JP6730712B1 - 離型フィルム - Google Patents

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【課題】フレキシブル回路基板の製造工程に用いた場合に基板を汚染しない離型フィルムを提供する。【解決手段】4−メチル−1−ペンテン系重合体と金属不活性化剤とを含有する離型層を有し、前記離型層は、X線光電子分光法により測定した表面の窒素濃度が1.5%以下である離型フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等のフレキシブル回路基板の製造工程において離型フィルムが使用されている。例えば、フレキシブルプリント基板の製造工程においては、熱硬化型接着剤又は熱硬化型接着シートを用いて、銅回路を形成したフレキシブルプリント基板本体にカバーレイフィルムが熱プレス接着される。このとき、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着するのを防止するために離型フィルムが広く使用されている。
例えば、特許文献1には、第一離型層、中間層及び第二離型層をこの順で積層してなり、該第一離型層及び第二離型層が4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる離型フィルムが開示されている。
特開2015−189151号公報
4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有するフィルムは、ステンレス製のプレス熱板や、ポリイミドフィルムからなるカバーレイフィルム等に対する離型性に優れ、かつ、170℃前後の熱プレス工程での耐熱性も良好であることが知られている。
しかしながら、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有するフィルムを、フレキシブル回路基板の製造工程における離型フィルムとして用いた場合、得られた基板上にめっき処理を施そうとしても、充分にめっきが乗らず、めっき不良が発生することがあるという問題があった。これは、何らかの原因により基板の表面が汚染されているためと考えられた。また、このような汚染がある場合、薬液による洗浄等が必要となるため、製品製造上の環境負荷を増大させてしまう。
本発明は、上記現状に鑑み、フレキシブル回路基板の製造工程に用いた場合に基板を汚染しない離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、4−メチル−1−ペンテン系重合体と金属不活性化剤とを含有する離型層を有し、前記離型層は、X線光電子分光法により測定した表面の窒素濃度が1.5%以下である離型フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の発明者らは、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有するフィルムを、フレキシブル回路基板の製造工程における離型フィルムとして用いた場合に汚染が発生する原因を検討した。その結果、4−メチル−1−ペンテン系重合体の分解により低分子量成分が生成し、離型フィルムを使用した際に上記低分子量成分が基板の表面に転写されることが汚染の原因となっていることを見出した。そして更に鋭意検討の結果、金属不活性化剤を併用すること、及び、金属不活性化剤を充分に分散させることにより低分子量成分の生成及び汚染の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の離型フィルムは、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する離型層を有する。
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体としては、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体のほか、4−メチル−1−ペンテンと4−メチル−1−ペンテン以外の単量体との共重合体を用いることができる。
上記4−メチル−1−ペンテン以外の単量体としては特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等の炭素数が20以下のα−オレフィン等が挙げられる。
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体が共重合体である場合、より高い離型性や耐熱性を発揮するという観点から、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の含有量は80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体は、例えば、三井化学社製の商品名TPX(登録商標)等の市販品を用いることができる。
上記離型層は、金属不活性化剤を含有する。
オレフィン系重合体は、光、熱、金属と酸素が共存することによりラジカル反応が進行し、低分子量成分が生成することが知られている。下記式(1)に、オレフィン系重合体が分解して低分子量成分を生成する一連の反応の反応式を示した。
式(1)中、Rは、アルキル鎖を表す。
Figure 0006730712
上記式(1)の特に最初の反応、即ちRHからR・が生成する開裂反応aは、金属によって触媒される。オレフィン系重合体を含有する離型フィルム中には、オレフィン系重合体を合成する際に用いたTi、Zr、Hf、Al等の金属触媒が残渣として存在する。このような離型フィルムが熱プレス時に加熱されることにより、上記開裂反応aが進み、低分子量成分を生成する反応が進んでしまうものと考えられる。オレフィン系重合体のなかでも、特にC−H結合を多く含む4−メチル−1−ペンテン系重合体は、低分子量成分を発生しやすいと考えられる。
本発明では、4−メチル−1−ペンテン系重合体に金属不活性化剤を併用することにより、該金属不活性化剤が金属触媒を捕捉し、上記開裂反応aを抑制して、一連の低分子量成分を生成する反応の進行を抑えて、基板の汚染を防止できるものと考えられる。
上記金属不活性化剤は、金属元素に対して配位することにより金属触媒を捕捉、不活化させることができる化合物を意味する。より具体的には、例えば、分子内にヒドラジド構造又はアミド構造を有する化合物が挙げられる。上記分子内にヒドラジド構造又はアミド構造を有する化合物は、該ヒドラジド構造又はアミド構造を介して金属元素に対して配位することにより金属触媒を捕捉、不活化させることができる。
上記分子内にヒドラジド構造を有する金属不活性化剤としては、具体的には例えば、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン,2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等が挙げられる。
上記分子内にヒドラジド構造を有する金属不活性化剤は、例えば、アデカスタブCDA−10(ADEKA社製)、アデカスタブZS−27(ADEKA社製)、アデカスタブZS−90(ADEKA社製)、アデカスタブZS−91(ADEKA社製)、IRGANOX MD1024(BASF社製)等の市販品を用いることができる。
上記分子内にアミド構造を有する金属不活性化剤としては、具体的には例えば、ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンゾアミド、ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンゾアミド、N’1,N’12−ビス(2−ヒドロキシベンゾル)ドデカンジヒドラジン、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン等が挙げられる。
上記分子内にアミド構造を有する金属不活性化剤は、例えば、アデカスタブCDA−1(ADEKA社製)、アデカスタブCDA−1M(ADEKA社製)、アデカスタブCDA−6(ADEKA社製)、セクリスAK−24M(三洋化成工業社製)、DMD(デュポン社製)等の市販品を用いることができる。
上記金属不活性化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体中に比較的容易に分散させることができることから、分子量が500以下である金属不活性化剤が好適である。
また、同時に酸化防止性を付与できることから、分子内にヒンダードフェノール構造を有する金属不活性化剤も好ましい。
上記離型層中における上記金属不活性化剤の含有量は特に限定されないが、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましい。上記金属不活性化剤の含有量が0.1重量部よりも少ないと、オレフィン系重合体の分解(低分子量成分を生成する反応の進行)を充分に抑制できないことがある。上記金属不活性化剤の含有量は、0.3重量部以上であることがより好ましい。
上記離型層中における上記金属不活性化剤の含有量の上限は特に限定されないが、離型性や耐熱性の観点から、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して1.0重量部以下であることが好ましく、0.7重量部以下であることがより好ましい。
上記離型層は、X線光電子分光法により測定した表面の窒素濃度が1.5%以下である。
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体と上記金属不活性化剤とは一般に相溶性が低く、単に4−メチル−1−ペンテン系重合体に金属不活性化剤を配合しても、金属不活性剤が4−メチル−1−ペンテン系重合体中に分散せず、低分子量成分を生成する反応の進行を抑える効果が充分には発揮されないことがある。また、上記金属不活性化剤が表面に多量に存在すると、離型フィルムを使用した際に金属不活性化剤自体が基板の表面に転写され、汚染の原因となることがある。本発明者らは、後述する上記離型層の製造方法を実施することにより、金属不活性剤を4−メチル−1−ペンテン系重合体中に充分に分散させることができ、更に汚染性を抑制できることを見出した。このように金属不活性剤が4−メチル−1−ペンテン系重合体中に充分に分散した離型層では、金属不活性剤が離型層の表面に偏って析出することがない。
4−メチル−1−ペンテン系重合体中における金属不活性化剤の分散状態は、金属不活性剤に含まれる特定の原子に着目して、離型層の表面の濃度を測定することで評価することができる。離型層の表面における特定の原子の濃度は、X線光電子分光法によって測定することができる。例えば、金属不活性化剤として、分子内にヒドラジド構造又はアミド構造を有する化合物を用いている場合は、上記特定の原子として窒素原子に着目して評価することができる。即ち、X線光電子分光法により測定した離型層の表面の窒素濃度が1.5%以下であるときには、金属不活性化剤が4−メチル−1−ペンテン系重合体中に充分に分散している。上記表面の窒素濃度は、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.7%以下である。
離型フィルム表面の窒素濃度は、X線光電子分光機(アルバック・ファイ社製、Versa ProbeII)を用い、単色化Al Kα線のX線光源、検出角45度、STEP幅1eVの条件でワイドスキャンを行うことで測定できる。本測定では、表面から約5nmの領域の窒素濃度を測定することができる。表面窒素濃度は、下記計算式を用いて求めることができる。
表面窒素濃度(%)=(IN/SN)/(IC/SC)×100
(IN:窒素の光電子強度、IC:炭素の光電子強度、SC:炭素の相対感度係数、SN:窒素の相対感度係数)
なお、各元素の光電子強度は、ワイドスキャンで測定された光電子強度をそれぞれ下記の範囲で積分して得られる値である。
1s:280−300eV、N1s:390−410eV
また、本明細書における窒素濃度は、SC=0.314、SN=0.499として算出する。
上記離型層は、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で、更に、酸化防止剤を含有してもよい。
例えば、フェノール系酸化防止剤は、上記式(1)の2番目の反応、即ち、RHから生成したR・が酸素と反応してROO・が生じ、該ROO・がRHと反応してR・が生成する、いわゆるラジカル連鎖反応bにおいて、ラジカルを捕捉することができる。これにより、一連の低分子量成分を生成する反応の進行を抑えることができることから、よりいっそう基板の汚染を防止できる。この際、フェノール系酸化防止剤として、融点が160℃以上であるフェノール系酸化防止剤を選択して用いることにより、フェノール系酸化防止剤自体が揮発すること起因する基板の汚染を防止することができる。
また、例えば、リン系酸化防止剤や硫黄系酸化防止剤は、上記式(1)の一連の反応で生じた過酸化物を分解することにより、よりいっそう基板の汚染を防止することができる。
上記離型層は、更に、繊維、無機充填剤、安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
上記離型層は、離型性を向上させる目的で、離型処理が施されていてもよい。上記離型処理の方法は特に限定されず、例えば、上記離型層にシリコーン系、フッ素系等の離型剤を塗布又は散布する方法、熱処理を行う方法等の公知の方法を用いることができる。これらの離型処理は単独で用いてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記離型層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は75μmである。上記離型層の厚みがこの範囲内であると、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程に用いたときに、強度と、フレキシブル回路基板の凹凸への追従性等のバランスをとることができる。上記離型層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は30μmである。
上記離型層を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体に上記金属不活性化剤、及び、必要に応じて添加する添加剤を加えて混練した後、押出成形する方法等が挙げられる。
しかしながら、上述のように金属不活性化剤を4−メチル−1−ペンテン系重合体中に充分に分散させるためには、例えば、(1)4−メチル−1−ペンテン系重合体と金属不活性化剤とを加熱混練してマスターバッジを製造し、該マスターバッチを押出成形に供する方法を採用することが好ましい。また、(2)押出成形の際に、同方向回転型二軸押出機(ダブルフライト)を用いて混錬性を向上させる方法を採用することが好ましい。更に、(3)押出成形時の温度、混練時間、押出量、線速等を調整することにより混練性を向上させる方法を採用することが好ましい。特に、押出成型の初期段階(Tダイ出口付近)では温度を高くし、一定時間経過後は降温させつつ、成型終了までの時間を長くすることが好ましい。より具体的には、シリンダー全長に対して、入り口側から20〜40%の位置における設定温度を約330〜360℃に設定することが好ましい。従来は、高温環境下ではオレフィン系重合体の分解が進んでしまうため、4−メチル−1−ペンテン系重合体を押出成型する場合に、分解が始まるとされる300℃以上に加熱することは通常行われていなかった。一方、上述のように成型の初期段階はあえて300℃以上に昇温して、その後300℃以下に降温させることで、分子の運動性を増大させることができる。また、線速は小さくすることが好ましい。押出成型にかける時間を長くすることで、金属不活性化剤が分散する時間を確保することができる。このような温度と線速の調整により、金属不活性化剤の拡散を促進することができる。
上記(1)〜(3)の少なくともいずれか1つの方法を採用するか、好ましくは2つ以上の方法、さらに好ましくは3つ以上の方法を組み合わせて採用することにより、金属不活性化剤を4−メチル−1−ペンテン系重合体中に充分に分散させることができる。
本発明の離型フィルムは、上記離型層のみからなる単層構造であってもよいし、上記離型層と基材層とからなる2層構造であってもよい。また、上記離型層、中間層(クッション層)、離型層がこの順に積層された3層構造であってもよく、更に他の層を有する多層構造であってもよい。
上記基材層や中間層としては、離型フィルムの技術分野において従来公知のものを用いることができる。
本発明の離型フィルムの用途は特に限定されないが、フレキシブル回路基板の製造に特に適する。具体的には例えば、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等のフレキシブル回路基板の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して基板に銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際の離型フィルムとして好適に用いることができる。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、銅回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化型接着シートによってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際の、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着するのを防止するために離型フィルムとして好適に用いることができる。更に、金型を用いて半導体チップを樹脂で封止して成型品を得る半導体モールド工程において、金型内面を被覆して樹脂による金型の汚染を防ぐための離型フィルムとして好適に用いることができる。
本発明によれば、フレキシブル回路基板の製造工程に用いた場合に基板を汚染しない離型フィルムを提供することができる。また、このような離型フィルムを使用することで、めっき不良の発生防止や、洗浄工程の削減を実現でき、省資源や環境負荷低減に寄与することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対して、金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−1(分子量204)0.1重量部を加え、V型ブレンダー等を用いて混合した後二軸押出機により溶融混錬及び切断加工をすることで、0.2g/50粒のペレタイズされたマスターバッチを調製した。得られたマスターバッチを、同方向回転型二軸押出機(プラスチック工学研究所社製、SBTN−92(スクリュー径92mm、L/D30))を用いてTダイ幅400mmにて押出成形して、厚み30μmの離型フィルムを得た。なお、押出時の条件として、シリンダーの全長を5等分して入り口側から順にC1、C2、C3、C4、C5の5つのエリアに区切り、各エリアの設定温度をC1:300℃、C2:350℃、C3〜C5:290℃とした。また、押出量25kg/hr、線速35m/minとした。
(実施例2)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)1.0重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(実施例3)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−1(分子量204)0.7重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(実施例4)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)0.3重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(実施例5)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)0.5重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(比較例1)
4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部を一軸押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出成形して、厚み30μmの離型フィルムを得た。押出条件は、シリンダー温度260〜300℃、バレル温度C1:300℃、C2:300℃、C3〜C5:290℃、押出量50kg/hr、線速70m/minとした。
(比較例2)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−1(分子量204)1.1重量部を用いた以外は比較例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(比較例3)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−1(分子量204)1.5重量部を用いた以外は比較例1と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(比較例4)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)0.5重量部を用い、押出条件を、シリンダー温度260〜300℃、バレル温度C1:300℃、C2:300℃、C3〜C5:290℃、押出量50kg/hr、線速70m/minとした以外は実施例2、4と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(比較例5)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)0.5重量部を用い、一軸押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))によって製膜した以外は実施例2、4と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(比較例6)
金属不活性化剤としてアデカスタブCDA−10(分子量553)0.5重量部を用い、V型ブレンダー等にて混合のみ行った原料を用いた以外は実施例2、4と同様にして、厚み30μmの離型フィルムを得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた離型フィルムについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)離型フィルム表面の窒素濃度の測定
X線光電子分光機(アルバック・ファイ社製、Versa ProbeII)を用い、単色化Al Kα線のX線光源、検出角45度、STEP幅1eVの条件でワイドスキャン測定を行った。表面窒素濃度は、下記計算式を用いて求めた。
表面窒素濃度(%)=(IN/SN)/(IC/SC)×100
(IN:窒素の光電子強度、IC:炭素の光電子強度、SC:炭素の相対感度係数、SN:窒素の相対感度係数)
なお、各元素の光電子強度は、ワイドスキャンで測定された光電子強度をそれぞれ下記の範囲で積分して得られる値である。
1s:280−300eV、N1s:390−410eV
なお、SC=0.314、SN=0.499として求めた。
(2)非汚染性の評価
得られた離型フィルムをA4に切り出し、同じ大きさの銅箔で挟んで積層体を得た。得られた積層体を、180℃、5MPa、60分間の条件で熱プレスした。熱プレスはn=5で行った。
その後、積層体から合計10枚の銅箔を剥離して回収し、各々の離型フィルムに接していた側の面をクロロホルムで洗浄して抽出液を得た。得られた抽出液を全て合わせ、クロロホルムを留去した後、残存量を秤量して、離型フィルムから移行した汚染成分量とした。単位面積当たりの汚染成分量を算出して、以下の基準により評価した。
◎:汚染成分量が50mg/m以下
○:汚染成分量が50mg/mを超えて、100mg/m以下
△:汚染成分量が100mg/mを超えて、500mg/m以下
×:汚染成分量が500mg/mを超える
Figure 0006730712
本発明によれば、フレキシブル回路基板の製造工程に用いた場合に基板を汚染しない離型フィルムを提供することができる。

Claims (2)

  1. 4−メチル−1−ペンテン系重合体と金属不活性化剤とを含有する離型層を有し、前記離型層は、X線光電子分光法により測定した表面の窒素濃度が1.5%以下であり、前記離型層中における4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対する金属不活性化剤の含有量が0.1重量部以上であり、前記金属不活性化剤は、分子内にヒドラジド構造又はアミド構造を有する化合物であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 離型層中における4−メチル−1−ペンテン系重合体100重量部に対する金属不活性化剤の含有量が1.0重量部以下であることを特徴とする請求項記載の離型フィルム。
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