以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置80と、圧力検出装置20と制御装置80とを電気的に接続する接続ケーブル90とを備えている。
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復運動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。そして、この連通孔13aに、圧力検出装置20の先端側を挿入するとともに、圧力検出装置20に設けられたリブ部312b(後述する図2参照)をシリンダヘッド13に固定することで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。ここで、内燃機関10を構成するシリンダブロック11、ピストン12およびシリンダヘッド13は、鋳鉄やアルミニウム等、導電性を有する金属材料で構成されている。
[圧力検出装置の構成]
図2は、圧力検出装置20の側面図である。図3は、圧力検出装置20の断面図(図2のIII−III断面図)である。図4は、圧力検出装置20の先端側の拡大断面図である。
本実施の形態の圧力検出装置20は、外部に露出する筐体部30と、圧力を検出するための各種機構を含み、ほぼ全体が筐体部30に収容されるとともに一部(後述する接続部材54)が外部に露出するように設けられる検出機構部40と、筐体部30の外周面に取り付けられるシール部70とを有している。そして、この圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、図2における左側(筐体部30が露出する部位)が燃焼室C(図1において下側)を向くとともに、図2における右側(検出機構部40が露出する部位)が外部(図1において上方)を向くように取り付けられる。また、この状態において、シール部70は、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内部に位置する。なお、以下の説明では、図2において、図中左に向かう側を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右に向かう側を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に中心線方向と称する。ここで、「先端側」は「一端側」に、「後端側」は「他端側」に、それぞれ対応している。
[筐体部の構成]
筐体部30は、先端側筐体31と、先端側筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32と、先端側筐体31の後端側に取り付けられた後端側筐体33とを備えている。
(先端側筐体)
胴体部の一例としての先端側筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。この先端側筐体31は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。
この先端側筐体31は、相対的に先端側に位置する第1先端側筐体311と、相対的に後端側に位置する第2先端側筐体312とを有している。ここで、先端側筐体31では、第1先端側筐体311の後端側の外周面と、第2先端側筐体312の先端側の内周面とを、レーザ溶接することで、両者を一体化させる構成となっている。そして、第1先端側筐体311の先端側には、レーザ溶接によってダイアフラムヘッド32が取り付けられるとともに、第2先端側筐体312の後端側には、はめ合いによって後端側筐体33が取り付けられる。
ここで、第1先端側筐体311の外周面には、シール部70を構成する第1シール部材71(詳細は後述する)を装着するための凹部311aが設けられている。また、第1先端側筐体311の内部には、先端側において第1の直径に設定された部位と、後端側において第1の直径よりも大きい第2の直径に設定された部位とが存在しており、これら2つの部位の境界には、両者を接続する内側段差部311bが設けられている。さらに、第1先端側筐体311の外周面のうち、上述した凹部311aよりも先端側となる部位には、シール部70を構成する螺旋部材73(詳細は後述する)を装着するために凹状に形成された受け部311cが設けられている。
一方、第2先端側筐体312の外周面には、第1シール部材71および螺旋部材73とともにシール部70を構成する第2シール部材72(詳細は後述する)を装着するための凹部312aが設けられている。また、第2先端側筐体312の外周面のうち、上記凹部312aよりも後端側には、外側に突出するリング状のリブ部312bが設けられている。このリブ部312bは、上述したように、圧力検出装置20を内燃機関10(より具体的にはシリンダヘッド13)に固定するために用いられる。
(ダイアフラムヘッド)
受圧部の一例としてのダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。このダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。特に、この例では、ダイアフラムヘッド32および上記先端側筐体31を、同じ材料で構成している。
このダイアフラムヘッド32は、先端側における中央部に凹部32bが形成されるとともに、外部(燃焼室C側)に露出することで圧力を受ける圧力受面(表面)32aと、圧力受面32aの裏側となる裏面を環状に切り欠くことによって設けられた凹部32cと、凹部32cの存在により、結果として圧力受面32aの中央部(凹部32bの形成部位)から後端側に突出する凸部32dとを有している。このダイアフラムヘッド32は、第1先端側筐体311における先端側の開口部を塞ぐように設けられている。そして、ダイアフラムヘッド32と第1先端側筐体311との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
(後端側筐体)
後端側筐体33は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。この後端側筐体33は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。ただし、内燃機関10に圧力検出装置20を装着した状態において、後端側筐体33は、内燃機関10の外部に位置することから、上述した先端側筐体31よりも耐熱性および耐酸性が低い材料を用いることができる。
この後端側筐体33は、相対的に先端側に位置する第1後端側筐体331と、相対的に後端側に位置する第2後端側筐体332とを有する。ここで、後端側筐体33では、第1後端側筐体331の後端側の内周面に、第2後端側筐体332の先端側の外周面をはめ込むことで、両者を一体化させる構成となっている。そして、第1後端側筐体331の先端側には、はめ合いによって先端側筐体31(より具体的には第2先端側筐体312)が取り付けられるとともに、第2後端側筐体332の後端側には、はめ込みによって接続部材54(詳細は後述する)が取り付けられる。
[検出機構部の構成]
検出機構部40は、圧電素子41と、先端電極部材42と、第1後端電極部材43と、第2後端電極部材44とを備えている。また、検出機構部40は、絶縁リング45と、第1コイルバネ46と、伝導部材47と、保持部材48とを備えている。さらに、検出機構部40は、加圧部材49と、支持部材50と、第2コイルバネ51と、収容部材52とを備えている。さらにまた、検出機構部40は、回路基板53と、接続部材54と、接地板55と、Oリング56とを備えている。また、検出機構部40は、突き当てパイプ57を備えている。そして、検出機構部40は、絶縁パイプ60と、第1絶縁部材61と、第2絶縁部材62と、第3絶縁部材63とを備えている。
(圧電素子)
信号発生部の一例としての圧電素子41は、全体として円柱状を呈する部材である。この圧電素子41は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。この圧電素子41は、先端側筐体31の内側であって、ダイアフラムヘッド32の後端側に配置されている。この圧電素子41は、中心線方向が応力印加軸の方向となるように、先端側筐体31内に収容されている。ここで、圧電素子41は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側であって、この加圧部材49の内部に設けられた絶縁パイプ60の内側に配置されている。また、圧電素子41の外径は、この圧電素子41を内部に収容する絶縁パイプ60の内径よりもわずかに小さい。そして、圧電素子41の先端側の面は、先端電極部材42の後端側の面と接触している。一方、圧電素子41の後端側の面は、第1後端電極部材43の先端側の面と接触している。また、圧電素子41の外周面は、絶縁パイプ60の内周面と対峙している。このように、加圧部材49の内周面と圧電素子41の外周面との間に、絶縁パイプ60を設けることにより、加圧部材49および圧電素子41は、直接には接触しない。
次に、圧電素子41に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電素子41で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。なお、本実施の形態の圧電素子41では、圧電体としてLTGA単結晶を用いている。
(先端電極部材)
先端電極部材42は、全体として円柱状を呈する部材である。この先端電極部材42は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。また、先端電極部材42の先端側の面における中央部には、アルミナやジルコニア等を含む、絶縁性を呈するセラミックス材料をコートしてなる絶縁皮膜42aが形成されている。ここで、絶縁皮膜42aは、例えば円形状を呈するようになっており、その直径は、ダイアフラムヘッド32の裏面に設けられた凸部32dの直径よりも大きく、加圧部材49の先端側に設けられた開口部の直径よりも小さい。
この先端電極部材42は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側に配置されている。そして、先端電極部材42は、ダイアフラムヘッド32の後端側であって、圧電素子41の先端側に配置されている。ただし、先端電極部材42は、上述した圧電素子41とは異なり、絶縁パイプ60内に収容されていない。また、先端電極部材42の外径は、この先端電極部材42を内部に収容する加圧部材49の内径よりもわずかに小さい。そして、先端電極部材42の先端側の面のうち、絶縁皮膜42aが設けられている中央部の領域は、ダイアフラムヘッド32の裏面に設けられた凸部32dの後端側の面と接触している。また、先端電極部材42の先端側の面のうち、絶縁皮膜42aが設けられていない周縁部の領域は、加圧部材49の先端側に設けられた開口部の裏側の面に接触している。一方、先端電極部材42の後端側の面は、圧電素子41の先端側の面に接触している。また、先端電極部材42の外周面は、加圧部材49の内周面と対峙している。
(第1後端電極部材)
第1後端電極部材43は、全体として円板状を呈する部材である。この第1後端電極部材43は、導電性を有するとともに耐熱性が高く、圧電素子41との熱望調査が小さいステンレス等の金属材料によって構成されている。
この第1後端電極部材43は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側に配置されている。そして、第1後端電極部材43は、圧電素子41の後端側であって、第2後端電極部材44の先端側に配置されている。ここで、第1後端電極部材43は、加圧部材49の内部に設けられた絶縁パイプ60の内側に配置されている。また、第1後端電極部材43の外径は、圧電素子41の外径とほぼ同じであって、絶縁パイプ60の内径よりもわずかに小さい。そして、第1後端電極部材43の先端側の面は、圧電素子41の後端側の面と接触している。一方、第1後端電極部材43の後端側の面は、第2後端電極部材44の先端側の面と接触している。また、第1後端電極部材43の外周面は、絶縁パイプ60の内周面と対峙している。このように、加圧部材49の内周面と第1後端電極部材43の外周面との間に、絶縁パイプ60を設けることにより、加圧部材49および第1後端電極部材43は、直接には接触しない。
(第2後端電極部材)
第2後端電極部材44は、全体として独楽状を呈し、その断面がT字状を呈する部材である。この第2後端電極部材44は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この第2後端電極部材44は、円板状を呈し且つ先端側に位置する本体部44aと、円柱状を呈し且つ本体部44aの後端側の面における中央部から後端側に向かって突出する第1凸部44bと、円柱状を呈し且つ第1凸部44bの後端からさらに後端側に向かって突出する第2凸部44cとを備えている。ここで、第1凸部44bの直径は本体部44aの直径よりも小さく、第2凸部44cの直径は第1凸部44bの直径よりも小さい。
この第2後端電極部材44は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側に配置されている。ここで、第2後端電極部材44における本体部44aの先端側は、加圧部材49の内部に設けられた絶縁パイプ60の内側に配置されている。これに対し、第2後端電極部材44のこれよりも後端側となる部位は、この絶縁パイプ60の外側に配置されている。また、第2後端電極部材44における本体部44aの外径は、圧電素子41の外径とほぼ同じであって、絶縁パイプ60の内径よりもわずかに小さい。そして、第2後端電極部材44における本体部44aの先端側の面は、第1後端電極部材43の後端側の面と接触している。一方、本体部44aの後端側の面は、絶縁リング45の先端側の面と接触している。また、第2後端電極部材44における第1凸部44bの外周面は、その先端側が絶縁リング45の内周面と接触しており、その後端側がエアギャップを介して支持部材50の内周面と対峙している。さらに、第2後端電極部材44における第2凸部44cの外周面は、エアギャップを介して支持部材50の内周面と対峙しており、また、外周面に装着された第1コイルバネ46を介して伝導部材47に接触している。このように、加圧部材49の内周面と第2後端電極部材44の外周面との間に、絶縁パイプ60、エアギャップおよび絶縁リング45を設けることで、加圧部材49と第2後端電極部材44とは、直接には接触しない。また、支持部材50の内周面と第2後端電極部材44の外周面との間に、エアギャップを設けることで、支持部材50と第2後端電極部材44とは、直接には接触しない。
(絶縁リング)
絶縁リング45は、全体として環状を呈する部材である。この絶縁リング45は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。
この絶縁リング45は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側に配置されている。そして、絶縁リング45は、第2後端電極部材44における本体部44aの後端側であって、支持部材50の先端側に位置している。ここで、絶縁リング45に設けられた貫通孔の内部には、第2後端電極部材44における第1凸部44bが配置されている。また、絶縁リング45の外径は、加圧部材49の内径よりもわずかに小さい。さらに、絶縁リング45の貫通孔の内径は、第2後端電極部材44における第1凸部44bの外径よりもわずかに大きい。そして、絶縁リング45の先端側の面は、第2後端電極部材44における本体部44aの後端側の面と接触している。一方、絶縁リング45の後端側の面は、支持部材50の先端側の面と接触している。また、絶縁リング45の外周面は、加圧部材49の内周面と対峙している。さらに、絶縁リング45の内周面は、第2後端電極部材44における第1凸部44bの外周面と対峙している。
(第1コイルバネ)
第1コイルバネ46は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮する。この第1コイルバネ46は、導電性を有するとともに先端側筐体31よりも導電性が高い真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。
この第1コイルバネ46は、先端側筐体31の内部に設けられており、加圧部材49の内側であって支持部材50の内側に配置されている。そして、第1コイルバネ46は、第2後端電極部材44の後端側であって、伝導部材47の先端側に配置されている。すなわち、第1コイルバネ46は、第2後端電極部材44と伝導部材47とに跨って配置されている。ここで、第1コイルバネ46の先端側は、第2後端電極部材44の第2凸部44cに巻き回されており、第1コイルバネ46の後端側は、伝導部材47の先端側に設けられた先端側凹部47a内に挿入されている。そして、第1コイルバネ46の内径は、第2後端電極部材44における第2凸部44cの外径よりも大きく且つ第1凸部44bの内径よりも小さい。一方、第1コイルバネ46の外径は、伝導部材47における先端側凹部47aの内径よりも小さい。その結果、第1コイルバネ46の先端は、第2後端電極部材44における第1凸部44bと第2凸部44cとの境界部(段差部)に突き当たっており、第1コイルバネ46の先端側は、第2後端電極部材44における第2凸部44cの外周面と接触している。これに対し、第1コイルバネ46の後端は、伝導部材47における先端側凹部47aの底部に突き当たっており、第1コイルバネ46の後端側は、伝導部材47における先端側凹部47aの内周面と接触している。また、第1コイルバネ46の外周は、エアギャップを介して支持部材50の内周面と対峙している。このように、支持部材50の内周面と第1コイルバネ46との間に、エアギャップを設けることで、支持部材50と第1コイルバネ46とは、直接には接触しない。
(伝導部材)
伝導部材47は、全体として棒状を呈する部材である。この伝導部材47は、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。この伝導部材47には、その先端に、上述した先端側凹部47aが設けられており、その後端に、中心線方向の中央部よりも直径が小さく且つ後端側に向かって突出する後端側凸部47bが設けられている。
この伝導部材47は、先端側筐体31の内部に設けられており、先端部および後端部(後端側凸部47b)を除くほぼすべての部位が、保持部材48の内部に配置されている。また、伝導部材47の先端側は加圧部材49の内側に、伝導部材47の後端側は収容部材52の内側に、先端側と後端側との間に位置する中間部は第2コイルバネ51の内側に、それぞれ位置している。そして、伝導部材47は、第1コイルバネ46の後端側であって、回路基板53の先端側に配置されている。この伝導部材47は、保持部材48に中心線方向に沿って設けられた貫通孔を貫通するように配置されている。そして、伝導部材47の先端部(保持部材48に覆われていない部位)の外径は、保持部材48の内径よりも大きく、支持部材50の内径よりも小さい。さらに、伝導部材47の後端部(後端側凸部47b)の外径は、保持部材48に設けられた保持部の内幅とほぼ同じである。さらにまた、伝導部材47の中心線方向中央部の外径は、保持部材48の内径とほぼ同じである。そして、伝導部材47の先端側凹部47aには、第1コイルバネ46の後端側が挿入されることで、第1コイルバネ46と接触している。一方、伝導部材47の後端側凸部47bは、保持部材48に設けられた保持部にはめ込まれている。また、伝導部材47の先端部の外周面は、エアギャップを介して支持部材50の内周面と対峙している。さらに、伝導部材47の中心線方向中央部の外周面は、保持部材48およびエアギャップを介して第2コイルバネ51と対峙している。さらにまた、伝導部材47の後端部の外周面は、エアギャップおよび保持部材48を介して収容部材52の外周面と対峙している。このように、支持部材50の内周面と伝導部材47の外周面との間に、エアギャップおよび保持部材48を設けることにより、支持部材50および伝導部材47は、直接には接触しない。また、第2コイルバネ51の内周面と伝導部材47の外周面との間に、エアギャップおよび保持部材48を設けることにより、第2コイルバネ51および伝導部材47は、直接には接触しない。さらに、収容部材52の内周面と伝導部材47の外周面との間に、エアギャップを設けることにより、収容部材52および伝導部材47は、直接には接触しない。
(保持部材)
保持部材48は、先端側に位置し筒状を呈する部位と、後端側に位置し板状を呈する部位とを、一体化してなる部材である。この保持部材48は、絶縁性を有するPPT(Polypropylene Terephthalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等とを含んでいる。この保持部材48の先端側に位置する筒状の部位には、伝導部材47が収容され、この保持部材48の後端側に位置する板状の部位には、回路基板53が装着される。このように、保持部材48は、伝導部材47および回路基板53を保持する機能を有している。
保持部材48のうち、支持部材50、第2コイルバネ51および収容部材52と対向する部位(外周面)は、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようになっている。また、保持部材48のうち、伝導部材47の先端部と後端部との間に位置する中間部と対向する部位(内周面)も、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようになっている。また、保持部材48における筒状部の後端側には、金属材料で構成され、伝導部材47の後端側凸部47bをはめ込んで保持する保持部が設けられている。この保持部には、回路基板53の信号入力端子(図示せず)と電気的に接続するための配線が取り付けられている。
この保持部材48は、先端側筐体31の内部と後端側筐体33の内部とに跨って設けられている。また、保持部材48の先端側は加圧部材49の内側に、伝導部材47の後端側は収容部材52の内側に、先端側と後端側との間に位置する中間部は第2コイルバネ51の内側に、それぞれ位置している。そして、保持部材48は、絶縁リング45の後端側であって、接続部材54の先端側に配置されている。
保持部材48の先端側に位置する筒状の部位の外径は、支持部材50の内径よりも小さく、この被覆部材の後端側に位置する板状の部位の外径は、この部位における収容部材52の内径よりも小さい。また、保持部材48の筒状の部位の先端側の外周面は、エアギャップを介して支持部材50の内周面および第2コイルバネ51の内周面に対峙している。さらに、保持部材48の筒状の部位の後端側の外周面および板状部の部位の外周面は、収容部材52の内周面に接触しあるいはエアギャップを介して収容部材52の内周面に対峙している。
(加圧部材)
加圧部材49は、全体として筒状を呈する部材である。この加圧部材49は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。
図5は、加圧部材49の斜視図である。以下では、図5も参照しつつ、加圧部材49の構成について説明を行う。なお、図5においては、図中左下側が先端側となり、図中右上側が後端側となる。
本実施の形態の加圧部材49は、最も先端側に位置するとともに先端には開口部が設けられる先端筒状部491と、先端筒状部491の後端側に配置される中間筒状部492と、中間筒状部492の後端側であって最も後端側に位置する後端筒状部493とを備えている。この加圧部材49では、先端筒状部491および後端筒状部493よりも中間筒状部492の外径が大きくなっており、先端筒状部491よりも後端筒状部493の外径が大きくなっている。そして、加圧部材49は、先端筒状部491と中間筒状部492との境界部において両者を接続する先端段差部49bと、中間筒状部492と後端筒状部493との境界部において両者を接続する後端段差部49cとをさらに備えている。なお、加圧部材49の内径は、先端に設けられた開口部を除き、同じ大きさである。このため、この加圧部材49においては、中間筒状部492の肉厚が後端筒状部493の肉厚よりも大きく、且つ、後端筒状部493の肉厚が先端筒状部491の肉厚よりも大きくなっている。したがって、加圧部材49では、中間筒状部492が最も撓みにくくなっている一方、先端筒状部491が最も撓みやすく(バネとして機能しやすく)なっている。
また、加圧部材49のうち、先端段差部49b、中間筒状部492および後端段差部49cの各外周面には、アルミナやジルコニア等を含む、絶縁性を呈するセラミックス材料をコートしてなる絶縁皮膜49aが連続して形成されている(図4参照)。
この加圧部材49は、先端側筐体31の内部に、先端筒状部491が先端側となるように設けられている。加圧部材49の内部には、圧電素子41、先端電極部材42、第1後端電極部材43、第2後端電極部材44、絶縁リング45、支持部材50の先端側、絶縁パイプ60、第1コイルバネ46、伝導部材47の先端側および保持部材48の先端側が収容されている。そして、加圧部材49は、ダイアフラムヘッド32の後端側であって、収容部材52の先端側に配置されている。また、加圧部材49の外径は、先端筒状部491と中間筒状部492と後端筒状部493とで異なるが、すべての位置において先端側筐体31の内径よりも小さい。さらに、加圧部材49の内径は、先端電極部材42、絶縁パイプ60(圧電素子41、第1後端電極部材43、第2後端電極部材44、絶縁リング45)と対峙する部位では、これらの外径よりもわずかに大きく、支持部材50と対峙する部位では、支持部材50の外径とほぼ同じである。
ここで、加圧部材49の後端側に設けられた後端筒状部493の外周面と第1先端側筐体311の後端側の内周面との間には、突き当てパイプ57が配置されている。
そして、加圧部材49における先端筒状部491の先端側の面(開口部の表側の面)は、エアギャップを介してダイアフラムヘッド32の凹部32cと対峙している。一方、後端筒状部493の後端側は、エアギャップを介して第1絶縁部材61と対峙している。また、先端筒状部491の外周面は、エアギャップを介して第1先端側筐体311の内周面と対峙している。さらに、先端段差部49b、中間筒状部492および後端段差部49cの外周面は、絶縁皮膜49aに接触するとともに、絶縁皮膜49aを介して第1先端側筐体311の内周面と対峙している。さらにまた、後端筒状部493の外周面は、エアギャップを介して突き当てパイプ57の内周面と対峙している。このように、加圧部材49の外周面と第1先端側筐体311の内周面および突き当てパイプ57の内周面との間に、エアギャップおよび絶縁皮膜49aを設けることにより、加圧部材49と、第1先端側筐体311および突き当てパイプ57とは、直接には接触しない。
(支持部材)
支持部材50は、全体として筒状を呈する部材である。この支持部材50は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。
この支持部材50は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側は加圧部材49の内側に、その後端側は加圧部材49の外側に、それぞれ位置している。また、支持部材50は、その内部に、第2後端電極部材44の後端側(第1凸部44bおよび第2凸部44c)、第1コイルバネ46、伝導部材47の先端側および保持部材48の先端側を収容している。そして、支持部材50は、絶縁リング45の後端側であって、収容部材52の先端側に配置されている。また、支持部材50の外径は、第1加圧部材37の内径とほぼ同じである。さらに、支持部材50の内径は、中心線方向の位置によって異なるが、第2後端電極部材44と対峙する部位においては第2後端電極部材44の外径よりも大きく、第1コイルバネ46と対峙する部位においては第1コイルバネ46の外径よりも大きく、伝導部材47と対峙する部位においては伝導部材47の外径よりも大きく、保持部材48と対峙する部位においては保持部材48の外径よりも大きい。そして、支持部材50の先端側の面(開口部の表側の面)は、絶縁リング45の後端側の面と接触している。一方、支持部材50の後端側の面は、エアギャップを介して収容部材52と対峙している。また、支持部材50の外周面の先端側は、加圧部材49の内周面と接触しており、支持部材50の外周面の後端側は、第2コイルバネ51の先端側と接触している。ここで、加圧部材49における後端側の内周面と、この部位と対峙する支持部材50の外周面とを、一周にわたってレーザ溶接することで得た第2溶接部59によって、加圧部材49と支持部材50とを接合し固定している。これに対し、支持部材50の内周面は、エアギャップを介して第2後端電極部材44、第1コイルバネ46、伝導部材47および保持部材48と対峙している。このように、支持部材50の内周面と、第2後端電極部材44、第1コイルバネ46、伝導部材47および保持部材48との間に、エアギャップを設けることにより、支持部材50と、第2後端電極部材44、第1コイルバネ46、伝導部材47および保持部材48とは、直接には接触しない。
(第2コイルバネ)
第2コイルバネ51は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮する。この第2コイルバネ51は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。このように、本実施の形態では、第1コイルバネ46と第2コイルバネ51とで、材質を異ならせている。
この第2コイルバネ51は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側は支持部材50における後端側且つ外側に、その後端側は収容部材52における先端側且つ外側に、それぞれ位置している。すなわち、第2コイルバネ51は、支持部材50と収容部材52とに跨って配置されている。また、第2コイルバネ51の外径は、先端側筐体31(より具体的には第2先端側筐体312)の内径よりも小さい。さらに、第2コイルバネ51の内径は、支持部材50の後端側の外径および収容部材52の先端側の外径よりもわずかに小さい。そして、第2コイルバネ51の外周は、エアギャップを介して先端側筐体31の内周面と対峙している。このように、第2コイルバネ51の外周と先端側筐体31の内周面との間に、エアギャップを設けることで、第2コイルバネ51と先端側筐体31とは、直接には接触しない。
(収容部材)
収容部材52は、全体として筒状を呈する部材である。この収容部材52は、導電性を有するとともに先端側筐体31よりも導電性が高い真ちゅうやステンレス等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。
図6は、収容部材52の斜視図である。以下では、図6も参照しつつ、収容部材52の構成について説明を行う。なお、図6においても、図中左下側が先端側となり、図中右上側が後端側となる。
本実施の形態の収容部材52は、最も先端側に位置するとともに先端には開口部が設けられる第1筒状部521と、第1筒状部521の後端側に配置される第2筒状部522と、第2筒状部522の後端側に配置される第3筒状部523と、第3筒状部523の後端側に配置される第4筒状部524とを備えている。この収容部材52では、第1筒状部521、第2筒状部522、第3筒状部523および第4筒状部524の順で、外径が大きくなっている。すなわち、この収容部材52では、先端側から後端側に向かって、階段状(4段)に直径が大きくなっている。そして、収容部材52は、第1筒状部521と第2筒状部522との境界部において両者を接続する第1段差部52aと、第2筒状部522と第3筒状部523との境界部において両者を接続する第2段差部52bと、第3筒状部523と第4筒状部524との境界部において両者を接続する第3段差部52cとをさらに備えている。なお、この収容部材52は、上述した加圧部材49とは異なり、その肉厚が、中心線方向の位置によらず一定の大きさに設定されている。このため、加圧部材49では、第1筒状部521、第2筒状部522、第3筒状部523および第4筒状部524の順で、内径が大きくなっている。
この収容部材52は、先端側筐体31の内部と後端側筐体33の内部とに跨って、第1筒状部521が先端側となるように設けられている。収容部材52の内部には、伝導部材47の後端側、保持部材48の後端側、回路基板53および接地板55が収容されている。そして、収容部材52は、支持部材50の後端側であって、接続部材54の先端側に配置されている。また、収容部材52の外径は、第1筒状部521と第2筒状部522と第3筒状部523と第4筒状部524とで異なるが、すべての位置において先端側筐体31および後端側筐体33の内径よりも小さい。さらに、収容部材52の内径も、第1筒状部521と第2筒状部522と第3筒状部523と第4筒状部524とで異なるが、内部に収容される各部材の外径よりも大きい。
ここで、収容部材52における第2筒状部522の後端側および第2段差部52bと、第2先端側筐体312の内周面との間には、第1絶縁部材61が配置されている。また、収容部材52における第3筒状部523の後端側および第3段差部52cと、第2先端側筐体312の内周面との間には、第2絶縁部材62が配置されている。さらに、収容部材52における第4筒状部524と第1後端側筐体331との間には、第3絶縁部材63が配置されている。
そして、収容部材52における第1筒状部521の先端側の面(開口部の表側の面)は、エアギャップを介して支持部材50の後端側の面と対峙している。また、第1筒状部521は、第2コイルバネ51と接触している。一方、第4筒状部524の後端側は、保持部材48と対峙している。また、第1筒状部521および第1段差部52aの外周面は、エアギャップを介して第2先端側筐体312の内周面と対峙している。さらに、第2筒状部522の外周面は、エアギャップおよび第1絶縁部材61を介して第2先端側筐体312の内周面と対峙している。さらにまた、第2段差部52bは、第1絶縁部材61を介して第2先端側筐体312の内周面と対峙している。また、第3筒状部523の外周面は、エアギャップおよび第2絶縁部材62を介して第2先端側筐体312の内周面と対峙している。さらに、第3段差部52cの外周面は、第2絶縁部材62を介して第2先端側筐体312の内周面と対峙している。そして、第4筒状部524の外周面は、エアギャップを介して第2先端側筐体312の内周面と対峙し、且つ、エアギャップおよび第3絶縁部材63を介して第1後端側筐体331の内周面と対峙している。このように、収容部材52の外周面と、第2先端側筐体312および第1後端側筐体331との間に、エアギャップ、第1絶縁部材61、第2絶縁部材62および第3絶縁部材63を設けることで、収容部材52と、第2先端側筐体312および第1後端側筐体331とは、直接には接触しない。
(回路基板)
回路基板53は、全体として矩形板状を呈する部材である。この回路基板53は、受けた圧力に応じて圧電素子41が出力する微弱な電荷による電気信号に、電気回路を用いた各種処理を施すものであって、所謂プリント配線板によって構成されている。この回路基板53は、先端側筐体31の内部と後端側筐体33の内部とに跨って設けられている。また、回路基板53は、伝導部材47の後端側であって、接続部材54の先端側に配置されている。さらに、この回路基板53は、保持部材48に搭載されるとともにその全体が収容部材52の内側に配置されている。
この回路基板53には、圧電素子41から入力される入力信号(電荷信号)を積分して電圧信号に変換する積分回路と、積分回路から入力される電圧信号を増幅して出力信号とする増幅回路と、これら積分回路および増幅回路を構成するオペアンプ等の素子の電源となる電源回路とが搭載されている(すべて図示せず)。
(接続部材)
接続部材54は、全体として柱状を呈する部材である。この接続部材54は、絶縁性を有するPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等とを含んでいる。ただし、接続部材54のうち、第2後端側筐体332と接触あるいは対峙する部位(外周面)は、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようになっている。また、接続部材54の後端側には、凹んだ形状を有するとともに後端側に向かって開口する開口部が設けられている。そして、この接続部材54の先端側には、先端側に向かって突出するとともに回路基板53と電気的に接続される基板側コネクタ54aが設けられている。一方、この接続部材54の後端側であって、上記開口部の内側には、後端側に向かって突出するとともに、図1に示す接続ケーブル90の接続対象となるケーブル側コネクタ54bが設けられている。また、接続部材54における先端側の外周面には、一周にわたって凹部が設けられており、この凹部には、Oリング56が取り付けられている。
この接続部材54は、その先端側が第2後端側筐体332の内側に、その後端側が第2後端側筐体332の外側に、それぞれ位置している。そして、接続部材54の外周面に取り付けられたOリング56は、第2後端側筐体332の内側において、第2後端側筐体332の内周面と接触している。
接続部材54の先端側に位置する筒状の部位の外径は、第2後端側筐体332の内径よりも小さい。これに対し、接続部材54の後端側に位置する筒状の部位の外径は、第2後端側筐体332の外径とほぼ同じである。また、接続部材54の先端側は、エアギャップあるいはOリング56を介して第2後端側筐体332の内周面と対峙している。
(接地板)
接地板55は、全体として帯状を呈する部材である。この接地板55は、導電性を有するリン青銅等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。
この接地板55は、先端側筐体31の内部と後端側筐体33の内部とに跨って設けられており、その先端は収容部材52の内部であって回路基板53の上方に位置し、その後端は収容部材52の後端よりも後端側に突出している。そして、接地板55の先端側は、回路基板53の接地端子(図示せず)と電気的に接続され、接地板55の後端側は、収容部材52における第4筒状部524の内周面と電気的に接続されている。
(Oリング)
Oリング56は、全体として環状を呈する部材である。このOリング56は、絶縁性を有するとともに耐熱性、耐透湿性および耐酸性が高いPTFE(Polytetrafluoroethylen:ポリテトラフルオロエチレン)等の合成樹脂材料によって構成されている。
このOリング56は、接続部材54の外周面に取り付けられており、第2後端側筐体332に接続部材54を取り付けた際に、接続部材54の外周面と第2後端側筐体332の内周面とに挟まれるようになっている。
(突き当てパイプ)
突き当てパイプ57は、全体として筒状を呈する部材である。この突き当てパイプ57は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。
この突き当てパイプ57は、先端側筐体31において第1先端側筐体311と第2先端側筐体312とが重なる領域の内部であって、第1先端側筐体311の内側に配置されている。そして、突き当てパイプ57は、加圧部材49における中間筒状部492の後端側であって、第1絶縁部材61の先端側に位置している。また、突き当てパイプ57の外径は、この突き当てパイプ57を収容する第1先端側筐体311における後端側の内径とほぼ同じである。一方、突き当てパイプ57の内径は、加圧部材49における後端筒状部493の外径よりも大きい。そして、突き当てパイプ57の先端側の面は、加圧部材49における後端段差部49c(絶縁皮膜49aの形成面)と接触している。一方、突き当てパイプ57の後端側の面は、エアギャップを介して第1絶縁部材61の先端側の面と対峙している。また、突き当てパイプ57の外周面は、第1先端側筐体311における後端側の内周面と接触している。ここで、第1先端側筐体311における後端側の内周面と、この部位と対峙する突き当てパイプ57の外周面とを、一周にわたってレーザ溶接することで得た第1溶接部58によって、1先端側筐体311と突き当てパイプ57とを接合し固定している。これに対し、突き当てパイプ57の内周面は、エアギャップを介して加圧部材49における後端筒状部493の外周面と対峙している。このように、加圧部材49における後端段差部49cおよび後端筒状部493と、突き当てパイプ57との間に、絶縁皮膜49aおよびエアギャップを設けることにより、突き当てパイプ57と加圧部材49とは、直接には接触しない。
(第1溶接部)
第1溶接部58は、第1先端側筐体311における後端側の内周面と、突き当てパイプ57の外周面とを、一周にわたってレーザ溶接することで形成される部位である。
(第2溶接部)
第2溶接部59は、加圧部材49における後端側の内周面と、支持部材50の外周面とを、一周にわたってレーザ溶接することで形成される部位である。
(絶縁パイプ)
絶縁パイプ60は、全体として円筒状を呈する部材である。この絶縁パイプ60は、絶縁性を有するLCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマ)等の合成樹脂材料によって構成されている。この絶縁パイプ60は、先端側筐体31の内部に設けられた加圧部材49の内側に配置されている。この絶縁パイプ60の内部には、圧電素子41、第1後端電極部材43および第2後端電極部材44における本体部44aの先端側が収容されている。そして、絶縁パイプ60は、先端電極部材42の後端側であって絶縁リング45の先端側に位置している。また、絶縁パイプ60の外径は、加圧部材49の内径よりもわずかに小さい。さらに、絶縁パイプ60の内径は、圧電素子41、第1後端電極部材43、第2後端電極部材44における本体部44aのそれぞれの外径よりもわずかに大きい。そして、絶縁パイプ60の先端側は、先端電極部材42の後端側の面に対峙している。一方、絶縁パイプ60の後端側は、絶縁リング45の先端側の面に対峙している。また、絶縁パイプ60の外周面は、加圧部材49の内周面と対峙している。さらに、絶縁パイプ60の内周面は、圧電素子41、第1後端電極部材43および第2後端電極部材44における本体部44aの外周面と対峙している。このように、加圧部材49と、圧電素子41、第1後端電極部材43および第2後端電極部材44における本体部44aとの間に、絶縁パイプ60および絶縁パイプ60によるエアギャップを設けることにより、加圧部材49と、第1後端電極部材43および第2後端電極部材44とは、直接には接触しない。
(第1絶縁部材)
第1絶縁部材61は、先端側が筒状を呈し、後端側が環状を呈する部材である。この第1絶縁部材61は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。
この第1絶縁部材61は、先端側筐体31の内部に配置されている。そして、第1絶縁部材61は、収容部材52における第2筒状部522および第2段差部52b(図6参照)の外側に配置されている。また、第1絶縁部材61の外径は、対応する部位の第2先端側筐体312の内径よりもわずかに小さく、第1絶縁部材61の内径は対応する部位の収容部材52の外径よりもわずかに大きい。そして、第1絶縁部材61の外周面は、第2先端側筐体312と接触しており、第1絶縁部材61の内周面は、収容部材52と接触している。
(第2絶縁部材)
第2絶縁部材62は、全体として環状を呈する部材である。この第2絶縁部材62は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。
この第2絶縁部材62は、先端側筐体31の内部であって第1絶縁部材61よりも後端側となる位置に配置されている。そして、第2絶縁部材62は、収容部材52における第3筒状部523および第3段差部52c(図6参照)の外側に配置されている。また、第2絶縁部材62の外径は、対応する部位の第2先端側筐体312の内径よりもわずかに小さく、第2絶縁部材62の内径は対応する部位の収容部材52の外径よりもわずかに大きい。そして、第2絶縁部材62の外周面は、第2先端側筐体312と接触しており、第2絶縁部材62の内周面は、収容部材52と接触している。
このように、先端側筐体31(第2先端側筐体312)と収容部材52との間に、エアギャップ、第1絶縁部材61および第2絶縁部材62を設けることで、先端側筐体31と収容部材52とは、直接には接触しない。
(第3絶縁部材)
第3絶縁部材63は、全体として筒状を呈する部材である。この第3絶縁部材63は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。
この第3絶縁部材63は、後端側筐体33の内部であって第2絶縁部材62よりも後端側となる位置に配置されている。そして、第3絶縁部材63は、収容部材52における第4筒状部524の外側に位置している。また、第3絶縁部材63の外径は、第1後端側筐体331の内径とほぼ同じであり、第3絶縁部材63の内径は、収容部材52における第4筒状部524の外径よりも大きい。そして、第3絶縁部材63の外周面は、第1後端側筐体331の内周面と接触しており、第3絶縁部材63の内周面は、先端側の一部が収容部材52と接触し、その他はエアギャップを介して収容部材52と対峙する。
[シール部の構成]
シール部70は、第1シール部材71と、第1シール部材71の後端側に位置する第2シール部材72と、第1シール部材71の先端側に位置する螺旋部材73とを有する。なお、内燃機関10に圧力検出装置20を取り付けた状態において、第1シール部材71および第2シール部材72は、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13a(図1参照)の内周面に突き当たる(後述する図7(a)も参照)。また、内燃機関10に圧力検出装置20を取り付けた状態において、螺旋部材73は、後端側の部位が、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13a(図1参照)の内周面に突き当たる(後述する図7(b)も参照)。
(第1シール部材)
シール部材の一例としての第1シール部材71は、中空構造を有し全体として筒状を呈する部材である。この第1シール部材71は、絶縁性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いPTFE等の合成樹脂材料によって構成されている。
この第1シール部材71は、第1先端側筐体311の外周面に設けられた凹部311aにはめ込まれている。そして、その内径は、凹部311aの外径よりもわずかに小さくなっており、その外径は、連通孔13aの内径よりもわずかに大きくなっている。
(第2シール部材)
第2シール部材72は、全体として環状を呈する部材であり、ここではOリングを用いている。この第2シール部材72も、絶縁性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いPTFE等の合成樹脂材料によって構成されている。
この第2シール部材72は、第2先端側筐体312の外周面に設けられた凹部312aにはめ込まれている。そして、その内径は、凹部312aの外径よりもわずかに小さくなっており、その外径は、連通孔13aの内径よりもわずかに大きくなっている。
(螺旋部材)
螺旋状体の一例としての螺旋部材73は、全体として螺旋状を呈する部材であり、ここでは、中心線方向に伸縮する圧縮コイルバネを用いている。この螺旋部材73は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。この螺旋部材73は、円形状の断面を有する金属ワイヤを、一定の内径および外径を呈するように巻き回すことで形成されており、その線径は0.5mmであって、その巻数は4である。
この螺旋部材73は、第1先端側筐体311の外周面に設けられた受け部311cにはめ込まれている。そして、その内径は、受け部311cの外径よりもわずかに小さくなっており、その外径は、連通孔13aの内径よりもわずかに小さくなっている。
この螺旋部材73は、ダイアフラムヘッド32よりも後端側であって、第1シール部材71および第2シール部材72よりも先端側となる部位に配置されている。また、この螺旋部材73は、圧電素子41よりも先端側であって、先端側筐体31(第1先端側筐体311)、エアギャップおよび加圧部材49(先端筒状部491)を介して、先端電極部材42と対峙する部位に配置されている。
[内燃機関と圧力検出装置のシール部との関係]
続いて、内燃機関10のシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13に装着された、圧力検出装置20のシール部70(特に第1シール部材71および螺旋部材73)との関係について説明を行う。
図7は、シリンダヘッド13とシリンダヘッド13に装着された圧力検出装置20との関係を説明するための図である。ここで、図7(a)は、図1に示すシリンダヘッド13および圧力検出装置20を拡大したものであって、図7(b)は、図7(a)に示すVIIb部を拡大したものである。また、図8は、シリンダヘッド13と圧力検出装置20に設けられた第1シール部材71および螺旋部材73との関係を説明するための図である。
(連通孔)
シリンダヘッド13を貫通する連通孔13aは、内側(燃焼室C側)に位置し第1の直径に設定される部位と、外側に位置し第1の直径よりも大きい第2の直径に設定される部位と、第1の直径となる部位と第2の直径となる部位との境界においてテーパ状に設定される部位とを有している。
(受け部)
圧力検出装置20を構成する第1先端側筐体311に設けられた受け部311cは、全体として凹状を呈するものであって、最も先端側に位置する段差部3111と、段差部3111の後端側に位置する平坦部3112と、平坦部3112の後退側に位置する傾斜部3113とを有している。
まず、段差部3111は、第1先端側筐体311において段差部3111よりも先端側となる部位に対し、直角となるように形成されている。また、平坦部3112は、第1先端側筐体311において段差部3111よりも先端側となる部位と、平行(段差部3111と直角)となるように形成されている。さらに、傾斜部3113は、第1先端側筐体311において段差部3111よりも先端側となる部位、および、第1先端側筐体311において傾斜部3113よりも後端側となる部位に対し、予め決められた角度(≠直角)となるように形成されている。ここで、第1先端側筐体311において段差部3111よりも先端側となる部位、および、第1先端側筐体311において傾斜部3113よりも後端側となる部位は、同一の外径に設定されており、傾斜部3113の形成部位は、先端側から後端側にかけて直径が連続的に大きくなる、テーパ状を呈するようになっている。
そして、第1先端側筐体311における受け部311c(平坦部3112)の深さは、螺旋部材73を構成する金属ワイヤの直径(0.5mm)よりも大きい0.65mmとなっている。また、第1先端側筐体311における受け部311c(段差部3111〜傾斜部3113)の中心線方向長さは、螺旋部材73の中心線方向長さよりも大きい。一方、受け部311cにおける平坦部3112の中心線方向長さは、螺旋部材73の中心線方向長さよりも小さい。さらに、第1先端側筐体311の受け部311cにおける平坦部3112の外径は、螺旋部材73の内径よりもわずかに小さい。
(受け部と螺旋部材との関係)
本実施の形態の圧力検出装置20では、筐体部30の先端側(ダイアフラムヘッド32側)から螺旋部材73をはめ込むことで、第1先端側筐体311に設けられた受け部311cに螺旋部材73を装着する。圧縮コイルバネからなる螺旋部材73を、第1先端側筐体311の受け部311cに装着した状態では、螺旋部材73の中心線方向の復元力(伸長力)により、螺旋部材73の先端側は、ほぼ一周にわたって段差部3111に突き当たり(接触し)、螺旋部材73の後端側は、ほぼ一周にわたって傾斜部3113に乗り上げる(接触する)。
本実施の形態の螺旋部材73は、上述したように、筐体部30に装着する前の状態において、外径および内径が一定となるように設定されている。ただし、螺旋部材73の装着対象となる受け部311cが上述した形状を有していることにより、螺旋部材73のうち最も後端側となる部位、すなわち、受け部311cに設けられた傾斜部3113と接触する部位は、これよりも先端側となる他の部位に比べて、より外側に突出した状態となる。このとき、第1先端側筐体311の受け部311cに装着された螺旋部材73のうち、最も後端側となる部位(傾斜部3113と接触する部位)の外径は、連通孔13aの内径よりもわずかに大きくなっており、これ以外の部位の外径は、連通孔13aの内径よりもわずかに小さくなっている。また、この例において、受け部311cにおける平坦部3112の外径は、螺旋部材73の内径よりも、わずかに小さくなっている。このため、螺旋部材73のうち、傾斜部3113と接触する最も後端側となる部位(傾斜部3113と接触する部位)以外の部位は、複数箇所で平坦部3112と接触することとなり、全周にわたって接触することはない。
(内燃機関と圧力検出装置との関係)
シリンダヘッド13の連通孔13aに、外部から、先端側を先頭として圧力検出装置20を挿入すると、先端側筐体31の第2先端側筐体312に設けられたリブ部312bが、シリンダヘッド13の外周面に突き当たる。そして、この状態で、内燃機関10(シリンダヘッド13)に対し、圧力検出装置20(リブ部312b)が固定される。
このとき、ダイアフラムヘッド32および先端側筐体31の先端側(第1先端側筐体311、第2先端側筐体312における先端側)は、連通孔13aにおいて第1の直径となる部位に位置する。また、先端側筐体31の後端側(第2先端側筐体312における後端側)は、連通孔13aにおいて第2の直径となる部位に位置する。さらに、ダイアフラムヘッド32は、連通孔13a内(連通孔13aから燃焼室Cに突出しない部位)に位置する。
また、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の先端側筐体31のうち、連通孔13aの内周面と対向する部位(第1先端側筐体311の全域、および、第2先端側筐体312のうちリブ部312bよりも先端側となる領域)の外周面との間には、エアギャップが存在する。さらに、圧力検出装置20のシリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、ダイアフラムヘッド32の外周面との間にも、エアギャップが存在する。
一方、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の先端側筐体31の外周面(第1先端側筐体311の凹部311a)に取り付けられた第1シール部材71の外周面とが、一周にわたって接触する。また、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の先端側筐体31の外周面(第2先端側筐体312の凹部312a)に取り付けられた第2シール部材72の外周面とが、一周にわたって接触する。さらに、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の先端側筐体31の外周面(第1先端側筐体311の受け部311c)に取り付けられた螺旋部材73のうち最も後端側となる部位の外周側とが、ほぼ一周にわたって接触する。
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の圧力受面32aに、燃焼室C内で発生した燃焼ガスによる圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、圧力受面32aが受けた圧力が裏側の凸部32dに伝達され、さらに凸部32dから絶縁皮膜42aを介して先端電極部材42へと伝達される。そして、先端電極部材42に伝達された圧力は、先端電極部材42と第1後端電極部材43とに挟まれた圧電素子41に作用し、圧電素子41では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子41に生じた電荷は、正の経路を介して、回路基板53の入力信号端子(図示せず)電荷信号として供給される。回路基板53に供給された電荷信号は、回路基板53に実装された回路にて各種処理が施されることで出力信号とされる。そして、回路基板53から出力された出力信号は、接続部材54を介して、外部(ここでは接続ケーブル90および制御装置80)に送信される。
[燃焼ガスの挙動と圧力検出装置との関係]
ここで、上述した圧力検出動作における、燃焼ガスの挙動と圧力検出装置20との関係について説明を行う。
まず、内燃機関10の燃焼室C内で、燃料を燃焼させることに伴って発生した燃焼ガスが熱膨張し、燃焼圧が発生する。そして、燃焼室C内で発生した燃焼ガスが、圧力検出装置20のダイアフラムヘッド32に作用する。これに伴い、上述した手順にて、圧力検出動作が行われる。
一方、燃焼室C内で発生した燃焼ガスは、圧力検出装置20の先端側すなわちダイアフラムヘッド32側から、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20に設けられた筐体部30の外周面との間に存在するエアギャップに進入し、後端側へと向かう。そして、上記エアギャップに進入してきた燃焼ガスは、連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の筐体部30(受け部311c)の外周面に取り付けられた螺旋部材73とが対向する部位に到達する。このとき、燃焼ガスは、上記エアギャップに螺旋部材73が存在していることに起因して、その流れが乱され、螺旋部材73よりも後端部へと向かう進行が妨げられることにより、その圧力が低下する。
より具体的に説明すると、燃焼ガスは、螺旋部材73の取付部位を、以下の3つの経路を介して通過しようとする。
1つ目は、螺旋部材73の外周側と連通孔13aの内周面との間に形成される筒状の経路(以下では外側経路と呼ぶ)である。2つ目は、螺旋部材73の内周側と筐体部30(受け部311c)の外周面との間に形成される筒状の経路(以下では内側経路と呼ぶ)である。3つ目は、螺旋部材73を構成する金属ワイヤの線間に形成される螺旋状の経路(以下では螺旋経路と呼ぶ)である。
ここで、外側経路では、連通孔13aの内周面は平坦である一方、螺旋部材73の外周側には、螺旋部材73を構成する金属ワイヤの有無に起因する凹凸が存在する。このため、外側経路を流れる燃焼ガスには、上記凹凸に起因する渦流が生じ、その流れが妨げられる。
また、内側経路では、筐体部30の外周面に設けられた受け部311cが凹状である一方、螺旋部材73の内周側には、螺旋部材73を構成する金属ワイヤの有無に起因する凹凸が存在する。このため、内側経路を流れる燃焼ガスには、上記凹凸に起因する渦流が生じ、その流れが妨げられる。
さらに、螺旋経路では、燃焼ガスが、螺旋部材73を構成する金属ワイヤの存在により、先端側から後端側に向けて直進することができず、螺旋状に進行することになる。このため、螺旋経路における燃焼ガスの流れが妨げられる。
さらにまた、この例では、外側経路と内側経路とが、螺旋経路を介して接続されている。このため、燃焼ガスは、これら外側経路、内側経路および螺旋経路に相互に進入し得る状態となり、これら各経路における燃焼ガスの流れが複雑化することでさらに流れが妨げられる。
このように、本実施の形態では、圧力検出装置20の筐体部30の外周面に螺旋部材73を取り付けることにより、所謂ラビリンス効果が複合的に生じ、先端側から後端側へと向かう燃焼ガスの進行が妨げられるのである。
そして、この例では、螺旋部材73のうち最も後端側となる部位の外周側が、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面とほぼ一周にわたって接触し、この部位の内周側が、筐体部30の外周面に設けられた受け部311c(傾斜部3113)とほぼ一周にわたって接触している。このため、燃焼ガスは、螺旋部材73のうち最も後端側となる部位に存在する、螺旋部材73の切れ目に起因するわずかな隙間を通過せざるを得なくなり、その流れがさらに妨げられることになる。
その結果、螺旋部材73の取付部位を通過した後の燃焼ガスの圧力は、通過前に比べて低下することになる。
また、燃焼ガスは、上記エアギャップに螺旋部材73が存在していることに起因して、その温度が低下する。
より具体的に説明すると、螺旋部材73の取付部位を通過する燃焼ガスは、螺旋部材73および筐体部30(特に先端側筐体31およびダイアフラムヘッド32)を加熱する。すると、先端側筐体31およびダイアフラムヘッド32に加えられた熱は、螺旋部材73のうち最も後端側となる部位の内周側が、筐体部30の外周面に設けられた受け部311c(傾斜部3113)の外周面とほぼ一周にわたって接触しており、しかも、これらがすべて熱伝導性の高い金属で構成されていることにより、螺旋部材73へと伝えられる。また、螺旋部材73自身に加えられた熱および上記筐体部30から伝えられた熱は、螺旋部材73のうち最も後端側となる部位の外周側が、シリンダヘッド13に設けられた連通孔13aの内周面とほぼ一周にわたって接触しており、しかも、これらがすべて熱伝導性の高い金属で構成されていることにより、シリンダヘッド13へと伝達される。ここで、シリンダヘッド13はシリンダブロック11に接続されており、これらは、通常、空気や水等を用いて冷却されていることから、圧力検出装置20からシリンダヘッド13に伝達されたこれらの熱は、外部に放出されていくことになる。
このように、本実施の形態では、圧力検出装置20の筐体部30の外周面に螺旋部材73を取り付けることにより、所謂接触吸熱効果が生じ、先端側から後端側へと向かう燃焼ガスの温度が低下するのである。
その結果、螺旋部材73の取付部位を通過した後の燃焼ガスの温度は、通過前に比べて低下することになる。
そして、螺旋部材73の取付部位を通過することで圧力および温度の両者が低下した燃焼ガスは、さらに後端側へと向かい、連通孔13aの内周面と、圧力検出装置20の筐体部30(凹部311a)の外周面に取り付けられた第1シール部材71とが接触する部位に到達する。
ここで、この例では、第1シール部材71の取付部位に到達した燃焼ガスの圧力および温度が、螺旋部材73を設けることによって低下しているため、燃焼ガスに起因する第1シール部材71の劣化(熱的劣化および化学的劣化)を抑制することができる。また、当然のことながら、第1シール部材71の後端側に位置する第2シール部材72においても、燃焼ガスに起因する劣化を抑制することができる。
発明者の実験によれば、本実施の形態の構成を採用した場合に、螺旋部材73を通過した後の燃焼ガスの温度を、220〜230℃まで低下させることができた。一方、螺旋部材73を設けない場合の燃焼ガスの温度は、250〜260℃であった。なお、このときのシリンダヘッド13の温度は約90℃であった。ここで、第1シール部材71を構成するPTFEは、約260℃に達すると劣化し始め、約350℃以上になると分解することが知られている。
また、この例では、圧力検出装置20を構成する筐体部30(特に先端側筐体31およびダイアフラムヘッド32)の温度が、螺旋部材73を設けることによって低下しているため、筐体部30に内蔵される圧電素子41における温度ドリフトを抑制することができる。特に、この例では、圧力検出装置20において、圧電素子41よりも先端側に螺旋部材73を設けているため、燃焼ガスによる圧電素子41の温度上昇を抑制しやすくなり、圧電素子41における温度ドリフトをより容易に抑制することができる。
さらに、この例では、圧力検出装置20を構成する筐体部30(特に先端側筐体31およびダイアフラムヘッド32)の温度が、螺旋部材73を設けることによって低下しているため、筐体部30を構成するダイアフラムヘッド32の熱膨張に起因する圧力の検出誤差を低減することができる。
[その他]
なお、本実施の形態では、圧力検出装置20における信号発生部として、圧電素子41を用いた場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えばひずみゲージや離間した電極等を用いてもかまわない。
また、本実施の形態では、圧力検出装置20による圧力の検出対象を内燃機関10としていたが、これに限られるものではなく、内燃機関10以外であってもかまわない。