図1は、本発明の一実施形態であるゴムクローラの製造装置1の斜視図である。図2は、ゴムクローラの中間製品である一次加硫品51を第1中成形型31にセットした状態を示す側面図であり、図3は、二次加硫品52を第2中成形型32にセットした状態を示す側面図である。
ゴムクローラの製造装置1は、無端状に形成されたゴム材料からなるクローラ本体11の内部に、スチールコードからなる無端状の抗張体12が埋設されたゴムクローラ(図3の二次加硫品52を参照)を製造する装置である。ここで、無端状の抗張体12とは、抗張体12が、端部を持たない完全な無端状のものだけではなく、端部を有しており巻回された状態のものも含む意味である。製造装置1は、加硫機20と、移動装置40とを備える。未加硫のゴムクローラは、加硫機20によって第1回目の加硫処理を施すことにより、抗張体12の略半周長分のゴムクローラ本体11を加硫成形する一次加硫と、加硫機20によって第2回目の加硫処理を施すことにより、抗張体12の残りの略半周長分のゴムクローラ本体11を加硫成形する二次加硫とを経て、全周が加硫成形される。
加硫機20は、加硫処理を施す成形型を支持するフレーム25と、フレーム25に取付けられる上成形型21及び下成形型22と、加硫成形時に上成形型21及び下成形型22の間に挿入される中成形型30とを有する。
フレーム25は、4つのコーナー部のそれぞれに配置された支柱25Aを備える。上成形型21及び下成形型22は、4本の支柱25Aの内部に配置されており、上成形型21は支柱25Aの上方に位置し、下成形型22は、支柱25Aの下方に位置する。
上成形型21は、フレーム25に設けられた昇降機構26によって、支柱25Aに沿って上下方向Yに昇降移動可能に構成される。上成形型21は、平面視略矩形状の熱盤21aと、熱盤21aの下面側に位置する上型21aとを備える。上型21bは、熱盤21aによって加熱可能に構成される。
下成形型22は、支柱25Aの下方部に固定されており、平面視略矩形状の熱盤22aと、熱盤22aの上面側に設けられた下型22bとを備える。下型22bは、熱盤22aによって加熱可能に構成される。
中成形型30は、一つの加硫機20(すなわち、一組の上下成形型21,22)に対して複数設けられる。本実施形態において中成形型30は、互いに形状の異なる、第1中成形型(第1の中成形型)31と、第2中成形型(第2の中成形型)32とを含む。なお、中成形型30の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。それぞれの中成形型30は、移動装置40によって、フレーム25の内部(具体的には、上成形型21及び下成形型22の間)に、交互に出入り可能となっている。ここで、交互に出入可能とは、交替で出入可能であればよく、3つ以上ある場合に必ずしも出入する順番が並んでいる必要はない。
図2及び図3に示すように、第1中成形型31及び第2中成形型32は、それぞれ、平面視略矩形状の中熱盤31a,32aと、中熱盤31a,32aの上下両側の面に設けられた中型31b,32bとを備える。中型31b,32bは、中熱盤31a,32aによって加熱可能に構成される。第1中成形型31は、未加硫のゴムクローラに対する1回目の加硫処理である一次加硫を行う際に用いられ、第2成形型32は、2回目の加硫処理である二次加硫を行う際に用いられる。なお、図2は、第1中成形型31にゴムクローラを取付けた状態であって、ゴムクローラが一次加硫された後の状態、すなわち、第1中成形型31にゴムクローラの中間製品である一次加硫品51が取付けられた状態を示している。一次加硫品51では、抗張体12の略半周長分が加硫成形された状態(つまり、略半周長分が未加硫の状態)にある。図3は、第2中成形型32にゴムクローラを取付けた状態であって、二次加硫後の状態、すなわち、第2中成形型32にゴムクローラの二次加硫品52が取付けられた状態を示している。二次加硫品52では、抗張体12の全周に亘ってクローラ本体11が加硫成形された状態にある。なお、図3では、ゴムクローラ本体11の外周側に形成される凹凸部の記載を省略している。
第2中成形型32は、上下方向Yの幅W2が、第1中成形型31の上下方向Yの幅W1に比して厚い。また、第2中成形型32は、抗張体12の周方向へ延びる加硫部の寸法L2が、第1中成形型31において、抗張体12の周方向へ延びる加硫部の寸法L1に比して短い。ここで、抗張体の周方向へ延びる加硫部の寸法とは、抗張体の周方向へ延びる中型31b,32bの寸法L1,L2、すなわち、平面視矩形状の中型31b,32bにおいて、矩形の長辺の寸法L1,L2をいう。このように、一次加硫処理を行う第1中成形型31と、二次加硫処理を行う第2中成形型32との形状を変えることにより、それぞれの加硫処理におけるゴムクローラの曲げ剛性に適合させながら、加硫回数を少なくすることができる。
具体的に説明すると、一次加硫前の未加硫ゴムクローラ(1回目の加硫処理を行う前の全周が未加硫のゴムクローラ)は、曲げ剛性が比較的低いため、図2に示すように、第1中成形型31の上下方向Yの幅W1を薄くして、加硫部の寸法L1を長くする(具体的には、半周長分よりも長くする)ことができる。これにより、ゴムクローラの全周長に対し、1回目の加硫処理で加硫可能な長さ寸法を比較的長くすることができる。一方、一次加硫後のゴムクローラ(2回目以降の加硫処理を行う未加硫ゴムクローラ、すなわち、一次加硫品51)は、一次加硫前に比して曲げ剛性が高くなる。そのため、第2中成形型32の上下方向Yの幅W2を厚くし、加硫部の寸法L2を短くすることで、セット状態におけるゴムクローラの曲面部の曲率を大きくして、曲げ剛性に適合させることができる。また、第2中成形型32に、1回目の加硫処理で加硫した部分を取付ける事が可能になり、寸法精度を高める事ができる。
上成形型21の上型21bと第1中成形型31の上面側の中型31bとは、上下方向Yに対向可能であって、この上型21bと中型31bとによって、ゴムクローラの略1/4周長分(具体的には、1/4周長分よりも長い寸法L1分)を加硫成形する金型を構成している。また、下成形型22の下型22bと第1中成形型31の下面側の中型31bとは、上下方向Yに対向可能であって、この下型22bと中型31bとによって、ゴムクローラの略1/4周長分(具体的には、1/4周長分よりも長い寸法L1分)を加硫成形する金型を構成している。同様に、上成形型21の上型21bと第2中成形型32の上面側の中型32bとによって、ゴムクローラの略1/4周長分(具体的には、寸法L1よりも短い寸法L2分)を加硫成形する金型を構成している。また、下成形型22の下型22bと第1中成形型31の下面側の中型31bとによって、ゴムクローラの略1/4周長分(具体的には、寸法L1よりも短い寸法L2分)を加硫成形する金型を構成している。
移動装置40は、案内レール42と、牽引装置(図示せず)と、第1昇降装置44と、第2昇降装置45とを有する。案内レール42は、中成形型30が横方向(上下方向Yに直交する方向)Xに往復移動可能となるように案内するものであり、横方向Xに平行に延びる一対のレール部材を備える。一対のレール部材は、中成形型30に未加硫のゴムクローラをセットする作業スペースから、加硫機20のフレーム25の内部まで延在している。牽引装置は、中成形型30を案内レール42に沿って牽引するものであり、案内レール42の下方に設けられる。牽引装置は、中成形型30を自身に取り付けた状態で、案内レール42に沿って往復移動可能である。
第1昇降装置44及び第2昇降装置45は、それぞれ、案内レール42に載置された中成形型30を上下方向Yへ昇降移動させるものであり、案内レール42に隣接して設けられる。第1昇降装置44は、中成形型30に少なくとも一部が未加硫のゴムクローラをセットする作業スペースに設置される。第2昇降装置45は、第1昇降装置44と加硫機20との間に設置される。第1昇降装置44及び第2昇降装置45は、それぞれ、上下方向Yに延びる支持枠44A,45Aと、昇降機構44B,45Bとを備える。昇降機構44B,45Bは、支持枠44A,45Aに設けられ、中成形型30を保持可能なフォーク(図示せず)を支持枠44A,45Aに沿って上下移動させる。
次に、上述した製造装置1の動作について、図1及び図4〜図11を用いて説明する。図1及び図4〜図11は、製造装置1における加硫動作の一サイクルを示すものであり、製造装置1は、この加硫サイクルを繰り返すことによりゴムクローラを量産する。なお、以下の動作説明では、一次加硫品51をセットした第2中成形型32が、移動装置40によって上下成形型21,22の間に挿入された状態、すなわち、加硫機20において一次加硫品51が二次加硫されている状態を初期状態とする(図1参照)。
初期状態において、第1中成形型31は、移動装置40によって、加硫機20のフレーム25の外部へ移動されている。図1に示すように、第1中成形型31は、作業スペースに位置しており、第1昇降装置44のフォークに保持され、かつ昇降機構44Bによって第1中成形型31を上昇移動することにより、案内レール42から上方へ離間した状態にある。この状態で、第1中成形型31の外周に未加硫のゴムクローラ50を取り付け、第1中成形型31に対する未加硫ゴムクローラ50のセットを完了する(一次加硫準備工程)。
未加硫ゴムクローラ50がセットされた第1中成形型31は、第1昇降装置44の昇降機構44Bによって、再び案内レール42上に載置される。その後、図4に示すように、牽引装置によって、この第1中成形型31を第2昇降装置45の位置まで移動させる。次に、図5に示すように、第2昇降装置45によって、第1中成形型31を案内レール42から離間するように、上方位置へ移動させる(第1中成形型31の入替準備工程)。
一方、上述した一次加硫準備工程及び第1中成形型31の入替準備工程の間、第2中成形型32は、加硫機20の上下成形型21,22の間に挿入され、第2中成形型32にセットされた一次加硫品51の二次加硫が行われる(二次加硫工程)。
第1中成形型31の入替準備工程の後、加硫機20の二次加硫工程が終了すると、加硫機20の昇降機構26によって、上成形型21を上昇移動させる。次に、図6に示すように、牽引装置によって、上下成形型21,22の間に配置された第2中成形型32を第1昇降装置44の位置まで移動させる。その後、第2昇降装置45の昇降機構45Bによってフォークを下降させて、第1中成形型31を案内レール42上に載置し、牽引装置によって、この第1中成形型31を加硫機20の上下成形型21,22の間に挿入する(第1入替工程)。
次に、図7に示すように、昇降機構26によって、加硫機20の上成形型31を下降移動させ、第1中成形型31にセットされた未加硫ゴムクローラ50を一次加硫する(一次加硫工程)。
一方、この一次加硫工程の間、作業スペースでは、搬送された第2中成形型32に対し、二次加硫品52(一次加硫品51に二次加硫が施されたもの)の取り外しと、次に二次加硫を行う一次加硫品51´のセットとが行われる。具体的には、まず、第1昇降装置44の昇降機構44Bによって、案内レール42に載置された第2中成形型32を第1昇降装置44の上方位置へ移動し、案内レール42から離間させた状態にする。この状態で、第2中成形型32から、二次加硫品52を取り外す(図7参照)。次に、図8に示すように、第2中成形型32の外周に一次加硫品51´を取り付け、第2中成形型32に対する一次加硫品51´のセットを完了する(二次加硫準備工程)。
一次加硫品51´がセットされた第2中成形型32は、昇降機構44Bによって、再び案内レール42上に載置される。その後、牽引装置によって、この第2中成形型31を第2昇降装置45の位置まで移動させる。次に、図9に示すように、第2昇降装置45の昇降機構45Bによって、第2中成形型32を案内レール42から離間するように、第2昇降装置45の上方位置へ移動させる(第2中成形型32の入替準備工程)。
上述した二次加硫準備工程及び第2中成形型32の入替準備工程の間、第1中成形型31は、加硫機20の上下成形型21,22の間に挿入され、第1中成形型31にセットされた未加硫ゴムクローラ50の一次加硫が行われる(図8及び図9参照)。
第2中成形型32の入替準備工程の後、加硫機20の一次加硫工程が終了すると、加硫機20の昇降機構26によって、上成形型21を上昇移動させる。次に、図10に示すように、牽引装置によって、上下成形型21,22の間に配置された第1中成形型31を第1昇降装置44の位置まで移動させる。その後、第2昇降装置45の昇降機構44Bによってフォークを下降させて、第2昇降装置45の第2中成形型32を案内レール42上に載置する。次に、牽引装置によって、この第2中成形型32を加硫機20の上下成形型21,22の間に挿入する(第2入替工程)。
次に、図11に示すように、昇降機構26によって、加硫機20の上成形型31を下降移動させ、第2中成形型32にセットされた一次加硫品51´を一次加硫する。
一方、図11に示す一次加硫工程の間、作業スペースでは、搬送された第1中成形型31に対し、一次加硫品51´´(未加硫ゴムクローラ50が一次加硫が施されたもの)の取り外しと、次に一次加硫を行う新たな未加硫ゴムクローラ50´のセットとが行われる。具体的には、まず、第1昇降装置44の昇降機構Bによって、案内レール42に載置された第1中成形型31を上方位置へ移動し、案内レール42から離間させた状態にする。この状態で、第1中成形型31から、一次加硫品51´´を取り外す(図11参照)。次に、第1中成形型31の外周に未加硫ゴムクローラ50´を取り付け、第1中成形型31に対する未加硫ゴムクローラ50´のセットを完了する(図1参照)。
製造装置1において、上記工程を繰り返すことで、ゴムクローラの連続生産が可能となる。
次に、図12を参照して、上述した製造装置1の加硫サイクルを説明する。図12(a)は、本実施形態の製造装置1における加硫サイクルを説明する図であり、製造装置1における加硫機20の動作と、加硫機の動作に対応する第1中成形型31及び第2中成形型32の状態を示している。図12(b)は、従来の製造装置の加硫サイクルを説明する図であり、従来の製造装置における加硫機の動作と、加硫機の動作に対応する中成形型の状態を示している。図12(a),(b)に示す加硫サイクルでは、加硫機における一次加硫の開始時を加硫サイクルのスタート時としている。
図12(b)に示すように、従来の製造装置では、同一の中成形型により、一次加硫と二次加硫と三次加硫、場合によってはさらに四次加硫を行っている。具体的に説明すると、まず、中成形型に未加硫ゴムクローラをセットして、加硫機でこの未加硫ゴムクローラの一次加硫処理を行い、未加硫ゴムクローラの略三分の一周長分を加硫成形する。一次加硫後、加硫機から中成形型を取り出して、中成形型から一次加硫品を取り外す。その後、この一次加硫品の残り略三分の一周長分が加硫されるように、一次加硫品を中成形型にセットし直す。加硫機に対する中成形型の取り出し、中成形型に対する一次加硫品の取り外し及び一次加硫品の再セットの間、加硫機は加硫待機状態となる。次に、一次加硫品を再セットした中成形型を用いて、加硫機で二次加硫処理を行い、残りの略三分の一周長分を加硫成形する。二次加硫後、加硫機から中成形型を取り出して、二次加硫品を取り外す。その後、この中成形型に、二次加硫品の残り略三分の一周長分が加硫されるように、再セットする。加硫機に対する二次加硫後の中成形型の取り出し、中成形型に対する二次加硫品の取り外し及び二次加硫品の再セットの間、加硫機は待機状態となる。
このように、従来の製造装置では、中成形型から一次加硫品や二次加硫品、三次加硫品を取り外している間、及び、中成形型に未加硫部分を含むゴムクローラをセットしている間に、加硫機が待機状態となるため、加硫待機時間が長く、その結果、加硫サイクルタイムが長くなってしまう。
これに対し、本実施形態の製造装置1では、図12(a)に示すように、第1中成形型31によって未加硫ゴムクローラ(第1の未加硫ゴムクローラ)50の一次加硫を行っている間(第1の加硫工程)に、第2中成形型32に取付けられた二次加硫品52の取り外しと、第2中成形型32に対する一次成形品(第2の未加硫ゴムクローラ)51´のセットとを行うことができる(第1の準備工程)。また、一次成形品51´のセット後は、第2中成形型32の熱盤32aにより、一次成形品51´を予熱することができる(第1の予熱工程)。
加硫機20における一次加硫処理の後は、移動装置40により、加硫機20に対する第1中成形型31と第2中成形型32との入替をスムーズに行うことができる。また、入替後は、加硫機20において直ちに第2中成形型32による二次加硫処理を開始することができる。
また、第2中成形型32によって一次加硫品51´の二次加硫を行っている間(第2の加硫工程)に、第1中成形型32に取付けられた一次加硫品51´´の取り外しと、第1中成形型31に対する新たな未加硫ゴムクローラ(第3の未加硫ゴムクローラ)50´のセットとを行うことができる(第2の準備工程)。また、未加硫ゴムクローラ50´のセット後は、第1中成形型31の熱盤31aにより、未加硫ゴムクローラ50´を予熱することができる(第2の予熱工程)。
さらに、二次加硫処理の後は、移動装置40により、加硫機20に対する第2中成形型32と第1中成形型31との入替をスムーズに行うことができる。入替後は、加硫機20において直ちに第1中成形型31による一次加硫処理(すなわち、新たな加硫サイクル)を開始することができる。
このように、一つの加硫機20に対し、複数の中成形型30(すなわち、第1中成形型31と第2中成形型32)を設け、さらに、移動装置40によって、この第1中成形型31と第2中成形型32とを、上下成形型21,22の間を交互に出入り可能とすることにより、加硫機20における加硫待機時間を短くすることができる。また、この加硫待機時間の短縮により、加硫サイクルタイムを短縮することができる。加硫機20が待機している間は、加硫機20が開いた状態となり加硫機20の温度が低下する。従来の製造装置では、加硫待機時間が長く、加硫機の温度低下が大きくなるが、本実施形態では、加硫機20の待機時間を短縮して加硫機20の温度低下を抑制することが出来るため、加硫時間を短縮することが出来る。
また、第1中成形型31と、第2中成形型32との形状が互いに異なっているので、加硫処理を複数回行って全周を加硫成形するゴムクローラに対し、それぞれの加硫処理ごとにゴムクローラの曲げ剛性に適合させながら、加硫回数を少なくすることができる。具体的には、第1中成形型31により、1回目の加硫処理を行う未加硫ゴムクローラ50は、曲げ剛性が比較的低いため、第1中成形型31の幅W1を薄く、かつ、加硫部の寸法L1を長くすることができる。これにより、ゴムクローラの全周長に対し、1回目の加硫処理で加硫可能な長さ寸法を比較的長く(本実施形態では、1/2周長分よりも長く)することができる。一方、一次加硫後のゴムクローラ(すなわち、2回目の加硫処理を行う一次加硫品51,51´)は、一次加硫前に比して曲げ剛性が高くなる。そのため、第2中成形型32の幅W2を厚く、かつ、加硫部の寸法L2を短くすることで、セット状態における一次加硫品51,51´の曲面部の曲率を大きくして、曲げ剛性に適合させることができる。このように、第1中成形型31及び第2中成形型32の形状が異なることで、ゴムクローラの曲げ剛性に適合させながら、加硫回数を抑え、2回の加硫処理で加硫成形を完了させることができる。
従来の製造装置のように、各加硫処理(一次加硫処理や二次加硫処理)において、同一形状の中成形型を用いるものでは、曲げ剛性に適合させることができず、例えば、ゴムクローラが大型化した場合に、加硫回数が3回以上又は4回以上となってしまう事態が生じる。本実施形態では、このような事態をなくし、加硫回数を低減することができ、その結果、加硫サイクルタイムの短縮化を図ることができる。
さらに、本実施形態の加熱サイクルでは、第2中成形型32の熱盤32aにより、第2中成形型32にセットした一次成形品51´を予熱することができる。同様に、第1中成形型31の熱盤31aにより、第1中成形型31にセットした未加硫ゴムクローラ50´を予熱することができる。加硫開始時における一次成形品51´及び未加硫ゴムクローラ50´の材料温度が低い場合には、一次加硫処理及び二次加硫処理における加硫時間をそれぞれ長くする必要がある。図12(b)に示すように、従来の製造装置では、予熱工程を有していないため、材料温度が低く、加硫時間が比較的長くなっていた。これに対し、本実施形態の製造装置1では、予熱を行って材料温度を高くすることができるので、加硫時間を短縮することができる。このように、加硫待機時間の短縮に加え、加硫時間の短縮を図ることで、加硫サイクルタイムをより短縮することが可能となる。
図13は、本発明の別の実施形態であるゴムクローラの製造装置1の斜視図である。図1に示す実施形態では、昇降装置を2機備えていたが、本実施形態では1機に統合して簡略化している。また、昇降する代わりに、製品の幅方向に移動することで、中成形型30の厚さを自由に設定できるようにしている。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態において、移動装置40の案内レール42は、加硫機20の一側面から、図1における横方向Xの左方側へ延在するように、一方の方向へ延在しているが、移動装置40は、このような構成に限られず、複数の中成形型30を加硫機20の上下成形型21,22に対して交互に出入り可能とするものであればよい。例えば、移動装置40の案内レール42が、加硫機20において横方向Xに対向する両側面から、横方向Xの左方側及び右方側へそれぞれ延在する構成としてもよい。この場合、左方側に延在する案内レール42を用いて第1中成形型31を加硫機20のフレーム25へ出入り可能とし、右方側に延在する案内レール42を用いて第2中成形型32をフレーム25へ出入り可能な構成とすることができる。また、未加硫ゴムクローラを全周に亘って加硫成形するための加硫回数は、2回に限られず、3回以上であってもよい。
また、本発明のゴムクローラの製造装置は、一組の上下成形型21,22に対して中成形型30を2つ以上備える構成であればよく、例えば、第1及び第2中成形型31,32の他に、第3中成形型や第4中成形型を備える構成であってもよい。第3及び第4中成形型のそれぞれの形状は、第1及び第2中成形型31,32のそれぞれと同一形状にしてもよいし、異なる形状であってもよい。