JP2021054903A - ブロックコポリマー、パターン形成用材料、パターンを形成する方法、及び、ブロックコポリマーを製造する方法 - Google Patents

ブロックコポリマー、パターン形成用材料、パターンを形成する方法、及び、ブロックコポリマーを製造する方法 Download PDF

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可於理 渡部
圭太 渡辺
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圭太 渡辺
直也 臼杵
Naoya Usuki
直也 臼杵
和弘 平原
Kazuhiro Hirahara
和弘 平原
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Abstract

【課題】微細加工に適したパターンを形成できる新規なブロックコポリマーの提供。【解決手段】下記式(I):で表され、R1が水素原子又はアルキル基を示し、R2が水素原子又は1価の置換基を示し、R3が水素原子又は1価の置換基を示す、第一の単量体単位を含む第一のブロックと、第一の単量体単位とは異なる第二の単量体単位を含む第二のブロックと、を有する、ブロックコポリマー。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロックコポリマー、パターンを形成する方法、及び、ブロックコポリマーを製造する方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性複数のブロックを含むブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンの形成が試みられている(例えば、特許文献1参照。)。
ブロックコポリマーの相分離により、シリンダー状のドメインが垂直に配向した垂直シリンダー構造、シリンダー状のドメインが水平に配向した水平シリンダー構造、ラメラ形状のドメインが垂直に配向した垂直ラメラ構造を微細パターンとして形成することが試みられている(例えば、特許文献2、非特許文献2及び3)。
特開2008−36491号公報 特開2017−088762号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedingsof SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年). マクロモレキュラーズ(Macromolecules),第47巻,6302−6310(2014年). プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedingsof SPIE),第8680巻,第86801X−2(2013年). プロシーディングオブザナショナルアカデミーオブサイエンスオブザユナイテッドステイツ(Proceedingof the National Academy of Science of the United States of America)第112巻、第46(2015年)
本発明の一側面は、微細加工に適したパターンを形成できる新規なブロックコポリマーを提供する。
本発明の一側面は、下記式(I):
Figure 2021054903

で表され、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよく、隣り合う2つのRが結合して環状基を形成していてもよい、第一の単量体単位を含む第一のブロックと、前記第一の単量体単位とは異なる第二の単量体単位を含む第二のブロックと、を有する、ブロックコポリマーに関する。
本発明の別の一側面は、上記ブロックコポリマーを含有する、パターン形成用材料に関する。
本発明の更に別の一側面は、基板上に上記ブロックコポリマーを含有するポリマー膜を形成する工程と、前記ポリマー膜中に、ミクロ相分離により2以上のドメインを形成する工程と、前記2以上のドメインのうち一部を選択的なエッチングにより除去して、パターンを形成する工程と、を備える、パターンを形成する方法に関する。
本発明の更に別の一側面は、上記ブロックコポリマーを製造する方法に関する。この方法は、下記式(1):
Figure 2021054903

で表され、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよい、単量体単位を含む第一のブロックと前記第二のブロックとを有するブロックコポリマー中間体を、下記式(2):
Figure 2021054903

で表され、Rが水素原子又は1価の置換基を示すエポキシ化合物と反応させ、それにより前記第一のブロック及び前記第二のブロックを有するブロックコポリマーを生成させる工程を含む。
本発明の一側面によれば、微細加工に適したパターンを形成できる新規なブロックコポリマーが提供される。
パターンを形成する方法の一実施形態を示す工程図である。 ミクロ相分離したポリマー膜の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係るブロックコポリマーは、下記式(I):
Figure 2021054903

で表される第一の単量体単位を含む第一のブロックと、第一の単量体単位とは異なる第二の単量体単位を含む第二のブロックとを有する。
式(I)で表される第一の単量体単位を含む第一のブロックを有するブロックコポリマーは、比較的低いガラス転移温度(Tg)を有する傾向がある。ブロックコポリマーのTgが低いと、ポリマーが分解し難い低い温度でミクロ相分離構造を形成することができる。例えば、ブロックコポリマーのTgが50〜120℃であってもよい。
式(I)中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rは水素原子又は1価の置換基を示し、Rは水素原子又は1価の置換基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよい。隣り合う2つのRが結合して、Rが結合したベンゼン環とともに環状基を形成していてもよい。
又はRとしての1価の置換基は、水素原子、フルオロ基、水酸基、−OR10で表される基(R10は水素原子、フルオロ基、炭素数1〜11の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜11の直鎖状、分枝状若しくは環状のフッ化アルキル基、又は−(CHSi(R11で表される基であり、nは0〜5の整数であり、R11は炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜16のアリールアルキル基、複素環基、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基であり、複数のR11は同一でも異なってもよい。)、−Si(R11で表される基(R11は炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜16のアリールアルキル基、複素環基、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルコキシ基であり、複数のR11は同一でも異なってもよい。)、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、又は、炭素数1〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のフッ化アルキル基であってもよい。後述のχパラメータの適正化等の観点から、Rは、−OR10で表される基、−Si(R11で表される基、又は炭素数2〜6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基であってもよい。Rがアルコキシ基(例えばイソプロピルオキシ基)であってもよい。
第一のブロックは、第一の単量体単位とは異なるその他の単量体単位を更に含むランダム共重合体鎖であってもよい。第一のブロックにおける式(I)で表される第一の単量体単位の割合は、第一のブロックを構成する全単量体単位に対して60〜100モル%であってもよい。
第一のブロックに含まれ得るその他の単量体単位は、例えば下記式(1)で表される単量体単位であってもよい。式(1)中のR及びRは式(I)中のR及びRと同様に定義される。
Figure 2021054903

第二のブロックを構成する第二の単量体単位が、下記式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)又は(IIf)で表される単量体単位であってもよい。第二のブロックにおける式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)又は(IIf)で表される第二の単量体単位の割合が、第二のブロックを構成する全単量体単位に対して60〜100モル%であってもよい。
Figure 2021054903
Figure 2021054903
Figure 2021054903
Figure 2021054903
Figure 2021054903
これら式中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rは水素原子又は1価の置換基を示し、各式中の複数のRが同一でも異なっていてもよく、隣り合う2つのRが結合して環状基を形成していてもよく、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよい。
式(IIa)、(IIb)及び(IIc)中、Rは、水素原子又はメチル基であってもよい。Rは式(I)中のRと同様の基であることができる。式(IIa)、(IIb)又は(IIc)で表される単量体単位を誘導する単量体の例としては、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、4−ビニルベンジルクロリド、及び4−ビニルピリジンが挙げられる。
式(IId)中のRは、炭素数1〜5のアルキル基であってもよく、メチル基であってもよい。Rは、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリールアルキル基。グリシジル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル基、トリアルコキシシリルアルキル基、又は、かご型シルセスキオキサンで置換されたアルキル基であってもよい。
式(IId)で表される単量体単位を誘導する単量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸9−アントリルメチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、及びアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル等のアクリル酸エステル、並びに、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸9−アントリルメチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。式(IId)で表される単量体単位が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル又はメタクリル酸t−ブチルに由来する単量体単位であってもよい。
式(IIe)中のRは、例えばエチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、又はブチレン基であってもよい。
式(IIf)中のRは、例えばメチル基、エチル基、フェニル基、又はメチルフェニル基であってもよい。
第一のブロックと第二のブロックとの相互作用を表すχパラメータが0.05〜0.20であってもよい。ここでのχパラメータは、分子動力学計算によって求められる、第一又は第二のブロックに対応するポリマーの溶解度から計算される値である。χパラメータの求め方の詳細は後述の実施例において説明される。ブロックコポリマーのχパラメータが過度に大きくない程度に制御されると、微細なパターンを、欠陥の発生を特に効果的に抑制しながら形成し易いと考えられる。式(I)で表される第一の単量体単位と、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)又は(IIf)で表される第二の単量体単位との組み合わせは、0.05〜0.20の範囲のχパラメータを与え易い。以下、χパラメータの計算方法について説明する。
<χパラメータの計算>
χパラメータを、第一のブロックに相当するポリマー、及び第二のブロックに相当するポリマーの溶解度を分子動力学計算によって求めるステップと、溶解度からχパラメータを算出するステップとを含む以下の方法によって求める。
まず、第一のブロック又は第二のブロックに相当し、所定の分子量(例えば2000〜4000程度)を有するポリマーをモデルとして作成する。ポリマーに含まれる単量体単位の数を下記式により算出する。ホモポリマーの末端は水素原子でキャップする。各ブロックが2種以上の単量体を含む場合、それらの共重合比、及び各単量体の分子量から求められる、単量体単位の分子量の平均値によって、単量体単位の数を算出する。
単量体単位の数=ポリマー分子量/単量体単位の分子量
作成した各ポリマーの構造をForcite CalculationのGeometry Optimizationによって最適化する。計算条件は表1に従って設定される。
Figure 2021054903

作成した各ポリマーが周期境界条件を適用したボックスにランダムに配置されたアモルファスセルを作成する。Amorphos Cell Caluculationにおいて分子数を40に、密度を0.6g/cmに、Lattice typeをCubicに設定する。
アモルファスセルの温度が700Kから100Kずつ、300Kまで低下したときの各温度において、NPT(粒子数、圧力、温度一定)の条件の分子動力学計算によって構造緩和を行う。そのために、各温度において、1fsステップで200psのシミュレーションを実行する。構造緩和後、NPTの条件で分子動力学計算を実施して、凝集エネルギーを計算する。シミュレーションは1fsステップで300ps実行する。シミュレーションで計算された凝集エネルギーは1psごとにサンプリングする。密度が収束していることを確認し、収束していない場合は上記分子動力学計算の手順をもう一度繰り返す。
サンプリングされた凝集エネルギーのデータに基づいて、ForciteCalculation のCohesive Energy Densityを用いて各ホモポリマーの溶解度パラメータを計算する。サンプリングされたデータのうち、200〜300psのデータを用いる。同様の計算を5回行い、溶解度パラメータの平均値を求める。χパラメータを、下記式(A)によって算出する。
Figure 2021054903

式(A)中の確定数及び変数は、次のとおりである。
seg:セグメントの体積(118 nm
R:気体定数(JK−1mol−1
T:絶対温度(300K)
δ:第一のブロックに相当するポリマーの溶解度パラメータ(J/cm1/2
δ:第二のブロックに相当するポリマーの溶解度パラメータ(J/cm1/2
式(A)により算出されたχパラメータ(計算値)を、下記式により補正してχパラメータ(補正値)を求める。
χパラメータ(補正値)=χパラメータ(計算値)×0.45
表2は、第一のブロックがp−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレンのホモポリマー(PIPHS)、p−ヒドロキシスチレンとPIPHSとのランダムコポリマー(PHS-ran-PIPHPS)、又はp−ヒドロキシスチレンのホモポリマー(PHS)で、第二のブロックがスチレンのホモポリマー(PS)である場合の各ジブロックコポリマーについて上述の方法で算出されたχパラメータの値を示す。
Figure 2021054903
第一のブロックを構成する単量体単位の比率が、第一のブロックを構成する単量体単位及び第二のブロックを構成する単量体単位の合計量に対して15〜85モル%であってもよい。
ブロックコポリマーが、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、又はテトラブロックコポリマーであってもよい.ブロックコポリマーが、第一のブロック及び第二のブロックのみを有していてもよいし、これら以外のブロックを更に有していてもよい。
ブロックコポリマーの数平均分子量は、5000〜2000000であってもよい。ここでの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって求められる標準ポリスチレン換算値を意味する。
一実施形態に係るブロックコポリマーは、例えば、下記式(1):
Figure 2021054903

で表される単量体単位を含む第一のブロックと第二のブロックとを有するブロックコポリマー中間体を、下記式(2):
Figure 2021054903

で表されるエポキシ化合物と反応させ、それにより第一のブロック及び第二のブロックを有するブロックコポリマーを生成させる工程を含む方法によって合成することができる。式(2)中のRは式(I)中のRと同様に定義される。この方法によれば、通常、式(I)の単量体単位及び式(1)の単量体単位を含む第一のブロックを有するブロックコポリマーが得られる。
以上説明した実施形態に係るブロックコポリマーを含有するパターン形成用材料を用いて、微細なパターンを各種基材上に形成することができる。図1は、パターンを形成する方法の一実施形態を示す工程図である。図1の実施形態に係る方法は、基板1上に、基板1の表面の一部が露出するパターンを有するガイド3を形成する工程(図1の(a))と、基板1の露出した表面上にブロックコポリマーを含有するポリマー膜10を形成する工程(図1の(b))と、ポリマー膜10中に、ミクロ相分離により第1のドメイン10a及び第2のドメイン10bを形成する工程(図1の(c))と、第1のドメイン10a及び第2のドメイン10bのうち一方(第2のドメイン10b)を選択的なエッチングにより除去して、パターン20を形成する工程と、ガイド3を除去する工程(図2の(d))とを含む。
ガイド3は、ブロックコポリマーを含有するパターン形成用材料を用いてパターンが形成される領域で基板1の表面が露出するパターンを有する。ガイド3は、例えば、フォトレジスト材料を用いたフォトリソグラフィーによって形成することができる。
ポリマー膜10は、ブロックコポリマーを含有するパターン形成用材料を塗布し、必要により塗膜を乾燥することにより、形成することができる。
一実施形態に係るパターン形成用材料は、ブロックコポリマーと、これを溶解する有機溶媒とを含有していてもよい。有機溶剤は、ブロックコポリマーを溶解するものから特に制限なく選択される。有機溶剤の例としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、トルエン、及びテトラメチレンスルホンが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、又は乳酸アルキルエステルであってもよい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートが有するアルキル基の炭素数が1以上4以下であってもよい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートには、1,2置換体と1,3置換体とを含む組み合わせにより3種の異性体があるが、これらの異性体を単独で用いてもよく、2種以上の異性体を併用してもよい。乳酸アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数も1以上4以下であってもよい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート又は乳酸アルキルエステルが有するアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であってもよく、メチル基又はエチル基であってもよい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート及び乳酸アルキルエステルの合計の濃度は、有機溶剤の全質量に対して50質量%以上であってもよい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート及び乳酸アルキルエステルの混合溶媒を用いる場合、両者の合計量を基準として、グリコールアルキルエーテルアセテートの量が60質量%以上95質量%以下で、乳酸アルキルエステルの含有量が5質量%以上40質量%以下であってもよい。これにより、良好な塗布性を有するパターン形成用材料が得られ易い。
パターン形成用材料における有機溶媒の含有量は、特に制限されないが、例えば、ブロックコポリマーの量100質量部に対して、3000質量部以上50000質量部以下、又は5000質量部以上30000質量部以下であってもよい。
パターン形成用材料を塗布する方法は、特に制限されず、その例としては、スピン塗布法、浸漬法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、吹き付け法、ポッティング法、及びスクリーン印刷法が挙げられる。
ポリマー膜10をアニーリングすることによりポリマー膜10のミクロ相分離によって、基板1の表面に対して垂直な層状の複数のドメイン(第1のドメイン10a及び第2のドメイン10b)を含み、これらが交互に重なり合っているラメラ構造が形成される。本実施形態の場合、第1のドメイン10aは主として、Si含有スチレン系(又はアクリル系)ランダムコポリマー鎖である第1ブロックを含み、第2のドメイン10bは主として、Si含有モノマー以外のモノマーに由来するモノマー単位から構成された第2ドメインを含む。アニーリングの温度は、ミクロ相分離が進行する温度であればよく、例えば100℃以上300℃以下であってもよい。アニーリングの時間は、例えば5分以上120時間以下であってもよい。
続いて、2つのドメインのうち第2のドメイン10bを選択的に除去するエッチングによって、第1のドメイン10aによって構成されたパターン20が形成される。エッチングは、例えば、酸素プラズマガスによるドライエッチングであってもよい。Si原子を含む第1のドメイン10aはエッチング速度が小さいため、第2のドメイン10bが選択的に除去される。このエッチングにより、ガイド3が第2のドメイン10bとともに除去されてもよい。
形成されたパターン20は、いわゆるラインアンドスペースパターンを構成しており、これにより基板1上に微細な凹凸パターンが形成される。この凹凸パターンの凹部の幅(隣り合う第1のドメイン10aの間隔)と凸部の幅(第1のドメイン10aの幅)との合計Dの半分の値、すなわちハーフピッチは、10nm以下であることができる。ただし、本実施形態の方法を、より大きなサイズのパターン、例えば20nm以下のハーフピッチを有するパターンを形成するために利用してもよい。形成されるパターンのピッチは、ブロックコポリマーを構成する第1ブロック及び第2ブロックの重合度等によって、制御することができる。また、ホールパターンを構成するパターンを形成してもよい。
基板1としてシリコン基板を用いて、形成されるパターン20を、シリコン基板の加工のためのマスクとして利用してもよい。本実施形態に係るブロックコポリマーは、特にシリコン基板の表面上で、ミクロ相分離を誘導する下層膜を設けなくとも、微細なラメラ構造を形成し易い。
パターンを形成する方法は、以上説明した実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、ポリマー膜上にトップコート層を形成してもよい。これにより、ポリマー膜が封止及び保護されるため、ポリマー膜のハンドリング性及び耐候性が向上する。トップコート層を形成するためのトップコート剤としては、例えば、ポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン系トップコート剤、及びセルロース系トップコート剤が挙げられる。トップコート層の量は、3g/m以上7g/m以下であってもよい。トップコート剤は、通常の方法でポリマー膜上に塗布することができる。また、ブロックコポリマーのミクロ相分離を誘導する下層膜を基板上に設け、下層膜上にブロックコポリマーを含有するポリマー膜を形成してもよい。
本実施形態に係る方法により形成されるパターンは、例えば、半導体製造用エッチングマスク等の加工用のマスクとして利用できる。更に、本実施形態に係るブロックコポリマー及びこれを用いたパターンを形成する方法を、フォトニクス結晶への応用、有機薄膜太陽電池のドメインサイズ制御方法としての利用、薬物送達用高分子ミセル、及びバイオマテリアルなど様々な分野へ展開できる可能もある。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<ジブロックコポリマーの合成>
(合成例1)
1−1.ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)
Figure 2021054903

容量5Lの反応装置を減圧乾燥した。反応装置内を減圧した状態で、脱水処理したTHF4498gを投入し、−70℃まで冷却した。冷却したTHFに、sec−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液、濃度1.28mol/L)7.8mLをヘキサン70gで希釈して調製した溶液を注入した。次に、脱水処理したスチレン142.5gを滴下した。その際、反応液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整した。滴下終了後、更に、30分間重合反応を進行させた。続いて、反応液に脱水処理されたt−ブトキシスチレン231.0gを滴下し、40分間重合反応を進行させた。脱水処理したメタノール5.0gを反応液に注入することによって、重合反応を停止させた。反応液を室温まで昇温してから、反応液のうち200gをメタノールに滴下して、生成したジブロックコポリマーを再沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、回収した沈殿物を60℃で8時間、減圧乾燥して、ジブロックコポリマー(ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)の白色粉末(11.3g)を得た。
得られたジブロックコポリマーをTHFに溶解し、日立ハイテクノロジーズ製Chromasterを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって分析した。数平均分子量(Mn、標準ポリスチレン換算値)は26900、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
ジブロックコポリマーをCDClに溶解させて、以下の測定条件のH NMRで分析した。
・装置:Bruker製AV300
・共鳴周波数:300MHz
・測定温度:25℃
・基準物質:テトラメチルシラン
H NMRスペクトルにおいて、ベンゼン環由来のシグナル(6.0ppm−7.4ppm)、及びt−ブトキシ基由来のシグナル(1.3ppm)等の面積比から、ジブロックポリマーの共重合比を算出したところ、スチレン:p−t−ブトキシスチレン=45:55(モル比)であった。
1−2.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(PS-block-PHS)
Figure 2021054903

ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)の白色粉末12gを、アセトン98gに溶解させた。得られた溶液を反応容器に投入し、そこに塩酸10.0gを加え、アルゴン雰囲気下、58℃で6時間かけて、t−ブチル基のヒドロキシル基への脱保護反応を進行させた。室温付近まで冷却してから反応溶液を1Lの水に投入して、反応を停止させた。生成した白色粉状のポリマーを濾過により回収し、水洗浄及び真空乾燥して、ジブロックコポリマー(PS-block-PHS)8.2gを得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、数平均分子量(Mn、標準ポリスチレン換算)は21300、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
1−3.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン−ran−p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン)(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))
Figure 2021054903

PS-block-PHS(1.12g)、メチルエチルケトン(MEK、15mL)、及びエチレングリコール(15mL)を、窒素雰囲気下で反応容器に入れた。そこに、t−ブトキシカリウム0.66gがMEK15mL及びエチレングリコール15mLの混合溶媒に溶解した溶液を、注入した。反応液を室温で2時間攪拌した後、グリシジルイソプロピルエーテル2.2mLを注入し、70℃で25時間、反応を進行させた。室温付近まで反応液を冷却し、2Mのクエン酸水溶液5mLを加えて反応を停止させた。反応液に50mLの純水及び50mLの酢酸エチルを加え、十分攪拌した後、分液により酢酸エチル層を回収した。残った水層から50mLの酢酸エチルで生成物を3回抽出した。回収した酢酸エチル層を合わせ、これを150mLの純水で水層のpHが中性になるまで3回水洗した。酢酸エチル層を、飽和食塩水50mLで洗浄し、150mLの純水で更に2回水洗した。酢酸エチル層からエバポレーターで溶媒を留去し、残った固形分を16mLの酢酸エチルに溶解させた。溶液を160mLのヘキサンに滴下し、ジブロックコポリマーを再沈殿させた。析出した沈殿物を濾過により回収し、これを16mLの酢酸エチル及び160mLのヘキサンを用いた2回の再沈殿によって精製した。回収した淡黄色粉末固体を真空乾燥し、ジブロックコポリマー(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))0.95gを得た。
得られたジブロックコポリマーをTHFに溶解し、GPCによって分析したところ、数平均分子量(Mn、標準ポリスチレン換算)は29000、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
得られたジブロックコポリマーをCO(CDに溶解させて、Bruker製AV400Mを用いた定量13C NMRによって分析した。定量13C NMRの測定条件は以下のとおりである。
・共鳴周波数:100MHz
・測定温度:25℃
・基準物質:テトラメチルシラン
13C NMRスペクトルにおいて、p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレンの芳香環の4位の炭素原子に帰属するシグナル(157.9ppm)、p−ヒドロキシスチレンの芳香環の4位の炭素原子に帰属するシグナル(156.0ppm)、スチレンの芳香環の1位の炭素原子に帰属するシグナル(145.8ppm−146.7ppm)、p−ヒドロキシスチレン及びp−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレンの芳香環の1位の炭素原子に帰属するシグナル(136.0ppm−138.9ppm)等が観測された。これらシグナルの面積比から、ジブロックポリマーの共重合比を算出したところ、スチレン:p−ヒドロキシスチレン:p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン=47:16:37(モル比)であった。第一のブロックと第二のブロックとの体積比を、各単量体単位からなる各ホモポリマのモル比と単量体の分子量の積を各ホモポリマのポリマ密度で割るという方法によって求めた。ブロックコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。
(合成例2)
2−1.ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)
スチレンの仕込み量を7.1g、t−ブトキシスチレンの仕込み量を5.4g、ヘキサンの量を64g、sec−ブチルリチウムをシクロヘキサン−ヘキサン溶液(濃度1.3mol/L)0.7mLに変更したこと以外は合成例1の1−1.と同様にして、重合反応を行った。反応液を室温まで昇温してから、反応液の全量をメタノールに滴下して、ジブロックコポリマーを再沈殿させた。生成した固体成分をフィルターにより回収し、60℃で8時間、減圧乾燥して、スチレン−t−ブトキシスチレンのジブロックコポリマー(白色粉末、33g)を得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、Mnは19000で、Mw/Mnは1.05であった。H NMRスペクトルから求めた共重合比は、スチレン:t−ブトキシスチレン=62:38(モル比)であった。
2−2.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(PS-block-PHS)
ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)3.0gを、アセトン98gに溶解させた。得られた溶液を反応容器に投入し、そこに塩酸1.6gを加え、アルゴン雰囲気下、58℃で6時間かけて、t-ブチル基のヒドロキシル基への脱保護反応を進行させた。アルゴン雰囲気下、58℃で6時間かけて、t−ブチル基のヒドロキシル基への脱保護反応を進行させたこと以外は合成例1の1−2.と同様にして、ジブロックコポリマー(PS-block-PHS)21.3gを得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、数平均分子量(Mn、標準ポリスチレン換算)は16600、Mw/Mnは1.07であった。
2−3.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン−ran−p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン)(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))
ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)1.5g、MEK20mL、及びエチレングリコール20mLを、窒素雰囲気下で反応容器に入れた。そこに、t−ブトキシカリウム0.48gがMEK15mL及びエチレングリコール15mLの混合溶媒に溶解した溶液を、注入した。反応液を室温で2時間攪拌した後、グリシジルイソプロピルエーテル1.6mLを注入し、70℃で25時間、反応を進行させた。室温付近まで反応液を冷却し、2Mのクエン酸水溶液5mLを加えて反応を停止させた。その後は合成例1の1−3.と同様の操作により、ジブロックコポリマー(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))の淡黄色粉末1.7gを得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、Mnは19000、Mw/Mnは1.07であった。定量13C NMRスペクトルから求めた共重合比は、スチレン:ヒドロキシスチレン:p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン)=70:8:22(モル比)であった。第一のブロックと第二のブロックとの体積比、及びブロックコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、合成例1と同様の方法で求めた。
(合成例3)
3−1.ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)
スチレンの仕込み量を77.9g、t−ブトキシスチレンの仕込み量を53.0gに変更したこと以外は合成例1の1−1.と同様にして重合反応を行った。反応液を室温まで昇温してから、反応液の全量をメタノールに滴下して、ジブロックコポリマーを再沈殿させた。生成した固体成分をフィルターにより回収し、60℃で8時間、減圧乾燥して、スチレン−t−ブトキシスチレンのジブロックコポリマー(白色粉末、6.8g)を得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、Mnは12000で、Mw/Mnは1.03であった。H NMRスペクトルから求めた共重合比は、スチレン:p−t−ブトキシスチレン=71:29(モル比)であった。
3−2.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(PS-block-PHS)
ポリスチレン−block−ポリ(p−t−ブトキシスチレン)4.0gを、アセトン256gに溶解させた。得られた溶液を反応容器に投入し、そこに塩酸2.1gを加え、アルゴン雰囲気下、58℃で6時間かけて、t−ブチル基のヒドロキシル基への脱保護反応を進行させたこと以外は合成例1の1−2.と同様にしてジブロックコポリマー(PS-block-PHS)の白色粉末2.8gを得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、数平均分子量(Mn、標準ポリスチレン換算)は10700、Mw/Mnは1.05であった。
3−3.ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン−ran−p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン)(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))
ポリスチレン−block−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)2.0g、MEK28.8mL、及びエチレングリコール28.8mLを、窒素雰囲気下で反応容器に入れた。そこに、t−ブトキシカリウム0.64gがMEK15mL及びエチレングリコール15mLの混合溶媒に溶解した溶液を、注入した。反応液を室温で2時間攪拌した後、グリシジルイソプロピルエーテル2.1mLを注入し、70℃で25時間、反応を進行させた。室温付近まで反応液を冷却し、2Mのクエン酸水溶液5mLを加えて反応を停止させた。その後は合成例1の1−3.と同様の操作により、ジブロックコポリマー(PS-block-(PHS-ran-PIPHPS))の淡黄色粉末1.6gを得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、Mnは12000、Mw/Mnは1.05であった。定量13C NMRスペクトルから求めた共重合比は、スチレン:ヒドロキシスチレン:p−(3−イソプロピルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)スチレン)=71:8:21(モル比)であった。第一のブロックと第二のブロックとの体積比、及びブロックコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、合成例1と同様の方法で求めた。
(合成例4)
ポリスチレン−block−ポリメチルメタクリレート(PS-block-PMMA)
容量5Lの反応装置を減圧乾燥した。反応装置内を減圧した状態で、脱水処理したTHF3575gを投入し、−70℃まで冷却した。冷却したTHFに、sec−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:1.28mol/L)7.8mLをヘキサン40gで希釈して調製した溶液を注入した。次に、脱水処理したスチレン108.8gを滴下した。その際、反応液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整した。滴下終了後、更に、30分間重合反応を進行させた。続いて、反応液に脱水処理された1,1−ジフェニルエチレン7.1gを滴下し、40分間、反応を進行させた。反応液に脱水処理されたメタクリル酸メチル121.1gを更に滴下し、11時間かけて重合反応を進行させた。脱水処理されたメタノール8.1gを注入することによって、重合反応を停止させた。反応液を室温まで昇温してから、反応液のうち200gをメタノールに滴下して、生成したジブロックコポリマーを再沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、回収した沈殿物を60℃で8時間、減圧乾燥して、ジブロックコポリマー(PS-block-PMMA)の白色粉末(11.4g)を得た。得られたジブロックコポリマーをGPCによって分析したところ、Mnは22000、Mw/Mnは1.12であった。H NMRスペクトルから求めた共重合比は、スチレン:メチルメタクリレート=55:45(モル比)であった。第一のブロックと第二のブロックとの体積比を、合成例1と同様の方法で求めた。PS-block-PMMAのガラス転移温度の文献値は104℃である。
<パターン形成試験>
(試験1)
合成例1で得た変性ジブロックコポリマー100mgをTHFに溶解させて得た溶液を、テフロン(登録商標)製のシャーレに展開した。シャーレを室温で10日静置することにより溶液からポリマー膜を形成し、形成されたポリマー膜を更に真空乾燥させた。乾燥後のポリマー膜を、窒素乾燥機を用いて150℃で2時間アニールした。アニール後のポリマー膜から剃刀で切り取った5mm×2mmの試験片を、シンクロトロン放射光ビームライン(商品名:BL45XU,Spring−8、super photon ring-8GeV、高エネルギー加速器研究機構社製)のX線小角散乱(SAXS:Small-angle X-ray Scattering)分析装置を用いて分析し、それによりバルク状態でのミクロ相分離の形態を確認した。試験片にエッジ方向からX線を入射したときに小角側に現れる散乱の角度依存性を、イメージングプレートにより30分かけて測定した。空気散乱などのバックグランド補正によって、測定データからq/nm−1を算出した。続いてフーリエ変換解析によって、ジブロックコポリマーの自己組織化によるミクロドメイン構造の平均繰り返しパターンサイズ幅(=D)を求めた。その結果、恒等周期30.1nmのシリンダー構造、及び恒等周期26.1nmがミクロ相分離によって形成されていることが確認された。
(試験2)
合成例2で得た変性ジブロックコポリマー100mgをTHFに溶解させて得た溶液を、テフロン(登録商標)製のシャーレに展開した。シャーレを室温で10日静置することにより溶液からポリマー膜を形成し、形成されたポリマー膜を更に真空乾燥させた。乾燥後のポリマー膜を、窒素乾燥機を用いて150℃で2時間アニールした。アニール後のポリマー膜を適当な大きさに裁断し、包埋型内でエポキシ樹脂によって包埋した。包埋されたポリマー膜から、ミクロトームを用いて厚さ約50nmのTEM観察用の切片を作製した。作製した切片をCuグリッド上に集めてヨウ素で染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。図2は、ミクロ相分離したポリマー膜の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。ミクロ相分離構造はラメラ構造を示しており、恒等周期は20.7nm、ハーフピッチは10.4nmであった。
合成例4で得たジブロックコポリマー(PS-block-PMMA)を用いて上記と同様の方法でポリマー膜を形成した。得られたポリマー膜を、染色方法をRuOを用いた方法に変更したこと以外は上記と同様の方法でTEMにより観察したところ、ミクロ相分離による規則的な構造の形成は確認されなかった。
(試験3)
スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸2−ヒドロキシメチル共重合体を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させて、濃度1.0質量%の下地層形成用の溶液を準備した。モノマーの仕込み量の比から求められる共重合体の共重合比は、スチレン:メタクリル酸メチル:メタクリル酸2−ヒドロキシメチル=57.0:42.2:0.8(モル比)であった。下地層形成用の溶液を、ピラニア溶液によって洗浄した3.5×4.5センチ角のシリコンウェハ上に、スピンナーを用いて塗布した。塗膜を240℃、5分間の加熱により乾燥及び焼成して、膜厚20nmの下地剤層をシリコンウェハ上に形成した。下地剤層から、シリコンウェハに密着している部分以外の部分をPGMEAで除去した。次いで、下地剤層上に、合成例3で得た変性ジブロックコポリマーをPGMEAに溶解させて調製した濃度3.0質量%の溶液を、スピンコート(回転数4000rpm、30秒)によって塗布した。塗膜を加熱により乾燥して、ポリマー膜(厚さ50nm)を形成した。ポリマー膜のブロックを選択的に除去し、原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、ライン及びスペースを含むパターンの形成が確認された。形成されたパターンの画像解析から、垂直配向を含み、恒等周期14.3nm、ハーフピッチ7.14nmのラメラ構造の形成が確認された。
Figure 2021054903
表3に評価結果をまとめて示す。表3には、表2の値と同様の方法により算出したχパラメータの値も示されている。式(I)で表される単量体単位を含む第一のブロックを有する合成例1〜3のジブロックコポリマーは、ミクロ相分離による規則的な構造を形成することが確認された。
1…基板、3…ガイド、10…ポリマー膜、10a…第1のドメイン、10b…第2のドメイン。

Claims (7)

  1. 下記式(I):
    Figure 2021054903

    で表され、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよく、隣り合う2つのRが結合して環状基を形成していてもよい、第一の単量体単位を含む第一のブロックと、
    前記第一の単量体単位とは異なる第二の単量体単位を含む第二のブロックと、
    を有する、ブロックコポリマー。
  2. 前記第一のブロックと前記第二のブロックとの相互作用を表すχパラメータが0.05〜0.20である、請求項1に記載のブロックコポリマー。
  3. 前記第二の単量体単位が、下記式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)又は(IIf):
    Figure 2021054903

    Figure 2021054903

    Figure 2021054903

    Figure 2021054903

    Figure 2021054903

    で表され、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、各式中の複数のRが同一でも異なっていてもよく、隣り合う2つのRが結合して環状基を形成していてもよく、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Rがアルキレン基を示し、Rが水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよい、単量体単位である、請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  4. 前記第一のブロックを構成する単量体単位の比率が、前記第一のブロックを構成する単量体単位及び前記第二のブロックを構成する単量体単位の合計量に対して15〜85モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載にブロックコポリマーを含有する、パターン形成用材料。
  6. 基板上に請求項1〜4のいずれか一項に記載のブロックコポリマーを含有するポリマー膜を形成する工程と、
    前記ポリマー膜中に、ミクロ相分離により2以上のドメインを形成する工程と、
    前記2以上のドメインのうち一部を選択的なエッチングにより除去して、パターンを形成する工程と、
    を備える、パターンを形成する方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のブロックコポリマーを製造する方法であって、
    下記式(1):
    Figure 2021054903

    で表され、Rが水素原子又はアルキル基を示し、Rが水素原子又は1価の置換基を示し、式中の複数のRが同一でも異なっていてもよく、隣り合う2つのRが結合して環状基を形成していてもよい、単量体単位を含む第一のブロックと前記第二のブロックとを有するブロックコポリマー中間体を、下記式(2):
    Figure 2021054903

    で表され、Rが水素原子又は1価の置換基を示すエポキシ化合物と反応させ、それにより前記第一のブロック及び前記第二のブロックを有するブロックコポリマーを生成させる工程を含む、方法。
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