JP6718124B2 - Pid制御装置及びpid制御方法 - Google Patents
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Description
オートチューニング機能を有するPID制御装置におけるPIDパラメータの算出方法として、リミットサイクル法などが知られている。
図1はこの発明の実施の形態1によるPID制御装置を示す構成図である。
図1のPID制御装置は、PID制御に用いるPIDパラメータを算出するオートチューニング機能を有している。
図1において、制御対象1は例えば押出成形機の炉であり、加熱器2により熱が加えられて、温度Tが設定温度Trefに制御される。
加熱器2は制御対象1に熱を加えるヒータなどの機器である。
温度計測部3は制御対象1の温度Tを計測して、その温度Tの計測値(PV値)を出力する温度センサである。
また、温度制御部4はPIDパラメータ算出部5によるPIDパラメータの算出処理が完了すると、そのPIDパラメータを用いる制御対象1の温度TのPID制御を開始する。
経過時間計測部6は例えばCPUを実装している半導体集積回路、ワンチップマイコン、あるいは、タイマーを備える計算機などから構成されており、温度計測部3から出力された計測値が示す制御対象1の温度Tを監視して、制御対象1の温度Tが設定温度Trefを通過するタイミングを検出する処理を実施し、通過のタイミングを検出する毎に、前回の通過のタイミングから今回の通過のタイミングに至るまでの経過時間telaを計測する処理を実施する。
ここでは、残り時間算出部7が、オートチューニングが終了するまでの残り時間trestを算出するものを示しているが、さらに、その残り時間trestと現在の時刻から、オートチューニングの終了時刻tendを算出するようにしてもよい。
また、残り時間提示部8は残り時間算出部7によりオートチューニングが終了するまでの残り時間trestが算出される毎に、当該残り時間trestをタイマーのカウント値に設定して、そのカウント値の減数処理を開始し、減数処理中のカウント値を更新後の残り時間trestとして、7セグメント表示器に表示する処理を実施する。
ここでは、残り時間提示部8が残り時間trestを7セグメント表示器に表示する例を示しているが、これに限るものではなく、例えば、残り時間trestを音声出力することで提示するものであってもよい。
また、残り時間提示部8は、残り時間算出部7により算出されたオートチューニングの終了時刻tendを提示するようにしてもよい。
図2はPID制御装置がコンピュータで構成されている場合のハードウェア構成図である。
PID制御装置がコンピュータで構成されている場合、温度制御部4、PIDパラメータ算出部5、経過時間計測部6、残り時間算出部7及び残り時間提示部8の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ11に格納し、コンピュータのプロセッサ12がメモリ11に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図3はこの発明の実施の形態1によるPID制御装置の処理内容であるPID制御方法を示すフローチャートである。
図1のPID制御装置は、制御対象1の温度TのPID制御を開始する前に、PID制御に用いるPIDパラメータを算出するオートチューニングを実行する。
図4はオートチューニング実施時の制御対象1の温度Tの変化と、温度制御部4による加熱器2に対する加熱の操作量の変化とを示す説明図である。
図4では、制御対象1の温度Tの2サイクルの期間で、PIDパラメータの算出が完了する例を示している。
また、図4では、PIDパラメータ算出部5によるPIDパラメータの算出処理が完了してから、4分の1サイクル(負荷の無駄時間)の経過後に、PID制御を開始する例を示している。この実施の形態1では、PIDパラメータの算出処理が完了してから負荷の無駄時間を含めた時刻をオートチューニングの終了時刻としている。これにより、オートチューニングにより制御対象1に付与される熱量が極小となった段階で通常のPID制御に移行することになるため、制御対象1を通常のPID制御に安定して移行することができる点で好ましい。しかしながら、本発明はこの態様に限定されるものではなく、負荷のむだ時間を考慮せずにPIDパラメータの算出処理が完了する時刻と、PID制御の開始時刻とを一致させるようにしてもよく、また無駄時間とは異なる時間ずらすようにしてもよい。
以下、オートチューニング中のPID制御装置の処理内容を具体的に説明する。
また、温度制御部4は、オートチューニングの実行中、温度計測部3から出力された計測値が示す制御対象1の温度Tと、事前に設定されている制御対象1の目標温度である設定温度Trefとの比較処理を実行する。
そして、温度制御部4は、制御対象1の温度Tが設定温度Trefより低い期間では、図4に示すように、加熱器2をオン状態(加熱器2に対する操作量を100%)に設定することで、制御対象1の温度Tを上昇させる。
一方、温度計測部3から出力された計測値が示す制御対象1の温度Tが設定温度Tref以上の期間では、温度制御部4は、図4に示すように、加熱器2をオフ状態(加熱器2に対する操作量を0%)に設定することで、制御対象1の温度Tを下降させる。
このように、温度制御部4が、加熱器2をON/OFF制御することで、制御対象1の温度Tの振幅が徐々に小さくなり、制御対象1の温度Tが設定温度Trefに近づいていく。
PIDパラメータ算出部5がPIDパラメータの算出に用いる方法として、例えば、リミットサイクル法やそれを応用した方法が使われる。ただし、制御対象の特性や制御要求により、様々な調整がなされる場合があるため、算出処理の詳細については省略する。
残り時間提示部8は、温度制御部4がON/OFF制御を開始すると、現在、PIDパラメータの計算中である旨を示す“CALC”を7セグメント表示器に表示する(ステップST2)。
図4では、オートチューニングが完了するまでに、制御対象1の温度Tが設定温度Trefを通過するタイミングの回数が5回である例を示している。
経過時間計測部6は、オートチューニングを開始してから、1回目のATポイントの通過を検出すると(ステップST3:Yesの場合)、1回目のATポイントの通過時刻t1(1回目の通過のタイミングを示す時刻)を特定し、その通過時刻t1からの経過時間tela,1の計測を開始する(ステップST4)。
経過時間計測部6は、2回目のATポイントの通過を検出すると(ステップST5:Yesの場合)、2回目のATポイントの通過時刻t2(2回目の通過のタイミングを示す時刻)を特定し、1回目のATポイントの通過から2回目のATポイントの通過に至るまでの第1の経過時間tela,1の計測を終了する(ステップST6)。
tela,1=t2−t1 (1)
trest,1=3.5×tela,1 (2)
通常、制御開始の最初のサイクルに要する第1の経過時間tela,1は、以降の経過時間よりも大きい。従って、実際の残り時間は、上述のように算出したtrest,1よりも小さくなることが見込まれるが、大まかな残り時間を算出することができる。
ここでは、残り時間算出部7が、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,1を算出しているが、さらに、その残り時間trest,1と現在の時刻から、オートチューニングの終了時刻tend,1を算出するようにしてもよい。
また、残り時間提示部8は、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,1は時間経過に伴って減少するため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,1をタイマーのカウント値に設定して、そのカウント値の減数処理を開始する。
そして、残り時間提示部8は、減数処理中のカウント値を更新後の残り時間として、7セグメント表示器に表示している残り時間trest,1を更新する。
ここでのタイマーのカウント値の減数処理と、減数処理中のカウント値の表示更新処理は、後述するステップST12でオートチューニングが終了するまでの残り時間trest,2が算出されるまで繰り返される。
経過時間計測部6は、オートチューニングを開始してから、3回目のATポイントの通過を検出すると(ステップST10:Yesの場合)、3回目のATポイントの通過時刻t3(3回目の通過のタイミングを示す時刻)を特定し、2回目のATポイントの通過から3回目のATポイントの通過に至るまでの第2の経過時間tela,2の計測を終了する(ステップST11)。
tela,2=t3−t2 (3)
trest,2=1.5×tela,1+tela,2 (4)
残り時間算出部7により残り時間trest,1が算出された段階よりも、PIDパラメータ算出部5による温度Tの振幅と周期の計測処理が進んでいるため、その残り時間trest,2に含まれている誤差が減少していることが想定される。
また、本実施の形態では、設定温度Trefよりも温度が高くなっている第1の経過時間tela,1と、設定温度Trefよりも温度が低くなっている第2の経過時間tela,2とを用いて、残り時間trest,2を算出している。制御対象1によっては、設定温度Trefよりも温度が高くなる場合と、設定温度Trefよりも温度が低くなる場合とで、異なる挙動を示す場合がある。このような制御対象1では、第2の経過時間tela,2のみに基づいて残り時間trest,2を算出すると、実際の残り時間と大幅にかけ離れた値が算出される可能性があるが、本実施の形態では、より精度の高い残り時間trest,2を算出することが可能となる。ただし、本発明の内容は、この制御内容に限定されるものではなく、制御対象1の特性によっては、第2の経過時間tela,2のみに基づいてオートチューニングが終了するまでの残り時間trest,2を算出するようにしてもよい。
ここでは、残り時間算出部7が、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,2を算出しているが、さらに、その残り時間trest,2と現在の時刻から、オートチューニングの終了時刻tend,2を算出するようにしてもよい。
また、残り時間提示部8は、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,2は時間経過に伴って減少するため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,2をタイマーのカウント値に設定して、そのカウント値の減数処理を開始する。
そして、残り時間提示部8は、減数処理中のカウント値を更新後の残り時間として、7セグメント表示器に表示している残り時間trest,2を更新する。
ここでのタイマーのカウント値の減数処理と、減数処理中のカウント値の表示更新処理は、後述するステップST17でオートチューニングが終了するまでの残り時間trest,3が算出されるまで繰り返される。
経過時間計測部6は、オートチューニングを開始してから、4回目のATポイントの通過を検出すると(ステップST15:Yesの場合)、4回目のATポイントの通過時刻t4(4回目の通過のタイミングを示す時刻)を特定し、3回目のATポイントの通過から4回目のATポイントの通過に至るまでの第3の経過時間tela,3の計測を終了する(ステップST16)。
tela,3=t4−t3 (5)
trest,3=tela,2+0.5×tela,3 (6)
第3の経過時間tela,3が算出されたタイミングでは、PIDパラメータ算出部5による温度Tの振幅と周期の計測完了までの時間が減少しているため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,3に含まれている誤差が少ないことが想定される。即ち、残り時間算出部7により残り時間trest,2が算出された段階よりも、PIDパラメータ算出部5によるPIDパラメータの算出処理が進んでいるため、残り時間trest,3に含まれている誤差が減少していることが想定される。
ここでは、残り時間算出部7が、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,3を算出しているが、さらに、その残り時間trest,3と現在の時刻から、オートチューニングの終了時刻tend,3を算出するようにしてもよい。
また、残り時間提示部8は、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,3は時間経過に伴って減少するため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,3をタイマーのカウント値に設定して、そのカウント値の減数処理を開始する。
そして、残り時間提示部8は、減数処理中のカウント値を更新後の残り時間として、7セグメント表示器に表示している残り時間trest,3を更新する。
ここでのタイマーのカウント値の減数処理と、減数処理中のカウント値の表示更新処理は、後述するステップST20でオートチューニングが終了するまでの残り時間trest,4が算出されるまで繰り返される。
残り時間算出部7は、経過時間計測部6が5回目のATポイントの通過を検出すると(ステップST19:Yesの場合)、例えば、下記の式(7)に示すように、第3の経過時間tela,3からオートチューニングが終了するまでの残り時間trest,4を算出する(ステップST20)。
trest,4=0.5×tela,3 (7)
5回目のATポイントの通過が検出されたタイミングでは、PIDパラメータ算出部5によるPIDパラメータの算出が完了しているため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,4に含まれている誤差がほぼ無いことが想定される。
また、残り時間提示部8は、オートチューニングが終了するまでの残り時間trest,4は時間経過に伴って減少するため、残り時間算出部7により算出された残り時間trest,4をタイマーのカウント値に設定して、そのカウント値の減数処理を開始する。
そして、残り時間提示部8は、減数処理中のカウント値を更新後の残り時間として、7セグメント表示器に表示している残り時間trest,4を更新する。
ここでのタイマーのカウント値の減数処理と、減数処理中のカウント値の表示更新処理は、減数処理中のカウント値が0になるまで繰り返される。
温度制御部4は、PIDパラメータ算出部5からPIDパラメータを受けたのち、7セグメント表示器に表示されている残り時間trest,4が0になると、加熱器2のON/OFF制御を終了して、そのPIDパラメータを用いる制御対象1の温度TのPID制御を開始する。
このため、例えば、制御対象1の負荷容量が大きく応答性が遅いために、オートチューニング機能によるPIDパラメータの算出時間が長くなる場合でも、PID制御を開始するまでの段取りを容易に立てることができるようになる。
例えば、6回目の通過のタイミングが検出された時点で、PIDパラメータの算出処理が完了してから、4分の1サイクル(負荷の無駄時間)の経過後に、PID制御を開始する場合には、経過時間計測部6により4回目の通過のタイミングから5回目の通過のタイミングに至るまでの第4の経過時間tela,4も算出される。
この場合、各ATポイントの通過が検出された時点で算出されるオートチューニングが終了するまでの残り時間trestは、例えば、下記のようになる。
trest,1=4.5×tela,1
trest,2=2.0×tela,1+1.5×tela,2
trest,3=1.5×tela,2+tela,3
trest,4=tela,3+0.5×tela,4、
trest,5=0.5×tela,4
Claims (5)
- 制御対象の温度のPID制御を開始する前に、前記PID制御に用いるPIDパラメータを算出するオートチューニング機能を有するPID制御装置であって、
制御対象の温度のPID制御を開始する前に、前記制御対象の温度が設定温度より低い期間では、前記制御対象に熱を加える加熱器をオン状態に設定し、前記制御対象の温度が前記設定温度以上の期間では、前記加熱器をオフ状態に設定することで、前記制御対象の温度を制御する温度制御部と、
前記温度制御部により制御されている制御対象の温度の計測値から前記PID制御に用いるPIDパラメータを算出するPIDパラメータ算出部と、
前記制御対象の温度の計測値を監視して、前記制御対象の温度が前記設定温度を通過するタイミングを検出する処理を実施し、前回の通過のタイミングから今回の通過のタイミングに至るまでの経過時間を計測する経過時間計測部と、
前記経過時間計測部により計測された経過時間を用いて、オートチューニングが終了するまでの残り時間を算出する残り時間算出部と、
前記残り時間算出部により算出された残り時間を提示する残り時間提示部と
を備え、
前記オートチューニングが終了する時間は、前記PIDパラメータの算出処理が完了してから前記制御対象の温度が最初にピークをとる時間を含めた時間であることを特徴とするPID制御装置。 - 前記経過時間計測部は、通過のタイミングを検出する毎に、前回の通過のタイミングから今回の通過のタイミングに至るまでの経過時間を計測し、
前記残り時間算出部は、前記経過時間計測部により経過時間が計測される毎に、当該経過時間を用いて、オートチューニングが終了するまでの残り時間を算出し、
前記残り時間提示部は、前記残り時間算出部により残り時間が算出される毎に、当該残り時間を提示することを特徴とする請求項1記載のPID制御装置。 - 前記残り時間提示部は、前記残り時間算出部により残り時間が算出される毎に、当該残り時間をタイマーのカウント値に設定して、前記カウント値の減数処理を開始し、減数処理中のカウント値を提示することを特徴とする請求項2記載のPID制御装置。
- 前記残り時間算出部は、オートチューニングが終了するまでの残り時間と現在の時刻から、オートチューニングの終了時刻を算出し、
前記残り時間提示部は、前記残り時間算出部により算出されたオートチューニングの終了時刻を提示することを特徴とする請求項1記載のPID制御装置。 - 制御対象の温度のPID制御を開始する前に、前記PID制御に用いるPIDパラメータを算出するオートチューニング処理を行うPID制御方法であって、
温度制御部が、制御対象の温度のPID制御を開始する前に、前記制御対象の温度が設定温度より低い期間では、前記制御対象に熱を加える加熱器をオン状態に設定し、前記制御対象の温度が前記設定温度以上の期間では、前記加熱器をオフ状態に設定することで、前記制御対象の温度を制御し、
PIDパラメータ算出部が、前記温度制御部により制御されている制御対象の温度の計測値から前記PID制御に用いるPIDパラメータを算出し、
経過時間計測部が、前記制御対象の温度の計測値を監視して、前記制御対象の温度が前記設定温度を通過するタイミングを検出する処理を実施し、前回の通過のタイミングから今回の通過のタイミングに至るまでの経過時間を計測し、
残り時間算出部が、前記経過時間計測部により計測された経過時間を用いて、オートチューニングが終了するまでの残り時間を算出し、
残り時間提示部が、前記残り時間算出部により算出された残り時間を提示して、
前記オートチューニングが終了する時間は、前記PIDパラメータの算出処理が完了してから前記制御対象の温度が最初にピークをとる時間を含めた時間であることを特徴とする
PID制御方法。
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