以下、添付の図面を参照しながら、発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、本発明のヘッドレストを備えるシートに座った者から見た、前後、左右、上下を基準とする。また、左右方向外側とは、ヘッドレストの左右方向中央から遠い側を意味し、左右方向内側とは、ヘッドレストの左右方向中央に近い側を意味する。
図1に示すように、シートは、自動車に搭載される車両用シートSであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えて構成されている。
図2に示すように、ヘッドレストS3は、左右一対のヘッドレストピラー10と、ヘッドレスト本体20とを備えている。
一対のヘッドレストピラー10は、シートバックS2に取り付けられる柱状の部材であり、左右方向において離間した状態で並んで配置されている。ヘッドレストS3は、シートバックS2に設けられた図示しない公知の高さ調整機構によって、シートバックS2に対する高さ位置を調整できるようになっている。ヘッドレストピラー10には、高さ調整のため、複数の切欠15が設けられている。
一対のヘッドレストピラー10は、それぞれ、第1部分11と、第2部分12と、第3部分13とを有している。
第1部分11は、ヘッドレストピラー10の上端部であり、略上下に延びている。第1部分11は、ヘッドレスト本体20の内側に配置されている。
第2部分12は、ヘッドレストピラー10の下側部分であり、略上下に延びている。第2部分12は、第1部分11の下方に配置されており、ヘッドレスト本体20から下側に向けて延出している。また、第2部分12は、第1部分11に対して左右方向外側にずれて配置されている。前述した切欠15は、第2部分12に設けられている。
第3部分13は、第1部分11の下端と第2部分12の上端をつなぐ部分である。第3部分13は、第1部分11の下端から第2部分12の上端に向けて、左右方向外側の斜め下方に向けて延びている。
このような構成により、一対のヘッドレストピラー10は、第1部分11同士の左右の間隔が、第2部分12同士の左右の間隔よりも小さくなっている。言い換えると、一対のヘッドレストピラー10は、第2部分12同士の左右の間隔が、第1部分11同士の左右の間隔よりも大きくなっている。
ヘッドレスト本体20は、ヘッドレストピラー10の上端部に取り付けられる枕状の部材である。詳細については後述するが、ヘッドレスト本体20は、一対のヘッドレストピラー10に対して前後に移動可能な構成である。ヘッドレスト本体20は、カバー21と、押しボタン式のスイッチ22(図1参照)とを有しており、カバー21を、ウレタンフォームなどの発泡材料からなるパッド材P3と、皮革や布地などからなる表皮材U3で覆うことで構成されている。
図3に示すように、カバー21は、フロントカバー21Aと、リアカバー21Bと、アンダーガーニッシュ21Cとを有している。
フロントカバー21Aは、後側が開口したトレイ状に形成されており、リアカバー21Bは、前側が開口したトレイ状に形成されている。カバー21は、フロントカバー21Aとリアカバー21Bのそれぞれの開口同士を合わせることで箱状となっている。フロントカバー21Aとリアカバー21Bは、例えば、一方に設けた爪部を他方に係合したり、一方に設けた貫通孔にネジを通して他方に締結したりすることで組み付けられている。
フロントカバー21Aおよびリアカバー21Bは、下側の壁にヘッドレストピラー10を通すための一対の切欠21Kを有している(リアカバー21B側のみ図示)。また、フロントカバー21Aおよびリアカバー21Bは、左側の壁にスイッチ22を配置するための切欠21Lを有している。また、フロントカバー21Aは、前側の壁に後述するスライド部材30を当該フロントカバー21Aに固定するためのネジ91が挿通される左右一対の貫通孔21Mを有している。
アンダーガーニッシュ21Cは、ヘッドレスト本体20の底に配置される部材であり、ヘッドレストピラー10を通すための一対の貫通孔21Pを有している。ヘッドレスト本体20は、一対のヘッドレストピラー10に対して前後に移動可能であるため、一対の貫通孔21Pは、周縁部がヘッドレストピラー10と干渉しないよう、前後に長い長穴となっている。貫通孔21Pの前後の長さは、ヘッドレスト本体20の移動量以上である。
ヘッドレストS3は、スライド部材30と、連結部材40とをさらに備えている。
図4に示すように、スライド部材30は、金属製のパイプ材を略U字形状をなすように屈曲させて形成されており、シャフトとしての一対のシャフト部31と、接続部32とを有している。
一対のシャフト部31は、連結部材40の後述するガイド部材50に挿通されてガイド部材50に対し相対的に前後にスライド移動可能にガイドされる部分である。一対のシャフト部31は、それぞれが前後に延びており、左右方向(シャフトの移動方向に直交する方向)に並んで配置されている。ここで、本実施形態では、左のシャフト部31を第1のシャフトとしての第1シャフト部31Aといい、右のシャフト部31を第2のシャフトとしての第2シャフト部31Bという場合がある。つまり、シャフト部31は、第1シャフト部31Aおよび第2シャフト部31Bを含んでいる。
図5に示すように、一対のシャフト部31は、それぞれ、右の側面に複数の凹部33,34を有している。言い換えると、凹部33,34は、一対のシャフト部31のそれぞれに設けられている。凹部33,34は、一対のシャフト部31のそれぞれに前後に並んで設けられている。詳しくは、3つ凹部33と1つの凹部34が、前からこの順に並んで設けられている。ここで、本実施形態では、一対のシャフト部31の一方である第1シャフト部31Aに設けられた凹部33,34を第1の凹部33A,34Aといい、一対のシャフト部31の他方である第2シャフト部31Bに設けられた凹部33,34を第2の凹部33B,34Bという場合がある。凹部33,34の詳細については後述する。
接続部32は、一対のシャフト部31の一端同士、具体的には、後端同士をつなぐ部分であり、左右に延びている。
図3に戻って、一対のシャフト部31を含むスライド部材30は、ヘッドレスト本体20に設けられている。詳しくは、スライド部材30は、ヘッドレスト本体20のカバー21に取り付けられている。具体的には、スライド部材30は、ネジ91を、フロントカバー21Aに設けられた一対の貫通孔21Mを通して一対のシャフト部31の前端部に締結することで、フロントカバー21Aに固定されている。また、リアカバー21Bの後側の壁には、接続部32に係合する係合部21Qが設けられており、スライド部材30は、係合部21Qが接続部32に係合することで、リアカバー21Bに保持されている。
連結部材40は、一対のヘッドレストピラー10の上端部である第1部分11同士を連結する部材であり、ヘッドレスト本体20のカバー21の内側に配置されている。連結部材40は、ガイド部材50と、カバー部材60と、ロック部材70と、付勢部材としての圧縮コイルバネ80とを備えている。
図4に示すように、ガイド部材50は、スライド部材30の一対のシャフト部31が挿通されてシャフト部31(スライド部材30)を相対的に前後にスライド移動可能にガイドする部材であり、ガイド部材本体51と、一対のピラー取付部52と、補強部53とを有している。
図4および図6に示すように、ガイド部材本体51は、一対のシャフト挿通穴54と、第1リブとしてのリブ55Aと、リブ55Bと、第2リブとしてのリブ55Cとを有している。
シャフト挿通穴54は、スライド部材30のシャフト部31が挿通される穴であり、前後に貫通するように設けられている。シャフト挿通穴54は、一対のシャフト部31に対応して、左右に並んで2つ設けられている。
リブ55Aは、後方に突出して上下に延びており、複数が左右に並んで設けられている。また、リブ55Bは、後方に突出して、リブ55Aと交差するように左右に延びている。リブ55Cは、上方に突出して前後に延びており、複数が左右に並んで設けられている。各リブ55Cは、一端である後端から他端である前端に向けて、突出量(高さ)が徐々に小さくなるように、上面が前斜め下方に向けて傾斜した形状に形成されている。
ピラー取付部52は、ヘッドレストピラー10が取り付けられる部分であり、ガイド部材本体51の左右に1つずつ設けられている。ピラー取付部52は、それぞれ、ピラー挿通穴56と、貫通孔57とを有している。
ピラー挿通穴56は、ヘッドレストピラー10の第1部分11が挿通される穴であり、略上下に貫通するように設けられている。
貫通孔57は、ピラー取付部52の後側の面から略前方に延びてピラー挿通穴56に連通する孔である。
また、ガイド部材50の前側、詳しくは、ガイド部材本体51およびピラー取付部52の前側には、ガイド凹部58が設けられている。ガイド凹部58は、前側および左側が開口した凹部であり、左右に長く形成されている。
補強部53は、ガイド部材本体51から下方に突出するように設けられており、第1リブとしてのリブ55Dと、リブ55Eとを有している。
リブ55Dは、前方または後方に突出して上下に延びており、複数が左右に並んで設けられている。また、リブ55Eは、前方または後方に突出して、リブ55Dと交差するように左右に延びている。
なお、ガイド部材50は、補強部53を備えない構成であってもよい。
図4に示すように、ロック部材70は、スライド部材30の移動を規制する状態と、スライド部材30の移動を許容する状態とを切り替える部材であり、ロック部材本体71と、一対のロックプレート72とを有している。
ロック部材本体71は、左右に長い板状の本体部71Aと、本体部71Aの左に設けられた被押圧部71Bとを有しており、本体部71Aは、前後に貫通した一対の貫通孔74と、一対のプレート配置部75とを有している。
貫通孔74は、スライド部材30のシャフト部31が通る孔であり、一対のシャフト部31に対応して、左右に並んで2つ設けられている。後述するように、ロック部材70は左右に移動可能であるため、一対の貫通孔74は、周縁部がシャフト部31と干渉しないよう、左右に長い略半長円状の穴となっている。貫通孔74の左右の長さは、ロック部材70の移動量以上である。
プレート配置部75は、前側に開口した凹部であり、上下に長い略矩形状に形成されている。プレート配置部75は、各貫通孔74の右に1つずつ設けられている。貫通孔74は、前側から見て、右側の端部がプレート配置部75と重なるように設けられている。つまり、プレート配置部75の底面の一部は、貫通孔74によって切り欠かれており、前後に貫通している。
被押圧部71Bは、前後に延びる板状の部分である。被押圧部71Bの左右方向外側の面は、ヘッドレスト本体20に設けられたスイッチ22を操作したとき、具体的には、押したときに当該スイッチ22によって押圧される被押圧面76となっている。被押圧面76の前後の長さは、ヘッドレスト本体20の前後への移動量以上である。詳しくは、被押圧面76の前後の長さは、ヘッドレスト本体20とともに前後に移動するスイッチ22の移動量以上となっている。
ロックプレート72は、金属からなる略矩形の板状の部材であり、ロック部材本体71のプレート配置部75に入り込んだ状態で嵌合している。図5に示すように、ロックプレート72の貫通孔74内に延出した部分は、スライド部材30のシャフト部31に設けられた凹部33,34に係合可能な係合部73となっている。
係合部73は、第1シャフト部31Aの凹部33,34に係合可能な第1の係合部73Aと、第2シャフト部31Bの凹部33,34に係合可能な第2の係合部73Bを含んでいる。つまり、本実施形態において、ロック部材70は、係合部73として、第1の凹部33A,34Aに係合可能な第1の係合部73Aと、第2の凹部33B,34Bに係合可能な第2の係合部73Bとを有している。
図8に示すように、ロック部材70は、ガイド部材50のガイド凹部58に左右にスライド移動可能に係合している。これにより、ロック部材70は、係合部73が対応するシャフト部31の凹部33または凹部34に係合するロック位置と、係合部73が対応するシャフト部31の凹部33または凹部34から外れる図9に示す非ロック位置との間で左右に移動可能な構成となっている。第1の係合部73Aおよび第2の係合部73Bは、いずれも一のロック部材70に設けられているため、当該ロック部材70の移動に伴って、ともに、対応するシャフト部31の凹部33,34に対し係合した位置から外れる位置へ、または、対応するシャフト部31の凹部33,34に対し外れた位置から係合する位置へ移動する。
図5に示すように、係合部73が係合可能なシャフト部31の凹部33は、それぞれ、第1面331と、第2面332と、第3面333とを有しており、凹部34は、それぞれ、第4面341と、第5面342と、第6面343とを有している。
第1面331は、ロック部材70が凹部33に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20が後に移動しようとしたときに係合部73と接触する面であり、本実施形態では、凹部33の内面のうち前側の面である。第1面331は、スライド部材30の移動方向である前後方向に略直交する面として形成されている。ここで、前後方向に略直交する面とは、ロック部材70がロック位置にある状態でヘッドレスト本体20が移動しようとしたときに、係合部73と当接して引っ掛かる程度に、前後方向に対して交差している面であることを意味する。つまり、前後方向に略直交する面は、係合部73が引っ掛かる面であれば、前後方向に直交する面のほか、前後方向に対して多少傾斜した面も含む。
第2面332は、ロック部材70が凹部33に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20が前に移動しようとしたときに係合部73と接触する面であり、本実施形態では、凹部33の内面のうち後側の面である。第2面332は、前後に対向する第1面331から遠いほど凹部33の深さが浅くなるように第1面331に対して傾斜している。具体的には、第2面332は、第1面331から遠いほど、シャフト部31の左右方向中央から遠い側に位置するように第1面331に対して傾斜している。
第3面333は、凹部33の底の面であり、第1面331と第2面332の左右方向内側の端同士をつなぐように前後に延びている。
第4面341は、ロック部材70が凹部34に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20が後に移動しようとしたときに係合部73と接触する面であり、本実施形態では、凹部34の内面のうち前側の面である。また、第5面342は、ロック部材70が凹部34に係合してロック位置にある状態でヘッドレスト本体20が前に移動しようとしたときに係合部73と接触する面であり、本実施形態では、凹部34の内面のうち後側の面である。第4面341および第5面342は、いずれも、前後方向に略直交する面として形成されている。
第6面343は、凹部34の底の面であり、第4面341と第5面342の左右方向内側の端同士をつなぐように前後に延びている。
以上のように構成された凹部33,34において、第2シャフト部31Bに設けられた第2の凹部33B,34Bは、第1シャフト部31Aに設けられた第1の凹部33A,34Aよりも、前後方向における係合可能範囲が大きくなっている。詳しくは、第2の凹部33Bの第3面333の前後の長さは、第1の凹部33Aの第3面333の前後の長さよりも長くなっている。また、第2の凹部34Bの第6面343の前後の長さは、第1の凹部34Aの第6面343の前後の長さよりも長くなっている。なお、左右に並ぶ凹部33A,33Bは、それぞれ、第1面331の前後方向の位置が略同じ位置となるように設けられており、凹部34A,34Bは、第4面341の前後方向の位置が略同じ位置となるように設けられている。
図8に示すように、ロック部材70は、ヘッドレストピラー10の前に配置されている。詳しくは、ロック部材70は、ロック部材本体71の本体部71Aが、ヘッドレストピラー10の第1部分11の前に配置されている。言い換えると、ロック部材70の本体部71Aは、前後方向においてヘッドレストピラー10の第1部分11と重ならないように、ヘッドレストピラー10の前側にずれて配置されている。
圧縮コイルバネ80は、ロック部材70をロック位置に付勢するバネである。圧縮コイルバネ80は、ガイド凹部58内において、ロック部材70の右側の端面とガイド凹部58の右側の壁との間に初期荷重が与えられた状態で配置されている。これにより、圧縮コイルバネ80は、ロック部材70を常時左に向けて付勢している。
ロック部材70は、スイッチ22の操作、具体的には、スイッチ22を左右方向内側に押すことによって被押圧部71Bの被押圧面76が押圧され、図8に示すロック位置から図9に示す非ロック位置へ右に移動する。一方、ロック部材70の係合部73と、スライド部材30の凹部33または凹部34との前後位置が合致した場合には、ロック部材70は、スイッチ22の操作を解除すること、具体的には、スイッチ22を押すのをやめることによって圧縮コイルバネ80の付勢力により、図9に示す非ロック位置から図8に示すロック位置へ左に移動する。
図4に示すように、カバー部材60は、ロック部材70およびガイド部材50の前側を覆うように配置されている。カバー部材60は、左右に長い略矩形の板状であり、シャフト挿通穴64と、第3リブとしてのリブ65とを有している。
シャフト挿通穴64は、スライド部材30のシャフト部31が挿通される穴であり、前後に貫通するように設けられている。シャフト挿通穴64は、一対のシャフト部31に対応して、左右に並んで2つ設けられている。ガイド部材50の一対のシャフト挿通穴54、ロック部材70の一対の貫通孔74、および、カバー部材60の一対のシャフト挿通穴64は、前後で対応する位置にあるもの同士が、互いに連通するように設けられている。本実施形態において、連結部材40は、ガイド部材50の一対のシャフト挿通穴54と、カバー部材60の一対のシャフト挿通穴64とにより、シャフト部31を前後にスライド移動可能に保持する保持部44を形成している。
リブ65は、保持部44の開口縁部、詳しくは、カバー部材60の各シャフト挿通穴64の開口縁部から前方に突出してシャフト部31の外形に沿って延びている。具体的には、リブ65は、略円筒状に形成されている。
カバー部材60は、例えば、当該カバー部材60に設けた爪部をガイド部材50に係合したり、当該カバー部材60に設けた貫通孔にネジを通してガイド部材50に締結したりすることでガイド部材50に固定されている。
ガイド部材50およびロック部材70を含む連結部材40は、ヘッドレストピラー10に設けられている。詳しくは、図6および図7に示すように、連結部材40は、ヘッドレストピラー10の第1部分11に取り付けられており、これによって、一対のヘッドレストピラー10の第1部分11同士を連結している。具体的には、連結部材40は、ガイド部材50のピラー取付部52に設けられたピラー挿通穴56にヘッドレストピラー10の第1部分11が挿通され、固定部材としての公知のスプリングピン92を、ピラー取付部52に設けられた貫通孔57に挿通することで、ヘッドレストピラー10の第1部分11に固定されている。より詳しくは、連結部材40の貫通孔57に挿通されたスプリングピン92は、先端部が、ピラー挿通穴56に挿通されたヘッドレストピラー10の、第1部分11に設けられた貫通孔11Aに係合し、ヘッドレストピラー10と連結部材40とを固定している。
図7に示すように、ヘッドレストピラー10と連結部材40が連結された状態において、各ヘッドレストピラー10の第1部分11の上端11Uは、連結部材40の上端40Uよりも下に配置されている。また、第1部分11の前端11Fは、連結部材40の前端40Fよりも後に配置されている。また、図2に示すように、一対のヘッドレストピラー10の第2部分12は、連結部材40の左右の端40Eよりも左右方向外側に配置されている。
ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70は、樹脂製である。ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70を構成する樹脂材料は、ナノセルロースを含む。ナノセルロースを含むことによって、ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70の強度、弾性率、耐熱性などが著しく向上する。特に、ナノセルロースを含む樹脂から形成される成形体は、機械的強度に優れる。
次に、本実施形態のヘッドレストS3の作用効果について説明する。
図8に示すように、ロック部材70の係合部73がシャフト部31の凹部33に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20を後に移動させようとしたときには、第1面331(図5参照)が係合部73と当接して引っ掛かるので、ヘッドレスト本体20の後への移動を規制することができる。ヘッドレスト本体20を後へ移動させる場合には、図9に示すように、スイッチ22を押してロック部材70をロック位置から非ロック位置へ移動させる。そうすると、係合部73が、凹部33から離脱して凹部33の移動軌跡上から外れた位置に移動するため、第1面331が係合部73に引っ掛かることがなくなり、ヘッドレスト本体20の後への移動が許容されることとなる。これにより、ヘッドレスト本体20を後へ移動させることができる。
一方、図10(a)に示すように、ロック部材70の係合部73が凹部33に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20を前に移動させようとすると、第2面332が係合部73に当接する。この状態から、ヘッドレスト本体20をさらに前に移動させようとすると、第2面332が係合部73を押すことで、係合部73が第2面332上を摺接しながら右へ移動していき、これに伴って、ロック部材70が圧縮コイルバネ80の付勢力に抗して非ロック位置側へ移動していく。そして、図10(b)に示すように、係合部73が第2面332を登り切って凹部33から外れた後は、ヘッドレスト本体20の前へ移動に伴って、シャフト部31は、側面に係合部73が接触した状態で、前へ移動する。そして、図10(c)に示すように、後に配置された凹部33(または凹部34)の前後位置が、係合部73の前後位置と合致すると、圧縮コイルバネ80の付勢力によってロック部材70がロック位置へ移動し、係合部73が当該凹部33(または凹部34)に係合する。
このように本実施形態によれば、スイッチ22を操作してロック部材70を非ロック位置に移動させることなく、ヘッドレスト本体20を前へ移動させることができる。このため、ヘッドレスト本体20を前に移動させるときには、ロック部材70によるロックを解除する操作を行う必要がないので、利便性を向上させることができる。
図11に示すように、ロック部材70の係合部73がシャフト部31の凹部34に係合したロック位置にある状態でヘッドレスト本体20を後または前に移動させようとしたときには、第4面341または第5面342(図5参照)が係合部73と当接して引っ掛かるので、ヘッドレスト本体20の前後への移動を規制することができる。ヘッドレスト本体20を移動させる場合には、スイッチ22を押してロック部材70をロック位置から非ロック位置に移動させ、ロック部材70によるロックを解除する。
スイッチ22によって押圧されるロック部材70の被押圧面76は、前後の長さが、ヘッドレスト本体20とともに移動するスイッチ22の移動量以上となっているので、図8に示すヘッドレスト本体20(スイッチ22)が最も後の位置にあるとき、および、図11に示すヘッドレスト本体20(スイッチ22)が最も前の位置にあるときの両方において、スイッチ22を押すことで被押圧面76を押圧できるようになっている。これにより、ヘッドレスト本体20の前後位置によらずに、ヘッドレスト本体20に設けられたスイッチ22によってヘッドレストピラー10に設けられたロック部材70を操作することができる。
また、図5に示すように、凹部33,34は、第2シャフト部31Bに設けた第2の凹部33B,34Bの第3面333および第6面343の前後の長さが、第1シャフト部31Aに設けた第1の凹部33A,34Aの第3面333および第6面343の前後の長さよりも大きくなっているので、ロック部材70がロック位置にあって、第1の係合部73Aが第1の凹部33Aまたは第1の凹部34Aに係合しているときには、第2の係合部73Bも係合可能範囲が大きい第2の凹部33Bまたは第2の凹部34Bにしっかりと入り込ませることができる。これにより、例えば、ヘッドレストS3を構成する部品や、ヘッドレストS3を組み立てるときなどにばらつきが生じた場合であっても、ロック部材70がロック位置にあるときには、ロック部材70の各係合部73を、対応するシャフト部31に設けられた凹部33または凹部34にしっかりと入り込ませることができる。
また、本実施形態によれば、一対のヘッドレストピラー10の第1部分11同士の左右の間隔が小さいので、ヘッドレスト本体20を前後に移動可能とする機構を内蔵するヘッドレストS3において、第1部分11を覆うヘッドレスト本体20の大型化を抑制することができる。また、一対のヘッドレストピラー10の第2部分12同士の左右の間隔がヘッドレスト本体20の大きさに対して大きいので、ヘッドレストS3をシートバックS2に取り付けた際のヘッドレストS3による支持の安定性を高めることができる。
また、連結部材40がスライド部材30を前後にスライド移動可能に保持する保持部44を有するので、一対のヘッドレストピラー10を連結する連結部材40に、ヘッドレスト本体20を前後にスライド移動可能とする機能を持たせることができる。これにより、ヘッドレストS3の部品点数を削減することができるとともに、ヘッドレスト本体20の大型化をより抑制することができる。
また、一対のヘッドレストピラー10の第2部分12が連結部材40の左右の端40Eよりも左右方向外側に配置されているので、第2部分12同士の左右の間隔をより大きくすることができ、ヘッドレストS3による支持の安定性をより高めることができる。
また、連結部材40がリブ55A〜55Eを有するので、ヘッドレスト本体20を前後に移動可能に保持する連結部材40の剛性を向上させることができる。
また、第1部分11の上端11Uが連結部材40の上端40Uよりも下に配置されているので、ヘッドレストピラー10の上端11Uが連結部材40から上に飛び出さない。これにより、ヘッドレスト本体20の大型化をより抑制することができる。
また、第1部分11の前端11Fが連結部材40の前端40Fよりも後に配置されているので、ヘッドレストピラー10の前端11Fが連結部材40から前に飛び出さない。これにより、ヘッドレスト本体20の大型化をより抑制することができる。
また、連結部材40のピラー挿通穴56に挿通されたヘッドレストピラー10がスプリングピン92によって固定されているので、ピラー挿通穴56を、ヘッドレストピラー10が容易に抜き差しできる構成とすることができる。これにより、ヘッドレストピラー10と連結部材40を固定する作業を容易に行うことができる。また、スプリングピン92を取り外すことで、ヘッドレストピラー10と連結部材40を容易に分解できるので、メンテナンス性などを向上させることができる。
また、本実施形態によれば、係合部73を有するロック部材70がヘッドレストピラー10の前に配置されていることで、スライド部材30のシャフト部31に係合可能なロック部材70にヘッドレストピラー10との干渉を避けるための構造を設ける必要がなくなるため、ロック部材70を簡易な構成とすることができる。これにより、ロック部材70の小型化が可能となるので、連結部材40、そして、連結部材40が内蔵されるヘッドレスト本体20の小型化が可能となり、ヘッドレスト本体20が前後に移動可能に構成されたヘッドレストS3を小型化することができる。
また、ロック部材70をロック位置に付勢する圧縮コイルバネ80を備えるので、ロック部材70を非ロック位置からロック位置に移動させる操作が不要となる。これにより、利便性を向上させることができる。
また、左右に並んで配置された2つのシャフト部31をガイド部材50によってガイドすることができるので、ヘッドレスト本体20を前後に移動させるときの操作性や安定性を向上させることができる。また、係合部73が、第1の係合部73Aと第2の係合部73Bを含むので、各係合部73と、対応するシャフト部31の凹部33とが係合しているときには、ロック部材70によってヘッドレスト本体20の後への移動をしっかりと規制することができる。また、各係合部73と、対応するシャフト部31の凹部34とが係合しているときには、ロック部材70によってヘッドレスト本体20の前後への移動をしっかりと規制することができる。
また、第1の係合部73Aと第2の係合部73Bが、ロック部材70の移動に伴って、ともに移動するので、スイッチ22を押すことによるロック部材70を移動させる操作に伴って、第1の係合部73Aと第2の係合部73Bの両方を、対応するシャフト部31の凹部33,34に係合させたり、対応するシャフト部31の凹部33,34から離脱させたりすることができる。これにより、利便性や操作性を向上させることができる。
また、シャフト部31が、係合部73が係合可能な凹部33,34を有するので、簡単な構成でシャフト部31とロック部材70を係合可能とすることができる。
また、ロック部材70が、シャフト部31が通る貫通孔74を有するので、例えば、ロック部材にシャフト部が通る切欠を設けたり、係合部をロック部材の本体部分から突出するように設けたりする場合よりも、ロック部材70の特に係合部73付近の強度を向上させることができる。これにより、ロック部材70によってシャフト部31をしっかりとロックすることができる。
また、本実施形態によれば、シャフト部31が接続部32によってつながっていることで、シャフト部31をガイド部材50(連結部材40)に挿通する際にシャフト部31が回転するのを抑制することができる。組立時にシャフトが連結部材に対して回転してしまうと、シャフトの姿勢や向きなどを正しく直す必要があり、ヘッドレストの組立性が低下する可能性があるが、本実施形態によれば、そのような直す作業が不要となるので、ヘッドレストS3の組立性を向上させることができる。
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、ヘッドレストS3は、図12から図16に示すように、ガイド部材50(連結部材40)に対するスライド部材30のガタつきを抑制するため、ガタ抑制機構BSを備えていてもよい。以下、図面を参照しながら、ガタ抑制機構BSの具体的な構成について説明する。なお、以下の説明では、前記実施形態と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、前記実施形態と異なる点について詳細に説明する。また、以下で参照する図面においては、説明に特に必要のない構成については図示を省略している。また、図12から図15については、構成の理解を容易とするため、シャフト部31の形状およびシャフト挿通穴54を誇張して示している。
図12(a)に示すように、第1の例に係るガタ抑制機構BSは、スライド部材30の一対のシャフト部31を含んで構成されている。そして、ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト部31は、それぞれ、前後方向に直交する方向から見て、弓状に湾曲している。詳しくは、一対のシャフト部31は、それぞれ、上下方向から見て、左右方向内側に凸となる弓状に湾曲している。また、図12(b)に示すように、第2の例に係るガタ抑制機構BSは、ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト部31が、それぞれ、上下方向から見て、左右方向外側に凸となるように弓状に湾曲している。
また、図13(a)に示すように、第3の例に係るガタ抑制機構BSは、ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト部31(一方のみ図示)が、それぞれ、左右方向から見て、上側に凸となるように弓状に湾曲している。また、図13(b)に示すように、第4の例に係るガタ抑制機構BSは、ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト部31(一方のみ図示)が、それぞれ、左右方向から見て、下側に凸となるように弓状に湾曲している。
なお、第1の例から第4の例に係るガタ抑制機構BSは、一対のシャフト部31の一方のみが弓状に湾曲している構成であってもよい。
また、図14(a)に示すように、第5の例に係るガタ抑制機構BSは、一対のシャフト部31を含んで構成されており、一対のシャフト部31が、前にいくほど、当該一対のシャフト部31が並ぶ方向である左右方向の間隔が大きくなっている。また、図14(b)に示すように、第6の例に係るガタ抑制機構BSは、当該ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト部31が、後にいくほど、左右方向の間隔が大きくなっている。
また、図15に示すように、第7の例に係るガタ抑制機構BSは、一対のシャフト部31を含んで構成されている。そして、一対のシャフト部31は、接続部32によってつながる一端(後端)から他端(前端)にいくほど、一方のシャフト部31の、前後方向および左右方向の両方に直交する上下方向の位置が、他方のシャフト部31に対してずれている。具体的には、前にいくほど、第1シャフト部31Aの上下方向の位置が、第2シャフト部31Bよりも下に位置している。さらに説明すると、第1シャフト部31Aは、前にいくほど下に位置するように前斜め下方に向けて延びており、第2シャフト部31Bは、前にいくほど上に位置するように前斜め上方に向けて延びている。
なお、第7の例に係るガタ抑制機構BSは、前にいくほど、第1シャフト部31Aの上下方向の位置が、第2シャフト部31Bよりも上に位置していてもよい。例えば、第1シャフト部31Aが、前にいくほど上に位置するように前斜め上方に向けて延びており、第2シャフト部31Bが、前にいくほど下に位置するように前斜め下方に向けて延びていてもよい。
また、図16に示すように、第8の例に係るガタ抑制機構BSは、一対のシャフト部31が挿通される一対のシャフト挿通穴54を含んで構成されている。そして、ガタ抑制機構BSを構成する一対のシャフト挿通穴54は、それぞれ、内周面に当該シャフト挿通穴54の内側に向けて突出する凸部54Aを有している。凸部54Aは、各シャフト挿通穴54に3つずつ設けられている。3つの凸部54Aは、前から見て、シャフト挿通穴54の内周面の周方向に略120°ピッチで配置されている。また、3つの凸部54Aは、シャフト部31の凹部33,34(図5参照)と干渉しない位置に配置されている。なお、第8の例に係るガタ抑制機構BSは、一対のシャフト挿通穴54の一方のみに凸部54Aが設けられている構成であってもよい。
以上説明したようなガタ抑制機構BSを備えることで、ヘッドレスト本体20に設けられたシャフト部31の外周面と、ヘッドレストピラー10に設けられたシャフト挿通穴54の内周面とが常時接触することになるので、ガイド部材50に対するスライド部材30のガタつきを抑制することができる。これにより、ヘッドレスト本体20のヘッドレストピラー10に対するガタつきを抑制することができる。また、第1の例から第8の例のようなガタ抑制機構BSによれば、簡単な構成でガイド部材50に対するスライド部材30のガタつきを抑制することができる。
なお、第1の例から第8の例のようなガタ抑制機構BSを備える場合には、シャフト部31の外周面およびシャフト挿通穴54の内周面の少なくとも一方に潤滑剤を塗布しておくことが望ましい。言い換えると、シャフト部31の外周面とシャフト挿通穴54の内周面との間に潤滑剤が介在していることが望ましい。これによれば、ヘッドレスト本体20のヘッドレストピラー10に対するガタつきを抑制しつつ、ヘッドレスト本体20をヘッドレストピラー10に対して滑らかに移動させることができる。
また、前記実施形態では、ヘッドレストピラー10と連結部材40を固定するための固定部材として、スプリングピン92を例示したが、これに限定されない。例えば、固定部材は、タッピングネジなどであってもよい。
また、前記実施形態では、ヘッドレストピラー10と連結部材40をスプリングピン92などの固定部材によって固定したが、これに限定されない。例えば、ヘッドレストピラー10と連結部材40は、ヘッドレストピラー10の第1部分11が、連結部材40のピラー挿通穴56に圧入されていることで、互いに固定されていてもよい。これによれば、ピンやネジなどの固定部材を用いることなく、ヘッドレストピラー10と連結部材40を固定することができるので、ヘッドレストS3の部品点数を削減することができる。なお、第1部分11のピラー挿通穴56への圧入は、例えば、ピラー挿通穴56の径を第1部分11の径よりも小さくしたり、ピラー挿通穴56の内周面に当該ピラー挿通穴56の内側に向けて突出する凸部を設けたりすることによって実現することができる。
また、前記実施形態では、ヘッドレストピラー10が挿通されるピラー挿通穴56が略上下に貫通した穴であったが、これに限定されない。例えば、図7を参考にして説明すると、ピラー挿通穴56は、下側が開口し、上側が閉じた穴であってもよい。
また、前記実施形態では、スライド部材30は、接続部32によって一対のシャフト部31の後端同士がつながっていたが、これに限定されず、前端同士がつながっていてもよい。また、ヘッドレストは、接続部を備えずに、複数のシャフト部(シャフト)がつながっていない構成とすることができる場合がある。
また、前記実施形態では、スライド部材30がヘッドレスト本体20に設けられ、ガイド部材50やロック部材70などがヘッドレストピラー10に設けられていたが、これに限定されない。例えば、図17(a)に示すように、ヘッドレストS3は、スライド部材130(シャフト)がヘッドレストピラー10に設けられ、ガイド部材150やロック部材170などがヘッドレスト本体20に設けられていてもよい。
詳しく説明すると、図17(b)に示すように、スライド部材130は、一対のシャフト部131と、接続部132とを有して構成され、シャフトとしてのシャフト部131がヘッドレストピラー10と一体に形成されている。具体的には、シャフト部131は、ヘッドレストピラー10の第1部分11の上端から屈曲して前に延びるように設けられている。これにより、シャフトとヘッドレストピラーを別々に備える場合と比較して、ヘッドレストS3の部品点数を削減することができる。一対のシャフト部131には、それぞれ、側面に、ロック部材170の係合部73が係合可能な図示しない凹部が設けられている。この凹部に、前記実施形態のように第1面と第2面を設ける場合には、第1面が後側の面となり、第2面が前側の面となるように設ければよい。接続部132は、一対のシャフト部131の前端同士をつなぐ部分である。接続部132は、例えば、一対のシャフト部131の前端に溶接などによって接続されている。
図17(a)に戻って、ガイド部材150やロック部材170は、例えば、一対のシャフト部131を接続部132によって接続する前に、前側から一対のシャフト部131に挿通するなどして一対のシャフト部131に取り付けることができる。ロック部材170の左端部は、ヘッドレスト本体20のカバー21から外側に突出し、ヘッドレスト本体20の表面で露出する操作部172となっている。ロック部材170は、ガイド部材150に左右にスライド移動可能に保持されており、操作部172を押すことで、ロック位置から非ロック位置へ移動する。
なお、上記の説明では、スライド部材130は、シャフト部131がヘッドレストピラー10の第1部分11の上端から屈曲して前に延びるように設けられ、接続部132が一対のシャフト部131の前端に溶接などによって接続されていたが、これに限定されない。例えば、スライド部材130は、パイプ材を略U字形状をなすように屈曲させて形成されており、一対のシャフト部131の後端がヘッドレストピラー10の第1部分11の上端に溶接などによって接続されていてもよい。また、溶接ではなく、組立などによってスライド部材130がヘッドレストピラー10に設けられていてもよい。
また、スライド部材130と、左右一対のヘッドレストピラー10とは、例えば、1本のパイプ材を屈曲させるなどして一体に形成されていてもよい。これによれば、ヘッドレストS3の部品点数をさらに削減することができる。
また、前記実施形態では、付勢部材として圧縮コイルバネ80を例示したが、これに限定されない。例えば、付勢部材は、板バネなどであってもよい。また、ヘッドレストは、付勢部材を備えずに、例えば、ロック部材に、当該ロック部材をロック位置に付勢するバネ性を有する部分を設けた構成としてもよい。
また、前記実施形態では、一対のシャフト部31の両方が側面に凹部33,34を有する構成であったが、これに限定されない。例えば、一対のシャフト部31の一方のみが側面に凹部33,34を有する構成としてもよい。この場合、ロック部材70は、凹部33,34が設けられた一方のシャフト部31に対応する係合部73のみを有する構成とすることができる。
また、前記実施形態では、ヘッドレストS3がシャフトとしてのシャフト部31を2つ備えていたが、これに限定されない。例えば、ヘッドレストは、シャフトを、1つだけ備える構成とすることができる場合がある。また、ヘッドレストは、シャフトを、3つ以上備える構成とすることができる場合がある。
また、前記実施形態では、ロック部材70がヘッドレストピラー10の前に配置されていたが、これに限定されない。例えば、ロック部材は、ヘッドレストピラーの後に配置されていてもよい。言い換えると、ロック部材は、前後方向においてヘッドレストピラーと重ならないように、ヘッドレストピラーの後側にずれて配置されていてもよい。これによっても、ロック部材にヘッドレストピラーとの干渉を避けるための構造を設ける必要がなくなるため、ロック部材を簡易な構成とすることができる。
また、前記実施形態では、シャフト部31に設けられた凹部33,34が切欠状であったが、これに限定されない。例えば、凹部は、有底の穴であってもよいし、貫通した穴であってもよい。また、ロック部材の係合部は、シャフト部の凹部に係合可能であれば、構成や形状などは特に問わない。例えば、係合部は、ロックプレート72として、ロック部材本体71と別に設けられている必要はなく、ロック部材本体71の一部としてロック部材本体71と一体に形成されていてもよい。また、係合部は、板状である必要はなく、凹部としての穴に係合可能なピン状であってもよい。
また、前記実施形態では、ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70の全体が、ナノセルロースを含む樹脂から形成されていたが、これに限定されない。例えば、ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70は、他の部材と接触する(摺動する)部分のみをナノセルロースを含む樹脂から形成してもよい。また、ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70は、他の部材と接触する(摺動する)部分のうち、当該他の部材と強く接触する可能性が高い部分(角部、端部など)のみをナノセルロースを含む樹脂から形成してもよい。また、ガイド部材50、カバー部材60、ロック部材70は、ナノセルロース樹脂以外の樹脂から形成されていてもよいし、樹脂以外の材料から形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、本発明のヘッドレストを備えるシートとして、自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、シートは、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載される乗物用シートであってもよい。また、シートは、乗物用シートに限定されず、例えば、家庭などで使用されるシートであってもよい。
また、本発明は、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することができる。