JP6731587B2 - 感光性組成物、パターン付き基板、細胞培養支持体および培養細胞の製造方法 - Google Patents

感光性組成物、パターン付き基板、細胞培養支持体および培養細胞の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、感光性組成物、パターン付き基板、細胞培養支持体および培養細胞の製造方法に関する。
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)等は、下限臨界点温度(LCST)以下では水に溶解し、それよりも高い温度では水に溶解しない温度応答性ポリマーとして知られている。このような温度応答性ポリマーを用いて細胞培養支持体を製造する技術が知られている(例えば、非特許文献1)。温度応答性ポリマーを用いて製造された細胞培養支持体では、その温度調節によって、該支持体に付着した細胞を剥離させることができる。
温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物を用いて、フォトリソグラフィ法により形成したドットパターンを有するチップを製造する技術が知られている。例えば特許文献1には、下記式:
(上記式中、RおよびRは、水素原子またはC1−4アルキル基を示し、Rは、架橋剤と架橋可能な炭化水素構造を示す。)
で表される繰り返し単位を有するN−アルキルアクリルアミド共重合体、架橋剤および酸発生剤を含有する感光性組成物が記載されている。該N−アルキルアクリルアミド共重合体は、上記式で表されるように、N−アルキルアクリルアミドに由来する構成単位および架橋性の構成単位(Rの部分)からなる2元共重合体である。
国際公開第2005/095510号
Y. Tsuda et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 348 (2006) 937-944
各種物性、例えば、パターンの親水性および疎水性が変化する温度(以下「応答温度」と略称する。)が異なる種々の温度応答性のパターン付き基板(特に、細胞培養支持体)を、温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物からフォトリソグラフィ法によるパターニングで製造することが求められている。この応答温度は、使用する温度応答性ポリマーの組成を変更し、その下限臨界点温度(LCST)を調整することによって変更させることができる。しかし、特許文献1に記載されているような2元共重合体では、LCSTを調整するためにその組成を変更させると、架橋性の構成単位の量が不足し、フォトリソグラフィ法によるパターニングができない場合がある。
本発明は上述のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、所望の応答温度を有する温度応答性のパターン付き基板(特に、細胞培養支持体)をフォトリソグラフィ法により製造することが可能な感光性組成物を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、下記式(1)〜(3)で表される構成単位を含む温度応答性ポリマー(即ち、少なくとも3種の構成単位を含む共重合体)を用いれば、架橋性(パターニング特性)を損なわずに、所望の下限臨界点温度(LCST)に調整することができ、該温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から、所望の応答温度を有する温度応答性のパターン付き基板(特に、細胞培養支持体)を、フォトリソグラフィ法によるパターニングで製造し得ることを見出した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 式(1):
(式中、R11は、水素原子またはメチル基を示す。
12およびR13は、それぞれ独立に、C1−4アルキル基を示す。
*は、結合位置を示す。)
で表される構成単位(以下「構成単位(1)」と略称することがある。)、
式(2):
(式中、R21は、水素原子またはメチル基を示す。
22は、−CO−O−R23または−CO−NR2425を示す。
23は、反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
24およびR25の一つは、水素原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基を示し、残りの一つは反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
*は、結合位置を示す。)
で表される構成単位(以下「構成単位(2)」と略称することがある。)、および
式(3):
(式中、R31は、水素原子またはメチル基を示す。
32は、−CO−O−R33または−CO−NR3435を示す。
33は、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基を示す。
34およびR35は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基を示す。
*は、結合位置を示す。)
で表される構成単位(但し、式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位と同じであるものを除く)(以下「構成単位(3)」と略称することがある。)を含む共重合体、
光酸発生剤、並びに
溶媒
を含有する感光性組成物。
[2] R22は、−CO−O−R23であり、R23は、反応性基を有するC1−4アルキル基である前記[1]に記載の感光性組成物。
[3] 反応性基がヒドロキシ基である前記[1]または[2]に記載の感光性組成物。
[4] R33は、ヒドロキシ基を有していてもよいC2−10アルキル基または−R36−R37−R38(前記式中、R36は、C1−4アルキレン基であり、R37は、C3−6シクロアルカンジイル基であり、R38は、ヒドロキシ基を有していてもよいC1−4アルキル基である。)であり、R34およびR35の一つはC3−10アルキル基であり、残りの一つは水素原子またはC1−10アルキル基である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[5] 式(3)で表される構成単位が、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[6] 共重合体の下限臨界点温度が15℃以上33℃未満である前記[4]または[5]に記載の感光性組成物。
[7] R32は、−CO−NR3435であり、R34およびR35は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基若しくはエチル基、またはヒドロキシ基を有するC1−3アルキル基である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[8] 式(3)で表される構成単位が、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[9] 共重合体の下限臨界点温度が33〜45℃である前記[7]または[8]に記載の感光性組成物。
[10] 共重合体の全構成単位中、式(1)で表される構成単位の量が10〜94モル%であり、式(2)で表される構成単位の量が5〜40モル%であり、式(3)で表される構成単位の量が1〜80モル%である前記[1]〜[9]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[11] さらに、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤を含有する前記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[12] 細胞培養支持体を製造するために用いられる前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の感光性組成物。
[13] 前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の感光性組成物から形成されたパターン付き基板。
[14] 前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像する工程を含む、パターン付き基板の製造方法。
[15] 前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像する工程を含む、パターン形成方法。
[16] 温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像して、パターンを形成する工程(I)、および
下限臨界点温度が温度応答性ポリマー(I)とは異なる温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像して、パターンを形成する工程(II)
を含む、細胞培養支持体の製造方法。
[17] 感光性組成物が、さらに光酸発生剤および溶媒を含有する前記[16]に記載の製造方法。
[18] 感光性組成物が、さらに架橋剤を含有する前記[16]または[17]に記載の製造方法。
[19] 温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)の一方が、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)のもう一方が、構成単位(1)および構成単位(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体であるか、または
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が、それぞれ独立に、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、前記[16]〜[18]のいずれか一つに記載の製造方法。
[20] 工程(I)において、40〜200℃の温度で露光後ベークを行う前記[16]〜[19]のいずれか一つに記載の製造方法。
[21] 工程(I)で形成されたパターンに光照射する前記[16]〜[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[22] 形成されたパターンの厚さが、1〜100nmである前記[16]〜[21]のいずれか一つに記載の製造方法。
[23] 前記[16]〜[22]のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた細胞培養支持体。
[24] 基板および該基板上に複数のパターンを有する細胞培養支持体であって、少なくとも一つのパターンが、温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物から形成されたものであり、少なくとも一つの別のパターンが、下限臨界点温度が温度応答性ポリマー(I)とは異なる温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物から形成されたものである、細胞培養支持体。
[25] 感光性組成物が、さらに光酸発生剤および溶媒を含有する前記[24]に記載の細胞培養支持体。
[26] 感光性組成物が、さらに架橋剤を含有する前記[24]または[25]に記載の細胞培養支持体。
[27] 温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)の一方が、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)のもう一方が、構成単位(1)および構成単位(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体であるか、または
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が、それぞれ独立に、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、前記[24]〜[26]のいずれか一つに記載の細胞培養支持体。
[28] 形成されたパターンの厚さが、1〜100nmである前記[24]〜[27]のいずれか一つに記載の細胞培養支持体。
[29] 基板および該基板上に複数のパターンを有する細胞培養支持体であって、
少なくとも一つのパターンが、温度応答性ポリマー(I)の架橋物を含み、少なくとも一つの別のパターンが、下限臨界点温度が温度応答性ポリマー(I)とは異なる温度応答性ポリマー(II)の架橋物を含み、
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)の一方が、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)のもう一方が、構成単位(1)および構成単位(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体であるか、または
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が、それぞれ独立に、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、細胞培養支持体。
[30] パターンの厚さが、1〜100nmである前記[29]に記載の細胞培養支持体。
[31] 基板および該基板上に複数のパターンを有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法であって、
少なくとも一つのパターン(I)が、温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物から形成されたものであり、少なくとも一つの別のパターン(II)が、温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い下限臨界点温度を有する温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物から形成されたものであり、
温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い温度、且つ温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度で、少なくとも一つのパターン(I)上で、細胞(I)を培養する工程、および
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも高い温度で、少なくとも一つの別のパターン(II)上で、細胞(I)とは異なる細胞(II)を培養する工程
を含む製造方法。
[32] さらに、パターン(I)およびパターン(II)の温度を、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度に調整して、細胞培養支持体から細胞(I)および細胞(II)を剥離させる工程を含む前記[31]に記載の製造方法。
[33] 感光性組成物が、さらに光酸発生剤および溶媒を含有する前記[31]または[32]に記載の製造方法。
[34] 感光性組成物が、さらに架橋剤を含有する前記[31]〜[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[35] 温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)の一方が、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)のもう一方が、構成単位(1)および構成単位(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体であるか、または
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が、それぞれ独立に、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、前記[31]〜[34]のいずれか一つに記載の製造方法。
[36] 基板および該基板上に複数のパターンを有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法であって、
少なくとも一つのパターン(I)が、温度応答性ポリマー(I)の架橋物を含み、少なくとも一つの別のパターン(II)が、温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い下限臨界点温度を有する温度応答性ポリマー(II)の架橋物を含み、
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)の一方が、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)のもう一方が、構成単位(1)および構成単位(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体であるか、または
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が、それぞれ独立に、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、
温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い温度、且つ温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度で、少なくとも一つのパターン(I)上で、細胞(I)を培養する工程、および
温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも高い温度で、少なくとも一つの別のパターン(II)上で、細胞(I)とは異なる細胞(II)を培養する工程
を含む製造方法。
[37] さらに、パターン(I)およびパターン(II)の温度を、温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度に調整して、細胞培養支持体から細胞(I)および細胞(II)を剥離させる工程を含む前記[36]に記載の製造方法。
[38] 前記[1]〜[12]のいずれか一つに記載の感光性組成物から得られる硬化物。
[39] 温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射して硬化物層を形成する工程を含む、細胞培養支持体の製造方法であって、
温度応答性ポリマーが、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、製造方法。
[40] 基板および該基板上に温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から形成された硬化物層を有する細胞培養支持体であって、
温度応答性ポリマーが、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、細胞培養支持体。
[41] 基板および該基板上に温度応答性ポリマーの架橋物を含む硬化物層を有する細胞培養支持体であって、
温度応答性ポリマーが、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体である、細胞培養支持体。
[42] 基板および該基板上に硬化物層を有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法であって、
硬化物層が、温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から形成されたものであり、
温度応答性ポリマーが、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、
温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも高い温度で、硬化物層上で、細胞を培養する工程を含む製造方法。
[43] 基板および該基板上に硬化物層を有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法であって、
硬化物層が、温度応答性ポリマーの架橋物を含み、
温度応答性ポリマーが、構成単位(1)、構成単位(2)、および構成単位(3)を含む共重合体であり、
温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも高い温度で、硬化物層上で、細胞を培養する工程
を含む、製造方法。
本発明の感光性組成物を用いれば、所望の応答温度を有する温度応答性のパターン付き基板(特に、細胞培養支持体)をフォトリソグラフィ法によるパターニングで製造することができる。
実施例1で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 実施例2で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 実施例3で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 実施例4で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 実施例5で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 比較例1で得られた感光性組成物の感度試験の結果を示すグラフである。 実施例1で得られた感光性組成物のパターニング試験の結果を示すグラフである。 実施例2で得られた感光性組成物のパターニング試験の結果を示すグラフである。 実施例3で得られた感光性組成物のパターニング試験の結果を示すグラフである。 実施例4で得られた感光性組成物のパターニング試験の結果を示すグラフである。 比較例1で得られた感光性組成物のパターニング試験の結果を示すグラフである。 実施例7で得られた細胞培養支持体2におけるパターンIa、Ib、IIaおよびIIbの概略平面図である。
<感光性組成物およびそれから得られる硬化物>
本発明の感光性組成物は、構成単位(1)〜(3)を含む共重合体、光酸発生剤、および溶媒を含有する。本発明の感光性組成物は、好ましくは、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤をさらに含有する。前記共重合体中において、構成単位(1)〜(3)は、それぞれ、1種のみでもよく、2種以上でもよい。以下、構成単位(1)〜(3)中に含まれる基から順に説明する。
本明細書中、「Ca−b」(前記式中、aおよびbは整数を示す。)とは、炭素数がa〜bであることを意味する。
本明細書中、「反応性基」とは、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基またはC1−4アルコキシメチル基を意味する。反応性の観点から、反応性基は、好ましくはヒドロキシ基である。
本明細書中、アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。「C1−10アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが挙げられる。
本明細書中、「C1−3アルキル基」、「C1−4アルキル基」、「C2−10アルキル基」および「C3−10アルキル基」としては、上述の「C1−10アルキル基」の例示の中で、それぞれ、炭素数が1〜3であるもの、炭素数が1〜4であるもの、炭素数が2〜10であるもの、および炭素数が3〜10であるものが例示される。
本明細書中、「C3−10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルが挙げられる。
本明細書中、「3〜10員複素環基」としては、例えば、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの芳香族複素環基;およびアジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの非芳香族複素環基が挙げられる。
本明細書中、アルキレン基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。「C1−4アルキレン基」としては、例えば、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(C)−、−CH(C)−、−CH(CH(CH)−、−(CH(CH))−、−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH−が挙げられる。
本明細書中、「C3−6シクロアルカンジイル基」としては、例えば、シクロプロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイルが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいシクロアルキル基」が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、C1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシカルボニル基、ホルミル基、C6−14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、C1−4アルコキシ基、C1−4アルコキシカルボニル基、ホルミル基、C1−10アルキル基が挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ基」としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノが挙げられる。
本明細書中、アルコキシ基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。「C1−4アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシが挙げられる。
本明細書中、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリルが挙げられる。
構成単位(1)中のR11は、水素原子またはメチル基、好ましくは水素原子である。
12およびR13は、それぞれ独立に、C1−4アルキル基、好ましくはメチル基である。
構成単位(1)は、好ましくは、N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位である。ここで、N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位とは、N−イソプロピルアクリルアミドの炭素−炭素二重結合により重合して形成される構成単位を意味し、N−イソプロピルアクリルアミドから直接形成されたものでもよく、他の単量体から間接的に形成されたもの(例えば、N−イソプロピルアクリルアミド誘導体の重合により構成単位を形成した後、該構成単位を変換して得られたもの)でもよい。この「由来する」の意味は、構成単位(2)および(3)でも同様である。
構成単位(2)中のR21は、水素原子またはメチル基、好ましくは水素原子である。
22は、−CO−O−R23または−CO−NR2425である。
23は、反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基である。
24およびR25の一つは、水素原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基であり、残りの一つは反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基である。
構成単位(2)は、側鎖であるR22に反応性基を有する架橋性の構成単位である。共重合体中に2種以上の構成単位(2)が含まれ、それらが互いに反応する反応性基を有する場合は、それらの反応により、架橋構造を形成することができる。また、反応性基と反応する置換基を構成単位(3)が有する場合、反応性基と置換基との反応により、架橋構造を形成することができる。また、本発明の感光性組成物が架橋剤を含有する場合、反応性基と架橋剤との反応により、架橋構造を形成することができる。
22は、好ましくは、−CO−O−R23(前記式中、R23は、好ましくは反応性基を有するC1−4アルキル基であり、より好ましくはヒドロキシ基を有するC1−4アルキル基であり、さらに好ましくは1−ヒドロキシメチルまたは2−ヒドロキシエチルであり、最も好ましくは2−ヒドロキシエチルである。)、または−CO−NR2425(前記式中、R24は、好ましくは水素原子であり、R25は、好ましくは反応性基を有するC1−10アルキル基であり、より好ましくは反応性基を有するC1−4アルキル基であり、さらに好ましくはヒドロキシ基を有するC1−4アルキル基であり、最も好ましくは2−ヒドロキシ−1−メチルエチルである。)である。
22は、より好ましくは−CO−O−R23(前記式中、R23は、好ましくは反応性基を有するC1−4アルキル基であり、より好ましくはヒドロキシ基を有するC1−4アルキル基であり、さらに好ましくは1−ヒドロキシメチルまたは2−ヒドロキシエチルであり、最も好ましくは2−ヒドロキシエチルである。)である。
構成単位(2)は、好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であり、より好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位である。
構成単位(3)中のR31は、水素原子またはメチル基である。
32は、−CO−O−R33または−CO−NR3435である。
33は、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基である。
34およびR35は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基である。
但し、本発明において、構成単位(3)は、上述の構成単位(1)および(2)とは異なる。
構成単位(1)および(2)とは異なる構成単位(3)は、主として、共重合体の下限臨界点温度(LCST)を調整するために用いられる。構成単位(1)および(2)に加えて、これらよりも疎水性である構成単位(3)を含有する共重合体のLCSTは、構成単位(1)および(2)からなる2元共重合体のLCSTに比べて低くなる傾向がある。逆に、構成単位(1)および(2)に加えて、これらよりも、親水性である構成単位(3)を含有する共重合体のLCSTは、構成単位(1)および(2)からなる2元共重合体のLCSTに比べて高くなる傾向がある。
本発明における共重合体の下限臨界点温度(LCST)の値は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)の二つの容器の内の一つに共重合体の水溶液(共重合体濃度:2重量%、溶媒:純水)を入れ、該溶液の温度を1℃/分で下げながら、大気のみの空の容器を対照として示差熱を測定して得られた測定曲線のピークトップの温度として算出される。
本発明では、下限臨界点温度(LCST)が15℃以上33℃未満である共重合体(以下「低温用の共重合体」と略称する。)およびLCSTが33〜45℃である共重合体(以下「高温用の共重合体」と略称する。)のいずれも使用することができる。低温用の共重合体のLCSTは、好ましくは20℃以上33℃未満であり、高温用の共重合体のLCSTは、好ましくは33〜40℃である。
溶媒が純水ではなく、リン酸緩衝生理食塩水である共重合体の水溶液(共重合体濃度:2重量%)を用いること以外は、上記と同様にして測定される共重合体の下限臨界点温度(LCST)の値は、低温用の共重合体では、好ましくは10℃以上29℃未満、より好ましくは20℃以上29℃未満であり、高温用の共重合体では、好ましくは29〜42℃、より好ましくは29〜40℃である。なお、本発明における共重合体の下限臨界点温度(LCST)の値は、特段の記載が無い限り、純水を溶媒として用いて測定した値である。
以下、低温用の共重合体における好ましい構成単位(3)について、順に説明する。
低温用の共重合体において、構成単位(3)中のR33は、ヒドロキシ基を有していてもよいC2−10アルキル基または−R36−R37−R38(前記式中、R36は、C1−4アルキレン基であり、R37は、C3−6シクロアルカンジイル基であり、R38は、ヒドロキシ基を有していてもよいC1−4アルキル基である。)であり、R34およびR35の一つはC3−10アルキル基であり、残りの一つは水素原子またはC1−10アルキル基であることが好ましい。
低温用の共重合体において、構成単位(3)は、好ましくは、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である。なお、本明細書中、「(メタ)アクリレート」等は「アクリレートおよびメタクリレート」等を意味する。
低温用の共重合体において、構成単位(3)は、より好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−(tert−ブチル)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピルアクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である。
低温用の共重合体において、構成単位(3)は、さらに好ましくは、N−プロピルアクリルアミドに由来する構成単位である。
次に、低温用の共重合体における構成単位の組合せについて説明する。
低温用の共重合体において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であり、構成単位(3)は、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であることが好ましい。
低温用の共重合体において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドなる群から選ばれる構成単位であり、構成単位(3)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−(tert−ブチル)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピルアクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であることがより好ましい。
低温用の共重合体において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドなる群から選ばれる構成単位であり、構成単位(3)は、N−プロピルアクリルアミドに由来する構成単位であることがさらに好ましい。
以下、高温用の共重合体における好ましい構成単位(3)について、順に説明する。
高温用の共重合体において、構成単位(3)中のR32は、−CO−NR3435であり、R34およびR35は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基若しくはエチル基、またはヒドロキシ基を有するC1−3アルキル基であることが好ましい。
高温用の共重合体において、構成単位(3)は、好ましくは、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である。
高温用の共重合体において、構成単位(3)は、より好ましくは、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である。
次に、高温用の共重合体における構成単位の組合せについて説明する。
高温用の共重合体において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であり、構成単位(3)は、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であることが好ましい。
高温用の共重合体において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位であり、構成単位(3)は、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であることがより好ましい。
共重合体の全構成単位中、構成単位(1)の量は、LCST調整のため、および相転移エンタルピー変化を大きくするために、好ましくは10〜94モル%、より好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは40〜80モル%である。
共重合体の全構成単位中、構成単位の量(2)は、充分な架橋を達成するために、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは7〜30モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。
共重合体の全構成単位中、構成単位(3)の量は、LCST調整のために、好ましくは1〜80モル%、より好ましくは2〜60モル%、さらに好ましくは3〜40モル%である。
共重合体は、その温度応答性および架橋性(パターニング特性)を損なわない範囲で、構成単位(1)〜(3)以外の構成単位を含んでいてもよい。共重合体の全構成単位中、構成単位(1)〜(3)以外の構成単位の量は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。共重合体は、構成単位(1)〜(3)からなることがさらに好ましい。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、良好なパターニング特性を得るために、好ましくは500〜1,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜100,000である。本発明における共重合体のMwの値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
共重合体の含有量は、良好なパターニング特性を達成するため、およびLCSTの良好な発現のために、溶媒を除く感光性組成物の固形分を基準に、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは80〜95重量%である。
上述の共重合体は、市販の単量体または公知の方法で製造した単量体を公知の方法で重合させることによって製造することができる。
本発明の感光性組成物は、光酸発生剤を含有する。光酸発生剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤に特に制限は無く、感光性組成物の分野で通常使用されているものを、本発明でも使用することができる。光酸発生剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ニトロベンジル化合物、鉄アレーン錯体、ベンゾイントシラート化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、シアノ基含有オキシムスルホナート化合物、ナフタルイミド系化合物が挙げられる。
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンが挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミドが挙げられる。
ニトロベンジル化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジルが挙げられる。
鉄アレーン錯体としては、例えば、ビスシクロペンタジエニル−(η−イソプロピルベンゼン)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
ベンゾイントシラート化合物としては、例えば、ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラートが挙げられる。
ハロゲン含有トリアジン化合物としては、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
シアノ基含有オキシムスルホナート化合物としては、例えば、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルベンジルシアニドが挙げられる。
ナフタルイミド系化合物としては、例えば、6−(n−ブチルチオ)−2−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオン、6−(n−ブチルチオ)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオンおよび6−(イソプロピルチオ)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオンが挙げられる。
光酸発生剤は、好ましくはナフタルイミド系化合物であり、より好ましくは6−(n−ブチルチオ)−2−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオン、6−(n−ブチルチオ)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオンおよび6−(イソプロピルチオ)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオンである。
光酸発生剤の含有量は、良好なパターニング性能を得るために、溶媒を除く感光性組成物の固形分を基準に、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜25重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。
本発明の感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。架橋剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、共重合体中に互いに反応する2種以上の反応性基が存在する場合、または構成単位(3)が反応性基と反応する置換基を有する場合には、共重合体は架橋剤無しで架橋することができる(自己架橋)。このような場合には、本発明の感光性組成物は架橋剤を含まなくてもよい。
架橋剤に特に制限は無く、感光性組成物の分野で通常使用されているものを、本発明でも使用することができる。
架橋剤としては、例えば、グリコールウリル化合物、メラミン化合物が挙げられる。
グリコールウリル化合物としては、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(エトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(プロポキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリルが挙げられる。
メラミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンが挙げられる。
架橋剤は、好ましくは、グリコールウリル化合物であり、より好ましくは1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(エトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(プロポキシメチル)グリコールウリル、および1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリルからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくは1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルである。
架橋剤を使用する場合、その含有量は、良好なパターニング特性および充分な温度応答性を得るために、溶媒を除く感光性組成物の固形分を基準に、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。
本発明の感光性組成物は、溶媒を含有する。溶媒は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶媒に特に制限は無く、感光性組成物の分野で通常使用されているものを、本発明でも使用することができる。
溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、カルボン酸エステルおよびその誘導体、芳香族炭化水素、ケトンが挙げられる。
エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
プロピレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルが挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートが挙げられる。
カルボン酸エステルおよびその誘導体としては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチルが挙げられる。
芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレンが挙げられる。
ケトンとしては、例えば、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。
溶媒は、好ましくはプロピレングリコールモノアルキルエーテルであり、より好ましくはプロピレングリコールモノブチルエーテルである。
溶媒の含有量は、膜厚をコントロールするため、および良好なパターニング特性を得るために、感光性組成物を基準に、好ましくは70〜99.5重量%、より好ましくは50〜99.5重量%、さらに好ましくは85〜99重量%である。
本発明の感光性組成物は、その温度応答性およびフォトリソグラフィ法におけるパターニング特性を損なわない範囲で、上述の共重合体、光酸発生剤、架橋剤および溶媒以外の成分(公知の界面活性剤、添加剤等)を含んでいてもよい。
本発明は、前記感光性組成物から得られる硬化物も提供する。本発明の硬化物は、自体公知の方法および下記<パターン付き基板、該基板の製造方法およびパターン形成方法>に記載の方法によって製造することができる。
<パターン付き基板、該基板の製造方法およびパターン形成方法>
本発明の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法によるパターニングで、所望の応答温度を有する温度応答性のパターン付き基板を製造することができる。本発明は、このようなパターン付き基板も提供する。本発明のパターン付き基板は、本発明の感光性組成物を1種のみ用いて製造した1種のパターン(硬化物層)を有し、応答温度が一つである基板であってもよく、本発明の感光性組成物を2種以上用いて製造した2種以上の応答温度が異なるパターンを有する基板であってもよい。
パターンの形状に特に制限は無く、基板の上側から観察した場合、例えば、四角状、丸状、線状、ラインアンドスペース等が挙げられる。2種以上の応答温度の異なるパターンが存在する場合、それらは隣接して形成されていてもよく、離して形成されていてもよい。上側から観察したパターンの大きさおよびパターン断面から観察したその厚さ(高さ)に特に制限は無い。パターンの一辺の大きさは、例えば0.1μm〜1,000mm、パターンの厚さ(高さ)は、例えば5nm〜1,000μmである。これらパターンの形状は、露光工程時に、透過光の形状が異なる複数のマスクを用いることで制御可能である。
本発明のパターン付き基板は、自体公知の方法、例えば以下に記載するような方法で製造できる。まず、本発明の感光性組成物をスピンコート、スリットコート等の方法で基板に塗布し、溶媒除去することによって塗膜を形成する。該塗膜にi線(波長365nm)、紫外線、深紫外線、電子線等の光を、所望のパターンを得るためにマスクを介して照射すると、露光部分のみで酸が発生し、それによる架橋(硬化)が生ずる。この後、露光後ベーク(PEB)を行なうことが望ましい。露光後の塗膜を、現像液等で現像を行い、未露光部(塗膜の未硬化部分)を除去してパターン付き基板を製造することができる。
照射する光は、好ましくは紫外線、500nm以下の可視光線、より好ましくは紫外線である。露光量としては、好ましくは1〜10,000mJ/cm、より好ましくは10〜5,000mJ/cm、さらに好ましくは20〜3,000mJ/cmである。
2種以上の応答温度が異なるパターンを有する基板は、組成が異なる感光性組成物毎に上記操作を繰り返すことによって、製造することができる。
基板の材料としては、例えば、金属、半金属、金属含有化合物、半金属含有化合物、樹脂等が挙げられる。
金属または半金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケルチタン、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)、シリコン等が挙げられる。
金属含有化合物または半金属含有化合物としては、例えば、セラミックス、金属酸化物または半金属酸化物(ガラス、酸化ケイ素、アルミナ等)、金属炭化物または半金属炭化物、金属窒化物または半金属窒化物(窒化ケイ素等)、金属ホウ化物または半金属ホウ化物等が挙げられる。
樹脂は、天然樹脂、変性天然樹脂および合成樹脂のいずれでもよい。天然樹脂としては、例えば、セルロース等が挙げられる。変性天然樹脂として、例えば、三酢酸セルロース(CTA)、デキストラン硫酸を固定化したセルロース等が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PEs)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
<細胞培養支持体およびその製造方法>
本発明は、温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物を用いて、温度応答性の硬化物層またはパターンを基板上に形成することを含む細胞培養支持体の製造方法、および該製造方法から得られる細胞培養支持体も提供する。
まず、1種の感光性組成物を用いる細胞培養支持体の製造方法について説明する。この態様の本発明の製造方法は、構成単位(1)〜(3)を含む共重合体である温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物を用いて、基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射して硬化物層を形成する工程を含むことを特徴とする。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。感光性組成物(特に、その成分の種類および量)の説明は、前記<感光性組成物およびそれから得られる硬化物>における説明と同じである。
硬化物層は、自体公知の方法および前記<パターン付き基板、該基板の製造方法およびパターン形成方法>に記載の方法によって形成することができる。硬化物層の厚さ(高さ)は、培養中には細胞を硬化物層に付着させ、培養細胞の回収時には培養系の温度を変化させて培養細胞を硬化物層から剥離させるために、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜30nmである。上側から観察した硬化物層の大きさに特に制限は無く、硬化物層の一辺の大きさは、例えば0.1〜1,000mmである。
基板の説明は、後述する点を除いては、前記<パターン付き基板、該基板の製造方法およびパターン形成方法>における説明と同じである。基板の材料は、好ましくは、ガラス、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(PEs)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、またはアクリル樹脂である。
次に、1種の感光性組成物を用いる細胞培養支持体の製造方法から得られる細胞培養支持体について説明する。この態様の本発明の細胞培養支持体は、基板、および該基板上に構成単位(1)〜(3)を含む共重合体である温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から形成された硬化物層(即ち、前記温度応答性ポリマーの架橋物を含む硬化物層)を有することを特徴とする。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。感光性組成物(特に、その成分の種類および量)、硬化物層および基板の説明は、前記説明と同じである。
次に、2種以上の感光性組成物を用いる細胞培養支持体の製造方法について説明する。この態様の製造方法では、細胞培養支持体の製造方法に、感光性組成物を使用すること、および2種以上の感光性組成物が含有する温度応答性ポリマーの下限臨界点温度が互いに異なることを特徴とする。
この態様の本発明の製造方法は、温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像して、パターンを形成する工程(I)、および下限臨界点温度が温度応答性ポリマー(I)とは異なる温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像して、パターンを形成する工程(II)を含む。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。
この態様の製造方法では、温度応答性ポリマー(I)および(II)の一方が、構成単位(1)〜(3)を含む共重合体(以下「共重合体(123)」と略称することがある)であり、温度応答性ポリマー(I)および(II)のもう一方が、構成単位(1)および(2)を含み、且つ構成単位(3)を含まない共重合体(以下「共重合体(12)」と略称することがある)であるか、または温度応答性ポリマー(I)および(II)が、それぞれ独立に、共重合体(123)であることが好ましい。
共重合体(123)、光酸発生剤、溶媒の説明は、前記<感光性組成物およびそれから得られる硬化物>における説明と同じである。また、共重合体(12)中の構成単位(1)および構成単位(2)の説明は、後述する点を除いては、前記<感光性組成物およびそれから得られる硬化物>における説明と同じである。
共重合体(12)中の構成単位(1)および(2)は、それぞれ、1種のみでもよく、2種以上でもよい。共重合体(12)は、構成単位(1)〜(3)以外の構成単位を含んでいてもよい。共重合体(12)の全構成単位中、構成単位(1)〜(3)以外の構成単位の量は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。共重合体は、構成単位(1)および(2)からなることがさらに好ましい。
共重合体(12)の全構成単位中、構成単位(1)の量は、好ましくは10〜94モル%、より好ましくは20〜92モル%、さらに好ましくは40〜90モル%である。
共重合体の全構成単位中、構成単位の量(2)は、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは7〜30モル%、さらに好ましくは10〜25モル%である。
なお、共重合体(12)は、構成単位(3)を含まない。
共重合体(12)において、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位であることが好ましく、構成単位(1)はN−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位であり、構成単位(2)は、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位であることがより好ましい。
共重合体(12)の重量平均分子量(Mw)は、良好なパターニング特性を得るために、好ましくは500〜1,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜100,000である。このMwは、上述したように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
共重合体(12)を使用する場合、その含有量は、溶媒を除く感光性組成物の固形分を基準に、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜98重量%、さらに好ましくは80〜97重量%である。
共重合体(12)は、市販の単量体または公知の方法で製造した単量体を公知の方法で重合させることによって製造することができる。
基板の説明は、1種の感光性組成物を用いる細胞培養支持体の製造方法における前記説明と同じである。
パターンは、基本的に、自体公知の方法および前記<パターン付き基板、該基板の製造方法およびパターン形成方法>に記載の方法によって形成することができる。
工程(I)で形成されたパターンが、工程(II)の感光性組成物に含まれる溶媒で損なわれることを回避するために(即ち、工程(I)で形成されたパターンの耐溶媒性を向上させるために)、工程(I)において露光後ベーク(PEB)を行うか、工程(I)で形成されたパターンにさらに光照射することが好ましい。工程(II)の後に、さらに工程(I)を行う場合、または温度応答性ポリマー(I)および(II)とは異なる温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物を用いてパターンを形成する工程を行う場合、工程(II)でも、露光後ベーク(PEB)を行うか、その形成されたパターンにさらに光照射することが好ましい。
露光後ベークの温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜160℃であり、その時間は、好ましくは0.5〜1440分、より好ましくは1〜600分、さらに好ましくは2〜480分である。
形成されたパターンに照射する光は、好ましくは紫外線、500nm以下の可視光線、より好ましくは紫外線である。その照射時間は、好ましくは1〜30秒、より好ましくは1〜20秒、さらに好ましくは1〜10秒である。
パターンの形状は、培養細胞の目的とする形状に応じて適宜設定すればよい。パターンの形状は、露光工程時に、透過光の形状が異なる複数のマスクを用いることで制御可能である。培養中には細胞を硬化物層に付着させ、培養細胞の回収時には培養系の温度を変化させて培養細胞を硬化物層から剥離させるために、パターンの厚さ(高さ)は、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜30nmである。パターンの一辺の大きさは、例えば0.1〜1,000mmである。
この態様の製造方法では、応答温度が異なる2種の温度応答性ポリマー(即ち、温度応答性ポリマー(I)および(II))のみを用いて、応答温度が異なる2種のパターンを形成してもよく、応答温度が異なる3種以上の温度応答性ポリマー(即ち、温度応答性ポリマー(I)および(II)、並びに1種以上の他の温度応答性ポリマー)を用いて、応答温度が異なる3種以上のパターンを形成してもよい。
3種以上の温度応答性ポリマーを使用する場合、下限臨界点温度(LCST)の調整および架橋性の維持の観点から、2種以上の温度応答性ポリマーが共重合体(123)であり、残りの1種の温度応答性ポリマーが共重合体(12)であるか、または3種以上の温度応答性ポリマーの全てが、それぞれ独立に、共重合体(123)であることが好ましい。
次に、2種以上の感光性組成物を用いる細胞培養支持体の製造方法から得られる細胞培養支持体について説明する。この態様の本発明の細胞培養支持体は、基板、並びに該基板上に、温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物から形成された少なくとも一つのパターン(即ち、温度応答性ポリマー(I)の架橋物を含む少なくとも一つのパターン)、および下限臨界点温度が温度応答性ポリマー(I)とは異なる温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物から形成された少なくとも一つのパターン(即ち、温度応答性ポリマー(II)の架橋物を含む少なくとも一つのパターン)を有することを特徴とする。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。感光性組成物(特に、その成分の種類および量)、パターンおよび基板の説明は、前記説明と同じである。
この態様の細胞培養支持体は、応答温度が異なる2種のパターン(即ち、温度応答性ポリマー(I)または(II)を含有する2種の感光性組成物から形成された、温度応答性ポリマー(I)または(II)の架橋物を含む2種のパターン)のみを有していてもよく、応答温度が異なる3種以上のパターン(即ち、前記2種のパターンおよび1種以上の他のパターン)を有していてもよい。
<培養細胞の製造方法>
本発明は、基板、および該基板上に温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から形成された硬化物層またはパターンを有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法も提供する。この製造方法で用いる細胞培養支持体の説明は、後述する点を除いては、前記<細胞培養支持体およびその製造方法>における説明と同じである。また、本発明において、細胞の培養方法および条件に特に限定は無く、自体公知の方法、例えば、非特許文献1に記載の方法によって細胞を培養することができる。
まず、硬化物層を有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法について説明する。この態様の本発明の製造方法は、基板、および該基板上に、共重合体(123)である温度応答性ポリマーを含有する感光性組成物から形成された硬化物層(即ち、前記温度応答性ポリマーの架橋物を含む硬化物層)を有する細胞培養支持体を用いること、および温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも高い温度で、硬化物層上で、細胞を培養する工程を含むことを特徴とする。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。感光性組成物(特に、その成分の種類および量)、パターンおよび基板の説明は、前記説明と同じである。
この態様の製造方法では、細胞の培養後に、硬化物層の温度を温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも低い温度に調整することによって、硬化物層を親水性に変化させ、膨潤させることによって、細胞培養支持体から培養細胞を剥離させて、回収することが好ましい。
この態様の製造方法では、細胞培養支持体上に細胞を播種し、培養に適した温度、且つ温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも高い温度で細胞をインキュベートすることで細胞を培養し、その後、硬化物層の温度を温度応答性ポリマーが有する下限臨界点温度よりも低い温度に調整することによって、細胞培養支持体から細胞を剥離し、細胞を回収することができる。
本発明において、細胞に特に限定は無く、種々の細胞を培養することができる。細胞としては、例えば、生体内の各組織および臓器を構成する上皮細胞および内皮細胞;収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞および心筋細胞;神経系を構成するニューロンおよびグリア細胞;繊維芽細胞;生体の代謝に関係する肝実質細胞、非肝実質細胞、および脂肪細胞;種々の組織に存在する幹細胞、並びに骨髄細胞およびES細胞等が挙げられる。
本発明において、細胞を播種する方法に特に限定は無く、自体公知の方法を用いることができる。例えば、細胞を培地中に懸濁させた状態で細胞培養支持体上に播種する方法が挙げられる。
本発明において、細胞培養支持体から剥離させた培養細胞を回収する方法に特に限定は無く、自体公知の方法を用いることができる。例えば、細胞を回収膜に接触および付着させることにより、細胞を回収することができる。回収膜としては、自体公知のもの、例えば、コラーゲンゲル膜、セルロース膜、PVDF膜、ナイロンメッシュ、パーチメント紙、ゼラチン膜等を使用することができる。
回収膜を使用して細胞を回収した場合、自体公知の方法によって、回収膜と細胞とを分離させることができる。例えば、回収膜としてコラーゲンゲル膜、セルロース膜、PVDF膜、ナイロンメッシュ、またはパーチメント紙を用いる場合、回収膜に水を滴下することによって、回収膜と細胞との間の吸着力を低下させ、回収膜から細胞を剥離させることができる。また、回収膜としてゼラチン膜を用いる場合、ゼラチン膜を約33〜40℃に温めることによって溶かし、細胞からゼラチン膜を除去することができる。
次に、応答温度が異なる複数のパターンを有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法について説明する。なお、この態様の製造方法の説明は、後述する点を除いては、上述した硬化物層を有する細胞培養支持体を用いる培養細胞の製造方法の説明と同じである。
この態様の本発明の製造方法は、基板、並びに該基板上に温度応答性ポリマー(I)を含有する感光性組成物から形成された少なくとも一つのパターン(I)(即ち、温度応答性ポリマー(I)の架橋物を含む少なくとも一つのパターン(I))、および温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い下限臨界点温度を有する温度応答性ポリマー(II)を含有する感光性組成物から形成された少なくとも一つの別のパターン(II)(即ち、温度応答性ポリマー(II)の架橋物を含む少なくとも一つのパターン(II))を有する細胞培養支持体を用いること、並びに温度応答性ポリマー(I)が有する下限臨界点温度よりも高い温度、且つ温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度で、少なくとも一つのパターン(I)上で、細胞(I)を培養する工程、および温度応答性ポリマー(I)および温度応答性ポリマー(II)が有する下限臨界点温度よりも高い温度で、少なくとも一つの別のパターン(II)上で、細胞(I)とは異なる細胞(II)を培養する工程を含むことを特徴とする。感光性組成物は、光酸発生剤および溶媒を含有することが好ましい。また、感光性組成物は、架橋剤(特に、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤)を含有することが好ましい。感光性組成物(特に、その成分の種類および量)、パターンおよび基板の説明は、前記説明と同じである。
この態様の製造方法では、細胞の培養後に、パターン(I)および(II)の温度を、温度応答性ポリマー(I)および(II)が有する下限臨界点温度よりも低い温度に調整して、パターン(I)および(II)を親水性に変化させ、膨潤させることによって、細胞培養支持体から細胞(I)および(II)を剥離させることが好ましい。
温度応答性ポリマー(I)および(II)の一方が、共重合体(123)であり、温度応答性ポリマー(I)および(II)のもう一方が、共重合体(12)であるか、または温度応答性ポリマー(I)および(II)が、それぞれ独立に、共重合体(123)であることが好ましい。
共重合体(123)として上述の低温用の共重合体を使用し、且つ共重合体(12)を使用する場合、下限臨界点温度が低い温度応答性ポリマー(I)として低温用の共重合体を使用し、下限臨界点温度が高い温度応答性ポリマー(II)として共重合体(12)を使用することが好ましい。
共重合体(123)として上述の高温用の共重合体を使用し、且つ共重合体(12)を使用する場合、下限臨界点温度が低い温度応答性ポリマー(I)として共重合体(12)を使用し、下限臨界点温度が高い温度応答性ポリマー(II)として高温用の共重合体を使用することが好ましい。
この態様の製造方法では、パターン(I)および(II)が互いに接触した細胞培養支持体を使用することによって、細胞(I)および(II)が互いに接触して形成される共培養細胞シートを製造することができる。
この態様の製造方法では、応答温度が異なる2種のパターン(即ち、パターン(I)および(II))のみを有する細胞培養支持体を用いてもよく、応答温度が異なる3種以上のパターン(即ち、パターン(I)および(II)、並びに1種以上の他のパターン)を有する細胞培養支持体を用いてもよい。また、細胞も、2種のみの細胞(即ち、細胞(I)および(II))のみを培養してもよく、3種以上の細胞(即ち、細胞(I)および(II)、並びに1種以上の他の細胞)を培養してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<製造例1:単量体の製造>
アルゴン雰囲気下、フラスコにメタノール801mL、プロピルアミン100g、4−メトキシフェノール0.02g、炭酸カリウム128gを入れ、反応液を−20℃に冷却した。その後、反応液を−20℃に調整しながらアクリル酸クロリド137mLを30分かけて滴下した。その後、室温で反応液を1時間撹拌した後、反応を終了させた。反応液の溶媒留去後、酢酸エチルを添加し、塩をろ過した。その後、酢酸エチルと水で分液抽出し、分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過で除去し、ろ液を濃縮した後、減圧蒸留することによってN−プロピルアクリルアミド121.9gを得た。
<製造例2:単量体の製造>
アルゴン雰囲気下、フラスコにメタノール2690mL、DL−2−アミノ−1−プロパノール335.8g、4−メトキシフェノール0.07g、炭酸カリウム340gを入れ、反応液を−20℃に冷却した。その後、反応液を−20℃に維持しながらアクリル酸クロリド363mLを30分かけて滴下した。その後−20℃で反応液を3時間撹拌した後、反応を終了させた。反応液の溶媒留去後、酢酸エチルを添加し、塩をろ過した。その後、酢酸エチルと水で分液抽出し、分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過で除去し、ろ液を濃縮した後、カラム精製し、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミド426.6gを得た。
<製造例3:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.1)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート3.6g、上記式(3a.1)で表されるN−プロピルアクリルアミド7.0g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.18gをプロピレングリコールモノメチルエーテル26.7gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル44.4gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=40モル%、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位(2)の量=20モル%、N−プロピルアクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=40モル%。得られた3元共重合体の重量平均分子量(Mw)は24,900であった。
得られた3元共重合体のMwの測定に使用した機器および測定条件を以下に記載する。なお、後述の3元共重合体または2元共重合体のMwも同じ機器および条件で測定した。測定装置:HLC−8320GPC〔商品名〕(東ソー(株)製)
カラム:Shodex(登録商標)KF−803L、KF−802およびKF−801
カラム温度:40℃
溶離液:DMF
流量:0.6ml/分
検出器:RI
標準試料:ポリスチレン
<製造例4:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.1)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート1.2g、上記式(3b.1)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミド0.7g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.09gをプロピレングリコールモノメチルエーテル12.9gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル22.4gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=80モル%、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位(2)の量=13モル%、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=7モル%。得られた3元共重合体のMwは35,400であった。
<製造例5:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.1)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート1.9g、上記式(3b.2)で表されるアクリルアミド0.3g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.09gをプロピレングリコールモノメチルエーテル14.0gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル23.3gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=75モル%、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位(2)の量=20モル%、アクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=5モル%。得られた3元共重合体のMwは18,700であった。
<製造例6:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.1)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート1.97g、上記式(3b.3)で表されるN,N−ジメチルアクリルアミド0.59g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.10gをプロピレングリコールモノメチルエーテル14.5gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル24.1gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=73モル%、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位(2)の量=20モル%、N,N−ジメチルアクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=7モル%。得られた3元共重合体のMwは19,600であった。
<製造例7:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.2)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミド1.33g、上記式(3a.1)で表されるN−プロピルアクリルアミド3.99g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.12gをプロピレングリコールモノメチルエーテル18.7gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル31.1gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=60モル%、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(2)の量=10モル%、N−プロピルアクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=30モル%。得られた3元共重合体のMwは22,700であった。
<製造例8:3元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド21.0g、上記式(2.1)で表される2−ヒドロキシエチルアクリレート2.9g、上記式(3b.1)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミド4.8g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.29gをプロピレングリコールモノメチルエーテル43.4gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル72.4gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、3元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される3元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=75モル%、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位(2)の量=10モル%、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(3)の量=15モル%。得られた3元共重合体のMwは15,000であった。
<製造例9:2元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.3)で表されるN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド0.38g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.07gをプロピレングリコールモノメチルエーテル11.2gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル18.6gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、2元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される2元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=95モル%、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(2)の量=5モル%。得られた2元共重合体のMwは30,400であった。
<製造例10:2元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.3)で表されるN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド1.03g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.08gをプロピレングリコールモノメチルエーテル12.2gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル20.3gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、2元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される2元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=80モル%、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(2)の量=20モル%。得られた2元共重合体のMwは23,300であった。
<製造例11:2元共重合体の製造>
上記式(1.1)で表されるN−イソプロピルアクリルアミド7.0g、上記式(2.2)で表されるN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミド0.89g、およびアゾビスイソブチロニトリル0.08gをプロピレングリコールモノメチルエーテル11.9gに溶解させたものを、加熱還流しているプロピレングリコールモノメチルエーテル19.9gの中に2時間かけて滴下した。その後、加熱還流で24時間重合した。得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させ、得られた沈殿物を50℃の真空オーブンで乾燥させて、2元共重合体を得た。単量体の使用量から計算される2元共重合体中の構成単位の量は以下の通りである:N−イソプロピルアクリルアミドに由来する構成単位(1)の量=90モル%、N−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドに由来する構成単位(2)の量=10モル%。得られた2元共重合体のMwは14,000であった。
[ポリマーの下限臨界点温度(LCST)の測定]
製造例3〜7および9で得られたポリマー(3元共重合体または2元共重合体)を、それぞれ純水に2重量%の濃度で溶解させた。窒素雰囲下、該水溶液の温度を1℃/分で下げながら、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC)(SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」)を用いて示差熱測定して得られた測定曲線のピークトップの温度をポリマーの下限臨界点温度(LCST)として算出した。製造例3〜11で得られたポリマー(3元共重合体または2元共重合体)を用いて、純水をリン酸緩衝生理食塩水(Sigma-Aldrich製、製品番号P5493, Phosphate buffered saline, 10x concentrate, BioPerformance Certified, suitable for cell culture)に変更したこと以外は、上記と同様にして、ポリマーのLCSTを算出した。溶媒として純水を用いて測定したLCSTの結果を表1に、溶媒としてリン酸緩衝生理食塩水を用いて測定したLCSTの結果を表2に示す。
<実施例1:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体2.2gに、架橋剤(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル)0.154g、光酸発生剤(6−(n−ブチルチオ)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−2−アザ−2H−フェナレン−1,3−ジオン)0.33g、および溶媒(プロピレングリコールモノブチルエーテル)119.3gを加え、感光性組成物を得た。
<実施例2:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例4で得られた3元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<実施例3:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例5で得られた3元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<実施例4:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例6で得られた3元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<実施例5:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例7で得られた3元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<実施例6:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例8で得られた3元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<比較例1:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例9で得られた2元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<比較例2:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例10で得られた2元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
<比較例3:感光性組成物の製造>
製造例3で得られた3元共重合体に替えて、製造例11で得られた2元共重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
[感度試験]
実施例1〜5および比較例1で得られた感光性組成物を、それぞれ、シリコンウェハ上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上で80℃で1分間プリベークしてシリコンウェハ上に塗膜を形成した。次いで、i線アライナーPLA−501(キヤノン(株)製)を用いて、露光量を変化させて塗膜を露光した。次いで、オーブン中で80℃で20時間、露光後ベーク(PEB)した。露光後ベークした塗膜をイソプロピルアルコールで1分間曝露し、その後60℃の水で3分間振とうしながらリンスを行った。その後、塗膜を60℃で10分間乾燥させ、露光エリアの塗膜の膜厚を測定した。結果を図1〜6に示す。
なお、露光後ベーク(PEB)を80℃で5時間行っても、同様の結果が得られた。
[パターニング試験]
実施例1〜4および比較例1で得られた感光性組成物を、それぞれ、シリコンウェハ上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において80℃で1分間プリベークしてシリコンウェハ上に塗膜を形成した。次いで、i線アライナーPLA−501(キヤノン(株)製、露光量:2,000mJ/cm)を用いて、間隔20μmのラインパターンのマスクを介して露光した。次いで、オーブン中で80℃で20時間露光後ベーク(PEB)した。露光後ベークした塗膜をイソプロピルアルコールで1分間曝露し、その後60℃の水で3分間振とうしながらリンスを行った。その後、60℃で10分間乾燥させ、パターン付き基板を得た。パターン付き基板の表面を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)(ブルカー・エイエックスエス(株)製「Dimension Icon」)を用いて観察し、パターン(塗膜)がある部分およびパターンが無い部分の厚さを測定した。結果を図7〜11に示す。
実施例1〜4の感光性組成物から、良好なパターン(間隔20μmのラインパターン)を有する基板が得られたが(図7〜10)、比較例1の感光性組成物からは、パターン間に残渣が多く、良好なパターンを有する基板は得られなかった(図11)。比較例1の感光性組成物で良好にパターニングできなかった理由としては、製造例9の2元共重合体の下限臨界点温度(35.4℃、表1参照)を、製造例4〜6の3元共重合体の下限臨界点温度(33.9〜34.5℃)と同程度にするために、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドに由来する架橋性の構成単位(2)を少なくしたことが考えられる。
<実施例7:細胞培養支持体の製造>
実施例1で得られた感光性組成物(即ち、製造例3で得られた3元共重合体(リン酸緩衝生理食塩水中での下限臨界点温度:23.3℃)を含む感光性組成物)を、5cm角ガラス基板上にスピンコーターで塗布し、80℃で2分加熱し(プリベーク)、膜厚15nmの塗膜を得た。次いで、この塗膜の領域1および2(各領域の大きさ:約5mm×約3.75mm)の全面に対して、液晶プロジェクタマスクレス露光装置λpeak:450〜480nm)により、領域1に120秒、領域2に180秒、紫外線を照射した(露光)。次いで露光後の塗膜を80℃で16時間加熱し(露光後ベーク)、23℃の水で60秒間浸漬し揺動することにより、領域1および2以外の周辺の未露光部分を溶解除去し(現像)、60℃で10分乾燥させることによって、パターンを形成した。次いで、得られたパターンに、上記露光装置を用いて同じ条件で紫外線を照射した(再露光)。次いで、再露光後のパターンを、23℃のイソプロピルアルコールに60秒間浸漬した後に、60℃の水で60秒間浸漬することにより洗浄し、60℃で10分乾燥させることによって、実施例1で得られた感光性組成物から形成されたパターンIa(領域1に対応)およびパターンIb(領域2に対応)を有する細胞培養支持体1を得た。
上記のようにして得られた細胞培養支持体1上に、比較例2で得られた感光性組成物(即ち、製造例10で得られた2元共重合体(リン酸緩衝生理食塩水中での下限臨界点温度:27.4℃)を含む感光性組成物)をスピンコーターで塗布し、80℃で2分加熱し(プリベーク)、膜厚15nmの塗膜を得た。次いで、この塗膜の領域3および4(各領域の大きさ:約5mm×約3.75mm)の全面に対して、液晶プロジェクタマスクレス露光装置(λpeak:450〜480nm)により領域3に140秒、領域4に200秒、紫外線を照射した(露光)。次いで露光後の塗膜を80℃で16時間加熱し(露光後ベーク)、23℃のイソプロピルアルコールで60秒間浸漬し揺動することにより、領域3および4以外の周辺の未露光部分を溶解除去し(現像)、60℃の水で60秒間浸漬することにより洗浄し、60℃で10分乾燥させることによって、上記パターンIaおよびIbに加えて、さらに比較例2で得られた感光性組成物から形成されたパターンIIa(領域3に対応)およびパターンIIb(領域4に対応)を有する細胞培養支持体2を得た。得られた細胞培養支持体2におけるパターンIa、Ib、IIaおよびIIbの概略平面図を図12に示す。なお、図12は、パターンIa、Ib、IIaおよびIIbの相対的な位置を示すための概略図であり、その縮尺は正確ではない。
<実施例8:培養細胞の製造>
実施例7で得られた細胞培養支持体2に、10重量%FBS(血清)入りDMEM培地に懸濁させたウシ血管内皮細胞を細胞播種密度が2.5×10個/cmとなるように播種し、37℃のインキュベーター内(CO濃度:5体積%)中で一日培養し、培養細胞の接着状態を観察した。観察の結果、細胞が接着・伸展していることが確認された。
次いで、培養細胞が接着した細胞培養支持体2を、20℃のインキュベーター内(CO濃度:5体積%)中で60分保持し、細胞の脱着状態を観察した。観察の結果、細胞が基材表面から脱着し、球状になっていることが確認された。
本発明の感光性組成物は、所望の応答温度を有する温度応答性のパターン付き基板(特に、細胞培養支持体)などの製造に有用である。
本願は、日本で出願された特願2014−223734号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (15)

  1. 式(1):

    (式中、R11は、水素原子またはメチル基を示す。
    12およびR13は、それぞれ独立に、C1−4アルキル基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位、
    式(2):

    (式中、R21は、水素原子またはメチル基を示す。
    22は、−CO−O−R23または−CO−NR2425を示す。
    23は、反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
    24およびR25の一つは、水素原子、置換されていてもよいC1−10アルキル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基を示し、残りの一つは反応性基を有するC1−10アルキル基、反応性基を有するC3−10シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位、および
    式(3):

    (式中、R31は、水素原子またはメチル基を示す。
    32は、−CO−O−R33または−CO−NR3435を示す。
    33は、ヒドロキシ基を有していてもよいC 2−10 アルキル基または−R 36 −R 37 −R 38 (前記式中、R 36 は、C 1−4 アルキレン基であり、R 37 は、C 3−6 シクロアルカンジイル基であり、R 38 は、ヒドロキシ基を有していてもよいC 1−4 アルキル基である。)を示す。
    34およびR35 の一つはC 3−10 アルキル基を示し、残りの一つは水素原子またはC 1−10 アルキル基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位(但し、式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位と同じであるものを除く)を含む共重合体、
    光酸発生剤、並びに
    溶媒
    を含有する感光性組成物。
  2. 式(3)で表される構成単位が、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 共重合体の下限臨界点温度が15℃以上33℃未満である請求項またはに記載の感光性組成物。
  4. 式(1):

    (式中、R 11 は、水素原子またはメチル基を示す。
    12 およびR 13 は、それぞれ独立に、C 1−4 アルキル基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位、
    式(2):

    (式中、R 21 は、水素原子またはメチル基を示す。
    22 は、−CO−O−R 23 または−CO−NR 24 25 を示す。
    23 は、反応性基を有するC 1−10 アルキル基、反応性基を有するC 3−10 シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
    24 およびR 25 の一つは、水素原子、置換されていてもよいC 1−10 アルキル基、置換されていてもよいC 3−10 シクロアルキル基、または置換されていてもよい3〜10員複素環基を示し、残りの一つは反応性基を有するC 1−10 アルキル基、反応性基を有するC 3−10 シクロアルキル基、または反応性基を有する3〜10員複素環基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位、および
    式(3):

    (式中、R 31 は、水素原子またはメチル基を示す。
    32は、−CO−NR3435 を示す。
    34およびR35は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基若しくはエチル基、またはヒドロキシ基を有するC1−3アルキル基を示す。
    *は、結合位置を示す。)
    で表される構成単位(但し、式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位と同じであるものを除く)を含む共重合体、
    光酸発生剤、並びに
    溶媒
    を含有する感光性組成物。
  5. 式(3)で表される構成単位が、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリルアミドからなる群から選ばれる単量体に由来する構成単位である請求項に記載の感光性組成物。
  6. 共重合体の下限臨界点温度が33〜45℃である請求項またはに記載の感光性組成物。
  7. 22 が、−CO−O−R 23 であり、R 23 が、反応性基を有するC 1−4 アルキル基である請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性組成物。
  8. 反応性基が、ヒドロキシ基である請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性組成物。
  9. 共重合体の全構成単位中、式(1)で表される構成単位の量が10〜94モル%であり、式(2)で表される構成単位の量が5〜40モル%であり、式(3)で表される構成単位の量が1〜80モル%である請求項1〜のいずれか一項に記載の感光性組成物。
  10. さらに、酸存在下で反応性基と反応する架橋剤を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の感光性組成物。
  11. 細胞培養支持体を製造するために用いられる請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されたパターン付き基板。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像する工程を含む、パターン付き基板の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物を用いて基板上に塗膜を形成し、該塗膜に光を照射し、露光後の塗膜を現像する工程を含む、パターン形成方法。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物から得られる硬化物。
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