本発明は、作業車の運転部に設けられた空調装置における送風路の構成、および装置本体の送風口部とカバー部材に設けられた吹出口との位置関係を含む装置構成を工夫することにより、吹出口から浸入した雨水や洗浄水による装置本体の作動不良を防止するとともに、空調装置の設置作業およびメンテナンスの容易化を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
以下では、本発明に係る作業車の実施の形態を、建設機械としての旋回作業車である掘削作業車を例にとって説明する。ただし、本発明に係る作業車は、掘削作業車に限らず、例えば、クレーン作業車やホイールローダ等の他の建設機械はもちろんのこと、トラクタやコンバイン等の農作業車等にも広く適用可能である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る掘削作業車1の全体構成について、図1、図2および図3を用いて説明する。図1および図2に示すように、掘削作業車1は、自走可能な走行車体2と、走行車体2に取り付けられた作業部としての掘削部3および排土部4とを備える。
走行車体2は、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5間に介設された基台6と、基台6上に設けられた旋回台7とを有する。旋回台7は、平面視略円形状に構成され、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。また、旋回台7は、左右の走行部5,5の左右幅内、つまり左側の走行部5の左外側縁端と右側の走行部5の右側縁端との間の幅内で旋回可能に構成されている。これにより、掘削作業車1による小旋回作業が可能となっている。
旋回台7上には、平面状の床部8を有する運転部10が設けられている。床部8は、旋回台7上において、前半部の左側の過半部に設けられている。運転部10の右側には、タンク部9が設けられている。また、旋回台7上の後半部には、エンジン等を含む原動機部11が設けられている。
旋回台7の前端の左右中央部には、掘削部3の基端部が取り付けられている。また、基台6の前側には、左右の走行部5,5間を介して、排土部4が取り付けられている。
掘削部3は、その基端部を構成するブーム12と、ブーム12の先端側に連結されたアーム13と、アーム13の先端部に取り付けられたバケット14とを有する。また、掘削部3は、旋回台7に対して掘削部3をスイングさせるスイングシリンダ(図示せず)と、ブーム12を回動動作させるブームシリンダ15と、アーム13を回動動作させるアームシリンダ16と、バケット14を回動動作させるバケットシリンダ17とを有する。なお、掘削部3において、バケット14は、作業用アタッチメントとして着脱可能に装着されており、バケット14に替えて削岩装置や破砕装置等を装着することで、他の作業を行うことができる。
排土部4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する左右一対のブレードアーム18,18と、ブレードアーム18,18の先端側に設けられた排土板としてのブレード19と、ブレードアーム18,18を介してブレード19を昇降させるブレードシリンダ20とを有する。
左右のブレードアーム18,18は、その基端部を基台6に対して回動可能に支持させ、基台6に対して昇降回動可能に取り付けられている。ブレード19は、左右のブレードアーム18,18の先端部に架設された態様で設けられている。ブレード19は、左右の走行部5の左右幅と略同じ幅を有するように左右方向に伸延している。ブレードシリンダ20は、基台6と、左右のブレードアーム18,18の先端部間に架設された支持部との間に架設されている。
旋回台7上には、運転部10の上方を覆うキャノピ21が設けられている。キャノピ21は、旋回台7上の後端部となる原動機部11の上側に立設された左右一対の支柱22,22と、左右の支柱22,22により支持されたルーフ部23とを有する。
支柱22は、その上側の部分を前傾状に傾斜させるように屈曲したパイプ状の部材により構成されている。ルーフ部23は、上面視で略矩形板状の外形を有するように構成されており、運転部10の直上方を覆うように略水平状に設けられている。ルーフ部23は、左右の支柱22,22の上端部間から前方へ水平片持ち状に張り出した板状の支持体等を含む骨格部と、この骨格部を上方から被覆するように設けられたルーフ本体部とにより構成されている。このように、本実施形態に係る掘削作業車1は、いわゆる2柱キャノピ仕様の建設機械として構成されている。
図3に示すように、運転部10においては、床部8の後側に、運転席支持台25が設けられており、運転席支持台25上に運転席26が設けられている。運転席26の前方においては、左右一対の走行レバー27,27が、床部8から上方へ向けて延出した状態で設けられている。各走行レバー27,27の前後方向への傾倒操作により、走行車体2の走行操作が行われる。また、床部8上における走行レバー27,27の左右両側には、作業用の操作ペダル24a,24b,24cが配設されている。
また、運転席26の右側方には、作業部(掘削部3または排土部4)を操作するための作業操作レバー28が設けられている。作業操作レバー28の右側方には、モニタやレバー、スイッチ等の各種操作部が配設された操作パネル部29が設けられている。
旋回台7においては、運転席26の左前方側、つまり床部8の左側が、運転部10に対するオペレータの乗降口30となっている。このため、運転席26の左側方には、運転部10に対する乗降用の把持部31が設けられている。
以上のような構成を備えた掘削作業車1においては、運転席26に着座したオペレータにより走行レバー27,27や作業操作レバー28等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、走行レバー27,27の操作により、走行車体2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、作業操作レバー28の操作により、掘削部3による掘削作業、あるいは排土部4による排土作業が行われる。
以上のような構成を備えた本実施形態に係る掘削作業車1は、運転部10に空調装置の一例であるヒータ装置40を備える。ヒータ装置40は、全体として箱状の外形をなすユニットとして構成されており、運転部10の床部8上に設置されている。
本実施形態では、ヒータ装置40は、床部8上において、左右方向について乗降口30側(左側)と反対側となる右側の位置に配置されている。つまり、ヒータ装置40は、運転席26に着座したオペレータの足の右方の位置となる、運転席26の前下方の右側の位置に配置されている。
そして、ヒータ装置40は、箱状の外形における一側の面を左側に向け、この左側を向いた面に、ヒータ装置40の空調風となる温風を吹き出す吹出口41が設けられている。ヒータ装置40によれば、吹出口41から吹き出される温風が、運転席26に着座したオペレータに対しその右側からオペレータの足元に送られる。
以下、本実施形態に係るヒータ装置40の構成について、図4から図10を用いて説明する。なお、以下の説明にいては、ヒータ装置40において、掘削作業車1における左側となる吹出口41の配設側(図8における右側)を、正面側または前側とし、その反対側(図8における左側)を背面側または後側とし、ヒータ装置40の正面に向かって左側および右側をそれぞれ左側および右側とする。したがって、ヒータ装置40における後側、左側、および右側は、それぞれ掘削作業車1における右側、前側、および後側となる。
図4から図9に示すように、ヒータ装置40は、空調装置本体部としてのヒータ装置本体部42と、カバー部材としてのカバー体43と、送風路形成部としてのダクト形成体44とを備える。ヒータ装置40は、全体として略左右対称に構成されている。
ヒータ装置本体部42は、運転部10の床部8上に設置され、装置本体としてのヒータ本体45を含む。本実施形態では、ヒータ装置本体部42は、床部8上における運転席26の前方の右側の位置に設置されている。ヒータ装置本体部42は、ヒータ本体45と、ヒータ本体45を支持するベース46とを有する。
ヒータ本体45は、所定の形状を有するケーシング内に、ヒータコア(熱交換器)および送風ファンを内蔵した構成を備える。ヒータ本体45のケーシングは、その上半部をなすとともにヒータコアを収容したヒータコアケーシング部である上ケーシング部45aと、ケーシングの下半部をなすとともに送風ファンを収容したファンケーシング部である下ケーシング部45bとを有する。下ケーシング部45b内において、送風ファンは、左右方向を回転軸方向とする向きで支持されている。ヒータコアは、送風ファンに対してその風の流出側となる上側に設けられている。
上ケーシング部45aは、左右方向を長手方向とする略直方体形状に沿う外形を有し、下ケーシング部45bは、左右方向を筒軸方向とする略円筒形状に沿う外形を有する。上ケーシング部45aおよび下ケーシング部45bは、互いに上下に繋がった一体的なケーシングとしてヒータ本体45の外形をなしている。下ケーシング部45bは、その略円筒状に沿う外形により、上ケーシング部45aの鉛直面状の前面45cに対して前側へ膨出した膨出部45dを有する。
上ケーシング部45aの左側面45eには、ヒータコアに対する温水の供給用・排出用それぞれの配管47,47が設けられている。各配管47は、左側面45eから略直角状に屈曲して下方に向けて延出した鋼管部47aと、鋼管部47aの下端部に接続されたフレキシブルなホース47bとを有する。鋼管部47aは、その下端を、ヒータ本体45の上下方向の略中央部の高さに位置させる。各配管47は、その一端側を上ケーシング部45a内のヒータコアに連通接続させる一方、カバー体43内から床部8を貫通して下方に延設され、他端側を、原動機部11に配置されたエンジンのウォータジャケットに連通接続させている。
また、ヒータ本体45においては、その上面部となる上ケーシング部45aの上面部に、温風を上方に向けて送り出す送風口部48が設けられている。上ケーシング部45aの上面部は、水平面に沿うように構成されている。このように、ヒータ本体45の送風口部48は、ヒータ本体45の水平面状の上面部に臨んで設けられている。
詳細には、上ケーシング部45aは、その上端部において平面視矩形状の上面部を有し、この上面部に臨むように、送風口部48が設けられている。送風口部48は、その開口面48aを水平面に沿わせ、上ケーシング部45aの上面部の略全体を占めるように設けられている。
また、ヒータ本体45においては、下ケーシング部45bの左右両側の面に、外気を吸入する吸気口部49が設けられている。吸気口部49は、例えば格子状の開口部分であり、下ケーシング部45bの内外を連通させる。
以上のような構成により、ヒータ本体45のヒータコアは、一方の配管47により、エンジンのウォータジャケットで加熱された温水の供給を受け、吸気口部49から取り入れられた空気(外気)を温める。ヒータコアにより温められた空気(暖気)は、送風ファンにより送風口部48に向けて送風され、送風口部48から送出される。一方、ヒータコアに流れ込んだ温水は、他方の配管47により、ウォータジャケットに戻る。
ベース46は、金属製の部材であって、ベース底部51と、ベース底部51の後端部においてベース底部51とともに略直角状をなすように立設されたベース縦壁部52とを有し、全体として側面視で略「L」字状をなすように構成されている。ベース底部51およびベース縦壁部52は、いずれも略矩形板状の外形をなすように構成されている。
ベース底部51は、その大部分をなす水平面状の底板部51aと、底板部51aの前側および左右両側の縁端に沿って底板部51aに対して直角状に設けられた縁板部51b,51cとを有し、略トレイ状に構成されている。ベース縦壁部52は、その大部分をなす垂直面状の後壁板部52aと、後壁板部52aの上側および左右両側の縁端に沿って後壁板部52aに対して直角状に設けられた縁板部52b,52cとを有し、略トレイ状に構成されている。ベース底部51の左右の縁板部51c,51cの後端部と、ベース縦壁部52の左右の縁板部52c,51cの下端部とは、互いに面一状に連続している。
このようなベース46に対して、ヒータ本体45が、ベース底部51の上側かつベース縦壁部52の前側の位置に配置され、ベース縦壁部52に対して固定支持されている。ヒータ本体45は、上ケーシング部45aおよび下ケーシング部45bのそれぞれの左右両側の後部に溶接等により固定されたL字状の取付金具53を介して、ベース縦壁部52の後壁板部52aに4箇所で固定された状態で支持されている。
取付金具53は、その一側の面部をヒータ本体45の左右の側面に沿わせた状態でヒータ本体45に固定されることで、ヒータ本体45の背面側において左右外側方向に突出する矩形状の突片53aをなす。ヒータ本体45は、突片53aをベース縦壁部52の後壁板部52aの前側に重ねた状態で、後壁板部52aおよび突片53aを貫通するボルトおよびナット等からなる締結具54により固定される。なお、ヒータ本体45は、ベース底部51の底板部51aに対しては浮いた状態で支持されている。
ベース46に対するヒータ本体45の支持状態において、ヒータ本体45の上端後側の角部と、ベース縦壁部52の後壁板部52aとの間に、ゴムやスポンジ等の弾性材からなるクッション材55が介装されている。クッション材55は、左右方向を長手方向とし、後上端縁部に沿って、ヒータ本体45の幅方向全体を含むように設けられている。
また、ヒータ本体45の左側の側面から下方に向けて延出した2本の配管47は、ベース底部51の底板部51aに設けられた貫通支持部56を介して底板部51aを貫通し、下方に延設されている。貫通支持部56は、底板部51aの所定の位置にて配管47のホース47bの部分を位置決め支持した状態で貫通させる。
以上のようにヒータ本体45を支持するベース46は、ヒータ装置40の平面視において、ベース底部51の底板部51aの外形の範囲内にヒータ本体45が納まるように、かつ、ヒータ装置40の正面視において、ベース縦壁部52の後壁板部52aの外形の範囲内にヒータ本体45が納まるように構成されている。
カバー体43は、ヒータ装置本体部42に取り付けられてヒータ本体45を覆う部材であって、ヒータ本体45の送風口部48から送出された温風を吹き出す吹出口41を有する。
カバー体43は、前面部61と、左右の側面部62,62と、上面部63とを有し、全体として後側および下側が開放された略箱状の形態をなすように構成されている。前面部61、側面部62および上面部63は、いずれも金属製の平板状の部分であって、前面部61および側面部62は、鉛直状に設けられており、上面部63は、水平状に設けられている。前面部61に、カバー体43の内外を連通させる吹出口41が設けられている。このように、カバー体43は、吹出口41を設けた吹出側面部として、前面部61を有する。
吹出口41は、左右方向を長手方向とする矩形状の開口部分であり、カバー体43の前面部61の上部における左右方向の中間部に、上下2箇所に設けられている。吹出口41には、風向および風量調節のためのルーバ64が設けられている。
ルーバ64は、樹脂製の部材により構成されている。ルーバ64は、図4および図8に示すように、吹出口41の外形に沿う外側固定枠部64aと、外側固定枠部64aに対して上下に回動可能に支持された内側可動枠64bと、内側可動枠64bに対して左右に回動可能に支持された複数(本実施形態では5枚)の縦板状の羽板64cとを有する。
外側固定枠部64aは、吹出口41の外形に沿って矩形枠状に構成されている。外側固定枠部64aが吹出口41の開口に嵌め込まれることにより、ルーバ64がカバー体43の前面部61に取り付けられている。
内側可動枠64bは、その内側を通風口とし、外側固定枠部64a内に嵌った態様で、外側固定枠部64aに対して左右方向を回動軸方向として回動可能に設けられている。内側可動枠64bは、水平方向に対して略45°の角度で斜め下側を向く下回動端から、水平方向に対して略45°の角度で斜め上側を向く上回動端までの略90°の角度範囲で回動可能に設けられている。
また、内側可動枠64bは、外側固定枠部64aに対する回動動作において、外側固定枠部64aの上下の枠部に対する隙間を一定に保持するように、回動による外形の軌跡に沿う曲面状の周壁部を有する。内側可動枠64bの右側の端部には、内側可動枠64bを上下回動させるための操作部分として、前側に円弧状に膨出した略半円板状の枠回動操作部64dが設けられている。
複数の羽板64cは、内側可動枠64b内において、左右方向に並んだ状態で図示せぬ連結部材により連動連結され、互いに向きを揃えた状態で内側可動枠64bに対して左右に回動するように設けられている。複数の羽板64cは、右側への回動端に位置することで、内側可動枠64bを塞ぎ、ルーバ64を閉じた状態とする。一番左に位置する羽板64cには、複数の羽板64cを左右回動させるための操作部分として、ツマミ状に突出した突起状の羽板回動操作部64eが設けられている。
以上のようなルーバ64が設けられた吹出口41によれば、内側可動枠64bの上下回動による位置調整、および羽板64cの左右回動による位置調整により、吹出口41からの温風の風向(吹出方向)および風量(吹出量)が調整される。
また、カバー体43の左右の側面部62,62において、ヒータ本体45の吸気口部49に対向する部位には、カバー体43の内外を連通させる吸気口65が設けられている。吸気口65は、前後方向を長手方向とする膨出板部65aの下側開口として設けられている。つまり、吸気口65は、膨出板部65aの下縁に沿って前後方向に長いスリット状の開口である。吸気口65は、上下に複数箇所(本実施形態では5箇所)に平行状に並設されている。
吸気口65は、カバー体43の本体とは別体の吸気口形成板66がルーバ64の側面部62に取り付けられることで設けられている。すなわち、膨出板部65aが5箇所に設けられた板状部材である吸気口形成板66が、カバー体43の側面部62に形成された開口を外側から塞ぐように、側面部62に取り付けられている。吸気口形成板66は、固定ボルト67により上下2箇所で側面部62に固定されている。
また、カバー体43は、その構成面部として、吹出口41が設けられた前面部61と、ヒータ本体45の送風口部48の上方に位置する上面部63とに加え、上面部63と前面部61との間で面取状に傾斜した斜面部68を有する。斜面部68は、前面部61の上側と上面部63の前側とを繋ぐ板面部分であり、略45°の角度で傾斜している(図8参照)。
斜面部68は、上下方向について、上側は水平面状の上面部63の前縁に繋がる位置から、下側は送風口部48と略同じ位置あるいは送風口部48よりも上側の位置までの範囲で設けられる。斜面部68により、前面部61と上面部63との角部分は面取状に形成されている。
また、カバー体43においては、斜面部68の左右両側に、左右の側面部62,62と上面部63との間で面取状に傾斜した左右の斜面部69,69が設けられている。すなわち、左右の斜面部69,69は、左右の側面部62,62の上側と上面部63の左右側それぞれとを繋ぐ板面部分であり、略45°の角度で傾斜している。左右の斜面部69,69は、上下方向については、斜面部68と同じ範囲で設けられている。左右の斜面部69,69により、左右の側面部62,62と上面部63との角部分は面取状に形成されている。
このように前側と左右両側の上角部に斜面部68,69を有するカバー体43においては、前側の斜面部68および左右の斜面部69,69は、いずれも上辺側を上底側とする台形状の面部となっている。そして、カバー体43の上端部は、前側の斜面部68および左右の斜面部69,69により、略錐台形状に沿う形状となっている。また、カバー体43が左右の斜面部69,69を有することにより、カバー体43の後側の開口形状に沿うように、ベース46のベース縦壁部52において、上側の縁板部52bと左右両側の縁板部52cとの間に、これらの縁板部間の角部を面取状とする斜面部52dが設けられている。
ダクト形成体44は、ヒータ装置本体部42に取り付けられ、カバー体43により覆われることでカバー体43とともにヒータ本体45の送風口部48から吹出口41への送風路70を形成する部材である。
ダクト形成体44は、側面視で略「L」字状の外形をなす左右のガイド側面部71,71と、左右のガイド側面部71,71間に架設された架設面部72とを有し、全体として側面視で略「L」字状、かつ平面視で略「U」字状をなすように構成されている。これらの面部は、金属製の板状部材により構成されている。
図9に示すように、ガイド側面部71は、平板状の部分であり、略「L」字状の外形をなす部分として、前後方向に延伸した横板部71aと、横板部71aの前端部から下方に向けて上下方向に延伸した縦板部71bとを有する。つまり、横板部71aおよび縦板部71bは、ガイド側面部71の板面視で略直角状をなすように設けられている。横板部71aおよび縦板部71bは、それぞれ前後方向および上下方向を長手方向とする略矩形状に沿う外形を有する。なお、本実施形態では、横板部71aの方が縦板部71bよりもわずかに幅広となっている。
また、ガイド側面部71においては、横板部71aと縦板部71bとの角部分の外側(前上側)には、カバー体43の前側の斜面部68の傾斜に対応して傾斜した斜辺部71cが設けられている。なお、横板部71aと縦板部71bとの角部分の内側(後下側)の角部は直角状となっている。
左右のガイド側面部71,71は、互いに平行に設けられている。左右のガイド側面部71,71間の間隔は、ヒータ本体45の左右幅と略同じとなっている。
架設面部72は、左右のガイド側面部71,71同士を繋ぐ部分であって、カバー体43の前面部61の後方にて前面部61に対向する内壁面部としてのガイド縦面部73と、ガイド縦面部73の下側に設けられた底面部としての傾斜底面部74とを有する。
ガイド縦面部73は、左右方向を長手方向とする矩形板状の外形を有し、垂直状に設けられた面部である。ガイド縦面部73は、前後方向について、ガイド側面部71に対して、左右の縁部を、縦板部71bの後端縁に沿わせる位置に設けられている。したがって、ガイド縦面部73は、前後方向について、縦板部71bの前端縁の位置に対して、縦板部71bの前後幅寸法の分、後方に位置する。また、上下方向について、ガイド縦面部73の上端は、ガイド側面部71の上端よりも下側に位置する。詳細には、ガイド縦面部73の上端は、ガイド側面部71の横板部71aの上下幅内の高さ位置に位置する。
傾斜底面部74は、ガイド縦面部73と同幅の板状部分であり、ガイド縦面部73の下端に繋がり、前下がり状に傾斜している。傾斜底面部74の水平面に対する傾斜角度は、例えば約35°である。ただし、傾斜底面部74の傾斜角度は特に限定されるものではない。傾斜底面部74は、上下方向について、ガイド側面部71に対して、左右の縁部を、縦板部71bの下端縁に沿わせる位置に設けられている。このため、縦板部71bの下端縁部71dは、傾斜底面部74の傾斜に沿った斜辺部となっている。
以上のような構成を備えたダクト形成体44においては、ガイド側面部71の縦板部71bと、ガイド縦面部73と、傾斜底面部74とにより、前側および上側を開放させた凹状の屈曲面部が形成されている。すなわち、ダクト形成体44は、全体的な態様として、左右のガイド側面部71の横板部71aからなるアーム部と、左右のアーム部の前端部から垂設された前垂れ状の凹状屈曲面部とを有する。
ダクト形成体44の前側および上側の辺部は、カバー体43の内面に沿って接触する部分となる。また、ダクト形成体44の後端部の上側および後側の辺部は、ベース縦壁部52の内面に沿って接触する部分となる。そこで、これらのカバー体43またはベース縦壁部52に接触するダクト形成体44の辺部には、各辺部に沿うようにゴムやスポンジ等の弾性材からなるシール材75が設けられている。すなわち、シール材75は、ダクト形成体44を構成するガイド側面部71および傾斜底面部74と、カバー体43およびベース縦壁部52それぞれの内面との間に介在する。
詳細には、シール材75は、図9に示すように、傾斜底面部74の下端縁(前端縁)に沿う左右辺シール部75aと、左右のガイド側面部71の縦板部71bの前端縁に沿う上下辺シール部75b,75bと、横板部71aと縦板部71bとの角部分の斜辺部71cに沿う斜辺シール部75c,75cと、横板部71aの上端縁に沿う前後辺シール部75d,75dと、横板部71aの後端縁に沿う後端辺シール部75e,75eとを有する。シール材75は、各シール部を連続させた一連の部材として設けられている。
以上のような構成を備えたダクト形成体44は、カバー体43とともに送風路を形成する送風路形成部材として機能するものであり、ヒータ装置本体部42に対して、ヒータ本体45に上側から被さった態様で取り付けられる。ダクト形成体44は、左右のガイド側面部71,71の横板部71aをヒータ本体45の上端部に固定支持させるとともに、架設面部72等により構成された前垂れ状の部分をヒータ本体45の前側に位置させ、ヒータ本体45に対してエプロン状の態様で取り付けられる。
ダクト形成体44は、左右のガイド側面部71,71の横板部71aの下端部を貫通する固定ボルト76により、左右2箇所ずつ計4箇所でヒータ本体45に固定されている。固定ボルト76は、横板部71aの下端部に形成された孔部71fを貫通するとともに、ヒータ本体45の左右の側面の上端部において前後2箇所に設けられたボルト穴45fに螺挿されている。
このように、ダクト形成体44は、左右のガイド側面部71の横板部71a間に、ヒータ本体45の上端部を挟んだ態様で、ヒータ本体45に固定支持されている。したがって、左右のガイド側面部71,71間の間隔の寸法は、ヒータ本体45の上端部の左右幅の寸法と略同じとなっている。
ダクト形成体44は、ヒータ装置本体部42に取り付けられた状態(取付状態)において、ガイド側面部71の横板部71aの大部分を、送風口部48の左右両側において側壁状に突出させるとともに、縦板部71bをヒータ本体45の前面45cから前側に側壁状に突出させ、しかも、架設面部72を、ヒータ本体45の前側に位置させる。詳細には、ダクト形成体44は、その取付状態において、ガイド縦面部73を、上ケーシング部45aの前面45cに沿わせるとともに、傾斜底面部74により、下ケーシング部45bの膨出部45dの上部を前上側から覆う。
ダクト形成体44のガイド縦面部73と、上ケーシング部45aの前面45cとの間には、ゴムやスポンジ等の弾性材からなるクッション材77が介装されている。クッション材77は、左右方向に延伸した細長い矩形状の外形を有し、上下に2本平行状に設けられている。
また、ダクト形成体44の取付状態において、左右のガイド側面部71,71は、左右方向について、ベース縦壁部52の左右の斜面部52dよりも左右内側に位置するとともに、横板部71aの後端部を、ベース縦壁部52の上側の縁板部52bの下側に位置させる。そして、横板部71aの後端縁は、シール材75の後端辺シール部75eを介して、ベース縦壁部52の後壁板部52aの前面に接触している。また、横板部71aの後端部の上縁は、シール材75の前後辺シール部75dの後端部を介して、上側の縁板部52bの下面に接触している。ここで、横板部71aの後端部は、カバー体43の上面部63に対して下側から重なった、ベース縦壁部52の上側の縁板部52bの板厚に対応して、前後辺シール部75dの後端部分とともに他の部分に対して段下がり状の部分71gとなっている(図9参照)。
このようにダクト形成体44がヒータ装置本体部42に取り付けられた状態で、カバー体43が、ヒータ装置本体部42のベース46に取り付けられる。カバー体43は、ベース46に取り付けられた状態(取付状態)において、ヒータ装置本体部42およびダクト形成体44を含む構成に対して前側、左右両側および上側を覆うように構成されている。
カバー体43は、ベース46に対し、ベース底部51の前側の縁板部51bおよび左右両側の縁板部51c,51c、並びにベース縦壁部52の上側の縁板部52bおよび左右両側の縁板部52c,52cを支持面部として取り付けられる。そして、カバー体43は、ベース46の各支持面部の外側に開放側の縁部を重ねた状態で、ベース46の各支持面部に対して固定される。
すなわち、カバー体43は、前面部61の下縁部を、ベース底部51の前側の縁板部51bに前側から重ねる。また、カバー体43は、左右の側面部62,62の下縁部および後縁部を、それぞれベース底部51の左右両側の縁板部51c,51cおよびベース縦壁部52の左右両側の縁板部52c,52cに左右外側から重ねる。また、カバー体43は、左右の斜面部69,69の後端部を、ベース縦壁部52の斜面部52dに外側から重ねる。また、カバー体43は、上面部63の後縁部を、ベース縦壁部52の上側の縁板部52bに上側から重ねる。
そして、カバー体43の前面部61の下縁部とベース底部51の縁板部51bとの重なり部分には、前面部61の下縁部および縁板部51bそれぞれの左右両側の2箇所に形成されたボルト孔61d,51dを前側から貫通する固定ボルト81による固定部が設けられている。また、カバー体43の左右の側面部62,62の下後側の角部と、ベース底部51の左右の縁板部51cの後端部(縁板部52cの下端部)との重なり部分には、側面部62の下後側の角部に形成された後側開放の切欠部62e、および縁板部51cの後端部に形成されたボルト孔51eを左右外側から貫通する固定ボルト82による固定部が設けられている。また、カバー体43の上面部63の後縁部と、ベース縦壁部52の上側の縁板部52bとの重なり部分には、カバー体43の上面部63の後縁部および縁板部52bそれぞれの左右両側の2箇所に形成されたボルト孔63f,52fを上側から貫通する固定ボルト83による固定部が設けられている。
以上のようにしてヒータ装置本体部42にカバー体43が取り付けられた状態において、カバー体43の上面部63は、ヒータ本体45の送風口部48に対して平行状に、送風口部48の上方に位置する。
また、カバー体43の取付状態において、ダクト形成体44を構成する左右のガイド側面部71,71の横板部71aの上端縁は、シール材75の前後辺シール部75dを介して、カバー体43の上面部63の内面(下面)に接触している。また、ガイド側面部71の斜辺部71cは、シール材75の斜辺シール部75cを介して、カバー体43の斜面部68の内面に接触している。また、ガイド側面部71の縦板部71bの前端縁および傾斜底面部74の前端縁(下端縁)は、それぞれシール材75の上下辺シール部75bおよび左右辺シール部75aを介して、カバー体43の前面部61の内面(後面)に接触している。
以上のような構成を備えたヒータ装置40においては、ベース46のベース底部51およびベース縦壁部52と、カバー体43の前面部61、左右の側面部62,62および上面部63とにより、箱状のユニット構成が実現されている。
そして、ヒータ本体45の送風口部48からカバー体43の吹出口41までの間において、主にダクト形成体44とこれに密着したカバー体43とにより、側面断面視でダクト形成体44の(ガイド側面部71の)外形に対応した略「L」字状をなす送風路70が形成されている。つまり、カバー体43内における送風路70としての空間部分は、ダクト形成体44の左右のガイド側面部71,71により左右方向について区画された空間部分であって、送風口部48よりも上側の上面空間部分と、ヒータ本体45の前側の前面空間部分とからなる。
詳細には、送風路70は、ベース縦壁部52の後壁板部52aの上端部と、左右のガイド側面部71,71と、ガイド縦面部73および傾斜底面部74を含む架設面部72と、カバー体43の上面部63、斜面部68および前面部61とにより形成されている。したがって、カバー体43の前面部61の上下2つの吹出口41は、ヒータ装置40の正面視において、ダクト形成体44の架設面部72に重なる範囲内に設けられている。そして、送風路70は、送風路70を形成する各部材間の接触部分に密着状態で介在したシール材75により密閉されている。
このような送風路70においては、図8に示すように、送風口部48から上方に向けて吹き出される温風は(矢印A1参照)、側面視で略「L」字状の通路形状に沿うように前方から角部を介して下方に流れ(矢印A2参照)、吹出口41から前方に向けて吹き出される(矢印A3参照)。なお、吹出口41から吹き出される温風の風向および風量は、上述したルーバ64により調整される。
以上のような構成を備えたヒータ装置40は、ヒータ本体45の送風口部48から吹出口41まで温風を送る送風路70に関し、以下のような構成を備える。
まず、ヒータ装置40において、カバー体43の前面部61に設けられた吹出口41は、送風口部48よりも低い位置に設けられている。すなわち、前面部61の上半部において上下2段に設けられた吹出口41のうち、上側に位置する吹出口41Aは、上下方向について、ヒータ本体45の上端部に位置する送風口部48よりも下方の位置に設けられている。
詳細には、図8に示すように、上側の吹出口41Aの上端の高さ位置H1は、ヒータ本体45の上端部に位置する送風口部48の高さ位置、つまり開口面48aの高さ位置H2に対して、高さ寸法H3低い位置となっている。つまり、送風口部48の高さ位置H2と、上側の吹出口41Aの上端の高さ位置H1との間には、高さ寸法H3の高さ位置の差が存在する。ここで、吹出口41Aの上端の高さ位置H1は、吹出口41の前側における開口範囲の上端の高さ位置に相当する。
また、ヒータ装置40において、ヒータ本体45からの温風の送風路70内には、ヒータ本体45の送風口部48の吹出口41側、つまり前側に、送風口部48より上方に突出した止水用突片部90が設けられている。止水用突片部90は、送風口部48の前側において、送風口部48の開口面48aに対して上方に突出するように設けられた高さの低い壁板状の突片部分である。
本実施形態では、止水用突片部90は、前後方向を板厚方向とする板状の突片部分であり、その上端の高さ位置H4を、送風口部48の開口面48aの高さ位置H2よりも上側に位置させるように設けられている。また、止水用突片部90は、送風口部48の前側の縁部に沿って設けられている。なお、止水用突片部90の突出高さや配置位置等は、送風口部48とカバー体43の上面部63との上下の間隔等との関係において、送風路70における十分な流路面積が確保されるように設定される。
また、本実施形態では、止水用突片部90は、ダクト形成体44の一部として設けられている。すなわち、ダクト形成体44は、送風路70を形成する面部として、カバー体43の前面部61に対向する内壁面部としてガイド縦面部73を有し、このガイド縦面部73の上端部を、止水用突片部90とする。
このように、止水用突片部90は、ヒータ本体45の上端部を左右から挟むガイド側面部71,71間に架設されたガイド縦面部73の上端縁部として設けられている。したがって、止水用突片部90は、左右方向について送風口部48の全体を含む範囲にわたって設けられている。
このように止水用突片部90が設けられた構成においては、送風口部48から吹き出てヒータ本体45の前側に流れる温風は、送風路70の前上側の角部分において、止水用突片部90を越えるように回り込み(図8、矢印A4参照)、吹出口41へと導かれることになる。
また、本実施形態のヒータ装置40において、送風路70の底部分をなすダクト形成体44の底部44aには、水抜き用の開口部としての水抜き孔91,92が設けられている。つまり、ダクト形成体44は、底部44aを有し、この底部44aに水抜き孔91,92が設けられている。ここで、ダクト形成体44の底部44aは、吹出口41よりも低い位置に設けられており、傾斜底面部74並びにその近傍部分である左右のガイド側面部71,71の下縁部およびガイド縦面部73の下縁部からなるダクト形成体44の下端部分である。
本実施形態では、傾斜底面部74の四隅の角部分に、水抜き孔91,92が設けられている。後側の左右2つの隅に設けられた水抜き孔91,91は、傾斜底面部74とガイド縦面部73とガイド側面部71の縦板部71bとからなる角部分において、これらの面部の角部に設けられた切欠部により略円形状に形成されている。また、前側の左右2つの水抜き孔92,92は、傾斜底面部74の前端部と縦板部71bの下端部との角部分において、これらの面部の角部に設けられた切欠部により形成されている。ここで、前側の水抜き孔92は、傾斜底面部74および縦板部71bそれぞれの切欠部からなる凹部が前側からシール材75の左右辺シール部75aと上下辺シール部75bとの角部分により閉じられることで孔状に形成されている。
なお、後側の水抜き孔91は、傾斜底面部74、ガイド縦面部73、およびガイド側面部71の縦板部71bのうち少なくともいずれか一つの面部に設けられた切欠部あるいは孔部により形成される。また、前側の水抜き孔92は、傾斜底面部74およびガイド側面部71の縦板部71bのうち少なくともいずれか一方の面部に設けられた切欠部あるいは孔部により形成される。前側の水抜き孔92を形成する部分にシール材75を含むか否かは特に限定されない。
以上のような本実施形態に係るヒータ装置40によれば、運転部10にヒータ装置40を備えた構成において、送風用の吹出口41から浸入した水によるヒータ本体45への影響を小さくすることができるとともに、ヒータ本体45の取付け・取外しの作業およびメンテナンスを容易に行うことができる。
すなわち、例えば本実施形態の掘削作業車1のように運転席26の前下方の右側にヒータ装置40の吹出口41を設けた構成においては、降雨時や洗車時等に、吹出口41から雨水や洗浄水が浸入しやすいといった問題がある。吹出口から浸入した水は、ヒータ装置40の正常な動作に影響を及ぼす可能性がある。特に、本実施形態の掘削作業車1のように、運転部10の大部分が外部に開放されたキャノピ仕様の構成においては、運転部10に対する雨・風の影響が大きく、吹出口41からの水の浸入の問題が顕著となる。
そこで、本実施形態に係るヒータ装置40は、ヒータ本体45を含むヒータ装置本体部42、ヒータ装置本体部42を覆うカバー体43、およびカバー体43とともに送風路70を形成するダクト形成体44とを備えるとともに、カバー体43に設けられた温風の吹出口41が、ヒータ本体45の送風口部48よりも低い位置に設けられている。このような構成によれば、吹出口41から雨水や洗浄水がカバー体43内(送風路70内)に浸入したとしても、ヒータ本体45の送風口部48に水が達することを防止することができ、ヒータ本体45を水から守ることが可能となる。
また、本実施形態のヒータ装置40は、ヒータ本体45の送風口部48の吹出口41側に止水用突片部90を有する。このような構成によれば、吹出口41から浸入した水が送風口部48に達することを確実に防止することが可能となる。すなわち、止水用突片部90が、送風口部48に対して前側からの水に対する障壁として作用し、吹出口41から浸入した水の止水用突片部90よりも後側への浸入を遮ることができ、送風口部48への水の浸入を防止することができる。
さらに、本実施形態においては、止水用突片部90は、ダクト形成体44を構成するガイド縦面部73の一部として設けられている。このような構成によれば、止水用突片部90を構成する部材を別途設けることなく、ダクト形成体44とともに簡単に止水用突片部90を設けることが可能となる。
また、本実施形態に係るヒータ装置40においては、ダクト形成体44の底部44aに水抜き孔91,92が設けられている。このような構成によれば、吹出口41から送風路70内に浸入した水は、カバー体43の前面部61、ダクト形成体44のガイド側面部71、ガイド縦面部73および傾斜底面部74を伝って下方へと流れ、水抜き孔91,92から送風路70外の下方へと排出される。
このように、水抜き孔91,92を設けた構成によれば、吹出口41から送風路70内に浸入した水を送風路70の外部へと排水することが可能となり、送風路70内に水が溜まることを防止することができる。したがって、ヒータ本体45に対する水の影響をより少なくすることができる。
ここで、本実施形態のヒータ装置40の作用に関し、吹出口41から送風路70内に浸入する水の流れについて、図10を用いて説明する。なお、ここでは、吹出口41のルーバ64は開いた状態にあるものとする。
まず、吹出口41のルーバ64が上下方向に回動可能な内側可動枠64bを正面に向けている状態において、掘削作業車1の洗車時、ヒータ装置40がその正面側から放水を受けた場合を例にあげる。この場合、図10(a)に示すように、吹出口41に対して前方から浸入した水は後方に向かい(矢印B1参照)、吹出口41の後方に位置するガイド縦面部73に当たり、ガイド縦面部73の前面を伝って下方に流れる(矢印B2参照)。そして、ガイド縦面部73の下端に達した水は、後側の水抜き孔91から排出されたり(矢印B3参照)、傾斜底面部74の上面を伝って前下方に流れ(矢印B4参照)、前側の水抜き孔92から排出されたり(矢印B5参照)する。
また、図10(a)に示すように、ルーバ64が内側可動枠64bを正面に向けている状態において、ヒータ装置40が吹出口41に対して斜め前下方から放水を受けた場合、吹出口41から浸入した水は後上方へと向かい(矢印B6参照)、ガイド縦面部73に当たる。ここで、送風口部48は、吹出口41よりも上方に位置することから、水はガイド縦面部73により遮られ、送風口部48に達することはない。特に、送風口部48の前側には止水用突片部90が設けられていることから、送風口部48側への水の浸入は確実に防止される。
また、例えば、図10(a)において二点鎖線で示す内側可動枠64bのように、ルーバ64が内側可動枠64bを斜め下向きに向けている状態において、水は、吹出口41から後斜め上方に向かいやすくなる(矢印B6参照)。しかし、この場合においても、上述した場合と同様、送風口部48が吹出口41よりも上方に位置すること、あるいは止水用突片部90が設けられていることから、送風口部48への水の浸入は遮られることになる。
次に、図10(b)において二点鎖線で示すように、ルーバ64が内側可動枠64bを斜め上向きに向けている状態において、掘削作業車1の洗車時や降雨時に、ヒータ装置40が上側に水を受けた場合を例にあげる。この場合、図10(b)に示すように、水は、カバー体43の前側の斜面部68および前面部61の表面を伝い(矢印C1,C2参照)、吹出口41から送風路70内に浸入する(矢印C3参照)。吹出口41から浸入した水は、前面部61の後面を伝い(矢印C4参照)、前側の水抜き孔92から排出される(矢印C5参照)することになる。
以上のように、本実施形態のヒータ装置40によれば、吹出口41から浸入した水が送風口部48へと達することを防止することができ、しかも、浸入した水を送風路70の外部へと排出することができる。これにより、吹出口41から浸入した水によるヒータ本体45への影響を可及的に小さくすることが可能となる。
本実施形態に係るヒータ装置40については、ルーバ64の全開状態において、ヒータ装置40の正面側から真横に数十秒程度放水するという洗車試験が行われた。かかる試験において、送風口部48の開口面48aへの被水はほぼ無い(水滴がわずかに付着する程度)という結果が得られている。
また、本実施形態のヒータ装置40は、ヒータ装置本体部42、カバー体43、およびダクト形成体44を含みユニット状に構成され、床部8上に設置されている。このような構成によれば、例えば、運転席の支持台をなすボックス内にヒータを収容配置した構成との比較において、ヒータ本体45へのアクセスが容易となり、ヒータ本体45の取付け・取外しの作業が簡単となり、ヒータ本体45のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態に係るヒータ装置40は、カバー体43において、送風路70を形成する面部として、前面部61と上面部63との間に斜面部68を有する。このような構成によれば、ヒータ装置40の意匠的な外観を良くすることができ、しかも送風路70内における流路面積を確保しながら温風の流れをスムーズにすることができる。さらに、床部8上においてユニット状に構成されたヒータ装置40において、コンパクトな構成を容易に実現することが可能となり、運転部10の限られたスペースを有効利用することができる。また、送風路70内における温風の流れに関しては、ダクト形成体44が送風路70を形成する面部として前下がりに傾斜した傾斜底面部74を有することによっても、送風路70内における温風の流れをスムーズにすることができる。
また、本実施形態に係るヒータ装置40においては、吹出口41が、ヒータ本体45の膨出部45dを有する下ケーシング部45bよりも上方の位置に設けられている。このような構成によれば、膨出部45dを上側に避けて送風路70を形成することができるので、ヒータ装置40の前後方向の寸法をコンパクトにすることができる。これにより、オペレータの足元における床部8上のスペースを広く確保することが可能となる。
続いて、ヒータ装置40が設置された床部8の構成について、図11を用いて説明する。ヒータ装置40は、床部8のベース部分をなす平面状の床板101に対する底上げ部分として設けられた台座部102上に設置されている。
台座部102は、平面視でヒータ装置40の平面視外形に対して一回り小さい矩形状の外形を有する。台座部102は、前後の側壁部103aおよび左右の側壁部103bと、ヒータ装置40の設置面102aをなす水平状の上面部104とを有する。このように、ヒータ装置40は、台座部102により床板101に対して底上げされた設置面102aに設置されている。
ヒータ装置40は、台座部102上に載置された状態で、ベース底部51の底板部51aおよび台座部102の上面部104を貫通するボルトおよびナット等からなる締結具105により4箇所で台座部102に固定されている。締結具105は、底板部51aおよび上面部104それぞれの四隅に形成されたボルト孔51f,104fを貫通する。また、上面部104の前側(ヒータ装置40における左側)の部分には、2本の配管47のホース47bを貫通させる開口部104aが形成されている。2本のホース47bは、開口部104aを介して床部8の下方に延設されている。
このように底上げ状の台座部102上にヒータ装置40が設置された構成において、床板101上における台座部102以外の部分に、樹脂製のフロアマット110が敷設されている。
フロアマット110は、その前部を構成する前側(ペダル側)の前マット体111と、フロアマット110の後部を構成する後側(シートマウント側)の後マット体112とに前後2分割されている。前マット体111および後マット体112は、左右方向に沿う直線状の分割ラインを互いの境界とする。すなわち、前マット体111および後マット体112は、前マット体111の後端面111aおよび後マット体112の前端面112aを互いの合わせ面として接触した状態で、一体的なフロアマット110を構成する。
フロアマット110は、その大部分をなす平面部110aと、平面部110aの左側に位置し床部8の乗降口30側の部分を覆う乗降口部110bとを有する。平面部110aおよび乗降口部110bの表側には、溝部や突条部等の凹凸形状部が形成されている。前マット体111および後マット体112は、それぞれ平面部110aを形成する部分と乗降口部110bを形成する部分とを有する。なお、図示は省略するが、前マット体111および後マット体112のそれぞれの裏側には、前後方向および左右方向に沿う板状のリブ部が格子状に形成されている。
前マット体111には、床部8上に設けられる一対の走行レバー27,27、および各種操作ペダル24a,24b,24cの各操作具の配置位置に対応して、これらの操作具との干渉を避けるための複数の開口部111b,111c,111d,111eが形成されている。また、後マット体112の後部は、運転席支持台25の前面および左側面に沿うように、平面視で略「L」字状の縁部形状を有する。また、後マット体112の左側後端部には、把持部31の支柱を貫通させるための開口部112bが形成されている。
そして、フロアマット110は、床板101上において台座部102と略面一状に設けられている。つまり、床板101に対して底上げ状に台座部102が設けられており、その台座部102による底上げ分、床板101の他の部分にフロアマット110が敷設されている。したがって、ヒータ装置40の設置面102aは、フロアマット110の表面と略同じ高さに位置している。
そこで、フロアマット110は、台座部102との干渉を避けるべく、台座部102の平面視外形に沿う切欠部110fを有する。切欠部110fは、フロアマット110の右側の端部形状が、台座部102の前後の側壁部103a,側壁部103aおよび左側の側壁部103bに沿うように形成されており、平面視で右側を開放させた凹形状を有する。
また、前マット体111と後マット体112との境界は、前後方向について、切欠部110fの形成範囲の略中央に位置する。したがって、切欠部110fは、前マット体111および後マット体112のそれぞれの右側の端部に形成された略「L」字状の切欠部111f,112fの合一部分として形成されている。
以上のようなヒータ装置40の台座部102を含む床部8の構成によれば、底上げされた台座部102にヒータ装置40が設置されることから、床部8に対するヒータ装置40の設置構造と、床部8におけるフロアマット110敷設構造とが互いに干渉しないため、それぞれについて独立した作業を行うことができる。これにより、ヒータ装置40の設置作業、および床板101に対するフロアマット110の着脱作業を容易に行うことができる。
また、台座部102との干渉を避けるための切欠部110fに関し、切欠部110fを有しない既存のフロアマットにおいて、台座部102に対応する部位をカットすることで、容易に切欠部110fを形成することができる。これにより、既存のフロアマットを利用することができ、市場対応を容易に行うことができる。ここで、フロアマットの部分的なカットにおいては、裏面のリブ部に沿ってカットすることで、フロアマットのカット縁部の剛性を確保することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、図12から図15を用いて説明する。なお、以下に説明する各実施形態の説明において、第1実施形態と共通する部分については同一の符号を用いる等して説明を省略する。
図12および図13に示すように、本実施形態のヒータ装置40Aにおいて、送風路70内には、ヒータ本体45の送風口部48よりも下流側の位置にて送風路70を仕切る仕切板120が設けられている。
仕切板120は、ダクト形成体44を構成する左右のガイド側面部71,71の間に架設されている。仕切板120は、図14に示すように、左右方向を長手方向する細長い矩形板状の本体板部121と、本体板部121の上端部において左右方向に突出するように設けられた左右の支軸部122,122とを有する一体の部材である。仕切板120は、左右方向および前後方向(板厚方向)について対称な形状を有する。
本体板部121は、その長手方向の寸法を、左右のガイド側面部71,71間の間隔と略同じとし、左右のガイド側面部71,71間の略全体にわたるように設けられている。支軸部122は、仕切板120を左右のガイド側面部71,71に対して架設支持させるための突起部分である。本実施形態では、左右の支軸部122,122は、略円形状に沿う横断面形状を有し、本体板部121の上側において、本体板部121の上縁部に沿って左右方向に沿う連続した直線棒状の部分として設けられている。
仕切板120は、左右の支軸部122をそれぞれガイド側面部71,71に対して貫通させ、左右のガイド側面部71,71間において回動自在に支持された状態で設けられている。ガイド側面部71における仕切板120の支持部には、支軸部122を相対回動自在に貫通させる支持孔が形成されている。
仕切板120は、自重により垂下した状態で下端部を止水用突片部90に対して前側から重ねるように設けられている。つまり、仕切板120は、前後方向について、鉛直状の姿勢となる垂下した状態で、本体板部121の下縁部121bの後面121cを、止水用突片部90の前面90aに接触させる位置に設けられている(図15参照)。したがって、前後方向について、支軸部122による支持中心は、止水用突片部90の前面90aに対して、本体板部121の板厚の略半分の寸法だけ前側に位置する。
また、仕切板120は、上下方向について、送風路70の流路断面の略全体にわたるように設けられている。仕切板120は、その上端部となる支軸部122を、シール材75の前後辺シール部75dの直下に位置させる。詳細には、支軸部122は、ガイド側面部71において、横板部71aの上端縁と斜辺部71cとの角部分の近傍の位置に設けられている。
このように仕切板120が設けられた構成においては、止水用突片部90と仕切板120の下端部とが前後に重なった重複部125が存在する。すなわち、図13に示すように、上下方向について、垂下状態の仕切板120の下端位置P1は、止水用突片部90の上端位置P2よりも下方に位置し、互いが前後に重なった上下寸法P3の重複部125が存在する。仕切板120の下端位置P1は、例えば、送風口部48と略同じ高さに位置する。
また、仕切板120は、送風口部48から送出された温風の風圧により回動して送風路70を連通状態とするように、回動自在に支持された状態で設けられている。左右の支軸部122により回動自在に係止支持された仕切板120の回動範囲に関し、後側への回動端は、下端部を止水用突片部90に接触させた垂下状態となる回動位置である。一方、仕切板120の前側への回動端は、仕切板120の下端部がカバー体43の斜面部68の内面に接触する回動位置である。このように、仕切板120は、その垂下状態を基準とした場合、前側のみへの回動のみ許容されている。
このように回動自在に支持された仕切板120は、送風口部48から送出された温風の風圧により、送風路70を略全開状態とするまで回動するように構成されている。仕切板120は、例えば、ヒータ本体45の温風の風圧によって、斜面部68の傾斜に沿う程度に傾斜した状態となるまで回動するように設けられる(図15(b)参照)。
したがって、仕切板120は、送風路70内が無風状態で自重により垂下状態を保持するとともに、ヒータ本体45の温風の風圧によって前側に回動できるように、比較的軽い部材により構成される。また、仕切板120においては、ヒータ本体45の温風に対する耐熱性が必要となる。したがって、仕切板120の材料は、重量および耐熱性が考慮され、風圧による回動動作性、および温風に対する耐熱性が得られるように選定される。
仕切板120の材料としては、例えば、アルミニウム等の金属材料や耐熱性を有する樹脂材料等が採用される。特に、仕切板120の材料としては、例えばPP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレン‐テレフタラート)、FRP(繊維強化プラスチック)等といった軽量性に優れた樹脂材料が好ましい。
以上のように送風路70内に設けられた仕切板120の動作について、図15を用いて説明する。図15(a)に示すように、ヒータ本体45からの温風が停止した無風状態においては、仕切板120は、自重により垂下状態となっており、仕切板120と止水用突片部90との重複部125が存在する。この状態において、送風路70は、仕切板120により、その上側の隙間、つまり仕切板120とカバー体43の上面部63との間の隙間を除く大部分が閉じられ、仕切板120により前後に仕切られた状態となる。
そして、図15(b)に示すように、送風路70内に送風口部48からの温風が流れている状態においては、仕切板120は、本体板部121の後面121aにおいて温風の風圧を受けて前側に回動する(矢印D1参照)。これにより、送風路70内における仕切板120の前後が連通状態となって流路面積が確保され、送風路70内における温風の本来の流れとして、送風路70の前面空間部に温風が流れ込み(矢印D2参照)、吹出口41から排出される(矢印D3参照)。このように、仕切板120は、送風路70内における温風の有無により自動で動作し、送風口部48から吹出口41への方向の流れのみ許容する一方向弁の弁体のごとく作用する。
以上のように送風路70内に仕切板120を備えた本実施形態のヒータ装置40Aによれば、ヒータ本体45からの温風が停止した状態において、垂下状態の仕切板120によって送風路70を送風口部48の前側で塞ぐことが可能となる。これにより、送風口部48側への水の浸入を確実に防止することが可能となる。特に、本実施形態のように仕切板120を備えた構成は、例えば、掘削作業車1の洗車として高圧洗浄機等を用いた高圧洗浄が行われる場合に有効である。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について、図16を用いて説明する。図16に示すように、本実施形態のヒータ装置40Bは、カバー体43の前上側の角部において斜面部68が省略されている点で上述した実施形態と異なる。
すなわち、本実施形態のヒータ装置40Bにおいては、カバー体43を構成する前面部61と上面部63とが直接的に繋がっており、カバー体43の前上側の角部において、前面部61と上面部63とによる直角状の角部分が形成されている。
このようなカバー体43の形態に対応して、ダクト形成体44を構成する左右のガイド側面部71,71においても、横板部71aと縦板部71bとの角部分の外側(前上側)の角部分は直角となっており、ガイド側面部71とベース46との間に介在するシール材75もガイド側面部71およびベース46の直角形状に沿うように設けられている。
このような構成の本実施形態のヒータ装置40Bによれば、送風路70において、前上側の角部分の流路面積を広くすることができ、吹出口41から吹き出される温風について容易に風量を確保することが可能となる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について、図17を用いて説明する。図17に示すように、本実施形態に係るヒータ装置40Cは、カバー体43の上側に、弁当箱141や飲料容器142等を保持することを目的とした保温ケース部130が設けられている。
図17に示す例では、保温ケース部130は、弁当箱141を保持するための箱状のトレイ部131と、飲料容器142を保持するための筒状の容器保持部132とを有する。
トレイ部131は、水平状の底面部131aを有し、底面部131aが、弁当箱141等の載置面となる。底面部131aは、ヒータ本体45の送風口部48の上方において送風口部48に対向した面部となり、送風口部48から送出される温風を直接的に受ける面部となる。
容器保持部132は、トレイ部131の左側に設けられている。容器保持部132は、いわゆるドリンクホルダとして機能する。容器保持部132は、円筒面の一部形状を有する前後一対の把持片部132a,132aを有し、これらの把持片部132a,132aの弾性により変形して任意のサイズの飲料容器142を保持可能に構成されている。ただし、容器保持部132は、例えば上側開口の有底筒状の部分として構成されてもよい。
保温ケース部130において、トレイ部131および容器保持部132は一体的に構成されている。保温ケース部130は、例えば、比較的熱伝導率が高い金属製の部材あるいは樹脂製の部材により構成される。
このようにカバー体43の上側に保温ケース部130を設けた構成の本実施形態のヒータ装置40Cによれば、ヒータ本体45の温風の熱により、保温ケース部130が加熱され、これらに保持された弁当箱141や飲料容器142を保温あるいは加熱することが可能となり、ヒータ本体45の温風の熱を有効利用することができる。特に、掘削作業車1のような2柱キャノピ仕様の構成においては、季節等によっては弁当や飲料は冷えやすいので、ヒータ本体45の温風の熱を利用することで、効果的に弁当や飲料を保温あるいは加熱することができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る作業車は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、運転部10に設けられた空調装置は、ヒータ装置40であるが、空調装置としては、クーラ装置であったり、ヒータ機能およびクーラ機能の両方を備えたものであったりしてもよい。
また、上述した実施形態では、ヒータ装置40は、床部8上における運転席26の右前下方において吹出口41を左側に向けるように設けられているが、床部8上におけるヒータ装置40の配置位置や向き等は、特に限定されるものではない。ヒータ装置40は、例えば、運転部10における乗降口30の位置等に応じて、乗降口30と反対側となる、運転席26の前方の左右一側の位置に設置される。
また、上述した実施形態では、掘削作業車1は、いわゆる2柱キャノピ仕様であるが、本発明の適用例はこれに限定されるものではない。本発明に係る作業機は、例えば、図18に示す掘削作業車1Aのように、図1に示すようなキャノピ21の代わりに、運転部10を覆うキャビン150を備えたキャビン仕様の建設機械であってもよい。
図18に示すように、キャビン150は、その左側に、乗降用の開閉ドア151を有する。そして、ヒータ装置40は、運転部10内における開閉ドア151に対向するように吹出口41を左側に向けて設置されている。
このようにキャビン仕様の掘削作業車1Aにおいても、例えば、洗車時においては、開閉ドア151を開けた状態で運転部10内に洗浄水が放水される場合がある。このため、上述したヒータ装置40を備えることにより、上述のとおり送風用の吹出口41から浸入した水によるヒータ本体45への影響を小さくすることができるといった効果を得ることができる。