JP6715697B2 - 布製型枠およびそれを用いた法面保護工、法面保護工法 - Google Patents
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Description
この工法は、あらかじめ用意された二層布帛部からなる布製型枠を例えば河川の岸辺や水底等に敷設してコンクリートやモルタルを注入して硬固させる方法である。
誤ってため池に落ちてしまった場合、岸の斜面をよじ登って池から脱出することができればよいが、布製型枠を用いた法面保護工では、水に濡れた表面はすべりやすく、保護工の斜面をよじ登って脱出することは困難である。表面に苔や土がついた場合にはさらに滑りやすくなる。
法面をよじ登るための手掛かりとなる鎖や取っ手、あるいは階段等を設けたりしている場合もあるが、法面保護工事に加えて、それらを設置するための材料、工程が増え、さらにそれらの管理等も必要になってくる。
また、ため池等に限らず、通常の法面保護工においても、管理等のために昇降用の階段や取っ手を設ける場合があり、通常の法面保護工事に加えて、それらを設置するための材料、工程が増えるという問題があった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
法面に沿って配され法面保護に用いられる布製型枠であって、
二層布帛が部分的に結接糸で接続されてなる島状のポイント部を、所定の間隔で千鳥状に複数配した袋体からなる第1の袋状部と、
前記第1の袋状部に空間的に連結し、該第1の袋状部の一面から突出するように、縫製加工または製織にて該第1の袋状部に一体化された、複数の第2の袋状部と、を有し、
複数の前記第2の袋状部は、前記法面に施工された場合の該法面に沿った上下方向に並んで配されており、
前記ポイント部は、上下方向で隣接する2つの前記第2の袋状部の間に、横方向で2列または3列に配されるとともに、少なくとも、該第2の袋状部の幅方向中央部の上側に配されており、
前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設された後において、前記複数の第2の袋状部は、前記第1の袋状部の上面に対して突出した突起部となり、該突起部は前記法面をよじ登るための手掛かりまたは足掛かりとなることを特徴とする布製型枠。
[2]
法面に沿って配され法面保護に用いられる布製型枠であって、
複数の島状の一層布帛部を、二層布帛に所定の間隔で千鳥状に形成した袋体からなる第1の袋状部と、
前記第1の袋状部に空間的に連結し、該第1の袋状部の一面から突出するように、縫製加工または製織にて該第1の袋状部に一体化された、複数の第2の袋状部と、を有し、
複数の前記第2の袋状部は、前記法面に施工された場合の該法面に沿った上下方向に並んで配されており、
前記一層布帛部は、上下方向で隣接する2つの前記第2の袋状部の間に、横方向で2列または3列に配されるとともに、少なくとも、該第2の袋状部の幅方向中央部の上側に配されており、
前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設された後において、前記複数の第2の袋状部は、前記第1の袋状部の上面に対して突出した突起部となり、該突起部は前記法面をよじ登るための手掛かりまたは足掛かりとなることを特徴とする布製型枠。
[3]
[1]または[2]に記載の布製型枠が用いられてなる法面保護工であって、
法面に敷設された前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設されてなり、前記第1の袋状部の上面に対して突出した、前記第2の袋状部にて形成される複数の突起部を有し、該突起部の上面中央部が平らになされていることを特徴とする法面保護工。
[4]
前記突起部を貫通するように異形鉄筋が打ち込まれている、[3]に記載の法面保護工。
[5]
[1]または[2]に記載の布製型枠を用いた法面保護工法であって、
以下の工程:
(1) 前記布製型枠を法面に敷設する工程と、
(2) 前記布製型枠の第1の袋状部及び第2の袋状部の内部にモルタルまたはコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする法面保護工法。
[6]
前記工程(2)において、前記布製型枠の第1の袋状部及び第2の袋状部の内部にモルタルまたはコンクリートを充填した後であって、該モルタルまたはコンクリートが固化する前に、前記第2の袋状部にて形成される突起部を貫通するように異形鉄筋を打ち込む、[5]に記載の法面保護工法。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明では、本発明をため池等の水際における法面保護工に適用した場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、水際以外の通常の法面保護工にも適用可能である。
図1は、本発明の布製型枠の一構成例を示す平面図であり、図2は、モルタルまたはコンクリートを打設した後の、布製型枠の断面図である。また、図3および図4は、本発明の布製型枠がため池等の法面に敷設されてなる法面保護工を示す断面図及び斜視図である。
この布製型枠1A(1)は、複数の島状のポイント部4を二層布帛5に所定の間隔で形成した袋体からなる第1の袋状部2と、第1の袋状部2の一面から突出するように設けられた第2の袋状部3とを有し、これらは開口部6a(接合部)でそれぞれの各袋状部内が連通するように接合されている。ポイント部4は、図1に示すように、例えば千鳥状に配置される。
第1の袋状部2は、二層布帛5で構成され、下層布7、上層布6およびこれらを接続する結接糸8からなり、通常は二重織りで製織して得られる。該二層布帛5の空隙にはモルタルやコンクリート11等が打設される。結接糸8は、打設後のコンクリート11等の厚さを一定にする役割を有し、その接続長さは護岸工事の目的に応じて適宜設定される。布製型枠1は、上層布6側を上側(表側)として敷設される。
図1に示すように、ポイント部4は二層布帛5に島状に設けられ、特定の間隔で千鳥状に配されている。ポイント部4の大きさ、数および配置には特に制限はなく、施工現場等に応じて適宜選定されるが、その間隔が狭い方がより平面的な打設面が得られる。
第1の袋状部2には注入口(図示せず)が設けられており、ここからモルタルやコンクリート11等が第1の袋状部2の上層布6と下層布7で形成される空隙、および第2の袋状部3で形成される空隙に同時打設される。
第2の袋状部3は一層布帛9で構成され、1枚の布を縫合して袋状に形成してもよいし、複数の布を縫合して袋状に形成してもよい。
その断面は、特に限定されるものではないが、例えば円形や多角形である。法面に配され、モルタルやコンクリート11が打設された状態において、上側が平らな面となることが好ましい。ここでは、断面を長方形状とした場合を例に挙げている。
図3に示すように、複数の第2の袋状部3は、モルタルやコンクリート11が打設された後において、突起部12となり、法面21をよじ登るための手掛かりまたは足掛かりとなる。
複数の第2の袋状部3は、敷設された場合の上下方向に並んで配されている。複数の第2の袋状部3、ひいては複数の突起部12を上下方向に配することで、この突起部12を上へ順に伝って登ることができる。複数の突起部12は、図4(A)に示すように縦に配置して階段状とすることもできるし、図4(B)に示すように斜めに配置する等、適度に配置することができる。
また、隣接する突起部12間のピッチは、上下方向で例えば50cm程度とする。狭すぎるとその分、第2の袋状部3の数が多くなり、布やモルタル等の材料費が増大してしまう。広すぎると、第2の袋状部3を足掛かりとして斜面を登るのが困難となる。
図5〜図7は、第2の袋状部3とポイント部4との配置を変え、モルタルを打設した場合の、第2の袋状部3の膨らみ方の違いを示す図である。
図5(A)に示すように、第2の袋状部3の上面中央部の直近にポイント部4が配されている場合、図6(A)および図7(A)に示すようにモルタルやコンクリート11を充填した際に、ポイント部4で拘束されることにより中央部での布の膨らみが抑制され、特に上面が膨らみすぎることなく形を平らに整えることができ、登りやすい突起部12を形成することができる。
図5(B)に示すように、第2の袋状部3の上面中央部の直近にポイント部4がない場合、図6(B)および図7(B)に示すようにモルタルやコンクリート11を充填した際に、布が拘束されずに中央部が丸く膨らんでしまい、足をかける上面の形状が安定せず、登りづらいものとなってしまう。
糸の強伸度は、経糸、緯糸ともにほぼ同じ特性を示す糸を使うのが好ましい。これは打設時に袋体の伸び変形を略同一とするためである。一般には袋体の布帛強度は150kg/3cm巾を下限として織物設計、生産管理をすることにより打設施工現場での布帛強度が得られる。
第2の袋状部3は、経糸および緯糸で製織された一重織物の布からなり、第1の袋状部2の上層布6および下層布7と同じ布を用いることができる。
第1の袋状部2および第2の袋状部3は、電子ジャカード装置を内蔵したレピア織機、その他公知の織機、例えばドビー、タペット、機械的ジャカード、ジェット織機等により製織することができる。
なお、布製型枠1の内部にモルタルまたはコンクリート11を注入すると布製型枠1が幾分縮むので、この縮み分を考慮して布製型枠1(第1の袋状部2および第2の袋状部3)の大きさを設計する。
つぎに、本発明の布製型枠の他の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態の布製型枠の他の形態を示す図である。
本実施形態の布製型枠1B(1)において、第1の袋状部2は、複数の島状の一層布帛部14を二層布帛5に所定の間隔で形成した袋体からなる。この袋体は、経糸および緯糸を用いて上層布6と下層布7からなる二層布帛(二重織物)5を製織する際に、複数の島状の一層布帛部14を所定の間隔で形成させることにより得られる。一層布帛部14は、図1におけるポイント部4と同様に、例えば千鳥状に配置される。
この袋体は、経糸および緯糸を用いて上層布6と下層布7からなる二層布帛(二重織物)5を製織する際に、複数の島状の一層布帛部14を所定の間隔で形成させることにより得られる。
第2の袋状部3の上面中央部の直近に、一層布帛部14が配されている。モルタルやコンクリート11を充填した際に、一層布帛部14で拘束されることにより中央部での布の膨らみが抑制され、特に上面が膨らみすぎることなく形を平らに整えることができ、登りやすい突起部12を形成することができる。
本実施形態の布製型枠1B(1)の構成は、第1の袋状部2に部分的に形成されるポイント部4と一層布帛部14との違い以外は、上述した第1実施形態の布製型枠1A(1)とほぼ同様であるので、詳細な説明は省略する。
本発明の法面保護工法は、上述した布製型枠1を用いた法面保護工法であって、
以下の工程:
(1)布製型枠1を法面に敷設する工程と、
(2)布製型枠1の第1の袋状部2及び第2の袋状部3の内部にモルタルまたはコンクリート11を打設する工程と、を有する。
以下、詳細に説明する。
図3に示すように、ため池20等の法面21に、布製型枠1を、上層布6側を上側(表側)として敷設する。
布製型枠1を法面21に敷設する前に、施工場所の法面の成形を行うことが好ましい。法面成形は、主に、例えばため池の土手の場合には、計画断面図に基づいて切土や盛土を行い、地盤の凹凸をなくし、木、草、根などを除去する。
また、保護すべき法面がある程度以上大きい場合に、所定の大きさの布製型枠1のユニットを複数準備して施工場所へ運搬し、現地にて施工場所の形状等を確認しながら、布製型枠1のユニットを適宜組み合わせて、施工場所の法面の大きさや形状に合わせて布製型枠1を形成してもよい。
位置合わせをしながら、例えば法面天端に懸垂支持用の単管パイプを打設し、この単管パイプに布製型枠1を通して懸垂させる等、所定の方法により法面21上に布製型枠1を敷設し、固定する。
敷設工程の後、上層布6と下層布7との間に、流動性のある(未固化状態の)モルタルまたはコンクリート11を注入する。その後、布製型枠1に注入したモルタルまたはコンクリート11が固化するまで現場を保全し、固化に必要な温度の管理や防水の管理などを行うことにより、該モルタルまたはコンクリート11を固化させる。
布製型枠1の第1の袋状部2及び第2の袋状部3の内部にモルタルまたはコンクリート11を充填した後であって、モルタルまたはコンクリート11が固まる前に、第2の袋状部3にて形成される突起部12を貫通するように、異形鉄筋13を打ち込むことが好ましい。これにより、形成される突起部12の強度を高めることができ、例えば突起部12に体重がかかることによる突起部12の折れを防止することができる。
また、本発明の法面保護工法によれば、布製型枠1をなす第1の袋状部2に、突起部12となる第2の袋状部3を一体的に設けていることにより、布製型枠1にモルタルまたはコンクリート11を注入することで、法面保護工10と同時に突起部12も形成されるので、一度に施工が完了する。これにより別工程にて別部材(鉄筋、手摺、擬木等)を用いた突起部、手すり、階段等を設ける必要がなく、工程およびコストが削減できる。
なお、上述した説明では、ため池等の水際における法面保護工に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常の法面保護工においても、管理等のための昇降の安全対策として適用することが可能である。法面保護工の管理において、この突起部を足掛かりとして昇降することができる。
2 :第1の袋状部
3 :第2の袋状部
4 :ポイント部
5 :二層布帛
6 :上層布
6a :開口部
7 :下層布
8 :結接糸
9 :一層布帛
10 :法面保護工
11 :モルタルまたはコンクリート
12 :突起部
13 :異形鉄筋
14 :一層布帛部
20 :ため池
21 :法面
Claims (6)
- 法面に沿って配され法面保護に用いられる布製型枠であって、
二層布帛が部分的に結接糸で接続されてなる島状のポイント部を、所定の間隔で千鳥状に複数配した袋体からなる第1の袋状部と、
前記第1の袋状部に空間的に連結し、該第1の袋状部の一面から突出するように、縫製加工または製織にて該第1の袋状部に一体化された、複数の第2の袋状部と、を有し、
複数の前記第2の袋状部は、前記法面に施工された場合の該法面に沿った上下方向に並んで配されており、
前記ポイント部は、上下方向で隣接する2つの前記第2の袋状部の間に、横方向で2列または3列に配されるとともに、少なくとも、該第2の袋状部の幅方向中央部の上側に配されており、
前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設された後において、前記複数の第2の袋状部は、前記第1の袋状部の上面に対して突出した突起部となり、該突起部は前記法面をよじ登るための手掛かりまたは足掛かりとなることを特徴とする布製型枠。 - 法面に沿って配され法面保護に用いられる布製型枠であって、
複数の島状の一層布帛部を、二層布帛に所定の間隔で千鳥状に形成した袋体からなる第1の袋状部と、
前記第1の袋状部に空間的に連結し、該第1の袋状部の一面から突出するように、縫製加工または製織にて該第1の袋状部に一体化された、複数の第2の袋状部と、を有し、
複数の前記第2の袋状部は、前記法面に施工された場合の該法面に沿った上下方向に並んで配されており、
前記一層布帛部は、上下方向で隣接する2つの前記第2の袋状部の間に、横方向で2列または3列に配されるとともに、少なくとも、該第2の袋状部の幅方向中央部の上側に配されており、
前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設された後において、前記複数の第2の袋状部は、前記第1の袋状部の上面に対して突出した突起部となり、該突起部は前記法面をよじ登るための手掛かりまたは足掛かりとなることを特徴とする布製型枠。 - 請求項1または2に記載の布製型枠が用いられてなる法面保護工であって、
法面に敷設された前記布製型枠の内部にモルタルまたはコンクリートが打設されてなり、前記第1の袋状部の上面に対して突出した、前記第2の袋状部にて形成される複数の突起部を有し、該突起部の上面中央部が平らになされていることを特徴とする法面保護工。 - 前記突起部を貫通するように異形鉄筋が打ち込まれている、請求項3に記載の法面保護工。
- 請求項1または2に記載の布製型枠を用いた法面保護工法であって、
以下の工程:
(1) 前記布製型枠を法面に敷設する工程と、
(2) 前記布製型枠の第1の袋状部及び第2の袋状部の内部にモルタルまたはコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする法面保護工法。 - 前記工程(2)において、前記布製型枠の第1の袋状部及び第2の袋状部の内部にモルタルまたはコンクリートを充填した後であって、該モルタルまたはコンクリートが固化する前に、前記第2の袋状部にて形成される突起部を貫通するように異形鉄筋を打ち込む、請求項5に記載の法面保護工法。
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