JP6727550B2 - 撚糸 - Google Patents

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Description

本発明は、撚糸に関する。より具体的には、消臭機能および抗菌機能を有する撚糸に関する。
紙を撚って得られる撚糸は、さまざまな産業分野において使用されている。用途の例としては、インテリア用途(カーテン、パーテーション、家具のファブリック、畳表など)、寝装寝具用途(タオル、枕カバー、シーツなど)、アパレル用途(ジャケット、スカート、ドレス、デニムパンツ、ニット、セーター、スカーフ、ハンカチ、ソックス、手袋、帽子、鞄など)、日用品(文具、紙ひもなど)などがあげられる。
この撚糸は用途に応じて消臭、抗菌、防汚、難燃、耐熱、耐湿、耐候、耐溶剤、耐磨耗などの機能が求められ、機能性撚糸として利用される。中でも消臭・抗菌機能は、多くの産業分野で必要とされており、茶カテキン、柿渋タンニンおよび光触媒酸化チタンを撚糸に染色加工する手法が提案されている(特許文献1)。
特開2004−225513号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、撚糸を製造後に目的の機能を後工程で付与するため、設備投資が必要で加工も煩雑になりやすく、また消臭性について更なる機能・品質の均一性にばらつきが生じたり、撚糸そのものの風合いが悪化するなどの問題があった。そこで、本発明は、消臭性および抗菌性が良好であり、簡便な製造方法にて撚糸が製造できる撚糸を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供する。
<1> セルロース繊維を含有する撚糸であって、該セルロース繊維の少なくとも一部が、表面にカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を含有し、かつ該セルロース繊維がAg、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの元素群から選ばれる1種以上の金属イオンあるいは金属ナノ粒子を含有することを特徴とする撚糸。
<2> <1>に記載の、表面にカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を含有するセルロース繊維が、セルロースのグルコース単位中におけるC6位のヒドロキシル基の一部がカルボキシル基に酸化された酸化セルロース繊維であることを特徴とする、<1>に記載の撚糸。
<3> <1>あるいは<2>に記載の金属イオンあるいは金属ナノ粒子がAgあるいはCuのいずれかを含む、請求項1あるいは2に記載の撚糸。
<4> <1>〜<3>に記載の撚糸を含むことを特徴とする畳表。
<5> <1>〜<3>に記載の撚糸を含むことを特徴とするインテリア用品。
<6> <1>〜<3>に記載の撚糸を含むことを特徴とする寝装寝具用品。
<7> <1>〜<3>に記載の撚糸を含むことを特徴とするアパレル用品。

本発明によれば、消臭性および抗菌性、強度や風合いが良好で簡便な製造方法にて撚糸が製造できる撚糸を提供することができる。
本発明において撚糸とは、一本又は2本以上の紙や繊維に撚りをかけた糸状のものを指す。本発明の撚糸は、セルロース繊維を含有する撚糸であって、該セルロース繊維の少なくとも一部が、表面にカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を含有し、かつ該セルロース繊維がAg、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの元素群から選ばれる1種以上の金属イオンあるいは金属ナノ粒子を含有することを特徴としており、優れた消臭・抗菌性を示す。具体的な用途としては、インテリア用途(カーテン、パーテーション、家具のファブリック、畳表など)、寝装寝具用途(タオル、枕カバー、シーツなど)、アパレル用途(ジャケット、スカート、ドレス、デニムパンツ、ニット、セーター、スカーフ、ハンカチ、ソックス、手袋、帽子、鞄など)、日用品(文具、紙ひもなど)等を挙げることができる。以下、これらについて詳細に説明する。
<1.セルロース繊維>
本発明におけるセルロース繊維の種類には特に限定はなく、必要に応じて任意の種類のものを用いることができる。また、それらのうち2種類以上のセルロース繊維を任意の比率で混合して用いてもよい。例としては、植物由来の原料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)由来の原料、藻類由来の原料、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))由来の原料、微生物産生物等を挙げることができ、中でも植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維が特に好ましい。
本発明に用いられるセルロース原料の数平均繊維径および数平均繊維長は特に制限されるものではなく、必要に応じて任意の数平均繊維径および数平均繊維長のものを用いることができる。また数平均繊維径および数平均繊維長の異なる2種類以上のセルロース繊維を、任意の比率で混合して用いてもよい。例として、一般的なパルプの一つである針葉樹クラフトパルプ(NBKP)の場合は、数平均繊維径30〜60μm程度、数平均繊維長3〜5mm程度、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)の場合は、数平均繊維径10〜30μm程度、数平均繊維長1〜2mm程度である。
<1−1.セルロース繊維の変性>
セルロース繊維は、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性処理を行うことが可能である。本発明では、後述する工程においてセルロース繊維の少なくとも一部に金属イオンあるいは金属ナノ粒子を導入するために、セルロース繊維の少なくとも一部に対してカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を導入する変性を行う。
ここで、カルボキシル基とは−COOHで表される基をいい、カルボキシレート基とは−COO−で表される基をいう。カルボキシレート基のカウンターイオンは特に限定されない。後述するように金属ナノ粒子がカルボキシレート基とのイオン結合を介して形成する場合はこの金属イオンがカウンターとなる。カルボキシル基またはカルボキシレート基を合わせて「酸基」ともいう。
酸基の含有量は、特開2008−001728号公報の段落0021に開示されている方法によって測定できる。すなわち、精秤した乾燥セルロース試料を用いて0.5〜1質量%のスラリー60mLを調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とする。その後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階を示すまでに消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて酸基量X1を求める。
X1(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロース繊維の質量(g)
上記セルロース繊維の酸基の量は、0.2〜2.2mmol/gが好ましい。酸基の量が0.2mmol/g未満であると、後述するセルロース繊維へ金属イオンあるいは金属ナノ粒子を担持する工程において、セルロース繊維表面に存在する金属粒子の量が十分でなく、消臭及び抗菌機能に劣る場合がある。一方、酸基の量が2.2mmol/gを超えると、金属粒子の凝集が起こり、同様に消臭及び抗菌機能に劣る場合がある。
カルボキシル基あるいはカルボキシレート基を導入する変性の方法としては、変性後のセルロース繊維がカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を含有していれば特に限定されず、例としては、酸化(カルボキシル化)、エーテル化、リン酸化、エステル化、リン酸エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化を挙げることができる。中でも、酸化(カルボキシル化)、エーテル化、エステル化(リン酸エステル化)が好ましい。
<1−1−1.酸化>
本発明において、セルロース繊維を酸化する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。一例としては、N−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群より選択される物質の存在下で酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。ニトロキシルラジカルとしては例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
N−オキシル化合物の使用量は、セルロース繊維を酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下が更に好ましい。従って、N−オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.02〜0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択すればよい。臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下が更に好ましい。従って、臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤は、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、それらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。中でも、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸又はその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムが更に好ましい。酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上が更に好ましい。上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下が更に好ましい。従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。N−オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましい。上限は、40molが好ましい。従って、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件であっても酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、温度は4〜40℃が好ましく、15〜30℃程度、すなわち室温であってもよい。反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8〜12、より好ましくは10〜11程度である。通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
酸化における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間以上である。上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5〜6時間、例えば0.5〜4時間程度である。
酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン処理により酸化する方法が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m3以上であることが好ましい。上限は、250g/m3以下であることが好ましく、220g/m3以下であることがより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1量部以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。上限は、通常30重量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1〜30重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上である。上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上である。上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
オゾン処理後に得られる結果物に対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物;酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。対酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。
酸化セルロース繊維中に含まれるカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整することができる。
<1−1−2.エーテル化>
エーテル化としては、後工程においてセルロース繊維に金属イオンを導入する都合上、反応後の官能基にカルボキシル基あるいはカルボキシレート基を含有する方法であればいずれの方法でもよく、公知の方法を用いることができる。例としては、カルボキシメチル(エーテル)化、カルボキシエチル(エーテル)化、カルボキシプロピル(エーテル)化、カルボキシブチル(エーテル)化等のカルボキシアルキルエーテル化や、カルボキシフェニル(エーテル)化 を挙げることができる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
カルボキシメチル化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。カルボキシメチル化反応の際は通用溶媒を用いる。溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば低級アルコール)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノールが挙げられる。混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常は60重量%以上又は95重量%以下であり、60〜95重量%であることが好ましい。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3重量倍である。上限は特に限定されないが20重量倍である。従って、溶媒の量は3〜20重量倍であることが好ましい。
マーセル化は通常、発底原料とマーセル化剤を混合して行う。マーセル化剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。マーセル化剤の使用量は、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5倍モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常20倍モル以下であり、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましい、従って、0.5〜20倍モルが好ましく、1.0〜10倍モルがより好ましく、1.5〜5倍モルがさらに好ましい。
マーセル化の反応温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上である。上限は通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。従って、反応温度は、通常0〜70℃、好ましくは10〜60℃である。反応時間は、通常15分以上、好ましくは30分以上である。上限は、通常8時間以下、好ましくは7時間以下である。従って、通常は15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。
エーテル化反応は通常、カルボキシメチル化剤をマーセル化後に反応系に追加して行う。カルボキシメチル化剤としては例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムが挙げられる。カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料のグルコース残基当たり通常は0.05倍モル以上が好ましく、0.5倍モル以上がより好ましく、0.8倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常10.0倍モル以下であり、5モル以下が好ましく、3倍モル以下がより好ましい、従って、好ましくは0.05〜10.0倍モルであり、より好ましくは0.5〜5であり、更に好ましくは0.8〜3倍モルである。反応温度は通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。従って反応温度は通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。反応時間は、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上である。上限は、通常は10時間以下、好ましくは4時間以下である。従って反応時間は、通常は30分〜10時間であり、好ましくは1時間〜4時間である。カルボキシメチル化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カルボキシメチル化によりセルロース原料を変性する場合、得られるカルボキシメチル化セルロース繊維中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましい。上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01〜0.50が好ましく、0.05〜0.40がより好ましく、0.10〜0.30が更に好ましい。
カルボキシメチル化セルロース繊維のグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法によって行うことができる。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えて得られた硝酸メタノール溶液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する
1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのNaOHのファクター
F:0.1NのH2SO4のファクター
<1−1−3.エステル化>
セルロース原料またはセルロース繊維をエステル化して、エステル化セルロース繊維を得る方法は、特に限定されないが、例えば、セルロース原料またはセルロース繊維に対して、例えば、リン酸系化合物(例、リン酸、ポリリン酸)、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、及びこれらのエステル等を反応させる方法などが挙げられる。
例えば、リン酸エステル化セルロースは、セルロースにリン酸基置換基が導入されているが、リン酸エステル化セルロース繊維のグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上が好ましく、リン酸基置換度の上限は、0.60以下が好ましい。また、リン酸エステル化セルロース繊維に対して、煮沸後冷水で洗浄する等の洗浄処理がなされることが好ましい。
<1−2.セルロース繊維への金属イオンの担持>
本発明において、カルボキシル基又はカルボキシレート基を含有するセルロース繊維に対し、更にAg、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオンを含有させた金属イオンを含有することにより、高い消臭効果が発現する。中でもAg及びCuの群から選ばれる1種以上のイオンを用いることにより、消臭効果に加えさらに抗菌機能が付与される。本発明では、消臭能をもつ金属イオンを繊維に担持しながらも、その繊維形態を保っている為、紙にしたときに脱離が起こらず、性能・強度が低下しないという特徴を有する。
上記セルロース繊維と上記金属化合物の接触方法に関しては、予め調製したセルロース繊維の分散液と金属化合物水溶液を混合してもよく、セルロース繊維を含む分散液を基材の上に塗布して膜とし、当該膜に金属化合物水溶液を滴下して含浸させてもよい。このとき、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。詳細なメカニズムは不明であるが、これらの方法により、金属化合物に由来する金属イオンが、カルボキシレート基とイオン結合を形成、あるいは配位することにより、セルロース繊維に対して金属イオンが付加されると推測される。
金属化合物水溶液とは、金属塩の水溶液である。金属塩の例には、錯体(錯イオン)、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が挙げられる。
金属化合物水溶液の濃度は特に限定されないが、セルロース繊維100質量部に対して10〜80質量%の範囲であることが好ましく、30〜60重量%の範囲であることがより好ましい。
金属化合物を接触させる時間は適宜調整してよい。接触させる際の温度は特に限定されないが、2〜50℃の範囲であることが好ましい。また、接触させる際の液のpHは特に限定されないが、pHが低いと、カルボキシル基に金属イオンが結合しにくくなるため、7〜13の範囲であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることが特に好ましい。
酸化セルロース繊維が金属イオンを含有していることは、走査型電子顕微鏡像、及び強酸による抽出液のICP発光分析で確認できる。つまり、金属イオンは走査型電子顕微鏡像では存在を確認できず、一方でICP発光分析では金属を含有していることを確認できる。これに対し、例えば上記金属がイオンから還元されて金属粒子として存在している場合は、走査型電子顕微鏡像で金属粒子を確認することができるので、金属イオンの有無を判定できる。また、走査型電子顕微鏡像と元素マッピングによっても金属イオンの有無を判定できる。つまり、走査型電子顕微鏡像では金属イオンを確認できないが、元素マッピングをすることで金属イオンが存在することを確認できる。
本発明では、上記のようにセルロース繊維に金属イオンを導入することにより効果を発揮するが、必要に応じ、得られた金属イオン含有セルロース繊維に結合した金属化合物を還元することによって、セルロース繊維の表面上に金属ナノ粒子を部分的に形成させてもよい。
この機構は明らかでないが、以下のように推察される。還元反応により酸基と結合していた金属化合物または金属化合物由来のイオンは還元されて金属となる。このとき、生成した金属は、酸化セルロース繊維の表面に担持される。同様に生成した近隣の金属同士は一体化するので、粒子が成長してナノ粒子が形成される。一方、セルロース繊維の近傍に存在するものの、酸基と結合せずに存在していた金属化合物等も還元されて金属を生成する。この金属は、速やかにセルロース繊維表面の金属と一体化して金属ナノ粒子を形成する。
還元反応は、公知の方法で行ってよいが、金属化合物を還元しつつ、金属化合物と酸基との結合を開裂しないように行うことが好ましい。このような還元方法の例には、水素による気相還元法、および水素化ホウ素ナトリウム水溶液などの還元剤を用いた液相還元法が含まれる。気相還元における時間、温度等の条件は適宜調整されるが、例えば50〜60℃で1〜3時間程度反応すればよい。気相還元反応は、酸化セルロース繊維が水や溶媒を含んでいない状態で行うことが好ましい。還元反応においては、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。液相還元の場合は、上記分散液から膜を得て、これを乾燥してあるいは乾燥しないまま還元反応に供することができる。また、分散液を乾燥することなく液相還元反応に供することもできる。液相還元における反応温度は4〜40℃が好ましく、室温がより好ましい。
金属ナノ粒子は、セルロース繊維表面に存在する酸基を接点としてセルロース繊維表面に担持されている。すなわち、金属ナノ粒子は、セルロース繊維表面に存在する酸基を介してセルロース繊維表面に固定されている。固定化に係る化学結合は、配位結合、水素結合、またはイオン結合が好ましい。結合の状態は、X線光電子分光分析もしくは赤外分光分析により解析できる。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡像またはX線回折から求められる。本発明においては、金属ナノ粒子の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像から求めた場合に、平均粒子径が1〜50nmの範囲にあることが好ましい。具体的に平均粒子径は、セルロース繊維の透過型電子顕微鏡像を準備し、その像から、複数の金属ナノ粒子の一次粒子の円相当径を求め、これらの値を平均して求められる。
前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子を担持する工程において、セルロース繊維に対する前記金属イオンの含有量は10〜60mg/gの範囲であることが好ましい。10mg/gより少ないと、消臭及び抗菌機能に劣る場合がある。一方、酸基の量が2.2mmol/gを超えると、金属粒子の凝集が起こり、同様に消臭及び抗菌機能に劣る場合がある。
<1−3.叩解>
本発明における金属担持セルロース繊維は、前記変性処理を行う前から、前記金属担持処理を行った後の間に少なくとも1回以上叩解処理を行ってもよい。ここで叩解処理とは、繊維に機械的剪断力を与える処理のことである。叩解処理により、セルロース繊維の一部がフィブリル化し、表面積が増大することにより、一般的には乾燥時における繊維間結合を強くすることができるほか、本発明においてはさらに消臭効果や抗菌効果を高めることができる。特に、湿潤状態での消臭効果が向上する。一方、叩解処理を過剰に行い、セルロース繊維を過度に微細化しすぎると、パルプと配合して抄紙する際に歩留まりが低下したり、紙中に留まらず(残らず)、金属イオンあるいは金属ナノ粒子含有セルロース繊維が有する消臭・抗菌効果が低下したりするため好ましくない。叩解度合いの指標としては、ろ水度(CSF)を用いることができる。具体的には、ろ水度(CSF)が30ml未満であると、撚糸への歩留まり減少により消臭・抗菌効果が低下し、ろ水度(CSF)が600mlを超えると、フィブリル化が不十分で消臭・抗菌効果が低下する。このように、金属イオンあるいは金属ナノ粒子含有セルロース繊維のろ水度(CSF)を30〜600mlとすることで、消臭効果や抗菌効果が向上し、特に、湿潤状態での消臭効果が向上する。
叩解に用いる装置は特に限定されず、公知の装置を任意に用いることができる。叩解装置の例としては、リファイナーやビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、パルプ繊維同士の摩擦によるもの、並びに高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、各種ミル、石臼型磨砕機等の装置を挙げることができる。
また、叩解、または必要に応じて叩解前に行う分散処理に先立って、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理としては、例えば、混合、撹拌、乳化、分散が挙げられ、公知の装置(例、高速せん断ミキサー)を用いて行えばよい。
<2.撚糸の製造>
本発明における撚糸は、前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を有する撚糸である。
前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維以外の原料としては、特に限定されず、公知の原料を用いることができる。例としては、金属イオンあるいは金属ナノ粒子を担持しない通常のセルロース繊維、合成繊維、樹脂、無機物等を挙げることができる。これらを用いる場合、金属イオンおよび金属ナノ粒子の含有量は、撚糸に対して0.5mg/g以上であることが好ましい。0.5mg/gより少ないと、消臭及び抗菌機能に劣る場合がある。
撚糸の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を含む原料を湿式で抄紙・乾燥し、得られた抄造紙を帯状にスリットしてそれを螺旋状に撚る工程を経ることで撚糸を得ることができる(製造方法1)。または、前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を含まない原料を抄紙し乾燥前に、前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を吹き付けるなどの工程を行い乾燥し、撚糸する方法(製造方法2)、前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を含まない原料で製造した撚糸に前記金属イオンあるいは金属ナノ粒子担持セルロース繊維を塗布・含浸する方法(製造方法3)などがあげられる。いずれの方法でも良いが、好ましくは簡便な方法である製造方法1が好ましい。
本発明の撚糸は、必要に応じ消臭や抗菌機能を損なわない範囲で難燃材や顔料、撥水剤、撥油剤、樹脂、その他機能性の添加剤を配合することができる。配合のタイミングは、抄紙工程もしくは撚糸工程の他、塗布や染色などの別工程にて付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
[酸化セルロース繊維の製造]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。
反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。
反応後の混合物をガラスフィルターで濾過した後、十分な水の量による水洗、ろ過を2回繰り返すことにより、固形分10質量%の、水を含浸させた酸化セルロース繊維を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.68mmol/gであった。
[金属イオン含有セルロース繊維の製造]
前記酸化セルロース繊維に対し、水を加えて固形分濃度2%の分散液とし、pHを9.0に調整した後、CuCl2(和光純薬工業株式会社製)を加え、酸化セルロース繊維1gに対する濃度が1.0mmol/gになるよう撹拌しながら加えさらに30分間撹拌することにより、酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させた。これに対し、十分な水の量による水洗、ろ過を2回繰り返すことにより、未反応の金属塩を除去し、固形分30質量%の、水を含浸させたCuイオン含有セルロース繊維を得た。セルロース繊維に対する金属イオンの含有量は31.9mg/gであり、フリーネスは500mlであった。
[抄造紙の製造]
前記金属イオン含有セルロース繊維4.0g(セルロース繊維全体に対し20質量%)、パルプ(NBKP。日本製紙株式会社製。固形分濃度30%、フリーネス600ml)16.0g(セルロース繊維全体に対し80質量%)、湿潤紙力増強剤(製品名:WS4020、星光PMC株式会社製、有効成分25%)7.0g(セルロース繊維全体に対し0.3質量%)、および水1179gを混合、攪拌し、固形分濃度0.5質量%の水分散体を調製した。この水分散液を用いて、丸型手抄き機にて抄紙し、プレス装置にて脱水し、さらにシリンダードライヤー(105℃)により85℃で乾燥させることにより、直径約16cmの抄造紙を作製した。坪量は100g/m2であった。得られた抄造紙を2mm幅にスリットし螺旋状によることで撚糸を作製した。
得られた撚糸について、以下に示す方法により、引張強さ、消臭性、および抗菌性をそれぞれ評価した。
[引張強さ]
得られた撚糸を5人のモニターによりそれぞれが引きちぎることで引張強さを評価した。後述する比較例1と比較し、比較例1よりも強いと感じれば◎、同等であれば○、弱いと感じた場合は×とした。評価が◎か○であれば、実用上問題はない。
[消臭性]
抄造紙換算(ベース)で100cm2の撚糸を入れたコック付きガスバッグに、100ppmに調整した湿度70%のアンモニアガスをエアーポンプで1.5L充填した。次に、検知管に吸引器とゴムチューブを繋ぎ、ゴムチューブをガスバッグに繋いだ。そして、空気を充填してから50分経過後のガスバッグ内のアンモニアガス濃度を測定した。
◎:非常に良い 残存濃度が初期の1/5以下
○:良い 残存濃度が初期の1/5を超え1/4以下
△:普通 残存濃度が初期の1/4を超え1/3以下
×:悪い 残存濃度が初期の1/3超え
[抗菌性]
JIS L1902「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に従い、ハロー法による定性試験を実施した。具体的には、大腸菌を含んだ寒天培地を作製し、その上に撚糸1本(抄造紙ベースで5cm×5cm)の試験片を載せ、37℃で17時間培養後、試料の周りにできた試験菌の「生育阻止帯」の有無を確認した。次の基準で評価した。
○:生育阻止帯が認められ抗菌性を有する。
×:生育阻止帯の認められず、抗菌性を認めない。
<実施例2>
実施例1の金属イオン担持酸化セルロース繊維を製造する工程において、CuCl2の水溶液をAgNO3の水溶液に変更(酸化セルロース繊維1g当たりの濃度:1.0mmol/g)した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。セルロース繊維に対するAgイオンの含有量は20.0mg/gであり、フリーネスは500mlであった。
<実施例3>
実施例1の撚糸を製造する工程において、Cuイオン担持酸化セルロース繊維の全セルロース繊維に対する配合比率を20質量%から50質量%に変更し、かつパルプの全繊維分に対する配合比率を80質量%から50質量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
<比較例1>
実施例1の撚糸を製造する工程において、Cu担持酸化セルロース繊維を同量のパルプ(NBKP。日本製紙株式会社製。フリーネス600ml)に置き換えた以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
<比較例2>
実施例1の撚糸を製造する工程において、Cuイオン含有酸化セルロース繊維を、市販の金属(Cu)イオン担持ゼオライト高密度結晶化パルプ(商品名:銅セルガイア、レンゴー株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
Figure 0006727550
表1の結果から明らかなように、金属イオン含有セルロース繊維を含む実施例1〜3では、金属イオン含有セルロース繊維を含まない比較例1〜2に対し、消臭性、抗菌性、引張り強さともに高く良好であり、これらを高い水準で両立していることが分かる。

Claims (6)

  1. セルロース繊維を含有する撚糸であって、該セルロース繊維の少なくとも一部が、表面にカルボキシル基あるいはあるカルボキシレート基を含有し、グルコース単位中におけるC6位のヒドロキシル基の一部がカルボキシル基に酸化されており、かつ該セルロース繊維がAg、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの元素群から選ばれる1種以上の金属イオンあるいは金属ナノ粒子を含有することを特徴とする撚糸。
  2. 請求項に記載の、金属イオンあるいは金属ナノ粒子がAg及びCuのいずれかを含む、請求項に記載の撚糸。
  3. 請求項1〜に記載の撚糸を含むことを特徴とする畳表。
  4. 請求項1〜に記載の撚糸を含むことを特徴とするインテリア用品。
  5. 請求項1〜に記載の撚糸を含むことを特徴とする寝装寝具用品。
  6. 請求項1〜に記載の撚糸を含むことを特徴とするアパレル用品。
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