JP6734032B2 - ガラスチョップドストランドの製造方法及び製造装置 - Google Patents

ガラスチョップドストランドの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラスチョップドストランドの製造方法及び製造装置に関する。
ガラス繊維は、各種のマトリックス樹脂を補強する用途で幅広く使用されている。その一例としては、熱可塑性マトリックス樹脂をガラス繊維で補強した、いわゆるFRTP(Fiber Reinforced Thermo Plastics)としての用途がある。FRTPは、自動車部品や電子部品をはじめ、様々な用途に用いられている。FRTPなどに使用されるガラス繊維は、ガラス溶融炉で1200℃以上もの高温に加熱した溶融ガラスを、白金などで構成されたブッシングの底部に設けられた複数本の耐熱性ノズルから連続的に引き出すことによって作製される。そして冷却後のガラス繊維表面に集束剤を塗布し、その後様々な工程を経ることにより、ガラス繊維はヤーンやロービング、ガラスチョップドストランドなどの製品に加工される。
ここでガラスチョップドストランドの製造方法には、大きく分けて二つの方法がある。一つは、多数本のガラスフィラメントを集束してガラスストランドを成形した直後にこのガラスストランドを直接切断する、いわゆるダイレクト方式である(例えば、特許文献1を参照)。他の一つは、形成したガラスストランドを一旦ワインダーなどを用いてケーキとして巻き取った後、当該ケーキからガラスストランドを引き出して切断する、いわゆるインダイレクト方式である(例えば、特許文献2を参照)。複数品種のガラスチョップドストランドを製造する場合、インダイレクト方式を採用することで、品種別にケーキを成形し、かつ成形した複数個のケーキから一斉にガラスストランドを引き出して切断することができるので、同一品種ごとにかつケーキ複数個分まとめて切断を行うことができ、効率的な多品種生産が可能となる。
特公平8−5691号公報 特開2007−15883号公報
しかしながら、ガラスストランドを一旦ケーキとして巻き取り、ケーキ複数個分のガラスストランドをまとめて切断する場合には、ケーキからのガラスストランドの引き出し工程で、長時間待機しなければならないケーキが発生することにより、集束剤中の水分が減少する。
すなわち、ガラスストランドを巻き取ってケーキにすることの利点の一つは、複数個のケーキから複数本のガラスストランドをまとめて切断できる点にあるが、一度に成形できるガラスストランドの本数(すなわちケーキの個数)には設備上の観点から自ずと限界がある。そのため、所定の個数が揃うまで一旦成形したケーキを引き出し工程で待機させておくことになる。そうすると、例えば所定の個数のうち最初に成形されたケーキは、最後に成形されたケーキが引き出し工程に搬送されるまでの間、待機することになる。集束剤は通常、多くの水分を溶媒として含む。そのため、ケーキの状態で長時間待機させられることで、集束剤中の水分が自然乾燥により減少する。
一方、ガラスストランドを切断して得たガラスチョップドストランドには、通常、加熱等による乾燥が施され、これにより集束剤に含まれる有機成分が皮膜化する。そのため、加熱乾燥工程では、予めガラスストランド(集束剤)に含まれる水分量を考慮に入れて加熱量(単位時間当たりの加熱量及び加熱時間)を設定しているが、上述の如き理由で集束剤中の水分が減少していると、この集束剤を含むガラスチョップドストランドに対して、結果的に、過度の加熱乾燥を施すことになる。必要以上に加熱乾燥されたガラスチョップドストランドについては、その表面を覆う集束剤の有機皮膜が脆くなるため、ガラスチョップドフィラメントの集束力が弱まり以後の工程において毛羽立ち等を招く可能性が高まる。これではガラスチョップドストランドとしての品質低下を招くため好ましくない。
上記の問題は、何も複数個のケーキから複数本のガラスストランドをまとめて引き出し、切断する場合に限ったことではなく、例えばガラスストランドをケーキとして巻き取る工程と、ケーキからガラスストランドを引き出す工程とが大きく離れており、ケーキの搬送に時間が掛かる場合にも同様に起こり得る。
以上の事情に鑑み、本明細書では、ガラスストランドを一旦ケーキとして巻き取った後、ガラスチョップドストランドを製造する場合にあっても、切断前の乾燥に起因した品質不良の発生を可及的に防止して、安定した品質のガラスチョップドストランドを製造することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法により達成される。すなわち、この製造方法は、集束剤を付与した多数本のガラスフィラメントを集束してガラスストランドを成形する工程と、ガラスストランドをケーキとして巻き取る巻き取り工程と、ケーキからガラスストランドを引き出す引き出し工程と、引き出したガラスストランドを切断することで、ガラスチョップドストランドを得る切断工程とを備えた、ガラスチョップドストランドの製造方法において、引き出し工程においてケーキが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持する点をもって特徴付けられる。
このように、本発明では、ガラスストランドの待機時間が長くなる可能性の高い引き出し工程においてケーキが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持するようにした。これにより、引き出し工程まで搬送された後、引き出し工程で待機しているケーキの周囲の雰囲気が、引き出し作業のときまで非常に高い湿度に保たれた状態となる。そのため、引き出し工程に搬送されたケーキが乾燥する事態を可及的に防止又は効果的に抑制して、ケーキの水分含有率を適正な範囲に維持することができる。よって、仮に複数個のケーキからまとめて複数本のガラスストランドを引き出して切断する場合であっても、ケーキごとの水分含有率のばらつきをなるべく小さくして、均等な水分含有率を有するガラスチョップドストランドを得ることができる。ガラスチョップドストランドの状態で水分含有率のばらつきがない又は非常に小さいのであれば、予め設定した熱量で適度に加熱乾燥を施すことができるので、有機成分の皮膜をガラスフィラメントの表面に安定的に形成することができる。従って、取扱い性に優れ、所期の性能を発揮し得る高品質なガラスチョップドストランドを安定的に提供することが可能となる。
また、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法は、上記雰囲気に対して水を噴霧することで、上記雰囲気を湿潤状態に維持するものであってもよい。また、この場合、上記雰囲気に対して、かつ上記雰囲気に置かれているケーキとは異なる方向に向けて、水を噴霧するものであってもよい。
このように、ケーキが置かれている雰囲気に対して水を噴霧するようにすれば、当該水を細かい粒子の状態(ミストの状態)で雰囲気に供給することができる。よって、容易かつ効果的に上記雰囲気を湿潤状態とすることができる。また、引き出し工程においては、ケーキ(ガラスストランド)に含まれる集束剤の有機成分は未だ硬化していないため、直接水を吹き付けると、未硬化の有機成分が流れ出るおそれがある。これに対して、上記雰囲気に置かれているケーキとは異なる方向に向けて水を噴霧するようにすれば、水がケーキに付着する事態を防止又は可及的に抑制することができる。よって、集束剤の流れ出しを防いで、適正な水分含有率を有するガラスチョップドストランドを形成することができ、かつその後の加熱乾燥を適当に行うことが可能となる。
また、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法は、上記雰囲気の湿度を70%以上に維持することで、より好ましくは80%以上に維持することで、上記雰囲気を湿潤状態に維持するものであってもよい。
本発明者らが上記雰囲気の湿度として適切な範囲を検証したところ、上記雰囲気の湿度(相対湿度)を70%以上に維持することで、より好ましくは80%以上に維持することで、ケーキからの水分の消失(乾燥)を実質的に防止して、巻き取り時の水分含有率を維持できることが判明した。よって、上記雰囲気の湿度を70%以上に維持することで、確実に上記雰囲気を湿潤状態に維持することができ、これにより安定した加熱乾燥後の品質を得ることが可能となる。なお、上記雰囲気の湿度(相対湿度)が100%を超えると、雰囲気中の水分が水滴として顕在化し、ケーキを構成するガラスストランドの表面に付着するおそれが生じるため、可能であれば、上記雰囲気の湿度を80%以上でかつ100%未満に維持することが好ましい。
また、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法は、巻き取り工程から切断工程に至る一連の工程のうち、少なくとも引き出し工程を含む一部又は全部の工程においてケーキ又はガラスストランドが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持するものであってもよい。
上述した通り、本発明は、巻き取り工程でケーキとしてガラスストランドをケーキとして巻き取った後、ケーキから引き出したガラスストランドを切断するまでの間におけるケーキの乾燥を防ぐことを目的とするものであるから、引き出し工程だけでなくその前後にわたる工程においても雰囲気の湿度調整が行われているほうが望ましい。以上の観点より、巻き取り工程から切断工程に至る一連の工程のうち、少なくとも引き出し工程を含む一部又は全部の工程においてケーキ又はガラスストランドが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持するようにすれば、ケーキとして巻き取られたガラスストランドの乾燥をより一層軽減あるいは完全に防止することができる。よって、切断後の加熱乾燥工程に、想定どおりの水分含有率を有するガラスチョップドストランドを供給することが可能となり、ばらつきのない安定した品質のガラスチョップドストランドを得ることが可能となる。
また、前記課題の解決は、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造装置によっても達成される。すなわち、この製造装置は、集束剤を付与した多数本のガラスフィラメントを集束してガラスストランドを成形する集束手段と、ガラスストランドをケーキとして巻き取る巻き取り手段と、ケーキからガラスストランドを引き出す引き出し手段と、引き出したガラスストランドを切断する切断手段とを備えたガラスチョップドストランドの製造装置において、引き出し手段による引き出し対象となるケーキが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持するための湿潤維持手段をさらに備えた点をもって特徴付けられる。
このように、本発明に係る製造装置では、引き出し対象となるケーキが置かれる雰囲気を湿潤状態に維持するための湿潤維持手段を設けるようにした。これにより、引き出し工程まで搬送された後、引き出し工程で待機しているケーキの周囲の雰囲気が、引き出し作業のときまで非常に高い湿度に保たれた状態となる。そのため、引き出し工程に搬送されたケーキが乾燥する事態を可及的に防止又は効果的に抑制して、ケーキの水分含有率を適正な範囲に維持することができる。よって、仮に複数個のケーキからまとめて複数本のガラスストランドを引き出して切断する場合であっても、ケーキごとの水分含有率のばらつきをなるべく小さくして、均等な水分含有率を有するガラスチョップドストランドを得ることができる。ガラスチョップドストランドの状態で水分含有率のばらつきがない又は非常に小さいのであれば、予め設定した熱量で適度に加熱乾燥を施すことができるので、有機成分の皮膜をガラスフィラメントの表面に安定的に形成することができる。従って、取扱い性に優れ、所期の性能を発揮し得る高品質なガラスチョップドストランドを安定的に提供することが可能となる。
以上に述べたように、本発明によれば、ガラスストランドを一旦ケーキとして巻き取った後、ガラスチョップドストランドを製造する場合にあっても、切断前の乾燥に起因した品質不良の発生を可及的に防止して、安定した品質のガラスチョップドストランドを製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るガラスチョップドストランドの製造装置の要部側面図である。 図1に示す製造装置の要部よりも後の工程に係る要部側面図である。
以下、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法及び製造装置の一実施形態を、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスチョップドストランドの製造装置の概要を説明するための側面図である。この製造装置10は主に、溶融ガラスからガラスフィラメント1を成形する紡糸手段11と、集束剤を付与した多数本のガラスフィラメント1を集束してガラスストランド2を成形する集束手段12と、ガラスストランド2をケーキ3として巻き取る巻き取り手段13と、ケーキ3からガラスストランド2を引き出す引き出し手段14と、引き出したガラスストランド2を切断する切断手段15と、後述する湿潤維持手段16とを備える。また、本実施形態では、巻き取り手段13でガラスストランド2を巻き取ってなるケーキ3を次工程(ここでは引き出し工程)に搬送する搬送手段17をさらに備える。
紡糸手段11は、ガラスフィラメント1の原料となる溶融ガラスを供給するための溶融炉18と、溶融炉18から供給された溶融ガラスを図示しないノズルから引き出すことでガラスフィラメント1を成形するブッシング19とを有する。
ここで、ガラスフィラメント1の原料としては、ガラス繊維用として公知のガラスが使用可能であり、例えばガラスの繊維化を容易に行うことができ、かつ繊維としての特性にも優れたEガラス(例えばアルカリ成分の含有率が2.0質量%以下)が好適に使用可能である。もちろん、これ以外の種類のガラスを使用することもでき、例えば耐アルカリ性を示すARガラス、耐酸性を有するCガラス、低誘電率を示すDガラス、高誘電率を示すHガラス、高強度及び高弾性率を示すTガラス、高弾性率を示しベリリウムを含有するMガラス、低誘電率及び低誘電正接を示すNEガラスなどを使用することも可能である。
また、紡糸手段11により成形されるガラスフィラメント1としては、例えば3μm以上でかつ30μm以下の直径を有するものを使用することができ、好ましくは6μm以上でかつ25μm以下の直径を有するものが使用可能である。
集束手段12は、ブッシング19の下方に位置し、ブッシング19のノズルから引き出された多数本のガラスフィラメント1に集束剤を付与する集束剤付与手段20と、集束剤を付与された多数本(数百本〜数千本)のガラスフィラメント1を集束する集束機21とを有する。
ここで、集束剤としては、ガラスフィラメント用として公知の組成(有機成分)を有するものが使用でき、例えば酢酸ビニルの単独重合体に対してアクリル基含有化合物をグラフト重合させた酢酸ビニル−アクリル基含有化合物共重合体を、主たる有機成分として含有すると共に、無機溶媒としての水を含有するものを使用することが可能である。ここいでいう水には、蒸留水、工業用水、水道水などが含まれる。もちろん、集束剤は、上記主たる有機成分と溶媒(無機溶媒)以外の成分をさらに含有するものであってもよい。例えばアミノシランなどのカップリング剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの結合剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸などのpH調整剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルスルホネート、第4級アンモニウムクロライド等の帯電防止剤、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテルなどの界面活性剤などが含有可能である。
また、集束剤に占める無機溶媒としての水の比率は、使用する有機成分に応じて適宜設定され、例えば70質量%以上でかつ99.8質量%以下に設定され、好ましくは90質量%以上でかつ99.5質量%以下に設定される。
巻き取り手段13は、集束手段12でガラスフィラメント1を集束して得たガラスストランド2を所定の態様に巻き取るワインダー22を有する。ワインダー22の外周には、ボビンとも称される筒状部材23が取り付けられており、この筒状部材23の外周面に所定の態様でガラスストランド2を巻き取ることで、ケーキ3が形成される。
搬送手段17は、例えば図1及び図2に示すように、ワインダー22でガラスストランド2を所定の態様で巻き取ってなるケーキ3を載置して連続的に搬送可能なベルトコンベア24を有する。もちろん、搬送手段17はこれに限ることなく任意の構成を採用することが可能である。例えば図示は省略するが、ケーキ3を吊り下げ支持して搬送可能なハンガーコンベアを採用することも可能である。あるいは、搬送台車にケーキ3を載置して搬送することも可能である。また、ケーキ3の搬送単位としては1個でもよく、搬送手段17によっては複数個であってもよい。すなわち図示しないハンガーコンベアや搬送台車の場合であれば、一度に複数個のケーキ3を吊り下げ支持又は載置して次工程まで搬送するものであってもよい。
引き出し手段14は、複数のケーキ3を保持する保持部25と、保持部25に保持された複数のケーキ3から複数本のガラスストランド2を引き出すためのガイド部26と、ガラスストランド2を挟持して引き出し力を付与するフィードローラ27及びカッターローラ28とを有する。このうち、フィードローラ27及びカッターローラ28は切断手段15を構成する。もちろん、フィードローラ27及びカッターローラ28(切断手段15)とは別に、ガラスストランド2に引き出し力を付与する手段を設けることも可能である。
保持部25は、この図示例では棚形状をなすもので、仕切り板29によりケーキ3を保持するためのスペースを区画形成している。これにより、複数個のケーキ3が個別に周囲と区画され、かつ所定の開口部(図2でいえば紙面手前側に開口している)を通じてガラスストランド2を引き出し可能としている。もちろん、保持部25は、複数個のケーキ3を保持可能な限りにおいてその形態は特に問わない。例えば図2に示すようにケーキ3を横置き可能とするものであってもよいし、縦置きするものであってもよい。
湿潤維持手段16は、ケーキ3が置かれている雰囲気30を湿潤状態に維持可能とするもので、具体的には、図2に示すように、雰囲気30に水31を噴霧するためのノズル32を有する。本実施形態では、仮想鉛直軸まわりに回動可能な2個のノズル32をケーキ3の上方に配置している。この場合、ノズル32を回転軸(仮想鉛直軸)の半径方向外側に向けて配置することで、ケーキ3とは異なる方向に向けて水31を噴霧可能としている。この場合、ノズル32の噴霧角も考慮してその配置方向を設定するのがよい。
また、本実施形態では、この雰囲気30を、周囲の雰囲気(例えば切断手段15や搬送手段17が置かれている空間)と区画するための仕切り壁33が立設されており、これにより、ケーキ3が置かれている雰囲気30内の湿度を容易かつ高精度に調整可能としている。もちろん、所要の湿度(湿潤状態)に雰囲気30を維持できるのであれば、仕切り壁33を設けなくてもよい。なお、ノズル32としては、水31を噴霧可能な限りにおいて、任意の種類が採用可能であり、例えば圧縮空気を水の噴霧駆動源として使用することのできる二液混合ノズルが採用可能である。
次に、上記構成の製造装置10を用いたガラスチョップドストランドの製造方法の一例を本発明の利点と共に説明する。
まず、図1に示すように、溶融炉18から供給された溶融ガラスをブッシング19のノズルから引き出して糸状のガラスフィラメント1を成形する(紡糸工程)。そして、多数のノズルから成形した多数本のガラスフィラメント1に集束剤付与手段20で集束剤を付与しながら、これら多数本のガラスフィラメント1を集束機21で集束することで、ガラスストランド2を成形する(集束工程)。形成したガラスストランド2は、その下流側に位置するワインダー22を回転制御することにより、ワインダー22の外周に配した筒状部材23の外周面にケーキ3として巻き取られる(巻き取り工程)。このケーキ3は、ベルトコンベア24などの搬送手段17で次工程(引き出し工程)へと搬送される。
引き出し工程へと搬送されたケーキ3は、図2に示すように、保持部25に保持される。本実施形態のように、ベルトコンベア24でケーキ3を連続的に搬送する場合、搬送されてきたケーキ3を1個ずつ保持部25の仕切り板29で区画されたスペースに載置していき、所定の個数に達した段階で、各ケーキ3からガラスストランド2を一箇所にまとめて引き出す。そのため、最初に保持部25へ搬送されてきたケーキ3(例えば図2の右下端)と、最後に保持部25に搬送されてきたケーキ3(例えば図2の左上端)とでは、保持部25における待機時間が大きく異なる。
そのため、少なくとも最初にケーキ3が保持部25に搬送される時点において、ケーキ3(保持部25)が置かれている雰囲気30を、湿潤維持手段16により湿潤状態とし、かつ当該湿潤状態を維持する。具体的には、最初のケーキ3が搬送されるよりも前の時点で、湿潤維持手段16のノズル32から水31を噴霧し始め、少なくとも最後のケーキ3が搬送されてきた時点まで連続して水31を噴霧する。これにより、最後のケーキ3が保持部25に保持されるまでの間、ケーキ3が置かれる雰囲気30を湿潤状態に維持する。なお、この際、雰囲気30の湿度(正確には相対湿度)を70%以上にすることで、好ましくは80%以上とすることで、雰囲気30を湿潤状態に維持するのがよい。
このように、複数個のケーキ3のうち最初のケーキ3が引き出し工程に搬入され始めてから、少なくとも最後のケーキ3が搬入し終わるまでの間、ケーキ3が置かれる雰囲気30を湿潤状態に維持することで、雰囲気30に置かれているケーキ3の乾燥が防止され、あるいは可及的に抑制される。そのため、最初に搬入されたケーキ3と最後に搬入されたケーキ3との間で、切断時の水分含有率に実質的な差異は生じずに済む。よって、図2に示すように、これら複数のケーキ3から複数本のガラスストランド2をまとめて引き出して一度に切断して得たガラスチョップドストランド4についても、水分含有率のばらつきは小さい。ガラスチョップドストランド4の状態で水分含有率のばらつきがない又は非常に小さいのであれば、加熱手段34において予め設定した熱量で適度に加熱乾燥を施すことができるので、有機成分の皮膜をガラスフィラメント1の表面に安定的に形成することができる。従って、所期の性能を安定的に発揮し得る高品質なガラスチョップドストランド4を提供することが可能となる。
また、本実施形態では、雰囲気30に置かれているケーキ3とは異なる方向に向けて水31を噴霧するようにしたので、水31がケーキ3に付着する事態を防止又は可及的に抑制することができる。よって、水31の付着に伴う集束剤の組成(特に水分の成分比率)の増減を回避して、ガラスチョップドストランド4を形成し、かつその後の加熱乾燥を適当に行うことが可能となる。もちろん、図示の如く、ケーキ3を横置きにし、かつその周囲を保持部25の仕切り板29で区画すれば、一部を除きケーキ3の周囲が仕切り板29で覆われた状態となるため、水31を噴霧した場合であっても、当該水31のケーキ3への付着を効果的に防止することが可能となる。
また、本実施形態では、ケーキ3が置かれている雰囲気30の上方にノズル32を配置し、かつノズル32を鉛直軸まわりに回動させながら水31を噴霧するようにしたので、ケーキ3が置かれる雰囲気30全体を万遍なく、かつ効率よく湿潤状態とすることができる。また、この際、図2に示すように、仕切り壁33を設けることで、ケーキ3が置かれている雰囲気30(空間)と、その周囲の雰囲気(空間)とを区画することで、より効果的かつ均一に雰囲気30を湿潤状態とし、これを維持することが可能となる。
以上、本発明に係るガラスチョップドストランドの製造方法及び製造装置の一実施形態を説明したが、この製造方法及び製造装置は、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、引き出し工程においてケーキ3が置かれる雰囲気30に対して水31を連続的に噴霧する場合を説明したが、もちろんこれ以外の態様を採ることも可能である。すなわち、一定の間隔(時間)おきに水31を断続的に噴霧する態様や、例えば雰囲気30の湿度を随時測定し、測定した湿度が一定の値以下(例えば70%未満)になったら、その都度水31を噴霧する態様など、雰囲気30を湿潤状態に維持し得る限りにおいて、任意の湿潤状態を維持するための手段を採ることが可能である。
また、例えば上記実施形態では、引き出し工程においてケーキ3が置かれる雰囲気30のみを湿潤状態に維持する場合を例示したが、これ以外の雰囲気(空間)についても湿潤状態に維持するようにしても構わない。具体的には、上記雰囲気30だけでなく、巻き取り工程において巻き取り手段13が置かれている雰囲気(空間)、搬送工程において搬送手段17が置かれている雰囲気(空間)、切断工程において切断手段15が置かれている雰囲気(空間)の少なくとも一つ(最も好ましくは全部)を湿潤状態に維持するようにしてもよい。もちろん、ガラスチョップドストランド4の種類ないし用途にもよるとは思われるが、相応の効果が期待できるのであれば、引き出し工程以外の工程に係る雰囲気を湿潤状態に維持するようにしても構わない。
また、以上の説明に係る製造方法又は製造装置で得られるガラスチョップドストランド4は、上述した通り、生産性の高い方法を採用できつつも、ばらつきなく安定した特性、特に優れた機械的強度や摩擦特性を安定的に発揮し得る。よって、例えば自動車の内装材をはじめとして種々の樹脂製部品用の強化材として好適に使用することができる。
1 ガラスフィラメント
2 ガラスストランド
3 ケーキ
4 ガラスチョップドストランド
10 ガラスチョップドストランドの製造装置
11 紡糸手段
12 集束手段
13 巻き取り手段
14 引き出し手段
15 切断手段
16 湿潤維持手段
17 搬送手段
19 ブッシング
20 集束剤付与手段
25 保持部
30 雰囲気(引き出し工程)
31 水
32 ノズル
34 加熱手段

Claims (4)

  1. 集束剤を付与した多数本のガラスフィラメントを集束してガラスストランドを成形する工程と、
    前記ガラスストランドをケーキとして巻き取る巻き取り工程と、
    前記ケーキから前記ガラスストランドを引き出す引き出し工程と、
    前記引き出したガラスストランドを切断することで、ガラスチョップドストランドを得る切断工程とを備えた、ガラスチョップドストランドの製造方法において、
    前記引き出し工程において、複数の前記ケーキが保持部に保持され、
    前記保持部に、複数の仕切り板によりケーキ保持用の複数のスペースが区画形成されると共に、前記全てのスペースが、上下の前記仕切り板により区画形成されており、
    前記複数のケーキを前記保持部の前記スペースに収容した状態で、前記保持部に保持されている前記ケーキが置かれる雰囲気に対して、かつ前記ケーキに水が直接当たらないように、前記雰囲気に置かれているケーキとは異なる方向に向けて前記水を噴霧することで、前記雰囲気を湿潤状態である相対湿度70%以上に維持することを特徴とする、ガラスチョップドストランドの製造方法。
  2. 前記巻き取り工程から前記切断工程に至る一連の工程のうち、前記引き出し工程に加えて、前記引き出し工程以外の一つ以上の工程において前記ケーキ又は前記ガラスストランドが置かれる雰囲気を前記湿潤状態に維持する、請求項1に記載のガラスチョップドストランドの製造方法。
  3. 前記切断工程の直後に前記ガラスチョップドストランドを加熱処理する加熱工程をさらに備える、請求項1又は2に記載のガラスチョップドストランドの製造方法。
  4. 集束剤を付与した多数本のガラスフィラメントを集束してガラスストランドを成形する集束手段と、
    前記ガラスストランドをケーキとして巻き取る巻き取り手段と、
    前記ケーキから前記ガラスストランドを引き出す引き出し手段と、
    前記引き出したガラスストランドを切断する切断手段とを備えたガラスチョップドストランドの製造装置において、
    前記引き出し手段は、複数の前記ケーキを保持するための保持部を有し、
    前記保持部に、複数の仕切り板によりケーキ保持用の複数のスペースが区画形成されると共に、前記全てのスペースが、上下の前記仕切り板により区画形成されており、
    前記複数のケーキを前記保持部の前記スペースに収容した状態で、前記ケーキが置かれる雰囲気を湿潤状態である相対湿度70%以上に維持するための湿潤維持手段をさらに備え、
    前記湿潤維持手段は、前記ケーキが置かれる雰囲気に対して、かつ前記ケーキに水が直接当たらないように、前記保持部に保持されている前記ケーキとは異なる方向に向けて前記水を噴霧可能に構成されることを特徴とする、ガラスチョップドストランドの製造装置。
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