JP6728839B2 - プレス成形品の製造方法およびスパッタリングターゲット材 - Google Patents

プレス成形品の製造方法およびスパッタリングターゲット材 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形品の製造方法およびスパッタリングターゲット材に関し、さらに詳しくは、粉末材料に対してプレス成形を行う方法、およびそのような方法によって製造されるスパッタリングターゲット材に関する。
粉末材料を所定の形状の固体物として成形する方法として、プレス成形が用いられる場合がある。粉末材料に対してプレス成形を行う粉末プレス成形機が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1においては、ダイスと、ダイスキャビティ内を進退する上・下型とを有する粉末成形機において、キャビティのコーナー部への粉末充填を促進し、成形体の角部の強度向上を図る観点から、ダイス内に振動源を設けることが記載されている。
粉末材料のプレス成形によって製造されるプレス成形品の一例として、プラズマアークスパッタリング(アークイオンプレーティング)等に用いられるスパッタリングターゲット材が挙げられる。この種のターゲット材の例として、特許文献2に、ターゲット本体部の周辺に成膜装置への取り付け用の鍔部が一体的にはり出し形成され、かつターゲット本体部よりも鍔部にかけて密度が高くなったものが開示されている。このような鍔部を設けることで、アークイオンプレーティングの印加圧力によってターゲットの鍔部が破損するのを防止することが図られている。鍔部の密度を高くするために、型内周辺に逃がしフランジ部を設けた成形型を用いて型鍛造を行い、圧粉成形体の外周方向への塑性流動の促進を図っている。
特開平6−220504号公報 特開2006−161101号公報
特許文献1に記載されるように、振動を利用してキャビティ内に均一に粉末材料を充填すれば、成形品全体において、材料の相対密度を高くし、強度の向上を図ることができる。また、特許文献2に記載されるように、型の形状を工夫することで、特定の部位への塑性流動を促進し、その部位の相対密度を高めることができる。しかし、それらのように、粉末材料の充填を促進するだけでは成形品の強度を十分に向上させられない場合には、プレス面圧を上昇させる必要がある。プレス面圧は、プレス荷重を粉末と型の接触面積で割った値として定義され、プレス面圧を上昇させるための方法として、プレス荷重を上げるという方法と、粉末と型の接触面積を減らすという方法が考えられる。しかし、プレス荷重は、プレス成形機の最大容量によって制限されており、容易に上昇させることはできない。また、製造対象の成形品において所望される形状の制約から、粉末と型の接触面積を大幅に変更することも難しい。
特に、特許文献2に開示されるターゲット材のように、成形品の一部の部位(特許文献2では鍔部)のみ、密度を高めたい場合に、プレス面圧の上昇によってそれを簡便に実現することは困難である。その部位の密度を高めることのみを目的として、プレス荷重を上げるべくプレス成形機を大型化させたり、接触面積を減少させるべく成形品全体の形状を変更したりすることは、プレス成形品の製造方法として効率が悪い。
本発明が解決しようとする課題は、粉末材料をプレス成形する際に、一部の部位の強度が他の部位よりも高くなった成形品を効率的に得ることができるプレス成形品の製造方法、およびそのような製造方法によって製造される強度の高い鍔部を有するスパッタリングターゲット材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるプレス成形品の製造方法は、粉末材料に対してプレス成形を行うに際し、前記粉末材料の集合体の一部の部位である増圧部に印加する圧力を他の部位よりも高めた状態でプレス成形を行う部分加圧を実施するものである。
ここで、第一の工程と、該第一の工程に続く第二の工程の2回のプレス成形を実施し、前記第一の工程は、前記粉末材料の集合体の全体を均一に加圧する全面加圧によって行い、前記第二の工程において、前記第一の工程よりも高温で、前記部分加圧を実施するとよい。
また、前記部分加圧は、上型と下型の間に前記粉末材料を挟み、圧力を印加することによって行われ、前記上型と下型のいずれか少なくとも一方に、他方に向かって突出した凸部を設けておくことで該凸部によって圧力を印加される部位を前記増圧部とするとよい。
また、前記プレス成形品の製造方法によって製造されるプレス成形品は、外周部に鍔部を有するスパッタリングターゲット材であり、前記増圧部を前記鍔部とするとよい。
本発明にかかるスパッタリングターゲット材は、Ti粉末とAl粉末の混合物が成形されてなり、外周部に鍔部を有するスパッタリングターゲット材において、TiとAlの合計量に対するAlの割合が30原子%以下であり、前記鍔部の強度が、他の部位よりも高いものである。
上記発明にかかるプレス成形品の製造方法においては、粉末材料の集合体の一部の部位である増圧部に対してのみ、他の部位よりも高い圧力を印加する。よって、増圧部以外に印加する圧力を不要に高めることなく、増圧部の強度を上げることが可能となる。また、少なくとも増圧部以外の部位に対して、得られる成形品の形状を変更するようなことも必要がない。このように、増圧部において強度向上のために必要とされる高いプレス面圧を、増圧部以外にも一様に印加する必要がないため、所望される一部の部位の強度が高められたプレス成形品を、効率的に製造することができる。
ここで、第一の工程と、該第一の工程に続く第二の工程の2回のプレス成形を実施し、第一の工程を、粉末材料の集合体の全体を均一に加圧する全面加圧によって行い、第二の工程において、第一の工程よりも高温で、部分加圧を実施する場合には、1回のプレス工程で成形品を製造する場合と比較して、増圧部の強度を、特に効果的に向上させることができる。
また、部分加圧が、上型と下型の間に粉末材料を挟み、圧力を印加することによって行われ、上型と下型のいずれか少なくとも一方に、他方に向かって突出した凸部を設けておくことで、該凸部によって圧力を印加される部位を増圧部とする場合には、型全体にプレス荷重を印加しても、凸部が形成されている部位の粉末材料に印加される圧力を高くすることができる。よって、従来通りのプレス成形機を用いて、局所的に印加圧力が高くなった増圧部を簡便に設定することができる。
また、上記のようなプレス成形品の製造方法によって製造されるプレス成形品が、外周部に鍔部を有するスパッタリングターゲット材であり、増圧部を鍔部とする場合には、スパッタリング装置への取り付けに利用され、高い強度が要求される鍔部を有するスパッタリングターゲット材を、簡便に製造することができる。
上記発明にかかるスパッタリングターゲット材においては、鍔部の強度が他の部位よりも高いため、鍔部で支持することによってスパッタリング装置への取り付けを行っても、鍔部の破壊が起こりにくくなっている。また、バインダの役割を果たすAlの含有量が30原子%以下と少量に抑えられた成分組成では、高い強度を有するスパッタリングターゲット材を成形することが従来一般には困難であったが、上記のようなプレス成形品の製造方法を用い、増圧部から鍔部を形成することで、十分に高い強度を有する鍔部を持ったスパッタリングターゲット材を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるプレス成形品の製造方法の概略を示す図である。 上記製造方法の第一の工程を示す断面図であり、(a)はプレス荷重印加前、(b)はプレス荷重印加後の状態を示している。 上記製造方法の第二の工程を示す断面図であり、(a)はプレス荷重印加前、(b)はプレス荷重印加後の状態を示している。 (a)は第一の工程で得られる圧粉体を示す斜視図であり、(b)は第二の工程で得られる再圧粉体を示す斜視図である。(c)は(b)中のA−A断面を示す拡大図である。 本発明の一実施形態にかかるスパッタリングターゲット材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は斜視図である。 強度評価の方法を説明する側面図である。 各実施例および比較例の鍔部に対して測定された相対密度とせん断応力の関係を示す図である。 鍔部のせん断面の顕微鏡像であり、(a)は実施例3、(b)は比較例1のものである。
以下、本発明の一実施形態にかかるプレス成形品の製造方法およびスパッタリングターゲット材について、詳細に説明する。
<プレス成形品の製造方法>
図1に、本発明の一実施形態にかかるプレス成形品の製造方法の概略を示す。本実施形態にかかるプレス成形品の製造方法においては、プレス成形によって、粉末材料を成形し、所望の形状のプレス成形品4を得る。プレス成形は、粉末材料1から圧粉体2を得る第一の工程と、圧粉体2から再圧粉体3を得る第二の工程の2段階で行う。その後、製造すべきプレス成形品4の形状等に応じて、適宜、機械加工等、プレス成形以外の加工を行ってもよい。
(1)粉末原料
本実施形態において、成形の対象とする粉末材料1は、金属材料および非金属材料のいずれよりなってもよい。好ましくは、プレス成形によって相対密度を高めやすい等の観点から、金属材料(半導体を含む)よりなるものが好ましい。金属材料を用いる場合に、金属材料の粉末に加え、非金属材料の粉末が混合されていてもよい。また、粉末材料1に加え、液体のバインダ材等、粉末形状以外の材料が混合されてもよい。それらの場合のように、粉末材料1が複数の成分よりなる場合には、プレス成形を行う前に、それらを十分に混合しておく必要がある。
粉末材料1を金属材料より構成する場合に、2種以上の金属材料または非金属材料を混合した多元系とすることで、得られるプレス成形品4において、成分の組み合わせに応じた種々の機能の発現を図ることができる。2種以上の金属材料の混合系を所望の形状に加工する方法として、プレス成形の他に、溶融成形が挙げられるが、成分の組み合わせ等の理由によって、均一な溶融成形が不可能である場合に、本実施形態のように、プレス成形を用いることが特に有用である。
(2)第一の工程
第一の工程は、図2のように、油圧プレス機等のプレス成形機10を用いて実施する。プレス成形機10のダイス11のキャビティ12に配置された上型(パンチ)13と下型(ダイピン)14の間に、粉末材料1を装入し、上型13を下型14に近づける方向にプレス荷重を印加する。荷重は、上型13全体に対して均一に印加され、全面加圧が行われる。この第一の工程により、粉末材料1が圧縮を受けて押し固められ、圧粉体2となる。第一の工程は、冷間プレスの条件で実施される。
圧粉体2の形状は、ダイスキャビティ12の形状と、上型13および下型14の成形面13a,14aの形状によって定まる。ここでは、ダイスキャビティ12は円筒形状を有している。また、上型13および下型14の成形面13a,14aは、いずれも、円形の外形を有する平坦面となっている。これにより、圧粉体2は、図4(a)のように、円柱形状に成形される。圧粉体2は、部位によらず、略均一な相対密度を有している。なお、相対密度は、原料粉末自体の密度を表す理論密度(真密度)に対する実測密度の比として定義される(相対密度=実測密度/理論密度×100%)。
(3)第二の工程
次に、上記第一の工程で得られた圧粉体2に対して、第二の工程によるプレス成形を実施する。図3に示すように、第二の工程も、第一の工程と同様、ダイス21のキャビティ22の中に上型(パンチ)23と下型(ダイピン)24を備えたプレス成形機20を用いて実施する。ここで、第二の工程に用いるプレス成形機20としては、第一の工程のプレス成形機10と同じものを用いることができる。また、ダイス21および下型24としても、第一の工程のダイス11および下型14と同じもの利用することができる。しかし、上型23については、第一の工程の上型13と異なるものを用いる。
第二の工程において用いる上型23の成形面23aは、円形の外形を有し、円の外周のすぐ内側の一定の幅を有する部分が、円環状の凸部23bとなっている。凸部23bは、平坦な面より構成されているが、その内側の部位である凹部23cの面よりも、下型24に対向する方向に突出している。
下型24と上型23の間に圧粉体2を挟み込み、上型23を下型24に近づける方向にプレス荷重を印加する。これにより、圧粉体2が高さ方向にさらに圧縮され、再圧粉体3が得られる。プレス荷重印加の際に、最終的には凸部23bと凹部23cの両方において上型23が圧粉体2に接触し、圧力を印加するようにしておく。
本第二の工程においても、第一の工程と同様に、プレス荷重は、上型23全体に均一に印加される。しかし、上型23が凸部23bを有しており、平坦な下型24の成形面24aとの間の距離が、凸部23bにおいて、内側の凹部23cよりも狭くなっている。このため、少なくとも、凸部23bのみが圧粉体2に接触する加圧の初期段階において、凸部23bと圧粉体2の接触部に荷重が集中し、圧粉体2の単位面積あたりに印加される圧力が、凸部23bにおいて、凹部23cよりも高くなる。つまり、圧粉体2のうち、凸部23bに加圧される部位が、凹部23cに加圧される部位よりも、高い圧力を長い時間にわたって受けることになり、部分加圧が行われる。
このような不均一な圧力の印加を受けて形成された再圧粉体3においては、図4(b),(c)に示すように、外周のすぐ内側の部位が、上型23の凸部23bによって加圧を受けた増圧部3aとなっており、その内側の部位が、凹部23cによって加圧を受けた通常加圧部3bとなっている。増圧部3aの厚さt1は、通常加圧部3bよりも高い圧力で加圧を受けたことにより、通常加圧部3bの厚さt2よりも小さくなっており、再圧粉体3全体として、円柱の上面の外周近傍の円環状の部位が窪んだ形状となっている。そして、再圧粉体3の相対密度は、増圧部3aにおいて、通常加圧部3bよりも大きくなっている。
第二の工程は、圧紛体2を加熱しながら、第一の工程よりも高温で行われる。好ましくは、第二の工程は、焼結鍛造の条件で行われるとよい。上型23全体に印加するプレス荷重は、第一の工程と同じでも、異なっていてもよい。
(4)機械加工
第二の工程で得た再圧粉体3に対して、適宜、切削等の機械加工を施せば、所望の形状を有するプレス成形品4とすることができる。図1では、プレス成形品4として、スパッタリングターゲット材40(以下単に「ターゲット材」と称する場合がある)を製造している。スパッタリングターゲット材40については、後に詳しく説明するが、円盤形状の本体部41と、本体部41の外周部に一体的に設けられた薄板状の鍔部42を有している。
ターゲット材40は、切削加工により、再圧粉体3から製造することができる。この際、主に上型23の凹部23cによって加圧を受けた通常加圧部3bより本体部41を構成し、凸部23bによって加圧を受けた増圧部3aより鍔部42を構成するように、切削を行う。その結果、鍔部42が本体部41よりも高い密度を有するターゲット材40を得ることができる。
(5)プレス成形工程の特性
上記の第二の工程のように、粉末材料1のプレス成形を行うに際し、得られる再圧粉体3の一部の部位である増圧部3aに対して、他の部位である通常加圧部3bよりも高い圧力を印加することで、増圧部3aにおける相対密度を、通常加圧部3bよりも高めることができる。その結果、増圧部3aの材料強度を、通常加圧部3bよりも高めることができる。
全体が一体に成形されたプレス成形品4において、ターゲット材40の鍔部42のように、一部の部位のみ、他の部位よりも高い材料強度が要求される場合がある。そのような場合に、上記のように、増圧部3aを用いて高い強度が要求される部位を構成し、通常加圧部3bを用いて、それほど高い強度が要求されない部位を構成すれば、局所的に高い強度を有するプレス成形品4を得ることができる。なお、上記実施形態においては、本体部41の外周部分に、高い強度が要求される鍔部42が設けられるというターゲット材40の形状に合わせて、再圧粉体3の外周部に増圧部3aを形成しているが、増圧部3aを形成する位置は、具体的なプレス成形品4の種類および形状に応じて、他の部位よりも高い強度が要求される位置に合わせて、設定すればよい。
プレス成形品4において、高い強度が要求される部位に合わせて、粉末材料の集合体(粉末状のままの粉末材料1または圧粉体2)の全体に高い圧力を印加しようとすれば、プレス荷重を大きくするか、粉末材料の集合体と金型の接触面積を小さくする必要があり、いずれの方策も、プレス成形機の容量や成形すべき形状による制約を受ける。これに対し、本実施形態のように、粉末材料の集合体の一部の部位に増圧部3aを設け、集中的に加圧を行うようにすれば、プレス成形機全体として印加するプレス荷重や、粉末材料の集合体と金型の接触面積を大幅に変更することなく、得られるプレス成形品において、簡便に、必要な部位の強度を高めることができる。
粉末材料の集合体の一部を増圧部3aとすることは、本実施形態にように、上型23あるいは下型24の少なくとも一方に、他方に向かって突出した凸部23bを設けることで、簡便に実現することができる。このような形状を有する上型23あるいは下型24を利用すれば、均一にプレス荷重を印加して全面加圧を行う形式の従来一般のプレス成形機を用いて、特定の部位に部分的に大きな圧力を印加する部分加圧を行うことができる。
本実施形態においては、プレス成形を、第一の工程と、それに続く第二の工程の2段階で実施しており、第一の工程は、粉末材料1の全体を均一に加圧する全面加圧で行う一方、第二の工程は、増圧部3aに高い圧力を印加する部分加圧で行っている。このような形態に限られず、全プレス成形を1工程のみで完了し、その1工程を、増圧部を設けた部分加圧によって実施する形態としてもよい。しかし、上記のように、第一の工程で、ある程度まで圧縮を行い、最終的に所望される再圧粉体3の形状に近い形状の圧粉体2を得ておいてから、第二の工程で、部分加圧を行うことで、効果的に増圧部3aの相対密度を高めることができる。特に、第二の工程を高温で実施することで、この効果を高めることができる。
<スパッタリングターゲット材>
上記実施形態にかかる製造方法によって製造されるプレス成形品4の一例として、図5に示されるようなスパッタリングターゲット材40について、簡単に説明する。
スパッタリングターゲット材40は、プラズマアークスパッタリング等に用いられる材料である。上記で説明したように、ターゲット材40は、円盤状の本体部41の外周部に、薄板状の鍔部42を有している。鍔部42の厚みは、本体部41より薄くなっている。ターゲット材40をスパッタリング装置に取り付ける際に、鍔部42を、ネジ、押さえ板等の固定治具で押さえ込んで、固定を行う。図5では、4つの鍔部42が不連続に設けられているが、鍔部はこのような形状に限られず、例えば、円環状に連続した鍔部が本体部41の全周に設けられていてもよい。
上記のように、プレス成形によって得られた再圧粉体3からスパッタリングターゲット材40を製造する際に、増圧部3aを用いて鍔部42を形成すれば、鍔部42が、本体部41よりも高い密度を有し、その結果、鍔部42において、せん断応力等の材料強度が、本体部41よりも高くなる。鍔部42は、固定治具によって固定される部位であるため、固定に伴って、本体部41よりも大きな力を印加されることになる。スパッタリングに伴う熱応力の影響も、鍔部42において、本体部41よりも大きくなる。しかし、鍔部41が高い材料強度を有することで、鍔部42と本体部41の境界部での破断等、鍔部42において破壊が起こるのを、抑制することができる。鍔部42と本体部41の境界部での破断を効果的に回避する観点から、鍔部42だけでなく、境界部をまたいで、本体部41の外周側の一部分も、再圧粉体3の増圧部3aより構成することが好ましい。
ターゲット材40を構成する粉末材料1としては、スパッタリングの対象となる所望の材料を適宜選択すればよい。一例として、各種工具の摩耗を防止するハードコート層と称される耐摩耗性、耐食性、耐熱性に優れた保護膜を形成するための、Ti,Al,Crから選択される少なくとも1種の元素を主成分として含む材料を例示することができる。具体的には、Ti−Al、Cr−Al、Cr−Al−Si、Al−Cr−V−B、Ti−Al−SiC等の多元系の材料を例示することができる。これらの多元系材料はいずれも、溶融成形によって成形することは困難である。各金属種(および非金属種)の含有量は、粉末材料1の混合比によって制御することができ、所望の保護膜の組成に合わせて選択すればよい。
特に、Alを含む多元系の場合に、Al粒子は、塑性変形することで、凝着性を示し、一種のバインダのような作用を示すので、Alの含有量が少ないと、プレス成形によって高い強度を得ることが難しい。しかし、上記の製造方法における第二の工程のように、高い圧力を印加する増圧部3aを設定してプレス成形を行うことで、従来一般の全面加圧による方法で、高強度を有する製品の成形が困難であったAlの含有量が少ない領域でも、鍔部42において高い強度を有するターゲット材40を得ることが可能となっている。例えば、全成分の合計量に対するAlの割合が、30原子%以下、さらには20原子%以下であっても、鍔部42において、高い強度を有するターゲット材40を得ることが可能となる。とりわけ、Ti−Al系において、Alの含有量が30%以下、特に20%以下である場合に、従来の全面加圧による方法では、粉末材料1を、鍔部41を有するターゲット材40の形状に成形すること自体も困難であったが、増圧部3aを設け、増圧部3aから鍔部42を構成することで、高強度の鍔部42を有するターゲット材40を得ることができる。
ターゲット材40を製造するに際し、鍔部42となる増圧部3aに印加する圧力は、鍔部42において所望される相対密度や、せん断応力等の強度に応じて、適宜定めればよい。例えば、鍔部42の相対密度が96%以上、さらに好ましくは97%以上となるようにすればよい。また、鍔部42のせん断応力が40MPa以上、さらに好ましくは48MPa以上となるようにすればよい。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
<試験方法>
(1)ターゲット材の作製
Ti粉末とAl粉末を混合し、原料粉末とした。混合比は、Tiを70原子%、Alを30原子%とした(Ti−30Al)。
そして、原料粉末に対して、第一の工程と第二の工程の2段階で、プレス成形を行った。実施例と比較例では、第二の工程で用いている金型の形状が異なっている。また、各実施例および比較例においては、第二の工程におけるプレス荷重を異ならせている。各実施例の中で、実施例4において印加した荷重が最も大きく、比較例1,2においても、実施例4と同じ荷重を印加した。
第一の工程においては、実施例1〜4および比較例1,2のいずれについても、図2に示したような平坦な上型を使用して全面加圧を行った。
第二の工程においては、実施例1〜4については、図3に示したような凸部と凹部を有する上型を用いて部分加圧を行った。凸部と凹部の面の高さの差は、5mmであった。一方、比較例1,2については、図2と同様の平坦な上型を用いて全面加圧を行った。加圧時の温度は、第一の工程よりも高くした。実施例1〜4で第二工程を経て得られた再圧粉体においては、凸部によって加圧された増圧部が、凹部によって加圧された通常加圧部よりも、約5mm窪んでいるのが確認された。
各実施例および比較例において、2段階のプレス成形を経て得られた再圧粉体に対して、切削加工を行い、図5のような鍔部を有するターゲット材を作成した。この際、実施例1〜4においては、凸部によって加圧された増圧部より、鍔部と、本体部の外周側の一部を形成した。
(2)強度の評価
鍔部の強度を評価するため、せん断応力の評価を行った。具体的には、図6に示すように、ターゲット材40を本体部が下方を向くように配置し、相互に対向する2つの鍔部42を試験ブロック91で下方から支持した。そして、油圧プレス機92を用いて、本体部に上方から荷重を印加した。荷重を徐々に増加させ、鍔部42と本体部41の間に破断が起こった際の荷重を、破壊強度Fとして記録した。そして、鍔部42と本体部41の間のせん断面積Aで破壊強度Fを除することで、せん断応力τを算出した(τ=F/A)。
(3)密度の評価
各ターゲット材について、上記のせん断応力測定において破断によって本体部から分離された鍔部を利用して、鍔部の密度を評価した。具体的には、アルキメデスの原理に基づいた電子比重計を用いて、鍔部の実測密度を計測した。そして、得られた実測密度を、粉末材料の理論密度で割って、相対密度を算出した(相対密度=実測密度/理論密度×100%)。なお、理論密度は、粉末材料自体の密度であり、Ti粉末とAl粉末の密度を混合比に応じて合算したものである。ここでは、理論密度の値は、3.99g/cmであった。
(4)組織の観察
実施例3および比較例1について、上記相対密度の評価に用いたのと同じ鍔部に対して、せん断面の組織を観察した。観察は、光学顕微鏡を用いて行った。
<試験結果>
実施例1〜4および比較例1,2について、表1に、鍔部の強度および密度の評価結果を、プレス成形方法とともに示す。また、図7に、相対密度とせん断応力の関係を図示する。図では、実施例1〜4および比較例1,2との対応関係を、それぞれ、符号E1〜E2および符号C1,C2で示している。さらに、図8に、実施例3および比較例1の組織を観察した顕微鏡像を示す。
表1および図7によると、第二の工程で部分加圧を行い、増圧部から鍔部を形成している実施例1〜4において、全面加圧のみを行っている比較例1,2の場合と比較して、鍔部の相対密度およびせん断応力が顕著に大きくなっている。さらに、図7によると、各データ点の間で、概ね、相対密度が高いほど、せん断応力が高くなる挙動が見られている。
図8の顕微鏡写真において、暗く観察されている部位がTi、明るく観察されている部位がAlに相当するが、(a)の実施例3の場合において、(b)の比較例1の場合よりも、Alが塑性変形によって大きく圧縮され、全体として組織が密になっていることが分かる。これは、実施例において、比較例よりも相対密度が大きいことと対応している。このように、部分加圧を採用することで、鍔部の相対密度の高いターゲット材を製造することができ、その結果、鍔部の強度を高められることが確認された。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 材料粉末
2 圧粉体
3 再圧粉体
3a 増圧部
3b 通常加圧部
4 プレス成形品
10,20 プレス成形機
11,21 ダイス
13,23 上型
13a,23a 上型の成形面
14,24 下型
14a,23a 下型の成形面
23b 凸部
23c 凹部
40 (スパッタリング)ターゲット材
41 本体部
42 鍔部

Claims (4)

  1. 粉末材料に対してプレス成形を行うに際し、前記粉末材料の集合体の一部の部位である増圧部に印加する圧力を他の部位よりも高めた状態でプレス成形を行う部分加圧を実施してプレス成形品を製造し、
    製造される前記プレス成形品は、外周部に鍔部を有するスパッタリングターゲット材であり、前記増圧部を前記鍔部とすることを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. 第一の工程と、該第一の工程に続く第二の工程の2回のプレス成形を実施し、
    前記第一の工程は、前記粉末材料の集合体の全体を均一に加圧する全面加圧によって行い、
    前記第二の工程において、前記第一の工程よりも高温で、前記部分加圧を実施することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記部分加圧は、上型と下型の間に前記粉末材料を挟み、圧力を印加することによって行われ、
    前記上型と下型のいずれか少なくとも一方に、他方に向かって突出した凸部を設けておくことで、該凸部によって圧力を印加される部位を前記増圧部とすることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. Ti粉末とAl粉末の混合物が成形されてなり、本体部の外周部に、前記本体部よりも厚みが薄くなった鍔部を有するスパッタリングターゲット材において、
    TiとAlの合計量に対するAlの割合が30原子%以下であり、
    前記鍔部、および前記本体部の外周側の一部分の強度が、他の部位よりも高いことを特徴とするスパッタリングターゲット材。
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