以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による通信装置1の送受信部の構成例を示した図である。通信装置1は、高周波信号を送受信する電気機器であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、無線タブレット、無線ルータなどの移動体通信端末、あるいは、無線基地局、無線アクセスポイントに適用してよい。
本実施形態による通信装置1の送受信部は、第1アンテナANT1と、第2アンテナANT2と、フィルタ回路(DIP(Diplexer))FLT1、FLT2と、低帯域送受信回路LB_TRと、中高帯域送受信回路MB/HB_TRと、低帯域受信回路LB_Rと、中高帯域受信回路MB/HB_Rと、トランシーバ回路TR_ICと、ベースバンド回路BB_ICとを備えている。
アンテナANT1は、高周波信号を送受信するプライマリアンテナである。フィルタ回路FLT1は、アンテナANT1に接続されており、アンテナANT1で受信された受信信号を低帯域受信信号と中高帯域受信信号に分波し、あるいは、アンテナANT1から送信する低帯域送信信号と中高帯域送信信号を合波する。
低帯域送受信回路LB_TRは、フィルタ回路FLT1とトランシーバ回路TR_ICとの間に接続されており、受信回路R1および送信回路T1を備える。受信回路R1は、スイッチ回路SW_TR1およびフィルタ回路FLT_TR1を介して低帯域(例えば、1GHz未満のローバンド)の受信信号をフィルタ回路FLT1からトランシーバ回路TR_ICへスイッチングおよび増幅して出力する。送信回路T1は、フィルタ回路FLT_TR1およびスイッチ回路SW_TR1を介してトランシーバ回路TR_ICから出力する低帯域の送信信号を増幅およびスイッチングしてフィルタ回路FLT1へ出力する。
中高帯域送受信回路MB/HB_TRは、フィルタ回路FLT1とトランシーバ回路TR_ICとの間に接続されており、受信回路R2および送信回路T2を備える。受信回路R2は、スイッチ回路SW_TR2およびフィルタ回路FLT_TR2を介して中高帯域(例えば、1GHz〜3GHzのミドルバンドまたはハイバンド)の受信信号をフィルタ回路FLT1からトランシーバ回路TR_ICへスイッチングおよび増幅して出力する。送信回路T2は、フィルタ回路FLT_TR2およびスイッチ回路SW_TR2を介してトランシーバ回路TR_ICから出力する中高帯域の送信信号を増幅およびスイッチングしてフィルタ回路FLT1へ出力する。
アンテナANT2は、高周波信号を受信するセカンダリアンテナである。フィルタ回路FLT2は、アンテナANT2に接続されており、アンテナANT2で受信された受信信号を低帯域受信信号と中高帯域受信信号に分波する。
低帯域受信回路LB_Rは、フィルタ回路FLT2とトランシーバ回路TR_ICとの間に接続されており、受信回路R3を備える。受信回路R3は、スイッチ回路SW_R3およびフィルタ回路FLT_R3を介して低帯域の受信信号をフィルタ回路FLT2からトランシーバ回路TR_ICへスイッチングおよび増幅して出力する。
中高帯域受信回路MB/HB_Rは、フィルタ回路FLT2とトランシーバ回路TR_ICとの間に接続されており、受信回路R4を備える。受信回路R4は、スイッチ回路SW_R4およびフィルタ回路FLT_R4を介して中高帯域の受信信号をフィルタ回路FLT2からトランシーバ回路TR_ICへスイッチングおよび増幅して出力する。
トランシーバ回路TR_ICおよびベースバンド回路BB_ICは、受信信号を受けて受信信号をベースバンド信号へ復調し、あるいは、ベースバンド信号を変調して送信信号にする。
低帯域送受信回路LB−TRおよび中高帯域送受信回路MB/HB−TRによって、通信装置1は、アンテナANT1において複数の周波数帯域の信号を同時に送受信可能である。低帯域受信回路LB−Rおよび中高帯域受信回路MB/HB−Rによって、通信装置1は、アンテナANT2において複数の周波数帯域の信号を同時に受信可能である。即ち、通信装置1は、所謂、キャリアアグリゲーション機能を有する。また、通信装置1は、複数のアンテナANT1およびANT2を備え、それによりMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)機能を用いた受信を行うことができる。
図2は、受信回路R1の構成を示す図である。受信回路R2〜R4の構成も受信回路R1の構成と同様でよい。従って、ここでは、受信回路R1の構成を説明し、受信回路R2〜R4の構成の説明については省略する。
受信回路R1は、増幅回路LNA1と、第1スイッチ回路SW1と、第2スイッチ回路SW2と、制御回路CNTと、インピーダンス整合回路IMP_MCと、複数の入力ポートPin_1〜Pin_n(nは2以上の整数)と、出力ポートPoutとを備えている。
第1増幅部としての増幅回路LNA1は、入力部としての複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれかから入力された受信信号を、所定の利得(例えば、約15dB)で増幅して第1出力部としての出力ポートPoutへ出力する低ノイズ増幅回路である。増幅回路LNA1は、制御回路CNTからのモード選択信号Mselに従ってオンまたはオフに切り替えられる。例えば、後述するように、受信信号の増幅動作を実行するゲインモードにおいて、増幅回路LNA1はモード選択信号Mselによってオン状態になる。受信信号を増幅せずに出力するバイパスモードでは、増幅回路LNA1はモード選択信号Mselによってオフ状態になる。
第1スイッチ部としての第1スイッチ回路SW1は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nと増幅回路LNA1との間に設けられ、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれかをインピーダンス整合回路IMP_MCを介して増幅回路LNA1へ接続する。即ち、第1スイッチ回路SW1は、所謂、SPnT(Single-Pole n-Throw)スイッチ回路である。例えば、ゲインモードにおいて、第1スイッチ回路SW1は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれか1つの入力ポートから入力された受信信号を、インピーダンス整合回路IMP_MCを介して増幅回路LNA1へ送る。その受信信号は増幅回路LNA1で増幅されて出力ポートPoutから出力される。
インピーダンス整合部としてのインピーダンス整合回路IMP_MCは、第1スイッチ回路SW1と増幅回路LNA1との間に設けられており、例えば、図4に示すようにインダクタ素子およびキャパシタ素子で構成されたLC回路である。インピーダンス整合回路IMP_MCは、受信回路R1の入力インピーダンスを、所定のインピーダンス(例えば、50オーム)に整合させるために設けられている。インピーダンス整合回路IMP_MCは、増幅回路LNA1およびスイッチ回路SW1、SW2と同じ半導体チップ上に設けられてもよく、それらとは別の外部素子として設けられてもよい(図19参照)。本実施形態において、インピーダンス整合回路IMP_MCは、増幅回路LNA1およびスイッチ回路SW1、SW2と同じ半導体チップ上に設けられているものとする。また、インピーダンス整合回路IMP_MCは、入力ポートPin_1〜Pin_nと第1スイッチ回路SW1との間に設けられていてもよい。
第2スイッチ部としての第2スイッチ回路SW2は、インピーダンス整合回路IMP_MCおよび増幅回路LNA1を介することなく、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nと出力ポートPoutとの間に設けられている。第2スイッチ回路SW2は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれかを出力ポートPoutへ接続する。即ち、第2スイッチ回路SW2も、所謂、SPnTスイッチ回路である。例えば、バイパスモードにおいて、第2スイッチ回路SW2は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれか1つの入力ポートから入力された受信信号を、出力ポートPoutへバイパスする。その受信信号は、増幅されずに出力ポートPoutから出力される。このように第2スイッチ回路SW2はバイパススイッチとして機能する。
制御部としての制御回路CNTは、ポート選択信号Pselおよびモード選択信号Mselを受信回路R1の外部から入力し、ポート選択信号Pselおよびモード選択信号Mselに基づいてスイッチ回路SW1、SW2および増幅回路LNA1を制御する。例えば、ポート選択信号Pselが入力ポートPin_1を指定し、モード選択信号Mselがゲインモードを指定している場合、制御回路CNTは、第1スイッチ回路SW1の入力ポートPin_1に対応するスイッチをオン状態(導通状態)にし、かつ、第1スイッチ回路SW1の他の入力ポートPin_2〜Pin_nに対応するスイッチをオフ状態(非導通状態)にする。このとき、制御回路CNTは、増幅回路LNA1を駆動させ、かつ、第2スイッチ回路SW2の全ての入力ポートに対応するスイッチをオフ状態にする。一方、例えば、ポート選択信号Pselが入力ポートPin_1を指定し、モード選択信号Mselがバイパスモードを指定している場合、制御回路CNTは、第2スイッチ回路SW2の入力ポートPin_1に対応するスイッチをオン状態にし、かつ、第2スイッチ回路SW2の他の入力ポートPin_2〜Pin_nに対応するスイッチをオフ状態にする。このとき、制御回路CNTは、増幅回路LNA1を停止させ、かつ、第1スイッチ回路SW1の全ての入力ポートに対応するスイッチをオフ状態にする。
ゲインモードは、受信信号の信号強度が小さく増幅回路LNA1で増幅する必要がある場合に選択される動作モードである。バイパスモードは、受信信号の信号強度が充分に大きく増幅の必要がない場合に選択される動作モードである。モード信号Mselは、受信信号の強度に応じて、ゲインモードまたはバイパスモードのいずれかを指定する。このように、本実施形態による受信回路R1は、ゲインモードとバイパスモードとにおいて、異なる伝送経路で受信信号を伝送することができる。
図3は、増幅回路LNA1の構成例を示す図である。増幅回路LNA1は、N型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)FET1、FET2(以下、単にFET1、FET2)と、インダクタ素子L1、L2と、キャパシタ素子C1〜C3,CB1、CB2と、抵抗素子RB1、RB2と、バイアス電圧発生回路BGとを備えている。
FET1およびFET2がカスコード接続されており、電源Vddとグランド(基準電圧源)GNDとの間に直列に接続されている。より詳細には、FET1のドレインは、FET2のソースに接続されており、FET1のソースは、インダクタ素子L1を介してグランドGNDに接続されている。FET2のドレインは、インダクタ素子L2を介して電源Vddに接続されており、キャパシタ素子C3を介して出力ポートPoutに接続されている。FET1のゲートは、キャパシタ素子C1を介してインピーダンス整合回路IMP_MCに接続されており、キャパシタ素子C2を介してグランドGNDに接続されている。さらに、FET1のゲートは、抵抗素子RB1を介してバイアス電圧発生回路BGに接続されている。FET2のゲートは、抵抗素子RB2を介してバイアス電圧発生回路BGに接続されており、キャパシタ素子CB2を介してグランドGNDに接続されている。
バイアス電圧発生回路BGは、制御回路CNTからのイネーブル信号ENを受けて、増幅回路LNA1を駆動または停止させるために、電圧VB1をFET1のゲートに印加し、電圧VB2をFET2のゲートに印加する。例えば、制御回路CNTは、ゲインモードにおいてイネーブル信号ENをハイレベルとし、バイアス電圧発生回路BGは、電圧VB1、VB2を所定電圧にする。これにより、増幅回路LNA1が動作する。一方、制御回路CNTは、バイパスモードにおいてイネーブル信号ENをロウレベルとし、バイアス電圧発生回路BGは、電圧VB1、VB2をほぼゼロにする。これにより、増幅回路LNA1が停止する。
キャパシタ素子C2およびインダクタ素子L1は、インピーダンス整合回路IMP_MC、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2とともに、増幅回路LNA1の利得およびノイズを考慮してインピーダンス整合をとるために設けられている。インダクタ素子L2およびキャパシタ素子C3は、出力インピーダンス整合回路として設けられている。キャパシタ素子C1は、インピーダンス整合回路IMP_MCからの直流成分をカットするために設けられている。キャパシタ素子CB1、CB2および抵抗素子RB1、RB2は、インピーダンス整合回路IMP_MCからの高周波信号がバイアス電圧発生回路BGへ進入しないように設けられている。
図4(A)〜図4(C)は、インピーダンス整合回路IMP_MCの構成例を示す図である。インピーダンス整合回路IMP_MCは、インダクタ素子Lmと、キャパシタ素子Cmとを備えている。あるいは、インピーダンス整合回路IMP_MCは、キャパシタ素子Cmを含まず、インダクタ素子Lmで構成されている。図4(A)では、インダクタ素子Lmは、入力端子RFinと出力端子RFoutとの間に接続されており、キャパシタ素子Cmは、出力端子RFoutとグランドGNDとの間に接続されている。図4(B)では、キャパシタ素子Cmは、入力端子RFinと出力端子RFoutとの間に接続されており、インダクタ素子Lmは、出力端子RFoutとグランドGNDとの間に接続されている。図4(C)では、インダクタ素子Lmは、入力端子RFinと出力端子RFoutとの間に接続されており、キャパシタ素子Cmは設けられていない。
入力端子RFinは、第1スイッチ回路SW1に接続され、出力端子RFoutは、増幅回路LNA1に接続される。
インピーダンス整合回路IMP_MCは、図4(A)および図4(B)のいずれの構成であってもよい。尚、インピーダンス整合回路IMP_MCは、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2および増幅回路LNA1のインダクタ素子L1およびキャパシタ素子C2も考慮して入力インピーダンスを所定値(例えば、50オーム)に整合させるために調節される。
図5は、第1スイッチ回路SW1または第2スイッチ回路SW2の構成例を示す図である。第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の構成は同一でよい。従って、ここでは、第1スイッチ回路SW1の構成について説明し、第2スイッチ回路SW2の構成の説明は省略する。
第1スイッチ回路SW1は、所謂、SPnTスイッチである。第1スイッチ回路SW1は、スルー素子群THG1〜THGnを備えている。スルー素子群THG1〜THGnは、それぞれ入力側ポートRF1〜RFnと共通ポートCOMとの間に接続されている。
第1スルー素子群としてのスルー素子群THG1は、直列に接続された複数のスルー素子(スルーFET)T11〜T1p(pは1以上の整数)を含む。スルー素子T11〜T1pは、それぞれ同一構成を有するMOSFETでよい。スルー素子T11〜T1pのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con1を受ける。従って、スルー素子T11〜T1pは、制御信号Con1により同時に同一制御を受ける。これにより、スルー素子群THG1は、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
第2スルー素子群としてのスルー素子群THG2も同様に、直列に接続された複数のスルー素子T21〜T2pを含む。スルー素子T21〜T2pは、それぞれ同一構成を有するMOSFETでよい。スルー素子T21〜T2pのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con2を受ける。従って、スルー素子T21〜T2pは、制御信号Con2により同時に同一制御を受ける。これにより、スルー素子群THG2は、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
スルー素子群THG3〜THGnも、それぞれ同様に直列に接続された複数のスルー素子を含み、同様に制御される。これにより、スルー素子群THG3〜THGnもそれぞれ1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
第1スイッチ回路SW1において、ポートRF1〜RFnは、それぞれ図2の入力ポートPin_1〜Pin_nに接続され、共通ポートCOMはインピーダンス整合回路IMP_MCを介して増幅回路LNA1に接続される。従って、第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG1は、第1入力部としての入力ポートPin_1と増幅回路LNA1との間に設けられており、入力ポートPin_1と増幅回路LNA1との間で受信信号をスイッチングする。第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG2は、第2入力部としての入力ポートPin_2と増幅回路LNA1との間に設けられており、入力ポートPin_2と増幅回路LNA1との間で受信信号をスイッチングする。同様に、第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG3〜THGnも、それぞれ入力ポートPin_3〜Pin_nと増幅回路LNA1との間に設けられており、入力ポートPin_3〜Pin_nと増幅回路LNA1との間で受信信号をスイッチングする。
第2スイッチ回路SW2においても、ポートRF1〜RFnは、それぞれ図2の入力ポートPin_1〜Pin_nに接続され、共通ポートCOMは出力ポートPoutに接続される。従って、第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG1(第3スルー素子群)は、入力ポートPin_1と出力ポートPoutとの間に設けられており、入力ポートPin_1と出力ポートPoutとの間で受信信号をスイッチングする。第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG2(第4スルー素子群)は、入力ポートPin_2と出力ポートPoutとの間に設けられており、入力ポートPin_2と出力ポートPoutとの間で受信信号をスイッチングする。同様に、第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG3〜THGnも、それぞれ入力ポートPin_3〜Pin_nと出力ポートPoutとの間に設けられており、入力ポートPin_3〜Pin_nと出力ポートPoutとの間で受信信号をスイッチングする。
図6(A)および図6(B)は、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の動作を示す表である。図6(A)は、動作モードに対するスイッチ回路SW1、SW2の状態を示す表である。
例えば、第1モードとしてのゲインモードにおいて、第1スイッチ回路SW1は、通過状態となっており、第2スイッチ回路SW2は不通過状態となっている。この場合、第1スイッチ回路SW1は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれかを選択的にインピーダンス整合回路IMP_MCを介して増幅回路LNA1へ接続し、受信信号をインピーダンス整合回路IMP_MCおよび増幅回路LNA1へ通過させる。このとき、第2スイッチ回路SW2は全ての入力ポートPin_1〜Pin_nと出力ポートPoutとの間の高周波数信号を遮断し、受信信号を通過させない。
例えば、第2モードとしてのバイパスモードにおいて、第1スイッチ回路SW1は、不通過状態となっており、第2スイッチ回路SW2は通過状態となっている。この場合、第1スイッチ回路SW1は、全ての入力ポートPin_1〜Pin_nと増幅回路LNA1との間の高周波信号を遮断し、受信信号を通過させない。このとき、第2スイッチ回路SW2は、複数の入力ポートPin_1〜Pin_nのいずれかを選択的に出力ポートPoutへ接続し、受信信号を出力ポートPoutへ通過させる。
図6(B)は、通過状態および不通過状態において、選択ポートまたは非選択ポートに対応するスルー素子群の導通状態を示す表である。尚、第1スイッチ回路SW1および第2スイッチ回路SW2のスルー素子群を区別するために、第1スイッチ回路SW1のスルー素子群をTHG1_1〜THGn_1とし、第2スイッチ回路SW2のスルー素子群をTHG1_2〜THGn_2とする。
スイッチ回路SW1またはSW2が通過状態である場合、ポート選択信号Pselによって選択された選択ポートに対応するスルー素子群は、オン状態(導通状態)となる。一方、ポート選択信号Pselによって選択されていない非選択ポートに対応するスルー素子群は、オフ状態(非導通状態)となる。スイッチ回路SW1またはSW2が不通過状態である場合、ポート選択信号Pselに依らず、スルー素子群はオフ状態となる。
例えば、ゲインモードにおいて入力ポートPin_1が選択ポートである場合、制御信号Con1がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_1に接続された第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG1_1がオン状態となる。他の制御信号Con2〜Con(n)はロウレベルVoffのままであり、第1スイッチ回路SW1の他のスルー素子群THG2_1〜THGn_1はオフ状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_2〜THGn_2は、全てオフ状態となる。
一方、例えば、バイパスモードにおいて入力ポートPin_2が選択ポートである場合、制御信号Con2がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_2に接続された第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG2_2がオン状態となる。他の制御信号Con1、Con3〜Con(n)はロウレベルVoffのままであり、第2スイッチ回路SW2の他のスルー素子群THG1_2、THG3_2〜THGn_2はオフ状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_1〜THGn_1は、全てオフ状態となる。尚、Vonは、スルー素子群のスルーFETが導通状態となり、そのオン抵抗が十分小さくなるゲート電圧である。Voffはスルー素子群のスルーFETが非導通状態となり、高周波信号を充分に遮断できるゲート電圧である。
このように、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2は、モード選択信号Mselに従った動作モードおよびポート選択信号Pselに従った選択ポートによって任意の1つのスルー素子群を介して受信信号を増幅回路LNA1または出力ポートPoutへ伝送することができる。
尚、スルー素子群THG1〜THGnは、それぞれ、直列接続されたp段のスルー素子(スルーFET)を有する。スルー素子の段数pは、受信信号の電力の大きさ、および、スルー素子単体の耐圧特性によって決まる。従って、段数pは、2以上の整数であってもよいが、場合によっては1の場合もあり得る。
以上のように、本実施形態による受信回路R1は、ゲインモードとバイパスモードとにおいて、いずれか一方が不通過状態の第1および第2のスイッチ回路SW1、SW2により分離された異なる伝送経路で受信信号を伝送することができる。ゲインモードにおいて、受信回路R1は、選択ポートからの受信信号を、インピーダンス整合回路IMP_MCを介して増幅回路LNA1で増幅して出力ポートPoutから出力する。これにより、ゲインモードにおける受信信号の経路の入力ポート側からのインピーダンス(入力インピーダンス)は、例えば、受信回路系の特性インピーダンス(例えば、50オーム)にほぼ等しくなるように整合され得る。
一方、バイパスモードにおいて、受信回路R1は、選択ポートからの受信信号を、増幅することなく出力ポートPoutから出力する。これにより、バイパスモードにおける受信信号の経路の入力インピーダンスは、第2スイッチ回路SW2のオン時の抵抗値を低くすれば、例えば、受信回路系の特性インピーダンス(例えば、50オーム)にほぼ等しくなり得る。これにより、本実施形態による受信回路R1は、ゲインモードとバイパスモードとにおける入力インピーダンスの差が低減される。その結果、受信回路R1は、高周波信号の利得をゲインモードとバイパスモードとの両動作モードにおいて可変にしつつ、高周波信号のインピーダンス整合を容易にとることができる。
また、本実施形態において、増幅回路LNA1を構成するFETは、SOI基板上に形成する。SOI基板は、支持基板と、支持基板上の絶縁層と、絶縁層上の半導体層とを備える。増幅回路LNA1等の素子は、半導体層上に設けられる。これにより、増幅回路LNA1の寄生容量が小さくなるので、増幅回路LNA1の高周波特性を向上させることができる。一方、増幅回路LNA1の寄生容量が小さいと、増幅回路LNA1の入力インピーダンスが増大する。従って、増幅回路LNA1をSOI基板上に形成する場合に、本実施形態による受信回路を適用すれば、インピーダンス整合がとり易くなるので有利である。また、SOI基板の支持基板の抵抗率は高い方(例えば、1kΩcm以上)が好ましい。支持基板の抵抗率を高くすることによって、スイッチ回路SW1、SW2の挿入損失やアイソレーション特性を向上させることができるからである。
さらに、本実施形態による受信回路R1は、バイパスモードにおいて増幅回路LNA1を停止させる。従って、受信信号の強度が充分に高い場合には、受信回路R1の消費電力を低減させることができる。
(挿入損失について)
次に、受信回路R1の入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失IL(Insertion Loss)について説明する。一般に、SPnTスイッチ等のような多ポートスイッチの挿入損失ILは、受信信号の周波数に依存し、かつ、入力ポートPin_1〜Pin_nに接続されているスルー素子群のオン抵抗Ronおよびオフ容量Coffによって主に決定される。式1は、挿入損失IL(dB)の近似式である。
IL=|10log10{(1+Ron/2Z0)2+[(Z0+Ron)/2XC]2}|(式1)
XC=1/(2π・f・Coff) (式2)
ここで、Ronは、オン状態のスルー素子群のオン抵抗である。Coffはオフ状態のスルー素子群の容量の総和である。Z0は、受信回路R1のシステムの特性インピーダンスであり、例えば、50オームである。fは受信信号の周波数である。
例えば、ゲインモードにおけるオン抵抗Ron_Gは、第1スイッチ回路SW1において選択ポートに接続されたオン状態のスルー素子群(例えば、スルー素子群THG1_1)のオン抵抗である。ゲインモードにおけるオフ容量Coff_Gは、第1スイッチ回路SW1において非選択ポートに接続されたオフ状態のスルー素子群(例えば、スルー素子群THG2_1〜THGn_1)および第2スイッチ回路SW2の選択ポートに接続されたオフ状態にあるスルー素子群THG1_2の容量である。ゲインモードにおけるオン抵抗Ron_Gは、式3で表される。ゲインモードにおけるオフ容量Coff_Gは、式4で表される。
Ron_G=p1・Ron0/Wg1 (式3)
Coff_G=(n1−1)・Coff0・Wg1/p1+Coff0・Wg2/p2 (式4)
ここで、p1は、第1スイッチ回路SW1の各スルー素子群THG1_1〜THGn_1に含まれるスルーFETの個数(段数)である。p2は、第2スイッチ回路SW2の各スルー素子群THG1_2〜THGn_2に含まれるスルーFETの個数(段数)である。Ron0(ohm・mm)およびCoff0(F/mm)は、それぞれスルーFETの単位長さ(単位ゲート幅)当たりのオン抵抗およびオフ容量である。Wg1、Wg2はそれぞれ第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のスルーFETのゲート幅である。n1(n1≧2)は、第1スイッチ回路SW1の入力ポートの個数である。 式4において、右辺第1項は、第1スイッチ回路SW1においてオフ状態のスルー素子群(例えば、THG2_1〜THGn_1)のオフ容量を示す。右辺第2項は、第2スイッチ回路SW2においてオフ状態のスルー素子群(例えば、THG1_2)のオフ容量を示す。
式1〜式4から、ゲインモードにおける第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の挿入損失ILは、式1、式2のRonおよびCoffに、式3、式4のRon_G、Coff_Gを代入すればよい。これにより、ゲインモードにおける挿入損失ILを抑制するためには、Ron_GおよびCoff_Gを低減することが好ましいと分かる。
また、ゲインモードにおける受信回路R1全体の雑音指数NFtotal(単位:dB)は、入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失IL(単位:dB)と増幅回路LNA1の雑音指数NFLNA(単位:dB)との和で決まる。従って、ゲインモードにおける受信回路R1全体の雑音指数NFtotalを低減するためには、入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失ILを低減することが効果的である。なお、インピーダンス整合回路IMP_MCRの挿入損失は、構成する回路素子を適切に選択することで小さくできるため、FinとLNA間の挿入損失に与える影響は無視できる。
そこで、ゲインモードにおける入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失ILを抑制するために、まず、Ron_Gを可及的に低減させることが好ましいことが分かる。ここで、スルーFETのRon・Coff積は、通常、その構造によって一義的に決まり、一定値となる。従って、ゲインモードにおける第1スイッチ回路SW1のオン抵抗Ron_Gを低下させた場合、第1スイッチ回路SW1のオフ容量が増大する。即ち、ゲインモードで選択の可能性のあるスルー素子群THG1_1〜THGn_1のオン抵抗を低下させた場合、各スルー素子群THG1_1〜THGn_1のオフ容量が増大する。第1スイッチ回路SW1のオフ容量が増大すると、式4の右辺第1項が増大するので、ゲインモードにおけるオフ容量Coff_Gが増大してしまう。オフ容量Coff_Gの増大は、式1および式2から、やはり挿入損失ILの増大に繋がる。例えば、オフ容量Coff_Gの増大は、高周波数帯域において挿入損失ILを大きくしてしまう。
そこで、次に、オフ容量Coff_Gの増大を可及的に抑制するために、式4の右辺第2項を可及的に低減する。即ち、第2スイッチ回路SW2のオフ容量を低減させる。第2スイッチ回路SW2のオフ容量を低減させることによって、オフ容量Coff_Gが抑制され、ゲインモードにおける入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失を抑制することができる。即ち、本実施形態では、ゲインモードにおける第1スイッチ回路SW1のオン抵抗Ron_Gおよび第2スイッチ回路SW2のオフ容量を低減させることによって、入力ポートPin_nと増幅回路LNA1間の挿入損失ILを低減させる。
例えば、本実施形態では、少なくとも式4の右辺第2項が第1項以下となるように設定する。この場合、式5が成り立つ。
(Wg2/p2)/(Wg1/p1)≦(n1−1) (式5)
例えば、第1スイッチ回路SW1におけるスルーFETの段数p1と第2スイッチ回路SW2におけるスルーFETの段数p2とが等しい場合、第2スイッチ回路SW2を構成するスルーFETのゲート幅Wg2を、第1スイッチ回路SW1を構成するスルーFETのゲート幅Wg1より小さく設定すればよい。代替的に、ゲート幅Wg1とゲート幅Wg2とが等しい場合、第1スイッチ回路SW1におけるスルーFETの段数p1を第2スイッチ回路SW2におけるスルーFETの段数p2よりも少なくすればよい。
一方、第2スイッチ回路SW2のRon・Coff積が一定であることから、第2スイッチ回路SW2のオフ容量を低減させると、第2スイッチ回路SW2のオン抵抗が上昇する。これにより、バイパスモードにおける入力ポートPin_nと出力ポートPout間の挿入損失が上昇する。しかし、バイパスモードでは、受信回路R1は、比較的強度の高い受信信号を処理するので、バイパスモードにおける入力ポートPin_nと出力ポートPout間の挿入損失は或る程度高くても差し支えない。寧ろ、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2は、増幅の必要な比較的強度の低い受信信号を、低い挿入損失で伝送することがより好ましい。
さらに、本実施形態によれば、第2スイッチ回路SW2は、出力ポートPoutに接続されているので、ゲインモードにおいて出力ポートPoutから出力される増幅後の信号が印加される。従って、第2スイッチ回路SW2は、第1スイッチ回路SW1よりも大きな電力を遮断できる必要がある。スイッチの遮断能力(耐圧)は、スルーFETの段数および各スルーFETの耐圧特性により決定される。従って、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2が同じスルーFETで構成されているものとすると、第2スイッチ回路SW2の各スルー素子群を構成するスルーFETの段数p2を、第1スイッチ回路SW1の各スルー素子群を構成するスルーFETの段数p1以上(p2≧p1)とすることが好ましい。
尚、ゲインモードにおける入力ポートPin_nと増幅回路LNAの挿入損失ILを低減させると、Ron・Coff積が一定であることから、バイパスモードにおける入力ポートPin_nと出力ポートPout間の挿入損失が上昇する。この場合、受信回路R1の入力インピーダンスがバイパスモードにおいて整合しなくなるおそれがある。この場合、ゲインモードにおける挿入損失ILとインピーダンス整合とのトレードオフとなるが、挿入損失ILを優先するか、あるいは、インピーダンス整合を優先するかは、実際の使用形態によって決定すればよい。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態による受信回路R1の構成を示す図である。受信回路R2〜R4の構成も受信回路R1の構成と同様でよい。尚、受信回路R1〜R4は、図2に示す受信回路および図7に示す受信回路のいずれか一方でよく、任意に組み合わせてもよい。
受信回路R1は、増幅回路LNA1と出力ポートPoutとの間に設けられた第3スイッチ回路SW3をさらに備えている。第3スイッチ部としての第3スイッチ回路SW3は、ゲインモードにおいて増幅回路LNAと出力ポートPoutとを接続し、バイパスモードにおいて増幅回路LNAと出力ポートPoutとを遮断する。制御回路CNTは、第3スイッチ回路SW3をさらに制御する。第2実施形態の受信回路R1のその他の構成は、第1実施形態の受信回路R1の対応する構成と同様でよい。
図8は、第3スイッチ回路SW3の構成例を示す図である。第3スイッチ回路SW3は、複数のスルー素子T1〜Tp、S1〜Sq(p、qは1以上の整数)を備えている。スルー素子T1〜Tpは、ポートRFinとRFoutとの間に直列に接続されており、スルーFETとして機能する。シャント素子S1〜Sqは、ポートRFinとグランドGNDとの間に直列に接続されており、シャントFETとして機能する。尚、ポートRFinは、増幅回路LNA1の出力に接続されており、ポートRFoutは出力ポートPoutに接続されている。
スルー素子T1〜Tpのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Conを受ける。従って、スルー素子T1〜Tpは、制御信号Conにより同時に同一制御を受ける。これにより、スルー素子T1〜Tpは、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
シャント素子S1〜Sqのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Conbを受ける。従って、シャント素子S1〜Sqは、制御信号Conbにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子S1〜Sqは、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
制御信号Con、Conbは、互いに相補の信号である。従って、スルー素子T1〜Tpが導通状態のときに、シャント素子S1〜Sqは非導通状態となる。スルー素子T1〜Tpが非導通状態のときに、シャント素子S1〜Sqは導通状態となる。制御信号Con、Conbの電圧レベルは、第1実施形態の制御信号Con1〜Con(n)の電圧レベル(ハイレベルVon、ロウレベルVoff)と同様でよい。
図9は、第3スイッチ回路SW3の動作を示す表である。例えば、ゲインモードにおいて、スルー素子T1〜Tpは、導通状態(オン状態)となっており、シャント素子S1〜Sqは非導通状態(オフ状態)となっている。この場合、第3スイッチ回路SW3は、増幅回路LNA1からの信号を出力ポートPoutへ通過させる。このとき、シャント素子S1〜Sqはオフ状態であるので、増幅回路LNA1の出力信号の出力ポートPoutへの通過に対し影響をあたえることはない。
例えば、バイパスモードにおいて、スルー素子T1〜Tpは、非導通状態(オフ状態)となっており、シャント素子S1〜Sqは導通状態(オン状態)となっている。バイパスモードでは、受信信号は、第2スイッチ回路SW2を介して出力ポートPoutへ伝送される。従って、スルー素子T1〜Tpがオフ状態となっていることによって、第3スイッチ回路SW3は、出力ポートPoutからの受信信号を増幅回路LNA1へ漏洩させない。また、シャント素子S1〜SqがポートRFinをグランドGNDへシャントしているので、出力ポートPoutからの受信信号の増幅回路LNAへの漏洩をより抑圧できる。即ち、第3スイッチ回路SW3によって、バイパスモードにおける増幅回路LNA1と出力ポートPoutとの間のアイソレーション特性を向上させることができる。
さらに、第2実施形態によれば、バイパスモードにおいて、第3スイッチ回路SW3が、第2スイッチ回路SW2および出力ポートPoutから増幅回路LNA1を分離する。これにより、バイパスモードにおけるインピーダンス整合は、増幅回路LNA1の影響を考慮せずに実現することができる。その結果、バイパスモードにおけるインピーダンス整合が容易になる。
尚、スルー素子T1〜Tp、S1〜Sqの個数p、qは、信号電力の強度およびスルーFETまたはシャントFETの耐圧特性によって決定される。従って、p、qは、2以上の整数であってもよいが、場合によっては1の場合もあり得る。
また、スルーFETとしてのスルー素子T1〜Tpのみで充分なアイソレーション特性が得られる場合、シャントFETとしてのシャント素子S1〜Sqは設けなくてもよい。
尚、図7の第3スイッチ回路SW3は、図10に示すようなスイッチ回路であってもよい。図10は、第3スイッチ回路SW3の他の構成例を示す図である。図10の第3スイッチ回路SW3は、増幅回路LNA1と第2スイッチ回路SW2とのいずれか一方に出力ポートPoutを接続するSPDT(SinglePole Dual-Throw)スイッチである。図10の第3スイッチ回路SW3は、図8に示すスイッチの構成を、増幅回路LNA1と出力ポートPoutとの間、および、第2スイッチ回路SW2と出力ポートPoutとの間のそれぞれに接続すればよい。これら2つのスイッチ構成を互いに相補に制御することによって、図10の第3スイッチ回路SW3が実現することができる。第3スイッチ回路SW3は、このようなSPDTスイッチであってもよい。
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態による受信回路R1の構成を示す図である。受信回路R2〜R4の構成も受信回路R1の構成と同様でよい。
第3実施形態による受信回路R1は、それぞれ異なる周波数帯域の受信信号を同時に受信可能な、所謂、CA(Carrier Aggregation)に対応した受信回路である。
本実施例による受信回路R1は、受信信号のうち周波数帯域の異なる任意の2つの信号をそれぞれ増幅またはバイパスし、増幅またはバイパスした受信信号を出力ポートPout_1、出力ポート(第2出力部)Pout_2から出力する。
受信回路R1は、制御回路CNTによって制御される。
第3実施形態による受信回路R1は、それぞれ異なる周波数帯域の受信信号を同時に受信可能な、所謂、CAに対応することができる。
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態による受信回路R1の構成を示す図である。受信回路R2〜R4の構成も受信回路R1の構成と同様でよい。
受信回路R1は、入力ポートPin_1〜Pin_nと第1スイッチ回路SW1との間に接続されたインダクタ素子L1〜Lnをさらに備えている。第4実施形態による受信回路R1のその他の構成は、第1実施形態による受信回路R1の対応する構成と同様でよい。
インダクタ素子L1〜Lnは、インピーダンス整合回路IMP_MCおよび増幅回路LNA1内のインピーダンス整合素子(L1、C2)とともに、入力インピーダンス整合のために設けられている。従って、インダクタ素子L1〜Lnは、全て設ける必要は必ずしも無く、必要に応じて一部の入力ポートに対応して設けてもよい。
増幅回路LNA1の利得特性およびNF特性は、インダクタンス値によって変化する。また、受信信号の周波数によって最適なインダクタンス値が異なる。従って、第4実施形態において、インダクタ素子L1〜Lnは、それぞれに対応する入力ポートPin_1〜Pin_nからの受信信号の周波数に応じたインダクタンス値にすればよい。これにより、第4実施形態による受信回路R1は、所望の利得特性およびNF特性を有することができる。
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態による第1スイッチ回路SW1または第2スイッチ回路SW2の構成例を示す図である。第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の構成は同一でよい。従って、ここでは、第1スイッチ回路SW1の構成について説明し、第2スイッチ回路SW2の構成の説明は省略する。勿論、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のいずれか一方が図13の構成を有し、他方が図5の構成を有してもよい。
第5実施形態による第1スイッチ回路SW1は、各スルー素子群THG1〜THGnの途中にシャント素子群SHG1〜SHGnが接続されている点で第1実施形態の第1スイッチ回路SW1と異なる。第5実施形態の他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
シャント素子群SHG1〜SHGnは、それぞれスルー素子群THG1〜THGnの途中にあるノードN1〜NnとグランドGNDとの間に接続されている。例えば、第1シャント素子群SHG1は、ノードN1とグランドGNDとの間に直列に接続された複数のシャント素子(シャントFET)S11〜S1qを含む。第1ノードとしてのノードN1は、第1スルー素子群THG1の複数のスルー素子T11〜T1p間のいずれかのノードである。シャント素子S11〜S1qのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con1bを受ける。従って、シャント素子S11〜S1qは、制御信号Con1bにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子群SHG1は、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
例えば、第2シャント素子群SHG2は、ノードN2とグランドGNDとの間に直列に接続された複数のシャント素子(シャントFET)S21〜S2qを含む。第2ノードとしてのノードN2は、第2スルー素子群THG2の複数のスルー素子T21〜T2p間のいずれかのノードである。シャント素子S21〜S2qのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con2bを受ける。従って、シャント素子S21〜S2qは、制御信号Con2bにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子群SHG2は、1つのスイッチのようにオン/オフ制御される。
シャント素子群SHG3〜SHGnも同様に構成されている。尚、図示しないが、シャント素子群SHG3〜SHGnは、それぞれスルー素子群THG3〜THGnに対して第3〜第nノードにおいて接続されている。
図14(A)および図14(B)は、第5実施形態による第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の動作を示す表である。図14(A)は、図6(A)と同じである。図14(B)は、図6(B)の表に対して、シャント素子群(シャントFET)のオン/オフ状態をさらに含む。制御信号Con1b〜Con(n)bは、制御信号Con1〜Con(n)の相補信号である。従って、スルー素子群とシャント素子群とは相補に動作する。
以下、第1スイッチ回路SW1および第2スイッチ回路SW2のスルー素子群を区別するために、第1スイッチ回路SW1のスルー素子群をTHG1_1〜THGn_1とし、第2スイッチ回路SW2のスルー素子群をTHG1_2〜THGn_2とする。第1スイッチ回路SW1のシャント素子群をSHG1_1〜SHGn_1とし、第2スイッチ回路SW2のシャント素子群をSHG1_2〜SHGn_2とする。
スイッチ回路SW1またはSW2が通過状態である場合、選択ポートに対応するスルー素子群はオン状態となり、選択ポートに対応するシャント素子群はオフ状態となる。一方、非選択ポートに対応するスルー素子群はオフ状態となり、非選択ポートに対応するシャント素子群はオン状態となる。スイッチ回路SW1またはSW2が不通過状態である場合、ポート選択信号Pselに依らず、スルー素子群はオフ状態となり、シャント素子群はオン状態となる。
例えば、ゲインモードにおいて入力ポートPin_1が選択ポートである場合、制御信号Con1がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_1に接続された第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG1_1がオン状態となる。このとき、制御信号Con1bはロウレベルVoffとなって、第1スイッチ回路SW1のシャント素子群SHG1_1はオフ状態となる。
第1スイッチ回路SW1の他の制御信号Con2〜Con(n)はロウレベルVoffのままであるので、第1スイッチ回路SW1の他のスルー素子群THG2_1〜THGn_1はオフ状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_2〜THGn_2は、全てオフ状態となる。一方、第1スイッチ回路SW1の制御信号Con2b〜Con(n)bはハイレベルVonとなり、シャント素子群SHG2_1〜SHGn_1はオン状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2は不通過状態であるので、シャント素子群SHG1_2〜SHGn_2は、全てオン状態となる。
例えば、バイパスモードにおいて入力ポートPin_2が選択ポートである場合、制御信号Con2がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_2に接続された第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG2_2がオン状態となる。このとき、制御信号Con2bがロウレベルVoffとなって、入力ポートPin_2に接続された第2スイッチ回路SW2のシャント素子群SHG2_2がオフ状態となる。
第2スイッチ回路SW2の他の制御信号Con1、Con3〜Con(n)はロウレベルVoffのままであり、第2スイッチ回路SW2の他のスルー素子群THG1_2、THG3_2〜THGn_2はオフ状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_1〜THGn_1は、全てオフ状態となる。一方、第2スイッチ回路SW2の制御信号Con1b、Con3b〜Con(n)bはハイレベルVonであり、シャント素子群SHG1_2、SHG3_2〜SHGn_2はオン状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1は不通過状態であるので、シャント素子群SHG1_1〜SHGn_1は、全てオン状態となる。
このように、ゲインモードまたはバイパスモードにおいて、非選択ポートに対応するスルー素子群が受信信号を遮断するときには、それに対応するシャント素子群がオン状態となる。これにより、シャント素子群が非選択ポートに対応するスルー素子群をグランドGNDにシャントし、非選択ポートと共通ポートCOMとの間で漏洩しようとする信号(不要波)を抑圧できる。これにより、シャント素子群は、非選択ポートと共通ポートCOMとの間のアイソレーション特性を向上させることができる。
また、例えば、第1シャント素子群SHG1は、第1スルー素子群THG1の途中のノードN1に接続されている。即ち、少なくとも1つのスルー素子がポートRF1とノードN1との間に設けられ、少なくとも1つの他のスルー素子がノードN1と増幅回路LNA1との間に設けられている。他のシャント素子群SHG2〜SHGnも同様である。これにより、ポートCOMから非選択ポート側への信号漏洩が低減できる。その結果、受信信号を通過させる選択ポートRF1に対応するスルー素子群THG1に与える影響が小さくなり、選択ポートに対応するスルー素子群THG1のインピーダンス整合を容易化することができる。
さらに、選択ポートからの入力信号が、ゲインモードの場合は第2スイッチ回路SW2側へ、バイパスモードの場合は第1スイッチ回路SW1側へ漏洩する量を第1の実施例よりも抑圧できる。このため、ゲインモードの信号経路とバイパスモードの信号経路の間の相互影響が小さくなるため、ゲインモードおよびバイパスモードのインピーダンス整合を容易化することができる。
尚、シャント素子S11〜S1qのサイズ(ゲート幅/ゲート長)は、スルー素子T11〜T1pのそれよりも小さく設計することが好ましい。即ち、シャント素子S11〜S1qのオフ容量を、スルー素子T11〜T1pのそれよりも小さくする。シャント素子S11〜S1qのオフ容量を小さくすることによって、スルー素子T11〜T1pが受信信号を通過させるときに、シャント素子S11〜S1qは受信信号に左程悪影響を与えないからである。
図13の構成を第2スイッチ回路SW2に適用した場合、アイソレーション特性が良好であるので、ゲインモードにおいて、第2スイッチ回路SW2は、出力ポートPoutから入力ポートPin_1〜Pin_nへの増幅信号の逆戻りを抑制することができる。即ち、第5実施形態による第2スイッチ回路SW2は、リバースアイソレーション特性を向上させることができる。その結果、増幅回路LNA1の不安定動作を抑制することができる。
尚、或るスルー素子群において直列接続されたスルー素子の個数pおよび或るシャント素子群において直列接続されるシャント素子の個数qは、受信信号の電力の大きさ、および、FET単体の耐圧特性によって決定される。従って、p、qは、2以上の整数であってもよいが、場合によっては1の場合もあり得る。
第5実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第5実施形態は、第1実施形態の効果も有する。また、第5実施形態は、他の実施形態と組み合わせてもよい。
(第6実施形態)
図15は、第6実施形態による第1スイッチ回路SW1または第2スイッチ回路SW2の構成例を示す図である。第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の構成は同一でよい。従って、ここでは、第1スイッチ回路SW1の構成について説明し、第2スイッチ回路SW2の構成の説明は省略する。勿論、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のいずれか一方が図15の構成を有し、他方が図5または図13の構成を有してもよい。
第6実施形態による第1スイッチ回路SW1は、スルー素子群THG1〜THGnに対して共通のシャント素子群SHGcomが共通ポートCOMに接続されている点で第1実施形態と異なる。第5シャント素子群としてのシャント素子群SHGcomは、第1スイッチ回路SW1と増幅回路LNAとの間の第5ノードNcomとグランドGNDとの間に直列に接続された複数のシャント素子S1〜Sqを含む。
シャント素子群SHGcomのゲートは、制御回路CNTに接続されており、制御信号ConSを受ける。従って、シャント素子S1〜Sqは、制御信号ConSにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子群SHGcomは、1つのスイッチとしてオン/オフ制御される。第6実施形態の他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
尚、図15のスイッチ回路を第2スイッチ回路SW2に適用する場合には、ゲインモードにおいて、第2スイッチ回路SW2を出力ポートPoutから遮断する第3スイッチSW3が必要になる。第3スイッチSW3は、図10に示す第3スイッチ回路SW3でよい。この場合、第6シャント素子群としてのシャント素子群SHGcomの複数のシャント素子S1〜Sqは、第2スイッチ回路SW2と出力ポートPoutとの間のノード(第7ノード)とグランドGNDとの間に直列に接続されることになる。このように、図15のスイッチ回路は、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のいずれか一方または両方に適用することができる。
もし、ゲインモードにおいて、第2スイッチ回路SW2が出力ポートPoutに接続されていると、シャント素子群SHGcomが増幅回路LNA1の出力整合特性に影響を与えてしまい、所望の増幅特性が得られない。
これに対し、第3スイッチSW3を設けることによって、ゲインモードにおいて、第2スイッチ回路SW2と出力ポートPoutとの間を遮断する。これにより、増幅回路LNA1からの受信信号が第2スイッチ回路SW2への逆戻りを抑制することができる。即ち、第3スイッチ回路SW3は、ゲインモードにおけるリバースアイソレーション特性を向上させることができる。また、SW2のLNA増幅特性に対する影響を防止できる。
図16(A)および図16(B)は、第6実施形態による第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の動作を示す表である。図16(A)は、図6(A)と同じである。図16(B)は、図6(B)の表に対して、シャント素子群SHGcomのオン/オフ状態をさらに含む。
制御信号ConSは、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の通過/不通過状態によってオン/オフ制御される。例えば、ゲインモードにおいて、第1スイッチ回路SW1が通過状態である場合、第1スイッチ回路SW1の制御信号ConSは、ロウレベルVoffとなる。これにより、第1スイッチ回路SW1のシャント素子群SHGcomは、オフ状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2が不通過状態となるので、第2スイッチ回路SW2の制御信号ConSは、ハイレベルVonとなる。これにより、第2スイッチ回路SW2のシャント素子群SHGcomは、オン状態となる。
一方、バイパスモードにおいて、第2スイッチ回路SW2が通過状態である場合、第2スイッチ回路SW2の制御信号ConSは、ロウレベルVoffとなる。これにより、第2スイッチ回路SW2のシャント素子群SHGcomは、オフ状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1が不通過状態となるので、第1スイッチ回路SW1の制御信号ConSは、ハイレベルVonとなる。これにより、第1スイッチ回路SW1のシャント素子群SHGcomは、オン状態となる。尚、第3スイッチ回路SW3は、ゲインモードにおいて増幅回路LNA1側に接続され、バイパスモードにおいて第2スイッチ回路SW2側に接続される。
このように、第6実施形態によれば、ゲインモードまたはバイパスモードにおいて、不通過状態の一方のスイッチ回路SW1(またはSW2)のシャント素子群SHGcomが共通ポートCOMをグランドGNDにシャントする。不通過状態のスイッチ回路SW1(またはSW2)において、シャント素子群SHGcomは、ポートRF1と共通ポートCOMとの間で漏洩しようとする信号(不要波)を抑圧できる。これにより、スイッチ回路SW1(またはSW2)が受信信号を遮断する場合に、シャント素子群SHGcomは、入力ポートRF1〜RFnと共通ポートCOMとの間のアイソレーション特性を向上させることができる。これは、通過状態にある他方のスイッチ回路SW2(またはSW1)の挿入損失ILの劣化を抑制することに繋がる。
また、選択ポートからの入力信号が、ゲインモードの場合は第2スイッチ回路SW2側へ、バイパスモードの場合は第1スイッチ回路SW1側へ漏洩する量を第1の実施例よりも抑圧できる。このため、ゲインモードの信号経路とバイパスモードの信号経路の間の相互影響が小さくなるため、ゲインモードおよびバイパスモードのインピーダンス整合を容易化することができる。
また、シャント素子群SHGcomは、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のそれぞれに1つずつ設けられており共通化されている。従って、第6実施形態による受信回路R1は、第5実施形態による受信回路R1よりも小型化することができる。
尚、シャント素子S1〜Sqのサイズ(ゲート幅/ゲート長)は、第5実施形態におけるシャント素子S11〜S1qと同様に、スルー素子T11〜T1p等のそれよりも小さく設計することが好ましい。これにより、スルー素子T11〜T1p等が受信信号を通過させるときに、シャント素子S1〜Sqは受信信号に左程悪影響を与えない。
第6実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第6実施形態は、第1実施形態の効果も有する。また、第6実施形態は、他の実施形態と組み合わせてもよい。
(第7実施形態)
図17は、第7実施形態による第1スイッチ回路SW1または第2スイッチ回路SW2の構成例を示す図である。第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の構成は同一でよい。従って、ここでは、第1スイッチ回路SW1の構成について説明し、第2スイッチ回路SW2の構成の説明は省略する。勿論、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2のいずれか一方が図17の構成を有し、他方が図5、図13または図15の構成を有してもよい。
第7実施形態による第1スイッチ回路SW1は、各スルー素子群THG1〜THGnのポートRF1〜RF(n)側の端部にシャント素子群SHG1〜SHGnが接続されている点で第5実施形態と異なる。第7実施形態の他の構成は、第5実施形態の対応する構成と同様でよい。
シャント素子群SHG1〜SHGnは、それぞれスルー素子群THG1〜THGnのポートRF1〜RF(n)側にあるノードN1〜NnとグランドGNDとの間に接続されている。例えば、第1シャント素子群SHG1は、ノードN1とグランドGNDとの間に直列に接続された複数のシャント素子S11〜S1qを含む。ノードN1は、第1スルー素子群THG1とポートRF1との間のノードである。シャント素子S11〜S1qのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con1bを受ける。従って、シャント素子S11〜S1qは、制御信号Con1bにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子群SHG1は、1つのスイッチとしてオン/オフ制御される。
例えば、第2シャント素子群SHG2は、ノードN2とグランドGNDとの間に直列に接続された複数のシャント素子S21〜S2qを含む。ノードN2は、第2スルー素子群THG2とポートRF2との間のノードである。シャント素子S21〜S2qのゲートは、制御回路CNTに共通に接続されており、共通の制御信号Con2bを受ける。従って、シャント素子S21〜S2qは、制御信号Con2bにより同時に同一制御を受ける。これにより、シャント素子群SHG2は、1つのスイッチとしてオン/オフ制御される。シャント素子群SHG3〜SHGnについても同様である。
図18(A)および図18(B)は、第7実施形態による第1および第2スイッチ回路SW1、SW2の動作を示す表である。図18(A)は、図14(A)と同じである。図18(B)は、図14(B)の表に対して、不通過状態におけるシャント素子群(シャントFET)のオン/オフ状態が異なる。制御信号Con1b〜Con(n)bは、基本的に制御信号Con1〜Con(n)の相補信号である。しかし、スイッチ回路SW1またはSW2が不通過状態である場合、選択ポートに対応するシャント素子群をオフ状態にし、非選択ポートに対応するシャント素子群をオン状態にする。
例えば、スイッチ回路SW1またはSW2が通過状態である場合、選択ポートに対応するスルー素子群はオン状態となり、選択ポートに対応するシャント素子群はオフ状態となる。一方、非選択ポートに対応するスルー素子群はオフ状態となり、非選択ポートに対応するシャント素子群はオン状態となる。
スイッチ回路SW1またはSW2が不通過状態である場合、ポート選択信号Pselに依らず、スルー素子群はオフ状態となる。しかし、シャント素子群は、ポート選択信号Pselに依存してオン/オフ状態となる。即ち、スイッチ回路SW1またはSW2が通過状態の場合と同様に、選択ポートに対応するシャント素子群はオフ状態となり、非選択ポートに対応するシャント素子群はオン状態となる。
例えば、ゲインモードにおいて入力ポートPin_1が選択ポートである場合、制御信号Con1がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_1に接続された第1スイッチ回路SW1のスルー素子群THG1_1がオン状態となる。このとき、制御信号Con1bはロウレベルVoffとなって、第1スイッチ回路SW1のシャント素子群SHG1_1はオフ状態となる。
第1スイッチ回路SW1の他の制御信号Con2〜Con(n)はロウレベルVoffのままであり、第1スイッチ回路SW1の他のスルー素子群THG2_1〜THGn_1はオフ状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_2〜THGn_2は、全てオフ状態となる。一方、第1スイッチ回路SW1の制御信号Con2b〜Con(n)bはハイレベルVonとなり、第1スイッチ回路SW1の他のシャント素子群SHG2_1〜SHGn_1はオン状態となる。このとき、第2スイッチ回路SW2の制御信号Con1bはロウレベルVoffとなり、第2スイッチ回路SW2の制御信号Con2b〜Con(n)bはハイレベルVonとなる。これにより、第2スイッチ回路SW2のシャント素子群SHG1_2はオフ状態であり、他のシャント素子群SHG2_2〜SHGn_2はオン状態となる。
例えば、バイパスモードにおいて入力ポートPin_2が選択ポートである場合、制御信号Con2がハイレベルVonとなって、入力ポートPin_2に接続された第2スイッチ回路SW2のスルー素子群THG2_2がオン状態となる。このとき、制御信号Con2bがロウレベルVoffとなって、入力ポートPin_2に接続された第2スイッチ回路SW2のシャント素子群SHG2_2がオフ状態となる。
第2スイッチ回路SW2の他の制御信号Con1、Con3〜Con(n)はロウレベルVoffのままであり、第2スイッチ回路SW2の他のスルー素子群THG1_2、THG3_2〜THGn_2はオフ状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1は不通過状態であるので、スルー素子群THG1_1〜THGn_1は、全てオフ状態となる。一方、第2スイッチ回路SW2の制御信号Con1b、Con3b〜Con(n)bはハイレベルVonであり、第2スイッチ回路SW2の他のシャント素子群SHG1_2、SHG3_2〜SHGn_2はオン状態となる。このとき、第1スイッチ回路SW1の制御信号Con2bはロウレベルVoffとなり、第1スイッチ回路SW1の制御信号Con1b、Con3b〜Con(n)bはハイレベルVonとなる。これにより、第1スイッチ回路SW1のシャント素子群SHG2_1はオフ状態であり、他のシャント素子群SHG1_1、SHG3_1〜SHGn_1はオン状態となる。
このように、ゲインモードまたはバイパスモードにおいて、非選択ポートに対応するスルー素子群が受信信号を遮断するときには、それに対応するシャント素子群がオン状態となる。これにより、シャント素子群がスルー素子群のノードをグランドGNDにシャントし、非選択ポートと共通ポートCOMとの間で漏洩しようとする信号(不要波)を抑圧することができる。これにより、シャント素子群は、非選択ポートと共通ポートCOMとの間のアイソレーション特性を向上させることができる。これは、選択ポートに対応したスルー素子群の挿入損失ILを抑制することに繋がる。このように、第7実施形態は、基本的に第5実施形態と同様に動作する。
しかし、第7実施形態では、スイッチ回路SW1、SW2が不通過状態のときであっても、選択ポートに対応するシャント素子群はオフ状態となり、非選択ポートに対応するシャント素子群はオン状態となる。その理由を以下に説明する。
スイッチ回路SW1、SW2は入力ポートPin_1〜Pin_nを共有している。また、第7実施形態では、入力ポートPin_1〜Pin_nとシャント素子群との間にはスルー素子が設けられていない。従って、もし、スイッチ回路SW2が不通過状態のときに、選択ポートに対応するシャント素子群がオン状態となっていると、受信信号がシャント素子群を介してグランドGNDに接続されてしまう。この場合、通過状態となっている他方のスイッチ回路SW1において、選択ポートに対応するスルー素子群を通過する受信信号を劣化させてしまうおそれがある。
これに対し、第7実施形態では、例えば、スイッチ回路SW2が不通過状態のときに、該スイッチ回路SW2の選択ポートに対応するシャント素子群がオフ状態となり、その入力インピーダンスが高くなる。この場合、通過状態となっているスイッチ回路SW1において、選択ポートに対応するスルー素子群を通過する受信信号の劣化を抑制することができる。
尚、或るスルー素子群において直列接続されたスルー素子の個数pおよび或るシャント素子群において直列接続されるシャント素子の個数qは、受信信号の電力の大きさ、および、FET単体の耐圧特性によって決定される。従って、p、qは、2以上の整数であってもよいが、場合によっては1の場合もあり得る。
第7実施形態は、第5実施形態以外の他の実施形態と組み合わせてもよい。
(第8実施形態)
図19は、第8実施形態に従った無線通信モジュールMDLの構成例を示す図である。無線通信モジュールMDLは、増幅回路LNA1と、第1スイッチ回路SW1と、第2スイッチ回路SW2と、スイッチ回路SW_TR1と、制御回路CNTと、インピーダンス整合回路IMP_MCと、フィルタ回路(BPF(Band Pass Filter))FLT_R1と、を1つのモジュールとして備えている。無線通信モジュールMDL(以下、単に、モジュールMDLともいう)のうち、破線枠で示す増幅回路LNA1、第1スイッチ回路SW1、第2スイッチ回路SW2、スイッチ回路SW_TR1および制御回路CNTは、同一半導体基板(例えば、SOI(Semiconductor On Insulator)基板)上に構成され、1つの半導体チップとして構成されている。
ここで、インピーダンス整合回路IMP_MCおよびフィルタ回路(BPF(Band Pass Filter))FLT_R1は、上記半導体チップとは別に形成けられ、その後、半導体チップとモジュール化される。これにより、無線通信モジュールMDLは、各入力ポートPin_1〜Pin_nに対応する受信信号の周波数帯域の選択やインピーダンス整合を行う。上記構成要素を1つのモジュールMDLにすることによって、無線通信装置を小型化することができる。
また、スイッチ回路SW_TR1は、スイッチ回路SW1、SW2とともに同一のSOI基板上に設けられている。このように、スイッチ回路SW1、SW2、SW_TR1および制御回路CNTを1チップ化することによって、無線通信装置を小型化することができる。尚、増幅回路LNA1、スイッチ回路SW1、SW2、制御回路CNTは、上記実施形態の対応する構成と同じでよい。
スイッチ回路SW_TR1は、アンテナANT1で受信した高周波信号を、図2に示すポート選択信号Pselに基づいて、入力ポートPout_1〜Pout_nのいずれかに出力する。フィルタ回路FLT_R1は、スイッチ回路SW_TR1を通過した高周波信号のうち、所望の周波数の受信信号を取り出して、他の不要な信号を遮断する。その後、受信信号は、スイッチ回路SW1、SW2等へ伝送される。スイッチ回路SW1、SW2、インピーダンス整合回路IMP_MCおよび増幅回路LNA1の動作は、上記実施形態の通りである。
スイッチ回路SW_TR1には所望の受信信号以外の信号も入力される。例えば、送信回路T1、T2からの送信信号、WiFi等の他の無線システムから出力される高周波信号が、スイッチ回路SW_TR1に入力される場合がある。このような同一機器や近傍のシステムから出力される信号の電力レベルは、所望の受信信号に比べて非常に大きい場合が多い。このため、スイッチ回路SW_TR1は、スイッチ回路SW1、SW2に比べて大きな電力を遮断する必要がある。
スイッチ回路SW_TR1は、基本的にスイッチ回路SW1、SW2と同じ構成でよい。しかし、スイッチ回路SW_TR1の耐圧特性をスイッチ回路SW1、SW2のそれよりも高くするために、スイッチ回路SW_TR1のスルー素子(スルーFET)の段数pを、スイッチ回路SW1、SW2における段数p以上にすることが好ましい。また、スイッチ回路SW_TR1がシャント素子群を有する場合、同様の理由で、スイッチ回路SW_TR1のシャント素子(シャントFET)の段数qをスイッチ回路SW1、SW2における段数q以上にすることが好ましい。
モジュールMDLは、送受信用フロントエンドモジュールおよび受信用フロントエンドモジュールに適用可能である。しかし、本実施形態は、通信装置内の高周波送受信部に直接実装されてもよい。また、モジュールMDLの一部の機能をモジュール化し、その他の機能を高周波送受信部に直接実装してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。