてある。中柱9A、9Bには、上側係止ロッド92が上端面97から上方に突出可能に設けてあり、ハンガーレール90の長さ方向端部には、第1の収納位置にある中柱9Aの上側係止ロッド92が係止する係止受孔280A、第2の収納位置にある中柱9Bの上側係止ロッド92が係止する係止受孔280Bが、それぞれ設けてある。
本実施形態では、図38、図40に示す態様のように、2本の中柱9A、9Bが同じ側に収納される場合に用いられる受部材ユニット27について説明する。図43、図44、図46に示すように、床面FLには、中柱9A、9Bの収納位置に対応して、受部材ユニット27が埋設されている。図47に示すように、受部材ユニット27は、床面FLと略面一である平面視方形のプレート270を有しており、プレート270は、第1辺2700、第2辺2701、第3辺2702、第4辺2703を備えている。第1辺2700及び第3辺2702は室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に延びており、第2辺2701及び第4辺2703は開口幅方向に延びている。第1辺2700は開口部から遠い側に位置し、第3辺2702は開口部に近い側に位置する。第2辺2701はガイド体2に近い側に位置し、第4辺2703はガイド体2から遠い側に位置する。
プレート270には、第1辺2700寄った側に位置して、室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に間隔を存して係止受孔271A、272Aが形成されており、第3辺2702に寄った側に位置して、室内外方向(開口幅方向に直交する方向)に間隔を存して係止受孔271B、272Bが形成されている。プレート270には、係止受孔271A、272Aの下方に位置して第1受箱273Aが設けてあり、係止受孔271B、272Bの下方に位置して第2受箱273Bが設けてある。なお、第1受箱273Aと第2受箱273Bを共通の一つの受箱から形成してもよい。
プレート270には、第1辺2700に沿って垂直に立ち上がる第1当接部274、第2辺2701に沿って垂直に立ち上がる第2当接部275が形成されている。図示の態様では、第1当接部274は第1辺2700の長さの一部において形成された短辺であり、第2当接部275は第2辺2701の全長に亘って形成された長辺である。第2当接部275は、建物開口部の幅方向に延びる部材であり、中柱9A、9Bの移動時に、中柱9A、9Bの第2面901をガイドし、収納位置において、中柱9A、9Bの第2面901に近接ないし当接する。中柱9Aの第3面902が第1当接部274に当接した状態で、第2面901を第2当接部275に当接させることで、収納位置が決定され、下側係止ロッド94、93と係止受孔271A、272Aの位置合わせが行われる。第1当接部274と第2当接部275は平面視L形状の1部材から形成されているが、別個の部材から形成してもよい。
中柱9Aが収納位置まで移動すると、中柱9A(第3面902)の下端部位が第1当接部274に当接することで位置決め停止する。同時に、中柱9A(第2面901)の下端部位が第2当接部275に当接することで、中柱9Aの収納位置が決定され、この時、中柱9Aの収納姿勢にある下側係止ロッド94、93の直下に係止受孔271A、272Aが位置し、収納姿勢にある上側係止ロッド92の直上に係止受孔280Aが位置する。ハンドル95の回動操作によって、中柱9Aの下端面98から下側係止ロッド94、93が下方に突出して係止受孔271A、272Aに係止し、中柱9Aの上端面97から上側係止ロッド92が上方に突出して受部材28の係止受孔280Aに係止する。
プレート270には、係止受孔271B、272Bに対して第1辺2700側(第3辺2702から離間する側)には、第3当接部276が、プレート270(床面FL)に対して上方に突出した姿勢と、プレート270(床面FL)の下方に格納される姿勢と、の間で移動可能に設けてある。図示の態様では、第3当接部276は、いわゆる回転ストッパーであり、突出姿勢と、格納姿勢と、の間で回動可能となっている。第3当接部276は、半円板状の部材であり、格納姿勢では、プレート270の下方に位置して第2受箱273B内に退避しており、突出姿勢では、立ち上がり状の半円板状部の垂直面が当接面となる。
中柱9Bが収納される場合を除き、第3当接部276は格納姿勢にあり、中柱9Aが設置位置から収納位置まで移動する時に、中柱9Aと第3当接部276が干渉することがなく、中柱9Aの移動を妨げない。第3当接部276が突出姿勢にある時に、中柱9Bが収納位置まで移動した時には、中柱9Bの下端部位が突出姿勢にある第3当接部276に当接するようになっている。同時に、中柱9Bの下端部位が第2当接部275に当接することで、中柱9Bの収納位置が決定され、この時、中柱9Bの収納姿勢にある下側係止ロッド94、93の直下に係止受孔271B、272Bが位置し、収納姿勢にある上側係止ロッド92の直上に係止受孔280Bが位置する。ハンドル95の回動操作によって、中柱9Bの下端面98から下側係止ロッド94、93が下方に突出して係止受孔271B、272Bに係止し、中柱9Bの上端面97から上側係止ロッド92が上方に突出して受部材28の係止受孔280Bに係止する。
1つの態様では、第3当接部276は手動によって、突出姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更可能となっているが、自動で姿勢を変更してもよい。例えば、中柱9Aが収納位置まで移動したことを検知して、自動で第3当接部276を格納姿勢から突出姿勢へ回動するようにしてもよい。例えば、中柱9Aの下端部位と第1当接部274との接触や、上側係止ロッド92、下側係止ロッド94、93の1つあるいは複数が突出したことを検知することによって格納姿勢にある第3当接部276を突出姿勢としてもよい。また、中柱9Bが収納位置から移動したこと検知して、突出姿勢にある第3当接部276を格納姿勢へ変更させてもよい。例えば、中柱9Bの下端部位と第3当接部276との接触状態の解除や、上側係止ロッド92、下側係止ロッド94、93の全ての突出姿勢から収納姿勢への退避を検知することによって突出姿勢にある第3当接部276を格納姿勢としてもよい。
[D]防水扉の動作制御装置
本実施形態に係る防水扉は、建物開口部を閉鎖するシャッターカーテン(複数枚のパネル1から構成される)と、複数枚のパネル1から構成されるシャッターカーテンを垂直方向に圧迫する第1圧迫機構7と、複数枚のパネル1から構成されるシャッターカーテンを水平方向に圧迫する第2圧迫機構8と、シャッターカーテンが開口部全閉状態となったことを検知する全閉状態検知手段(例えば、下限リミットスイッチから構成される)と、シャッターカーテンが垂直圧迫状態となったことを検知する垂直圧迫状態検知手段(第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74)と、シャッターカーテンが水平圧迫状態となったことを検知する水平圧迫状態検知手段(第1リミットスイッチ83、第2リミットスイッチ84)と、を備えている。
第1圧迫機構7の圧迫動作は、前記全閉状態検知手段により開口部全閉状態が検知されていることを条件として作動し、前記垂直圧迫状態検知手段により垂直圧迫状態が検知された時に停止する。第1圧迫機構7は、当該第1圧迫機構7を圧迫動作させるための第1入力信号に基づいて圧迫動作を行い、前記第1入力信号は、前記全閉状態検知手段による開口部全閉状態非検知時あるいは前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態検知時には無効であり、前記全閉状態検知手段による開口部全閉状態検知時かつ前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態非検知時に有効である。すなわち、動作制御装置は、前記全閉状態検知手段による開口部全閉状態非検知時あるいは前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態検知時に前記第1入力信号を無効とする第1圧迫機構の圧迫動作無効手段を備えている。
第2圧迫機構8の圧迫動作は、前記垂直圧迫状態検知手段により全閉状態にある扉体の垂直圧迫状態が検知されていることを条件として作動し、前記水平圧迫状態検知手段により水平圧迫状態が検知された時に停止する。第2圧迫機構8は、当該第2圧迫機構8を圧迫動作させるための第2入力信号に基づいて圧迫動作を行い、前記第2入力信号は、前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態非検知時あるいは前記水平圧迫状態検知手段による水平圧迫状態検知時には無効であり、前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態検知時かつ前記水平圧迫状態検知手段による水平圧迫状態非検知時に有効である。すなわち、動作制御装置は、前記垂直圧迫状態検知手段による垂直圧迫状態非検知時あるいは前記水平圧迫状態検知手段による水平圧迫状態検知時に前記第2入力信号を無効とする第2圧迫機構の圧迫動作無効手段を備えている。1つの態様では、後述するように、前記第1入力信号及び前記第2入力信号は、1つのスイッチ(圧迫ボタンS4、非常閉鎖ボタンS6)からの1つの圧迫動作入力に基づいて生成される。前記1つの圧迫動作入力は、全閉状態検知時から垂直圧迫状態検知時までは第1入力信号として機能し、垂直圧迫状態検知時から水平圧迫状態検知時までは第2入力信号として機能する。垂直圧迫状態で前記1つの圧迫動作入力が行われた場合には、当該1つの圧迫動作入力は第2入力信号として機能する。
本実施形態に係る電動防水扉は、いわゆる管理用のパネルシャッターとして用いられるものであり、建物開口部の通常の開閉にも用いられ、豪雨が予想される非常時等には、防水扉として機能する。以下に述べるように、防水扉の開閉制御は、操作スイッチからの入力によって行われる。
図4に示すように、本実施形態に係る防止扉は、第1室外側スイッチボックスSB1、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3、すなわち3つの操作スイッチ、を備えている。第1室外側スイッチボックスSB1、室内側スイッチボックスSB3は、立った姿勢で操作し易いように、床面から1500mmの高さに位置して配置されている。第2室外側スイッチボックスSB2は、床面から2000mm(想定最大水位)を越える高さに位置して配置されている。
防水扉はその用途からして、シャッターカーテンによって仕切られた室外側部位に水が溜まることを前提としている。床面から2000mmを想定最大水位とした場合には、第1室外側スイッチボックスSB1は、止水時に水没ないし浸水する可能性がある。本実施形態では、第1室外側スイッチボックスSB1は、通常のスイッチボックスと同様であり、特段防水処理を施してはいない。なお、本実施形態において、第1室外側スイッチボックスSB1と室外側の光電センサ6は水没ないし浸水するおそれがあるため、第1室外側スイッチボックスSB1及び室内外側の光電センサ6の電源系統を、他の要素(第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3)の電源系統から分離することで、他の電気系統へ影響を及ぼさないようにしている。具体的な態様例では、防水扉には主電源としてAC200Vが供給され、開閉機のモータはAC200Vを用いて作動する。主電源は少なくとも2つのレギュレータを介して第1電源系統(DC24V)、第2電源系統(DC24V)に変換され、第1室外側スイッチボックスSB1及び室内外側の光電センサ6は第1電源系統によって作動し、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3は第2電源系統によって作動する。水没等によって第1電源系統に不具合が生じても、第2電源系統及び主電源に影響を及ぼさないようになっている。
図48にスイッチボックスを示す。スイッチボックスは、正面が開口状の箱体14と、箱体14の正面の開口を開閉する蓋体15と、箱体14に設けた操作パネル16と、を備え、操作パネル16には、複数の操作スイッチが設けてある。本実施形態では、操作パネル16には、開放ボタンS1、閉鎖ボタンS2、停止ボタンS3、圧迫ボタンS4、圧迫解除ボタンS5、非常閉鎖ボタンS6、が設けてある。防水扉の動作はこれらのボタンからの入力に基づいて制御される。より具体的には、ボタン入力による指示に従って、制御部を介して開閉機M(パネル1の昇降動作)、第1圧迫機構7(全閉状態にあるパネル1の垂直圧迫動作、垂直圧迫解除動作)、第2圧迫機構8(垂直圧迫状態にあるパネル1の水平圧迫動作、水平圧迫解除動作)の動作制御が行われる。以下、各ボタンについて説明する。
[開放ボタンS1(開放スイッチ)]
シャッターが圧迫解除状態(垂直圧迫解除状態かつ水平圧迫解除状態)、かつ、全開位置でない時、開放ボタンを押すとシャッターカーテンが上昇し、全開位置で停止する。本実施形態では、開放ボタンS1を押すと、開閉機Mによってチェーンを吊上げる方向にスプロケット4が回転駆動され、全閉状態(非垂直圧迫状態かつ非水平圧迫状態)あるいは半開状態にあるパネル1が上昇する。パネル1が予め決定された上限位置まで上昇すると、上限リミットスイッチにより上限位置信号が生成され、開閉機Mによる駆動が停止する。本実施形態に係る動作制御装置は、開放動作無効手段を備えており、シャッターが圧迫状態(垂直圧迫状態および/あるいは水平圧迫状態)にある時には、当該開放動作無効手段によって、開放ボタンを押しても開放動作が行われない。
[閉鎖ボタンS2(閉鎖スイッチ)]
シャッターが全閉位置でない時、閉鎖ボタンS2を押すとシャッターカーテンは下降し、全閉位置で停止する。本実施形態では、閉鎖ボタンS2を押すと、開閉機Mによってチェーンを繰り出す方向にスプロケット4が回転駆動され、全開状態あるいは半開状態にあるパネル1が下降する。パネル1が予め決定された下限位置まで下降すると、下限リミットスイッチにより下限位置信号が生成され、開閉機Mによる駆動が停止する。
[停止ボタンS3(停止スイッチ)]
シャッターの動作中もしくは、圧迫動作中および圧迫解除中に停止ボタンS3を押すと、作動中のシャッターカーテンは任意の位置で動作を停止する。より具体的には、パネル1の上昇中に停止ボタンS3が押されると上昇が停止し、パネル1の下降中に停止ボタンS3が押されると下降が停止し、圧迫動作中に停止ボタンS3が押されると圧迫動作が停止し、圧迫解除中に停止ボタンS3が押されると圧迫解除動作が停止する。
[圧迫ボタンS4(圧迫スイッチ)]
シャッターが全閉位置、かつ、圧迫状態(垂直圧迫状態かつ水平圧迫状態)でない時、圧迫ボタンS4を押すと止水構造を得るための圧迫動作を開始する。圧迫動作が完了すると圧迫ボタンS4が点灯する。本実施形態では、全閉状態(圧迫動作中に停止ボタンS3が押された場合を含む)において、圧迫ボタンS4が押されると、先ず、第1圧迫機構7が押圧作動し、全閉姿勢にある各パネル1を下方に向かって垂直に圧迫する。第1圧迫機構7の押圧作動が完了すると(第1圧迫機構7の第2リミットスイッチ74がONとなると垂直圧迫状態信号が生成される)、第2圧迫機構8が押圧作動を開始し、高さ方向に圧迫された全パネル1を一体で室内側へ向かって圧迫する。第2圧迫機構8の押圧作動が完了すると(第2圧迫機構8の第2リミットスイッチがONとなって水平圧迫状態信号が生成される)、圧迫ボタンS4が点灯(例えば、赤色点灯)する。
[圧迫解除ボタンS5(圧迫解除スイッチ)]
シャッターが圧迫状態にある時、もしくは全閉位置かつ圧迫解除状態でないとき(圧迫解除ボタンが消灯中)に、圧迫解除ボタンS5を押すと、圧迫解除動作を開始する。圧迫解除動作が完了すると圧迫解除ボタンS5が点灯する。本実施形態では、圧迫状態(圧迫解除動作中に停止ボタンS3が押された場合を含む)において、圧迫解除ボタンS5が押されると、第1圧迫機構7及び第2圧迫機構8が解除作動し、圧迫状態が解除される。1つの手順としては、圧迫解除ボタンS5が押されると、先ず、第2圧迫機構8が解除作動を開始し、第2圧迫機構8の解除動作が完了すると(第1リミットスイッチがONとなると水平圧迫状態解除信号が生成される)、第1圧迫機構7が解除作動を開始する。第1圧迫機構7の圧迫解除動作が完了すると(第1圧迫機構7の第1リミットスイッチ73がONとなると垂直圧迫状態解除信号が生成される)、圧迫解除ボタンS5が点灯(例えば、緑色点灯)する。
[非常閉鎖ボタンS6]
シャッターが全閉位置でないとき、非常閉鎖ボタンS6を押すことで、シャッターカーテンを押切動作で下降させることができる。下降中は光電センサ6の入力及びエマーゼンシスイッチ入力は無効となる。全閉位置まで下降すると自動的に圧迫動作を開始し、圧迫動作完了後、圧迫ボタンS4が点灯する。全閉位置で非常閉鎖ボタンS6を押した場合には、圧迫ボタンS4と同様の動作を行う。すなわち、非常閉鎖ボタンS6は、圧迫スイッチとしての機能を備えている。
操作スイッチ(操作部)についてまとめると以下の通りである。操作スイッチは、扉体を止水状態とするための第1スイッチ(圧迫ボタン、非常閉鎖ボタン)と、止水状態を解除するための第2スイッチ(圧迫解除ボタン)と、を備えている。なお、上記の複数のボタンは操作スイッチの1つの好ましい実施形態であって、例えば、非常閉鎖ボタンは任意でもよい。第1スイッチには、全閉状態にある扉体を止水状態とするためのスイッチ、全開状態あるいは半開状態にある扉体を全閉状態かつ止水状態とするためのスイッチが含まれる。後者の場合、例えば、第1スイッチからの入力があると、全開状態あるいは半開状態にある扉体が全閉状態(非止水状態)となり、ついで、この全閉状態の検知に基づいて自動的に止水状態とするものが考えられる。すなわち、防水専用扉の場合に、閉鎖ボタンと圧迫ボタンを共通のボタンから構成して第1スイッチとし、この共通のボタンからの操作によって、一連で閉鎖・圧迫が実行されてもよい。本実施形態では、通常使用時における扉体の全閉状態は非止水状態であるが、防水扉において、扉体の全閉状態が止水状態であってもよい。例えば、全開状態にある時に閉鎖スイッチを押すと全閉状態(止水状態)となり、全閉状態(止水状態)にある時に開放スイッチを押すと全開状態(非止水状態)となるようなものでもよく、この場合、閉鎖スイッチが第1スイッチであり、開放スイッチが第2スイッチである。第1スイッチと第2スイッチは、1つのボタンから構成してもよい。例えば、止水状態にある場合にボタンが押されると第2スイッチとして機能し、非止水状態にある場合にボタンが押されると第1スイッチとして機能するようにしてもよい。あるいは、入力操作(押し時間、回数、これらの組み合わせ等)によって第1スイッチと第2スイッチを識別するようにしてもよい。
本実施形態では、第1室外側スイッチボックスSB1、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3からの操作入力に加えて、管理室等からの遠隔操作入力(監視カメラ等で安全を確認しながらの操作)が可能となっている。遠隔操作信号(DC24V有電圧a接点)によりシャッターの一連の動作制御が可能であり、遠隔操作によって圧迫動作・圧迫解除動作を行うことも可能である。
障害物検知手段による検知の他にも、シャッターが異常を検知した場合には、以下のような動作制御が行われる。
ガイドレール安全スイッチ入力により、ガイドレール異常が検知された場合には、シャッター動作(上昇・下降・圧迫・圧迫解除)は禁止される。
チェーン緩み検知スイッチ入力により、チェーン緩み異常が検知された場合には、シャッター動作(上昇・下降・圧迫・圧迫解除)は禁止される。
エマーゼンシスイッチ入力中は、上昇動作が禁止となり、下降動作は押し切り操作で可能である。圧迫・圧迫解除動作は、条件(シャッター全閉位置)が満たされていれば可能である。
サーマル異常の場合には、上昇・下降動作が共に禁止される。圧迫・圧迫解除動作は、条件(シャッター全閉位置)が満たされていれば可能である。
オーバータイム異常(上昇・下降)の場合、具体的には、上昇動作・下降動作が所定時間(例えば90秒以上)継続するとオーバータイム異常となり、上昇動作・下降動作を停止する。オーバータイム異常時の上昇動作・下降動作は禁止される。圧迫・圧迫解除動作は、条件(シャッター全閉位置)が満たされていれば可能である。
オーバータイム異常(圧迫・圧迫解除)の場合、具体的には、圧迫動作・圧迫解除動作が所定時間(例えば20秒以上)継続するとオーバータイム異常となり、圧迫動作・圧迫解除動作を停止する。オーバータイム異常時の圧迫動作・圧迫解除動作は禁止される。操作スイッチの停止ボタンを1秒以上押すことでオーバータイム異常は解除される。
漏電検知器が作動した場合には異常出力を行うが、上昇・下降・圧迫・圧迫解除の各動作は可能である。
本実施形態に係る防水扉の動作制御に用いられる移報接点出力について説明する。移報接点出力は、例えば、防水扉の動作制御信号を、防水扉に対して遠隔の管理室の制御装置へ出力するである。防水扉では、シャッターの状態に応じて以下の移報接点出力(無電圧c接点出力)が行われる。
上限位置信号:シャッターが全開状態の時に出力される。
下限位置信号:シャッターが全閉状態の時に出力される。
垂直圧迫解除状態信号:垂直圧迫が解除されている状態の時に出力される。
垂直圧迫状態信号:垂直圧迫完了状態の時に出力される。
水平圧迫解除状態信号:水平圧迫が解除されている状態の時に出力される。
水平圧迫状態信号:水平圧迫完了状態の時に出力される。
異常信号:上記シャッター異常の発生時に出力される。
本実施形態に係る防水扉の基本的な動作制御の流れについて図49に基づいて説明する。開口部全開状態ないし半開状態において、操作部(いずれかのスイッチボックスSB1、SB2、SB3)の閉鎖ボタンS2が押されると、開閉機Mが作動して、パネル1が降下を開始する。シャッターカーテンが全閉位置まで降下したことを下限リミットスイッチが検知して下限位置信号が生成され、開閉機Mの作動が停止して開口部全閉状態となる。
圧迫ボタンS4が押されると、下限位置信号が生成されていることを条件として、第1圧迫機構7が作動して、垂直圧迫動作を開始する。シャッターカーテンが垂直圧迫状態まで下方に押圧されたことを第2リミットスイッチ74が検知して垂直圧迫状態検知信号が生成され、第1圧迫機構7の作動が停止する。これと同時あるいは直ぐ後に、垂直圧迫状態検知信号の入力に基づいて第2圧迫機構8が作動して、水平圧迫動作を開始する。シャッターカーテンが水平圧迫状態まで室内側に押圧されたことを第2リミットスイッチ84が検知して水平圧迫状態検知信号が生成され、第2圧迫機構8の作動が停止し、圧迫状態が完了する。シャッターカーテンが全閉状態に無い(下限位置信号が生成されていない)場合、あるいは、シャッターカーテンが垂直圧迫状態にある(垂直圧迫状態検知信号が生成されている)場合には、第1圧迫機構7の圧迫動作無効手段によって、圧迫ボタンS4からの圧迫動作入力による垂直圧迫動作が無効となる。シャッターカーテンが垂直圧迫状態に無い(垂直圧迫状態検知信号が生成されていない)場合、あるいは、シャッターカーテンが水平圧迫状態にある(水平圧迫状態検知信号が生成されている)場合には、第2圧迫機構8の圧迫動作無効手段によって、圧迫ボタンS4からの圧迫動作入力による水平圧迫動作が無効となる。
圧迫解除ボタンS5が押されると、シャッターカーテンが圧迫状態にあることを条件(水平圧迫状態検知信号が有効である)として、第2圧迫機構8が作動して、水平圧迫状態の解除を開始する。シャッターカーテンの水平圧迫状態が解除されたことを第1リミットスイッチ83により検知し、水平圧迫状態解除信号が生成され、第2圧迫機構8の作動が停止する。これと同時あるいは直ぐ後に、水平圧迫状態解除信号の入力に基づいて第1圧迫機構7が作動して、垂直圧迫状態の解除を開始する。シャッターカーテンの垂直圧迫状態が解除されたことを第1リミットスイッチ73により検知し、垂直圧迫状態解除信号が生成され、第1圧迫機構7の作動が停止する。シャッターカーテンが水平圧迫解除状態にある(水平圧迫状態解除信号が生成されている)場合には、第2圧迫機構8の圧迫解除動作無効手段によって、圧迫解除ボタンS5からの圧迫解除動作入力による水平圧迫状態の解除動作が無効となる。シャッターカーテンが非水平圧迫解除状態にある(水平圧迫状態解除信号が生成されていない)場合、または、シャッターカーテンが垂直圧迫状態に無い場合(垂直圧迫状態解除信号が生成されている)には、第1圧迫機構7の圧迫解除動作無効手段によって、圧迫解除ボタンS5からの圧迫解除動作入力による垂直圧迫状態の解除動作が無効となる。
開口部全開状態ないし半開状態において、非常閉鎖ボタンS6が押された場合には、下限位置信号の入力(圧迫ボタンを押すことに置き換わる)に基づいて、自動的に圧迫動作が開始される。
圧迫ボタンS4ないし非常閉鎖ボタンS6が押されて、あるいは、遠隔操作によって防水扉が圧迫状態にある時には、圧迫解除ボタンS5以外のボタンからの操作は無効である。すなわち、原則として、防水扉が圧迫状態にある時には、圧迫解除ボタンS5のみが操作可能な有効なボタンとして機能する。ここで、本実施形態に係る防水扉は、第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除ボタンS5の無効化手段を備えている。
本実施形態では、全閉状態のシャッターカーテンの圧迫が完了した時点で、第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除ボタンS5からの入力を無効化する。具体的には、第1室外側スイッチボックスSB1、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3のいずれかの圧迫ボタン4が押されると、第1圧迫機構7、第2圧迫機構8が順次圧迫動作を行い、第2圧迫機構8の圧迫動作が完了した時点、すなわち、第2圧迫機構8の第2リミットスイッチがONとなった時点で(水平圧迫状態信号が出力された時)、第1室外側スイッチボックスSB1は、圧迫解除スイッチS5からの入力ができない無効化状態ないしロック状態となる。このようにすることで、止水状態で第1室外側スイッチボックスSB1が水没ないし浸水した際の誤作動(圧迫解除スイッチS5の誤入力)を防止している。
圧迫スイッチが入力されてから室外側操作部の圧迫解除スイッチの入力が無効化されるまでの流れを図50に基づいて説明する。先ず、本実施形態において、圧迫スイッチの入力により所定の圧迫動作が作動されるためには、扉体が全閉状態かつ非圧迫状態であることが条件となる。この条件が満たされる場合には、第1圧迫機構(垂直圧迫機構)が作動する。扉体が全閉状態にあるか否かは、下限位置信号の出力の有無によって判定することができる。扉体が圧迫状態にあるか否かは、水平圧迫状態信号の出力の有無によって判定することができる。
第1圧迫機構が作動して、垂直圧迫状態が完了すると、第2圧迫機構(水平圧迫機構)が作動を開始する。扉体が垂直圧迫状態にあるか否かは、垂直圧迫状態信号の出力の有無によって判定する。なお、第2圧迫機構の作動中に停止スイッチが入力され、その後に圧迫スイッチが入力された場合には、既に垂直圧迫状態は完了しているため、第2圧迫機構が再び作動することになる。
扉体が水平圧迫状態となると第2圧迫機構の作動は終了する。扉体が水平圧迫状態にあるか否かは、水平圧迫状態信号の出力の有無によって判定することができる。扉体が水平圧迫状態にある場合には、扉体は止水状態(圧迫完了状態)にある。
扉体が圧迫完了状態となると、室外側操作部(第1室外側スイッチボックスSB1)の圧迫解除スイッチからの入力が無効化となる。したがって、扉体が圧迫完了状態にある時に、室外側操作部の圧迫解除スイッチ入力が行われてもスイッチ入力が無効となる。ここで、室外側操作部(第1室外側スイッチボックスSB1)の圧迫解除スイッチの無効化には幾つかの態様が考えられ、少なくとも圧迫解除スイッチを含む個別のスイッチを無効とする場合、あるいは、室外側操作部全体を無効とする場合が例示される。また、スイッチの無効化には、当該スイッチ操作によって所定の信号自体が生成されない場合、あるいは、生成された所定の信号に基づく所定の作動自体を無効とする場合が例示できる。
シャッターカーテンが垂直圧迫状態かつ水平圧迫状態となった場合、すなわち、止水状態において、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3の圧迫解除ボタンS5は有効であり、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3のいずれかの圧迫解除ボタンS5を押すことで、シャッターカーテンの圧迫状態を解除することができる。
本実施形態に係る防水扉は、無効化された第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除ボタンS5の有効化手段ないしロック解除手段を備えている。第1室外側スイッチボックスSB1のロック解除操作について説明する。図50に示すように、予め設定したスイッチの組み合わせ操作によって、圧迫解除スイッチの無効化状態が解除される。圧迫解除スイッチ無効状態の解除は一定時間だけ行われ、当該一定時間内に圧迫解除スイッチの入力があった場合には、圧迫解除スイッチ入力が有効であり、当該一定時間内に圧迫解除スイッチの入力が無い場合には、圧迫解除スイッチ無効化状態に戻る。1つの実施態様では、以下の手順によりロック解除が行われる。
(ア)第1室外側スイッチボックスSB1の停止ボタンS3を押しながら、非常閉鎖ボタンS6以外のボタン(開放ボタンS1、閉鎖ボタンS2、圧迫ボタンS4、圧迫解除ボタンS5)を同時に、5秒間押し続ける。
なお、上記操作は一例に過ぎず、その他の任意の組み合わせを採用することができる。
(イ)非常閉鎖ボタンS6と圧迫ボタンS4が交互に2回点滅し、ロック解除を知らせる。
ロック解除を知らせる手段は、これには限定されず、例えば、所定時間だけ音を出力してもよい。
(ウ)ロック解除は、(イ)の交互点滅開始後5秒間である。5秒以内に圧迫解除ボタンS5の押し操作により、圧迫解除ボタンS5が有効に入力され、圧迫状態が解除される。圧迫状態解除後は、再び圧迫ボタンS4を押さない限り、ロック状態となることはない。5秒以内に圧迫解除ボタンS5の操作が行われない場合には、再びロック状態となる。
上記態様では、第1室外側スイッチボックスSB1について予め設定したスイッチの組み合わせ操作が行われた時にのみ第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除スイッチ無効化状態が解除される。
なお、第1室外側スイッチボックスSB1以外のスイッチ、すなわち、第2室外側スイッチボックスSB2、室内側スイッチボックスSB3のいずれかの圧迫解除ボタンS5の入力操作が行われた時に、第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除スイッチ無効化状態が解除されるようにしてもよい。
防水扉を圧迫状態とした後で、結果的に第1室外側スイッチボックスSB1が水没ないし浸水しなかった場合には、上記ロック解除によって、第1室外側スイッチボックスSB1の圧迫解除ボタンS5のロック状態を解除し、当該圧迫解除ボタンS5を押すことで、防水扉の圧迫状態が解除される。その後の第1室外側スイッチボックスSB1は有効なものとして継続使用することができる。また、ロック状態の解除が行われたことをもって当該第1室外側スイッチボックスSB1の信頼性を確認することができる。第1室外側スイッチボックスSB1が浸水した場合やロック状態解除が良好にできなかった場合には、新しいスイッチと交換すればよい。