JPH05191103A - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型化が容易で、性能低下を伴うことがな
く、安価に製作できる誘電体フィルタを提供する。 【構成】 複数の誘電体基板１１，１２のそれぞれの一
面に所定形状の導電層により４分の１波長のストリップ
ライン１４を形成して複数の単位共振子を構成する。ス
トリップライン１４の途中から単位共振子の入出力端子
１５を導出し、隣接する単位共振子どうしで互いに対向
するように開放端に結合電極１６を形成することによ
り、対応する２つの単位共振子を容量結合させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車電話など
の移動無線装置の送受信回路において帯域フィルタとし
て用いられる積層型誘電体フィルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動車電話やマルチ・チャンネル
・アクセス無線等の移動無線通信、さらにはマイクロ波
多重無線通信等においては送受信回路に帯域フィルタが
用いられている。この種の帯域フィルタとして、誘電体
ブロックに共振穴を形成した、いわゆるオープン面を除
く全外周面に導電層を施すことにより単位共振器を構成
し、それらを結合インピーダンスを介して接続すること
により誘電体フィルタとしたものが知られている。

【０００３】図４は従来のこの種の誘電体フィルタを示
すものである。この誘電体フィルタにおいては、高さλ
ｇ／４（λｇは波長）の複数個（図では２個）の角柱状
の誘電体ブロック２２Ａ，２２Ｂに貫通穴（共振穴）２
３を形成し、共振穴２３内、および、開放面２４となる
一面を除く他の全外周面（４側面、および底面すなわち
短絡面）に導電層を施すことにより単位共振子を構成
し、それらの開放面２４側で共振穴２３内導電層から入
出力端子を導出し、隣接する入出力端子どうしを結合イ
ンピーダンス素子、例えばコンデンサ２５を介して相互
に接続し、さらに誘電体フィルタとして入出力端となる
最初段および最終段の入出力端子から入出力インピーダ
ンス、例えばコンデンサ２６を介して外部端子を導出す
ることにより多段型の誘電体フィルタを構成している。

【０００４】図４の誘電体フィルタは機能的には、それ
なりに満足できる特性のものを得ることができるとして
も、特に段数が多くなるとフィルタ全体として大型にな
ってしまい、実装上の大きな障害となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上のように構造的に
全く別部品として作られた複数の単位共振子を個別に配
置し、それらの間を電気的に接続することにより所望の
フィルタ特性を有する誘電体フィルタを構成していたの
では、それを組込む装置、例えば前述の送受信回路の小
型化に対応することが困難である。このようなフィルタ
の小型化にあたっては、もちろん、特性低下や大きなコ
ストアップを伴ってはならない。

【０００６】従って本発明は小型化が容易で、特性低下
を伴うことがなく、安価に製作できる誘電体フィルタを
提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の積層型誘電体フィルタは、複数の誘電体基板
のそれぞれの一面に所定形状の導電層により４分の１波
長のストリップラインを形成し、そのストリップライン
の一端を開放端とし他端を短絡端とする複数の単位共振
子を構成し、ストリップラインの途中から単位共振子の
入出力端を導出し、隣接する単位共振子どうしで互いに
対向するように開放端に結合電極を形成することにより
隣接する単位共振子が容量結合していることを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】誘電体基板の一面に所定形状の導電層により４
分の１波長のストリップラインを形成して単位共振子を
構成する。ストリップラインの途中から単位共振子の入
出力端を導出し、隣接する単位共振子どうしで互いに対
向するように開放端に結合電極を形成することにより対
応する２つの単位共振子を容量結合させる。こうするこ
とにより、小型化が容易で、特性低下を伴うことがな
く、安価に製作できる誘電体フィルタを得ることができ
る。

【０００９】

【実施例】図１は本発明による誘電体フィルタの一実施
例を示すものである。この誘電体フィルタは３枚の誘電
体基板１１，１２，１３からなっている。第１の誘電体
基板１１および第２の誘電体基板１２の表面には鏡像関
係にあるＳ字形パターンおよび逆Ｓ字形パターンのスト
リップ導電層によりそれぞれ４分の１波長のストリップ
ライン１４が形成されている。ストリップライン１４の
一端にはそれぞれ単位共振子の開放端として機能するや
や広い４角形状の結合電極１６が形成されている。な
お、図において、導電層部分は無地で示され、導電層の
ない部分（誘電体剥き出し部分）は梨地で示されてい
る。ストリップライン１４の他端はそれぞれ短絡端（ア
ース）として機能する。第１の誘電体基板１１の裏面に
は全面に導電層が施されている。それに対し第２の誘電
体基板１２の裏面には導電層が施されていない。第３の
誘電体基板１３の裏面には導電層が施されていないが、
表面および各側面にはすべて導電層が施されている。誘
電体基板１１，１２の各側面には、入出力端子部分を除
いて導電層が施されている。即ち、第１および第２の誘
電体基板１１，１２の表面上に形成されたストリップラ
イン１４の途中から誘電体基板の側縁に向かって入出力
端子１５が導出されている。入出力端子１５を導出する
位置は、ストリップライン１４の途中の任意の位置でよ
い。入出力端子１５が導出される部分において基板側面
上の導電層が剥離され、入出力端子１５の電気的絶縁を
図っている。同様の理由で第３の誘電体基板１３の側面
にも導電層を剥がした剥き出し部１９が設けられてい
る。ストリップライン１４の長さは開放端の広い結合電
極１６を加味し所定の周波数で共振するような値（ほぼ
４分の１波長＝λｇ／４）に設定すればよい。

【００１０】このようにストリップライン１４および結
合電極１６を形成した複数枚（この実施例では２枚）の
誘電体基板１１，１２を積層し、最上段の誘電体基板１
２の上に第３の誘電体基板１３を重ねる。誘電体基板相
互間の機械的接合は貼り合わせ、あるいは低温同時焼結
などの方法で行うことができる。図１の例では第１およ
び第２の誘電体基板１１，１２にはそれぞれ入力信号に
対し４分の１波長となる周波数で共振する単位共振子が
構成され、しかも隣接する単位共振子は、ストリップラ
イン１４の開放端において誘電体基板１２の誘電体を介
して互いに対向する結合電極１６相互間に形成される静
電容量により結合され、ここに２段型の誘電体フィルタ
を得ることができる。

【００１１】図２は本発明の第２の実施例を示すもので
ある。第１，第２，第３の誘電体基板１１．１２，１３
は、図１のものとなんら変わりが無い。この実施例の特
徴は第１の誘電体基板１１と第２の誘電体基板１２との
間に第４の誘電体基板１７が介挿されていることにあ
る。この実施例は、図１の実施例において第１の誘電体
基板１１および第２の誘電体基板１２の互いに対向する
ストリップライン１４相互間で意に反して電磁的結合を
生じてしまいそうな場合、第４の誘電体基板１７をアー
ス基板として介挿することによりそのような不都合を回
避ないし軽減しうるようにしたものである。誘電体基板
１７は第１の誘電体基板１１および第２の誘電体基板１
２に形成された結合電極１６に対向する部分のみを表面
および裏面とも導電層なしの剥き出し部１８としたほか
は、他のすべての面に導電層を施している。このアース
基板を介挿することにより、第１の誘電体基板１１およ
び第２の誘電体基板１２のストリップライン１４相互間
に生ずる電磁的結合を回避ないし軽減することができ
る。

【００１２】ストリップラインは図１ないし図２に示し
たＳ字状ないし逆Ｓ字状、即ち方向転換部が２箇所であ
るものに限られることはない。即ち、方向転換部は１箇
所でもよいし、図３に示すように、平面上で隣り合う導
電層間での結合を無視しうる程度の間隔（概ねパターン
幅の３倍程度）を維持しさえすれば、方向転換部が３箇
所であるものや、それ以上のものなど、自由に選ぶこと
ができる。ストリップラインの形状としては、うず巻き
状とし、その外周部から入出力端子を導出し、内端部に
結合電極を形成することも考えられる。

【００１３】いずれの実施例においても、共振周波数の
調整は開放端に近いアース導体を削り取ることによって
可能であり、単位共振子間の結合度調整は対向する結合
電極１６相互間の誘電体を削り取ることによって可能で
ある。

【００１４】上記実施例においては、一対の入出力端子
を誘電体基板の互いに反対側に位置するように配置する
構造のものを示したが、本発明は一対の入出力端子を上
下に重ならない限り同一側に配置することも可能であ
り、また９０°ずれている互いに隣接する側縁部に導出
することもできる。

【００１５】

【発明の効果】以上述べた本発明によれば、小型でシー
ルドタイプのＳＭＤ型誘電体フィルタを構成することが
でき、材料特性の向上および導電層を形成するパターニ
ング精度の向上による無調整化により、特性低下を伴う
ことなく工数を削減し、安価な誘電体フィルタを実現す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による積層型誘電体フィルタの一実施例
を示す分解斜視図。

【図２】本発明による積層型誘電体フィルタの第２の実
施例を示す分解斜視図。

【図３】本発明によるフィルタにおけるストリップライ
ンの異なる形状の例を示す斜視図。

【図４】従来の一般的な２段型誘電体フィルタの例を示
す斜視図。

【符号の説明】

１１，１２ 誘電体基板 １３ 誘電体基板（アース基板） １４ ストリップライン １５ 入出力端子 １６ 結合電極 １７ 誘電体基板（アース基板） １８，１９ 剥き出し部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の誘電体基板のそれぞれの一面に所定
   形状の導電層により４分の１波長のストリップラインを
   形成し、そのストリップラインの一端を開放端とし他端
   を短絡端とする複数の単位共振子を構成し、前記ストリ
   ップラインの途中から単位共振子の入出力端を導出し、
   隣接する単位共振子どうしで互いに対向するように前記
   開放端に結合電極を形成することにより隣接する単位共
   振子が容量結合していることを特徴とする積層型誘電体
   フィルタ。
2. 【請求項２】容量結合している２つの単位共振子の間
   に、誘電体基板の一面に前記結合電極が対向する部分を
   除いてアース導電層を形成した別体のアース基板を介在
   していることを特徴とする、請求項１に記載の積層型誘
   電体フィルタ。