JP2010066119A - 電力調整器 - Google Patents

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Abstract

【課題】たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可しなくても、負荷の異常を検知することが可能な電力調整器を提供する。
【解決手段】抵抗値算出部32が基準抵抗値設定命令の入力を受けて、予め定められた端子間電圧Vと、目標電力量に対応する位相角θ或いは出力量xと、ヒータ54に印加される電流値(平均電流値)Iavgとに基づいて、事前にヒータ54の基準抵抗値を求めて基準抵抗値記憶部33に登録しておく。さらに、抵抗値算出部32は、基準抵抗値の設定完了後、ヒータ54による加熱制御を行っている間に逐次ヒータ54の抵抗値を算出して、異常通知部34は事前に定めた基準抵抗値よりも現在の抵抗値が大きい場合に、ヒータ54が断線していると判定して、その旨を通知する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータ等の負荷に印加される電力を調整する電力調整器に関し、特に、負荷の異常を検知する機能を有する電力調整器に関する。
従来、ヒータ等の負荷に印可される交流電力を調整する機器として電力調整器が知られている。電力調整器はスイッチング素子を有し、スイッチング素子をオンオフ制御(スイッチ制御)することで出力電流を制御して電力の調整を行う。出力電流の制御方式としては、サイクル制御方式と、位相制御方式とが広く知られている。サイクル制御方式は、図7(a)に示す波形の交流電源の出力を、所望の目標電力量に応じて図7(b)のようにゼロクロスの波形単位にオン・オフさせる方式である。一方、位相制御方式は、サイクル制御方式よりも電力の微調整が可能な方式であり、図8(a)に示すような波形の交流電源の出力を、図8(b)に示すような所望の目標電力量に応じた任意の位相角θでオンさせる方式である。
ところで、このような電力調整器を利用して調整された電力が負荷に供給されている時に、経年劣化等により負荷に異常が発生することがあり、このような負荷の異常を検知する機能も従来提案されている。
例えば、特許文献1では、操作量に基づくスイッチ制御によりヒータに供給する電力を調整するシステムにおいて、ヒータの断線を負荷の異常として検知する手法が開示されている。より具体的には、事前に各ヒータを常温の加熱開始点から最大加熱点まで加熱制御し、その加熱制御期間中に所定のタイミングで各ヒータに印加される電流値を取得する。さらに、加熱開始点から最大加熱点を結んだ直線的基準特性に対する事前加熱制御時の各電流値の偏差のうち最大偏差点を変曲点として求め、その開始点から変曲点を経て最大加熱点へ至る「く」字状の直線的特性を検知基準特性として求める。この検知基準特性に許容範囲を設け、実際に各ヒータを加熱制御したときのヒータの電流値が許容範囲を超えるときに、ヒータの何れかが断線したと検知する。
また、特許文献1には、ヒータの交流電圧値と交流電流値とに基づいてヒータの抵抗値を求め、抵抗値に基づいてヒータの断線の有無を検知する手法についても開示されている。
特開2007−178166号公報
特許文献1に開示の手法では、事前に常温の加熱開始操作量から最大加熱操作量まで加熱制御して、その加熱制御中における複数のタイミングでヒータの電流値や電圧値を測定する必要がある。また、事前に最大加熱操作量(最大出力)まで加熱制御しなければならず、消費電力の浪費を引き起こしたり、ヒータ等に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。さらに、特許文献1に開示の手法では、ヒータの抵抗値を求めるために電圧検知手段を設けてヒータの交流電圧値を検知しているが、電圧検知手段を設ける場合、交流電源とは絶縁する必要があるため、装置のコストアップにつながるおそれがある。
本発明は、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可しなくても、負荷の異常を検知することが可能な電力調整器を提供することを一つの目的とする。
本発明に係る電力調整器は、交流電源からスイッチング素子を介して負荷に印加される電流を、当該負荷に供給すべき目標出力量に基づき当該スイッチング素子をスイッチ制御することにより調整する出力調整部と、前記負荷に印加される電流値を検知する電流値検知部と、前記目標出力量と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する抵抗値算出部と、前記抵抗値算出部により算出された抵抗値に基づいて基準抵抗値を設定する基準抵抗値設定部と、前記基準抵抗値設定部による基準抵抗値の設定が完了した後、前記抵抗値算出部に抵抗値を算出させ、算出された抵抗値が前記基準抵抗値を超える場合に、前記負荷の異常と判定する異常判定部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る電力調整器によれば、事前に負荷の異常の判定に用いる基準抵抗値を設定しておき、その基準抵抗値とその都度算出する抵抗値との比較に基づき負荷の異常を検知することができるため、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可し、その時点の抵抗値を求めることなく、負荷の異常を検知することができる。
本発明に係る電力調整器の一つの態様では、前記出力調整部は、交流電源の周波数の半サイクルごとに前記スイッチング素子の位相角を目標出力量に応じて制御することで前記負荷に供給される電力を調整し、前記抵抗値算出部は、前記目標出力量に対応する位相角と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する、ことを特徴とする。
本発明に係る電力調整器の一つの態様によれば、所謂位相制御方式で電力を調整する場合において、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可し、その時点の抵抗値を求めることなく、負荷の異常を検知することができる。
本発明に係る電力調整器の一つの態様では、前記出力調整部は、交流電源のゼロクロス点ごとに前記スイッチング素子を目標出力量に対応する割合でオンすることで前記負荷に供給される電力を調整し、前記抵抗値算出部は、前記目標出力量に対応する割合と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する、ことを特徴とする。
本発明に係る電力調整器の一つの態様によれば、所謂サイクル制御方式で電力を調整する場合において、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可し、その時点の抵抗値を求めることなく、負荷の異常を検知することができる。
本発明に係る電力調整器の一つの態様では、前記基準抵抗値設定部は、前記抵抗値算出部により算出された抵抗値に予め定められた係数を乗算あるいは加算して得られた値を基準抵抗値として設定する、ことを特徴とする。
本発明に係る電力調整器の一つの態様によれば、基準抵抗値設定部が抵抗値算出部により算出された抵抗値をそのまま基準設定値として設定せずに、予め定められた係数を乗算あるいは加算して得られた値を基準抵抗値として設定することにより、負荷の異常がないにも拘わらず異常判定部が負荷の異常であると誤判定してしまうことを抑制することができる。
本発明に係る電力調整器の一つの態様では、前記基準抵抗値設定部に対して基準抵抗値の設定を依頼する操作部を備え、前記基準抵抗値設定部は前記操作部からの依頼に対応して、基準抵抗値を設定する、ことを特徴とする。
本発明に係る電力調整器の一つの態様によれば、現在の出力量の大きさに拘わらず操作部を介して任意のタイミングで基準抵抗値の依頼を行うことができ、任意のタイミングで基準値抵抗値の設定を行うことができる。
本発明に係る電力調整器の一つの態様では、前記異常判定部は、前記目標出力量が予め定められた下限出力量以下又は上限出力量以上で前記スイッチング素子がスイッチ制御されている場合には、前記負荷の異常判定を行わない、ことを特徴とする。
本発明に係る電力調整器の一つの態様によれば、異常判定部は、前記目標出力量が予め定められた下限出力量以下又は上限出力量以上で前記スイッチング素子がスイッチ制御されている場合には、前記負荷の異常判定を行わないので、例えば負荷のインダクタンス成分の影響による負荷の抵抗値上昇が発生した場合などに、誤って負荷の異常であると判定することを防止することができる。
本発明によれば、事前に負荷の基準抵抗値を設定しておき、その基準抵抗値と現在の抵抗値との比較に基づき負荷の異常を検知することができるため、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可してその時点の抵抗値を求めることなく、負荷の異常を検知することができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と称す)について、以下図面を用いて説明する。
なお、本実施形態では、電力調整器からの電力が供給される負荷としてヒータを例に説明するが、負荷はヒータには限定されず、電力調整器からの電力が供給される任意の負荷に対して適用することができる。
図1は、本実施形態に係る温度調整システム全体の機能ブロックを示す図である。本実施形態に係る温度調整システムでは、温度調整器50が温度センサ52からヒータ54の周囲温度を取得し、その周囲温度に基づいてヒータ54が所望の温度となるように電力調整器10に対して入力量(例えば、4〜20mA或いは1〜5V)を出力する。電力調整器10は、その入力量に基づいて定まる目標電力量(目標出力量)がヒータ54に供給されるように、交流電源40からの電力を調整する。
ここで、電力調整器10は、目標電力量に基づいて交流電源40の出力を調整する電力調整部20と、ヒータの断線を検知する異常検知部30とを備える。
さらに、電力調整部20は、交流電源40の出力のオン・オフを行うサイリスタ等の半導体素子であるスイッチング素子12と、スイッチング素子12のオン・オフを目標電力量に基づいて制御する駆動制御部14とを有する。駆動制御部14は、温度調整器50から入力量を受けて、例えば予めメモリ(不図示)に記憶している入力量と目標電力量との関係を示したマップを参照して、入力量に対応する目標電力量を特定し、特定した目標電力量に応じて位相制御方式あるいはサイクル制御方式によりスイッチング素子12のスイッチング動作を制御する。なお、位相制御方式とサイクル制御方式との切り替えは、ボタン等の操作部16を介して使用者の切り替え指示に基づいて行えばよい。
異常検知部30は、ヒータ54に印加される電流を検知する電流センサ31と、ヒータ54の抵抗値を算出する抵抗値算出部32と、抵抗値算出部32によって算出されたヒータ54の異常判定を行う際の基準となる基準抵抗値を記憶する基準抵抗値記憶部33と、抵抗値算出部32によって算出されたヒータ54の現在の抵抗値と基準抵抗値との比較に基づきヒータ54の異常判定を行い、異常があった場合には外部に通知する異常通知部34とを有する。なお、異常通知部34は、例えばディスプレイ(不図示)に異常メッセージを表示する、あるいはスピーカ(不図示)により異常メッセージを示す音声を出力することで、異常があった旨を外部に通知すればよい。
ここで、電力調整部20が位相制御方式により出力の調整を行う場合において、抵抗値算出部32によるヒータ54の抵抗値の算出手順について説明する。
まず、ヒータ54に印加される平均電流Iavgは、交流電源40のピーク電流Im、位相角θとした場合、次式(1)により表すことができる。
さらに、ヒータの端子間電圧V、ヒータの抵抗値Rとして、式(1)のImに式(2)を代入して変形すると、抵抗値Rは式(3)で表すことができる。
さて、本実施形態では、事前に抵抗値算出部32によって算出した抵抗値を基準抵抗値として定め、その基準抵抗値と現在の抵抗値との比較に基づき、基準抵抗値より現在の抵抗値が著しく上昇した場合にはヒータ54の断線による異常であると判定する。つまり、抵抗値算出部32によって算出すべき抵抗値は、事前に測定した値との比較が相対的に行うことが出来ればよく、必ずしもヒータの本来の抵抗値を求める必要はない。
そこで、本実施形態では、位相制御方式で駆動中は、式(3)のうち、端子間電圧Vを、予め特定の電圧、例えば交流電源の電圧(100V、200V)として定め、電力調整部10に内蔵され抵抗値算出部32により参照可能なメモリ(不図示)に予め記憶しておき、その電圧Vを用いて、平均電流値Iavgおよび位相角θをパラメータとして、抵抗値算出部32が、抵抗値Rを算出する。
次に、電力調整部20がサイクル制御方式により出力の調整を行う場合において、抵抗値算出部32によるヒータ54の抵抗値の算出手順について説明する。
まず、ヒータ54に印加される平均電流Iavgは、交流電源40のピーク電流Im、出力量x(0.0≦x≦1.0)とした場合、次式(4)により表すことができる。
さらに、ヒータの端子間電圧V、ヒータの抵抗値Rとして、式(4)のImに前述の式(2)を代入して変形すると、抵抗値Rは式(5)で表すことができる。
よって、位相制御方式の場合と同様に、式(5)のうち、端子間電圧Vを、予め特定の電圧、例えば交流電源の電圧(100V、200V)として定め、電力調整部10に内蔵され抵抗値算出部32により参照可能なメモリ(不図示)に予め記憶しておき、その電圧Vを用いて、平均電流値Iavgおよび出力量xをパラメータとして、抵抗値算出部32は、抵抗値Rを算出する。
続いて、図2に示すフローチャートを参照して、抵抗値算出部32が基準抵抗値Roを算出する手順について説明する。
図2は、抵抗値算出部32が使用者から例えば電力調整器10に設けられたボタン等の操作部16を介して基準抵抗値設定命令(ティーチング命令(依頼))の入力を受けた際に実行される処理手順を示す。なお、基準抵抗値設定命令は、電力調整器10から定格の10%異常の電流が出力されてから所定期間経過後に入力することが好ましく、例えば、電力調整器10から定格の10%未満の電流しか出力されていない場合には、基準抵抗値設定命令の入力を受け付けないように構成してもよい。また、電力調整器10が起動後定格の10%以上の電流を出力してから所定期間経過後に自動的に駆動制御部14が抵抗値算出部32に対して基準抵抗値設定命令を出力しても構わない。
図2において、抵抗値算出部32は、操作部16を介して基準抵抗値設定命令の入力を受けて(S100)、電流センサ31を介してヒータ54の電流値を取得すると共に、駆動制御部14を介して現在の位相角θ或いは出力量xを取得する(S102)。次いで、抵抗値算出部32は、上記式(3)或いは式(5)に基づいてヒータ54の抵抗値Rを算出する(S104)。つまり、上記式(3)或いは(5)に、平均電流値Iavg及び位相角θ或いは出力量xを代入し演算することで抵抗値Rを算出する。さらに、算出した抵抗値Rに基づいて基準抵抗値Roを定め、定めた基準抵抗値Roを基準抵抗値記憶部33に登録する(S106)。基準抵抗値Roは、ヒータ54の断線の有無を判定する際の基準となる値であり、判定時において算出されたヒータ54の抵抗値Rがこの基準抵抗値Roよりも大きい場合に、ヒータ54が断線したと判定する。よって、ステップS104で算出した抵抗値Rと基準抵抗値Roとを同じ値に設定してしまうと、ヒータ54が断線していない場合でも断線していると誤判定する確立が高くなってしまう。そこで、基準抵抗値Roは、例えばテップS104で算出した抵抗値Rから予め定められた割合(例えば30%)だけ増加した値、つまり、算出した抵抗値Rに予め定められた率(係数)(例えば、1.3)を乗算することにより得られる値を設定することが好ましい。
以上の手順により、基準抵抗値Roが設定された後、異常通知部34が、予め定められたタイミング、例えば予め定められた周期で、ヒータ54の異常判定を行う。
図3は、異常検知部30により予め定められたタイミングで逐次実行される異常判定の処理手順を示す。
図3において、抵抗値算出部32が、まず、電流センサ31を介してヒータ54の電流値を取得すると共に、駆動制御部14を介して現在の位相角θ或いは出力量xを取得する(S200)。さらに、抵抗値算出部32は、上記式(3)或いは式(5)に基づいて、ヒータ54の現在の抵抗値Rを算出する(S202)。つまり、上記式(3)或いは(5)に、平均電流値Iavg及び位相角θ或いは出力量xを代入し演算することで抵抗値Rを算出する。次いで、異常通知部34が、抵抗値算出部32がステップ202で算出した現在の抵抗値Rを取得するとともに、基準抵抗値記憶部33に記憶された基準抵抗値Roを取得し、抵抗値Rが基準抵抗値Roより大きいか否かを判定する(S204)。判定の結果、大きい場合には(ステップS204の判定結果が、肯定「Y」)、ヒータ54の断線による異常と判断して、ヒータの断線を外部に通知する(S206)。一方、抵抗値Rが基準抵抗値Ro以下の場合には(ステップS04の判定結果が、否定「N」)、ヒータ54に異常がないと判断して処理を終了する。
以上、本実施形態では、予めヒータ54の端子間電圧Vを一定の値として定めておき、予め定められた端子間電圧Vと、目標電力量に対応する位相角θ或いは出力量xと、ヒータ54に印加される電流値(平均電流値)Iavgとに基づいて、事前にヒータ54の基準抵抗値を求めておく。そして、ヒータ54による加熱制御を行っている間に逐次ヒータ54の抵抗値を算出して、事前に求めた基準抵抗値よりも現在の抵抗値が大きい場合に、ヒータ54が断線していると判定して、その旨を通知する。
本実施形態によれば、事前に常温の加熱開始操作量(出力量)から最大加熱操作量(出力量)まで加熱制御して、その加熱制御中における複数のタイミングでヒータの電流値や電圧値を測定する必要がない。また、事前に最大加熱操作量まで加熱制御することによる消費電力の浪費を引き起こすことがなく、ヒータ等への悪影響を低減することができる。さらに、ヒータの抵抗値を求めるために、ヒータ電圧検知手段を新たに設ける必要がなく、装置のコストアップも抑制することもできる。
ところで、上記の実施形態では、出力量の大きさによらずヒータの抵抗値の大きさはほぼ一定であると仮定して、ヒータ54の断線の有無を判定する例について説明した。しかし、例えば、位相制御方式の場合、図4に示すように、位相角が小さいとヒータ54のインダクタンス(L)成分の影響により、ヒータ54に電流が流れにくくなる。つまり、ヒータ54に異常がなくても抵抗値が上昇することになり、その上昇分を無視してヒータの断線の有無の判定を行うと、誤判定の確率が高くなってしまう。
そこで、基準抵抗値Roを設定する際に、ヒータの断線の有無の判定を行う位相角範囲を予め定め、その範囲以外の位相角において出力制御を行う場合には、ヒータの断線の有無の判定を行わないようにしてもよい。
より具体的には、基準抵抗値Roを求めた後、位相角を小さくしながら、ヒータの抵抗値を順次求めて、その抵抗値が基準抵抗値Roを超える時点での位相角θt求める。そして、位相角θtをヒータ断線有無の判定を行う下限値として設定する。下限位相角θt以下で電力調整を行う場合、ヒータ54の断線はしていないものの、ヒータ54のL成分の影響により抵抗値が上昇していると予測できる。よって、位相角θt以下で電力調整を行っている間にヒータ断線有無の判定を行うと、誤判定となる可能性が高い。したがって、下限位相角θt以下で電力調整を行う場合には、異常判定自体を行いわないようにする。
この場合、異常検知部30による異常判定の手順は図5に示すような手順となる。
つまり、抵抗値算出部32が現在の位相角を取得した後(S200)、取得した位相角が予め設定しておいた下限位相角よりも大きいか否かを判定する(S201)。判定の結果、位相角が下限位相角以下の場合には(ステップS201の判定結果が、否定「N」)、ヒータの異常判定を中止し、処理を終了する。一方、位相角が下限位相角以下の場合には、上述したステップS202〜S206の処理を継続する。
以上のように、下限位相角θtを設定することにより、ヒータ54の断線の有無の誤判定を低減することができる。
さらに、図6に示すように、基準抵抗値Ro1,Ro2をそれぞれ2点求めて、その各2点間を結ぶ直線として基準抵抗値を定めてもよい。
この場合、まず、ある程度大きい位相角θo(例えば90度前後)において基準抵抗値Ro1を求める。次いで、位相角θを小さくしながら、順次抵抗値Rを求め、抵抗値Rが基準抵抗値Ro1に達する時点の位相角θsを特定する。さらに、位相角θsにおける基準抵抗値Ro2として、基準抵抗値Ro1から予め定められた割合(例えば30%)だけ増加した値を設定する。そして、位相角θが位相角θoより大きい範囲では、基準抵抗値Roを、基準抵抗値Ro1で一定とし、位相角θが位相角θo以上かつ位相角θs以内の範囲では、基準抵抗値Ro1と基準抵抗値Ro2との2点を結ぶ直線として表す。
以上のように、基準抵抗値Ro1,2を2点求めて基準抵抗値を設定することで、位相角θが小さい範囲においてヒータ54の断線の有無の誤判定を低減することができる。
さらに、上記の実施形態では、現在の抵抗値が一回基準抵抗値を超えた時点でヒータ54の異常であると判定する例について説明した。しかし、算出された抵抗値には誤差が生じることも考えられる。そこで、現在の抵抗値が所定の回数連続して基準抵抗値を超えた時点でヒータ54の異常である判定しても構わない。
また、上記の実施形態では、基準抵抗値設定命令の入力に対応して異常通知部30が基準抵抗値を算出して設定する例について説明した。しかし、基準抵抗値は、例えば操作部16を介して使用者が実装するヒータ54の仕様/規格に基づいて直接希望の値を入力してもよい。
なお、上記では、電力調整器は、マイクロコンピュータに図2,3,5などに示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって実現することができる。
すなわち、マイクロコンピュータはCPU、ROM、RAM、EEPROM等の各種メモリ、通信バス及びインタフェースを有し、予めファームウェアとしてROMに格納された処理プログラムを読み出してCPUが順次実行する。端子間電圧Vや抵抗値を算出するための数式(3),式(5)などは予めメモリに記憶されており、CPUは、電力調整処理の過程でメモリに記憶されている目標電力量に対応する位相角θ或いは出力量xと、インタフェースを介して電流センサから入力された電流値(平均電流値)Iavgとをパラメータとして、端子間電圧Vや数式(3),式(5)を用いて、事前にヒータ54の基準抵抗値を求めてメモリに記憶しておく。そして、CPUは、ヒータ54による加熱制御を行っている間に逐次ヒータ54の抵抗値を算出して、事前に求めメモリに記憶された基準抵抗値よりも現在の抵抗値が大きい場合に、ヒータ54が断線していると判定して、例えばインタフェースを介して接続されたディスプレイにその旨を表示して異常をユーザに通知する。
本発明によれば、事前に負荷の基準抵抗値を設定しておき、その基準抵抗値と現在の抵抗値との比較に基づき負荷の異常を検知することができるため、たとえ事前に最大出力の電力を負荷に対して印可してその時点の抵抗値を求めることなく、負荷の異常を検知することができるので、負荷の異常を検知する機能を有する電力調整器等に適用することができる。
本実施形態に係る温度調整システム全体の機能ブロックを示す図である。 基準抵抗値設定命令の入力を受けた際に抵抗値算出部によって実行される処理手順を示すフローチャートである。 異常検知部により予め定められたタイミングで逐次実行される異常判定の処理手順を示すフローチャートである。 ヒータの抵抗値の位相角に対する変化について説明するための図である。 異常検知部により予め定められたタイミングで逐次実行される異常判定の処理手順の変形例を示すフローチャートである。 基準抵抗値を2点求めて、その2点間を結ぶ直線として基準抵抗値を設定する場合について説明するための図である。 サイクル制御方式について説明するための図である。 位相角制御方式について説明するための図である。
符号の説明
10 電力調整器
12 スイッチング素子
14 駆動制御部
16 操作部
20 電力調整部
30 異常検知部
31 電流センサ
32 抵抗値算出部(基準抵抗値設定部)
33 基準抵抗値記憶部
34 異常通知部(異常判定部)
40 交流電源
50 温度調整器
52 温度センサ
54 ヒータ

Claims (6)

  1. 交流電源からスイッチング素子を介して負荷に印加される電流を、当該負荷に供給すべき目標出力量に基づき当該スイッチング素子をスイッチ制御することにより調整する出力調整部と、
    前記負荷に印加される電流値を検知する電流値検知部と、
    前記目標出力量と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する抵抗値算出部と、
    前記抵抗値算出部により算出された抵抗値に基づいて基準抵抗値を設定する基準抵抗値設定部と、
    前記基準抵抗値設定部による基準抵抗値の設定が完了した後、前記抵抗値算出部に抵抗値を算出させ、算出された抵抗値が前記基準抵抗値を超える場合に、前記負荷の異常と判定する異常判定部と、
    を備える電力調整器。
  2. 請求項1に記載の電力調整器において、
    前記出力調整部は、
    交流電源の周波数の半サイクルごとに前記スイッチング素子の位相角を目標出力量に応じて制御することで前記負荷に供給される電力を調整し、
    前記抵抗値算出部は、前記目標出力量に対応する位相角と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する、
    ことを特徴とする電力調整器。
  3. 請求項1に記載の電力調整器において、
    前記出力調整部は、
    交流電源のゼロクロス点ごとに前記スイッチング素子を目標出力量に対応する割合でオンすることで前記負荷に供給される電力を調整し、
    前記抵抗値算出部は、前記目標出力量に対応する割合と、前記電流検知部により検知される電流値と、予め定められた電圧値と、に基づいて抵抗値を算出する、
    ことを特徴とする電力調整器。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の電力調整器において、
    前記基準抵抗値設定部は、
    前記抵抗値算出部により算出された抵抗値に予め定められた係数を乗算あるいは加算して得られた値を基準抵抗値として設定する、
    ことを特徴とする電力調整器。
  5. 請求項1乃至4の何れか一つに記載の電力調整器において、
    前記基準抵抗値設定部に対して基準抵抗値の設定を依頼する操作部を備え、
    前記基準抵抗値設定部は前記操作部からの依頼に対応して、基準抵抗値を設定する、
    ことを特徴とする電力調整器。
  6. 請求項1乃至5の何れか一つに記載の電力調整器において、
    前記異常判定部は、前記目標出力量が予め定められた下限出力量以下又は上限出力量以上で前記スイッチング素子がスイッチ制御されている場合には、前記負荷の異常判定を行わない、
    ことを特徴とする電力調整器。
JP2008232579A 2008-09-10 2008-09-10 電力調整器 Active JP5277809B2 (ja)

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