JP6718522B2 - 肺線維症の発症および/または治療の遅延のための医薬製剤 - Google Patents

肺線維症の発症および/または治療の遅延のための医薬製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6718522B2
JP6718522B2 JP2018557004A JP2018557004A JP6718522B2 JP 6718522 B2 JP6718522 B2 JP 6718522B2 JP 2018557004 A JP2018557004 A JP 2018557004A JP 2018557004 A JP2018557004 A JP 2018557004A JP 6718522 B2 JP6718522 B2 JP 6718522B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
group
formula
cells
lung
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018557004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019514940A (ja
Inventor
鴻麟 蘇
鴻麟 蘇
欣榮 林
欣榮 林
鴻志 韓
鴻志 韓
紫文 邱
紫文 邱
弘盟 莊
弘盟 莊
Original Assignee
長弘生物科技股▲ふん▼有限公司
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 長弘生物科技股▲ふん▼有限公司 filed Critical 長弘生物科技股▲ふん▼有限公司
Publication of JP2019514940A publication Critical patent/JP2019514940A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6718522B2 publication Critical patent/JP6718522B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • A61K31/365Lactones
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/192Carboxylic acids, e.g. valproic acid having aromatic groups, e.g. sulindac, 2-aryl-propionic acids, ethacrynic acid 
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本発明は、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するための、以下に示す式(I)の化合物の使用に関する。
式中、Aは−OHまたは=Oで任意に置換されたC5アルキルまたはアルケニルであり;XはHまたはOHであり;YはOであり;かつ、RはHまたは存在せず、ただし、Rが存在しない場合、YおよびAは一緒に結合して5員環を形成する。
肺線維症(間質性肺疾患とも呼ばれる)は、肺間質組織中にコラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチン等の細胞外マトリックス(ECM)成分を蓄積することにより、肺隙間に瘢痕様組織を生成する疾患を指す。肺線維症は、もともとはスポンジほど柔らかい肺組織をコンクリートほど硬くし、弾性を失い、徐々に収縮力、弛緩作用、交換作用を失う。
一般に、肺線維症の初期段階の患者は、催眠作用、胸部圧迫および痛み、咳等の症状を有する。しかし、これらの早期症状は識別するのが容易ではない。したがって、肺線維症患者の50%以上が喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または心臓病であると誤診されている。間違いなく診断された時点では、肺線維症患者の肺機能の大部分は既に減少しており、これらの患者は呼吸困難の症状も有しており、慢性低酸素状態に至る。身体が酸素欠乏になると注意力と記憶力が低下し、加えて酸素不足は細胞の弱化、身体機能の低下、代謝の遅延、老化の増進、様々な合併症等につながる。後期肺線維症の患者では、長期低酸素症による心不全や呼吸不全を起こすことがあり、病気が重くなった場合には高濃度の酸素を吸入し生命を維持する必要がる。
肺線維症患者の死亡率は癌患者の死亡率よりもはるかに高い。統計によると、肺線維症の患者は、5年生存率が50%未満であり、10年生存率が10%未満である。肺線維症を効果的に治療することができる医薬品が未だ不足している。商業的に入手可能な医薬であるピルフェニドン(製品名:エスブリット(登録商標))は、肺線維症患者の肺容量を改善することができるが、肺線維症の治療に大きな利点はない。さらに、ピルフェニドンは、悪心、嘔吐、消化不良、食欲不振、紅斑性皮疹、めまい、光線過敏症等の様々な副作用を引き起こすことがある。したがって、臨床診療では、肺線維症の発症を遅らせることができ、および/または肺線維症を治療できる医薬が依然として必要とされている。
本発明者らは、式(I)の化合物が、肺胞細胞の抗酸化能を高め、肺胞細胞の生存率を増加し、肺組織への酸化的ストレス誘発損傷を緩和し、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害し、肺線維芽細胞の上皮間葉移行(EMT)を阻害し、および細胞外マトリックスの過剰発現を阻害する効果があることを見出した。さらに、式(I)の化合物は、肺組織における免疫応答を効果的に調節し、肺胞壁組織の肥厚を緩和し、肺細胞の異常な浸潤を緩和し、および/または肺機能の低下を緩和することができ、したがって、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するために使用することができる。
本発明の目的は、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するための医薬の製造における活性成分の使用を提供することであり、活性成分は、式(I)の化合物、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
式中、Aは−OHまたは=Oで任意に置換されたC5アルキルまたはアルケニルであり;XはHまたはOHであり;YはOであり;かつ、RはHまたは存在せず、ただし、Rが存在しない場合、YおよびAは一緒に結合して5員環を形成する。
本発明による使用の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Aは式(II)、式(III)、または式(IV)である。
本発明による使用の別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Aは式(V)、XはOHである。
本発明による使用のさらに別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、以下の化合物(1)および化合物(2)の少なくとも1つである。
前記医薬は、肺胞細胞の抗酸化能力の増強、肺胞細胞の生存率の増加、肺組織への酸化ストレス誘発損傷の緩和、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換の阻害、肺線維芽細胞の上皮間葉移行の阻害、および/または細胞外マトリックスの過剰発現の阻害の少なくとも1つのために使用される。
前記医薬は、細胞におけるSox2タンパク質の発現の調節、コラーゲンの発現の阻害、およびTGF−βタンパク質の発現の阻害の少なくとも1つのために使用される。
前記医薬は、1日あたり1mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜500mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される。
前記医薬は、1日あたり5mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜200mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される。
前記医薬は、1日あたり10mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜100mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される。
本発明の別の目的は、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療する方法を提供することであり、この方法は、上記の式(I)の化合物、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の活性成分を必要とする対象に投与する工程を含む。
本発明の効果:本発明の式(I)の化合物は、肺胞細胞の抗酸化能力を増強し、肺胞細胞の生存率を増加させ、肺組織への酸化ストレス誘発損傷を緩和し、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害し、肺線維芽細胞の上皮間葉移行を阻害し、および/または細胞外マトリックスの過剰発現を阻害する効果がある。さらに、式(I)の化合物は、肺組織における免疫応答を効果的に調節し、肺胞壁組織の肥厚を緩和し、肺細胞の異常な浸潤を緩和し、および/または肺機能の低下を緩和することができ、したがって、肺線維症の発症を遅延させ、および/または肺線維症を治療するために使用することができる。
詳細な技術および本発明のために実施されるいくつかの実施形態を、当業者が特許請求の範囲に記載された発明の特徴を十分に理解できるよう、以下の段落で説明する。
本発明を、図面および特定の実施形態を組み合わせて以下の段落によってさらに説明する。
図1は、異なる培地で培養した肺胞細胞の生存率を示す棒グラフであり、対照群はF−12K培地で培養し、群1はH(0.1mM)を含むF−12K培地で培養し、群2はH(0.1mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で培養し、群3はH(0.1mM)およびn−アセチルシステイン(NAC;2mM)を含むF−12K培地で培養し、群4はH(0.2mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で培養し、群5はH(0.2mM)およびn−アセチルシステイン(NAC;2mM)を含むF−12K培地で培養した。 図2は、異なる条件で培養した正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるI型コラーゲンおよびβ−アクチンの発現を示す写真であり、発現結果をウエスタンブロット法で分析した。陽性対照群はTGF−β1で誘発せず化合物(1)を含まない培地で培養し、陰性対照群はTGF−β1で誘発し化合物(1)を含まない培地で培養し、低用量群はTGF−β1で誘発し低濃度の化合物(1)(15μg/ml)を含む培地で培養し、高用量群はTGF−β1で誘発し高濃度の化合物(1)(25μg/ml)を含む培地で培養した。 図3は、TGF−β1で誘導し、異なる培地で培養した正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるI型コラーゲン、BMP−7タンパク質およびTGF−βタンパク質の発現を示す写真であり、発現結果をウエスタンブロット法で分析した。対照群はFGM−2培地で培養し、群Iは化合物(1)(15μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群IIは化合物(1)(25μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群IIIは化合物(1)(35μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群IVはピルフェニドン(100μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群Vはピルフェニドン(250μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群VIはピルフェニドン(500μg/ml)を含むFGM−2培地で培養した。 図4は、異なる培地で培養した後のpcDNA3.1空ベクター(対照群Iおよび群A〜群C)またはpcDNA3.1−SOX2プラスミド(対照群IIおよび群D〜群F)を含む正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるSox2タンパク質、TGF−βタンパク質、およびI型コラーゲンタンパク質の発現を示す写真であり、発現結果をウエスタンブロット法で分析した。対照群Iおよび対照群IIは、TGF−β1で誘導せず化合物(1)を含まない培地で培養し、群Aおよび群DはTGF−β1で誘導し化合物(1)を含まない培地で培養し、群Bおよび群EはTGF−β1で誘導し15μg/mlの化合物(1)を含む培地で培養し、群Cおよび群FはTGF−β1で誘導し30μg/mlの化合物(1)を含む培地で培養した。 図5は、異なる培地で培養した正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるBMP−7タンパク質、TGF−βタンパク質、およびα−SMAタンパク質の発現を示す写真であり、発現結果をウエスタンブロット法で分析した。対照群は10%血清を含むFGM−2培地で培養し、群Iは1%血清を含むFGM−2培地で培養し、群IIは1%血清および化合物(1)(15μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群IIIは1%血清および化合物(1)(25μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群IVは1%血清およびTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群Vは1%血清、TGF−β1(5ng/ml)および化合物(1)(15μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群VIは1%血清、TGF−β1(5ng/ml)および化合物(1)(25μg/ml)を含むFGM−2培地で培養した。 図6は、異なる培地で培養した正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるα−SMAおよびTGF−βの遺伝子発現を示す写真であり、発現結果をRT−PCRにより分析した。対照群はFGM−2培地で培養し、群αを化合物(1)(5μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群βは化合物(1)(10μg/ml)を含むFGM−2培地で培養し、群γはH(0.1mM)を含むF−12K培地で培養し、群δはH(0.1mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で培養し、群εはH(0.1mM)および化合物(1)(10μg/ml)を含むF−12K培地で培養した。 異なる条件で培養した正常ヒト肺線維芽細胞(NHLFs)におけるBMP−7タンパク質、TGF−βタンパク質、およびp−smad2/3タンパク質の発現を示す写真であり、発現結果をウエスタンブロット法で分析した。対照群はTGF−β1で誘導せず化合物(1)または化合物(2)を含まない培地で培養し、群AはTGF−β1で誘導し化合物(1)または化合物(2)を含まない培地で培養し、群BはTGF−β1で誘導し15μg/mlの化合物(1)を含む培地で培養し、群CはTGF−β1で誘導し30μg/mlの化合物(1)を含む培地で培養し、群DはTGF−β1で誘導し100μg/mlの化合物(2)を含む培地で培養し、群EはTGF−β1で誘導し200μg/mlの化合物(2)を含む培地で培養した。 図8A〜8Dは、異なる条件で処理したマウスの肺機能を示し、その結果は無拘束全身プレチスモグラフィ(WBP)によって評価した。図8A、8B、8Cおよび8Dは全て、対照群、低用量群、高用量群およびオイル群の結果を含む。図8Aは、呼吸数(RR)および累積量(AV)を示す棒グラフである。 図8Bは、1回換気量(TV)および緩和時間(RT)を示す棒グラフである。 図8Cは、最大吸気流量(PIF)および最大呼気流量(PEF)を示す棒グラフである。 図8Dは、吸気時間(Ti)および呼気時間(Te)を示す棒グラフである。 図9は、硫酸ブレオマイシンを注射し、化合物(1)を投与したマウスの肺における組織病理所見を示す写真であり、対照群、低用量群、高用量群およびオイル群のH&E染色の結果を示す。 図10は、硫酸ブレオマイシンを注射し、化合物(1)を投与したマウスの肺における組織病理所見を示す棒グラフであり、対照群、低用量群、高用量群およびオイル群のマウスの肺線維症スコアを示す(「**」はP値<0.01を示し、異なる群の間に有意差があることを示し、「***」はP値<0.001を示し、異なる群の間に有意差があることを示す)。 図11は、マウスの肺組織サンプルにおけるTGF−βタンパク質、smad3タンパク質、およびサーファクタントCの発現を示す写真であり、発現量をウエスタンブロット法で分析した。高用量群、低用量群およびオイル群の結果を示す。 図12は、マウスの肺組織サンプルにおける免疫関連遺伝子IL−βおよびIL−6の発現を示す写真であり、発現結果をRT−PCRにより分析した。対照群、オイル群、低用量群および高用量群の結果を示す。
本発明によるいくつかの特定の実施形態を以下の段落で説明する。しかし、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することが可能であり、本明細書に記載された実施形態に限定されない。加えて、本明細書中で特に断りのない限り、本発明の明細書(特に特許請求の範囲)に引用される表現「前記(一、該)」等は、単数形および複数形の両方を含むべきである。「治療」という用語は、完全に回復するまで対象を治療することを指すとはみなされるべきではなく、実質的に静的な状態で疾患の発症または障害を維持すること、対象の回復率を高めること、特定の状態の重症度を軽減すること、および対象の生活の質を高めることが含まれる。疾患の発症を「遅延」という用語は、疾患の特定の状態が崩壊するのを防ぎ、敏感な対象において良好な健康状態を維持して疾患に耐えることを指す。さらに、本明細書中で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、疑いのある対象において対象に投与された場合、治療されている状態を少なくとも部分的に緩和することができる化合物の量を指す。「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含む哺乳動物を意味する。
本明細書において使用される数値範囲(例えば、3〜90)は、範囲内のすべての有理数(例えば、3、3.1、6、6.5、7、7.9、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、および90)、および範囲内の任意の有理数からなる範囲(例えば、3.1〜8、10〜60.5、5.8〜70.9、および15〜90)を含むと解釈されるべきである。したがって、本明細書で使用される数値範囲は、そこに列挙されている最低値と最高値との間の可能な全ての数値の組み合わせを含むべきである。
本明細書において、他の外部文書または他の情報源が引用された場合、一般に、本発明の技術的特徴についての背景の記載を提供することを目的とする。したがって、本明細書で特にことわらない限り、そのような外部文書の引用は、これらの文書または情報源のいずれかまたはすべてが先行技術の一部を形成するか、または任意の権限の当業者に一般的な知識であることを認めるものではない。
肺線維症は、免疫応答、炎症、同種異系症候群、嚥下障害、胃食道逆流等に関連する可能性があることが研究によって指摘されている。また、肺線維症の原因を特発性間質性肺炎(CFA)、通常の間質性肺炎(UIP)、および間質性肺疾患(ILD)によって引き起こされる肺線維症を含めて、特発性、原発性、免疫性、薬剤性、物理性等に大まかに分けた関連研究もある。
例えば、免疫過剰反応が肺で起こると、組織中のマクロファージは異常に活性化され、次いでトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)およびインターロイキンを放出し、肺組織に好中球を引きつける。次に、好中球は酸化ラジカルを放出し、その結果、肺組織に損傷を与える。この肺組織傷害に応答して、組織中の細胞は、コラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチン等の細胞外マトリックス成分を分泌して組織を修復する。しかしながら、細胞外マトリックス成分の過剰分泌は、肺線維症を引き起こし得る。上記の記述は、例えばLife Sci. 2008 Jan 16; 82(3-4): 210-7に記載されており、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
肺線維症の発症過程において、ショウジョウバエ母親の甲状腺機能亢進タンパク質ファミリー(Smad)シグナル伝達経路に対するトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)の活性化は、肺線維芽細胞の上皮間葉移行(EMT)を誘導し、線維芽細胞を刺激して増殖し、筋線維芽細胞に変換することが研究によって証明されている。肺線維芽細胞が上皮間葉移行(EMT)を行う場合、細胞間の極性が徐々に減少し、細胞の移動能力が増加し、したがって細胞はより容易に這い上がって侵入し、細胞が組織の線維化に関与するようになる。さらに、筋線維芽細胞は、α平滑筋アクチン(α−SMA)マーカータンパク質を発現し高い移動能を有する細胞の一種である。肺の筋線維芽細胞は、活性化後のコラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチン等の細胞外マトリックス成分の過剰量を分泌し、それらの細胞外マトリックス成分は肺間質組織に蓄積して肺線維症の微小環境を形成し、細胞間物質の収縮を誘発し、瘢痕組織を形成する。
骨形成タンパク質−7(BMP−7)がTGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化を阻害することが証明されている。したがって、BMP−7の発現を増加させることができれば、TGF−β/Smadシグナル伝達経路の阻害に有用であり、肺線維症の発症を遅延させる効果を達成する。
上述のように、肺線維症の発生は、肺線維芽細胞の肺免疫過剰反応および上皮間葉移行(EMT)に密接に関連する。肺組織における免疫応答の調節、肺により産生される免疫過剰反応の阻害、肺線維芽細胞の上皮間葉移行(EMT)の阻害、および/または肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換の阻害を達成することができるならば、免疫反応による傷害の緩和、および肺間質組織における過剰量の細胞外マトリックス成分の蓄積を抑制することが可能になり、したがって、肺線維症の発症の遅延、および/または肺線維症の治療の効果を達成すると信じられている。
本発明者らは、以下の式(I)の化合物が、肺胞細胞の抗酸化能力を効果的に高めることができ、肺組織への酸化ストレス誘発損傷を緩和し、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害し、肺線維芽細胞の上皮間葉移行を阻害し、および/または細胞外マトリックスの過剰発現を阻害することを見出した。
式中、Aは−OHまたは=Oで任意に置換されたC5アルキルまたはアルケニルであり;XはHまたはOHであり;YはOであり;かつ、RはHまたは存在せず、ただし、Rが存在しない場合、YおよびAは一緒に結合して5員環を形成する。
本発明者らはさらに、肺線維症を誘発しうる薬物で処理された対象において、本発明による式(I)の化合物が肺組織における免疫応答を効果的に調節し、肺胞壁組織の肥厚を緩和し、肺細胞の異常な浸潤および/または肺機能の低下を緩和することを見出した。
したがって本発明は、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するための医薬および方法を提供する。前記医薬は、活性成分を含み、前記方法は、有効量の活性成分を必要とする対象に投与することを含む。本発明による医薬および方法において、活性成分は、式(I)の化合物、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせを含む。
式中、Aは−OHまたは=Oで任意に置換されたC5アルキルまたはアルケニルであり;XはHまたはOHであり;YはOであり;かつ、RはHまたは存在せず、ただし、Rが存在しない場合、YおよびAは一緒に結合して5員環を形成する。
本発明による医薬および方法の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Aは式(II)、式(III)または式(IV)である。
本発明による医薬および方法の好ましい実施形態では、式(I)の化合物において、Aは式(V)、XはOHである。
本発明による式(I)の化合物の特定の実施形態には、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のいくつかの特定の実施形態において、化合物(1)および/または化合物(2)は、肺線維症の発症の緩和および/または肺線維症の治療ために使用される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語句は、「上記の酸性官能基含有化合物」および「有機または無機塩基」から形成される「薬学的に許容される塩基付加塩」、および「上記の塩基性官能基含有化合物」および「有機または無機酸」からなる「薬学的に許容される酸付加塩」を含む。
無機塩基で形成される「薬学的に許容される塩基付加塩」の例には、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、遷移金属塩(第二鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マン癌塩、アルミニウム塩等)およびアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
有機塩基で形成される「薬学的に許容される塩基付加塩」の例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂等との塩が挙げられるが、これらに限定されない。
無機酸で形成される「薬学的に許容される酸付加塩」の例としては、これらに限定されないが、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸等との塩が挙げられる。
有機酸で形成される「薬学的に許容される酸付加塩」の例としては、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、コハク酸等)、アニオン性アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸等)、ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸等)、脂肪酸(ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸等)、パモ酸、樹脂酸等と形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬を使用して肺線維症の発症を緩和し、および/または肺線維症を治療する場合、所望の投与方法に応じて、医薬は特に限定されない任意の適切な形態で提供することができる。例えば、医薬は、必要とする対象への経口または非経口(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経鼻、または経皮等)経路によって投与することができるが、投与はこれに限定されない。経口投与のための形態の医薬は、対象が自分自身で適用するには都合がよい。形態および目的に応じて、本発明の活性成分の所望の効果に悪影響を及ぼさない限り、適切な担体を選択して使用することができ、そのような担体として、賦形剤、希釈剤、助剤、安定剤、吸収遅延剤、崩壊剤、ハイドロトロピー剤、乳化剤、抗酸化剤、接着剤、バインダー、粘着付与剤、分散剤、懸濁化剤、潤滑剤、吸湿剤等が挙げられ、これらに限定されない。
経口投与に適した剤形として、キャリアは、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールまたはその類縁体、セルロース、デンプン、糖ベントナイト(糖膨潤土、sugar bentonite)およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前記医薬は、経口投与のための任意の適切な形態、例えば固体形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、パウダー剤等の形態)、または液体形態(経口液剤、シロップ剤、酒精剤、エリキシル剤、チンキ剤等の形態)等が挙げられるが、これに限定されない。
皮下、静脈内、筋肉内または腹腔内投与に適した注射剤または点滴剤の形態としては、本発明によって提供される医薬は、1つ以上の成分、例えば、等張溶液、塩緩衝食塩水(例えばリン酸緩衝生理食塩水またはクエン酸緩衝生理食塩水)、ハイドロトロピー剤、乳化剤、5%砂糖溶液、および静脈内注射、乳化静脈内注射、注射用粉末、注射用懸濁液、または注射用粉末懸濁液として医薬を提供する他の担体等を含んでもよい。あるいは、前記医薬は注射用用時溶解固形製剤として調製されてもよい。注射用用時溶解固形製剤は、他の溶液または懸濁液に可溶な形態で、または乳化可能な形態で提供することができる。注射用用時溶解固形製剤を、必要とする対象に投与する前に、他の溶液、懸濁液、または乳化剤に溶解することにより注射剤を調製可能である。さらに、経鼻または経皮投与に適した外用剤の形態として、前記医薬は、例えばリニメント剤(エマルジョン、クリーム、ゲル、分散クリームおよび軟膏等)、スプレー、パッチまたは溶液(洗浄液および懸濁液等)の形態で提供することができる。
皮下移植または間質移植に適した剤形としては、本発明によって提供される医薬は1つ以上の成分、例えば、賦形剤、安定化剤、緩衝剤、ウエハー、錠剤、丸剤、カプセル剤等の形態として医薬を調整する他の担体等をさらに含むことができ、医薬は、対象に投与された後、対象の投与部位に隣接する組織に活性成分をゆっくりと連続的に放出することができ、局所的に安定な高用量の活性成分で肺線維症の発症を遅らせることおよび/または肺線維症を治療する効果を達成する。例えば、これに限定されないが、本発明によって提供される医薬は、p(CPP−SA)コポリマーと混合して混合物を提供し、次いでこの混合物をジクロロメタンに溶解し、乾燥させて粉末を形成することができる。続いて、乾燥した粉末を金型に充填し、軽い圧力下で圧縮して、皮下移植または間質移植のためのウエハーとして医薬を形成する。
本発明によって提供される医薬は、必要に応じて、さらに嗜好性および視覚性を高めるための風味剤、トナー、または着色剤等の適切な量の添加剤、および医薬の安定性および保存性を改善するための緩衝剤、保存剤、防腐剤、抗菌剤、または抗真菌剤をさらに含んでもよい。加えて、他の活性成分が本発明の活性成分の所望の効果に悪影響を及ぼさない限り、医薬の効果をさらに高めるため、または提供された調製物の適用の柔軟性および適合性を高めるために、1種類以上の他の活性成分(免疫調節薬、ピルフェニドン(商品名:エスブリエット(登録商標))およびN−アセチルシステイン(NAC;商品名:NAC 600mg/カプセル)等)をさらに含んでいてもよく、または1種以上の他の活性成分を含む医薬と組み合わせて使用してもよい。
対象の必要性、年齢、体重および健康状態に依存して、本発明によって提供される医薬は、1日1回、1日複数回、または数日おき等、様々な投与頻度で投与され得る。例えば、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するために医薬を対象に経口投与する場合、医薬の投与量は、1mg(化合物(I)として)/kg体重〜500mg(式(I)の化合物として)/kg体重/日であり、好ましくは5mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜200mg(式(I)の化合物として)/kg体重/日、より好ましくは10mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜100mg(式(I)の化合物として)/kg体重/日である。単位「mg/kg体重」は、対象の体重1kgあたりに必要な投与量を指す。しかしながら、急性の患者では、投与量は、実際の必要条件に応じて、例えば数倍または数十倍まで、任意に増加させることができる。本発明のいくつかの特定の実施形態では、本発明によって提供される医薬は、肺線維症の発症を遅延させる、および/または肺線維症を治療するために使用され、医薬の投与量は、10mg(式(I)の化合物として)/kg体重〜50mg(式(I)の化合物として)/kg体重/日である。
本発明の肺線維症発症を遅延させる、または肺線維症を治療するための方法において、投与経路、投与形態、適切な投与量、および活性成分(すなわち、式(I)の化合物、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせ)の使用は、すべて上述の通りである。
以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において規定される。
実験材料
実施例で使用した材料、試薬および器具の供給源は以下の通りである。
(1)ラットタイプII肺胞細胞、L2細胞株:American Type Culture Collection(ATCC)によって提供された、ATCC(登録商標)CCL−149TM
(2)H(過酸化水素30%):Scharlau社(バルセロナ、スペイン)から購入(製品番号:P201405020062)。
(3)N−アセチルシステイン(NAC;臨床的に肺線維症を治療するために使用される医薬の1つ):Sigma−Aldrich社から購入(製品番号:A9165)。
(4)化合物(1):Lancaster Synthesis社(ニューゲイト モーカム、イギリス)。
(5)化合物(2):Formosa Laboratories社製。
(6)3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(略称:MTT):Thermo Fisher社から購入(製品番号:M6494)。
(7)ジメチルスルホキシド(略称:DMSO):Protech社から購入(製品番号:Amresco0231)。
(8)酵素結合イムノソルベントアッセイリーダー(ELISAリーダー):Thermo Fisher社(Scientific Multiskan EXマイクロプレートリーダー)。
(9)トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β):PEPROTECH社から購入(製品番号:100−21)。
(10)正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF):Lonza社(スイス)から購入(製品番号:CC−2512)。
(11)FGM−2培地:FGM−2 SingleQuot Kit Suppl.および増殖因子、Lonza社(スイス)から購入(製品番号:CC−4126)。
(12)ピルフェニドン(臨床的に肺線維症を治療するために使用される医薬の1つ):Sigma−Aldrich社から購入(製品番号:P2116)。
(13)C57B/L6マウス:National Laboratory Animal Centerから購入。
(14)硫酸ブレオマイシン(肺線維症の誘発剤):Sigma−Aldrich社から購入(製品番号:B5507)。
(15)オリーブオイル:Olitaliaエクストラバージン食品グレードのオリーブオイル。
(16)無拘束全身プレチスモグラフィー(WBP):Buxco社から購入。
(17)PRO−PREPTMタンパク質抽出キット:iNtRON社から購入。
(18)RNeasy Miniキット:Qiagen社から購入。
(19)QuantiTect逆転写キット:Qiagen社から購入。
(20)Fugene HDトランスフェクション試薬:Promega社から購入。
(21)SOX2遺伝子プラスミド(pcDNA3.1−SOX2):GENEWIZ社製(受託番号:NM_003106.3)。
インビトロ実験
[実施例1]:細胞生存試験(MTT解析)
酸化ストレスは肺胞細胞の死を引き起こし、肺組織を損傷させることが知られている。インビトロ実験により、本発明の式(I)の化合物が肺組織への酸化ストレス誘発損傷を緩和することができるかどうかを確かめる。
ラットタイプII肺胞細胞、L2細胞株(ATCC(登録商標)CCL−149TM)を96ウェルプレートに5×10細胞/ウェルの密度で、合計48ウェルに播種した。(対照群と5つの実験群、それぞれの群について8つのウェルに分けた)。翌日まで細胞を培養し培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群:F−12K培地(Ham’s F−12培地(Kaighn’s Modification)、ATCC(登録商標)30−2004TM)で細胞を24時間培養した。
(2)群1:H(0.1mM)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(3)群2:H(0.1mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(4)群3:H(0.1mM)およびN−アセチルシステイン(NAC)(2mM)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(5)群4:H(0.2mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(6)群5:H(0.2mM)とNAC(2mM)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
培養が完了した後に培地を除去し、各群を以下の条件で処理した。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)を10%含むF−12K培地を各ウェルに加え、1時間培養した。その後、培地を除去し、適量のジメチルスルホキシド(DMSO)をウェルに添加した。次いで、595nmの波長(OD595nm)における各群の吸光度を検出するために、酵素結合免疫吸着測定リーダー(ELISAリーダー)を使用した。各群の平均値をそれぞれ算出し(n=8)、対照群の結果を他の群の相対生存率の算出の基礎とした。結果を図1および表1に示す。
(表1)
図1および表1に示すように、対照群と比較して、群1の生存率は有意に低下した。しかし、群1と比較して、群2,3,4および5の生存率はすべて有意に増加した。上記の結果は、Hが肺組織に酸化ストレスを生じさせ、肺胞細胞を死滅させることを示している。本発明の式(I)の化合物は、肺胞細胞の抗酸化能を高め、肺胞細胞の生存率を高め、肺組織の酸化ストレス誘発損傷を緩和する効果があり、それらの効果は臨床現場で肺線維症を治療するために使用される医薬に匹敵する。
[実施例2]:コラーゲンの発現阻害に対する式(I)の化合物の効果
肺で免疫過剰反応が起こると、TGF−βシグナル伝達経路が活性化され、さらに肺組織の損傷を引き起こす。次いで、肺線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチン等の細胞外マトリックス成分を分泌して組織を修復する。しかしながら、組織修復の過剰反応(すなわち、過剰量の細胞外マトリックス成分を分泌することにより)は、肺線維症を引き起こす。BMP−7は、TGF−βシグナル伝達経路の活性化を阻害することができる。本発明の式(I)の化合物が、細胞外マトリックス成分(コラーゲン等)を過度に分泌する肺線維芽細胞を阻害する能力を有するかどうかを確認するために、以下の実験(2−1)および(2−2)を実施した。
(2−1)
正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)を2×10細胞/皿の密度で、対照群および3つの実験群(計4皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)陽性対照群:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)陰性対照群:1%血清およびTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(3)低用量群:1%血清およびTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で12時間培養した後、最終濃度が15μg/mlになるように化合物(1)を培地に添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(4)高用量群:1%血清およびTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で12時間培養した後、最終濃度が25μg/mlとなるように化合物(1)を培地に添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
その後、各群の細胞のタンパク質を抽出し、各群のNHLF細胞におけるI型コラーゲンの発現をβ−アクチンを内部対照として用いたウエスタンブロッティングで測定した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図2および表2に示す。
(表2)
図2および表2に示すように、陽性対照群と比較して、TGF−β1によって誘導された陰性対照群におけるコラーゲンの発現レベルは有意に増加した。しかし、陰性対照群と比較して、低用量群のコラーゲンの発現レベルは少し低下したが、高用量群のコラーゲンの発現レベルは有意に減少した。
以上の結果より、TGF−β1は、肺線維芽細胞に多量のコラーゲンを発現させることができ、本発明の式(I)の化合物は、コラーゲンの過剰発現を阻害する効果があり、その効果は、式(I)の化合物の濃度の増加に伴って増加することが示された。
(2−2)
正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)を2×10細胞/皿の密度で、対照群および6つの実験群(計7皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)陽性対照群:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)群I:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(3)群II:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が25μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(4)群III:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が35μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(5)群IV:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地にピルフェニドンを最終濃度が100μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(6)群V:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地にピルフェニドンを最終濃度が250μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(7)群VI:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地にピルフェニドンを最終濃度が500μg/mlになるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
その後、各群の細胞内のタンパク質を抽出し、各群のNHLF細胞におけるI型コラーゲン、BMP−7タンパク質およびTGF−βタンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより測定した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図3および表3に示す。
(表3)
図3および表3に示すように、対照群と比較して、群I、II、III、IV、VおよびVIにおけるコラーゲンおよびTGF−βタンパク質の発現レベルはすべて有意に減少した。別の態様では、対照群と比較して、群I、II、III、IV、VおよびVIにおけるBMP−7タンパク質の発現レベルはすべて有意に増加した。
以上の結果から、本発明の式(I)の化合物は、肺線維芽細胞が発現するBMP−7タンパク質のレベルを上昇させ、TGF−β1によって誘導されるコラーゲンの過剰発現を阻害することができ、その効果は式(I)の化合物の濃度の増加に伴って増加した。これは、本発明の式(I)の化合物が、BMP−7の発現を増加させることによってTGF−βシグナル伝達経路を阻害し、そしてコラーゲンの過剰発現を阻害する効果を有することを示している。式(I)の化合物の効果は、現在の臨床実践において肺線維症を治療するために使用される医薬の効果よりも良好である。
(2−3)
Fugene HD細胞トランスフェクション試薬により、正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)にpcDNA3.1空ベクターおよびpcDNA3.1−SOX2プラスミド(すなわちSOX2遺伝子を含むpcDNA3.1ベクター)をそれぞれトランスフェクションした。細胞をスクリーニングし、pcDNA3.1空ベクターまたはpcDNA3.1−SOX2プラスミドを含むNHLFsを得た。
次いで、pcDNA3.1空ベクターを含むNHLFsを、2×10細胞/皿の密度で対照群および3つの実験群(計4皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群I:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)群A:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(3)群B:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
(4)群C:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が30μg/mlとなるように添加し、その後、細胞をさらに24時間培養した。
別の態様では、pcDNA3.1−SOX2プラスミドを含むNHLFsを2×10細胞/皿の密度で対照群および3つの実験群(計4皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群II:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)群D:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(3)群E:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlになるように添加し、細胞をさらに24時間培養した。
(4)群F:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が30μg/mlになるように添加し、細胞をさらに24時間培養した。
その後、各群の細胞内のタンパク質を抽出し、各群のNHLF細胞におけるSox2タンパク質、TGF−βタンパク質、I型コラーゲンの発現をウエスタンブロッティングにより測定した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図4および表4に示す。
(表4)
図4に示すように、pcDNA3.1空ベクター(対照群Iおよび群A〜C)を含むNHLFsと比較して、pcDNA3.1−SOX2プラスミドを含むNHLFs中のSox2タンパク質の発現レベル(対照群IIおよび群D〜F)は有意に高く、上記のトランスフェクション実験においてpcDNA3.1−SOX2プラスミドが既にNHLFsにトランスフェクトされていることが示されている。
別の態様では、図4および表4に示すように、群Aと比較して、群CにおけるSox2タンパク質、TGF−βタンパク質およびI型コラーゲンの発現レベルはすべて有意に低下した。群Dと比較して、群EおよびFにおけるTGF−βタンパク質およびI型コラーゲンの発現レベルは、有意に低下しなかった。以上の結果より、本発明の式(I)の化合物は、肺線維芽細胞においてTGF−βタンパク質およびI型コラーゲンの発現を阻害できるが、Sox2タンパク質が過剰発現すると、式(I)の化合物は阻害されなかったTGF−βタンパク質およびI型コラーゲンの発現を示す。このことは、式(I)の化合物が、Sox2タンパク質を調節することによってTGF−βタンパク質およびI型コラーゲンの発現を阻害し、そして肺線維症を緩和することができることを示す。
[実施例3]:肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換に対する式(I)の化合物の効果
TGF−βシグナル伝達経路の活性化は肺線維芽細胞を刺激して増殖し、筋線維芽細胞に変換することができるが、BMP−7はTGF−βシグナル伝達経路の活性化を阻害できることが知られている。筋線維芽細胞は、α−SMAマーカータンパク質を発現し、高い移動能を有する細胞の一種である。筋線維芽細胞が活性化されると、過剰な量の細胞外マトリックス成分が分泌され、これが肺間質組織に蓄積し、次いで肺線維症の微小環境を形成する。したがって、以下の実験(3−1)および(3−2)は、本発明の式(I)の化合物が肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害する能力を有するかどうかを確認するために行った。
(3−1)
正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)を、2×10細胞/皿の密度で、対照群および6つの実験群(計7皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群:10%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)群i:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(3)群ii:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(4)群iii:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、化合物(1)を最終濃度が25μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(5)群iv:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(6)群v:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(7)群vi:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が25μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
その後、各群の細胞内のタンパク質を抽出し、各群のNHLF細胞におけるBMP−7タンパク質、TGF−βタンパク質およびα−SMAタンパク質の発現をβ−アクチンを内部対照として用いたウエスタンブロッティングにより測定した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図5および表5に示す。
(表5)
図5および表5に示すように、群ivと比較して、群vおよび群viにおけるTGF−βタンパク質およびα−SMAタンパク質の発現レベルはすべて減少した。
上記の結果は、式(I)の化合物が、肺線維芽細胞におけるTGF−βシグナル伝達経路の活性化を阻害し、筋線維芽細胞のマーカータンパク質の発現を阻害し得ることを示す。これは、式(I)の化合物が肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害する効果を有することを示している。
(3−2)
正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)を、10細胞/ウェルの密度で、対照群および5つの実験群(合計6ウェル)の6ウェルプレートに播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を24時間培養した。
(2)群α:1%血清と化合物(1)(5μg/ml)を含むFGM−2培地で細胞を24時間培養した。
(3)群β:1%血清と化合物(1)(10μg/ml)を含むFGM−2培地で細胞を24時間培養した。
(4)群γ:1%血清とH(0.1mM)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(5)群δ:1%血清、H(0.1mM)および化合物(1)(5μg/ml)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
(6)群ε:1%血清、H(0.1mM)および化合物(1)(10μg/ml)を含むF−12K培地で細胞を24時間培養した。
その後、各群から採取した細胞の全RNAを抽出し、QuantiTect逆転写Kitを用いて全RNAを逆転写してcDNAを取得した。次いで、cDNAに対してQ−PCRを行い、α−SMAおよびTGF−β等の遺伝子のmRNA発現レベルを分析し、GAPDH遺伝子を内部対照として用いた。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図6および表6に示す。
(表6)
図6および表6に示すように、対照群と比較して、各実験群(すなわち、群α、β、γ、δおよびε)におけるα−SMAおよびTGF−β遺伝子のmRNA発現はすべて減少した。
以上の結果より、本発明の式(I)の化合物は、Hによる酸化ストレス下であっても、肺線維芽細胞に起因するα−SMAおよびTGF−β遺伝子の発現を阻害できることが示された。これは、式(I)の化合物が、肺線維芽細胞におけるTGF−βシグナル伝達経路の活性化を阻害し、筋線維芽細胞におけるマーカータンパク質の発現を阻害し得ることを示す。
上記実験(3−1)および(3−2)の結果から、本発明の式(I)の化合物は、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換を阻害することができ、従って、式(I)の化合物は、肺間質組織における過剰量の細胞外マトリックス成分(例えば、コラーゲン、エラスチン及びフィブロネクチン)の蓄積を防止する効果を有する。
[実施例4]:肺線維芽細胞の上皮間葉移行(EMT)を阻害する式(I)の化合物の効果
TGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化は上皮間葉移行を促進し、BMP−7はTGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化を阻害することが知られている。細胞が上皮間葉移行を行うと、細胞間の極性が徐々に減少し、細胞の移動能力が増し、細胞がより容易にクリープして侵入し、細胞が組織の線維化にさらに関与する。したがって、本発明の式(I)の化合物が肺線維芽細胞の上皮間葉移行を阻害する能力を有するかどうかを確認するために以下の実験を行った。
正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)を、2×10細胞/皿の密度で、対照群と5つの実験群(計6皿)の6cm培養皿に播種した。翌日まで細胞を培養し、培地を除去した。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群:1%血清を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(2)群A:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を36時間培養した。
(3)群B:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が15μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(4)群C:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(1)を最終濃度が30μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(5)群D:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(2)を最終濃度が100μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
(6)群E:1%血清とTGF−β1(5ng/ml)を含むFGM−2培地で細胞を12時間培養した後、培地に化合物(2)を最終濃度が200μg/mlになるように添加した。その後、細胞をさらに24時間培養した。
その後、各群の細胞内のタンパク質を抽出し、各群のNHLF細胞におけるBMP−7タンパク質、TGF−βタンパク質、およびp−smad2/3タンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより測定した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図7および表7に示す。
(表7)
図7および表7に示すように、群Aと比較して、群BおよびCにおけるBMP−7タンパク質の発現レベルは有意に高かったが、群BおよびCにおけるTGF−βタンパク質およびp−smad2/3タンパク質の発現レベルは有意に低かった。さらに、群Aと比較して、群DおよびEにおけるTGF−βタンパク質およびp−smad2/3タンパク質の発現レベルも有意に低かった。
上記の結果は、本発明の式(I)の化合物が、肺線維芽細胞におけるTGF−βタンパク質の発現を阻害し、smad2およびsmad3タンパク質のリン酸化を阻害し得ることを示す。これは、式(I)の化合物がTGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化を阻害することができ、したがって式(I)の化合物が肺線維芽細胞の上皮間葉移行を阻害する効果を有することを示す。
インビボ実験
[実施例5]:動物モデルの樹立
24匹のC57B/L6マウス(4週齢)を4群に分けた(各群6匹)。それぞれの群を以下の条件下で処理して追跡実験を行った。
(1)対照群(肺線維症のないマウス;すなわち正常マウス):50μlのPBSを各マウスに気管内注射により投与した後、マウスを30日間飼育した。
(2)オイル群:0.6U/50μlの硫酸ブレオマイシン(PBSに溶解)を各マウスに気管内注射により投与した後、100μlのオリーブオイルを毎日各マウスに30日間経口投与した。
(3)低用量群:0.6U/50μlの硫酸ブレオマイシン(PBSに溶解)を各マウスに気管内注射により投与した後、化合物(1)(10mg/kg体重、オリーブオイルで調製して最終容量100μlとする)を毎日各マウスに30日間経口投与した。
(4)高用量群:0.6U/50μlの硫酸ブレオマイシン(PBSに溶解)を各マウスに気管内注射により投与した後、化合物(1)(50mg/kg体重、オリーブオイルで調製して最終容量100μlとする)を毎日各マウスに30日間経口投与した。
[実施例6]:肺機能の測定
診断が確定されたとき、肺線維症患者の肺機能の大部分は既に減少しており、それらの患者にはまた呼吸困難の症状があった。後期肺線維症患者は、長期低酸素症によって引き起こされる心不全、呼吸不全等をさらに示した。したがって、本発明の式(I)の化合物が肺機能を維持し、肺機能の低下を緩和できるかどうかを確認するために以下の実験を行った。
この実験では、実施例5の各群からのマウスの肺機能を、非拘束全身プレチスモグラフィー(WBP)で評価した。特定のチャンバーの内部および外部の空気の変化を測定することによってマウスの吸気および呼気流量を計算し、そこから呼吸パラメーターを得ることができる。呼吸パラメーターは、最大吸息流(PIF)(すなわち、ある期間内の吸入最大量)、最大呼気流量(PEF)(すなわち、ある期間内の呼気最大量)、吸気時間(Ti)(すなわち、ある期間内の吸気の平均時間)、呼気時間(Te)(すなわち、ある期間内の呼気の平均時間)、呼吸数(RR)(すなわち、毎分呼吸数)、累積量(AV)(すなわち、毎分呼吸する平均空気量)、一回換気量(TV)(すなわち、時間当たりの空気の平均容量)、緩和時間(RT)(すなわち、空気ハッチの圧力を最大値の40%に上昇させるのに必要な平均時間)等を含む。結果を図8に示す。
図8に示すように、「オイル群」と比較して、「低用量群」および「高用量群」のマウスは、呼息時間および緩和時間を有意に減少させ(p<0.05)および累積量を有意に増加させた(p<0.01)。さらに、「低用量群」および「高用量群」の他の呼吸パラメーターも対照群(正常マウス)に近かった。
上記の結果は、本発明の式(I)の化合物がマウスの肺機能を効果的に維持し、硫酸ブレオマイシン誘導性の肺機能低下を緩和できることを示す。
[実施例7]:組織切片の観察
肺線維症の過程において、繊維状物質(例えば、コラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチン等の細胞外マトリックス成分)は、肺間質組織を徐々に占有し、肺胞壁組織の肥厚をもたらす。したがって、本発明の式(I)の化合物が上記のように肺線維症の現象を効果的に遅延または緩和することができるかどうかを確かめるために以下の実験を行った。
実施例6の肺機能の測定が完了した後、マウスを犠牲にした。肺組織試料をマウスから採取し、2つの群に分けた(各群は対照群、オイル群、低用量群および高用量群の試料を含む)。2つ群のうちの1つは、追跡実験のために−20℃で保存され、他の群は、ヘマトキシリン−エオジン染色(H&E染色)によって分析した。結果を図9に示す。
さらに、マウス肺組織の線維化状態をさらに観察するために、Ashcroftらの文献に記載されている肺線維症を評価する方法を使用して、図9に示す結果を採点(0〜8)した。より高いスコアは、肺線維症のより重篤な状態を表す。結果を図10に示す。上記の採点方法は、例えば、Simple method of estimating severity of pulmonary fibrosis on a numerical scale. J Clin Pathol. 1988 Apr;41(4):467-70、に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図9に示すように、「対照群」のマウスと比較して、「オイル群」のマウスの肺胞壁組織は有意に厚くなり、これらのマウスの肺細胞は有意なレベルの異常な浸潤を示し、肺免疫細胞および線維芽細胞の異常な増殖を示した。しかし、「オイル群」のマウスと比較して、「低用量群」および「高用量群」のマウスの肺胞壁組織は有意により薄く、異常な浸潤のレベルも有意に低かった。上記の結果は、硫酸ブレオマイシンが肺免疫細胞および線維芽細胞の異常な増殖をもたらし、肺線維症をもたらすことを示している。本発明の式(I)の化合物を使用することは、上記のように肺線維症の状態を効果的に遅延させるか、または緩和することができる。
図10に示すように、「対照群」由来のマウスと比較して、「オイル群」由来の肺線維症スコアは有意に増加した。しかし、「オイル群」由来のマウスと比較して、「低用量群」および「高用量群」の肺線維症スコアは有意に減少した。
上記の結果は、本発明の式(I)の化合物を使用することにより、上記のような肺線維症の状態を効果的に遅延させるか、または緩和することができることを再度示している。
[実施例8]:肺組織のタンパク質および全RNAの分析
上記のように、肺組織におけるTGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化および免疫過剰反応は、肺線維芽細胞の発症と密接に関連している。肺におけるTGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化が阻害され、免疫反応が調節され得るならば、肺によって産生される免疫過剰反応を効果的に阻害することができ、肺線維症の発症を遅延させる効果を達成することができる。さらに、サーファクタントCの発現を増加させることにより、TGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化を阻害することができる。この実施例は、本発明の式(I)の化合物が肺組織における免疫反応を効果的に調節し、肺線維症の発症を遅延させることができるかどうかを確かめるために使用される。
実施例7によって提供され−20℃で保存されたマウスの肺組織のサンプルを貯蔵から取り出し、次いで液体窒素中で粉砕した。その後、PRO−PREPTMタンパク質抽出キットを用いて、各群の粉砕サンプルの一部からのタンパク質を抽出した。各群の試料中のTGF−βタンパク質、smad3タンパク質およびサーファクタントCの発現を、アクチンを内部対照として用いたウエスタンブロッティングにより測定した。結果を図11に示す。
次いで、各群の粉砕試料の別の部分について、RNeasy Mini Kitを用いて全RNAを抽出した。QuantiTect Reverse Transcription Kitを用いて全RNAの逆転写を行い、cDNAを得た。その後、cDNAに対してRT−PCRを行い、β−アクチンを内部対照として各群のIL−6やIL−6等の免疫関連遺伝子のmRNA発現量を解析した。対照群の結果は、他の群の相対発現レベルを計算するための基礎として用いた。結果を図12および表8に示す。
(表8)
図11に示すように、オイル群と比較して、低用量群および高用量群におけるTGF−βタンパク質およびsmad3タンパク質の発現レベルはいずれも有意に低かったが、低用量群および高用量群におけるサーファクタントCの発現レベルは有意に高かった。上記の結果は、本発明の式(I)の化合物が、TGF−β/Smadシグナル伝達経路の活性化を阻害し得ることを再び示す。
図12および表8に示すように、対照群と比較して、オイル群におけるIL−βおよびIL−6遺伝子のmRNA発現は両方とも有意に増加した。しかし、オイル群と比較して、低用量群および高用量群におけるIL−βおよびIL−6等の免疫関連遺伝子のmRNA発現は有意に低下した。上記の結果は、本発明の式(I)の化合物が、肺組織中の免疫応答を調節し、肺により産生される免疫過剰反応を阻害することを示しており、従って、式(I)の化合物は、肺線維症の発症を遅延させるために使用することができる。
本発明の式(I)の化合物は、上記インビトロおよびインビボの実験に示されているように、肺胞細胞の抗酸化能力の増強、肺胞細胞の生存率の増加、肺組織への酸化ストレス誘発損傷の緩和、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換の阻害、肺線維芽細胞の上皮間葉移行(EMT)の阻害、および細胞外マトリックスの過剰発現の阻害の効果を有する。さらに、式(I)の化合物は、肺組織における免疫応答を効果的に調節し、肺胞壁組織の肥厚を緩和し、肺細胞の異常な浸潤を緩和し、および/または肺機能の低下を緩和し、従って、肺線維症の発症を遅延させるため、および/または肺線維症を治療するために使用することができる。

Claims (7)

  1. 活性成分を含む、肺線維症の発症を遅延させるためおよび/または肺線維症を治療するための医薬組成物であって、前記活性成分が、式(I)の化合物、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、医薬組成物。
    [式(I)の化合物は、以下の化合物(1)および化合物(2)の少なくとも1つである。]
  2. 肺胞細胞の抗酸化能力の増強、肺胞細胞の生存率の増加、肺組織への酸化ストレス誘発損傷の緩和、肺線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換の阻害、肺線維芽細胞の上皮間葉移行の阻害、および/または細胞外マトリックスの過剰発現の阻害のために使用される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 肺組織における免疫応答の調節、肺胞壁組織の肥厚の緩和、肺細胞の異常な浸潤の緩和、および/または肺機能低下の緩和のために使用される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 細胞におけるSox2タンパク質の発現の調節、コラーゲンの発現の阻害および/またはTGF−βタンパク質の発現の阻害のために使用される、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 1日あたり1mg(式(I)の化合物として)/kg体重から500mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 1日あたり5mg(式(I)の化合物として)/kg体重から200mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 1日あたり10mg(式(I)の化合物として)/kg体重から100mg(式(I)の化合物として)/kg体重の範囲の量で投与される、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
JP2018557004A 2016-05-19 2017-05-12 肺線維症の発症および/または治療の遅延のための医薬製剤 Active JP6718522B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201662338787P 2016-05-19 2016-05-19
US62/338,787 2016-05-19
PCT/CN2017/084114 WO2017198114A1 (zh) 2016-05-19 2017-05-12 用于延缓肺纤维化的发病及/或治疗肺纤维化的药剂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019514940A JP2019514940A (ja) 2019-06-06
JP6718522B2 true JP6718522B2 (ja) 2020-07-08

Family

ID=60324837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018557004A Active JP6718522B2 (ja) 2016-05-19 2017-05-12 肺線維症の発症および/または治療の遅延のための医薬製剤

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10463645B2 (ja)
EP (1) EP3459539B1 (ja)
JP (1) JP6718522B2 (ja)
CN (1) CN108472276B (ja)
TW (1) TWI650125B (ja)
WO (1) WO2017198114A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113499427A (zh) * 2021-05-24 2021-10-15 南京大学 微囊藻毒素-rr在制备预防或治疗肺组织纤维化疾病的药物中的用途

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1835942A (zh) * 2003-06-19 2006-09-20 金纳莱公司 粘蛋白合成抑制剂
CN101184484B (zh) * 2005-05-24 2011-10-05 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 用于治疗炎性失调的藁本内酯衍生物
CA2665423A1 (en) * 2006-10-12 2008-04-17 Wyeth Methods and compositions with reduced opalescence
TWI460168B (zh) * 2012-08-10 2014-11-11 Univ China Medical 用於抑制運動神經元自體吞噬之醫藥組合物及其應用
CN102793696B (zh) * 2012-08-31 2014-09-10 甘肃中医学院 丁苯酞在制备治疗支气管哮喘药物中的应用
TWI689490B (zh) * 2013-03-15 2020-04-01 英商邊緣生物科技有限公司 用於治療纖維化之經取代之芳族化合物及相關方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3459539A4 (en) 2019-12-25
EP3459539B1 (en) 2021-06-09
EP3459539A1 (en) 2019-03-27
TWI650125B (zh) 2019-02-11
CN108472276B (zh) 2021-07-23
JP2019514940A (ja) 2019-06-06
US10463645B2 (en) 2019-11-05
WO2017198114A1 (zh) 2017-11-23
CN108472276A (zh) 2018-08-31
US20170333391A1 (en) 2017-11-23
TW201740937A (zh) 2017-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101934328B1 (ko) 아모디아퀸 및 항당뇨 약물을 유효성분으로 함유하는 당뇨병의 예방 또는 치료용 약학적 조성물
EP2579879B1 (en) Triazine derivatives for delaying the onset of type 1 diabetes
US9522143B2 (en) Nitroxides for use in treating or preventing diabetes and obesity
EP3193907B1 (en) Method of treating prader-willi syndrome
US11278549B2 (en) Method of treating obesity
KR101665846B1 (ko) Gpr119 리간드를 유효성분으로 포함하는 비알콜성 지방간 질환의 예방 또는 치료용 약학적 조성물
JP6718522B2 (ja) 肺線維症の発症および/または治療の遅延のための医薬製剤
CN112996541A (zh) 去除衰老细胞的方法和衰老细胞的制备方法
WO2013115486A1 (ko) 신규한 피페린 유도체 및 그의 용도
KR101498218B1 (ko) 신규한 펜타디에노일 피페리딘 유도체 및 그의 용도
CN107530316B (zh) 用于预防和治疗胰腺炎、含基于萘醌的化合物作为有效成分的组合物
US9603845B2 (en) Prophylactic agent and/or therapeutic agent for stress urinary incontinence
US10143666B2 (en) Small molecule inhibitors targeting CAG-repeat RNA toxicity in polyglutamine diseases
KR20210102208A (ko) 신경계 질환의 치료
KR102122970B1 (ko) 금제제를 유효성분으로 포함하는 파골세포 분화 억제용 조성물
KR102322349B1 (ko) 척수 손상 또는 척추관 협착증의 예방 또는 치료용 약제학적 조성물
KR20150036115A (ko) 위식도 역류증에 대한 약제
JP2014148474A (ja) Glp−1分泌促進剤
US20230149326A1 (en) Pharmaceutical composition for preventing or treating muscular weakness-related diseases comprising alverine, 4-hydroxy alverine, derivative thereof, or pharmaceutically acceptable salt thereof
WO2024078628A1 (zh) 治疗骨质疏松的方法和药物组合物
WO2012014993A1 (ja) 翻訳開始因子または翻訳伸長因子の増加剤、およびその医薬用途
KR101598380B1 (ko) 당뇨병 또는 당뇨 합병증의 예방 또는 치료용 조성물
Abrar et al. Relaxant effect of pioglitazone on the guinea-pig isolated trachea through the modulation of endogenous prostaglandins
CA3190860A1 (en) Composition for treating kca3.1 channel-mediated diseases comprising phenylalkyl carbamate compound
JP2019119709A (ja) インスリン分泌促進剤及びインスリン分泌促進方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200421

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200421

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200508

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6718522

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250