JP6729895B2 - 脂質吸収抑制用剤 - Google Patents

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本発明は、リボ核酸(RNA)成分を有効成分として含む脂質吸収抑制用剤、該脂質吸収抑制用剤を含んでなる飲食品に関する。本発明の脂質吸収抑制用剤は、膵リパーゼ阻害活性を有しており、体内での脂質の吸収を効果的かつ安全に抑制することができる。
膵臓から分泌される膵リパーゼは、食事によって摂取された中性脂肪を、脂肪酸とグリセリンに分解する消化酵素である。これら膵リパーゼの分解物は、小腸から吸収された後、再合成され、リン脂質、コレステロール及びタンパク質とカイロミクロンを形成し、リンパ管に分泌され、胸管を通って大動脈中に移行する。脂肪が過剰の場合には再合成された脂肪類が体内に蓄積されてしまう。そこで、膵リパーゼの作用を阻害することによって、脂肪の消化と腸管からの吸収を阻害又は抑制して、血中脂質を低下させることにより、肥満の予防・改善が期待される。
このため、膵リパーゼの阻害活性を有する成分が着目され研究されている。膵リパーゼ阻害活性を有する医療用医薬品としてオルリスタット(Orlistat)(国内未承認)、セチリスタット(cetilistat)等が知られている。これら医薬品は、消化管内のリパーゼを阻害し、脂質の分解を阻害して腸管からの脂質の吸収を抑制することにより、抗肥満効果を奏するとされている。しかしながら、これら医薬品には、脂肪便や下痢等の副作用が懸念されている(非特許文献1及び2)。それ故、副作用がなく、安全に日常的な摂取が可能で、確実なリパーゼ阻害効果を奏する新たな素材が求められている。
一方、リボ核酸(RNA)は、旨味成分、機能性食品や医薬品の成分として使用され、その工業的規模での製造方法についても諸種の提案がなされている(例えば特許文献1〜6)。しかしながら、リボ核酸(RNA)が、リパーゼ阻害作用を有し、脂質吸収抑制用剤としての効果が期待されることについて、本発明者らの知る限り、報告はなされていない。
特開2007−23024号公報 特開2007−291062号公報 国際公開第2013/054525号 特公昭45−33657号公報 特公昭52−18200号公報 特開2016−214104号公報
肥満研究 Vol.7 No.3 112〜114 2001 日本内科学会雑誌 104:735〜741,2015
肥満の予防や改善には、前記のとおり、膵リパーゼ阻害作用を有する素材を、日常的かつ継続的に摂取することが必要であると考えられる。したがって、本発明の課題は、確実な膵リパーゼ阻害作用を有し、連用しても副作用のおそれの殆どない、効果的で安全性の高い、脂質吸収抑制用剤、それを含む飲食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、長期間服用しても安全であるリボ核酸(RNA)成分が膵リパーゼを効果的に抑制(阻害)する作用(膵リパーゼ阻害作用)があることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)リボ核酸(RNA)成分を有効成分として含む脂質吸収抑制用剤。
(2)リボ核酸(RNA)成分の分子量が700,000〜330の範囲内である(1)に記載の脂質吸収抑制用剤。
(3)リボ核酸(RNA)成分が食用酵母由来である(1)又は(2)に記載の脂質吸収抑制用剤。
(4)(1)〜(3)の何れかに記載の脂質吸収抑制用剤を含んでなる飲食品。
また本発明の実施の他の形態として、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)の予防又は改善(治療)を必要とする対象者に、RNA成分を投与する工程を備えた、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)を予防又は改善(治療)する方法や、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)の予防又は改善(治療)剤として使用するためのRNA成分や、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)の予防又は改善(治療)における使用のためのRNA成分や、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)の予防又は改善(治療)剤を製造するためのRNA成分の使用を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、RNA成分を有効成分として含むリパーゼ阻害剤を挙げることができる。
本発明によれば、膵リパーゼ阻害作用に基づく脂質吸収の抑制作用を有し、肥満の予防や改善を、副作用を伴うことなく効率的に実施できる。本発明に用いられるリボ核酸(RNA)成分は、安全性には全く問題がなく飲食品又は医薬品の形態に自由に調製することができるため、健常者はもとより、老齢者、病弱者、病後の人等も長期間に亘って摂取することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
本発明において、リボ核酸成分(以下「RNA成分」ということがある。)とは、2又は3以上のリボヌクレオチドがホスホジエステル結合でつながった核酸を意味する。ここで、リボヌクレオチドとは、リボース、リン酸、核酸塩基からなり、RNAの構成単位となる基礎的なブロック(単量体)を意味する。また、核酸塩基は、基本的にはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)を有する。
本発明の脂肪吸収抑制用剤は、RNA成分を有効成分して含むものである。本発明において用いられるRNA成分は後述する実施例において具体的に示すとおり、膵リパーゼを確実に抑制(阻害)することができる。したがって、本発明のRNA成分を摂取することにより、脂肪の消化と腸管からの吸収を阻害又は抑制して、血中脂質の低下、かつ肥満の予防又は改善が期待される。
本発明において、RNA成分の分子量は特に限定されず、後述する一般的な微生物から抽出されたRNA成分の分子量範囲が好ましい。具体的には、分子量の上限は特に限定されず、例えば約700,000程度以下、約669,000程度以下、約290,000程度以下、約142,000程度以下であってもよい。また下限も特に限定されず、通常、約330程度(リボヌクレオチド単量体の平均分子量)以上であればよく、好ましくは約1,350以上、より好ましくは約12,400以上である。
RNA成分の分子量のピークは特に限定されず、通常約700,000〜約330の範囲内、好ましくは約669,000〜約330の範囲内、より好ましくは約290,000〜約1,350の範囲内、さらに好ましくは約142,000〜約12,400の範囲内である。本明細書において、「RNA成分の分子量のピーク」とは、RNA成分の占める割合が高い(山を形成している)分子量の領域(範囲)を意味する。上述の範囲内の分子量のピークは、単一でもよく、複数存在してもよい。
なお、本発明において、RNA成分の分子量は、ゲルろ過HPLC法で測定したときの値である。RNA成分の分子量の目安(分子量測定用コントロール)として、例えば、分子量2,000,000のブルーデキストラン(Blue dextran)2000、分子量669,000のサイログロブリン(Thyroglobulin)、分子量290,000のグルタメートデヒドロゲナーゼ(Glutamate dehydrogenase)、分子量142,000のラクテートデヒドロゲナーゼ(Lactate dehydorogenase)、分子量12,400のチトクローム(Cytochrome)C、分子量1,350のビタミン(Vitamine)B12、分子量363のグアノシンモノフォスフェート(Guanosine monophosphate)を使用することができる。
本発明の脂質吸収抑制用剤としては、少なくともRNA成分を含有するものであれば特に制限されず、RNA成分を含む素材、例えば、RNA成分の原材料となる微生物等に由来する成分を含む(未単離及び/又は未精製の)素材であってもよい。本発明において、かかる素材をRNA素材ということがある。RNA素材又は本発明の脂質吸収抑制用剤中のRNA成分の含有量(純度)は、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。RNA素材中のRNA成分以外の成分としては、例えば、微生物に由来する核酸塩基(A、G、C、U、チミン[T])、かかる核酸塩基等の塩基と糖が結合したヌクレオシド(例えば、リボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド)、デオキシリボ核酸(DNA)、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等、微生物やpH調整剤等に由来するミネラル等が挙げられる。RNA素材(本発明の脂質吸収抑制用剤)中のRNA成分の含有量は、例えば、HPLC法で質量を基準値として測定することができる。
本発明において、RNA素材の由来は特に限定されないが、食品等に利用可能な一般的な微生物、例えば食用酵母から抽出されたものが好ましい。食用酵母としては、例えば、トルラ酵母、乳酵母、ビール酵母、パン酵母等が挙げられる。
酵母の培養や培養液からのRNA成分又はRNA素材の抽出方法についても、特に限定されず公知の方法に従えばよい。例えば、培養液を遠心分離して菌体を濃縮した後、塩酸等による酸性条件下での加熱処理等により細胞壁を破壊する。その後、上清を除き、沈殿物に水を加えて濃縮スラリーを調製し、アルカリで中和させた後、塩化ナトリウム等の塩を加えて加熱処理する。得られた加熱処理物を遠心分離に供し、上清を回収することによりRNA成分又はRNA素材を抽出することができる。
得られたRNA成分又はRNA素材を、必要に応じて、精製し、また酵素処理により所望の分子量に加水分解した後に乾燥することにより、RNA成分又はRNA素材を得ることができる。
RNAを処理する酵素としては、例えばヌクレアーゼが挙げられる。ここで、ヌクレアーゼは、リボ核酸の3',5'−ホスホジエステル結合を加水分解し、低分子量化したリボ核酸(5'−リボヌクレオチドの連結体)を生成する。該ヌクレアーゼの性質について特に制限はないが、ある程度の熱安定性を備えることが好ましい。このようなヌクレアーゼは、例えば天野エンザイム株式会社、シグマ社等から市販品として入手可能である。また、ヌクレアーゼによる加水分解は、それ自体既知の通常用いられる条件で行えばよい。
かかるRNA素材は市販されており、これを購入して用いてもよく、必要に応じて、さらに市販品を精製したり、加水分解したりした後に用いてもよい。
化学的に安定した中性脂肪の形をした脂肪が体内に入ると、中性脂肪は十二指腸で胆汁により乳化され、次に膵リパーゼの働きでモノグリセライドと脂肪酸、グリセロール等に分解され、水に溶けやすいグリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収され、親水性の低いモノグリセライドと脂肪酸は腸内で胆汁酸の働きによりミセルを形成し、腸管から吸収される。したがって、本発明において、RNA成分は、前記のとおり膵リパーゼ阻害作用を有するので、脂質吸収抑制効果を有すると考えられる。
ここで、膵リパーゼの阻害作用とは、ヒトを含む哺乳動物の膵液に含まれる膵リパーゼの脂肪分解活性を阻害し得る作用を意味する。一般的に、リパーゼは、動植物から微生物に至るまで広く分布しており、生体内の組織や器官に局在して、油脂の分解反応における触媒としての役割を果たしている。しかしながら、各生物体を構成する組織や器官の生理機能は極めて多様であることから分かるように、それら組織や器官における脂質の分子構造や存在状態も多様である。このため、リパーゼという同じカテゴリーに属していても、基質に対する作用性や酵素的性質においては一様ではない。したがって、膵リパーゼも多くのリパーゼ群の中の特定の一態様ということができる。本発明においては、膵リパーゼに対して、有効成分であるRNA成分が効果的な阻害を示すことに基づいている。
また、脂質吸収抑制作用とは、食事等により摂取された脂肪の体内への吸収を抑制し得る作用のことをいい、これによって、肥満症の予防又は改善や、メタボリックシンドロームの予防又は改善が可能となる。
前記したように、膵リパーゼが阻害されると、摂取した脂肪の消化と腸管からの吸収を阻害又は抑制され、その結果、血中脂肪が低下する。すなわち、膵リパーゼ阻害が行われることによって、体内における脂質吸収が抑制され、体内の脂質低下作用が奏される。したがって、本発明によるRNA成分が、膵リパーゼ阻害作用を有していることから、本発明による有効成分が、肥満症の予防又は改善の他、メタボリックシンドロームの予防又は改善に有効であると推察される。
よって、本発明によるRNA成分は、膵リパーゼの阻害等に基づく脂質吸収抑制により予防又は改善(治療)しうる疾患若しくは状態(症状)の予防若しくは改善(治療)に用いることができる。ここで、かかる予防又は改善しうる疾患若しくは状態(症状)としては、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)であれば特に制限されず、例えば、肥満症、インスリン抵抗性、食後高血糖、高血圧、高脂血症、脂肪肝、糖尿病、脳血管障害、虚血性心疾患、メタボリックシンドローム等が挙げられる。好ましくは、前記疾患若しくは状態は、肥満症、又は高脂血症である。
なお、本明細書において、疾患若しくは状態の「予防又は改善」とは、疾患若しくは状態の、調節、進行の遅延、緩和、発症予防、再発予防、抑制等を包含する意味で使用される。
本発明におけるRNA成分は、通常、易水溶性であり、飲食品及び医薬品に通常添加され得る成分との混和性に優れている。また、食品中に含まれる成分であるため安全性に優れている。したがって、このRNA成分を有効成分とする脂質吸収抑制用剤は、日常の食生活に適宜取り入れて無理なく安心して摂取することができる。
本発明の脂質吸収抑制用剤は、「膵リパーゼ阻害等に基づく、脂質吸収を抑制するために用いる」という用途が限定された、脂質吸収抑制の有効成分としてRNA成分を含有する剤であり、単独でも飲食品や医薬品(製剤)として使用することができる。また、飲食品や医薬品等の種々の組成物に、脂質吸収抑制の有効成分として含有させることができる。これにより、脂質吸収抑制用の飲食品組成物又は医薬品組成物を得ることができる。得られた脂質吸収抑制用の飲食品組成物又は医薬品組成物は、上述の脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患若しくは状態(症状)、例えば、肥満症やメタボリックシンドロームの予防又は改善(治療)に有効に用いることができる。
本発明において、脂質吸収抑制用剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末、固体成形物等、経口摂取可能な形態であればよく特に限定されない。具体的には、例えば、粉末剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤の他、飲料、食品等の通常の食品や医薬品で用いられる形態を挙げることができる。また、製剤の形態としては、摂取量を調節しやすい粉末剤やカプセル剤、錠剤、顆粒剤、ドリンク等を好適に例示することができる。
本発明において、RNA成分は、そのまま用いてもよく、従来から知られている通常の方法で所望の製剤を製造して用いてもよい。例えば、製剤の製造上許可される諸種の添加剤と混合し、組成物として成型することができる。添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲において添加されるものであればよく、例えば、生薬、ビタミン、ミネラル等の他に、賦形剤、界面活性剤、被膜剤、油脂類、ワックス類、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤、酸味料などが挙げられる。
上記賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン、セルロース、マルチトール、デキストリン等を挙げることができる。上記界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。上記被膜剤としては、例えば、ゼラチン、プルラン、シェラック、ツェイン等を挙げることができる。上記油脂類としては、例えば、小麦胚芽油、米胚芽油、サフラワー油等を挙げることができる。上記ワックス類としては、例えば、ミツロウ、米糠ロウ、カルナウバロウ等を挙げることができる。上記甘味料としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ステビア、サッカリン、スクラロース等を挙げることができる。上記酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等を挙げることができる。
上記生薬としては、例えば、高麗人参、アメリカ人参、田七人参、霊芝、プロポリス、アガリクス、ブルーベリー、イチョウ葉及びその抽出物等を挙げることができる。上記ビタミンとしては、例えば、ビタミンD、K等の油溶性ビタミン、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン等の水溶性ビタミンを挙げることができる。
また、本発明によれば、RNA成分を有効成分とする脂質吸収抑制用剤を含んでなる飲食品又は医薬品が提供される。ここで「含んでなる」とは、所望する製品形態に応じた生理学的に許容されうる担体を含んでいてもよく、また併用可能な他の補助成分を含有する場合も意味する。
本発明の脂質吸収抑制用剤としては、RNA成分以外の、脂質吸収抑制の有効成分を含むものであってもよいが、RNA成分単独でも優れた脂質吸収抑制効果を発揮するため、RNA成分以外の、脂質吸収抑制の有効成分を含まないものが好ましい。かかる脂質吸収抑制の有効成分には、特開2006−182722号公報に開示されているキラヤ抽出物;特開2007−161645号公報に開示されているグミ科ヒッポファエ(Hippophae)属植物に属する植物の抽出物;オルリスタット(orlistat);セチリスタット(Cetilistat)等のリパーゼ活性を阻害するRNA以外の成分の他、リパーゼ(好ましくは、膵リパーゼ)遺伝子のmRNAを標的とするRNA(miRNA[microRNA]、siRNA[small interfering RNA]等)などのリパーゼタンパク質の発現を阻害する成分も含まれる。
本発明において、飲食品とは、医薬品以外のものであって、前記のとおり経口摂取可能な形態であればよく特に限定されない。具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品等の即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、アルコール飲料等の飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレーやシチューの素類等の調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品;卵加工品、魚肉ハムやソーセージ、水産練り製品等の水産加工品;畜肉ハムやソーセージ等の畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品;冷凍食品などが挙げられる。
また飲食品には、健康食品(例えば、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメント等)、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)、特別用途食品(例えば、病者用食品、乳幼児用調整粉乳、妊産婦又は授乳婦用粉乳等)などの他、脂質吸収の増加やリパーゼに起因する疾患又は状態(症状)のリスク低減、予防又は改善の表示を付した飲食品のような分類のものも包含される。
本発明の別の態様によれば、前記脂質吸収抑制用剤を含んでなる飲食品であって、膵リパーゼ阻害に基づく脂質吸収の抑制により予防又は改善しうる疾患若しくは状態の予防、又は改善する機能が表示された飲食品が提供されうる。
本発明において、医薬品とは、製剤化のために許容されうる添加剤を併用して、常法に従い、経口製剤又は非経口製剤として調製したものである。経口製剤の場合には、前記のとおり、経口摂取可能な形態であれば特に限定されない。また、非経口製剤の場合には、注射剤や座剤の形態をとることができる。簡易性の点からは、経口製剤であることが好ましい。製剤化のために許容されうる添加剤としては、前記と同様のものが挙げられる。
本発明において、脂質吸収抑制用剤中の有効成分の含有量は、製剤の種類、形態や、予防又は改善の目的などにより一律に規定は難しいが、例えば、通常、成人(体重60kg)1日あたり、RNA成分として、100〜1,000mg、好ましくは200〜500mg程度である。必要な1日あたりの有効成分の摂取量を摂取できるように、1日あたりの摂取量を考慮し、製剤中の含有量を適宜設定すればよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実施例1]膵リパーゼ阻害活性
(1)被験物質
被験物質として、市販のRNA素材[珍奥集団(ZHEN-GROUP CO., LTD.)製のリボ核酸](サンプルA)、それをヌクレアーゼ処理により加水分解にしたもの(サンプルB、サンプルC)を用いて膵リパーゼ阻害試験を行った。サンプルA、B、及びCの分子量範囲は、それぞれ、670,000〜330、290,000〜330、及び100,000〜330であり、サンプルA、B、及びCのRNA成分の含有量は、それぞれ、75質量%、66質量%、及び64質量%である。なお、被験物質(サンプルA、B、C)の物性(分子量範囲及び含有量)は、前述したゲルろ過HPLC法、HPLC法により測定した値である。なお、上記したRNA素材(サンプルA)は、食用酵母の細胞壁を破壊し、破壊物からRNAを抽出・精製した後に乾燥することにより調製されたものである。
(2)試験方法
トリオレインミセル溶液100μL(トリオレイン、レシチン、タウロコール酸を緩衝液に懸濁して超音波によりミセル化した溶液)と各被験物質(サンプルA、B、C)溶液50μLを1.5mLマイクロチューブ内で混合し、37 ℃で5分間のプレインキュベートを行った。その後ブタ膵臓リパーゼ酵素溶液50μLを加え、37℃で30分間反応させた後、反応停止液(医薬品ゼニカル10μg/mL)50μLを加えて反応を停止した。それに1M塩酸20μLとヘキサン600μLを加え、上下振盪を1分間、その後1分間静置する作業を3回繰り返し、脂肪酸をヘキサン層に抽出した。ヘキサン層300μLを取り出し、遠心エバポレーターを用いてヘキサンを除去し、残った乾固物をDMSO100μLに溶解した。この溶液をラボアッセイNEFA(和光純薬工業株式会社)を用いて発色させ、550nmの吸光度(数1中の「A550 sample」)を測定した。
リパーゼ阻害率(Inhibitory activity(%))は以下の式を用いて算出した。
Figure 0006729895
なお、ポジティブコントロールには反応停止液を50%DMSO水溶液により100倍に希釈したものを用いた。コントロール(数1中の「A550 Control」)には50%DMSO水溶液を用いた。コントロールのブランク(数1中の「A550 control blank」)と各サンプルのブランク(数1中の「A550 sample blank」)には、ブタ膵臓リパーゼ酵素溶液を加える前に反応停止液を加えたものを使用した。
(3)試験結果
各被験物質のリパーゼ阻害率を表1に示す。表1中、阻害率(%)は4例の平均値である。
Figure 0006729895
表1から明らかなとおり、RNA成分の分子量による差は余りなく、各サンプルにおいて、膵リパーゼの強い阻害作用が認められた。濃度200μg/mLと500μg/mLで一部の結果が逆転しているが70%以上の阻害は上限に近く変化に乏しいため同等とみなし得るものである。
RNAによるリパーゼ阻害機構は現在のところ不明だが、今回の試験系におけるリパーゼの阻害機構は、大きく二つに分けられる。
(1)リパーゼの直接的な阻害
(2)基質であるトリオレインミセルに対する影響(リパーゼの基質はトリグリセリドであるが、一般に脂質の類は水への溶解性が非常に悪い。そのため、胆汁酸ミセルを形成することでトリグリセリドを溶液中に分散(溶解)させ、リパーゼがトリグリセリドを捉えて加水分解できるようになる。)
まず、(2)についてであるが、基質ミセルに対する影響としてはミセルを破壊してしまう場合と、ミセルの性質を変化させてしまう場合が考えられる。しかしながらミセルが破壊された場合、試験溶液の「濁り」が消失することが分かっており、今回はこれについては確認されていないためミセル破壊ではないと推定できる。またミセルの性質を変化させてしまう場合はRNAが胆汁酸ミセル内に入り込む必要があるが、負電荷を帯びたRNAは胆汁酸と反発すると考えられるため、これには該当しないと推定できる。
したがって、(1)リパーゼの直接的な阻害が候補として考えられる。こちらの場合にも、酵素の特定部位に結合して阻害する形式と、ポリフェノールのように無差別に結合する形式が考えられる。分子量による差が余りないことから、どちらかというと無差別な結合が候補として推定される。

Claims (4)

  1. リボ核酸(RNA)成分を含有する食用酵母の抽出物を有効成分として含む膵リパーゼ阻害用剤であって、前記抽出物中のリボ核酸(RNA)成分の含有量が50質量%以上であり、前記リボ核酸(RNA)成分の分子量のピークが700,000〜330の範囲内であることを特徴とする、前記膵リパーゼ阻害用剤。
  2. リボ核酸(RNA)成分が、加水分解により低分子量化されたものである、請求項1に記載の膵リパーゼ阻害用剤。
  3. リボ核酸(RNA)成分を含有する食用酵母の抽出物を有効成分として含む膵リパーゼ阻害用飲食品であって、前記抽出物中のリボ核酸(RNA)成分の含有量が50質量%以上であり、前記リボ核酸(RNA)成分の分子量のピークが700,000〜330の範囲内であることを特徴とする、前記膵リパーゼ阻害用飲食品
  4. リボ核酸(RNA)成分が、加水分解により低分子量化されたものである、請求項3に記載の膵リパーゼ阻害用飲食品。
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