JP6716330B2 - ウロプラキン発現促進剤 - Google Patents
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Description
これに対し、膀胱尿管逆流症の一因であると考えられる膀胱の上皮バリア機能低下を抑制することができれば、膀胱尿管逆流症の原因療法となり得る。
また本発明は、膀胱尿管逆流症の予防又は改善用飲食品組成物の提供を課題とする。
また本発明は、膀胱上皮細胞におけるUPKの発現を促進する、UPK発現促進剤の提供を課題とする。
また本発明は、膀胱上皮細胞におけるUPKの発現を促進する、UPK発現促進用飲食品組成物の提供を課題とする。
また本発明は、膀胱上皮細胞におけるUPKの発現を促進する、UPK発現促進方法の提供を課題とする。
本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
また本発明は、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、膀胱尿管逆流症の予防又は改善用飲食品組成物に関する。
また本発明は、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、UPK発現促進剤に関する。
また本発明は、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、UPK発現促進用飲食品組成物に関する。
また本発明は、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を投与又は摂取させる非治療的なUPKの発現促進方法に関する。
また、本発明のUPK発現促進剤及びUPK発現促進用飲食品組成物は、膀胱上皮細胞におけるUPKの発現を促進することができる。
また、本明細書において「改善」とは、疾患、症状若しくは状態の好転、疾患、症状若しくは状態の悪化の防止若しくは遅延、又は疾患、症状若しくは状態の進行の逆転、防止若しくは遅延をいう。
ヒトのUPK1Aのアミノ酸配列情報と、それをコードする遺伝子(以下、「UPK1A遺伝子」ともいう)の塩基配列情報は、それぞれNCBI Reference Sequence:NP_001268372.1、NM_001281443.1、又はNP_008931.1、NM_007000.3として登録されており、NCBIより入手可能である。
ヒトのUPK1Bのアミノ酸配列情報と、それをコードする遺伝子(以下、「UPK1B遺伝子」ともいう)の塩基配列情報は、それぞれNCBI Reference Sequence:NP_008883.2、NM_006952.3として登録されており、NCBIより入手可能である。
ヒトのUPK2のアミノ酸配列情報と、それをコードする遺伝子(以下、「UPK2遺伝子」ともいう)の塩基配列情報は、それぞれNCBI Reference Sequence:NP_006751.1、NM_006760.3、として登録されており、NCBIより入手可能である。
ヒトのUPK3Aのアミノ酸配列情報と、それをコードする遺伝子(以下、「UPK3A遺伝子」ともいう)の塩基配列情報は、それぞれNCBI Reference Sequence:NP_001161046.1、NM_001167574.1、又はNP_008884.1、NM_006953.3として登録されており、NCBIより入手可能である。
また、これらのアイソフォーム、バリアント又はホモログは本発明の発現促進の対象となり得る。
本発明において、ロズマリン酸、フェルラ酸及びクマル酸は、それぞれ塩の形態で用いてもよい。前記の塩としては、薬学的に許容できる塩であれば特に制限されないが、例えば、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム及びトリエチルアミン等のアミン類との塩などが挙げられる。本発明において、前記の塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩が好ましく、ナトリウム塩及びカルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
本発明の予防若しくは改善剤、UPK発現促進剤、膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善用飲食品組成物、並びにUPK発現促進用飲食品組成物は、有効成分として、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩のいずれか1種の化合物を単独で用いてもよく、2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
ロズマリン酸若しくはその塩は、例えば、特公平1−29558号公報に記載の方法を参考に、シソ科植物細胞の懸濁培養により製造することができる。
フェルラ酸若しくはその塩は、例えば、特開2014−57529号公報に記載の方法を参考に、植物性材料を酵素製剤で処理することにより製造することができる。
クマル酸若しくはその塩は、例えば、特開2014−117272号公報に記載の方法を参考に、グルコースを炭素源として、クマル酸産生形質転換微生物を用いて製造することができる。
これらの報告から、UPKの発現を促進することで、膀胱尿管逆流症を予防又は改善し得ると考えられる。
上記使用は、治療的使用(即ち医療行為)であっても非治療的使用(非医療的な行為)であってもよい。また、上記使用の対象は、ヒト、非ヒト動物、又はそれらに由来する検体であり得る。なお、前記「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処理行為を含まない概念である。
また、UPK発現促進剤は、上記使用の具体的態様の1つであり、治療的用途(医療用途)、非治療用途(非医療用途)のいずれにも適用することができる。具体的には、医薬品、医薬部外品等としての使用することができる他、各種の飲食品、飼料、ペットフード等にUPK発現促進剤を配合することもできる。
本発明の予防若しくは改善剤、並びにUPK発現促進剤は、液状、固形状、乳液状、ペースト状、ゲル状、パウダー状(粉末状)、顆粒状、ペレット状、スティック状等、ヒトや動物に適用されうる各種剤型をとることができる。
また、本発明の予防若しくは改善剤、並びにUPK発現促進剤は、有効成分である上記化合物のみからなるものであってもよいし、効果に影響を与えない範囲で他の成分を含有するものであってもよい。他の成分とは、例えば下記の添加剤が挙げられる。
種々の剤型に調製するには、添加剤を用いて常法に従って製造すればよい。添加剤は、通常用いられているものを使用することができる。添加剤の例としては、薬学的に許容される賦形剤、液体担体、油性担体、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、崩壊剤、滑沢剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、光沢剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、矯臭剤、細菌抑制剤等が挙げられる。
飲食品への配合の例としては、小麦粉加工食品、米加工食品、菓子類、飲料類、乳製品、調味料、蓄肉加工食品、水産加工食品、調理油等が挙げられる。また、錠剤(タブレット)、カプセル等の錠剤食、濃厚流動食、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、ドリンク栄養食等の経口経腸栄養食品、機能性食品等の形態としてもよい。
飼料組成物としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等が挙げられる。
これらの飲食品組成物、飼料組成物及びペットフード組成物等は、本発明の予防若しくは改善剤、本発明のUPK発現促進剤、又は前述の有効成分を含有し、これに食品原料、例えば、甘味剤、着色剤、抗酸化剤、ビタミン類、香料、ミネラル等の添加剤、タンパク質、脂質、糖質、炭水化物、食物繊維等を適宜組み合わせて、常法に従って調製することができる。
例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤の場合は、固形分濃度(固形分換算)として0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。あるいは、0.01〜100質量%が好ましく、0.1〜90質量%がより好ましく、1〜70質量%がさらに好ましい。
本発明の予防若しくは改善剤、及びUPK発現促進剤を飲食品やペットフード等に配合する場合は、前記有効成分の配合量又は含有量は固形分濃度として0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。あるいは、0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
<2>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、膀胱尿管逆流症の予防又は改善用飲食品組成物。
<3>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、UPK発現促進剤。
<4>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、UPK発現促進用飲食品組成物。
<6>前記剤又は飲食品組成物の総量に対する、前記有効成分の配合量又は含有量が固形物換算で0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、UPK発現促進剤、又は飲食品組成物。
<7>前記剤又は飲食品組成物の総量に対する、前記有効成分の配合量又は含有量が固形物換算で0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、UPK発現促進剤、又は飲食品組成物。
<8>前記膀胱尿管逆流症の予防又は改善がUPKの発現の促進、好ましくは膀胱上皮細胞におけるUPKの発現の促進、より好ましくは膀胱上皮細胞におけるUPK遺伝子の発現の促進、によるものである、前記<1>、<2>、<6>及び<7>のいずれか1項に記載の膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、又は膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善用飲食品組成物。
<10>前記膀胱尿管逆流症の予防又は改善がUPKの発現の促進、好ましくは膀胱上皮細胞におけるUPKの発現の促進、より好ましくは膀胱上皮細胞におけるUPK遺伝子の発現の促進、によるものである、前記<9>に記載の方法。
<11>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を投与又は摂取させる、非治療的なUPKの発現促進方法。
<12>前記UPKが、UPK1A、UPK1B、UPK2、及びUPK3Aからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<11>項に記載の方法。
<13>前記少なくとも1種の化合物の1日当たりの摂取量が固形物換算で0.01mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上、よりさらに好ましくは100mg以上、80000mg以下、好ましくは40000mg以下、より好ましくは15000mg以下、よりさらに好ましくは5000mg以下である、前記<9>〜<12>のいずれか1項に記載の方法。
<15>膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、又はUPK発現促進剤の製造のための、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用。
<16>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を、膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、又はUPK発現促進剤として使用する方法。
<17>ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を使用する、膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善方法、又はUPKの発現促進方法。
<18>前記UPKが、UPK1A、UPK1B、UPK2、及びUPK3Aからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<14>〜<17>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<19>前記少なくとも1種の化合物を膀胱尿管逆流症の予防、改善又は治療を所望する対象者に適用する、前記<14>及び<16>〜<18>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<20>前記少なくとも1種の化合物を投与又は摂取させる、前記<14>及び<16>〜<19>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<21>前記少なくとも1種の化合物を1日1回〜数回に分け、又は任意の期間及び間隔で摂取又は投与され得る、前記<14>及び<16>〜<20>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<22>前記少なくとも1種の化合物の1日当たりの摂取量が固形物換算で0.01mg以上、好ましくは1mg以上、よりましくは10mg以上、よりさらに好ましくは100mg以上、80000mg以下、好ましくは40000mg以下、より好ましくは15000mg以下、よりさらに好ましくは5000mg以下である、前記<14>及び<16>〜<21>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<23>前記剤の総量に対する、前記少なくとも1種の化合物の配合量又は含有量が固形物換算で0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である、前記<14>〜<16>及び<18>〜<22>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<24>前記剤の総量に対する、前記少なくとも1種の化合物の配合量又は含有量が固形物換算で0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、前記<14>〜<16>及び<18>〜<22>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<25>前記少なくとも1種の化合物を膀胱上皮細胞に適用する、前記<14>、<16>〜<24>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<26>前記少なくとも1種の化合物を非治療的に使用する、前記<14>〜<25>のいずれか1項記載の使用又は方法。
<28>膀胱尿管逆流症の非治療的な処置方法のための、ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用。
<29>膀胱尿管逆流症の予防若しくは治療薬、又はUPK発現促進薬の製造のための、前記ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用。
<30>前記UPKが、UPK1A、UPK1B、UPK2、及びUPK3Aからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<29>項に記載の使用。
<31>前記少なくとも1種の化合物を医薬組成物の形態で適用する、前記<27>〜<30>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<32>前記少なくとも1種の化合物を食品又は飲料の形態で適用する、前記<27>〜<30>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<33>食品又は飲料の形態が病者用食品、栄養機能食品又は特定保健用食品である、前記<32>項記載の化合物又は使用。
<34>膀胱尿管逆流症の予防又は改善がUPK発現促進によるものである、前記<27>〜<33>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<35>膀胱上皮細胞におけるUPK発現促進、好ましくは膀胱上皮細胞におけるUPK遺伝子の発現の促進、によるものである、前記<27>〜<34>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<36>剤の総量に対する、前記少なくとも1種の化合物の配合量又は含有量が固形物換算で0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である、前記<27>〜<35>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<37>剤の総量に対する、前記少なくとも1種の化合物の配合量又は含有量が固形物換算で0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、前記<27>〜<35>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<38>前記少なくとも1種の化合物の1日当たりの摂取量が固形物換算で1日当たり0.01mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上、よりさらに好ましくは100mg以上、80000mg以下、好ましくは40000mg以下、より好ましくは15000mg以下、よりさらに好ましくは5000mg以下として投与又は摂取する、前記<27>〜<37>のいずれか1項記載の化合物又は使用。
<使用細胞>
ヒト膀胱上皮細胞株であるHT−1376(ATCC CRL−1472)を使用した。HT−1376の詳細な情報を表1に示す。
MEM Earle’s(Invitrogen社製)に、10%FCS(ウシ胎仔血清)、ピルビン酸ナトリウム(0.055g/500mL)、L−グルタミン(0.146g/500mL)を添加したものを使用した。
抽出したRNA100μgから、High Capacity RNA to cDNA kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNAを合成し、Real−time PCRに供してUPK3A遺伝子、UPK1B遺伝子、及びUPK2遺伝子の発現量を定量した。目的の遺伝子を特異的に検出するTaqman Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)プローブは、UPK3A(Hs00199590_m1)、UPK1B(Hs0104175_m1)、UPK2(Hs03988971_g1)を用いた。なおUPK3A、UPK1B、UPK2遺伝子の発現量は、コントロール溶媒を添加したときの各遺伝子の発現量を1とし、コントロール溶媒を添加したときの各遺伝子の発現量に対する相対値で算出した。その結果を表2〜4に示す。また、有意差検定はDunnet法により行った。
また、表3に示すように、フェルラ酸又はクマル酸の添加によりUPK1B遺伝子の発現量が増加傾向にあった。特に、1000μMのフェルラ酸の添加により、コントロールと比較してUPK1B遺伝子の発現量が有意に増加した。
さらに、表4に示すように、フェルラ酸又はクマル酸の添加によりUPK2遺伝子の発現量が増加傾向にあった。特に、1000μMのフェルラ酸の添加により、コントロールと比較してUPK2遺伝子の発現量が有意に増加した。
また、ロズマリン酸は、生体内でフェルラ酸、クマル酸に代謝されることが報告されている(Eur. J Nutr., 2005年, vol44, p.1-9、Life Science, 2004年, vol75, p.165-178)。したがって、UPK発現を促進するフェルラ酸、クマル酸、並びに生体内でフェルラ酸やクマル酸に代謝されるロズマリン酸を、UPK発現促進剤、膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、UPK発現促進用飲食品組成物、並びに膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善用飲食品組成物の有効成分とすることができる。
ロズマリン酸の経口投与によるラット膀胱UPK発現量への影響検討
試験に用いるラットとしては、SHR(42週齢、雌、日本SLC社より入手)を使用した。
対照群には、コントロール食(5%コーン油、20%カゼイン、66.5%ポテトスターチ、4%セルロース、1%ビタミン(商品名:ビタミン混合AIN−76、オリエンタルバイオサービス社より入手))、3.5%ミネラル(商品名:ミネラル混合AIN−76、オリエンタルバイオサービス社より入手))を8週間経口摂取させた。処理群には、ロズマリン酸含有食(5%コーン油、20%カゼイン、66%ポテトスターチ、4%セルロース、1%ビタミン、3.5%ミネラル、0.5%ロズマリン酸(Carbosynth社))を8週間経口摂取させた。
摂取8週間後、イソフルラン麻酔下で安楽死させ、膀胱を摘出した。
目的の遺伝子を特異的に検出するTaqman Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)プローブは、UPK1A(Rn01480068_m1)、UPK1B(Rn01474649_m1)、UPK2(Rn01418556_g1)、UPK3A(Rn01505982_m1)を用いた。なおUPK1A遺伝子、UPK1B遺伝子、UPK2遺伝子、UPK3A遺伝子の発現量は、対照群の各遺伝子の発現量を1とし、処理群は各遺伝子の発現量に対する相対値を算出した。その結果を表5に示す。また、有意差検定はStudent’s T検定により行った。
したがって、UPK発現を促進するロズマリン酸、フェルラ酸、クマル酸は、UPK発現促進剤、膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善剤、UPK発現促進用飲食品組成物、並びに膀胱尿管逆流症の予防若しくは改善用飲食品組成物の有効成分とすることができる。
Claims (8)
- ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、ウロプラキンがノックアウトされている状態若しくはウロプラキンの発現が低減した状態でウロプラキンの発現を促進し、膀胱尿管逆流症を予防若しくは改善するための、膀胱尿管逆流症の予防又は改善剤。
- ロズマリン酸若しくはその塩、フェルラ酸若しくはその塩、並びにクマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、ウロプラキンがノックアウトされている状態若しくはウロプラキンの発現が低減した状態でウロプラキンの発現を促進し、膀胱尿管逆流症を予防若しくは改善するための、膀胱尿管逆流症の予防又は改善用飲食品組成物。
- ロズマリン酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、ウロプラキン1A、ウロプラキン1B、ウロプラキン2及びウロプラキン3Aからなる群より選択される少なくとも1種のウロプラキン発現促進剤。
- ロズマリン酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、ウロプラキン1A、ウロプラキン1B、ウロプラキン2及びウロプラキン3Aからなる群より選択される少なくとも1種のウロプラキン発現促進用飲食品組成物。
- フェルラ酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、ウロプラキン1B、ウロプラキン2及びウロプラキン3Aからなる群より選択される少なくとも1種のウロプラキン発現促進剤。
- フェルラ酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、ウロプラキン1B、ウロプラキン2及びウロプラキン3Aからなる群より選択される少なくとも1種のウロプラキン発現促進用飲食品組成物。
- クマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、ウロプラキン3A発現促進剤。
- クマル酸若しくはその塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、ウロプラキン3A発現促進用飲食品組成物。
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