JP6715128B2 - ロッカアームユニット - Google Patents

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Description

本発明は、ロッカアームユニットに関する。
特許文献1に開示のロッカアームユニットは、自動車の内燃機関の動弁装置を構成するものであって、ラッシュアジャスタ、ロッカアーム及びクリップを備えている。ラッシュアジャスタは、シリンダヘッドの取付孔に挿入される筒状のボディと、ボディに挿入され、ボディの軸方向に往復摺動するプランジャとを有している。プランジャの周壁にはプランジャ孔(プランジャ油孔)が開口し、ボディの周壁にはボディ孔(ボディ油孔)が開口している。また、プランジャ内には低圧室が区画され、プランジャの底壁とボディとの間には高圧室が区画されている。オイル流路からの作動油は、プランジャ孔及びボディ孔を通して低圧室と高圧室とに出入りするようになっている。ロッカアームは、長さ方向の一端部(第1端部)がプランジャの頂部に支持されて、プランジャの頂部を支点として揺動し、その揺動変位に基づいてバルブを開閉する。ここで、プランジャが油圧変動に応じてボディから出没する量を変更することにより、バルブクリアランスを自動調整することが可能とされている。
ところで、仮に、ラッシュアジャスタがその軸線を上下方向と交差する斜め方向に向けて設置される場合に、プランジャがボディに対して沈み込んだ状態(いわゆる底付き状態)で自動車が停車すると、その後の始動時に、プランジャがボディに対して伸び上がることによって、低圧室の空気が高圧室に吸い込まれることがあった。その結果、ラッシュアジャスタの機能(バルブクリアランスの自動調整機能)が損なわれる懸念があった。このようなエアの噛み込みは、停車時に、プランジャ孔とボディ孔とがいずれも下向きに開口した状態になることで、低圧室に貯留された作動油がプランジャ孔からボディ孔を経てオイル流路に多量に流出し、低圧室の空気量が増大することが要因としてあった。
これに対し、特許文献2に記載のものは、シリンダヘッド、プランジャ、ボディ間に、ピンが串刺し状態で貫通しており、シリンダヘッドに対するプランジャ、ボディの相対回転を規制することによって、上記プランジャ孔に対応する導入孔及び戻り孔が常に上向きに開口するように設定されていた。したがって、特許文献2によれば、エアの噛み込みに起因するラッシュアジャスタの機能低下を防止することができた。
特許第5241612号公報 特開2014−43803号公報
しかし、特許文献2の場合、シリンダヘッドにピンと係合する部分(長溝と称される部分)を加工しなければならず、製造が面倒であるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シリンダヘッドに加工を施すことなく、エアの噛み込みを防止することが可能なロッカアームユニットを提供することを目的とする。
本発明のロッカアームユニットは、シリンダヘッドの取付孔に挿入される筒状のボディと、前記ボディに挿入され、油圧変動に基づいて前記ボディに対して軸方向に往復摺動する筒状のプランジャとを有し、前記ボディの周壁に設けられたボディ油孔と前記プランジャの周壁に設けられたプランジャ油孔とを通して作動油が出入りするラッシュアジャスタと、前記プランジャの頂部を略支点として揺動し、その揺動変位に基づいてバルブを開閉するロッカアームと、を備えたロッカアームユニットであって、前記ロッカアーム側に直接又は間接的に回転規制面が設けられ、前記ラッシュアジャスタ側に直接又は間接的に回転規制受面が設けられ、前記回転規制面及び前記回転規制受面が互いに当接することにより、前記プランジャ油孔が上向きに開口した状態で、前記シリンダヘッドに対する前記ラッシュアジャスタの軸周りの回転が規制されるように設定され、前記プランジャ油孔は、前記プランジャの周壁において周方向に関して前記回転規制受面と異なる位置で、且つ、前記プランジャの周壁を、前記回転規制受面の面方向と平行な方向に貫通して設けられており、前記作動油が前記プランジャの内部に貯留された状態で前記プランジャ油孔の下縁の高さ位置に前記作動油の液面レベルが規定されるところに特徴を有する。
ロッカアーム側の回転規制面及びラッシュアジャスタ側の回転規制受面が互いに当接することにより、プランジャ油孔が上向きに開口した状態で、シリンダヘッドに対するラッシュアジャスタの軸周りの回転が規制されるため、シリンダヘッドに加工を施さなくとも、プランジャ内に十分な作動油を貯留することができ、エアの噛み込みを防止することができる。なお、「上向き」は、重力方向が上下方向となる場合の上側であって、斜め上向きも含む概念である。
本発明の実施例1のロッカアームユニットが組み込まれた動弁装置の断面図である。 図1におけるラッシュアジャスタ及びその周辺の拡大図である。 図2の状態を異なる方向から見た図である。 プランジャの側面図である。 本発明の実施例2のロッカアームユニットの要部拡大図である。 本発明の実施例3のロッカアームユニットの要部拡大図である。 本発明の実施例4のロッカアームユニットの要部拡大図である。
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記回転規制面及び前記回転規制受面が互いに面接触可能な平坦面として構成されているとよい。これによれば、回転規制面及び回転規制受面の相互の接触面積を十分に確保することができ、ラッシュアジャスタの軸周りの回転を規制する信頼性を高めることができる。
前記ロッカアームがバルブとカムとの間にヨーイングを抑えた状態で設置されているとよい。ロッカアームはカムの動力がバルブに円滑に伝達されるようにヨーイングが抑えられた構造になっており、ロッカアームのヨーイング方向はラッシュアジャスタの軸周り方向に対応しているから、本構成は、かかるロッカアームの構造を利用し、ラッシュアジャスタの軸周りの回転を簡単に規制することができる。
<実施例1>
本発明の実施例1を図1〜図4によって説明する。ロッカアームユニット10は、自動車の内燃機関の動弁装置を構成するものであって、ロッカアーム11、ラッシュアジャスタ12及び取付部材13を備えている。
[動弁装置]
図1に示すように、シリンダヘッド80は、通気路81(吸気ポート又は排気ポート)と、通気路81に連通して外面に開口するステム孔82と、ステム孔82に間隔をあけて平行に配置され、外面に開口する取付孔83とを有している。ステム孔82及び取付孔83は、上下方向に対して水平に近い状態に傾斜して配置されている。
ステム孔82には通気路81に臨む通気口84を開閉するためのバルブ85が往復移動可能に挿入されている。バルブ85は、バルブスプリング87の付勢力によって通気口84を閉じ、カム88の動力が伝達されてバルブスプリング87が弾縮されることで通気口84を開くように動作する。取付孔83には、ラッシュアジャスタ12の後述するボディ14が軸周りの回転を許容された状態で挿入されている。取付孔83は、オイル流路90の途中部位に連通している。
[ラッシュアジャスタ]
ラッシュアジャスタ12は、取付孔83内にその軸線を上下方向に対して水平近くまで傾斜させた状態で、ステム孔82内におけるバルブ85のステム部86と平行に配置されている。このラッシュアジャスタ12は、取付孔83内に嵌合状態で挿入される有底円筒状のボディ14と、ボディ14内に往復摺動可能に挿入される有底円筒状のプランジャ15とを有している。
図2及び図3に示すように、ボディ14の周壁16は、軸方向に細長く延出する形態とされ、軸方向の途中部位に、ボディ油孔17が貫通して設けられている。ボディ油孔17は、ボディ14の周壁16を周回する外側周回溝18を介してオイル流路90と連通している。
プランジャ15の周壁19は、軸方向に細長く延出し、頂部21が半球状に窄まる形態になっている。プランジャ15の頂部21は、ロッカアーム11の後述する支承受部22を支承し、支承受部22に摺動可能とされている。頂部21の頂端中央には、貫通孔23が軸方向に貫通して設けられている。
プランジャ15の周壁19は、軸方向の途中部位に、プランジャ油孔24が貫通して設けられている。プランジャ油孔24は、プランジャ15の周壁19を周回する内側周回溝25を介してボディ油孔17に連通している。
図4に示すように、プランジャ15の周壁19は、頂部21寄りの位置に、二面幅状に切欠された形態の一対の係合受部26が凹設されている。両係合受部26は、周方向に関してプランジャ油孔24と異なる位置に配置されている。両係合受部26には、取付部材13の後述する係合部27が係合可能とされている。両係合受部26の奥面は、互いに平行に配置される回転規制受面28として構成される。回転規制受面28は、プランジャ油孔24の貫通方向とほぼ平行に延出する平坦なストレート面になっている。両係合受部26の頂部21寄りの端面は、取付部材13の抜け出しを規制する抜出規制面29として構成される。
図2及び図3に示すように、プランジャ15の内部は低圧室30として構成される。ボディ14の内底部は、プランジャ15の底壁31との間に区画された高圧室32として構成される。プランジャ15の底壁31の中央には、低圧室30と高圧室32とに連通する弁孔33が貫通して設けられている。オイル流路90を流れる作動油は、ボディ油孔17からプランジャ油孔24を経て低圧室30に貯留され、さらに弁孔33を通して高圧室32に充填される。
高圧室32には、リテーナ34、第1バネ35、弁体36及び第2バネ37が収容されている。リテーナ34は、籠状をなし、内部に、弁体36及び第2バネ37が配置されている。リテーナ34は、第1バネ35によってプランジャ15の底壁31に押し当てられている。弁体36は、第2バネ37によって弁孔33を閉じる方向に付勢されている。
プランジャ15に対してロッカアーム11側から下向き(詳細には斜め下向き)の押圧力が作用する状態では、弁体36が底壁31に当接して弁孔33を閉じることにより、高圧室32内を密閉状態となし、高圧室32内に充填されている作動油によってプランジャ12の下降が阻止される。また、プランジャ15が上昇して高圧室33内の容積が増加すると、弁体36がプランジャ15に対して相対的に下降して弁孔33を開き、作動油が低圧室30から高圧室32内に流入して、高圧室32内に作動油が満たされた状態が保たれる。そして、プランジャ15の上昇が停止すると、弁体36が第2バネ37の付勢によって底壁31に当接して弁孔33が閉じられ、高圧室32内が作動油で満たされた密閉状態となる。この場合、低圧室30に貯留される作動油の上面は、プランジャ油孔24の下縁とほぼ同じ高さ位置に揃えられる。
[ロッカアーム]
図1に示すように、ロッカアーム11は、バルブ85のステム部86とプランジャ15の頂部21との間に架け渡され、上下方向及び前後方向に対して傾斜して配置されている。具体的には、ロッカアーム11は、間隔をあけて互いに平行に配置される一対の対向壁38(図3を参照)と、両対向壁38のバルブ85側の端部間に架設されるバルブ当接部39と、両対向壁38のプランジャ15側の端部間に架設される支承受部22とを一体に有している。
支承受部22は、半球状に膨出する形態とされ、内面がプランジャ15の頂部21に摺動可能に当接している。バルブ当接部39は、凹曲状に湾曲する形態とされ、ステム部86の頂端に押圧可能に当接している。両対向壁38のうち、バルブ当接部39に連なる部分は、ステム部86の頂端寄りの側面部分を覆う一対のガイド部41(図1で一方のみ図示)とされている。
両対向壁38間で且つ支承受部22とバルブ当接部39との間は、ローラ42が配置され、ローラ42は、両対向壁38間を貫通する軸部43に対して回転可能に支持されている。ローラ42は、カムシャフト89に設けられたカム88に接触している。軸部43及びカムシャフト89は、幅方向(図3の左右方向であって、ラッシュアジャスタ12の軸方向と直交する方向)に互いに平行に配置され、ローラ42の外周面及びカム88の外周面は、幅方向に沿って接触するように構成されている。
ロッカアーム11は、カム88の回転に応じてラッシュアジャスタ12の頂部21を支点としてバルブ85の軸方向に揺動し、バルブ当接部39がバルブスプリング87の付勢力に抗してバルブ85を押圧する力を変化させることにより、通気口84を開閉するように動作する。このロッカアーム11は、揺動時に両ガイド部41がステム部86にラップした状態が維持されることにより、バルブ85に対して幅方向(ヨーイング方向)に変位するのが規制されるようになっている。
[取付部材]
取付部材13は、金属板を曲げ加工等して一体に成形されたクリップであって、図3に示すように、プランジャ15の係合受部26に係合される係合部27と、係合部27から延出し、ロッカアーム11のプランジャ15側の端部に取り付けられる取付部44とからなる。係合部27は、略U字形をなし、板面を幅方向に沿わせつつロッカアーム11のプランジャ15側の端部底面に面接触可能に配置されるとともに、プランジャ15の外周を半周以上に亘って周り込むように配置される。
係合部27のうち、互いに対向する一対の側片部45は、プランジャ15の係合受部26に進入して係合可能とされている。この場合に、側片部45が係合受部26内で変位することにより、ロッカアーム11の揺動変位が許容されるようになっている。
両側片部45は、互いに平行なストレート状の内縁を有し、この内縁が支承受部22の内側に臨んでプランジャ15の係合受部26の回転規制受面28に沿って当接可能な回転規制面46として構成される。また、両側片部45のロッカアーム11側を向く一板面は、係合受部26の抜出規制面29に対面して当接可能に配置される。
取付部44は、取付部材13の幅方向両端部に対をなして配置され、係合部27の両側片部45の外縁から幅方向外側へ少し張り出し、その張り出し端から立ち上がったあと内側に折り曲げられ、さらに内側端部が跳ね上げられた形態とされている。ロッカアーム11のプランジャ15側の端部のうち、両対向壁38の部分は、両取付部44が取り付けられる一対の取付受部47として構成される。両取付部44は、両取付受部47を幅方向両側から抱持するようにしてロッカアーム11に取り付けられる。
[組み付け]
ラッシュアジャスタ12の頂部21がロッカアーム11の支承受部22に嵌入され、係合部27が係合受部26に係合して、取付部材13がラッシュアジャスタ12に変位可能に保持されるとともに、両取付部44が両取付受部47の底面、側面及び天面に沿って折り曲げられ、取付部材13がロッカアーム11に抱持固定される。これにより、ロッカアーム11とラッシュアジャスタ12とが取付部材13を介して実質的に一体化されたロッカアームユニット10が得られる。もっとも、取付部材13がロッカアーム11に取り付けられた後、ラッシュアジャスタ12の頂部21が係合部27の両側片部45を弾性的に拡開させながらロッカアーム11の支承受部22に嵌入され、嵌入されるに伴い両側片部45が弾性復帰して、取付部材13がラッシュアジャスタ12に保持されるものであってもよい。ここで、係合部27の両側片部45の一板面が係合受部26の抜出規制面29に当接することで、ロッカアーム11がラッシュアジャスタ12から離脱するのが阻止される。
続いて、ロッカアームユニット10が動弁装置に組み込まれる。ラッシュアジャスタ12がシリンダヘッド80の取付孔83に挿入されるとともに、ロッカアーム11のバルブ当接部39がバルブ85のステム部86の頂端に支持され、さらに、ローラ42にカム88が接触することにより、ロッカアームユニット10がカム88とバルブ85との間に挟まれた状態で設置される。
[作用]
カム88が回転し、ロッカアーム11がラッシュアジャスタ12の頂部21を支点として揺動すると、バルブ85がその軸方向に往復移動し、通気口84が開閉される。このとき、ロッカアーム11の揺動変位は、ガイド部41がバルブ85のステム部86とラップする状態に維持され、且つ、カム88の押圧方向がバルブ85の軸方向に沿う向きとなることから、バルブ85の軸方向に規定される。よって、ロッカアーム11のヨーイングが抑えられる。図3に示すように、係合部27の両側片部45の回転規制面46が両係合受部26の回転規制受面28にほぼ平行に対向して面接触状態で当接することにより、ラッシュアジャスタ12は、ロッカアーム11に対して回転規制された状態に保持され、ひいてはシリンダヘッド80に対して軸周りの回転を規制された状態に配置される。
図2に示すように、作動油は、低圧室30に貯留された状態でプランジャ油孔24の下縁の高さ位置にその液面レベルが規定される。本実施例1の場合、ラッシュアジャスタ12が軸線を水平に近い斜め方向に向けて配置されることから、低圧室30内の作動油の液面がラッシュアジャスタ12の軸線に対して斜めに交差することになる。
従来においては、仮に、内燃機関の停止時、プランジャ15がボディ14に対して沈み込んだ底付き状態となり、プランジャ油孔24が周壁19の内面から外面にかけて下側へ向かうように下向きに開口し、さらにボディ油孔17も下向きに開口していると、低圧室30内の作動油がプランジャ油孔24からボディ油孔17を経てオイル流路90へと多量に流出し、ラッシュアジャスタ12の機能低下を来たすおそれがあった。
その点、本実施例1の場合、上述したように、係合部27の両側片部45が両係合受部26に係合することで、ラッシュアジャスタ12の軸周りの回転が規制され、その状態で、図2に示すように、プランジャ油孔24が周壁19の内面から外面にかけて上側へ向かうように上向き(斜め上向きを含む)に開口するように設定されている。つまり、プランジャ油孔24は、ラッシュアジャスタ12がシリンダヘッド80に組み込まれた状態で常に作動油の液面よりも高い位置にあって上方へ向けて開口している。このため、低圧室30には十分な量の作動油が貯留される。
その後の内燃機関の始動時に、プランジャ15が第1バネ35により付勢されて一気に伸び上がり、弁体36が弁孔33を開いて、低圧室30内の作動油が弁孔33から高圧室32に移行する。このとき、低圧室30内に十分な量の作動油が貯留されているため、高圧室32にエアが吸い込まれる事態が回避される。その結果、ラッシュアジャスタ12の機能が適正に発揮されるとともに、エア噛みに起因する異音の発生を防止することができる。
また、本実施例1の場合、ロッカアーム11に取付部材13が取り付けられることでロッカアーム11側に間接的に設けられた回転規制面46と、ラッシュアジャスタ12側に直接的に設けられた回転規制受面28とが、互いに面接触可能な平坦面として構成されているため、回転規制面46及び回転規制受面28の相互の接触面積を十分に確保することができ、ラッシュアジャスタ12の軸周りの回転を規制する信頼性を高めることができる。
さらに、本実施例1の場合、ロッカアーム11がバルブ85とカム88との間にヨーイングを抑えた状態で設置され、ロッカアーム11に取付部材13が取り付けられ、回転規制面46が取付部材13に設けられているから、ロッカアーム11のヨーイング抑制構造を利用し、ロッカアーム11に取付部材13を取り付けるだけの簡単な作業で、ラッシュアジャスタ12の軸周りの回転を規制することができる。しかも、ロッカアーム11に特別な加工を施す必要もない。
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2を示す。実施例2の場合、ロッカアームユニット10から取付部材13が省略され、ラッシュアジャスタ12及びロッカアーム11が互いに分離可能な状態になっている。
回転規制面46Aは、ロッカアーム11側に直接的に設けられ、具体的には、ロッカアーム11のプランジャ15側の端部のうち、両対向壁38のうちの一方の対向壁38Aにおいて図示下向きに突出したあと内側へ屈曲する突出部48の内端面に設けられている。回転規制面46Aは、支承受部22の内側に臨み、ラッシュアジャスタ12の軸方向に沿い、且つロッカアーム11の長さ方向に延出する平坦なストレート面として構成されている。
回転規制受面28Aは、ラッシュアジャスタ12側に直接的に設けられ、具体的には、プランジャ15の周壁19における頂部21寄りの位置に切欠された形態の係合受部26Aの奥面に設けられている。係合受部26Aは、周方向に関してプランジャ油孔24と異なる位置に1つだけ配置されている。回転規制受面28Aは、プランジャ油孔24の貫通方向とほぼ平行に延出する平坦なストレート面として構成されている。係合受部26Aの頂部21寄りの端面は、奥面から外側へ向けて拡開する逃がし面49になっている。
組み付けに際し、プランジャ15の頂部21がロッカアーム11の支承受部22に対して逃がし面49を突出部48に摺動させつつ斜め姿勢の状態で嵌入される。プランジャ15の頂部21がロッカアーム11の支承受部22に正規に嵌入されると、回転規制面46Aが回転規制受面28Aにほぼ平行に対向して面接触可能に配置される。このため、ラッシュアジャスタ12は、ロッカアーム11に対して回転規制された状態に保持され、シリンダヘッド80に取り付けられた状態では、シリンダヘッド80に対する軸周りの回転が規制される。また、図示はしないが、シリンダヘッド80に対するラッシュアジャスタ12の軸周りの回転が規制されたときに、プランジャ油孔24が上向きに開口し、低圧室30内に作動油を十分に確保することが可能となり、実施例1と同様の効果を奏することができる。
<実施例3>
図6は、本発明の実施例3を示す。実施例3の場合、取付部材13Bが、実施例1の取付部材13とは異なる形態であって、実施例1と違って、ラッシュアジャスタ12のプランジャ15に取り付けられている。
回転規制面46Bは、ロッカアーム11側に直接的に設けられ、具体的には、ロッカアーム11のプランジャ15側の端部のうち、両対向壁38のうちの一方の対向壁38Bにおいて図示下向きに突出する突出部48Bの内側面に設けられている。回転規制面46Bは、ラッシュアジャスタ12の軸方向に沿い、且つロッカアーム11の長さ方向に延出する平坦なストレート面として構成されている。
取付部材13Bは、ほぼ円環状をなし、プランジャ15の周壁19における頂部21寄りの位置に周設された環状溝51に嵌着して固定される。取付部材13Bの周方向の一箇所には、基台部52が膨出して設けられている。回転規制受面28Bは、ラッシュアジャスタ12側に取付部材13Bを介して間接的に設けられ、具体的には、基台部52の平坦な突出端面に設けられ、プランジャ15の貫通方向と平行に配置される。
プランジャ15の頂部21がロッカアーム11の支承受部22に嵌入されると、基台部52の外側に突出部48Bが配置され、回転規制面46Bが回転規制受面28Bにほぼ平行に対向して面接触可能に配置される。また、図示はしないが、シリンダヘッド80に組み付けられると、シリンダヘッド80に対するラッシュアジャスタ12の軸周りの回転が規制され、プランジャ油孔24が上向きに開口し、低圧室30内に作動油を十分に確保することが可能となり、実施例1と同様の効果を奏することができる。
<実施例4>
図7は、本発明の実施例4を示す。実施例4の場合、取付部材13Cが、実施例1の取付部材13とは異なる形態とされ、実施例1と同様、ロッカアーム11に取り付けられている。
ロッカアーム11のプランジャ15側の端部のうち、両対向壁38のうちの一方の対向壁38Cには、図示下向きに突出する突出部48Cが設けられ、突出部48Cに、断面矩形の装着孔53が貫通して設けられている。
取付部材13Cは、角柱状をなし、装着孔53に差し込まれて突出部48Cに取り付け固定される。回転規制面46Cは、ロッカアーム11側に取付部材13Cを介して間接的に設けられ、具体的には、取付部材13Cの平坦な内端面に設けられ、プランジャ15の貫通方向と平行に配置される。
回転規制受面28Cは、実施例2と同様であって、ラッシュアジャスタ12側に直接的に設けられ、具体的には、プランジャ15の周壁19における頂部21寄りの位置に切欠された形態の係合受部26Cの奥面に設けられている。係合受部26Cは、周方向に関してプランジャ油孔24と異なる位置に1つだけ配置されている。回転規制受面28Cは、プランジャ油孔24の貫通方向とほぼ平行に延出する平坦なストレート面として構成されている。係合受部26Cの頂部21寄りの端面は、ラッシュアジャスタ12の軸方向の直交する方向に沿って配置されている。
組み付けに際し、プランジャ15の頂部21がロッカアーム11の支承受部22に嵌入されると、係合受部26Cが突出部48Cと対向して配置される。その状態で、取付部材13Cが装着孔53に外側から差し込まれて固定される。すると、回転規制面46Cが回転規制受面28Cにほぼ平行に対向して面接触可能に配置される。図示はしないが、シリンダヘッド80に組み付けられると、シリンダヘッド80に対するラッシュアジャスタ12の軸周りの回転が規制され、プランジャ油孔24が上向きに開口し、低圧室30内に作動油を十分に確保することが可能となり、実施例1と同様の効果を奏することができる。実施例4の場合、取付部材13Cがロッカアーム11に後差しされて取り付けられるから、逃がし面49を設ける必要がなく、ロッカアーム11がプランジャ15から離脱するのを取付部材13Cによって確実に阻止することができる。
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)ラッシュアジャスタは、シリンダヘッドに対して軸心を水平方向に向けた水平姿勢又は頂部を下向きにした倒立姿勢をとって設置されるものであってもよい。
(2)プランジャの周壁に突出部が一体に設けられ、回転規制受部が突出部の突出端面に設けられる構成であってもよい。
10…ロッカアームユニット
11…ロッカアーム
12…ラッシュアジャスタ
13、13B、13C…取付部材
14…ボディ
15…プランジャ
16…ボディの周壁
17…ボディ油孔
19…プランジャの周壁
21…頂部
24…プランジャ油孔
28、28A、28B、28C…回転規制受面
46、46A、46B、46C…回転規制面
80…シリンダヘッド
83…取付孔
85…バルブ

Claims (3)

  1. シリンダヘッドの取付孔に挿入される筒状のボディと、前記ボディに挿入され、油圧変動に基づいて前記ボディに対して軸方向に往復摺動する筒状のプランジャとを有し、前記ボディの周壁に設けられたボディ油孔と前記プランジャの周壁に設けられたプランジャ油孔とを通して作動油が出入りするラッシュアジャスタと、
    前記プランジャの頂部を略支点として揺動し、その揺動変位に基づいてバルブを開閉するロッカアームと、を備えたロッカアームユニットであって、
    前記ロッカアーム側に直接又は間接的に回転規制面が設けられ、前記ラッシュアジャスタ側に直接又は間接的に回転規制受面が設けられ、前記回転規制面及び前記回転規制受面が互いに当接することにより、前記プランジャ油孔が上向きに開口した状態で、前記シリンダヘッドに対する前記ラッシュアジャスタの軸周りの回転が規制されるように設定され、
    前記プランジャ油孔は、前記プランジャの周壁において周方向に関して前記回転規制受面と異なる位置で、且つ、前記プランジャの周壁を、前記回転規制受面の面方向と平行な方向に貫通して設けられており、
    前記作動油が前記プランジャの内部に貯留された状態で前記プランジャ油孔の下縁の高さ位置に前記作動油の液面レベルが規定されることを特徴とするロッカアームユニット。
  2. 前記回転規制面及び前記回転規制受面が互いに面接触可能な平坦面として構成されている請求項1記載のロッカアームユニット。
  3. 前記ロッカアームがバルブとカムとの間にヨーイングを抑えた状態で設置されている請求項1又は2記載のロッカアームユニット。
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