JP6724415B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪用軸受装置に関するものである。
自動車等の車両においては、車輪を回転自在に支持するために車輪用軸受装置(ハブユニット)が用いられている。車輪用軸受装置は、車輪が取り付けられるフランジ部を車両アウタ側に有するハブ軸と、このハブ軸が有する軸本体の径方向外側に設けられると共に車体側部材(ナックル)に固定される外輪と、ハブ軸と外輪との間に設けられている複数の転動体(例えば、複数の玉)と、複数の転動体を周方向に間隔をあけて保持する保持器とを備えている。また、このような車輪用軸受装置では、ハブ軸と外輪との間であって転動体が設けられている軸受内部に、泥水等の異物が軸受外部から浸入するのを防ぐために、密封装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
従来の密封装置として、外輪の内周面の一部にシール部材が取り付けられており、このシール部材のリップをハブ軸の一部に滑り接触させる構成が提案されている。しかし、ハブ軸は、例えば機械構造用炭素鋼からなるため、リップが滑り接触する部分に泥水が付着して錆が発生すると、錆がリップを攻撃してリップの摩耗が促進され、やがて、軸受内部に異物が浸入するおそれがある。そこで、図6に示すように、ハブ軸90に環状のスリンガ99(ステンレス製)を取り付け、リップ94をこのスリンガ99に滑り接触させることで、リップ94の摩耗を防ぐという対策が講じられているものがある。
特開2014−95403号公報
図6に示すように、スリンガ99は、ハブ軸90の外周面の一部に外嵌して取り付けられている。スリンガ99は、ハブ軸90の軸本体部91の外周面91aに接触している円筒部98と、ハブ軸90のフランジ部92の側面92aに接触している円環部97とを有しており、断面L字形状を有している。
このようなスリンガ99を含む車輪用軸受装置を車両に取り付けて走行していると、スリンガ99が軸受内部側(図6の場合、右側)へ移動することがある。スリンガ99が軸受内部側に移動すると、リップ94の潰れ代が増し、摩擦抵抗が増加して回転損失が大きくなる他、リップ94の異常摩耗や発熱による劣化の原因となってしまう。なお、ここでは、前記のようなスリンガ99の移動を、スリンガ99のウォークアウトという。
従来、このようなウォークアウトの原因は次のように考えられていた。すなわち、車両が走行すると車輪用軸受装置に様々な荷重が作用し、この荷重によってハブ軸90のフランジ部92が弾性変形(曲げ変形)し、フランジ部92がスリンガ99の円環部97を軸方向に押すためであると考えられていた。
しかし、実際では、スリンガ99がウォークアウトして、円環部97とフランジ部92の側面92aとの間に隙間(フランジ部92の変形量よりも大きい隙間)が生じている場合であっても、走行が継続されるとスリンガ99は更に軸受内部側に移動することから、前記の原因以外にウォークアウトの原因が存在すると考えられる。
そこで、本発明では、車輪用軸受装置において、従来とは異なる着想によってスリンガがウォークアウトするのを抑えることを目的とする。
本発明の車輪用軸受装置は、スリンガのウォークアウトの原因を探求した結果、得られたものである。すなわち、本発明の車輪用軸受装置は、車輪が取り付けられるフランジ部を車両アウタ側に有するハブ軸と、前記ハブ軸の径方向外側に設けられると共に車体側部材に固定される外輪と、前記ハブ軸と前記外輪との間に設けられている複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に間隔をあけて保持する保持器と、前記外輪の内周側の一部に取り付けられている環状のシール部材と、前記ハブ軸の外周側の一部に取り付けられ前記シール部材が滑り接触する環状の金属製スリンガと、を備え、前記スリンガは、前記外周側の一部である取り付け部に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられており、車両旋回荷重による前記ハブ軸の楕円変形に起因して前記スリンガが移動するのを静止摩擦力により防ぐための面圧を当該スリンガと前記取り付け部との間に生じさせるべく、当該取り付け部に対する当該スリンガの半径方向の締め代が40μm以上であり100μm以下である。
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、車両が走行しているとスリンガがハブ軸の取り付け部から軸方向に移動する原因(ウォークアウトの原因)を見出し、従来とは異なる着想によりスリンガを管理することでウォークアウトを防ぐことが可能となることを見出した。すなわち、本発明の発明者によれば、車両が旋回すると車両旋回荷重が作用し、この旋回荷重によってハブ軸が断面において真円形状から楕円形状に変形し、ハブ軸の取り付け部と、この変形に完全には追従しないスリンガとの間の面圧が部分的に小さくなり、この面圧の低下によって取り付け部とスリンガとの間の静止摩擦力が弱くなり、静止摩擦力が弱くなった部分においてスリンガと取り付け部との間に位置ずれが発生し、ハブ軸が継続して回転することで、この位置ずれが蓄積され、この結果、スリンガがウォークアウトすると推測できるに至った。
そこで、本発明の発明者は、スリンガの締め代に着目し、この締め代を管理することでウォークアウトを抑えることを可能とした。
つまり、スリンガの締め代を下限値(40μm)以上とすることで、スリンガと取り付け部との間の面圧を全周にわたって確保することができ、静止摩擦力が勝ってスリンガのウォークアウトを抑えることが可能となる。
また、締め代が上限値(100μm)を越えると、取り付け部にスリンガを取り付けた際、スリンガが塑性変形してしまうおそれがあり、取り付け部との間において所望の面圧を得ることが困難となり、スリンガのウォークアウトが発生する可能性がある。
また、車輪が取り付けられるフランジ部を車両アウタ側に有するハブ軸と、前記ハブ軸の径方向外側に設けられると共に車体側部材に固定される外輪と、前記ハブ軸と前記外輪との間に設けられている複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に間隔をあけて保持する保持器と、前記外輪の内周側の一部に取り付けられている環状のシール部材と、前記ハブ軸の外周側の一部に取り付けられ前記シール部材が滑り接触する環状の金属製スリンガと、を備え、前記スリンガは、前記外周側の一部である取り付け部に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられており、前記取り付け部に対する前記スリンガの半径方向の締め代は、設計車両旋回荷重が作用した場合に前記取り付け部に生じる半径方向の縮径量よりも大きい。
この車輪用軸受装置によれば、スリンガと取り付け部との間の面圧を全周にわたって確保することができ、静止摩擦力が勝ってスリンガのウォークアウトを抑えることが可能となる。
また、前記スリンガは、前記取り付け部に外嵌する円筒部と、当該円筒部の軸方向一端部から径方向外側に延びて設けられている円環部と、を有し、前記円筒部の軸方向他端部から1ミリメートル以内の範囲が、前記締め代に設定されているのが好ましい。
この構成によれば、スリンガと取り付け部との間に所望の面圧が確保され、ウォークアウトに抗する静止摩擦力が適切に得られる。
本発明によれば、スリンガのウォークアウトを抑えることで、このスリンガに滑り接触するシール部材の潰れ代を長期にわたって維持することが可能となり、これらスリンガとシール部材とによって高い密封性能を確保することが可能となる。
車輪用軸受装置の断面図である。 密封装置を示す拡大断面図である。 スリンガを取り付け部に取り付ける前の状態を示す説明図である。 車両旋回荷重が作用した場合のハブ軸の取り付け部における断面形状を示すイメージ図である。 車輪用軸受装置が備えているスリンガの締め代について説明する説明図である。 従来のスリンガの断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は車輪用軸受装置の断面図である。この車輪用軸受装置(ハブユニット)10は、例えば自動車の車体側の懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置10は、ハブ軸11と、外輪12と、転動体13と、保持器14と、密封装置15,17とを備えている。
外輪12は、円筒状の部材であり、例えば機械構造用炭素鋼により製造されている。外輪12は、円筒形状である外輪本体51と、この外輪本体51から径方向外側に延びて設けられている固定用のフランジ部52とを有している。このフランジ部52が車体側部材であるナックル(図示せず)に固定されることで、外輪12を含む車輪用軸受装置10はナックルに固定される。
車輪用軸受装置10が車体側に固定された状態で、ハブ軸11が有する後述の車輪取り付け用のフランジ部56側が車両の外側となる。つまり、図1の左側(フランジ部56側)が車両アウタ側となり、図1の右側が車両インナ側となる。また、図1の左右方向が車輪用軸受装置10の軸方向となる。
外輪12の内周面には、車両アウタ側の外輪軌道面12aと、車両インナ側の外輪軌道面12bとが形成されている。
ハブ軸11は、軸本体部55と、車輪取り付け用のフランジ部56と、内輪部材57とを有している。これらは、例えば機械構造用炭素鋼により製造されている。軸本体部55は軸方向に長い軸部材である。フランジ部56は、軸本体部55の車両アウタ側から径方向外側に延びて設けられており、円環形状を有している。フランジ部56には、穴が周方向に沿って複数形成されており、この穴に、車輪取り付け用のボルト69が取り付けられている。フランジ部56には、図外の車輪の他にブレーキロータが取り付けられる。内輪部材57は、環状の部材であり、軸本体部55の車両インナ側に嵌合して固定されている。軸本体部55の車両アウタ側の外周面に軸軌道面11aが形成され、内輪部材57の外周面に内輪軌道面11bが形成されている。
車両アウタ側の外輪軌道面12aと軸軌道面11aとは径方向に対向し、車両インナ側の外輪軌道面12bと内輪軌道面11bとは径方向に対向し、車両アウタ側及びインナ側それぞれの軌道面間に転動体13である玉が配置されている。転動体(玉)13は二列設けられており、各列の転動体(玉)13は、環状の保持器14によって保持されている。ハブ軸11と外輪12との間に複数の転動体13が設けられていることで、外輪12は、ハブ軸11の径方向外側においてハブ軸11と同心状に設けられた構成となる。
車両アウタ側の保持器14は、車両アウタ側に位置する転動体列に含まれる複数の転動体13を、周方向に間隔をあけて保持する。車両インナ側の保持器14は、車両インナ側に位置する転動体列に含まれる複数の転動体13を、周方向に間隔をあけて保持する。保持器14は、例えば樹脂製とすることができる。
車両インナ側の密封装置17は、環状のシール部材40と、環状のスリンガ50とによって構成されている。シール部材40は、外輪12(外輪本体51)の内周側であって車両インナ側に嵌合して取り付けられている。スリンガ50は、内輪部材57の外周面に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられている。シール部材40(シール部材40のリップ)が、スリンガ50に滑り接触(摺接)することで、車両インナ側の外部から異物が軸受内部に浸入するのを抑制することができる。軸受内部とは、ハブ軸11と外輪12との間であって、二列の転動体13が設けられている領域である。
車両アウタ側の密封装置15は、環状のシール部材20と、環状のスリンガ30とによって構成されている。シール部材20は、外輪12(外輪本体51)の内周側であって車両アウタ側に嵌合して取り付けられている。図2は、密封装置15を示す拡大断面図である。スリンガ30は、軸本体部55の外周面であって車両アウタ側に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられている。シール部材20のリップ21が、スリンガ30に滑り接触(摺接)することで、車両アウタ側の外部から異物が軸受内部に浸入するのを抑制することができる。
シール部材20は、金属製の芯金25と、ゴム製のシール本体26とを有している。芯金25は、外輪12(外輪本体51)の車両アウタ側の端部12cの内周面に締り嵌めの状態で取り付けられている。シール本体26は、芯金25に固定(加硫接着)されており、スリンガ30に滑り接触する複数(図例では三つ)のリップ(第一リップ)21を有している。これらリップ21は、スリンガ30との間から泥水等の異物が軸受内部に浸入するのを防ぐ機能を有している。また、これらリップ21は、軸受内部に設けられているグリースが外部に流出するのを防ぐ機能も有している。
図2に示すシール本体26は、外輪12(外輪本体51)の車両アウタ側の端部12cの外周面に締め代を有して接触している第二リップ22を更に有している。この第二リップ22は、外輪12と芯金25との間を通って泥水等の異物が軸受内部に浸入するのを防ぐ機能を有している。
スリンガ30は、金属製の環状部材であり、本実施形態ではステンレス製(SUS430)である。スリンガ30は、軸本体部55の車両アウタ側の一部(29)の外周面28に接触する円筒部(第一円筒部)31と、ハブ軸11のフランジ部56の側面56aに接触する円環部32とを有している。本実施形態では、車輪用軸受装置10の軸線を含む断面において、フランジ部56の基部56bが凹アール形状を有していることから、これに応じて円環部32はアール形状の曲面部33を有している。
スリンガ30は、更に、円環部32の径方向外側の端部32aから車両インナ側に延びている第二円筒部35を有している。第二円筒部35は、シール部材20の第二リップ22の径方向外側に位置している。第二円筒部35と第二リップ22との間にラビリンス隙間が形成されており、このラビリンス隙間は、第一リップ21とスリンガ30との滑り接触部分に、外部から泥水等の異物が浸入するのを抑制する機能を有している。
以上のように、この車輪用軸受装置10では、外輪12の車両アウタ側の内周側の一部(端部12c)に取り付けられている環状のシール部材20と、ハブ軸11の車両アウタ側の外周側の一部(29)に取り付けられている環状のスリンガ30とを備えており、シール部材20(第一リップ21)がスリンガ30に滑り接触する。スリンガ30は、ハブ軸11の車両アウタ側の外周側の一部に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられている。ハブ軸11のうち、スリンガ30(円筒部31)が密着して嵌合することで取り付けられている部分(前記一部)を「取り付け部29」と呼ぶ。取り付け部29の外周面28は、ハブ軸11(車輪用軸受装置10)の軸線を中心線とする円筒面からなる。
図3は、スリンガ30を取り付け部29に取り付ける前の状態を示す説明図である。スリンガ30を取り付け部29に締まり嵌めの状態で嵌合して取り付けるために、スリンガ30の内径D0、つまり、円筒部31の内径D0は、取り付け部29の外周面28の外径D1よりも小さく設定されている(D0<D1)。スリンガ30を取り付け部29に取り付けるためには、スリンガ30を拡径方向に弾性変形させる。なお、図3では、スリンガ30に関して、この弾性変形が成される前の状態(自然状態)を示している。
取り付け部29の外周面28の外径D1と、スリンガ30の内径D0との差(D1−D0)の半分の値{(D1−D0)/2}が、スリンガ30の半径方向の弾性変形量に相当し、この値{(D1−D0)/2}が、取り付け部29に対するスリンガ30の締め代αとなる。そして、この締め代αは、40μm以上であって100μm以下に設定されている(40μm≦α≦100μm)。このようにスリンガ30の締め代αを設定することで、車両が走行することによるスリンガ30の軸受内部側への移動(スリンガ30のウォークアウト)を抑えることが可能となる。
スリンガ30のウォークアウトの原因について説明する。道路を走行する車両が旋回すると車両旋回荷重が作用し、この旋回荷重によってハブ軸11に曲げ荷重が作用し、これにより取り付け部29は、断面において輪郭形状(外周面28)が真円から楕円に弾性変形する(図4参照)。図4は、旋回荷重が作用した場合のハブ軸11の取り付け部29における断面形状を示すイメージ図であり、楕円に変形した状態を示している。
このように取り付け部29が断面において真円から楕円に変形しても、スリンガ30はハブ軸11に嵌合させているのみであり接着等で一体化させていないため、取り付け部29に外嵌しているスリンガ30(円筒部31)は前記変形に完全に追従しない。すると、取り付け部29とスリンガ30との間の面圧が部分的に小さくなり、この面圧の低下によって取り付け部29とスリンガ30との間の静止摩擦力が弱くなる。図4の場合、面圧が低下する部分は、楕円の長軸側の領域K1,K2であり、これらの領域K1,K2で取り付け部29とスリンガ30との間の静止摩擦力が低下する。なお、図4では、説明を容易とするために、領域K1,K2では取り付け部29とスリンガ30との間に隙間を生じさせているが、実際ではこのような隙間は生じておらず、面圧が(短軸側よりも)低下して相互が接触した状態にある。
また、ハブ軸11に曲げ荷重が作用して取り付け部29が弾性変形することで、この取り付け部29とスリンガ30との相対的な位置関係が変化することから、静止摩擦力が弱くなった部分(領域K1,K2)において、スリンガ30と取り付け部29との間に軸方向の位置ずれが発生する。このように、ハブ軸11に旋回による曲げ荷重が作用すると、スリンガ30と取り付け部29とを軸方向にせん断させてスリンガ30を移動させる力(これを、軸方向せん断力という。)が生じる。そして、車両が旋回している間、ハブ軸11は回転していることから、面圧が低下する部分は周方向に沿って連続的に変化し、周方向の全域においてスリンガ30と取り付け部29との間に位置ずれが発生する。更に、ハブ軸11が継続して回転することで、この位置ずれが蓄積され、この結果、スリンガ30がウォークアウトする。
そこで、このようなウォークアウトを抑制するためには、取り付け部29とスリンガ30との間の静止摩擦力を、前記軸方向せん断力よりも大きくすればよい。前記静止摩擦力を大きくするためには、取り付け部29とスリンガ30との間の摩擦係数を大きくすることも一つの手段であるが、他の手段として、取り付け部29に対するスリンガ30の緊迫力を大きくすればよい。つまり、前記静止摩擦力を大きくするためには、取り付け部29とスリンガ30との間の面圧を大きくすればよく、そのために、取り付け部29に対するスリンガ30の締め代αを、40μm以上に設定すればよい。そして、後にも説明するが、この締め代αを、100μm以下に設定すればよい。
なお、この締め代αにより面圧を大きくする作用は、スリンガ30の材質及びスリンガ30の内径D0(図3参照)の影響を受ける。本実施形態では、スリンガ30はステンレス鋼(SU430)であり、内径D0の範囲は、φ48ミリメートル以上であり、φ70ミリメートル以下である。
このようにスリンガ30の締め代αを設定する車輪用軸受装置10は、スリンガ30のウォークアウトの原因を探求した結果、得られたものである。すなわち、車両の旋回荷重によるハブ軸11の楕円変形に起因してスリンガ30が移動するのを、スリンガ30と取り付け部29との間の静止摩擦力により防いでおり、このような静止摩擦力を得るための面圧をこれらスリンガ30と取り付け部29との間に生じさせるために、取り付け部29に対するスリンガ30の半径方向の締め代αが、40μm以上であり100μm以下に設定されている。
締め代αを下限値(40μm)以上とすることで、スリンガ30と取り付け部29との間の面圧を全周にわたって充分確保することができ、静止摩擦力が勝ってスリンガ30のウォークアウトを抑えることが可能となる。
また、締め代αが上限値(100μm)を越えると、スリンガ30を取り付け部29に取り付けた際に、スリンガ30が塑性変形してしまうおそれがある。スリンガ30が塑性変形してしまうと、取り付け部29との間において所望の面圧を得ることができず、スリンガ30のウォークアウトが発生する可能性がある。
なお、前記締め代αの下限値については、40μmとする以外に、65μmとすることができる。また、締め代αの上限値は、100μmとする以外に、80μmとすることができる。これにより、適切な締め代αが得られ、スリンガ30のウォークアウトを抑える機能が高まる。
図5は、スリンガ30の締め代αについて説明する説明図である。前記のとおり、車両が走行して旋回荷重が作用すると、スリンガ30が取り付けられている取り付け部29は弾性変形して、断面において真円形状から楕円形状となる。図5では、旋回荷重が作用しておらず断面における輪郭形状が真円となる取り付け部29を、実線で示しており、所定の旋回荷重が作用して断面における輪郭形状が楕円となる取り付け部29を、二点鎖線で示している。また、スリンガ30を破線で示しており、このスリンガ30については、取り付け部29に取り付けられていない場合(自然状態)として、仮想的に示している。
図5において、実線で示す取り付け部29の外周面28と、二点鎖線で示す取り付け部29の外周面28との間の半径方向の寸法βは、前記旋回荷重による取り付け部29の縮径量に相当する。そして、実線で示す取り付け部29の外周面28と、破線で示すスリンガ30の内周面との間の半径方向の寸法は、スリンガ30の締め代αに相当する。そして、本実施形態では、旋回荷重による取り付け部29の縮径量となる前記寸法βよりも、スリンガ30の締め代αが大きくなるように設定されている。
なお、この図5において二点鎖線で示すように取り付け部29が弾性変形した状態は、所定の旋回荷重が作用した場合であり、この旋回荷重は、旋回加速度(横加速度ともいう。)が0.5Gとなる運転条件で生じる値である。このように旋回加速度が0.5Gとなる旋回荷重を、設計車両旋回荷重という。
なお、旋回により0.7Gの旋回加速度が作用する条件の場合、前記締め代αの下限値を65μmとするのが好ましい。
以上のように、本実施形態の車輪用軸受装置10では、スリンガ30は、ハブ軸11の取り付け部29に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられている。そして、この取り付け部29に対するスリンガ30の半径方向の締め代αは、旋回加速度が0.5Gとなる設計車両旋回荷重が作用した場合に取り付け部29に生じる半径方向の縮径量βよりも大きく設定されている。この車輪用軸受装置10によれば、スリンガ30と取り付け部29との間の面圧を全周にわたって確保することができ、静止摩擦力が勝ってスリンガ30のウォークアウトを抑えることが可能となる。
図3に示すように、スリンガ30は、取り付け部29に外嵌する円筒部31と、この円筒部31の軸方向一端部37から径方向外側に延びて設けられている円環部32とを有している。そして、スリンガ30の円筒部31における締め代αを前記のとおり設定すればよいが、この締め代αは、スリンガ30の円筒部31の軸方向他端部36から少なくとも1ミリメートル以内の範囲に適用される値である。特に本実施形態では、円筒部31の端部36から1ミリメートルの位置における締め代αが、前記下限値と前記上限値との間に設定されている。このようにスリンガ30の円筒部31の軸方向他端部36から1ミリメートル以内の範囲が、前記締め代αに設定されていることで、スリンガ30と取り付け部29との間に所望の面圧が確保され、ウォークアウトに抗する静止摩擦力が適切に得られる。
以上、本実施形態の車輪用軸受装置10によれば、スリンガ30のウォークアウトを抑えることができ、これにより、このスリンガ30に滑り接触するシール部材20(リップ21)の潰れ代を長期にわたって維持することが可能となり、これらスリンガ30とシール部材20とによって高い密封性能を確保することが可能となる。
なお、前記スリンガ30を含む密封装置15は、車両インナ側におけるものであるが、車両アウタ側の密封装置17用のスリンガ50(図1参照)にも、前記締め代αを適用することができる。これにより、スリンガ50のウォークアウトを抑えることが可能となる。
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の車輪用軸受装置10は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
例えば、図2に示すスリンガ30は径方向外側に第二円筒部35を有しているが、この円筒部35は省略されたものであってもよい。また、シール部材20は図示した形状以外であってもよい。
10:車輪用軸受装置 11:ハブ軸 12:外輪
13:転動体 14:保持器 20:シール部材
29:取り付け部 30:スリンガ 31:円筒部
32:円環部 36:軸方向他端部 37:軸方向一端部
56:フランジ部 α:締め代 β:縮径量

Claims (3)

  1. 車輪が取り付けられるフランジ部を車両アウタ側に有するハブ軸と、前記ハブ軸の径方向外側に設けられると共に車体側部材に固定される外輪と、前記ハブ軸と前記外輪との間に設けられている複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に間隔をあけて保持する保持器と、前記外輪の内周側の一部に取り付けられている環状のシール部材と、前記ハブ軸の外周側の一部に取り付けられ前記シール部材が滑り接触する環状の金属製スリンガと、を備え、
    前記スリンガは、
    前記外周側の一部である取り付け部に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられており、
    前記取り付け部に外嵌する円筒部と、当該円筒部の軸方向一端部から径方向外側に延びて設けられている円環部と、を有し、
    車両旋回荷重による前記ハブ軸の楕円変形に起因して前記スリンガが移動するのを静止摩擦力により防ぐための面圧を当該スリンガと前記取り付け部との間に生じさせるべく、当該取り付け部に対する当該スリンガの半径方向の締め代が40μm以上であり100μm以下であり、
    前記円筒部の軸方向他端部から1ミリメートル以内の範囲が、前記締め代に設定されている、車輪用軸受装置。
  2. 車輪が取り付けられるフランジ部を車両アウタ側に有するハブ軸と、前記ハブ軸の径方向外側に設けられると共に車体側部材に固定される外輪と、前記ハブ軸と前記外輪との間に設けられている複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に間隔をあけて保持する保持器と、前記外輪の内周側の一部に取り付けられている環状のシール部材と、前記ハブ軸の外周側の一部に取り付けられ前記シール部材が滑り接触する環状の金属製スリンガと、を備え、
    前記スリンガは、前記外周側の一部である取り付け部に締り嵌めの状態で嵌合して取り付けられており、
    前記取り付け部に対する前記スリンガの半径方向の締め代は、設計車両旋回荷重が作用した場合に前記取り付け部に生じる半径方向の縮径量よりも大きい、車輪用軸受装置。
  3. 前記スリンガは、前記取り付け部に外嵌する円筒部と、当該円筒部の軸方向一端部から径方向外側に延びて設けられている円環部と、を有し、
    前記円筒部の軸方向他端部から1ミリメートル以内の範囲が、前記締め代に設定されている、請求項に記載の車輪用軸受装置。
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