以下、本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両1について説明する。以下の説明において、特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、それぞれコンテナ荷役車両1の運転席(図示せず)に着座した運転者から見た前、後、左、右、上、下を意味するものとする。上、下は、それぞれコンテナ荷役車両1が水平面上に停止しているときの鉛直方向の上、下を意味する。図面に付した符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。特に断らない限り、物の前部とは、当該物の前後方向の中間位置よりも前方の部分をいう。物の後部とは、当該物の前後方向の中間位置よりも後方の部分をいう。物の左側部分とは、当該物の左右方向の中間位置よりも左側の部分をいう。物の右側部分とは、当該物の左右方向の中間位置よりも右側の部分をいう。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1は、コンテナ2を着脱自在に積載可能な車両本体10と、コンテナ2の傾動、積み込み、および降ろしを行う荷役装置3を備えている。車両本体10は、前後方向に延びるシャシフレーム4と、シャシフレーム4の前端部の上に配置されたキャブ5とを備えている。キャブ5の内部には、前記運転席が設けられている。
車両本体10は、それぞれ前後方向に延びる左フレーム6Lおよび右フレーム6Rを備えている。左フレーム6Lおよび右フレーム6Rは、シャシフレーム4の上に設けられている。左フレーム6Lは車幅方向の中央よりも左方に配置され、右フレーム6Rは車幅方向の中央よりも右方に配置されている。なお、車幅方向は左右方向と同義である。図2に示すように、左フレーム6L(図1参照)の後端部と右フレーム6Rの後端部とは、車幅方向に延びるクロスメンバ7により連結されている。図1に示すように、車両本体10はバンパー14を備えている。バンパー14はクロスメンバ7よりも下方に配置されている。また、バンパー14はクロスメンバ7よりも後方に配置されており、車両本体10の後端部となっている(図8(a)参照)。
コンテナ2は、積み込み時には、荷役装置3により地上から左フレーム6Lおよび右フレーム6Rの上に積み込まれる。降ろす際には、荷役装置3により、左フレーム6Lおよび右フレーム6Rの上から地上に降ろされる。コンテナ2は前後方向に長い直方体形状に形成されている。ただし、コンテナ2の形状は特に限定される訳ではない。本実施形態では、コンテナ2は、底壁2d、前壁2f、後壁2re、左壁2l、および右壁2rを有しており、上方が開放されている。ただし、コンテナ2は上壁を有していてもよい。コンテナ2は、密閉式のコンテナであってもよい。コンテナ2の底壁2dの前部には、左右に並んだ2つの脚2eが設けられている。また、コンテナ2の底壁2dの後部には、左右に並んだ2つのローラ2gが設けられている。コンテナ2の積み込みおよび降ろしの際には、荷役装置3によりコンテナ2の前部を吊り上げたままコンテナ2を前方または後方に移動させる。その際、上記ローラ2gが地上で回転することにより、コンテナ2は円滑に移動する。
図3は、コンテナ2の前壁2fを表した斜視図である。コンテナ2の前壁2fには、後述する荷役アーム30のフック37に係合可能な係合ピン2aが設けられている。係合ピン2aは、例えば断面円形の丸鋼からなる棒状体によって構成されている。係合ピン2aは直線状に形成されていてもよいが、本実施形態では、前方に向けて凸状に湾曲している。例えば、係合ピン2aは円弧状に湾曲していてもよい。係合ピン2aは、被係合部の一例である。係合ピン2aは前壁2fと別体に構成されている。しかし、被係合部は必ずしも前壁2fと別体でなくてもよく、前壁2fの一部が被係合部を構成していてもよい。前壁2fには、前方に突出し、左右に並んだ保持板2bL,2bRが設けられている。保持板2bL,2bRには、それぞれ孔2cが形成されている。保持板2bLの孔2cに係合ピン2aの左端部が挿通され、保持板2bRの孔2cに係合ピン2aの右端部が挿通されている。これにより、係合ピン2aは、保持板2bL,2bRに保持されている。コンテナ2の前壁2fと係合ピン2aとの間には隙間が設けられており、この隙間にフック37の先端部が挿入可能となっている。
図1に示すように、荷役装置3は、荷役アーム30と、左右一対のリフトシリンダ31と、伸縮シリンダ32と、左右一対のダンプフレーム33とを備えている。
左フレーム6Lおよび右フレーム6Rの後端部には、左右方向に延びる図示しない回動軸が設けられている。ダンプフレーム33の後端部は、前記回動軸に回動自在に取り付けられている。ダンプフレーム33の後端部は、前記回動軸を介して左フレーム6Lおよび右フレーム6Rに傾動可能に支持されている。ダンプフレーム33には、左右方向に延びる回動軸34(図8(a)参照)が設けられている。
荷役アーム30は、回動アーム35と、この回動アーム35にスライド自在に嵌合されたフックアーム36とを備えている。回動アーム35およびフックアーム36はL型アームの一例である。回動アーム35は、金属製であり、管状に形成されている。ここでは、回動アーム35は矩形管状に形成されている。ただし、回動アーム35の断面形状は特に限定されない。回動アーム35は円管状に形成されていてもよい。回動アーム35の後端部は、荷役アーム30の根元部であり、回動軸34を介してダンプフレーム33に連結されている。回動アーム35は、ダンプフレーム33に対して回動可能に連結されている。荷役アーム30は車両本体10に対し回動可能に構成されている。
フックアーム36は、側方から見てL型に形成されている。フックアーム36は、インナーアーム部36aと、インナーアーム部36aに対して垂直な垂直アーム部36bとを備えている。インナーアーム部36aの少なくとも一部は、回動アーム35の内部に挿入されている。インナーアーム部36aは回動アーム35に対してスライド自在であり、インナーアーム部36aがスライドすることにより、回動アーム35に対するインナーアーム部36aの挿入長さが変化する。インナーアーム部36aがスライドすることにより、荷役アーム30は伸縮する。
図4に示すように、垂直アーム部36bの先端部には、フック37が設けられている。フック37は、垂直アーム部36bに連結された根元部37bと、先端部37aとを含んでいる。先端部37aは、後方に行くほど上方に向かうように湾曲している。荷役アーム30は、フック37の先端部37aに設けられたピン17を備えていてもよい。ピン17はフック37の側方に突出している。ここでは、ピン17は丸棒によって形成されているが、ピン17の形状は特に限定されない。
図1に示すように、伸縮シリンダ32は、回動アーム35およびインナーアーム部36aの内部に配置されている。伸縮シリンダ32は、荷役アーム30を伸縮させるアクチュエータの一例であり、本実施形態では油圧シリンダにより構成されている。ただし、伸縮シリンダ32は油圧シリンダに限らず、例えばエアシリンダにより構成されていてもよい。伸縮シリンダ32の代わりに、電動式のアクチュエータを用いることも可能である。伸縮シリンダ32が収縮すると、インナーアーム部36aが回動アーム35の方にスライドし、荷役アーム30は収縮する。伸縮シリンダ32が伸長すると、インナーアーム部36aが回動アーム35と反対の方にスライドし、荷役アーム30は伸長する。
リフトシリンダ31は、荷役アーム30の左側および右側にそれぞれ設けられている。リフトシリンダ31は、荷役アーム30を回動させるアクチュエータの一例であり、本実施形態では油圧シリンダにより構成されている。しかし、リフトシリンダ31も油圧シリンダに限らず、エアシリンダ等によって構成されていてもよく、リフトシリンダ31に代えて電動式のアクチュエータ等を用いてもよい。リフトシリンダ31の前端部は、車両本体10におけるキャブ5の後方の部分に設けられた図示しないピンに回動自在に連結されている。リフトシリンダ31の後端部は、回動アーム35に設けられたピン38に回動自在に連結されている。
左フレーム6Lの後端部および右フレーム6Rの後端部には、それぞれ案内ローラ11が設けられている。案内ローラ11は、コンテナ2の積み込みおよび降ろしの際に、コンテナ2を前後方向へ案内する機能を有している。
図5(a)および(b)に示すように、キャブ5の後方には、複数のガードフレーム12を含むキャブバックステップ12Aが設けられている。ガードフレーム12は、一般に鳥居とも呼ばれることがある。ガードフレーム12は、上下方向に延びている。各ガードフレーム12は、それぞれ左右方向に並設されている。ガードフレーム12の上部において斜め上方に枝フレーム12aが分岐している。なお、この枝フレーム12aはなくてもよい。各ガードフレーム12の上端および各枝フレーム12aの上端には、板状の台13が固定されている。なお、図5(a)および(b)に示すキャブバックステップ12Aの構成は一例に過ぎない。キャブバックステップ12Aの構成は何ら限定されるものではない。
コンテナ荷役車両1は、左サイドカメラC1(図5(a)参照)、右サイドカメラC2(図5(b)参照)、リアカメラC3(図2参照)、およびアームカメラC4(図4参照)を備えている。左サイドカメラC1、右サイドカメラC2、リアカメラC3、アームカメラC4は、それぞれ左撮像装置、右撮像装置、後部撮像装置、アーム撮像装置の一例である。これらのカメラC1〜C4は、運転者によるコンテナ2の積み込み作業および降ろし作業を補助する役割を果たすものである。次に、各カメラC1〜C4について説明する。
図5(a)に示すように、左サイドカメラC1は台13の左端部13Lに取り付けられている。左サイドカメラC1は、キャブ5の後方かつ車幅方向の中央よりも左方に配置されている。図5(b)に示すように、右サイドカメラC2は台13の右端部13Rに取り付けられている。右サイドカメラC2は、キャブ5の後方かつ車幅方向の中央よりも右方に配置されている。左サイドカメラC1および右サイドカメラC2は、それぞれレンズ(例えば、魚眼レンズ)と撮像素子とを備えており、電子的に画像を取得する。左サイドカメラC1の高さ位置と右サイドカメラC2の高さ位置とは同じである。ただし、それらの高さ位置を相違させることは可能である。左サイドカメラC1および右サイドカメラC2は、それぞれキャブ5の上下方向の中間位置よりも高い位置に配置されている。ただし、左サイドカメラC1および右サイドカメラC2を上記中間位置以下の位置に配置することも可能である。
左サイドカメラC1および右サイドカメラC2の向きおよび仕様は特に限定されないが、本実施形態では以下のように設定されている。図6に示すように、左サイドカメラC1、右サイドカメラC2は、それぞれ180度以上(例えば、190度)の画角α1、α2を有している。左サイドカメラC1は、車両平面視において、その光軸L1が車両前後方向の後方から左方に傾いた方向を向くように配置されている。ここでは、左サイドカメラC1は、車両平面視において光軸L1が車両前後方向の後方から左方に45度をなすように配置されている。右サイドカメラC2は、車両平面視において、その光軸L2が車両前後方向の後方から右方に傾いた方向を向くように配置されている。ここでは、右サイドカメラC2は、車両平面視において、光軸L2が車両前後方向の後方から右方に45度をなすように配置されている。ただし、上記の左サイドカメラC1および右サイドカメラC2の画角および向きは一例であり、特に限定される訳ではない。本実施形態では、左サイドカメラC1と右サイドカメラC2とは、それぞれ同じ画角を有しているが、180度以上の異なる画角を有していてもよい。
左サイドカメラC1は、バンパー14の少なくとも左側の一部を撮像可能に配置されている。左サイドカメラC1は、コンテナ2の積み込みを行う際、車両本体10がコンテナ2に向かって矢印Drに沿って後進するときに、少なくともコンテナ2の前壁2fの一部およびバンパー14の左側の一部を含む領域を撮像可能である。右サイドカメラC2は、バンパー14の少なくとも右側の一部を撮像可能に配置されている。右サイドカメラC2は、車両本体10がコンテナ2に向かって矢印Drに沿って後進する際に、少なくともコンテナ2の前壁2fの一部およびバンパー14の右側の一部を含む領域を撮像可能である。
図2に示すように、リアカメラC3は車両本体10の後部に取り付けられている。リアカメラC3は後方に向けて配置されている。リアカメラC3は、レンズ(例えば、魚眼レンズ)と撮像素子とを備えており、電子的に画像を取得する。クロスメンバ7の前方には、鉛直に配置されたプレート15が設けられている。リアカメラC3は、プレート15に固定されている。プレート15の下部には、当該プレート15の下方に設けられる図示しないナンバープレートを照らすランプ16が設けられている。リアカメラC3は、ランプ16よりも上方に設けられている。リアカメラC3は、クロスメンバ7の下方で且つ車両本体10の最後部、すなわちバンパー14(図1参照)よりも前方に設けられている。ただし、リアカメラC3の上述の位置は一例であり、特に限定される訳ではない。
図6に示すように、リアカメラC3は、180度以上(例えば、190度)の画角α3を有している。リアカメラC3は、車両平面視においてその光軸L3が車両前後方向の後方を向くように配置されている。リアカメラC3は、車両本体10のバンパー14の少なくとも一部を撮像可能に配置されている。ここでは、リアカメラC3は、バンパー14の左端から右端に亘る全体を撮像可能に配置されている。コンテナ2の積み込みを行う際、車両本体10がコンテナ2に向かって方向Drに沿って後進するときに、リアカメラC3は、バンパー14の少なくとも一部およびバンパー14の後方を含む領域を撮像可能である。リアカメラC3は、コンテナ2の前壁2fの一部を撮像してもよく、前壁2fの全体を撮像してもよい。
図4に示すように、アームカメラC4は、荷役アーム30のうちのフックアーム36に取り付けられている。アームカメラC4は、レンズ(例えば、魚眼レンズ)と撮像素子とを備えており、電子的に画像を取得する。アームカメラC4は、荷役アーム30のうち、コンテナ2を積み込む際に地面に設置されたコンテナ2の係合ピン2aにフック37が係合するときのコンテナ2の上端2t(図8(b)参照)以下の部分に取り付けられている。本実施形態では、アームカメラC4はフックアーム36の先端部に取り付けられている。アームカメラC4は、フックアーム36の上面に取り付けてもよく、側面に取り付けてもよい。ここでは、アームカメラC4は、フックアーム36の右側面に取り付けられている。フック37の先端部37aの右側面には、前述のピン17が設けられている。アームカメラC4は、フックアーム36の左側および右側のうち、ピン17が設けられている側に配置されている。
アームカメラC4は、荷役アーム30を前方に回動させたときに、当該アームカメラC4の光軸L4が後斜め下方に向かうように配置されている。ここでは、アームカメラC4の光軸L4は、フックアーム36の垂直アーム部36bの軸方向と平行になっている。ただし、光軸L4は垂直アーム部36bの軸方向に対し傾いていてもよい。図6に示すように、アームカメラC4は、180度以上(例えば、190度)の画角α4を有している。光軸L4は、車両平面視において車両前後方向の後方を向いていてもよく、車両前後方向の後方から傾いた方向を向いていてもよい。アームカメラC4は、コンテナ2を積み込む際に、少なくともコンテナ2の係合ピン2aを含む領域を撮像するように配置されている。ここでは、アームカメラC4は、コンテナ2を積み込む際に、係合ピン2aとフック37の少なくとも先端部37aとを含む領域を撮像するように配置されている。
上述したように、左サイドカメラC1、右サイドカメラC2、リアカメラC3、およびアームカメラC4は、それぞれ180度以上の画角を有しているため、カメラC1〜C4のうち2つ以上の撮像範囲が重複する領域が生じる。そこで、重複する部分の透過率を調整して画像を重ね合わせてもよいし、重複する部分における他の画像を削除するようにしてもよい。
コンテナ荷役車両1は、カメラC1〜C4の撮像結果に基づいて生成した画像を表示する画像表示システムを備えている。次に、画像表示システムについて説明する。図7に示すように、画像表示システムは、撮像部CUと、コントロールユニット50と、画像生成部51と、表示装置60と、コンバータ61と、車載バッテリー62と、モード切替操作部63と、画面切替操作部64とを備えている。左サイドカメラC1、右サイドカメラC2、リアカメラC3、およびアームカメラC4は、撮像部CUに含まれる。コントロールユニット50および画像生成部51は、画像制御装置を構成している。なお、コントロールユニット50、画像生成部51、表示装置60、コンバータ61、モード切替操作部63、および画面切替操作部64は、キャブ5(図1参照)内に設けられている。コントロールユニット50および画像生成部51は、コンピュータにより構成されている。コントロールユニット50、撮像部CU、画像生成部51、モード切替操作部63、画面切替操作部64、および表示装置60は、有線または無線による通信が可能に構成されている。
表示装置60には、例えば液晶ディスプレイなど、公知の任意のものを利用することができる。表示装置60は、例えばキャブ5内に配設されたダッシュボード(図示せず)に設けられている。コンバータ61は、車載バッテリー62から入力された電圧を変換し、コントロールユニット50および表示装置60に出力する。コンバータ61は、例えば24Vの電圧を12Vの電圧に変換し、コントロールユニット50および表示装置60に出力する。
モード切替操作部63は、コンテナ2の積み込み等の際に、表示装置60に表示する画像を切り替えるときに操作される。画面切替操作部64は、表示装置60における、例えばコンテナ2の積み込み時の表示(つまり、車両本体10がコンテナ2に近付いて当該コンテナ2を積み込むまでの表示)や、ナビゲーションの表示や、テレビ番組の表示など各種表示の内容を切り替えるときに操作される。モード切替操作部63および画面切替操作部64は、例えばボタンにより構成されていてもよく、表示装置60に内蔵されたタッチパネルにより構成されていてもよい。コントロールユニット50はカメラC1〜C4を制御する。
次に、画像生成部51について説明する。画像生成部51は、撮像部CUにより撮像される画像に基づいて、表示装置60に表示させる画像を生成する。画像生成部51は、カメラC1〜C4からの信号を受信し、表示装置60に表示させる画像のデータを生成し、その画像データをコントロールユニット50に送信する。上記画像データを受信したコントロールユニット50は、表示装置60に信号を送信し、表示装置60に上記画像を表示させる。
画像生成部51は、カメラC1〜C4により取得される画像に基づいて、1または複数の仮想視点からみた画像を生成することができる。また、画像生成部51は、カメラC1〜C4により取得される複数の画像に基づいて、仮想視点からみた合成画像を生成することができる。画像生成部51は、例えば左サイドカメラC1、右サイドカメラC2およびリアカメラC3により取得される画像を用いて、後述の俯瞰画像等を生成することができる。
画像生成部51は、輝度調整部52と、多重化部53と、視点変換部54と、視点対応生成部55とを備えている。画像生成部51の前記各構成要素は、中央演算処理装置(CPU)がメモリ等に予め記憶されたプログラムを実行することによって機能的に実現されるものであってもよいし、ハードウェア回路として構成してもよい。輝度調整部52、多重化部53、視点変換部54、および視点対応生成部55は、1または複数のプロセッサにより構成されていてもよい。
輝度調整部52は、撮影部CUにより取得された画像の全体としての明るさを示す平均輝度を参照し、前記画像のゲイン調整を行う。具体的には、輝度調整部52は、撮像画像の平均輝度が比較的高い場合にはゲイン調整値を小さくし、比較的低い場合にはゲイン調整値を大きくする。このことによって、車両本体10の周辺環境がある程度暗い場合等において、撮像画像の明るさが適切に調整される。
視点対応生成部55は、前記のようにゲイン調整された撮像画像から、1または複数の仮想視点からみた画像を生成する。例えば、視点対応生成部55は、リアカメラC3により撮像された画像から、表示装置60に同時に表示させる4つの画像を生成する。詳細については後述する。
多重化部53は、前記のようにゲイン調整された複数の撮像画像を一つの画像に合成して多重化画像とする。例えば、多重化部53は、左サイドカメラC1、右サイドカメラC2およびリアカメラC3の各撮像結果を合成することができる。
視点変換部54は、多重化部53で生成された多重化画像を用いて、任意の仮想視点からみた合成画像を生成する。例えば、視点変換部54は、多重化部53による上記合成画像を用いて、車両本体10およびコンテナ2をそれぞれ上方の視点からみた合成画像、つまり俯瞰画像を生成することができる。
以上がコンテナ荷役車両1の構成である。次に、コンテナ荷役車両1におけるコンテナ2の傾動、積み込みおよび降ろしの動作について説明する。まず、コンテナ2を傾動させるダンプ動作について説明する。ダンプ動作では、荷役アーム30は図示しない固縛装置によって、ダンプフレーム33に対し回動不能に固縛されている。荷役アーム30が回動不能の状態のまま、リフトシリンダ31を伸長させる。すると、荷役アーム30とダンプフレーム33とは一体となって傾動し、これに伴ってコンテナ2が傾動する。
次に、コンテナ2の積み込み動作について説明する。まず、図6に示すように、車両本体10をコンテナ2の前方に位置づける。次に、図8(a)に示すように、リフトシリンダ31を伸張させ、フック37が後方に移動するまで荷役アーム30を後方に回動させる。次に、フック37がコンテナ2の係合ピン2aの手前に位置するよう、車両本体10を後進させてコンテナ2に接近させる。なお、車両本体10がコンテナ2に近付く前、または近付いた後、リフトシリンダ31によって回動アーム35の傾斜角度を微調整することにより、フック37の高さ位置を係合ピン2aの高さ位置に合わせることができる。
フック37を係合ピン2aの手前に位置づけた後、図8(b)に示すように、リフトシリンダ31を収縮させ、荷役アーム30を前方に回動させる。すると、フック37が係合ピン2aに係合する。なお、フック37を係合ピン2aよりも僅かに低い位置に配置した後、伸縮シリンダ32を伸張させ、フックアーム36を回動アーム35からスライドさせることにより、フック37を係合ピン2aに係合させるようにしてもよい。次に、フック37を係合ピン2aに係合させた状態で、リフトシリンダ31を収縮させる。すると、図9(a)に示すように、コンテナ2が荷役アーム30によって吊り上げられながら、前方に引っ張られる。そして、図9(b)に示すように、コンテナ2は地上から車両本体10に積み込まれる。
その後、伸縮シリンダ32を伸長させ、フックアーム36を回動アーム35に対して前方にスライドさせる。フックアーム36が前方に移動すると、コンテナ2はフックアーム36によって前方に引っ張られ、所定の位置に移動する。以上がコンテナ2の積み込み動作である。
コンテナ2の降ろし動作は、上記積み込み動作と逆の手順で行われる。コンテナ2の降ろし動作では、まず、伸縮シリンダ32を収縮させる。これにより、フックアーム36は後方にスライドし、コンテナ2は後方にスライドする。次に、荷役アーム30とダンプフレーム33との固縛を解除し、荷役アーム30をダンプフレーム33に対して回動可能とする。そして、リフトシリンダ31を伸長させる。すると、荷役アーム30は後方に向かって回動し、コンテナ2は車両本体10から地上に降ろされる。以上がコンテナ2の降ろし動作である。
ところで、上述の積み込み動作において、運転者は車内ミラーやサイドミラーを見ながら車両本体10をコンテナ2に向かって後進させる。しかしながら、車両本体10を後進させながら、目視のみで車両本体10とコンテナ2との距離を的確に把握することや、フック37の位置を係合ピン2aの位置に合わせることは容易ではない。しかし、本実施形態では運転者は、目視による把握と共に、または目視による把握に代えて、表示装置60に表示された画像を見ながら、車両本体10とコンテナ2との距離およびフック37の位置を把握することができる。
次に、画像生成部51により生成されて表示装置60に表示される画像の例について説明する。以下では、車両本体10がコンテナ2に向かって後進し、コンテナ2の係合ピン2aにフック37を引っかけるまでの画像を例に挙げて説明する。
図10に示すように、表示装置60は表示画面60aを備えており、表示画面60aには5つの表示領域R1〜R5が設けられている。表示装置60は複数の表示画面を備え、それら複数の表示画面に表示領域R1〜R5を表示するようになっていてもよい。しかし、本実施形態では、表示領域R1〜R5は単一の表示画面60a内に設けられている。本実施形態では、表示領域R1〜R5は、それぞれ前記画像として動画を表示する。ただし、表示領域R1〜R5に、定期的または不定期に切り替えられる静止画を表示することも可能である。以下では、表示領域R1〜R5に表示される動画を単に画像と呼ぶこととする。表示領域R1は、表示画面60aの上部中央に設けられている。表示領域R2は、表示画面60aの中央部から下部に亘って設けられている。表示領域R3は、表示画面60aの左下部に設けられている。表示領域R4は、表示画面60aの右下部に設けられている。表示領域R5は、表示画面60aの左上部に設けられ、表示領域R1の左方に設けられている。ただし、ここで説明する表示領域R1〜R5の配置および寸法は一例に過ぎず、適宜に変更が可能である。
表示領域R1,R2,R3,R4には、リアカメラC3で撮像される画像を用いて画像生成部51の視点対応生成部55により生成される画像がそれぞれ表示される。詳しくは、表示領域R1には、リアカメラC3から上方を向く仮想視点からみた画像が表示される。表示領域R2には、リアカメラC3から後方を向く仮想視点からみた画像が表示される。表示領域R3には、リアカメラC3から左方を向く仮想視点からみた画像が表示される。表示領域R4には、リアカメラC3から右方を向く仮想視点からみた画像が表示される。一方、表示領域R5には、アームカメラC4で撮像される画像を用いて画像生成部51の視点対応生成部55により生成される画像が表示される。詳しくは、表示領域R5には、アームカメラC4からフック37の方を向く仮想視点からみた画像が表示される。
表示画面60aには、上下に延びる中心線CLが表示されている。運転者は、車両本体10を後進させる際に、中心線CLを位置調整の目安として用いることができる。すなわち、運転者は、表示領域R1,R2に表示されるコンテナ2の係合ピン2aの画像に中心線CLが重なるようにして、車両本体10を後進させることができる。なお、表示領域R1〜R5に表示される各画像は、カメラC3,C4で撮像した画像をミラー反射したものとなっている。すなわち、表示領域R1〜R5に表示される各画像は、カメラC3,C4で撮像した画像を左右反転した画像となっている。これは、運転者が車両本体10を後進させる際に、通常は車内ミラーを視認しながらハンドル等を操作することを考慮したためである。
ところで、コンテナ2の積み込みの際、車両本体10をコンテナ2の真正面に位置づけ、コンテナ2の前壁2fに対して垂直な方向に沿って車両本体10を後進させると、フック37を係合ピン2aに係合させやすくなる。すなわち、車両本体10をコンテナ2に対し真正面から接近させると、フッキングが容易となる。そこで、まず、車両本体10がコンテナ2に真正面から接近する場合の画像の表示例について説明する。
図10に示すように、車両本体10を後進させる前では、表示領域R1にはフック37が表示される。表示領域R2には、バンパー14、フック37、コンテナ2の前壁2f、および係合ピン2aが表示される。表示領域R3にはバンパー14の左側部分14Lが表示され、表示領域R4にはバンパー14の右側部分14Rが表示される。表示領域R5には、フック37、コンテナ2の前壁2f、および係合ピン2aが表示される。
次に、図11に示すように、車両本体10を後進させ、コンテナ2に近づける。すると、表示領域R1には、フック37に加えて、コンテナ2の前壁2fおよび係合ピン2aが表示されるようになる。表示領域R2において、コンテナ2の前壁2fおよび係合ピン2aが大きく表示されるようになる。表示領域R5において、フック37、コンテナ2の前壁2f、および係合ピン2aが大きく表示されるようになる。
フック37を係合ピン2aに係合させる直前に、フック37の先端は、係合ピン2aの下方であって、かつ、コンテナ2の前壁2fの前方かつ係合ピン2aの後方に位置付けられる。以下、フック37の先端の上記位置を係合直前位置という。フック37が係合直前位置にあると、その後、荷役アーム30を前方に回動させることにより、フック37を係合ピン2aに係合させることができる。運転者は、表示領域R1およびR5等を見ることにより、フック37の位置合わせを行うことができる。例えば、運転者は表示領域R1を見ることにより、フック37および係合ピン2aの左右方向および前後方向の相対位置を確認することができる。運転者は、例えば表示領域R5を見ることにより、フック37および係合ピン2aの上下方向の相対位置を確認することができる。運転者は、例えばフック37が係合ピン2aに対し左方にずれている場合、表示領域R1を見ながらフック37が右方に移動するように車両本体10の後進方向を微調整することにより、フック37の左右方向の位置を係合ピン2aの左右方向の位置に合わせることができる。運転者は表示領域R1およびR5を見ながら、図12に示すように、フック37を係合直前位置に容易に位置付けることができる。
図13(a)に示すように、車両本体10がコンテナ2に接近すると、バンパー14の左側部分14Lと、コンテナ2の前壁2fのうち当該左側部分14Lに対し車両前後方向の後方に位置する部分2fLとが向かい合う。同様に、図13(b)に示すように、車両本体10がコンテナ2に接近すると、バンパー14の右側部分14Rと、コンテナ2の前壁2fのうち当該右側部分14Rに対し車両前後方向の後方に位置する部分2fRとが向かい合う。この段階では、図12に示すように、表示領域R3には、バンパー14の左側部分14Lに加えて、コンテナ2の上記部分2fLが表示される。表示領域R4には、バンパー14の右側部分14Rに加えて、コンテナ2の上記部分2fRが表示される。なお、表示領域R2には、コンテナ2の前壁2fと、バンパー14の左側部分14Lから右側部分14Rに亘る部分とが表示される。そのため、表示領域R2〜R3の少なくとも一部には、バンパー14およびコンテナ2の前壁2fのうち、互いの距離が最も近い部分が表示される。言い換えると、バンパー14およびコンテナ2の前壁2fのうち、最も接触しやすい部分が表示される。運転者は、例えば表示領域R1およびR5を見ながらフック37の位置を調整しつつ、表示領域R2〜R4の画像から、バンパー14がコンテナ2の前壁2fに接触しないか否かを確認することができる。運転者は、例えば、表示領域R3およびR4を見ながら、バンパー14をコンテナ2の前壁2fに接触させることなく、バンパー14と前壁2fとの間にある程度の間隔Kを空けた状態(図13(a)および(b)参照)で車両本体10を停止させることができる。
運転者は、フック37を係合直前位置に位置付けた後、荷役アーム30を前方に回動させる。すると、図14に示すように、フック37が上方に移動し、係合ピン2aに係合する。荷役アーム30が前方に更に回動すると、荷役アーム30によってコンテナ2の前部が持ち上げられる。この場合、図14に示すように、表示領域R1〜R5には、コンテナ2が上方に持ち上げられている画像が表示される。運転者は、表示領域R1〜R5を視認することで、コンテナ2が持ち上げられ、積み込みが良好に行われていることを確認することができる。
以上、車両本体10をコンテナ2に対して真正面から接近させる場合の表示例について説明した。ところで、コンテナ2の設置現場の状況は様々である。例えば、コンテナ2の前方に、十分なスペースが確保できない場合がある。そのような場合、コンテナ2の積み込みにあたって、車両本体10をコンテナ2の前壁2fに対して、斜め前方から後進させなければならないことがある。次に、コンテナ2の前壁2fに対して車両本体10を斜め前方から後進させて積み込みを行う場合の画像の表示例について説明する。
図15に示すように、車両本体10を後進させる前の段階では、表示領域R1にはフック37が表示される。表示領域R2には、バンパー14、フック37、コンテナ2の前壁2f、および係合ピン2aが表示される。表示領域R3にはバンパー14の左側部分14Lが表示され、表示領域R4にはバンパー14の右側部分14Rが表示される。表示領域R5には、フック37、コンテナ2の前壁2f、および係合ピン2aが表示される。
次に、図16に示すように、車両本体10を後進させ、コンテナ2に近づける。表示領域R1には、フック37に加えて、コンテナ2の前壁2fおよび係合ピン2aが表示されるようになる。車両本体10はコンテナ2の前壁2fに対して左斜め後方に進行するので、表示領域R3にはコンテナ2の前壁2fは表示されないが、表示領域R4にはバンパー14の右側部分14Rおよびコンテナ2の前壁2fの一部2fRが表示される。
図17に示すように、運転者は、フック37が係合直前位置にくるまで、車両本体10を引き続き後進させる。図12の表示領域R4と図17の表示領域R4とを比較すると分かるように、車両本体10をコンテナ2の前壁2fに対して左斜め後方に後進させる場合、車両本体10をコンテナ2の前壁2fに対して真っ直ぐ後方に後進させる場合に比べて、バンパー14の右側部分14Rは前壁2fに対しより接近することになる。そのため、バンパー14と前壁2fとの接触が起きやすい。しかし、本実施形態によれば、運転者は表示領域R4を見ることにより、バンパー14が前壁2fと接触するか否かを容易に把握することができる。
運転者は、表示領域R1およびR5等の表示に基づいてフック37が係合直前位置にあることを確認した後、荷役アーム30を前方に回動させる。すると、図18に示すように、フック37が上方に移動し、係合ピン2aに係合する。荷役アーム30が前方に更に回動すると、荷役アーム30によってコンテナ2の前部が持ち上げられ、コンテナ2は車両本体10に積み込まれる。
以上、コンテナ2を積み込む際に表示装置60に表示される画像の例について説明した。なお、詳しい説明は省略するが、表示装置60に表示される画像は、コンテナ2の積み込み時だけでなく、傾動時または降ろし時にも利用することができる。
以上のように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1によれば、荷役アーム30に取り付けられたアームカメラC4を備えており、車両本体10をコンテナ2に向かって後進させる際に、少なくともコンテナ2の係合ピン2aを含む確認画像が表示装置60に表示される(表示領域R5参照)。そのため、運転者は、キャブ2の外に出て係合ピン2aの位置を目視で確認しなくても、表示装置60を見ることにより、係合ピン2aの位置を容易に把握することができる。また、アームカメラC4は、係合ピン2aを引っかける荷役アーム30自体に取り付けられているので、係合ピン2aの位置を認識しやすい。したがって、フッキングが容易となり、ひいては、コンテナ2の積み込み作業を容易に行うことができる。
また、表示装置60には、係合ピン2aだけでなくフック37の少なくとも一部が表示される。本実施形態では、表示装置60に、係合ピン2aおよびフック37の先端部37aの両方が表示される。そのため、係合ピン2aとフック37との位置関係を認識し易くなる。これにより、フッキングが更に容易となる。
荷役アーム30におけるアームカメラC4の取付位置は特に限定されないが、本実施形態では、荷役アーム30のうち、地面に設置されたコンテナ2の係合ピン2aにフック37が係合したときのコンテナ2の上端2t以下の部分に取り付けられている。このように、アームカメラC4は、荷役アーム30のうち比較的低い部分に取り付けられているので、係合ピン2aを比較的近くから撮像することができる。したがって、係合ピン2aとフック37との位置関係を更に容易に把握することができる。よって、フッキングが更に容易となる。
本実施形態では、フック37の先端部37aに、側方に突出するピン17が設けられている。表示装置60には、係合ピン2a、フック37の先端部37a、およびピン17が表示される。そのため、フック37の先端部37aを視覚的に判断することが難しい場合等に、係合ピン2aに対するピン17の位置から、係合ピン2aに対するフック37の先端部37aの位置を把握することができる。したがって、フッキングが容易となる。
なお、本実施形態では、ピン17は左側および右側のうち、アームカメラC4が設けられた側と同じ側に設けられている。そのため、アームカメラC4によりピン17を撮像しやすくなる。ピン17をより明確に撮像することができるので、フッキングが容易となる。
本実施形態によれば、アームカメラC4は荷役アーム30の側方に配置されている。表示装置60の表示領域R5には、係合ピン2aおよびフック37の先端部37aを斜め後方から見た画像が表示される。そのため、係合ピン2aとフック37の先端部37aとの左右の位置関係を把握しやすい。よって、フッキングが容易となる。
係合ピン2aの形状は特に限定されないが、本実施形態では、前方に向けて凸状に湾曲した棒状体によって形成されている。そのため、コンテナ2の前壁2fに対して真正面の方向から車両本体10を接近させる場合だけでなく、前壁2fに対して斜めの方向から車両本体10を接近させる場合にも、フック37を係合ピン2aに係合させやすくなる。したがって、フッキングが容易となる。
また、本実施形態によれば、荷役アーム30は、回動アーム35と当該回動アーム35に対してスライド自在に設けられたフックアーム36とを備えている。このような構成により、車両本体10自体を移動させずとも、フックアーム36をスライドさせることで、コンテナ2の係合ピン2aに対するフック37の位置を調整することができる。これにより、車両本体10を移動させる場合に比べ、上記調整を高精度に行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は、例えば以下のような他の形態で実施することが可能である。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、その説明は省略する。
(第2実施形態)
図19に仮想線で示すように、第1実施形態では、アームカメラC4は荷役アーム30のうち、地面に設置されたコンテナ2の係合ピン2aにフック37が係合したときのコンテナ2の上端2tの高さ(図中の水平線H1参照)以下の部分に取り付けられている。これに対し、第2実施形態は、アームカメラC4が荷役アーム30のうち上記上端2tよりも上方の部分30Uに取り付けられたものである。なお、図中の水平線H2は、フック37が係合ピン2aに係合したときの荷役アーム30の上端の位置を表している。
アームカメラC4の取付箇所は特に限定されない。アームカメラC4は、荷役アーム30の回動アーム35に取り付けられていてもよく、フックアーム36に取り付けられていてもよいが、コンテナ2に近い画像を得るという観点からは、フックアーム36に取り付けられていることがより好ましい。
アームカメラC4は、荷役アーム30の屈曲部30Mに取り付けられていてもよい。なお、屈曲部30Mとは、荷役アーム30のうち車両側面視において、回動アーム35の上側の輪郭線35uと、回動アーム35の下側の輪郭線35dと、フックアーム36の上側の輪郭線36uと、フックアーム36の下側の輪郭線36dとで囲まれる領域内に位置する部分のことである。本実施形態では、アームカメラC4は屈曲部30Mの上面に取り付けられている。アームカメラC4は屈曲部30Mの上方に配置されている。ただし、アームカメラC4を屈曲部30Mの側方に配置してもよい。アームカメラC4を屈曲部30Mの左面または右面に取り付けてもよい。
本実施形態では、アームカメラC4がコンテナ2の上記上端2tよりも上方に配置されているので、アームカメラC4はコンテナ2の前壁2fおよび係合ピン2aだけでなく、コンテナ2の上部を撮像することができる。コンテナ2が密閉式コンテナであり、上壁を有している場合には、その上壁の様子を撮像することができる。コンテナ2が開放式コンテナであり、上方が開放されている場合には、図20に示すように、コンテナ2の内部を撮像することができる。
例えば図21に示すように、本実施形態においても、アームカメラC4によって撮像された画像は、表示画面60aの表示領域R5に表示することができる。
本実施形態によれば、アームカメラC4は荷役アーム30のうち比較的高い部分に取り付けられている。そのため、アームカメラC4は、フック37が係合ピン2aに係合するまで、コンテナ2の上部を撮像することができる。よって、運転者は、表示装置60に表示される確認画像を見ることにより、係合ピン2aの位置を把握できるだけでなく、コンテナ2の上部の様子も把握することができる。例えば、コンテナ2の上に不適切な物が載っている場合、その物をコンテナと一緒に積み込んでしまうこと等を未然に防止することができる。コンテナ2の上方が開放されている場合、運転者はコンテナ2の内部の様子を認識することができる。例えば、コンテナ2の収容物が多い場合には積み込み作業をより慎重に行う等の対応を採ることができる。
コンテナ2の積み込みのために車両本体10をコンテナ2に向けて後進させるときに、屈曲部30Mは荷役アーム30のうち最も高い部分となる。本実施形態によれば、アームカメラC4は、荷役アーム30の最も高い部分に取り付けられている。そのため、運転者は表示装置60に表示される確認画像を見ることにより、コンテナ2の全体を把握しやすくなる。
ただし、アームカメラC4の取付部位は屈曲部30Mに限定される訳ではない。図22に示すように、アームカメラC4を、荷役アーム30のうち屈曲部30Mとフック37との間の部分に取り付けてもよい。例えば、アームカメラC4をフックアーム36の長手方向の中間位置に配置してもよい。また、アームカメラC4をフックアーム36の長手方向の中間位置よりも根元側に配置してもよく、当該中間位置よりも先端側に配置してもよい。アームカメラC4を荷役アーム30のうち屈曲部30Mとフック37との間の部分に取り付ける場合、アームカメラC4は荷役アーム30の上面に取り付けられてもよく、側面に取り付けられてもよい。アームカメラC4は、荷役アーム30の上方に配置されてもよく、側方に配置されてもよい。
このようにアームカメラC4を荷役アーム30のうち屈曲部30Mとフック37との間の部分に取り付ける場合、アームカメラC4は、コンテナ2の上部の様子を撮像できると共に、係合ピン2aから比較的近い位置に配置されることとなる。そのため、運転者は、係合ピン2aの位置とコンテナ2の上部の様子とをバランス良く把握することができる。
なお、前述のアームカメラC4は単独で使用することもできるが、組み合わせて使用することもできる。例えば、荷役アーム30のうちコンテナ2の前記上端2t以下の部分に取り付けられたアームカメラC4と、前記上端2tよりも高い部分に取り付けられたアームカメラC4とを併用してもよい。この場合、表示画面60aの表示領域R5において、いずれか一方のアームカメラC4により撮像された画像を選択的に表示してもよく、表示画面60aに、両アームカメラC4により撮像された2つの画像を並べて表示してもよい。
また、荷役アーム30の屈曲部30Mまたは屈曲部30Mとフック37との間の部分(以下、中途部分という)の上面に取り付けたアームカメラC4と、荷役アーム30の屈曲部30Mまたは中途部分の左側面に取り付けたアームカメラC4と、荷役アーム30の屈曲部30Mまたは中途部分の右側面に取り付けたアームカメラC4とを併用してもよい。この場合、表示画面60aには、いずれか1つのアームカメラC4により撮像された画像を選択的に表示してもよく、複数のアームカメラC4により撮像された複数の画像を並べて表示してもよい。
このように、複数のアームカメラC4を適宜併用し、表示装置60の表示画面60aにおいて、それら複数のアームカメラC4によって撮像される複数の画像を適宜選択してまたは並べて表示してもよい。
(第3実施形態)
図23に示すように、表示画面60aに4つの表示領域R11〜R14を設けるようにしてもよい。表示領域R11〜R14には、例えば画像として動画が表示される。以下では、表示領域R11〜R14に表示される動画を単に画像と呼ぶこととする。表示領域R11は、表示画面60aの右上部に設けられている。表示領域R12は、表示画面60aの右下部に設けられ、表示画面R11の下方に設けられている。表示領域R13は、表示画面60aの左上部から左下部に亘って設けられ、縦長状に形成されている。表示領域R14は、表示領域R13の下方に設けられ、横長状に形成されている。表示画面60aの表示領域R11には、前述の表示領域R2(図11等参照)と同様の画像が表示される。表示領域R12には、前述の表示領域R5と同様の画像が表示される。表示領域R13には、後述の俯瞰画像が表示される。表示領域R14には、前述の表示領域R1と同様の画像が表示される。
画像生成部51の多重化部53(図7参照)は、リアカメラC3により得られた画像と、左サイドカメラC1により得られた画像と、右サイドカメラC2により得られた画像とを合成する。そして、画像生成部51の視点変換部54は、多重化部53により生成された合成画像から、表示領域R13に表示される俯瞰画像を生成する。図23に示すように、俯瞰画像は、平面視でコンテナ2の前壁2fおよび車両本体10のバンパー14を含む画像である。運転者は、表示領域R13に表示された俯瞰画像を視認することによって、コンテナ2の前壁2fとバンパー14との距離を把握し易くなる。このことによって、車両本体10とコンテナ2の前壁2fとの接触を起き難くすることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、フックアーム36とフック37とを別個独立に構成するようにしたが、これに限定されるものではない。フックアーム36とフック37とを一体的に構成するようにしてもよい。
上記実施形態では、アームカメラC4だけでなく、左サイドカメラC1と、右サイドカメラC2と、リアカメラC3とを設けるようにした。しかし、左サイドカメラC1、右サイドカメラC2、およびリアカメラC3を省略しても、コンテナ2の係合ピン2aの位置を把握することは可能であり、フッキングを容易に行うことが可能である。
上記実施形態では、左サイドカメラC1を、車両平面視でその光軸L1が車両前後方向の後方に対して左方に例えば45度をなすように配置し、右サイドカメラC2を、車両平面視でその光軸L2が車両前後方向の後方に対して右方に例えば45度をなすように配置したが、これに限定されるものではない。車両平面視において、左サイドカメラC1により車両本体10の左側後部を含む領域を撮像することができ、右サイドカメラC2により車両本体10の右側後部を含む領域を撮像することができれば、上記角度に限定されるものではない。
上記実施形態では、左サイドカメラC1と右サイドカメラC2とを、キャブ5の後方に設けられたガードフレーム12上の台13にそれぞれ取り付けるようにしたが、これに限定されるものではない。キャブ5は、必ずしもキャブバックステップ12Aに取り付ける必要はなく、カメラのために設けられた専用の支持部材に取り付けてもよい。また、左サイドカメラC1と右サイドカメラC2とをキャブ5に取り付けるようにしてもよい。
上記実施形態では、表示装置60の各表示領域にミラー画像を表示することとしたが、これに限定されるものではない。表示装置60の各表示領域に通常の画像(つまり、ミラー反転する前の画像)を表示するようにしてもよい。
上記実施形態では、フックアーム36が回動アーム35にスライド自在に挿入されている構成としたが、これに限定されるものではない。回動アーム35がフックアーム36にスライド自在に挿入された構成を採用してもよい。
上記実施形態では、フックアーム36が回動アーム35にスライド自在に設けられている構成(いわゆるスライド式)としたが、これに限定されるものではない。フックアーム36が回動アーム35にスイング可能に設けられた構成(いわゆるスイング式)等の他の方式も適用可能である。このスイング式の構成としては、例えば特許第3646008号公報の段落0013等に記載の公知な構成を採用することが可能である。
さらに、上記実施形態では、荷役アーム30は、別個独立した2つのアームである回動アーム35とフックアーム36とを備えているが、これに限定されるものではない。荷役アーム30を1つのアームで構成するようにしてもよい。