JP6717023B2 - 熱伝導性材料 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性材料に関し、より詳しくは、ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導性材料に関する。
近年、携帯電話やパソコンの小型化が進み、種々の課題が指摘されているが、その内の一つに放熱問題がある。この問題は、樹脂で作られた筐体やヒートシンク等の熱伝導性が金属やセラミックなどに比べ一般的に非常に低いことに起因する。
この課題を解決する一つの手法として、充填剤組成物の高熱伝導化が挙げられ、この手法では充填材組成物を構成する樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化させることで、充填材組成物を高熱伝導化して、熱伝導性材料としている。
そのような熱伝導性材料として、例えば、特許文献1には、ニトリルブタジエンゴム(NBR)とエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の2種類の高分子相が分散して海−島の相分離構造をとり、海となる高分子相に熱伝導性充填材を偏在させた熱伝導材料が、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル系樹脂を除く熱可塑性樹脂と、熱可塑性ポリエステル系樹脂と、高熱伝導性無機化合物とを含有する高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3には、少なくとも3種類の樹脂と熱伝導性物質とを含有し、該樹脂のうちの1種類が他の樹脂の相溶化剤であり、それぞれの樹脂が相分離構造を構成し、熱伝導性物質が相溶化剤としての樹脂に選択的に存在する熱伝導性材料が、特許文献4には、2種類の樹脂と窒化ホウ素とを含有し、該2種類の樹脂が相分離構造を構成する熱伝導性材料が記載されている。
特開2005−255867号公報 国際公開第2007/066711号 特開2013−194148号公報 特開2013−194223号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の組成物は、多量の熱伝導材を必要とするが熱伝導性が不十分あり、また樹脂組成物の耐熱性や弾性率等の機械物性が十分でないといった問題点があった。
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑みてなされたもので、その目的は熱伝導性フィラーの含有量をできるだけ低下させながらも、特に高い熱伝導性を有する熱伝導性材料を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含む熱伝導性材料は、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はこの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明の要旨は、次の[1]〜[7]のとおりである。
[1]ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有することを特徴とする熱伝導性材料。
[2]熱伝導性フィラーが窒化ホウ素である、[1]に記載の熱伝導性材料。
[3]ポリカーボネート系樹脂の含有量が、熱伝導性材料の全量に対して、10重量%以上85重量%以下である、[1]又は[2]に記載の熱伝導性材料。
[4]ポリプロピレン系樹脂の含有量が、熱伝導性材料の全量に対して、5重量%以上80重量%以下である、[1]〜[3]の何れかに記載の熱伝導性材料。
[5]熱伝導性フィラーの含有量が、熱伝導性材料全量に対して、10重量%以上70重量%以下である、[1]〜[4]の何れかに記載の熱伝導性材料。
[6]熱伝導性フィラーの平均粒径が1μm以上50μm以下である、[1]〜[5]の何れかに記載の熱伝導性材料。
[7]ポリカーボネート系樹脂が、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含む、[1]〜[6]の何れかに記載の熱伝導性材料。
Figure 0006717023
本発明の熱伝導性材料は、耐熱性や弾性率等の機械物性に優れると共に、特に高い熱伝導性を有するものである。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明の熱伝導性材料は、ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有することに特徴をもつものである。
本発明の熱伝導性材料が、ポリプロピレン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂に熱伝導性フィラーを含む熱伝導性材料に比べて、特に高い熱伝導性を有する理由の詳細は明らかではないが、海を構成している相に熱伝導性フィラーが偏在していることで、均一に熱伝導性フィラーが分散された樹脂よりも高い熱伝導性を有することとなったと考えられる。
<ポリカーボネート系樹脂>
本発明で用いるポリカーボネート系樹脂の種類に特に制限はない。また、ポリカーボネート系樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート系樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子を有していてもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐候性及びポリプロピレン樹脂との相溶性の観点から脂肪族ポリカーボネート樹脂が好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物が含まれる脂肪族ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
また、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点からは、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート系樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物や脂肪族ジヒドロキシ化合物等のジヒドロキシ化合物、環状エーテル類等と、カーボネート前駆体とを反応させて得られるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法を用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、等のジヒドロキシベンゼン類;4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のビスフェノール類。
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類。
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類。
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類。
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となる脂肪族ジヒドロキシ化合物や環状エーテル類としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。尚、本発明において脂肪族ジヒドロキシ化合物とは、飽和炭化水素基を有するジヒドロキシ化合物であり、環状炭化水素の一部がヘテロ原子に置換された環状エーテル類は含まない。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコールスピログリコール等のアルカンジオール類; シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類が挙げられる。
環状エーテル類として、1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン;イソソルビド、イソマンニド、イソイデット(下記一般式(1)で表される化合物の立体異性体)が挙げられる。
Figure 0006717023
なお、脂肪族ジヒドロキシ化合物や環状エーテル類は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、芳香族ジヒドロキシ化合物と併用してもよい。
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂は、構造の一部に上記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」ということがある。)由来の構造単位を少なくとも含むことが機械物性向上の点から好ましい。
ポリカーボネート系樹脂を構成する全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合は、通常20mol%以上、好ましくは30mol%以上、より好ましくは40mol%以上であり、通常90mol%以下、好ましくは85mol%以下、より好ましくは80mol%以下である。
ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が多過ぎると、本発明の熱伝導性材料を成形して得られる成形体の耐候性が悪化する傾向にある。ただし、耐光安定剤を含有させることによりこの割れを防止することも可能である。一方、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が少な過ぎると、得られる成形品の耐熱性が低下する場合がある。
ポリカーボネート系樹脂の原料となるカーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート類等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、上記原料を適宜用いて、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等の任意の方法を採用すればよい。
本発明において、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、通常5g/10分以上、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分、更に好ましくは50g/10分であり、また、通常200g/10分以下、好ましくは150g/10分以下、より好ましくは130g/10分以下であり、更に好ましくは120g/10分以下である。メルトフローレート(MFR)が上記範囲内であると、射出成形性が良好となる。なお、メルトフローレート(MFR)は、ISO 1133に準拠して測定した値である。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に限定されないが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは17,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは24,000以下である。粘度平均分子量を下限値以上とすることにより、本発明の熱伝導性材料の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を上限値以下とすることにより本発明の熱伝導性材料の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行うこともできる。
粘度平均分子量は、異なる2種類以上のポリカーボネート系樹脂を混合して調整することもできる。この場合、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート系樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量(Mv)とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0006717023
ポリカーボネート系樹脂の末端水酸基濃度は特に限定されないが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これによりポリカーボネート系樹脂の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、ポリカーボネート系樹脂の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート系樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88,215(1965))である。
また、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートオリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。これにより、熱伝導性材料の成形体の外観の向上や流動性の向上を図ることができる。
これらポリカーボネート系樹脂は市販品として入手することができる。芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロン(登録商標)シリーズ、ノバレックス(登録商標)シリーズ、ザンター(登録商標)シリーズ等、帝人株式会社製のパンライト(登録商法)シリーズ等が挙げられる。また、構造の一部に前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネートとしては、三菱化学株式会社製のデュラビオ(登録商標)シリーズが挙げられる。これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<ポリプロピレン系樹脂>
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の種類に特に制限はないが、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(ブロック共重合体及びランダム共重合体を含む)及びプロピレン・α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体及びランダム共重合体を含む)からなる群から選ばれる1種以上の結晶性ポリプロピレン、又は該結晶性ポリプロピレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体との混合物が好ましい。
前記共重合体としては、耐衝撃性プロピレン系ブロック共重合体、例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は、2種以上併用してもよい。特に高い耐衝撃性が求められる場合には、プロピレン系ブロック共重合体を用いるのが好ましく、特に高い剛性が求められる場合には、プロピレン単独重合体を用いるのが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂がプロピレン・エチレン共重合体(ブロック共重合体及びランダム共重合体を含む)及びプロピレン・α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体及びランダム共重合体を含む)からなる群から選ばれる1種以上の共重合体である場合、共重合成分としては、エチレン;炭素数4〜20のα−オレフィン、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1及びオクテン−1等が挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂がプロピレン及びビニル化合物との共重合体である場合、ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン及びビニルシクロヘキ
サン等が挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂がプロピレン及びビニルエステルとの共重合体である場合、ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル等が挙げられる。また、プロピレンと不飽和有機酸又はその誘導体との共重合体である場合は、不飽和有機酸又はその誘導体としては、例えば、無水マレイン酸等が挙げられる。プロピレンと共重合される上記α−オレフィンやビニル化合物等は、1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。このうちエチレン及びブテン−1が好ましい。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、チーグラー系触媒及びメタロセン系触媒などの高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合又は液相塊状重合によりポリプロピレン系樹脂を製造することができる。また、重合方法としては、従来公知の方法を用いることができ、バッチ重合又は連続重合のどちらの方式も、採用することができる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、通常0.5g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であり、また、通常100g/10分以下、好ましくは80g/10分以下、より好ましくは60g/10分であり、更に好ましくは40g/10分以下である。メルトフローレート(MFR)が上記範囲内であると、射出成形性が良好となる。なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(に準拠して測定した値である。
これらポリプロピレン系樹脂は、市販品として入手することができる。具体的には、例えば、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)PPシリーズ、ウィンテック(登録商標)シリーズ、プライムポリマー株式会社製のプライムポリプロ(登録商標)等が挙げられる。これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<熱伝導性フィラー>
本発明において、熱伝導性フィラーは特に限定されないが、熱伝導率が高い無機材料が好ましい。具体的には、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、樹脂組成物との相溶性の観点から窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素が好ましく、窒化ホウ素がより好ましい。
また、熱伝導性フィラーが導電性の場合、絶縁性を必要とする用途(例えば電子部品に接触する部材や筐体)への使用が困難になる傾向があるため、熱伝導性フィラーの電気抵抗率は1013Ω・m以上が好ましく、1014Ω・m以上がより好ましい。
これら熱伝導性フィラーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
熱伝導性フィラーの平均粒径は特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
本発明において、熱伝導性フィラーは如何なる形状であってもよいが、粒子形状のもの(すなわち熱伝導性粒子)が好ましく、鱗片状の粒子が特に好ましい。
上記のような平均粒径を有する熱伝導性フィラー、好ましくは窒化ホウ素を用いることで、良好な熱伝導性及び良好な流動性を得ることができる。
熱伝導性フィラーは、市販品を用いることもできるし、公知の方法にしたがって製造したものを用いることもできる。なお、熱伝導性フィラー、例えば窒化ホウ素を公知の方法
に従って製造した場合には、合成直後では、粉末が凝集して、上記粒径範囲を満たさない場合がある。そのため、窒化ホウ素を、上記粒径範囲を満たすように粉砕して用いることが好ましい。
熱伝導性フィラー、例えば窒化ホウ素の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
また、熱伝導性フィラー、例えば窒化ホウ素は、熱伝導性材料中での分散性を高めるため、適宜表面処理を行ってもよい。
なお、熱伝導性フィラー、例えば窒化ホウ素の平均粒径は、例えば、これを適当な溶剤に分散させ、堀場製作所レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920にて測定することが可能である。得られた粒度分布から窒化ホウ素の平均粒径を求めることができる。ここで言う平均粒径は、体積基準の平均粒径である。熱伝導性材料中の窒化ホウ素の平均粒径についても同様に、これを適当な溶剤に分散させ(樹脂成分を溶剤で溶解)、上記と同様の装置で測定することが可能である。
<熱伝導性材料>
本発明の熱伝導性材料は、上記のポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含む樹脂組成物である。本発明の熱伝導性材料は、さらに必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
本発明に熱伝導性材料において、ポリカーボネート系樹脂の含有量は、熱伝導性材料の全量に対して、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、また、通常85重量%以下、好ましく50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。ポリカーボネート系樹脂の含有量が上記範囲であると、熱伝導性に優れた熱伝導性材料を製造できるとともに、得られる熱伝導性材料の耐熱性及び機械物性が向上する観点から好ましい。また、ポリカーボネート系樹脂の含有量が少なすぎると耐熱性の低下に繋がる傾向があり、多すぎると窒化ホウ素同士の接触が少なくなり、熱伝導性の低下に繋がる傾向がある。
また、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、前記熱伝導性材料の全量に対して、熱伝導性材料の全量に対して、通常5重量%以上、好ましく10重量%以上、より好ましくは12重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましく50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。ポリプロピレン系樹脂の含有量が上記範囲であると、熱伝導性に優れた熱伝導性材料を製造できるとともに、得られる熱伝導性材料の耐熱性及び機械物性が向上する観点から好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の含有量が少なすぎると窒化ホウ素同士の接触が少なくなり、熱伝導性の低下に繋がる傾向があり、多すぎると耐熱性の低下に繋がる傾向がある。
ポリカーボネート系樹脂とポリプロピレン系樹脂の含有割合は特に限定されないが、これら2種類の樹脂が、分散して海−島の相分離構造をとり得る割合が好ましく、ポリカーボネート系樹脂が海となる構造をとり得る割合がより好ましい。具体的には、ポリカーボネート系樹脂の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは80重量部以上、特に好ましくは100重量部以上であり、また、好ましくは500重量部以下、より好ましくは400重量部以下、特に好ましくは300重量部以下である。樹脂の含有割合を上記範囲とすることにより、好ましい相構造が得られるとともに、成形性が良好となる。
さらに、熱伝導性フィラーの含有量は、熱伝導性材料全量に対して、好ましくは10重
量%以上、より好ましく30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上であり、また、好ましくは70重量%以下、より好ましく65重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。熱伝導性フィラーの含有量をこの範囲とすることにより、高い熱伝導性と良好な成形性を備えた熱伝導性材料を得ることができる。
本発明において、熱伝導性材料の相構造は特に限定されないが、海−島の相分離構造、2種類の樹脂が連続した相構造(共連続構造)、2種類の樹脂が連続した相構造(共連続構造)と海−島の相分離構造の双方を有するものが挙げられ、中でも、熱伝導材料中の熱伝導性フィラーが局在化しやすく、熱伝導率が向上する観点から海−島の相分離構造を有するものが好ましい。
なお、熱伝導性材料の相構造は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の熱伝導性材料の相構造が海−島の相分離構造である場合、海を構成する相の含有量を重量基準で1とした時の島を構成する層の含有量は通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2以下であり、一方下限は通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。
海‐島構造を構成する層の比率が上記範囲である場合、熱伝導性フィラーが海を構成する層に偏在し、より高い熱伝導性を有する熱伝導性材料が得られる傾向にある。
本発明の熱伝導性材料の熱伝導率は、好ましくは1.3W/m・K以上、より好ましくは1.5W/m・K以上、特に好ましくは1.8W/m・K以上である。上限は特に限定されず熱伝導性フィラー単体での熱伝導率以下である。
なお、熱伝導率は、熱伝導性材料の熱拡散率、比重を、比熱を、それぞれ測定し、ここの3つの測定値を乗じたものであり、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記した特性をもつ本発明の熱伝導性材料は、上記のポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、熱伝導性フィラーを含み、必要に応じてその他成分を含む材料を、撹拌や混練によって同時に均一に混合することによって製造することができる。具体的には、例えば、ミキサー、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置を用いて、必要に応じて加熱して前記の材料を混練すればよい。
この際のシリンダーの温度としては、通常180℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上であり、一方上限は通常300℃以下、好ましくは280℃以下である。
また、混練装置の回転数は、通常10rpm以上、好ましくは50rpm以上、より好ましくは100rpm以上であり、一方上限は通常400rpm以下、好ましくは300rpm以下である。
本発明の熱伝導性材料において、必要に応じて含有させることができるその他成分としては、例えば、液晶性エポキシ樹脂等の前記の樹脂に機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の絶縁性炭素成分、相溶化剤、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散安定剤、及び溶剤が挙げられる。
また、上記の窒化物粒子や絶縁性金属酸化物として例示されているものに加えて、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機フィラー、無機フィラーとマトリックス樹脂の界面接着強度を改善するシランカップリング剤等の表面処理剤、還元剤等が挙げられ
る。
樹脂硬化剤は、用いられる樹脂の種類に応じて適宜に選ばれる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン及びジシアンジアミドが挙げられる。
樹脂硬化促進剤は、用いられる樹脂や樹脂硬化剤の種類に応じて適宜に選ばれる。例えば前記酸無水系硬化剤用の樹脂硬化促進剤としては、例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。
溶剤は、熱伝導性材料の粘度を下げる観点から用いることができる。溶剤には、公知の溶剤の中から樹脂を溶解する溶剤が用いられる。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、フェノール、及びヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
これらその他成分の含有量に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲の含有量であればよい。
本発明の熱伝導性材料は、さらに成形し、成形体として用いることができる。成形は、熱伝導性材料の成形に一般的に用いられる方法を利用して、熱伝導性材料の状態や樹脂の種類に応じて適宜に行うことができる。
例えば、可塑性や流動性を有する熱伝導性材料の成形は、熱伝導性材料を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で、硬化させることによって行うことができる。このような成形体の製造では、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、及び圧縮成形を利用することができる。成形は、樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。また、成形体は、熱伝導性材料の硬化物を所望の形状に削り出すことによっても得ることができる。
また、本発明の熱伝導性材料を射出成型で成形する場合、射出成形時の金型温度は、通常180℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上である、一方上限は通常300℃以下、好ましくは280℃以下である。射出成形時の金型温度を上記範囲とすることが、成形体における、樹脂の相分離構造を本発明の所定の状態に保つ観点から好ましい。
<熱伝導性材料の用途>
本発明の熱伝導性材料の用途は特に制限されないが、例えば、放熱フィンや放熱板等のヒートシンクと半導体パッケージおよび配線基板の間に取り付ける柔軟性をもった熱可塑性樹脂との複合熱伝導性シート、高い耐熱性が要求される環境下での使用に供されるポリイミド等の樹脂との複合熱伝導材、または、HEVおよび電気自動車用モーター部品用熱可塑性樹脂との複合材、半導体封止材、アンダーフィル等の層間充填組成物、三次元集積回路の層間充填組成物等が挙げられる。
本発明の熱伝導性材料を用いることで、その成形加工性が改善できるだけでなく、高い熱伝導性も維持できる。更に、本発明の熱伝導性材料は耐熱性が高く、長期間高温条件下
で用いても熱変形が少ない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の条件や組成比、評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原料及び評価方法>
(1)原料
(1−1)ポリカーボネート系樹脂
・ポリカーボネート系樹脂A(PC):三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製 「ユーピロン HL−7001」(MFR(ISO 1133準拠、300℃、荷重1.20kgf)=113g/10min)
・ポリカーボネート系樹脂B(PC):三菱化学株式会社製 「デュラビオ D7340」(MFR(ISO 1133準拠、230℃、荷重2.16kgf)=11g/10min)
(1−2)ポリプロピレン系樹脂
・ポリプロピレン系樹脂(PP):日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP MA1B」(MFR(JIS K7210準拠、230℃、荷重2.16kgf)=21g/10分)
(1−3)熱伝導性粒子
・窒化ホウ素A(BN):MOMENTIVE社製「PT120」
(平均粒径 8〜14μm)
・窒化ホウ素B(BN):デンカ株式会社製「GP」(平均粒径7〜10μm)
(2)各種評価方法
(2−1)熱伝導性材料の熱伝導率の測定
以下の装置にて、熱拡散率、比重、比熱をそれぞれ測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求めた。
・熱拡散率の評価
真空溶融プレス機(井本製作所株式会社製)を使用し、プレス温度220℃、プレス圧力8MPaの条件下で厚さ500μm、直径25mmの円盤状サンプルを作製した。作製した円盤状サンプルを用いて、ai−Phase Mobile(アイフェイズ株式会社製)により25℃での熱拡散率を測定した。
・比重の評価
比重測定キット(型式:AD−1653、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、25℃エタノール中における熱伝導性材料の比重を測定した。
・比熱の評価
温度変調示差走査熱量分析(型式:Q−200、TA Instrument社製)を用い、温度レンジ10〜50℃、変調±1℃、3℃/分の昇温条件下で測定し、得られた結果より熱伝導性材料の25℃での比熱を読み取った。
(2−2)熱伝導性材料の相構造及びBNの分散性評価
・走査型電子顕微鏡による(SEM)による熱伝導性材料の断面の観察
混練した材料を液体窒素で冷却、破断した後、ジクロロメタンでポリカーボネート系樹脂をエッチングし、観察面を白金蒸着して断面観察用サンプルを作製した。断面観察は、走査型電子顕微鏡(型式:TM−1000、日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を用いて行い、相構造を評価した。
・透過型電子顕微鏡(TEM)による熱伝導性材料の内部構造の観察
熱伝導性材料の内部構造の観察は、透過型電子顕微鏡(型式:JEM−1230 TE
M、日本電子株式会社製)を用いて行い、窒化ホウ素の分散性(BN分散)を評価した。
<実施例1>
ポリカーボネート系樹脂A30重量部、ポリプロピレン系樹脂20重量部、窒化ホウ素A50重量部となるように配合し、二軸混練機(型式:ラボプラストミルμ4C15、東洋精機製作所株式会社製)にて樹脂組成物(熱伝導性材料)を製造した。混練条件はシリンダー設定温度220℃、回転数60rpm、混練時間は200秒の条件とした。得られた樹脂組成物(熱伝導性材料)の熱伝導性、相構造、窒化ホウ素がどちらの樹脂相に多く含まれているかを評価した。その結果を表1に示す。
<実施例2、比較例1〜2>
原料の配合比を表1に記載の比率とした以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物(熱伝導性材料)を製造した。各種評価結果を表1に示す。
<実施例3、比較例3>
原料の配合比を表1に記載の比率とし、混練時間を180秒とした以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物(熱伝導性材料)を製造した。各種評価結果を表1に示す。
<実施例4、比較例4>
原料の配合比を表1に記載の比率とし、シリンダー設定温度を240℃、混練時間を180秒とした以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物(熱伝導性材料)を製造した。各種評価結果を表1に示す。
Figure 0006717023
実施例、比較例より、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、窒化ホウ素からなる樹脂組成物(熱伝導性材料)の熱伝導率は、樹脂単体に窒化ホウ素を添加した場合に比べて大きく向上していることが分かる。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有し、
    該ポリカーボネート系樹脂が、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構
    造単位を少なくとも含むことを特徴とする熱伝導性材料。
    Figure 0006717023
  2. 熱伝導性フィラーが窒化ホウ素である、請求項1に記載の熱伝導性材料。
  3. ポリカーボネート系樹脂の含有量が、熱伝導性材料の全量に対して、10重量%以上8
    5重量%以下である、請求項1又は2に記載の熱伝導性材料。
  4. ポリプロピレン系樹脂の含有量が、熱伝導性材料の全量に対して、5重量%以上80重
    量%以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱伝導性材料。
  5. 熱伝導性フィラーの含有量が、熱伝導性材料全量に対して、10重量%以上70重量%
    以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱伝導性材料。
  6. 熱伝導性フィラーの平均粒径が1μm以上50μm以下である、請求項1〜5の何れか
    1項に記載の熱伝導性材料。
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