以下、本発明の一実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。
本実施形態の冷房機能付き(但し暖房機能も付属している)ヒートポンプ給湯機1の主要なユニットの外観構成を図1に示す。図1において、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、貯湯タンク2(後述の図2等参照)を備えた貯湯ユニット100と、室外機としてのヒートポンプユニット300と、室内機としてのエアコンユニット200とを有している。
本実施形態のヒートポンプ給湯機1全体の回路構成を図2に示す。図2に示すように、前記貯湯ユニット100は、冷媒を流通させる冷媒側の流路15bと水側の流路15aとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15と、沸上ポンプ19と、を備えている。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが湯水配管としての加熱往き管5及び加熱戻り管6によって環状に接続され、前記貯湯ユニット100内で湯水循環回路としての加熱循環回路4が形成されている。
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記沸上ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、貯湯タンク2の湯水を循環させる。なお、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する入水温度T1(湯水の入口温度)を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する沸上温度Tbを検出する沸上温度センサ24が設けられている。
貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯水の温度(貯湯温度)をそれぞれ検出し前記湯水の加熱状況(言い替えれば貯湯状況)を検知するための貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続され、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。
一方、前記水冷媒熱交換器15における熱交換(詳細は後述)によって前記貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路30が、前記ヒートポンプユニット300、前記貯湯ユニット100、及び前記エアコンユニット200にわたって設けられている。前記冷媒循環回路30は、前記ヒートポンプユニット300内に配置されたヒーポン回路部30Aと、前記貯湯ユニット100内に配置された貯湯回路部30Bと、前記エアコンユニット200内に配置されたエアコン回路部30Cとを含んでいる。
前記ヒーポン回路部30Aは、前記冷媒の流路となる冷媒配管18を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)するヒートポンプ熱交換器としての室外熱交換器17とが、前記冷媒配管18によって接続されている。なお、室外熱交換器17には、前記室外熱交換器17に外気を通じるための送風ファンとしての室外ファン67が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管18は、圧縮機14の吐出側となる配管部18aと、沸上運転時(後述の図6参照)等において前記四方弁31を介し前記配管部18aに接続される配管部18bとを含んでいる。前記配管部18bは、ヒートポンプユニット300外への出口となる接続口68aにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路101に連通している。
また前記冷媒配管18は、前記圧縮機14の吸入側となる配管部18cと、沸上運転時(後述の図6参照)等において前記室外熱交換器17の圧縮機14側(言い替えれば前記沸上運転時等における出口側、以下同様。後述の図6等参照)を前記四方弁31を介し前記配管部18cに接続する配管部18dと、前記室外熱交換器17の反圧縮機14側(言い替えれば前記沸上運転時等における入口側、以下同様。後述の図6等参照)に接続される配管部18eとを含んでいる。前記配管部18eは膨張弁113を備えており、前記接続口68aとは別の接続口68bにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記貯湯ユニット100とを接続する連通管路102に連通している。
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)前記配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの前記配管部18a,18c用の2つのポートのいずれを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。例えば四方弁31は、後述する図6の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「暖房側への切替」等と称する)は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18aを前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部18bに連通させ、後述する図9の状態に切り替えられた場合(以下適宜、「冷房側への切替」等と称する)は、前記配管部18aを前記室外熱交換器17側である前記配管部18dに連通させる。
なお、前記の圧縮機14、四方弁31、室外熱交換器17、室外ファン67、及び膨張弁113等は、前記ヒートポンプユニット300の筐体に内包されている(図1参照)。
前記貯湯回路部30Bは、前記冷媒の流路となる冷媒配管25を備えており、前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bが、前記冷媒配管25に接続されている。
詳細には、前記冷媒配管25は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口75aにおいて前記連通管路101に連通する配管部25aと、前記配管部25aから分岐して接続されるとともに、反配管部25a側が前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の入口側に接続される配管部25bと、前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の出口側に接続される配管部25cとを含んでいる。前記配管部25bは、前記四方弁31と前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部25bを開閉可能な二方弁121を備えており、前記配管部25cは全閉機能付きの膨張弁111を備えている。
また前記冷媒配管25は、前記配管部25b同様、前記配管部25aから分岐して接続される配管部25dを含んでいる。前記配管部25dの反配管部25a側は、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95aにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路104に連通している。
さらに前記冷媒配管25は、前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側から分岐して接続されるとともに、反配管部25c側が、前記接続口75aとは別の接続口75bにおいて前記連通管路102に連通する配管部25eと、前記配管部25dと前記配管部25eとを連通する配管部25fと、前記配管部25e同様に前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側から分岐して接続されるとともに、貯湯ユニット100外への出口となる接続口95bにおいて、前記貯湯ユニット100と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路103に連通する配管部25gとを含んでいる。前記配管部25dは、前記配管部25aとの接続点と前記配管部25fとの接続点の間に配管部25dを開閉可能な二方弁122を備えており、前記配管部25eは、前記配管部25gとの接続点と前記配管部25fとの接続点の間に配管部25eを開閉可能な二方弁123を備えており、前記配管部25fは、配管部25fを開閉可能な二方弁124を備えており、前記配管部25gは減圧器としての全閉機能付きの膨張弁112を備えている。この結果、前記二方弁123は、前記膨張弁113と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備え、前記膨張弁111は、前記水冷媒熱交換器15の出口側と前記膨張弁112との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路101は、前記二方弁121,122と前記四方弁31とを連通する機能を備え、前記連通管路102は、前記二方弁123,124と前記膨張弁113とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とヒートポンプユニット300とは、前記連通管路101,102によって接続されている(図1も参照)。
なお、前記の二方弁121,122,123,124、膨張弁111,112、水冷媒熱交換器15、及び貯湯タンク2等は、前記貯湯ユニット100の筐体に内包されている(図1参照)。なお、前記膨張弁112は後述の配管部26b(すなわち前記エアコンユニット200の筐体内)に設けても良い。
前記エアコン回路部30Cは、前記冷媒の流路となる冷媒配管26を備えており、前記冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)する室内熱交換器27が前記冷媒配管26に接続されている。なお、室内熱交換器27には、前記室内熱交換器27に室内空気を通じるための室内ファン77(冷房運転時及び沸上・冷房運転時において冷却ファンとして機能)が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管26は、エアコンユニット200外への出口となる接続口76aにおいて前記連通管路104に連通するとともに、反連通管路104側が前記室内熱交換器27の前記接続口76a側(言い替えれば暖房運転時等における入口側、以下同様。後述の図7等参照)に接続される配管部26aと、前記接続口76aとは別の接続口76bにおいて前記連通管路103に連通するとともに、反連通管路103側が前記室内熱交換器27の前記接続口76b側(言い替えれば暖房運転時等における出口側、以下同様。後述の図7等参照)に接続される配管部26bとを含んでいる。この結果、前記二方弁122は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと圧縮機14との間の管路を開閉する機能を備え、前記二方弁124は、前記室内熱交換器27の反膨張弁112側である前記配管部26aと前記膨張弁113との間の管路を開閉する機能を備える。また、前記連通管路103は、前記膨張弁112と前記室内熱交換器27の前記膨張弁112側とを連通する機能を備え、前記連通管路104は、前記二方弁122,124と前記室内熱交換器27の反膨張弁112側とを連通する機能を備える。言い換えれば、貯湯ユニット100とエアコンユニット200とは、前記連通管路103,104によって接続されている(図1も参照)。
なお、前記の室内熱交換器27及び室内ファン77等は、前記エアコンユニット200の筐体に内包されている(図1参照)。
前記冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。なお、冷媒はHFC冷媒やHFO冷媒、二酸化炭素冷媒であってもよい。そして、前記ヒーポン回路部30Aの前記冷媒配管18において、前記配管部18aには、圧縮機14から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ20が設けられ、前記配管部18cには、圧縮機14へ吸入される冷媒の冷媒吸入温度Tinを検出する吸入温度センサ32が設けられている。なお、前記室外熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられ、かつ室外熱交換器17内には、ヒーポン熱交温度Tex(蒸発器として作用している時の蒸発冷媒温度)を検出する熱交温度センサ35が設けられている。これらのセンサ20,32,22,35の検出結果は、ヒートポンプユニット300に設けられたヒーポン制御部410に入力され、さらに適宜、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420やエアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430へも入力される(ヒーポン制御部410を介し受信しても良いし、センサ20,32,22から直接受信してもよい)。
また、前記貯湯回路部30Bの前記冷媒配管25において、前記配管部25cには、前記冷媒側の流路15bから流出し前記膨張弁111に向かう冷媒流出温度T2を検出する流出温度センサ21が設けられている。なお、前記水冷媒熱交換器15には、前記冷媒が前記冷媒側の流路15bにおいて凝縮する際の冷媒凝縮温度を検出する凝縮温度センサ33が設けられている。これらのセンサ21,33の検出結果は、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410やエアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430へも入力される(貯湯制御部420を介し受信しても良いし、センサ21,33から直接受信してもよい)。
また、前記エアコン回路部30Cの前記冷媒配管26に関して、前記室内熱交換器27には、空調対象空間の室内温度Trを検出する検出手段としての室内温度センサ34が設けられている。これらのセンサ34の検出結果は、エアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、センサ34から直接受信してもよい)。
そして、前記貯湯ユニット100の前記貯湯制御部420、前記ヒートポンプユニット300の前記ヒーポン制御部410、及び、前記エアコンユニット200の前記エアコン制御部430は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、前記貯湯ユニット100、前記ヒートポンプユニット300、前記エアコンユニット200内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、前記二方弁121,122,123,124及び前記膨張弁111,112,113の開閉動作や開度を制御し、冷媒の流れる経路を切り替えることにより、貯湯タンク2内の湯水を加熱して(加熱された湯水の供給)沸上を行う沸上運転、前記空調対象空間の室内冷房を行う冷房運転、前記空調対象空間の室内暖房を行う暖房運転、前記沸上と前記冷房とを並行して行う沸上・冷房運転、及び、前記沸上と前記暖房とを並行して行う沸上・暖房運転を選択的に実行することができる。
このとき、前記エアコンユニット200は、リモコン等の適宜の操作部60(以下単に「リモコン60」と称する)によって操作可能である。すなわち、リモコン60は、例えば前記エアコン制御部430に対し情報送受信可能に接続されており、ユーザは、このリモコン60を適宜に手動操作することにより、前記の沸上運転、冷房運転、及び、暖房運転のいずれの運転を行うかを指示することができる。なお、沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)については、ユーザによりリモコン60を介し前記冷房運転(又は暖房運転)の指示があったとき、貯湯タンク2内における貯湯状況(未加熱水の量など)に応じて、適宜、自動的に沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)に切り替えられるものである。さらに、このリモコン60における適宜の操作により、前記沸上運転時における沸上モード(例えば強力沸上モード、通常沸上モード、等)や、前記冷房運転又は暖房運転時におけるエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)やエアコン設定温度Tcon等も指示することができる。これらのリモコン60からの指示内容は、エアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、リモコン60から直接受信してもよい)。
次に、前記ヒートポンプユニット300に備えられた前記ヒーポン制御部410について説明する。ヒーポン制御部410は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。このヒーポン制御部410の機能的構成を図3により説明する。
図3に示すように、前記ヒーポン制御部410は、四方弁制御部410Aと、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dとを機能的に備えている。
四方弁制御部410Aには、前記リモコン60により指示された、いずれの運転を行うかの運転指示(沸上運転、冷房運転、暖房運転)と、前記貯湯温度センサ12により検出された前記貯湯温度とが入力される。四方弁制御部410Aは、前記運転指示と、前記貯湯温度に対応した前記湯水の加熱状況(貯湯状況)とに応じて、実際にヒートポンプ給湯機1をどのような運転態様(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、沸上・暖房運転)で運転するかを決定し、対応する運転情報を、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力する。また四方弁制御部410Aは、上記決定された運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える(詳細な制御内容は後述)。
圧縮機制御部410Bには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tcon及び前記沸上モードとが入力される(直接入力される場合のほか、前記の間接的な入力も含む。以下同様)。圧縮機制御部410Bは、前記のようにして四方弁制御部410Aから入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記の温度及び設定のうち少なくとも1つに基づき、前記圧縮機14の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこのときの圧縮機14の回転数(制御値)は、後述の貯湯制御部420の膨張弁制御部420Bにも出力される(図示省略)。
膨張弁制御部410Cには、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記熱交温度センサ35により検出された前記ヒーポン熱交温度Texとが入力される。膨張弁制御部410Cは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁113の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードと、後述のエアコン制御部430の室内ファン制御部430Aから出力された前記室内ファン77の目標回転数N1(詳細は後述)が入力される。室外ファン制御部410Dは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に対応しつつ、前記外気温度Tair、前記運転モード、及び前記室内ファン77の目標回転数N1に応じて、前記室外ファン67に対し、目標回転数N2(以下適宜、単に「室外ファン回転数N2」という。図示も同様)に対応した駆動制御信号を出力し、これによって室外ファン67の回転数を可変に制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記運転態様の決定は、貯湯制御部420やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら貯湯制御部420やエアコン制御部430から、決定された運転態様に対応した前記運転情報がヒーポン制御部410に入力され、その入力された運転情報に応じて四方弁制御部410A、圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410Dが各種制御を行う。
次に、前記貯湯ユニット100に備えられた前記貯湯制御部420について説明する。貯湯制御部420は、前記ヒーポン制御部410同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図4により説明する。
図4に示すように、前記貯湯制御部420は、ポンプ制御部420Aと、膨張弁制御部420Bと、二方弁制御部420Cとを機能的に備えている。
ポンプ制御部420Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbとが入力される。ポンプ制御部420Aは、前記のようにしてヒーポン制御部410から入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記沸上温度Tbに基づき、前記沸上ポンプ19の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
膨張弁制御部420Bには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードと、前記ヒーポン制御部410の前記圧縮機制御部410Bから入力された前記圧縮機14の回転数(制御値。但し公知の手法で検出された実際の圧縮機14の回転数を入力しても良い)と、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記吸入温度センサ32により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutとが入力される。膨張弁制御部420Bは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度やモード設定や回転数のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111,112の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
二方弁制御部420Cには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報が入力される。二方弁制御部420Cは、前記運転情報に基づき、前記二方弁121,122,123,124の開閉動作を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、貯湯制御部420内(例えば前記二方弁制御部420C)やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら二方弁制御部420Cやエアコン制御部430で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、ポンプ制御部420A、膨張弁制御部420B、二方弁制御部420Cが各種制御を行う。
次に、前記エアコンユニット200に備えられた前記エアコン制御部430について説明する。エアコン制御部430は、前記ヒーポン制御部410及び貯湯制御部420同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図5により説明する。
図5に示すように、前記エアコン制御部430は、室内ファン制御部430Aを機能的に備えている。
室内ファン制御部430Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。室内ファン制御部430Aは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に対応しつつ、前記室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに応じて、前記室内ファン77に対し、前記目標回転数N1(以下適宜、単に「室内ファン回転数N1」という。図示も同様)に対応した駆動制御信号を出力し、これによって室内ファン77の回転数を可変に制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこの室内ファン回転数N1は、前記したように、前記ヒーポン制御部410の前記室外ファン制御部410Dへも出力される。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、エアコン制御部430内や貯湯制御部420で行っても良い。この場合は、それらエアコン制御部430や貯湯制御部420で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、室内ファン制御部430Aが前記制御を行う。
前記したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、沸上運転、冷房運転、暖房運転、沸上・冷房運転、沸上・暖房運転の5種類の運転を選択的に実行することができる。以下、各運転の詳細を順次説明する。
まず、図6を用いて、沸上運転について説明する。この図6に示す沸上運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18bに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18dに連通させる位置(前記した暖房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態かつ前記膨張弁112が全閉状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bにおいて前記水側の流路15aを流れる水と熱交換を行って前記水に熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。このとき、貯湯タンク2下部に接続された前記加熱往き管5から取り出された低温水(未加熱水)が、水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aにおいて前記凝縮する冷媒から受熱して高温まで加熱された後、貯湯タンク2上部に接続された加熱戻り管6から貯湯タンク2内に戻されることで、貯湯タンク2内に順次高温水(加熱水)が積層状に貯湯される。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合は圧縮機回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上温度Tbが所定の目標温度となるように、フィードバック制御される。すなわち、沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなる(流量が低下する)ように制御され、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなる(流量が増大する)ように制御される。なお、室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁113の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、△H<△Hmの場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁113の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁113の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図7を用いて、暖房運転について説明する。この図7に示す暖房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記沸上運転と同様、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態かつ前記膨張弁112が全開状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述のSH制御が行われている)に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する室内熱交換器27において室内空気と熱交換を行って熱を放出し空調対象空間を加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁112を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき決定される。すなわち、複数用意されたエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。なお、沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、暖房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吸入温度Tinと前記ヒーポン熱交温度Texとの温度差Tin−Texが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御する(SH制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、Tin−Texが小さすぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、Tin−Texが大きすぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図8を用いて、沸上・暖房運転について説明する。この図8に示す沸上・暖房運転時においても、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態かつ前記膨張弁112も全開状態に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の吐出制御が行われている)に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25aを経て2つに分かれ、一方は、配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て配管部25eに至り、他方は、配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)を経て前記配管部25eへと合流する。その後の経路は、配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後に前記のように分流し、前記一方の流れは前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、前記他方の流れは室内熱交換器27(凝縮器として機能)において前記同様に凝縮して室内空気に熱を放出することで空調対象空間を加熱する。前記の熱交換器15,27での凝縮で高圧の液体に変化した冷媒は前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となった後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記暖房運転時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づく決定と、前記沸上運転時と同様の、外気温度Tairに基づく決定とが加味される(詳細は省略)。また前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記暖房運転時と同様、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき、各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上運転と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記暖房運転時と同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上・暖房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように膨張弁113の開度がフィードバック制御(吐出制御)され、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
次に、図9を用いて、冷房運転について説明する。この図9に示す冷房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18aを前記配管部18dに連通させると共に前記配管部18cを前記配管部18bに連通させる位置(前記暖房側とは異なる冷房側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、前記暖房運転時と同様、二方弁121が閉じ状態、二方弁122が開き状態、二方弁123が開き状態、二方弁124が閉じ状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全閉状態に制御されかつ前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述のフィードフォワード制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18d→室外熱交換器17→配管部18e(膨張弁113)→連通管路102→配管部25e→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25a→連通管路101→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18cの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、室外ファン67の回転駆動とともに凝縮器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁113を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記暖房運転時と同様、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、エアコン運転モードが例えば強力モードの場合はファン回転数が大きくなるように制御され、通常モードや節電モードの場合はファン回転数が小さくなるように制御される。さらに各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が小さくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。すなわち、前記外気温度Tair及び前記エアコン運転モードと、圧縮機14の回転数とに基づき決定される。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、前記複数のエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、前記外気温度Tairの高低と、前記圧縮機制御部410Bからの圧縮機回転数の高低とを加味して、膨張弁112の開度をフィードフォワード制御する(詳細は省略)。
次に、図10を用いて、沸上・冷房運転について説明する。この図10に示す沸上・冷房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、(前記冷房側ではなく)前記暖房側に切り替えられる。また前記二方弁制御部420Cにより、二方弁121が開き状態、二方弁122が閉じ状態、二方弁123が閉じ状態、二方弁124が開き状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部420Bにより前記膨張弁111が全開状態に制御されるとともに前記膨張弁112が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われている)に制御され、前記膨張弁制御部410Cにより前記膨張弁113が全開状態に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18a→配管部18b→連通管路101→配管部25a→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25f→配管部25e→連通管路102→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18cとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、まず前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、さらに前記膨張弁113を経て、室外ファン67の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
なお、以上の説明にて前記したように、前記配管部18a、前記配管部25a、前記配管部25bが、圧縮機14の吐出側と水冷媒熱交換器15の入口側との間を接続する第1配管として機能する。また前記配管部25c、前記配管部25g、前記配管部26bが、水冷媒熱交換器15の出口側と室内熱交換器27の入口側との間を接続する第2配管として機能する。また、前記配管部26a、前記配管部25d(二方弁122のある区間を除く)、前記配管部25f、前記配管部25e(二方弁123のある区間を除く)、前記配管部18eが、室内熱交換器27の出口側と室外熱交換器17の入口側との間を接続する第3配管として機能する。また、前記配管部18d、前記配管部18cが、室外熱交換器17の出口側と圧縮機14の吸入側との間を接続する第4配管として機能する。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記冷房運転時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上運転や沸上・暖房運転と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77における前記室内ファン回転数N1は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記冷房運転等のときと同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部420Bにより、沸上・冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記沸上運転時の膨張弁制御部410Cによる膨張弁113への制御と同様、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁112の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部420Bは、△H<△Hmの場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁112の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁112の開度を現状のまま維持する。あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁112の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部420Bは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁112の開度を開く方向に制御する。なお、前記室外ファン制御部410Dの制御による前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2の制御については、後述する。
ところで、前記沸上・冷房運転においては、図10を用いて前記したような冷媒の流れ挙動により、前記室内熱交換器27(蒸発器として機能)での吸熱と、前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)での吸熱と、を合計したものが、前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)での貯湯タンク2内への湯水の加熱に用いられる。
ここで、本実施形態では、通常の手法と同様、前記エアコン制御部430の室内ファン制御部430Aでは、室内温度Tr−エアコン設定温度Tconの値が大きい場合は前記室内ファン回転数N1が大きくなるように、室内温度Tr−エアコン設定温度Tconの値が小さい場合は前記室内ファン回転数N1が小さくなるように制御される。したがって、冷房負荷を表す前記Tr−Tconが大きい運転開始直後は前記室内ファン回転数N1が大きく前記室内熱交換器27における吸熱量が多くなるものの、その後時間が経過するにつれて前記Tr−Tconが小さくなり前記室内ファン回転数N1が小さくなることから、前記室内熱交換器27での吸熱量が小さくなってしまう。
そこで、これに対応して、本実施形態では、前記室外ファン67における室外ファン回転数N2を制御する前記室外ファン制御部410Dに対し、前記室内ファン制御部430Aから前記室内ファン回転数N1が出力される(室内ファン制御部430Aの回転検出手段、負荷検出手段としての機能)。そして室外ファン制御部410Dは、前記吸熱量の減少に対応した前記室内ファン回転数N1の低下を検知すると、これに対応して、室外ファン67における前記室外ファン回転数N2を増大させることで、室外熱交換器17における吸熱量を増大させる(室外ファン制御部410Dの回転制御手段、吸熱制御手段としての機能)。以下、この室外ファン制御部410Dによる制御内容の詳細について、図11を用いて説明する。
図11(a)に右下がりの特性線で示すように、前記室外ファン67における室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dにより、外気温度Tairが低い場合は大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は小さくなるように制御される。なお、前記冷房運転時と同様、この右下がり特性線で表される制御内容は、各エアコン運転モードにごとにそれぞれ別個に用意されており、図11(a)はその中のある1つの運転モードにおけるものを一例として表している。
そして、前記したように、前記室外ファン制御部410Dは、室内ファン66における前記室内ファン回転数N1の低下に応じて、室外ファン67における前記室外ファン回転数N2を増大させる。この例では、図示のように3つ用意された特性線において、前記室内ファン回転数N1が低下するにつれて、より大回転数側の特性線となるように、使用する特性線を段階的に切り替える。具体的には、図11(b)に示すように、前記室内ファン回転数N1の範囲を、N1<200[rpm]、200≦N1<300[rpm]、300≦N1[rpm]の3つに区分する。
そして、前記室内ファン回転数N1が3つの区分のうち最も大きい300≦N1[rpm]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を(制御基準としての)図11(a)中の最下段の実線で示す特性となるように制御する。また、前記室内ファン回転数N1が3つの区分のうち真ん中の200≦N1<300[rpm]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を、図11(a)中の最下段の実線で示した特性に対し補正値100[rpm](図11(b)参照)を加えた特性、すなわち前記実線より1段上となる図11(a)中の中段の二点鎖線で示す特性となるように制御する。さらに、前記室内ファン回転数N1が3つの区分のうちもっとも小さいN1<200[rpm]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を、図11(a)中の最下段の実線で示した特性に対し補正値200[rpm](図11(b)参照)を加えた特性、すなわち前記二点鎖線よりさらに1段上となる図11(a)中の上段の破線で示す特性となるように制御する。
このような制御が前記室外ファン制御部410Dで行われることにより、前記のような運転開始後の時間経過により前記室内ファン回転数N1が小さくなり前記室内熱交換器27での吸熱量が小さくなってしまったとしても、これに応じて前記のように前記室外ファン回転数N2が大回転数側に補正されることで、前記室外熱交換器17における吸熱量を増大させることができる。
以上説明したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1によれば、運転開始後に冷房負荷が減少したら、これに対応して前記室外熱交換器17における吸熱量を増大させる。これにより、前記のようにして室内熱交換器27で吸熱量が小さくなった分を補うことができるので、室内熱交換器27での吸熱量と室外熱交換器17での吸熱量との合計が、小さくならないように維持することができる。この結果、前記水冷媒熱交換器15における放熱量を低下させることなく維持できるので、貯湯タンク2への湯水の加熱能力を確実に確保することができる。
また、本実施形態では特に、図10に示す沸上・冷房運転時において、圧縮機14の吐出側→配管部18b,25a,25b→水冷媒熱交換器15→配管部25c,25g,26b→室内熱交換器27→配管部26a,25d,25f,25e,18e→室外熱交換器17→配管部18d,18c→圧縮機14の吸入側という冷媒経路が形成される。そして、配管部25gに、弁開度が運転状態に応じて可変に制御される膨張弁112が設けられ。この場合、前記の冷媒経路において、水冷媒熱交換器15で熱交換後の冷媒を膨張弁112において確実に低温低圧状態に膨張させ、室内熱交換器27に供給することができる。これにより、貯湯タンク2への水の加熱(排熱)を利用した高効率な運転を行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、室内温度Tr−エアコン設定温度Tcon(=温度差△T。以下適宜,単に「温度差△T」という)の値に応じて制御される前記室内ファン回転数N1が、室内ファン制御部430Aから前記室外ファン制御部410Dへ出力され、前記室外ファン制御部410Dは室内ファン回転数N1の低下によって冷房負荷が小さくなったことを検知し、前記室外ファン回転数N2を増大させた。これに代えて、前記室内温度Tr及び前記エアコン設定温度Tconが直接前記室外ファン制御部410Dへ入力され、前記室外ファン制御部410Dがそれらに基づく前記温度差△Tの低下によって冷房負荷が小さくなったことを検知し、前記室外ファン回転数N2を増大させるようにしてもよい。
そのような変形例における沸上・冷房運転時の作動を図12に示し、またヒーポン制御部及びエアコン制御部の機能的構成を、図3及び図5にそれぞれ対応する図13及び図14に示す。図14に示すように、この変形例では、前記室内ファン制御部430Aからの前記室内ファン回転数N1(駆動制御信号)は室内ファン77に対し出力され、上記実施形態のように前記室外ファン制御部410Dには出力されない。そして図13に示すように、室外ファン制御部410Dには、前記外気温度Tair及び前記エアコン運転モードに加え、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。
そして室外ファン制御部410Dは、入力される前記室内温度Tr及び前記エアコン設定温度Tconに応じて、温度差△T(=室内温度Tr−エアコン設定温度Tcon)を算出する(算出手段、負荷検出手段としての機能)。なお、他の部位(例えば前記圧縮機制御部410B)でこの温度差△Tが算出され、その算出された温度差△が室外ファン制御部410Dに入力されて用いられる構成でもよい。室外ファン制御部410Dは、前記吸熱量の減少に対応した前記温度差△Tの低下を検知すると、これに対応して、室外ファン67における前記室外ファン回転数N2を増大させることで、室外熱交換器17における吸熱量を増大させる(室外ファン制御部410Dの回転制御手段、吸熱制御手段としての機能)。
本変形例における前記室外ファン制御部410Dの制御内容の詳細について、前記図11に対応する図15を用いて説明する。
前記図11同様、図15(a)に右下がりの特性線で示すように、前記室外ファン67における室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dにより、外気温度Tairが低い場合は大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は小さくなるように制御される。
そして、前記したように、前記室外ファン制御部410Dは、前記温度差△T(=Tr−Tcon)の低下に応じて前記室外ファン回転数N2を増大させる。この例では、前記図11と同様に3つ用意された特性線において、前記温度差△Tが低下するにつれて、より大回転数側の特性線となるように、使用する特性線を段階的に切り替える。すなわち、図15(b)に示すように、前記温度差△Tの範囲を、△T<5[℃]、5≦△T<10[℃]、10≦△T[℃]の3つに区分する。
そして、前記温度差△Tが3つの区分のうち最も大きい10≦△T[℃]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を(制御基準としての)図15(a)中の最下段の実線で示す特性となるように制御する。また、前記温度差△Tが3つの区分のうち真ん中の5≦△T<10[℃]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を、図15(a)中の最下段の実線で示した特性に対し補正値100[rpm](図15(b)参照)を加えた特性、すなわち前記実線より1段上となる図15(a)中の中段の二点鎖線で示す特性となるように制御する。さらに、前記温度差△Tが3つの区分のうちもっとも小さい△T<5[℃]の範囲である場合には、室外ファン制御部410Dは、前記室外ファン回転数N2を、図15(a)中の最下段の実線で示した特性に対し補正値200[rpm](図15(b)参照)を加えた特性、すなわち前記二点鎖線よりさらに1段上となる図15(a)中の上段の破線で示す特性となるように制御する。
このような制御が前記室外ファン制御部410Dで行われることにより、前記のような運転開始後の時間経過により前記温度差△T(=室内温度Tr−エアコン設定温度Tcon)が小さくなり前記室内熱交換器27での吸熱量が小さくなってしまったとしても、これに応じて前記のように前記室外ファン回転数N2が大回転数側に補正されることで、前記室外熱交換器17における吸熱量を増大させることができる。この結果、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また例えば、上記実施形態では、冷媒負荷が小さくなったことが検知されたら、前記室外ファン回転数N2を増大させることで室外熱交換器17における吸熱量を増大させた。これに代えて、例えば室外熱交換器17において前記のような外気との熱交換を行うモジュールが複数セット設けられており、冷媒負荷が大きい場合はそのうちの1セットが用いられる一方、冷媒負荷が小さい場合はそのうちの複数セットが用いられるようにする(吸熱制御手段としての機能)ことで、前記吸熱量を増大させても良い。また例えば室外熱交換器17において、前記熱交換に寄与する冷媒通路のルートが短距離ルートと長距離ルートとに切り替え可能となっており、冷媒負荷が大きい場合はそのうちの短距離ルートが用いられる一方、冷媒負荷が小さい場合はそのうちの長距離ルートが用いられるようにする(吸熱制御手段としての機能)ことで、前記吸熱量を増大させても良い。
さらに、本発明は以上の態様に限定されることなく、例えば、前記二方弁121〜124のうち少なくとも1つを、閉止機能付きの膨張弁で置き換えても良い。また、前記膨張弁111〜113に代え、減圧器としてエジェクターを用いても良い。