JP5902554B2 - 断熱金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、射出成形に用いられる断熱金型の製造方法に関するものである。
射出成形法は、溶融樹脂を高圧で金型のキャビティに射出して成形する手法である。この金型に断熱金型を適用した場合、成形時における金型表面での急速な温度低下が防止されて金型表面の転写性が向上し、おおむね設計値通りの成形品を製造できることが知られている。
このような断熱金型は、金型基体の表面を断熱層で被覆したものであるが、当該断熱層を金属層でさらに被覆して耐久性を図ったものもある。この金属層は、成形時における金型表面での急速な温度低下を防ぐ観点では熱容量が小さいほど良い。したがって、薄い金属層で断熱層を被覆するほうが好ましい。
このような金属層を有する断熱金型の1つに下記特許文献1がある。この特許文献1の断熱金型は、ポリイミド等で断熱層を形成し、その断熱層と裏面側金属層とを加熱加圧して断熱層付き金型部材を得た後、当該断熱層の表面に表面側金属層をめっきすることにより製造される。
特開2008−221472号公報
ところで、上記特許文献1では、断熱層の形成手法については明示されていないが、一般的には、ポリイミド又はその前駆体を所定の部材に塗布した後に加熱乾燥して断熱層が形成されるものと考えられる。
しかしながら、このような一般手法により断熱層を形成する場合、加熱時における収縮の応力等に起因して断熱層の表面が凹凸となる傾向が高くなる。このため、断熱層の表面に薄膜の表面側金属層をめっきしても、断熱金型表面自体が凹凸形状になり、設計値との隔たりが大きい成形品が製造されるといった問題が生じる。
一方、薄い金属板の表面にキャビティ面を形成し、その金属板と断熱層と裏面側金属層とを加熱加圧して断熱金型を形成するといった手法を考えることもできる。しかしながら、このような手法により断熱金型を形成する場合、金属板が薄いため加熱により歪む傾向が高い。このため、上述の場合と同様に、断熱金型表面自体が凹凸形状になり、設計値との隔たりが大きい成形品が製造されるといった問題が生じる。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、より設計値に近い成形品を成形し得る断熱金型の製造方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明は、鋼材の一面と金型基体の一面との間に所定距離の隙間を隔てて前記鋼材及び前記金型基体を配置し、前記隙間に未硬化状態の熱硬化性樹脂を配置する配置工程と、前記未硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化工程と、前記鋼材を前記鋼材の一面とは逆側から削って、硬化状態の熱硬化性樹脂上の少なくとも一部にキャビティ領域を形成する形成工程とを備えることを特徴とする。
この製造方法では、未硬化状態の熱硬化性樹脂が、鋼材と金型基体との間に介在した状態で硬化されるため、当該硬化した熱硬化性樹脂の表面が凹凸になることを抑制することができる。また、キャビティ領域は、鋼材の一面と金属基体の一面との間に配置される未硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させた後に、その鋼材を削ることで形成される。このため、予めキャビティ領域を形成し鋼材と金属基体との間に未硬化状態の熱硬化性樹脂を配置して硬化させる場合に比べて、鋼材と金型基体とを接合する際の圧力や、未硬化状態の熱硬化性樹脂が硬化する際の収縮に伴う応力等に起因して鋼材が歪むことを抑制することができる。こうして、より設計値に近い成形品を成形し得る断熱金型の製造方法が提供される。
なお、未硬化状態の熱硬化性樹脂は、鋼材と金型基体との間に介在した状態で硬化されるため、当該硬化後の熱硬化性樹脂を断熱層としてのみならず、鋼材と金型基体との接合部材として共用することができる。したがって、断熱層と鋼材又は金型基体とを接合する部材の厚みを考慮することなく、当該断熱層の厚みを規定することができる。また、キャビティ領域は、鋼材を削ることで形成されているため、めっき法により薄膜を形成する場合に比べてキャビティ領域の強度を大きくすることができ、この結果、本製法によって製造される断熱金型の耐久性を向上させることもできる。
また、前記配置工程では、前記鋼材の一面と前記金型基体の一面との間において、前記形成工程で形成すべき前記キャビティ領域の鉛直方向を避けた位置にスペーサが配置され、前記硬化工程では、前記金型基体及び前記鋼材の一方が他方に押し付けられた状態で、前記未硬化状態の熱硬化性樹脂が加熱されることが好ましい。
このようにした場合、金型基体の一面と鋼材の一面との間に配置されるスペーサによって、未硬化状態の熱硬化性樹脂をある一定以上の厚みとしても、その厚みのムラを押し付けによって大幅に抑制しておおむね一定の厚みとすることができる。また、金型基体の一面と鋼材の一面との間に配置させるべきスペーサの高さによって、未硬化状態の熱硬化性樹脂の厚みを制御することができ、この結果、スペーサの高さを断熱層の厚みとして正確に断熱層を形成することができる。
また、前記スペーサは、前記金型基体又は前記鋼材と一体に成形されることが好ましい。
このようにした場合、金型基体の一面上に鋼材を配置しさえすれば、当該金型基体の一面と鋼材の一面との間にスペーサが配置されることになるため、当該配置位置の精度を保持しながらも配置工程を簡略化することができる。
また、前記硬化状態の熱硬化性樹脂の熱伝導率をλ[W/(mK)]とし、前記スペーサの高さをt[mm]とした場合、λ/t=1000[W/(mK)]の関係にあることが好ましい。
このようにした場合、キャビティ領域の温度推移はおおむね一定に収束することが本発明者の実験により確認されている。このため、成形用樹脂の射出期間にはその成形用樹脂のガラス転移温度以上となり射出後には速やかにガラス転移温度を下回るという断熱効果を得るための断熱層の厚みを、スペーサの高さによって厳密に制御することができる。したがって、成形用樹脂の射出期間における良好な転写性を実現しながらも、当該射出期間後の冷却時間を短縮化し得る断熱層を形成することができる。
また、前記キャビティ領域として形成すべき部分の厚みが前記キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みに比べて小さくなるように、前記鋼材が削られることが好ましい。
このようにした場合、キャビティ領域以外の領域については、当該キャビティ領域に比べて型締時に加わる力に起因する変形等が生じ難い程度の剛性を与えることができる。したがって、キャビティ領域以外の厚みがキャビティ領域の厚み以下である場合に比べて、例えば、キャビティ領域以外の変形によって、断熱層と鋼材あるいは断熱層と金型基体とが剥離することが低減され、この結果、断熱金型としての耐久性を向上することができる。
以上のように、本発明によれば、より設計値に近い成形品を成形し得る断熱金型の製造方法が提供される。
本実施形態における断熱金型を示す断面図である。 本実施形態における断熱金型の製造方法を示すフローチャートである。 断熱金型の製造に用いられる鋼材を示す斜視図である。 断熱金型の製造に用いられる金型基体を示す斜視図である。 配置工程における第1段階の様子を示す断面図である。 配置工程における第2段階の様子を示す断面図である。 硬化工程の様子を示す断面図である。 形成工程の様子を示す断面図である。 キャビティ領域が凹形状となる断熱金型を例示する断面図である。 キャビティ領域が凸形状となる断熱金型を例示する断面図である。
以下、本発明に係る断熱金型の製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態における断熱金型の断面を示す図である。図1に示すように、本実施形態における断熱金型1は、保護層10と、金型基体20と、当該保護層10及び金型基体20間に介在される断熱層30とを主な構成要素として備える。
保護層10は、薄板に対して焼き入れ処理等の加工処理を施した鋼材であり、例えば保護層10の中央領域に、平坦形状のキャビティ領域CARが形成される。なお、キャビティ領域CARは、成形すべき空間と接する面領域である。
保護層10の厚みは、保護層として得るべき強度や射出成形すべき成形品の材料等によって変わるものであるが、おおむね0.2[mm]〜1.5[mm]の範囲内とされる。保護層10の材料は、金属、合金等を挙げることができ、具体的には例えば、合金工具鋼、ダイス鋼あるいは高速度工具鋼等の工具鋼や、マルテンサイト系ステンレス鋼等がある。
本実施形態の場合、保護層10におけるキャビティ領域CARの厚みT1は、キャビティ領域CAR以外の領域NARの厚みT2よりも小さくされ、当該領域NARには、保護層10の一面S1から鉛直方向に延在する複数のねじ孔11が穿設される。この一面S1は、保護層10における成形空間側の面とは逆側の裏面とされ、当該一面S1の略中央領域には円錐台状の凹部が形成される。この形状は、保護層10の一面S1に対向される金型基体20の一面S2の形状に対応している。
金型基体20は、鋼材に対して焼き入れ処理等の加工処理を施したものである。金型基体20の厚みは、特に制限されるものではないが、少なくとも保護層10及び断熱層30よりも大きくされる。金型基体20の材料は、金属、合金等を挙げることができ、具体的には例えば、合金工具鋼、ダイス鋼あるいは高速度工具鋼等の工具鋼や、マルテンサイト系ステンレス鋼等がある。
本実施形態の場合、金型基体20の一面S2の略中央領域には円錐台状の凸部が形成される。この金型基体20の一面S2に形成される凸部と、保護層10の一面S1に形成される凹部とが正対する状態で、当該金型基体20の一面S2と保護層10の一面S1とが断熱層30を隔てて配置される。なお、保護層10の一面S1と金型基体20の一面S2とは互いに略平行であり、当該一面S1と一面S2との間の距離は、当該面内のどの位置でも同程度の関係にある。
金型基体20の周縁部位には、当該周縁部位の面の鉛直方向に貫通する複数のねじ孔21が穿設され、これらねじ孔21の一面S2側の開口縁にはスペーサ22が形成される。なお、ねじ孔21の穿設位置は、保護層10のねじ孔11の穿設位置と相対的に同位置とされる。
断熱層30は、保護層10と金型基体20との熱の出入りを遮る層であり、保護層10及び金型基体20との接着を兼ねている。この断熱層30の厚みT3は、射出成形すべき成形品の材料等によって変わるものであるが0.2[mm]〜1.5[mm]の範囲内とされる。
また、断熱層30の材料は熱硬化性樹脂とされる。この熱硬化性樹脂として、具体的にはエポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、あるいは、熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。
なお、熱硬化性樹脂には、フィラーと呼ばれる無機粒子が強化剤として含有されていても良い。この無機粒子の形状は球形であるほうが好ましく、その粒径は1〜100[μm] の範囲内にあると良い。また、無機粒子の含有率は60〜90重量%の範囲内にあると良い。このような無機粒子として、具体的にはガラスビーズなどが挙げられる。
また、硬化状態にある熱硬化性樹脂の熱伝導率と、断熱層30の厚みT3を規定するスペーサ22との関係は、当該熱伝導率をλ[W/(mK)]とし、当該スペーサ22の高さをt[mm]とした場合、λ/t=1000[W/(mK)]の関係にある。
このような断熱層30を挟んで上述の保護層10と金型基体20とが配置され、当該保護層10と金型基体20とが断熱層30に接着される。また、保護層10に形成されるねじ孔11と、金型基体20に形成されるねじ孔21とにボルトBTが通され、当該保護層10と金型基体20とが固定される。
次に、この断熱金型1の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態における断熱金型1の製造方法を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態における断熱金型1の製造方法は、準備工程P1、配置工程P2、硬化工程P3及び形成工程P4を主工程として備える。
<準備工程P1>
この準備工程P1は、断熱金型1の保護層10とすべき鋼材と、断熱金型1の金型基体20と、断熱金型1の断熱層30とすべき未硬化状態の熱硬化性樹脂とを準備する工程である。
断熱金型1の保護層10とすべき鋼材として、例えば図3に示すように、略矩形状の板材に対して焼き入れ処理等の加工処理を施した鋼材40が準備される。
この鋼材40の厚みTは、保護層10の厚みよりも大きいものとされる。また、この鋼材40には上述のねじ孔11が穿設され、当該鋼材40の一方の面には、金型基体20の一面S2に対向すべき一面S1として、当該金型基体20の一面S2の形状に対応する形状に形成される。
一方、断熱金型1の金型基体20として、例えば図4に示すように、鋼材40の水平面と同面積の略矩形状を有する鋼材に対して焼き入れ処理等の加工処理を施したものが準備される。
上述したように、この金型基体20にはねじ孔21が穿設され、当該金型基体20の一面S2には円錐台状の凸部及びスペーサ22が形成される。
他方、断熱金型1の断熱層30とすべき未硬化状態の熱硬化性樹脂として、例えば、基材と硬化剤とを混合し流動性を調整したものが準備される。なお、必要に応じて、無機フィラー等の強化剤やその他の添加剤が基材及び硬化剤とともに混合される。
<配置工程P2>
この配置工程P2では、鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2との間に所定距離の隙間を隔てて鋼材40及び金型基体20を配置し、当該隙間に未硬化状態の熱硬化性樹脂を配置する工程である。
具体的には、第1段階として、図5に示すように、金型基体20の一面S2側に形成されるスペーサ22の高さ以上となるよう、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が金型基体20の一面S2に塗布される。
第2段階として、図6に示すように、鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2とが正対する状態で、鋼材40の一面S1が金型基体20上に載置される。これにより鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2とが、スペーサ22を介して、当該面内のどの位置でも等距離となる。
<硬化工程P3>
この硬化工程P3は、未硬化状態の熱硬化性樹脂50を硬化させる工程である。具体的には、第1段階として、図7の(A)に示すように、金型基体20のねじ孔21と鋼材40のねじ孔11とにボルトBTが通され、金型基体20と鋼材40とが固定される。これにより金型基体20は押し付けられた状態となる。なお、この第1段階の作業は、配置工程P2で行われても良い。
第2段階として、金型基体20が押し付けられた状態で、例えば加熱炉にて未硬化状態の熱硬化性樹脂50が加熱される。これにより未硬化状態の熱硬化性樹脂50の硬化が進行し、図7の(B)に示すように、立体網目状に架橋された断熱層30が形成される。
<形成工程P4>
この形成工程P4は、図8に示すように、鋼材40をその鋼材40の一面とは逆側から削って、硬化状態の熱硬化性樹脂(断熱層30)上の少なくとも一部にキャビティ領域CARを形成する工程である。
具体的には、キャビティ領域として形成すべき部分の厚みT1が、キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みT2に比べて小さくなるように、鋼材40が削られる。そして、金型基体20の一面S2における凸部に沿って、断熱層30からの厚みが均等となる平坦形状のキャビティ領域CARが、鋼材40の表面として削り出される。具体的な研削手法としては、例えば、フライス盤加工や放電加工等がある。
このように上述の準備工程P1、配置工程P2、硬化工程P3及び形成工程P4を順次経ることで、図1に示すような断熱金型1が製造される。
以上のとおり、本実施形態における断熱金型1の製造方法では、図7に示したように、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が、鋼材40と金型基体20との間に介在した状態で硬化される。このため、硬化状態にある断熱層30の表面が凹凸になることを抑制することができる。
また、キャビティ領域CARは、鋼材40と金型基体20との間に配置される未硬化状態の熱硬化性樹脂50を硬化させた後、図8に示したように、その鋼材40を削ることで形成される。
このため、予めキャビティ領域を形成した鋼材と金属基体との間に未硬化状態の熱硬化性樹脂を配置して硬化させる場合に比べて、鋼材40と金型基体20とを接合する際の圧力や、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が硬化する際の収縮に伴う応力等に起因して鋼材40が歪むことを抑制することができる。
このように本実施形態における断熱金型1の製造方法によれば、より設計値に近い成形品を成形し得る断熱金型1を提供することができる。
なお、未硬化状態の熱硬化性樹脂50は、鋼材40と金型基体20との間に介在した状態で硬化されるため、当該硬化後の熱硬化性樹脂を断熱層30としてのみならず、鋼材40と金型基体20との接合部材として共用することができる。したがって、断熱層30と鋼材40又は金型基体20とを接合する部材(接着剤等)の厚みを考慮することなく、当該断熱層30の厚みを正確に規定することができる。
また、キャビティ領域CARは、鋼材40を削ることで形成されているため、めっき法により薄膜を形成する場合に比べてキャビティ領域CARの強度を大きくすることができ、この結果、本製法によって製造される断熱金型1の耐久性を向上させることもできる。
ところで、本実施形態における断熱金型1の製造方法の場合、図7に示したように、鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2との間において、キャビティ領域CARの鉛直方向を避けた位置にスペーサ22が配置され、当該金型基体20が押し付けられた状態で、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が加熱される。
このため、鋼材40と金型基体20との間に配置されるスペーサ22によって、未硬化状態の熱硬化性樹脂50をある一定以上の厚みとしても、その厚みのムラを金型基体20の押し付けによって大幅に抑制することができる。また、鋼材40と金型基体20との間に配置させるべきスペーサ22の高さによって、未硬化状態の熱硬化性樹脂50の厚みを制御することができ、この結果、スペーサ22の高さを断熱層30の厚みとして正確に断熱層30を形成することができる。
また本実施形態の場合、図4に示したように、スペーサ22は、金型基体20と一体に成形される。このため、金型基体20の一面S2上に鋼材40の一面S1を配置しさえすれば、当該金型基体20と鋼材40との間にスペーサ22が配置されることになる。したがって、スペーサ22の配置位置の精度を保持しながらも、そのスペーサ22の配置工程を簡略化することができる。
また本実施形態の場合、キャビティ領域として形成すべき部分の厚みT1が、キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みT2よりも小さくなるように、鋼材40が削られる。
このため、キャビティ領域以外の領域NARについては、当該キャビティ領域CARに比べて型締時に加わる力に起因する変形等が生じ難い程度の剛性を与えることができる。したがって、キャビティ領域以外の領域NARの厚みT2がキャビティ領域CARの厚みT1以下である場合に比べて、例えば、キャビティ領域以外の領域NARの変形によって、断熱層30と鋼材40あるいは断熱層30と金型基体20とが剥離することが低減される。この結果、断熱金型1としての耐久性を向上することができる。
なお、キャビティ領域以外の領域NARの厚みT2がキャビティ領域CARの厚みT1以下である場合に比べて、鋼材40にボルトBTを配置する領域を確保できないといったことを回避することもできる。このため、鋼材40と金型基体20とをボルトBTにより強固に固定でき、より一段と断熱層30と鋼材40あるいは断熱層30と金型基体20との剥離を低減することができる。
また本実施形態の場合、硬化状態の熱硬化性樹脂の熱伝導率をλ[W/(mK)]とし、スペーサ22の高さHをt[mm]とした場合、λ/t=1000[W/(mK)]の関係とされる。
ここで、100mmの厚みを有する金型層の表面に断熱層が被覆される断熱金型のキャビティに2mmの厚みを有する成形用樹脂層を射出した解析モデルを用いて、断熱層における物性及び厚さの影響を解析した結果を下記表に示す。
Figure 0005902554
上記表に示される各温度は、成形用樹脂層の中心から断熱層までの厚さ1mm部分における温度(以下、境界温度という。)である。なお、この解析モデルにおける成形用樹脂はポリカーボネートとし、当該成形用樹脂層の初期温度は300℃とし、断熱層及び金型層の初期温度は100℃とし、金型層の末端部分(断熱層に対向する側とは逆側部分)の温度は100℃で一定とした。
上記表の「1」から「6」までに示されているとおり、断熱層における熱伝導率λと厚みtとがλ/t=1000の関係にある場合、断熱層の材質や熱浸透率が異なっていても、境界温度の推移はおおむね一定に収束することが分かった。
これに対し上記表の「7」に示されているとおり、λ/tの値が1000よりも大幅に小さい場合には、境界温度の降温時間が極めて遅いことが分かった。なお、上記表には示していないが、λ/tの値が1000より小さくなるほど、境界温度の単位時間当たりの下がり幅が小さくなることが分かっている。
また、上記表の「8」に示されているとおり、λ/tの値が1000よりも大幅に大きい場合には、境界温度の降温時間が極めて早いことが分かった。なお、上記表には示していないが、λ/tの値が1000より大きくなるほど、境界温度の単位時間当たりの下がり幅が大きくなることが分かっている。
つまり、λ/t=1000の関係を充足している限り、成形用樹脂の射出期間には境界温度がガラス転移温度以上となり射出後には速やかにガラス転移温度を下回るという断熱効果を、断熱層30の厚みによって得ることが可能である。そして、このような効果を得るための断熱層30の厚みを、スペーサ22によって厳密に制御することができる。したがって、成形用樹脂の射出期間における良好な転写性を実現しながらも、当該射出期間後の冷却時間を短縮化し得る断熱層30を形成することができる。
なお、上記実施形態はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、平坦形状のキャビティ領域CARが削り出されたが、例えば図9に示すように凹形状のキャビティ領域CARが削り出されても良く、例えば図10に示すように、凸形状のキャビティ領域CARが削り出されても良い。
図9に示す断熱金型は、上記実施形態と異なる形状の保護層10(鋼材40)及び金型基体20を有している点で、上記実施形態の断熱金型1とは相違する。具体的に図9に示す保護層10(鋼材40)の一面S1には、略中央領域が隆起しその辺縁が窪む凹凸部が形成される点で、円錐台状の凹部が形成された上記実施形態の保護層10(鋼材40)とは相違する。また、図9に示す金型基体20の一面S2には、略中央領域が窪みその辺縁が隆起する凹凸部が形成される点で、円錐台状の凸部が形成された上記実施形態の金型基体20とは相違する。このような断熱金型は、上述の準備工程P1、配置工程P2、硬化工程P3を順に経た後、形成工程P4において、鋼材40の一面S1とは逆側の面から、当該一面S1の凸部に沿った凹面を削り出すことで製造することができる。
図10に示す断熱金型は、上記実施形態と異なる形状の保護層10(鋼材40)及び金型基体20を有している点で、上記実施形態の断熱金型1とは相違する。具体的に図10に示す保護層10(鋼材40)の一面S1には、略中央領域が窪みその辺縁が隆起する凹凸部が形成される点で、上記実施形態の保護層10(鋼材40)とは相違する。また、図10に示す金型基体20の一面S2には、略中央領域が隆起しその辺縁が窪む凹凸部が形成される点で、上記実施形態の金型基体20とは相違する。このような断熱金型は、上述の準備工程P1、配置工程P2、硬化工程P3を順に経た後、形成工程P4において、鋼材40の一面S1とは逆側の面から、当該一面S1の凹部に沿った凸面を削り出すことで製造することができる。
なお、上記実施形態、図9及び図10に示したように、キャビティ領域として形成すべき部分の厚みT1が、キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みT2に比べて小さくなるように鋼材40を削ることは必須の条件となるものではない。ただし、上述したように断熱層30と鋼材40あるいは断熱層30と金型基体20との剥離を低減する観点では、キャビティ領域として形成すべき部分の厚みT1が、キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みT2に比べて小さくなるように鋼材40を削るほうが好ましい。
また、キャビティ領域CARの形状は、上記実施形態、図9及び図10に示された形状に限らず、種々の形状を幅広く適用することができる。さらに、鋼材40の一面S1と金属基体20の一面S2との形状は、少なくともキャビティ領域CARの鉛直方向上にある部分の面同士が所定の距離を隔てて配置される限り、上記実施形態、図9及び図10に示した以外の種々の形状を幅広く適用することができる。
また上記実施形態では、鋼材40(保護層10)に形成されるキャビティ領域CARが1つとされたが、2以上とされても良い。なお、キャビティ領域CARを2以上とする場合、各キャビティ領域が独立した状態にあっても良く、各キャビティ領域同士が繋がった状態にあっても良く、独立した状態にあるキャビティ領域と、繋がった状態にあるキャビティ領域とが混在していても良い。
また上記実施形態では、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が金型基体20の一面S2に塗布され、当該金型基体20上に鋼材40の一面S1が載置された。しかしながら、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が鋼材40の一面S1に塗布され、当該鋼材40上に金型基体20の一面S2が載置されても良い。また、金型基体20の一面S2上に鋼材40の一面S1が載置された後に、当該金型基体20と鋼材40との間に未硬化状態の熱硬化性樹脂50が充填されても良い。さらに、未硬化状態の熱硬化性樹脂50が入れられた容器内において金型基体20の一面S2上に鋼材40の一面S1が載置された後、その載置状態のまま金型基体20及び鋼材40を容器から取り出すようにしても良い。要するに、配置工程P2では、鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2との間に所定距離の隙間を隔てて鋼材40及び金型基体20が配置され、当該隙間に未硬化状態の熱硬化性樹脂が配置されれば良い。
また上記実施形態では、金型基体20及び鋼材40の周縁部位をボルトBTによって終結することによって金型基体20が鋼材40に押し付けられた。しかしながら、鋼材40が金型基体20に押し付けられても良く、また、終結以外の手法により金型基体20及び鋼材40の一方が他方に押し付けられても良い。
また上記実施形態では、スペーサ22が、金型基体20の一面S2と一体に形成されたが、鋼材40の一面S1と一体に形成されていても良い。また、スペーサ22は、金型基体20におけるねじ孔21の開口縁に形成されたが、鋼材40のねじ孔11の開口縁に形成されていても良く、鋼材40と金型基体20との間であれば、当該開口縁以外であっても良い。要するに、スペーサ22は、鋼材40の一面S1と金型基体20の一面S2との間において、キャビティ領域CARの鉛直方向を避けた位置である限り、どの位置に配置されていても良く、当該鋼材40又は金型基体20と一体であっても別体であっても良い。
また上記実施形態では、鋼材40に形成されたキャビティ領域CARの表面に対して何ら加工が施されなかったが、例えばシボ加工等の表面加工が施されていても良い。
本発明は、射出成形品を取り扱う分野において利用可能性がある。
1・・・断熱金型
10・・・保護層
11・・・凹部
20・・・金型基体
21・・・ねじ孔
30・・・断熱層
40・・・鋼材
41・・・ねじ孔
42・・・段部
50・・・未硬化状態の熱硬化性樹脂
CAR・・・キャビティ領域
P1・・・準備工程
P2・・・配置工程
P3・・・硬化工程
P4・・・形成工程

Claims (4)

  1. 鋼材の一面と金型基体の一面との間に所定距離の隙間を隔てて前記鋼材及び前記金型基体を配置し、前記隙間に未硬化状態の熱硬化性樹脂を配置する配置工程と、
    前記未硬化状態の熱硬化性樹脂を硬化させる硬化工程と、
    前記鋼材を前記鋼材の一面とは逆側から削って、硬化状態の熱硬化性樹脂上の少なくとも一部にキャビティ領域を形成する形成工程と
    を備え
    前記配置工程では、前記鋼材の一面と前記金型基体の一面との間において、前記形成工程で形成すべき前記キャビティ領域の鉛直方向を避けた位置にスペーサが配置され、
    前記硬化工程では、前記金型基体及び前記鋼材の一方が他方に押し付けられた状態で、前記未硬化状態の熱硬化性樹脂が加熱される
    ことを特徴とする断熱金型の製造方法。
  2. 前記スペーサは、前記金型基体又は前記鋼材と一体に成形される
    ことを特徴とする請求項に記載の断熱金型の製造方法。
  3. 前記硬化状態の熱硬化性樹脂の熱伝導率をλ[W/(mK)]とし、前記スペーサの高さをt[mm]とした場合、λ/t=1000[W/(mK)]の関係にある
    ことを特徴とする請求項に記載の断熱金型の製造方法。
  4. 前記形成工程では、前記キャビティ領域として形成すべき部分の厚みが前記キャビティ領域として形成すべき部分以外の厚みに比べて小さくなるように、前記鋼材が削られる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の断熱金型の製造方法。
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