JP6732162B2 - 酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質を含む畜産エキスと油脂の水中油型乳化物を酵素処理した酵素処理水中油型乳化調味料及びその製造方法、並びに該調味料を含む食品に関する。
ポークエキス、チキンエキス、ビ−フエキス等の畜産エキスは、和洋中問わず様々な料理に利用されている。中でも、エキス由来のタンパク質によって油脂が水中油型乳化状態となっている白濁した畜産エキスは、クリーミーでコク味が強いため、好まれる傾向にある。
特許文献1には、発酵調味料と肉エキスと不溶性固形物含有油脂とを含有する液状調味料が記載されており、不溶性固形物含有油脂の主体成分である生動物脂を、発酵調味料と肉エキスとの共存下で均質化すると、肉エキス中の蛋白質が乳化成分として作用し、生動物脂の脂肪分が乳化すると共に、生動物脂中の筋組織等の旨みの素となる不溶性固形物と発酵調味料とが適度に分散した、肉エキス及び油脂が広範囲の粒度分布を示す液状調味料となることが記載されている。しかしながら、粒度分布は0.5〜50μmの範囲が望ましいとの記載も有り、広範囲の粒度分布は乳化状態が不安定となり、品質が安定しにくいという問題がある。さらに、乳化処理後に酵素処理することで、コク味、香味及び呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料が得られることについては記載されていない。
一方、特許文献2には、鶏肉または鶏肉に水性媒体を添加し加熱処理して得られる処理物もしくは該処理物から固液分離して得られる残渣を、タンパク質分解酵素で処理することを特徴とする、チキンエキスの製造方法が記載されている。これは、タンパク質分解酵素の種類を適正化することで、味のバランスの良いチキンエキスを製造する方法に関するものであるが、製造過程で油分を除いているため、油脂が少なく、クリーミーなコク味が弱いものである。また、タンパク質分解酵素で処理する前に、乳化処理することによって、コク味、香味及び呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料が得られることについては記載されていない。
特開2000−157199号公報 国際公開2008/007667号パンフレット
本発明は、クリーミーなコク味、香味及び呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料、その製造方法、並びに該調味料を含む食品を提供する。
発明者らは、タンパク質を含む畜産エキスと油脂とを乳化処理した後、タンパク質分解酵素で処理することで、クリーミーなコク味、香味及び呈味が強い酵素処理水中油型乳化調味料を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]の態様に関する。
[1]タンパク質を含む畜産エキスと油脂とを乳化処理した水中油型乳化物を、タンパク質分解酵素で処理することを特徴とする、酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
[2]乳化粒子の平均粒子径が3.0μm以下、遊離脂質濃度が0.1%以上である、[1]記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
[3]畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、油脂0.5〜3.5重量部を含む原料を乳化処理した、[1]又は[2]記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
[4]原料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%及び油脂を1〜50重量%含む原料を乳化処理した、[1]〜[3]の何れかに記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
[5][1]〜[4]の何れかに記載の製造方法により得られる、ペースト状の酵素処理水中油型乳化調味料であって、調味料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%及び油脂を1〜50重量%含有し、畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、油脂0.5〜3.5重量部を含み、乳化粒子の平均粒子径が3.0μm以下、並びに遊離脂質濃度が0.1%以上である、酵素処理水中油型乳化調味料。
[6][5]記載の調味料を含む食品。
[7][5]記載の調味料を含むスープ。
本発明によって、畜産エキスと油脂とを含む酵素処理水中油型乳化調味料であって、微細な乳化粒子及び適度な遊離脂質及びグルタミン酸を含有し、クリーミーなコク味が強いだけでなく、油脂に由来する香味、グルタミン酸による旨味が増強されているため、少量添加で様々な料理や調味料の風味を向上させることができる酵素処理水中油型乳化調味料を提供できる。さらに、簡便に該調味料を製造できる製造方法を提供できる。
本発明に記載の畜産エキスは、家畜類の肉、骨、皮等を含有する原料を水性溶媒で抽出して得られるタンパク質を含むエキスであれば特に限定されず、例えば、豚、鶏、牛、羊等を原料としたポークエキス、チキンエキス、ビーフエキス、マトンエキス等が例示できる。市販の畜産エキスを使用してもよく、二種類以上のエキスを組み合わせて用いてもよい。
畜産エキスの抽出方法は、一般的な方法で行えばよく、抽出原料からタンパク質を含むエキスを抽出できれば特に限定されない。水性溶媒は水が好ましく、無機塩、エタノール等を含有する水溶液でもよい。原料と水性溶媒との比率は、原料1重量部に対して水性溶媒0.5〜50重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましく、2〜10重量部がさらに好ましい。抽出温度は、30〜140℃が好ましく、60〜130℃がより好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。抽出時間は、0.1〜48時間が好ましく、0.5〜24時間がより好ましく、1〜12時間がさらに好ましい。抽出は、常圧条件下、加圧条件下の何れでもよい。抽出後に濃縮したエキスを使用してもよい。
本発明に記載の油脂は、食用であれば特に限定されず、豚脂、鶏油、牛脂、魚油、バター等の動物性油脂、大豆油、ゴマ油、落花生油、トウモロコシ油、菜種油、米油、ヤシ油、パーム油等の植物性油脂、硬化油等が例示でき、二種類以上の油を組み合わせて用いてもよい。
乳化処理は、タンパク質を含む畜産エキス及び油脂存在下で行えばよく、畜産エキスに油脂を添加してもよいし、油脂に畜産エキスを添加してもよい。詳細には、水、畜産エキス由来タンパク質及び油脂を含む原料を乳化処理すればよい。水は、畜産エキス中の水でもよく、添加してもよいが、原料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%含むのが好ましく、25〜70重量%含むのがより好ましく、30〜60重量%含むのがさらに好ましい。また、原料全体を100重量%とした場合に、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%含むのが好ましく、2〜30重量%含むのがより好ましく、5〜25重量%含むのがさらに好ましい。また、原料全体を100重量%とした場合に、油脂を1〜50重量%含むのが好ましく、2〜40重量%含むのがより好ましく、5〜35重量%含むのがさらに好ましい。さらに、原料全体の固形分が好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜75重量%、さらに好ましくは40〜70重量%になるように、炭水化物を添加してもよい。炭水化物としては、例えば澱粉、澱粉分解物(デキストリン、水飴、マルトース等)、二糖類、単糖類、還元水飴、糖アルコール等が例示できる。前記乳化処理を行うことで水中油型乳化物が得られ、該乳化物の各成分は前記と同様の割合であることが好ましい。タンパク質を含む畜産エキス及び油脂存在下で乳化処理することで、安定した乳化状態を維持できる。
乳化処理における畜産エキス由来タンパク質と油脂との比率は、乳化後に乳化状態を安定的に維持できる比率であれば特に限定されないが、畜産エキス由来タンパク質と油脂とを好ましい比率で含む原料を乳化するのがよく、畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、好ましくは油脂0.5〜3.5重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部、さらに好ましくは1.5〜2.5重量部である。
タンパク質を含む畜産エキスと油脂との乳化処理は、前記成分を混合し、均質化すればよく、一般的な乳化方法で行うことができる。また、混合時に流動性があれば特に限定されないが、流動性を上げるために乳化処理前に加熱工程を含むのが好ましく、例えば40〜90℃、50〜80℃等の加熱温度が例示できる。乳化処理は、乳化装置を用いて行うことができ、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、超音波乳化機、ホモミキサー、ホモディスパー等を例示でき、二種類以上の装置を組み合わせてもよい。
本発明の製造方法は、畜産エキスと油脂との水中油型乳化物を酵素処理する工程を含む。該乳化物を酵素処理することで酵素処理水中油型乳化物が得られ、酵素処理水中油型乳化調味料として利用できる。酵素処理は、水中油型乳化物にタンパク質分解酵素を添加し、通常の酵素処理条件で処理すればよい。タンパク質分解酵素は、タンパク質やペプチドを加水分解する酵素であれば特に限定されず、動物、植物又は微生物由来のプロテイナーゼ及び/又はペプチダーゼを使用できる。動物由来の酵素としてはペプシン、トリプシン、植物由来の酵素としてはパパインが例示でき、微生物由来の酵素としては細菌由来又は真菌由来であって、詳細にはバチルス属由来、ストレプトマイセス属由来又はアスペルギルス属由来の酵素が例示できる。例えば、オリエンターゼ(登録商標)22BF(エイチビィアイ社製)、スミチーム(登録商標)FP(新日本化学工業社製)等の市販酵素を一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。水中油型乳化物をタンパク質分解酵素で酵素処理することにより、微細な乳化粒子を含有した状態で、遊離脂質濃度及びグルタミン酸濃度を高めることができるため、微細な乳化粒子によるクリーミーなコク味を維持しつつ、遊離脂質による香味及びグルタミン酸による呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料が得られる。また、冷蔵(10℃以下)で1日間保存した後の物性について、乳化処理のみの水中油型乳化物はゲル状で流動性がなかったのに対して、乳化処理後に酵素処理した酵素処理水中油型乳化物はやわらかいペースト状で流動性があるため、水中油型乳化物を酵素処理することにより得られる酵素処理水中油型乳化調味料は、調味料として簡便に利用することができる。
酵素処理条件は、畜産エキス由来タンパク質が分解され、本発明の酵素処理水中油型乳化調味料が得られれば特に限定されないが、例えば酵素添加量は、畜産エキス由来タンパク質を100重量部とした場合に、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5.0重量部、さらに好ましくは0.2〜3.0重量部である。また、反応条件は酵素の最適pH、最適温度に設定できるが、例えば、pH3〜10、15〜70℃での処理が例示できる。処理時間は処理条件に応じて適宜調整できるが、例えば、0.1〜24時間が例示でき、0.2〜12時間が好ましい。
該酵素処理は塩存在下で行うのが好ましく、塩は畜産エキス中に含まれる塩でもよく、添加してもよいが、水中油型乳化物全体を100重量%とした場合に、塩濃度は20重量%以下が好ましく、0.5〜18重量%がより好ましく、1.0〜15重量%がさらに好ましい。塩は、一般的な塩であれば特に限定されず、天然塩でも塩化ナトリウムでも塩化カリウムでも良い。食塩、並塩、岩塩等が例示でき、二種類以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
上記に記載の方法により本発明の酵素処理水中油型乳化調味料を製造することができる。本発明の酵素処理水中油型乳化調味料は、畜産エキスと油脂との水中油型乳化物を酵素処理した酵素処理水中油型乳化物であって、白色〜薄褐色(白褐色)を呈し、流動性があり、やわらかいペースト状の物性を呈することが好ましい。
本発明の酵素処理水中油型乳化調味料は、調味料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%含むのが好ましく、25〜70重量%含むのがより好ましく、30〜60重量%含むのがさらに好ましい。また、調味料全体を100重量%とした場合に、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%含むのが好ましく、2〜30重量%含むのがより好ましく、5〜25重量%含むのがさらに好ましい。また、調味料全体を100重量%とした場合に、油脂を1〜50重量%含むのが好ましく、2〜40重量%含むのがより好ましく、5〜35重量%含むのがさらに好ましい。さらに、炭水化物を含んでいてもよく、調味料全体の固形分は好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜75重量%、さらに好ましくは40〜70重量%である。炭水化物としては、例えば澱粉、澱粉分解物(デキストリン、水飴、マルトース等)、二糖類、単糖類、還元水飴、糖アルコール等が例示できる。また該調味料は、畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、好ましくは油脂0.5〜3.5重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部、さらに好ましくは1.5〜2.5重量部を含む。本発明の酵素処理水中油型乳化調味料は、さらにドラムドライ、エアードライ、スプレードライ、真空乾燥及び/又は凍結乾燥等を行い、乾燥品として利用しても良い。
本発明の酵素処理水中油型乳化調味料は、畜産エキスと油脂とを乳化処理して酵素処理した調味料で、微細な乳化粒子、適度な遊離脂質及びグルタミン酸を含有している。該調味料中の乳化粒子の平均粒子径は3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.5μm以下がさらに好ましく、1.0μm以下が特に好ましい。また、該調味料中の遊離脂質濃度は0.1%以上が好ましく、0.2%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましく、また5.0%以下が好ましく、4.0%以下がより好ましく、3.0%以下がさらに好ましい。さらに、該調味料中のグルタミン酸濃度は200ppm以上が好ましく、250ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらに好ましい。好ましくは前記範囲内において、クリーミーなコク味が強いだけでなく、油脂に由来する香味が増強され、グルタミン酸による旨味が強く呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料である。
本発明の酵素処理水中油型乳化調味料は、各食品に添加することにより各食品を調味できるものであればよく、コク味や香味、旨味等を付与できる。各食品への添加量は調味効果を発揮できれば特に限定されないが、好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%である。添加する食品は特に限定されないが、スープが好ましく、ラーメンスープ、鍋用スープ等が例示でき、さらにチャーハン、焼そば、餃子、カレー、パスタ等の調味にも利用できる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
[調製1]
タンパク質を含む畜産エキスとしてポークエキス(加圧加熱水抽出濃縮豚骨エキス、タンパク質:54.4%、脂質:0.4%、水分:45.1%)556g、炭水化物として粉末水飴クリームベース(日本澱粉工業株式会社製)250g、塩として食塩150gに、水道水744gを加えて70℃で加熱溶解させた後、油脂としてラード(植田製油株式会社製)300gを加えて、70℃で10分間撹拌混合した。次いで、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)することで、水中油型乳化物である調製品1(塩濃度:7.5%)を1980g得た。調製品1中の各原料の配合比率(%)を表1に示した。なお、ポークエキス由来の水及びタンパク質についても、調製品1中の含有率(%)として表1に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、調製品1中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)も表1に示した。
[調製2]
タンパク質を含む畜産エキスとしてチキンエキス(加圧加熱水抽出濃縮加塩鶏ガラエキス、タンパク質:47.8%、脂質:0.2%、食塩:10.5%、水分:40.5%)166g、炭水化物としてデキストリン(サンデック#300、三和澱粉工業株式会社製)100g、塩として食塩42gに、水道水532gを加えて70℃で加熱溶解させた。次いで、油脂としてチキンオイル(株式会社パルシーズン製)160gを加えて、70℃で10分間撹拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)することで、水中油型乳化物である調製品2(塩濃度:5.9%)を950g得た。調製品2中の各原料の配合比率(%)を表3に示した。なお、チキンエキス由来の水、タンパク質及び食塩についても、調製品2中の含有率(%)として表3に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、調製品2中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)も表3に示した。
[実施例1]
調製1で得られたポークエキスを原料に含む水中油型乳化物(調製品1)400gに、タンパク質分解酵素としてオリエンターゼ22BF(エイチビィアイ株式会社製、実施例1−1)又はスミチームFP(新日本化学工業株式会社製、実施例1−2)をそれぞれ0.4g添加して、50℃で1時間酵素処理した。次いで、90℃で10分間酵素失活処理することで、酵素処理水中油型乳化調味料である実施品1−1及び1−2(何れも塩濃度:7.5%)を各390g得た。実施品1−1及び1−2中の各原料の配合比率(%)を表1に示した。なお、ポークエキス由来の水及びタンパク質についても、実施品1−1及び1−2中の含有率(%)として表1に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、実施品1−1及び1−2中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)、酵素処理時期、実施品1−1及び1−2中の畜産エキス由来タンパク質を100とした場合の酵素添加量も表1に示した。
[実施例2]
タンパク質を含む畜産エキスとしてポークエキス(加圧加熱水抽出濃縮豚骨エキス、タンパク質:54.4%、脂質:0.4%、水分:45.1%)92.5gに、塩として食塩10g(実施例2−1;塩濃度:2%)、食塩50g(実施例2−2;塩濃度:10%)又は食塩75g(実施例2−3;塩濃度:15%)をそれぞれ加えた後、水道水と炭水化物としてデキストリンを加えて総量を各400g、固形分を37.7%に調整し、70℃で加熱溶解させた。また、食塩添加なし(実施例2−4;塩濃度:1%未満)も同様に水道水と炭水化物としてデキストリンを加えて総量を400g、固形分を37.7%に調整し、70℃で加熱溶解させた。次いで、油脂としてラード100gをそれぞれに加えて、70℃で10分間撹拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)し、それぞれの水中油型乳化物を得た。さらに、各乳化物450gにタンパク質分解酵素としてスミチームFPを0.45gずつ添加して、50℃で1時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、酵素処理水中油型乳化調味料である実施品2−1、2−2、2−3及び2−4を各430g得た。実施品2−1〜2−4中の各原料の配合比率(%)を表2に示した。なお、ポークエキス由来の水及びタンパク質についても、実施品2−1〜2−4中の含有率(%)として表2に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、実施品2−1〜2−4中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)、酵素処理時期、実施品2−1〜2−4中の畜産エキス由来タンパク質を100とした場合の酵素添加量も表2に示した。
[実施例3]
調製2で得られたチキンエキスを原料に含む水中油型乳化物(調製品2)500gに、タンパク質分解酵素としてスミチームFPを0.5g添加して、50℃で1時間酵素処理した。次いで、90℃で10分間酵素失活処理することで、酵素処理水中油型乳化調味料である実施品3(塩濃度:5.9%)を480g得た。実施品3中の各原料の配合比率(%)を表3に示した。なお、チキンエキス由来の水、タンパク質及び食塩についても、実施品3中の含有率(%)として表3に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、実施品3中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)、酵素処理時期、実施品3中の畜産エキス由来タンパク質を100とした場合の酵素添加量も表3に示した。
[比較例1]
タンパク質を含む畜産エキスとしてポークエキス(加圧加熱水抽出濃縮豚骨エキス、タンパク質:54.4%、脂質:0.4%、水分:45.1%)139g、炭水化物として粉末水飴クリームベース62.5g、塩として食塩37.5gに、水道水186gを加えて50℃で加熱溶解させた後、タンパク質分解酵素としてオリエンターゼ22BF(比較例1−1)又はスミチームFP(比較例1−2)をそれぞれ0.5g添加して、50℃で1時間酵素処理した。次いで、90℃で10分間酵素失活処理した後、油脂としてラード(植田製油株式会社製)75gをそれぞれに加えて、70℃で10分間撹拌混合した。さらに、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)することで比較品1−1及び比較品1−2(何れも塩濃度:7.5%)を各480g得た。比較品1−1及び1−2中の各原料の配合比率(%)を表1に示した。なお、ポークエキス由来の水及びタンパク質についても、比較品1中の含有率(%)として表1に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、比較品1−1及び1−2中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)、酵素処理時期、比較品1−1及び1−2中の畜産エキス由来タンパク質を100とした場合の酵素添加量も表1に示した。
[比較例2]
タンパク質を含む畜産エキスとしてポークエキス(加圧加熱水抽出濃縮豚骨エキス、タンパク質:54.4%、脂質:0.4%、水分:45.1%)92.5gに、塩として食塩50g、水道水207.5g、炭水化物としてデキストリン50gを加えて総量を400g、固形分を37.7%に調整し、70℃で加熱溶解させた。次いで、油脂としてラード100gを加えて、70℃で10分間撹拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて乳化処理(40MPa)することで比較品2(塩濃度:10%)を480g得た。比較品2中の各原料の配合比率(%)を表2に示した。なお、ポークエキス由来の水及びタンパク質についても、比較品2中の含有率(%)として表2に示した(該含有率(%)については、表中の合計(100%)には含めていない)。また、比較品2中の畜産エキス由来タンパク質(タンパク質)と油脂の比率(タンパク質:油脂)、酵素処理時期、比較品2中の畜産エキス由来タンパク質を100とした場合の酵素添加量も表2に示した。
[評価試験]
前記の調製で得られた調製品1及び2、実施例で得られた実施品1−1、1−2、2−1〜2−4及び3、並びに比較例で得られた比較品1−1、1−2及び2について、計算上の塩濃度を表1〜3に示し、さらに、乳化粒子の平均粒子径、遊離脂質濃度及びグルタミン酸濃度を測定し、表1〜3に示した。乳化粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置(SALD−1100、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。遊離脂質濃度は、各測定試料中の脂質あたりの遊離脂質濃度を示しており、各測定試料100gにヘキサン100mlをそれぞれ加えて5分間振盪した後、ヘキサン層を回収・留去することで得られた脂質の重量から算出した。グルタミン酸濃度は、各測定試料中のグルタミン酸濃度を示しており、F−キット(L−グルタミン酸)を用いて測定した。
さらに、前記の調製で得られた調製品1及び2、実施例で得られた実施品1−1、1−2、2−1〜2−4及び3、並びに比較例で得られた比較品1−1、1−2及び2について、熱湯で50倍に希釈したものを検体としてコク味、香味及び呈味を評価し、表1〜3に示した。コク味、香味及び呈味の評価は、◎:「強い」、○:「やや強い」、×:「弱い」とした。
また、前記の調製で得られた調製品1及び2、実施例で得られた実施品1−1、1−2及び3、並びに比較例で得られた比較品1−1及び1−2について、冷蔵(10℃以下)で1日間保存した後の物性を評価し、表1及び3に示した。
Figure 0006732162
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表1より、ポークエキスを原料として乳化処理後に酵素処理した実施品1−1及び1−2は何れも、コク味、香味及び呈味とも全て強かった。また、表3より、チキンエキスを原料として乳化処理後に酵素処理した実施品3は、コク味、香味及び呈味とも全て強かった。実施品1−1、1−2及び3は何れも乳化粒子の平均粒子径は3.0μm以下、遊離脂質濃度は0.1%以上、グルタミン酸濃度は200ppm以上だった。一方、ポークエキスを原料として酵素処理していない調製品1は、コク味は強かったが香味及び呈味は弱く、また、乳化処理前に酵素処理した比較品1−1及び1−2は、呈味は強かったがコク味及び香味は弱かった。
また、チキンエキスを原料として酵素処理していない調製品2は、コク味は強かったが香味及び呈味は弱かった。調製品1及び2は何れも乳化粒子の平均粒子径は3.0μm以下だったが、遊離脂質濃度は0.1%未満でグルタミン酸濃度は200ppm未満だった。さらに、比較品1−1及び1−2は何れもグルタミン酸濃度は300ppm以上だったが、乳化粒子の平均粒子径は3.0μmより大きく、遊離脂質濃度は0.1%未満だった。
上記より、乳化処理のみでは微細な乳化粒子によるクリーミーなコク味は強いが香味や呈味が弱い水中油型乳化物となるが、乳化処理後にタンパク質分解酵素で処理することにより、微細な乳化粒子を含有した状態で、遊離脂質濃度及びグルタミン酸濃度が増加し、微細な乳化粒子によるクリーミーなコク味を維持しつつ、遊離脂質による香味及びグルタミン酸による呈味が増強された酵素処理水中油型乳化調味料が得られることが分かった。また、実施品1−1及び1−2が何れもクリーミーなコク味、香味及び呈味が強い水中油型乳化調味料であったことから、オリエンターゼ22BF又はスミチームFPの何れのタンパク質分解酵素でも、乳化処理後に酵素処理した場合は本願の水中油型乳化調味料が得られることが分かった。さらに、調製品又は実施品を冷蔵(10℃以下)で1日間保存した後の物性は、乳化処理のみの水中油型乳化物(調製品)はゲル状で流動性がなかったが、乳化処理後に酵素処理した酵素処理水中油型乳化調味料(実施品)は、やわらかいペースト状で流動性があり、ハンドリングが良好で、調味料として各種食品への添加が容易となった。
よって、タンパク質を含む畜産エキスと油脂とを乳化処理した水中油型乳化物を、タンパク質分解酵素で処理すれば本願の酵素処理水中油型乳化調味料を製造でき、少なくとも、乳化粒子の平均粒子径が3.0μm以下であればクリーミーでコク味が強く、遊離脂質濃度が0.1%以上であれば香味が強く、グルタミン酸濃度が200ppm以上であれば呈味が強い酵素処理水中油型乳化調味料であると考えられる。
表2より、ポークエキスを原料として乳化処理後に各塩濃度で酵素処理した実施品2−1〜2−4は、何れも呈味が強く、コク味は塩濃度が1%未満でやや強く、2〜15%で強く、香味は塩濃度が10〜15%でやや強く、2%以下で強かった。何れも乳化粒子の平均粒子径は3.0μm以下であり、遊離脂質濃度は0.1%以上、グルタミン酸濃度は200ppm以上だった。塩濃度が10%であり、酵素処理していない比較品2は、乳化粒子の平均粒子径は3.0μm以下だったが、遊離脂質濃度は0.1%未満、グルタミン酸濃度は200ppm未満だった。
よって、タンパク質を含む畜産エキスと油脂とを乳化処理した水中油型乳化物を、20%以下の塩存在下でタンパク質分解酵素で処理することが好ましいことが分かった。
[実施例4]
実施例1で得られた実施品1−1を調味料として用いて下記表4の配合により春雨スープを調製した。
Figure 0006732162
本発明の酵素処理水中油型乳化調味料を使うことで、ミルクのようにクリーミーなコク味、豚骨スープのような香味、肉汁のような旨味が感じられる風味良好な春雨スープとなった。

Claims (7)

  1. タンパク質を含む畜産エキスと油脂とを乳化処理した水中油型乳化物を、タンパク質分解酵素で処理することを特徴とする、酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
  2. 乳化粒子の平均粒子径が3.0μm以下及び遊離脂質濃度が0.1%以上である、請求項1記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
  3. 畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、油脂0.5〜3.5重量部を含む原料を乳化処理した、請求項1又は2記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
  4. 原料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%及び油脂を1〜50重量%含む原料を乳化処理した、請求項1〜3の何れか1項に記載の酵素処理水中油型乳化調味料の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法により得られる、ペースト状の酵素処理水中油型乳化調味料であって、
    調味料全体を100重量%とした場合に、水を20〜80重量%、畜産エキス由来タンパク質を1〜40重量%及び油脂を1〜50重量%含有し、
    畜産エキス由来タンパク質1重量部に対し、油脂0.5〜3.5重量部を含み、
    乳化粒子の平均粒子径が3.0μm以下、並びに
    遊離脂質濃度が0.1%以上である、
    酵素処理水中油型乳化調味料。
  6. 請求項5記載の調味料を含む食品。
  7. 請求項5記載の調味料を含むスープ。
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