以下、本発明の一実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。
本実施形態の冷房機能付き(但し暖房機能も付属している)ヒートポンプ給湯機1の主要なユニットの外観構成を図1に示す。図1において、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、貯湯タンク2(後述の図2等参照)を備えた貯湯ユニット100と、ヒートポンプユニット300と、エアコンユニット200とを有している。
本実施形態のヒートポンプ給湯機1全体の回路構成を図2に示す。図2に示すように、前記貯湯ユニット100は、冷媒を流通させる冷媒通路としての冷媒側の流路15bと水通路としての水側の流路15aとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15と、沸上ポンプ19と、を備えている。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが加熱往き管5及び加熱戻り管6によって環状に接続され、前記貯湯ユニット100内で加熱循環回路4が形成されている。
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記沸上ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、貯湯タンク2の湯水を循環させる。なお、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する入水温度T1(湯水の入口温度)を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する沸上温度Tbを検出する沸上温度センサ24が設けられている。
貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯水の温度(貯湯温度)をそれぞれ検出し前記湯水の加熱状況(言い替えれば貯湯状況)を検知するための貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続され、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。
一方、前記水冷媒熱交換器15における熱交換(詳細は後述)によって前記貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路30が、前記ヒートポンプユニット300、前記貯湯ユニット100、及び前記エアコンユニット200にわたって設けられている。前記冷媒循環回路30は、前記ヒートポンプユニット300内に配置されたヒーポン回路部30Aと、前記貯湯ユニット100内に配置された貯湯回路部30Bと、前記エアコンユニット200内に配置されたエアコン回路部30Cとを含んでいる。
前記ヒーポン回路部30Aは、前記冷媒の流路となる冷媒配管18を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)するヒートポンプ熱交換器としての室外熱交換器17とが、前記冷媒配管18によって接続されている。なお、室外熱交換器17には、前記室外熱交換器17に外気を通じるための室外ファン67が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管18は、圧縮機14の吐出側となる配管部18aと、沸上モード時(後述の図6参照)等において前記四方弁31を介し前記配管部18aに接続される配管部18bとを含んでいる。前記配管部18bは、ヒートポンプユニット300外への出口となる接続口68aにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路101に連通している。
また前記冷媒配管18は、前記圧縮機14の吸入側となる配管部18cと、沸上モード時(後述の図6参照)等において前記室外熱交換器17の圧縮機14側(言い替えれば前記沸上モード時等における出口側、以下同様。後述の図6等参照)を前記四方弁31を介し前記配管部18cに接続する配管部18dと、前記室外熱交換器17の反圧縮機14側(言い替えれば前記沸上モード時等における入口側、以下同様。後述の図6等参照)に接続される配管部18eとを含んでいる。前記配管部18eは、膨張弁113を備えており、前記接続口68aとは別の接続口68bにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路102に連通している。
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)前記配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの前記配管部18a,18c用の2つのポートのいずれを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。例えば四方弁31は、後述する図6の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「暖房側への切替」等と称する)は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18aを前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部18bに連通させ、後述する図9の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「冷房側への切替」等と称する)は、前記配管部18aを前記室外熱交換器17側である前記配管部18dに連通させる。
なお、前記の圧縮機14、四方弁31、室外熱交換器17、室外ファン67、及び膨張弁113等は、前記ヒートポンプユニット300の筐体に内包されている(図1参照)。
前記貯湯回路部30Bは、前記冷媒の流路となる冷媒配管25を備えており、前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bが、前記冷媒配管25に接続されている。
詳細には、前記冷媒配管25は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口75aにおいて前記連通管路101に連通する配管部25aと、前記配管部25aから分岐して接続されるとともに、反配管部25a側が前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の入口側に接続される配管部25bと、前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の出口側に接続される配管部25cとを含んでいる。前記配管部25bは、前記四方弁31と前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部25bを開閉可能な二方弁121を備えており、前記配管部25cは全閉機能付きの膨張弁111を備えている。
また前記冷媒配管25は、前記配管部25b同様、前記配管部25aから分岐して接続される配管部25dを含んでいる。前記配管部25dの反配管部25a側は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95aにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路104に連通している。
さらに前記冷媒配管25は、前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側から分岐して接続されるとともに、反配管部25c側が、前記接続口75aとは別の接続口75bにおいて前記連通管路102に連通する配管部25eと、前記配管部25dと前記配管部25eとを連通する配管部25fと、前記配管部25e同様に前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側から分岐して接続されるとともに、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95bにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路103に連通する配管部25gとを含んでいる。前記配管部25dは、前記配管部25aとの接続点と前記配管部25fとの接続点の間に配管部25dを開閉可能な二方弁122を備えており、前記配管部25eは、前記配管部25gとの接続点と前記配管部25fとの接続点の間に配管部25eを開閉可能な二方弁123を備えており、前記配管部25fは、配管部25fを開閉可能な二方弁124を備えており、前記配管部25gは全閉機能付きの膨張弁112を備えている。この結果、前記二方弁123は、前記膨張弁113と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備え、前記膨張弁111は、前記水冷媒熱交換器15の出口側と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路101は、前記二方弁121,122と前記四方弁31とを連通する機能を備え、前記連通管路102は、前記二方弁123,124と前記膨張弁113とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とヒートポンプユニット300とは、前記連通管路101,102によって接続されている(図1も参照)。
なお、前記の二方弁121,122,123,124、膨張弁111,112、水冷媒熱交換器15、及び貯湯タンク2等は、前記貯湯ユニット100の筐体に内包されている(図1参照)。なお、前記膨張弁112は後述の配管部26b(すなわち前記エアコンユニット200の筐体内)に設けても良い。
前記エアコン回路部30Cは、前記冷媒の流路となる冷媒配管26を備えており、前記冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)する室内熱交換器27が前記冷媒配管26に接続されている。なお、室内熱交換器27には、前記室内熱交換器27に室内空気を通じるための室内ファン77が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管26は、エアコンユニット200外への出口となる接続口76aにおいて前記連通管路104に連通するとともに、反連通管路104側が前記室内熱交換器27の前記接続口76a側(言い替えれば暖房モード時等における入口側、以下同様。後述の図7等参照)に接続される配管部26aと、前記接続口76aとは別の接続口76bにおいて前記連通管路103に連通するとともに、反連通管路103側が前記室内熱交換器27の前記接続口76b側(言い替えれば暖房モード時等における出口側、以下同様。後述の図7等参照)に接続される配管部26bとを含んでいる。この結果、前記二方弁122は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと圧縮機14との間の管路を開閉する機能を備え、前記二方弁124は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと前記膨張弁113との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路103は、前記膨張弁112と前記室内熱交換器27の前記膨張弁112側とを連通する機能を備え、前記連通管路104は、前記二方弁122,124と前記室内熱交換器27の反膨張弁112側とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とエアコンユニット200とは、前記連通管路103,104によって接続されている(図1も参照)。
なお、前記の室内熱交換器27及び室内ファン77等は、前記エアコンユニット200の筐体に内包されている(図1参照)。
前記冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。なお、冷媒はHFC冷媒やHFO冷媒、二酸化炭素冷媒であってもよい。そして、前記ヒーポン回路部30Aの前記冷媒配管18において、前記配管部18aには、圧縮機14から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ20が設けられ、前記配管部18cには、圧縮機14へ吸入される冷媒の冷媒吸入温度Tinを検出する吸入温度センサ32が設けられている。なお、前記室外熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられ、かつ室外熱交換器17内には、ヒーポン熱交温度Tex(蒸発器として作用している時の蒸発冷媒温度)を検出する熱交温度センサ35が設けられている。これらのセンサ20,32,22,35の検出結果は、ヒートポンプユニット300に設けられたヒーポン制御部410に入力され、さらに適宜、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420やエアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430へも入力される(ヒーポン制御部410を介し受信しても良いし、センサ20,32,22から直接受信してもよい)。
また、前記貯湯回路部30Bの前記冷媒配管25において、前記配管部25cには、前記冷媒側の流路15bから流出し前記膨張弁111に向かう冷媒流出温度T2を検出する流出温度センサ21が設けられている。なお、前記水冷媒熱交換器15には、前記冷媒が前記冷媒側の流路15bにおいて凝縮する際の冷媒凝縮温度を検出する凝縮温度センサ33が設けられている。これらのセンサ21,33の検出結果は、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410やエアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430へも入力される(貯湯制御部420を介し受信しても良いし、センサ21,33から直接受信してもよい)。
また、前記エアコン回路部30Cの前記冷媒配管26に関して、前記室内熱交換器27には、空調対象空間の室内温度Trを検出する室内温度センサ34が設けられている。このセンサ34の検出結果は、エアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、センサ34から直接受信してもよい)。
そして、前記貯湯ユニット100の前記貯湯制御部420、前記ヒートポンプユニット300の前記ヒーポン制御部410、及び、前記エアコンユニット200の前記エアコン制御部430は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、前記貯湯ユニット100、前記ヒートポンプユニット300、前記エアコンユニット200内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、前記二方弁121,122,123,124及び前記膨張弁111,112,113の開閉動作や開度を制御し、冷媒の流れる経路を切り替えることにより、貯湯タンク2内の湯水を加熱して(加熱された湯水の供給)沸上を行う沸上モード(後述)での運転、前記空調対象空間の室内冷房を行う冷房モード(後述)での運転、前記空調対象空間の室内暖房を行う暖房モード(後述)での運転、前記沸上と前記冷房とを並行して行う沸上・冷房モード(後述)での運転、及び、前記沸上と前記暖房とを並行して行う沸上・暖房モード(後述)での運転を選択的に実行することができる。
このとき、前記エアコンユニット200は、リモコン等の適宜の操作部60(以下単に「リモコン60」と称する)によって操作可能である。すなわち、リモコン60は、例えば前記エアコン制御部430に対し情報送受信可能に接続されており、ユーザは、このリモコン60を適宜に手動操作することにより、前記の沸上モード、冷房モード、及び、暖房モードのいずれの運転を行うかを指示することができる。なお、沸上・冷房モード(又は沸上・暖房モード)については、ユーザによりリモコン60を介し前記冷房モード(又は暖房モード)の指示があったとき、貯湯タンク2内における貯湯状況(未加熱水の量など)に応じて、適宜、自動的に沸上・冷房モード(又は沸上・暖房モード)に切り替えられるものである(沸上・冷房モードへの切替については後に詳述)。さらに、このリモコン60における適宜の操作により、前記沸上モード時における強弱(例えば強力沸上モード、通常沸上モード、等)や、前記冷房モード又は暖房モード時におけるエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)やエアコン設定温度Tcon等も指示することができる。これらのリモコン60からの指示内容は、エアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、リモコン60から直接受信してもよい)。
次に、前記ヒートポンプユニット300に備えられた前記ヒーポン制御部410について説明する。ヒーポン制御部410は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。このヒーポン制御部410の機能的構成を図3により説明する。
図3に示すように、前記ヒーポン制御部410は、四方弁制御部410Aと、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dと、モード設定部410Eとを機能的に備えている。
モード設定部410Eには、前記リモコン60により指示された、いずれの運転を行うかの運転指示(沸上モード、冷房モード、暖房モード)と、前記貯湯温度センサ12により検出された前記貯湯温度と、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。モード設定部410Eは、前記運転指示と、前記貯湯温度に対応した前記湯水の加熱状況(貯湯状況)と、前記室内温度Trと、前記エアコン設定温度Tconとに応じて、実際にヒートポンプ給湯機1をどのような運転モード(沸上モード、冷房モード、沸上・冷房モード、暖房モード、沸上・暖房モード)で運転するかを決定する(冷房モード及び沸上・冷房モードの決定の詳細については後述)。そして、モード設定部410Eは、その決定結果に対応する運転情報を、前記四方弁制御部410A、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力する。
四方弁制御部410Aには、モード設定部410Eから、(沸上モード、冷房モード、沸上・冷房モード、暖房モード、及び沸上・暖房モードのいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報が入力される。そして、四方弁制御部410Aは、前記運転情報が表す運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える(詳細な制御内容は後述)。
圧縮機制御部410Bには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tcon及び前記沸上モードとが入力される(直接入力される場合のほか、前記の間接的な入力も含む。以下同様)。圧縮機制御部410Bは、前記のようにしてモード設定部410Eから入力される前記運転情報に応じて、入力された前記の温度及び設定のうち少なくとも1つに基づき、前記圧縮機14の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこのときの圧縮機14の回転数(制御値)は、後述の貯湯制御部420の膨張弁制御部420Bにも出力される(図示省略)。
膨張弁制御部410Cには、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記熱交温度センサ35により検出された前記ヒーポン熱交温度Texとが入力される。膨張弁制御部410Cは、前記モード設定部410Eからの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁113の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードとが入力される。室外ファン制御部410Dは、前記モード設定部410Eからの前記運転情報に対応しつつ、前記外気温度Tair及び前記運転モードに応じて、前記室外ファン67の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記モード設定部410Eは、貯湯制御部420やエアコン制御部430に設けても良い。この場合は、それら貯湯制御部420やエアコン制御部430に備えられたモード設定部410Eから、決定された運転態様に対応した前記運転情報がヒーポン制御部410に入力され、その入力された運転情報に応じて四方弁制御部410A、圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410Dが各種制御を行う。
次に、前記貯湯ユニット100に備えられた前記貯湯制御部420について説明する。貯湯制御部420は、前記ヒーポン制御部410同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図4により説明する。
図4に示すように、前記貯湯制御部420は、ポンプ制御部420Aと、膨張弁制御部420Bと、二方弁制御部420Cとを機能的に備えている。
ポンプ制御部420Aには、前記ヒーポン制御部410(詳細には前記モード設定部410E)からの前記運転情報と、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbとが入力される。ポンプ制御部420Aは、前記のようにしてヒーポン制御部410から入力される(沸上モード、冷房モード、沸上・冷房モード、暖房モード、及び沸上・暖房モードのいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記沸上温度Tbに基づき、前記沸上ポンプ19の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
膨張弁制御部420Bには、前記ヒーポン制御部410(詳細には前記モード設定部410E)からの前記運転情報と、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードと、前記ヒーポン制御部410の前記圧縮機制御部410Bから入力された前記圧縮機14の回転数(制御値。但し公知の手法で検出された実際の圧縮機14の回転数を入力しても良い)と、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutとが入力される。膨張弁制御部420Bは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度やモード設定や回転数のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111,112の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
二方弁制御部420Cには、前記ヒーポン制御部410(詳細には前記モード設定部410E)からの前記運転情報が入力される。二方弁制御部420Cは、前記運転情報に基づき、前記二方弁121,122,123,124の開閉動作を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、貯湯制御部420内(例えば前記二方弁制御部420C)やエアコン制御部430に設けた前記モード設定部410Eで行っても良い。この場合は、それら二方弁制御部420Cやエアコン制御部430で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、ポンプ制御部420A、膨張弁制御部420B、二方弁制御部420Cが各種制御を行う。
次に、前記エアコンユニット200に備えられた前記エアコン制御部430について説明する。エアコン制御部430は、前記ヒーポン制御部410及び貯湯制御部420同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図5により説明する。
図5に示すように、前記エアコン制御部430は、室内ファン制御部430Aを機能的に備えている。
室内ファン制御部430Aには、前記ヒーポン制御部410(詳細には前記モード設定部410E)からの前記運転情報と、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。室内ファン制御部430Aは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に対応しつつ、前記室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて、前記室内ファン77の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、エアコン制御部430内や貯湯制御部420に設けた前記モード設定部410Eで行っても良い。この場合は、それらエアコン制御部430や貯湯制御部420で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、室内ファン制御部430Aが前記制御を行う。
前記したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、沸上モード、冷房モード、暖房モード、沸上・冷房モード、沸上・暖房モードの5種類の運転モードを選択的に実行することができる。以下、各モードの詳細を順次説明する。
まず、図6を用いて、沸上モードについて説明する。この図6に示す沸上モードによる運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18bに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18dに連通させる位置(前記した暖房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態かつ前記膨張弁112が全閉状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bにおいて前記水側の流路15aを流れる水と熱交換を行って前記水に熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。このとき、貯湯タンク2下部に接続された前記加熱往き管5から取り出された低温水(未加熱水)が、水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aにおいて前記凝縮する冷媒から受熱して高温まで加熱された後、貯湯タンク2上部に接続された加熱戻り管6から貯湯タンク2内に戻されることで、貯湯タンク2内に順次高温水(加熱水)が積層状に貯湯される。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合は圧縮機回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上温度Tbが所定の目標温度となるように、フィードバック制御される。すなわち、沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなる(流量が低下する)ように制御され、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなる(流量が増大する)ように制御される。なお、室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁113の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、△H<△Hmの場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁113の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁113の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図7を用いて、暖房モードについて説明する。この図7に示す暖房モードによる運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記沸上モードと同様、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態かつ前記膨張弁112が全開状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述のSH制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する室内熱交換器27において室内空気と熱交換を行って熱を放出し空調対象空間を加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁112を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき決定される。すなわち、複数用意されたエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。なお、沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吸入温度Tinと前記ヒーポン熱交温度Texとの温度差Tin−Texが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御する(SH制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、Tin−Texが小さすぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、Tin−Texが大きすぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図8を用いて、沸上・暖房モードについて説明する。この図8に示す沸上・暖房モードによる運転時においても、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態かつ前記膨張弁112も全開状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の吐出制御が行われている)に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25aを経て2つに分かれ、一方は、配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て配管部25eに至り、他方は、配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)を経て前記配管部25eへと合流する。その後の経路は、配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後に前記のように分流し、前記一方の流れは前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、前記他方の流れは室内熱交換器27(凝縮器として機能)において前記同様に凝縮して室内空気に熱を放出することで空調対象空間を加熱する。前記の熱交換器15,27での凝縮で高圧の液体に変化した冷媒は前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となった後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記暖房モード時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づく決定と、前記沸上モード時と同様の、外気温度Tairに基づく決定とが加味される(詳細は省略)。また前記室外ファン67は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記暖房モード時と同様、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき、各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上モードと同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記暖房モード時と同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように膨張弁113の開度がフィードバック制御(吐出制御)され、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図9を用いて、冷房モードについて説明する。この図9に示す冷房モードによる運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18dに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18bに連通させる位置(前記暖房側とは異なる冷房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、前記暖房モード時と同様、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態に制御されかつ前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述のフィードフォワード制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18d→室外熱交換器17→配管部18e(膨張弁113)→連通管路102→配管部25e→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25a→連通管路101→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、室外ファン67の回転駆動とともに凝縮器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁113を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記暖房モード時と同様、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、エアコン運転モードが例えば強力モードの場合はファン回転数が大きくなるように制御され、通常モードや節電モードの場合はファン回転数が小さくなるように制御される。さらに各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が小さくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、運転状態に応じて可変に制御される。すなわち、前記外気温度Tair及び前記エアコン運転モードと、圧縮機14の回転数とに基づき決定される。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、前記複数のエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、前記外気温度Tairの高低と、前記圧縮機制御部410Bからの圧縮機回転数の高低とを加味して、膨張弁112の開度をフィードフォワード制御する(詳細は省略)。
次に、図10を用いて、沸上・冷房モードについて説明する。この図10に示す沸上・冷房モードによる運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、(前記冷房側ではなく)前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が閉じ状態、二方弁124が開き状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態に制御されるとともに前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25f→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、まず前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、さらに前記膨張弁113を経て、室外ファン67の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記冷房モード時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記冷房運転時と同様、各エアコン運転モードにおいて外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御されるが、適宜の手法によって冷房運転時よりは低回転数に制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上モードや沸上・暖房モードと同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記冷房モード等のときと同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、沸上・冷房モードの運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記沸上モード時の膨張弁制御部410Cによる膨張弁113への制御と同様、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁112の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、△H<△Hmの場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁112の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁112の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁112の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部420Bは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁112の開度を開く方向に制御する。
以上のように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1によれば、冷房モードでの運転と、沸上・冷房モードでの運転が選択的に実行可能である。前記したように、冷房モードでの運転時には、室内熱交換器27において冷媒が蒸発することで室内空気から熱を回収して冷却し、その回収した排熱が室外熱交換器17において外気へ排出される。また沸上・冷房モードでの運転時には、室内熱交換器27において冷媒が蒸発することで室内空気から熱を回収して冷却し、その回収した排熱が水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bに導かれて前記冷媒側の流路15aの水へ放熱することにより、貯湯タンク2への水が加熱される。
ここで、前記したようなユーザのリモコン60の操作により前記冷房モードによる運転が指示されたときであっても、例えば貯湯タンク2内に未加熱水が多くある場合などは、前記冷房モードの運転によって単に前記排熱を外気へ無駄に放出するよりも、前記沸上・冷房モードの運転として前記排熱を貯湯タンク2の水の加熱に使用したほうが有意義である。
そこで、本実施形態のヒートポンプ給湯機1では前記モード設定部410Eが設けられ、このモード設定部410Eが、前記冷房モードでのヒートポンプ給湯機1の起動の際に、前記貯湯タンク2内の貯湯状況に応じて(具体的には貯湯量が後述のしきい値以上であるか否かに応じて)、前記冷房モードのままとするか、あるいは、前記冷房モードから前記沸上・冷房モードに切り替えるか、を決定する(詳細は後述)。
また、前記のようにして沸上・冷房モードに切り替わった後は予め定められた所定量までの沸上が行われるが、通常、前記所定量は貯湯タンク2内の全容量には設定されておらず、前記所定量の沸上が完了した時点であっても、貯湯タンク2内にある程度の未加熱水が残っている場合も多い。そこで、前記沸上・冷房モードでの運転がなされた後、前記沸上が完了した際に、前記貯湯タンク2内の貯湯状況に応じて(具体的には貯湯量が後述のしきい値以上であるか否かに応じて)、前記沸上・冷房モードのままとする(すなわちさらに沸上動作を続行する)か、あるいは、前記沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替えるか、を決定する(詳細は後述)。ここで、前記予め定められた所定量は、ユーザの一日の使用湯量の学習値に応じて適宜に設定される量である。
以上の手法を実現するために、前記モード設定部410Eが実行する制御手順を図11のフローチャートにより説明する。図11において、モード設定部410Eは、まずステップS5で、沸上・冷房モードへの設定を表すフラグFを0に初期化する(すなわち冷房モードに設定する)。その後、ステップS10に移る。
ステップS10では、前記モード設定部410Eは、ヒートポンプ給湯機1が運転開始の準備状態(起動準備状態)となったか否かを判定する。具体的には、起動準備状態とは、例えば、停止状態から起動するために操作者による適宜のヒートポンプ給湯機1の運転開始操作がなされた場合、若しくは、後述の待機状態から復帰してヒートポンプ給湯機1の運転が再び開始(起動)されようとしている場合(詳細は後述)、である。運転開始状態となるまではステップS10の判定が満たされず(S10:No)ループ待機し、運転開始状態となるとステップS10の判定が満たされ(S10:Yes)、ステップS15に移る。
ステップS15では、前記モード設定部410Eは、前記フラグFが1であるか否かを判定する。前記運転モードが冷房モードから沸上・冷房モードに切り替えられた(後述)後で、フラグF=1となっている場合は判定が満たされ(S15:Yes)、後述のステップS50に移る。前記運転モードが冷房モードに設定されたまま(後述)で、フラグF=0である場合は判定が満たされず(S15:No)、ステップS20に移る。
ステップS20では、前記モード設定部410Eは、前記貯湯温度センサ12の検出結果に基づき、公知の手法で貯湯タンク2内の未加熱水の量を算出する。その後、ステップS25に移る。
ステップS25では、モード設定部410Eは、前記ステップS20で算出された未加熱水の量が、予め定めたしきい値(第1しきい値。この例では50リットル)以上であるか否かを判定する。50リットル未満であれば判定が満たされず(S25:No)ステップS30に移る。なお、前記ステップS20における前記未加熱水の量の算出、及び、この算出結果に基づく前記ステップS25の判定は、前記ステップS10の直前(ステップS5とステップS10との間、若しくは、ステップS45からステップS10に戻る場合はステップS45とステップS10との間)に実行するようにしても良い。
ステップS30では、モード設定部410Eは、前記運転モードを「冷房モード」に設定する。これにより、前記したように、この冷房モードに対応した前記運転情報が、モード設定部410Eから、前記四方弁制御部410A、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力され、これによってヒートポンプ給湯機1が図9に示した冷房モードにより起動する。その後、後述のステップS45に移る。
一方、前記ステップS25において、ステップS25で算出された未加熱水の量が50リットル以上であった場合は判定が満たされ(S25:Yes)、ステップS35に移る。ステップS35では、モード設定部410Eは、前記運転モードを「沸上・冷房モード」に設定する。これにより、前記したように、この沸上・冷房モードに対応した前記運転情報が、モード設定部410Eから、前記四方弁制御部410A、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力され、これによってヒートポンプ給湯機1が図10に示した沸上・冷房モードにより起動する。なお、この時点で前記ヒートポンプ給湯機1が冷房モードにより運転されていた場合は、一旦運転停止がなされた後に、運転モードが冷房モードから沸上・冷房モードに切り替わった状態で再起動する。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、モード設定部410Eは、前記フラグFを、沸上・冷房モードであることを表す1にし、ステップS45に移る。
ステップS45では、モード設定部410Eは、ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態となったか否かを判定する。すなわち、上述のような制御の下で沸上・冷房モードでの運転を行って冷房負荷が小さくなると、ヒートポンプ給湯機1を動作させずとも、前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tcon以下に達する場合がある。この場合は、公知の制御によりヒートポンプ給湯機1が停止され、待機状態となる(すなわち、いったんヒートポンプ給湯機1の運転が終了される)。ステップS45では、モード設定部410Eは、ヒートポンプ給湯機1がこの待機状態となったか否かを判定するものである。なおこの待機状態では、前記四方弁制御部410Aの制御により前記四方弁31はヒートポンプ給湯機1の前記停止前の状態を維持し、前記二方弁制御部420Cの制御により前記二方弁121〜124もヒートポンプ給湯機1の前記停止前の状態を維持する。また、前記圧縮機制御部410Bの制御により前記圧縮機14は停止し、前記室外ファン制御部410Dの制御により前記室外ファン67も停止する。また、前記膨張弁制御部410Cの制御により前記膨張弁113は全開状態(=停止開度)とされ、前記膨張弁制御部420Bの制御により前記膨張弁111,112も全開状態(=停止開度)とされる。一方、前記室内ファン制御部430Aの制御により前記室内ファン77は(前記室内温度センサ34の室内温度Trの検出のために)最小回転数にて回転する。運転終了状態(すなわち待機状態)となっていない間はステップS45の判定が満たされず(S45:No)、前記ステップS15に戻り、同様の手順を繰り返す。ヒートポンプ給湯機1が運転終了状態(すなわち待機状態)となっていた場合はステップS45の判定が満たされ(ステップS45:YES)、ステップS10に戻る。このときのステップS10における前記運転開始状態となったか否かの判定は、前記待機状態が解除されたか否かの判定となる。すなわち、前記のようにして前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tcon以下に達して待機状態となった後、再び、前記室内温度Trが前記エアコン設定温度Tcon以上となると、公知の制御によりヒートポンプ給湯機1の運転が再び開始(起動)される。したがってこのときのステップS10では、モード設定部410Eは、ヒートポンプ給湯機1がこのようにして待機状態から復帰して運転再開(再起動)されたか否かを判定するものである。なお、前記のような室内温度Trがエアコン設定温度Tcon以下となってヒートポンプ給湯機1の運転が待機状態となった後に再び開始(起動)される場合と同様、前記ヒートポンプユニット300室外熱交換器17に着霜が生じてヒートポンプ給湯機1の運転が待機状態となった後に再び開始(起動)される場合についても適用するようにしても良い。
一方、前記ステップS15でフラグF=1となっていた場合(すなわち一度前記ステップS35において沸上・冷房モードに設定されていた場合)、前記したようにステップS15の判定が満たされ(S15:Yes)、ステップS50に移る。ステップS50では、モード設定部410Eは、前記貯湯温度センサ12の検出結果に基づき、前記ステップS35において沸上・冷房モードでの運転が開始された後に、予め(例えば貯湯タンク2の容量等に応じて)定められた所定量の沸上げが完了したか否かを判定する。前記所定量の沸上が完了するまでは判定が満たされず(S50:No)ループ待機し、所定量の沸上が完了したら判定が満たされ(S50:Yes)、ステップS55に移る。
ステップS55では、前記ステップS20と同様、前記モード設定部410Eは、前記貯湯温度センサ12の検出結果に基づき貯湯タンク2内の未加熱水の量を算出する。その後、ステップS60に移る。
ステップS60では、モード設定部410Eは、前記ステップS55で算出された未加熱水の量が、予め定めたしきい値(第3しきい値。この例では50リットル)以上であるか否かを判定する。50リットル以上であれば判定が満たされ(S60:No)、前記ステップS45に移る。一方、50リットル未満であれば判定が満たされず(S60:No)、ステップS65に移る。
ステップS65では、モード設定部410Eは、前記ステップS55で算出された未加熱水の量が、予め定めたしきい値(第4しきい値。この例では前記50リットルより小さい25リットル)以上であるか否かを判定する。25リットル未満であれば判定が満たされず(S65:No)、ステップS75に移る。なお、この判定の意義については後述する。
ステップS75では、モード設定部410Eは、前記ステップS30と同様にして、(この時点では前記のように沸上・冷房モードとなっている)前記運転モードを、「冷房モード」に設定(再設定)する。これにより、前記したように、この冷房モードに対応した前記運転情報が、モード設定部410Eから、前記四方弁制御部410A、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力される。すなわち、前記ステップS35と同様、一旦運転停止がなされた後に、運転モードが沸上・冷房モードから冷房モード(図9参照)に切り替わった状態で再起動する。その後、ステップS80に移る。
ステップS80では、モード設定部410Eは、前記フラグFを、冷房モードであることを表す0に戻す。その後、前記ステップS45に移る。
一方、前記ステップS65において、前記ステップS55で算出された未加熱水の量が前記しきい値(25リットル)以上であった場合には判定が満たされ(S65:YES)、ステップS70に移る。
ステップS70では、モード設定部410Eは、前記室内温度センサ34により検出された室内温度Trと、前記リモコン60によるエアコン設定温度Tconとの温度差Tr−Tconが、予め定めたしきい値(第5しきい値。この例では3℃)以上であるか否かを判定する。3℃以上であれば判定が満たされ(S70:YES)、前記ステップS45に移行する。3℃未満であれば判定が満たされず(S70:NO)、前記ステップS75に移行する。なお、この判定の意義については後述する。
なお、図示を省略しているが、以上の各手順における任意のタイミングで、操作者による適宜のヒートポンプ給湯機1の運転終了操作がなされた場合には、このフローは終了され、ヒートポンプ給湯機1が停止する。
以上の各手順において、前記のステップS20及びステップS55を実行するモード設定部410Eが未加熱水算出手段として機能し、ステップS25、ステップS30、ステップS35、ステップS40を実行するモード設定部410Eが第1モード決定手段として機能し、ステップS60、ステップS65、ステップS70、ステップS75、ステップS80を実行するモード設定部410Eが第2モード決定手段として機能する。このとき、前記したようにステップS30、ステップS35、ステップS75における各モード設定によりヒートポンプ給湯機1が起動することから、これらステップS30、ステップS35、ステップS75を実行するモード設定部410Eは起動手段としても機能する。
以上説明したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1によれば、冷房モードでのヒートポンプ給湯機1の起動の際に、前記貯湯タンク2内の貯湯状況に応じて、前記冷房モードのままとするか、あるいは、前記冷房モードから前記沸上・冷房モードに切り替えるかを決定し、その決定されたモードによりヒートポンプ給湯機1が起動される(ステップS25、ステップS30、ステップS35参照)。これにより、貯湯タンク2内に未加熱水が多くあった場合などにおいては、(例えば前記リモコン60による操作者の指示が冷房モードであったとしても)前記沸上・冷房モードの運転として(ステップS30参照)、前記排熱を貯湯タンク2の水の加熱に有効利用することができる。
また、本実施形態では特に、貯湯タンク内2の未加熱水の量が算出されて(ステップS20参照)、未加熱水の量の大小に応じて、前記モード決定が行われる。これにより、貯湯タンク内に未加熱水が比較的多くある場合(算出された未加熱水の量が多い場合)に、前記沸上・冷房モードの運転として、前記排熱を確実に有効利用することができる。
また、例えば、前記沸上・冷房モードの運転時における沸上が終了して前記冷房モードに戻る場合、通常、前記圧縮機14の動作を一旦停止させ、各種の弁の切り替えなどを行った後、圧縮機14を再起動させる必要がある。このことを図12により説明する。
例えば図12(a)に示すように、前記圧縮機14は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記圧縮機制御部410Bによる設定回転数で駆動している状態から、前記圧縮機制御部410Bの制御により、いったん停止される。その後、予め定められた適宜の停止時間(この例では、圧縮機再起動禁止時間としての3分)が経過したら、前記圧縮機14は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、比較的低く設定された所定の起動回転数で駆動開始した後、前記冷房モードにおける前記圧縮機制御部410Bによる設定回転数で駆動する。
また、図12(b)に示すように、前記室外ファン67は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記室外ファン制御部410Dによる設定回転数で回転している状態から、前記室外ファン制御部410Dの制御により、いったん停止される。その後、前記停止時間(この例では3分)が経過したら、前記室外ファン67は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、比較的低く設定された所定の起動回転数で回転開始した後、前記冷房モードにおける前記室外ファン制御部410Dによる設定回転数で回転する。
また、図12(c)に示すように、前記膨張弁113は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記膨張弁制御部410Cの制御による全開状態から、いったん停止開度(略全開状態)とされる。その後、前記停止時間(この例では3分)が経過したら、前記膨張弁113は、前記冷房モードにおける前記膨張弁制御部410Cの制御により、再び全開状態とされる。
また、図12(d)に示すように、前記膨張弁112は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記膨張弁制御部420Bの△H制御による設定開度から、前記膨張弁制御部420Bの制御により、いったん停止開度(略全開状態)とされる。その後、前記停止時間(この例では3分)が経過したら、前記膨張弁112は、前記膨張弁制御部420Bの制御により、比較的大きく設定された所定の初期開度とされた後、前記冷房モードにおける前記膨張弁制御部420Bの前記FF制御による設定開度とされる。
また、図12(e)に示すように、前記膨張弁111は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記膨張弁制御部420Bの制御による全開状態から、いったん停止開度(略全開状態)とされる。その後、前記停止時間(この例では3分)が経過したら、前記膨張弁113は、前記冷房モードにおける前記膨張弁制御部420Bの制御により、全閉状態とされる。
また、図12(f)に示すように、前記四方弁31は、前記沸上・冷房モードにおいては、前記四方弁制御部410Aの制御による前記暖房側への切替状態である。そして前記モード切替の際には、前記停止時間(この例では3分)の間、そのまま前記暖房側への切替状態が維持される。そして、前記停止時間が経過したら、前記四方弁31は、前記四方弁制御部420Bの制御により、前記冷房モードのため、前記冷房側への切替状態へ切り替えられる。
また、図12(g)に示すように、前記二方弁121,124は、前記沸上・冷房モードにおいては、前記二方弁制御部420Cの制御により開き状態に切り替えられている。そして前記モード切替の際には、前記停止時間(この例では3分)の間、そのまま前記開き状態が維持される。そして、前記停止時間が経過したら、前記二方弁121,124は、前記二方弁制御部420Cの制御により、前記冷房モードのため、前記閉じ状態へと切り替えられる。
また、図12(h)に示すように、前記二方弁122,123は、前記沸上・冷房モードにおいては、前記二方弁制御部420Cの制御により閉じ状態に切り替えられている。そして前記モード切替の際には、前記停止時間(この例では3分)の間、そのまま前記閉じ状態が維持される。そして、前記停止時間が経過したら、前記二方弁122,123は、前記二方弁制御部420Cの制御により、前記冷房モードのため、前記開き状態へと切り替えられる。
また、図12(i)に示すように、前記室内ファン77は、前記モード切替の際には、前記沸上・冷房モードにおける前記室内ファン制御部430Aによる設定回転数で回転している状態から、前記室内ファン制御部430Aの制御により、いったん停止される。その後、前記停止時間(この例では3分)が経過したら、前記室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記冷房モードにおける前記室内ファン制御部430Aによる設定回転数で回転する。
以上のように、前記沸上・冷房モードから前記冷房モードに戻る場合には、前記圧縮機14の動作を停止させてファン67,77や膨張弁111〜113や四方弁31や二方弁121〜124の切り替えを行った後、圧縮機14を再起動させる必要がある。ここで、例えば前記のようにして算出された未加熱水の量が少なかった場合(後述の変形例において沸上時間が短かった場合も同様)には、沸上・冷房モードによって起動した後すぐに沸上が完了して前記圧縮機14の停止時間を迎えてしまい、前記停止時間(前記の例では3分)の間に不用意な室温上昇を招き室内の快適性を阻害する恐れがある。
本実施形態では特に、ステップS25の判定に基づきモード決定が行われることで、貯湯タンク2内の未加熱水が比較的少ない場合には、前記沸上・冷房モードに切り替えず前記冷房モードのままの運転として(ステップS30参照)、前記室温上昇を確実に防止することができる。また、前記したような非常に煩雑なファン67,77や膨張弁111〜113や四方弁31や二方弁121〜124の切り替えがあまり意味もなく行われるのを防止することもできる。
また、本実施形態では特に、未加熱水の量が前記第1しきい値(前記の例では50リットル。ステップS25参照)以上の場合に前記沸上・冷房モードの運転とすることで、前記排熱を確実に有効利用した沸上を実行することができ、未加熱水の量が前記第1しきい値未満の場合に前記冷房モードのままの運転とすることで、前記室温上昇を確実に防止できる。
また、本実施形態では特に、前記沸上・冷房モードでの運転がなされた後、前記所定量の沸上が完了した際に、前記貯湯タンク2内の貯湯状況に応じて(具体的には貯湯量がしきい値以上であるか否かに応じて)、前記沸上・冷房モードのままとする(すなわちさらに沸上動作を続行する)か、あるいは、前記沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替えるかを決定する(ステップS55、ステップS60参照)。これにより、前記所定量の沸上が完了したときであっても貯湯タンク2内に未加熱水がまだ比較的多くある場合などにおいては、(前記のように冷房モードに戻すことなく)引き続き前記沸上・冷房モードの運転として、前記排熱を貯湯タンク2の水の加熱に有効利用することができる。
また、本実施形態では特に、前記沸上・冷房モードでの運転がなされた後、前記所定量の沸上が完了した際に、前記貯湯タンク2内の未加熱水の量が算出される。そして未加熱水の量の大小に応じてモード決定が行われる(ステップS60参照)。これにより、貯湯タンク2内に未加熱水が比較的多くある場合(算出された未加熱水の量が多い場合)に、前記沸上・冷房モードのままの運転として、前記排熱を確実に有効利用することができる。
また、貯湯タンク2内の未加熱水が比較的少ない場合(算出された未加熱水の量が少ない場合)には、前記沸上・冷房モードのまま運転しても短時間のうちに沸上完了してしまい冷房モードへの切り替えがいずれにしても必要になるとみて、早めのタイミングにて沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替えを実行可能となる(前記ステップS65参照)。
また、本実施形態では特に、算出された前記未加熱水の量が第3しきい値(前記の例では50リットル。ステップS60参照) 未満であったことを契機に、前記沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替え、算出された前記未加熱水の量が前記第3しきい値以上であれば、前記沸上・冷房モードのままとする。未加熱水の量が前記第3しきい値以上の場合に前記沸上・冷房モードのままの運転とすることで、前記排熱を確実に有効利用した沸上を実行することができ、未加熱水の量が前記第3しきい値未満の場合に(いずれ必要となる)前記冷房モードへの切り替えを確実に実行可能となる(ステップS75参照)。
前記図12を用いて説明したように、モード切替の際には前記圧縮機14の停止時間のために室温上昇を招く。特に室内空気の実際値(すなわち前記室内温度Tr)とユーザによる室内空気の設定温度(すなわち前記エアコン設定温度Tcon)との温度差が大きい場合には余り冷えていない状態での冷却中断によって快適性を大きく阻害する恐れがある。そこで、本実施形態では特に、前記のように未加熱水の量が前記第3しきい値未満の場合であったとしてもそれより小さい適宜の第4しきい値(前記の例では25リットル。ステップS65参照)以上であって(これによって沸上完了までの沸上時間がある程度は確保されることとなる)、かつ前記温度差Tr−Tconが所定の第5しきい値(前記の例では3℃。ステップS70参照)以上である場合には、前記沸上・冷房モードのままの運転とすることで、前記快適性の低下を確実に防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、図11のステップS20及びステップS55で未加熱水の量を算出し、その算出された量と所定のしきい値(前記の第1しきい値、第3しきい値、第4しきい値、第5しきい値)との大小を用いて前記ステップS25、ステップS60、ステップS65、ステップS70におけるモード設定のための判定を行った。これに代えて、未加熱水を所定の沸上温度まで沸き上げるための時間を見積もり、その見積もられた時間を用いて前記の判定を行うようにしてもよい。
そのような変形例における前記モード設定部410Eが実行する制御手順を、前記図11に対応する図13のフローチャートに示す。図13と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。図13に示すように、このフローでは、前記図11のステップS20、ステップS25、ステップS55、ステップS60、ステップS65、ステップS70に代えて、新たに、ステップS20A、ステップS25A、ステップS55A、ステップS60A、ステップS65A、ステップS70Aが設けられる。
ステップS20Aでは、前記モード設定部410Eは、前記貯湯温度センサ12の検出結果に基づき、公知の手法で貯湯タンク2内の未加熱水の量を算出し、その算出した量の未加熱水を、前記した所定の目標温度まで沸き上げるための沸き上げ時間を予測して算出する。ここでは、前記算出した量の未加熱水を前記所定の目標温度まで沸き上げるのに必要な熱量を、予め学習していた平均冷房能力(目標室温となる前記エアコン設定温度Tconと検出室温である前記室内温度Trとの差から算出)で除した値に基づき、沸き上げ時間を予測算出するようにしている。
その後のステップS25Aでは、モード設定部410Eは、前記ステップS20Aで算出された未加熱水の沸き上げ時間が、予め定めたしきい値(第2しきい値。この例では40分)以上であるか否かを判定する。40分未満であれば判定が満たされず(S25A:No)前記ステップS30に移り、40分以上であれば判定が満たされ(S25A:Yes)前記ステップS35に移る。以降、ステップS30、ステップS35、ステップS45については図11で前記したものと同様の処理である。
また、ステップS55Aでは、前記ステップS20Aと同様、前記モード設定部410Eは、前記貯湯温度センサ12の検出結果に基づき、公知の手法で貯湯タンク2内の未加熱水の量を算出し、その算出した量の未加熱水を、前記した所定の目標温度まで沸き上げるための沸き上げ時間を予測して算出する。その後のステップS60Aでは、モード設定部410Eは、前記ステップS55Aで算出された未加熱水の沸き上げ時間が、予め定めたしきい値(第6しきい値。この例では40分)以上であるか否かを判定する。40分以上であれば判定が満たされ(S60A:No)、前記ステップS45に移る。一方、40分未満であれば判定が満たされず(S60A:No)、ステップS65Aに移る。
ステップS65Aでは、モード設定部410Eは、前記ステップS55Aで算出された未加熱水の沸き上げ時間が、予め定めたしきい値(上記第6しきい値より小さい第7しきい値。この例では前記40分より短い20分)以上であるか否かを判定する。20分未満であれば判定が満たされず(S65A:No)、ステップS75に移る。以降、ステップS75及びステップS80については図11で前記したものと同様の処理である。
一方、前記ステップS65Aにおいて、前記ステップS55Aで算出された未加熱水の沸き上げ時間が前記しきい値(20分)以上であった場合には判定が満たされ(S65A:YES)、ステップS70Aに移る。ステップS70Aでは、モード設定部410Eは、図11のステップS70と同様、前記室内温度Trと、前記エアコン設定温度Tconとの温度差Tr−Tconが、予め定めたしきい値(第8しきい値。この例では図11と同じ3℃。但し図11とは異なる値としても良い)以上であるか否かを判定する。3℃以上であれば判定が満たされ(S70A:YES)、前記ステップS45に移行する。3℃未満であれば判定が満たされず(S70A:NO)、前記ステップS75に移行する。
以上のように構成した本変形例においても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、前記貯湯タンク2内の未加熱水を所定温度にするための沸上時間が算出されて(ステップS20A参照)、沸上時間の長短に応じて、前記モード決定が行われる。これにより、貯湯タンク内に未加熱水が比較的多くある場合(算出された沸上時間が長い場合)に、前記沸上・冷房モードの運転として、前記排熱を確実に有効利用することができる。
また、ステップS25Aの判定に基づきモード決定が行われることで、貯湯タンク2内の未加熱水が比較的少ない場合(算出された前記沸上時間が短い場合)には、前記沸上・冷房モードに切り替えず前記冷房モードのままの運転として(ステップS30参照)、前記室温上昇を確実に防止することができる。
また、本変形例では特に、未加熱水の前記沸き上げ時間が前記第2しきい値(前記の例では40分。ステップS25A参照)以上の場合に前記沸上・冷房モードの運転とすることで、前記排熱を確実に有効利用した沸上を実行することができ、沸き上げ時間が前記第2しきい値未満の場合に前記冷房モードのままの運転とすることで、前記室温上昇を確実に防止できる。
また、本変形例では特に、前記沸上・冷房モードでの運転がなされた後、前記所定量の沸上が完了した際に、前記貯湯タンク2内の未加熱水を所定温度にするための沸上時間が算出される。そして沸上時間の長短に応じてモード決定が行われる(ステップS60A参照)。これにより、貯湯タンク2内に未加熱水が比較的多くある場合(算出された沸上時間が長い場合)に、前記沸上・冷房モードのままの運転として、前記排熱を確実に有効利用することができる。
また、貯湯タンク2内の未加熱水が比較的少ない場合(算出された沸上時間が短い場合)には、前記沸上・冷房モードのまま運転しても短時間のうちに沸上完了してしまい冷房モードへの切り替えがいずれにしても必要になるとみて、早めのタイミングにて沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替えを実行可能となる(前記ステップS65A参照)。
また、本変形例では特に、算出された前記沸き上げ時間が第6しきい値(前記の例では40分。ステップS60A参照) 未満であったことを契機に、前記沸上・冷房モードから前記冷房モードに切り替え、算出された前記沸き上げ時間が前記第6しきい値以上であれば、前記沸上・冷房モードのままとする。沸き上げ時間が前記第6しきい値以上の場合に前記沸上・冷房モードのままの運転とすることで、前記排熱を確実に有効利用した沸上を実行することができ、沸き上げ時間が前記第6しきい値未満の場合に(いずれ必要となる)前記冷房モードへの切り替えを確実に実行可能となる(ステップS75参照)。
また、本変形例では特に、前記のように沸き上げ時間が前記第6しきい値未満の場合であったとしてもそれより小さい適宜の第7しきい値(前記の例では20分。ステップS65A参照)以上であって(これによって沸上完了までの沸上時間がある程度は確保されることとなる)、かつ前記温度差Tr−Tconが所定の第8しきい値(前記の例では3℃。ステップS70A参照)以上である場合には、前記沸上・冷房モードのままの運転とすることで、前記快適性の低下を確実に防止することができる。
さらに、本発明は以上の態様に限定されることなく、例えば、前記二方弁121〜124のうち少なくとも1つを、閉止機能付きの膨張弁で置き換えても良い。また、前記膨張弁111〜113に代え、減圧器としてエジェクターを用いても良い。