本発明の実施形態を、本発明をスロットマシンに適用した実施例に従って説明する。
なお、下記の実施例にあって、本発明に係る払出制御手段は、メイン制御装置20及びモータ駆動装置23に相当する。また、本発明に係る払出検知手段は、払出センサ33に相当する。また、本発明に係るモータ駆動手段は、モータ駆動装置23に相当する。また、本発明に係る第1の態様の信号は、Aセンサ33aのOFF信号に相当し、本発明に係る第2の態様の信号は、Aセンサ33aのON信号に相当する。また、本発明に係るカウントアームの第1の位置は第1位置Xに相当し、第2の位置は第2位置Yに相当する。また、本発明に係る第1の判定時間は3000ミリ秒に相当し、第2の判定時間は240ミリ秒に相当し、第3の判定時間は120ミリ秒に相当し、本発明に係る第4の判定時間は120ミリ秒に相当する。また、本発明に係る特定期間は、メダルが6枚払い出されるまでの期間に相当する。また、本発明に係る所定契機は、第3種エラー状態の解除に相当する。また、本発明に係る所定期間は、メダルが400枚払い出されるまでの期間に相当する。
図1,2に示すように、本実施例のスロットマシン1の筐体2は前方に開放しており、前方から前扉3によって覆われている。図1に示すように、前扉3の中央部には、筐体2の内部に配設された三つのリール9を視認するための視認窓4が設けられる。そして、視認窓4の上方には、横長矩形状の画像表示器10が配設される。また、前扉3の前面側には、視認窓4の下方に、遊技操作に用いるベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ8などの各種スイッチが配設される。さらに前扉3の下部には、メダルを払い出すメダル払出口27と、メダル払出口27から払い出されるメダルを受け入れるメダル受皿28が配設される。また、前扉3には、スピーカ11や演出用ランプ12が適宜箇所に複数配設される。
図2に示すように、前扉3の背面側には、画像表示器10の裏側に、画像表示器10を制御する画像制御装置22が配設され、また、視認窓4の下方には、メダルセレクタ13が配設される。また、筐体2の内部には、リール9の上方に、メイン制御装置20とサブ制御装置21がケースに収納された状態で設置される。メイン制御装置20とサブ制御装置21とは、信号線を介して接続されており、メイン制御装置20からサブ制御装置21に制御信号が一方向に送信される。また、筐体2の内部には、リール9の下方に、電源ボックス14やホッパー装置15が配設される。電源ボックス14には、電源スイッチ24の他に、設定キースイッチ25やリセットスイッチ26が配設される。さらに、ホッパー装置15の背面側に隠れた位置には、モータ駆動装置23が配設される。モータ駆動装置23は、メイン制御装置20と信号線を介して接続されており、メイン制御装置20から入力される払出信号がOFFの期間中は払出モータ32を停止させ、払出信号がONの期間中は、払出モータ32に所定の向きに電圧を印加して正転方向(払出方向)に回転させる。また、前扉3の背面下部には、ホッパー装置15が送出するメダルをメダル払出口27に流下させるメダル通路29が配設される。また、筺体2の右側部には、前扉3の開閉状態を光学的に検出する扉開閉センサ17が配設される。
次に、スロットマシン1の制御回路を、図3を参照して説明する。
スロットマシン1は、図3に示すように、メイン制御装置20、サブ制御装置21、及び画像制御装置22の3つの制御装置を備えている。
メイン制御装置20は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技の進行に関する制御を行うものである。メイン制御装置20には、ベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ8、リール9、電源ボックス14、ホッパー装置15、投入センサ16、扉開閉センサ17、サブ制御装置21、モータ駆動装置23などが接続される。
投入センサ16は、スロットマシン1に投入されたメダルを検出するものである。投入センサ16は、前扉3の裏側に備えられたメダルセレクタ13内のメダル通路に配設され、メダル通路を通過するメダルを1枚ずつ検出し、メダルを検出する毎に投入信号を出力する。
ベットスイッチ5a,5bは、クレジットされているメダルを投入するためのものである。ベットスイッチ5a,5bとしては、シングルベットスイッチ5a、とマックスベットスイッチ5bとが備えられている。シングルベットスイッチ5aは、クレジットされているメダルを1枚ずつ投入する。マックスベットスイッチ5bは、1ゲーム当たりの最大投入枚数のメダルを投入する。
スタートスイッチ6は、リール9の回転を開始させるものである。本実施例では、レバー式スイッチが用いられており、レバーを傾動させることで、三つのリール9が回転を開始する。
三つのストップスイッチ7は、リール9の回転を停止させるものである。各ストップスイッチ7は、個々のリール9に対応付けられており、ストップスイッチ7を押圧操作すると、対応したリール9が所定遅延時間内に停止するよう構成されている。
電源ボックス14は、スロットマシン1の各機器に電力を供給するためのものである。電源ボックスには、電源のON/OFFを切り替えるための電源スイッチ24と、各役への当選確率を変更(いわゆる設定変更)するための設定キースイッチ25と、リセットスイッチ26を備えている。リセットスイッチ26は、エラー報知状態を解除するため操作に用いる操作手段を構成するものであり、リセットスイッチ26が押圧操作されると、リセットスイッチ26からメイン制御装置20に操作信号が出力されるよう構成されている。
精算スイッチ8は、クレジットされたメダルをメダル受皿28へ返却するためのものであり、精算スイッチ8が操作されると、メイン制御装置20はホッパー装置15を作動させえて、クレジットされた枚数のメダルをメダル受皿28に払い出す。
各リール9は、円筒形状をなしており、その外周面には「赤7」「BAR」「チェリー」「ベル」「スイカ」「リプレイ」などの図柄が合計21個配されている。各リール9はステッピングモータと、リール9の回転角度を検出する回転角度センサとを備えており、各ステッピングモータによって三つのリール9を回転させ、任意の角度で停止させることで、視認窓4に外周面の図柄を選択的に表示させ得るよう構成されている。なお、視認窓4には、入賞ラインが予め設定されており、後述するように、リール9が停止したときに、入賞ラインの上に表示された図柄の組合せによって入賞したか否かが決定される。
扉開閉センサ17は、前扉3の閉鎖状態で、前扉3の背面側に設けられた反射板(図示省略)と対向するように配設された光センサであり、反射板で反射した光を検出することにより前扉3の開閉状態を検出し、メイン制御装置20に開閉状態を示す信号を出力する。
ホッパー装置15はメダルを1枚ずつ払い出すためのものであり、メダルをメダル払出口27に向けて送り出すための払出モータ32と、ホッパー装置15から払い出されるメダルを検出するための払出センサ33とを備えている。払出モータ32は、モータ駆動装置23を介してメイン制御装置20と接続される。モータ駆動装置23は、モータ駆動回路を具備しており、メイン制御装置20から受信する信号に基づいて、払出モータ32を作動させる。払出センサ33は、メイン制御装置20と接続されており、メイン制御装置20は、払出センサ33の出力信号に基づいて、ホッパー装置15が払い出したメダル枚数を計数するとともに、ホッパー装置15が正常に動作しているか否かを判定する。ホッパー装置15の詳細は後述する。
サブ制御装置21は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技に関する演出の制御等を行うものである。サブ制御装置21のROMには、制御用プログラムや、各種抽選データ、多岐に亘る演出パターンに関する固定データなどが記憶される。サブ制御装置21の入力ポートには、メイン制御装置20が接続され、サブ制御装置21は、メイン制御装置20から入力される制御信号などに基づいて演出パターンを選択し、選択した演出パターンを実行させるために、演出用ランプ12やスピーカ11に制御信号を送信し、さらには、画像表示器10に所要の画像を表示させるために画像制御装置22に制御信号を送信する。なお、上述のように、メイン制御装置20からサブ制御装置21へは、制御信号が一方向で送信され、サブ制御装置21からメイン制御装置20の方向へ信号が送信されないよう構成される。
画像制御装置22は、CPU、RAM、ROM等を備え、画像表示器10の表示制御を行うものである。画像制御装置22のROMには、画像表示器10に表示する演出用画像を生成するためのデータが多量に記憶される。画像制御装置22は、サブ制御装置21から制御信号を受信すると、CPUにおいて演算処理し、演出用画像のデータをRAMに書きこんで画像表示器10に出力し、サブ制御装置21が選択した演出パターン通りの演出用画像を画像表示器10の表示画面に表示させる。
本実施例のスロットマシン1では、リール9を回転させて図柄を変動表示させた後に、リール9を停止させて図柄を入賞ライン上に停止表示させるゲームが繰り返し実行される。具体的には、1ゲームは、(1)ゲーム開始に必要な枚数のメダル投入、(2)スタートスイッチ操作、(3)リールの回転、(4)ストップスイッチ操作、(5)リールの停止、(6)入賞ライン上に停止した図柄組合せに基づく入賞処理、の順序で行われる。かかるゲームの内容は周知であるため、詳細な説明は省略する。
ホッパー装置15は、図4,5に示すように、払出用のメダルPを貯蔵するホッパータンク31を、ホッパー本体30の上に装着してなるものである。ホッパー本体30は、ベース体39と、該ベース体39の上部に回転可能に保持される円板状のローター34と、該ローター34の下方に配置されてローター34を回転駆動する払出モータ32とを備えている。
ローター34は、ホッパータンク31の底部の開口部35を塞ぐように配設されて、当該開口部35の内部で回転する。ローター34の外周部には、短円筒形状の取込孔36が周方向に沿って複数形成されており、各取込孔36に、ホッパータンク31のメダルPを複数枚積層して収容可能となっている。払出モータ32は、直流モータで構成されるものであり、払出モータ32に所定の向きに電圧を印加して正転方向(払出方向)に回転させると、ローター34が図4中の時計回りに回転して、取込孔36に収容されたメダルPが一枚ずつホッパー装置15の前方に送出される。
具体的には、ローター34の左前部の直下に、1枚のメダルPが通過可能な寸法のメダル排出口38が形成されており、ローター34が図4中の時計回り方向に回転すると、メダル排出口38の脇を取込孔36が横切るたびに、当該取込孔36の底部に収容された1枚のメダルPが、メダル送出機構37によってメダル排出口38から前方にはじき出すように送出される。図6(a)に示すように、メダル送出機構37は、リード板40と、メダルキッカー41と、ガイドピン42とを備えている。リード板40は、メダル排出口38の片側に螺着された金属板片である。メダルキッカー41は、ベース体39に傾動可能に取り付けられて、上部の当接部41aをメダル排出口38の他側に突出させる金属部材である。メダルキッカー41は、通常(払出モータ32の停止中)は、コイルバネ44によって、当接部41aとリード板40との間隔が、メダルPの外径より狭くなる定常位置Tに付勢される、ガイドピン42は、ローター34の直下に突出するようにベース体39に取り付けられた金属部材であり、ローター34の取込孔36がメダル排出口38の脇を通過する際に、当該取込孔36の底部に保持されたメダルPをメダル排出口38側へ案内して、メダルキッカー41の当接部41aに押し付ける。図6(b)に示すように、メダルキッカー41は、当接部41aを、メダルPに押圧されることにより、コイルバネ44の付勢力に抗して当接部41aとリード板40との間隔が、メダルPの外径と等しくなる拡開位置Uまで傾動し、メダルPが当接部41aとリード板40の間を通過可能となる。そして、メダルPが、当接部41aとリード板40の間を通過すると、コイルバネ44の付勢力によってメダルキッカー41が定常位置Tに復帰し、かかる復帰動作に伴う当接部41aの傾動によって、メダルPがメダル排出口38から前方に弾き飛ばされる。
上述のように、メダルキッカー41は、通常は定常位置Tに保持されて、メダル送出機構37がメダルPを一枚送出する度に、定常位置Tから一時的に拡開位置Uへ傾動して、定常位置Tに復帰するよう構成される。払出センサ33は、図6に示すように、かかるメダルPの払出しに伴うメダルキッカー41の傾動を光学的に検知するようメダルキッカー41の近傍に配設される。具体的には、メダルキッカー41は、円弧板片状のカウントアーム45を備えており、カウントアーム45は、メダルキッカー41の定常位置Tで、払出センサ33の検知領域から退避する第1位置Xに保持され、メダルキッカー41の拡開位置Uで、払出センサ33の検知領域内に進出する第2位置Yまで移動するよう構成されている。
図7に示すように、払出センサ33は、Aセンサ33aとBセンサ33bの2つのフォトインタラプタを具備してなる2相式の光電センサであり、払出センサ33からメイン制御装置20には、各センサ33a,33bの出力信号が夫々送信される。ホッパー装置15の停止中は、カウントアーム45は第1位置Xに保持されるため、Aセンサ33a及びBセンサ33bの出力信号は、いずれもOFF(非検知状態)である。そして、図7(a)→7(b)→7(c)に示すように、カウントアーム45が第1位置Xから第2位置Yへ回動すると、Aセンサ33a→Bセンサ33bの順にカウントアーム45を検知して、夫々の出力信号がON(検知状態)に切り替わり、第2位置Yでは、Aセンサ33a及びBセンサ33bの出力信号は、いずれもONとなる。また、図7(c)→7(d)→7(e)に示すように、カウントアーム45が第2位置Yから第1位置Xへ復帰する際には、まず、Bセンサ33bの出力がOFFに切り替わり、その後、Aセンサ33aの出力がOFFに切り替わる。すなわち、かかる構成にあっては、メダル送出機構37が一枚のメダルPを送出する度に、払出センサ33の出力は、以下の(1)〜(4)の順序で変動して、Aセンサ33a及びBセンサ33bの出力信号が一時的にOFFからONに切り替わることとなる。
(1)Aセンサ:OFF→ON
(2)Bセンサ:OFF→ON
(3)Bセンサ:ON→OFF
(4)Aセンサ:ON→OFF
メイン制御装置20は、入賞が発生した場合や、精算スイッチ8が操作された場合に、払出モータ32を作動させて、必要な枚数のメダルをメダル払出口27から払い出させる。具体的には、メイン制御装置20は、モータ駆動装置23への払出信号をOFFからONに切り替えて、払出モータ32を正転方向に回転させるとともに、払出センサ33の出力信号を監視して、ホッパー装置15が払い出すメダル枚数を計数する。上述のように、ホッパー装置15からメダルPが一枚払い出される度に、払出センサ33のAセンサ33a及びBセンサ33bの出力信号が一時的にOFFからONに切り替わるため、メイン制御装置20は、かかる出力信号の変化に基づいて、払い出されたメダル枚数を計数する。そして、払い出されたメダル枚数が予定枚数に達した場合には、払出信号をONからOFFに切り替えて、払出モータ32を停止させ、メダルの払出しを終了させる。
図8は、メイン制御装置20によるメダルの払出制御の一例を示すタイミングチャートである。かかる例では、入賞発生により、9枚のメダルPをメダル受皿28に払い出す必要が生じた場合である。この場合、メイン制御装置20は、モータ駆動装置23に出力する払出信号をOFFからONに切り替えて、払出モータ32を作動させるとともに、払出センサ33のAセンサ33aの出力信号がONからOFFに切り替わる度に、払出枚数を計数するための払出枚数カウンタを1ずつ加算する。そして、払出枚数カウンタが「9」に達した時点で、払出信号をONからOFFに切り替えて、払出モータ32を停止させ、メダル9枚の払出しを終了する。
メイン制御装置20は、メダルを払い出す際に、払出センサ33の出力信号に基づいて、払い出されたメダル枚数を計数する一方で、ホッパー装置15が正常に作動しているか否かを判定する。具体的には、メイン制御装置20は、払出信号をONにしている間に、払出センサ33の出力信号に基づいて、第1種エラー、第2種エラー、及び第3種エラーの3種類のエラーの発生を検出する。
第1種エラーは、払出センサ33の出力信号が、異常な順序で変動した場合である。上述のように、本実施例では、メダル送出機構37がメダルを送出する度に、払出センサ33の出力信号が、Aセンサ33a→Bセンサ33bの順序でOFFからONに切り替わり、その後、Bセンサ33b→Aセンサ33aの順序でONからOFFに切り替わる。メイン制御装置20は、払出信号がONである期間中に、Aセンサ33aとBセンサ33bの出力信号が、上記の順序以外で切り替わった場合に、第1種エラーが発生したと判定する。なお、図8に示す例では、払出センサ33の出力信号は、正常な順序で切り替わっているため、第1種エラーは検出されず、メダルが正常に払い出されている。
第2種エラーは、Aセンサ33aがON信号を出力する時間が、過剰に継続した場合である。上述のように、本実施例では、メダル送出機構37がメダルを送出する度に、Aセンサ33aの出力がOFFからONに切り替わるが、ON信号の出力は一時的なもので、通常であれば、少なくとも一定時間後には、Aセンサ33aの出力はONからOFFに切り替わる。このため、メイン制御装置20は、払出信号がONである期間中に、Aセンサ33aがON信号を出力する時間が所定の判定時間以上継続した場合に、第2種エラーが発生したと判定する。かかる第2種エラーの主な原因は、メダル排出口38におけるメダル詰りが挙げられる。なお、図8に示す例では、Aセンサ33aのON信号の出力時間は、全て第2種エラーの判定時間未満であるため、第2種エラーは検出されず、メダルが正常に払い出されている。
第3種エラーは、Aセンサ33aがOFF信号を出力する時間が、過剰に継続した場合である。上述のように、本実施例では、メダル送出機構37がメダルを送出する度に、Aセンサ33aの出力が一時的にOFFからONに切り替わるが、払出信号がONである期間中は、通常はメダルが立て続けに送出されるため、Aセンサ33aの出力は頻繁にOFFからONに切り替わる。このため、メイン制御装置20は、払出信号がONである期間中に、Aセンサ33aがOFF信号を出力する時間が所定の判定時間以上継続した場合に、第3種エラーが発生したと判定する。かかる第3種エラーの主な原因は、ホッパータンク31のメダル切れが挙げられる。なお、図8に示す例では、Aセンサ33aのOFF信号の出力時間は、全て第3種エラーの判定時間未満であるため、第3種エラーは検出されず、メダルが正常に払い出されている。
メイン制御装置20は、第1種エラーを検出した場合は第1種エラー状態に制御し、第2種エラーを検出した場合は第2種エラー状態に制御し、第3種エラーを検出した場合は第3種エラー状態に制御する。いずれのエラー状態でも、メイン制御装置20は、直ちにメダルの払出を中止するとともに、遊技を続行不能にする。そして、当該エラーが解除されるまで、画像表示器10やスピーカ11、演出用ランプ12等を介して、エラーの発生と、検出したエラーの種類を報知する。かかるエラー状態は、エラーの原因を解決後、リセットスイッチ26を押すことにより解除される。
以下に、本発明の要部に係る構成について説明する。
上述のように、メイン制御装置20は、払出信号をONにしている期間中に、Aセンサ33aのON信号の継続時間を計測して、ON信号の継続時間が第2種エラーの判定時間以上になった場合に、第2種エラーの発生を検出する。また、メイン制御装置20は、払出信号をONにしている期間中に、Aセンサ33aのOFF信号の継続時間を計測して、OFF信号の継続時間が第3種エラーの判定時間以上になった場合に、第3種エラーの発生を検出する。
ここで、本実施例では、メイン制御装置20は、第2種エラーの判定時間をメダルの払出中に変動させる。具体的には、メイン制御装置20は、払出信号をOFFからONに切り替えてから、メダル6枚の払出しを検出するまでは、第2種エラーの判定時間を240ミリ秒に設定する。そして、メダル6枚の払出しを検出した後は、第2種エラーの判定時間を120ミリ秒に設定する。
本実施例では、第2種エラーの判定時間を上記のように変動させることで、メダルを払い出す際の、Aセンサ33aのON信号の出力時間の変化に、第2種エラーの判定時間を適応させることができる。すなわち、メダルを払い出す際には、ローター34が停止状態から定速回転に達するまで時間をかけて加速していくため、図8に示すように、Aセンサ33aがON信号を出力する時間は、1枚目の払出時が最も長く、ローター34が定速回転に達するまで徐々に短くなっていき、ローター34が定速回転に達すると、1枚目払出時の1/2程度の時間で略一定となる。このため、本実施例では、ローター34が定速回転に達するタイミングで、第2種エラーの判定時間を1/2に短縮する。ここで、本実施例では、ローター34は停止状態から払出モータ32で約1回転させた時点で、定速回転に達するよう設計されているため、メイン制御装置20は、メダル6枚の払出しの検知を契機として、第2種エラーの判定時間を短縮する。これは、ローター34には、周方向に沿って6個の取込孔36が形成されており、通常は、ローター34が1回転すると、各取込孔36から1枚ずつメダルが払い出されるためである。
なお、本実施例では、メイン制御装置20は、ローター34の取込孔36の数と等しい枚数(6枚)のメダルの払出しを検知したことを契機として、第2種エラーの判定時間を変更するが、ローター34の取込孔36の数を超える枚数(7枚以上)のメダルの払出しを検知したことを契機として、第2種エラーの判定時間を変更するよう構成してもよい。かかる構成によれば、払出モータ32が少なくとも1回転は回転したと判断することができるため、第2種エラーをより確実に検出できる。また、本実施例では、メイン制御装置20は、メダルの払出枚数に基づいて、ローター34の回転速度を推定し、第2種エラーの判定時間を変更するよう構成されているが、その他の手段によって、ローター34の回転速度を計測、推定してもよい。例えば、ロータリーエンコーダ等を配設してローター34の回転角度を計測したり、払出モータ32の駆動時間をタイマで計測したりすれば、ローター34の回転速度を計測、推定できる。また、払出モータ32の駆動電流を計測すれば、当該駆動電流が安定したことをもってして、ローター34が定速回転したと推定できる。ただし、本実施例のようにメダルの払出枚数に基づく推定方法であれば、既存の払出枚数カウンタを用いて行うことができるため、ロータリーエンコーダやタイマ等を用いるよりも、低コストで実現できる。
このように、メダルを払い出す度に、Aセンサ33aのON信号の出力時間が短くなっていくのに対して、第2種エラーの判定時間を、払出しの開始から終了まで一定にすると、ON信号の出力時間が最も長くなる1枚目の払出時に合わせて、判定時間を長めに固定しなくてはならない。しかしながら、判定時間を長めで固定した場合は、ローター34が定速回転に達して、ON信号の出力時間が短くなった時に、判定時間がON信号の出力時間よりも極めて大きくなるため、出力信号の改ざん等により、予定枚数を上回るメダルをホッパー装置15から払い出してしまう危険性がある。例えば、図9に示すように、Aセンサ33aとBセンサ33bのOFF信号の一部(図9中の「※」部分)が、不正装置によりON信号に改変されて、2つのON信号が1つのON信号であるように改ざんされた場合、判定時間がON信号の出力時間よりも極めて大きいと、改ざんされたON信号が判定時間を下回って、第2種エラーとして検出できないため、予定枚数を上回るメダルを払い出すおそれがある。このような懸念に対して、本実施例では、Aセンサ33aのON信号の出力時間が短くなるのに合わせて、第2種エラーの判定時間を240ミリ秒から120ミリ秒に短縮しているため、図9に示す例のように、払出センサ33の出力信号が改ざんされた場合でも、当該改ざんにより生じるON信号が短縮した判定時間(120ミリ秒)以上となるため、当該改ざん信号を第2種エラーとして検出して、メダルの過剰な払出しを防止できる。
また、本実施例では、メイン制御装置20は、第3種エラーの判定時間を、遊技の進行状況に応じて変動させる。具体的には、メイン制御装置20は、第3種エラーが解消されてから、ホッパー装置15が払い出したメダル枚数を計数する累積枚数カウンタを備えており、当該累積枚数カウンタの計数値が「400枚」を超えるまでは、第3種エラーの判定時間を120ミリ秒に設定する。そして、累積枚数カウンタの計数値が「400枚」を超えた後は、第3種エラーの判定時間を3000ミリ秒に設定する。
本実施例では、第3種エラーの判定時間を上記のように変動させることで、メダルを払い出す際の、Aセンサ33aのOFF信号の出力時間の変化に、第3種エラーの判定時間を適応させて、第3種エラーのエラー検出の精度を高めることができる。詳述すると、メダルを払い出す際の、Aセンサ33aのOFF信号の出力時間は、ホッパータンク31のメダル残量により大きく変動する。すなわち、ホッパータンク31に十分量のメダルが貯留されている場合は、ローター34の全ての取込孔36にメダルが収容されるため、ローター34が1/6回転する毎に、メダルが1枚ずつ払い出されることとなり、図8に示すように、Aセンサ33aのOFF信号の出力時間は、比較的安定したものとなる。しかしながら、ホッパータンク31のメダル残量が少ない場合には、一部の取込孔36にはメダルが収容されなくなり、メダルを1/3回転や1/2回転させないと、メダルが払い出されなくなる。
このように、ホッパータンク31のメダル残量が少なくなると、Aセンサ33aのOFF信号の出力時間が長くなるのに対して、第3種エラーの判定時間を、ホッパータンク31のメダル残量に関わらず一定にすると、OFF信号の出力時間が長くなる、ホッパータンク31のメダル残量低下時のOFF信号の出力時間に合わせて、判定時間を長めに固定しなくてはならない。しかしながら、判定時間を長めに固定した場合は、ホッパータンク31にメダルが十分貯留されている時に、判定時間がOFF信号の出力時間よりも極めて大きくなるため、出力信号の改ざん等により、予定枚数を上回るメダルをホッパー装置15から払い出してしまう危険性がある。例えば、図10に示すように、払出センサ33からメイン制御装置20へ出力されるAセンサ33aとBセンサ33bのON信号の一部(図10中の「※」部分)が、不正装置によりON信号に改変されて、複数のOFF信号が1つのOFF信号であるように改ざんされた場合、判定時間がOFF信号の出力時間よりも極めて大きいと、改ざんされたOFF信号が判定時間を下回って、第3種エラーとして検出できないため、予定枚数を上回るメダルを払い出すおそれがある。このような懸念に対して、本実施例では、累積枚数カウンタの計数値が「400枚」になるまでは、第3種エラーの判定時間を120ミリ秒に短縮しているため、図10に示す例のように、払出センサ33の出力信号が改ざんされた場合でも、当該改ざんにより生じるOFF信号が、短縮した判定時間(120ミリ秒)以上となるため、当該改ざん信号を第3種エラーとして検出して、メダルの過剰な払出しを防止できる。
なお、本実施例において、累積枚数カウンタの計数値が「400枚」になるのを契機として、第3種エラーの判定時間を短くするのは、累積枚数カウンタの計数値が「400枚」になるまでは、ホッパータンク31に十分量のメダルが貯留されるためである。すなわち、本実施例のスロットマシン1では、ホッパータンク31が空になると、第3種エラーが発生し、遊技場のスタッフによって、ホッパータンク31にメダルが補充される。この時に補充されるメダル枚数は450〜500枚であるため、少なくとも、第3種エラーの解消から400枚のメダルが払い出されるまでは、ホッパータンク31に十分なメダルが貯留されるのである。
図11は、メイン制御装置20で実行されるメダル払出処理の制御処理内容を示したものである。メイン制御装置20は、入賞の発生や精算スイッチ8の操作によって所要枚数のメダルの払出しが必要になった場合に、かかるメダル払出処理を実行する。
メダル払出処理では、メイン制御装置20は、まず、払出枚数カウンタをリセットするとともに(S101)、払出信号をOFFからONに切り替えて、払出モータ32を正転方向に回転させる。続いて、メイン制御装置20は、累計枚数カウンタの値が400枚超であるか否か参照する(S103)。そして、当該カウンタの値が400枚以下の場合は、第3種エラー判定時間に120ミリ秒を設定し(S104)、400枚超の場合は、第3種エラー判定時間に3000ミリ秒を設定し(S105)、タイマによって第3種エラー判定時間の計測を開始する(S106)。
続くステップS107〜S109では、Aセンサ33aがOFFからONに切り替わるまで待機する。そして、Aセンサ33aがONに切り替わる前に、第3種エラー判定時間の計測を終了した場合は、第3種エラー状態に制御する(S110)。また、Aセンサ33aがONに切り替わる前に、Bセンサ33bがONに切り替わった場合は、第1種エラー状態に制御する(S126)。
メイン制御装置20は、ステップS109で、Aセンサ33aがONに切り替わったと判定した場合は、払出枚数カウンタの値が6枚超であるか否かを判定する(S111)。そして、当該カウンタの値が6枚以下の場合は、第2種エラー判定時間に240ミリ秒を設定し(S112)、6枚超の場合は、第2種エラー判定時間に120ミリ秒を設定し(S113)、タイマによって第2種エラー判定時間の計測を開始する(S114)。
続くステップS115〜S117では、Bセンサ33bがOFFからONに切り替わるまで待機する。そして、Bセンサ33bがONに切り替わる前に、第2種エラー判定時間の計測を終了した場合は、第2種エラー状態に制御する(S127)。また、Bセンサ33bがONに切り替わる前に、Aセンサ33aがOFFに切り替わった場合は、第1種エラー状態に制御する(S126)。
続くステップS118〜S120では、Bセンサ33bがONからOFFに切り替わるまで待機する。そして、Bセンサ33bがOFFに切り替わる前に、第2種エラー判定時間の計測を終了した場合は、第2種エラー状態に制御する(S127)。また、Bセンサ33bがOFFに切り替わる前に、Aセンサ33aがOFFに切り替わった場合は、第1種エラー状態に制御する(S126)。
続くステップS121〜S123では、Aセンサ33aがONからOFFに切り替わるまで待機する。そして、Aセンサ33aがOFFに切り替わる前に、第2種エラー判定時間の計測を終了した場合は、第2種エラー状態に制御する(S127)。また、Aセンサ33aがOFFに切り替わる前に、Bセンサ33bがONに切り替わった場合は、第1種エラー状態に制御する(S126)。
メイン制御装置20は、ステップS123で、Aセンサ33aがOFFに切り替わったと判定した場合は、払出枚数カウンタと累積枚数カウンタの値に夫々1を加算して(S124)、払出枚数カウンタの値が、予定枚数に到達したか否かを判定する(S125)。そして、予定枚数に到達していないと判定した場合は、ステップS103へ移行し、予定枚数に到達したと判定した場合は、払出信号をOFFに切り替えて(S128)、メダル払出処理を終了する。
また、メイン制御装置20は、第1種エラー状態、第2種エラー状態、又は第3種エラー状態に制御した場合は(S110,S126,S127)、払出信号をOFFに切り替えて(S128)、メダル払出処理を終了する。
なお、以上のメダル払出処理において、本発明に係る払出判定手段は、ステップS109,S123,S124により主に実現される。また、本発明に係る第1エラー判定手段は、ステップS103,S105,S106,S107により主に実現される。また、本発明に係る第2エラー判定手段は、ステップS111,S112,S114,S115,S118,S121により主に実現される。また、本発明に係る第3エラー判定手段は、ステップS111,S113,S114,S115,S118,S121により主に実現される。また、本発明に係る第4エラー判定手段は、ステップS103,S104,S106,S107により主に実現される。
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の遊技機は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、本発明は、スロットマシンに限らず、同様のホッパー装置を具備する他の遊技機にも適用可能である。
また、上記実施例に係る払出センサ(払出検知手段)33が、2つのフォトインタラプタ33a,33bを具備してなる2相型の光電センサであったが、本発明に係る払出検知手段は、1つのフォトインタラプタからなる光電センサであってもよい。
また、上記実施例では、第2エラーの判定時間と第3エラーの判定時間を、2段階で増減させていたが、第2エラーの判定時間と第3エラーの判定時間は、3段階以上で増減させてもよい。
また、上記実施例では、払出センサ33のAセンサ33aのON信号とOFF信号の出力時間に基づいて、第2種エラーと第3種エラーを検出しているが、Aセンサ33aに替えて(又は加えて)、Bセンサ33bのON信号とOFF信号の出力時間に基づいて、エラーを検出するようにしてもよい。
また、上記実施例では、第2種エラーの判定時間を、払出枚数カウンタの値が6枚になることを契機に変更しているが、第2種エラーの判定時間の変更契機は、かかる構成に限られない。例えば、払出信号がONに切り替わってから、所定時間経過後に、第2種エラーの判定時間を変更するよう構成してもよい。また、上記実施例では、ローター34が概ね定速回転に達するタイミングで、第2種エラーの判定時間を変更するよう構成されているが、第2種エラーの判定時間の変更タイミングは、ローター34が定速回転に達する前であってもよいし、定速回転に達した後であってもよい。
また、上記実施例では、第3種エラー状態の解消を契機として、ホッパー装置15が払い出すメダルを累積枚数カウンタで計数開始しているが、累積枚数カウンタの計数開始契機は、第3種エラー状態の解消時に限られない。例えば、扉開閉センサ17が前扉3の開放を示す信号を出力することを計数開始契機としてもよいし、リセットスイッチ26などのスイッチが操作されたことを計測開始契機としてもよい。また、累積枚数カウンタの計数値には、クレジットの返却時に払い出すメダル枚数を含まないようにしてもよい。また、スロットマシン1にメダルが投入された際に、投入されたメダル枚数を、累計枚数カウンタの計測値から減算するようにしてもよい。また、第3種エラーの判定時間の変更契機は、ホッパー装置15が所定枚数のメダルを払い出すことに限られず、第3種エラーが解除されてから、所定ゲーム数を実行した後に、第3種エラーの判定時間を変更するよう構成してもよい。
また、上記実施例では、メイン制御装置20は、払出信号をOFFからONに切り替えた時点から、Aセンサ33aの出力信号の継続時間を監視し始めるが、払出信号をONに切り替えた後に、Aセンサ33aの出力信号がOFFからONに変化した時点から、当該出力信号の継続時間を監視し始めるようにしてもよい。かかる構成とすれば、払出センサ33の出力信号を監視するための処理を簡素化できる。
また、上記実施例では、第2種エラーと第3種エラーを夫々1種類のエラーとして取り扱っているが、長い判定時間(240ミリ秒)の時に検出した第2種エラーと、短い判定時間(120ミリ秒)の時に検出した第2種エラーを、別種類のエラーとして区別してもよい。同様に、長い判定時間(3000ミリ秒)の時に検出した第3種エラーと、短い判定時間(120ミリ秒)の時に検出した第3種エラーを、別種類のエラーとして区別してもよい。
また、上記実施例では、第2種エラーや第3種エラーを検出した場合には、判定時間の長短に関わらず、遊技を続行不能となるが、判定時間の短い時に第2種エラーや第3種エラーを検出した場合には、遊技を続行不能とせず、外部にエラーの発生を報知する程度に留めるようにしてもよい。
また、上記実施例では、メイン制御装置20とモータ駆動装置23が、本発明に係る払出制御手段を構成しているが、本発明に係る払出制御手段の一部を、サブ制御装置21により構成するようにしてもよい。例えば、判定時間の短い時は、第2種エラーや第3種エラーの検出を、サブ制御装置21で実現させるようにしてもよい。