JP6717996B1 - フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化に伴う特性変化を補償することが可能なフィルタを実現する。【解決手段】フィルタ(1)は、電磁気的に結合した共振器(201〜205)として機能するポスト壁導波路と、ポスト壁導波路の第2の導体層(6a)に形成された結合窓(AP101a〜AP105a)を介して共振器(201〜205)と電磁気的に結合されたキャビティ(301a〜305a)と、を備えている。ポスト壁導波路の基板(5)は、第1の誘電体からなる第1の誘電体層を含み、キャビティ(301a〜305a)の内部には、第2の誘電体からなる第2の誘電体層(9a)が設けられている。フィルタ(1)においては、第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って増加し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って減少する、又は、前記第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って減少し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って増加する。【選択図】図1

Description

本発明は、ポスト壁導波路を用いたフィルタに関する。特に、温度補償機能を備えたフィルタに関する。
電磁気的に結合された複数の共振器は、特定の周波数帯域(以下、「通過帯域」とも記載する)の電磁波を選択的に通過させるバンドパスフィルタ(Bandpass Filter。以下、「BPF」とも記載する)として機能することが知られている。
非特許文献1には、複数の共振器として機能する金属製の導波管を用いたバンドパスフィルタが開示されている。また、非特許文献1には、このバンドパスフィルタにおいて中心周波数を調整するための技術が開示されている。
非特許文献2には、複数の共振器として機能するポスト壁導波路を用いたバンドパスフィルタが開示されている。ここで、ポスト壁導波路とは、両方の主面に広壁が設けられ、内部にポスト壁(一方の主面に設けられた広壁と他方の主面に設けられた広壁を短絡する導体ポストの集合)が設けられた基板により実現される導波路のことを指す。
吉田和明,「マイクロ波フィルタの技術と応用」,日本無線技報,No.64,pp.12-16,2013. Yusuke Uemichi, et. al, Compact and Low-Loss Bandpass Filter Realized in Silica-Based Post-Wall Waveguide for 60-GHz applications, IEEE MTT-S IMS, May 2015.
ポスト壁導波路を利用したBPFは、導波管を利用したBPFと比較して、コンパクトであり、伝送ロスが少なく、且つ、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の一部として集積化が容易である。また、ポスト壁導波路を利用したBPFは、プリント基板の製造方法を利用して製造可能であるため、導波管を利用したBPFと比較して、製造コストを抑制することができる。
その一方で、ポスト壁導波路を利用したBPFには、通過帯域の中心周波数が環境温度に応じてシフトし易いという問題があった。なぜなら、環境温度が変化すると、基板を構成する誘電体の誘電率が変化し、その結果、通過帯域の中心周波数がシフトするからである。特に、温度変化の大きな環境下では、このような問題が顕著に現れる。
本発明の一態様は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポスト壁導波路を用いたフィルタにおいて、温度変化に伴う通過帯域の中心周波数のシフトが従来よりも小さいフィルタを実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係るフィルタは、一方の主面に第1の導体層が設けられ、他方の主面に第2の導体層が設けられ、内部にポスト壁が設けられた基板を有するポスト壁導波路であって、電磁気的に結合した複数の共振器として機能するポスト壁導波路と、前記ポスト壁導波路に積層されたキャビティであって、前記第2の導体層に形成された結合窓を介して前記共振器と電磁気的に結合されたキャビティと、を備え、前記基板は、第1の誘電体からなる第1の誘電体層を含み、前記キャビティの内部には、第2の誘電体からなる第2の誘電体層が設けられ、前記第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って増加し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って減少する、又は、前記第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って減少し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って増加する、構成である。
上記の構成によれば、相反する誘電率の温度依存性を備えた複数の誘電体を組み合わせることにより、各々の温度依存性を相殺又は低減することにより温度変化に伴う通過帯域の中心周波数(以下、単に「中心周波数」とも記載する)のシフトを低減させることができる。
本発明の態様2に係るフィルタは、上記の態様1において、前記キャビティは、前記ポスト壁導波路の平面視において前記共振器に包含され、前記第2の誘電体層上に配置された第3の導体層と、前記第3の導体層と前記第2の導体層とを短絡する拡張壁と、を備え、前記第2の誘電体層は、前記キャビティの内部に加え前記結合窓の内部にも設けられ、且つ、前記第1の誘電体層と接するように前記共振器上に配置され、前記キャビティは、前記第3の導体層を一方の広壁とし、前記拡張壁を狭壁とし、前記結合窓は、前記平面視において、前記共振器に包含される、構成としてもよい。
上記の構成によれば、各共振器と対応するキャビティとを高い結合効率で電磁気的に結合することができる。これにより、中心心周波数のシフトを低減させる効果を確実に得ることができる。
本発明の態様3に係るフィルタは、上記の態様1または2において、前記結合窓は、前記平面視において、前記共振器の中心を含むように配置されている、構成としてもよい。
上記の構成によれば、各共振器と対応するキャビティとを高い結合効率で電磁気的に結合することができる。これにより、中心心周波数のシフトを低減させる効果を確実に得ることができる。
本発明の態様4に係るフィルタは、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記キャビティは、筒状であり、前記結合窓は、環状であり、前記結合窓は、前記平面視において、前記キャビティの範囲内に形成されている、構成としてもよい。
上記の構成によれば、キャビティの内径を調整することにより、中心周波数を調整することが可能なフィルタを実現することができる。
本発明の態様5に係るフィルタは、上記の態様4において、前記キャビティは、前記平面視において、内縁が前記共振器の中心を含むように配置されている、構成としてもよい。
上記の構成によれば、より効果的に中心周波数の制御を実現することができる。
本発明の態様6に係るフィルタは、上記の態様1から5のいずれかにおいて、前記第2の誘電体の誘電率の温度依存性が、前記第1の誘電体の誘電率の温度依存性よりも大きく、且つ、前記第1の誘電体の体積が、前記第2の誘電体の体積よりも大きい、構成としてもよい。
上記の構成によれば、各々の誘電体の温度依存性の大きさに伴い、誘電体層の体積を考慮することにより、温度変化の寄与率を考慮して温度変化に伴う中心周波数のシフトを低減させることができる。
本発明の態様7に係るフィルタは、上記の態様1から6のいずれかにおいて、前記複数の共振器の各々が、前記平面視において円形状又は六角形以上の正多角形状であり、前記複数の共振器のうち互いに結合されている2つの共振器の各々は、これら2つの共振器の外接円の半径をR及びRとし、これらの2つの共振器の中心間距離をDとした場合に、D<R+Rとなるように配置されている、構成としてもよい。
上記の構成によれば、複数の第1のキャビティのうち互いに結合されている2つの第1のキャビティに着目した場合に、当該2つの第1のキャビティの各々の外接円の形状は、2つの外接円の中心同士をつなぐ直線を対称軸として線対称となり、フィルタの設計パラメータの数を少なくすることができる。
本発明の態様8に係るフィルタは、上記の態様1から7のいずれかにおいて、前記キャビティの外形は、前記ポスト壁導波路の平面視において円形状又は六角形以上の正多角形状であり、前記平面視において、前記キャビティが、前記共振器の中心と共通の中心を有し、前記複数の共振器のうち互いに結合されている2つの前記共振器に備えられた各々のキャビティは、これら2つのキャビティの外接円の半径をR及びRとし、これらの2つのキャビティの中心間距離をEとした場合に、E>R+Rとなるように配置されている、構成である。
上記の構成によれば、隣接するキャビティ同士が重なり合うことなく、各々のキャビティは対応する共振器とだけ電磁気的に結合するフィルタを実現することができる。
本発明の態様9に係るフィルタは、上記の態様1から8のいずれかにおいて、前記第1の誘電体が、石英、サファイア、アルミナからなる群から選択される材料を主成分とする構成としてもよい。
上記の構成によれば、基板を好ましい誘電体材料から構成することにより、温度変化に伴う中心周波数のシフトを十分に低減させることができる。
本発明の態様10に係るフィルタは、上記の態様1から9のいずれかにおいて、前記第2の誘電体が、ポリイミドまたはポリアミドイミドから選択される材料を主成分とする構成としてもよい。
上記の構成によれば、樹脂層を好ましい誘電体材料から構成することにより、温度変化に伴う中心周波数のシフトを十分に低減させることができる。
本発明の一態様によれば、各々の温度依存性を相殺又は低減するよう、複数の誘電体を組み合わせることにより、温度変化に伴う通過帯域の中心周波数のシフトを低減させることができるという効果を奏する。
実施形態1にかかるBPF1の分解斜視図である。 実施形態2にかかるBPF2の分解斜視図である。 図1(c)及び図2(c)に示した分解斜視図の平面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、図1(a)及び図2(a)に示した分解斜視図の平面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、図1(b)及び図2(b)に示した分解斜視図の平面図である。 実施形態1にかかるBPF1の図3の切断線B−B’における断面図である。 実施形態2にかかるBPF2の図3の切断線B−B’における断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、BPF1、BPF2の導波路の端部に設置可能な変換部の平面図及び断面図である。 基板5が単一の石英からなる第1のキャビティから構成されるBPFの透過特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
〔バンドパスフィルタの構成〕
本発明の第1の実施形態にかかるバンドパスフィルタ1(以下、単に「BPF1」とも称する。)については、図1、図3、図4の(a)、図5の(a)および図6を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかるBPF1の分解斜視透視図である。図3は、図1の(c)に示した分解斜視図の平面図である。図4の(a)は、図1の(a)に示した分解斜視図の平面図である。図5の(a)は、図1の(b)に示した分解斜視図の平面図である。図6は、図3の切断線B−B’におけるBPF1の断面図である。
本発明の第2の実施形態にかかるバンドパスフィルタ2(以下、単に「BPF2」とも称する。)については、図2、図3、図4の(b)、図5の(b)および図7を参照して説明する。図2は、本実施形態にかかるBPF2の分解斜視透視図である。図3は、図2の(c)に示した分解斜視図の平面図である。図4の(b)は、図2の(a)に示した分解斜視図の平面図である。図5の(b)は、図2の(b)に示した分解斜視図の平面図である。図7は、図3の切断線B−B’におけるBPF2の断面図である。
はじめに、BPF1およびBPF2に共通の構成および変換部について説明し、続いて、BPF1の固有の構成、BPF2の固有の構成について説明する。BPFの構成を示す各図は、本発明を理解するために、分かりやすさを優先した模式図であり、各要素の縮尺比率、方位などは必ずしも正確ではない。
<バンドパスフィルタの共通の構成>
図1の(c)および図2の(c)に示すように、BPF1およびBPF2は、誘電体(特許請求の範囲に記載の「第1の誘電体層」に相当)により構成された基板5と、一対の広壁として機能する導体層6a,6b(特許請求の範囲に記載の「第2の導体層」に相当)及び導体層7(特許請求の範囲に記載の「第1の導体層」に相当)と、一対の狭壁として機能するポスト壁21〜25,61〜63,71〜73と、により構成されるポスト壁導波路を備えている。なお、図1の(c)および図2の(c)において導体層6a、6bならびに導体層7を仮想線(二点鎖線)にて図示している。これは、基板5の内部に形成された複数の導体ポストを見やすくするためである。
図1の(b)および図2の(b)は、図1の(c)および図2の(c)において仮想線によって示した導体層6a,6bを実線で示し、導体層6a,6bの上にそれぞれ配置された樹脂層9a,9b(特許請求の範囲に記載の「第2の誘電体層」に相当)を仮想線(二点鎖線)にて図示している。これは、導体層6a,6bに形成された種々の構造を見やすくするためである。
図1の(a)および図2の(a)は、図1の(b)および図2の(b)において仮想線によって示した樹脂層9a,9bを実線で示し、樹脂層9a,9bの上にそれぞれ配置された導体層8a,8b(特許請求の範囲に記載の「第3の誘電体層」に相当)を仮想線(二点鎖線)にて図示している。これは、樹脂層9a,9bに形成された種々の構造を見やすくするためである。
<ポスト壁導波路の構成>
(基板)
基板5は、誘電体により構成された板状部材である。以下において、基板5を構成する6つの表面のうち、面積が最も大きな2つの表面を基板5の主面と称す。本実施形態では、基板5を構成する誘電体として石英を採用するが、他の誘電体(例えばポリテトラフルオロエチレンなどのテフロン(登録商標)系樹脂や液晶ポリマー樹脂などの樹脂)であってもよい。
基板5に石英ガラスを採用する場合、石英ガラスの厚さを520μmとすることができる。
(一対の広壁)
導体層6a,6bおよび導体層7は、基板5の2つの主面上に設けられた一対の導体層である。すなわち、基板5、導体層6a,6b、及び導体層7は、BPF1では、基板5が導体層6a,7によって挟持された積層構造を有し、BPF2では、基板5が導体層6b,7によって挟持された積層構造を有する。本実施形態では、導体層6a,6b,7を構成する導体として銅を採用するが、他の導体(例えばアルミニウムなどの金属)であってもよい。導体層6a,6b,7の厚さは限定されるものではなく、任意の厚さを採用することができる。すなわち、導体層6a,6b,7の態様は、薄膜であってもよいし、箔(フィルム)であってもよいし、板であってもよい。
導体層6aおよび7、ならびに、導体層6bおよび7の各々は、ポスト壁導波路の一対の広壁を構成する。
(ポスト壁)
基板5には、柵状に配列した、複数の貫通孔が設けられている。これら複数の貫通孔において、貫通孔同士の間隔は、波長より十分に短い。複数の貫通孔は、基板5の一方の主面から他方の主面まで貫通している。貫通孔の内壁には、筒状の導体膜が形成されている。したがって、この筒状の導体膜は、誘電体製の基板5の中に形成された導体ポストとして機能する。また、この筒状の導体膜は、基板5の両主面に設けられた導体層6a,6bと導体層7とを短絡させる。このような導体ポストは、ポスト壁導波路の技術(プリント基板の技術)を利用して実現可能である。貫通孔の内壁は、筒状の導体膜でなくてもよく、導体が充填されていてもよい。
導体ポストの直径を100μmとし、隣接する導体ポスト間の間隔を200μmとすることができる。
本実施形態では、狭壁を構成する金属として銅を採用している。なお、この金属は、銅に限定されるものではなく、アルミニウムであってもよいし、複数の金属元素により構成された合金であってもよい。
<ポスト壁導波路の機能>
基板5の内部に形成されたポスト壁21〜25,61〜63,71〜73は、ポスト壁導波路が、複数の(本実施形態においては5つの)共振器201〜205として機能すると共に、これらの共振器201〜205の前段及び後段に設けられた導波路206,207として機能するように配置されている。
(共振器201〜205の構成)
共振器201は、互いに対向する一対の広壁と、一対の広壁の間に介在する狭壁とにより構成されている。一対の広壁は、金属製の導体層6aまたは6bと導体層7とにより構成されている。共振器201のxy平面における形状は、開口AP,AP12が設けられる部分を除くと円形である。別の好ましい実施形態では、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。開口AP,AP12については、後述する。また、開口は、誘導性アイリス又は連結部とも呼ばれる。
共振器201〜205の狭壁は各々、ポスト壁21〜25により構成されている。ポスト壁21〜25は、それぞれk本の導体ポスト21i〜25i(iは1以上k以下の整数を一般化した表記)から構成される。ポスト壁21〜25は、導体層6aまたは6bと導体層7とから構成される一対の広壁を導通させ、一対の広壁とともに、開口AP,AP12を除いた領域が電磁気的に閉じた円筒形の空間を形成する。
開口AP及び開口AP12の各々は、共振器201のxy平面における円形の弦を切断線として、広壁及び狭壁の一部を、xy平面に対して垂直な方向に切り落とすことによって形成される。開口APは、後述する導波路206と共振器201とを電磁気的に結合させ、開口AP12は、共振器201と後述する共振器202とを電磁気的に結合させる。
共振器202〜205は、それぞれ、共振器201と同様に構成されている。すなわち、共振器202〜205は、導体層6aまたは6bと導体層7から構成される一対の広壁と、ポスト壁22〜25からなる狭壁とにより各々構成されている。共振器202のxy平面における形状は、開口AP12,AP23が設けられる部分を除くと円形であり、共振器203のxy平面における形状は、開口AP23,AP34が設けられる部分を除くと円形であり、共振器204のxy平面における形状は、開口AP34,AP45が設けられる部分を除くと円形であり、共振器205のxy平面における形状は、開口AP45,APが設けられる部分を除くと円形である。開口AP23は、共振器202と共振器203とを電磁気的に結合させ、開口AP34は、共振器203と共振器204とを電磁気的に結合させ、開口AP45は、共振器204と共振器205とを電磁気的に結合させ、開口APは、共振器205と後述する導波路207とを電磁気的に結合させる。
以上のように、図1の(c)および図2の(c)は、5つの共振器201〜205が電磁気的に結合した態様を示す。
(各共振器の中心間距離)
導体層6a,6bにおける共振器201のxy平面の円形の中心のことを中心C11と称し、導体層7における共振器201のxy平面の円形の中心のことを中心C12と称する。共振器201の中心Cは、中心C11と中心C12との中点に位置する。共振器202の中心C、共振器203の中心C、共振器204の中心C、及び共振器205の中心Cの各々は、共振器201の中心Cと同様に定められる(図3参照)。
図3に示すように、共振器201の半径をR、共振器202の半径をR、共振器203の半径をR、共振器204の半径をR、共振器205の半径をRとする。また、中心Cと中心Cとの中心間距離をD12とし、中心Cと中心Cとの中心間距離をD23とし、中心Cと中心Cとの中心間距離をD34とし、中心Cと中心Cとの中心間距離をD45とする。
このとき、R,RとD12とは、D12<R+Rの条件を満たし、R,RとD23とは、D23<R+Rの条件を満たし、R,RとD34とは、D34<R+Rの条件を満たし、R,RとD45とは、D45<R+Rの条件を満たす。これらの条件を満たすことによって、円筒形の2つの共振器(例えば共振器201と共振器202と)を、各共振器の側面に設けた開口(例えば開口AP12)を介して連結させることができる。
(隣接する2つの共振器の対称性)
複数の共振器のうち互いに連結されている2つの共振器に着目する。ここでは、共振器202と共振器203とを用いて説明する。2つの共振器202,203の各々のxy平面における形状(共振器202,203の外接円の形状と同じ)は、2つの外接円の中心C,C同士をつなぐ直線D−D’を対称軸として線対称である(図3参照)。これにより、所望の特性を有するフィルタを容易に設計することができる。
なお、本実施形態においては、互いに連結されている2つの共振器が線対称となるように構成されていることに加えて、BPF1,2全体も線対称となるように構成されている。具体的には、共振器201〜205は、x軸に沿い且つ共振器203の中心Cを通る直線を対称軸として線対称となるように配置されており、且つ、導波路206〜207は、上記直線を対称軸として線対称となるように配置されている。これにより、BPF1,2は、所望の特性を有するフィルタを更に容易に設計することができる。
(共振器201,205の配置)
本実施形態では、共振器201と共振器205とは、互いに隣接するように配置されている(図1の(c),図2の(c)および図3参照)。したがって、複数の共振器が直線状に配置されている非特許文献1の構成と比較して、フィルタの全長を短くすることができる。
(導波路206,207の構成)
導波路206は、導体層6aまたは6bと導体層7とから構成される一対の広壁と、一対の狭壁であるポスト壁61,62とにより構成された、断面が長方形の矩形導波路である。導波路206の共振器201側の端部には、共振器201の開口APと同じ形状の開口が形成されたショート壁63が設けられている。この開口と共振器201の開口APとが一致するように導波路206と共振器201とを接続することによって、導波路206と共振器201とは、電磁気的に結合する。
導波路207は、導波路206と同様に、導体層6aまたは6bと導体層7とから構成される一対の広壁と、一対の狭壁であるポスト壁71,72とにより構成された矩形導波路である。導波路207のショート壁73に設けられた開口と共振器205の開口APとが一致するように導波路207と共振器205とを接続することによって、導波路207と共振器205とは、電磁気的に結合する。
本実施形態において、導波路206のy軸負方向側の端部および導波路207のy軸正方向側の端部は、何れも入出力ポートとして機能する。導波路206のy軸負方向側の端部を入力ポートとすれば、導波路207のy軸正方向側の端部が出力ポートとなり、導波路207のy軸正方向側の端部を入力ポートとすれば、導波路206のy軸負方向側の端部が出力ポートとなる。いずれの入出力ポートを入力ポートにするかは任意であるが、本実施形態では、導波路206のy軸負方向側の端部を入力ポートとし、導波路207のy軸正方向側の端部を出力ポートとして説明する。すなわち、共振器201が最初段(第1段目)の共振器であり、共振器205が最終段(第5段目)の共振器である。
<変換部>
BPF1,2は、その前段及び/又は後段に対して別の高周波デバイスが結合される。BPF1,2に結合される高周波デバイスの一例としては、アンテナ回路、送信回路、及び受信回路、及び、方向性結合器が挙げられる。
BPF1,2に対して矩形導波路を用いて結合することが好ましい高周波デバイス(例えば方向性結合器)の場合、高周波デバイスが備えている矩形導波路の一端を、BPF1,2の導波路206又は導波路207の開放された端部に対して結合すればよい。
一方、BPF1,2に対してマイクロストリップ線路を用いて結合することが好ましい高周波デバイス(例えば送信回路及び受信回路)の場合、変換部をBPF1,2の開放された端部に設け、変換部を介して高周波デバイスとBPF1,2とを結合すればよい。
BPF1、BPF2のそれぞれに接続可能な変換部80について説明する。図8の(a)及び(b)は、それぞれ、導波路206のy軸負方向側の端部に設置可能な変換部80の平面図及び断面図である。
BPF1、BPF2において、導波路206のy軸負方向側の端部には、図8に示す変換部80が設けられていてもよい。導波路206のy軸負方向側の端部の変換部80は、好ましい実施形態では入力変換部であってもよい。同様に、導波路207のy軸正方向側の端部にも、変換部80が設けられていてもよい。導波路207のy軸正方向側の端部の変換部80は、好ましい実施形態では出力変換部であってもよい。以下では、導波路206のy軸負方向側の端部に設けられた変換部80を例にして説明する。
導波路206のy軸負方向側の端部に変換部80を設ける場合、当該端部には、ショート壁64が形成される。ショート壁64は、p本の導体ポスト64i(iは1以上p以下の整数を一般化した表記)を柵状に配列することによって得られるポスト壁である。ショート壁64は、ショート壁63と対になるショート壁であり、導波路206の共振器201側と逆側の端部を閉じる。
図8の(a),(b)に示すように、変換部80は、信号線85と、パッド86と、ブラインドビア87と、電極88,89とを備えている。
誘電体層81は、導体層6aまたは6bの表面に形成されている、誘電体製の層である。誘電体層81には、開口81aが設けられている。また、変換部80の導体層6aまたは6bには、開口81aと重畳する開口6cが設けられている。開口6cは、開口81aを包含するように設けられている。開口6cは、アンチパッドとして機能する。
信号線85は、誘電体層81の表面に形成された帯状導体である。信号線85の一端部は、開口81aを取り囲むように形成されている。なお、信号線85と導体層6a,6bとは、マイクロストリップ線路を形成する。
パッド86は、基板5の表面であって、導体層6aまたは6bが設けられている表面に形成された円形の導体層である。パッド86は、導体層6a,6bに設けられた開口6c内に、導体層6a,6bと絶縁された状態で配置されている。
基板5の表面には、導体層6a,6bが設けられた表面から、基板5の内部に向かう非貫通孔が形成されている。ブラインドビア87は、その非貫通孔の内壁に形成された筒上の導体膜からなる。ブラインドビア87は、信号線85の一端部に、パッド86を介して導通するように接続されている。すなわち、ブラインドビア87は、信号線85の一端部に接続されており、開口81a,6cを通って基板5の内部に形成されている。ブラインドビア87は、導体ピンとも称する。ブラインドビア87は、非貫通孔の内壁に形成された筒上の導体膜でなくてもよく、非貫通孔に充填された導体であってもよい。
電極88,89は、誘電体層81の表面に形成された電極である。電極88,89の各々は、信号線85の他端部近傍に、信号線85の他端部を挟むように配置されている。
誘電体層81の電極88と重畳する領域には、複数の貫通孔が設けられている。これらの複数の貫通孔には、ビア88Aとして機能する筒状の導体膜が形成されている。貫通孔の内壁は、筒状の導体膜でなくてもよく、導体が充填されていてもよい。
ビア88Aは、電極88と導体層6a,6bとを短絡する。また、ビア88Aと同様に構成されたビア89Aは、電極89と導体層6a,6bとを短絡する。このように構成された電極88及び電極89は、グランドとして機能するので、信号線85とともにグランド−シグナル−グランドの端子構造を実現する。
このように構成された変換部80は、マイクロストリップ線路を伝搬するモードと、導波路206の内部を伝搬するモードとを変換する。したがって、変換部80は、入力ポート及び出力ポートの各々に対して、マイクロストリップ線路を容易に結合させることができる。また、信号線85と電極88,89とからなる端子構造には、RFICをバンプなどを用いて容易に接続することができる。
なお、本構成例では、導波路206又は導波路207の端部に変換部80を設けるものとして説明した。すなわち、変換部80は、導波路206又は導波路207を介して共振器201又は共振器205に結合されるものとして説明した。しかし、変換部80は、共振器201又は共振器205に直接結合するように設けられていてもよい。すなわち、変換部80のブラインドビア87は、共振器201の広壁又は共振器205の広壁の一部に設けられた開口から共振器201又は共振器205の内部に形成されるように構成されていてもよい。
以上、図1の(c)、図2の(c)、図3および図8を用いて、BPF1、BPF2に共通な構成について具体的な説明を行った。
<BPF1の構成>
以下、BPF1に固有の構成について説明する。上述した通り、図1の(b)はBPF1の導体層6aの分解斜視透視図である。図5の(a)は導体層6aの平面図である。図1の(a)はBPF1の樹脂層9aの分解斜視透視図である。図4の(a)は樹脂層9aの平面図である。図6は、BPF1における図3の切断線B−B’における断面図である。
(BPF1のキャビティ301a〜305aの構成)
導体層6aの上および開口部(結合窓AP101a〜AP105a)(図5の(a)参照)の内部に、樹脂層9aが配置される。樹脂層9aが配置される導体層6aおよび開口部(結合窓AP101a〜AP105a)の領域を第2の領域とも称する。本実施形態では、樹脂層9aを構成する誘電体としてポリイミドを採用するが、他の樹脂であってもよい。樹脂層9aの上に導体層8a(特許請求の範囲に記載の「第3の導体層」に相当)が配置される。
樹脂層9aにポリイミド薄膜を採用する場合、ポリイミド薄膜の厚さを16μmとすることができる。
(BPF1の一対の広壁)
図6に示した構成では、導体層6a,8aの各々は、BPF1のキャビティ301a〜305aの一対の広壁を構成する。上述したとおり、導体層6aは、共振器201〜205の平面視(xy平面)において、各共振器の中心から半径R61a〜半径R65aの5つの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)を有する。5つの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)はそれぞれ、上述した第2の領域の範囲内に構成される。
(BPF1のキャビティ301a〜305aの形状)
BPF1のキャビティ301a〜305aは、互いに対向する一対の広壁と、一対の広壁の間に介在する狭壁とにより構成されている。キャビティ301a〜305aのxy平面における形状は円形である。別の好ましい実施形態では、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。5つのキャビティ301a〜305aは、各々対応する5つの結合窓AP101a〜AP105aを介して各々対応する5つの共振器201〜205と電磁気的に結合する。好ましい実施形態では、平面視において共振器201〜205の中心は、キャビティ301a〜305aの中心と共通する。別の好ましい実施形態では、平面視において少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)の中心が、対応するキャビティ303aの中心と共通すればよく、全ての積層型共振器において各キャビティの中心が共通する必要はない。
更に別の好ましい実施形態では、平面視における共振器201〜205の各々の中心を、対応するキャビティ301a〜305aの各々が平面視において包含するように構成することができる。また、少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)について、その共振器の中心を、対応するキャビティ(例えば、キャビティ303a)が平面視において包含するように構成すればよく、全ての共振器について、その共振器の中心を、対応するキャビティが平面視において包含する必要はない。
(BPF1の拡張壁)
BPF1のキャビティ301a〜305aの各々の狭壁を構成する内側拡張壁121a〜125aのxy平面における形状は、キャビティ301a〜305aの中心からそれぞれ半径R121a〜半径R125aの円形である(図1の(a)、図4の(a)参照)。別の好ましい実施形態では、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。内側拡張壁121a〜125aは、導体層6a,8aからなる一対の広壁を導通させ、一対の広壁とともに、開口部(結合窓AP101a〜AP105a)を除いた領域が電磁気的に閉じた円柱形の空間を形成する。
図1の(a)、図4の(a)に示すとおり、BPF1のキャビティ301a〜305aの狭壁を構成しない外側拡張壁111a〜115aのxy平面における形状は、キャビティ301a〜305aの中心からそれぞれ半径R111a〜半径R115aの円形である(図4の(a)参照)。別の好ましい実施形態では、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。図1の(a)、図4の(a)に示す外側拡張壁111a〜115aは、導体層6a,8aからなる一対の広壁を導通させる(図6参照)。
図1の(a)および図4の(a)では、キャビティ301a〜305aの形状の分かりやすさを優先した模式図であり、内側拡張壁121a〜125aおよび外側拡張壁111a〜115aの半径方向の厚さは表現されていない。図6では、内側拡張壁123aおよび外側拡張壁113aの半径方向(図6ではy軸方向)の厚さが表現されているが、分かりやすさを優先した模式図であり、各要素の縮尺比率、方位などは必ずしも正確ではない。
内側拡張壁121a〜125aがxy平面において連続的な導体から構成される場合、図1の(a)および図6に示すとおり内側拡張壁121a〜125aは樹脂層9aを取り囲み、キャビティ301a〜305aを構成する。別の好ましい実施形態では、内側拡張壁121a〜125aは、導体層6a,8aからなる一対の広壁を導通させている限り、xy平面において断続的な導体から構成されてもよい。内側拡張壁121a〜125aが、断続的な導体から構成される場合、電磁気的にキャビティが構成されている必要がある。
以上のように、本実施形態のBPF1は、電磁気的に結合した5つの共振器201〜205の上にそれぞれ対応する5つのキャビティ301a〜305aが配置された、5段の共振器結合型のフィルタである。BPF1の段数は5段に限定されず、別の好ましい実施形態では、任意の数の段数により構成することができる。また、キャビティは、樹脂層9aが充填されている。
また本実施形態では、5つの共振器201〜205の全てに対してキャビティ301a〜305aが結合されているが、これに限定されない。すなわち、5つの共振器201〜205のうち、少なくとも1つの共振器に対してキャビティが結合されていればよい。例えば、第3段の共振器203に対してのみキャビティ303aが結合され、他の第1段、第2段、第4段、第5段の共振器201,202,204,205には、キャビティが結合されていない構成を採用してもよい。
(BPF1のキャビティの中心間距離)
図4の(a)は、図6の破断線F−F’におけるBPF1の平面図に相当する。図4の(a)に示すように、キャビティ301aの半径をR121a、キャビティ302aの半径をR122a、キャビティ303aの半径をR123a(図6参照)、キャビティ304aの半径をR124a、キャビティ305aの半径をR125aとする。また本実施形態では、BPF1のキャビティ301a〜305aの中心C31a〜中心C35aは、共振器201〜205の中心C〜中心Cと平面視において一致させた。中心C31aと中心C32aとの中心間距離をE12aとし、中心C32aと中心C33aとの中心間距離をE23aとし、中心C33aと中心C34aとの中心間距離をE34aとし、中心C34aと中心C35aとの中心間距離をE45aとする。
このとき、R121a,R122aとE12aとは、E12a>R121a+R122aの条件を満たし、R122a,R123aとE23aとは、E23a>R122a+R123aの条件を満たし、R123a,R124aとE34aとは、E34a>R123a+R124aの条件を満たし、R124a,R125aとE45aとは、E45a>R124a+R125aの条件を満たす。これらの条件を満たすことによって、円筒形の2つのキャビティ(例えばキャビティ301aとキャビティ302aと)が、相互に直接干渉することなく、それぞれの共振器とだけ開口部(例えば、結合窓AP101a、AP102a)を介して結合させることができる。
また、外側拡張壁111a〜115aのそれぞれの半径R111a〜半径R115aと、共振器の半径R〜Rとは、それぞれR111a≦R、R112a≦R、R113a≦R、R114a≦R、R115a≦Rの条件を満たす。
図5の(a)は、図6の破断線E−E’におけるBPF1の平面図に相当する。図5の(a)に示すように、5つの共振器に対応する第2の導体層6aのそれぞれの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)の半径をR61a〜R65aとする。本実施形態では、第2の導体層6aの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)の中心は、共振器201〜205およびキャビティ301a〜305aの中心とそれぞれ平面視において一致する。
このとき、内側拡張壁121a〜125aのそれぞれの半径R121a〜半径R125aと、第2の導体層6aのそれぞれの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)の半径R61a〜R65aとは、それぞれR121a>R61a,R122a>R62a、R123a>R63a、R124a>R64a,R125a>R65aの条件を満たす。これらの条件を満たすことにより、キャビティにおいて第2の導体層6aが一方の広壁として機能する(図6参照)。
一方、内側拡張壁121a〜125aのそれぞれの半径R121a〜半径R125aと、第2の導体層6aのそれぞれの開口部(結合窓AP101a〜AP105a)の半径R61a〜R65aとが、それぞれR121a=R61a,R122a=R62a、R123a=R63a、R124a=R64a,R125a=R65aの条件を満たす場合、第2の導体層6aはキャビティにおいて広壁として機能しない。
別の実施形態では、共振器201〜205の各々の中心を、対応する結合窓AP101a〜AP105aの各々が平面視において包含するように構成することができる。また、少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)について、その共振器の中心を、対応する結合窓(例えば、結合窓AP103a)が平面視において包含するように構成すればよく、全ての共振器201〜205について、その各共振器の中心を、対応する開口部(結合窓)が平面視において包含する必要はない。
<BPF2の構成>
以下、BPF2に固有の構成について説明する。上述した通り、図2の(b)はBPF2の導体層6bの分解斜視透視図である。図5の(b)は導体層6bの平面図である。図2の(a)はBPF2の樹脂層9bの分解斜視透視図である。図4の(b)は樹脂層9bの平面図である。図7は、BPF2における図3の切断線B−B’における断面図である。
(BPF2のキャビティ301b〜305bの構成)
環状の開口部(結合窓AP101b〜AP105b)と、導体層6bの一部の上に、樹脂層9b(特許請求の範囲に記載の「第2の誘電体層」に相当)が配置される。樹脂層9bが配置される環状の開口部(結合窓AP101b〜AP105b)および導体層6bの一部の領域を第2の領域とも称する。本実施形態では、樹脂層9bを構成する誘電体としてポリイミドを採用するが、他の樹脂であってもよい。樹脂層9bの上に導体層8b(特許請求の範囲に記載の「第3の導体層」に相当)が配置される。
樹脂層9bにポリイミド薄膜を採用する場合、ポリイミド薄膜の厚さを16μmとすることができる。
(BPF2のキャビティ301b〜305bの一対の広壁)
導体層6b,8bの各々は、BPF2のキャビティ301b〜305bの一対の広壁を構成する。キャビティ301b〜305bは、xy平面において、それぞれ対応する共振器201〜205よりも小さい構成とすることができる。上述したとおり、導体層6bは、5つの環状の開口部(結合窓AP101b〜AP105b)を有する。5つの環状の開口部(結合窓AP101b〜AP105b)はそれぞれ、上述した第2の領域の範囲内に構成される。
広壁の一方を構成する導体層8bは貫通部141b〜145bにより、xy平面において、5つのキャビティ301b〜305bに対応する5つの環状の形状を有する。
(BPF2のキャビティ301b〜305bの形状)
キャビティ301b〜305bは、互いに対向する一対の広壁と、一対の広壁の間に介在する狭壁とにより構成されている。キャビティ301b〜305bのxy平面における形状は、円形の貫通部141b〜145bを備える環状である。すなわち、キャビティ301b〜305bは、筒状である。貫通部141b〜145bを構成する内側拡張壁131b〜135bは、特許請求の範囲に記載の「キャビティ」の「内縁」に相当する。キャビティ301b〜305bの各々は、平面視において、内側拡張壁131b〜135bの各々が共振器201〜205の各々の中心を含むように配置されている。別の好ましい実施形態では、上記環状の内側円形および/または外側円形は、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。5つのキャビティ301b〜305bは、各々対応する5つの結合窓AP101b〜AP105bを介して各々対応する5つの共振器201〜205と電磁気的に結合する。好ましい実施形態では、平面視において共振器201〜205の中心は、キャビティ301b〜305bの中心と共通する。別の好ましい実施形態では、平面視において少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)について、その共振器の中心が、対応するキャビティ(例えば、キャビティ303b)の中心と共通であればよく、全ての共振器201〜205について、その各共振器の中心が、対応するキャビティの中心と共通である必要はない。
更に別の好ましい実施形態では、平面視における共振器201〜205の各々の中心を、対応するキャビティ301b〜305bの各々が平面視において包含するように構成することができる。また、平面視において少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)について、その共振器の中心を、対応するキャビティ(例えば、キャビティ303b)が平面視において包含するように構成すればよく、全ての共振器201〜205について、その各共振器の中心を、対応するキャビティが平面視において包含する必要はない。
(BPF2の拡張壁)
BPF2のキャビティ301b〜305bの各々の狭壁を構成する外側拡張壁121b〜125bの平面視における形状は、キャビティ301b〜305bの中心からそれぞれ半径R121b〜半径R125bの円形である。同様に、BPF2のキャビティ301b〜305bの各々の狭壁を構成する内側拡張壁131b〜135bのxy平面における形状は、それぞれ半径R131〜半径R135の円形である。別の好ましい実施形態では、BPF2の外側拡張壁121b〜125bの平面視における形状は、それぞれ円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。半径R131〜半径R135の円形の中心は、平面視において、BPF2のキャビティ301b〜305bの中心と共通であるのが好ましいが、キャビティ301b〜305bの中心と共通である態様に限定されない。別の好ましい実施形態では、BPF2の内側拡張壁131b〜135bの平面視における形状は、それぞれ円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。
BPF2の外側拡張壁121b〜125bおよび内側拡張壁131b〜135bは、導体層6b,8bからなる一対の広壁を導通させる。本実施形態では、貫通部141b〜145bを構成する内側拡張壁131b〜135bのz軸負方向端が、共振器201〜205上面の中心部に存する円形の導体層6bと導通する。更に、貫通部141b〜145bを構成する内側拡張壁131b〜135bのz軸正方向端が、環状の導体層8bと導通する。また、外側拡張壁121b〜125bのz軸負方向端が、共振器201〜205上面における環状の開口部(結合窓AP101b〜AP105b)の外側に存する導体層6bと導通する。更に、外側拡張壁121b〜125bのz軸正方向端が、環状の導体層8bと導通する。これにより、各々の狭壁は、一対の広壁とともに、開口部(結合窓AP101b〜AP105b)を除いた領域が電磁気的に閉じた中空円筒形の空間を形成する。
図4の(b)および図7に示すとおり、BPF2のキャビティ301b〜305bの狭壁を構成しない外部拡張壁111b〜115bのxy平面における形状は、それぞれ半径R111b〜半径R115bの円形である。半径R111b〜半径R115bの円形の中心は、平面視において、キャビティ301b〜305bの中心と共通であるのが好ましいが、キャビティ301b〜305bの中心と共通である態様に限定されない。別の好ましい実施形態では、外部拡張壁111b〜115bの平面視における形状は、円形の代わりに正六角形以上の正多角形から構成されてもよい。正多角形から構成される場合、正多角形の外接円が、当該円形に相当する。図4の(b)および図7に示す外部拡張壁111b〜115bは、導体層6b,8bからなる一対の広壁を導通させる。
図2の(a)および図4の(b)では、BPF2のキャビティ301b〜305bの形状の分かりやすさを優先した模式図であり、内側拡張壁131b〜135bおよび外側拡張壁121b〜125bならびに外部拡張壁111b〜115bの半径方向の厚さは表現されていない。図7では、内側拡張壁133bおよび外側拡張壁123bならびに外部拡張壁113bの半径方向(図7ではy軸方向)の厚さが表現されているが、分かりやすさを優先した模式図であり、各要素の縮尺比率、方位などは必ずしも正確ではない。
BPF2の外側拡張壁121b〜125bがxy平面において連続的な導体から構成される場合、図2の(a)および図7に示すとおり外側拡張壁121b〜125bは樹脂層9bを取り囲み、キャビティ301b〜305bを構成する。別の好ましい実施形態では、外側拡張壁121b〜125bは、導体層6b,8bからなる一対の広壁を導通させている限り、xy平面において断続的な導体から構成されてもよい。外側拡張壁121b〜125bが、断続的な導体から構成される場合、電磁気的にキャビティが構成されている必要がある。
BPF2の内側拡張壁131b〜135bがxy平面において連続的な導体から構成される場合、図2の(a)および図7に示すとおり内側拡張壁131b〜135bは、内側に貫通部141b〜145bを構成する。同時に、内側拡張壁131b〜135bの外側には樹脂層9bが隣接し、外側拡張壁121b〜125bと対をなしてキャビティ301b〜305bを構成する。別の好ましい実施形態では、内側拡張壁131b〜135bは、導体層6b,8bからなる一対の広壁を導通させている限り、xy平面において断続的な導体から構成されてもよい。内側拡張壁131b〜135bが、断続的な導体から構成される場合、外側拡張壁121b〜125bと内側拡張壁131b〜135bとの間に、電磁気的にキャビティが構成されている必要がある。
以上のように、本実施形態のBPF2は、電磁気的に結合した5つの共振器201〜205の上にそれぞれ対応する5つのキャビティ301b〜305bが配置された、5段の共振器結合型のフィルタである。BPF2の段数は5段に限定されず、別の好ましい実施形態では、任意の数の段数により構成することができる。また、キャビティは、外側拡張壁121b〜125bと内側拡張壁131b〜135bとの間に樹脂層9bが充填されている。
また本実施形態では、5つの共振器201〜205の全てに対してキャビティ301b〜305bが結合されているが、これに限定されない。すなわち、5つの共振器201〜205のうち、少なくとも1つの共振器に対してキャビティが結合されていればよい。例えば、第3段の共振器203に対してのみキャビティ303bが結合され、他の第1段、第2段、第4段、第5段の共振器201,202,204,205には、キャビティが結合されていない構成を採用してもよい。
(BPF2のキャビティの中心間距離)
図4の(b)は、図7の破断線F−F’におけるBPF2の平面図に相当する。図4の(b)に示すように、BPF2のキャビティ301bの半径をR121b、キャビティ302bの半径をR122b、キャビティ303bの半径をR123b(図7参照)、キャビティ304bの半径をR124b、キャビティ305bの半径をR125bとする。また本実施形態では、BPF2のキャビティ301b〜305bの中心は、共振器201〜205の中心と平面視において一致させた。キャビティ301b〜305bのそれぞれの中心を中心C31b〜中心C35bとし、中心C31bと中心C32bとの中心間距離をE12bとし、中心C32bと中心C33bとの中心間距離をE23bとし、中心C33bと中心C34bとの中心間距離をE34bとし、中心C34bと中心C35bとの中心間距離をE45bとする。
このとき、R121b,R122bとE12bとは、E12b>R121b+R122bの条件を満たし、R122b,R123bとE23bとは、E23b>R122b+R123bの条件を満たし、R123b,R124bとE34bとは、E34b>R123b+R124bの条件を満たし、R124b,R125bとE45bとは、E45b>R124b+R125bの条件を満たす。これらの条件を満たすことによって、中空円筒形の2つのキャビティ(例えばBPF2のキャビティ301bとキャビティ302bと)が、相互に直接干渉することなく、それぞれの共振器とだけ開口部(例えば、結合窓AP101b、AP102b)を介して結合させることができる。
また、外部拡張壁111b〜115bのそれぞれの半径R111b〜半径R115bと、共振器の半径R〜Rとは、それぞれR111b≦R、R112b≦R、R113b≦R、R114b≦R、R115b≦Rの条件を満たす。更に、外部拡張壁111b〜115bと外側拡張壁121b〜125bはそれぞれ、R111b>R121b,R112b>R122b、R113b>R123b、R114b>R124b,R115b>R125bの条件を満たす。
図5の(b)は、図7の破断線E−E’におけるBPF2の平面図に相当する。図5の(b)に示すように、5つの共振器に対応する第2の導体層6bのそれぞれの開口部(結合窓AP101b〜AP105b)の半径をR61b〜R65bとする。本実施形態では、第2の導体層6bの開口部(結合窓AP101b〜AP105b)の中心は、共振器201〜205およびキャビティ301b〜305bの中心とそれぞれ平面視において一致する。
このとき、BPF2の外側拡張壁121b〜125bのそれぞれの半径R121b〜半径R125bと、第2の導体層6bのそれぞれの開口部(結合窓AP101b〜AP105b)の半径R61b〜R65bとは、それぞれR121b>R61b,R122b>R62b、R123b>R63b、R124b>R64b,R125b>R65bの条件を満たす。これらの条件を満たすことにより、キャビティにおいて第2の導体層6bが一方の広壁として機能する(図7参照)。
一方、外側拡張壁121b〜125bのそれぞれの半径R121b〜半径R125bと、第2の導体層6bのそれぞれの開口部(結合窓AP101b〜AP105b)の半径R61b〜R65bとが、それぞれR121b=R61b,R122b=R62b、R123b=R63b、R124b=R64b,R125b=R65bの条件を満たす場合、第2の導体層6bはキャビティにおいて広壁として機能しない。
別の実施形態では、共振器201〜205の各々の中心を、対応する貫通部141b〜145bの各々が平面視において包含するように構成することができる。また、少なくとも1つの共振器(例えば、共振器203)について、その共振器の中心を、対応する貫通部(例えば、貫通部143b)が平面視において包含するように構成すればよく、全ての共振器201〜205について、その各共振器の中心を、対応する貫通部が平面視において包含する必要はない。
〔温度変化に伴う特性変動〕
実施形態1に係るBPF1(図1参照)及び実施形態2に係るBPF2(図2参照)においては、基板5の誘電率の温度依存性が問題となる場合がある。例えば、低温から高温まで大きな温度変化が想定される環境でのフィルタの使用については、特に基板5の誘電率の温度依存性を検討することが望ましい。以下、この点について、図9を参照して詳しく説明する。
<誘電率の温度依存性>
石英の比誘電率の温度依存性に関して、−40℃から+100℃までの温度上昇に伴い、石英の比誘電率εが増加することが知られている。また、樹脂フィルムの誘電率の温度依存性に関して、例えば、20℃から100℃までの温度上昇に伴い、ポリイミドフィルムやポリアミドイミドフィルムでは、誘電率が低下することが知られている。
<比較例>
図9は、図1に示したBPF1において、結合窓AP101a〜AP105aが形成されず、キャビティ301a〜305aを省略したフィルタ(以下、「比較例にかかるフィルタ」とも記載する)の透過特性のシミュレーション結果を示す。高次モードの共振周波数では、キャビティ内の電界分布に鑑みて、キャビティの周辺部よりも中央部の方が共振の影響が大きい。シミュレーション条件として、第1段目及び第5段目の共振器の半径R,Rは共に700μm、第2段目及び第4段目の共振器の半径R,Rは共に725μm、第3段目の共振器の半径Rは750μmである。基板5の石英の厚さは、520μmである。
図9のグラフにおいて、サンプル1は、石英の比誘電率が3.79(すなわち、−40℃相当)の場合、サンプル2は、石英の比誘電率が3.8(すなわち、+100℃相当)の場合のシミュレーション結果を示す。図9に示した透過特性シミュレーションの結果、サンプル1及びサンプル2の透過特性において、中心周波数のシフトが確認できる。すなわち、比較例に係るBPFにおいては、使用環境の温度上昇に伴い、通過帯域の中心周波数が低周波数側にシフトする。かかる中心周波数のシフトを小さくするために、以下のようなキャビティの構成を検討する。
<キャビティによる積層化>
次いで、共振器の上に結合窓を介してキャビティ301a〜305a,301b〜305bが積層化されたBPF1(図1参照),BPF2(図1参照)の温度依存性について検討する。
上述した通り、共振器を構成する基板5が石英からなる誘電体層である場合、温度上昇に伴い比誘電率が上昇し、中心周波数が低周波側にシフトする。かかるシフトの影響を低減するために、温度上昇に伴い誘電率が減少する誘電体層を、石英からなる基板5の上に設けられたキャビティ301a〜305a,301b〜305bの内部に配置することが好ましい。例えば、ポリイミドフィルムは、温度上昇に伴い誘電率が低下する。ポリイミドフィルムからなる樹脂層9a、9bを、キャビティ301a〜305a,301b〜305bの内部に配置した模式図を図1、図2、図6、図7に示す。かかる積層構造を採用することにより、温度上昇に伴う中心周波数のシフトの影響を低減させることができる。
誘電率の温度依存性の寄与率に応じて、基板5と樹脂層9a、9bとの体積比を調整することにより中心周波数のシフトの影響を低減させることができる。
基板5(特許請求の範囲に記載の「第1の誘電体層」に相当)の誘電率の温度依存性よりも樹脂層9a、9b(特許請求の範囲に記載の「第2の誘電体層」に相当)の誘電率の温度依存性が大きい場合、基板5の体積が、樹脂層9a、9bの体積よりも大きいのが好ましい。
上記の例では、基板5が、温度上昇に伴い誘電率が増加する誘電体から構成される例を示した。一方、基板5が、温度上昇に伴い誘電率が低下する誘電体から構成される場合、樹脂層9a、9bは、温度上昇に伴い誘電率が増加する誘電体から構成されるのが好ましい。特定の温度変化が生じる温度領域において、温度変化に対する誘電率の変化傾向が相殺される関係にある誘電体を組み合わせるのが好ましい。
更に別の実施形態では、特定の温度変化が生じる温度領域において、温度変化に対する誘電率の変化傾向が軽減される関係にある誘電体を組み合わせるのが好ましい。すなわち、必ずしも誘電率の変化傾向が相殺される関係を必要とするものではなく、使用環境によっては、誘電率の温度依存性を低減すれば十分な場合もあり得る。そのために、基板5(特許請求の範囲に記載の「第1の誘電体層」に相当)の誘電率の温度依存性とは逆特性となる、誘電率の温度依存性を備えた樹脂層9a、9b(特許請求の範囲に記載の「第2の誘電体層」に相当)を組み合わせるのが好ましい。
ポリアミドイミドフィルムは、20℃から100℃までは温度上昇に伴い誘電率が低下するが、100℃から240℃までは温度上昇に伴い誘電率は増加することが知られている。従って、バンドパスフィルタ使用の環境温度変化が100℃から240℃であれば、樹脂層9a、9bとしてポリアミドイミドフィルムを用いた場合、基板5は同じ温度変化範囲で誘電率が低下する誘電体を用いるのが好ましい。
(誘電率の温度依存性が反転する誘電体層を包含する基板5)
フィルタの使用環境温度変化が広範囲にわたる場合、誘電率の温度依存性が温度領域によって変化する場合がある。例えば、フィルタの使用環境温度変化が20℃から160℃程度の場合、ポリアミドイミドフィルムから構成される樹脂層9a、9bを用いるに際し、誘電率の温度依存性が大きく変化することに注意を要する。20℃から100℃までは、温度上昇に伴いポリアミドイミドフィルムの誘電率が低下するが、100℃以上では温度上昇に伴いポリアミドイミドフィルムの誘電率が増加する。このような温度変化でのフィルタ利用を想定すると、基板5は、20℃から100℃までは、温度上昇に伴い誘電率が増加し、100℃以上では温度上昇に伴い誘電率が低下する誘電体を用いるのが好ましい。かかる場合においても、特定の温度変化が生じる温度領域において、温度変化に対する誘電率の変化傾向が相殺又は低減される関係にある誘電体を組み合わせることにより、中心周波数のシフトを低減することができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1、2 バンドパスフィルタ(フィルタ)
5 基板(第1の誘電体層)
6a、6b 導体層(第2の導体層)
7 導体層(第1の導体層)
8a,8b 導体層(第3の導体層)
9a,9b 樹脂層(第2の誘電体層)
21〜25、61,62、71,72 ポスト壁
21i〜25i、61i〜64i、71i〜73i 導体ポスト
63、64、73 ショート壁
80 変換部
81 誘電体層
85 信号線
86 パッド
87 ブラインドビア
88,89 電極
88A、89A ビア
111a〜115a、121b〜125b 外側拡張壁
111b〜115b 外部拡張壁
121a〜125a、131b〜135b 内側拡張壁
141b〜145b 貫通部
201〜205 共振器
206,207 導波路
301a〜305a、301b〜305b キャビティ
6c、81a、AP12,AP23,AP34,AP45,AP,AP 開口
AP101a〜AP105a、AP101b〜AP105b 結合窓

Claims (10)

  1. 一方の主面に第1の導体層が設けられ、他方の主面に第2の導体層が設けられ、内部にポスト壁が設けられた基板を有するポスト壁導波路であって、電磁気的に結合した複数の共振器として機能するポスト壁導波路と、
    前記ポスト壁導波路に積層されたキャビティであって、前記第2の導体層に形成された結合窓を介して前記共振器と電磁気的に結合されたキャビティと、を備え、
    前記基板は、第1の誘電体からなる第1の誘電体層を含み、
    前記キャビティの内部には、第2の誘電体からなる第2の誘電体層が設けられ、
    前記第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って増加し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って減少する、又は、
    前記第1の誘電体の誘電率が、温度上昇に伴って減少し、且つ、前記第2の誘電体の誘電率が、前記温度上昇と同じ範囲での温度上昇に伴って増加する、
    ことを特徴とするフィルタ。
  2. 前記キャビティは、
    前記ポスト壁導波路の平面視において前記共振器に包含され、
    前記第2の誘電体層上に配置された第3の導体層と、
    前記第3の導体層と前記第2の導体層とを短絡する拡張壁と、
    を備え、
    前記第2の誘電体層は、前記キャビティの内部に加え前記結合窓の内部にも設けられ、且つ、前記第1の誘電体層と接するように前記共振器上に配置され、
    前記キャビティは、前記第3の導体層を一方の広壁とし、前記拡張壁を狭壁とし、
    前記結合窓は、前記ポスト壁導波路の平面視において、前記共振器に包含される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記結合窓は、前記ポスト壁導波路の平面視において、前記共振器の中心を含むように配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ。
  4. 前記キャビティは、筒状であり、
    前記結合窓は、前記ポスト壁導波路の平面視において、環状であり、
    前記結合窓は、前記ポスト壁導波路の平面視において、前記キャビティの範囲内に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルタ。
  5. 前記キャビティは、前記ポスト壁導波路の平面視において、内縁が前記共振器の中心を含むように配置されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のフィルタ。
  6. 前記第2の誘電体の誘電率の温度依存性が、前記第1の誘電体の誘電率の温度依存性よりも大きく、且つ、前記第1の誘電体の体積が、前記第2の誘電体の体積よりも大きい、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルタ。
  7. 前記複数の共振器の各々が、前記ポスト壁導波路の平面視において円形状又は六角形以上の正多角形状であり、
    前記複数の共振器のうち互いに結合されている2つの共振器の各々は、これら2つの共振器の外接円の半径をR及びRとし、これらの2つの共振器の中心間距離をDとした場合に、D<R+Rとなるように配置されている、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルタ。
  8. 前記キャビティの外形は、前記ポスト壁導波路の平面視において円形状又は六角形以上の正多角形状であり、
    前記ポスト壁導波路の平面視において、前記キャビティが、前記共振器の中心と共通の中心を有し、
    前記複数の共振器のうち互いに結合されている2つの前記共振器に備えられた各々のキャビティは、これら2つのキャビティの外接円の半径をR及びRとし、これらの2つのキャビティの中心間距離をEとした場合に、E>R+Rとなるように配置されている、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルタ。
  9. 前記第1の誘電体が、石英、サファイア、アルミナからなる群から選択される材料を主成分とする、
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルタ。
  10. 前記第2の誘電体が、ポリイミドまたはポリアミドイミドから選択される材料を主成分とする、
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のフィルタ。
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