JP3566280B1 - スライド式ドアのバリアフリー構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部レールに支持されてスライドするドア本体11が床面FLに設けた下部レール16に導かれて移動するガイド部材20を備えているスライド式ドアのバリアフリー構造に関するもので、ガイド部材20は、ドア本体11の底面と所定の間隔をもって平行に配置されたガイド部本体21と、該ガイド部本体21とドア本体11のドア開領域側端部付近とを連結する連結部材22とを具備し、下部レール16のドア閉領域には、ガイド部本体21の移動空間を残して下部レール16の上部開口であるガイド溝16aを塞ぎ、床面FLと同一レベルの平面とするカバー部材19が設けられている。
【選択図】図2
Description
このようなスライド式ドアにおいては、特に自動ドアの場合、ドア本体に設けられた戸車を介して上部レールに吊り下げられ、駆動機構の動作によって上部レール上を水平移動可能に支持されている。そして、ドア本体の下端部には開閉方向と交差する方向の振れ止めを目的としたガイド部材が設けられ、このガイド部材が床面に設置された下部レールのガイド溝に導かれて移動することにより、ドア本体が安定した開閉移動を行うことができるように構成されている。
一方、手動で開閉する通常のスライド式ドア(引き戸)においては、壁面に設けた開口部の直上部と、ドア上端部の壁面側を向く面とを横方向のレールユニットを介して連結することにより、床面のレールや溝を不要とした引き戸ユニットが提案されている。この場合のレールユニットは、第1レール、中間レール及び第2レールを使用し、互いに長さ方向へ摺動自在に係止した構成とされる。また、ドアの下端部に、床面または壁面に取り付けたガイドピンを係止して、ドアの開閉を案内できる案内溝を形成することにより、ぶれを防止して滑らに移動できるようにすることも開示されている。(たとえば、特許文献1参照)
しかしながら、たとえばドア本体がガラス等で構成されるスライド式自動ドアのように比較的重量が大きいスライド式ドアの場合には、ぶれを防止する機構に作用するドア本体の荷重も大きくなるため、十分な強度及び耐久性を確保する必要がある。しかも、スライド式自動ドアが外部から建物内への入口となる場合には、夜間等にドア本体を強制的にこじ上げてガイド部材をガイド溝から外した後、ドア本体を前後方向にずらして進入するという犯罪が発生していることもあり、これを防止する防犯対策も必要となる。
なお、固定部はガイド部材をドア本体に連結する強度を保つのに必要なだけの長さがあればよく、また、ガイド部本体はドア本体を下部レールに沿って案内するのに必要な長さだけあればよいので、固定部とガイド部本体とは同じ長さである必要はなく、どちらか一方が他方より長くても短くてもよい。
また、ガイド部本体がドア本体に強固に取り付けられ、全閉状態においてはガイド部本体の上方移動がカバー部材に阻止されるように構成されているので、ドア本体をこじ上げて侵入することを防止するという防犯性についても優れているスライド式ドアのバリアフリー構造となる。
図1は両開きの自動ドア10を建築物の外側正面から見た図であり、図中の符号11はドア本体、12は無目、13は左右一対の側枠、14は固定ガラス、15は上部レール、16は下部レール、17は戸車である。
図示したドア本体11は、上下左右の框を枠組みしてなる框体11aにガラス板11bを嵌め込んだものである。このドア本体11は、框体11aの上端部側に取り付けられている戸車17を介して無目12内に配置されている上部レール15に吊り下げられ、図示しない駆動機構の動作によって水平移動(スライド)が可能に支持されている。また、ドア本体11の下端部側では、框体11aの下端部に設けられている後述のガイド部材20が、床面FLに設置された下部レール16に導かれてスライドする。すなわち、ドア本体11は、下端部と床面FLとの間に小さな隙間を形成し、戸車17を介して上部レール15に吊り下げられた状態で開閉移動するようになっている。
図示した下部レールユニットRは、チャンネル材30と、下部レール16と、カバー部材19とを具備して構成される。
チャンネル材30の凹部31内には、下部レール16が固定設置される。この下部レール16は、金属製の板材等を成形してなる長尺の部材であり、床面FLに開口してドア本体11の開閉方向へ延びる上部開口となる凹断面形状のガイド溝16aを備えている。また、下部レール16は、その剛性及び強度を増すため、必要に応じて下面側に補強用チャンネル材16bを結合したボックス断面構造となっている。下部レール16の全高は、凹部31の全高から後述するカバー部材19の板厚分を引いた値とされる。また、下部レール16の全幅については、凹部31の全幅からカバー部材19の板厚2枚分を引いた値とされる。
なお、カバー部材19は、特に固定しなくても段差をなくすという目的は達成するが、後述する防犯上の観点から下部レール16等に強固に固定しておくのが好ましい。
また、凹部31の幅方向においても、隙間ができないよう下部レール16の幅にカバー部材19の板厚2枚分が加算されているため、車椅子の通行等を妨げるような段差を実質的になくすことができる。なお、図示のカバー部材19は凹断面形状に折曲成形したものであるため、下部レール16の両側面と凹部31の両側面との間に挿入される部分があってより一層安定した設置状態を維持できるが、一方のみが挿入されるL字断面形状、あるいは、挿入部分のない平板のカバー部材としてもよい。
ガイド部本体21は、ドア本体11の底面と所定の間隔をもって平行に配置され、ガイド溝16aより小さい断面形状とした角柱状(矩形断面)の部材であり、ドア本体11の開閉移動に伴って上述したガイド溝16a内を一体に移動する。すなわち、ガイド部本体21は、ガイド溝16aに導かれて開閉移動することにより、上部レール15に吊り下げられた状態で開閉するドア本体11の下端部にぶれが生じるのを防止し、スムーズな開閉動作を助けるためのものである。
なお、緩衝部材24は、図示したように移動方向へ複数に分割して設けたもの、あるいは、連続して設けたもののいずれでもよく、さらに、ガイド溝16aの内面側に連続して設けたものでもよい。
固定部23は、ガイド部材20をドア本体11の底面に固定するための部材であり、連結部材22を介してガイド部本体21と略コ字状に連結されている。この固定部23は、ドア本体11の框体11aに対し、ボルト止めや溶接など適当な手段により強固に固定される。このような略コ字状のガイド部材20は、ドア本体11側の構造変更が比較的少なく容易なため、既存の自動ドアを利用した改造によりバリアフリー化する場合にも有利である。
なお、固定部23と框体11aの底面部材とを一体化して共用するようドア本体11を改良し、框体11aの底面部材に連結部材22を介してガイド部本体21が固定される構成、すなわち、略L字状とした別体のガイド部材を取り付ける構成としたり、あるいは、最初から框体11aと一体化して略L字状のガイド部材を設けておくような構成としてもよい。
また、ドア本体11がドア開位置に移動した後には、通路となる床面FLにカバー部材19が露出することとなるが、下部レール16が設置されている床面FLとカバー部材19とは段差や隙間のない平面を形成するようになっている。従って、自動ドア10が設置された開口部では、杖の下端部やハイヒールのヒール部分が挟まるようなことはなく、さらに、車椅子の通行が妨げられるようなこともなくなって、完全にバリアフリー化された床面FLとなる。
なお、このような曲面断面形状は、上述した延長ガイド部26に適用することも可能であり、さらに、上述した緩衝部材24を適宜設けることも可能である。
11 ドア本体
15 上部レール
16 下部レール
16a ガイド溝
19 カバー部材
20 ガイド部材
21 ガイド部本体
22 連結部
23 固定部
24 緩衝部材
25 コマ
30 チャンネル材
31 凹部
R 下部レールユニット
FL 床面
Claims (4)
- 上部レールに支持されてスライドするドア本体が床面に設けた下部レールに導かれて移動するガイド部材を備えているスライド式ドアのバリアフリー構造であって、
前記ガイド部材は、前記ドア本体の底面と所定の間隔をもって平行に配置されたガイド部本体と、該ガイド部本体と前記ドア本体のドア開領域側端部付近とを連結する連結部材とを具備してなり、
前記下部レールのドア閉領域に、前記ガイド部本体の移動空間を残して前記下部レールの上部開口を塞ぎ、床面と同一レベルの平面とするカバー部材が設けられていることを特徴とするスライド式ドアのバリアフリー構造。 - 前記ガイド部材が、前記ドア本体の底面に固定される固定部を備え、該固定部と前記ガイド部本体とが前記連結部材で連結された略コ字状であることを特徴とする請求項1記載のスライド式ドアのバリアフリー構造。
- 前記ガイド部本体の断面形状が、円形または楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のスライド式ドアのバリアフリー構造。
- 前記ガイド部本体と前記下部レールとの間に緩衝部材を配設したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスライド式ドアのバリアフリー構造。
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