JP6726288B2 - ナノコンポジット - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも1種の層状シリケート(sheet silicate)および少なくとも1種のゴムを含む特定のナノコンポジット、それらを製造するためのプロセス、ならびにそれらのナノコンポジットをベースとする各種の製品、好ましくはエラストマーに関する。
層状シリケートは、天然にも、たとえばマイカの形で産出され、容易に裂くことができるということでよく知られている。その理由は、層状シリケートが、極めて薄いシリケート微小板(silicate platelet)の多くの層で形成されているからである。それらのシリケート微小板は、ナノスケールの寸法を有している。それらの厚みは、典型的には1〜10ナノメートルの範囲であり、その長さは通常、100ナノメートルよりも長い。それらシリケート微小板の特徴は、液体や気体がそれらに浸透できないこと、およびそれらが弾性を有していることである。液体や気体がそれらに浸透できないという性質が、工業的には、拡散の防止に利用されている。たとえばゴムにおいては、層状シリケート微小板は分子が拡散することを困難とするが、その理由は、分子はそのシリケート微小板の向こう側に回るのに、長い距離を移動しなければならないからである。それらシリケート微小板が弾性を有しているために、曲げ応力の下でもそれらが破損することはなく、その理由から、それらシリケート微小板の使用は、曲げ応力がかかるゴム製品には特に適している。したがって、層状シリケートは、ポリマーのナノコンポジットの製造に使用され、充填されていないポリマーと比較して、機械的およびバリヤーとしての性質の点で、ポリマーの性質が改善される。
層状シリケートの中のシリケート微小板の個々のシートの間に化学的および電気的な性質の比較的強い結合があるために、個々のシリケート微小板を完全にばらばらにすること(individualization)が、今日に至るまで不可能であるという現象をもたらしている。ばらばらにしようと色々と試みてみても、その結果は常に、相互に付着した多くのシリケート微小板の集塊物(タクトイドと呼ばれる)が得られるに過ぎない。
しかしながら、層状シリケートを工業的に使用するための、また別な重要な前提条件は、層状シリケートから製造されるナノ粒子のアグロメレーション(凝集)を防止すること、および層状シリケートの層間剥離(delamination、exfoliation)を確保することである。このことは、多くの場合、粒子表面を変性させるか、または層状シリケートのカチオンを、体積の大きい有機カチオンと交換させることによって達成される。ナノ粒子のコンパウンディング、ポリマーマトリックスの中での粒子の均質な分散、およびナノスケール特性を得るための分散が、プラスチックまたはゴムの中で使用して成功するためには、極めて重要である。「コンパウンディング(compounding)」という用語は、プラスチック業界用語であり、「プラスチックの加工(plastics processing)」と同義語であって、特定の性能プロファイルを最適化する目的で、混ぜ物(充填剤、添加剤など)を混ぜ込むことによって、プラスチックの性能を向上させるプロセスを表している。コンパウンディングは、エクストルーダー(押出機)中で実施するのが好ましい。
充填剤として知られている、慣用されている層状シリケート、たとえばタルクまたはマイカは、層間剥離することは不可能であるし、層間挿入(intercalate)がまったく不可能か、または極端な条件下でのみ層間挿入が可能となることは公知である(非特許文献1)。層間挿入された構造においては、個々のシリケート微小板の間の距離はすでに大きくなってはいるが、シリケート微小板が相互に完全に分離している訳ではない。タクトイドの形態においては、それとは対照的に、シリケート微小板を、プラスチック、ゴム、または加硫物の中に均質に分散させることができる。その様な場合、層間挿入物(intercalate)と呼ばれる。多くの場合、ポリマーのナノコンポジットは、ハイブリッド構造を有していて、それらは、層間剥離されたシリケート微小板と層間挿入された領域の両方を含んでいる。
これについては、以下を参照されたい:
http://wiki.polymerservice−merseburg.de/index.php/Schichtsilikatverst%C3%A4rkte_Polymere。
層間剥離された、したがって理想的な構造では、それとは対照的に、層状シリケートの個々のシリケート微小板が分離されて、材料の中で、完全かつ均質に分散していることを特徴としている。
タルクまたはマイカを充填剤として使用した場合、得られるナノコンポジット材料の機械的性質は、層間挿入されるか、または部分的に層間剥離されたナノコンポジットが得られる、膨潤可能な層状シリケート、たとえばモンモリロナイトを使用した場合よりは、はるかに劣る。タルクまたはマイカでは、ポリマーに対する充填剤の付着性が低く、ポリマー中での充填剤の分散が悪い、従来からのコンポジットしか得られない。
ポリマー材料の中に層状シリケートを導入するための、文献に記載されている第一の前提条件は、一般的に、使用する層状シリケートに層間挿入を施すことである。その第一の工程においては、疎水化によって層状シリケートの中の層を拡げ、次いで第二の工程で、添加されるポリマーの有機マトリックスのための相溶化を実施する。開口された(opened−up)層状シリケートの中の隙間空間の中に入り込むポリマーを導入することを容易とし、インサイチューで層間剥離に導くためには、すなわち個々の層状シリケートのまたはタクトイド(層状アグロメレート)の中への入り込みを最大にする、したがって、ポリマーのマトリックス中での分散の均一性を最大にするためには、層の開口が必要である。個々のシリケート微小板の中への層間剥離をさらに伴うアスペクト比を増大させることが、改良された性質を有するポリマー−層状シリケートのナノコンポジットを製造するための、必須の前提条件とみなされる(非特許文献2)。層間挿入可能かつ層間剥離可能な層状シリケートは、好ましくは、モンモリロナイト、またはスメクタイトのタイプからのヘクトライトである。
層状シリカを少量使用しただけで、高い接触面積、したがって、ポリマー−層状シリケートのナノコンポジットの性質に関して最適な効果を達成する目的で、ポリマー−層状シリケートのナノコンポジットのコンポジット性能の改良をするためには、実質的な層間剥離が必要であるというのが共通認識である。この層間剥離は、一般的には、加工の際の化学的もしくは物理的−機械的プロセスにより、インサイチューで達成される。
(特許文献1)には、高温融解物合成法により合成スメクタイトを作成し、それらを撹拌により「水的に(aqueously)」分散させることによる、非膨潤性の層状シリケートのタクトイドを製造するためのプロセスが開示されている。
(特許文献2)には、層状シリケートを開口させるか、または膨潤させるアルカリ性の媒体の中にそれらを導入することによって、層状シリケートからシリケート微小板をばらばらにするためのプロセスが開示されている。そのようにして得られた開口された層状シリケートの半製品を、流通反応器(flow reactor)中で、流れる方向で狭くなっていくチューブの中での伸長流(extensional flow)の手段によって、ゴムラテックスと激しく組み合わせて、混合して、シリケート微小板の間の層の細隙の中にラテックスのゴムを貫入(penetration)させ、層の分離の口を開き、結合を弱めさせる。その結果として、流通反応器の層流の中で、シリケート微小板が相互に分離される。その流通反応器の出口を出てから、その中でシリケート微小板がゴムで囲まれているゴムコンポジットをコアギュレート(凝集)させ、有機溶媒および塩を使用して、沈殿させる。(特許文献2)によるプロセスを、以後においては、「静的ラテックスコンパウンディング(static latex compounding=SLC)」と呼ぶ。
欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書 独国特許出願公開第10 2007 048 995A1号明細書
K.Tamura,S.Yokoyama,C.S.Pascua,H.Yamada,Chem.Mater.,2008,20,2242〜2246 H.A.Stretz,D.R.Paul,R.Li,H.Keskkula,P.E.Cassidy,Polymer,2005,46,2621〜2637
この従来技術から進展させて、検討した課題は、実質的にタクトイドを回避し、改良された性質を有するゴムベースの製品を得る目的で、化学的もしくは物理的−機械的プロセスにより、インサイチューで、層状シリケートからシリケート微小板をばらばらにする方法をさらに改良することであった。
驚くべきことには、タクトイドを実質的に回避した、層状シリケートの改良された層間剥離法によって、ゴムベースの製品の性能プロファイルがかなり改良されたナノコンポジットが得られることが見出されたが、その方法では、層状シリケートおよびラテックスの水溶液の伸長流の中に、流通反応器に搭載した混合ユニット、好ましくは混合ノズルの手段によって、コアギュレート(凝集物)を導入する。
本発明は、ゴムマトリックスによって包み込まれ、少なくとも1種の層状シリケートと、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エチレン−アクリレートゴム、アクリレートゴム、フルオロゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムとを含む、層状シリケート粒子で構成されるナノコンポジットを提供するが、それは、以下の特徴を有する:
− その層状シリケートの含量が、6容積%以下であり、
− そのゴムマトリックスの中の層状シリケート粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定される。
誤解がないように付言すれば、本出願の文脈においては、「6容積%以下」にはゼロの値は含まれない、ということに注意されたい。本発明の文脈における標準はすべて、本願出願日に適用可能な版に関連している。
誤解がないように付言すれば、本発明の範囲には、以下において、「一般的な条項として」、または「好ましい範囲として」特定される定義およびパラメーターのすべてが、各種所望の組合せで包含されているということにさらに注意されたい。特に断らない限り、パーセントの数字はすべて、DIN 1310に従った質量パーセントである。本出願においては、d50値、それらの測定法、それらの意義に関しては、Chemie Ingenieur Technik,72,273〜276,3/2000,Wiley−VCH Verlags GmbH(Weinheim),2000を参照することとし、それによれば、d50は、粒子の量の50%がそれより下になる粒子サイズ(中央値)である。
本出願はさらに、ナノコンポジットを製造するためのプロセス(方法)も提供するが、そこでは、
a)層状シリケート含有原料物質を、水性媒体の中に導入し、その層状シリケートの中のシリケート微小板の層を開口させる、
b)開口されたシリケート微小板層を含むこの半製品を、少なくとも1種のラテックスと混合する、
c)その混合物を、流通反応器に供給し、変換させて、層流の伸長流(laminar extensional flow)とする、
d)層流の伸長流の中の、その中に存在する大部分もしくは完全に分離されたシリケート微小板を含むその混合物を、少なくとも1種の混合ユニット、好ましくは混合ノズルまたは沈殿ノズル(precipitation nozzle)の中で、少なくとも1種の酸もしくは少なくとも1種の塩をベースとするコアギュラントと混合する、最後に、
e)d)で得られた中間体を集めて、アルカリ性の、水性媒体中で単離するが、
ここで、そのラテックスには、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムを選択し、ここで使用する混合ユニットは、混合ノズルまたは沈殿ノズルである。
驚くべきことには、本発明のプロセスは、その中で、ゴムマトリックスの中の層状シリケート粒子の50%が、100〜200nmの範囲、好ましくは140〜160nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有するナノコンポジットが達成されるが、その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって求める。
さらに驚くべきことには、プロセス工程のc)およびd)を組み合わせると、層状シリケートのシリケート微小板の極めて大量の(very substantial)層間剥離を達成することができる。好ましくは、本発明のナノコンポジットは、17.5〜25mの範囲、好ましくは22mより大の平均粒子表面積(ISO 標準 13320に従い光散乱法により測定)を有する。
したがって、本発明出願は、以下のプロセスによって製造されるナノコンポジットも提供する:
a)層状シリケート含有原料物質を、水性媒体の中に導入し、その層状シリケートの中のシリケート微小板の層を開口させる、
b)開口されたシリケート微小板層を含むこの半製品を、少なくとも1種のラテックスと混合する、
c)その混合物を、流通反応器に供給し、変換させて、層流の伸長流とする、
d)層流の伸長流の中の、その中に存在する大部分もしくは完全に分離されたシリケート微小板を含むその混合物を、少なくとも1種の混合ユニット、好ましくは混合ノズルまたは沈殿ノズルの中で、少なくとも1種の酸もしくは少なくとも1種の塩をベースとするコアギュラント(凝集剤)と混合する、最後に、
e)d)で得られた中間体を集めて、アルカリ性の、水性媒体中で単離するが、
ここで、ラテックスには、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムを選択し、ここで使用する混合ユニットは、混合ノズルまたは沈殿ノズルである。
そのプロセスによって製造されるナノコンポジットは、以下のような特徴を有している:
− その層状シリケートの含量が、6容積%以下であり、
− そのゴムマトリックスの中の層状シリケート粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
本発明の文脈において使用される質量比および容積比(後者は、DIN 1310に従えば容積画分(volume fraction)などとも呼ばれる)は、いわゆる「含量パラメーター(content parameter)」、すなわち問題としている混合物/混合相の組成を定量的に記述するための物理化学的パラメーターである。
本発明のナノコンポジットの中の層間剥離された層状シリケート微小板が、50より大、好ましくは70より大、さらにより好ましくは80、特に好ましくは90より大のアスペクト比を有しているのが好ましいが、ここで、そのアスペクト比は、層状シリケートの長手方向の長さの、その厚みに対する比率であり、そのアスペクト比を計算するのに必要となる粒子の長さおよび粒子の厚みのパラメーターは、(本発明の文脈においては)、動的光散乱法(dynamic light scattering=DLS)の手段、ならびに標準のISO 13321およびISO 22412を適用する画像解析によって得られる。
本発明のナノコンポジットの中の層状シリケート微小板は、X線回折で測定して、好ましくは30%〜99%の範囲、より好ましくは50%〜95%の範囲の層間剥離レベル、特に好ましくは70%〜90%の範囲の層間剥離レベルを有している。したがって、本発明のナノコンポジットの中の層状シリケートの粒子表面積は、従来技術のプロセスによって達成できるようなナノコンポジット中の層状シリケートの粒子表面積よりも、顕著に大きい。
一般的に、当業者は、ゴムの水性懸濁液をラテックスと呼んでいる。プロセス工程b)において反応剤として使用されるラテックスはさておき、「ラテックス」という用語は、代わりに、プロセス工程e)からのプロセス生成物、すなわち本発明のナノコンポジットの水性懸濁液を指すのにも使用される。
プロセス工程e)から得ることが可能な本発明のナノコンポジットの水性懸濁液が、0.1重量%〜6重量%の範囲の固形分濃度を有しているのが好ましい。誤解がないように付言すれば、ここでは、本発明のラテックスの中の本発明のナノコンポジットの6重量%の固形分濃度は、約15容積%に相当するということに注目されたい。したがって本発明はさらに、本発明の少なくとも1種のナノコンポジットを、好ましくは0.1重量%〜6重量%の範囲の濃度で含むラテックスにも関する。
本発明のナノコンポジットは、少なくとも1種のさらなるプロセス工程において、少なくとも1種のゴムの中に導入することによって、さらに加工されて、製品、好ましくはゴムの混合物および加硫物が得られる。したがって、本発明はさらに、好ましくはゴムの混合物および加硫物の形態にある、少なくとも1種のゴムおよび本発明の少なくとも1種のナノコンポジットを含む製品を提供する。
最後になるが、本発明は、本発明のナノコンポジットの、好ましくはゴムの混合物または加硫物の構成成分としての、以下の用途のための使用も提供する:容器をシールして液状媒体および/または気体状媒体の漏れ出しを防ぐため、好ましくは化学産業、家電産業、または自動車産業において、より好ましくはガスケット、膜、ガス蓄圧器、ホース、モーターのためのハウジング、ポンプおよび電動工具、ローラー、タイヤ、カップリング、停止用緩衝材(stop buffer)、コンベアベルト、伝動ベルト、多層積層材および多層フィルム、ならびにさらに防音もしくは防振要素としての使用。
図1は、流通反応器として好ましく使用するための円錐形のテーパーを有するチューブを示す図である。
本発明の好ましい実施態様
プロセス工程a)においては、その中でシリケート微小板が相互に結合されている層状シリケートが入っている原料物質を使用する。典型的には、このシリケート微小板の相互の結合は、化学的および/または電気的結合に基づくものである。プロセス工程a)におけるこの原料物質は、水性媒体の中に導入するが、この水性媒体が、シリケート微小板を開口する(open up)。そのように開口されたシリケート微小板を有する層状シリケートは、本出願の文脈においては、「層間挿入物(intercalate)」とも呼ばれる。
その水性媒体は、好ましくは、有機成分を含まず、より好ましくは、有機溶媒または有機可溶化剤を含まず、特には、アルコール、ケトンおよび/またはその他の溶媒として一般的に使用される有機媒体を含まない。
好ましくは、プロセス工程a)において、その開口させるためのプロセス(「膨潤(swelling)」とも呼ばれる)は、撹拌容器の中、好ましくは撹拌タンクの中で実施する。
プロセス工程a)は、好ましくは0〜95℃の範囲、より好ましくは5〜80℃の範囲、さらにより好ましくは10〜60℃の範囲、特に好ましくは20〜50℃の範囲の温度で実施する。
プロセス工程a)を標準圧力下で実施するのが好ましい。
プロセス工程a)における膨潤には、脱イオン水を使用するのが好ましい。本発明の文脈においては、脱イオン水は、0.1〜0.5μS/cmの範囲の導電率を有している。
プロセス工程a)においては、層状シリケートを、好ましくは、1容積%〜35容積%/1リットルの水の範囲の量、より好ましくは、5容積%〜25容積%/1リットルの水の範囲の量、さらにより好ましくは、4容積%〜15容積%/1リットルの水の範囲の量で使用する。
プロセス工程a)を、好ましくは、流通反応器の上流側に接続された撹拌タンクの中、より好ましくは、加熱可能な撹拌タンクの中で実施する。
好ましくは、その撹拌容器を、典型的には、製造目的のために決めることができる圧力、好ましくは1〜6barの範囲の圧力として、水性媒体の中で開口させた層状シリケートの半製品を、プロセス工程b)において混合ゾーンとして機能する流通反応器へとフィードする。
これとは独立して、他の反応剤であるラテックスも同様に、好ましくは撹拌されている容器の中に入れておく。この第二の容器も同様に、好ましくは、製造目的に適するようにすることが可能な圧力、好ましくは1〜6barの範囲の圧力下に置く。
反応剤として使用されるラテックスには、以下の群からの少なくとも1種の乳化剤が含まれているのが好ましい:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンジルスルホン酸ナトリウム(SDBS)、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム[C10〜C22脂肪酸の飽和アンモニウム]、およびC10〜C22の範囲の炭化水素鎖長を有する不飽和カルボン酸塩。
ラテックス中の乳化剤として、ステアリン酸ナトリウムを使用するのが特に好ましい。
さらなる実施態様においては、上述の乳化剤を組み合わせて使用することも可能である。
プロセス工程b)においては、プロセス工程a)から得ることができる、水性媒体(以後においては、まとめて「媒体A)」と呼ぶ)中の、開口された層状シリケートの形態にある半製品(「層間挿入物」とも呼ばれる)を、反応剤として使用されるラテックス(以後においては、「媒体B)」と呼ぶ)と組み合わせて、混合する。
この過程において、媒体Bからのゴムが、シリケート微小板の層の細隙の中に貫入する。このことが、層状シリケートの中、すなわちシリケート微小板の間の結合を弛め、シリケート微小板の層の間の距離を拡げる。
プロセス工程b)における混合は、流通反応器より上流に接続された混合チャンバーの中で実施するのが好ましい。
プロセス工程b)は、好ましくは0〜95℃の範囲、より好ましくは5〜80℃の範囲内、さらにより好ましくは10〜60℃の範囲内、特に好ましくは20〜50℃の範囲内の温度で実施する。プロセス工程b)を、23±2℃の範囲内の室温で実施するのが、特に好ましい。
プロセス工程b)を、標準圧力下で実施するのが好ましい。
プロセス工程b)においては、コアギュレーション(凝集)および仕上げ工程の後で、ゴムマトリックス中の層状シリケートの含量が最大6容積%になるように計算した比率で、層状シリケートと反応剤として使用されるラテックスとを相互に混合するのが好ましい。ゴムマトリックスの中の層状シリカの含量が、最終的に1容積%〜3容積%の範囲になるようにするのが、より好ましい。開口された層状シリケートと反応剤として使用されるラテックスとの分散体、すなわち媒体A)と媒体B)との混合物を撹拌して、その分散体から成分が沈降しないようにするのが好ましい。
プロセス工程c)においては、工程b)において媒体A)とB)とを混合することによって得られた混合物を流通反応器にフィードし、そこでその混合物を、層流の伸長流に変換させる。この過程で、層間挿入物の中ですでに開口されているシリケート微小板を、相互にさらに分離させる。
流通反応器へのフィードは、1〜6barの範囲の圧力で行うのが好ましい。
プロセス工程c)における温度は、好ましくは0〜95℃の範囲、より好ましくは5〜80℃の範囲、さらにより好ましくは10〜60℃の範囲、特に好ましくは20〜50℃の範囲である。
流通反応器の中での流速は、レイノルズ数で特徴づけられる層流の範囲内とするが、これはさらには、その流通反応器のチューブの断面積に依存する。
「層流」とは、目に見えるような乱れ(渦の発生/十字流)が(まだ)起きないような液体および気体の移動であって、その流体が層の形で流れて、相互に混合することがない。この場合においては、その(一定流速の)流れは通常、定常流である。層流の逆は、乱流と呼ばれるものである。物理学者のO.Reynoldsが、パイプラインの中で特定の流速よりも高いときのみに、渦が発生するということを発見した。この目的のために用いられる評価基準が、レイノルズ数のRである。これは、次式で定義される:
Figure 0006726288
ここで、υは代表流速の大きさであり、ιは代表長さであり、そして、νは動粘性率(kinematic viscosity)、ηは動的粘度(dynamic viscosity)、そしてρは流れている流体の密度である。
臨界値のRecritより上では、層流が不安定となって、小さな乱れが起きる。この値は、たとえばチューブ状の流れの場合においては、およそ次のようになる:
Figure 0006726288
ここで、υは、平均流速であり、パイプの直径dが、代表長さとして採用される。
パイプの中の流れが層流であるのなら、Hagen−Poiseuille則が適用できる。それは、パイプの中を流れる体積流量dV/dtを、使用したパイプの内側半径の関数として記述する。
流通反応器の中で起きる、開口された層状シリケート微小板の分離は、「層間剥離(exfoliation)」とも呼ばれ、本発明における目標は、好ましくは、100〜200の範囲のアスペクト比である。
好ましくは、その流通反応器が、円錐形のテーパーを有するチューブの形状、好ましくは図1に示したチューブの形状を有しているのが好ましい。これが、媒体A)および媒体B)の混合物を層流の伸長流に変換する。好ましくは、層流の伸長流への変換を、低い圧力で、好ましくは0.2〜30barの範囲、より好ましくは0.5〜20barの範囲、特に好ましくは1〜6barの範囲の圧力で実施する。
流通反応器として好ましく使用するための図1に記載の円錐形のテーパーを有するチューブは、1〜15度の範囲の角度θ、より好ましくは1〜10度の範囲、より好ましくは1〜5度の範囲の角度θを有するが、ここで角度θは、その反応器の傾斜角度(slope angle)を表している(図1参照)。図1において、Dは、伸長流の現象が開始される点での円錐形のテーパーを有するチューブの直径であり、そしてDは、その伸長流が混合ノズルまたは沈殿ノズルに入る直前の直径であり、そしてLは、円錐形のテーパーを有するチューブの長さである。
プロセス工程c)において流通反応器として好適に使用される円錐形のテーパーを有するチューブの狭窄係数(narrowing factor)D/Dは、好ましくは1.1〜20の範囲、より好ましくは2.5〜18の範囲、さらにより好ましくは5〜15の範囲、特には10±2の範囲であるが、ここで、Dは、伸長流の現象が開始される点での円錐形のテーパーを有するチューブの断面であり、そしてDは、その伸長流が少なくとも1種の混合ユニット、好ましくは混合ノズルまたは沈殿ノズルに入る直前の円錐形のテーパーを有するチューブの断面である。
円錐形のテーパーを有するチューブの好ましい技術的実施態様では、層流の伸長流において、長さL全体にわたって、ほぼ双曲線の側面図が得られるようにする。このことは、Lの5〜25%、好ましくはLの7〜18%、より好ましくはLの10〜15%の複数の段階で、すなわちL未満の複数の距離で、チューブの断面の傾斜(grade)を減らしていくことで、達成することが可能である。このような狭め方を実施して、所望の伸長流が保持されるようにする。
特に好ましい技術的実施では、流通反応器の中で複数の傾斜を付けることはせずに、層流の伸長流の中で滑らかな双曲線のプロファイルを使用するが、その理由は、この方法では複数の傾斜での渦(eddy)と呼ばれるものが回避され、高い処理量であっても、所望の伸長流が保持されるからである。
L/Dの比率は、好ましくは100〜400の範囲、より好ましくは150〜300の範囲、特に好ましくは250±10の範囲であるが、それによって、伸長流を特に均一にすることができる。処理量は、バッチのサイズと、扱う液体の量から算出される。流通反応器として使用する円錐形のテーパーを有するチューブのチューブ直径を2倍にすると、処理量は4倍に増える。
プロセス工程d)においては、プロセス工程b)において反応剤として使用されるラテックスからのゴムによって囲まれ、プロセス工程c)の中でばらばらにされて、伸長流の中にあるシリケート微小板を、少なくとも1種の混合ユニットの中において、少なくとも1種の酸または少なくとも1種の塩をベースとする、コアギュラント/沈殿剤と混合される。好ましくは、それは、少なくとも1種の水性の酸、または少なくとも1種の塩の水溶液である。コアギュラントを添加した結果、本発明のナノコンポジットが沈殿する。プロセス工程d)におけるこの混合操作は、流通反応器の出口より前、まだ最後の1/3の領域において、すなわち、また流通反応器の中で実施することもできるし、あるいは流通反応器から出た直後に実施することもできる。
この目的のために必要な混合ユニットは、少なくとも1種の混合ノズルまたは沈殿ノズルによって実現させるのが好ましい。混合ノズルの設計に応じて、その沈殿そのものが、二つの変法で進行する。変法1においては、混合ノズルの内部で沈殿が早くも進行する。変法2においては、混合ノズルのすぐ下流、すなわち混合ノズルの外で沈殿が進行する。外へ出るまで沈殿が起きないようにするためには、所定の流速で所望の沈殿速度とするために、その混合ノズルの設計長さを選択して、混合ノズルを出てから、それが凝集(コアギュレート、coagulate)するようにしなければならない。使用するのが好ましい、Duesen−Schlick GmbH(Untersiemau/Coburg)製の混合ノズルの場合においては、その設計に従って、コアギュレーション(凝集)は常に、それが混合ノズルを出た後に、液膜の中で起きる。
コアギュレーション(凝集)工程のためには、外部混合原理(external mixing principle)または内部混合原理(internal mixing principle)のいずれかで、好ましくは内部混合原理で機能する、少なくとも1種の混合ノズルを使用するのが好ましい。混合ノズルとして使用することが可能な、外部混合原理による、二流体調節スプレーバルブは、たとえば独国特許出願公開第3709956A1号明細書からも公知である。二相アトマイザー装置として使用することが可能な、内部混合原理による、混合ノズルは、たとえば独国特許出願公開第19820432A1号明細書からも公知である。
コアギュレーション工程においては、その沈殿条件たとえば、圧力、沈殿ノズルの長さ、コアギュラント(凝集剤)の濃度、および使用したラテックスの中のゴムの沈殿速度などは、一実施態様において熟慮の上で不安定化させるのがよいが、それぞれの場合において、使用のためのゴムのタイプに個別にマッチさせなければならない。その目的は、ばらばらにされた層状シリケート微小板の上へゴムが沈殿され、そしてそれらの表面が被覆されたナノコンポジットを形成させることであって、それによって、ばらばらになったシリケート微小板が固定される。このようにすることによってのみ、本発明のナノコンポジットの最適な均質性が達成される。
好ましい実施態様においては、その流通反応器がモジュール構成を有していて、円錐形の内腔と、流通反応器の中へコアギュラントを添加するための少なくとも1種の混合ユニットの統合物とを有する要素の中で、伸長流を発生させる。各種の長さのチューブ要素を備えることによって、少なくとも1種の混合ユニットでも、各種の加工長さを使用することが可能となる。
その少なくとも1種の混合ユニットの中で、伸長流が始まるより前の流動粗反応器(flow crude reactor)の断面の直径Dと、加える圧力pとの比率を使用して、コアギュレーションのための混合ユニットにおける伸長流、処理量、および体積流量を調節する。観察されるD/p比は、好ましくは10〜20/1〜2の範囲、より好ましくは12〜18/1.25〜1.75の範囲、最も好ましくは15/1.5の比率である。複数の要素を組み合わせることによって、形状寸法を広い限界の中で可変のままに残して、層流の伸長流の中の懸濁液のレオロジー的な性質を変化させるように対応させることが可能となる。
一つの実施態様においては、流通反応器の中、または流通反応器から出た後で、層流の伸長流に対してコアギュラントを、その中で内部混合原理に従って、直角または斜めに添加する混合ノズルを使用するのが好ましい。たとえばSchlickのモデル770混合ノズルは、内部混合の原理で作動し、たとえばSchlickのモデル772混合ノズルは、外部混合の原理で作動する。混合ユニットとして同様に使用することが可能な、また別な混合ノズルは、Schlickのモデル803−804混合ノズルである(参照、Schlick product brochure、http://www.duesen−schlick.de/industriewelt/418/druckduesen)。
最も好ましくは、プロセス工程c)において、媒体A)およびB)を含み、そしてコアギュラントと共に伸長流の中にある混合物を、内部混合の原理にかけて、そこでは、混合ノズルの中へのコアギュラントのフィードを、3点から、それぞれの場合において120度離して実施する。この場合、媒体A)およびB)で構成される伸長流に、混合ノズルの同じ断面のところで、コアギュラントの三つのサブストリームを添加するのが特に好ましいが、これを、本発明の文脈においては、「CDLC」(「continuous dynamic latex compounding」)法と呼ぶことにする。
少なくとも1種の混合ユニットの中で、媒体A)および媒体B)の混合物を含む伸長流にコアギュラントをフィードするときの比率は、好ましくは1容積部のコアギュラント対100容積部の混合物、より好ましくは1容積部のコアギュラント対50容積部の混合物、さらにより好ましくは1容積部のコアギュラント対20容積部の混合物、特に好ましくは1部のコアギュラント対10容積部の混合物である。
少なくとも1種の混合ユニット、好ましくは混合ノズルまたは沈殿ノズルと、流通反応器とが同じ材料、好ましくは典型的な製品の、鉄、黄銅、Hastelloy(登録商標)、PTFE、PVC、タンタル、またはチタンで構成されているのが好ましい。耐酸性のV2A鋼またはV4A鋼からの流通反応器および混合ノズルを使用するのが、特に好ましい。コアギュラントとして濃酸を使用する場合には、Hastelloy(登録商標)、特にHastelloy(登録商標)BまたはHastelloy(登録商標)Cを使用するのが好ましい。
コアギュラントとして好適に使用される水性の酸は、一塩基性、二塩基性または三塩基性の無機酸、好ましくは塩酸、硫酸、もしくはリン酸、またはそれらの混合物である。それらは、好ましくは0.005〜0.2mol/リットルの範囲、より好ましくは0.01〜0.1mol/リットルの範囲、特に好ましくは0.02〜0.09mol/リットルの濃度範囲で使用する。
コアギュラントとして好適に使用される塩は、一価、二価または三価の塩、好ましくはNaCl、CaCl、MgCl、AlCl、NaCO、MgSOまたはそれらの混合物の水溶液である。それらの塩は、好ましくは0.005〜0.2mol/リットルの範囲、より好ましくは0.01〜0.1mol/リットルの範囲、特に好ましくは0.02〜0.09mol/リットルの濃度で使用する。
プロセス工程d)におけるコアギュレーションは、好ましくは0.5〜6.5の範囲、より好ましくは1.0〜5.5の範囲内、さらにより好ましくは1.5〜5.0の範囲内、特に好ましくは2.0〜5.0の範囲内のpHで実施する。
本発明において好ましいpHの範囲は、プロセスを実施するより前に、コアギュレーションの動力学を測定することにより、確認できる。この目的のためには、濁り度を測定するが、その場合、濁り度の測定系において、希釈したラテックス(1:100)を含むキュベットの中を、532nmの波長を有するレーザービームを通過させる。本発明においてコアギュラントとして使用される酸を、マグネチックスターラーを用いて同時に混合しながら、数ミリ秒(約15ms)以内でキュベットの中に注入すると、希釈されたラテックスに濁りが発生し、まず分散体の状態を経過して、次いでアグロメレーション、最後にはコアギュレーションに達する。キュベットの後ろのホトダイオードが、入射光の強度における変化を読み取って、得られる電圧における変化を記録し、オシロスコープ(Tektronix DPO3014)を用いて評価する。酸を各種の濃度で使用することによって、コアギュレーション速度に関するそのラテックス系のpH依存性を求めることが可能である。コアギュラントとして沈殿剤の塩を使用した場合も、同様の方法で進めることができる。NBRまたはHNBRをベースとしたラテックスの場合には、4〜5の範囲のpHが特に好ましい。
より好ましくは、プロセス工程d)においては、その少なくとも1種の混合ユニットの中での混合を、室温(23℃±2℃)の領域の温度で実施する。混合操作の場合の温度の上限は、水性の酸または塩の水溶液を使用する場合には、それらの酸または塩のために使用した溶媒の沸点によって決まり、溶媒として水を使用した場合には、水の沸点によって決まる。
プロセス工程d)における混合操作は、最高30barまでの範囲の圧力で実施するのが好ましいが、最高5barまでの範囲の圧力で実施すれば、特に好ましい。
プロセス工程e)においては、プロセス工程d)で得られた中間体を冷却し、アルカリ性の水性媒体の中で単離させる。
そのアルカリ性の水性媒体は、好ましくは7.5より大のpH、より好ましくは8.0より大のpH、さらにより好ましくは8.5より大のpHを有している。使用するアルカリ性の水性媒体が、NaOH水溶液であるのが好ましい。好ましくは、次いでそのコアギュレートを、本発明のナノコンポジットの形態で単離し、そのpHが中性になるまで、脱イオン水で洗浄する。
本発明の文脈においては、「単離する(isolating)」という用語は、好ましくは、水性媒体からコアギュレートを濾過除去し、中性になるまで洗浄し、そしてそのナノコンポジットを乾燥させることを意味している。
コアギュレートは、好ましくは30〜70℃の範囲、より好ましくは40〜60℃の範囲、特には55℃の温度で、恒量になるまで乾燥させる。乾燥は、乾燥オーブンの中で実施するのが好ましい。乾燥では、コアギュレートのバルクのコア温度が90℃を超えないということが、極めて重要である。
本発明のナノコンポジットにおいては、ラテックスの形態の中の層間剥離された層状シリケートが、周辺のゴムのマトリックスと、20〜50 /gの範囲の接触面積を有しているのが好ましい。これが意味しようとしているのは、層間剥離された層状シリケート微小板とそれを取り巻くゴムマトリックスとの間に選択された濃度で存在している接触表面積である。
プロセス工程e)で得ることが可能な本発明のナノコンポジットは、マスターバッチとして保存し、後ほどコンパウンディングプロセスと呼ばれている方法で使用してもよいし、あるいは、ゴムコンパウンド物を得るための充填剤として、当業者にとっては一般常識である方法によって、直接さらに加工してもよいが、後者は、混合物を製造するのに適した装置、好ましくはローラー、インターナルミキサー、またはそうでなければ、エクストルーダーなどの手段で、工業的な標準方法により、成形および加硫を行う。本発明の文脈においては、したがって、架橋されたゴムコンパウンド物もまた、加硫物と呼ぶ。
標準的な混合物成分、混合プロセスおよびそれに続く加硫におけるそれらの役割、ならびに所望の加硫物物性の達成についての説明は、次の文献に記載されている:James E.Mark,Burak Erman,Frederick R.Erich,”Science and Technology of Rubber”,p.419〜469,Academic Press(San Diego)(second edition,1994)。機械部品も含めたゴムのコンパウンディングおよび業界で標準であるプロセスについての説明は、次の文献に見出すことができる:James L.White,”Rubber Processing”,p.162ff,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna)(1995)。網羅的な説明は、次の文献に見出すことができる:Fritz Roethemeyer,Franz Sommer,”Kautschuk Technologie”[Rubber Technology]、Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna)(2nd edition,2006)。
ナノコンポジットのための反応剤
層状シリケート
プロセス工程a)においては、その中でシリケート微小板が結合されて存在して層状シリケートとなっている、層状シリケートが入っている原料物質を使用する。典型的には、このコンポジットは、化学的および/または電気的な結合で固定され、特徴づけられている。各種の場合において、「フィロシリケート(phyllosilicate)」という用語は、層状シリケートにも使用される。層状シリケートは、その中でシリケートアニオンが、コーナー結合された(corner−linked)SiO四面体の層からなっている、シリケートである。これらの層、または二重層は、骨格を与えるためのさらなるSi−O結合で相互に結合されている訳ではない。
本発明においては、スメクタイトタイプの少なくとも1種の層状シリケートを使用するのが好ましい。モンモリロナイトのNa0.33((Al1.67Mg0.33)(OH)(Si10))、バイデライトの(Ca,Na)0.3(Al(OH)(Al0.5Si3.510))、ノントロナイトのNa0.33(Fe(OH)(Al0.33Si3.6710)、サポナイトの(Ca,Na)0.33((Mg,Fe)(OH)(Al0.33Si3.6710))、およびヘクトライトのNa0.33((Mg,Li)(OH,F)(Si10))の群からの少なくとも1種の層状シリケートを使用するのが特に好ましい。モンモリロナイト(MMT)[CAS No.1318−93−0]を使用するのが、極めて特に好ましい。MMTは、一般的に産出される層状シリケートであって、単斜晶系の結晶系で結晶化するが、顕微鏡を使用しないと見えないような小さな針状の結晶として析出し、それは通常、コンパクトでバルキーなアグリゲートを形成する。純粋な形では、MMTは白色である。異物を混入させることによって、MMTは、薄いイエローからレッド、グリーン、ブルーなどの色にすることができる。しかしながら、条痕の色は常に白色である。MMTは粘土鉱物であって、ベントナイトの最も重要な構成成分(60〜80%)であり、その理由から、本発明における反応剤として、ベントナイトを使用することもまた可能である。
原料物質として使用するための層状シリケートは、スタック状のアグロメレートであって、適用条件下では、約10μmの中央粒子サイズd50を有しているのが好ましい。
本発明においてプロセス工程a)で使用するためには、層状シリケート、好ましくはMMTの剪断強度が、50〜100MPaの範囲であるのが好ましい。「剪断強度」は、固体が接線方向の剪断力に抗する抵抗力である。それは、剪断破壊される前に固体が耐えうる最大の剪断応力、すなわち、破断面に対して接線方向の力を指している。http://de.wikipedia.org/wiki/Scherfestigkeitによれば、剪断強度は、実験室で、少なくとも1種の方法および試験装置(「剪断装置」)によって求めるが、これについては、以下に説明する。
・ 三軸装置(参照、DIN 18137−2;材料試験における単軸または二軸圧力試験とは対照的)
・ DIN 18137−3による、直接的剪断試験:
・ ボックスまたはフレーム剪断装置
・ リング剪断装置
・ ベーン剪断装置。
剪断強度もまた、インサイチューで(オンサイトで)測定または誘導することが可能であり、たとえば以下のような試験方法を用いる:
・ DIN 4094−4に従うベーン剪断試験
・ DIN 4094−1に従うコーン貫入試験
・ 大規模装置、たとえばPhicometer剪断装置
・ 小規模装置、たとえば剪断圧力シリンダー。
加水分解によって、層状シリケートの積み重なったアグロメレートが最初に膨潤され、究極的には崩壊される。その結果、層状シリケートの個々の層の水性懸濁液となる。プロセス工程a)においては、層状シリケートの層が約100〜200の範囲のアスペクト比となるまで加水分解を続けるのが好ましい。
反応剤として好適に使用されるMMTは、プロセス工程a)における加水分解の後では、好ましくは、300〜800m/gの範囲のBET比表面積を有している。BET測定のためには、各種の測定装置が使用されるが、系統誤差の悩みのあるシングルポイントBET装置ではなく、マルチポイントBET装置が通常使用される。これについては、標準のDIN−ISO 9277か、またはその前身のDIN 66131に詳細に説明されている。BET分析で検討する材料には、ガス(多くの場合窒素)を流しておく。通常液体窒素(−196℃)によって冷却することにより、測定ガスの飽和蒸気圧未満で吸収された量(吸着)を測定するのに、標準圧力マノメーターを使用することが可能である。凝縮があると測定結果に歪みが入るが、飽和蒸気圧に達していないのなら、それは起きない。次いで装置の内部の圧力を下げると、表面から、吸着されたガス量の一部が放出される(脱着)。このようにすることで、吸着−脱着等温線を測定することができる。特定の圧力範囲内では(多くの場合、0.05〜0.3の相対圧力範囲以内であるが、そのためには、それを、完全に、たとえば5測定点で、測定するべきである)、吸着または脱着されるガスの測定量は、表面積に比例する。これに関しては、Pure & Applied Chemistry,57(1985),603〜619を参照されたい。
本発明において好適に使用されるMMTは、たとえば、Southern Clay Products(商品名:Na−cloisite、USA)から、またはRockwood Clay Additives GmbHからCloisite(登録商標)93Aとして入手可能である。
本発明においては、フィロシリケート、特にMMTの層状シリケートの層が、プロセス工程a)において水を使用することにより、開口される。その開口は、有機溶媒を追加使用することなく実施するのが好ましい。層状シリケートを水の中で、0.05容積%〜20容積%の範囲、好ましくは0.1容積%〜10容積%の範囲、さらにより好ましくは1容積%〜5容積%の範囲、より好ましくは1.5容積%〜4容積%の範囲で使用するのが好ましい。
プロセス工程a)を、室温(23℃±2℃)〜60℃の範囲の温度で実施するのが好ましい。プロセス工程a)は、好ましくは1.5〜30barの範囲、より好ましくは2.0〜20barの範囲、さらにより好ましくは3.0〜10barの範囲、特に好ましくは4.0〜6.5barの範囲の圧力で実施する。脱イオン水を使用するのが好ましい。プロセス工程a)の最後には、層状シリケートが、均質な懸濁液の形になっている。
ラテックス
本発明の文脈においては、ラテックスとは、一般的に、ゴムの水性懸濁液である。本発明においては、プロセス工程b)において、少なくとも1種のラテックスを使用する。本発明においては、プロセス工程d)またはe)におけるプロセス生成物もまた、ラテックスである。
本出願の文脈において、各種のタイプのゴムに使用される略称は、ISO 1043(1975)に決められている。
本発明においては、プロセス工程b)の中で、以下の群からの少なくとも1種のゴムをベースとする少なくとも1種のラテックスが使用される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム(NBR)、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴム(HXNBR)。
本発明において好ましいスチレン/ジオレフィンゴムは、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、特にE−SBRである。
本発明において好ましいブチルゴムは、イソブテン/イソプレンゴム(IIR)である。
好ましいハロブチルゴムは、クロロ−もしくはブロモブチルゴム(XIIR)である。
本発明において使用するラテックスとしては、NR、NBR、XNBR、SBR、およびBRの群からの少なくとも1種のゴムを使用するのが、特に好ましい。
二つ以上の合成経路から、たとえばエマルションからまたは溶液からゴムを得ることが可能なのであれば、常にすべての選択肢が、本出願の文脈の範囲内であると言える。上述のゴムは、当業者には十分に周知で有り、広く各種の供給業者から市販されている。
さらに、プロセス工程b)におけるラテックスとして、上述のゴムの2種以上の混合物を使用することもまた可能である。それらの混合物は、「ゴムのポリマーブレンド物」または「ゴムブレンド物」とも呼ばれる(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”[Lexicon of Rubber Technology],3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.375〜377)。ラテックスとして使用するのに好適なゴムブレンド物は、マトリックス相としてのNRおよび分散ゴム相としてBRの混合物でBR含量が50phrまでのもの、ならびに、マトリックス相としてのBRおよび分散ゴム相としてのSBRまたはCRの混合物でSBRまたはCRの含量が50phrまでのものである。
一つの実施態様においては、プロセス工程b)におけるラテックスとして、少なくとも天然ゴム(NR)を使用するのが、本発明においては特に好ましい。
天然ゴム(NR)[CAS No.9006−04−6]は、化学的に言えば、99%より高いcis−1,4含量と、2×10〜3×10g/molの平均分子量とを有するポリイソプレンである。NRは、生化学的経路により、好ましくは栽培植物のヘベア・ブラジリエンシス(Hevea Brasiliensis)の中で合成されている。天然ゴムは、たとえばPacidunia Sdn.Bhd.からのSMR製品シリーズ(Standard Malaysian Rubber)、またはPhu An Imexco.Ltd.からのSVR製品シリーズ(Standard Vietnamese Rubber)として、市場で入手可能である(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.331〜338)。
クロロプレンゴム[CAS No.126−99−8]は、ポリクロロプレンまたはクロロブタジエンゴムとも呼ばれるが、なかんずく、自動車の製造および断熱性のスポーツ衣料に使用されている合成ゴムである。ドイツ語圏の国々では、これらはNeoprene(登録商標)の名称で知られている。Neoprene(登録商標)は、DuPontに属するブランド名であり、他の製造業者の商品名の例としては、Lanxess Deutschland GmbHからのBaypren(登録商標)が挙げられる。その調製は、2−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)を単独で重合させるか、またはクロロプレンをジクロロブタジエンと共重合させることによって実施される。ISO 1043(1975)によるクロロプレンゴムの略称は、CRである。
また別の好ましい実施態様においては、プロセス工程b)のためのラテックスに、EPDMゴムが使用される。EPDM[CAS No.25038−36−2]には、エチレンとプロピレンと、さらに数重量%のジエン構造を有する第三のモノマーとを三元共重合させることによって調製されるポリマーが含まれる。そのジエンモノマーが、後続の加硫のための二重結合を与える。使用されるジエンモノマーは、ほとんどの場合、cis,cis−1,5−シクロオクタジエン(COD)、exo−ジシクロペンタジエン(DCP)、endo−ジシクロペンタジエン(EDCP)、1,4−ヘキサジエン(HX)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、さらにはビニルノルボルネン(VNB)である。
エチレンと、プロピレンおよびジエンモノマーとの反応は、典型的には、Ziegler−Natta触媒系、特にバナジウム化合物とオルガノアルミニウム助触媒、またはメタロセン触媒系の存在下で実施される(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.144〜146)。一般的には、25重量%を超えるエテン、25重量%を超えるプロペン、および1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の非共役ジエンの混合物を重合させる。好ましいジエンは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ジシクロペンタジエン、5−エチリデンノルボルネン、またはビニルノルボルネン(VNB)である。EPDMゴムは、たとえばLanxess Deutschland GmbHから、Keltan(登録商標)のブランド名で入手することが可能である。
また別の好ましい実施態様においては、SBR(ビニル芳香族/ジエンゴム)[CAS No.9003−55−8]が、プロセス工程b)のためのラテックスとして使用される。SBRゴムとは、ビニル芳香族化合物とジエンをベースとするゴム、特には、溶液法SBRゴム(略して「S−SBR」)またはエマルション法SBRゴム(略して「E−SBR」)のいずれかを意味しているものと理解されたい。
S−SBRとは、ビニル芳香族化合物およびジエン、好ましくは共役ジエンをベースとし、溶液プロセスで製造されたゴムを意味していると理解されたい(H.L.Hsieh,R.P.Quirk,Marcel Dekker Inc.(New York−Basle),1996;I.Franta,Elastomers and Rubber Compounding Materials;Elsevier,1989,p.73〜74,92〜94;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie、Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.114〜134;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.240〜364)。
好ましいビニル芳香族モノマーは、以下のものである:スチレン、o−、m−およびp−メチルスチレン、工業グレードのメチルスチレン混合物、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、またはジビニルナフタレン。特に好ましいのはスチレンである。共重合させるビニル芳香族化合物の含量は、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは10重量%〜40重量%の範囲である。
好ましいジオレフィンは以下のものである:1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、または1,3−ヘキサジエン。特に好ましいのは1,3−ブタジエンまたはイソプレンである。共重合させるジエンの含量は、好ましくは50質量%〜95質量%の範囲、より好ましくは60質量%〜90質量%の範囲である。共重合させたジエンの中のビニル基の含量は、好ましくは10〜90質量%の範囲、1,4−trans二重結合の含量は、好ましくは20〜80質量%の範囲、そして1,4−cis二重結合の含量は、ビニル基と1,4−trans二重結合の総和を補完する量である。L−SBRのビニル含量は、20質量%未満であるのが好ましい。
重合させたモノマーおよび各種のジエンの配置は、典型的には、そのポリマーの中でランダムに分布されている。本発明においては、ブロック状の構造を有するゴム(インテグラルゴムと呼ばれる)もまた、L−SBR(A)の定義でカバーされている(K.−H.Nordsiek,K.−H.Kiepert,GAK Kautschuk Gummi Kunststoffe,33(1980),no.4,251〜255)。
S−SBRが、直鎖状および分岐状、または末端基変性のいずれのゴムも意味していると理解するべきである。たとえば、そのようなタイプは、独国特許出願公開第2 034 989A1号明細書で特定されている。使用される分岐化剤は、好ましくは、四塩化ケイ素または四塩化スズである。
これらのビニル芳香族/ジエンゴムは、特に、アニオン溶液重合、すなわち有機溶媒中でアルカリ金属ベースまたはアルカリ土類金属ベースの触媒の手段によって製造される。
溶液重合されたビニル芳香族/ジエンゴムは、好ましくは20〜150ムーニー単位の範囲、より好ましくは30〜100ムーニー単位の範囲のムーニー粘度(ML1+4@100℃)を有している。オイルフリーのS−SBRゴムは、好ましくは、示差熱分析(DSC)で測定して、−80℃〜+20℃の範囲のガラス転移温度を有している。「オイルフリー」という用語は、本発明の文脈においては、その製造プロセスにおいてゴムの中にオイルがまったく混入されていないということを意味している。
E−SBRとは、ビニル芳香族化合物およびジエン、好ましくは共役ジエン、ならびに場合によってはさらなるモノマーをベースとして、エマルションプロセスにおいて製造されたゴムを意味していると理解されたい(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.247〜251)。好ましいビニル芳香族化合物は、スチレン、p−メチルスチレンまたはアルファ−メチルスチレンである。好ましいジエンは、特にはブタジエンまたはイソプレンである。さらに好ましいモノマーは、特にはアクリロニトリルである。共重合されるビニル芳香族化合物の含量は、好ましくは、質量で10%〜60%の範囲である。そのガラス転移温度は、好ましくは、−50℃〜+20℃の範囲(DSCの手段により測定)であり、そしてそのムーニー粘度(ML1+4@100℃)は、好ましくは、20〜150MU(ムーニー単位)の範囲である。特に、80MUを越えるムーニー単位を有する高分子量のE−SBRのタイプでは、100質量部のゴムを規準にして、30〜100重量部の量でオイルを含んでいるのが好ましい。オイルフリーのE−SBRゴムは、好ましくは、示差熱分析(DSC)で測定して、−70℃〜+20℃の範囲のガラス転移温度を有している。
E−SBRおよびS−SBRのいずれもが、油展された形で使用することができる。「油展された(oil−extended)」という用語は、本発明の文脈においては、その製造プロセスにおいてゴムの中にオイルが混入されているということを意味している。それらのオイルは可塑剤として機能する。ここでは、当産業において慣用され、当業者に公知のオイルが採用される。多環芳香族炭化水素を、含むとしても、低レベルで含んでいるものが好ましい。TDAE(芳香族抽出物処理留分(treated distillate aromatic extract))、MES(マイルド抽出溶媒和物(mild extraction solvate))、およびナフテン系オイルが特に好適である。
また別の好ましい実施態様においては、ポリブタジエン(BR)[CAS No.25038−44−2]が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。ポリブタジエン(BR)には、具体的には、二つの異なったタイプのポリブタジエンが含まれる。第一のタイプは、少なくとも90%の1,4−cis含量を有し、遷移金属をベースとするZiegler/Natta触媒を用いて調製される。Ti、Ni、CoおよびNdをベースとする触媒系を使用するのが好ましい(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.798〜812;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.239〜364)。それらのポリブタジエンのガラス転移温度が−90℃以下であるのが好ましい(DSCの手段により測定)。
第二のタイプのポリブタジエンは、リチウム触媒を用いて調製され、好ましくは10%〜80%の範囲のビニル含量を有している。それらのポリブタジエンゴムのガラス転移温度は、好ましくは−90℃〜+20℃の範囲である(DSCの手段により測定)。
また別の好ましい実施態様においては、プロセス工程b)のためのラテックスに、ポリイソプレン(IR)が使用される。ポリイソプレン(IR)は、典型的には少なくとも70%の1,4−cis含量を有している。「IR]という用語に含まれるのは、合成の1,4−cis−ポリイソプレン[CAS No.104389−31−3]と天然ゴム(NR)の両方である。IRは、リチウム触媒の手段、およびZiegler/Natta触媒、好ましくはチタンおよびネオジム触媒を使用する手段、いずれの方法でも合成的に製造される(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.822〜840;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.239〜364)。天然ゴムを使用するのが好ましい。本発明においては、好ましくは−20〜+30℃の範囲のガラス転移温度を有する3,4−ポリイソプレンもまた、IRに含まれる。
また別の好ましい実施態様においては、プロセス工程b)のためのラテックスに、ニトリルゴム(NBR)が使用される。NBR[CAS No.9003−18−3]は、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、好ましくはアクリロニトリルと、少なくとも1種の共役ジエン、好ましくはブタジエンとを、好ましくは約(52:48)から(82:18)まで範囲の質量比で共重合させることによって得られる。それは、事実上ほとんどすべて、水性エマルションによって製造される。本発明の文脈における使用では、得られたエマルションを加工して固形のゴムとする(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.28〜29)。
また別の好ましい実施態様においては、プロセス工程b)のためのラテックスに、水素化ニトリルゴム(HNBR)が使用される。HNBRは、たとえば非水溶液中で、特殊な触媒、好ましくはピリジン−コバルト錯体、またはロジウム、ルテニウム、イリジウムもしくはパラジウムの錯体を使用して、NBRを完全または部分的に水素化することによって製造される(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.30)。
また別の好ましい実施態様においては、プロセス工程b)のためのラテックスに、カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)が使用される。XNBRは、ブタジエン、アクリロニトリル、ならびにカルボキシル基を含むターモノマー、好ましくはカルボン酸またはカルボン酸エステル、特にはアクリル酸またはメタクリル酸を三元共重合させることによって調製される。カルボキシル基を含むターモノマーの比率は、好ましくは、1重量%〜10重量%の範囲である(F.Roethemeyer,F.Sommer ”Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.112)。
また別の好ましい実施態様においては、ブチルゴム(IIR)、特にイソブテン/イソプレンゴムが、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。ブチルゴムは、イソプレンとイソブチレンとを共重合させることにより製造される(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.69〜71)。
また別の好ましい実施態様においては、ハロブチルゴム(XIIR)、特にクロロブチルゴム(CIIR)またはブロモブチルゴム(BIIR)が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。クロロブチルゴム(CIIR)[CAS No.68081−82−3]は、ブチルゴムの溶液の中に塩素ガスを導入することによって製造される(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.75)。ブロモブチルゴム(BIIR)[CAS No.308063−43−6]は、溶液中でブチルゴムを、臭素を用いて処理することにより製造される(J.Schnetger ”Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.66〜67)。
本発明においては、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ジオレフィンゴム(SBR)、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)、ニトリルゴム(NBR)もしくはポリブタジエン(BR)の群からの少なくとも1種のゴム、または上述のゴムの2種以上の混合物を、プロセス工程b)のためのラテックスに使用するのが特に好ましい。
天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ジオレフィンゴム(SBR)、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)、もしくはポリブタジエン(BR)の群からの少なくとも1種のゴム、または上述のゴムの2種以上の混合物を、プロセス工程b)のためのラテックスに使用するのが特別に好ましい。
本発明の極めて特に好ましい実施態様においては、スチレン/ジオレフィンゴム(SBR)が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。
本発明の極めて特に好ましい実施態様においては、ニトリルゴム(NBR)が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。
本発明の極めて特に好ましい実施態様においては、水素化ニトリルゴム(HNBR)が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。
本発明の極めて特に好ましい実施態様においては、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)が、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。
本発明の極めて特に好ましい実施態様においては、ブチルゴム(IIR)、特にイソブテン/イソプレンゴムおよびハロブチルゴムが、プロセス工程b)のためのラテックスに使用される。
MMTおよびスチレン/ジオレフィンゴム(SBR)で構成されるナノコンポジットが得られれば、特に好ましい。
MMTおよびニトリルゴム(NBR)で構成されるナノコンポジットが存在すれば、特に好ましい。
MMTおよび水素化ニトリルゴム(HNBR)で構成されるナノコンポジットが得られれば、特に好ましい。
MMTおよびカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)で構成されるナノコンポジットが得られれば、特に好ましい。
MMTおよびブチルゴム(IIR)、特にイソブテン/イソプレンゴムおよびハロブチルゴムで構成されるナノコンポジットが得られれば、特に好ましい。
溶液重合プロセスから得ることが可能なゴムはすべて、適切な溶媒の中に固体物質から溶解させ、乳化剤の水溶液と混合し、そして撹拌するか、あるいは、セメントと呼ばれているものを乳化剤の水溶液と混合し、そして撹拌するかして、二次ラテックスを形成させる。これが実施されたら直ちに、溶液重合プロセスからのゴムを、プロセス工程b)のための反応剤として、本発明のプロセスに適用することができる。
より好ましくは、本発明は、ゴムマトリックスによって包み込まれ、そして層状シリケートとしての少なくとも1種のMMTと、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エチレン−アクリレートゴム、アクリレートゴム、フルオロゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムとを含む、MMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定される。
最も好ましくは、本発明は、ゴムマトリックスによって包み込まれ、そしてNR、NBR、XNBR、SBR、およびBRの群からの少なくとも1種のゴムを含むMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定される。
より特には、本発明は、NBRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのNBRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
より特には、本発明はさらに、SBRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのSBRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
より特には、本発明はさらに、NRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのNRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
より特には、本発明はさらに、XHNBRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのXHNBRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
より特には、本発明はさらに、XNBRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのXNBRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
より特には、本発明はさらに、BRマトリックスによって包み込まれたMMT粒子で構成されるナノコンポジットに関するが、それは、以下の特徴を有する:
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのBRマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有している(その粒子サイズは、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものである)。
製品または加硫物
本発明は最後にさらに、好ましくはゴムの混合物または加硫物の形態にある、少なくとも1種のゴムおよび本発明の少なくとも1種のナノコンポジットを含む製品にも関する。本発明のナノコンポジットを用いた製品の製造は、ゴム−加工産業で公知の方法によって実施されるが、それはたとえば、以下の文献に記載されている:James E.Mark,Burak Erman,Frederick R.Erich,”Science and Technology of Rubber”,p.419〜469,Academic Press(San Diego)(second edition,1994);James L.White,”Rubber Processing”,p.162ff,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna)(1995);または、Fritz Roethemeyer,Franz Sommer,”Kautschuk Technologie”、Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna)(2nd edition,2006)。
その製品、好ましくはゴムの混合物または加硫物の中の本発明のナノコンポジットの含量は、好ましくは、0.1質量%〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5質量%〜7質量%の範囲、さらにより好ましくは1.0質量%〜6質量%の範囲、最も好ましくは1.5質量%〜4.5質量%の範囲である。
本発明のナノコンポジットは、先に述べたさらなる混合物成分と組み合わさって、この方法で製造された製品、好ましくはゴム混合物および加硫物に新規な材料性能を与えることができるが、それの特徴は、顕著な強度化(strengthening)、オイルおよび燃料中における膨潤の低下、ならびに膜およびホースのガス透過性の低下、さらには、放射線に対する高い遮蔽性にまで広がっている(extending as far as elevated shielding from radiation)。
好ましくは、本発明の製品または加硫物の中のベースポリマーとして使用されるゴムは、プロセス工程b)のためのラテックスにおいて、本発明のナノコンポジットを製造するために使用したものと同じであるのが好ましい。したがって、本発明の製品を製造するためには、そこで使用されるベースポリマーが、以下の群からの少なくとも1種のゴムであるのが好ましい:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴム(HXNBR)。
すでにばらばらにされた充填剤が、同一のベースポリマーの中で希釈されることになるが、そのために、アグロメレーションは起こらない。
本発明は、より好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− その層状シリケートの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中の層状シリケート粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
そして、その少なくとも1種のゴムが、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エチレン−アクリレートゴム、アクリレートゴム、フルオロゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群から選択され、そしてその中央粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定される。
本発明は、より好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムおよびその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムのいずれもが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエンおよびアクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムおよびその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムのいずれもが、以下の群からと同一のゴムである:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は、最も好ましくは、MMTおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムおよびその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムのいずれもが、以下の群からと同一のゴムである:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は特に、MMTおよび少なくともNBRで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、その加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は特に、MMTおよび少なくともSBRで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、その加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は特に、MMTおよび少なくともHNBRで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、その加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は特に、MMTおよび少なくともXNBRで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、ここで、その加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は特に、MMTおよび少なくともIIR、特にイソブテン/イソプレンゴムおよびハロブチルゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここで、その粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、その加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、以下の群から選択される:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリレートゴム(EAM)、アクリレートゴム(ACM)、フルオロゴム(FKM)、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロブチルゴム(CIIR、BIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、およびカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、ここでその加硫物の中の少なくとも1種のゴムが、NR、NBR、XNBR、SBR、およびBRの群から選択される。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、そのナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムが、NR、NBR、XNBR、SBR、およびBRの群からの同一のゴムである。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムとのいずれもがNRである。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムとのいずれもがNBRである。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムとのいずれもがXNBRである。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムとのいずれもがSBRである。
本発明は、最も好ましくは、少なくとも1種の層状シリケートおよび少なくとも1種のゴムで構成されるナノコンポジットの少なくとも1種の形態を含む製品または加硫物に関するが、そこでは、
− そのMMTの含量が、6容積%以下であり、そして
− そのゴムマトリックスの中のMMT粒子の50%が、100〜200nmの範囲の最大中央粒子サイズd50を有し、
ここでその粒子サイズが、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定され、そしてここで、ナノコンポジットの中に存在するゴムとその加硫物の中の少なくとも1種のさらなるゴムとのいずれもがBRである。
本発明の製品または加硫物の製造は、それらの成分を混合することによって実施する。その混合は、本明細書においては、単一ステージまたは最高6ステージまでで実施することができる。一つの混合ステージがインターナルミキサーであり、最終混合ステージがローラー(「レディミキシングステージ(ready−mixing stage)」と呼ばれる)であるような二ステージ混合操作が、有用であることが見出された。また別の可能性として、第一の混合ステージが排出温度130℃未満のインターナルミキサー中で実施され、第二の混合ステージもまた、排出温度110℃未満のインターナルミキサー中で実施される、二ステージ混合プロセスがある。
本発明のナノコンポジット含有マスターバッチを全部第一の混合工程で添加し、そして架橋用薬品を第二の混合工程で添加するのが好ましい。その混合物を製造するのに適したアグリゲートは、当業者には公知であり、好ましくはローラー、インターナルミキサー、および混合エクストルーダーから選択するべきである。インターナルミキサー中での二ステージ混合操作または三ステージもしくは多ステージの混合プロセスを採用する場合には、その第一および/またはその第二のおよびそれ以降の混合ステージでは、110℃〜180℃の範囲の温度を採用するのが好ましく、そしてそれらの温度での混合時間は、好ましくは1〜15分の範囲であり、そしてこの初期のステージでは加硫(初期加硫またはスコーチ)が始まらないように選択する。
レディミキシングステージにおける温度は、好ましくは20〜120℃の範囲、より好ましくは30〜110℃の範囲である。最も好ましくは、インターナルミキサー中での混合を、20〜180℃の範囲の温度、特には50〜170℃の範囲の温度で実施するか、あるいは、100℃未満、好ましくは80℃未満、さらにより好ましくは60℃未満でローラー上で実施する。好適な温度の選択は、当業者ならば、彼らの専門知識をベースに決めることができるが、その場合、一方では、その混合が、マスターバッチの中においてナノコンポジットが十分に分散する結果を与え、他方では、早すぎる加硫(スコーチ)が起きないようにする必要がある。
本発明のナノコンポジットを含む本発明の製品または加硫物を製造するための加硫は、100〜250℃の範囲、より好ましくは130〜180℃の範囲の温度と、標準圧力(1bar)下、または場合によっては300barまでの圧力下のいずれかで究極的に実施するのが好ましい。
代わりの用途として、本発明のナノコンポジットを、他のポリマーにおける添加剤として、好ましくは熱可塑性ポリマーの性質を改良するために、より好ましくはポリアミド、ポリエステル、ポリアルキレン、ポリウレタン、ポリカーボネートの中で、使用することもできる。液体および気体の媒体に関して高度の完全性を求められている場合にそれらを使用するのが好ましい。本発明のナノコンポジットのエラストマー成分は、同時に、熱可塑性プラスチックにおける弾性化添加剤としても機能する。
本発明さらに、少なくとも1種のさらなるゴムを含む加硫可能な混合物(それからは、好ましくはガスケットの形態にある、加硫物が製造され、それらは、液体または気体媒体に関連したシールに役立つ)における一成分としての本発明のナノコンポジットの使用にも関する。
爆発的減圧(explosive decompression)
本発明はさらに、爆発的減圧が起こった場合、特に爆発的減圧がかかるガスケットの場合における、加硫物の物性を改良するための、本発明のナノコンポジットの使用にも関する。
爆発的減圧(ED)は、ガス膨張破壊(gas expansion fracture)とも呼ばれ、高圧ガス環境に暴露される各種ゴムガスケットに対する大きな危険要素である。ガスを密封するために、このタイプのゴムガスケットを使用する場合、操作の間に、ガスケットのミクロポアの中にガスがトラップされる可能性がある。そのガスケットが、たとえば急速な減圧が起きた場合のような、平衡のシフトに曝されると、このトラップされたガスが、外部圧力に対応するために、そのゴムガスケットのミクロポアの中で急激に膨張する。ガスケット材料のクラックの中へのガスの層間挿入が、その中でのブリスターを引き起こし、究極的にはリークにつながる。
EDが発生したときに起きる、ガスケット材料に対する構造的な損傷は、トラップされたガスの容積およびガスケットの硬度に依存する。ガスがより少量であると、表面のブリスターを起こす傾向が強くなり、それは、圧力が平衡に達した後には再び消えてしまう可能性がある。トラップされたガスの量がもっと多いと、深い断面破壊を起こしたり、さらには、ガスケットが完全に破壊されたりする可能性がある。高い温度が高いほど、この現象が促進される。
爆発的減圧を防止する一つの方法は、より長い時間をかけての減圧を可能とすることである。この場合においては、トラップされたガスが、よりゆっくりとエラストマーの細孔から抜けることが可能となり、それにより、損傷を受ける機会が低下する。80よりも高いショアーA硬度のガスケット材料を使用するのも、同様に役立つ可能性がある。その理由は、高い剪断弾性率を有する高硬度のガスケットは、爆発的減圧が起こった場合の破壊エネルギーを、それがガスケットの内部で広がるのなら、散逸させるのにより適しているからである。他方では、ガスケットの断面が小さいほど、ガスがトラップされる可能性が低い。
ガスケット産業における開発の狙いは、ガスケットの目的のための新規なゴムベースの材料を開発することであって、それは、80以上のショアーAの高い硬度を特徴とし、その結果、特に高圧で起きうるギャップ押出し(gap extrusion)に耐え、それによって、爆発的減圧から生じるガスケットの損傷を防止することである。
したがって、本発明は、爆発的減圧の際にゴムベースの製品または加硫物が受ける損傷を軽減または防止するための、本発明のナノコンポジットの使用を提供する。
好ましいゴム製品または加硫物は、ガスケット要素、好ましくは、爆発的減圧が起こりうる工業プラントにおけるガスケット要素である。それらは、好ましくは鉱油またはガス探査における坑井の計器システムである。
好ましいガスケット要素は、O−リングガスケット、Dガスケット、Tガスケット、Vガスケット、Xガスケット、フラットガスケット、リップガスケット、サポートリング、ボンデッドガスケット、またはパッキン要素である。
本発明はさらに、それらの製品のためのゴムの製造において本発明のナノコンポジットを使用することによる、突然の圧力低下が起きた場合のゴムベースの製品または加硫物の抵抗性を増大させる方法にも関する。CDLC法によって得ることが可能なMMTベースのコンポジットを使用するのが好ましい。
実施例
1. 使用原料:
1.1 使用したラテックス
本発明の文脈における検討は、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne,Germany)製の、NBR、HXNBR、およびSBRのタイプのゴムをベースとする製品/加硫物を用い、そして市販のモンモリロナイト(=MMT)をベースとする本発明のナノコンポジットを用いて実施した。これらの製品を、従来技術の欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書(nanocomposites produced by mechanical mixing)および独国特許出願公開第10 2007 048 995A1号明細書(nanocomposites produced by flow reactor without mixing nozle)に従って製造した製品と比較した。
本発明に関する検討の範囲内の、NBRおよびHXNBR加硫物の形態の本発明の製品で、ACN含量および乳化剤系において代表的な変化を与えた。それらの製品/加硫物のベースとしたゴムは、表1に示した性質を有していた。
Figure 0006726288
1.1.1 Sゴムをベースとする二次ラテックスは以下の手順により製造した:
本発明の製品/加硫物のために使用される、Sゴムをベースとする二次ラテックスは、本発明の文脈においては、以下のようにして合成した:スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR:Buna(登録商標)VSL 2525−0、Buna(登録商標)VSL 5025−2 HM、およびアミノ−S−SBR:Buna(登録商標)VSL VP PBR 4057およびカルボキシル化Buna(登録商標)VSL VP PBR 4088 RJ)およびLanxess Butyl 101−3、およびHalobutyl Lanxess X_Butyl(商標) BB2030をそれぞれ、一口フラスコの中でCPGスターラーを用いて撹拌しながら、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)に溶解させ、10時間以内で10重量%の溶液を形成させた(CPG=コア引き抜き精密ガラス(core−pulled precision glass))。
二次ラテックスを製造するために、乳化剤の脱イオン水中溶液(0.01mol/L)を作成した。
各種の混合物の中で、それぞれ独立して使用した乳化剤は、以下のものである:
ドデシル硫酸ナトリウムSDS、ドデシルベンジルスルホン酸ナトリウムSDBS、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム[C10〜C22脂肪酸の飽和アンモニウム]、およびC10〜C22の範囲の炭化水素鎖長を有する不飽和カルボン酸塩。
動的光散乱法による分析手段により、最も高いpHでの乳化剤としては、ステアリン酸ナトリウムが好ましいということが見出された。その他の乳化剤も、単独、または必要があれば組合せで使用することが可能であった。
最初に乳化剤溶液(320mL)を仕込み、SBRのTBME(600mL)中溶液を徐々に添加したが、Silverson LM5実験室用ミキサーシステムの手段を用いた。その後で、約2分間で8000rpmにまで上げた。そのようにして得られた乳白色に濁っている泡だった懸濁液から、ロータリーエバポレーターによって、残存しているTBMEを除去し、そのようにして再乳化させたラテックスを得た。
1.2 使用した層状シリケート
Figure 0006726288
1.3 表1に記載の層状シリケートを2容積%含むナノコンポジット約100gの製造
1. 2Lの多口フラスコに、300mLの脱イオン水中の5.21gのPGN(Nanocor Inc.)を仕込んだ。その層状シリケートを室温で約16時間撹拌して、均質な懸濁液を形成させた(プロセス工程a)。
2. その懸濁液に、表1に記載のゴムのラテックス556mLを添加し(固形分含量:18%)、次いで、その混合物を室温で1.5時間撹拌した(プロセス工程b)。
3. 脱イオン水を用いて、0.02mol/Lの濃度の希硫酸溶液を調製した。これは、層状シリケートの水中懸濁液(1からのもの)と、表1に記載の特定のラテックス(2からのもの)との混合物を沈殿させるプロセスで使用する。
4. ラテックス(表1に記載)と層状シリケート懸濁液との混合物を、第一の圧力容器の中に導入した。第二の圧力容器の中に希酸(「コアギュラント」(凝集剤))を仕込んだ。溜め容器から混合ノズルへのコアギュラントのフィードを開いたが、圧力下でのコアギュラントのフィードは、微少圧力調節器を用いて調節した(たとえば、2bar)。
5. それと同時に、圧力容器の栓も開いて、ラテックスと層状シリケートの懸濁液との混合物を、流通反応器の中に、伸長流の形で流し、混合ゾーンでコアギュラントにぶつかるようにした。
本発明のプロセスの場合においては、混合ゾーンの中で使用される混合ユニットは、T継手であるか、またはSchlick 772タイプの内部混合ノズルかのいずれかであったが、その手段によれば、コアギュラントは、相互に120度の角度で分かれて、三つの穴から注入された。混合ノズルの出口のところで、コアギュラントが異なった角度で噴射されて、NBRラテックスおよび層状シリケート懸濁液の混合物と、コアギュラントとの混合が、流通反応器の外側で起きた。このようにして得られたコアギュレートを、8より大、または9もしくは10より大のpHを有するNaOH溶液の形態のアルカリ性の水性媒体の中に捕集した。
独国特許出願公開第10 2007 048 995A1号明細書に記載のプロセスを再現させるには、流通反応器の下流側の混合ユニットを省いた。撹拌によって成分を混合している、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載のプロセスを再現させるには、本発明の文脈においては、スターラーの手段による混合を実施した。
6. コアギュレート(凝集物)を濾過してから、脱イオン水を用いて洗浄し、55℃で乾燥させた。
7. 組み込まれた層状シリケートの比率の正確な測定は、使用したゴムに応じて、ISO 9924−1およびISO 9924−2による熱重量分析の手段により行った。TA Instruments製のTGA 2950CE Hi−Res装置を、以下のパラメーターを用いて使用した:
サンプルの量:10mg±1.5mg
加熱速度:RTから550℃まで、N雰囲気下で、20K/min
加熱速度:550℃から750℃まで、O雰囲気下で、20K/min
層状シリケートの量は、出発重量からの、物質収支から計算する。
1.4 粒子サイズ測定/ゼータ電位
膨潤した層状シリケート/水系(プロセス工程a)による半製品)を測定するためには、その系を脱イオン水中で16時間かけて膨潤させた。測定チャンバーの中でその懸濁液に300mLの脱イオン水を添加して、常に10容積%の濃度が保たれるようにした。塩および酸を用いる実験では、最初に、相当する溶液を測定チャンバーの中に入れ、予備膨潤させた層状シリケートを懸濁液の中に加えた。次いで、水溶液(プロセス工程a)による半製品)中の層状シリケートの粒子サイズの測定を、ISO 標準 13320に従い、室温で、Sympatec装置(HELOS/BR)を用い、光散乱の手段により実施した。測定の際の装置のポンプ出力は、30%(1080rpm)であった。そのキュベットのサイズは2mmであった。そのレーザーは5mWの出力を有しており、メーカーのデータに従って使用した波長は632.8nmであった。
動的光散乱法(DLS)を使用したさらなる粒子サイズ測定およびゼータ電位の測定は、ISO 22412およびISO 13321の標準を採用し、Malvern Instruments製の装置(Zetasizer Nano)で実施した。
参照:http://www.malvern.com/de/products/technology/dynamic−light−scattering/。
粒子サイズの測定を実施するために、プロセス工程b)において使用する反応剤、第一にはラテックスそして第二には層状シリケート懸濁液を、1:100の比率で希釈して、キュベットの中に導入した。セルの中の測定温度は、23℃であった。層状シリケートの粒子サイズは、プロセス工程a)からの半製品と、プロセス工程b)に従ってラテックスと混合したあとのものとについてそれぞれ、この方法で3回測定した。その測定時間は、一つのデータポイントあたり80秒であった。自己相関関数を求め、そしてALV−5000ソフトウェアを用いて、時間に対する関数の類似性を観察した。これによって、拡散係数Dが得られ、次式の関係を使用して、
=kT/6πηD (3)
流体力学的半径Rが得られた。コアギュレーション(凝集)の開始を示すゼータ電位は、50回の測定をして、その平均をとった。そのゼータ電位は、−30mVより大と測定された。その測定時間は、15msであった。
1.4 CDLC法=本発明において特に好ましい方法
5.3gのナトリウムモンモリロナイトと300mLの脱イオン水とからの懸濁液を、2.0リットルの実験室用撹拌タンクの中で16時間かけて撹拌して、膨潤させた。表1に記載された、使用されるラテックスを希釈して固形分含量18%とした。それぞれのラテックス556mLを、室温で1.5時間かけてMMT懸濁液と撹拌した。そのラテックス/MMT懸濁液を、第一の圧力容器に仕込んだ。第二の圧力容器には、コアギュラントを仕込んだ。使用したコアギュラント(凝集剤)は、希硫酸、希塩酸、またはNaCl、CaClもしくはMgSOの塩の溶液のいずれかであった。0.5〜5barの範囲の圧力をかけることによって、第一の圧力容器からの懸濁液を流通反応器の中にポンプ輸送して、層流の伸長流/剪断流に変化させた。それと同時に、コアギュラントを混合ゾーンの方向、沈殿ノズルに向けて導いた。混合ゾーンにおいては、MMTとラテックスとの水性懸濁液の層流の伸長流が、コアギュラントとぶつかり、そこでラテックスがコアギュレート化する。MMTは、そのポリマーマトリックスの中に取り込まれる。次いでそのコアギュレートを濾過し、洗浄し、55℃で乾燥させて、マスターバッチとして保存した。
1.5 層状シリケートの選択および性質
本発明において使用する層状シリケートについての選択基準は、水膨潤性であって、それでの層間剥離は、SAXS測定によってモニターした。ラテックスおよび層状シリケートの沈降特性は、動的光散乱法、および各種のカチオン(Ca2+、Mg2+、およびH)の性質および濃度の関数としてのゼータ電位の測定によりモニターした。
そのタイプに応じて、NBRおよびHXNBRのラテックスは、4.1〜4.8のpH値で凝集を始める。負に荷電した層状シリケートのシリケート微小板の結果として、ラテックス/MMT懸濁液におけるこの限度は、より低いpH値へとシフトする。
沈殿の動力学をモニターする目的で、DLS散乱光法を使用したが(上記参照)、その手段によって、沈殿の時定数を得ることができるが、これは、ラテックス/MMT系とコアギュラントとの混合の連結部より前の、フローチューブの中の反応ゾーンの長さを設計するために必要である。反応器のセットアップおよびCDLCのプロセス設計のための重要なデータを確保する目的で、ラテックス、MMT懸濁液、およびラテックス/MMT混合物の流動特性を、濃度および加える圧力の関数として求めた。
1.6 使用した層状シリケートの化学組成
Figure 0006726288
2 本発明のMMT含有ナノコンポジットの性質の測定;RPA実験
ナノコンポジットサンプルの貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を、Alpha Technologies製の装置(Monsanto RPA2000)の手段により測定した。その実験は、80℃、振動数1Hzで、延伸範囲0.28%〜400%で実施した。
2.1 H NMR実験
核スピン共鳴分光光度法(NMR分光光度法)は、個々の原子の電子的環境および/または近隣の原子との相互作用を調べるための分光法である。それによって、分子の構造および動力学の解明、さらには濃度の測定が可能となる。本発明に関する検討の過程では、Innovative Imaging Corp.KG製の装置(XLDS−15)を用いて、未加硫および加硫両方のサンプルについてH NMR実験を実施した。その測定温度は100℃、周波数は15MHzであった。調製したサンプルを、両端が閉じていないガラスキャピラリーの中で分析した。
本発明において得ることが可能なナノコンポジットの膨潤性と共に、核共鳴測定では同様に、ラテックス−MMT相互作用の強度に関する重要な情報も得られた。ポリマー鎖の易動度は、典型的には、スピン−格子緩和時間Tとして表される。この数値が低いほど、鎖の易動度が低く、そして層状シリケートの表面の上のポリマーの物理吸着がより強い。
本発明のプロセスから本発明において得ることが可能なナノコンポジットのT時間は、容積画分が等しいなら、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載の機械的に混合したサンプルの場合よりも、はるかに小さい。本発明のプロセスによって、層状シリケートの充填レベルが2容積%の場合には、約0.85の相対緩和時間が達成された。機械的混合の場合においては、9倍多いMMTの量だけで、それと同じレベルが得ることができた。膨潤実験ですでに見たように、本発明のプロセスは、ラテックス−MMTの相互作用がより高いために、鎖の易動度を顕著に抑制することができた。
2.2 TEM画像おおよび接触面積の測定
TEM画像は、Zeiss Libra 120を用い、加速電圧120kVで撮影した。理論的に達成可能な接触面積を求めるために、本発明のプロセスによって得ることが可能なナノコンポジットの中の層間剥離されたシリケート微小板について、TEMの手段により記録し、画像撮影し、それらの直径および厚みについて分析した。この目的のためには、本発明のプロセスによって製造されたナノコンポジットから、超ミクロトーム(EM FC 6タイプ、Leica製)を用い、213Kでダイヤモンドカッターの助けを借りて、100nmの極めて薄い切片を調製し、超ミクロトームのリザーバーから213KでCuグリッド(Athene 400(400メッシュ)に移した。炭素膜なしのCuグリッドの測定にはG2004を使用し、そして400メッシュのS160−4グリッド上の炭素膜を使用して、炭素膜付きのCuグリッドを測定した)(K=ケルビン温度)。このCuグリッドを、ロックを介してTEM装置に導入し、加速電圧120kVで分析した。立方体の形状および使用した層状シリケートの密度が2.6g/cmであると仮定して、長さ、幅、高さの平均寸法を使用して、個々の微小板の平均比表面積を、530±50m/g−層状シリケートと計算した。マスターバッチの中で使用した層状シリケートの容積画分を考慮に入れて、そのラテックス−MMTの接触面積を、使用した層状シリケートの各種の量について計算し、膨潤レベルからの実験データと比較した。
2.3 MMT含有ナノコンポジットのモルフォロジー
TEMの検討のところで示したように、本発明のプロセスの手段により製造されたMMT−シリケート微小板は、それから製造されたナノコンポジットの中では層間剥離されており、それに続けてそれらから製造されるマスターバッチの中では、均質に分散され、流通反応器の流れの方向に配向されていた。それとは対照的に、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従って機械的に組み入れられたMMTの場合においては、主として分散されたタクトイドが存在していた。それに対応して、SAXS測定においては、再アグリゲート化されたシリケート微小板(=タクトイド)に帰属させることができる小さな反射ピークが観察された。
120度の間隔を開けた3つのフィードポイントを有するSchlick 772沈殿ノズルを用いたCDLC法による、本発明において製造されたナノコンポジットの中では、80%以上のシリケート微小板が、層間剥離された形態となっていた。Schlickタイプの外部混合ノズルを使用した場合には、それとは対照的に、いくぶん高いアグリゲート化が観察された。外部混合ノズルを使用した場合の層間剥離レベルは、しかしながら、まだ約70%であり、したがって、従来技術のプロセスからのナノコンポジットの場合よりもはるかに高い。
MMT含有ナノコンポジットのモルホロジーを、第一に従来技術によって製造されたものについて、そして第二に本発明のプロセスによって製造されたものについて、透過型電子顕微鏡法TEMの手段により記録した。多くのシリケート微小板およびタクトイドを分析することによって、系の中に存在する粒子サイズの全体像が作り出された。
Figure 0006726288
表4は、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従って製造したナノコンポジットの中の粒子サイズの頻度を示している。ここでは、350nmの領域に粒子サイズの最大値がある。
層状シリケートが凝集された状態にあるタクトイドの場合においては、個々のシリケート微小板の幅、長さ、および厚みを区別することが実質上不可能である。本発明のプロセスによって得られた個々のシリケート微小板の検討から、層間剥離された状態での長さ分布では、約150nmのところに最大値があることが示された。欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従って機械的混合によって得られたナノコンポジットの場合においては、約350nmに長さ分布における最大値があるという極めて大きなアグロメレート(凝集体)が存在していた。機械的混合プロセスによって導入されるエネルギーが、層状シリケートをばらばらにするには不十分であった。
Figure 0006726288
CDLC法により本発明において製造されたMMTベースのナノコンポジットの充填レベルは、(欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書の機械的方法の場合と同様に、TEM(透過型電子顕微鏡法)の手段によって検討すると、3.5容積%であったが、これは、2.3g/cmの密度とすると、2重量%に相当する。本発明のプロセス、特にCDLC法でのモンモリロナイトの層は、80%を超えるレベルの個々の層からなっており、従来技術に従って製造したMMTベースのナノコンポジットよりも顕著に薄いということが見出された。
80%を超える個々の層があるので、本発明において特に好ましいCDLC法は、極めて高い分散を有する系を与え、その中では、従来技術のプロセスでは依然として存在していたタクトイド構造は、もはや存在しない。
そのナノコンポジットの中で混合ノズルを使用することによって、タクトイドの層を分離するのに利用しうる表面積が顕著に増えた。
このようにして利用することが可能となった表面積によって、ラテックスの中のゴムとの間の相互作用をさらに強くすることができるようになった。欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載の機械的混合によって得ることが可能なナノコンポジットを用いた場合とは対照的に、混合ノズルを使用することによって、真の充填剤ネットワーク(true filler network)を作り出すことが可能となった。ほとんどの粒子サイズが、150〜200nmの範囲内である(表5参照)。その粒子サイズは、ゴムの中での層状シリケートの度数分布と実質的に違わない。このことは、混合ノズルを使用することによって、シリケート微小板の再凝集化を伴うことなく、最適な層の分離度が得られることを示唆している。
Figure 0006726288
表6から明らかなように、従来技術のプロセスと、本発明のプロセス、特にCDLC法との間には、ナノコンポジットの中の層状シリケートによって備えられる中央粒子サイズにおいて、系統的な差が存在する。本発明のプロセスでは、広く各種の異なったラテックス、すなわち一次ラテックスと二次ラテックス(表の下の方)の両方の中のナノコンポジットで、140〜160nmの範囲の中央粒子サイズd50が達成されるが、それに対して従来技術(独国特許出願公開第102007048995A1号明細書)では、XHNBRの場合のみ唯一、最低値として210nmが達成される、ということが明らかになった。さらには、表6における結果からも、一次ラテックス(NBR 1からNRまで)と二次ラテックス(XHNBRからLanxess X_Butyl BB2030まで)との間に、中央粒子サイズに関しては、実質的に何の差もないことも明らかとなった。
2.4 製造プロセスおよび混合チャンバーの設計の影響
層状シリケートの個々の層の分離を測定するために、MMTベースのナノコンポジットのSAXS測定におけるピーク強度を、SAXS曲線より下のピーク面積を計算することによって評価した(SAXS=small−angle x−ray scattering、小角X線散乱法)。Cu−Kα線(λ=15.4nm)を用い、STOE theta−theta装置を使用した。散乱角2θを、1度から10度まで変化させ、2θ値を、Braggの式を用いて、シリケート微小板の中の層の分離に変換した。
ナノコンポジットを調べるのに、特に、電子顕微鏡法および小角X線散乱法(SAXS)の二つの試験法を採用した。SAXSは、サンプルを全体として考慮するので、顕微鏡法よりは、利点が大きい。その結果、使用者は、統計的な品質が高い、極めて良好な平均値が得られる。小角X線散乱法においては、一度にサンプル全体を考慮するが、それはすなわち、統計的な品質が高い、極めて良好な平均値が得られるということを意味している。電子顕微鏡法とは対照的に、小角X線散乱法では、極めてシンプルなサンプル調製法しか必要としないので、そのことが、測定される前に構造が破壊されるという危険性を下げる。小角X線散乱法(SAXS)法では、マトリックス材料の中に分散されている、約1〜100nmのサイズを有するミクロ構造を測定することが可能となる。SAXS法では、以下のことに関する情報が得られる:
・ 粒子サイズおよび粒子サイズ分布、
・ 粒子の形態(球状、円筒状、薄板状)および内部構造(コア−シェル)、
・ 多孔度(表面対容積の比)
・ 粒子の次数(結晶化度)および配向、ならびに、
・ 分子量およびアグリゲーション数。
SAXSの実験においては、サンプルをX線に暴露させる。サンプルの内部のナノ構造が、特性的な、角度依存性の強度分布でX線を散乱させるので、それを検出器を用いて記録する。測定された散乱パターンを使用して、サンプルの中のナノ構造のサイズおよび形状を求める。測定においては、サンプルの多くの部分を同時に照射するので、その散乱パターンは常に、照射されたナノ構造全体にわたって統計的に平均の値を代表する。その散乱パターンから、適切なソフトウェアの手段によって、実際の構造情報が得られる(参照、Nanomaterialien:Charakterisierung und Messung[Nanomaterials:Characterization and Measurement]、LUBW Landesanstalt fuer Umwelt,Messungen und Naturschutz Baden−Wuerttemberg[Baden−Wuertemberg State Office for Environment,Measurement and Nature Conservancy],Karlsruhe,February,2014)。
3種の製造プロセス、すなわち、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載のゴム融解物の機械的混合、独国特許出願公開第10 2007 048 995A1号明細書に記載の静的ラテックスコンパウンディング法(SLC)、ならびに本発明のプロセス、特にCDLC法による、連続動的ラテックスコンパウンディング法の評価を、それぞれの場合において、得られた非架橋のナノコンポジットについて実施した。それによると、6容積%のMMT含量を有するナノコンポジットの比較では、機械的混合の場合に最大のピーク面積が検出されるということが見出された。このことは、モンモリロナイトのタクトイドは、機械的混合によって分離することはできないということを意味している。
欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載の静的ラテックスコンパウンディング法の場合においては、層状シリケートとして使用されたMMTが、水の中で予備膨潤されたが、これは、本発明のプロセスのプロセス工程a)の場合と同じである。したがって、SAXS測定の開始時には、MMTは、開口された層状シリケートの層を有する状態にあった。コアギュレーションまたはさらなる処理によってのみ、部分的な再アグロメレーションが可能となった。欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載の機械的混合と比較すると、静的ラテックスコンパウンディング法の場合におけるピーク面積は、30%少なかった、すなわち、層間剥離された層状シリケートの約70%が、コアギュレーションの際に再びアグロメレートしていた。
SAXS測定によって最小のピーク面積が検出されたのは、本発明の連続、動的ラテックスコンパウンディング法、特にCDLC法の場合であった。
Figure 0006726288
表7は、特に、広く各種の異なったラテックス、すなわち一次ラテックスと二次ラテックス(表の下の方)の両方を用いた、本発明のCDLC法により製造したナノコンポジットにおいては、72〜88の範囲の層間剥離レベルが達成され、それに対して、独国特許出願公開第10 2007 048 995A1号明細書に従って製造されたナノコンポジットは、わずか37〜42の範囲の層間剥離レベルにしか達せず、そして機械的混合によって製造したナノコンポジットは、15〜18の範囲の層間剥離レベルしか達成されていない、ということを示している。
2.5 混合チャンバーの設計の影響
プロセス工程c)において得られたラテックス−MMT懸濁液とコアギュラントとの最適で均質な混合は、本発明の結果として、均質なナノコンポジットを作り出すための基本的な前提条件である。
傾斜のある(graded)流通反応器を使用する実験のために、使用した混合チャンバーまたは混合アグリゲートは、コアギュラント(凝集剤)を添加するためのT継手(T−piece)であった。
流通反応器のための、本発明の特に好適な傾斜のない(gradeless)デザインにおいては、それぞれ120度ずつ位置をずらせた三つの添加ポイントを有する混合ノズルを使用した。この構成のおかげで、ラテックスと層状シリケートを共に含む分散体に、コアギュラントをさらにより均質に添加して、それらの中にそれを分散させることが可能となった。
添加のためにさらに選択された手段は、外部混合を伴う混合ノズルであって、その場合には、流通反応器の外側で相互の中に、二つの中空円錐の形で噴霧することによって、コアギュレーションがもたらされた(Schlick type 772ノズル)。この外部混合ノズルを、流通反応器と組み合わせて使用した。
本発明の文脈において達成されたのは、沈殿剤として使用されるコアギュラントが、層状シリケートおよびラテックスの層流の伸長流の中に混合ノズルの手段によってそれぞれ互いに120度の角度で分離された3点からフィードされる、円錐形のテーパーを有するチューブで構成される流通反応器によって(=CDLC法)、検討したナノコンポジットでは最大の貯蔵弾性率が得られるということを示したが、その理由は、この場合、三つの位置をずらせた添加ポイントのおかげで、高度の混ぜ合わせが可能になるからである。この場合においては、混合チャンバーとして使用される混合ノズルを長くする必要はなかった。
2.6 非架橋のナノコンポジットの粘弾性特性
懸濁された層状シリケートを含むラテックスの混合時間の変動
懸濁液を調製するために、実験室用撹拌反応器中、室温で、ラテックスを撹拌し、次いでモンモリロナイト懸濁液を用いてコアギュレート化させた。それら2種の成分の撹拌操作のための時間が、分散性、ひいてはその粘弾性的性質に顕著な差をもたらした。
表8に、本発明によって調製した、PGNおよびNBR 1の3容積%ナノコンポジットの、混合時間を変化させた場合の、貯蔵弾性率を示す。
Figure 0006726288
表8から、ラテックスとナトリウムモンモリロナイトとの混合を数秒間しかしないと、もっと長く少なくとも1.5時間かけて混合した場合よりも、貯蔵弾性率が低くなるということが明らかになった。混合時間をさらに延ばして25時間にしても、貯蔵弾性率に顕著な差が出ることはなかった。同一の実験条件下で製造した混合物質は、MMTの容積比率が小さい場合には、変形の大きさの関数として、貯蔵弾性率G’の低下あるいは損失弾性率G”の最大化を示した。logG’対logφのlog−logプロットを使用して、G’における浸透閾値(percolation threshold)および指数勾配(exponential rise)のαを確認した。NBR P3445およびNBR P3430を含む混合物質の機械的浸透閾値(MPS)は1.6容積%であり、NBR 4550Fの場合は1.8容積%であった。同様にして分析した、二次ラテックスで構成されるナノコンポジットでは、以下のような機械的浸透閾値を示した:
スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR:Buna(登録商標)VSL 2525−0:2.4容積%、Buna(登録商標)VSL 5025−2 HM:2.3容積%およびアミノ−S−SBR:Buna(登録商標)VSL VP PBR 4057:2.0容積%およびカルボキシル化Buna(登録商標)VSL VP PBR 4088 RJ:2.0容積%)およびLanxess Butyl 101−3:2.7容積%およびHalobutyl Lanxess X_Butyl(商標) BB2030:2.5容積%およびHXNBR:1.5容積%。
http://www.spektrum.de/lexikon/physik/perkolationsschwelle/11049Perkolationsschwelleによれば、浸透理論における浸透閾値は、クラスターのサイズを支配するパラメーターにおける臨界値である。熱力学的な境界のケースにおいては、浸透閾値より上では、浸透クラスター(すなわち、系の境界点を結合しているクラスター)が存在する確率が1であり、浸透閾値より下では、その確率がゼロである。浸透閾値のところでは、通常、最大のクラスターが、フラクタルの性質を有している。
Figure 0006726288
表9からは、広く各種の異なったラテックス、すなわち一次ラテックスおよび二次ラテックスの両方を含む、本発明のプロセス、特にCDLC法によって製造されたナノコンポジットでは、機械的浸透閾値に達するにはわずか1.5容積%〜2.7容積%のMMTしか必要としないが、それに対して独国特許出願公開第102007048995A1号明細書により得ることが可能なナノコンポジットでは、この目的のためには、少なくとも1.9容積%〜3.2容積%のMMTが必要であり、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従って製造されたナノコンポジットでは、10容積%〜20容積%をさらに必要とするということが明らかになった。
Figure 0006726288
表10は、本発明のプロセス、特にCDLC法では、機械的浸透閾値に達した後に、相対ヤング率における最も高い指数が得られるということを示している。
2.7 非架橋の、MMTベースのナノコンポジットにおいて充填剤レベルを上げた影響
充填剤レベルが低い場合においては、変形とは無関係な充填剤−ゴム相互作用が形成されることによる、流体力学的強度化(hydrodynamic strengthening)が存在する。それとは対照的に、補強用フィラーの場合においては、容積比が高くなるにつれて、充填剤−充填剤ネットワークの形成による、貯蔵弾性率における顕著な増大がある;A.I.Medallia,”Effect of Carbon Black on dynamic properties of rubber vulcanizates”(Rubber Chemistry and Technology,vol.51,p.437ff(1978)、およびA.R.Payne,Ruber Plastik Age,August 1961,p.963ff。
本発明に関する研究の過程で、容積含有率が低い場合には、貯蔵弾性率には、ほんのわずかの変化しか認められなかった。層状シリケートが1.5容積%〜2容積%の範囲では、貯蔵弾性率の上昇率が明らかに高かった。これは、充填剤−充填剤の接触が生じたためであると考えられる。充填剤が高くなるにつれて、相応に、Payne効果にも明らかな増加があった。
層状シリケートの充填剤レベルが高くなるにつれて、損失弾性率も高くなった。貯蔵弾性率における低下が存在する領域では、MMTが2容積%を超えるもっと充填度が高い系での損失弾性率G”は、変形の大きさが10容積%の領域で、明らかな最大値を示した。全体として、検討したナノコンポジットの損失成分の値は、貯蔵成分よりははるかに低かった。
未充填のナノコンポジットの貯蔵弾性率をベースとして、充填剤を充填したナノコンポジットの貯蔵弾性率を、容積画分の関数としてlog−logプロットすることによって、勾配の異なる2本の直線が得られるが、これは、二つのポテンシャル関数を示唆している。それらの直線の交点は、1.6容積%のところにあり、これは、それより上で充填剤−充填剤ネットワークが形成された層状シリケートの容積比に相当する。
それら2本の直線の勾配は、ポテンシャル関数の指数に相当する。浸透閾値より手前の領域においては、0.28の指数で貯蔵弾性率G’が増加していることが見出された。0.016の容積画分より上では、指数に15倍の増加がある。この増加は、充填剤−充填剤ネットワークの形成の結果であって、それは、NBR P3445Fの場合においては、1.6容積%のPGNの充填剤含量より上で形成されていた。
上述の観点から期待されるように、充填剤含量が高くなるにつれて、貯蔵弾性率G’に顕著な増大があった。0.015より高い容積画分では、この値より低い場合よりも、その増加がはるかに顕著であった。浸透閾値の決定するために、log−logプロットを選択した。その浸透点は、NBR P3430FおよびさらにはNBR P3445Fのタイプのラテックスでは、1.6容積%であった。NBR P3445Fに比較して、指数関数における増加は、それほど顕著ではなかった。浸透閾値より後では、指数因子に13倍の増加があった。
39%のACN含量を有する、Krynac(登録商標)4450Fゴムのタイプの場合においては、2種の他のNBRのタイプに匹敵する浸透特性が明らかであった。この場合の浸透閾値は、約1.8容積%であり、指数において19倍の増加があった。
各種のタイプのNBRを比較すると、未充填のゴムに関しては、同様の強度化が得られた。非架橋の物質における浸透閾値は、1.6容積%〜1.8容積%の範囲内であることが見出された。
同様にして分析した二次ラテックスから作成したナノコンポジットは、以下のような指数を示した:
スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR:Buna(登録商標)VSL 2525−0:8倍、Buna(登録商標)VSL 5025−2 HM:8倍、およびアミノ−S−SBR:Buna(登録商標)VSL VP PBR 4057:9倍、およびカルボキシル化Buna(登録商標)VSL VP PBR 4088 RJ:9倍)、およびLanxess Butyl 101−3:6倍、およびHalobutyl Lanxess X_Butyl(商標) BB2030:7倍、およびHXNBR:22倍。各種の方法での結果を、表11にまとめた。
Figure 0006726288
表11から明らかなように、本発明のプロセス、特にCDLC法によって、機械的浸透閾値に達した後では、そのポテンシャル関数の指数が最高の倍数値を示すことを特徴とする、広く各種の異なったラテックスをベースとするナノコンポジットが得られた。
2.8 非架橋のMMTベースのナノコンポジットの場合の、理論接触面積の測定
理論接触面積を測定するために、ラテックスの中に存在しているシリケート微小板を、透過型電子顕微鏡法(TEM)の手段により画像化し、解析した。立方体の形状および使用した層状シリケートの密度が2.6g/cmであると仮定し、長さ、幅、および高さの平均パラメーターを使用して、それぞれの場合において使用した層状シリケートにおける、単一のシリケート微小板の表面積を計算した。この場合に測定された数値は、530m/g−層状シリケート(この場合、MMT)であった。MMTベースのナノコンポジットのマスターバッチの中で使用した層状シリケートの容積画分を考慮に入れて、その接触面積を、使用した層状シリケートの各種の量について計算し、実験データと比較した。
Figure 0006726288
表12は、本発明のプロセス、特にCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットの平均粒子表面積が、従来技術のプロセスに比較して、明らかに高いことを示す。表12の結果はさらに、平均粒子表面積が、使用したラテックスとは無関係である、すなわち、一次ラテックスまたは二次ラテックスを使用したときに、その平均粒子表面積には、せいぜいほんのわずかな違いしかない、ということを示している。
2.9 本発明のプロセスの効果
特に、本発明のCDLCプロセスの手段によって製造されたナノコンポジットは、加硫物の中で使用した場合、ポリマーマトリックスの積極的な強度化を達成し、それは、加硫されたエラストマー材料の、高い硬度、改良された動的な機械的性質、および応力−歪み性能の点からも明らかである。
2.9.1 加硫物のショアーA硬度/測定
本発明のナノコンポジットが加硫物の中で良好な分散をすることから、その加硫物の硬度の上昇がもたらされる。ショアーA硬度は、本発明の文脈において使用されるDIN 53505に従った試験方法で、23℃で、MMT含有ナノコンポジットを使用して、予め作成しておいた加硫物の中に特定の針が貫入する深さから、測定した。その目盛り範囲は、ショア0〜100の範囲に入る。
本発明の文脈においては、ショアーA硬度の測定は一般的な傾向を示し、最初の低い層状シリケート充填剤レベルでは、硬度が直線的に高くなっていき、機械的浸透閾値より上ではさらに勾配が大きくなると予想される。
3容積%の層状シリケートを用いた、本発明において製造されたナノコンポジットでは、約40%もの硬度上昇が得られた。
低容積画分でのNBR 3の相対硬度は、NBR 1に比べて、わずかに高くなった。0.04の容積画分の場合においては、NBR 1およびBR 3の場合における未充填ゴムに基づく硬度は、それぞれ70%および60%高くなったが、ここで「未充填のゴム」とは、MMT含有ナノコンポジットを含まないゴムを意味している。二次ラテックスから作成した本発明のナノコンポジットを同様にして分析すると、以下のようなショアーA硬度の上昇を示した:
スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR:Buna VSL 2525−0:45%、Buna VSL 5025−2 HM:55%、およびアミノ−S−SBR:Buna VSL VP PBR4057:60%、およびカルボキシル化Buba VSL VP PBR 4088 RJ:65%)、およびLanxess Butyl 101−3:45%、およびHalobutyl Lanxess X_Butyl(商標) BB2030:50%、およびHXNBR:90%。
2.9.2 動的−機械的性質
プロセス工程a)における層状シリケートの量を増やしていったときに、層状シリケートの開口度がMMT含有ナノコンポジットの動的−機械的性質に及ぼす影響を、未充填のポリマー(ここでは、ゴムを意味している)との関連で調べた(図2参照)。図2に記載の検討は、室温で、伸びの大きさ0.5%で実施した。
求めた貯蔵弾性率G’/G’は、本発明において特に好ましいCDLC法の混合チャンバー(
Figure 0006726288
で表す)では、白い菱形(open diamond)で測定値を示し、約1.6容積%の機械的浸透閾値を与え、そして、沈殿ノズルとしてT継手(
Figure 0006726288
で表す)を使用した場合には、黒三角形(filled triangle)で測定値を表したが、層間剥離が少ないために、1.8容積%の機械的浸透閾値を与えた。
ベストな混合は、
Figure 0006726288
型の沈殿ノズルを用いた場合に得られ、本発明において好適に使用することができるが、そのノズルの中では、沈殿剤として使用されるコアギュラントが、相互にそれぞれ120度分離された3箇所から、層間剥離された層状シリケートおよびラテックスの層流の中にフィードされ、そして、シリケート微小板の再アグリゲーションが大幅に回避される。
浸透閾値より上では、本発明において使用される混合ノズルを使用した場合、貯蔵弾性率は、充填剤のレベルに依存し、3.9の指数で増加した。その指数は、T継手(
Figure 0006726288
で表す)の形態で混合ノズルを使用したプロセスからのサンプルの場合よりも、2.3倍高い。損失弾性率G”は、貯蔵弾性率G’に比較して、より高い指数で増加する。
T継手(
Figure 0006726288
で表す)の形態の混合ノズルの場合においては、本発明において好適に使用される、互いに120度分離された3点からコアギュラントがフィードされる沈殿ノズルを使用した場合よりも、その影響がはるかに小さい。
Figure 0006726288
型沈殿ノズルを使用した場合の、損失弾性率におけるこの大きな増大は、高いアスペクト比と、層状シリケートの微細な分散とに関連している。したがって、シリケート微小板の摩擦は、均一寸法の(isodimensional)充填剤たとえばカーボンブラックの場合よりも、高い。したがって、層間剥離レベルへの寄与の依存性(dependence of contribution)が推測される。
充填剤の表面に物理吸着されたポリマー鎖は、全固形分含量にさらなる寄与をもたらしたが、それはシリケート微小板の分離とともに増大した。それらの結果が示したことは、特に
Figure 0006726288
タイプの内部混合ノズルを使用した本発明のプロセスにおいては、損失弾性率に大きな増大があり、そのために、これらのサンプルの場合には、MMTの層間剥離が改良されている。
エラストマーおよび加硫物の応力/歪みの性質に関する検討からの結果は、本発明のナノコンポジットを充填されたエラストマーおよび加硫物が、層間剥離された層状シリケートによって、それらのエラストマー的性質に関して、従来技術よりも顕著に改良されたということを示した。
ニトリルゴムのNBR 1の場合、表10からの配合2を用いてナノコンポジットを製造した。図3によれば、未充填のサンプルが応力−歪み曲線で、フラットで凹型のプロファイルを有していたのに対して、より充填度の高いナノコンポジットが、典型的には、凸型の曲線のプロファイルを有していて、そのために、特に低〜中程度の伸びのところで、明らかに強度が高い。図3においては、MMT含量が高くなるほど、応力値も高くなっている。
浸透閾値未満の容積画分の場合においては、混合チャンバーの設計の間で、明らかな差は存在しない。浸透閾値よりも高い容積画分の場合には、それらのサンプルの強度化曲線が分かれてきて、本発明において使用するための混合ノズルのために、より高度に層間剥離された層状シリケートスタックを有する曲線では、明らかにより大きな立ち上がりがある。
一次関数における勾配は、弾性Eのモジュラス(ヤング率)に相当し、本発明において製造された充填されたMMTベースの剛性の目安である。ヤング率Eのlog−logプロットを使用して、機械的浸透閾値を決めることができる。
図4においては、ヤング率のプロファイルは、充填剤含量が大きくなるにつれて、直鎖状の増加で始まっていた。浸透閾値より上では、勾配の顕著な変化が起きるが、これは充填剤の浸透に帰することが可能である。図4においては、本発明においては特に好ましい
Figure 0006726288
タイプの内部混合ノズルを用いたCDLC法を使用した場合、3.4の指数が得られた。本発明における混合ノズルとして使用されるT継手は、依然として、1.0の指数のヤング率増加をもたらした。混合チャンバーの指数が高くなるということは、改良された分散とシリケート微小板の分離に帰することができる。
同様の方法で解析した二次ラテックスから作成したナノコンポジットは、
Figure 0006726288
タイプの内部混合ノズルを使用した場合、以下のような指数を示した:
スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR:Buna VSL 2525−0:2.4、Buna VSL 5025−2 HM:2.5、およびアミノ−S−SBR:Buna VSL VP PBR 4057:2.8、およびカルボキシル化Buba VSL VP PBR 4088 RJ:2.9)、およびLanxess Butyl 101−3:2.4、およびHalobutyl Lanxess X_Butyl(商標) BB2030:2.5、およびHXNBR:4.2。
図5においては、未充填で加硫させたHXNBRゴムの応力/歪み曲線は、400%までの伸び、および30MPaまでの極めて高い引張強度を示した。
層状シリケートを使用することによって、曲線の形状に根本的な変化が生じた。未充填のサンプル(すなわち、層状シリケートを含まない)が、凹型のプロファイルに従ったのに対して、本発明において製造されたMMTベースのナノコンポジットの曲線は、特徴的な凸型の曲線プロファイルを有していた。強度化が顕著に増大した。本発明のMMTベースのナノコンポジットを用いて充填されたHXNBRゴムの利点は、したがって、150%〜200%の範囲の最大歪みを有する、極めて高い強度化ポテンシャルにある。
3. 本発明のMMTベースのナノコンポジットを含むゴム加硫物の性質の測定
3.1 膨潤実験:ポリマー−充填剤の相互作用の測定
質量ベースの膨潤レベルは、膨潤した加硫物の質量と未膨潤の加硫物の質量との商として定義される。本発明の文脈において検討した加硫物における膨潤レベルを測定するためには、それぞれ一つのサンプルを、室温でメチルエチルケトン(MEK)の中に入れ、微細化学天秤での質量の測定で、質量がそれ以上の増加を示さない、すなわち、平衡膨潤レベルが達成されるようになるまで保存した。層状シリケートとポリマーマトリックスとの間の相互作用のために、物理的境界層が形成され、この領域における、マトリックスポリマーのポリマー鎖の膨潤が、かなり制限あるいは抑制された。
通常、以下のような関係をあてはめることができる:層状シリケートへの界面に物理吸着されたポリマーの含量が高いほど、同一の量の充填剤を有するサンプルの膨潤レベルが低くなる。層状シリケートの場合においては、シリケート微小板の層間剥離が、高いアスペクト比が原因で、ポリマー/ゴムとの吸着的相互作用に利用可能な表面積を増大させる。極めて高い比表面積のために、微小板の形態にある少量の充填剤でも、高い割合のゴムを物理的に結合させるに十分であり、そのため、高い充填剤レベルを用いると、膨潤動力学および平衡膨潤において顕著な低下があるようになる。高いアスペクト比で存在している層状シリケートが存在している結果、化合物(気体、液体)の拡散経路が顕著に長くなり、それによって、拡散障壁が生じ、その結果として、低分子量化合物の浸透が低下する。それとは対照的に、未充填のポリマーは、溶媒の吸収に関しては何のバリヤー性も有していないので、そのポリマーは、膨潤剤の飽和濃度にまで膨潤することができる。
充填剤−ポリマー相互作用パラメーターを、Kraus式の手段により、本発明のための実験の文脈において求めた[Kraus G.,J.Appl.Polym.Sci.,7(1963),861]:
Figure 0006726288
ここで、
Figure 0006726288
D=膨潤したサンプルの質量
F=充填剤の容積画分
T=未膨潤のサンプルの質量
ρ=ポリマーの密度
ρ=溶媒の密度
=吸収された溶媒の質量
φ=充填剤の容積画分
m=充填剤−ポリマー相互作用パラメーター
r,F=充填剤を含むポリマーの膨潤レベル
r,0=ポリマーの膨潤レベル
Figure 0006726288
表13に、本発明のナノコンポジットおよび従来技術によって製造したナノコンポジットを使用した、一次ラテックスおよび二次ラテックスから得られた各種の加硫物における膨潤レベルを示している。表13は、本発明のプロセス、特にCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットを使用した場合、加硫物の膨潤レベルが明らかに低下していることを示している。さらに、表13における結果から、一次ラテックスと二次ラテックスとの間では、膨潤レベルに関しては、事実上何の違いもないことも明らかになった。
3.2 拡散係数の測定
拡散係数を測定するためには、本発明のナノコンポジットおよび従来技術により得ることが可能なナノコンポジットを使用して、DIN ISO 23529に従って、膨潤媒体としての2−ブタノン(MEK)中、室温(23℃±2℃)での膨潤実験を実施した。個々のサンプル(厚み:3mm)を分析し、記録し、そしてReyence製のデジタル顕微鏡(VHX−600)を用いて評価した。その溶媒は、2日毎に交換した。
拡散係数は、Crankに従って評価した[Crank J.,”The Mathematics of Diffusion”,2nd−Edition,Oxford University Press,1975]:
Figure 0006726288
=時間tに吸収された溶媒の量
=吸収された溶媒の量(平衡状態)
D=拡散係数
t=時間
a=厚み
アスペクト比は、Nielsenに従って計算する[L.E.Nielsen,J.Macromol.Sci.,A1(1967),929]:
Figure 0006726288
=充填物質の拡散係数
=未充填物質の拡散係数
α=アスペクト比
φ=容積画分
拡散係数Dは、Flickの第二法則からの微分方程式を解くことによって得ることができるが、ここでcは、モル濃度であり、tは時間であり、Dは拡散係数であり、そしてxは位置である。
Figure 0006726288
サンプルのサイズおよび形状を考慮に入れ、拡散係数が濃度とは無関係であると仮定して、Crank(上記参照)は、いくつかの数値解法を計算した。シート(厚みd=2・a)の形態を仮定した膨潤体では、次の式を使用する:
Figure 0006726288
Mは、時間tで吸収された溶媒の量に相当し、そしてM∞は、平衡状態で吸収された溶媒の量に相当する。項の二つ目の部分は、近似に該当する。√tに対してM/M∞をプロットすると、その初期の勾配から拡散係数Dが得られる。
本発明のMMTベースのナノコンポジットの場合、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書による、機械的に混合したサンプルからのものよりも、顕著に小さな拡散係数が得られた。本発明において特に好ましいCDLC法の手段によるのと同じ係数を得ようとすると、6倍もの量の機械的に混合した層状シリケートが必要である。
Nielsen[L.E.Nielsen,J.Macromol.Sci.,A1(1967),929]に従い、拡散係数を使用して、MMTベースのナノコンポジット中の層状シリケートのアスペクト比αを計算することができる。ポリマーマトリックスの中のシリケート微小板が、貫入してくる分子に対する障壁を形成し、その結果、拡散経路が長くなる。
相対拡散係数のD/Dは、式(13)で表すことができる。
Figure 0006726288
検討した系についての、膨潤測定から得ることが可能なアスペクト比のまとめを、表14に示す。
Figure 0006726288
表14は、本発明において製造されたナノコンポジットを含む加硫物で、それぞれの場合において、最大のアスペクト比を示している。さらに、それらの結果から、一次ラテックスと二次ラテックスとの間では、アスペクト比に関しては、事実上何の違いもないことも明らかになった。
4. ゴム混合物の製造および性能試験のための配合
4.1 ゴム混合物の製造
4.1.1 以下の表15〜18に記載の加硫物のためのゴム混合物の製造
ゴム混合物は、二ステージ混合プロセスにおいて製造したが、それぞれの場合において、第一の混合ステージでは、かみ合い式の混練エレメント(PS 5A、パドル形状)付きの容量1.5Lの内部混合器(Werner & Pfleiderer(Stuttgart)製のGK 1.5)を使用した。第二の混合ステージは、温度調節可能なローラーで、最高ローラー温度60℃で実施した。
使用する混合物の成分はそれぞれ、オイルフリーのゴムマトリックス100重量部を基準とした。混合物の成分の添加順序と添加時間は、それぞれの混合シリーズに相当する表の中に示している。表16〜18および表19〜21においては、第一の混合工程の中で秤込まれる混合物の成分は、印で識別し、それに対して、第二の混合工程(または、それより後の混合工程)の中で秤込まれる混合物の成分は、**印で識別した。
第一の混合工程においては、表16〜18に記載した混合物の成分を、70℃に加熱したインターナルミキサーの中に導入し、充填レベル72%、ラム圧力8bar、ニーダー速度70回転/分で混合した。十分な分散を確保するために、それらの混合物を、速度を上げながら、表15に記載の温度にまで加熱し、インターナルミキサーから排出させるまで、それらの温度に維持した。その後で、混合物を排出させ、90℃未満になるまでローラー上で冷却した。
23℃で24時間保存した後で、それらの混合物を、場合によってはさらなる成分を添加してから、インターナルミキサー中での第二の混合ステージで再分散(充填剤レベル:72%、ラム圧力:8bar、回転速度:50min−1)させ、排出温度に達するまでレディミキシングした。その後、その混合物を排出させ、40℃に予熱しておいたローラーの上で冷却して、60℃未満とした。
別な方法として、第二の混合ステージにおいて、ロール上で60℃以下の温度で架橋用薬品を添加することも可能であった。
4.1.2 加硫物を製造するためのプロセス:
本発明のナノコンポジットを含む本発明の製品を製造するための加硫は、典型的には、100〜250℃の範囲の温度で、標準圧力(1bar)下か、または場合によっては300barまでの圧力のいずれかで実施した。
本発明のナノコンポジットが、ゴムベースの製品または加硫物、またはエラストマーを製造するのに優れた適合性を有していることが見出された。
4.2 配合
必要があれば、比較の目的で、層状シリケートとして使用するためのナトリウムモンモリロナイト(MMT)を、インターナルミキサーの中に、粉体の形状で混ぜ込んだ。
Figure 0006726288
NBRタイプの混合物の製造は、2種の異なった配合を用いて実施した(表16、表17)。第一のものは、架橋させるために必要な必須成分のみを使用した基本配合である。MMTの量は、0容積%〜5.2容積%の範囲内で変化させた。第二の配合は、工業的な目的のために合わせたものであって、老化安定剤および可塑剤を加えた(表17)。ここでもまた、MMTの量は、0容積%〜5.2容積%の範囲内で変化させた。HXNBRの場合においては、水素化二重結合のために、ペルオキシド加硫を選択した。その配合を表18に示した。MMTの量は、0容積%〜5.2容積%の範囲内で変化させた。表19、表20および表21において、IIRおよびSBRの例をさらに示す。
Figure 0006726288
Figure 0006726288
Figure 0006726288
CBS : Vulkacit(登録商標)CZ/EG−C、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド[CAS No.95−33−0]
Platinol(登録商標)TOTM : トリメリット酸トリオクチル[CAS No.3319−31−1]、BASF SE(Ludwigshafen)
Vulcafac(登録商標)TAIC70 : トリアリルイソシアヌレート[CAS No.1025−15−6]、West Coast Polychem Pvt.Ltd.(Mumbai,India)
Structol(登録商標)ZP 1014 : 亜鉛ペルオキシド調製物、活性含量50%(ZnO、ZnO)、無機分散剤30%、および有機分散剤20%、Schill+Seilacher ”Struktol” GmbH(Hamburg)
Perkadox(登録商標)BC−40 : ジクミルペルオキシド[CAS No.80−43−3]、40%活性成分、AkzoNobel Functional Chemicals(Amersfoort,the Netherlands)
Vulcanox(登録商標)4020 : N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、[CAS No.793−24−8]、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Vulcanox(登録商標)HS/LG : 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、重合物(TMQ)[CAS No.147−47−7]、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Vulcanox(登録商標)MB2/MB : 4−および5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(MMBI)、[CAS Nr.53988−10−6]、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Vulcanol(登録商標)OT : エーテルチオエーテル、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Vulkacit(登録商標)NZ/EGC : N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、[CAS No.95−31−8]、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Rhenogran(登録商標)TBzTD−70 : テトラベンジルチウラムジスルフィド[CAS No.10591−85−2]、RheinChemie Rheinau GmbH(Mannheim)
Vulkalent(登録商標)E/C : N−(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルファニリド、[CAS No.002280−49−1]Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
HXNBR : THERBAN(登録商標)XT VPKA 8889、水素化カルボキシル化ブタジエンアクリロニトリルターポリマー[CAS No.187041−37−8]
ZnO aktiv : Zinkoxyd adtiav(登録商標)、微細酸化亜鉛粉体
ZnO : Rotsiegel zinc white(Grillo Zinkoxid GmbH)
ステアリン酸 : Edenor(登録商標)C 18 98−100(Cognis Deutschland GmbH)、CAS番号 57−11−4
Vulkacit(登録商標)CZ : N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、CBS
硫黄 : 可溶性硫黄(Chancel(登録商標)90/95゜ 摩砕硫黄(Solvay Barium Strontium))
Perbunan(登録商標)3445 F : ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Perbunan(登録商標)3430 F : ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Krynac(登録商標)4450 F : ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Lanxess Butyl 101−3 : イソブチレン−イソプレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Lanxess X_Butyl BB 2030 : ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
N550カーボンブラック : Statex(登録商標)N550(Columbian Carbon Deutschland)
Sunpar(登録商標)2280 : 「高度精製パラフィンタイプのゴムプロセスオイル、Sunoco製」
MBTS : Vulkacit(登録商標)DM、Lanxess Deutschland GmbH
Vulkanox(登録商標)BKF : 2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);Lanxess Deutschland GmbH
Figure 0006726288
Figure 0006726288
Figure 0006726288
ナトリウムモンモリロナイトコンポジットのためのベースとしてのL−スチレン−ブタジエンゴム:
Buna(登録商標)VSL 2525−0 : ブタジエン−スチレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Buna(登録商標)VSL 5025−2 HM : 油展ブタジエン−スチレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Buna(登録商標)VSL VP PBR 4057 : 油展アミノ化ブタジエン−スチレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Buna(登録商標)VSL VP PBR 4088 : 油展カルボキシル化ブタジエン−スチレンコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH
Figure 0006726288
NR−Clay Composite製の天然ゴムラテックスを市販品として調達した
Latex NR−Latex FA、Weber & Schaer GmbH & Co.KG(Hamburb,Germany)製
N550カーボンブラック : Statex(登録商標)N550(Columbian Carbon Deutschland)
Vivatec(登録商標)500 : Hansen & Rosenthal KG
Aktiplast(登録商標)PP : RheinChemie Rheinau GmbH
Vulkanox(登録商標)4020/LG : Lanxess Deutschland GmbH
Vulkanox(登録商標)HS/LG : Lanxess Deutschland GmbH
Antilux(登録商標)654 : RheinChemie Rheinau GmbH
Edenor(登録商標)C18 98−100 : ステアリン酸、CAS No.57−11−4、Cognis Deutschland GmbH
Rotsiegel ZnO : Grillo Zinkoxid GmbH
90/95摩砕硫黄 : Deutsche Solvay−Werke
Vulkacit(登録商標)CZ/C : Lanxess Deutschland GmbH
Vulkacit(登録商標)DZ/C : Lanxess Deutschland GmbH
4.5 加硫物の製造:
混合物の加硫特性を、DIN 53 529に従い、レオメーターで測定したが、MDR 2000E Monsanto レオメーターを使用した。この方法では、たとえば以下のような特性データを求めた:Fmin.、Fmax、Fmax−Fmin.、t10、t50、t90およびt95、ならびにF15min、F20min.、F25min.、およびF25max−Fmin
DIN 53 529、Part 3による定義は以下の通りである:
min : 加硫計で、架橋等温線の最小のところの読み
max : 加硫計で、架橋等温線の最大のところの読み
max−Fmin : 加硫計で、最大値と最小値の間の読みの差
t10 : 10%の転化率が達成された時間
t50 : 50%の転化率が達成された時間
t90 : 90%の転化率が達成された時間
t95 : 95%の転化率が達成された時間
加硫物の特性解析のために必要な試験片は、120barの油圧で混合物をプレス加硫することにより作成した。各種の試験片をそれぞれ、サンプルの厚み1mmあたり1分を加えて計算したt90時間まで、加硫した。24時間放置しておいてから、加硫したサンプルの特性解析をした。
5. ハイブリッド系におけるMMTの効果
5.1 ハイブリッド系および慣用されている系の特性解析
本発明のMMTベース、特に本発明のCDLC法からのナノコンポジットの強度化および膨潤性能の格付けをするために、比較例の化合物を、N550カーボンブラックおよび機械的に混ぜ込んだ層状シリケートを用いて製造して、特性解析した。それに加えて、層間剥離された層状シリケートを5.2容積%までで含む、本発明のプロセス、特にCDLC法によるMMTベースのナノコンポジットをベースとするマスターバッチ、ならびに従来技術によるカーボンブラックのような慣用されている充填剤の組合せからハイブリッド系を作成した。これらの混合物の場合、そのマスターバッチを充填剤のように扱い、それぞれ第一の混合ステージにおいて組み入れた。
その配合を表23に示す。N 550カーボンブラック(40phr、60phr、80phr)を用いてそれを増量させた。MMTの量を変化させて、最終混合物の中に0%、1%、および2容積%のMMTが存在するようにした。
Figure 0006726288
表23においてもまた、第一の混合工程の中で秤込まれる混合物の成分は、印で識別し、それに対して、第二の混合工程(または、それより後の混合工程)の中で秤込まれる混合物の成分は、**印で識別した。
Rhenogran(登録商標)IS 60−75 : 天然ゴムおよび合成ゴム混合物用の硫黄ベースの加硫剤、RheinChemie Rheinau GmbH(Mannheim)
5.2 非架橋の系の粘弾性特性
5.1の表23に記載の組成物によるナノコンポジットを充填したゴム製品の粘弾性特性を、ゴムプロセス分析計(Alpha Technologies製、モデル:Monsanto RPA 2000;測定条件:80℃、測定振動数1Hz、変形の大きさ0.28%〜400%)で特性解析した。
この目的のためには、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に記載の機械的混合によって得ることが可能なMMTベースのナノコンポジットの貯蔵弾性率、およびN550カーボンブラックを用い、CDLC法によって得ることが可能なMMTベースのナノコンポジットの貯蔵弾性率を、MMTの充填剤容積含量に対してlog−logプロットでプロットすると、その結果、非架橋の状態での浸透閾値が明らかになった。CDLC法によって得ることが可能なMMTベースのナノコンポジットを使用した場合には、1.6容積%のところで貯蔵弾性率の勾配が変化することを見出すことができた。この結果は、充填剤ネットワークが生成したことに帰することができる。それとは対照的に、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従い、機械的に混ぜ込んだ層状シリケートから得ることが可能なMMTベースのナノコンポジットでの浸透閾値は10容積%であり、したがって、容積画分の高い方へ、6倍の倍数でシフトしていた。N550カーボンブラックは、機械的に混ぜ込んだ層状シリケートに類似の粘弾性特性を示した。非架橋の状態では、充填剤ネットワークの生成は、約13容積%のところで始まった。
図6に、検討したカーボンブラック/層状シリケートハイブリッド系における貯蔵弾性率の変化を示している。ハイブリッド系は、40phrのカーボンブラック(14容積%に相当)、60phrのカーボンブラック(21容積%に相当)および80phrのカーボンブラック(26容積%に相当)を用いて得て、それぞれの場合において、2.5phr(1容積%に相当)および5.3phr(2容積%に相当)のMMTを添加した。層状シリケートをこれらのように少量追加して用いただけで、貯蔵弾性率には、驚く程の、十分な向上が達成された。CDLC法で製造されたナノコンポジットを含むマスターバッチの形態にある層状シリケートを1容積%または2容積%を追加することにより、6倍も高い貯蔵弾性率が達成された。60phrのN550カーボンブラックと1容積%のCDLC法で製造されたナノコンポジットを含むマスターバッチの形態にある層状シリケートとを含むコンパウンド物からは、80phrのカーボンブラックを混合した物に比肩する貯蔵弾性率が得られた。通常実用化されているゴムベースの製品の中の、より高いカーボンブラック含量の場合には、1容積%(2.5phr)の、CDLC法によるナノコンポジットの形態の層状シリケートで、20phrのカーボンブラックを置きかえることができる。
5.3 架橋させた系の機械的性質
5.3.1 ショアーA硬度
ゴムの中に充填剤を添加すると、一般的に、ショアーA硬度(DIN 53505、23℃で測定)が比例的に高くなり、このことは、ゴム工業ではそれ自体公知である。
本発明のMMTベースのナノコンポジットを使用する場合において、本発明の文脈においては、驚くべきことには、エラストマー中での容積比を少し増やすだけで、ショアーA硬度の増大が達成された。欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書に従い機械的混合により得られたMMTベースのナノコンポジットは、N550カーボンブラックに対して、同様のショアーA硬度の増大を示した。3容積%の(CDLC法による)層状シリケートと、21容積%のN550カーボンブラックで、同程度の硬度が達成された。そのような高い強度化は、特には、本発明のプロセスによって、層状シリケートが高度にばらばらになり、分散が達成されたことの結果である。達成されたアスペクト比およびそのようにして得られた、ばらばらにされたシリカ微小板の比表面積の結果として、物理吸着されたポリマー鎖の界面が、それら層状シリケートの表面に形成された。この境界領域における密度が高くなることによって、エラストマーまたは加硫物の形態の中の本発明のナノコンポジットを含む物質の高度が高くなる。図7においては、本発明のプロセス、特にCDLC法によって層間剥離された、層状シリケートの1.6容積%が使用されたときに、ショアーA硬度における20単位の上昇が実際に達成された。
40phr、60phrおよび80phrのカーボンブラックを含む混合物に、CDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットの形態にあるマスターバッチとして、2.5phr(=1容積%)および5.3phr(=2容積%)の層状シリケートを添加した。そのようにして得られたハイブリッド系は、14硬度ポイントに達するほどの、硬度の顕著な増大を示したが、そのことは、CDLC法によるナノコンポジットの形態にあるこれら少量の層状シリケートによって達成されたのである。単にカーボンブラックを充填しただけの加硫物に比較して、CDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットを1容積%添加すると、加硫物が7〜9ショアーA単位の増大を示すようになった。CDLC法からのナノコンポジットにある層状シリケートを2容積%添加した場合には、12〜14ショアーA単位の増大が見出された。これは、最大で20%の増大にまでなる。
これらの結果もまた、本発明のプロセスによって得られたような、極端にばらばらにされた層状シリケートの例外的な強度化ポテンシャルを示している。
5.3.2 機械的−動的性質
層状シリケート含有系、カーボンブラック含有系、および/またはカーボンブラック随伴層状シリケート含有系で求めた値を対数プロットすることによって、それら異なった系の機械的−動的性質を、比較の目的で表示した。機械的浸透閾値は、異なった指数を有する「べき関数(power function)」から得られた2本の直線の交点から求めた(参照、図8)。
図8は、カーボンブラック材料、層状シリケート材料、および混合材料での、機械的浸透閾値および動的強度化の測定値を示している。
本発明のプロセスによって得ることが可能な層状シリケートを含むナノコンポジットは、2.2容積%という極めて低い浸透閾値を示したが、それに対して、N550カーボンブラックを含むナノコンポジットでは、機械的浸透限界に達するのに、5倍の充填剤の容積比増大が必要であった。N550カーボンブラックを用いてそれらと同様の貯蔵弾性率を達成させようとすると、カーボンブラックの場合には、本発明のナノコンポジットの形態にある本発明により層間剥離されたMMTを用いた場合よりは、容積で7.5倍高い比率が必要であった。
同様の強度化を有するコンパウンド物について、MTS製のサーボ油圧系のエラストマー試験系のモデル831.50を使用して、室温で0.2%〜400%の伸びの大きさ、および振動数1Hzの関数として特性解析した。約3.5MPaの貯蔵弾性率を有するカーボンブラック充填サンプルは、未充填のゴムに比べて、4倍も高い。本発明において製造されたナノコンポジットの形態で、1容積%のMMTをさらに添加すると、貯蔵弾性率が上がって、5MPaの値となった。本発明において製造されたナノコンポジットの形態にあるMMTを2容積%添加すると、単にカーボンブラックだけを充填したサンプルに比較して、貯蔵弾性率が倍になった。極めて少量の層状シリケートを添加するだけで、驚くべきことには、検討している加硫物の剛性に顕著な変化がもたらされ、貯蔵弾性率が極めて大幅に高くなる。
5.3.3 応力/歪み特性
加硫物の中にそれを均質に分散した本発明のナノコンポジットの例外的な強度化ポテンシャルは、特にDIN 53504に従い、Zwick 1445材料試験機で、S2型サンプル形状を用いて、23℃、引張速度200mm/分、初期力0.5Nで測定した、すなわち10%、25%、50%、100%、200%、および300%歪みでの応力値(σ10、σ25、σ50、σ100、σ200、およびσ300)の引張強度および破断時伸びから求められた試験片における応力/歪み特性に示され、その強度化因子(strengthening factor)が、カーボンブラックベースの混合物と比較して、その測定曲線から求められた。
N550カーボンブラックと本発明のナノコンポジットとで構成されたハイブリッド系は、この場合もまた、顕著に高い強度化因子を与えた。図9に、カーボンブラック材料、層状シリケート材料、および混合材料の、100%伸びにおける強度化因子を示す。
100%引張時での加硫物の強度化因子は、本発明のナノコンポジットのサンプルの、顕著な強度化を示した。本発明のMMTベースのナノコンポジットでの3容積%の場合と同じ因子は、欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書による機械的層間剥離からの本発明ではないMMTベースのナノコンポジットでは16容積%で達成され、またはN550カーボンブラックではさらに19容積%で達成される。伸びが極めて小さい領域においては、応力は、歪みに対してほぼ比例して増加する。その増加の勾配は、その材料の剛性の目安であり、ヤング率と呼ばれる。図10に、カーボンブラックを含む材料についての23℃でのヤング率を、その中のナノコンポジットに本発明において製造されたMMTベースのナノコンポジットを含む材料と比較して示す。
強度化因子の場合と同様に、この場合も、ヤング率の上昇が容積比に比例して起きた。その実験においては、本発明のMMTベースのナノコンポジットを含む加硫物におけるヤング率の勾配において、前もってMMTが従来技術の方法によって層間剥離されていたナノコンポジットを添加した加硫物の場合よりも、はるかに大きな増加があった。本発明のナノコンポジットを使用した場合には、アスペクト比が高く、分散が良好であるために、加硫物において高い剛性が得られたが、おそらくこれは、ポリマー−充填剤の相互作用がより高いことの結果であろう。
5.3.4 ポリマー−充填剤の相互作用
加硫物中のポリマーマトリックスにおける層状シリケートの強度化性能は、顕著なポリマー−充填剤の相互作用を用いて評価することができる。その相互作用の結果、境界層が生じ、その中で、ポリマー鎖が層状シリケートの表面に、物理的な力で結合される。その結果、鎖の易動度がかなり制限されるが、易動度の低下は、核共鳴分光光度法によって検出することができる。境界層では、この領域におけるポリマーの密度を上げることになる。境界層が多く存在するほど、それらの領域における膨潤は低くなる。したがって、極めて実質的に最適な境界層は、層状シリケートの層間剥離と、層状シリケートのシリケート微小板を実質的にばらばらにすることによって、影響を受け/達成される。
5.3.5 膨潤特性
本発明のMMTベースのナノコンポジット、および機械的混合によって層間剥離されたMMT含有コンポジット(欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書による)、ならびにカーボンブラック混合物およびそれのハイブリッド系の膨潤特性を、室温で、メチルエチルケトン(MEK)の中で検討した。この目的のためには、サンプルを乾燥状態で秤量し、膨潤媒体の中に浸漬させ、そして、毎日秤量することにより重量増加を測定した。その膨潤媒体は、隔日毎に交換した。その拡散係数を求めるためには、Reyence VHX−600 デジタル顕微鏡を用いてそれらのサンプルを分析し、評価した。膨潤測定の評価は、Kraus式を使用して実施した[Kraus G.,J.Appl.Polym.Sci.,7(1963),861]。検討した系のKrausプロットにおいては、その勾配が、ポリマー−充填剤の相互作用の目安である。図11に、本発明においては特に好ましいCDLC法によって層間剥離された系についてのKrausプロットを、カーボンブラック系およびハイブリッド系と比較して、示す。
最も高い勾配値は、本発明のMMTベースのナノコンポジットの場合に達成された。Kraus定数Cは、上記の式から計算した。Cの値が大きいほど、ポリマーと充填剤との相互作用が、より顕著である。CDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットにおいては、そのKraus定数Cが7.7であることが見出された。欧州特許出願公開第2 168 918A1号明細書により機械的混合により得ることが可能なナノコンポジットでは、C=2.6が得られた。したがって、その相互作用は、本発明のMMTベースのナノコンポジットでは3倍は高かった。カーボンブラック含有混合物では、その結果がもっと低く、Kraus定数C=1.6であった。CDLC法によって製造されたナノコンポジットを1容積%(2.5phrに相当)および2容積%(5.3phrに相当)含むコンポジットをベースとするハイブリッド系は、カーボンブラックベースの混合物に比較して、明らかに改良されたバリヤー性を有していて、明らかに低い膨潤性を示した。本発明のナノコンポジットの形態にあるMMTの2容積%が、ポリマー−充填剤の相互作用を約2倍に大きくした。
5.3.6 H NMR
充填剤表面に対する物理的付着から生じる鎖セグメントの易動度は、核共鳴分光光度法の手段によって測定した。スピン−スピン緩和定数T2は、90度パルスの後、交差磁化が、その初期値の37%に低下するまでの時間を意味している。この値が小さいほど、鎖の易動度が低い。図12に、CDLC法によって製造した本発明の系およびカーボンブラック系についての、相対的なスピン−スピン緩和時間T2を示している。
充填剤の容積画分に依存する相対スピン−スピン緩和時間における勾配が違っているということは、本発明のMMTベースのCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットをベースとする加硫物での剛性が、N550カーボンブラックをベースとするものに比較して、顕著に変化したことを示した。本発明のCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットの形態における3容積%のMMTと同じポリマー鎖の易動度は、代わりに25容積%のN550カーボンブラックを使用したときにのみ、達成された。
図12からの結果はさらに、驚くべきことには、本発明のMMTベースのナノコンポジットでは、慣用的に入手可能な充填剤に比較して、顕著に低い容積画分でも、それから得られる加硫物の性質に、明らかにかつプラスの変化があることも示している。
6. 爆発的減圧
特にガスケット材料においては、爆発的減圧の実験が採用される。それらは、圧力を高圧レベルから低圧レベルへと数秒以内に低下させたときに、気体状媒体に対するシーリングを与えなければならない、主としてガスケット材料である。
爆発的減圧試験は、本発明の文脈においては高圧(50bar)高温(50℃)にあるオートクレーブの中に、圧力容器中の液体COの中に入れた加硫物のサンプルを置くことにより実施した。その条件は以下の通りである:50℃、50barで2.5時間貯蔵した後で、5秒以内で、その圧力を完全に放出させたが、それにより、二酸化炭素の気体状態への転換を起こさせた。圧力を放出させた後では、ポリマーの中に溶解していた気体が、そのサンプルから拡散して抜けた。残ったガスの分子がサンプルの中の弱いところに集まり、膨張して、サンプルの中に気泡または亀裂が形成された。爆発的減圧に関連したサンプルの評価は、本出願の文脈においては、0〜60分間の間に、そのサンプルの中の気泡および亀裂の量について、目視で行った。
その検討のために、Krynac(登録商標)4450 F中に2.25容積%のNaMMT含量を有する、本発明のCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットを使用した。使用した参照サンプルは、層状シリケートを含まないシリカ/シラン加硫物であったが、それは、工業的に、特にオイルおよびガス産業の分野で使用されているガスケット材料であって、爆発的減圧の課題に耐えうると考えられているものである。その配合を表24に記す。
Figure 0006726288
6.1 供給原料
Krynac(登録商標)4450 F : ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
ステアリン酸 : CAS No.57−11−4
Maglite(登録商標)DE : 酸化マグネシウム、Merck(USA)製
Zinkoxid aktiv : CAS No.1314−13−2、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Rhenofit(登録商標)DDA−70 : 70%のジフェニルアミン誘導体と30%の充填剤で構成される抗酸化剤、RheinChemie Rheinau GmbH(Mannheim)
Vulkanox(登録商標)ZMB2/C−5 : メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Diplast(登録商標)TM8−10/ST : n−オクタノールとn−デカノールとの混合物をベースとするトリメチレート、CAS No.90218−76−1、Polynt(Scancorosciate,Italy)
Polyglykol 4000 S : CAS No.25322−69−4、Reinighaus Chemie GmbH&Co.KG(Essen)
Celite(登録商標)281 SS : CAS No.68855−54−9、Merck Millipore、Merck KGaA(Darmstadt)
Vulkasil(登録商標) S : CAS No.007631−86−9、二酸化ケイ素、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne)
Sachtleben RU−5 : 超微粉砕二酸化チタン(ルチル構造)、Sachtleben Chemie GmbH(Duisburg)
Silquest(登録商標)RC−1 : ビニル−官能化シラン、カップリング剤、Momentive Performance Materials Inc.
Rhenofit(登録商標)TRIM/S : 70%のトリメチロールプロパントリメタクリレート[CAS No.3290−92−4]および30%のシリカで構成される架橋活性化剤、RheinChemie Rheinau GmbH(Mannheim)
Perkadox(登録商標)14−40−B−PD : 40%の炭酸カルシウムおよびシリカを含む、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、CAS No.24155−25−3、AkzoNobel Functional Chemicals(Amersfoort,the Netherlands)
6.2 爆発的減圧のためのサンプルの架橋
インキュベーション時間、t90およびトルクのような加硫性能は、非ローター式ねじり剪断加硫計(Rheometer MDR 2000、Alpha Technologies)を使用し、DIN 53529、Part 3に従って、加熱温度160℃、振動数1Hz、変形角1.5%で測定した。このようにして、以下のような特性データを求めた:Fmin.、Fmax.、Fmax.−Fmin.、t10、t50、t90およびt95、さらにはF15min、F20min.、F25min.およびF25min.−Fmax.
DIN 53 529、Part 3による定義は以下の通りである:
min : 加硫計で、架橋等温線の最小のところの読み
max : 加硫計で、架橋等温線の最大のところの読み
max−Fmin : 加硫計で、最大値と最小値の間の読みの差
t10 : 10%の転化率が達成された時間
t50 : 50%の転化率が達成された時間
t90 : 90%の転化率が達成された時間
t95 : 95%の転化率が達成された時間
加硫戻り(reversion)特性は、以下のパラメーターにより特性解析した:
F15min : 15分後の加硫計の読み。
F20min. : 20分後の加硫計の読み。
F25min. : 25分後の加硫計の読み。
F25max−Fmin : 25分後と最大値の加硫計の読みの差。
加硫は、加硫プレス(KV 207.00、Rucks Maschinenbau)の中で160℃で実施したが、加硫時間は、測定したt90時間に、サンプルの厚み1mmあたり1分を加えて計算した。24時間放置しておいてから、加硫したサンプルの特性解析をした。
爆発的減圧の前および後にオートクレーブから取り出した直後の、層状シリケートなしのシリカ/シラン系を含む試験片についての試験結果は、ブリスターまたは亀裂は一切示さなかったが、それらのサンプルは、明らかに認識できるほど膨潤していた。それとは対照的に、本発明のナノコンポジットを含み、ゴム中のNaMMT含量が2.25容積%であるサンプルは、実験室用オートクレーブ(圧力容器)から取り出した後で、極めて低い膨潤しか示さなかった。
このことは、本発明のナノコンポジットを使用することによって、サンプルのゴムの中に捕集されるガスが少なく、そのため、減圧の結果でも、サンプルから拡散して抜けるガスが少ないということを示している。したがって、本発明のナノコンポジットを少量添加することによって、爆発的減圧試験における性質や、加硫物の改良された特性が得られるようになる。
図13に、本発明の爆発的減圧の文脈におけるCO試験の前のサンプルと比較した、サンプルの直径の増加を示している。予想されるように、静置時間が長くなるにつれて、サンプルの直径が小さくなったが、その理由は、ポリマーから残存ガスが拡散して抜けるからである。しかしながら、その減少は、本発明のナノコンポジットを含むハイブリッド系の場合の方が、はるかに早く、わずか30分後には初期状態に戻っていた。(MMTなしの)シリカ/シラン混合物は、それとは対照的に、60分後でも約4%の直径増加があったが、それは、この時点でもCOが、完全には抜けきっていなかったためである。図13におけるシリカ/シラン混合物の場合の曲線の漸近線的なプロファイルは、加硫物の内部で不可逆的な材料のダメージがあることを示唆している。実験のために使用するガスケットのゴムに少量の本発明のナノコンポジットを添加することによって、爆発的減圧試験における性質における明らかな改良が得られた。
Figure 0006726288
表25は、本発明のプロセス、特にCDLC法によって得ることが可能なナノコンポジットを含む加硫物では、従来技術の方法で得ることが可能なナノコンポジットを加えた加硫物に比較して、明らかな改良、すなわち加硫物の永久変形がなかったということを示している。

Claims (26)

  1. ナノコンポジットであって、ゴムマトリックスによって包み込まれた少なくとも1種の層状シリケートの層状シリケート粒子で構成されており、前記の少なくとも1種の層状シリケートの粒子と、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エチレン−アクリレートゴム、アクリレートゴム、フルオロゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムとを含み、
    − 前記の少なくとも1種の層状シリケート含量が、6容積%以下であり、
    − 前記ゴムマトリックスの中の前記の少なくとも1種の層状シリケートの層状シリケート粒子が、100〜200nmの範囲の粒子サイズ(中央値)d50を有し、
    ここで、前記粒子サイズ(中央値)が、ISO 29301に従い透過型電子顕微鏡法によって測定されたものであり、
    前記の少なくとも1種の層状シリケートの層状シリケート粒子が、30%〜99%の範囲のX線回折で求められる層間剥離レベルを有することを特徴とする、ナノコンポジット。
  2. 前記少なくとも1種の層状シリケートの層状シリケート粒子が50超のアスペクト比を有し、ここで、前記アスペクト比が、前記少なくとも1種の層状シリケートの層状シリケート粒子の長手方向の長さ対その厚みの比率であり、前記アスペクト比の計算のために必要な粒子の長さおよび粒子の厚みのパラメーターが、標準ISO 13321およびISO 22412を適用した動的光散乱法の手段および画像解析により得られることを特徴とする、請求項に記載のナノコンポジット。
  3. ラテックスであって、水性懸濁液中に、請求項1又は2に記載のナノコンポジットを含む、ラテックス。
  4. 製品であって、ベースポリマーを含有するゴム混合物、加硫物またはエラストマーの形態にあり、それらの中に、請求項1又は2に記載の少なくとも1種のナノコンポジットを含むことを特徴とする、製品。
  5. 前記ベースポリマーまたは加硫物の中のナノコンポジットの含量が、0.1質量%〜10質量%の範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の製品。
  6. 使用される前記ベースポリマーまたは加硫物が、前記ナノコンポジットを製造するのに使用されたのと同じゴムであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の製品。
  7. ナノコンポジットの製造方法であって、
    a)層状シリケート含有原料物質を、水性媒体の中に導入し、前記層状シリケートの中のシリケート微小板の層を開口させ、
    b)開口されたシリケート微小板層を含むこの半製品を、少なくとも1種のラテックスと混合し、
    c)前記混合物を流通反応器に供給し、層流の伸長流に転換させて、その結果、前記シリケート微小板相互の、さらに大きいか、または完全な分離を起こさせ、
    d)層流の伸長流の中の、その中に存在する大部分もしくは完全に分離されたシリケート微小板を含む前記混合物を、少なくとも1種の混合ユニットの中で、少なくとも1種の酸もしくは少なくとも1種の塩をベースとするコアギュラントと混合し、最後に、
    e)d)で得られた中間体を集めて、アルカリ性の、水性媒体中で単離するが、
    ここで、前記ラテックスには、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン/ジオレフィンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、およびカルボキシル化水素化ニトリルゴムの群からの少なくとも1種のゴムが選択され、ここで使用される前記混合ユニットが、混合ノズルまたは沈殿ノズルである、
    ことを特徴とする、方法。
  8. 層流の伸長流への前記転換を、0.2〜30barの範囲の圧力で実施することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  9. 前記流通反応器が、円錐形のテーパーを有するチューブの形状を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 流通反応器として使用される前記円錐形のテーパーを有するチューブが、1〜15度の範囲の角θを有し、前記角θが、前記流通反応器の傾斜角度を表していることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  11. 流通反応器として使用される前記円錐形のテーパーを有するチューブの狭窄係数D/Dが1.1〜20の範囲にあり、ここでDが、伸長流の現象が開始される点での前記円錐形のテーパーを有するチューブの断面であり、Dが、前記少なくとも1種の混合ユニットの中への前記伸長流の入口より前の前記円錐形のテーパーを有するチューブの断面であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記円錐形のテーパーを有するチューブが、前記層流の伸長流において、その長さ全体Lにわたって、ほぼ双曲線のプロファイルを発生させることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記流通反応器の中で、前記層流の、段階のない滑らかな双曲線プロファイルが発生されることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 比率L/D (Lは、円錐形のテーパーを有するチューブの長さであり、D は前記少なくとも1種の混合ユニットに入る前記伸長流の入口より前の前記流通反応器の断面である)が、100〜400の範囲であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程b)における混合が流通反応器より上流に接続された混合チャンバーの中で行われ、直径D(前記少なくとも1種の混合ユニットに入る前記伸長流の入口より前の前記流通反応器の断面)の、加えられる圧力pに対する比率が、コアギュレーションのための前記混合チャンバーの中の伸長流、処理量、および体積流量を調節し、比率D、10〜20/1〜2の範囲であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. プロセス工程d)において、外部混合原理または内部混合原理のいずれかによって機能する、少なくとも1種の混合ユニットが使用されることを特徴とする、請求項7〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. その中で、前記流通反応器の中または前記流通反応器から出た後に、前記コアギュラントが、前記内部混合原理によって、前記層流の伸長流に対して直角または斜めに添加される、混合ノズルが使用されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  18. 前記内部混合原理に従った混合ノズルが使用され、相互に120度離れた三つの点で前記混合ノズルに前記コアギュラントがフィードされることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 前記コアギュラントが三つの点で混合ノズルにフィードされて三つのサブストリームを形成し、前記コアギュラントの前記三つのサブストリームが、前記混合ノズルの同じ断面で、前記伸長流に対して添加されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 前記混合ノズル内において、前記コアギュラントが前記伸長流に対して、1:100の比率でフィードされることを特徴とする、請求項7〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. ゴムベースの製品または加硫物を製造するための、請求項1又は2に記載の前記ナノコンポジット又は請求項に記載の前記ラテックスの使用。
  22. 前記製品が、液状媒体または気体状媒体をシールするために使用されることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
  23. 前記製品が、化学産業、家電産業、または自動車産業における製品であることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
  24. 前記製品が、ガスケット、膜、ガス蓄圧器、ホース、モーター、ポンプ、および電動工具のためのハウジング、ローラー、タイヤ、カップリング、停止用緩衝材、コンベアベルト、伝動ベルト、多層積層材または多層フィルム、ならびに防音および防振要素であることを特徴とする、請求項21又は22に記載の使用。
  25. 前記ガスケットが、爆発的減圧がかかるガスケットであることを特徴とする、請求項24に記載の使用。
  26. 突然の圧力低下が起きた場合の、ゴムベースの製品または加硫物の抵抗性を増大させるためのゴムの製造における、請求項1又は2に記載のナノコンポジットの使用。
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