JP6721760B2 - 電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学セルに関する。
従来、アルカリ形燃料電池及び電解セルなどの電気化学セルは、カソード、アノード及び電解質を有する素子部と、カソードに接合されるカソード側拡散層と、アノードに接合されるアノード側拡散層とを備える(例えば、特許文献1参照)。
特開2009―087653号公報
電気化学セルが作動すると、アルコール系有機溶媒(例えば、燃料)や水(又は、水蒸気)が電解質に浸潤する一方、電気化学セルが停止すると、アルコール系有機溶媒や水が電解質から抜け出る。そのため、固体アルカリ形燃料電池の作動/停止が繰り返されると、温度の上昇/低下と共に電解質は膨張/収縮を繰り返す。
このように電解質が膨張/収縮を繰り返す一方で、カソードはカソード側拡散層に拘束され、アノードはアノード側拡散層に拘束されている。そのため、電解質のうちカソードとの界面近傍、又は/及び、アノードとの界面近傍に損傷が生じるおそれがある。
本発明は、電解質の損傷を抑制可能な電気化学セルを提供することを目的とする。
本発明に係る電気化学セルは、膜状の素子部と、カソード側拡散層と、アノードに接合されるアノード側拡散層とを備える。素子部は、カソードと、アノードと、カソードとアノードとの間に配置される電解質とを有する。カソード側拡散層は、カソードに接合される。アノード側拡散層は、アノードに接合される。素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させた場合、素子部の面方向における面積膨張率は10%以下である。素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後の素子部を100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した場合、素子部の重量減少率は5%以下である。
本発明によれば、電解質の損傷を抑制可能な電気化学セルを提供することができる。
固体アルカリ形燃料電池の構成を模式的に示す断面図 図1の部分拡大図
(固体アルカリ形燃料電池10)
以下、本発明に係る素子部を適用した電気化学セルの一例として、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC)の一例である固体アルカリ形燃料電池10の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10の構成を示す断面図である。固体アルカリ形燃料電池10は、素子部11、カソード側拡散層13、及びアノード側拡散層15を備える。
素子部11は、カソード側拡散層13が接合される第1主面11Sと、アノード側拡散層15が接合される第2主面11Tとを有する。素子部11は、全体的に扁平な膜状に形成される。膜状とは、面方向に広がるシート状、フィルム状、又は薄板状を意味する。面方向とは、第1主面11S又は第2主面11Tに沿った方向を意味する。素子部11の厚みは特に制限されないが、例えば10〜500μmとすることができる。
素子部11の平面形状は特に制限されず、例えば矩形、正方形、円形、楕円形、三角形、5角以上の多角形、或いはその他の複雑な形状にすることができる。
素子部11は、カソード12、アノード14、及び電解質16を有する。素子部11は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電する。ただし、下記の電気化学反応式では、燃料の一例としてメタノールが用いられている。
・カソード12: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード14: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
カソード12は、カソード側拡散層13と電解質16との間に配置される。カソード12は、カソード側拡散層13と電解質16とに直接的に接合される。アノード14は、アノード側拡散層15と電解質16との間に配置される。アノード14は、アノード側拡散層15と電解質16とに直接的に接合される。電解質16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質16は、カソード12及びアノード14のそれぞれと直接的に接合される。カソード12、アノード14、及び電解質16の詳細に構成については後述する。
カソード側拡散層13は、カソード12に接合される。カソード側拡散層13は、カソード12を挟んで電解質16の反対側に配置される。カソード側拡散層13は、多孔体である。カソード側拡散層13は、酸化剤供給手段17から供給される酸化剤をカソード12に効率的に供給する。カソード側拡散層13は、電子伝導体である。カソード側拡散層13は、カソード12より電気抵抗が低いことが好ましい。このようなカソード側拡散層13は、金属或いはカーボンなど公知の導電体によって構成することができ、ガス透過性、耐薬品性、電気伝導性及び機械強度に優れたカーボンペーパーやカーボンクロスなどが特に好適である。
アノード側拡散層15は、アノード14に接合される。アノード側拡散層15は、アノード14を挟んで電解質16の反対側に配置される。アノード側拡散層15は、多孔体である。アノード側拡散層15は、燃料供給手段18から供給される燃料をアノード14に効率的に供給する。アノード側拡散層15は、電子伝導体である。アノード側拡散層15は、カソード12より電気抵抗が低いことが好ましい。このようなアノード側拡散層15は、金属或いはカーボンなど公知の導電体によって構成することができ、ガス透過性、耐薬品性、電気伝導性及び機械強度に優れたカーボンペーパーやカーボンクロスなどが特に好適である。
ここで、本実施形態に係る素子部11を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させた場合、素子部11の面方向における面積膨張率は10%以下である。
素子部11の面積膨張率を10%以下とすることによって、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、カソード12側からの水分の浸潤によって、或いは、アノード14側からの燃料の浸潤によって、電解質16が過剰に膨張することを抑制できる。また、固体アルカリ形燃料電池10の停止後、電解質16から水分や燃料が抜け出ることによって、電解質16が過剰に収縮することを抑制できる。従って、カソード側拡散層13に拘束されるカソード12と電解質16との界面、又は/及び、アノード側拡散層15に拘束されるアノード14と電解質16との界面に応力が発生することを抑制できる。その結果、電解質16のうちカソード12との界面近傍、又は/及び、アノード14との界面近傍に損傷が生じることを抑制できる。素子部11の面積膨張率は、7%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下が特に好ましい。
また、素子部11を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後の素子部11を100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した場合、素子部11の重量減少率は、5%以下である。
素子部11の重量減少率を5%以下とすることによって、後述する多孔質基材20の連続孔20a内に配置される複合部22a(「イオン伝導体」の一例)が外部に溶出(或いは、脱粒)することを抑制できる。その結果、固体アルカリ形燃料電池10の出力を長期間にわたって維持することができる。素子部11の重量減少率は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下が特に好ましい。
以上のように、面積膨張率及び重量減少率のそれぞれを制限することによって、電解質16の耐久性を向上させることができるため、固体アルカリ形燃料電池10の作動/停止が繰り返されても、電解質16に損傷が生じることを抑制できる。
なお、メタノールは、分子径が小さく、かつ、極性が強いため、他のアルコール類や水などと比較して、電解質成分を膨潤及び溶解させやすい。そのため、5mol/Lメタノール水溶液を用いたときの面積膨張率及び重量減少率を指標とすることによって、セル構成や燃料種類などに関わりなく、電解質16の耐久性を精度良く判断することができる。
面積膨張率は、下記式によって算出される。下記式において、S1は、浸漬前における素子部11の第1主面11Sの面積であり、S2は、浸漬後における素子部11の第1主面11Sの面積である。なお、浸漬後における第1主面11Sの面積は、素子部11をメタノール水溶液から取り出して2分以内に測定するものとする。
面積膨張率=100×(S2−S1)/S1
重量減少率は、下記式によって算出される。下記式において、W1は、浸漬前における素子部11の重量であり、W2は、液温60℃のメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後に100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した後の素子部11の重量である。
重量減少率=100×(W2−W1)/W1
なお、面積膨張率及び重量減少率を測定する際には、素子部11の両面に接合されたカソード側拡散層13及びアノード側拡散層15それぞれを、カッターなどで剥離する。この際、カソード12及びアノード14が微量に取り除かれる場合があるが、カソード12及びアノード14自体は軟性を有する物質であり、面積膨張率及び重量減少率への影響は極めて小さいため、誤差の範囲として許容される。
(素子部11の構成)
カソード12は、一般的に空気極と呼ばれる陽極である。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、カソード12には、酸化剤供給手段17及びカソード側拡散層13を介して、酸素(O)を含む酸化剤が供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード12は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード12の気孔率は特に制限されない。カソード12の厚みは特に制限されないが、例えば10〜200μmとすることができる。
カソード12は、AFCに使用される公知の空気極触媒を含むものであればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード12における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。カソード触媒はカーボンに担持させるのが好ましい。カソード12ないしそれを構成する触媒の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
カソード12の作製方法は特に限定されないが、例えば、カソード触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16のカソード側表面16Sに塗布することにより形成することができる。
アノード14は、一般的に燃料極と呼ばれる陰極である。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、アノード14には、燃料供給手段18及びアノード側拡散層15を介して、水素原子(H)を含む燃料が供給される。アノード14は、内部に燃料を拡散可能な多孔質体である。アノード14の気孔率は特に制限されない。アノード14の厚みは特に制限されないが、例えば10〜500μmとすることができる。
水素原子を含む燃料は、アノード14において水酸化物イオン(OH)と反応可能な燃料化合物を含んでいればよく、液体燃料及び気体燃料のいずれの形態であってもよい。
燃料化合物としては、例えば、(i)ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、及びカルボンヒドラジド((NHNHCO)等のヒドラジン類、(ii)尿素(NHCONH)、(iii)アンモニア(NH)、(iv)イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の複素環類化合物、(v)ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)等のヒドロキシルアミン類、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの燃料化合物のうち炭素を含まない化合物(すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、アンモニア、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等)は、一酸化炭素による触媒被毒の問題が無いため特に好適である。
燃料化合物は、そのまま燃料として用いてもよいが、水及び/又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール等)に溶解させた溶液として用いてもよい。例えば、上記燃料化合物のうち、ヒドラジン、水化ヒドラジン、モノメチルヒドラジン及びジメチルヒドラジンは液体であるので、そのまま液体燃料として使用可能である。また、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、カルボンヒドラジド、尿素、イミダゾール、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、及び硫酸ヒドロキシルアミンは固体であるが水に可溶である。1,3,5−トリアジン及びヒドロキシルアミンは固体であるがアルコールに可溶である。アンモニアは気体であるが水に可溶である。このように、固体の燃料化合物は、水又はアルコールに溶解させて液体燃料として使用可能である。燃料化合物を水及び/又はアルコールに溶解させて用いる場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、例えば30〜99.9重量%であり、好ましくは66〜99.9重量%である。
また、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類を含む炭化水素系液体燃料、メタン等の炭化水素系ガス、或いは純水素などは、そのまま燃料として用いることができる。特に、本実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10に用いられる燃料としては、メタノールが好適である。メタノールは、気体状態、液体状態、及び、気液混合状態のいずれであってもよい。
アノード14は、AFCに使用される公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、及びPd等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。アノード14及びそれを構成する触媒の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
アノード14の作製方法は特に限定されないが、例えば、アノード触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16のアノード側表面16Tに塗布することにより形成することができる。
図2は、電解質16の断面を拡大して示す模式図である。電解質16は、多孔質基材20と、無機固体電解質体22と、複数の金属粒子24とを有する。
多孔質基材20は、連続孔20aを形成する。連続孔20aは、多孔質基材20の表裏面に連なるように形成される。連続孔20aには、後述する無機固体電解質体22が含浸されている。
多孔質基材20は、三次元網目構造を有していてもよい。「三次元網目構造」とは、基材の構成物質が立体的かつ網目状に繋がった構造である。ただし、多孔質基材20は、三次元網目構造を有していなくてもよい。
多孔質基材20は、金属材料、セラミックス材料及び高分子材料から選択される少なくとも1種によって構成することができる。
多孔質基材20を構成する金属材料としては、ステンレス(Fe−Cr系合金、Fe−Ni−Cr系合金など)、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、又は、チタンなどを用いることができる。このような金属材料は、セラミックス材料や高分子材料に比べて熱伝導性が高いため、多孔質基材20の放熱効率を向上させることができるとともに、多孔質基材20内の温度分布を低減させることができる。
三次元網目構造を有する多孔質基材20としては、例えば、多孔質金属材料(例えば、発泡金属材料)によって構成されるセル状又はモノリス状の構造物、細線金属材料によって構成されるメッシュ状の塊や金属不織布などが挙げられる。
三次元網目構造を有さない多孔質基材20としては、金属材料によって構成される複数の線材を織り込むことによって形成されたメッシュ部材のほか、微細な複数のストレート孔が形成された金属薄板が挙げられる。メッシュ部材は、全体としてシート状に形成されていてもよい。線材の織り方は、平織り、綾織り、平畳織り、綾畳織り、或いは他の織り方であってもよい。多孔質基材20としてメッシュ部材を用いる場合、各線材の隙間(すなわち、目開き)が連続孔20aとなる。金属薄板のストレート孔は、例えばレーザー加工によって形成することができる。多孔質基材20として金属薄板を用いる場合、ストレート孔が連続孔20aとなる。
また、多孔質基材20が金属材料によって構成される場合、多孔質基材20の表面(連続孔20aの内表面を含む)には絶縁膜が形成されていてもよい。絶縁膜は、基材金属の不動態化処理によって形成される不動態膜であってもよいし、Cr、Al、ZrO、MgO、MgAlなどの酸化物によって構成される酸化物膜であってもよい。多孔質基材20をステンレスによって構成する場合、ステンレスを酸化処理することにより、絶縁膜としてのCr膜を簡便に形成することができる。ただし、本実施形態では、後述する第1及び第2膜状部22b,22cが、カソード12及びアノード14それぞれとの間で絶縁膜として機能するため、多孔質基材20の表面には、絶縁膜が形成されていなくてもよい。
多孔質基材20を構成するセラミックス材料としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、カルシア、コージェライト、ゼオライト、ムライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。
多孔質基材20を構成する高分子材料としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、セルロース、ナイロン、ポリエチレン、ポリイミド及びこれらの任意の組合せが挙げられる。多孔質基材20をフレキシブル性の高分子材料で構成する場合には、連続孔20aの体積を大きくしながら厚さを薄くしやすいため、水酸化物イオン伝導性を向上させることができる。高分子材料によって構成される多孔質基材20としては、リチウム電池用セパレータとして市販されているような微多孔膜を用いることができる。
多孔質基材20の厚さは特に制限されないが、例えば、200μm以下とすることができ、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下であり、50μm以下が最も好ましい。多孔質基材20の厚さの下限値は、用途に応じて適宜設定すればよいが、ある程度の堅さを確保するには10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。
多孔質基材20の断面における連続孔20aの平均内径は特に制限されない。多孔質基材20が金属材料によって構成される場合、連続孔20aの平均内径は、1〜1000μmとすることができ、好ましくは2〜500μm、より好ましくは5〜400μm、さらに好ましくは7〜300μm、特に好ましくは10〜200μmである。また、多孔質基材20がセラミックス材料又は高分子材料によって構成される場合、連続孔20aの平均内径は、例えば、0.001〜1.5μmとすることができ、好ましくは0.001〜1.25μm、より好ましくは0.001〜1.0μm、さらに好ましくは0.001〜0.75μm、特に好ましくは0.001〜0.5μmである。これらの範囲内とすることによって、多孔質基材20に支持体としての強度を付与しつつ、無機固体電解質体22の緻密度を向上させることができる。連続孔20aの平均内径は、多孔質基材20の断面を電子顕微鏡で観察した場合に、観察画像上で無作為に選出した20箇所における連続孔20aの円相当径を算術平均することによって得られる。連続孔20aの円相当径とは、観察画像において、連続孔20aの断面積と同じ面積を有する円の直径である。なお、電子顕微鏡の倍率は、連続孔20aの断面サイズに応じて適宜設定すればよい。
連続孔20aの体積率は特に制限されないが、例えば、10〜60%とすることができ、好ましくは15〜55%、より好ましくは20〜50%である。これらの範囲内とすることによって、多孔質基材20に支持体としての強度を確保しつつ、無機固体電解質体22の緻密度を向上させることができる。連続孔20aの体積率は、アルキメデス法により測定することができる。
また、図2では図示されていないが、多孔質基材20は、それ自体の内部に複数の細孔を有することが好ましい。複数の細孔は、多孔質基材20の内部において、互いに繋がっていてもよい。そして、各細孔は多孔質基材20の表面に開口する開気孔であって、各細孔には無機固体電解質体22が含浸していることがより好ましい。これによって、連続孔20a→多孔質基材20内の細孔→連続孔20aという短距離イオン伝導パスや、連続孔20a→多孔質基材20内の細孔→第2膜状部22c、或いは、第1膜状部22b→多孔質基材20内の細孔→第2膜状部22cという長距離イオン伝導パスを形成することができる。その結果、複合部22a内のイオン伝導可能領域が広がるため、電解質16全体としてのイオン伝導性を向上させることができる。
無機固体電解質体22は、水酸化物イオン伝導性を有する。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、無機固体電解質体22は、カソード12側からアノード14側に水酸化物イオン(OH)を伝導させる。無機固体電解質体22の水酸化物イオン伝導率は特に制限されないが、0.1mS/cm以上が好ましく、より好ましくは0.5mS/cm以上、さらに好ましくは1.0mS/cm以上である。無機固体電解質体22の水酸化物イオン伝導率は、高いほど好ましく、その上限値は特に制限されないが、例えば10mS/cmである。
無機固体電解質体22は、緻密であることが好ましい。アルキメデス法で算出される無機固体電解質体22の相対密度は特に制限されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上である。無機固体電解質体22は、例えば水熱処理によって緻密化することができる。
本実施形態において、無機固体電解質体22は、複合部22a(「イオン伝導体」の一例)、第1膜状部22b、及び第2膜状部22cを有する。
複合部22aは、第1膜状部22bと第2膜状部22cとの間に配置される。複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20a内に配置される。複合部22aは、連続孔20a内に含浸されており、多孔質基材20と一体化している。このように、無機固体電解質体22を多孔質基材20で支持することによって、無機固体電解質体22の強度を向上できるため、無機固体電解質体22を薄くすることができる。その結果、電解質16の低抵抗化を図ることができる。
本実施形態において、複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20a内の略全域に広がっているが、無機固体電解質体22が第1膜状部22b及び第2膜状部22cの少なくとも一方を有さない場合、複合部22aは、多孔質基材20の一部にのみ含浸されていてもよい。
図2に示すように、複合部22aは、第1層a1、金属分布層a2、及び第2層a3を含む。第1層a1、金属分布層a2、及び第2層a3は、多孔質基材20の厚み方向において、カソード12側から順次配置される。第1層a1は、金属分布層a2のカソード12側に配置される。第2層a3は、金属分布層a2のアノード14側に配置される。金属分布層a2は、第1層a1及び第2層a3の間に挟まれ、厚み方向に垂直な面方向に沿って広がる。
第1層a1及び第2層a3のそれぞれは、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分によって構成される。水酸化物イオン伝導性セラミックス成分の詳細については後述する。
金属分布層a2は、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分と、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分中に分散された金属成分とによって構成される。すなわち、金属分布層a2は、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分と金属成分との混合層であり、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分全体が金属成分によって補強されているため、湿潤に伴う体積変化を低減させることができる。これにより、素子部11の面積膨張率を10%以下に抑えることができる。素子部11の面積膨張率は、金属分布層a2における金属成分の含有量を多くするほど低減する。
金属成分は、多孔質基材20と水酸化物イオン伝導性セラミックス成分との隙間に配置されていることが好ましい。このように、多孔質基材20と水酸化物イオン伝導性セラミックス成分との隙間を金属成分で埋めることによって、金属分布層a2の緻密度を向上させることができる。その結果、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、カソード12側からの水分透過、及び、アノード14側からの燃料透過が抑制されるため、素子部11の面積膨張率をより抑えることができる。また、カソード12からアノード14への酸化剤の透過、及び、アノード14からカソード12への燃料の透過を抑制できるため、固体アルカリ形燃料電池10の起電力の低下が抑えられる。
金属成分は、多孔質基材20と水酸化物イオン伝導性セラミックス成分との間に形成された空隙内に配置されていてもよい。この場合であっても、空隙内に金属成分が配置されていない場合に比べて、酸化剤及び燃料の透過を抑制することができる。
金属成分同士は、互いに離れていることが好ましいが、一部の金属成分は、互いに接触していてもよい。
金属成分は、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素、Cu、Ag、Au等の第11族元素から選択することができる。金属分布層a2を構成する金属成分は、電解質16中で安定して存在するものであればよい。
多孔質基材20の厚み方向において、金属分布層a2の厚みTH1は、多孔質基材20の厚みTH2の10分の1以下であることが好ましい。このように金属分布層a2を薄くすることによって、電解質16が電子伝導性を発現することを抑制できる。金属分布層a2の厚みTH1は特に制限されないが、例えば10μm以下とすることができ、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。
金属分布層a2は、厚み方向における多孔質基材20の中央よりもカソード12側に配置されることが好ましい。すなわち、金属分布層a2は、カソード12の近くに位置することが好ましい。これにより、ガス遮断性と耐久性とを両立させることができる。
金属分布層a2の断面における金属成分の平均円相当径は特に制限されないが、例えば0.01〜1μmとすることができる。金属成分の平均円相当径は、0.5μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。これによって、ガス遮断性と耐久性とを両立させることができる。金属成分の平均円相当径とは、金属分布層a2の断面を電子顕微鏡で観察した画像上で無作為に選出した100個の金属成分の円相当径を算術平均することによって得られる。金属成分の円相当径とは、電子顕微鏡の断面画像において、金属成分の断面積と同じ面積を有する円の直径である。なお、100個の金属成分は、複数の視野から選出してもよい。電子顕微鏡の倍率は、金属成分の断面サイズに応じて適宜設定すればよい。
なお、本実施形態では、図2に示すように、金属分布層a2が、複合部22aのうち面方向の全域にわたって連続的に配置されることとしたが、面方向の全域にわたって断続的に配置されていてもよい。また、金属分布層a2が、複合部22aのうち面方向の一部にのみ配置されていてもよい。この場合、金属分布層a2の存在しない領域では、第1層a1と第2層a3とが直接的に連なることになる。
第1膜状部22bは、複合部22aのうち第1層a1のカソード12側に配置される。第1膜状部22bは、複合部22aの第1層a1と一体的に形成される。第1膜状部22bは、膜状に形成される。第1膜状部22bは、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分によって構成される。
第2膜状部22cは、複合部22aのうち第2層a3のアノード14側に配置される。第2膜状部22cは、複合部22aの第2層a3と一体的に形成される。第2膜状部22cは、膜状に形成される。第2膜状部22cは、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分によって構成される。
第1膜状部22b及び第2膜状部22cそれぞれの厚さは特に制限されないが、例えば、10μm以下とすることができ、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。第1膜状部22b及び第2膜状部22cそれぞれは、一様な平面状に形成されていてもよいし、縞状など所望の平面形状にパターン化されていてもよい。
次に、複合部22a、第1膜状部22b、及び第2膜状部22cが含有する水酸化物イオン伝導性セラミックス成分について説明する。
水酸化物イオン伝導性セラミックス成分としては、水酸化物イオン伝導性を有する周知のセラミックスを用いることができるが、以下に説明する層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)が特に好適である。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
複数の金属粒子24のそれぞれは、複合部22a内に配置される。具体的には、各金属粒子24は、複合部22aのうち第1層a1及び第2層a3に配置される。各金属粒子24は、多孔質基材20と複合部22aとの隙間に配置されていてもよいし、複合部22aの内部に配置されていてもよい。すなわち、各金属粒子24は、多孔質基材20と複合部22aとによって挟まれていてもよいし、複合部22a内に埋設されていてもよい。
このように、複合部22a内の空隙が金属粒子24で埋められているため、複合部22aの一部が外部に溶出(脱粒)してしまうことを抑制できる。これによって、上述したとおり、素子部11の重量減少率を5%以下に抑えることができる。素子部11の重量減少率は、複合部22a内の空隙率を小さくするほど低減する。
また、固体アルカリ形燃料電池10を長期間運転するうちに複合部22a内の温度分布や乾湿分布に起因して複合部22aに微小なクラックが発生したとしても、複合部22a内に金属粒子24が配置されているため、当該クラックが進展することを抑制できる。特に、高分子材料又は金属材料によって多孔質基材20が構成される場合には、上記クラックの進展を更に抑制することができる。従って、カソード12からアノード14への酸化剤の透過、及び、アノード14からカソード12への燃料の透過を、長期間にわたって抑制することができる。
各金属粒子24は、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素、Cu、Ag、Au等の第11族元素から選択される1種によって構成される。選択する金属は、LDH膜中で安定に存在するのであれば、この限りではない。
電解質16の断面における金属粒子24の平均円相当径は特に制限されないが、例えば、0.01〜1μmとすることができる。金属粒子24の平均円相当径は、0.5μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。これによって、ガス遮断性と耐久性とを両立させることができる。金属粒子24の平均円相当径は、電解質16の断面を電子顕微鏡で観察し、無作為に選出した100個の金属粒子24の円相当径を算術平均することによって得られる。金属粒子24の円相当径とは、電解質16の断面を電子顕微鏡で観察した場合に、金属粒子24と同じ面積を有する円の直径である。なお、100個の金属粒子24は、複数の視野から選出してもよい。電子顕微鏡の倍率は、金属粒子24の断面サイズに応じて適宜設定すればよい。
(電解質16の製造方法)
次に、電解質16の製造方法について説明する。
まず、多孔質基材20を用意する。
次に、アルミナ及びチタニアの混合ゾルを調製し、この混合ゾルを多孔質基材20の連続孔20aのうち複合部22aの第1層a1を形成する領域に浸透させる。
次に、混合ゾルが浸透した多孔質基材20を熱処理(大気雰囲気、50〜150℃、1〜30分)することによって、連続孔20aのうち複合部22aの第1層a1を形成する領域にアルミナ・チタニア層を形成する。
次に、ニッケルイオン(Ni2+)及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材20を浸漬させ、原料水溶液中で多孔質基材20を水熱処理する。この際、水熱処理条件(100〜150℃、10〜100時間)を適宜調整することによって、複合部22aの第1層a1が形成されるとともに、第1層a1に連なる第1膜状部22bが形成される。この際、第1層a1内には空隙(多孔質基材20と第1層a1との隙間、或いは、第1層a1の内部の気孔)が点在する。
次に、溶融した金属含有溶液(例えば、テトラアンミン白金水酸化物水溶液[Pt(NH](OH)など)を多孔質基材20のアノード14側から浸潤させることによって、溶融した金属イオンを第1層a1上に溜める。その後、多孔質基材20を挟むように電極(例えば、白金箔を表面処理し白金黒化したもの)を取り付けて電流を流すことで金属成分が第1層a1上に電解析出して固化する。この際、金属含有溶液における金属成分の含有量を多くするほど、或いは、電解析出させる時間を長くするほど、金属分布層a2における金属成分の含有量を多くすることができる。
次に、アルミナ及びチタニアの混合ゾルを調製し、この混合ゾルを多孔質基材20の連続孔20aのうち複合部22aの第2層a3を形成する領域に浸透させる。
次に、混合ゾルが浸透した多孔質基材20を熱処理(大気雰囲気、50〜150℃、1〜30分)することによって、連続孔20aのうち複合部22aの第2層a3を形成する領域にアルミナ・チタニア層を形成する。
次に、ニッケルイオン(Ni2+)及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材20を浸漬させ、原料水溶液中で多孔質基材20を水熱処理する。この際、水熱処理条件(100〜150℃、10〜100時間)を適宜調整することによって、複合部22aの金属分布層a2及び第2層a3が形成されるとともに、第2層a3に連なる第2膜状部22cが形成されて、電解質16が完成する。この際、第2層a3内には空隙(多孔質基材20と第2層a3との隙間、或いは、第2層a3の内部の気孔)が点在する。
次に、溶融した金属含有溶液(例えば、テトラアンミン白金水酸化物水溶液[Pt(NH](OH)など)に第1層a1及び第2層a3を浸漬させることによって、溶融した金属イオンを第1層a1及び第2層a3に浸潤させる。浸潤した金属イオンは、第1層a1及び第2層a3内の空隙に溜まる。その後、第1層a1及び第2層a3に電極(例えば、白金箔を表面処理し白金黒化したもの)を取り付けて電流を流すことで金属が電解析出して固化する。これによって、第1層a1及び第2層a3内の空隙に金属粒子24が配置される。この際、金属含有溶液への浸漬時間を長くするほど、複合部22a内の空隙率を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、アルカリ性の金属含有溶液を用いたが、電解質16がカチオン交換膜であれば酸性の金属含有溶液(例えば、塩化白金酸塩酸溶液HPtCl)を用いてもよい。
また、金属成分を析出させるために電解析出処理を用いたが、電解質16の絶縁性を確保できる限り、この限りではない。
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態では、本発明に係る素子部を適用した電気化学セルの一例として、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池について説明したが、本発明に係る素子部は、種々の電気化学セルに適用可能である。電気化学セルとしては、例えば、プロトンをキャリアとする燃料電池、二次電池(ニッケル亜鉛二次電池、亜鉛空気二次電池など)、水蒸気から水素と酸素を生成する電解セルなどに適用することができる。電気化学セルがプロトンをキャリアとする場合、複合部22a、第1膜状部22b、及び第2膜状部22cは、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分に代えて、プロトン伝導性セラミックス成分を含有していればよい。なお、電気化学セルとは、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるための装置と、電気エネルギーを化学エネルギーに変えるための装置であって、全体的な酸化還元反応から起電力が生じるように一対の電極が配置されたものの総称である。
[変形例2]
上記実施形態では、無機固体電解質体22は、複合部22a、第1膜状部22b、及び第2膜状部22cを有することとしたが、少なくとも複合部22aを有していればよい。すなわち、無機固体電解質体22は、第1膜状部22b及び第2膜状部22cの少なくとも一方を備えていなくてよい。
無機固体電解質体22が第1膜状部22bを備えていない場合、複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20aの全体に含浸されていてもよいし、多孔質基材20の連続孔20aのうちカソード12側の領域にのみ含浸されていてもよい。多孔質基材20の連続孔20aのうちカソード12側の領域にのみ複合部22aが含浸される場合、連続孔20aの空隙領域にはアノード14の少なくとも一部を配置すればよい。連続孔20aの空隙領域に配置されるアノード14は、連続孔20aに充填されていてもよいし、連続孔20aの内表面を覆うように膜状に形成されていてもよい。
無機固体電解質体22が第2膜状部22cを備えていない場合、複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20aの全体に含浸されていてもよいし、多孔質基材20の連続孔20aのうちアノード14側の領域にのみ含浸されていてもよい。多孔質基材20の連続孔20aのうちアノード14側の領域にのみ複合部22aが含浸される場合、連続孔20aの空隙領域にはカソード12の少なくとも一部を配置すればよい。連続孔20aの空隙領域に配置されるカソード12は、連続孔20aに充填されていてもよいし、連続孔20aの内表面を覆うように膜状に形成されていてもよい。
[変形例3]
上記実施形態では、複合部22aは、金属分布層a2を1層だけ有することとしたが、金属分布層a2とは異なる他の金属分布層をさらに有していてもよい。他の金属分布層は、上記実施形態に係る金属分布層a2から厚み方向に離れた位置において面方向に広がる。他の金属分布層は、金属分布層a2とは異なる金属成分を含有していてもよい。このように、金属分布層を多層的に配置することによって、電解質16の面積膨張率を更に抑制することができる。
[変形例4]
上記実施形態では触れていないが、複合部22aは、その内部に形成された複数の閉気孔を有していることがより好ましい。このような閉気孔が複合部22aの内部に形成されることによって、固体アルカリ形燃料電池10の作動中に複合部22aの含水状況の変動に起因する電解質16の体積変化を緩和させることができる。これにより、カソード12と電解質16との界面、又は/及び、アノード14と電解質16との界面に応力が発生することを抑制できる。また、閉気孔が複合部22aの内部に形成されることで、複合部22aに柔軟性を付与することができるため、固体アルカリ形燃料電池10内の温度分布に起因して、カソード12と電解質16との界面、又は/及び、アノード14と電解質16との界面に熱応力が発生することを抑制できる。そのため、カソード12又は/及びアノード14から電解質16が剥離したり、或いは、電解質16自体が変形したりすることを抑制できる。
複合部22a内の閉気孔は、多孔質基材20に接していてもよい。すなわち、閉気孔は、連続孔20aの内表面と直接的に接触していてもよい。この場合、閉気孔の存在による多孔質基材20の拘束面積を低減できるため、多孔質基材20自体の柔軟性を向上させることができる。そのため、電解質16に体積変化や変形が生じた場合に、カソード12と電解質16との界面、又は/及び、アノード14と電解質16との界面に応力が発生することをより抑制できる。
また、閉気孔は、多孔質基材20から離れていてもよい。すなわち、閉気孔は、複合部22aの内部に閉じこめられて、連続孔20aの内表面と直接的に接触していなくてもよい。この場合、電解質16に体積変化や変形が生じた場合に、多孔質基材20、複合部22a及び閉気孔の三者で作られる角部を起点として、複合部22aが多孔質基材20から剥離することを抑制できる。
各閉気孔の平均円相当径は特に制限されないが、例えば、0.001〜1.0μmとすることができる。各閉気孔の平均円相当径は、0.001μm以上が好ましく、0.002μm以上がより好ましい。これによって、複合部22aの柔軟性をより向上させることができる。また、各閉気孔の平均円相当径は、1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましい。これによって、カソード12に供給される酸化剤がアノード14側に透過したり、或いは、アノード14に供給される燃料がカソード12側に透過したりすることを抑制できる。各閉気孔の平均円相当径は、電解質16の断面を20,000〜1,500,000倍の電子顕微鏡で観察し、無作為に選出した20個の閉気孔の円相当径を算術平均することによって得られる。閉気孔の円相当径とは、電解質16の断面において、閉気孔と同じ面積を有する円の直径である。ただし、0.001μm以下の円相当径を有する閉気孔は、複合部22aの体積変化の緩和及び柔軟性向上への寄与が極めて小さいため、各閉気孔の平均円相当径を求める際には除外するものとする。
[変形例5]
上記実施形態では、水熱処理によって作製した第1層a1上に金属成分を電解析出させた後、水熱処理によって第2層a3を作製することによって、第1層a1、第2膜状部22c及び第2層a3を有する複合部22aを形成することとしたが、これに限られない。
例えば、複合部22aは、以下のように形成することができる。まず、バインダー材料(例えば、ポリフッ化ビニリデン粉末などの高分子バインダー材料)と水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料(例えば、LDH粉末など)とを混合したペーストを印刷法でシート化することによって第1層a1の成形体を作製する。次に、金属成分(第8〜11族元素)とバインダー材料と水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料とを混合したペーストを第1層a1の成形体上に印刷することによって金属分布層a2の成形体を作製する。次に、バインダー材料と水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料とを混合したペーストを金属分布層a2の成形体上に印刷することによって第2層a3の成形体を作製する。次に、各成形体の積層体に熱処理又はホットプレス処理を施すことによって、複合部22aが形成される。そして、上記実施形態にて説明した手法により金属粒子24を電解析出させることによって、第1層a1及び第2層a3内の空隙を金属粒子24で埋める。この場合、熱処理によって固化したバインダー材料によって多孔質基材20が構成され、セラミックス粒子によって複合部22a(「イオン伝導体」の一例)が構成される。
本発明の実施例について説明する。以下の実施例では、素子部11の面積膨張率を10%以下に抑えるとともに、素子部11の重量減少率を5%以下に抑えることの効果を確認する。ただし、本発明は以下に説明する実施例には限定されない。
(実施例1〜5及び比較例1〜3の素子部11の作製)
まず、ポリフッ化ビニリデンによって構成され、連続孔20aを有する多孔質基材20を用意した。
次に、アルミナ及びチタニアの混合ゾルを調製し、多孔質基材20の連続孔20aのうち複合部22aの第1層a1を形成する領域に混合ゾルを浸潤させた。
次に、混合ゾルが付着した多孔質基材20を熱処理(大気雰囲気、80℃、120分)することによって、連続孔20aのうち第1層a1を形成する領域にアルミナ・チタニア層を形成した。
次に、Ni2+及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材20を浸漬させ、原料水溶液中で多孔質基材20を水熱処理(120℃、5時間)することによって、複合部22aのうち第1層a1を形成した。
次に、溶融したテトラアンミン白金水酸化物水溶液を多孔質基材20のアノード14側から浸潤させて第1層a1上に溜めた。その後、多孔質基材20を挟むように電極(Pt箔)を取り付けて電流を流すことによって、第1層a1上に金属成分(Pt)を電解析出させた。この際、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれにおける電解析出時間を変更することによって、後に形成される金属分布層a2におけるPtの含有量を変更し、これにより表1に示すように素子部11の面積膨張率を調整した。
次に、アルミナ及びチタニアの混合ゾルを調製し、多孔質基材20の連続孔20aのうち複合部22aの第2層a3を形成する領域に混合ゾルを浸潤させた。
次に、混合ゾルが付着した多孔質基材20を熱処理(大気雰囲気、80℃、120分)することによって、連続孔20aのうち第2層a3を形成する領域にアルミナ・チタニア層を形成した。
次に、Ni2+及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材20を浸漬させ、原料水溶液中で多孔質基材20を水熱処理(120℃、5時間)することによって、複合部22aのうち金属分布層a2及び第2層a3を形成した。
次に、溶融したテトラアンミン白金水酸化物水溶液に第1層a1及び第2層a3を浸漬させることによって、溶融したテトラアンミン白金水酸化物水溶液を第1層a1及び第2層a3に浸潤させた。その後、第1層a1及び第2層a3に電極(白金箔を表面処理し白金黒化したもの)を取り付けて電流を流すことによって、第1層a1及び第2層a3内の空隙にPtを電解析出させた。この際、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれにおいて、金属含有溶液への浸漬時間を変更することによって第1層a1及び第2層a3の空隙率を変更し、これにより表1に示すように素子部11の重量減少率を調整した。以上により、電解質16が完成した。
次に、炭素に担持されたカソード触媒(Pt/C)とバインダー(ポリフッ化ビニリデン)とを混合したペースト状混合物を電解質16のカソード側表面16Sに塗布することによって、カソード12を形成した。
次に、炭素に担持されたアノード触媒(Pt−Ru/C)とバインダー(ポリフッ化ビニリデン)とを混合したペースト状混合物を電解質16のアノード側表面16Tに塗布することによって、アノード14を形成した。
以上により、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11が完成した。
(面積膨張率の測定)
まず、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11について、カソード側主面の面積S1を測定した。
次に、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11を、液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させた。
次に、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11をメタノール水溶液から取り出して2分以内にカソード側主面の面積S2を測定した。
そして、下記式に基づいて、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11の面積膨張率(%)を算出した。算出結果を表1にまとめて示す。
面積膨張率=100×(S2−S1)/S1
(重量減少率の測定)
まず、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11を新たに準備して、各素子部11の重量W1を測定した。
次に、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後の素子部11を100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した。
次に、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11の重量W2を測定した。
そして、下記式に基づいて、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11の重量減少率(%)を算出した。算出結果を表1にまとめて示す。
重量減少率=100×(W2−W1)/W1
(サイクル劣化試験)
実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11を新たに準備して、各素子部11をカソード側セパレータとアノード側セパレータとで挟むことによって、発電用スタックを作製した。カソード側セパレータ及びアノード側セパレータのそれぞれには、ガス供給管とガス排出管とが設けられている。
次に、カソード12に30℃の加湿空気を流通させ、かつ、アノード14に5mol/Lメタノール水溶液を流通させて発電し、IV測定における0.6V時の出力P1を測定した。
次に、以下の工程a、工程b及び工程cを10サイクル実施した。
工程a:カソード12にドライAirを流通させ、かつ、アノード14にドライNガスを流通させながら、2時間かけて発電用スタックを80℃まで昇温させた。
工程b:カソード12に70℃の加湿空気を流通させ、かつ、アノード14に5mol/Lメタノール水溶液を流通させた状態で2時間保持した。
工程c:カソード12にドライAirを流通させ、かつ、アノード14にドライNガスを流通させながら、2時間かけて発電用スタックを室温まで降温させた。
次に、カソード12に70℃の加湿空気を流通させ、かつ、アノード14に5mol/Lメタノール水溶液を流通させて発電し、IV測定における0.6V時の出力P2を測定した。
そして、下記式に基づいて、実施例1〜5及び比較例1〜3それぞれの素子部11における出力劣化率(%)を算出した。
出力劣化率=100×(P2−P1)/P1
表1において、「◎」は、出力劣化率が1%以下であったことを意味し、「○」は、出力劣化率が1%超3%以下であったことを意味し、「△」は、出力劣化率が3%超5%以下であったことを意味し、「×」は、出力劣化率が5%超であったことを意味する。
Figure 0006721760
表1に示すように、面積膨張率が10%超であった比較例1、重量減少率が5%超であった比較例2、及び、面積膨張率が10%超かつ重量減少率が5%超であった比較例3では、出力劣化率が大きかった。比較例1〜3の素子部11をSEMで断面観察したところ、電解質16とカソード12との界面近傍、及び、電解質16とアノード14との界面近傍に剥離が生じていた。従って、比較例1〜3では、カソード12側における水分の浸潤及び乾燥と、アノード14側における燃料の浸潤及び乾燥とによって、電解質16が過剰に膨張及び収縮したため、素子部11の内部に剥離が生じ、その結果、出力劣化率が大きくなったことが確認された。
一方、面積膨張率が10%以下かつ重量減少率が5%以下であった実施例1〜5では、出力劣化率を小さくすることができた。実施例1〜5の素子部11をSEMで断面観察したところ、電解質16とカソード12との界面近傍、及び、電解質16とアノード14との界面近傍には剥離が生じていなかった。従って、実施例1〜5では、カソード12側における水分の浸潤及び乾燥と、アノード14側における燃料の浸潤及び乾燥とによる電解質16の過剰な膨張及び収縮を抑制できたため、出力劣化率を低減できたことが確認された。
また、面積膨張率が7%以下かつ重量減少率が3%以下であった実施例2では、出力劣化率をより小さくすることができた。
さらに、面積膨張率が5%以下かつ重量減少率が2%以下であった実施例3〜5では、出力劣化率を更に小さくすることができた。
10 固体アルカリ形燃料電池
12 カソード
14 アノード
16 電解質
16S カソード側表面
16T アノード側表面
20 多孔質基材
22 無機固体電解質体
22a 複合部
a1 第1層
a2 金属分布層
a3 第2層
22b 第1膜状部
22c 第2膜状部

Claims (8)

  1. カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置され、イオン伝導性セラミックスを含有する電解質とを有する膜状の素子部と、
    前記カソードに接合されるカソード側拡散層と、
    前記アノードに接合されるアノード側拡散層と、
    を備え、
    前記素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させた場合、前記素子部の面方向における面積膨張率は10%以下であり、
    前記素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後の前記素子部を100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した場合、前記素子部の重量減少率は5%以下である、
    電気化学セル。
  2. 前記面積膨張率が7%以下であり、かつ、前記重量減少率が3%以下である、
    請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記面積膨張率が5%以下であり、かつ、前記重量減少率が2%以下である、
    請求項1に記載の電気化学セル。
  4. 前記電解質は、
    連続孔を形成する多孔質基材と、
    前記イオン伝導性セラミックスによって構成され、前記連続孔内に配置されるイオン伝導体と、
    を有する、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の電気化学セル。
  5. カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置される電解質とを有する膜状の素子部と、
    前記カソードに接合されるカソード側拡散層と、
    前記アノードに接合されるアノード側拡散層と、
    を備え、
    前記素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させた場合、前記素子部の面方向における面積膨張率は10%以下であり、
    前記素子部を液温60℃の5mol/Lメタノール水溶液に3時間浸漬させる工程と、浸漬後の前記素子部を100℃の大気中で5時間乾燥させる工程とを10回繰り返した場合、前記素子部の重量減少率は5%以下であり、
    前記電解質は、連続孔を形成する多孔質基材と、前記連続孔内に配置されるイオン伝導体とを有し、
    前記イオン伝導体は、前記多孔質基材の厚み方向において順次配置される第1層、金属分布層、及び第2層を含み、
    前記第1層及び第2層のそれぞれは、イオン伝導性セラミックス成分と、当該イオン伝導性セラミックス成分内に配置される複数の金属粒子とによって構成され、
    前記金属分布層は、イオン伝導性セラミックス成分と、当該イオン伝導性セラミックス成分中に分散された金属成分とによって構成される、
    電気化学セル。
  6. 前記厚み方向において、前記金属分布層の厚みは、前記多孔質基材の厚みの10分の1以下である、
    請求項5に記載の電気化学セル。
  7. 前記金属成分は、Ptである、
    請求項5又は6に記載の電気化学セル。
  8. 前記金属分布層は、前記厚み方向における前記多孔質基材の中央よりも前記カソード側に配置される、
    請求項5乃至7のいずれかに記載の電気化学セル。
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