JP6726211B2 - 歯科用接着材 - Google Patents
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Description
本発明は、特定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物を含有する歯科用接着材に関する。詳しくは、歯牙の硬質組織(歯質)と歯科用コンポジットレジン、歯科用コンポマー、歯科用レジンセメント等の歯科用修復材料とを接着するために用いる歯科用接着材に関する。
齲蝕等により損傷した歯質(エナメル質、象牙質及びセメント質)の修復には、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマー等の充填修復材料や、金属合金、陶材、レジン材料等の歯冠修復材料が用いられる。しかしながら、一般的に、充填修復材料及び歯冠修復材料(この明細書においては、両者を「歯科用修復材料」と総称することがある)自体には歯質に対する接着性がない。このため、従来、歯質と歯科用修復材料との接着には、接着材を用いる様々な接着システムが用いられている。従来汎用されている接着システムとしては、歯質の表面に、リン酸水溶液等の酸エッチング材を用いてエッチング処理を施した後に、接着材であるボンディング材を塗布して、歯質と歯科用修復材料とを接着する、いわゆる酸エッチング型(トータルエッチング型)の接着システムがある。
一方、酸エッチング材を用いない接着システムとして、いわゆるセルフエッチング型の接着システムがある。この接着システムは、従来は、歯質の表面に酸性モノマーと親水性モノマーと水とを含有するセルフエッチングプライマーを塗布した後、水洗することなく、架橋性モノマーと重合開始剤とを含有するボンディング材を塗布する2ステップの接着システムが主流であったが、最近では、セルフエッチングプライマーとボンディング材の機能を併せ持つ1液型の歯科用接着材(1液型のボンディング材)を用いた1ステップの接着システムが汎用されている。
また、セルフエッチング型の接着システムであっても、臼歯の咬合面や前歯の切端破折のように、エナメル質接着の依存度が高い部位の修復をする場合やエナメル質に対する高い接着性を求める場合には、エナメル質に対する接着性を向上させる目的で、前処理としてエナメル質のみにリン酸エッチング処理を実施する術式、いわゆるセレクティブエッチングが行われる場合がある。このような場合、エナメル質と象牙質の境界部では象牙質も同時に処理されてしまうが、一般的に脱灰力の強いリン酸エッチング処理をコラーゲン等の有機質を含む象牙質に実施すると、ヒドロキシアパタイトの脱灰によりコラーゲン繊維がむき出しになり、水洗・乾燥のステップにおいて露出した象牙質のコラーゲンが収縮するため、歯科用接着材に含まれる重合性単量体成分が浸透しにくくなることが知られている。そのため、セルフエッチング型の歯科用接着材において、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対して高い接着性を得ることは困難であり、リン酸エッチング処理後の象牙質に対する接着性を向上したセルフエッチング型の材料も望まれている。
1液型のボンディング材は、一般的に、酸性モノマー、親水性モノマー、架橋性モノマー等をモノマー成分として含有するものであり、モノマー成分としては、(メタ)アクリレート化合物が一般的に用いられている。
1液型のボンディング材には、歯質(特に象牙質及びエナメル質)に対する接着性が高いことが求められており、これらの特性を向上させることが望まれている。これに対し、モノマー成分として、(メタ)アクリレート化合物よりも加水分解を受けにくい(メタ)アクリルアミド化合物を使用することにより、歯科用組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、象牙質及びエナメル質に対する高い接着性が得られることが報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、酸性モノマーと、2つの(メタ)アクリルアミド基が共に二級アミド基である一般式(5)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物又は2つの(メタ)アクリルアミド基が共に三級アミド基である一般式(6)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物と、溶媒(例えば、水)と、硬化剤(例えば、重合開始剤)とを含有する1液型の歯科用接着材組成物が提案されている(以下、この明細書において、2つの(メタ)アクリルアミド基が共に二級アミド基である(メタ)アクリルアミド化合物、及び2つの(メタ)アクリルアミド基が共に三級アミド基である(メタ)アクリルアミド化合物を、便宜上、対称型(メタ)アクリルアミド化合物と呼ぶことがある)。
(式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、Re及びRfはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基等の基(水素原子を除く)を示し、Ya及びYbはそれぞれ独立に、酸素原子及び/又は窒素原子を含んでいてもよい2価の有機基を示す。)
しかしながら、一般式(5)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物のほとんどは、性状が固体であり、他のモノマーとの相溶性が悪く、固体の当該化合物を配合した歯科用組成物においては、モノマーの析出又は相分離が起こったり、使用の際のエアブロー操作時に成分が相分離してしまい、その結果、貯蔵安定性及び歯質に対する接着性が悪くなるという問題があった。また、一般式(5)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物で性状がオイル状のものは、他のモノマーとの相溶性は良好であるものの、当該化合物を配合した歯科用組成物は、歯質に対する接着性が低いという問題があった。また、一般式(6)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物についても、性状がオイル状であり、他のモノマーとの相溶性は良好であるものの、当該化合物を配合した歯科用組成物は、歯質に対する接着性が低いという問題があった。
特許文献2には、2つの(メタ)アクリルアミド基が共に二級アミド基である上記一般式(5)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物、2つの(メタ)アクリルアミド基が共に三級アミド基である上記一般式(6)で表される二官能(メタ)アクリルアミド化合物、又は一般式(7)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物と、水溶性重合性カルボン酸及び水溶性有機溶媒とを含有する少なくとも3のpHを有するトータルエッチングに好適な歯科用接着材組成物が提案されている。
しかしながら、前記歯科用接着材組成物はトータルエッチングに好適な歯科用接着材組成物であるためにリン酸エッチングを使用しない場合の接着、いわゆるセルフエッチングとして適用した際の接着性は低いという問題があった。また前記特許文献1と同じく、一般式(5)で表される化合物を配合した場合には、モノマーの析出又は相分離が起こったり、使用の際のエアブロー操作時に成分の相分離により、貯蔵安定性及び歯質に対する接着性が悪くなる問題があり、一般式(6)で表される化合物を配合した場合もまた歯質に対する接着性が低いという問題があった。
また、特許文献3には、酸性モノマーと、2つの(メタ)アクリルアミド基のうち一方が二級アミド基であり、他方が三級アミド基である一般式(8)で表される非対称型の二官能(メタ)アクリルアミド化合物を含有する歯科用組成物が提案されている(以下、この明細書において、2つの(メタ)アクリルアミド基のうち一方が二級アミド基であり、他方が三級アミド基である(メタ)アクリルアミド化合物を、便宜上、非対称型(メタ)アクリルアミド化合物と呼ぶことがある。)。
しかしながら、特許文献3記載の組成物は、各成分の相溶性が高く分離しにくいため、貯蔵安定性が良好であり、さらに象牙質及びエナメル質の双方に対する初期接着力には優れていたものの、接着耐久性が低い、またリン酸エッチング処理後の歯質に対しては接着性が低いことが確認されており、本発明者らが後に行った検討によれば改善の余地があることがわかった。
また、特許文献4には、カルボキサミド基含有(メタ)アクリル酸エステルを含有する、骨や歯等のコラーゲン含有物質の処理に好適な接着性成分が提案されている。
しかしながら、特許文献4記載の組成物は、酸エッチングに代わる処理剤として提案されているが、歯質に対するエッチングの効果が不十分であり、エナメル質、象牙質いずれに対しても接着性が低いという問題があった。
本発明は、リン酸エッチング処理を実施しない象牙質のみならず、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対しても優れた初期接着力及び接着耐久性を示すセルフエッチング型の歯科用接着材を提供することを目的とする。
上記課題は、(メタ)アクリルアミド化合物(a)、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、及び酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)を含有し、前記(メタ)アクリルアミド化合物(a)が下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が下記一般式(3)で表される化合物である、歯科用接着材を提供することによって解決される。
[式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、lは1〜6の整数を表し、Xは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、複数のR1、Xは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、mは2又は3を表し、R1及びXはそれぞれ前記と同一の意味を表し、複数のR1、Xは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、Zは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基又は芳香族基であって、前記脂肪族基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR2−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−CO−O−NR2−、−O−CONR2−及び−NR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基によって中断されていてもよい。R2は、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。]
[式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、lは1〜6の整数を表し、Xは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、複数のR1、Xは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、mは2又は3を表し、R1及びXはそれぞれ前記と同一の意味を表し、複数のR1、Xは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、Zは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基又は芳香族基であって、前記脂肪族基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR2−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−CO−O−NR2−、−O−CONR2−及び−NR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基によって中断されていてもよい。R2は、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。]
前記歯科用接着材は、親水性の重合性単量体(d)をさらに含むものが好ましい。
前記歯科用接着材としては、前記酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)が、リン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体であることが好ましい。
前記歯科用接着材は、疎水性の架橋性重合性単量体(e)をさらに含むものが好ましい。
前記親水性の重合性単量体(d)は、下記一般式(4)
[式中、R3及びR4はそれぞれ独立に、C1〜C3のアルキル基であり、R5は水素原子又はメチル基である。]
で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)を含むものが好ましい。
[式中、R3及びR4はそれぞれ独立に、C1〜C3のアルキル基であり、R5は水素原子又はメチル基である。]
で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)を含むものが好ましい。
前記歯科用接着材としては、前記(メタ)アクリルアミド化合物(a)が、下記化合物(a1−1)、下記化合物(a1−3)、下記化合物(a1−5)、及び下記化合物(a1−7)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
前記歯科用接着材としては、前記(メタ)アクリルアミド化合物(a)が、下記化合物(a2−1)、下記化合物(a2−3)、下記化合物(a2−5)、下記化合物(a2−7)、及び下記化合物(a2−21)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
前記歯科用接着材としては、前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が、前記一般式(3)におけるZが置換基を有していてもよいC2〜C4の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であるものが好ましい。
前記歯科用接着材としては、前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が、N−メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシプロピルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシブチルアクリルアミド、N−(1−エチル−(2−メタクリロイルオキシ)エチル)アクリルアミド、及びN−(2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)エチル)アクリルアミド)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。
本発明によれば、リン酸エッチング処理を実施しない象牙質のみならず、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対しても優れた初期接着力及び接着耐久性を示すセルフエッチング型の歯科用接着材を提供することができる。
本発明の歯科用接着材は、(メタ)アクリルアミド化合物(a)、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、及び酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)を必須成分として含む。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、メタクリルとアクリルの総称であり、これと類似の表現についても同様である。
本発明の歯科用接着材は、上記一般式(1)で表される化合物及び上記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド化合物(a)と、2つの重合性基を有し、その一方がメタクリル酸エステル基であり、他方が二級アミド基のアクリルアミド基である上記一般式(3)で表される非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)とを使用することを特徴とする(以下、この明細書において、Zで表される基に結合する2つの重合性基を有し、その一方がメタクリル酸エステル基であり、他方が二級アミド基のアクリルアミド基である化合物を、便宜上、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物と呼ぶ)。
一般的に脱灰力の強いリン酸エッチング処理をコラーゲン等の有機質を含む象牙質に実施すると、ヒドロキシアパタイトが脱灰された後、コラーゲン繊維がむき出しになり、象牙質構造の脆弱化を招き、その接着性に著しく悪影響を与えることが知られている。また水洗・乾燥のステップにおいて、脱灰により露出した象牙質のコラーゲンが収縮するため、ボンディング材が浸透しにくくなり、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対して高い接着性を得ることは困難であった。
本発明の(メタ)アクリルアミド化合物(a)及び非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)を用いた歯科用接着材がリン酸エッチング処理を実施した象牙質に対しても、高い初期接着力及び接着耐久性を示す理由は定かではないが、以下の様に推定される。すなわち、本発明の(メタ)アクリルアミド化合物(a)は、アミドプロトンを2つ有することから非常に高い親水性を有し、象牙質の収縮したコラーゲン層へ浸透しやすく、且つ分子内に複数の重合性基を有するため歯科用接着材の他の成分と一緒になって非常に高い硬化性を示す。また、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)もまた、アミドプロトンを1つ有することから(メタ)アクリルアミド化合物(a)ほどのレベルではないものの高い親水性を有し、且つ分子内の2つの重合性基であるアクリルアミド基とメタクリル酸エステル基双方の硬化速度が比較的類似しており、バランスがとれていることから十分な硬化性を発現し、象牙質に浸透したボンディング材が強固な層を形成する。さらに、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)は、アクリルアミド基とメタクリル酸エステル基双方を有することから、(メタ)アクリルアミド基のみを有する(メタ)アクリルアミド化合物(a)と、歯科用接着材に含まれる他の(メタ)アクリル酸エステル基のみを有するモノマー(例えば、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c))との橋渡しの役割を担い、歯科用接着材組成物系内の重合硬化反応をより効率よく進行させることに寄与しているものと考えられる。そのため、(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の両モノマーは、リン酸エッチング処理が実施されて収縮した象牙質のコラーゲンに対し、高い親水性により浸透し、脆弱化してしまった象牙質に対し、高い硬化性によりボンディング材が強固な層を形成するためではないかと考えられる。
上記の理由より、(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)を用いた歯科用接着材は、セルフエッチングとして使用した場合のみならず、リン酸エッチング処理後の象牙質に対しても高い初期接着力及び接着耐久性を示す。
本発明に用いられる(メタ)アクリルアミド化合物(a)について説明する。(メタ)アクリルアミド化合物(a)は、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。式(1)、式(2)で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a)について以下に順に説明する。
初めに、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a)について説明する。
式(1)におけるR1は、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、好ましくは水素原子である。
lは1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
Xは(メタ)アクリルアミド化合物(a)の親水性を調整する部位である。式(1)におけるXとしては、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、置換基を有していてもよいC1〜C5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、置換基を有していてもよいC2〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がさらに好ましく、置換基を有していないC2〜C4の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。
前記C1〜C8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、トリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、1−プロピルエチレン基、2−プロピルエチレン基、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、1,1,2−トリメチルエチレン基、1,2,2−トリメチルエチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、3−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,3−ジメチルトリメチレン基、3,3−ジメチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、3−メチルテトラメチレン基、4−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、1−ブチルエチレン基、2−ブチルエチレン基、1−メチル−1−プロピルエチレン基、1−メチル−2−プロピルエチレン基、2−メチル−2−プロピルエチレン基、1,1−ジエチルエチレン基、1,2−ジエチルエチレン基、2,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,1−ジメチルエチレン基、2−エチル−1,2−ジメチルエチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基、1−プロピルトリメチレン基、2−プロピルトリメチレン基、3−プロピルトリメチレン基、1−エチル−1−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、1−エチル−3−メチルトリメチレン基、2−エチル−1−メチルトリメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−エチル−3−メチルトリメチレン基、3−エチル−1−メチルトリメチレン基、3−エチル−2−メチルトリメチレン基、3−エチル−3−メチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1,2,2−トリメチルトリメチレン基、1,2,3−トリメチルトリメチレン基、1,3,3−トリメチルトリメチレン基、2,2,3−トリメチルトリメチレン基、2,3,3−トリメチルトリメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基、3−エチルテトラメチレン基、4−エチルテトラメチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、1,2−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、2,3−ジメチルテトラメチレン基、2,4−ジメチルテトラメチレン基、3,3−ジメチルテトラメチレン基、3,4−ジメチルテトラメチレン基、4,4−ジメチルテトラメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、4−メチルペンタメチレン基、5−メチルペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,3−トリメチルテトラメチレン基、3−エチルペンタメチレン基、2,2−ジメチルペンタメチレン基、2,3−ジメチルペンタメチレン基、2,4ジメチルペンタメチレン基、3,3−ジメチルペンタメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基、へプタメチレン基、2,2,3,3−テトラメチルテトラメチレン基、2,2,3−トリメチルペンタメチレン基、2,2,4−トリメチルペンタメチレン基、2,3,3−トリメチルペンタメチレン基、2,3,4−トリメチルペンタメチレン基、3−エチル−2−メチルペンタメチレン基、3−エチル−3−メチルペンタメチレン基、2,2−ジメチルヘキサメチレン基、2,3−ジメチルヘキサメチレン基、2,4−ジメチルヘキサメチレン基、2,5−ジメチルヘキサメチレン基、3,3−ジメチルヘキサメチレン基、3,4−ジメチルヘキサメチレン基、3−エチルヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、3−メチルヘプタメチレン基、4−メチルヘプタメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、トリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基が好ましく、メチルメチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、トリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基がより好ましい。
Xにおける置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C8アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、C2〜C8アルコキシカルボニル基、C1〜C8アルコキシ基、C1〜C8アルキルチオ基、C1〜C8アルキル基等が好ましく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、C1〜C8アルキル基等がより好ましい。前記C2〜C8アルコキシカルボニル基、前記C1〜C8アルコキシ基、前記C1〜C8アルキルチオ基及びC1〜C8アルキル基は、1、2又は3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。前記アルキル基としては、直鎖若しくは分岐鎖のC1〜C4のアルキル基が好ましい。置換基の数は特に限定されず、1〜8個程度であってもよく、好ましくは1個、2個又は3個である。
前記C1〜C8アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、2−エチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好ましい。
式(1)で表される三官能性以上の(メタ)アクリルアミド化合物(a)の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
この中でも、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、化合物(a1−1)、化合物(a1−3)、化合物(a1−5)、化合物(a1−7)が好ましく、化合物(a1−1)、化合物(a1−5)がより好ましく、象牙質のコラーゲン層への浸透に関わる親水性の高さの観点から化合物(a1−5)が最も好ましい。
続いて、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a)について説明する。
mは3であることが好ましい。式(2)におけるR1は、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、好ましくは水素原子である。式(2)におけるXとしては、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、置換基を有していてもよいC1〜C5の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、置換基を有していてもよいC2〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がさらに好ましく、置換基を有していないC2〜C4の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。
式(2)で表される二官能性(メタ)アクリルアミド化合物(a)の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
この中でも、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、化合物(a2−1)、化合物(a2−3)、化合物(a2−5)、化合物(a2−7)、化合物(a2−21)が好ましく、化合物(a2−1)、化合物(a2−3)、化合物(a2−21)がより好ましく、象牙質のコラーゲン層への浸透に関わる親水性の高さの観点から化合物(a2−1)、化合物(a2−21)がさらに好ましく、化合物(a2−1)が最も好ましい。
(メタ)アクリルアミド化合物(a)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。(メタ)アクリルアミド化合物(a)の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、歯科用接着材の全重量(以下「歯科用接着材の全重量」とは、重合開始剤、溶媒、重合促進剤、重合禁止剤、フィラー等も含む)に基づいて、0.1〜50重量%の範囲が好ましく、0.3〜40重量%の範囲がより好ましく、0.5〜30重量%の範囲がさらに好ましく、1.0〜20重量%の範囲が特に好ましい。
次に、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)について説明する。当該非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)は、下記一般式(3)で表される(以下、下記一般式(3)で表される非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物を、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)と称する)。
式中、Zは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基又は芳香族基であって、前記脂肪族基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR2−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−CO−O−NR2−、−O−CONR2−及び−NR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基によって中断されていてもよい。すなわち、前記脂肪族基には少なくとも1個の前記結合基が挿入されていてもよい。R2は、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。
Zは、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の親水性を調整する部位である。Zで表される置換基を有していてもよいC1〜C8の脂肪族基は、飽和脂肪族基(アルキレン基、シクロアルキレン基(例えば、1,4−シクロへキシレン基等))、不飽和脂肪族基(アルケニレン基、アルキニレン基)のいずれであってもよく、入手又は製造の容易さ及び化学的安定性の観点から飽和脂肪族基(アルキレン基)であることが好ましい。Zは、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖のC1〜C4の脂肪族基であることが好ましく、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖のC2〜C4の脂肪族基であることがより好ましい。前記C1〜C8のアルキレン基としては、Xと同様のものが挙げられる。
Zで表される置換基を有していてもよい芳香族基としては、例えばアリール基、芳香族性ヘテロ環基が挙げられる。前記芳香族基としては、アリール基が、芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性ヘテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基が好ましい。芳香族性ヘテロ環基としては、例えば、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、イミダゾール基、ピラゾール基、フラザン基、トリアゾール基、ピラン基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、及び1,3,5−トリアジン基が挙げられる。前記芳香族基のうち、フェニル基が特に好ましい。
R2における脂肪族基としては、飽和脂肪族基(アルキル基)、不飽和脂肪族基(アルケニル基、アルキニル基)のいずれであってもよく、入手又は製造の容易さ及び化学的安定性の観点から飽和脂肪族基(アルキル基)が好ましい。前記アルキル基としては、Xにおける置換基として説明したものと同様のものが挙げられる。
R2としては、水素原子又は置換基を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖のC1〜C4のアルキル基がより好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖のC1〜C3のアルキル基がさらに好ましい。
Zの前記脂肪族基が前記結合基によって中断されている場合、結合基の数は特に限定されないが、1〜10個程度であってもよく、好ましくは1個、2個又は3個であり、より好ましくは1個又は2個である。また、前記式(3)において、Zの脂肪族基は連続する前記結合基によって中断されないものが好ましい。すなわち、前記結合基同士が隣接しないものが好ましい。結合基としては、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NH−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CO−O−NH−、−O−CO−NH−及び−NH−CO−NH−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基がさらに好ましく、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−CO−NH−及び−NH−CO−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基が特に好ましい。
Zにおける置換基としては、Xにおける置換基と同様のものが挙げられる。
非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の具体例としては、特に限定されないが、以下に示すものが挙げられる。
この中でも、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、Zが置換基を有していてもよいC2〜C4の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基である非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が好ましく、N−メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシプロピルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシブチルアクリルアミド、N−(1−エチル−(2−メタクリロイルオキシ)エチル)アクリルアミド、N−(2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)エチル)アクリルアミドがより好ましく、象牙質のコラーゲン層への浸透に関わる親水性の高さの観点からN−メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシプロピルアクリルアミドが最も好ましい。
非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、歯科用接着材の全重量に基づいて、1〜60重量%の範囲が好ましく、2〜45重量%の範囲がより好ましく、3〜30重量%の範囲がさらに好ましく、5〜25重量%の範囲が特に好ましい。
本発明における非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)と(メタ)アクリルアミド化合物(a)との重量比((b):(a))は15:1〜1:15であることが好ましく、より好ましくは12:1〜1:12であり、特に好ましくは9:1〜1:9である。非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が前記重量比((b):(a)=15:1)より多く配合されると、リン酸エッチング処理後の象牙質に対する接着性が低下する場合がある。一方、(メタ)アクリルアミド化合物(a)が前記重量比((b):(a)=1:15)より多く配合されると、エナメル質に対する接着強さが低下する場合がある。
次に、本発明で用いられる酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)について説明する。本発明において、(メタ)アクリル系重合性単量体とは、(メタ)アクリレート化合物及び/又は(メタ)アクリルアミド化合物を意味する。酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)は、歯質を脱灰しながら浸透して歯質と結合する。酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)は、リン酸基、ホスホン酸基、ピロリン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等の酸性基を少なくとも1個有し、且つアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等の重合性基を少なくとも1個有する重合性単量体である。エナメル質に対する接着性の観点から、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)は、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基又はメタクリルアミド基のいずれか1個を重合性基として有する単官能性であることが好ましい。具体例としては、下記のものが挙げられる。
リン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート等のリン酸基含有単官能性(メタ)アクリレート化合物、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩;ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸基含有二官能性(メタ)アクリレート化合物、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。
ホスホン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホノアセテート、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
ピロリン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、ピロリン酸ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕、ピロリン酸ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
カルボン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸;4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸及びこれらの酸無水物;5−(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
スルホン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
上記の酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)の中では、リン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体又はピロリン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体が歯質に対してより優れた接着性を発現するので好ましく、リン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体がより好ましく、リン酸基含有(メタ)アクリル系単官能性重合性単量体がさらに好ましい。その中でも、分子内に主鎖としてC6〜C20のアルキル基又はアルキレン基を有するリン酸基含有(メタ)アクリレート系単官能性重合性単量体が特に好ましく、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート等の分子内に主鎖としてC8〜C12のアルキレン基を有するリン酸基含有(メタ)アクリレート系単官能性重合性単量体が最も好ましい。
酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、接着性がより高い点から、歯科用接着材の全重量に基づいて、1〜50重量%の範囲が好ましく、1〜30重量%の範囲がより好ましく、3〜20重量%の範囲が最も好ましい。
次に、親水性の重合性単量体(d)について説明する。
本発明における親水性の重合性単量体(d)は、25℃における水に対する溶解度が5重量%以上の(a)、(b)、(c)、(e)以外の重合性単量体を意味し、同溶解度が10重量%以上のものが好ましく、同溶解度が15重量%以上のものがより好ましい。親水性の重合性単量体(d)は、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)、疎水性の架橋性重合性単量体(e)、及び重合開始剤の歯質への浸透性を促進するとともに、自らも歯質に浸透して歯質中の有機成分(コラーゲン)に結合して接着する。
親水性の重合性単量体(d)は、水溶性を有するものであるため、水酸基、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロプレン基、アミド基等の親水性基を有する。親水性の重合性単量体(d)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)等の水溶性の(メタ)アクリレート化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−トリヒドロキシメチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド及び下記一般式(4)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)が挙げられる。
R3及びR4における前記置換基としては、上記一般式(1)及び(2)のXにおける置換基を同様に使用できる。R3及びR4における前記C1〜C3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基挙げられる。
これら親水性の重合性単量体(d)の中でも、歯質に対する接着性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、一般式(4)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)が好ましく、一般式(4)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)がより好ましい。親水性の重合性単量体(d)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
また、一般式(4)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)の中でも、貯蔵安定性の観点から、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルアクリルアミドがより好ましく、N,N−ジエチルアクリルアミドが最も好ましい。
本発明における親水性の重合性単量体(d)の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、接着性がより高い点から、歯科用接着材の全重量に基づいて、5〜60重量%の範囲が好ましく、7〜50重量%の範囲がより好ましく、10〜45重量%の範囲がさらに好ましく、13〜40重量%の範囲が最も好ましい。
次に、疎水性の架橋性重合性単量体(e)について説明する。疎水性の架橋性重合性単量体(e)は、分子内に、酸性基を有さず少なくとも2個の重合性基を有する、疎水性の化合物である。ここで、疎水性とは、25℃における水に対する溶解度が5重量%未満であることをいう。疎水性の架橋性重合性単量体(e)としては、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体等が挙げられる。
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体としては、例えば、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等の二官能性(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)が好ましい。
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体としては、例えば、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジ(メタ)アクリレート等の二官能性(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらの中でも、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)が好ましい。
三官能性以上の重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラ(メタ)アクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ(メタ)アクリロイルオキシメチル−4−オキサヘプタン等の三官能性以上の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらの中でも、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレートが好ましい。
上記の疎水性の架橋性重合性単量体(e)の中でも、Bis−GMA及びUDMAがより好ましく、Bis−GMAがさらに好ましい。
疎水性の架橋性重合性単量体(e)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。疎水性の架橋性重合性単量体(e)の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、組成物(接着材)の歯質への浸透性が高く接着性に優れるとともに、十分な強度を有する点から、歯科用接着材の全重量に基づいて、5〜60重量%の範囲が好ましく、10〜50重量%の範囲がより好ましく、12〜40重量%の範囲がさらに好ましく、15〜30重量%の範囲が特に好ましい。
本発明の歯科用接着材は、本発明の効果を妨げない限り、上記した重合性単量体以外の重合性単量体を配合していてもよい。また、本発明の歯科用接着材は、重合性単量体に関して、(メタ)アクリルアミド化合物(a)以外の(メタ)アクリルアミド化合物として、対称型(メタ)アクリルアミド化合物、非対称型の二官能(メタ)アクリルアミド化合物等を含んでいてもよいが、除く(実質的に含まない)ほうが好ましい。本明細書において「実質的に含まない」とは、対象の成分を全く含まないこと又は本発明の歯科用接着材の作用効果に影響を与えない程度の極微量の対象の成分を含むことを意味する。対称型(メタ)アクリルアミド化合物としては、上記式(5)又は式(6)で表される化合物(式中、記号の意味は上記のとおりである。)が挙げられ、具体的には、ビスアクリルアミドエチレン、N,N’−ジエチル−1,3−プロピレン−ビスアクリルアミド等が挙げられる。非対称型の二官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、上記式(8)で表される化合物(式中、記号の意味は上記のとおりである。)が挙げられ、具体的には、N−エチル−1,2−ビス(アクリルアミド)エタン等が挙げられる。
本発明の歯科用接着材は、その具体的な実施態様によっては、溶媒(f)を含むことが好ましい。溶媒(f)としては、水、有機溶媒、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
本発明の歯科用接着材が水を含有する場合、歯質に対する酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)の脱灰作用が促進される。水は、接着性に悪影響を及ぼす不純物を実質的に含有しないものを使用する必要があり、蒸留水又はイオン交換水が好ましい。水の配合量が過少な場合、脱灰作用促進効果が十分に得られないおそれがあり、過多な場合は接着性が低下することがある。そのため、水の配合量は、歯科用接着材の全重量に基づいて、1〜50重量%の範囲が好ましく、5〜30重量%の範囲がより好ましく、10〜20重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の歯科用接着材が有機溶媒を含有する場合、接着性、塗布性、歯質への浸透性をより向上させることができ、組成物(接着材)の各成分の分離をより防止することができる。有機溶剤としては、通常、常圧下における沸点が150℃以下であり、且つ25℃における水に対する溶解度が5重量%以上の、より好ましくは30重量%以上の、最も好ましくは任意の割合で水に溶解可能な有機溶剤が使用される。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、生体に対する安全性と、揮発性に基づく除去の容易さの双方を勘案した場合、有機溶媒が水溶性有機溶媒であることが好ましく、具体的には、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、アセトン、及びテトラヒドロフランが好ましく、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール及びテトラヒドロフランがより好ましい。前記有機溶媒の含有量は特に限定されず、実施態様によっては前記有機溶媒の配合を必要としないものもある。前記有機溶媒を用いる実施態様においては、有機溶剤の配合量は、歯科用接着材の全重量に基づいて、1〜70重量%の範囲が好ましく、5〜50重量%の範囲がより好ましく、10〜30重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の歯科用接着材は、硬化性の観点から、重合開始剤(g)を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合開始剤(g)は、公知の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤(g)としては、光重合開始剤(g−1)及び化学重合開始剤(g−2)が挙げられる。重合開始剤(g)は、1種単独を配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。光重合開始剤(g−1)と化学重合開始剤(g−2)を組み合わせてもよい。
光重合開始剤(g−1)としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物、α−アミノケトン系化合物等が挙げられる。
前記(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルホスフィンオキサイド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート等が挙げられる。ビスアシルホスフィンオキサイド類としては、例えば、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記水溶性アシルホスフィンオキサイド類は、アシルホスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルホスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
前記水溶性アシルホスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルホスフォネート・ナトリウム塩、モノメチル(1−オキソプロピル)ホスフォネート・ナトリウム塩、モノメチルベンゾイルホスフォネート・ナトリウム塩、モノメチル(1−オキソブチル)ホスフォネート・ナトリウム塩、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)ホスフォネート・ナトリウム塩、アセチルホスフォネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフォネート・ナトリウム塩、メチル4−(ヒドロキシメトキシホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル4−オキソ−4−ホスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニルホスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル4−(ヒドロキシペンチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルエチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−ジメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)ホスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)ホスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)ホスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−ジプロポキシエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)ホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルホスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、ホルミルメチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルホスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシエチル)メチルホスフィネート・1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム塩、(1,1−ジメトキシエチル)メチルホスフィネート・1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及び水溶性アシルホスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
前記チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド等が使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロロチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
前記ケタール類としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
前記α−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
前記クマリン化合物としては、例えば、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チエノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
前記アントラキノン類としては、例えば、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン等が挙げられる。
前記ベンゾインアルキルエーテル化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
前記α−アミノケトン系化合物としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(g−1)の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視光領域及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す歯科用接着材が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤のうち化学重合開始剤(g−2)としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤(g−2)に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
前記ケトンパーオキサイドとしては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
前記ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
前記ジアシルパーオキサイドとしては、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
前記ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
前記パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチル等が挙げられる。
前記パーオキシエステルとしては、例えば、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシバレリックアシッド等が挙げられる。
前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤(g)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点から、歯科用接着材の全重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、0.05〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1〜5重量%の範囲が最も好ましい。なお、重合開始剤(g)の配合量が10重量%を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着性が得られなくなるおそれがあり、さらには歯科用接着材組成物からの析出を招くおそれがある。
好ましい実施態様では、上述の重合開始剤(g)は重合促進剤(h)と共に用いられる。本発明に用いられる重合促進剤(h)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ尿素化合物等が挙げられる。
前記アミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。前記脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミン等が挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、前記芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジイソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸プロピル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−(ジメチルアミノ)ベンゾニトリル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
前記スルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
前記ボレート化合物としては、アリールボレート化合物が好ましい。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物としては、例えば、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フルオロフェニル)ホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群より選択される少なくとも1種である)並びにこれらの塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等)が挙げられる。
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、例えば、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フルオロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基等からなる群より選択される少なくとも1種である)並びにこれらの塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等)が挙げられる。
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、例えば、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基等から選択される1種である)並びにこれらの塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等)が挙げられる。
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、例えば、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]トリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素並びにこれらの塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等)が挙げられる。
これらのアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらのアリールボレート化合物は1種単独で又は2種以上を混合して用いることも可能である。
前記バルビツール酸誘導体としては、例えば、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましい)が挙げられる。これらのバルビツール酸誘導体の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が挙げられる。
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸誘導体のナトリウム塩等が挙げられる。
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種単独で又は2種以上を混合して用いても構わない。
前記銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
前記スズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレエート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート等が挙げられ、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートが好ましい。
前記バナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
前記ハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
前記アルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒド、ベンズアルデヒド誘導体等が挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒド等が挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
前記チオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
前記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
前記亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。
前記チオ尿素化合物としては、例えば、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
重合促進剤(h)は、1種単独を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明に用いられる重合促進剤(h)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、歯科用接着材の全重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、0.05〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1〜5重量%の範囲が最も好ましい。なお、重合促進剤(h)の配合量が10重量%を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な接着性が得られなくなるおそれがある。
本発明の歯科用接着材は、実施態様によっては、さらにフィラー(i)を含むことが好ましい。このようなフィラー(i)は、通常、有機フィラー、無機フィラー及び有機−無機複合フィラーに大別される。
有機フィラーの素材としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度等の観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。なお、本明細書においてフィラーの平均粒子径とは、フィラーの一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)を意味する。
無機フィラーの素材としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。これらもまた、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度等の観点から、前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
無機フィラーの形状としては、不定形フィラー及び球状フィラーが挙げられる。組成物の機械強度を向上させる観点からは、前記無機フィラーとして球状フィラーを用いることが好ましい。ここで球状フィラーとは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みを帯びており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で割った平均均斉度が0.6以上であるフィラーである。前記球状フィラーの平均粒子径は、組成物中の球状フィラーの充填率が低下せず、機械的強度を維持できる点から、0.1μm以上が好ましく、前記球状フィラーの表面積が得られる硬化物の機械的強度を維持するのに十分である点から5μm以下が好ましい。
前記無機フィラーは、組成物の流動性を調整するため、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー化合物を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)等を用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる組成物のハンドリング性及び機械強度等の観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。
なお、本明細書において、フィラー(i)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法や粒子の電子顕微鏡観察により求めることができる。具体的には、0.1μm以上の粒子の粒子径測定にはレーザー回折散乱法が、0.1μm未満の超微粒子の粒子系測定には電子顕微鏡観察が簡便である。0.1μmはレーザー回折散乱法により測定した値である。
レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
電子顕微鏡観察は、具体的に例えば、粒子の走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−4000型)写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子(200個以上)の粒子径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Macview(株式会社マウンテック))を用いて測定することにより求めることができる。このとき、粒子の粒子径は、粒子の最長の長さと最短の長さの算術平均値として求められ、粒子の数とその粒子径より、平均一次粒子径が算出される。
本発明では、異なった材質、粒度分布、形態を持つ2種以上のフィラーを、混合又は組み合わせて用いてもよく、また、本発明の効果を損なわない範囲内で、意図せずに、フィラー(i)以外の粒子が不純物として含まれていてもよい。本発明におけるフィラーは、市販品を使用してもよい。
本発明に用いられるフィラー(i)の配合量は特に限定されず、歯科用接着材の全重量に基づいて、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、0.5〜20重量%の範囲がより好ましく、1.0〜10重量%の範囲が最も好ましい。
この他、本発明の歯科用接着材には、本発明の効果を阻害しない範囲でpH調整剤、重合禁止剤、フッ素イオン放出性成分、紫外線吸収剤、増粘剤、着色剤、蛍光剤、香料等を配合してもよい。また、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド、トリクロサン等の抗菌性物質を配合してもよい。
本発明の歯科用接着材は、液(組成物)のpHが1.5〜4.0の範囲になるように配合することが好ましく、pHが1.8〜3.5の範囲になるように配合することがより好ましく、pHが2.0〜3.0の範囲になるように配合することが最も好ましい。組成物のpHが1.5未満の場合は、リン酸エッチング処理後に歯面に適用する、いわゆるトータルエッチング時には過脱灰が起こってしまい、接着が低下する。一方、組成物のpHが4.0を越えた場合は、脱灰作用の低下によりセルフエッチング時の接着が低下する。
本発明の歯科用接着材は、セルフエッチングとして使用した場合のみならず、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対しても優れた接着性を示す。
本発明の歯科用接着材は、プライマー、ボンディング材等の用途に適用できる。このとき、組成物の成分を2つに分けた2剤型として用いてもよい。
本発明で用いられる(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)は、アミドプロトンを有するため親水性が高く、象牙質のコラーゲン層へ浸透しやすい。このため、(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)を含む本発明の歯科用接着材は、歯科用プライマーとして特に好適に用いることができる。また、本発明の歯科用接着材は、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)を含むため、歯科用セルフエッチングプライマーとして用いることができる。
本発明の歯科用接着材を用いたプライマーは、(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)、親水性の重合性単量体(d)及び溶媒(f)を含む歯科用組成物であることが好ましい。また、前記組成物が、さらに重合開始剤(g)と重合促進剤(h)とを含むことも好ましい。重合促進剤(h)としてはアミン類が好ましい。
溶媒(f)は水と有機溶媒との混合溶媒の形態で用いられることが好ましい。前記混合溶媒中の水の含有量は特に限定されないが、10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。また、実施態様によっては前記有機溶媒の配合を必要としない場合もある。
本発明の歯科用接着材はボンディング材としても好適に用いることができる。プライマーとボンディング材を組み合わせて使用する「2ステップ接着システム」におけるボンディング材としては、(メタ)アクリルアミド化合物(a)、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)、親水性の重合性単量体(d)、疎水性の架橋性重合性単量体(e)、重合開始剤(g)及びフィラー(i)を含む歯科用組成物であることが好ましい。また、前記組成物が、重合促進剤(h)を含むことも好ましい。重合促進剤(h)としてはアミン類が好ましい。
また、本発明の歯科用接着材は、親水性の高いアミドプロトンを有するため象牙質のコラーゲン層へ浸透しやすく、且つ複数の重合性基を有するため硬化性が高い(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)と、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)とを含むため、「脱灰」、「浸透」及び「硬化」の三工程を併せて一段階で実施する「1ステップ接着システム」に有利に適用することができる。かかる1ステップ接着システムに用いられるボンディング材としては、A液及びB液に分けられた2液を使用直前に混和して用いるボンディング材と、最初から1液の形で提供されている、いわゆる1液型1ステップ接着システムのボンディング材の2種類が代表的な製品である。この中でも、1液型の方がより工程が簡素化されるため、使用上のメリットは大きい。したがって、本発明の歯科用接着材は、1液型ボンディング材に用いることが最も好適である。本発明の歯科用接着材を、1ステップ接着システムの1液型ボンディング材として用いる場合、前記歯科用接着材は(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)、親水性の重合性単量体(d)、疎水性の架橋性重合性単量体(e)、重合開始剤(g)、フィラー(i)及び溶媒(f)を含む組成物であることが好ましく、このような組成物が、さらに親水性の重合性単量体(d)として単官能(メタ)アクリルアミド化合物(d−1)を含むことがより好ましい。なお、1液型1ステップ接着システムでは、「浸透」及び「硬化」を一度に行うことから、前記(メタ)アクリルアミド化合物(a)と非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)のように、アミドプロトン由来の高い親水性を有し、重合性基を複数有する重合性単量体を用いる意義が大きい。
また、1液型ボンディング材に用いる前記組成物が、さらに重合促進剤(h)を含むことも好ましい。重合促進剤(h)としてはアミン類が好ましい。
1液型1ステップ接着システムでは、脱灰、浸透、硬化の総てのプロセスを1液1ステップで行う必要がある。このため、浸透性を重視する観点からは、歯科用接着材は、前記溶媒(f)として水を含むことが好ましい。一方、硬化性を重視する観点からは、歯科用接着材は、疎水性の架橋性重合性単量体(e)を適切な量含むことが好ましい。均一な溶液を得る観点からは、前記溶媒(f)として有機溶媒を含むことが好ましい。そして、前記溶媒(f)が水と有機溶媒との混合溶媒の形態で用いられることがより好ましい実施態様である。かかる実施態様においては、前記混合溶媒中の水の配合量は、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る歯科用接着材は、歯質だけでなく、口腔内で破折した歯冠修復材料(金属、陶材、セラミックス、コンポジットレジン硬化物等)に対しても優れた接着性を発現する。本発明に係る歯科用接着材を歯冠修復材料の接着に用いる場合は、本発明に係る歯科用接着材を、市販の金属接着用プライマー、陶材接着用のプライマー等のプライマー;次亜塩素酸塩、過酸化水素水等の歯面清掃剤と組み合わせて用いてもよい。
これらの歯科用接着材は、常法に従い調製し、使用することができる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
〔酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)〕
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
〔親水性の重合性単量体(d)〕
DEAA:ジエチルアクリルアミド
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GLM:2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート
DEAA:ジエチルアクリルアミド
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GLM:2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート
〔疎水性の架橋性重合性単量体(e)〕
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート
NPGDMA:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート
NPGDMA:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
〔重合開始剤(g)〕
CQ:dl−カンファーキノン
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
CQ:dl−カンファーキノン
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
〔重合促進剤(h)〕
DABE:4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
DABE:4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
〔フィラー〕
R972:日本アエロジル社製微粒子シリカ「アエロジルR−972」、平均粒子径:16nm
Ar380:日本アエロジル社製微粒子シリカ「アエロジル380」、平均粒子径:7nm
R972:日本アエロジル社製微粒子シリカ「アエロジルR−972」、平均粒子径:16nm
Ar380:日本アエロジル社製微粒子シリカ「アエロジル380」、平均粒子径:7nm
〔その他〕
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(安定剤(重合禁止剤))
TBHQ:tert−ブチルヒドロキノン(安定剤(重合禁止剤))
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(安定剤(重合禁止剤))
TBHQ:tert−ブチルヒドロキノン(安定剤(重合禁止剤))
(合成例1)
TAC3の合成
1L4つ口フラスコにジエチレントリアミン(東京化成工業社製、15.5g、0.15mol)、トリエチルアミン(75.9g、0.75mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(67.9g、0.75mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物を酢酸エチル:メタノール=1:1の溶液で洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=6:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は7.4g、収率は18.5%であった。
TAC3の合成
1L4つ口フラスコにジエチレントリアミン(東京化成工業社製、15.5g、0.15mol)、トリエチルアミン(75.9g、0.75mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(67.9g、0.75mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物を酢酸エチル:メタノール=1:1の溶液で洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=6:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は7.4g、収率は18.5%であった。
MS m/z:266(M+H)+
1H−NMR(270MHz D2O):δ3.41(t, 4H), 3.57(m, 4H), 5.63(m, 3H), 6.05(m, 5H), 6.54(m, 1H)(ppm)
1H−NMR(270MHz D2O):δ3.41(t, 4H), 3.57(m, 4H), 5.63(m, 3H), 6.05(m, 5H), 6.54(m, 1H)(ppm)
(合成例2)
TAC4の合成
1L4つ口フラスコにトリエチレンテトラミン(東京化成工業社製、21.9g、0.15mol)、トリエチルアミン(75.9g、0.75mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(67.9g、0.75mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は12.7g、収率は23.3%であった。
TAC4の合成
1L4つ口フラスコにトリエチレンテトラミン(東京化成工業社製、21.9g、0.15mol)、トリエチルアミン(75.9g、0.75mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(67.9g、0.75mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は12.7g、収率は23.3%であった。
MS m/z:363(M+H)+
1H−NMR(270MHz D2O):δ3.37(m, 6H), 3.57(m, 6H), 5.66(m, 4H), 6.07(m, 6H), 6.56(m, 2H)(ppm)
1H−NMR(270MHz D2O):δ3.37(m, 6H), 3.57(m, 6H), 5.66(m, 4H), 6.07(m, 6H), 6.56(m, 2H)(ppm)
(合成例3)
TOT−BAの合成
1L4つ口フラスコにジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成工業社製、33.0g、0.15mol)、トリエチルアミン(30.4g、0.30mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(27.2g、0.30mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は17.3g、収率は35.1%であった。
TOT−BAの合成
1L4つ口フラスコにジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成工業社製、33.0g、0.15mol)、トリエチルアミン(30.4g、0.30mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(27.2g、0.30mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は17.3g、収率は35.1%であった。
MS m/z:329(M+H)+
1H−NMR(270MHz D2O):δ1.70(tt, 4H), 3.25(t,4H), 3.46−3.60(m, 12H), 5.62(m, 2H), 6.10(m, 2H), 6.15(m, 2H)(ppm)
1H−NMR(270MHz D2O):δ1.70(tt, 4H), 3.25(t,4H), 3.46−3.60(m, 12H), 5.62(m, 2H), 6.10(m, 2H), 6.15(m, 2H)(ppm)
(合成例4)
TEGDAAの合成
1L4つ口フラスコにトリエチレングリコール(東京化成工業社製、22.5g、0.15mol)、トリエチルアミン(30.4g、0.30mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(27.2g、0.30mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は14.9g、収率は38.8%であった。
TEGDAAの合成
1L4つ口フラスコにトリエチレングリコール(東京化成工業社製、22.5g、0.15mol)、トリエチルアミン(30.4g、0.30mol)、p−メトキシフェノール(3.7mg、0.03mmol)、ジクロロメタン250mLを仕込み、攪拌し、内温2℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(27.2g、0.30mol)のジクロロメタン溶液100mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物をジクロロメタンで洗浄し、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=4:1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の個体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の個体が目的とする化合物であることを確認した。収量は14.9g、収率は38.8%であった。
MS m/z:257(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ3.52−3.56(m, 4H), 3.59−3.62(m,8H), 5.62−5.65(m, 2H), 6.13−6.19(m, 2H), 6.27−6.31(m, 2H), 6.43(br, 2H)(ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ3.52−3.56(m, 4H), 3.59−3.62(m,8H), 5.62−5.65(m, 2H), 6.13−6.19(m, 2H), 6.27−6.31(m, 2H), 6.43(br, 2H)(ppm)
(合成例5)
MAEAの合成
10L4つ口フラスコにヒドロキシエチルアクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製、172.7g、1.5mol)、トリエチルアミン(167g、1.65mol)、p−メトキシフェノール(38mg、0.3mmol)、無水テトラヒドロフラン1500mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(172.5g、1.65mol)の無水テトラヒドロフラン溶液700mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物を酢酸エチルで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、残留部を酢酸エチルに溶解した。少量の不溶物をセライトでろ過除去後、ろ液を飽和食塩水:精製水(1:1)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は201.2g、収率は73.3%であった。
MAEAの合成
10L4つ口フラスコにヒドロキシエチルアクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製、172.7g、1.5mol)、トリエチルアミン(167g、1.65mol)、p−メトキシフェノール(38mg、0.3mmol)、無水テトラヒドロフラン1500mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(172.5g、1.65mol)の無水テトラヒドロフラン溶液700mLを5℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で24時間攪拌した。反応液をろ過、不溶物を酢酸エチルで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、残留部を酢酸エチルに溶解した。少量の不溶物をセライトでろ過除去後、ろ液を飽和食塩水:精製水(1:1)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は201.2g、収率は73.3%であった。
MS m/z:184(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.94(m, 3H), 3.62(m,2H), 4.28(m, 2H), 5.58(m, 1H), 5.66(m, 1H), 6.08(s, 1H), 6.10(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.28(m, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.94(m, 3H), 3.62(m,2H), 4.28(m, 2H), 5.58(m, 1H), 5.66(m, 1H), 6.08(s, 1H), 6.10(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.28(m, 1H) (ppm)
(合成例6)
MAPAの合成
1L4つ口フラスコに3−アミノプロパノール(東京化成社製、23.9g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてヒドロキシプロピルアクリルアミドが得られた。
MAPAの合成
1L4つ口フラスコに3−アミノプロパノール(東京化成社製、23.9g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてヒドロキシプロピルアクリルアミドが得られた。
500mL4つ口フラスコに前記操作で得られたヒドロキシプロピルアクリルアミド(12.9g、0.1mol)、無水テトラヒドロフラン200mL、トリエチルアミン(15.2g、0.15mol)を仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(15.7g、0.15mol)の無水テトラヒドロフラン溶液50mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、白色の固体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた白色の固体が目的とする化合物であることを確認した。収量は11.1g、収率は56.3%であった。
MS m/z:198(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.93(m, 2H), 1.97(m,3H), 3.42(m, 2H), 4.27(m, 2H), 5.58(m, 1H), 5.65(m, 1H), 6.11(s, 1H), 6.10(m, 1H), 6.13(m, 1H), 6.30(m, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.93(m, 2H), 1.97(m,3H), 3.42(m, 2H), 4.27(m, 2H), 5.58(m, 1H), 5.65(m, 1H), 6.11(s, 1H), 6.10(m, 1H), 6.13(m, 1H), 6.30(m, 1H) (ppm)
(合成例7)
MAEEAの合成
1L4つ口フラスコにDL−2−アミノ−1−ブタノール(東京化成社製、28.3g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてN−(1−エチル−(2−ヒドロキシ)エチル)アクリルアミドが得られた。
MAEEAの合成
1L4つ口フラスコにDL−2−アミノ−1−ブタノール(東京化成社製、28.3g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてN−(1−エチル−(2−ヒドロキシ)エチル)アクリルアミドが得られた。
500mL4つ口フラスコに前記操作で得られたN−(1−エチル−(2−ヒドロキシ)エチル)アクリルアミド(14.3g、0.1mol)、無水テトラヒドロフラン200mL、トリエチルアミン(15.2g、0.15mol)を仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(15.7g、0.15mol)の無水テトラヒドロフラン溶液50mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は7.7g、収率は36.3%であった。
MS m/z:212(M+H)+
1H−NMR(270MHz DMSO−d6):δ0.81(m, 3H), 1.44(m, 2H), 1.94(m, 3H), 3.75(m, 1H), 4.42(m,2H), 5.57(m, 1H), 5.65(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.13(m, 1H), 6.28(m, 1H), 8.04(s, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz DMSO−d6):δ0.81(m, 3H), 1.44(m, 2H), 1.94(m, 3H), 3.75(m, 1H), 4.42(m,2H), 5.57(m, 1H), 5.65(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.13(m, 1H), 6.28(m, 1H), 8.04(s, 1H) (ppm)
(合成例8)
MAEGAの合成
1L4つ口フラスコに2−(2−アミノエトキシ)エタノール(東京化成社製、33.4g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてN−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)アクリルアミドが得られた。
MAEGAの合成
1L4つ口フラスコに2−(2−アミノエトキシ)エタノール(東京化成社製、33.4g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(14.4g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてN−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)アクリルアミドが得られた。
500mL4つ口フラスコに前記操作で得られたN−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)アクリルアミド(15.9g、0.1mol)、無水テトラヒドロフラン200mL、トリエチルアミン(15.2g、0.15mol)を仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(15.7g、0.15mol)の無水テトラヒドロフラン溶液50mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は10.4g、収率は45.8%であった。
MS m/z:228(M+H)+
1H−NMR(270MHz DMSO−d6):δ1.93(m, 3H), 3.28(m, 2H), 3.43(m, 2H), 3.49(m, 2H), 4.34(m,2H), 5.59(m, 1H), 5.63(m, 1H), 6.09(m, 1H), 6.12(m, 1H), 6.30 (m, 1H), 8.17 (s, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz DMSO−d6):δ1.93(m, 3H), 3.28(m, 2H), 3.43(m, 2H), 3.49(m, 2H), 4.34(m,2H), 5.59(m, 1H), 5.63(m, 1H), 6.09(m, 1H), 6.12(m, 1H), 6.30 (m, 1H), 8.17 (s, 1H) (ppm)
(合成例9)
NEBAEの合成
10L4つ口フラスコにN−エチルエチレンジアミン(広栄化学社製、200g、2.269mol)、トリエチルアミン(688.9g、6.807mol)、クロロホルム4Lを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(616.1g、6.807mol)を10℃以下で1時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。攪拌停止後、反応液に水4L、クロロホルム2Lを加え分液し、水層をさらに2Lのクロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水4Lで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=10/1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は127g、収率は28.5%であった。
NEBAEの合成
10L4つ口フラスコにN−エチルエチレンジアミン(広栄化学社製、200g、2.269mol)、トリエチルアミン(688.9g、6.807mol)、クロロホルム4Lを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。アクリル酸クロライド(616.1g、6.807mol)を10℃以下で1時間かけて滴下した。滴下後、室温条件下で1時間攪拌した。攪拌停止後、反応液に水4L、クロロホルム2Lを加え分液し、水層をさらに2Lのクロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水4Lで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下35℃以下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=10/1)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は127g、収率は28.5%であった。
MS m/z:197(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.20(m, 3H), 3.42(m,2H), 5.54(m, 2H), 5.60(m, 2H), 5.59(m, 1H), 5.74(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.18(m, 1H), 6.40(m, 1H), 6.61(m, 1H), 7.15(s, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.20(m, 3H), 3.42(m,2H), 5.54(m, 2H), 5.60(m, 2H), 5.59(m, 1H), 5.74(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.18(m, 1H), 6.40(m, 1H), 6.61(m, 1H), 7.15(s, 1H) (ppm)
(合成例10)
MAEMの合成
1L4つ口フラスコに2−アミノエタノール(東京化成社製、19.4g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(16.6g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてヒドロキシエチルメタクリルアミドが得られた。
MAEMの合成
1L4つ口フラスコに2−アミノエタノール(東京化成社製、19.4g、0.318mol)、無水テトラヒドロフラン400mLを仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(16.6g、0.159mol)の無水テトラヒドロフラン溶液70mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、不溶物をろ過除去後、ろ液を減圧下で濃縮することで淡黄色の液体としてヒドロキシエチルメタクリルアミドが得られた。
500mL4つ口フラスコに前記操作で得られたヒドロキシエチルメタクリルアミド(12.9g、0.10mol)、無水テトラヒドロフラン200mL、トリエチルアミン(15.2g、0.15mol)を仕込み、攪拌し、内温−10℃まで冷却した。メタクリル酸クロライド(15.7g、0.15mol)の無水テトラヒドロフラン溶液50mLを5℃以下で30分かけて滴下した。滴下後、室温条件下で3時間攪拌した。反応後、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて精製した。カラム精製後、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて減圧留去することで、淡黄色の液体が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた淡黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は10.8g、収率は54.8%であった。
MS m/z:198(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.92(m, 3H), 1.94(m,3H), 3.65(m, 2H), 4.27(m, 2H), 5.34(m, 1H), 5.58(m, 1H), 5.68(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.29(s, 1H) (ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.92(m, 3H), 1.94(m,3H), 3.65(m, 2H), 4.27(m, 2H), 5.34(m, 1H), 5.58(m, 1H), 5.68(m, 1H), 6.11(m, 1H), 6.29(s, 1H) (ppm)
(合成例11)
NEBAAPの合成
1L三口フラスコにアクリル酸クロライド(18.1g,0.2mol)を秤量し、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)5mg、脱水アセトニトリル(500mL)を加え窒素雰囲気下で攪拌した。氷塩水で系内の内温を−10〜−5℃にし、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン(Aldrich社製,26.1g,0.2mol)を溶解させた脱水アセトニトリル溶液(100mL)を2時間かけ滴下した。滴下終了後、室温条件下で一晩攪拌した。反応終了後、沈殿をろ過により取り除き、アセトニトリル(100mL)で2度洗浄した。ろ液をエバポレーターで減圧濃縮することで黄色液状の濃縮残渣を得た。この液をジクロロメタンに溶解し、0.1M HCl、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒をエバポレーターを用いて減圧留去することで、黄色液状の濃縮残渣が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は13.4g、収率は56.0%であった。
NEBAAPの合成
1L三口フラスコにアクリル酸クロライド(18.1g,0.2mol)を秤量し、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)5mg、脱水アセトニトリル(500mL)を加え窒素雰囲気下で攪拌した。氷塩水で系内の内温を−10〜−5℃にし、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン(Aldrich社製,26.1g,0.2mol)を溶解させた脱水アセトニトリル溶液(100mL)を2時間かけ滴下した。滴下終了後、室温条件下で一晩攪拌した。反応終了後、沈殿をろ過により取り除き、アセトニトリル(100mL)で2度洗浄した。ろ液をエバポレーターで減圧濃縮することで黄色液状の濃縮残渣を得た。この液をジクロロメタンに溶解し、0.1M HCl、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒をエバポレーターを用いて減圧留去することで、黄色液状の濃縮残渣が得られた。LC/MS分析及び1H−NMR測定を行い、シグナルの位置及び積分値から、得られた黄色の液体が目的とする化合物であることを確認した。収量は13.4g、収率は56.0%であった。
MS m/z:239(M+H)+
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.10−1.24 (m, 6H), 1.78−1.91 (m, 2H), 3.34−3.60 (m, 8H), 5.61−5.78 (m, 2H), 6.30−6.67 (2m, 4H) (ppm)
1H−NMR(270MHz CDCl3):δ1.10−1.24 (m, 6H), 1.78−1.91 (m, 2H), 3.34−3.60 (m, 8H), 5.61−5.78 (m, 2H), 6.30−6.67 (2m, 4H) (ppm)
実施例1及び比較例1 歯科用接着材の1ステップ接着システムへの適用(1液型ボンディング材)
上記各合成例等の材料を用いて、表1、表2及び表3の組成を有する1液型ボンディング材を作製した。表中の各成分の数値は、重量部を示す。各実施例及び比較例の内容並びにそれらの評価方法は以下の通りである。
上記各合成例等の材料を用いて、表1、表2及び表3の組成を有する1液型ボンディング材を作製した。表中の各成分の数値は、重量部を示す。各実施例及び比較例の内容並びにそれらの評価方法は以下の通りである。
<実施例1−1〜1−3>
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC3、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表1記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、後記する引張り接着強さの測定方法(ウルトラデント法せん断接着試験(ISO 29022:2013 ノッチ付き剪断接着強さ試験)の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法)に従って、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた(なお、実施例1−1〜1−3以外の実施例及び比較例で調べた初期接着力、接着耐久性も、それぞれ同じ試験方法により調べたものである。)。
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC3、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表1記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、後記する引張り接着強さの測定方法(ウルトラデント法せん断接着試験(ISO 29022:2013 ノッチ付き剪断接着強さ試験)の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法)に従って、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた(なお、実施例1−1〜1−3以外の実施例及び比較例で調べた初期接着力、接着耐久性も、それぞれ同じ試験方法により調べたものである。)。
<実施例1−4〜1−6>
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC4、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表1記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC4、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表1記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−7〜1−8>
実施例1−4の1液型ボンディング材中の親水性の重合性単量体(d)を表1に記載されるように変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−4の1液型ボンディング材中の親水性の重合性単量体(d)を表1に記載されるように変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−9〜1−11>
実施例1−5の1液型ボンディング材中のMAEAを、MAPA、MAEEA又はMAEGAに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−5の1液型ボンディング材中のMAEAを、MAPA、MAEEA又はMAEGAに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−12>
実施例1−7の1液型ボンディング材中のBis−GMAを表1記載の量に変更し、フッ素イオン放出性成分としてNaFを表1記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−7の1液型ボンディング材中のBis−GMAを表1記載の量に変更し、フッ素イオン放出性成分としてNaFを表1記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−13>
実施例1−7の1液型ボンディング材中のBis−GMAに代えて、UDMAを表1記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−7の1液型ボンディング材中のBis−GMAに代えて、UDMAを表1記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−14>
実施例1−7の1液型ボンディング材中のエタノールをアセトンに変更し、Bis−GMAを表2記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−7の1液型ボンディング材中のエタノールをアセトンに変更し、Bis−GMAを表2記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−15〜1−18>
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTOT−BA、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表2記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTOT−BA、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表2記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−19>
実施例1−12の1液型ボンディング材中の重合促進剤に相当するDEPTを表2記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−12の1液型ボンディング材中の重合促進剤に相当するDEPTを表2記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−20>
実施例1−19の1液型ボンディング材にNaFを配合せず、重合開始剤に相当するBAPOに代えて、TMDPOを表2記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例1−19の1液型ボンディング材にNaFを配合せず、重合開始剤に相当するBAPOに代えて、TMDPOを表2記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例1−21〜1−24>
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTEGDAA、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表2記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTEGDAA、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表2記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例1−1>
重合性単量体として、対称型アクリルアミド化合物に相当するBAAE、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、対称型アクリルアミド化合物に相当するBAAE、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例1−2>
重合性単量体として、対称型アクリルアミド化合物に相当するNEBAAP、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、対称型アクリルアミド化合物に相当するNEBAAP、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例1−3>
比較例1−2の1液型ボンディング材中のMAEAを対称型メタクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物に相当するMAEMに変更し、NEBAAPを非対称型(メタ)アクリルアミド化合物に相当するNEBAEに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
比較例1−2の1液型ボンディング材中のMAEAを対称型メタクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物に相当するMAEMに変更し、NEBAAPを非対称型(メタ)アクリルアミド化合物に相当するNEBAEに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例1−4>
比較例1−1の1液型ボンディング材中のBAAEを非対称型(メタ)アクリルアミド化合物に相当するNEBAEに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
比較例1−1の1液型ボンディング材中のBAAEを非対称型(メタ)アクリルアミド化合物に相当するNEBAEに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例1−5〜1−6>
重合性単量体として、対称型メタクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物に相当するMAEM、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、対称型メタクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物に相当するMAEM、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAA、及び疎水性の架橋性重合性単量体(e)に相当するBis−GMAを表3記載の量で含む1液型ボンディング材(組成物)を用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
〔リン酸エッチング処理を実施していない象牙質に対する引張り接着強さの測定〕
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。
上記実施例及び比較例で作製した1液型ボンディング材を、上記の丸穴内にアプリケーターブラシ(クラレノリタケデンタル社製、品番「241−024」)で塗布し、10秒間擦った後、表面をエアブローすることで、塗布した1液型ボンディング材の流動性が無くなるまで乾燥した。続いて、歯科用可視光線照射器(モリタ社製、商品名「ペンキュア2000」)にて10秒間光照射することにより、塗布した1液型ボンディング材を硬化させた。
得られた1液型ボンディング材の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレノリタケデンタル社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を充填し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「ペンキュア2000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレノリタケデンタル社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。接着試験供試サンプルはエナメル質、象牙質それぞれ16個ずつ作製し、水中浸漬した状態のすべてのサンプルを37℃に保持した恒温器内に24時間静置した。16個のサンプルのうち8個については、接着初期の接着力を評価するため、24時間静置後ただちに接着強さを測定した。残りの8個については、接着耐久性を評価するため、さらに4℃の冷水と60℃の温水に交互に1分間浸漬する工程を1サイクルとする熱サイクルを4000サイクル行った後に接着強さを測定した。
上記の接着試験供試サンプルの引張り接着強さを、万能試験機(島津製作所社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張り接着強さとした。
〔リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対する引張り接着強さの測定〕
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。
乾燥後の平滑面に、歯科用リン酸エッチング材(クラレノリタケデンタル社製、商品名「K エッチャント シリンジ」)をゆっくりと押し出し、象牙質に塗布し、10秒間放置した後、水洗・乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。その後、前記したリン酸エッチング処理を実施していない象牙質に対する引張り接着強さの測定と同様にして、リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対する引張り接着強さを測定した。
表1、2に示すように、本発明に係る歯科用接着材である1液型ボンディング材(実施例1−1〜1−24)は、リン酸エッチング無しの象牙質に対して20MPa以上の初期接着力を発現し、17MPa以上の接着耐久性を発現した。またリン酸エッチング有りの象牙質に対しては、20MPa以上の初期接着力と接着耐久性を発現した。一方、表3に示すように、(メタ)アクリルアミド化合物(a)の代わりに対称型アクリルアミド化合物を配合し、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)を配合しないボンディング材(比較例1−1)は、BAAEの相溶性が悪く組成が不均一であり、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は3MPaであった。また、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)と、(メタ)アクリルアミド化合物(a)の代わりに対称型アクリルアミド化合物とを配合したボンディング材(比較例1−2)は、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は7MPaであった。さらに、(メタ)アクリルアミド化合物(a)の代わりに非対称型アクリルアミド化合物を配合し、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の代わりに対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物を配合したボンディング材(比較例1−3)は、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は5MPaであった。また、(メタ)アクリルアミド化合物(a)の代わりに非対称型アクリルアミド化合物NEBAEを配合し、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)を配合しないボンディング材(比較例1−4)は、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は5MPaであった。さらに、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)の代わりに対称型メタクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物MAEMを配合し、(メタ)アクリルアミド化合物(a)を配合しない1液型ボンディング材(比較例1−5及び1−6)についても、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は6MPaであった。また、すべての実施例の1液型ボンディング材は、リン酸エッチングの実施によらず、いずれの比較例の1液型ボンディング材と比べても初期接着力が優れていた。
実施例2及び比較例2 歯科用接着材の2ステップ接着システムへの適用(プライマー)
上記各合成例等の材料を用いて、表4の組成を有するプライマーを作製した。また、表5の組成を有するボンディング材を作製した。表中の各成分の数値は、重量部を示す。各実施例及び比較例の内容は以下の通りであり、その評価方法を下記に記載する。
上記各合成例等の材料を用いて、表4の組成を有するプライマーを作製した。また、表5の組成を有するボンディング材を作製した。表中の各成分の数値は、重量部を示す。各実施例及び比較例の内容は以下の通りであり、その評価方法を下記に記載する。
<実施例2−1>
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC3、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、及び親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAAとHEMAを表4記載の量で含むプライマーを用いて、表5のボンディング材と併用し、後記する引張り接着強さの測定方法(ウルトラデント法せん断接着試験の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法)に従って、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた(なお、実施例2−1以外の実施例及び比較例で調べた初期接着力、接着耐久性も、それぞれ表5のボンディング材と併用し、同じ試験方法により調べたものである。)。
重合性単量体として、(メタ)アクリルアミド化合物(a)に相当するTAC3、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEA、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、及び親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAAとHEMAを表4記載の量で含むプライマーを用いて、表5のボンディング材と併用し、後記する引張り接着強さの測定方法(ウルトラデント法せん断接着試験の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法)に従って、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた(なお、実施例2−1以外の実施例及び比較例で調べた初期接着力、接着耐久性も、それぞれ表5のボンディング材と併用し、同じ試験方法により調べたものである。)。
<実施例2−2>
実施例2−1のプライマー中のTAC3に代えて、TAC4を表4記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−1のプライマー中のTAC3に代えて、TAC4を表4記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例2−3>
実施例2−1のプライマー中のTAC3に代えて、TOT−BAを表4記載の量で用いて、MAEAの量を表4記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−1のプライマー中のTAC3に代えて、TOT−BAを表4記載の量で用いて、MAEAの量を表4記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例2−4>
実施例2−2のプライマー中の親水性の重合性単量体(d)を表4に記載されるように変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−2のプライマー中の親水性の重合性単量体(d)を表4に記載されるように変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例2−5>
実施例2−2のプライマー中のMAEAを表4記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−2のプライマー中のMAEAを表4記載の量に変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例2−6〜2−8>
実施例2−2のプライマー中のMAEAを、MAPA、MAEEA又はMAEGAに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−2のプライマー中のMAEAを、MAPA、MAEEA又はMAEGAに変更して、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<実施例2−9>
実施例2−3のプライマー中のTOT−BAに代えて、TEGDAAを表4記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
実施例2−3のプライマー中のTOT−BAに代えて、TEGDAAを表4記載の量で用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
<比較例2−1>
重合性単量体として、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEGA、対称型アクリルアミド化合物に相当するBAAE、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、及び親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAAとHEMAを表4記載の量で含み、(メタ)アクリルアミド化合物(a)を含まないプライマーを用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
重合性単量体として、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)に相当するMAEGA、対称型アクリルアミド化合物に相当するBAAE、酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)に相当するMDP、及び親水性の重合性単量体(d)に相当するDEAAとHEMAを表4記載の量で含み、(メタ)アクリルアミド化合物(a)を含まないプライマーを用いて、リン酸エッチング有りの場合、無しの場合両方の象牙質に対する初期接着力及び接着耐久性を調べた。
〔リン酸エッチング処理を実施していない象牙質に対する引張り接着強さの測定〕
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。
上記実施例及び比較例で作製したプライマーを、上記の丸穴内にアプリケーターブラシ(クラレノリタケデンタル社製、品番「241−024」)で塗布し、20秒間擦った後、表面をエアブローすることで、塗布したプライマーの流動性が無くなるまで乾燥した。次いで、表5の組成のボンディング材を、前記プライマーを塗布・乾燥した歯面に重ね塗りした。続いて、歯科用LED光照射器(モリタ社製、商品名「ペンキュア2000」)にて標準モードで10秒間光照射することにより、塗布したプライマー及びボンディング材を硬化させた。
得られたプライマー及びボンディング材の硬化物の表面に歯科充填用コンポジットレジン(クラレノリタケデンタル社製、商品名「クリアフィルAP−X」(登録商標))を充填し、離型フィルム(ポリエステル)で被覆した。次いで、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけることで、前記コンポジットレジンの塗布面を平滑にした。続いて、前記離型フィルムを介して、前記コンポジットレジンに対して前記照射器「ペンキュア2000」を用いて20秒間光照射を行い、前記コンポジットレジンを硬化させた。
得られた歯科充填用コンポジットレジンの硬化物の表面に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレノリタケデンタル社製、商品名「パナビア21」)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。接着試験供試サンプルはエナメル質、象牙質それぞれ16個ずつ作製し、37℃に保持した恒温器内に24時間静置した。16個のサンプルのうち8個については、接着初期の接着力を評価するため、24時間静置後ただちに接着強さを測定した。残りの8個については、接着耐久性を評価するため、さらに4℃の冷水と60℃の温水に交互に1分間浸漬する工程を1サイクルとする熱サイクルを4000サイクル行った後に接着強さを測定した。
前記接着試験供試サンプルの引張り接着強さを、万能試験機(島津製作所社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定し、平均値を引張り接着強さとした。
〔リン酸エッチング処理を実施した象牙質に対する引張り接着強さの測定〕
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアブローすることで乾燥した。
乾燥後の平滑面に、歯科用リン酸エッチング材(クラレノリタケデンタル社製、商品名「K エッチャント シリンジ」)をゆっくりと押し出し、象牙質に塗布し、10秒間放置した後、水洗・乾燥した。乾燥後の平滑面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、接着面積を規定した。その後、リン酸エッチング処理を実施していない象牙質に対する引張り接着強さの測定と同様にして、リン酸エッチング処理した象牙質に対する引張り接着強さを測定した。
表4に示すように、本発明に係る歯科用接着材であるプライマー(実施例2−1〜2−9)は、リン酸エッチング無し、リン酸エッチング有りの象牙質に対して、24MPa以上の初期接着力を発現し、21MPa以上の接着耐久性を発現した。一方、表4より、本発明における非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)と、(メタ)アクリルアミド化合物(a)の代わりに対称型アクリルアミド化合物とを配合したボンディング材(比較例2−1)は、リン酸エッチング有りの象牙質に対して接着耐久性は10MPa未満であった。
本発明に係る歯科用接着材は、プライマー、ボンディング材等の種々の歯科用接着材料に用いることができ、1液型ボンディング材として特に好適に用いることができる。
Claims (11)
- (メタ)アクリルアミド化合物(a)、非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)、及び酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)を含有し、
前記(メタ)アクリルアミド化合物(a)が下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が下記一般式(3)で表される化合物である、歯科用接着材。
[式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、lは1〜6の整数を表し、Xは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、複数のR1、Xは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、mは2又は3を表し、R1及びXはそれぞれ前記と同一の意味を表し、複数のR1、Xは、互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[式中、Zは置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基又は芳香族基であって、前記脂肪族基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR2−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−CO−O−NR2−、−O−CONR2−及び−NR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる少なくとも1個の結合基によって中断されていてもよい。R2は、水素原子又は置換基を有していてもよいC1〜C8の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。] - 親水性の重合性単量体(d)をさらに含む請求項1に記載の歯科用接着材。
- 前記酸性基含有(メタ)アクリル系重合性単量体(c)が、リン酸基含有(メタ)アクリル系重合性単量体である請求項1又は2に記載の歯科用接着材。
- 疎水性の架橋性重合性単量体(e)をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用接着材。
- 前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が、前記一般式(3)におけるZが置換基を有していてもよいC2〜C4の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯科用接着材。
- 前記非対称型アクリルアミド・メタクリル酸エステル化合物(b)が、N−メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシプロピルアクリルアミド、N−メタクリロイルオキシブチルアクリルアミド、N−(1−エチル−(2−メタクリロイルオキシ)エチル)アクリルアミド、及びN−(2−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)エチル)アクリルアミド)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯科用接着材。
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