JP6713674B1 - 二輪式移動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗員を外部から水密に離隔した状態で陸上及び水上を移動することができる二輪式移動装置を提供する。【解決手段】開閉可能な乗り込み口を有し自装置が水上で移動する場合の喫水線よりも高い高さまで水密に構成され乗員を内部に外部から離隔して収容する車室と、回転駆動されるインペラを備え自装置を水上で移動させる推進手段と、自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段と、自装置の陸上での傾きを補正する傾き補正手段及び自装置の水上での減揺を行なうとともに水上で自装置が停止した状態で乗員が車室に乗り込む際に、乗り込み口が喫水線よりも低くならないように自装置の傾きを抑制する減揺手段と、姿勢検知手段の検知値に基づいて傾き補正手段の作動と減揺手段の作動を切り替える姿勢制御手段と、を備えた。【選択図】図9

Description

本発明は、二輪式移動装置に関する。
フレームと、フレームに連結されるハウジングと、フレームに連結される一つの前輪及び一つの後輪と、フレームに連結されるジャイロ装置とを含み、ジャイロ装置は、フライホイールと、制御システムを含み、制御システムは、二輪式電気自動車を始動したがまだ走行していない期間、通常の走行の期間、またはコーナリングの期間に、フライホイールの歳差運動の角速度を制御することにより、二輪式電気自動車の車体のバランスを維持する二輪式電気自動車が知られている(特許文献1)。
電気自動車であって、前輪と、前輪を駆動する電気モータと、電気モータに電力を供給するバッテリーと、後輪と、車室の床面を有する床壁と、床壁の周縁部に接続され床壁から上方側に向かって延び床壁の周縁部に沿って床壁を囲む周壁と、を含む車室形成部と、前輪と後輪と車室形成部とを支持する金属製のフレームと、を備え、周壁は、乗り降りのための開口のうちの少なくとも下側の一部分である対象開口を形成し、電気自動車は、さらに、対象開口を開閉可能なドア部材を備え、電気自動車の左右方向と平行な方向に前輪と電気モータと後輪とバッテリーとを投影した場合に、電気モータは、電気モータの少なくとも一部分が前輪と重なる位置に配置され、バッテリーは、バッテリーの少なくとも一部分が後輪と重なる位置に配置され、電気自動車の重心は、軽荷状態と満載状態とのそれぞれにおいて、喫水線よりも低く、かつ、重心の電気自動車の前後方向の位置が前輪と後輪との間に配置されている、電気自動車も知られている(特許文献2)。
特表2017−5345008号公報 特許第6019337号公報
本発明は、乗員を外部から水密に離隔した状態で陸上及び水上を移動することができる二輪式移動装置を提供する。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の二輪式移動装置は、
陸上及び水上で移動可能な二輪式移動装置であって、
開閉可能な乗り込み口を有し自装置が水上で移動する場合の喫水線よりも高い高さまで水密に構成され乗員を内部に外部から離隔して収容する車室と、
回転駆動されるインペラを備え前記自装置を水上で移動させる推進手段と、
前記自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段と、
前記自装置の重心方向に平行な回転軸を有し回転可能なフライホイールと、前記フライホイールを囲うとともに前記回転軸の両端部を支持し、前記回転軸に交差する一対のジンバル軸を中心として傾動可能なジンバルと、を備え、前記ジンバル軸が、前記自装置の移動方向と平行方向及び交差方向に切り替え可能に構成され、前記自装置の陸上での傾きを補正する傾き補正手段及び前記自装置の水上での減揺を行なうとともに水上で前記自装置が停止した状態で前記乗員が前記車室に乗り込む際に、前記フライホイールを予め定められた回転数よりも高い回転数で回転させ前記乗り込み口が喫水線よりも低くならないように前記自装置の傾きを抑制する減揺手段と、
前記姿勢検知手段の検知値に基づいて前記傾き補正手段の作動と前記減揺手段の作動を切り替える姿勢制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の二輪式移動装置において、
前記姿勢制御手段は、前記姿勢検知手段で検知された前記自装置のロール角変位量に基づいて前記ジンバル軸を前記自装置の移動方向と交差する方向に配置した状態で前記ジンバルを傾動させて前記傾き補正手段の作動を有効にする、
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の二輪式移動装置において、
前記姿勢制御手段は、前記姿勢検知手段で検知された前記自装置のピッチ角変位量及びロール角変位量に基づいて一方の前記ジンバル前記自装置の移動方向と平行方向に回転させるとともに前記ジンバルを傾動させて前記減揺手段の作動を有効にする、
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の二輪式移動装置において、
前記ジャイロ装置の少なくとも1つは、前記回転軸が前記自装置の移動方向と平行方向となるように前記ジンバル軸を回転中心として回転し、前記フライホイールの前記回転軸が前記推進手段の前記インペラの回転軸に接続される、
ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、水上での乗員の乗り込み動作を容易にするとともに乗員を外部から水密に離隔した状態で陸上及び水上を移動することができる。
請求項に記載の発明によれば、自装置を陸上で不倒に維持することができる。
請求項に記載の発明によれば、自装置を水上で転覆しないようにすることができる。
請求項に記載の発明によれば、推進手段を小型化するとともに安価にすることができる。
本実施形態に係る二輪式移動装置を示す側面模式図である。 車室の構成を左右のドアを不図示にして示す側面模式図である。 後輪の駆動を説明する断面模式図である。 噴流吐出装置の構成を示す断面模式図である。 変形例に係る噴流吐出装置の構成を示す断面模式図である。 ジャイロ装置の構成を示す図である。 陸上における傾き補正手段としてのジャイロ装置の配置を示す図である。 水上における減揺手段としてのジャイロ装置の配置を示す図である。 移動装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 地上における傾き補正動作を説明するブロック図である。 地上における移動装置の停止状態を説明する図である。 地上における移動装置の左折または右折走行を説明する図である。 水上における減揺動作を説明するブロック図である。 水上における移動装置のロール抑制を説明する図である。 水上における移動装置のピッチ抑制を説明する図である。 水上における移動装置への乗り込みを説明する図である。 水上での設定された目標ルートに沿った移動を行う際に制御装置で実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
(1)二輪式移動装置の全体構成
図1は本実施形態に係る二輪式移動装置1を示す側面模式図、図2は車室20の構成を左右のドア22A、22Bを不図示にして示す側面模式図、図3は後輪の駆動を説明する断面模式図、図4は噴流吐出装置50の構成を示す断面模式図、図5は変形例に係る噴流吐出装置50Aの構成を示す断面模式図、図6はジャイロ装置60の構成を示す図、図7はである。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る二輪式移動装置1の構成について説明する。
二輪式移動装置1は、図1に示すように、フレーム10に取り付けられた車室20と、前輪30と、後輪40と、推進手段の一例としての噴流吐出装置50と、を含んで構成されている。車室20内には、ハンドル26と、シート27が設けられ、フレーム10には、傾き補正手段及び減揺手段の一例としてのジャイロ装置60A、60Bと、電源装置70と、制御装置80とが固定されて配置されている。
このように構成される二輪式移動装置1(以下、「二輪式移動装置」を便宜上「移動装置」と記し、「自装置」と記すこともある)は、乗員を車室20内で外部から水密に離隔した状態で収容して陸上及び水上を移動することができるようになっている。
(車室)
車室20は、車室本体21と、左右のドア22A、22Bと、図1中、矢印で示すように、開閉することで乗り込み口23を外部から閉鎖するとともに、乗り込み口23を外部に開放する天蓋24を含んで構成されている。
図2に示すように、車室本体21には、上端から下方向に向かって延びる略矩形の切り欠き21aが形成され、左右のドア22A、22Bの開口の一部を形成している。陸上においては、左右のドア22A、22Bの開閉によって、乗員が開口から車室20内に乗り込み、また、車室20内から外部に降りることができる。切り欠き21aの縁には、切り欠き21aの縁に沿って延びるシール部材21bが固定されている。左右のドア22A、22Bが開口を閉じる場合、シール部材21bは、ドア22A、22Bと車室本体21との間を切り欠き21aの縁の全体に亘ってシールすることで、水上においては、喫水の範囲において車室20が水密に保たれる。
車室20は、水上においては、左右のドア22A、22Bが喫水線L1よりも高い高さまで水密に閉じられているために、乗員は、天蓋24を上方に向かって開くことで、乗り込み口23から車室20内に乗り込むことができる。
このように、車室20は天蓋24を有するともに喫水の範囲において水密に構成され、地震や大雨の災害時には、乗員を内部に外部から離隔して安全に収容するシェルターとして有効となる。
(前輪)
前輪30は、操舵輪であり、乗員によるハンドル26の操作に基づいて前輪30を操舵する操舵装置(不図示)を介してフレーム10に取り付けられている。
(後輪)
後輪40は、駆動輪であり、図3に示すように、ホイールの内側に配置されるインホイールモータである電気モータ41と、電気モータ41から後輪40の回転軸方向に向かって突出する駆動軸42と、駆動軸42の端部に固定されたハブ43と、ハブ43に接続されたホイール44と、ホイール44に装着されたタイヤ45と、駆動軸42を支持する支持部46と、ホイール44の側部の全体を覆うカバー47と、を含んでいる。カバー47は、支持部46に接続されている。また、電気モータ41は、支持部46に固定されている。
駆動軸42とハブ43とホイール44とタイヤ45とは、共通の中心軸を中心に回転可能であり、電気モータ41が回転駆動されることで、タイヤ45が回転駆動力を路面に伝達して移動装置1が地上で移動可能となっている。
(噴流吐出装置)
噴流吐出装置50は、駆動モータ51を備え、図4に示すように、その出力軸51Aが噴流吐出装置50の前後方向に沿って配置されている。出力軸51Aの出力端は、噴流吐出装置50のポンプ軸にプロペラ軸52を介して回転自在に連結されている。噴流吐出装置50のポンプ軸には、インペラ53が取り付けられ、インペラ53は、その外周方を筒体54により覆われている。
筒体54の底面には、吸水口55が設けられ、吸水口55から取り入れられた水を吸水通路を介してインペラ53へ送り込み、送り込まれた水を駆動モータ51の回転駆動によりインペラ53が回転することで加圧・加速して噴流を生じさせる。噴流は、通水断面積が後方へいくに従って小さくされたノズル(噴出部)56を通じてその後端の噴射口57から吐出され推進力を得るようになっている。
ノズル56の後方には、揺動軸(不図示)により左右に揺動可能にステアリングノズル58が設けられ、ハンドル26と連動することで、乗員がハンドル26を時計方向又は反時計方向に回動操作することにより、ステアリングノズル58を揺動させて、噴流吐出装置50が推進力を発生させている間、移動装置1を水上で所望する方向に航行することができるようになっている。
(変形例)
図5に示すように、変形例に係る噴流吐出装置50Aは、プロペラ軸52の一端にはプーリ52Aが取り付けられ、プーリ52Aは、ベルトBTを介してプーリ52Bに回転自在に連結されている。プーリ52Bは、一端に接続フランジ52Baを備え、後述するジャイロ装置60Bのフライホイール61の回転軸61aに接続されている。
ジンバル軸62a、62bが移動装置1の移動方向と交差(直交)する方向に配置されたジャイロ装置60Bは、傾動モータM2の回転駆動により、回転軸61aが重力方向と交差(直交)するように回転し、回転軸61aが接続フランジ52Bbを介して接続フランジ52Baと接続可能な状態になる。これにより、噴流吐出装置50Aは、駆動モータが不要になり、小型化されるとともに安価とすることができる。
(ジャイロ装置)
図6(a)はジャイロ装置60の横断面模式図、(b)はジャイロ装置60の縦断面模式図、図7は陸上における傾き補正手段としてのジャイロ装置60の配置を示す図、図8は水上における減揺手段としてのジャイロ装置60の配置を示す図である。
ジャイロ装置60は、図6に示すように、移動装置1の重心方向(図6(b)中 矢印G参照)に平行な回転軸61aを有するフライホイール61と、フライホイール61を囲むとともに、回転軸61aの両端部を支持し、回転軸61aに垂直な一対のジンバル軸62a、62bを設けたジンバル62と、回転軸61aに連結フランジ63を介して連結されフライホイール61を高速回転させるフライホイールモータM1と、ジンバル62を傾動させる傾動モータM2と、ジンバル62の回転軸線となるジンバル軸線62cを移動装置1の移動方向に対して回転させるアクチュエータM3を備え、ジンバル軸線62cが、回転軸61aと交差(直交)し、移動装置1の移動方向と平行方向及び交差(直交)方向に回転可能に構成されている。
このように構成されるジャイロ装置60は、移動装置1が傾斜していない状態にあるときに、移動装置1の重心軸方向に平行になるように回転軸61aが調整されている。この回転軸61aを有するフライホイール61は、フライホイールモータM1で回転駆動される。尚、フライホイール61は、回転軸61aを固定子として、回転軸61aと回転軸61aの外側に形成される円筒部を回転子とするアウタロータ型モータとして構成してもよい。この場合、ジャイロ装置60を小型化することができる。
ジャイロ装置60は、ジンバル軸62aが移動装置1に対し回転可能に第1支持部材63Aにより支持されるとともに、ジンバル軸62bが傾動モータM2に連結され、傾動モータM2が第2支持部材63Bにより支持されている。これにより、ジンバル軸62bは、第2支持部材63Bによって移動装置1に対し傾動可能に支持された状態となる。傾動モータM2は、後述する姿勢検知手段の一例としてのジャイロセンサSR1からの制御信号に基づく回転トルクをジンバル軸62bに付与するものである。
第1支持部材63A及び第2支持部材63Bは、アクチュエータM3により移動装置1の移動方向と交差(直交)する回転軸線で回転可能に支持された台座64に固定されている。これにより、ジャイロ装置60は、ジンバル軸線62cが、移動装置1のロールを抑制するように作用する移動装置1の移動方向と交差(直交)方向、及び移動装置1のピッチを抑制するように作用する移動装置1の移動方向と平行方向のいずれかの向きをとることができる。
本実施形態においては、フライホイール61の回転数が所定の回転数以上であれば、陸上においては、図7に示すように、二つのジャイロ装置60A、60Bは傾き補正手段として、それぞれのジンバル軸線62cが、移動装置1の移動方向と交差(直交)方向になるように配置されている。
そして、移動装置1の傾きに応じて傾動モータM2を介してジンバル62を回転させる(図中 矢印R1参照)ことでジャイロモーメントMm1を発生させロールを抑制するとともに不倒に維持する。
また、水上においては、図8に示すように、二つのジャイロ装置60A、60Bは減揺手段として、ジャイロ装置60A、60Bの一方のジンバル軸線62cを移動装置1の移動方向と平行方向に回転させる。
そして、移動装置1の揺れに応じてそれぞれのジャイロ装置60A、60Bのジンバル62を回転させることでロールを抑制するジャイロモーメントMm1、ピッチを抑制するジャイロモーメントMm2を発生させ揺れを抑制するとともに乗り込み時の転覆を防止する。
(電源装置、制御装置)
電源装置70、制御装置80は、図1に示すように、前輪30と後輪40の間で、車室本体21の内部にカバー25で覆われて配置されている。制御装置80は、電源装置70の下方に配置されている。
電源装置70と制御装置80とは、電気ケーブルC1(不図示)によって接続され、制御装置80は後輪40を回転駆動する電気モータ41と電気ケーブルC2(不図示)で接続されている。電気ケーブルC2は、車室本体21に設けられた貫通孔(不図示)を通って制御装置80から電気モータ41に至る。この貫通孔には、防水用のシール剤が、充填されている。また、制御装置80とジャイロ装置60のフライホイールモータM1、傾動モータM2は、不図示の電気ケーブルC3によって接続され、噴流吐出装置50の駆動モータ51は不図示の電気ケーブルC4によって接続されている。電気モータ41L、駆動モータ51と、電気ケーブルC2、電気ケーブルC4とは、いずれも防水構造を含んでいる。
(2)移動装置の機能構成と動作
図9は移動装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。以下、ブロック図を参照しながら、移動装置1の機能構成と動作について説明する。
(2.1)制御装置の機能構成
移動装置1は、姿勢検知部81、姿勢制御部82、通信部83、航行制御部84、を含む制御装置80を備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、移動装置1全体の動作制御を行う。
姿勢検知部81は、移動装置1の姿勢を検知する姿勢検知手段の一例としてのジャイロセンサSR1が検出する移動装置1のロール角変位量、ピッチ角変位量を含む移動装置1の姿勢変位量を示す信号を取得し、移動装置1の地上における傾き及び水上における揺れを抑制するためにジャイロ装置60が必要な逆トルクを発生するようにフライホイールモータM1及び傾動モータM2の回転駆動制御量を決定する。
姿勢制御部82は、姿勢検知部81で決定されたフライホイールモータM1及び傾動モータM2の回転駆動制御量に基づいて、傾き補正手段の一例としてのジャイロ装置60からなる傾き補正装置601のフライホイールモータM1及び傾動モータM2の回転駆動制御と、減揺手段の一例としてのジャイロ装置60からなる減揺装置602のフライホイールモータM1、傾動モータM2及びアクチュエータM3の回転駆動制御と、を地上及び水上で切り替えて行う。
通信部83は、移動装置1に備えられたGPS受信器831によって提供される、自装置の移動方向、移動速度及び地理上の絶対位置を示す信号、及びスマートフォン等の外部機器Pから発せられる外部機器Pの位置情報を取得する。
航行制御部84は、通信部83を介して取得された自装置の移動方向、移動速度及び地理上の絶対位置、外部機器Pの位置情報に基づいて、自装置の現在位置と外部機器Pの位置を結ぶ水上における航行ルートを設定し、設定された目標ルートに沿って自装置が移動するように噴流吐出装置50の駆動制御を行う。
(2.2)陸上における傾き補正動作
図10は地上における傾き補正動作を説明するブロック図、図11は地上における移動装置1の停止状態を説明する図、図12は地上における移動装置1の左折または右折走行を説明する図である。
移動装置1は、図10に示すように、外部トルクTによる自装置の傾きであるロール角変位量ΦをジャイロセンサSR1で検知して、ジャイロ装置60によるジャイロモーメントMmを自装置の傾きに対するカウンタートルクとして作用させ姿勢安定化を図っている。
移動装置1は、停止状態にあるときには、図11(a)に示すように、自装置の転倒を防止するために、補助輪31が車室本体21外に突出して路面に接地している。
そして、制御装置80が始動すると、ジャイロ装置60のフライホイール61が回転し始め、フライホイール61の回転数Nが所定の回転数Nthよりも大きくなると、移動装置1の安定性を維持するための歳差運動中の十分なジャイロモーメントMmが発生して補助輪31を車室本体21内に退避させ、アイドリング状態を維持しつつ図11(b)の状態になる。
移動装置1が停止状態から移動を開始して、自装置に外部トルクT(外力)が作用して自装置が傾いた場合、例えば自装置が左折又は右折する場合、姿勢制御部82は、自装置のロール角変位量ΦをジャイロセンサSR1で検知して、傾き補正装置601(ジャイロ装置60)の傾動モータM2を回転駆動してジンバル軸62bに回転トルクを付与する。係る回転トルクによりジャイロ装置60には歳差運動が生じ、ジンバル軸62a、62bにはジャイロモーメントMmが発生し、図12(a)、(b)に模式的に示すように、移動装置1は遠心力によるモーメント、重力に基づくモーメント及びジャイロ装置60からのジャイロモーメントMm間のバランスを維持しつつ移動する。
本実施形態に係る移動装置1は、ジャイロ装置60からなる傾き補正装置601を備えているために、乗員は車室20内に外部から離隔して居住したままで安定姿勢を保持することができる。そのために、例えば、地震や大雨の災害発生時には、乗員は、車室20内で外部から保護された状態で、四輪車と比較して渋滞を回避しながら移動することができる。
(2.3)水上における減揺動作
図13は水上における減揺動作を説明するブロック図、図14は水上における移動装置1のロール抑制を説明する図、図15は水上における移動装置1のピッチ抑制を説明する図である。
移動装置1は、図13に示すように、外部トルクT1、T2による自装置の揺れに基づくロール角変位量Φ、ピッチ角変位量ΘをジャイロセンサSR1で検知して、ジャイロ装置60によるジャイロモーメントMmを自装置の揺れに対するカウンタートルクとして作用させ姿勢安定化を図っている。
本実施形態における移動装置1は、図8に示すように、減揺装置として、ジャイロ装置60を複数配置し、互いのジンバル軸線62cが交差(直交)するように、一方のジャイロ装置60Bをジンバル軸線62cが自装置の移動方向と平行方向になるようにアクチュエータM3を回転駆動して回転させて配置する。
水上においては、移動装置1に対して、自装置の移動方向と平行な軸を回転中心とするロール方向の横揺れ、自装置の移動方向と交差する方向の軸を回転中心とするピッチ方向の揺れが発生する。
移動装置1が水上で移動する場合、波による外部トルクT1、T2(外力)が作用して自装置が左右方向及び前後方向に揺れた場合、姿勢制御部82は、自装置の左右方向の揺れに伴うロール角変位量Φ、及び自装置の前後方向の揺れに伴うピッチ角変位量ΘをジャイロセンサSR1で検知して、減揺装置602(ジャイロ装置60A、60B)の傾動モータM2を回転駆動してジンバル軸62bに回転トルクを付与する。係る回転トルクによりジャイロ装置60A、60Bには歳差運動が生じ、ジンバル軸62a、62bにはジャイロモーメントMm1、Mm2が発生し、図13、図14に模式的に示すように、移動装置1の揺れに対してカウンタートルクとして作用させ揺れを抑制しつつ移動する。
(2.4)水上における転覆防止動作
図16は水上における移動装置1への乗り込みを説明する図である。
水上において、移動装置1が停止している状態で、乗員が移動装置1の車室20に乗り込む場合、乗員は喫水線よりも高い位置にある移動装置1の天蓋24を開けて乗り込み口23を開放する。そして、乗員は、移動装置1の左側又は右側の側方から乗り込むことになるが、移動装置1は、二輪式移動装置であり、その移動方向と交差する幅方向が移動方向(長さ方向)に比べて小さく、乗り込み側に傾いて転覆する虞があった。
本実施形態においては、乗員が、移動装置1が停止している状態で移動装置1の車室20に乗り込む場合、姿勢制御部82は、自装置のロール角変位量ΦをジャイロセンサSR1で検知して、図16に模式的に示すように、フライホイール61の回転数Nをあらかじめ定められた回転数Nthよりも高くしてジャイロ装置60Aの有効逆トルクを通常の移動時よりも大きくする。これにより、移動装置1は横方向に傾きにくくなり、水上での乗員の乗り込み動作を容易にするとともに、乗り込みに伴う転覆を防止することができる。
また、姿勢制御部82は、自装置のロール角変位量ΦをジャイロセンサSR1で検知して、減揺装置602(ジャイロ装置60A)の傾動モータM2を回転駆動してジンバル軸62bに回転トルクを付与することで、ジャイロ装置60Aのジンバル軸62a、62bにジャイロモーメントMm1を発生させ、移動装置1の傾きに対してカウンタートルクとして作用させ傾きを抑制し転覆を防止してもよい。
さらに、図7に示すように、減揺装置602の2つのジャイロ装置60A、60Bのそれぞれのジンバル軸線62cを、移動装置1の移動方向と交差(直交)方向になるように回転し、移動装置1の傾きに応じて傾動モータM2を介して2つのジャイロ装置60A、60Bのジンバル62を同時に回転させることで大きなジャイロモーメントMm1を発生させて傾きを抑制し転覆を防止してもよい。
(2.5)水上での移動
図17は水上での設定された目標ルートに沿った移動を行う際に制御装置80で実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
地震や大雨の災害時に移動装置1と乗員が互いに別個に水上(海上)に押し流されて漂流する虞がある。本実施形態に係る移動装置1は、水上で、GPS受信器831によって提供される、自装置の移動方向、移動速度及び地理上の絶対位置を示す信号、及び乗員が有するスマートフォン等の外部機器Pから発せられる外部機器Pの位置情報を取得する。そして、取得した位置情報に基づいて自装置の現在位置と外部機器Pの位置を結ぶ水上における航行ルートを設定し、設定された目標ルートに沿って自装置が移動するように噴流吐出装置50の駆動制御を行う。
制御装置80は、GPS受信器831によって提供される自装置及び外部機器Pの位置情報を取得する(S101)。次に、航行制御部84は、自装置及び外部機器Pの位置情報を基に、移動装置1が外部機器Pに近づくように、移動装置1が移動するべき移動方向及び移動速度を算出する(S102)。そして、航行制御部84は、噴流吐出装置50を駆動して移動装置1の水上での航行を制御する(S103)。
次に、航行制御部84は、自装置と外部機器Pとの距離dが予め定められた距離d1以下であるか否かを判定する(S104)。ステップ104で否定の判断(S104:No)がされた場合、自装置と外部機器Pとの距離dが予め定められた距離d1以下になるまで繰り返しステップ104の判定が行われる。ステップ104で、自装置と外部機器Pとの距離dが予め定められた距離d1以下であると判定された場合(S104:Yes)、噴流吐出装置50の駆動を停止する(S105)。
これにより、移動装置1は、水上で外部機器832を有する乗員のもとへ航行し、水上の乗員は、天蓋24を開けて乗り込み口23から車室20内に乗り込むことができる。
本実施形態に係る移動装置1によれば、乗員を車室20内に外部から水密に離隔した状態で収容して陸上及び水上を移動することができる。
特に、地震や大雨の災害時には、乗員を内部に外部から離隔して安全に収容した状態で、四輪車と比較して渋滞を回避しながら陸上移動することができる。また、海上へ押し流された場合にも、乗員を車室20内に外部から水密に離隔した状態で収容して水上を移動することができる。さらに、海上に乗員と別個に押し流されて離散した場合、GPSによって提供される自装置及び乗員が有するスマートフォン等の外部機器の位置情報を基に算出される目標ルートに沿って外部機器に近づくように航行することができる。
1・・・移動装置
10・・・フレーム
20・・・車室
21・・・車室本体
23・・・乗り込み口
24・・・天蓋
30・・・前輪
40・・・後輪
50・・・噴流吐出装置
60・・・ジャイロ装置
61・・・フライホイール
62・・・ジンバル
62a、62b・・・ジンバル軸
62c・・・ジンバル軸線
70・・・電源装置
80・・・制御装置
81・・・姿勢検知部
82・・・姿勢制御部
83・・・通信部
84・・・航行制御部

Claims (4)

  1. 陸上及び水上で移動可能な二輪式移動装置であって、
    開閉可能な乗り込み口を有し自装置が水上で移動する場合の喫水線よりも高い高さまで水密に構成され乗員を内部に外部から離隔して収容する車室と、
    回転駆動されるインペラを備え前記自装置を水上で移動させる推進手段と、
    前記自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段と、
    前記自装置の重心方向に平行な回転軸を有し回転可能なフライホイールと、前記フライホイールを囲うとともに前記回転軸の両端部を支持し、前記回転軸に交差する一対のジンバル軸を中心として傾動可能なジンバルと、を備え、前記ジンバル軸が、前記自装置の移動方向と平行方向及び交差方向に切り替え可能に構成され、前記自装置の陸上での傾きを補正する傾き補正手段及び前記自装置の水上での減揺を行なうとともに水上で前記自装置が停止した状態で前記乗員が前記車室に乗り込む際に、前記フライホイールを予め定められた回転数よりも高い回転数で回転させ前記乗り込み口が喫水線よりも低くならないように前記自装置の傾きを抑制する減揺手段と、
    前記姿勢検知手段の検知値に基づいて前記傾き補正手段の作動と前記減揺手段の作動を切り替える姿勢制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とする二輪式移動装置。
  2. 前記姿勢制御手段は、前記姿勢検知手段で検知された前記自装置のロール角変位量に基づいて前記ジンバル軸を前記自装置の移動方向と交差する方向に配置した状態で前記ジンバルを傾動させて前記傾き補正手段の作動を有効にする、
    ことを特徴とする請求項に記載の二輪式移動装置。
  3. 前記姿勢制御手段は、前記姿勢検知手段で検知された前記自装置のピッチ角変位量及びロール角変位量に基づいて一方の前記ジンバル前記自装置の移動方向と平行方向に回転させるとともに前記ジンバルを傾動させて前記減揺手段の作動を有効にする、
    ことを特徴とする請求項に記載の二輪式移動装置。
  4. 前記ジャイロ装置の少なくとも1つは、前記回転軸が前記自装置の移動方向と平行方向となるように前記ジンバル軸を回転中心として回転し、前記フライホイールの前記回転軸が前記推進手段の前記インペラの回転軸に接続される、
    ことを特徴とする請求項に記載の二輪式移動装置。
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