JP2021195629A - マスク用基材及びマスク - Google Patents

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丈史 中谷
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Abstract

【課題】力学特性が良好で、消臭・抗菌成分の脱落を抑制できると共に、消臭・抗菌・抗ウイルス効果が良好であるマスク用基材を提供する。【解決手段】カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維と、合成繊維とを含有する、少なくとも1層の不織布層を含むマスク用基材。【選択図】なし

Description

本発明は、マスク用基材及びそれを使用するマスクに関する。より具体的には、消臭、抗菌機能、抗ウイルス機能を有するマスク用基材及びそれを使用するマスクに関する。
一般に不織布は、合成繊維を含む繊維を、織らずに積層してシート状に広げ、繊維間を適切な方法で適度に結合したものである。不織布は、布のように紡糸して織ったり編むといった工程がないため、安価に大量に生産することができる。又、原材料や製法、他の素材との組み合わせによって、不織布の構造的な特徴である、多孔質による通気性、ろ過性等をはじめとする各種機能を、要求品質に応じて調整することが容易である。これらの特徴から、不織布はおむつ、生理用品、ワイパー、マスク等の衛生用品、気体又は液体のろ過用フィルタ、屋根材(ルーフィング材)等の建材・土木用途、自動車内装資材、衣料など、など様々な分野で広く利用されている。
上記の不織布のマスク用途においては、不織布全般に求められる、引張強さ、引裂強さ等の力学特性に加え、消臭及び/又は抗ウイルス・抗菌機能が求められる場合が多い。例えば、いわゆる4大悪臭とされている、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン(し尿臭、便臭、腐敗臭等)をはじめとする悪臭成分を、効果的かつ継続的に抑制することが求められる。
また、適度な通気性及び粒子捕集性の他、上記の消臭機能、及び、特に高湿度下で使用した場合におけるカビや菌糸の生育・発育を効果的かつ継続的に抑制することが求められる。
これらの消臭・抗菌機能を付与するために、種々の方法が提案されている。特許文献1及び2には、ゼオライトの構成成分であるケイ素化合物又はアルミニウム化合物の一方の水溶液を、セルロース系繊維等の親水性高分子基材に含浸させ、塩基性物質と他方の水溶液を混合したものを更に含浸させて、セルロース系繊維の内部にゼオライトを担持させた無機多孔結晶−親水性高分子複合体が提案されている。さらに、このゼオライトに金属を担持することにより、抗菌効果や脱臭効果を付与することができることが開示されている。
また、特許文献3には、ケイ素化合物及び塩基性物質含有水溶液と、アルミニウム化合物及び塩基性物質含有水溶液とを繊維構造物に含浸させた後、湿熱加熱してセルロース系繊維内部でケイ素化合物とアルミニウム化合物とを反応させてシリカ・アルミナ多孔体であるゼオライトを生成させるセルロース系繊維構造物が開示されている。さらに、このシリカ・アルミナ多孔体中に金属イオンを導入することにより、抗菌性、防かび性を付与することができることが開示されている。
特許文献4には、銀ゼオライト、銀燐酸ジルコニウム、銀燐酸カルシウム、及び銀溶解性ガラスから選ばれる一種または二種以上の銀系抗菌剤を含有する抗菌性セルロース系繊維が開示されている。さらに、この抗菌性セルロース系繊維を用いた不織布が開示されている。
また、特許文献5には、酸化パルプを含有する紙基材であって、酸化パルプのカルボキシル基の量が酸化パルプの絶乾重量に対して、1.0mmol/g〜2.0mmol/gである紙基材が開示されており、この紙基材に対し、合成樹脂から製造された繊維を一定範囲で含有することも記載されている。
特開平10−120923号公報 特開平11−315492号公報 特開2008−031591号公報 特開平11−107033号公報 国際公開2014/097929号
しかしながら、特許文献1〜4には、セルロース系繊維と金属成分を含む無機化合物の単なる混合体しか記載されておらず、セルロース系繊維と金属成分を含む無機化合物とが化学的に強固に結合しているわけではない。すなわち、金属成分を含む無機化合物は繊維のように物理的・化学的なネットワークを形成しないため、これを用いて不織布を製造した場合、引張強さや引裂強さなど、基材としての力学特性が低下するほか、金属成分を含む無機化合物が基材から脱落する問題がある。
さらに、不織布が高湿度環境下に置かれたり、湿潤した場合に、消臭・抗菌・抗ウイルス効果が低下する問題がある。ここで湿潤時とは、例えば、不織布の乾燥後の一定質量に対して質量比100%以上の水分を含んだ状態をいう。
また、特許文献5に記載の紙基材においては、消臭・抗ウイルス効果が十分とはいえない。
従って、本発明は、力学特性が良好で、消臭・抗菌成分の脱落を抑制できると共に、消臭・抗菌・抗ウイルス効果を湿度に依らず、かつ湿潤時においても確保したマスク用基材の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のマスク用基材は、表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維と、合成繊維を含有する、少なくとも1層の不織布層を含む。
前記金属含有セルロース系繊維において、セルロースのグルコース単位中におけるC6位のヒドロキシル基の一部がカルボキシル基に酸化されていることが好ましい。
前記金属イオンが、Agイオン又はCuイオンであることが好ましい。
金属イオンを含有しないセルロース系繊維を更に含むことが好ましい。
これに限定されるものでないが、本発明は、以下の態様を包含する。
(1) カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維と、合成繊維とを含有する、少なくとも1層の不織布層を含むマスク用基材。
(2) 前記金属含有セルロース系繊維を不織布に対して1〜50質量%、合成繊維を30〜90質量%含有する、少なくとも1層の不織布層を含む(1)記載のマスク用基材。
(3) 前記金属含有セルロース系繊維において、前記金属イオン及び/または金属粒子の含有量がセルロース系繊維に対して10〜60mg/gである不織布層を含む(1)ないし(2)記載のマスク用基材。
(4) 前記不織布層がさらに金属を含有しないセルロース系繊維を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の不織布層を含むマスク用基材。
(5) JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法において、インフルエンザウイルスまたはネコカリシウイルスに対する抗ウイルス活性値(Mv)が2.0以上となる不織布層を含む、(1)〜(4)に記載のマスク用基材。
(6) マスク用基材が取り換え用シートである(1)〜(5)のいずれかに記載のマスク用基材。
(7) 少なくとも外層、内層、口元層の3層の不織布層を含むマスク用基材であって、内層が前記金属含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層である(1)〜(6)のいずれかに記載のマスク用基材。
(8) 内層の金属含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層が取り換え用シートであることを特徴とする(7)に記載のマスク用基材。
(9) (1)〜(8)のいずれかに記載のマスク用基材を使用するマスク。
本発明によれば、力学特性が良好で、消臭・抗菌・抗ウイルス成分の脱落を抑制できると共に、消臭・抗菌・抗ウイルス効果を湿度に依らず、かつ湿潤時においても確保したマスク用基材が得られる。
本発明の実施形態に係るマスク用基材は、表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維と、合成繊維と、を含む。以下、詳細に説明する。
<1.金属含有セルロース系繊維>
本発明の実施形態に係る不織布は、カルボキシル基又はカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維を含む。
金属含有セルロース系繊維の含有量は、不織布に対し1質量%以上であることが好ましい。上記含有量が1質量%未満であると、十分な消臭・抗菌効果を付与することができない場合がある。上記含有量の上限値は特に限定されず、求める消臭・抗菌・抗ウイルス効果の程度に応じて適宜調整できるが、コスト等の観点から、例えば95質量%とすることができる。
<2.金属を含有しないセルロース系繊維>
本発明の実施形態に係る不織布は、上記金属含有セルロース系繊維に加え、金属を含有しないセルロース系繊維(以下、「一般セルロース系繊維」と称する)を、吸湿性、吸水性、風合等の求める機能に応じて含有してもよい。
一般セルロース系繊維は、例えば、木材パルプ;竹、綿、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))生産物などの非木材パルプ;を例示できる。
一般セルロース系繊維としては木材パルプが好ましく、1種又は2種類以上の一般セルロース系繊維を混合して使用することができる。
上記金属含有セルロース系繊維の含有量が1質量%以上であることが好ましく、後述する合成繊維の含有量が5質量%以上であることが好ましいことから、不織布中の一般セルロース系繊維の含有量が94質量%以下であることが好ましい。一般セルロース系繊維の含有量の下限値は特に限定されず、一般セルロース系繊維を含まなくてもよい。
上記金属含有セルロース系繊維、及び一般セルロース系繊維の、数平均繊維径及び数平均繊維長は、いずれも特に制限されず、要求される引張強さや引裂き強さ等の力学特性、通気性、風合い等に応じて、任意の値のものを用いることができる。また、数平均繊維径及び数平均繊維長の異なる2種類以上の繊維を、任意の比率で混合して用いてもよい。
例として、天然セルロース繊維の一つである針葉樹クラフトパルプ(NBKP)の場合
は、数平均繊維径30〜60μm程度、数平均繊維長3〜5mm程度、広葉樹漂白クラフ
トパルプ(LBKP)の場合、数平均繊維径は10〜30μm程度、数平均繊維長は1〜
2mm程度である。
上記金属含有セルロース系繊維、及び一般セルロース系繊維は、いずれも不織布に含有されるまでの製造工程において、叩解処理を1回以上施されてもよい。ここで叩解処理とは、繊維に対し機械的剪断力を与える処理のことである。叩解処理により、セルロース系繊維の一部がフィブリル化又はナノファイバー化し、引張強さ等の力学特性が向上する。
特に金属含有セルロース系繊維の場合、叩解処理を行うことにより、金属イオン及びまたは金属粒子を担持させた後の消臭効果や抗菌効果をさらに高めることができる。
叩解度合いの指標としては、一般にろ水度(CSF)が用いられる。金属含有セルロース系繊維のろ水度は、30〜600mlの範囲であることが好ましい。
ろ水度が30mlよりも低いと、不織布の製造工程において、不織布中への歩留まりが減少し、またろ水度が600mlよりも高いと、フィブリル化が不十分であるために消臭・抗菌・抗ウイルス効果が低下することがある。
又、一般セルロース系繊維のろ水度は、特に制限されず、一般的なろ水度の範囲、例えば5〜950mlの範囲から、求める品質に応じて自由に選択することができる。
叩解に用いる装置は特に限定されず、公知の装置を任意に用いることができる。叩解装置の例としては、リファイナーやビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、パルプ繊維同士の摩擦によるもの、ならびに高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、各種ミル、石臼型磨砕機等の装置を挙げることができる。
<3.金属含有セルロース系繊維の製造>
上記金属含有セルロース系繊維は、一般セルロース系繊維を、以下のように化学変性処理して表面のグルコース単位中にカルボキシル基又はカルボキシレート基を導入し、その後にさらに金属イオン及び/または金属粒子を担持させることにより製造することができる。
以下、セルロース系繊維の表面におけるグルコース単位中にカルボキシル基又はカルボキシレート基を導入する方法、及び、その後に金属イオン及び/または金属粒子を担持する方法について、それぞれ説明する。
<3−1.カルボキシル基又はカルボキシレート基の導入>
セルロースは、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性処理を行うことが可能である。本発明では、後述する工程においてセルロース系繊維の少なくとも一部に対してカルボキシル基又はカルボキシレート基を導入する変性を行う。
ここで、カルボキシル基とは−COOHで表される基をいい、カルボキシレート基とは−COO−で表される基をいう。カルボキシレート基のカウンターイオンは特に限定されない。なお、カルボキシル基またはカルボキシレート基を合わせて「酸基」ともいう。
酸基の含有量は、特開2008−001728号公報の段落0021に開示されている方法によって測定できる。すなわち、精秤した乾燥セルロース試料を用いて0.5〜1質量%のスラリー60mLを調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とする。その後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階を示すまでに消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて酸基量X1を求める。
X1(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロース系繊維の質量(g)
上記セルロース系繊維の酸基の量は、0.1〜3.0mmol/gが好ましい。酸基の量が0.1mmol/g未満であると、後述する金属イオンを担持する工程において、セルロース系繊維表面に存在する金属イオンの量が十分でなく、消臭、抗菌、抗ウイルス機能が劣ることがある。一方、酸基の量が3.0mmol/gを超えると、酸化反応時に副反応としてセルロースの切断が起こりやすくなり、収率が低下する。
カルボキシル基又はカルボキシレート基を導入する変性の方法としては、変性後のセルロース系繊維がカルボキシル基又はカルボキシレート基を含有していれば特に限定されず、例としては、酸化(カルボキシル化)、エーテル化、リン酸化、エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化を挙げることができる。特に、酸化(カルボキシル化)、エーテル化が好ましい。以下、これらについて詳細に説明する。
<3−1−1.酸化>
本発明において、セルロース系繊維を酸化する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。一例としては、N−オキシル化合物、臭化物、ヨウ化物、及びこれらの混合物からなる群より選択される物質の存在下で、酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。ニトロキシルラジカルとしては例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
N−オキシル化合物の使用量は、セルロース系繊維を酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下が更に好ましい。従って、N−オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.02〜0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択すればよい。臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下が更に好ましい。従って、臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤は、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、それらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。特に、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸又はその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムが更に好ましい。
酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上が更に好ましい。上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下が更に好ましい。
従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。
N−オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましく、上限は、40molが好ましい。従って、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件であっても酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、温度は4〜40℃が好ましく、15〜30℃程度、すなわち室温であってもよい。
反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8〜12、より好ましくは10〜11程度である。
通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
酸化における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間以上である。上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5〜6時間、例えば0.5〜4時間程度である。
酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン処理により酸化する方法が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。
オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m以上であることが好ましい。上限は、250g/m以下であることが好ましく、220g/m以下であることがより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50〜250g/mであることが好ましく、50〜220g/mであることがより好ましい。
オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100質量%に対し、0.1量部以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上限は、通常30質量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100質量%に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上である。上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。
オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上である。上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。
オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
オゾン処理後に得られる結果物に対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物;酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。対酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。
酸化セルロース系繊維中に含まれるカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整することができる。
<3−1−2.エーテル化>
エーテル化としては、後工程においてセルロース系繊維に金属イオンを導入する都合上、反応後の官能基にカルボキシル基又はカルボキシレート基を含有する方法であればいずれの方法でもよく、公知の方法を用いることができる。例としては、カルボキシメチル(エーテル)化、カルボキシエチル(エーテル)化、カルボキシプロピル(エーテル)化、カルボキシブチル(エーテル)化等のカルボキシアルキルエーテル化や、カルボキシフェニル(エーテル)化 を挙げることができる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
カルボキシメチル化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。カルボキシメチル化反応の際は通用溶媒を用いる。溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば低級アルコール)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノールが挙げられる。
混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常は60質量%以上又は95質量%以下であり、60〜95質量%であることが好ましい。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3質量倍である。上限は特に限定されないが20質量倍である。従って、溶媒の量は3〜20質量倍であることが好ましい。
マーセル化は通常、発底原料とマーセル化剤を混合して行う。マーセル化剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。マーセル化剤の使用量は、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5倍モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常20倍モル以下であり、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましい、従って、0.5〜20倍モルが好ましく、1.0〜10倍モルがより好ましく、1.5〜5倍モルがさらに好ましい。
マーセル化の反応温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上である。上限は通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。従って、反応温度は、通常0〜70℃、好ましくは10〜60℃である。反応時間は、通常15分以上、好ましくは30分以上である。上限は、通常8時間以下、好ましくは7時間以下である。従って、通常は15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。
エーテル化反応は通常、カルボキシメチル化剤をマーセル化後に反応系に追加して行う。カルボキシメチル化剤としては例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムが挙げられる。カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料のグルコース残基当たり通常は0.05倍モル以上が好ましく、0.5倍モル以上がより好ましく、0.8倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常10.0倍モル以下であり、5モル以下が好ましく、3倍モル以下がより好ましい、従って、好ましくは0.05〜10.0倍モルであり、より好ましくは0.5〜5であり、更に好ましくは0.8〜3倍モルである。
反応温度は通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。従って反応温度は通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。反応時間は、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上である。上限は、通常は10時間以下、好ましくは4時間以下である。従って反応時間は、通常は30分〜10時間であり、好ましくは1時間〜4時間である。
カルボキシメチル化反応の間は必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カルボキシメチル化によりセルロース原料を変性する場合、得られるカルボキシメチル化セルロース系繊維中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましい。上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01〜0.50が好ましく、0.05〜0.40がより好ましく、0.10〜0.30が更に好ましい。
カルボキシメチル化セルロース系繊維のグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法によって行うことができる。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えて得られた硝酸メタノール溶液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F'−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する
1NのNaOH量(mL)
F':0.1NのNaOHのファクター
F:0.1NのH2SO4のファクター
<3−2.金属イオン及び/または金属粒子の担持>
カルボキシル基又はカルボキシレート基を含有するセルロース系繊維に対し、更にAg、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオン又は粒子を担持させることにより、高い消臭効果が発現する。特にAg及びCuを用いることにより、抗菌・抗ウイルス機能がさらに向上する。
本発明では、この金属とセルロース系繊維が化学的に強固に結合しているため、不織布に含有した際に、不織布から金属成分が脱離しにくく、また引張強さ等の力学特性も良好である。
上記セルロース系繊維に対し上記金属イオンを担持する方法としては、特に限定されず、例えば、予め調製した上記セルロース系繊維の分散液と金属化合物水溶液を混合してもよく、また上記セルロース系繊維を含む分散液を基材の上に塗布して膜とし、当該膜に金属化合物水溶液を滴下して含浸させてもよい。このとき、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。
これらの方法により、金属化合物に由来する金属イオンが、カルボキシレート基と既にイオン結合していたナトリウムイオンと対イオン交換することで、セルロース系繊維に対して金属イオンが付加される。この対イオン交換は、金属イオン同士の電気陰性度の差によって起こると考えられる。
ここで金属化合物水溶液とは、金属塩の水溶液である。金属塩の例には、錯体(錯イオン)、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩が挙げられる。金属化合物水溶液の濃度は特に限定されないが、セルロース繊維1gに対して0.2〜2.2mmolが好ましく、0.4〜1.8mmolがより好ましい。金属化合物を接触させる時間は適宜調整してよい。
接触させる際の温度は特に限定されないが、2〜50℃の範囲であることが好ましい。また、接触させる際の液のpHは特に限定されないが、pHが低いと、カルボキシル基に金属イオンが結合しにくくなるため、7〜13の範囲であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることが特に好ましい。
本発明では、上記のようにセルロース系繊維に金属イオンを導入することが可能であるが、金属イオンの一部が還元され金属ナノ粒子になっている場合がある。また、必要に応じ、金属イオン担持セルロース系繊維に結合した金属イオンの一部を還元剤などの添加により、還元することによって、セルロース系繊維の表面上に金属ナノ粒子を部分的に形成させることも可能である。
但し、特別な還元処理を行わず、金属化合物の全量を金属のイオンのまま用いることが、抗菌、抗ウイルス、消臭効果の点から好ましい。
上記で得られた金属化合物含有セルロース繊維中の金属化合物を還元することによって金属粒子をセルロース繊維中に生成させることができる。この機構は明らかでないが、以下のように推察される。還元反応により金属化合物含有セルロース繊維中の金属化合物または金属化合物由来のイオンは還元されて金属となる。このとき、生成した金属は、セルロース繊維の表面に担持される。同様に生成した近隣の金属同士は一体化するので、粒子が成長してナノ粒子が形成される。一方、セルロース繊維の近傍に存在するもののセルロース繊維と結合せずに存在していた金属化合物等も還元されて金属を生成する。この金属は、速やかにセルロース繊維表面の金属と一体化して金属粒子を形成する。
還元反応は、公知の方法で行ってよいが、金属化合物を還元しつつ、金属化合物と酸基との結合を開裂しないように行うことが好ましい。このような還元方法の例には、水素による気相還元法、および水素化ホウ素ナトリウム水溶液などの還元剤を用いた液相還元法が含まれる。気相還元における時間、温度等の条件は適宜調整されるが、例えば50〜60℃で1〜3時間程度反応すればよい。気相還元反応は、酸化セルロース繊維が水や溶媒を含んでいない状態で行うことが好ましい。還元反応においては、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。液相還元の場合は、上記分散液から膜を得て、これを乾燥してあるいは乾燥しないまま還元反応に供することができる。また、分散液を乾燥することなく液相還元反応に供することもできる。液相還元における反応温度は4〜40℃が好ましく、室温がより好ましい。
セルロース系繊維が金属イオンか金属粒子を含有していることは、走査型電子顕微鏡像、及び強酸による抽出液のICP発光分析で確認できる。つまり、金属イオンは走査型電子顕微鏡像では存在を確認できず、一方でICP発光分析では金属を含有していることを確認できる。これに対し、例えば上記金属がイオンから還元されて金属粒子として存在している場合は、走査型電子顕微鏡像で金属粒子を確認することができるので、金属イオンの有無を判定できる。また、走査型電子顕微鏡像とエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピングによっても金属イオンの有無を判定できる。つまり、走査型電子顕微鏡像では金属イオンを確認できないが、元素マッピングをすることで金属イオンが存在することを確認できる。
前記金属イオン又は金属粒子を担持する工程において、セルロース系繊維に対する金属の含有量は、セルロース系繊維に対し10〜60mg/gの範囲であることが好ましく、15〜55mg/gの範囲であることがさらに好ましく、20〜50mg/gの範囲であることが特に好ましい。10mg/gより少ないと、消臭及び抗菌機能が劣る場合がある。一方、60mg/gを超えると、金属粒子の凝集が起こり、同様に消臭、抗菌機能、抗ウイルスの効果が劣る場合がある。
<4.合成繊維>
本発明の実施形態に係る不織布は、合成繊維、すなわち石油等の有機低分子を重合した合成樹脂からなる繊維を少なくとも一種類以上含む。一般に、合成繊維は、上述のセルロ−ス系繊維に比べ、吸湿性や吸水性や柔軟性等の点では劣るが、寸法安定性や耐光性等の点では優れている。
合成繊維の含有量は、不織布に対し5質量%以上であることが、寸法安定性の点から好ましい。また、金属イオン含有セルロース系繊維の含有量が、不織布に対し1質量%以上であることが好ましいことから、合成繊維の含有量は不織布に対し99質量%以下であることが好ましい。
合成繊維の種類は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)繊維などのポリエステル系繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、エチレン・ビニルアルコール共重合繊維、エチレン・酢酸ビニル共重合繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリアクリル系繊維ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール(PVA)系繊維、ポリ乳酸(PLA)系繊維、ポリエステル系共重合樹脂−ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂−ポリエステル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂−ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂−ポリプロピレン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂−ポリプロピレン樹脂など複合繊維などが挙げられる。
また、合成繊維は、単一同心構造を有する主体性繊維であってよく、また、芯部と鞘部の融点が異なる芯鞘型繊維であってもよい。好ましい態様において合成繊維は、繊維分散性の観点から、繊度が0.5〜4.5dtex、繊維長が3〜30mm(好ましくは5〜20mm、更に好ましくは5〜15mm)のものであることが望ましい。この合成繊維の繊度と繊維長の測定は、JIS L 1015:2010に基づく。また、合成繊維の融点は、例えば、110〜300℃の範囲であり、好ましくは110〜280℃の範囲であり、後段における高温下でのエンボス加工等の高温処理および安定性を考慮すると、200〜260℃の範囲であることがより好ましい。融点が110℃未満と低い場合には、湿式不織布の基紙を抄造する際に、抄紙ドライヤーに合成繊維由来の汚れ(毛羽立ち)が発生しやすくなる。一方、融点が300℃を超える合成繊維を配合することは、技術的に意味がないだけでなく、不経済なことでもある。芯鞘型合成繊維を使用する場合は、鞘部の融点が上記範囲内のものを選択する。なお、合成繊維の融点の測定は、JIS K 7121:2012に基づく。
芯鞘型繊維としては、芯部/鞘部が、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)/低融点ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリプロピレン(PP)/ポリプロピレン(PP)など、が挙げられる。芯鞘型ポリエステル系複合繊維としては、鞘部(低融点成分)が変性ポリエステルで芯部(高融点成分)がポリエチレンテレフタレートから構成された複合繊維(芯鞘繊維)が挙げられる。芯鞘型ポリオレフィン系複合繊維としては、鞘部(低融点成分)がポリエチレンで芯部(高融点成分)がポリプロピレンから構成された複合繊維(芯鞘繊維)が挙げられる。
なお、必要に応じてバインダーを使用してもよい。バインダーとしては熱融着性繊維、熱水溶解性繊維、水系接着剤が挙げられる。熱融着性繊維としては、前述した芯鞘型ポリエステル系複合繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、芯鞘型ポリオレフィン系複合繊維または親水性を有するパルプ状多分岐繊維が挙げられる。親水性を有するパルプ状多分岐繊維とは、ポリオレフィン合成パルプとも称されるもので、例えば、三井化学株式会社からSWPの商品名で市販されているものを例として挙げることができる。熱水溶解性繊維とは、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保っているが、抄紙後のドライヤー面で加熱されると容易に溶解し始め、その後の脱水乾燥で再凝固して強力な紙層構成繊維となるものをいう。熱水溶解性繊維としては、ポリビニルアルコール系の繊維状バインダーが挙げられる。これは、通常、ポリビニルアルコール繊維を短くカットしたものであり、常温の水では膨潤するだけで溶解しないが、60〜90℃の温水には溶解し、バインダーとして機能する。水系接着剤としては、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸ソーダ等の水溶性接着剤、ポリアクリル酸エステル、アクリル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、等のエマルジョンの接着剤が使用可能である。
<5.その他の材料>
本発明の不織布においては、上記金属含有セルロース系繊維、一般セルロース系繊維、及び合成繊維以外に、必要に応じて、他の材料を一種類以上含んでもよい。他の材料の種類としては、特に限定されないが、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤等の安定剤、充填剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの材料の合計含有量は、不織布に対し10質量%を超えない範囲であることが好ましい。
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、フェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ペントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機系着色剤、フタロシアニン等の有機系着色剤などが挙げられる。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
<6.不織布>
本発明の不織布は、上記金属含有セルロース系繊維、合成繊維、及び必要に応じて含有される一般セルロース系繊維や他の材料から、フリースと呼ばれる繊維の集積層を形成し、該繊維同士を結合させ、必要に応じ染色、ラミネート、コーティング等の加工を行うことにより製造することができる。
フリースを形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例としては、乾燥した繊維をカードと呼ばれる機械やエアレイと呼ばれる空気流で一定方向またはランダムに並べて形成する乾式法;紙を製造する場合と同じように、繊維を水中に分散し網状のネット上にすき上げる湿式法;及び、溶かした原料樹脂を直接ノズルの先から溶出・紡糸させ、連続した長い繊維でフリースを形成するスパンボンド法;等を挙げることができる。
特に、セルロース系繊維が親水性であることから湿式法を用いることが好ましい。湿式法の場合、従来の抄紙方法を用いて製造することができる。抄紙機としては、従来公知の各種のもの、例えば、円網抄紙機、傾斜短網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機等を用いることができ、適宜要求特性に応じて抄紙機を組み合わせることができる。抄紙法における乾燥工程としては、ヤンキードライヤー式、多筒式、熱風式、赤外線加熱式、などを挙げることができる。
繊維同士を結合させる方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例としては、エマルジョン系の接着樹脂を含浸、又はスプレーなどの方法でフリースに付着させ、加熱・乾燥させて繊維の交点を接着するケミカルボンド法;低融点の熱融着繊維を混合したフリースを、熱ロールの間を通して熱圧着するか、又は熱風を当てることにより、繊維同士を接着させるサーマルボンド法;高速で上下するニードル(針)でフリースを繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませるニードルパンチ法;フリースに高圧の水流を柱状に噴射して繊維を絡ませる水流絡合法;等が挙げられる。特に、ケミカルボンド法が好ましい。
乾式不織布の製造においては、必要に応じて合成繊維、紙力剤やバインダー、充填材(填料)などをさらに添加してもよい。乾式法としては、ウェブ形成において、カード法(カーディング法)、エアレイ法、ウェブ接着において、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ニードルパンチ法、等が挙げられる。
カード法は、複合体と熱可塑性合成繊維をカード機に装入して繊維の集積層(不織ウェブ)を形成し、これを熱可塑性繊維の溶融温度以上の温度で熱処理を施し、熱可塑性合成繊維の一部を溶融させて繊維同士を結合させるサーマルボンド法、または上記不織ウェブに水流交絡を施した後、熱処理を施す方法で製造することができる。なお、カード法によるウェブの製法としては、パラレルウェブ、クロスウェブ、ランダムウェブ、クリスクロスウェブ、セミランダムウェブ、等が挙げられる。
エアレイ法は、解繊した原料繊維を空気の流れにのせて搬送してウェブを形成し、ウェブに対してバインダーを塗布し、前記繊維ウェブの繊維相互間をバインダーによって結合する乾燥加熱工程(乾燥工程)とからなる。エアレイ法としては、本州製紙法(キノクロス法)、カールクロイヤー法、スキャンウエブ法(ダンウェブ法)、J&J法、KC法、スコットペーパー法等がある。
なお、本発明の乾式不織布をエアレイ法で製造する場合には、繊維同士を固着させるためにバインダーを使用してもよい。使用するバインダーは、必要に応じて適宜選択可能であり、たとえば、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸ソーダ等の水溶液タイプのバインダーや、ポリアクリル酸エステル、アクリル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体等の各エマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス等のエマルジョンタイプのバインダー等が使用可能である。
本発明における不織布は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、少なくとも1層以上が、前記金属を担持したセルロース系繊維を含む必要がある。
不織布の目付(坪量)は、10〜100g/mの範囲であることが好ましく、15〜80g/mの範囲であることがさらに好ましい。不織布が多層構造である場合、各層の坪量が10g/m以上であることが、均一かつ製造時の取り扱いにおいて最低限の強度を持つシートを製造する点から好ましい。なお、本発明における不織布の目付とは、0.05m以上の面積の不織布を105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその質量を測定した不織布のm2当たりの質量(g)を言う。
不織布の厚さは、20〜500μmの範囲であることが好ましく、30〜100μmの範囲であることがさらに好ましい。不織布が多層構造である場合、各層の厚さが20μm以上であることが、均一なシートを製造する点から好ましい。不織布の密度については特に限定されない。
本発明の不織布は、そのまま使用するか、又は必要に応じ他の不織布等の基材と積層し、及び/又は、エンボス加工やプリーツ加工等の各種加工を施した上で、気体又は液体のろ過用フィルタ等の各種用途に対し好適に使用することができる。
本発明のマスク用基材は、3層以上の不織布層を含むものであってもよい。この時、内層が金属イオン含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層であることが好ましい。内層以外の外層は公知のマスク用基材に用いられる不織布を使用することができる。
また、本発明は、少なくとも外層、内層、口元層の3層構造からなるマスク用基材において、内層は上記金属含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層とすることができる。これらは一体化されていてもよく、内層の不織布を取り換えが可能である取り換え用シートの形態としてもよい。
本発明において、口元層基材がメッシュ処理を施されていることが好ましい。口元層のメッシュの形状としては、格子状、水玉状、多角形状などを具体的な形状として挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
例えば、メッシュの形状を格子状とした場合、メッシュの開口面積は0.5〜8.0mmであることが好ましく、1.0〜5.0mmであることが更に好ましい。また、メッシュの開口部の間隔は1.0〜4.0mmであることが好ましい。
開口面積が0.5mmより小さいと、十分な通気性を得ることができない。一方、開口面積が8.0mmより大きくなると、十分な通気性は得られるものの、この口元層基材を用いたマスクは十分な強度を有していないため、取り扱い時に破損するなどの問題がある。
なお、本発明において、格子状とは、「−」、「+」、「×」などの直線あるいは直線を組み合わせて形成される形状を意味する。
また、メッシュの形状を水玉状、多角形状とした場合、メッシュの開口面積は1〜15mmであることが好ましく、3〜12mmであることが更に好ましい。また、メッシュの開口部の間隔は1〜5mmであることが好ましい。
開口面積がより1mmより小さいと、十分な通気性を得ることができない。一方、開口面積が15mmより大きくなると、十分な通気性は得られるものの、この口元層基材を用いた衛生マスクは十分な強度を有していないため、取り扱い時に破損するなどの問題がある。
なお、本発明において、水玉状とは、円、楕円、あるいはこれらを組み合わせて形成される形状を意味し、多角形状とは、三角形、四角形、五角形、あるいはこれらを組み合わせて形成された形状を意味する。
本発明において、メッシュの開口部の配列はランダムでも、たて、よこ、斜めなどに規則正しく配列されていてもかまわない。ランダムに配列されている場合は、この口元層基材を用いた衛生マスクの通気性を均一にするという意味において、見た目の密度が均一であることが好ましい。
本発明において口元層基材の開孔率は、1〜60%であることが好ましく、より好ましくは10〜30%である。開孔率が1%に満たないと十分な通気性が得ることができない。一方、開孔率が60%を越えると、この口元層基材を用いた衛生マスクは十分な強度を有していないばかりでなく、花粉やダストなどの捕集性を損なうため好ましくない。
口元層基材の開孔率は、基材の単位面積当たりの開孔部の面積の総和であらわされる。
本発明において、口元層基材としては、パルプ、麻、綿、レーヨン、各種合成繊維を使用した湿式不織布、乾式不織布、スパンレース、スパンボンド、メルトボンド、ニードルパンチ、ステッチボンド等の不織布や、ポリエステル、アクリル、ナイロン、アセテート、レーヨン、ウール、綿、綿混紡等の織物、編物や、上記した原材料を用いた和紙、洋紙そして、などを用いることができるが、口元の不快感を低減させる点から、パルプ、麻、合成繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維)を原料とした和紙あるいは洋紙を使用することが好ましい。
本発明において、口元層基材にメッシュ処理を施す方法は、湿式抄紙機において円網シリンダーにメッシュパターンワイヤーを使用する方法、及び短網で湿紙を形成後に湿紙を挟むようにメッシュワイヤーを併走させ、メッシュワイヤーを通して高圧シャワー処理を行う方法がある。また、二層で抄造し、二層のうちの一層をメッシュワイヤー、一層を通常のワイヤーとし、穴の大きさを制御する方法もある。
本発明において、メッシュ処理を施した口元基材に、アクリル樹脂、ポリエチレングリコールを塗布・含浸させることが可能であり、アクリル酸エステル及びポリエチレングリコールを塗布することは口元不快感を減少させる点から好ましい。
本発明において、メッシュ構造を有する口元層基材の物性としては、坪量10〜20g/m、厚さ45〜65μm、密度0.15〜0.45g/cmであることが好ましい。また、衛生マスクの形状維持、取り扱い時の破損に対して、口元層基材の引張強度が3.0N/15mm以上、伸びが2.0%以上、湿潤引張強さ(自社法)が1.00N/15mm以上であれば、実用上問題ないレベルである。
本発明において、外層に使用される外層基材は、上記した口元基材と同様なものを使用することができ、またメッシュ処理を施すことは、通気性の点から好ましい。
本発明のマスク基材を使用するマスクとしては、主に人間が口や鼻に当てて用いるもので、一般用マスク、花粉症用マスク、クリーンルーム用マスク、医療用マスク、手術用マスク、防塵マスク、ガスマスク等種々の種類のものに使用できる。また、取り換えが可能である取り換え用シートとして使用することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<酸化セルロース繊維の製造>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル;Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。
反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。
反応後の混合物をガラスフィルターで濾過した後、十分な水の量による水洗、ろ過を2回繰り返すことにより、固形分10質量%の水を含浸させた酸化セルロース繊維を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.68mmol/gであった。
<酸化セルロース繊維への金属イオンの担持>
上記酸化セルロース繊維に対し、水を加えて固形分濃度2%の分散液とし、pHを9.0に調整した後、CuCl2(和光純薬工業株式会社製)を、酸化セルロース繊維1gに対する濃度が1.6mmol/gになるよう撹拌しながら加え、さらに30分間撹拌することにより、酸化セルロース繊維にCuイオンを含有させた。
これに対し、十分な水の量による水洗、ろ過を2回繰り返すことにより、未反応の金属塩を除去し、固形分30質量%の、水を含浸させたCuイオン担持セルロース繊維(金属イオン含有セルロース系繊維)を得た。
酸化セルロース繊維に対する金属イオンの含有量は40mg/gであり、金属イオン含有セルロース系繊維のろ水度は500mlであった。
<不織布の製造>
上記金属イオン含有セルロース系繊維10%、金属イオンを含有しないセルロース系繊維(一般セルロース系繊維)として針葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度600mlのNBKP;日本製紙株式会社製)20%、合成繊維としてPET繊維(帝人フロンティア製、エコペット)を繊維長5mmに裁断したもの30%、バインダー繊維(芯鞘型ポリエステル系複合繊維、鞘部分の融点:100〜160℃、芯部分:ポリエチレンテレフタレート)40%の配合比のものを使用し、さらに水を加えて固形分濃度0.5質量%の水分散体を調製した。
これを丸型手抄き機にて、坪量30g/mとなるように抄紙し、プレス装置にて脱水し、さらにシリンダードライヤーにより85℃で乾燥させることにより、直径約16cmの丸型不織布を作製した。
[比較例1]
不織布を製造する工程において、金属含有セルロース系繊維を配合せず、金属イオンを含有しないセルロース系繊維(ろ水度600mlのNBKPパルプ、日本製紙株式会社製)の配合割合を30%にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で不織布を作製した。
実施例、比較例で得られた不織布について、下記の抗ウイルス特性を評価した。
・抗ウイルス特性の評価
実験1で製造したサンプルについて、抗ウイルス特性を評価した。抗ウイルス試験に供したサンプルの量は、0.4gとした。抗ウイルス性試験は、JIS L 1922:2016にて実施し、抗ウイルス活性値を算出した。試験ウイルスとして、下記の2種を使用した。
・インフルエンザウイルス(H3N2、ATCC VR―1679)
・ネコカリシウイルス(Strain:F−9 ATCC VR−782)
Figure 2021195629
表1から明らかなように、金属含有セルロース系繊維及び合成繊維を含有する実施例1の場合、高い抗ウイルス特性を示した。一方、金属含有セルロース系繊維を含有しなかった比較例1の場合、抗ウイルス特性を示さなかった。

Claims (9)

  1. カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属イオン及び/または金属粒子を含有する金属含有セルロース系繊維と、合成繊維とを含有する、少なくとも1層の不織布層を含むマスク用基材。
  2. 前記金属含有セルロース系繊維を不織布に対して1〜50質量%、合成繊維を30〜90質量%含有する、少なくとも1層の不織布層を含む請求項1記載のマスク用基材。
  3. 前記金属含有セルロース系繊維において、前記金属イオン及び/または金属粒子の含有量がセルロース系繊維に対して10〜60mg/gである不織布層を含む請求項1ないし2記載のマスク用基材。
  4. 前記不織布層がさらに金属を含有しないセルロース系繊維を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の不織布層を含むマスク用基材。
  5. JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法において、インフルエンザウイルスまたはネコカリシウイルスに対する抗ウイルス活性値(Mv)が2.0以上となる不織布層を含む、請求項1〜4に記載のマスク用基材。
  6. マスク用基材が取り換え用シートである請求項1〜5のいずれかに記載のマスク用基材。
  7. 少なくとも外層、内層、口元層の3層の不織布層を含むマスク用基材であって、内層が前記金属含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層である請求項1〜6のいずれかに記載のマスク用基材。
  8. 内層の金属含有セルロース系繊維と合成繊維とを含有する不織布層が取り換え用シートであることを特徴とする請求項7に記載のマスク用基材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のマスク用基材を使用するマスク。
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