JP6730875B2 - 田植機 - Google Patents

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Description

本発明は、田植機に関し、より詳細には、植付部の後部に取り付けられる作業部を備える田植機に関する。
農作業においては、走行機体に各種の作業機を連結し、走行しながら所望の作業を行う田植機などの作業車両が用いられる。田植機は、走行機体の後部に連結される植付部を備え、走行しながら水田に苗を植えつけるように構成されている。植付部は、苗マットを載せる苗載台や、苗マットから所定量の苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置などを有する。そして、植付装置の植付爪によって苗マットから所定量の苗が掻き取られ、その苗が圃場へ差し込まれることによって、圃場に苗が植え付けられる。
田植機の中には、散布装置、例えば圃場に薬剤を散布する散布装置や、苗載台に載置された苗マットに薬剤を散布する散布装置を備えるものが知られており、これらの散布装置は苗載台の後方に配置される場合がある。そして、このような苗載台の後方に配置される散布装置への動力伝達機構が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、乗用田植機の苗植付位置上方に薬剤散布装置を備える田植機において、植付チェーンケース上の取付フレームに薬剤散布装置を配置し、植付チェーンケースの後端から動力を取り出して薬剤散布装置に動力を伝達する田植機が開示されている。
特開平08−168332号公報
特許文献1における田植機では、植付装置を支持する植付チェーンケースの後端に設けられたギアボックスから突出する動力取出軸にアームが固設され、このアームに揺動リンクが枢結され、薬剤散布装置に伝達する動力を植付チェーンケースより取り出す構成である。つまり、特許文献1における田植機は、植付チェーンケースから動力を取り出す機構が植付チェーンケースの後端に突設されている。
ここで、田植機で畦に近い位置に苗を植える場合には、まず、植付部を上昇させた状態で後進して田植機の後部を畦に接近させる。次に、植付部を苗を植える時の高さまで下降させて植付装置を畦の近傍に位置させた後、植付作業を開始する。このように、田植機の後部を畦に接近させた状態で植付部を下降させる場合、作業者は植付装置を支持する植付伝動ケースの後端と畦との距離感を把握しにくく、植付伝動ケースの後端を畦に衝突させてしまう場合がある。そして、特許文献1における田植機のように、動力を取り出す機構が植付伝動ケースの後端に突設される構成の場合、この機構が畦に衝突して動力取り出し部が破損したり、畦を壊してしまったりする場合がある。しかしながら、特許文献1では、動力を取り出す機構の保護についての記載が一切なされていない。
そこで、本発明の目的は、植付伝動ケースの後端に突設される動力取り出し部を簡易な構成で保護し、耐久性に優れる田植機を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、
植付部と、
前記植付部の後部に取り付けられる作業部と、
前記植付部から動力を取り出す動力取り出し部と、
前記動力取り出し部から前記作業部に動力を伝達する動力伝達機構と、
を備える田植機において、
前記動力取り出し部は、植付装置を支持する植付伝動ケースの後端に突設され、
前記動力取り出し部の下方を覆う緩衝部材を備え
前記緩衝部材は、前記動力取り出し部の下方を覆う保護部を有し、
該保護部は、底板を有し、
該底板は、後端部が円弧状に切り欠かれた後切り欠き部を有し、
前記保護部が折れ曲がった際、前記底板は前記動力取り出し部と当接しないことを特徴とする。
更に、前記緩衝部材は、後方に向かって上方へ傾斜することを特徴とする。
更に、前記動力取り出し部を覆う保護カバーを備えることを特徴とする。
更に、前記保護カバーは、下壁、左右の側壁、及び後壁を有し、
前記緩衝部材は、前記保護カバーの下壁の内面に沿って延びることを特徴とする。
更に、前記保護カバーは、前記動力取り出し部が覆われた閉じた状態と前記動力取り出し部が露出された開いた状態との間で揺動可能であることを特徴とする。
更に、前記緩衝部材は、折れ曲がりに対する強度が弱められた平板状のフランジを有し、
前記保護部は、前記フランジから後方へ向けて突設され、
前記フランジは、前記植付伝動ケースの後端に着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
更に、前記底板は後方へ向けて延び、
前記保護部は、前記底板の左右の縁部から上方へ向けて延びる側板を有し、
前記フランジの前記植付伝動ケースへの取り付け部は、前記保護部との接合部の上方に位置し、
前記フランジの板厚は、前記底板の板厚より小であることを特徴とする。
更に、前記フランジは、折れ曲がりの基点となる脆弱部を有し、
前記脆弱部は、前記保護部との接合部の上方、かつ前記植付伝動ケースへの取り付け部の下方に位置することを特徴とする。
本発明によれば、植付部と、前記植付部の後部に取り付けられる作業部と、前記植付部から動力を取り出す動力取り出し部と、前記動力取り出し部から前記作業部に動力を伝達する動力伝達機構と、を備える田植機において、前記動力取り出し部は、植付装置を支持する植付伝動ケースの後端に突設され、前記動力取り出し部の下方を覆う緩衝部材を備え、前記緩衝部材は、前記動力取り出し部の下方を覆う保護部を有し、該保護部は、底板を有し、該底板は、後端部が円弧状に切り欠かれた後切り欠き部を有し、前記保護部が折れ曲がった際、前記底板は前記動力取り出し部と当接しないので、植付伝動ケースの後端に突設される動力取り出し部を簡易な構成で保護し、耐久性に優れる田植機を提供することができる。
更に、前記緩衝部材は、後方に向かって上方へ傾斜する構成によれば、動力取り出し部を簡易な構成でより確実に保護することができる。また、緩衝部材が畦に上方から衝突しても、畦を壊しにくい。
更に、前記動力取り出し部を覆う保護カバーを備える構成によれば、動力取り出し部への泥などの付着や、作業者の動力取り出し部への不用意な接触が防止される。
更に、前記保護カバーは、下壁、左右の側壁、及び後壁を有し、前記緩衝部材は、前記保護カバーの下壁の内面に沿って延びる構成によれば、保護カバーの下壁に下方から外力が加わっても保護カバーが変形しにくく、保護カバーの破損や脱落による紛失などを防止できる。
更に、前記保護カバーは、前記動力取り出し部が覆われた閉じた状態と前記動力取り出し部が露出された開いた状態との間で揺動可能である構成によれば、動力取り出し部のメンテナンスなどが容易となり、使い勝手が良い。
更に、前記緩衝部材は、折れ曲がりに対する強度が弱められた平板状のフランジを有し、前記保護部は、前記フランジから後方へ向けて突設され、前記フランジは、前記植付伝動ケースの後端に着脱可能に取り付けられるので、保護部に下方から所定以上の外力が加わった際に、フランジが折れ曲がって植付伝動ケースなどに過度な負荷が生じることがなく、植付伝動ケースなどの破損を防止できる。
更に、前記底板は後方へ向けて延び、前記保護部は、前記底板の左右の縁部から上方へ向けて延びる側板を有し、前記フランジの前記植付伝動ケースへの取り付け部は、前記保護部との接合部の上方に位置し、前記フランジの板厚は、前記底板の板厚より小であるので、保護部に下方から所定以上の外力が加わった際に、フランジが折れ曲がって植付伝動ケースなどに過度な負荷が生じることがなく、植付伝動ケースなどの破損を防止できる。
更に、前記フランジは、折れ曲がりの基点となる脆弱部を有し、前記脆弱部は、前記保護部との接合部の上方、かつ前記植付伝動ケースへの取り付け部の下方に位置するので、保護部に下方から所定以上の外力が加わった際に、フランジが脆弱部を基点として折れ曲がって植付伝動ケースなどに過度な負荷が生じることがなく、植付伝動ケースなどの破損を防止できる。
本発明の実施形態に係る田植機の一例が示された概略側面図である。 図1の田植機の概略平面図である。 植付部への動力の伝達経路を説明するための図である。 苗載台の一例が示された概略背面図である。 図4の苗載台の概略側面図であり、図5Aは苗載台の全体図であり、図5Bは支持板の近傍の拡大図である。 苗マット押さえ具の一例が示された概略斜視図である。 苗載台が折り畳まれた状態の一例が示された概略側面図である。 苗マット押さえ具が上方へ回動された状態の一例が示された概略側面図である。 苗マット押さえ具が下方へ回動された状態の一例が示された概略側面図である。 第1の散布装置及び第2の散布装置の一例が示された概略側面図である。 図10の第1の散布装置の散布ユニットの一例が示された概略背面図である。 図10の第2の散布装置が示された概略背面図である。 動力取り出し部の一例が示された概略側面図である。 図13の動力取り出し部の概略平面図である。 バンパーの変形例が示された概略側面図であり、図15Aは、保護部に外力が加わる前の状態であり、図15Bは、保護部に下方から上方へ向かう所定以上の外力が作用した状態である。 散布動力伝達機構の一例が示された概略側面図である。 平行リンク機構の一例が示された概略平面図である。 支持フレームの支持部の一例が示された概略側面図である。 締上げロックの一例が示された概略側面図である。 リンク回動ロックの一例が示された概略平面図であり、図20Aはリンクアームの回動が規制される前の状態であり、図20Bはリンクアームの回動が規制された後の状態である。 第1の散布装置及び第2の散布装置を後方へ移動させた状態の一例が示された概略平面図である。 第1の散布装置及び第2の散布装置を後方へ移動させた状態の一例が示された概略側面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る田植機1の一例が示された概略側面図であり、図2は図1の田植機1の概略平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1における左側を進行前方向とし、進行前方向に対して直交して、かつ水平である図1における奥側を右方向、手前側を左方向とし、進行前方向に対して直交して、かつ鉛直である図1における上側を上方向、下側を下方向とする。また、図2には、主に田植機1の走行機体2が示されている。そして、図2において、後述する第1の散布装置85は二点鎖線で示され、後述する平行リンク機構126などの記載は省略されている。
図1、図2に示されるように、田植機1は、作業者が乗車する走行機体2と、走行機体2の後部に連結される植付部20と、植付部20の後部に取り付けられる作業部としての第1の散布装置85及び第2の散布装置101などを備える。そして、詳細については後述するが、植付装置22を支持する植付伝動ケース28の後端に設けられた動力取り出し部200によって植付部20から動力が取り出され、この動力が散布動力伝達機構111によって第1の散布装置85及び第2の散布装置101に伝達される。
走行機体2は、車体フレーム3の前部に動力源としてのエンジン4が載置され、エンジン4の後方にはミッションケース5を備える。ミッションケース5の左右のそれぞれに図示せぬフロントアクスルケースを介して前輪6を備える。ミッションケース5の後方には、左右に後輪7が支持されるリアアクスルケース8を備える。すなわち、走行機体2は、前部の左右のそれぞれに前輪6を備え、後部の左右のそれぞれに後輪7を備え、前輪6及び後輪7によって機体が走行自在に支持される。
ボンネット9内には、エンジン4、図示せぬ制御部、図示せぬ発電機、図示せぬラジエータ、図示せぬ冷却ファンなどを備える。ボンネット9の左右両側には、車体フレーム3に取り付けられる予備苗載台10を備える。右側の予備苗載台10の下方には、車体フレーム3に支持される図示せぬバッテリを備える。発電機は、エンジン4を動力として稼働するようにエンジン4の出力部に連結されている。バッテリは発電機と接続され、発電機によって発電された電力がバッテリに充電される。車体フレーム3は、車体カバー11によって上方から覆われる。ボンネット9の後部には上方へ突設される操向ハンドル12を有し、操向ハンドル12の後方には所定の距離を隔てて運転席13が設けられている。田植機1が備える各種装置の動作は制御部によって制御される。
エンジン4の動力は、出力部から図示せぬ静油圧式無段変速機であるHST(Hydraulic Static Transmission)を介してミッションケース5に伝達される。ミッションケース5の内部には、図示せぬ主クラッチ、図示せぬ変速装置、図示せぬ差動装置などを備える。左右の前輪6は、ミッションケース5の内部の変速装置や差動装置、フロントアクスルケースが内蔵するギアや軸などからなる動力伝達機構などを介してエンジン4の出力部と連動連結されている。また、左右の後輪7は、ミッションケース5の内部の変速装置、ミッションケース5の後部から後方へ延びるドライブシャフト14、リアアクスルケース8が内蔵するギアや軸などからなる動力伝達機構などを介してエンジン4の出力部と連動連結されている。そして、走行機体2は、エンジン4の動力によって、前輪6及び後輪7を駆動し、前進または後進できるように構成されている。
また、走行機体2は、運転席13の後方に施肥装置15を備える。施肥装置15は、左右方向に一列に配置される複数の施肥ユニットから構成される。個々の施肥ユニットは、後述する複数の植付装置22のそれぞれに対応しており、内容物としての肥料などの薬剤を収容するホッパ16と、ホッパ16から所定の量の薬剤を取り出す繰出部17と、ホッパ16から取り出された薬剤をフレキシブルなホース18を介して圃場へ排出させる排出装置19などから構成される。薬剤の排出口であるホース18の一端は、対応する植付装置22の近傍に位置している。
なお、走行機体2は上述の構成に限定されるものではなく、植付部20が連結され、走行しながら植付部20による苗の植え付け作業が可能な構成であれば良く、例えば、施肥装置15を備えない構成や、エンジン4に替わって動力源としての電動モータを備える構成であっても良い。
植付部20は、苗マットが載置される苗載台21と、苗を圃場に植え付ける複数の植付装置22などを備える。植付部20は、トップリンク23及びロアリンク24などから構成される昇降リンク機構を介して、走行機体2の後部に連結され、走行機体2が備える図示せぬ油圧式の昇降装置によって昇降するように構成されている。
ここで、本実施形態の植付部20は8条植えタイプである。苗載台21は左右方向に一列に配設される8つの単位苗載台25a〜25hから構成され、前高後低に傾斜している。苗載台21の下端部の後方には、8つの植付装置22a〜22hが左右方向に一列に配置されている。8つの植付装置22a〜22hは、それぞれ8つの単位苗載台25a〜25hに対応しており、植付部20は1つの単位苗載台25に対して1つの植付装置22を備える構成である。なお、植付部20は8条植えタイプのものに限定されるものではなく、6条植えタイプなどであっても良い。
植付部20は、苗載台21の下方に、苗載台21と複数の植付装置22などを支持する植付フレーム26を有する。植付フレーム26は、左右方向に延びるメインフレーム27と、メインフレーム27から後方へ延びる4つの植付伝動ケース28a〜28dなどから構成される。各植付伝動ケース28の後端部の左右には、それぞれ植付装置22が配設される。メインフレーム27の左右方向の略中央には、センターケース29が配設される。なお、詳細については後述するが、センターケース29には、図示せぬギアなどの動力伝達機構が内蔵されており、エンジン4からの動力がセンターケース29に設けられたここでは図示せぬ入力ドライブ軸に伝達される。また、植付伝動ケース28の内部には、それぞれの植付伝動ケース28に配設された2つの植付装置22に、センターケース29に伝達されたエンジン4からの動力を伝達するここでは図示せぬ動力伝達軸が内蔵されている。また、植付フレーム26の下方には、苗の植え付け時に接地されるセンターフロート30及び左右一対のサイドフロート31を備える。
苗載台21は、下部ガイドレール32および上部ガイドレール33を介して、メインフレーム27及び植付伝動ケース28に支持され、植付伝動ケース28に対して左右往復移動するように構成されている。なお、左側に位置する2つの単位苗載台25a,25bは、連結した状態で植付部20から取り外すことができるように構成されている。また、詳細については後述するが、苗載台21は、載置された苗マットを上方から下方へ向けて搬送する縦送り機構や、苗マットを苗載台21に押さえ付ける苗マット押さえ具、取り外された2つの単位苗載台25a,25bを支持する上部支持バー57と2つの下部支持バー58なども備える。
植付装置22は、ロータリ式植付装置であり、植付伝動ケース28に回転自在に支持されるロータリーケース34と、ロータリーケース34の両端に回転自在に支持される植付ケース35などから構成される。ロータリーケース34の内部には、植付ケース35と連動連結する図示せぬギアなどの動力伝達機構が内蔵されている。一方、植付ケース35は、植付爪36とこの植付爪36に沿って軸方向に進退可能に構成される図示せぬプッシュロッドなどを有する。
植付装置22は、ロータリーケース34が一回転する際に、植付ケース35がロータリーケース34に対して反対周りに一回転するように構成されている。そして、植付装置22は、植付爪36が苗載台21と圃場との間を往復運動するとともに、植付伝動ケース28に対する植付爪36の先端の軌跡は上下方向に長い楕円状閉ループ状の軌跡となるように構成されている。また、プッシュロッドは、植付爪36の先端がロータリーケース34の回転に伴ってその往復運動の下降下限点の近傍となる際に植付爪36の先端に向かって前進し、植付爪36の往復運動の下降下限点から上昇する際に植付爪36の先端から後退するように構成されている。
このように構成される植付装置22は、植付爪36が苗載台21の上方から下方に向かって下降する際に植付爪36によって苗載台21に載置された苗マットから苗を掻き取り、植付爪36の先端の下降下限点の近傍において植付爪36の先端が圃場へ差し込まれる。この時、プッシュロッドによって掻き取った苗を圃場に向かって押し出し、苗が圃場に植え付けられる。その後、植付爪36は圃場から抜けるように上昇する。
次に、エンジン4から植付部20への動力の伝達経路について説明する。図3は植付部20への動力の伝達経路を説明するための図である。なお、図3において、最も左側に位置する植付伝動ケース28aと、最も右側に位置する植付伝動ケース28dと、これらの植付伝動ケース28a,28dに配設される植付装置22a,22b,22g,22hなどの記載は省略されている。上述したように、エンジン4の動力は、出力部からHSTを介してミッションケース5に伝達され、ミッションケース5で変速され、株間変速装置37を介して植付部20へ伝達される。なお、ミッションケース5に伝達されたエンジン4の動力は、左右のフロントアクスル、ドライブシャフト14、その他の装置などにも分配されて伝達される。
株間変速装置37は、走行機体2の後部に配設され(図1参照)、ミッションケース5からの動力が株間入力軸38に伝達される。株間入力軸38に伝達された動力は、順次、2段階に変速可能な複数のギアやシフターなどから構成される副株間変速機構39、3段階に変速が可能な複数のギアやシフターなどから構成される主株間変速機構40、植付クラッチ41を介して、株間出力軸42に伝達される。したがって、株間変速装置37は、副株間変速機構39と主株間変速機構40とによって動力を6段階に変速可能な構成である。なお、主株間変速機構40は、偏心ギアを含む構成であり、動力を2段階の等速及び1段階の不等速の3段階に変速が可能な構成である。また、株間変速装置37は、株間入力軸38に伝達された動力を、主株間変速機構40の上流側において、施肥クラッチ43を介して施肥出力軸44へも伝達可能なように構成されており、上述の施肥装置15は施肥出力軸44と連動連結されている。
株間出力軸42は、PTO軸45を介してセンターケース29のドライブ入力軸46に連動連結されている。センターケース29には、左右の側面から突出して左右方向に延びる植付出力軸47が設けられている。センターケース29の内部には、ドライブ入力軸46の動力を植付出力軸47に伝達するギアなどから構成される動力伝達機構が内蔵されている。
また、センターケース29には、植付出力軸47と同様に、左右の側面から突出して左右方向に延びる横送り出力軸48が設けられている。センターケース29は、ドライブ入力軸46に伝達された動力を、植付出力軸47の上流側において、3段階に変速可能な複数のギアやシフターなどから構成される横送り変速機構49を介して、横送り出力軸48へも伝達可能なように構成されている。つまり、センターケース29は、ドライブ入力軸46に伝達された動力を、植付出力軸47と横送り出力軸48とに分配可能な構成である。そして、上述の苗載台21は、横送り出力軸48の回転によって、植付伝動ケース28に対して左右往復移動するように構成されている。
植付出力軸47には、各植付伝動ケース28にそれぞれ内蔵される4つの動力伝達軸50がそれぞれ安全クラッチ51を介して連動連結されている。ここで、植付出力軸47は、4つの動力伝達軸50に対応するように分割されるとともに図示せぬカップリングによって連結されている。
動力伝達軸50の後端部には、条止めクラッチ52を介して駆動軸53が連動連結されている。駆動軸53は、植付伝動ケース28の後端部から左右に突出するとともに、ロータリーケース34が固定されている。ロータリーケース34は、複数のギアを内蔵するとともに、側方へ突出する2つの支持軸54を有する。2つの支持軸54は、それぞれロータリーケース34に内蔵されたギアを介して駆動軸53と連動連結されるとともに、植付ケース35が固定されている。
そして、植付装置22は、植付出力軸47から動力伝達軸50を介して伝達される動力によって駆動軸53が回転することで、上述したように、ロータリーケース34が回転するとともに、植付ケース35がロータリーケース34に対して逆方向に回転して、植付爪36が苗載台21と圃場との間を往復運動し、苗が圃場に植え付けられる。
ここで、植付伝動ケース28bに内蔵された動力伝達軸50は、複数のギアを内蔵するギアボックス55を介して、動力取り出し部200と連動連結されている。動力取り出し部200は、散布出力軸201、クランク202などから構成される。動力取り出し部200は、植付伝動ケース28bの後端に突設されており、ギアボックス55を介して植付伝動ケース28bの後端に取り付けられている。より詳細には、植付伝動ケース28bに内蔵された動力伝達軸50には、植付伝動ケース28bの後端から後方へ突出する中間軸56が連動連結されている。中間軸56は、動力伝達軸50と同軸上に位置している。ギアボックス55は、植付伝動ケース28bの後端に取り付けられる。中間軸56には、ギアボックス55に内蔵されたギアを介して散布出力軸201が連動連結されている。散布出力軸201は、ギアボックス55の後端から後方へ突出するとともに、その後端にはクランク202が固定されている。クランク202の出力軸には、第1の散布装置85及び第2の散布装置101へ動力を伝達する散布動力伝達機構111の入力ロッド112の一端が連結されている。そして、動力取り出し部200は、植付部20(動力伝達軸50)から動力を取り出し、散布動力伝達機構111に動力を伝達するように構成されている。
なお、散布出力軸201は、ギアボックス55から突出した部分にクイックジョイント203を有する。そして、散布出力軸201は、クイックジョイント203によって、動力伝達軸50(中間軸56)の側と入力ロッド112の側とに工具などを用いることなく分割できるように構成されている。また、クランク202の出力軸は、散布出力軸201と平行で、かつ散布出力軸201とはずれた位置に偏心して配置されている。つまり、クランク202の出力軸は、散布出力軸201回りで、偏心回転される。また、散布出力軸201は、動力伝達軸50と平行で、かつ動力伝達軸50よりも上方に位置している。
詳細については後述するが、散布動力伝達機構111は、入力ロッド112と、2つの出力ロッド113,114と、カウンターアーム115などを備える。入力ロッド112の他端はカウンターアーム115に連結されている。出力ロッド113の一端は、第1の散布装置85の動力伝達系に連結され、他端はカウンターアーム115に連結されている。出力ロッド114の一端は、第2の散布装置101の動力伝達系に連結され、他端はカウンターアーム115に連結されている。カウンターアーム115は、左右方向に延びる揺動軸124を支軸にして前後方向に揺動自在に支持されている。そして、散布動力伝達機構111は、動力取り出し部200によって植付部20(動力伝達軸50)から取り出された動力を、作業部としての第1の散布装置85及び第2の散布装置101に伝達するように構成されている。
なお、エンジン4から植付部20へ動力を伝達する構成は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、動力伝達軸50などの軸に替わって、無端チェーンを用いて動力を伝達する構成であっても良い。また、植付部20から動力を取り出す動力取り出し部200の構成は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、動力取り出し部200は、ギアボックス55を介することなく、植付伝動ケース28bに内蔵された動力伝達軸50に連動連結される構成であっても良い。つまり、散布出力軸201がギアを介して動力伝達軸50に連動連結するとともに、植付伝動ケース28bの後端から後方へ突出する構成であっても良い。また、植付伝動ケース28bとギアボックス55とが一体に形成されても構わない。また、動力取り出し部200による植付部20からの動力の取り出しは、植付伝動ケース28bに内蔵された動力伝達軸50から取り出す構成に限定されるものではない。動力取り出し部200は、他の植付伝動ケース28、例えば植付伝動ケース28cに内蔵された動力伝達軸50から動力を取り出す構成であっても構わない。
次に、苗載台21について説明する。図4は苗載台21の一例が示された概略背面図であり、図5は図4の苗載台21の概略側面図であり、図6は苗マット押さえ具60の一例が示された概略斜視図であり、図7は苗載台21が折り畳まれた状態の一例が示された概略側面図であり、図8は苗マット押さえ具60が上方へ回動された状態の一例が示された概略側面図であり、図9は苗マット押さえ具60が下方へ回動された状態の一例が示された概略側面図である。なお、図5Aは苗載台21の全体図であり、図5Bは支持板75の近傍の拡大図である。また、図6は、苗マット押さえ具60を左側の斜め上方から見る斜視図である。上述したように、苗載台21は、左右方向に一列に配設される8つの単位苗載台25a〜25hから構成され、前高後低に傾斜している。左側に位置する2つの単位苗載台25a,25bは、連結した状態で取り外すことができるように構成されている。
苗載台21は、上部支持バー57と、2つの下部支持バー58,58と、縦送り機構59と、3つの苗マット押さえ具60a,60b,60cなども備える。上部支持バー57は、苗載台21の上部側に位置し、単位苗載台25dと単位苗載台25eの間に取り付けられ、上方へ向かって延びている。2つの下部支持バー58,58は、苗載台21の下部側に位置し、単位苗載台25cと単位苗載台25dの間及び単位苗載台25eと単位苗載台25fの間に取り付けられ、上方へ向かって延びている。
そして、苗載台21は、図7に示されるように、左側に位置する2つの単位苗載台25a,25bを取り外し、この単位苗載台25a,25bを上部支持バー57及び2つの下部支持バー58,58に支持させて、折り畳むことができ、左右方向の幅を狭めることができるように構成されている。この際、単位苗載台25a,25bは、単位苗載台25d,25eの上方に位置している。また、上部支持バー57の先端部は、上部ガイドレール33に形成される図示せぬ貫通孔に挿通される。単位苗載台25aの左縁部と単位苗載台25bの右側部は、それぞれ下部支持バー58の先端部に設けられた図示せぬロック機構によって固定される。したがって、単位苗載台25a,25bは、上部支持バー57と2つの下部支持バー58,58によって3点で支持されており、ガタつきにくく着脱が容易である。
縦送り機構59は、各単位苗載台25に2つ設けられており、従動ローラ61と、駆動ローラ62と、苗送りベルト63などから構成される。苗マットが載置される載置部64は、上下方向の略中央から下部にかけて、苗マットが載置される載置面65と裏面66との間を貫通する開口67を有する。従動ローラ61と駆動ローラ62は、載置部64の裏面66側に位置し、開口67の上部と下部を横断するように配設される。苗送りベルト63は、従動ローラ61と駆動ローラ62に外接するように掛け回されている。苗送りベルト63の表面には、図示せぬ多数の突起が形成され、載置部64の開口67から載置面65側に突出している。そして、縦送り機構59は、駆動ローラ62が間欠的に回転することで、苗マット押さえ具60と苗送りベルト63によって挟持するように保持された苗マットを、下方へ向けて間欠的に搬送するように構成されている。
苗マット押さえ具60aは、2つの単位苗載台25a,25bに対応しており、苗マット押さえ具60bは、3つの単位苗載台25c,25d,25eに対応しており、苗マット押さえ具60cは、3つの単位苗載台25f,25g,25hに対応している。3つの苗マット押さえ具60a,60b,60cは、同様の構成であり、以下では、図6に示された苗マット押さえ具60aを例示して構成を説明し、苗マット押さえ具60b,60cの構成については適宜説明を省略する。
苗マット押さえ具60は、所定の間隔を有して載置部64の載置面65に沿うように上下方向に延びる複数の丸棒状の縦押さえ棒68と、左右方向に延びる丸棒状の上部連結棒69と、左右方向に延びる丸棒状の下部連結棒70と、左右方向に延びる丸棒状の苗掻き分け具71などを備える。縦押さえ棒68、上部連結棒69、下部連結棒70、及び苗掻き分け具71は、作業者によってたわみ変形が可能な丸棒状部材から形成されている。苗マット押さえ具60は、1つの単位苗載台25に対して2本の縦押さえ棒68を有する。つまり、2つの単位苗載台25a,25bに対応する苗マット押さえ具60aは、4本の縦押さえ棒68を有する。3つの単位苗載台25c,25d,25eに対応する苗マット押さえ具60bと、3つの単位苗載台25f,25g,25hに対応する苗マット押さえ具60cは、それぞれ6本の縦押さえ棒68を有する。
縦押さえ棒68の上方側端部は、側面視で鋭角状に後方へ向けて折り曲げられ、縦押さえ棒68の下方側端部は、側面視で略直角状に後方へ折り曲げられている。縦押さえ棒68の上方側の端は、上部連結棒69に溶接などによって接合され、縦押さえ棒68の下方側の端は、下部連結棒70に溶接などによって接合されている。そして、苗マット押さえ具60aにおいては、4つの縦押さえ棒68が上部連結棒69と下部連結棒70によって連結されている。
上部連結棒69と下部連結棒70の左右の両端部は、左右の両端に位置する縦押さえ棒68よりも外方(側方)へ突出している。上部連結棒69の左右の両端部は、それぞれ側面視で縦押さえ棒68の上端部に沿うように前方へ折り曲げられるとともに、更に背面視で左右の外方へ延びるように折り曲げられている。そして、左右の外方へ延びる上部連結棒69の両端部は、それぞれ円環状のフランジ72を有する。また、下部連結棒70の左右の両端部は、それぞれ円環状のフランジ73を有する。
丸棒状の苗掻き分け具71の両端部には、円筒状のカラー74が固定されている。円筒状のカラー74の一端には、径方向に突出する円環状のフランジが形成されている。左右の両端に位置する縦押さえ棒68には、上方かつ後方へ延びる平板状の支持板75がそれぞれ溶接などによって接合されている。支持板75は、縦押さえ棒68の下方側に配設されており、貫通孔である係合孔76を有する。係合孔76は、上下方向に列を成して配置された5つの円形の貫通孔である嵌合部77a,77b,77c,77d,77eと、隣接する嵌合部77の間にわたって延びる4つの貫通孔である通路部とから形成される。そして、係合孔76の周縁は、略波形状に形成されている。嵌合部77の直径は、カラー74の直径に対応しており、通路部の幅より大である。通路部の幅は、苗掻き分け具71の直径より大であり、カラー74の直径より小である。
苗掻き分け具71は、両端部が支持板75に支持される。より詳細には、苗掻き分け具71に取り付けられた円筒状のカラー74が、係合孔76の嵌合部77に嵌合して支持される。ここで、詳細については後述するが、苗掻き分け具71は、第1の散布装置85による苗マットへの薬剤の散布を良好にするためのものである。そして、苗掻き分け具71は、第1の散布装置85の散布口の近傍に位置し、苗載台21に載置されて縦送り機構59によって下方へ向けて搬送される苗マットの苗の草丈中途部に当接するように構成されている。
なお、カラー74が嵌合する嵌合部77を変更することで、苗載台21の載置面65(苗送りベルト63)から苗掻き分け具71までの距離d1を変更することができる。係合孔76は、5つの嵌合部77a,77b,77c,77d,77eを有するので、5段階に距離d1を変更することができる。距離d1を変更するには、苗掻き分け具71をたわませてカラー74と嵌合部77との嵌合を外し、カラー74を他の嵌合部77に嵌合させる。この際、苗掻き分け具71の両端部は、係合孔76から引き抜くことなく、隣接する嵌合部77間に形成される通路部を通過させて他の嵌合部77へ移動させることができる。したがって、カラー74が嵌合する嵌合部77を容易に変更することができ、使い勝手が良い。
苗マット押さえ具60は、苗載台21に形成された2つの上部支持アーム79に上部連結棒69が着脱自在に支持され、苗載台21に形成された2つの下部支持アーム80に下部連結棒70が着脱自在に支持されて苗載台21に取り付けられる。2つの上部支持アーム79は、苗載台21の上方側であって、単位苗載台25aの左縁部と単位苗載台25bの右縁部とに配設される。上部支持アーム79は、上下方向に列を成して配置された3つの円形の貫通孔である嵌合孔81a,81b,81cを有する。そして、上部連結棒69は、その両端が上部支持アーム79のいずれかの嵌合孔81に挿入されて回動自在に支持される。なお、上部連結棒69をたわませることによって、上部連結棒69の両端を嵌合孔81から引き抜くことができ、上部連結棒69が支持される嵌合孔81を変更することができる。
一方、2つの下部支持アーム80は、苗載台21の下方側であって、単位苗載台25aの左縁部と単位苗載台25bの右縁部とに配設される。下部支持アーム80は、貫通孔である係合孔82を有する。係合孔82は、上下方向に列を成して配置された4つの円形の貫通孔である嵌合部83a,83b,83c,83dから形成される。隣接する嵌合部83は重なり合っており、係合孔82の周縁は略波形状に形成されている。そして、下部連結棒70は、その両端が下部支持アーム80の係合孔82に挿入され、いずれかの嵌合部83に嵌合した状態で回動自在に支持される。なお、下部連結棒70をたわませることによって、下部連結棒70の両端を係合孔82から引き抜くことができ、下部連結棒70の両端が嵌合する嵌合部83を変更することができる。
このような構成の苗マット押さえ具60は、上部連結棒69を支持する嵌合孔81と、下部連結棒70を支持する嵌合部83とを変更することで、苗載台21の載置面65(苗送りベルト63)からの距離d2を変更することができる。したがって、苗載台21に載置される苗マットの厚みによらず、苗マット押さえ具60と苗送りベルト63によって好適に苗マットを挟持することができ、苗マットを良好に搬送することができる。
また、苗マット押さえ具60は、図8に示されるように、下部連結棒70の両端を係合孔82から引き抜くことで、上部支持アーム79に支持されている部位である上部連結棒69の両端を支軸として上方(前方)へ回動させることができ、苗載台21の載置面65を容易に解放させることができる。また、苗マット押さえ具60は、図9に示されるように、上部連結棒69の両端を嵌合孔81から引き抜くことで、下部支持アーム80に支持されている部位である下部連結棒70の両端を支軸として下方(後方)へ回動させることができ、苗載台21の載置面65を容易に解放させることができる。
つまり、苗マット押さえ具60は、苗載台21に回動自在に連結され、苗マットの苗載台21への押さえ付けがされた保持状態と、苗マットの苗載台21への押さえ付けが解放された解放状態とに切り換え可能に構成されている。
したがって、苗マット押さえ具60は、残った苗マットの除去や上方への引き上げや苗載台21のメンテナンスを妨げることがなく、使い勝手が良い。また、作業の状況に応じて、苗マット押さえ具60の回動を上方と下方とで選択できるので、使い勝手が良い。
ここで、苗掻き分け具71は、縦押さえ棒68に取り付けられた支持板75に支持されており、苗マット押さえ具60を上方や下方へ回動した際に、苗掻き分け具71は、苗マット押さえ具60と一体となって回動する。したがって、苗マット押さえ具60とは別に苗掻き分け具71を取り外すことなく、苗載台21の載置面65を容易に解放させることができ、残った苗マットの除去や上方への引き上げや苗載台21のメンテナンスを容易に行うことができる。また、苗マット押さえ具60と苗掻き分け具71を同時に作業位置にセットできるので、操作忘れが防止でき、使い勝手が良い。
次に、作業部としての第1の散布装置85と第2の散布装置101について説明する。図10は第1の散布装置85及び第2の散布装置101の一例が示された概略側面図であり、図11は図10の第1の散布装置85の散布ユニット86の一例が示された概略背面図であり、図12は図10の第2の散布装置101が示された概略背面図である。なお、図10において、苗載台21の載置部64は断面で示され、苗載台21に載置された苗マット98と苗99と植付装置22は二点鎖線で示されている。また、図11において、後述する平行リンク機構126のフロントフレーム130は、二点鎖線で示されている。
作業部としての第1の散布装置85と第2の散布装置101は、後述する平行リンク機構126を介して植付部20の後部に一体に取り付けられる。第1の散布装置85は、苗載台21に載置された苗マット98に上方から薬剤を散布するものであり、苗載台21の後方に配置される。第2の散布装置101は、圃場に薬剤を散布するものであり、第1の散布装置85の後方に配置されている。
まず、第1の散布装置85について説明する。第1の散布装置85は、図2に示されるように、4つの散布ユニット86a,86b,86c,86dを備える。4つの散布ユニット86a,86b,86c,86dは、左右方向に列を成して配置される。1つの散布ユニット86は、2つの単位苗載台25に対応しており、例えば、左側に位置する散布ユニット86aは、左側に位置する2つの単位苗載台25a,25bに対応し、平面視で単位苗載台25aと単位苗載台25bとの間に配置されている。なお、図11には、左側に位置する2つの散布ユニット86a,86bが示されている。4つの散布ユニット86a,86b,86c,86dは、同様の構成であり、以下では、左側に位置する散布ユニット86aを例示して構成を説明し、他の散布ユニット86b,86c,86dの構成については適宜説明を省略する。
散布ユニット86は、ホッパ87と、2つの繰出部88,88と、2つの導出パイプ89,89と、繰出駆動軸90と、連結アーム91などを備える。ホッパ87は、上部の開口を閉塞する蓋を有し、透明な樹脂製の容器であり、内部に薬剤が収容される。ホッパ87の下部は、左右方向の中央で左右に二股に分かれて形成される。ホッパ87の左右に二股に分かれた下部は、それぞれ下方に向かって窄むロート状に形成されている。また、ホッパ87の内部は、二股に分かれた分岐部に仕切り板92が形成され、左右に二室に仕切られている。
2つの繰出部88,88の上部には、ホッパ87の二股に分かれてロート状に形成された下端がそれぞれ接続される。2つの繰出部88,88の下部には、それぞれ導出パイプ89の一端が接続される。2つの繰出部88,88の内部には、それぞれ左右方向に延びる略円柱状の繰出ロール93,93が回転可能に収容されている。略円柱状の繰出ロール93は、外周面に軸方向へ延びる図示せぬ複数の溝を有する。2つの繰出ロール93,93は、左右方向に延びる繰出駆動軸90と同軸上に位置するとともに、それぞれ繰出駆動軸90に固定されている。繰出駆動軸90を回転させることで、2つの繰出部88,88にそれぞれ収容された2つの繰出ロール93,93を同時に回転させることができる。そして、繰出部88の内部は、繰出ロール93によって、ホッパ87に連通する上側の空間と、導出パイプ89に連通する下側の空間とに仕切られている。
ホッパ87の内部に収容された薬剤は、繰出部88の内部の繰出ロール93によって仕切られた上側の空間に供給され、薬剤の一部が繰出ロール93の外周面に形成された溝に収容される。繰出ロール93を回転させることで、繰出ロール93の溝に収容された薬剤は、導出パイプ89に連通する下側の空間に移動し、導出パイプ89へ供給される。したがって、ホッパ87に収容された薬剤が繰出部88によって所定の量だけ導出パイプ89に繰り出される。
繰出部88によって繰り出す薬剤の量は、繰出ロール93の溝の大きさや形状、繰出駆動軸90の回転速度を変えることによって調節することができる。なお、散布ユニット86は、繰出駆動軸90を間欠的に回転させることで、薬剤を間欠的に繰り出すように構成されている。
導出パイプ89,89の他端である散布口94,94は、苗載台21の下部近傍に、苗マット98が載置される載置面65に対向する向きで配置される。なお、左側に位置する導出パイプ89は、単位苗載台25aに対応しており、右側に位置する導出パイプ89は、単位苗載台25bに対応している。そして、2つの繰出部88,88によって繰り出された薬剤は、散布口94,94から放出されて単位苗載台25aと単位苗載台25bに載置された苗マット98にそれぞれ散布される。
繰出駆動軸90の右側端は、噛み合いクラッチ95を介して、ギアなどから構成される図示せぬ動力伝達機構が内蔵されたギアケース96に連動連結されている。ギアケース96には、ここでは図示せぬ第1のワンウェイクラッチを介して散布動力伝達機構111の出力ロッド113が連動連結された中間駆動軸97も連動連結されている。したがって、散布動力伝達機構111に伝達される動力は、中間駆動軸97とギアケース96を介して繰出駆動軸90に伝達される。
連結アーム91は、一方の繰出部88から他方の繰出部88へ延びる棒状部材であり、後述する平行リンク機構126のフロントフレーム130の上面に形成された取り付けフランジ168に着脱自在に取り付けられる。したがって、散布ユニット86は、噛み合いクラッチ95の嵌合を解除することで、平行リンク機構126のフロントフレーム130から取り外すことができる。なお、ギアケース96もフロントフレーム130に取り付けられている。
ここで、散布ユニット86bは、散布ユニット86aと左右対称の構成であり、ギアケース96の右側に配置されている。散布ユニット86aの繰出駆動軸90と散布ユニット86bの繰出駆動軸90は、同軸上に配設されている。また、散布ユニット86bの繰出駆動軸90は、散布ユニット86aと同様に、噛み合いクラッチ95を介して、ギアケース96に連動連結されている。そして、ギアケース96に入力される動力は、散布ユニット86aと散布ユニット86bに分配される。
また、散布ユニット86cは、散布ユニット86bと左右対称の構成であり、散布ユニット86dは、散布ユニット86aと左右対称の構成である。散布ユニット86cと散布ユニット86dは、散布ユニット86aと散布ユニット86bと同様に、中間駆動軸97に連動連結された別のギアケース96にそれぞれの繰出駆動軸が連動連結されている。そして、散布動力伝達機構111に伝達される動力は、中間駆動軸97と別のギアケース96を介して散布ユニット86cと散布ユニット86dのそれぞれの繰出駆動軸に伝達される。したがって、散布動力伝達機構111に伝達される動力は、中間駆動軸97と2つのギアケース96によって、4つの散布ユニット86a,86b,86c,86dに分配される。
ここで、上述したように、散布ユニット86によって薬剤が散布される苗マット98が載置される苗載台21は、苗マット押さえ具60を備える。苗マット押さえ具60には、苗掻き分け具71が取り付けられている。苗掻き分け具71は、図10に示されるように、散布口94の近傍に位置するとともに、縦送り機構59によって苗載台21の載置面65上を下方へ向けて搬送される苗マット98の苗99の草丈中途部に当接するように構成されている。したがって、苗マット98が縦送り機構59によって下方へ搬送される際に、苗99が苗掻き分け具71に当接して前方側へ傾倒され、苗掻き分け具71の後方側に苗マット98の床土部が露出する空間100が形成される。そして、散布ユニット86の散布口94は、この苗掻き分け具71によって形成される空間100へ向けて薬剤が放出されるように配置されており、薬剤は、苗99に干渉されずに苗マット98の床土部に散布される。したがって、第1の散布装置85は、苗掻き分け具71によって苗マット98へ効果的な薬剤の散布ができる。
なお、苗載台21は、植付伝動ケース28に対して左右に往復移動するが、苗マット押さえ具60に取り付けられた苗掻き分け具71と苗マット98は苗載台21と一体となって移動する。したがって、苗載台21の左右の往復移動の際に、苗マット98の苗99は、苗掻き分け具71と左右方向に擦れることがなく、苗99の傷つきが防止される。また、苗99の左右方向への倒れが生じることがなく、確実に空間100が形成され、第1の散布装置85による効果的な薬剤の散布ができる。
また、苗掻き分け具71は、載置面65までの距離d1を変更できるように支持板75に支持されているので、苗マット98の苗99の草丈によらず、第1の散布装置85の薬剤の散布に適した空間100を苗間に形成することができ、使い勝手が良い。また、苗99の全長が同一であれば苗マット98(床土部)の厚さが変わっても苗マット押さえ具60の位置(載置面65までの距離d2)を変更するだけで空間100を形成することができるので、使い勝手が良い。
なお、苗マット押さえ具60は、上述の構成に限定されるものではない。苗マット押さえ具60は、苗マット98を苗載台21に押さえ付けるものであり、苗載台21に取り付けられ、苗マット98の苗載台21への押さえ付けがされた保持状態と、苗マット98の苗載台21への押さえ付けが解放された解放状態とに切り換え可能な構成であれば良い。例えば、苗マット押さえ具60は、上部連結棒69の両端、または下部連結棒70の両端のいずれか一方のみを支軸として回動させることができる構成であっても構わない。また、苗マット押さえ具60は、ボルト等によって苗載台21に着脱自在に取り付けられる構成であっても構わない。
また、苗掻き分け具71は、上述の構成に限定されるものではない。苗掻き分け具71は、苗載台21に載置された苗マット98に薬剤を散布する散布ユニット86の散布口94の近傍で、左右方向に延び、苗マット98の苗99の草丈中途部に当接して苗99を傾倒させて苗間に空間100を形成するとともに、苗マット押さえ具60に取り付けられる構成であれば良い。例えば、苗掻き分け具71は、両端部が支持板75に支持される複数の丸棒部材から構成されても良い。
次に、第2の散布装置101について説明する。第2の散布装置101は、ホッパ102と、繰出部103と、散布カバー104と、繰出駆動軸105などを備える。ホッパ102は、上部の開口を閉塞する蓋を有し、透明な樹脂製の容器であり、内部に薬剤が収容される。ホッパ102の下部は、下方に向かって窄むロート状に形成されている。
繰出部103の上部には、ホッパ102の下端が接続される。繰出部103の下部は、散布カバー104の左右方向の中央の上部が接続される。繰出部103の内部は、第1の散布装置85の繰出部88と同様の構成であり、内部に左右方向に延びる略円柱状の繰出ロール106が回転可能に収容されている。略円柱状の繰出ロール106は、外周面に軸方向へ延びる図示せぬ複数の溝を有する。繰出ロール106は、左右方向に延びる繰出駆動軸105と同軸上に位置するとともに、繰出駆動軸105に固定されている。繰出駆動軸105を回転させることで、繰出部103に収容された繰出ロール106を回転させることができる。そして、繰出部103の内部は、繰出ロール106によって、ホッパ102に連通する上側の空間と、散布カバー104の内部に連通する下側の空間とに仕切られている。
ホッパ102の内部に収容された薬剤は、繰出部103の内部の繰出ロール106によって仕切られた上側の空間に供給され、薬剤の一部が繰出ロール106の外周面に形成された溝に収容される。繰出ロール106を回転させることで、繰出ロール106の溝に収容された薬剤は、散布カバー104の内部に連通する下側の空間に移動し、散布カバー104の内部へ供給される。したがって、ホッパ102に収容された薬剤が繰出部103によって所定の量だけ散布カバー104に繰り出される。
繰出駆動軸105は、第2のワンウェイクラッチ122を介して散布動力伝達機構111の出力ロッド114に連動連結される。したがって、散布動力伝達機構111に伝達される動力は、第2のワンウェイクラッチ122を介して繰出駆動軸105に伝達される。
繰出部103によって繰り出す薬剤の量は、繰出ロール106の溝の大きさや形状、繰出駆動軸105の回転速度を変えることによって調節することができる。なお、第2の散布装置101は、繰出駆動軸105を間欠的に回転させることで、薬剤を間欠的に繰り出すように構成されている。
散布カバー104は、下面に開口107を有し、左右方向に延びる中空の直方体状の囲いである。散布カバー104の内部は、左右方向の中央の上部で繰出部103の下端と連通している。散布カバー104は、中央から左右にそれぞれ延びる2つの案内板108と、電動モータの出力軸に固定された繰出ファン110とを内部に備える。案内板108は、左右方向に所定の間隔を有して形成された複数の貫通孔109を有する。この案内板108によって、散布カバー104の内部には、中央から左右にそれぞれ延びる流路が形成される。繰出ファン110は、2つの案内板108の間であって、繰出部103の下端と連通する連通部の下方に配置される。
そして、第2の散布装置101は、繰出部103から散布カバー104の内部に繰り出された薬剤を、案内板108によって形成される流路へ繰出ファン110の回転によって吹き飛ばす。吹き飛ばされた薬剤は、散布カバー104の内部で拡散されるとともに、案内板108の貫通孔109や案内板108と散布カバー104の内面との隙間などを通って散布カバー104の開口107から放出されて圃場に散布される。したがって、第2の散布装置101は、薬剤を左右に分散させて圃場に散布できるように構成されている。
ここで、作業部としての第1の散布装置85や第2の散布装置101が散布する薬剤は、固体粒子状の薬剤であり、例えば肥料や除草剤などとすることができる。
なお、第1の散布装置85及び第2の散布装置101は、上述の構成に限定されるものではない。第1の散布装置85は、植付部20の後部に取り付けられ、苗載台21に載置された苗マット98に上方から薬剤を散布する構成であれば良い。第2の散布装置101は、第1の散布装置の後方に配設され、圃場に薬剤を散布する構成であれば良い。例えば、第1の散布装置85や第2の散布装置101は、液状の薬剤を散布する散布装置であっても構わない。
次に、植付部20から動力を取り出す動力取り出し部200について説明する。図13は動力取り出し部200の一例が示された概略側面図であり、図14は図13の動力取り出し部200の概略平面図である。なお、図13において、保護カバー210は二点鎖線で示されている。また、図14において、散布動力伝達機構111の記載は省略されている。上述したように、動力取り出し部200は、散布出力軸201、クランク202などを備え、植付部20から動力を取り出すように構成されている。そして、動力取り出し部200は、植付伝動ケース28bの後端から後方へ向けて突設され、植付装置22よりも後方に位置している。したがって、動力取り出し部200へのアクセス性が良好であり、メンテナンスやクイックジョイント203による散布出力軸201の切り離し作業などが容易に行え、使い勝手が良い。なお、動力取り出し部200は、ギアボックス55を介して植付伝動ケース28bの後端に取り付けられている。
ギアボックス55は、前端が植付伝動ケース28bの後端に取り付けられ、後端に閉塞板116を有する。閉塞板116は、ギアボックス55の後端の開口を閉塞する板状部材であり、ボルト締結によってギアボックス55に取り付けられている。閉塞板116は、上縁部が後方へ向けて折り曲げられた上突起部116aと、上部の左右両側に側方へ向けて突出する係合部116bと、下部の左右両側に側方へ向けて突出する支持部116cを有する。詳細については後述するが、係合部116bは貫通孔を有し、この貫通孔に保護カバー210の係止突起214が挿入される。また、支持部116cは、保護カバー210の貫通孔に挿入され、保護カバー210を上下方向に揺動可能に支持する。
散布出力軸201は、ギアボックス55の後端である閉塞板116から後方へ突出する。散布出力軸201は、ギアボックス55に内蔵された図示せぬ複数のギアや中間軸56などを介して、植付伝動ケース28bに内蔵された動力伝達軸50と連動連結されている。散布出力軸201は、動力伝達軸50と平行で、かつ動力伝達軸50よりも上方に位置している。散布出力軸201の後端には、クランク202が固定される。クランク202の出力軸には、入力ロッド112の一端が連結される。散布出力軸201は、クイックジョイント203を有し、入力ロッド112の側を動力伝達軸50の側から工具などを用いることなく切り離すことができるように構成されている。
ここで、ギアボックス55の後端には、動力取り出し部200を保護するバンパー204や保護カバー210が取り付けられる。緩衝部材としてのバンパー204は、鋼板から形成される平板状のフランジ205と、フランジ205から後方へ向けて突設される保護部206とを有する。保護部206は、鋼板が折り曲げられて形成される。保護部206は、平坦で後方へ向けて延びる底板206aと、底板206aの左右の縁部から上方へ向けて延びる側板206bとを有する。保護部206は、側板206bによって剛性が高められている。保護部206は、動力取り出し部200の下方に位置しており、動力取り出し部200の下方を覆っている。また、保護部206の底板206aは、後方に向かって上方へ傾斜している。保護部206は、底板206aの前端部が半円状に切り欠かれた前切り欠き部207と、底板206aの後端部が円弧状に切り欠かれた後切り欠き部208とを有する。なお、前切り欠き部207は、閉塞板116をギアボックス55に取り付けるためのボルトのスペースを確保するためのものであり、このボルトの位置によっては、前切り欠き部207を設けなくても構わない。保護部206の前端であって、底板206a及び左右の側板206bの前端は、溶接によってフランジ205に接合されている。そして、バンパー204は、フランジ205のボルト締結によってギアボックス55の後端に着脱可能に取り付けられている。より詳細には、平板状のフランジ205は、ギアボックス55の後端である閉塞板116に密着しており、保護部206は、このフランジ205の下部から後方へ向けて突設されている。そして、フランジ205は、保護部206の前端が溶接によって接合された接合部よりも上部が、ボルトBTの締結によってギアボックス55の後端に着脱可能に取り付けられている。つまり、フランジ205のギアボックス55への取り付け部であるボルトBTは、フランジ205の保護部206との接合部よりも上方に位置している。
樹脂製の保護カバー210は、下壁211、左右の側壁212、及び後壁213を有し、動力取り出し部200を覆っている。また、上述のバンパー204は、保護カバー210の内部に位置している。なお、保護カバー210は、上部に開口を有する。下壁211は後方に向かって上方へ傾斜し、保護部206の底板206aは下壁211の内面に沿って延びている。左右の側壁212、及び後壁213は、鉛直方向に延びている。左右の側壁212、及び後壁213の上縁部は内方へ向けて湾曲している。保護部206の左右の側板206bは、左右の側壁212の内面に沿って延びている。左右の側壁212は、上部の前端から前方へ突出する係止突起214をそれぞれ有する。係止突起214は、閉塞板116の係合部116bの貫通孔に対応しており、この貫通孔に嵌合している。また、左右の側壁212は、下部に貫通孔215をそれぞれ有する。貫通孔215は、閉塞板116の支持部116cに対応しており、この支持部116cが挿入されている。そして、保護カバー210は、支持部116cを支軸として、ギアボックス55に上下方向に揺動可能に取り付けられている。そして、保護カバー210は、下方に揺動させて係止突起214と係合部116bの貫通孔との嵌合を外すことで、動力取り出し部200や入力ロッド112の一端の周囲が露出された開いた状態とすることができる。つまり、保護カバー210は、動力取り出し部200が覆われた閉じた状態と動力取り出し部200が露出された開いた状態との間で揺動可能である。したがって、動力取り出し部200のメンテナンスやクイックジョイント203による散布出力軸201の切り離し作業などを更に容易に行えるため、使い勝手が良い。なお、係止突起214が係合部116bの貫通孔に嵌合して動力取り出し部200や入力ロッド112の一端の周囲が覆われた閉じた状態では、動力取り出し部200への泥などの付着や、作業者の動力取り出し部200の不用意な接触が防止される。
ここで、バンパー204は、動力取り出し部200が畦などの地面の隆起などに衝突することを防止する緩衝部材である。例えば、畦に近い位置に苗を植える場合には、まず、走行機体2に対して植付部20を上昇させた状態で後進して、田植機1の後部である植付部20の後部を畦に接近させる。次に、植付部20を苗を植える時の高さまで下降させ、植付装置22を畦の近傍に位置させた後、植付作業を開始する。このように、田植機1の後部を畦に接近させた状態で植付部20を下降させる場合、作業者は、植付装置22よりも後方に位置する動力取り出し部200と畦との距離感を把握しにくい。そして、動力取り出し部200が畦に上方から衝突してしまうことがある。しかしながら、バンパー204は、動力取り出し部200よりも下方に位置するため、このバンパー204の保護部206(底板206a)が保護カバー210の下壁211を介して畦と衝突し、動力取り出し部200に外力が加わることが防止される。したがって、動力取り出し部200へのアクセス性を維持しつつ、バンパー204によって動力取り出し部200が保護され、外力による動力取り出し部200の故障や破損が防止され、耐久性が向上する。
なお、動力取り出し部200を保護する観点において、バンパー204の保護部206の底板206aは、少なくともクランク202の後端まで延びることが好ましく、入力ロッド112とクランク202との接続部の後端よりも後方まで延びることがより好ましい。このような構成にすることで、より確実に動力取り出し部200を保護することができる。
ここで、バンパー204の保護部206の底板206aは後方に向かって上方へ傾斜しているので、保護部206が畦に衝突した際にバンパー204へ加わる力は、保護部206の底板206aの板厚方向の力と、板厚方向と垂直で後方向の力とに分散されるため、保護部206が折れ曲がりにくくなる。したがって、このような構成にすることで、より確実に動力取り出し部200を保護することができる。また、畦に働く力も同様に分散されるため、畦を押し潰す力が低減され、畦の破壊が防止される。また、自重が前方に分散されるので、この前方への力によって田植機1が前方へ移動され、バンパー204が畦から離間してより確実に動力取り出し部200を保護することができる。なお、保護部206の底板206aの傾斜角度は、20°以上、45°以下であることが好ましく、30°であることがより好ましい。このような構成にすることで、バンパー204の保護部206を大きくすることなく、動力取り出し部200を効果的に保護することができる。
バンパー204は、畦が下方から衝突した際に容易に折れ曲がらない強度を有していることが好ましく、例えば、植付部20の重量の1/3程度の外力を下方から加えても折れ曲がらない強度を有していることが好ましい。なお、バンパー204は、植付伝動ケース28やギアボックス55などよりも弱い強度であることが好ましく、バンパー204に外力が加わった際に、植付伝動ケース28やギアボックス55などが破損することを防止できる。
また、バンパー204はボルト締結によって着脱可能にギアボックス55に取り付けられており、容易に交換することができるので、メンテナンス性が良好である。
ここで、フランジ205のギアボックス55への取り付け部であるボルトBTは、フランジ205の保護部206との接合部よりも上方に位置している。したがって、保護部206に上方へ向かう外力が作用した際、フランジ205の保護部206との接合部の近傍や、フランジ205のギアボックス55への取り付け部の近傍に応力が集中する。より詳細には、フランジ205の左右の側板206bとの接合部の上端近傍や、フランジ205のボルトBTとの締結部の近傍に応力が集中する。そして、保護部206に上方へ向かう過度な外力が作用した際には、フランジ205がこれらの応力が集中する部位を基点として折れ曲がる場合がある。しかしながら、保護部206の底板206aは後端部が円弧上に切り欠かれた後切り欠き部208を有するので、保護部206の底板206aが動力取り出し部200に当接することがなく、動力取り出し部200の故障や破損を防止できる。また、フランジ205が折れ曲がることで、バンパー204に作用する衝撃を吸収し、植付伝動ケース28bやギアボックス55などに過度な負荷が生じることがなく、植付伝動ケース28bやギアボックス55などが破損することを防止できる。
なお、バンパー204は、フランジ205が上方へ向けて折れ曲がってしまった場合に動力取り出し部200に保護部206が当接することがなければ、底板206aに後切り欠き部208を設けない構成であっても構わない。しかしながら、コンパクト化の観点において、保護部206の底板206aは、後切り欠き部208を有することが好ましい。なお、バンパー204は、保護部206が折れ曲がってしまった場合であっても、動力取り出し部200に当接することがない構成とすることが好ましい。
また、保護部206の底板206aは、保護カバー210の下壁211の内面に沿って延びているので、保護カバー210の下壁211に下方から外力が加わっても保護カバー210が変形しにくく、保護カバー210の破損や脱落による紛失などを防止できる。
また、散布出力軸201は、植付伝動ケース28bに内蔵される動力伝達軸50よりも上方に位置しているので、植付伝動ケース28bに対して動力取り出し部200が上方へオフセットされている。したがって、動力取り出し部200は畦などの地面の隆起などに衝突しにくく、動力取り出し部200の故障や破損を防止できる。
なお、バンパー204は、上述の構成に限定されるものではなく、動力取り出し部200の下方を覆う構成であれば良い。例えば、バンパー204は、保護部206のみから構成され、保護部206がギアボックス55に溶接などで固着されていても良く、保護部206がギアボックス55と一体に成形される構成であっても構わない。しかしながら、このような構成の場合には閉塞板116の変形を招きやすくなるため、バンパー204は別体で形成されることが好ましい。また、バンパー204のフランジ205や保護部206の形状は特に限定されるものではない。保護部206は、例えば底板206aが板厚方向に湾曲していても良く、側板206bを有さない構成であっても良く、後方へ延びる複数の棒状部材から構成されても構わない。また、動力取り出し部200がギアボックス55を介することなく植付伝動ケース28bの後端に突設される場合には、バンパー204は植付伝動ケース28bの後端に取り付ける構成とすれば良い。また、バンパー204は、保護カバー210の外方であって、下壁211の下方に配置されていても構わない。なお、このような構成の場合には、保護カバー210の開閉性の観点から、保護カバー210は左右方向に揺動可能にギアボックス55に取り付けられる構成等、バンパー204や植付装置22を避けて開閉される構成とすることが好ましい。
また、植付伝動ケース28やギアボックス55などを保護する観点から、バンパー204は、フランジ205の折れ曲がりに対する強度を弱め、保護部206に上方へ向かう所定以上の力が作用した際に、フランジ205が折り曲げられるように構成しても良い。このような構成としては、上述のバンパー204において、フランジ205の板厚t1を保護部206の底板206aの板厚t2よりも小とする構成が例示できる。このような構成とすることで、保護部206に作用する上方へ向かう外力に対する強度において、保護部206の強度よりもフランジ205の強度を弱めることができる。そして、上述したように、保護部206に下方から所定以上の外力が加わった際には、応力が集中するフランジ205の左右の側板206bとの接合部の上端近傍や、フランジ205のボルトBTとの締結部の近傍を基点としてフランジ205が折れ曲がる。フランジ205が折れ曲がることで、植付伝動ケース28bやギアボックス55などに過度な負荷が生じることがなく、植付伝動ケース28bやギアボックス55などが破損することを防止できる。上述の構成では、特に、ギアボックス55の後端の開口を閉塞する閉塞板116の変形を防止することができ、仮にフランジ205が折れ曲がったとしてもギアボックス55内に泥水が浸入することを防止できる。なお、保護部206は、底板206aの後切り欠き部208を有するので、フランジ205が折れ曲がった際に、動力取り出し部200に接触することはない。
ここで、どの程度の外力でフランジ205が折れ曲がるかは、板厚t1によって適宜調節することができる。フランジ205は、植付伝動ケース28bやギアケース55などの他の部品が破損する前に折れ曲がるような強度設計とする。例えば、フランジ205は、植付部20の重量の1/3程度の外力が保護部206に作用した際に折れ曲がる構成とする。また、フランジ205と保護部206が同じ鋼板から形成される場合には、例えば、保護部206の底板206aの板厚t2に対するフランジ205の板厚t1の比を0.7程度とする。
また、フランジ205は、保護部206を形成する鋼板よりも強度が弱い鋼板から形成されても良い。このような構成にすることで、上述のフランジ205の板厚t1を保護部206の底板206aの板厚t2よりも小とする構成と同様の効果が得られる。なお、フランジ205や保護部206を形成する材料は特に限定されるものではない。
また、フランジ205は、図15に示されるように、薄肉部305aを備える構成としても良い。ここで、図15は、バンパー204の変形例が示された概略側面図であり、図15Aは、保護部206に外力が加わる前の状態であり、図15Bは、保護部206に下方から上方へ向かう所定以上の外力が作用した状態である。なお、図15において、保護カバー210の記載は省略されている。また、バンパー304は、フランジ305が薄肉部305aを備える以外は、上述のバンパー204と同様の構成であり、同様の構成については適宜説明を省略する。
バンパー304は、図15Aに示されるように、鋼板から形成される平板状のフランジ305と、フランジ305から後方へ向けて突設される保護部206とを有する。フランジ305は、ギアボックス55の後端である閉塞板116に密着している。フランジ305の下部には、保護部206の前端であって、底板206a及び左右の側板206bの前端が溶接よって接合されている。フランジ305は、保護部206の前端が溶接によって接合された接合部よりも上部が、ボルトBTの締結によってギアボックス55の後端に着脱可能に取り付けられている。そして、フランジ305は、折れ曲がりに対する強度が弱められて折れ曲がりの基点となる脆弱部として、板厚が薄く形成された薄肉部305aを備える。薄肉部305aは、保護部206が接合された接合部の上方、かつフランジ305がボルトBTによってギアボックス55に締結された取り付け部の下方に位置し、左右方向に帯状に延びている。
以上のように、保護部206との接合部の上方、かつボルトBTによってギアボックス55に締結された取り付け部の下方に、折れ曲がりに対する強度が弱められて折れ曲がりの基点となる脆弱部としての薄肉部305aを有するフランジ305は、保護部206に下方から所定以上の外力が加わった際に、薄肉部305aに応力が集中して、図15Bに示すように、薄肉部305aを基点として折れ曲がる。そして、フランジ205の板厚t1を保護部206の底板206aの板厚t2よりも小とした上述のバンパー204と同様の効果が得られる。なお、薄肉部305aを有するフランジ305は、特定の箇所である薄肉部305aで折れ曲がるので、取り付け部としてのボルトBTに過度な負荷が生じにくい。したがって、ボルトBTの破損によってバンパー304の交換ができなくなることを防止できる。また、フランジ305が折れ曲がった際に、保護部206が動力取り出し部200に接触することを確実に防止でき、動力取り出し部200の故障や破損を防止できる。なお、保護部206は、底板206aの後切り欠き部208を有するので、フランジ305が折れ曲がった際に、動力取り出し部200に接触することはない。
ここで、どの程度の外力でフランジ305が折れ曲がるかは、薄肉部305aの板厚を変更することで適宜調節することができる。フランジ305は、上述のフランジ205と同様に、植付伝動ケース28bやギアケース55などの他の部品が破損する前に折れ曲がるような強度設計とする。例えば、フランジ305は、植付部20の重量の1/3程度の外力が保護部206に作用した際に薄肉部305aを基点として折れ曲がる構成とする。
なお、折れ曲がりに対する強度が弱められて折れ曲がりの基点となる脆弱部は、板厚が薄く形成された薄肉部305aに限定されるものではない。上述の薄肉部305aは、後側の面が切り欠かれて板厚を薄くする構成であり、折れ曲がった際にフランジ305が切断されにくい構成である。しかしながら、前側の面が切り欠かれて板厚を薄くする構成であっても良い。また、脆弱部は、例えば、フランジ305の左右方向の幅が狭められるように左右の両端に形成される切り欠きであっても良い。また、脆弱部は、複数の孔が左右方向に列を成して形成される構成であっても良い。また、脆弱部は、板厚t1を保護部206の底板206aの板厚t2よりも小とした上述のフランジ205に形成されても良い。このような構成にすることで、保護部206に下方から所定以上の外力が加わった際に、より確実にバンパー204が折れ曲がるようにすることができる。
また、保護カバー210は、上述の構成に限定されるものではなく、動力取り出し部200を覆う構成であれば良い。例えば、保護カバー210は、ギアボックス55にヒンジを介して取り付けられても良く、フックなどによって着脱可能に取り付けられても良い。また、保護カバー210は、下壁211を備えない構成であっても良い。なお、このような構成の場合には、バンパー204の保護部206の外周縁である左右の側板206b及び底板206aの後端と保護カバー210との間に隙間が形成されない構成とする。そして、動力取り出し部200の下方をバンパー204で覆い、動力取り出し部200の左右の両側方と後方を保護カバー210で覆う。このような構成であっても上述の保護カバー210と同様の効果が得られる。
次に、第1の散布装置85及び第2の散布装置101に動力を伝達する散布動力伝達機構111について説明する。図16は散布動力伝達機構111の一例が示された概略側面図である。なお、図16において、後述する第2のワンウェイクラッチ122や保護カバー210は二点鎖線で示されている。散布動力伝達機構111は、上述したように、入力ロッド112と、2つの出力ロッド113,114と、カウンターアーム115などを備え、動力取り出し部200によって植付部20(動力伝達軸50)から取り出された動力を、作業部としての第1の散布装置85及び第2の散布装置101に伝達するように構成されている。
入力ロッド112は、動力取り出し部200に一端が接続される。より詳細には、動力取り出し部200のクランク202の出力軸に、入力ロッド112の一端が連結される。
出力ロッド113の一端は、第1の散布装置85の動力伝達系に連結される。より詳細には、側面視で略三角形状の平板の接続アーム118に接続される。接続アーム118は、左右方向に延びる中間駆動軸97に回動自在に支持されている。中間駆動軸97は、第1の散布装置85の繰出駆動軸90にギアケース96を介して連動連結している。中間駆動軸97には、第1のワンウェイクラッチ119が取り付けられている。第1のワンウェイクラッチ119には、図示せぬねじりコイルばねの弾性力が、図16における左回り(反時計回り)に作用しており、第1のワンウェイクラッチ119から延びる当接アーム120が接続アーム118の縁部に当接している。なお、第1のワンウェイクラッチ119は、図16において、右回り(時計回り)に回動する際に中間駆動軸97と接続状態となり、左回り(反時計回り)に回動する際に中間駆動軸97と切断状態となる。また、接続アーム118は、中間駆動軸97に直交している。
接続アーム118が時計回りに回動する際、第1のワンウェイクラッチ119は、中間駆動軸97と接続状態でねじりコイルばねの弾性力に反して時計回りに回動され、中間駆動軸97が時計回りに回動される。一方、接続アーム118が反時計回りに回動する際、第1のワンウェイクラッチ119は、中間駆動軸97と切断状態でねじりコイルばねの弾性力によって接続アーム118に連れだって反時計回りに回動される。
以上のように、出力ロッド113の一端は、接続アーム118や第1のワンウェイクラッチ119を介して、第1の散布装置85の動力伝達系の一部である中間駆動軸97に連動連結されている。
出力ロッド114の一端は、第2の散布装置101の動力伝達系に連結される。より詳細には、側面視で略三角形状の平板の接続アーム121に接続されている。接続アーム121は、第2の散布装置101の繰出駆動軸105に回動自在に支持されている。繰出駆動軸105には、第2のワンウェイクラッチ122が取り付けられている。第2のワンウェイクラッチ122には、図示せぬねじりコイルばねの弾性力が、図16における右回り(時計回り)に作用しており、第2のワンウェイクラッチ122から延びる当接アーム123が接続アーム121の縁部に当接している。なお、第2のワンウェイクラッチ122は、図16において、右回り(時計回り)に回動する際に繰出駆動軸105と切断状態となり、左回り(反時計回り)に回動する際に繰出駆動軸105と接続状態となる。また、接続アーム121は、繰出駆動軸105に直交している。
接続アーム121が反時計回りに回動する際、第2のワンウェイクラッチ122は、繰出駆動軸105と接続状態でねじりコイルばねの弾性力に反して反時計回りに回動され、繰出駆動軸105が反時計回りに回動される。一方、接続アーム121が時計回りに回動する際、第2のワンウェイクラッチ122は、繰出駆動軸105と切断状態でねじりコイルばねの弾性力によって接続アーム121に連れだって時計回りに回動される。
以上のように、出力ロッド114の一端は、接続アーム121や第2のワンウェイクラッチ122を介して、第2の散布装置101の動力伝達系の一部である繰出駆動軸105に連動連結されている。
平板のカウンターアーム115は、左右方向に延びる揺動軸124を支軸にして前後方向に揺動自在に支持されている。揺動軸124は、後述する平行リンク機構126の連結ブラケットに固定される。カウンターアーム115は、第1の散布装置85の繰出駆動軸90にギアケース96を介して連動連結された中間駆動軸97と、第2の散布装置101の繰出駆動軸105と、揺動軸124とのいずれに対しても直交している。カウンターアーム115には、入力ロッド112の他端、出力ロッド113の他端、及び出力ロッド114の他端が接続されている。
カウンターアーム115は、第1の散布装置85と第2の散布装置101との間に配置されている。そして、入力ロッド112は、動力取り出し部200のクランク202の出力軸から鉛直に延びてカウンターアーム115に接続し、出力ロッド113は、カウンターアーム115から前方へ延びて接続アーム118に接続し、出力ロッド114は、カウンターアーム115から後方へ延びて接続アーム121に接続している。
なお、入力ロッド112の他端は、カウンターアーム115の下端部に接続している。出力ロッド113の他端及び出力ロッド114の他端は、入力ロッド112の他端と揺動軸124とを通る図示せぬ仮想線よりも上方でカウンターアーム115と接続している。
また、出力ロッド114の他端は、出力ロッド113の他端よりも上方でカウンターアーム115と接続する。出力ロッド114の他端が接続するカウンターアーム115の上部は、入力ロッド112の他端と出力ロッド113の他端が接続するカウンターアーム115の下部に対して、右側(図16において紙面に対して奥側)にオフセットされている。出力ロッド113は、中間駆動軸97と直交し、出力ロッド114は、繰出駆動軸105と直交している。そして、カウンターアーム115の上部は、接続アーム121と略同一鉛直面上に位置して左右方向にずれていない。また、カウンターアーム115の下部は、接続アーム118と略同一鉛直面上に位置して左右方向にずれていない。
以上のような構成の散布動力伝達機構111は、動力取り出し部200のクランク202が回転することで、入力ロッド112が上下に移動し、2つの出力ロッド113,114が前後に移動する。そして、接続アーム118や第1のワンウェイクラッチ119を介して出力ロッド113に連動連結される中間駆動軸97は、間欠的に回転し、第1の散布装置85に動力が伝達される。また、接続アーム121や第2のワンウェイクラッチ122を介して出力ロッド114に連動連結される繰出駆動軸105は、間欠的に回転し、第2の散布装置101に動力が伝達される。
より詳細には、入力ロッド112が上方へ移動する際に、カウンターアーム115は反時計周りに前方へ揺動し、出力ロッド113は前方に押され、出力ロッド114は前方に引っ張られる。この時、接続アーム118は反時計回りに回動し、第1のワンウェイクラッチ119は中間駆動軸97と切断状態でねじりコイルばねの弾性力によって接続アーム118に連れだって反時計回りに回動される。一方、接続アーム121が反時計回りに回動する際、第2のワンウェイクラッチ122は繰出駆動軸105と接続状態でねじりコイルばねの弾性力に反して反時計回りに回動され、繰出駆動軸105が反時計周りに回動される。
また、入力ロッド112が下方へ移動する際に、カウンターアーム115は時計周りに後方へ揺動し、出力ロッド113は後方に引っ張られ、出力ロッド114は後方に押される。この時、接続アーム118は時計回りに回動し、第1のワンウェイクラッチ119は中間駆動軸97と接続状態でねじりコイルばねの弾性力に反して時計回りに回動され、中間駆動軸97が時計周りに回動される。一方、接続アーム121は時計回りに回動し、第2のワンウェイクラッチ122は繰出駆動軸105と切断状態でねじりコイルばねの弾性力によって接続アーム121に連れだって時計回りに回動される。
つまり、散布動力伝達機構111は、入力ロッド112が上方へ移動する際には、第2の散布装置101にのみ動力を伝達し、入力ロッド112が下方へ移動する際には、第1の散布装置85にのみ動力を伝達するように構成されている。
ここで、散布動力伝達機構111は、3つのロッドと1つのアームからなる簡易な構成で、植付部20からの1つの入力を第1の散布装置85と第2の散布装置101とへの2つの出力に分配することができ、生産性が良好である。
また、散布動力伝達機構111は、植付部20から第1の散布装置85や第2の散布装置101への動力の断接が容易である。入力ロッド112と2つの出力ロッド113,114の3つのロッドの接続を断接させるだけで良く、例えば、第1の散布装置85への動力を切断するには、出力ロッド113の接続を切断すれば良く、第2の散布装置101への動力を切断するには、出力ロッド114の接続を切断すれば良い。また、第1の散布装置85及び第2の散布装置101への動力を切断するには、入力ロッド112の接続を切断すれば良く、クイックジョイント203によって容易にできる。
また、2つの出力ロッド113,114は、前方と後方とに対称に延びるので、散布動力伝達機構111は、バランスの取れた動力伝達ができ、ガタや振動の低減が図れる。
また、散布動力伝達機構111は、第1の散布装置85または第2の散布装置101の動力伝達系のいずれか一方のみに、つまり択一的に動力を伝達するように構成されるので、散布動力伝達機構111に第1の散布装置85と第2の散布装置101の駆動負荷が同時に加わることを防止でき、耐久性が向上するとともに、第1の散布装置85と第2の散布装置101を良好に駆動させることができる。
また、2つの出力ロッド113,114は、それぞれカウンターアーム115によって前方または後方へ引っ張られる際に、それぞれ第1の散布装置85または第2の散布装置101の動力伝達系に動力を伝達する。したがって、2つの出力ロッド113,114には圧縮力ではなく引張力が作用するので、2つの出力ロッド113,114が変形しにくく、耐久性が向上する。
ここで、第1の散布装置85は散布動力伝達機構111からの動力によって4つの繰出ロール93を駆動させる構成である。一方、第2の散布装置101は散布動力伝達機構111からの動力によって1つの繰出ロール106を駆動させる構成である。したがって、散布動力伝達機構111に加わる負荷は、第2の散布装置101に動力を伝達するよりも第1の散布装置85に動力を伝達する時の方が大きい。なお、入力ロッド112は、第2の散布装置101に動力を伝達する際には、クランク202によって上方へ押され、第1の散布装置85に動力を伝達する際には、クランク202によって下方へ引っ張られる。したがって、入力ロッド112に作用する力は、引張力よりも圧縮力の方が小さいので、入力ロッド112が変形しにくく、耐久性が向上する。
ここで、カウンターアーム115は、入力ロッド112の他端、2つの出力ロッド113,114の他端、及び別の出力ロッドの他端を接続可能な取り付け孔125を有する。そして、カウンターアーム115の揺動支軸である揺動軸124から取り付け孔125までの距離は、カウンターアーム115の揺動支軸である揺動軸124から入力ロッド112の他端や2つの出力ロッド113,114の他端までの距離と異なる。つまり、カウンターアーム115は、揺動軸124から入力ロッド112の他端や2つの出力ロッド113,114の他端までの距離を変更できるように構成されている。したがって、第1の散布装置85や第2の散布装置101に分配する動力を容易に調節することができ、更に他の装置にも動力を分配することも可能であり、使い勝手が良い。
また、入力ロッド112は、長さが短くなるように、その他端がカウンターアーム115の下端部に接続されており、入力ロッド112がしなって変形しにくく、耐久性が向上されている。
ここで、第1の散布装置85の動力伝達系には、接続アーム118の縁部に対する第1のワンウェイクラッチ119から延びる当接アーム120の位置を変更する図示せぬ第1の調量装置なども配設される。同様に、第2の散布装置101の動力伝達系には、接続アーム121の縁部に対する第2のワンウェイクラッチ122から延びる当接アーム123の位置を変更する図示せぬ第2の調量装置なども配置される。第1の調量装置は、接続アーム118の回動量に対する第1のワンウェイクラッチ119の回動量を調節することができるものであり、第1の散布装置85への動力を調節することができる。また、第2の調量装置によって、接続アーム121の回動量に対する第2のワンウェイクラッチ122の回動量を調節することができるものであり、第2の散布装置101への動力を調節することができる。
なお、散布動力伝達機構111は、上述の構成に限定されるものではない。散布動力伝達機構111は、植付部20の動力伝達系に一端が接続される入力ロッド112と、複数の装置の動力伝達系にそれぞれ一端が接続される出力ロッド113,114と、揺動自在に構成されたカウンターアーム115と、を有し、入力ロッド112の他端、及び複数の出力ロッド113,114の他端は、カウンターアーム115に接続される構成であれば良い。例えば、散布動力伝達機構111は、3つの動力伝達系に動力を分配する構成であっても構わない。また、カウンターアーム115は、上部が下部に対して左右方向にオフセットしない構成であっても良い。また、カウンターアーム115は、揺動軸124に揺動自在に支持される筒状部材の外周から径方向へ複数のアームが延び、それぞれのアームに入力ロッド112や出力ロッド113,114の他端が接続される構成であっても良い。なお、入力ロッド112や出力ロッド113,114の他端との接続部は、同一平面上に位置することが好ましく、揺動する際のねじれが生じにくくなる。また、カウンターアーム115は、複数の取り付け孔125を有しても良く、取り付け孔125がない構成であっても構わない。また、上述の散布動力伝達機構111は、第1のワンウェイクラッチ119や第2のワンウェイクラッチ122を用いて間欠的に動力を伝達する構成であるが、クランクなどを用いて連続的に動力を伝達する構成であっても良い。
次に、植付部20の後部に、作業部としての第1の散布装置85と第2の散布装置101を連結させる平行リンク機構126について説明する。図17は、平行リンク機構126の一例が示された概略平面図であり、図18は、支持フレーム133の支持部134の一例が示された概略側面図であり、図19は、締上げロック140の一例が示された概略側面図である。なお、図17において、苗載台21、第1の散布装置85、及び第2の散布装置101は二点鎖線で示され、植付装置22や後述する防泥カバー138などの記載は省略されている。
平行リンク機構126は、上下方向に延びる軸を支軸とする平行リンク機構であり、左右方向に延びる円筒状のオープンフレーム127と、左右方向に延びる四角筒状の台座フレーム128と、四角筒状の長さが等しい2つのリンクアーム129a,129bなどを有する。オープンフレーム127には、2つのリンクアーム129a,129bの一端であって、第1の散布装置85及び第2の散布装置101の側の端が、上下方向に延びる軸を支軸として回動可能に連結される。台座フレーム128には、2つのリンクアーム129a,129bの他端であって、植付部20の側の端が、上下方向に延びる軸を支軸として回動可能に連結される。
オープンフレーム127には、左右方向に延びる四角筒状のフロントフレーム130、及び左右方向に延びる四角筒状のリアフレーム131が、前後方向に延びる平板状の3つの連結フレーム132a,132b,132cを介して連結される。
そして、苗の植付作業時などを含む走行時には、オープンフレーム127が植付部20に係止される。より詳細には、オープンフレーム127は、植付伝動ケース28に固定される支持フレーム133などに係止される。4つの植付伝動ケース28a,28b,28c,28dには、それぞれ上面から上方に延びる支持フレーム133a,133b,133c,133dが固定されている。左側に位置する2つの支持フレーム133a,133bは、図18、図19に示されるように、側面視で後方に傾いた略L字状に上端部の後部が切り欠かれた支持部134をそれぞれ有する。支持部134の下方側の後部には、硬質樹脂製のローラ135が左右方向を軸に回転自在に取り付けられている。
右側に位置する2つの支持フレーム133c,133dの上部には、四角筒状の台座フレーム128が架け渡されるように固定されている。台座フレーム128の右端部は後方へ突出するとともに、その後端部に、支持フレーム133a,133bが有する支持部134と同様の支持部134を有する。台座フレーム128の右端部に形成された支持部134の下方側の後部には、他の支持部134と同様に、硬質樹脂製のローラ135が左右方向を軸に回転自在に取り付けられている。また、台座フレーム128の右端部には、上方へ突出する規制突起170が形成される。規制突起170は、リンクアーム129が回動された際に、リンクアーム129と当接してその回動量を規制するものである。
円筒状のオープンフレーム127は、3つの支持部134に載置されるようにして支持される。この際、円筒状のオープンフレーム127は、支持部134の2箇所、及びローラ135に当接する。最も左側に位置する支持フレーム133aには、オープンフレーム127から上方へ突設される係合フランジ136と係合してオープンフレーム127を支持フレーム133aに係止させる係止ロック137を有する。係止ロック137は、図示せぬばねの弾性力によってオープンフレーム127を支持フレーム133aの支持部134に係止させることができ、いわゆるパッチン錠である。係止ロック137は、台座フレーム128の右端部にも配設されている。
なお、係止ロック137は、オープンフレーム127を支持フレーム133aの支持部134に係止させることができれば良く、その構成、配置、数などは限定されるものではない。例えば、係止ロック137は、ばねの弾性力を用いることなく、単にフックなどによってオープンフレーム127を支持部134に係止させる構成であっても構わない。
オープンフレーム127は、植付装置22の上方を覆う防泥カバー138(図10参照)と、後方に向かって突出する平面視で略門型状の把持部139と、オープンフレーム127を支持フレーム133bに係止させる締上げロック140と、リンクアーム129が連結される2つの連結ブラケット141a,141bと、2つの遮蔽カバー142,142などを有する。また、オープンフレーム127には、植付伝動ケース28の内部に配設された条止めクラッチ52を操作する図示せぬ条止め装置なども取り付けられる。
防泥カバー138は、植付装置22が作動する際の上方への泥はねを遮るもので、図10に示されるように、植付装置22の上方に配置され、ブラケット143を介してオープンフレーム127に支持される。なお、防泥カバー138の構成や配置は特に限定されるものではなく、例えば防泥カバー138は、支持フレーム133に固定されても良い。しかしながら、植付装置22のメンテナンス性の観点から、第1の散布装置85及び第2の散布装置101の側である、オープンフレーム127などに取り付けられることが好ましい。
把持部139は、オープンフレーム127を前後に動かす際に作業者によって把持されるものであり、オープンフレーム127の左右方向の中央の左側寄りであって、連結ブラケット141aの近傍に配設されている。なお、把持部139の構成や配置は特に限定されるものではない。例えばオープンフレーム127に連結されるフロントフレーム130やリアフレーム131に配設されても良い。しかしながら、強度や操作性の観点から、オープンフレーム127に配設されることが好ましく、リンクアーム129の一端が連結される連結ブラケット141の近傍が好ましい。
締上げロック140は、前後方向、及び上下方向の力によってオープンフレーム127を支持フレーム133bにがたつくことなく強固に係止させるものである。締上げロック140は、支持フレーム133bの近傍のオープンフレーム127に配設されている。締上げロック140は、オープンフレーム127を径方向に貫通する円柱状の貫通軸144と、貫通軸144の一端に連結される棒状のハンドル145と、貫通軸144の他端に取り付けられる板状の付勢板146と、オープンフレーム127に取り付けられるガイド板147と、オープンフレーム127に固定される当接部148などから構成される。そして、締上げロック140は、支持フレーム133bに固定される受け部149と係合してオープンフレーム127を支持フレーム133bに係止させる。
円柱状の貫通軸144は、オープンフレーム127を、側面視で水平面に対して略45度傾いた径方向に貫通する貫通孔に挿通され、オープンフレーム127に対して回動可能に支持されている。そして、円柱状の貫通軸144は、側面視で、前方へ向かって下方へ略45度傾いた状態である。貫通軸144の後端部は、オープンフレーム127よりも上方に位置し、ハンドル145が連結される。
ハンドル145は、一端部に作業者によって把持されるグリップ150を有する。ハンドル145の他端部は、貫通軸144の後端部を挟持するように左右方向(図19において紙面に対して手前側と奥側)に二股に分岐している。そして、ハンドル145の他端部は、左右方向(貫通軸144の径方向)に延びるハンドル軸151を支軸として、貫通軸144の後端部に回動可能に連結されている。
ここで、側面視において、ハンドル145の他端部の前方側の縁部は、ハンドル軸151を通って貫通軸144と平行に延びる仮想線L1との交点Pから一端部の側(グリップ150の側)に向かって直線状に延びる当接面152と、交点Pから一端部の側と反対側に向かって円弧状に延びるコーナー面153と、ハンドル145の他端であってコーナー面153と接続する先端面154とを有する。なお、当接面152は、ハンドル軸151及び先端面154と直交している。また、ハンドル軸151とコーナー面153との距離d3、及びハンドル軸151と先端面154との距離d4は、ハンドル軸151と当接面152との距離d5よりも小である。
貫通軸144の他端部には、図示せぬねじ部が形成されるとともに、一部が切り欠かれている。付勢板146は、ばね鋼から形成され、左右方向(図19において紙面に対して手前側と奥側)に延びる長方形状の板ばねである。付勢板146は、一部が切り欠かれた貫通軸144の他端部の断面形状に対応する図示せぬ貫通孔を左側端部に有する。付勢板146は、貫通孔に貫通軸144の他端部が挿通され、2つのナットによって挟持されて貫通軸144に取り付けられる。なお、付勢板146の貫通孔は、一部が切り欠かれた貫通軸144の他端部の断面形状に対応しており、付勢板146の貫通軸144に対する回動が規制されている。
板状部材が折り曲げられて形成されたガイド板147は、オープンフレーム127に取り付けられている。ガイド板147は、貫通軸144が挿通される図示せぬ貫通孔を有する。ガイド板147は、この貫通孔が形成されるとともに、ハンドル145の当接面152と密着する平坦なガイド部155を有する。ガイド部155は、オープンフレーム127とハンドル145との間に介在されている。
側面視で略L字状に板状部材が折り曲げられて形成された当接部148は、鉛直方向に延びる鉛直当接部156と、水平方向に延びる水平当接部157とを有する。当接部148は、オープンフレーム127に固定されている。当接部148の鉛直当接部156は、オープンフレーム127の前側に位置し、水平当接部157は、オープンフレーム127の下側に位置している。なお、当接部148は、貫通軸144の右側(図19において紙面に対して奥側)の近傍に位置している。
側面視で後方に傾いた略U字状に板状部材が折り曲げられて形成された受け部149は、支持フレーム133bの左側の側部に固定されている。受け部149は、鉛直方向に延びて当接部148の鉛直当接部156が後方から密着する鉛直受け部158と、水平方向に延びて当接部148の水平当接部157が上方から密着する水平受け部159と、貫通軸144と直交する方向に延びて付勢板146の右側端部が下方側から当接するばね受け部160を有する。なお、付勢板146はたわんだ状態で右側端部がばね受け部160と当接している。
以上のような構成の締上げロック140は、付勢板146の弾性力によってオープンフレーム127を支持フレーム133bに係止させることができる。付勢板146は、たわんだ状態で右側端部がばね受け部160と当接しているので、付勢板146が取り付けられている貫通軸144、ハンドル145、ガイド板147、及びオープンフレーム127には、付勢板146の弾性力が作用する。付勢板146の弾性力の向きは、貫通軸144の軸方向であって、ハンドル145が連結された一端の側から付勢板146が取り付けられた他端の側に向かう方向である。ここで、貫通軸144は、水平面に対して略45度傾いているので、付勢板146の弾性力は、前後方向と上下方向とに略均等に分配される。また、付勢板146は板ばねであり、大きな弾性力を生じさせることができる。なお、締上げロック140は、付勢板146を挟持する2つのナットによって貫通軸144に対する付勢板146の位置を変更することで、付勢板146の弾性力を調節することができるように構成されている。
つまり、オープンフレーム127に固定された当接部148の鉛直方向に延びる鉛直当接部156と、水平方向に延びる水平当接部157は、それぞれ略等しい力で、支持フレーム133bに固定された受け部149の鉛直方向に延びる鉛直受け部158と、水平方向に延びる水平受け部159に押し付けられて密着する。そして、前後方向のがたつきは、鉛直方向に延びる鉛直当接部156と鉛直受け部158との密着によって防止される。また、上下方向のがたつきは、水平方向に延びる水平当接部157と水平受け部159との密着によって防止される。したがって、締上げロック140は、前後方向、及び上下方向の力によってオープンフレーム127を支持フレーム133bにがたつくことなく強固に係止させることができる。
なお、ハンドル軸151を支軸としてハンドル145を後方(図19において時計回り)に回動させることで、締上げロック140によるオープンフレーム127の係止が解除される。図示による説明は省略するが、ハンドル軸151を支軸としてハンドル145を時計回りに90度回転させ、ガイド板147のガイド部155とハンドル145の他端部の縁部の先端面154とを対向させる。ハンドル軸151と先端面154との距離d4は、ハンドル軸151と当接面152との距離d5よりも小であるので、ガイド板147のガイド部155とハンドル145の先端面154との間に隙間が生じる。貫通軸144は、この隙間の幅だけ付勢板146が取り付けられた他端の側へ移動して付勢板146のたわみが無くなり、弾性力が無くなる。
次に、貫通軸144を支軸としてハンドル145を左側(図19において手前側)または右側(図19において奥側)に回動させる。この際、ハンドル145とともに、貫通軸144、及び付勢板146も回動し、付勢板146が受け部149のばね受け部160から取り除かれて、締上げロック140によるオープンフレーム127の係止が解除される。
なお、締上げロック140の構成は、前後方向、及び上下方向の力によってオープンフレーム127を係止させる構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。例えば、当接部148の鉛直当接部156と受け部149の鉛直受け部158との間と、当接部148の水平当接部157と受け部149の水平受け部159との間に緩衝部材としてのゴムシートなどが介在される構成であっても良い。このような構成にすることで、オープンフレーム127のがたつきを更に低減することができる。
以上のように、オープンフレーム127は、支持フレーム133aと支持フレーム133bと台座フレーム128にそれぞれ形成された支持部134に載置されるようにして支持され、支持フレーム133aと台座フレーム128の右端部にそれぞれ設けられた係止ロック137と、締上げロック140とによって、植付部20に係止されている。
連結ブラケット141aは、左右方向の中央の左側寄りであり、支持フレーム133bの近傍のオープンフレーム127に配設されている。一方、連結ブラケット141bは、左右方向の中央の右側寄りであり、支持フレーム133cの近傍のオープンフレーム127に配設されている。連結ブラケット141a,141bには、それぞれリンクアーム129a,129bの一端が上下方向に延びる連結軸161a,161を支軸にして回動可能に連結されている。連結ブラケット141a,141bは、オープンフレーム127を挟み込むようにオープンフレーム127の上部と下部に固定された平面視で略5角形状の2つの板状部材から構成される。そして、連結ブラケット141a,141bは、リンクアーム129a,129bの一端を挟み込むようにして回動可能に支持している。また、台座フレーム128の上面には、リンクアーム129a,129bの他端が上下方向に延びる連結軸162a,162bを支軸にして回動可能に連結されている。2つの連結軸161a,161b間の距離と、2つの連結軸162a,162b間の距離は等しく、2つのリンクアーム129a,129bは、平面視で平行に配置されている。
なお、支持フレーム133bの近傍に位置する連結ブラケット141aには、上述の散布動力伝達機構111のカウンターアーム115を前後方向に揺動自在に支持する揺動軸124が固定されている。したがって、散布動力伝達機構111によって第1の散布装置85や第2の散布装置101に動力が伝達されている際には、連結ブラケット141aに周期的な負荷が加わるため、オープンフレーム127が振動しやすい。ここで、連結ブラケット141aの近傍、つまり、振動発生源である揺動軸124の近傍は、締上げロック140によって、オープンフレーム127が支持フレーム133bに強固に係止されている。したがって、散布動力伝達機構111の動作に起因したオープンフレーム127の振動を抑制することができる。
また、連結ブラケット141aには、図20に示すように、リンクアーム129aの回動量を規制するリンク回動ロック163が配設されている。ここで、図20は、リンク回動ロック163の一例が示された概略平面図であり、図20Aはリンクアーム129aの回動が規制される前の状態であり、図20Bはリンクアーム129aの回動が規制された後の状態である。なお、図20には、主にリンク回動ロック163が記載されており、揺動軸124や連結フレーム132cなどの記載は省略されており、遮蔽カバー142は二点鎖線で記載されている。
リンク回動ロック163は、連結ブラケット141aに形成された円形の貫通孔である保持孔164に挿通される係止ピン165と、係止ピン165をリンクアーム129aに付勢させる図示せぬばねなどから構成される。係止ピン165は、円柱部材が略直角に折り曲げて形成され、その一端が保持孔164に挿通されている。リンクアーム129aの端部には、平板状のロックフランジ166が固定されている。係止ピン165は、ばねによって保持孔164に挿通された一端がロックフランジ166の上面に当接するように付勢されている。ロックフランジ166は、円形の貫通孔である係止孔167を有する。係止孔167の直径は、係止ピン165の直径より大である。そして、係止孔167は、リンクアーム129aが平面視でオープンフレーム127と直交するまで連結軸161aを支軸にして回動した際に、中心が保持孔164の中心と一致するように配置されている。
以上のような構成のリンク回動ロック163は、リンクアーム129aが平面視でオープンフレーム127と直交するまで連結軸16aを支軸にして回動した際に、係止ピン165が係止孔167に挿入され、リンクアーム129aの回動が規制される。係止孔167の位置は、リンクアーム129aを規制する回動量に応じて適宜設定される。なお、リンク回動ロック163は、リンクアーム129aの回動量を規制する構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。例えば、ロックフランジ166が複数の係止孔167を有する構成であっても良い。このような構成にすることで、複数段でリンクアーム129aの回動を規制することができ、使い勝手が良い。
オープンフレーム127の連結ブラケット141a,141bの近傍には、それぞれオープンフレーム127とリンクアーム129との隙間を上方から覆う遮蔽カバー142,142が取り付けられている。この遮蔽カバー142によって、オープンフレーム127とリンクアーム129の連結部付近の露出が防止され、作業者が不用意に触れないように構成されている。
フロントフレーム130は、オープンフレーム127と平行であり、オープンフレーム127の前方かつ上方に配置されている。フロントフレーム130の上面には、第1の散布装置85の4つの散布ユニット86に対応する4つの取り付けフランジ168が形成されている(図11参照)。そして、取り付けフランジ168に散布ユニット86がそれぞれ着脱自在に取り付けられる。また、フロントフレーム130の上面には、第1の散布装置85の2つのギアケース96も取り付けられる。したがって、第1の散布装置85は、フロントフレーム130に支持されている。なお、フロントフレーム130は、第1の散布装置85を支持する構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
リアフレーム131は、オープンフレーム127と平行であり、オープンフレーム127の後方に配置されている。リアフレーム131の上面には、後方へ延びる複数の取り付け板169が固定されている。そして、この取り付け板169に、第2の散布装置101が取り付けられる。より詳細には、取り付け板169に、第2の散布装置101の散布カバー104が取り付けられる(図10参照)。したがって、第2の散布装置101は、リアフレーム131に支持されている。なお、リアフレーム131は、第2の散布装置101を支持する構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
2つの連結フレーム132a,132bは、オープンフレーム127から前方かつ上方、及び後方に延び、先端はフロントフレーム130に固定され、後端はリアフレーム131に固定される。連結フレーム132aは、平面視で支持フレーム133a,133bの間に位置し、連結フレーム132bは、平面視で支持フレーム133c,133dの間に位置している。連結フレーム132cは、オープンフレーム127から後方に延び、後端はリアフレーム131に固定される。連結フレーム132cは、平面視で、連結ブラケット141aの近傍に位置している。そして、オープンフレーム127とフロントフレーム130とリアフレーム131は、3つの連結フレーム132a,132b,132cによって連結されている。したがって、第1の散布装置85及び第2の散布装置101は、植付部20の後部であって、植付フレーム26の植付伝動ケース28に固定された支持フレーム133に、平行リンク機構126を介して一体に取り付けられている。
なお、連結フレーム132は、オープンフレーム127とフロントフレーム130とリアフレーム131を連結させることができれば良く、その構成、配置、数などは限定されるものではない。例えば、連結フレーム132cは、平面視で支持フレーム133b,133cの間に配置され、連結フレーム132a,132bと同様に、オープンフレーム127から前方かつ上方、及び後方に延び、先端はフロントフレーム130に固定され、後端はリアフレーム131に固定される構成であっても構わない。また、連結フレーム132a,132bは、フロントフレーム130に連結する側とリアフレーム131に連結する側とが別の部材によって形成される構成であっても構わない。
以上のような構成の平行リンク機構126は、図21、図22に示されるように、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を植付部20から後方へ水平に移動させることができる。ここで、図21は、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を後方へ移動させた状態の一例が示された概略平面図であり、図22は、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を後方へ移動させた状態の一例が示された概略側面図である。なお、図21において、苗載台21、第1の散布装置85、及び第2の散布装置101、遮蔽カバー142は二点鎖線で示され、植付装置22や防泥カバー138などの記載は省略されている。また、図22において、植付装置22は二点鎖線で示されている。
第1の散布装置85及び第2の散布装置101を植付部20から後方へ移動させるには、まず、植付部20から第1の散布装置85及び第2の散布装置101への動力伝達系を切断させる。保護カバー210を下方に揺動させて開き、散布出力軸201、クイックジョイント203、クランク202、及び入力ロッド112の一端部などを露出させる。クイックジョイント203によって、散布出力軸201の入力ロッド112の側を動力伝達軸50の側から切り離す。
次に、支持フレーム133aに設けられた係止ロック137、台座フレーム128の右端部に設けられた係止ロック137、及び締上げロック140によるオープンフレーム127の係止を解除する。そして、把持部139を把持して、オープンフレーム127を後方へ引っ張ることにより、オープンフレーム127は、支持フレーム133aと支持フレーム133bと台座フレーム128にそれぞれ形成された支持部134から引き抜かれて、後方へ移動する。この際、オープンフレーム127に連結や支持された装置など、例えば、第1の散布装置85、第2の散布装置101、散布動力伝達機構111、防泥カバー138などもオープンフレーム127とともに後方へ移動される。
そして、リンク回動ロック163の係止ピン165が係止孔167に挿入され、リンクアーム129aの回動が規制されることで、オープンフレーム127の移動が停止される。なお、リンクアーム129bは、台座フレーム128の右端部に形成された規制突起170と当接する。
以上のようにして、平行リンク機構126を介して植付部20に取り付けられるオープンフレーム127を後方へ移動させることができる。つまり、第1の散布装置85及び第2の散布装置101は、植付部20から後方へ離間させることができ、植付部20の後部、特に苗載台21や植付装置22へのアクセス性が向上される。したがって、植付部20の後部のメンテナンス、例えば苗載台21に残った苗マット98の除去や上方への引き上げ、苗載台21のメンテナンス、苗載台21の折り畳み作業、及び植付装置22のメンテナンスなどを容易に行うことができる。
また、オープンフレーム127は水平に移動するため、作業者は、オープンフレーム127を下方から支持したり、持ち上げたりしながらオープンフレーム127を移動させる必要がなく、簡単かつ少ない労力で第1の散布装置85及び第2の散布装置101を移動させることができ、作業者への負担が少ない。
また、オープンフレーム127は、植付部20に対して上下方向に延びる軸周りに回動することがなく、植付部20と平行な状態を保って移動されるので、第1の散布装置85及び第2の散布装置101は、植付部20から後方へ離間させるスペース以上に後方へ移動することがない。したがって、後方に大きなスペースを必要とすることなく、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を植付部20から後方へ離間させることができ、例えば倉庫の中などのスペースが制限される状況下であっても、植付部20の後部のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、平行リンク機構126は、第1の散布装置85や第2の散布装置101を支持するオープンフレーム127を2つのリンクアーム129a,129bによって植付部20に取り付けられる台座フレーム128に連結する構成である。したがって、平行リンク機構126は、第1の散布装置85や第2の散布装置101などの重量が1カ所に集中することがなく、耐久性が良好である。
また、平行リンク機構126は、植付部20の右側の後部に設けられている。より詳細には、2つのリンクアーム129a,129bの植付部20の側の端は、右側に位置する植付伝動ケース28c,28dに支持フレーム133c,133dを介して取り付けられる台座フレーム128に回動可能に連結されている。つまり、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を植付部20から後方へ離間させた際に、2つのリンクアーム129a,129bは植付部20の右側に位置する。したがって、植付部20の後部のメンテナンスを行う際に、平行リンク機構126(リンクアーム129a,129b)が邪魔になりにくく、メンテナンスを容易に行える。例えば、平行リンク機構126(リンクアーム129a,129b)を避けて左右に移動することなく植付部20の後部のメンテナンスが行える。
また、植付装置22の上方を覆う防泥カバー138はブラケット143を介してオープンフレーム127に支持されるので、オープンフレーム127とともに植付部20から後方へ離間される。したがって、植付装置22の上方が解放されるので、植付装置22のメンテナンスが容易に行える。
また、平行リンク機構126は、リンク回動ロック163によって、リンクアーム129aの回動量が規制される。したがって、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を所望の位置に停止させておくことができ、使い勝手が良い。また、規制突起170によってリンクアーム129bが過剰に回動されるのを確実に防止することができ、平行リンク機構126や平行リンク機構126に取り付けられる第1の散布装置85及び第2の散布装置101などの破損を防止することができる。
また、動力取り出し部200、及び入力ロッド112の一端部を覆う保護カバー210は、樹脂製であり、その下部がギアボックス55に上下方向に揺動可能に取り付けられているので、散布出力軸201の未分離による入力ロッド112の破損を防止することができる。詳細には、作業者がクイックジョイント203によって、散布出力軸201の入力ロッド112の側を動力伝達軸50の側から切り離すことなく、オープンフレーム127を後方へ移動させた場合、入力ロッド112は保護カバー210の後壁213の上部に当接する。しかしながら、保護カバー210は樹脂製であるので、入力ロッド112の破損が防止される。また、入力ロッド112が保護カバー210の後壁213の上部に当接することで、閉塞板116の係合部116bの貫通孔と保護カバー210の係止突起214との嵌合が外れ、保護カバー210が下方へ揺動して動力取り出し部200が露出される。この動力取り出し部200の露出によって、作業者へ注意喚起をすることができ、オープンフレーム127の更なる移動による入力ロッド112の破損を防止することができる。
なお、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を後方移動前の使用状態の位置に戻すには、上述の後方への移動時と逆の手順によって行う。リンク回動ロック163の係止ピン165を係止孔167から引き抜き、オープンフレーム127を前方へ押し込む。そして、オープンフレーム127を、支持フレーム133aと支持フレーム133bと台座フレーム128にそれぞれ形成された支持部134に嵌め込む。なお、オープンフレーム127は、自重や第1の散布装置85及び第2の散布装置101など重量によって多少下方にたわむので、オープンフレーム127を持ち上げるようにして支持部134に嵌め込む必要がある。ここで、それぞれの支持部134の下方側の後部には、回転自在に支持されたローラ135が取り付けられている。したがって、オープンフレーム127をこのローラ135上を移動させて支持部134に嵌め込むことができ、作業者の負担が軽減される。
次に、支持フレーム133aに設けられた係止ロック137、台座フレーム128の右端部に設けられた係止ロック137、及び締上げロック140によってオープンフレーム127を係止する。クイックジョイント203によって、散布出力軸201の入力ロッド112の側と動力伝達軸50の側とを接続させ、保護カバー210を上方へ揺動させて閉じる。
なお、平行リンク機構126は、上述の構成に限定されるものではない。平行リンク機構126は、上下方向に延びる軸を支軸とする平行リンク機構であり、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を、植付部20の後部に前後方向に移動可能に取り付ける構成であれば良い。例えば、平行リンク機構126は、3つのリンクアーム129を備える平行リンク機構であっても良く、リンクアーム129a,129b間を繋ぐ補強アームを備える構成であっても良い。
また、平行リンク機構126の植付部20の側の端部は、植付フレーム26に取り付けられていれば良く、例えばメインフレーム27に支持フレーム133が固定される構成であっても良い。しかしながら、生産性などの観点から、支持フレーム133は植付伝動ケース28に固定される構成が好ましく、簡易な構成で平行リンク機構126を配置できる。
また、平行リンク機構126は、植付部20の後部の中央や左側に設けられても構わない。例えば、上述の平行リンク機構126の左右対称の構成であっても良く、同様の効果が得られる。なお、植付部20の左右方向のいずれか一方の後部に平行リンク機構126を設けることが好ましい。植付部20の後部のメンテナンスを行う際に平行リンク機構126(リンクアーム129a,129b)が邪魔になりにくく、メンテナンスを容易に行える。また、苗載台21の左右方向のいずれか一方が折り畳み可能に構成される場合には、折り畳む単位苗載台25とは反対の側に平行リンク機構126を設けることが好ましい。このような構成にすることで、苗載台21の折り畳み作業を容易に行える。
また、平行リンク機構126は、2つのリンクアーム129a,129bが一体に伸縮するように構成されても良い。このような構成にすることで、第1の散布装置85及び第2の散布装置101を植付部20から後方へ離間させた際の第1の散布装置85及び第2の散布装置101の左右方向への移動量を低減することができ、更に狭いスペースであっても植付部20の後部のメンテナンスを容易に行える。
なお、平行リンク機構126における各部材や各種装置の配置は、左右方向の外方側に位置する連結軸162bを基準とすることが好ましい。連結軸162bを基準とすることで、植え付け条数が異なる植付部、例えば8条植えタイプと6条植えタイプの植付部において、共用可能な部品点数が増加してコストの低減が図れる。
以上のように、本実施形態では、植付部20と、植付部20の後部に取り付けられる作業部としての第1の散布装置85及び第2の散布装置101と、植付部20から動力を取り出す動力取り出し部200と、動力取り出し部200から第1の散布装置85及び第2の散布装置101に動力を伝達する散布動力伝達機構111と、を備える田植機1において、動力取り出し部200は、植付装置22を支持する植付伝動ケース28bの後端に突設され、動力取り出し部200の下方を覆う緩衝部材としてのバンパー204を備えるので、植付伝動ケース28bの後端に突設される動力取り出し部200を簡易な構成で保護し、耐久性に優れる田植機1を提供することができる。
なお、本実施形態における作業部は、植付部20の後部に取り付けられるものであれば良く、上述の第1の散布装置85及び第2の散布装置101に限定されるものではない。作業部は、例えば第1の散布装置85または第2の散布装置101のいずれか一方であっても構わない。また、第1の散布装置85及び第2の散布装置101の植付部20への取り付け構成は、上述の平行リンク機構126に限定されるものではなく、例えば第1の散布装置85と第2の散布装置101がそれぞれ別々に植付部20に取り付けられても良く、植付部20に固設される構成であっても構わない。また、第1の散布装置85及び第2の散布装置101に動力を伝達する散布動力伝達機構111は、上述の構成に限定されるものではなく、回転するシャフト等を用いて動力を伝達する構成であっても構わない。
本発明の田植機は、植付部の後部に取り付けられる作業部を備えるあらゆる田植機に適用することができる。
1 田植機
2 走行機体
20 植付部
22 植付装置
28 植付伝動ケース
85 第1の散布装置(作業部)
101 第2の散布装置(作業部)
111 散布動力伝達機構(動力伝達機構)
200 動力取り出し部
201 散布出力軸
202 クランク
203 クイックジョイント
204,304 バンパー(緩衝部材)
205,305 フランジ
206 保護部
206a 底板
206b 側板
210 保護カバー
211 下壁
212 側壁
213 後壁
305a 薄肉部(脆弱部)
t1 フランジの板厚
t2 底板の板厚

Claims (8)

  1. 植付部と、
    前記植付部の後部に取り付けられる作業部と、
    前記植付部から動力を取り出す動力取り出し部と、
    前記動力取り出し部から前記作業部に動力を伝達する動力伝達機構と、
    を備える田植機において、
    前記動力取り出し部は、植付装置を支持する植付伝動ケースの後端に突設され、
    前記動力取り出し部の下方を覆う緩衝部材を備え
    前記緩衝部材は、前記動力取り出し部の下方を覆う保護部を有し、
    該保護部は、底板を有し、
    該底板は、後端部が円弧状に切り欠かれた後切り欠き部を有し、
    前記保護部が折れ曲がった際、前記底板は前記動力取り出し部と当接しないことを特徴とする、田植機。
  2. 前記緩衝部材は、後方に向かって上方へ傾斜することを特徴とする、
    請求項1に記載の田植機。
  3. 前記動力取り出し部を覆う保護カバーを備えることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の田植機。
  4. 前記保護カバーは、下壁、左右の側壁、及び後壁を有し、
    前記緩衝部材は、前記保護カバーの下壁の内面に沿って延びることを特徴とする、
    請求項3に記載の田植機。
  5. 前記保護カバーは、前記動力取り出し部が覆われた閉じた状態と前記動力取り出し部が露出された開いた状態との間で揺動可能であることを特徴とする、
    請求項3または4に記載の田植機。
  6. 前記緩衝部材は、折れ曲がりに対する強度が弱められた平板状のフランジを有し、
    前記保護部は、前記フランジから後方へ向けて突設され、
    前記フランジは、前記植付伝動ケースの後端に着脱可能に取り付けられることを特徴とする、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の田植機。
  7. 前記底板は後方へ向けて延び、
    前記保護部は、前記底板の左右の縁部から上方へ向けて延びる側板を有し、
    前記フランジの前記植付伝動ケースへの取り付け部は、前記保護部との接合部の上方に位置し、
    前記フランジの板厚は、前記底板の板厚より小であることを特徴とする、
    請求項6に記載の田植機。
  8. 前記フランジは、折れ曲がりの基点となる脆弱部を有し、
    前記脆弱部は、前記保護部との接合部の上方、かつ前記植付伝動ケースへの取り付け部の下方に位置することを特徴とする、
    請求項6または7に記載の田植機。
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