まず、トラクタ1について簡単に説明する。
図1は、トラクタ1を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、制御装置が接続されている。制御装置は、オペレータがアクセルペダルを操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、クラッチを介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置が備えられている。無段変速装置は、オペレータがシフトレバーを操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている。操舵装置は、オペレータがハンドルを操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO駆動装置が設けられている。PTO駆動装置は、オペレータがスイッチを操作すると、牽引する作業機械(後述する耕耘作業機2など)に回転動力を入力する。
次に、リンク機構17について説明する。
図2は、トラクタ1のリンク機構17を示している。以下では、リンク機構17に耕耘作業機2が取り付けられた状態を想定して説明する。なお、図3は、耕耘作業機2の昇降動作を示している。また、図4は、耕耘作業機2の傾斜動作を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
リンク機構17は、トップブラケット171と、トップリンク172と、を具備している。また、リンク機構17は、ロワブラケット173と、ロワリンク174と、を具備している。更に、リンク機構17は、リフトアーム175と、昇降用アクチュエータ176と、リフトリンク177と、傾斜用アクチュエータ178と、を具備している。
トップブラケット171は、トランスミッション13の後部に取り付けられている。トップブラケット171は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
トップリンク172は、トップブラケット171のヒンジ部に取り付けられている。トップリンク172は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とトップブラケット171のピン孔を重ね合わせた状態でピンP1が挿入されることにより、該ピンP1を中心として回動自在に連結されている。また、トップリンク172は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とヒッチメンバのピン孔を重ね合わせた状態でピンP2が挿入されることにより、該ピンP2を中心として回動自在に連結されている。なお、耕耘作業機2は、ヒッチメンバのフックに引っ掛けられる。
ロワブラケット173は、トランスミッション13の下部に取り付けられている。ロワブラケット173は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
ロワリンク174は、ロワブラケット173のヒンジ部に取り付けられている。ロワリンク174は、基端部に設けられたピン孔とロワブラケット173のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、ロワリンク174は、先端部に設けられたフック17Fがヒッチメンバのロッドに掛けられることにより、該ロッドを中心として回動自在に連結されている。なお、耕耘作業機2は、そのロッドとヒッチメンバのスリットが嵌合して固定される。
リフトアーム175は、トランスミッション13の側部に取り付けられている。リフトアーム175は、基端部に設けられたシャフト孔にトランスミッション13のシャフト13Sが嵌め込まれることにより、該シャフト13Sを中心として回動自在に支持されている。また、リフトアーム175は、先端部にクレビスが形成されており、該クレビスにユニバーサルジョイント(図示せず)が取り付けられている。
昇降用アクチュエータ176は、トランスミッション13の上部に取り付けられている。昇降用アクチュエータ176は、シリンダがトランスミッション13のアッパーカバーに形成されており、該トランスミッション13の一部として一体化している。また、昇降用アクチュエータ176は、ピストンロッドにピボットピンが取り付けられており、該ピボットピンがシャフト13Sに取り付けられたピボットアームに当接している。
リフトリンク177は、左側のリフトアーム175とロワリンク174に取り付けられている。リフトリンク177は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント(図示せず)のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、リフトリンク177は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク174のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
傾斜用アクチュエータ178は、右側のリフトアーム175とロワリンク174に取り付けられている。傾斜用アクチュエータ178は、シリンダに取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント(図示せず)のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、傾斜用アクチュエータ178は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク174のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
このような構造により、昇降用アクチュエータ176のピストンロッドが摺動して押し出されると(昇降用アクチュエータ176が伸長すると)、リフトアーム175が上方へ回動することとなる。すると、リフトアーム175がリフトリンク177と傾斜用アクチュエータ178を介して左右のロワリンク174を引き上げるので、耕耘作業機2の高さが高くなるのである(図3(A)の矢印Ra参照)。従って、耕耘作業機2が沈み込む状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
反対に、昇降用アクチュエータ176のピストンロッドが摺動して引き込まれると(昇降用アクチュエータ176が収縮すると)、リフトアーム175が下方へ回動することとなる。すると、リフトアーム175がリフトリンク177と傾斜用アクチュエータ178を介して左右のロワリンク174を押し下げるので、耕耘作業機2の高さが低くなるのである(図3(B)の矢印Rb参照)。従って、耕耘作業機2が浮き上がる状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
加えて、傾斜用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して押し出されると(傾斜用アクチュエータ178が伸長すると)、傾斜用アクチュエータ178が取り付けられている右側のロワリンク174のみが下方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク174がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク174が押し下げられるので、耕耘作業機2が右下がりに傾くのである(図4(A)の矢印Rc参照)。従って、トラクタ1が左側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、耕耘作業機2が水平状態のまま維持されることとなる。
反対に、傾斜用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して引き込まれると(傾斜用アクチュエータ178が収縮すると)、傾斜用アクチュエータ178が取り付けられている右側のロワリンク174のみが上方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク174がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク174が引き上げられるので、耕耘作業機2が右上がりに傾くのである(図4(B)の矢印Rd参照)。従って、トラクタ1が右側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、耕耘作業機2が水平状態のまま維持されることとなる。
次に、耕耘作業機2について説明する。
図5は、耕耘作業機2を示している。図6は、図5の矢印Xから見た図であり、図7は、図5の矢印Yから見た図である。また、図8は、図5の矢印Zから見た図である。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
耕耘作業機2は、ロータリー21と、ロータリーカバー22と、リヤカバー23と、ギヤユニット24と、を備えている。ロータリーカバー22は、ロータリーカバー22の左右端部においてロータリーカバー22の側方を覆うサイドカバー22a・22aを有している。
ロータリー21は、回転軸の周囲に複数のタイン21tを取り付けた構造体である。ロータリー21は、左右方向に対して平行に支持され、回転することによって圃場を耕耘する。
ロータリーカバー22は、円弧状に形成された構造体である。ロータリーカバー22は、ロータリー21に沿うように配置され、該ロータリー21の上方を覆う。ロータリーカバー22は、ロータリー21の回転時の土の飛散を防止するための部材であり、土塊の細土性に関わるものである。
サイドカバー22a・22aは、ロータリーカバー22の上面よりも上方に延出されるサイドカバー延出部22b・22bを有する。サイドカバー延出部22b・22b間には、パイプ部材30が左右方向に亘って配置されている。パイプ部材30は、円管状の金属製部材であり、両端がロータリーカバー22のサイドカバー22a・22aに溶接により一体的に固定されている。パイプ部材30は、ロータリーカバー22の剛性(強度)を向上させるための強度部材となっている。
ところで、従来の耕耘作業機では、ロータリーカバー内の各部において補強板を溶接することでロータリーカバーの剛性(強度)を向上させる構成としていたが、部品点数が多くなり、この部品点数に伴って溶接箇所が増えてしまい生産性が課題となっていた。
そこで、本実施形態では、上述したようにロータリーカバー22に、サイドカバー22a・22aを介して強度部材となるパイプ部材30を設けたことで、部品点数及び溶接箇所を削減することができる。また、強度部材であるパイプ部材30がロータリーカバー22の表面側に露出することで、外観として頑強な印象を与えるので、見栄えが良くなる。
さらに、図9に示すように、ロータリーカバー22の前方にはフロントカバー29が設けられており、該フロントカバー29はブラケット51・51を介してサイドカバー22aに取り付けられている。フロントカバー31は、板金部材で構成されている。
ところで、従来の耕耘作業機の回動式ロータリーカバーを回動させたとき、ポジションによってフロントカバーとロータリーカバーに隙間ができる場合がある。このような場合、代かきなどの作業時、泥のかき上げにより当該隙間から土が飛び出る。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、ロータリーカバー22をどの位置に回動させても、フロントカバー29とロータリーカバー22に上から見たとき隙間を有しない構造としている。これにより、土の飛び出しを減らすことができる。また、隙間を有しないので外観性が向上する。具体的には、耕耘作業機2の耕耘作業時において深浅回動を浅耕にしたとき、フロントカバー29とロータリーカバー22に上から見たとき隙間をなくす構造、すなわちフロントカバー29の後端側がロータリーカバー22の前端側を覆う構造が好ましい。これにより、耕耘作業時の土の飛び出しを減らすことができる。
リヤカバー23は、円弧状に形成されカバープレート23pを有する構造体である。リヤカバー23は、その前側がロータリー21に沿うように配置され、該ロータリー21の後方を覆う。また、リヤカバー23は、その後側が圃場に沿うように円弧状に形成され、圃場の表面を均す。なお、リヤカバー23は、ロータリーカバー22に設けられたヒンジを中心に回動自在となっている。リヤカバー23は、ロータリーカバー22に取り付けられた状態で上下方向に回動する。
また、リヤカバー23は、土の飛散防止や整地するためのものである。リヤカバー23は、整地レベラーを有しない1枚もののカバープレート23pを有している。図6、図10に示すように、リヤカバー23は、接地する箇所に断面視く字状に凹む段差部23aを有している。これにより、地面GLに対して段差部23aが対向するように配置され、耕耘作業時に接地圧を高め、土引き性能を向上させることができる。
具体的には。段差部23aは、リヤカバー23の地面との対向面において断面視く字状に凹む部分であり、図10及び図20に示すように、第1屈曲部23bと、該第1屈曲部23bから延出される第1平坦部23cと、該第1平坦部23cに連設される第2屈曲部23dと、該第2屈曲部23dから延出される第2平坦部23eと、該第2平坦部23eに連設される第3屈曲部23fとから構成されている。第3屈曲部23fは、エッジ形状であり、耕耘作業時においてリヤカバー23が地面に接地して前方に移動した場合に、地面を平たくならすことができる。
ギヤユニット24は、ケース24cの内部にべベルギヤ等を含む複数のギヤを収容した構造体である。ケース24c内のべベルギヤ等のギヤは、潤滑油で潤滑されている。ギヤユニット24は、左右のパイプケース27によって支持され、該パイプケース27の内側を通るドライブシャフトを介してロータリー21に回転動力を伝達する。なお、ギヤユニット24は、PTO駆動装置の位置に合わせて左右方向の中央部に配置されている。また、パイプケース27は、ロータリーカバー22の上面に沿うように、左右方向に対して平行に配置されている。パイプケース27は、耕耘作業機2の剛性を向上させる役割を有する。
また、ギヤユニット24の左右中央の上方には、側面視略V字状のアッパーアーム32を立設し、該アッパーアーム32の前上部には、トラクタ1のトップリンク172に連結するためのトップリンク取付部32cを形成している。
また、耕耘作業機2は、耕深深さ調節機構50を備えている。
耕深深さ調節機構50は、リテーナブラケット32aと、ステイ10と、操作スクリュウ33と、で構成されている。
リテーナブラケット32aは、筒状の部材であり、詳細は後述するが、操作スクリュウ33の一端側(先端側)を支持するためのブラケットである。リテーナブラケット32aは、アッパーアーム32の側面に設けられている。リテーナブラケット32aには、後述するリテーナ延長パイプ33eが挿入されて、ロータリーカバー操作手段である操作スクリュウ33の先端近傍を回動自在に支持している。
ステイ10は、操作スクリュウ33の基端側を支持するためのステイである。ステイ10は、溶接によりパイプ部材30に一体的に固定される。ステイ10は、パイプ部材30から後方に突設されている。ステイ10は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。ステイ10のピン孔には、ピン33dが挿入されて、ロータリーカバー操作手段である操作スクリュウ33の基端側を回動自在に支持している。なお、パイプ部材30は、パイプケース27の後方でロータリーカバー22の上面に沿うように、左右方向に対して平行に配置され、パイプ部材30の両端がサイドカバー延出部22b・22bに溶接により固定されている。換言すると、パイプ部材30は、リヤカバー23に沿って平行に配置され、ロータリーカバー22に一体的に構成されている。パイプ部材30は、耕耘作業機2の剛性を向上させる役割を有する。
操作スクリュウ33は、リテーナブラケット32aとステイ10に取り付けられている。すなわち、操作スクリュウ33は、アッパーアーム32に先端側が取り付けられるとともにパイプ部材30を介してロータリーカバー22にに基端側が取り付けられる。操作スクリュウ33は、基端部に取り付けられたピン孔とステイ10のピン孔を重ね合わせた状態でピンが挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、操作スクリュウ33は、その先端近傍に有するリテーナ延長パイプ33eがアッパーアーム32が有するリテーナブラケット32aの挿入孔に挿入されることにより、該リテーナ延長パイプ33eの中心軸周りに回動自在に支持されている。
操作スクリュウ33は、ネジ杆(回動スクリュー)であって、略円筒状の金属製の筒部33aと、該筒部33aの挿通される略棒状の金属製の伸縮部33bと、該伸縮部33bを回動することで伸縮する操作ハンドル33cを有し、先端に付設した操作ハンドル33cの回動操作によって筒部33aに対して伸縮部33bが伸縮するように構成している。
このような構造により、耕深深さ調節機構50は、操作スクリュウ33の操作ハンドル33cを回動操作することにより、パイプ部材30を操作スクリュウ33の伸縮方向に沿って移動させ、該パイプ部材30を介してロータリーカバー22を回動することで、耕耘深さを調節することができる。
また、アッパーアーム32の基端寄り部分にリテーナブラケット32aを左右方向に横設し、左右一側を外側に突出させ、該リテーナブラケット32aに操作スクリュウ33のリテーナ延長パイプ33eを挿入して、該リテーナブラケット32aによりロータリーカバー操作手段である操作スクリュウ33の先端近傍を回動自在に支持している。また、操作スクリュウ33の基端側は、ピン挿通孔を有し、一対のステイ10・10の後端間に介装され、該ステイ10・10の後端近傍に設けられたピン孔にピン33dを挿通することで操作スクリュウ33の基端側を回動自在に支持している。
操作スクリュウ33は、パイプ部材30を介してロータリーカバー22を前後回動することで、耕耘深さの調節(ロータリーカバー22の深浅回動の調節)をするものである。操作スクリュウ33は、ネジ杆(回動スクリュー)であって、先端に付設した操作ハンドル33cの回動操作によって伸縮するように構成している。操作スクリュウ33の基端は、ロータリーカバー22上のパイプ部材30に溶接により取り付けられたステイ10・10(図7、図17参照)に枢結され、操作スクリュウ33の伸縮量に応じてロータリーカバー22が前後回動する構成としている。そして、耕深設定時には、このロータリーカバー操作スクリュウ33の伸縮操作にてロータリーカバー22を前後回動し、その後部に配設したリヤカバー23の後端を圃場面に接する高さに合わせるのである。
操作スクリュウ33を支持するステイ10・10は、パイプ部材30に溶接により一体的に固定されている。これにより、ボルト等の締結部品が不要となり、部品点数が削減できる。
パイプケース27は、ケース24cの左右両側から側方に突設され、一方の他端にチェーンケース53の上部が固設され、他方の他端にサイドサポート54の上部が固設される。
ところで、ロータリーの耕耘爪軸を支持する軸受ケースを保護する為の交換部品であるプロテクタがサイドサポートの下部に設けられることがある。例えば、サイドサポートの外側面とプロテクタの外側面とを同一(面一)になるように形成した場合、プロテクタを越えてサイドサポートに飛散物が衝突し易くなり、サイドサポートが傷つきやすいという課題がある。
そこで、本実施形態では、図11に示すように、サイドサポート54の下部の外側に側面視略ホームベース状のプロテクタ55が取り付けられている。プロテクタ55は、軸受ケース28を保護する部材であり、板金部品で構成されている。具体的には、プロテクタ55は、サイドサポート54の下端に固定される軸受ケース28にボルト等の取付部材によって取り付けられる。つまり、プロテクタ55は、サイドサポート54よりも左右方向外側にオフセットして設けられている。これにより、交換部品であるプロテクタ55がサイドサポート54よりも外側にオフセットしているために、ロータリー21が壁等の障害物に近い場合であっても、飛翔物がサイドサポート54に衝突することを防ぎ、傷がつくのは主に交換部品として容易に交換可能であるプロテクタ55となる。また、プロテクタ55は、サイドサポート54の外側に取り付けられることで、サイドサポート54の強度が改善される。なお、本実施形態では、プロテクタ55を板金部品で構成しているが、特に限定するものではなく、樹脂製部材で構成することもできる。
また、サイドサポート54の内側には、標準位置を示す板状部材である銘板68を設けている。銘板68は、サイドサポート54の長手方向おいて位置が可変であり、サイドサポート54に対するロータリーカバー22の位置を示すことが可能である。これにより、耕耘作業機2を牽引するトラクタが変わった場合でも、ロータリーカバー22の位置を設定することができる。
ケース24cには、図12に示すように、エンジン12の回転動力を入力するための前後方向に延伸された入力軸56が回動自在に軸受支承されるとともに、入力軸56に直交する図示しない出力軸が回動自在に軸受支承される。第1ベベルギヤ57は、入力軸56に取り付けられる。第2べベルギヤ58は、図示しない出力軸に取り付けられる。第1べベルギヤ57と第2べベルギヤ58は、互いに噛合することで、入力軸56と出力軸とを連動連結している。第2べベルギヤ58は、第2べベルギヤ58の正面視において第2べベルギヤ58の小端よりも径方向内側に形成された円環状の平坦面59に出力軸の軸心に対向して配置された一対の貫通孔60・60を有している。貫通孔60は、第2べベルギヤ58を支承する軸受を取り外すための孔である。貫通孔60は、断面視円形状であり、該貫通孔60の中心軸は第2べベルギヤ58の軸心に対して傾斜している。すなわち、貫通孔60の中心軸は、第2べベルギヤ58の軸心に対して平行ではなく、所定の角度を有するように設けられている。これにより、第2べベルギヤ58が回転駆動した際には、潤滑油の撹拌が促進され、軸受への油の供給が増加し、温度上昇が抑えられる。
ギヤユニット24の上部にはアッパーアーム32の下部が枢支され、ケース24cの左右両側方に突出したパイプケース27に支持ステイ61・61が前後方向に固設されている。前記支持ステイ61の後部にはデプスフレーム62の前部が枢支される。該デプスフレーム62とアッパーアーム32後部との間にはデプスフレーム62の高さ調節手段63が介装されている。具体的には、デプスフレーム62は、左右一対の2本の円管部材を平行に並べて連結した形状の左右フレーム部材62a・62aを有する。左右フレーム部材62a・62aは、途中部で左右方向の連結フレーム62bにて一体的に連結されている。アッパーアーム32と、連結フレーム62bの左右中央部との間に、伸縮自在の高さ調節手段63を枢結している。前記高さ調節手段63はハンドルを回す等の手動もしくは電動で伸縮させデプスフレーム62の高さを調節できる。
デプスフレーム62は、左右フレーム部材62a・62aと連結フレーム62bが連結されることで形成される後端側の左右隅部に一対のステイ64・64を有している。ステイ64・64は、断面視L字状の金属製の板状部材であり、連結フレーム62bに沿って左右フレーム部材62a・62aの対向面から延出されて中途部が屈曲して下方へと延出された部材であり、左右フレーム部材62a・62aの対向面及び連結フレーム62bに溶接により一体的に固定されている。ステイ64・64は、対向する面に貫通孔が開口形成されている。ステイ64・64は、上面に所定のピンを挿通する挿通孔を有している。従来の耕耘作業機が有するデプスフレームのステイでは、ステイの上方に突出したような形状であったが、これに対して、本実施形態では、デプスフレーム62の後方から見た場合、突起物が無く外観がよく、デザイン性が向上する。加えて、突起物がなくなる為、梱包サイズが小さくなり、梱包性、輸送性が向上する。また、ステイ64・64は、左右フレーム部材61a・61aの対向面及び連結フレーム62bの後面に溶接により一体的に固定することにより、部品を増やすことなく強度を向上させ、デプスフレーム62とステイ64・64とが一体感を有するため、デザイン性が向上する。
ところで、デプスフレームの一端に防振部材を取り付ける技術としては、有底円筒状の防振部材であって、防振部材の内側全周に抜け止め用カエリがついた構造を用いて、デプスビームに接着剤で固定する構成が知られている。しかし、このような構成の場合、工数が多いので組立性が悪かった。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、デプスフレーム62は、左右フレーム部材62a・62aの後端に有底円筒状の弾性材料からなる防振部材65を嵌合している。具体的には、デプスフレーム62後端近傍の周囲に複数の貫通孔66を開口形成するとともに、この複数の貫通孔66に対応するように防振部材65側に複数のノッチ67を設け、該貫通孔66にノッチ67を係合することにより抜け止め機構を構成している。これにより、接着剤を使用することなく、軽い力で防振部品を組み付けることができ、かつ抜けにくい。したがって、組立性及びメンテナンス性の向上が図れる。また、このような抜け止め機構の場合、デプスフレーム62側は穴加工のみであり、加工が容易であり、旋盤加工や溶接等を製造工程から廃止できる。
また、耕耘作業機2は、ハンガーラック機構25を備えている。
ハンガーラック機構25は、ハンガーブラケット251と、ハンガーステイ252と、ハンガーロッド253と、で構成されている。
ハンガーブラケット251は、リヤカバー23の上面に設けられている。ハンガーブラケット251は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
ハンガーステイ252は、ハンガーロッド253の一端側(先端側)を支持するためのステイである。ハンガーステイ252は、溶接によりパイプ部材30に一体的に固定される。ハンガーステイ252は、パイプ部材30から後側上方に向けて設けられている。ハンガーステイ252は、二枚のプレートを平行に配置したガイドピースを有している。ガイドピースには、略上下方向に二枚のプレートを貫くロッド孔が設けられている。更に、ハンガーステイ252には、ピンを摺動自在としたロック機構252Mが設けられている。なお、パイプ部材30は、パイプケース27の後方でロータリーカバー22の上面に沿うように、左右方向に対して平行に配置されている。換言すると、パイプ部材30は、リヤカバー23に沿って平行に配置されている。パイプ部材30は、耕耘作業機2の剛性を向上させる役割を有する。
ハンガーロッド253は、ハンガーブラケット251とハンガーステイ252に取り付けられている。すなわち、ハンガーロッド253は、ロータリーカバー22に先端側が取り付けられるとともにリヤカバー23に基端側が取り付けられる。ハンガーロッド253は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とハンガーブラケット251のピン孔を重ね合わせた状態でピンが挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、ハンガーロッド253は、その先端部がハンガーステイ252を構成するガイドピースのロッド孔に挿入されることにより、該ロッド孔の中心軸に沿って摺動自在に支持されている。更に、ハンガーロッド253には、その中心軸を垂直に貫くピン孔が設けられている。
このような構造により、ハンガーラック機構25は、ロック機構252Mのピンをハンガーロッド253のピン孔に挿入することにより、リヤカバー23を上方に回動させた状態で保持できる。
ハンガーロッド253は、略円筒状の金属製部材であり、ハンガーロッド253の下端がリヤカバー23に軸支されている。一方、ロータリーカバー22の後部上面に配置されたパイプ部材30上には左右両側にハンガーステイ252が後斜め上方に向けて設けられ、そのハンガーステイ252の上端部にハンガーロッド253の上部が回動自在に、かつハンガーロッド253の長さ方向に摺動自在に支持されている。また、ハンガーロッド253の下側に有する下ストッパ254上の外周には鎮圧コイルバネ255が巻きつけられ、リヤカバー23を下方に付勢している。
また、V字状のアッパーアーム32の一端には前述のトラクタ1のトップリンク172が取り付けられている。そして、図14に示すように、アッパーアーム32にはレバー37が貫通して軸支され、レバー37とアッパーアーム32との間には弾性部材を備えるとともに、レバー37にはリヤカバーロック38を位置決めポジション、フリーポジション、規制ポジションとの間で回動操作するためのワイヤ35がワイヤ先端部35aを介して取り付けられている。ワイヤ先端部35aは、図14に示すようにレバー37の基部にワイヤ35をピンにより取り付けるための長孔35bを有している。この長孔35bを設けたことにより、誤操作でワイヤ35がキンクすることを防ぐことができる。また、ロータリーカバー22の後部にはサイドカバー39を取り付ける一方、サイドカバー39の下部にはサイドアンダーカバー40を取り付ける。
サイドアンダーカバー40は、側面視略三角形状であり、耕耘時において土が外側にはみ出すことを防ぐものである。本実施形態では、ボルト1本で周り止めとしている。また、図16に示すように、サイドアンダーカバー40の後端は、リヤカバー23の左右方向の両端面を内側に屈曲させた部分を覆うようにしてボルト1本で取り付けられる。リヤカバー23のサイドアンダーカバー40の取付部分には、当該ボルトを挿通する長孔が開口形成されている。これにより、組立性が向上し、部品点数を削減することができる。
ハンガーロッド253の上部は、回動軸を支点として回動するとともにハンガーロッド253の長さ方向に摺動する回動・摺動部材257を取り付け、その回動・摺動部材257を外側から覆うようにリヤカバーロック38を枢支ピン256・256により回動・摺動部材257に回動自在に取り付けられる。リヤカバーロック38は、矩形の鉄板を3つに折り曲げて形成する。そして、リヤカバーロック38の側部に、ワイヤ35の一端を取り付けるとともに、弾性部材の一端を掛け止める。なお、当該弾性部材の他端は、ハンガーステイ252に固設したブラケットに取り付ける。
そして、図15に示すように、ハンガーロッド253の先端近傍には側面視略コ字状の板状部材であるストッパ258を取り付けて、ハンガーロッド253の先端を該ストッパ258から突出した状態でストッパ258が固定される。ストッパ258と前述の回動・摺動部材257との間のハンガーロッド253外周にはコイルバネ259を巻きつける。ストッパ258は、コイルバネ259が当接する当接板258aと、該当接板258aの両端から回動・摺動部材257に向かって所定長延出される一対の延出部258bとから構成される。また、ハンガーロッド253の中間部分にはハンガーロッド253の延出方向に沿って複数開口形成されたロッド貫通孔(位置決め孔)253aを設ける。
ところで、図15(C)に示すような従来のハンガーロッドでは、走行中のリヤカバーの振動軽減の目的で、ハンガーロッドにバネが組み込まれている。しかし、耕耘作業中にロータリーを降ろす際、バネにより、リヤカバーが動き、耕耘深さの自動制御が誤作動を起こす。
そこで、本実施形態では、図15(A)、(B)に示すように、コイルバネ259のロック機構としてコ字状の板状部材であるストッパ258を設けている。ストッパ258を組み込むことで、ハンガーロッド253はストッパ258の当接板258aにより従来通りコイルバネ259による衝撃吸収が可能であり、所定量以上のコイルバネ259の伸縮に対しては、延出部258bが規制することにより、コイルバネ259が当接板258aに密着することを抑制し、リヤカバー23のハンチングを抑えることができる。具体的には、ロータリー21をワンタッチで降ろすと、タイン21tが土に当たり、急減速するが、リヤカバー23は慣性で落ちる方向へ進む。この際、ハンガーロッド253のコイルバネ259が密着するまで縮み、再び自由長まで戻ろうとする。このハンチングがオートワイヤーを介して、トラクタ1に伝えられ、油圧リフトの姿勢維持に悪影響を与える。したがって、本実施形態では、リヤカバー23のハンチングによる、耕耘深さの自動制御の誤作動が生じにくくなる。図15(C)に示す座金をコ字状のストッパ258に置換することで、移動中の振動は吸収しつつ、耕耘深さの自動制御の性能の向上にも繋がる。なお、本実施形態では、側面視コ字状の板状部材であるストッパ258を用いているが、特に限定するものではなく、カラー形状のストッパであっても良い。
ところで、従来のハンガーロッドでは、ハンガーロッドに開口形成される貫通孔を有しているが、該貫通孔の前後部分を平らに加工している。
そこで、本実施形態では、図15(B)に示すように、上述したハンガーロッド253の中間部分に複数のロッド貫通孔253aを設けているが、該ロッド貫通孔253aでは、貫通孔の前後部分(貫通孔におけるハンガーロッド253の長手方向の両端部分)を浅く穿つようにして平らに加工していない(図18参照)。これにより、製造工程が減り、製造が容易となる。
ところで、従来のハンガーロッドでは、ハンガーロッドに取り付けられた鎮圧バネが固定されておらず、駆動時にガチャガチャ音が鳴る。
そこで、本実施形態では、図15(A)に示すように、鎮圧コイルバネ255と下ストッパ254を固定している。これにより、ガチャガチャ音が小さくなる。なお、鎮圧コイルバネ255と下ストッパ254を固定する方法は、特に限定するものではなく、例えば、接着剤を用いることもできる。
以下に、本耕耘作業機2の特徴とその効果について説明する。
第一の特徴として、本耕耘作業機2において、ロータリーカバー22は、左右端部においてロータリーカバー22の側方を覆うサイドカバー22a・22aを有し、左右のサイドカバー22a・22aは、ロータリーカバー22の上面よりも上方に延出されるサイドカバー延出部22b・22bをそれぞれに有し、左右のサイドカバー延出部22b・22bの間には、パイプ部材30が配置され、パイプ部材30は、ロータリーカバー22の上面よりも上方でロータリーカバー22の左右方向に亘って配置される。パイプ部材30の両端は、左右のサイドカバー延出部22b・22bに溶接により固定される。
これにより、本耕耘作業機2では、ロータリーカバー22の補強のための部品点数を削減するとともにロータリーカバー22の強度を向上することができる。
また、第二の特徴として、本耕耘作業機2において、パイプ部材30には、ハンガーロッド253の先端側を支持するハンガーステイ252が溶接により一体的に固定される。
これにより、本耕耘作業機2では、ボルト等の締結部品が不要となり、部品点数が削減できる。
更に、第三の特徴として、本耕耘作業機2において、パイプ部材33には、ロータリーカバー操作手段である操作スクリュウ33の基端が枢結されるステイ253が溶接により一体的に固定される。
これにより、本耕耘作業機2では、ボルト等の締結部品が不要となり、部品点数が削減できる。
更に、第四の特徴として、本耕耘作業機2において、ロータリーカバー操作手段である操作スクリュウ33がパイプ部材30を介してロータリーカバー22を前後回動することで耕深設定可能とされる。
これにより、本耕耘作業機2では、強度部材であるパイプ部材30を介してロータリーカバー22の深浅回動をすることで、安定した耕深設定を行うことができる。