JP3626909B2 - 誘電体フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波管の内部等に設けられた小区画の空間(「空胴」)に誘電体を配置し共振させ、空胴間を仕切る仕切導体に設けた結合窓を介してそれら誘電体共振器同士を電磁的に結合させた構成を有する誘電体フィルタに関し、特にその小型化、実現・実装の容易化及び低価格化のための構造及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば「通信用マイクロ波回路」(宮内・山本著、電子情報通信学会編集、コロナ社刊)の「誘電体共振器とその応用」の項に記載されているように、比較的高い誘電率を有する誘電体を自由空間内におくと、その誘電体と自由空間との境界が電磁波伝搬上の不連続面となるため、その誘電体は共振器として動作する。これを、誘電体共振器と呼ぶ。また、導波管やマイクロストリップ線路等の伝送路と結合するよう、所定モード・所定周波数で共振する複数の誘電体共振器を、導波管内やマイクロストリップ線路上にその延長方向に沿って配置し、それら誘電体共振器同士を適当な方法で相互に結合させることにより、帯域通過フィルタを始めとする各種のフィルタを実現することができる。このフィルタを誘電体フィルタと呼ぶ。
【0003】
なお、いわゆる空胴共振器内を高誘電率の誘電体で満たし1/4波長共振又は1/2波長共振させるようにしたものも誘電体共振器と呼ばれ、またそれらを相互に結合させた結合共振器型の回路・アセンブリも誘電体フィルタと呼ばれる。しかし、それらは本願にて取り扱うものとは原理的に異なるものであり、厳密には同軸誘電体共振器又は同軸誘電体フィルタと呼ぶべきものである(特開平11−239005号公報参照)。そこで、本願では、「誘電体共振器」「誘電体フィルタ」等の用語を専ら前掲の原理によるものに限定して使用することとする。
【0004】
図8(A)に、従来における誘電体フィルタの構造の一例を示す。この図に示されている構造及びその動作原理の詳細に関しては、前掲の「通信用マイクロ波回路」に記載されている事項や、特開2000−31706号公報による開示を参照されたい。また、この図においては、構造の明示のため、上側の管壁即ち蓋にあたる部分及び周波数調整のための部材を取り除き、かつ側面の管壁の一部を切り欠いた状態を描いている。
【0005】
図8(A)に示した構造は、方形導波管として機能する筐体10の内部を仕切壁12によって仕切ることにより3個の空胴14を形成し、各空胴14の内部にそれぞれ誘電体ディスク16を配置し、仕切壁12に設けた開口である結合窓18を介して誘電体ディスク16同士を容量結合させる構造である。各誘電体ディスク16は、図8(B)に示すように円柱形を有しており、それぞれ空気に対して非常に高誘電率の誘電体から形成されており、その素材及び形状は所定モード・所定周波数で共振するように設計されている。即ち、各誘電体ディスク16はそれぞれ誘電体共振器として動作する。他方、各結合窓18の位置及び形状は、その結合窓18を介して電磁的に結合する誘電体ディスク16同士の結合の態様が所期の態様となるよう、即ち所期の通過帯域が得られるよう設計される。
【0006】
従って、図8(A)に示した構造により、3個の誘電体共振器を縦続結合させた構成を有する帯域通過型の誘電体フィルタが得られる。また、これを誘電体フィルタとして使用するには、図示しない伝送路例えば同軸ケーブルと接続できねばならない。そのため、筐体10を構成する壁のうち、初段(より一般的に表現すれば最前段)及び終段(より一般的に表現すれば最後段)の誘電体ディスク16が配置されている空胴14を外部と仕切る仕切壁20には、それぞれ、それらの空胴14内に配置されている誘電体ディスク16と電磁的に結合するプローブ22及びこのプローブ22と外部の伝送路例えば同軸ケーブルとを接続するためのコネクタ24が、設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造には、いくつかの問題点がある。
【0008】
図8(A)に示したものを例としていうと、第1に、電磁波伝搬上の不連続面を形成するために誘電体ディスク16と仕切壁12及び20との間に空気間隙即ち低誘電率の空間を設けていたため、各空胴14ひいては筐体10が大きくならざるを得ず、従って小型化に不向きであった。
【0009】
第2に、各誘電体ディスク16の共振器としての特性はその誘電体ディスク16の素材・形状・寸法等により決まり、また誘電体フィルタの特性は更に筐体10及びその内部に配置又は形成された各種の部材及び構造の形状・寸法等により決まることから、特性のばらつきを抑えるため、誘電体ディスク16や筐体10に対して高い寸法精度が要求され、また生産時における高い組立精度が要求される。これは、生産性やコストの面で問題である。
【0010】
第3に、生産時に多数の部品を組み立てる必要があるため、部品コストや生産性上の問題がある。図示していないが、第2の問題点を緩和するため特性調整用の部材、例えば誘電体ディスク16の軸穴に挿通される周波数調整用のバー等を設けた場合には、この第3の問題点が更に顕著になる。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、従来よりも小型かつ低価格で生産性がよい誘電体フィルタを実現することを、その目的の一つとしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するため、本発明においては、誘電体共振器と結合窓との間の空間にも誘電体を満たすことにより、寸法の小型化を図っている。この点との関連で、本発明においては、各空胴内において誘電体共振器として機能する誘電体部分とそうでない誘電体部分とを区画する手段を、提供している。また、本発明の好ましい実施形態においては、これを誘電体ブロックの使用及びその表面における導体層の部位選択的被着形成によって、実現している。本発明の好ましい実施形態においては、誘電体ブロックの使用及びその表面における導体層の部位選択的被着形成によって、精度上の問題点を緩和しまた部品点数を削減することにより、生産性及びコストを改善している。
【0013】
まず、本発明にて前提としているのは、伝送方向に沿って自由空間を複数個の空胴に仕切る仕切導体を設け、各空胴内に誘電体共振器を配置した構造である。各誘電体共振器は、それぞれ、所定の周波数で共振する。空胴同士の境に位置する仕切導体には、それらの空胴内に配置されている誘電体共振器同士が所期の結合を呈するよう、結合窓を設ける。最前段及び最後段の空胴と外部との境に位置する仕切導体には、その空胴内に位置する誘電体共振器と電磁的に結合する端子導体を、設ける。この種の構造を有する誘電体フィルタは、各誘電体共振器の共振、並びに結合窓を介した誘電体共振器間の電磁的結合により、端子導体間で所期の濾波特性を呈する。
【0014】
本発明の特徴の一つは、空胴内の自由空間のうち誘電体共振器と仕切導体又はその結合窓若しくは端子導体とにより挟まれている介在空間を、空気よりも誘電率が高い誘電体により満たしたことである。介在空間内に満たされた高誘電率の誘電体における管内波長短縮効果によって介在空間容積を縮小できるため、本発明によれば、従来よりも各空胴を小さくすることが可能となり、従って誘電体フィルタ全体(筐体)を小さくすることができる。また、本発明の他の特徴は、この介在空間と誘電体共振器とを区画する共振器部画定部材を設けたこと、言い換えれば、誘電体で満たされている介在空間と誘電体共振器との境界面で電磁波伝搬上の不連続性が発生するようにするための付加的な部材を、設けたことである。これによって、介在空間が高誘電率の誘電体により満たされているにもかかわらず、前掲の原理に基づく誘電体フィルタが形成されることとなる。
【0015】
上述の介在空間を満たす高誘電率の誘電体としては、誘電体共振器を形成する誘電体と同じ素材の誘電体を、例示できる。また、誘電体共振器を形成する誘電体と同じ素材の誘電体によって介在空間を満たす方法としては、例えば、介在空間を満たす誘電体と誘電体共振器とを、空胴毎に、当初から一体の誘電体ブロックとして形成しておく方法がある。
【0016】
各誘電体ブロックのうちどの部分が誘電体共振器として動作し、どの部分が介在空間として動作するかを決めるには、誘電体ブロックの表面に、部位選択的に導体層を被着形成すればよい。即ち、導体層が形成されているかいないかにより電磁波伝搬の態様が変化するため、誘電体ブロックの内部にある面、より詳細には導体層形成部位直下と非形成部位(又は形成後除去部位)直下との境界面が、電磁波伝搬上の不連続面となる。
【0017】
例えば、各誘電体ブロックの表面のうち仕切導体と交差する姿勢を有する面に、介在空間に属する部分を画定する部分を含む導体層を、仕切導体と導通するよう被着形成しておく。この面の一部は、導体層により覆われていない導体層非形成又は形成後除去部位としておく。好ましくは、相対向する仕切導体交差面における導体層非形成又は形成後除去部位をほぼ同一の形状、例えば円としておく。また、誘電体ブロックは空胴1個毎に1個であり、本発明の好ましい実施形態に係る誘電体フィルタ全体としては複数個の誘電体ブロックを用いることから、1個の誘電体フィルタをかたちづくるにはこれら複数個の誘電体ブロックを縦列整列状態に保つための整列状態保持部材、例えばクリップ状の筐体を使用する。この整列状態保持部材には、例えば、誘電体ブロックの表面のうち仕切導体と交差する面における導体層非形成又は形成後除去部位近傍に空気層が配されるよう、当該導体層非形成又は形成後除去部位に対応して導体の中空凸状部分を設ける。この中空凸状部分と、空気層を介してそれに対向する導体層非形成又は形成後除去部位と、その裏側の面における導体層非形成又は形成後除去部位とによって、その誘電体ブロックのうち誘電体共振器として動作する部分が画定される。
【0018】
このように、誘電体ブロック表面における部位選択的導体層被着形成という手法を用いることで、一体かつ同一素材の誘電体ブロックであるにもかかわらず、誘電体共振器部分と介在空間部分とを区画でき、その内部に誘電体共振器が配置された空胴を等価的にかつ容易に実現できる。即ち、共振器部画定部材は、各誘電体ブロックにおける部位選択的導体層形成及び整列状態保持部材の形状設定により、簡便に実現できる。更に、介在空間と誘電体共振器とが一体化されているため、各誘電体共振器及び空胴の特性は、誘電体の素材の他、誘電体ブロック及びその表面に被着形成される導体層の位置及び寸法精度により概ね決まる。即ち、その表面の導体層を含めた誘電体ブロックが製造された時点で、誘電体共振器としての特性や空胴としての特性(後述の結合窓による結合の形態・度合を含む)が概ね決まる。そのため、空気により満たされた空胴内に誘電体共振器を配置する従来の構造に比べ、部品点数が少なく、高い組立精度も必要とされず、生産性及びコストが改善される。また、この面における導体層非形成又は形成後除去部位を取り巻く導体層をトリミングすることにより、誘電体共振器の共振周波数を調整することができる。
【0019】
また、縦列整列された状態にて誘電体共振器間を結合させるには、各誘電体ブロックを方形の誘電体ブロックとしておくことで縦列整列状態における誘電体ブロック間の接触を確保すると同時に、各誘電体ブロックの表面における部位選択的な導体層被着形成によって仕切導体及び結合窓を形成する。このように、仕切導体及び結合窓も部位選択的導体層被着形成にて一括して、即ち前掲の共振器部画定部材たる導体層の形成とほぼ同時に形成でき、生産性がよい。また、伝送路の一部や端子導体をも、同じく部位選択的導体層被着形成により同時に形成できる。
【0020】
結合窓を形成するには、次のような手法を採用できる。まず、誘電体ブロック同士の接触面には、空胴と空胴とを仕切るための仕切導体として機能する導体層を被着形成する。この導体層は、誘電体ブロック同士の接触面全体を覆うわけではなく、当該接触面の一部は、導体層被着形成時に導体層非形成のまま残しておくか、一旦形成した後に除去する。誘電体ブロックを縦列整列する際に、接触し合う2個の誘電体ブロックにおける導体層非形成又は形成後除去部位同士が直に対向するよう、当該導体層非形成又は形成後除去部位の位置及び寸法を合わせておけば、この導体層非形成又は形成後除去部位は、隣り合う空胴に属する誘電体共振器間の結合窓として機能することとなる。
【0021】
また、この導体層非形成又は形成後除去部位の寸法・形状を変えると誘電体共振器間の結合が変わり、誘電体フィルタの通過帯域幅が変化することから、導体層非形成又は形成後除去部位を取り巻く導体層のトリミングにより、事後的な特性調整(特に帯域調整)が可能である。その点からすれば、誘電体ブロック同士の接触面における導体層非形成又は形成後除去部位を、容易にトリミングを行えるスリット状とするのが望ましい。
【0022】
また、仕切導体としては、空胴と空胴とを仕切る導体に加え、空胴と外部とを仕切る導体(但し伝送方向と平行な面を除く)がある。後者の仕切導体は、最前段及び最後段の誘電体ブロックの表面のうち誘電体ブロック同士の接触面と対向する面に、導体層を被着形成することにより、実現できる。また、この面には、端子導体として機能する導体層も設ける。仕切導体と端子導体の間は、導体層非形成又は形成後除去部位により相互に分離することができる。誘電体フィルタの実装先基板に形成されている伝送路が導体ストリップを含む伝送路、例えばマイクロストリップ線路である場合、端子導体は、この導体ストリップに半田付けできるよう、この導体層の形成面の端部に亘り形成するのが望ましい。
【0023】
更に、従来技術に係る誘電体フィルタと同様、本発明に係る誘電体フィルタも方形導波管の一種の変形として実現できる。そのような形態で本発明を実施する場合には、例えば、整列状態保持部材を、複数個の誘電体ブロックを縦列整列状態にて挟持するクリップ状筐体として、実現する。また、このクリップ状筐体は、導体にて形成する。導体にて形成されたクリップ状筐体により複数個の誘電体ブロックを縦列整列状態で挟持すると、これら複数個の誘電体ブロックに対しては、クリップ状筐体が方形導波管の管壁のうち最大3面を提供する導体として作用する。更に、各誘電体ブロックの仕切導体交差面に導体層を設け、この導体層を、半田付け等の簡便な手法によりクリップ状筐体と導通接続及び固定し、等価的な方形導波管の管壁の一部として機能させることができる。即ち、誘電体ブロックの表面に形成した導体層と導体のクリップ状筐体により、方形導波管型の構造を有しかつ搭載先基板上の伝送路の延長である伝送路を、かたちづくることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面に基づき説明する。
【0025】
本発明の一実施形態に係る誘電体フィルタの外観を図1に、使用形態の一例を図2(A)及び(B)に、上面を図3(A)に、側面を図3(B)に、下面を図4に、端面を図3(D)に、縦断面を図3(C)に、それぞれ示す。また、本実施形態における誘電体ブロックのうち最前段及び最後段以外に位置するものの上面及び下面を図5(A)に、他の誘電体ブロックとの接触面を図5(B)にそれぞれ示し、最前段及び最後段に位置するものの他の誘電体ブロックとの接触面を図6(A)に、その裏側の面を図6(C)に、上面を図6(B)に、下面を図6(D)にそれぞれ示し、クリップ状筐体の上面を図7(A)に、側面を図7(B)に、端面を図7(D)に、縦断面を図7(C)にそれぞれ示す。
【0026】
本実施形態に係る誘電体フィルタ30は、例えば、銅モリブデン等から形成された金属ベース32上にアルミナ等の誘電体基板34を配した高周波用のアセンブリに組み込まれる(図2参照)。誘電体基板34上には、方向性結合器等の平面回路が形成される他、各種のチップ部品や集積回路(MMIC等)も搭載実装される。本実施形態に係る誘電体フィルタ30は、誘電体基板34上に形成された伝送路に高周波的に接続されかつ誘電体基板34に対して固定された状態で、使用される。例えば、誘電体基板34上の伝送路がマイクロストリップ線路である場合、誘電体フィルタ30の端子導体38i(図1参照)とマイクロストリップ線路を構成する導体ストリップ36との半田付けにより、この接続及び固定が実現される。
【0027】
また、本実施形態に係る誘電体フィルタ30は6段構成、即ち6個の誘電体共振器を縦続接続した構成を有している。本実施形態における誘電体共振器は、他の部材から完全に独立した単独の部材ではなく、空気に対して非常に誘電率が高い誘電体から形成された方形の誘電体ブロック38内に組み込まれた形で、いわば等価的に実現されている。本実施形態においては各段毎に1個の誘電体ブロック38が使用されており、従って合計で6個の誘電体ブロック38が使用されている。これら6個の誘電体ブロック38は、図1〜図4に示されるように、クリップ状筐体40により挟持されている。また、これら6個の誘電体ブロック38は、特に図3及び図4に明示されているように、互いに他の誘電体ブロック38と接するよう、縦列整列状態で、クリップ状筐体40により挟持されている。
【0028】
クリップ状筐体40は、リン青銅のプレス成型等により製造され、特に図3及び図7に示されるように、ほぼ「Π」の字の断面を有する長尺レール状の部材である。その一対の脚部(「Π」の字の縦棒にあたる部分)40aには、相対向する脚部40a間で誘電体ブロック38を挟持できるよう、屈曲によるバネ性が付与されている。脚部40aと各誘電体ブロック38、厳密にはその側面の導体層38a(図5及び図6参照)との間は、図3及び図4に示されるように半田付けにより接続及び固定される。導体層38aは銀メッキ等の手法により被着形成される。図中の42は半田である。また、クリップ状筐体40の頂部(「Π」の字の横棒にあたる部分)40bには、各誘電体ブロック38、特にその頂部の導体層非形成部位(又は形成後除去部位。以下同様)38bとの間に空気層40cが形成されるよう、合計6個の中空の凸状部分40dが設けられている。
【0029】
他方、誘電体ブロック38の表面には部位選択的に導体層が形成されている。まず、各誘電体ブロック38の頂部、即ちクリップ状筐体40の頂部40bに内側から接する面には、図5及び図6に示されるように、銀メッキ等の手法により導体層38cが形成されている。導体層38cは、導体層38aに連なる導体であり、前掲の導体層非形成部位38bを取り囲んでいる。導体層非形成部位38bは、メッキ剥離等の方法で形成された部位であり、この部位には導体は存在しない。また、前掲の如く、この部位38bの上には空気層40cがある。更に、各誘電体ブロック38の底部、即ち頂部の裏側に位置しクリップ状筐体40とは接していない面にも、同様の導体層38dが同様の導体層非形成部位38eを伴って同様の手法により形成されている。
【0030】
そのため、導体層38cと導体層非形成部位38bとの境界線と、導体層38dと導体層非形成部位38eとの境界線とを結ぶ曲面は、後述する電磁波伝搬上の不連続面となる。図示の例では、導体層非形成部位38b及び38eを円形としているため、この不連続面は円筒面である。従って、誘電体ブロック38内の誘電体共振器として動作する部分は円筒形であり、周波数調整のため図8では設けられている軸穴を除けば、本実施形態における誘電体共振器の形状は、図8に示した従来技術における誘電体ディスク16とほぼ同じ形状になる。これ以外の部分、即ち導体層38cと導体層38dとにより挟まれている部分は、誘電体共振器と仕切導体38f又は38gとの間に介在する介在空間として機能する。高誘電率の誘電体により満たされているため、図8に示した従来技術に比べこの介在空間が低容積となることに留意されたい。また、導体層非形成部位38eを取り囲む導体層38dをトリミングすることにより、事後的に、誘電体共振器の共振周波数を調整できる。
【0031】
各誘電体ブロック38の表面のうち、他の誘電体ブロック38と接する面及び図3(A)にて左右両端に露出している面には、図5及び図6に示されるように、それぞれ、仕切導体38f又は38gが銀メッキ等の手法により被着形成されている。仕切導体38fは、誘電体ブロック38同士、言い換えれば空胴間を仕切る導体層であり、導体層38a、38c、38d等に連なっている。仕切導体38fは、他の誘電体ブロック38との接触面全体を覆ってはいない。即ち、当該接触面上には、相隣接する空胴に属する誘電体共振器間の結合窓として機能する導体層非形成部位38hが、メッキ剥離等の方法により設けられている。この導体層非形成部位38hを囲む導体層をトリミングすることにより、誘電体フィルタの通過帯域幅の調整等を行える。また、この導体層非形成部位38hはスリット状であるため、導体層38fのトリミングによる通過帯域幅調整を容易に行うことができる。
【0032】
仕切導体38gは、図3(A)にて左右両端に露出している面に被着形成されている導体層であり、導体層38a、38c、38d等に連なっている。導体層38gは、端子導体38iが形成されている部位及び端子導体38iとの分離用の間隙38jを除いて、この面を覆っている。端子導体38iは、搭載先の誘電体基板34上の伝送路と接続するための導体層であり、導体層38gと同時に銀メッキ等の手法により形成される。端子導体38iは、接続先の伝送路が導体ストリップである場合は、図示の如く、基板実装時に誘電体基板34側にくる端縁又はその近傍に達するような位置に形成された矩形状の導体とし、その幅を導体ストリップの幅に応じて設定する。間隙38jは、メッキ剥離等の方法により形成する。
【0033】
このように、本実施形態においては、その表面に部位選択的に導体層が形成された誘電体ブロック38を互いに接するよう縦列整列させ、その状態でクリップ状筐体40により挟持し更にそのクリップ状筐体40と各誘電体ブロック38とを半田付け固定した構造を採用している。導体層の部位選択的形成、特に導体層38c及び38d並びに導体層非形成部位38b及び38eの形成と、凸状部分40dとにより、誘電体ブロック38のうち誘電体共振器として機能する誘電体部分とそうでない誘電体部分とを区画するようにしているため、部品点数を減らし、部品コストを減らし、また組立精度を緩和しつつ、空気より高誘電率の誘電体で介在空間を満たすことができ、従って従来に比べ小型の誘電体フィルタを得ることができる。具体的には、従来に比べ1/2程度の寸法にまで小型化された誘電体フィルタを、従来より省力かつ低価格で実現できる。また、従来技術における仕切壁12及び20に相当する導体、結合窓18に相当する開口、並びにプローブ22に対応する導体は、それぞれ、仕切導体38f及び38g、導体層非形成部位38h、並びに端子導体38iによって実現されている。即ち、導体層38a、38c及び38dと同時にメッキ等の工程で又はそれに続くメッキ剥離等の工程で実現することができるため、その点でも、部品点数が減り部品コストが減り組立精度が緩和される。更に、導体層非形成部位38e及び38h周辺の導体層38d及び38fのトリミングにより特性を調整できる。端子導体38iを用いて誘電体基板34上の導体ストリップに直付することができるため、図3(B)中で下側に顕れている面に誘電体フィルタ専用の基板を添設する必要がない。
【0034】
なお、誘電体基板34上の接続先伝送路がマイクロストリップ線路以外の伝送路である場合にも、本発明を適用できる。その場合に端子導体をどのように変形すればよいかに関しては、当業界における習熟した技術者ならば本願による開示から容易に読み取り理解することができるであろう。また、以上の説明ではクリップ状筐体40により6個の誘電体ブロック38を縦列整列挟持しているが、挟持以外の方法で即ち左右からの押圧以外の方法でこれらの誘電体ブロック38を保持するようにしてもよい。誘電体共振器の段数或いは誘電体ブロック38の個数は、6以外の数であってもよい。「縦列整列」は1列に限定されるものではなく、単一筐体にて複数列を保持し分波器等を構成することとしてもよい。更に、場合によっては、誘電体共振器の形状が円筒以外の形状となるよう、導体層被着形成部位を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘電体フィルタの外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る誘電体フィルタの使用形態の一例を示す図であり、特に(A)は搭載先の基板を上方から見た図、(B)は側方から見た図である。
【図3】本実施形態に係る誘電体フィルタの構成を示す図であり、特に(A)は上面図、(B)は側面図、(C)はA−A断面図、(D)は端面図である。
【図4】本実施形態に係る誘電体フィルタの構成、特に下面を示すB視図である。
【図5】本実施形態における誘電体ブロックのうち、最前段及び最後段を除く誘電体ブロックの構成を示す図であり、特に(A)は上面及び底面図、(B)は他の誘電体ブロックとの接触面を示す端面図である。
【図6】本実施形態における誘電体ブロックのうち、最前段及び最後段の誘電体ブロックの構成を示す図であり、特に(A)は他の誘電体ブロックとの接触面を示す端面図、(B)は上面図、(C)は外側端面図、(D)は底面図である。
【図7】本実施形態におけるクリップ状筐体の構成を示す図であり、特に(A)は上面図、(B)は側面図、(C)はA−A断面図、(D)は端面図である。
【図8】従来技術に係る誘電体フィルタの構成を示す図であり、特に(A)は一部省略して描いた斜視図、(B)はその誘電体ディスクを示す斜視図である。
【符号の説明】
30 誘電体フィルタ、34 誘電体基板、36 導体ストリップ、38 誘電体ブロック、38a,38c,38d 導体層、38b,38e,38h 導体層非形成部位、38f,38g 仕切導体、38i 端子導体、40 クリップ状筐体、40c 空気層、40d 凸状部分、42 半田。

Claims (11)

  1. 伝送方向に沿って自由空間を複数個の空胴に仕切る仕切導体と、各空胴内に配置され、それぞれ所定の周波数で共振する複数個の誘電体共振器とを備え、空胴同士の境に位置する仕切導体には、それらの空胴内に配置されている誘電体共振器同士が所期の結合を呈するよう結合窓が設けられており、最前段及び最後段の空胴と外部との境に位置する仕切導体には、その空胴内に位置する誘電体共振器と電磁的に結合する端子導体が設けられており、各誘電体共振器の共振、並びに結合窓を介した誘電体共振器間の電磁的結合により、端子導体間で所期の濾波特性を呈する誘電体フィルタにおいて
    在空間と誘電体共振器とを区画する共振器部画定部材を備え、
    上記複数個の空胴それぞれにて、上記介在空間を満たす誘電体と上記介在空間に接する誘電体共振器とが方形の誘電体ブロックとして一体に形成されており、
    各誘電体ブロックの仕切導体交差面に、その誘電体ブロックのうち誘電体共振器として動作する部分がその導体層非形成又は形成後除去部位によって画定されるよう、かつ仕切導体たる導体層と導通するよう、上記介在空間に属する部分を画定する部分を含む導体層が前記共振器画定部材として被着形成されており、
    上記空胴内の自由空間のうち誘電体共振器と仕切導体又はその結合窓若しくは端子導体とにより挟まれている介在空間が、空気よりも誘電率が高い誘電体により満たされていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  2. 請求項1記載の誘電体フィルタにおいて、
    複数個の誘電体ブロックを縦列整列状態に保つための整列状態保持部材を備え、
    各誘電体ブロックの表面には、伝送路の一部並びに仕切導体、結合窓、端子導体及び共振器部画定部材が構成されるよう、導体層が部位選択的に被着形成されていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  3. 請求項2記載の誘電体フィルタにおいて、
    誘電体ブロック同士の接触面には、誘電体共振器間の結合窓として機能する導体層非形成又は形成後除去部位を除き、空胴間の仕切導体として機能する導体層が被着形成されていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  4. 請求項3記載の誘電体フィルタを製造する方法において、
    誘電体ブロック同士の接触面における導体層非形成又は形成後除去部位がスリット状の部位であり、このスリット状の部位を挟む導体層をトリミングすることにより誘電体共振器間の結合度或いは誘電体フィルタの通過帯域幅を調整することを特徴とする方法。
  5. 請求項2又は3記載の誘電体フィルタにおいて、
    最前段及び最後段の誘電体ブロックの表面のうち誘電体ブロック同士の接触面と対向する面には、空胴と外部との仕切導体として機能する部分及び端子導体として機能する部分を含む導体層が被着形成されており、これらの部分は導体層非形成又は形成後除去部位により相互に分離されていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  6. 請求項5記載の誘電体フィルタにおいて、
    端子導体として機能する部分が、伝送路の一部として誘電体フィルタの搭載先基板に形成されている導体ストリップに半田付けできるよう、当該導体層の形成面の端部に亘り形成されていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  7. 請求項3、5又は6記載の誘電体フィルタにおいて、
    整列状態保持部材が、この導体層非形成又は形成後除去部位近傍に空気層が配されるよう、当該導体層非形成又は形成後除去部位に対応して形成された導体の中空凸状部分を有し、
    共振器部画定部材が、各誘電体ブロックの仕切導体交差面における導体層非形成又は形成後除去部位及び上記中空凸状部分を以て、実現されたことを特徴とする誘電体フィルタ。
  8. 請求項7記載の誘電体フィルタを製造する方法において、
    各誘電体ブロックの仕切導体交差面における導体層非形成又は形成後除去部位を取り巻く導体層をトリミングすることにより、誘電体共振器の共振周波数を調整することを特徴とする方法。
  9. 請求項3、5乃至7のいずれか記載の誘電体フィルタにおいて、
    整列状態保持部材が、上記複数個の誘電体ブロックを縦列整列状態にて挟持するクリップ状筐体であり、かつこのクリップ状筐体は、誘電体フィルタの上記介在空間の上部を被うように、導体にて形成されていることを特徴とする誘電体フィルタ。
  10. 請求項9記載の誘電体フィルタにおいて、
    各誘電体ブロックの仕切導体交差面に形成された導体層が、上記等価的な方形導波管の管壁の一部として機能すると同時にクリップ状筐体と導通接続及び固定される導体部分を含むことを特徴とする誘電体フィルタ。
  11. 請求項10記載の誘電体フィルタを製造する方法において、
    上記導通接続及び固定が、半田付けにより行われていることを特徴とする方法。
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